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特許7248228RNAライブラリーの構築のための方法及びキット
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  • 特許-RNAライブラリーの構築のための方法及びキット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-20
(45)【発行日】2023-03-29
(54)【発明の名称】RNAライブラリーの構築のための方法及びキット
(51)【国際特許分類】
   C40B 40/06 20060101AFI20230322BHJP
   C12Q 1/68 20180101ALI20230322BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALN20230322BHJP
   C12Q 1/6869 20180101ALN20230322BHJP
【FI】
C40B40/06
C12Q1/68 ZNA
C12Q1/686 Z
C12Q1/6869 Z
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021512600
(86)(22)【出願日】2018-09-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-27
(86)【国際出願番号】 CN2018104143
(87)【国際公開番号】W WO2020047769
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2021-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】521527185
【氏名又は名称】ビージーアイ ジェノミクス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, シー
(72)【発明者】
【氏名】ワン, ウェンジン
(72)【発明者】
【氏名】シン, ヤンルー
(72)【発明者】
【氏名】シュウ, ジンジン
(72)【発明者】
【氏名】チェン, ファン
(72)【発明者】
【氏名】ジュー, シーダ
【審査官】松原 寛子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107385018(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106801050(CN,A)
【文献】植物科学最前線 BSJ-review,2017年,8:110
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/68
C40B 40/06
C12Q 1/686
C12Q 1/6869
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
RNAライブラリーを調製するための方法であって、以下のステップ:
RNAを抽出するステップ;
3’末端に尾部を付加し、前記尾部がポリ(A)尾部又はポリ(U)尾部である、ステップ;
5’末端にアダプターをライゲートし、DNAプローブ混合物とハイブリダイズし、前記DNAプローブ混合物が除去されると予想されるRNAと逆相補性であるいくつかのDNAプローブから構成される、ステップ;
ハイブリッドからRNAを除去し、DNAを除去するステップ;
逆転写及びPCR増幅を実施して、ライブラリー溶液を得るステップ
を含む、方法。
【請求項2】
ハイブリッドからRNAを除去し、DNAを除去する前記ステップが、以下の方法:RNaseH消化及びDNase消化を連続して実施することによって実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
RNAライブラリーを調製するための方法であって、以下のステップ:
RNAを抽出し、断片化を実施し、前記断片化が加熱処理によって実行される、ステップ;
3’末端に尾部を付加し、前記尾部がポリ(A)尾部又はポリ(U)尾部である、ステップ;
5’末端にアダプターをライゲートし、DNAプローブ混合物とハイブリダイズし、前記DNAプローブ混合物が、除去されると予想されるRNAと逆相補性であるいくつかのDNAプローブから構成される、ステップ;
ハイブリッドからRNAを除去し、DNAを除去するステップ;
逆転写及びPCR増幅を実施して、ライブラリー溶液を得るステップ
を含む方法。
【請求項4】
3’末端に尾部を付加する前記ステップが、以下の様式:5’末端にリン酸基を、3’末端にヒドロキシル基を有するようにRNA断片を改変し、次いで尾部を付加することによって実行される、請求項に記載の方法。
【請求項5】
「5’末端にリン酸基を、3’末端にヒドロキシル基を有するようにRNA断片を改変する」前記ステップが、以下の方法:T4 PNKによって処理することによって実行される、請求項に記載の方法。
【請求項6】
ハイブリッドからRNAを除去し、DNAを除去する前記ステップが、以下の方法:RNaseH消化及びDNase消化を連続して実施することによって実行される、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
RNAライブラリーを調製するための方法であって、以下のステップ:
RNAを抽出し、断片化を実施し、前記断片化が加熱処理によって実行される、ステップ;
3’末端に尾部を付加し、前記尾部がポリ(A)尾部又はポリ(U)尾部である、ステップ;
5’末端にアダプターをライゲートし、標的RNA断片を濃縮するステップ;
逆転写及びPCR増幅を実施して、ライブラリー溶液を得るステップ
を含む方法。
【請求項8】
RNAライブラリーを調製するための方法であって、以下のステップ:
RNAを抽出するステップ;
3’末端に尾部を付加し、前記尾部がポリ(A)尾部又はポリ(U)尾部である、ステップ;
5’末端にアダプターをライゲートし、標的RNA断片を濃縮するステップ;
逆転写及びPCR増幅を実施して、ライブラリー溶液を得るステップ
を含む方法。
【請求項9】
RNAライブラリーを調製するためのキットであって、構成要素A、構成要素B、構成要素C、構成要素D、構成要素E、及び構成要素Fを含み、
構成要素Aが、RNA分子の3’末端に尾部を付加するための試薬又は試薬の組合せであり、前記尾部がポリ(A)尾部又はポリ(U)尾部であり
構成要素Bが、RNA分子の5’末端にアダプターをライゲートするための試薬又は試薬の組合せであり;
構成要素Cが、除去されると予想されるRNAと逆相補性であるいくつかのDNAプローブから構成されるDNAプローブ混合物であり;
構成要素Dが、ハイブリッドからRNAを除去し、DNAを除去するための試薬又は試薬の組合せであり;
構成要素Eが、逆転写のための試薬又は試薬の組合せであり;
構成要素Fが、PCRのための試薬又は試薬の組合せである、キット。
【請求項10】
RNAライブラリーを調製するためのキットであって、構成要素A、構成要素G、構成要素D、構成要素E、及び構成要素Fを含み、
構成要素Aが、RNA分子の3’末端に尾部を付加するための試薬又は試薬の組合せであり、前記尾部がポリ(A)尾部又はポリ(U)尾部であり
構成要素Gが、RNA分子の5’末端にアダプターをライゲートし、DNAプローブとハイブリダイズするための試薬又は試薬の組合せであり;
構成要素Dが、ハイブリッドからRNAを除去し、DNAを除去するための試薬又は試薬の組合せであり;
構成要素Eが、逆転写のための試薬又は試薬の組合せであり;
構成要素Fが、PCRのための試薬又は試薬の組合せである、キット。
【請求項11】
RNAライブラリーを調製するためのキットであって、構成要素A、構成要素H、構成要素B、構成要素C、構成要素D、構成要素E、及び構成要素Fを含み、
構成要素Aが、RNA分子の3’末端に尾部を付加するための試薬又は試薬の組合せであり、前記尾部がポリ(A)尾部又はポリ(U)尾部であり
構成要素Hが、5’末端にリン酸基を、3’末端にヒドロキシル基を有するようにRNA断片を改変するための試薬又は試薬の組合せであり;
構成要素Bが、RNA分子の5’末端にアダプターをライゲートするための試薬又は試薬の組合せであり;
構成要素Cが、除去されると予想されるRNAと逆相補性であるいくつかのDNAプローブから構成されるDNAプローブ混合物であり;
構成要素Dが、ハイブリッドからRNAを除去し、DNAを除去するための試薬又は試薬の組合せであり;
構成要素Eが、逆転写のための試薬又は試薬の組合せであり;
構成要素Fが、PCRのための試薬又は試薬の組合せである、キット。
【請求項12】
RNAライブラリーを調製するためのキットであって、構成要素A、構成要素H、構成要素G、構成要素D、構成要素E、及び構成要素Fを含み、
構成要素Aが、RNA分子の3’末端に尾部を付加するための試薬又は試薬の組合せであり、前記尾部がポリ(A)尾部又はポリ(U)尾部であり
構成要素Hが、5’末端にリン酸基を、3’末端にヒドロキシル基を有するようにRNA断片を改変するための試薬又は試薬の組合せであり;
構成要素Gが、RNA分子の5’末端にアダプターをライゲートし、DNAプローブとハイブリダイズするための試薬又は試薬の組合せであり;
構成要素Dが、ハイブリッドからRNAを除去し、DNAを除去するための試薬又は試薬の組合せであり;
構成要素Eが、逆転写のための試薬又は試薬の組合せであり;
構成要素Fが、PCRのための試薬又は試薬の組合せである、キット。
【請求項13】
RNAライブラリーを調製するためのキットであって、構成要素I、構成要素B、構成要素C、構成要素D、構成要素E、及び構成要素Fを含み、
構成要素Iが、RNA分子の3’末端を尾部付加及び改変するための試薬又は試薬の組合せであり、前記尾部がポリ(A)尾部又はポリ(U)尾部であり
構成要素Bが、RNA分子の5’末端にアダプターをライゲートするための試薬又は試薬の組合せであり;
構成要素Cが、除去されると予想されるRNAと逆相補性であるいくつかのDNAプローブから構成されるDNAプローブ混合物であり;
構成要素Dが、ハイブリッドからRNAを除去し、DNAを除去するための試薬又は試薬の組合せであり;
構成要素Eが、逆転写のための試薬又は試薬の組合せであり;
構成要素Fが、PCRのための試薬又は試薬の組合せである、キット。
【請求項14】
RNAライブラリーを調製するためのキットであって、構成要素I、構成要素G、構成要素D、構成要素E、及び構成要素Fを含み、
構成要素Iが、RNA分子の3’末端を尾部付加及び改変するための試薬又は試薬の組合せであり、前記尾部がポリ(A)尾部又はポリ(U)尾部であり
構成要素Gが、RNA分子の5’末端にアダプターをライゲートし、DNAプローブとハイブリダイズするための試薬又は試薬の組合せであり;
構成要素Dが、ハイブリッドからRNAを除去し、DNAを除去するための試薬又は試薬の組合せであり;
構成要素Eが、逆転写のための試薬又は試薬の組合せであり;
構成要素Fが、PCRのための試薬又は試薬の組合せである、キット。
【請求項15】
シークエンシングにおける、請求項1~のいずれか一項に記載の方法の使用。
【請求項16】
シークエンシングにおける、請求項14のいずれか一項に記載のキットの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、RNAライブラリーの構築のための方法及びキットに関する。
【背景技術】
【0002】
NIPT(非侵襲的出生前検査)を含む、非侵襲的検査は、非常に古典的な技術であるだけでなく、新興分野でもある。血漿又は血清酵素検査及びNIPTは、身体的健康又は妊娠を予測するために、それぞれタンパク質及びDNAのレベルで血漿/血清を解析する。しかしながら、血漿/血清RNAの適用はまだ始まったばかりであり、これは主に、RNAが不安定であり、血漿/血清RNAがほとんど小さな断片であり、その濃度が非常に低く、したがって、そのような低品質及び低濃度のRNAのライブラリーの構築のための非常に優れた戦略がないためである。RNAライブラリーの構築の現在の技術は、長鎖RNA又は短鎖RNAのみに向けられ、長鎖RNA及び短鎖RNA同時のライブラリーの構築のための好適な技術はなく、そのため、長鎖RNAと短鎖RNAの両方の同時研究は、それらの別々のライブラリーの構築を必要とする。
【0003】
RNaseH法は、長鎖RNAのライブラリーの構築のための古典的な方法である。基本ステップは:rRNAと逆相補性であるDNAオリゴを試料とアニールするステップ、RNaseHによってrRNAを除去するステップ、次いでDNaseによってDNAオリゴを除去するステップ;逆転写(一本鎖cDNA合成)、二本鎖合成;ギャップ充填、dAの付加、アダプターライゲーション、PCRを含む。以下の問題がある;プロセスが、実行するのに非常に扱いにくく、遅く、困難であること;RNAの最初の量が高い必要があること;RNAの長い断片のみが検出できること。
【0004】
Small RNAのライブラリー構築は、以下の基本ステップ:3’アダプターをライゲートするステップ、次いで5’アダプターをライゲートするステップ、逆転写、PCRを含む。以下の問題がある:操作が困難であり、遅く、コストがかかること;RNAの最初の量が、高い必要があること;RNAの短い断片のみが検出できること;ライブラリーの構築中に深刻なバイアスが誘導されること。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、RNAライブラリー構築方法及びその特化されたキットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、RNAライブラリーを調製するための第1の方法(方法1)であって、以下のステップ:
RNAを抽出し、断片化を実施するステップ;
3’末端に尾部(tailing、テーリング)を付加するステップ
5’末端にアダプターをライゲートし、DNAプローブ混合物とハイブリダイズし、該DNAプローブ混合物が除去されると予想されるRNAと逆相補性であるいくつかのDNAプローブから構成される、ステップ;
ハイブリッドからRNAを除去し、DNAを除去するステップ;
逆転写及びPCR増幅を実施して、ライブラリー溶液を得るステップ
を含む方法を提供する。
【0007】
方法1は、好ましくは以下のステップ:
(1)RNAを抽出し、断片化を実施するステップ;
(2)3’末端に尾部を付加するステップ;
(3)5’末端にアダプターをライゲートし、DNAプローブ混合物とハイブリダイズし、該DNAプローブ混合物が除去されると予想されるRNAと逆相補性であるいくつかのDNAプローブから構成される、ステップ;
(4)ハイブリッドからRNAを除去し、DNAを除去するステップ;
(5)逆転写及びPCR増幅を順に実施して、ライブラリー溶液を得るステップ
を含む。
【0008】
断片化は、加熱処理によって実行される。断片化の目的は、400nt以下のRNA断片を得ることである。RIN>8の場合、加熱処理は、94℃、10分のパラメーターを有する。5≦RIN≦8の場合、加熱処理は、90℃、5分のパラメーターを有する。3≦RIN≦5の場合、加熱処理は、80℃、5分のパラメーターを有する。RIN<3の場合、加熱処理は、65℃、5分のパラメーターを有する。
【0009】
3’末端に尾部を付加するステップは、以下の様式:5’末端にリン酸基を、3’末端にヒドロキシル基を有するようにRNA断片を改変し、次いで尾部を付加することによって実行される。「5’末端にリン酸基を、3’末端にヒドロキシル基を有するようにRNA断片を改変する」ステップは、以下の方法:T4 PNKによって処理することによって実行される。
【0010】
尾部を付加するステップは、ポリ(A)尾部又はポリ(U)尾部を付加するステップを指す。
【0011】
ハイブリッドからRNAを除去し、DNAを除去するステップは、以下の方法:RNaseH消化及びDNase消化を連続して実施することによって実行される。
【0012】
RNAを抽出するステップは、CfRNAを抽出するステップ又は全RNAを抽出するステップを指す。
【0013】
RNAを抽出するステップで使用される試料は、限定はされないが、血漿、組織又は細胞を含む。
【0014】
本発明は、RNAライブラリーを調製するための方法(方法2)であって、以下のステップ:
RNAを抽出するステップ;
3’末端に尾部を付加するステップ;
5’末端にアダプターをライゲートし、DNAプローブ混合物とハイブリダイズし、該DNAプローブ混合物が除去されると予想されるRNAと逆相補性であるいくつかのDNAプローブから構成される、ステップ;
ハイブリッドからRNAを除去し、DNAを除去するステップ;
逆転写及びPCR増幅を実施して、ライブラリー溶液を得るステップ
を含む方法も保護しようとする。
【0015】
方法2は、好ましくは以下のステップ:
(1)RNAを抽出するステップ;
(2)3’末端に尾部を付加するステップ;
(3)5’末端にアダプターをライゲートし、DNAプローブ混合物とハイブリダイズし、該DNAプローブ混合物が除去されると予想されるRNAと逆相補性であるいくつかのDNAプローブから構成される、ステップ;
(4)ハイブリッドからRNAを除去し、DNAを除去するステップ;
(5)逆転写及びPCR増幅を順に実施して、ライブラリー溶液を得るステップ
を含む。
【0016】
尾部を付加するステップは、ポリ(A)尾部又はポリ(U)尾部を付加するステップを指す。
【0017】
ハイブリッドからRNAを除去し、DNAを除去するステップは、以下の方法:RNaseH消化及びDNase消化を連続して実施することによって実行される。
【0018】
RNAを抽出するステップは、CfRNAを抽出するステップ又は全RNAを抽出するステップを指す。
【0019】
RNAを抽出するステップで使用される試料は、限定はされないが、血漿、組織又は細胞を含む。
【0020】
本発明は、RNAライブラリーを調製するための方法(方法3)であって、以下のステップ:
RNAを抽出し、断片化を実施するステップ;
3’末端に尾部を付加するステップ;
5’末端にアダプターをライゲートし、標的RNA断片を濃縮するステップ;
逆転写及びPCR増幅を実施して、ライブラリー溶液を得るステップ
を含む方法も提供する。
【0021】
方法3は、好ましくは以下のステップ:
(1)RNAを抽出し、断片化を実施するステップ
(2)3’末端に尾部を付加するステップ;
(3)5’末端にアダプターをライゲートし、標的RNA断片を濃縮するステップ;
(4)逆転写及びPCR増幅を順に実施して、ライブラリー溶液を得るステップ
を含む。
【0022】
断片化は、加熱処理によって実行される。断片化の目的は、400nt以下のRNA断片を得ることである。RIN>8の場合、加熱処理は、94℃、10分のパラメーターを有する。5≦RIN≦8の場合、加熱処理は、90℃、5分のパラメーターを有する。3≦RIN≦5の場合、加熱処理は、80℃、5分のパラメーターを有する。RIN<3の場合、加熱処理は、65℃、5分のパラメーターを有する。
【0023】
3’末端に尾部を付加するステップは、以下の様式:5’末端にリン酸基を、3’末端にヒドロキシル基を有するようにRNA断片を改変し、次いで尾部を尾部することによって実行される。「5’末端にリン酸基を、3’末端にヒドロキシル基を有するようにRNA断片を改変する」ステップは、以下の方法:T4 PNKによって処理することによって実行される。
【0024】
尾部を付加するステップは、ポリ(A)尾部又はポリ(U)尾部を付加するステップを指す。
【0025】
標的RNA断片を濃縮するステップは、限定はされないが、チップ捕捉、複合PCR、又は縮重PCRを含む方法によって実行される。
【0026】
RNAを抽出するステップは、CfRNAを抽出するステップ又は全RNAを抽出するステップを指す。
【0027】
RNAを抽出するステップで使用される試料は、限定はされないが、血漿、組織又は細胞を含む。
【0028】
本発明は、RNAライブラリーを調製するための方法(方法4)であって、以下のステップ:
RNAを抽出するステップ;
3’末端に尾部を付加するステップ;
5’末端にアダプターをライゲートし、標的RNA断片を濃縮するステップ;
逆転写及びPCR増幅を実施して、ライブラリー溶液を得るステップ
を含む方法も保護しようとする。
【0029】
方法4は、好ましくは以下のステップ:
(1)RNAを抽出するステップ;
(2)3’末端に尾部を付加するステップ;
(3)5’末端にアダプターをライゲートし、標的RNA断片を濃縮するステップ;
(4)逆転写及びPCR増幅を順に実施して、ライブラリー溶液を得るステップ
を含む。
【0030】
尾部を付加するステップは、ポリ(A)尾部又はポリ(U)尾部を付加するステップを指す。
【0031】
標的RNA断片を濃縮するステップは、限定はされないが、チップ捕捉、複合PCR、又は縮重PCRを含む方法によって実行される。
【0032】
RNAを抽出するステップは、CfRNAを抽出するステップ又は全RNAを抽出するステップを指す。
【0033】
RNAを抽出するステップで使用される試料は、限定はされないが、血漿、組織又は細胞を含む。
【0034】
前述のハイブリッドのいずれか1つは、DNAとRNAのハイブリッドである。
【0035】
前述のRNAのいずれか1つは、ヒトRNAである。
【0036】
上記のように除去されると予想されるRNAは、rRNA及びY RNAである。前述のDNAプローブ混合物のいずれか1つは、配列表の配列番号5~配列番号208に連続して示されるように、204種類のプローブから構成される。
【0037】
上記のように除去されると予想されるRNAは、rRNAである。前述のDNAプローブ混合物のいずれか1つは、配列表の配列番号5~配列番号199に連続して示されるように、195種類のプローブから構成される。
【0038】
前述のアダプターのいずれか1つは、配列表の配列番号1に示される。
【0039】
前述の逆転写のいずれか1つは、配列表の配列番号2に示されるように逆転写プライマーを使用する。
【0040】
前述のPCRのいずれか1つは、2つのプライマーを使用し、1つは配列表の配列番号3に示され、もう一方は配列表の配列番号4に示される。
【0041】
本発明は、構成要素A、構成要素B、構成要素C、構成要素D、構成要素E、及び構成要素Fを含む、RNAライブラリーを調製するためのキット(キット1)も保護しようとする。
【0042】
本発明は、構成要素A、構成要素G、構成要素D、構成要素E、及び構成要素Fを含む、RNAライブラリーを調製するためのキット(キット2)も保護しようとする。
【0043】
本発明は、構成要素A、構成要素H、構成要素B、構成要素C、構成要素D、構成要素E、及び構成要素Fを含む、RNAライブラリーを調製するためのキット(キット3)も保護しようとする。
【0044】
本発明は、構成要素A、構成要素H、構成要素G、構成要素D、構成要素E、及び構成要素Fを含む、RNAライブラリーを調製するためのキット(キット4)も保護しようとする。
【0045】
本発明は、構成要素I、構成要素B、構成要素C、構成要素D、構成要素E、及び構成要素Fを含む、RNAライブラリーを調製するためのキット(キット5)も保護しようとする。
【0046】
本発明は、構成要素I、構成要素G、構成要素D、構成要素E、及び構成要素Fを含む、RNAライブラリーを調製するためのキット(キット6)も保護しようとする。
【0047】
構成要素Aは、RNA分子の3’末端に尾部を付加するための試薬又は試薬の組合せである。
【0048】
構成要素Bは、RNA分子の5’末端にアダプターをライゲートするための試薬又は試薬の組合せである。
【0049】
構成要素Cは、DNAプローブ混合物である。DNAプローブ混合物は、除去されると予想されるRNAと逆相補性であるいくつかのDNAプローブから構成される。
【0050】
構成要素Dは、ハイブリッドからRNAを除去し、DNAを除去するための試薬又は試薬の組合せである。
【0051】
構成要素Eは、逆転写のための試薬又は試薬の組合せである。
【0052】
構成要素Fは、PCRのための試薬又は試薬の組合せである。
【0053】
構成要素Gは、RNA分子の5’末端にアダプターをライゲートし、DNAプローブとハイブリダイズするための試薬又は試薬の組合せである。
【0054】
構成要素Hは、5’末端にリン酸基を、3’末端にヒドロキシル基を有するようにRNA断片を改変するための試薬又は試薬の組合せである。
【0055】
構成要素Iは、RNA分子の3’末端を尾部付加及び改変するための試薬又は試薬の組合せである。
【0056】
前述のキットのいずれか1つは、構成要素Jをさらに含む;構成要素Jは、RNAを抽出するための試薬又は試薬の組合せである。
【0057】
構成要素Aは、ポリAポリメラーゼ及びATPである。構成要素Aは、RNaseH緩衝液、ATP、RNase阻害剤及びポリAポリメラーゼである。
【0058】
構成要素Bは、アダプター及びT4 RNAリガーゼ1である。
【0059】
構成要素Dは、RNaseH及びDNaseである。構成要素Dは、RNaseH、Turbo DNase及びRNaseフリーDNaseIである。構成要素Dは、RNaseH、Turbo DNase、RNaseフリーDNaseI、CaCl及びTris-Cl緩衝液である。
【0060】
構成要素Eは、逆転写プライマー及びHiScript II RTである。構成要素Eは、逆転写プライマー、dNTP、RNase阻害剤、HiScript II緩衝液及びHiScript II RTである。
【0061】
構成要素Fは、増幅プライマー対である。構成要素Fは、増幅プライマー対及びHiFi PCR Mixである。
【0062】
構成要素Gは、アダプター、DNAプローブ混合物及びT4 RNAリガーゼ1である。構成要素Gは、アダプター、DNAプローブ混合物、T4 RNAリガーゼ1、T4 RNAリガーゼ緩衝液、ATP、PEG8000、RNase阻害剤、アルカリホスファターゼ及びTris-Cl緩衝液である。
【0063】
構成要素Hは、T4 PNKである。
【0064】
構成要素Iは、ポリAポリメラーゼ、ATP及びT4PNKである。構成要素Iは、RNase H緩衝液、ATP、RNase阻害剤、T4 PNK及びポリAポリメラーゼである。
【0065】
尾部を付加するステップは、ポリ(A)尾部又はポリ(U)尾部を付加するステップを指す。
【0066】
RNAを抽出するステップは、CfRNAを抽出するステップ又は全RNAを抽出するステップを指す。
【0067】
RNAを抽出するステップで使用される試料は、限定はされないが、血漿、組織又は細胞を含む。
【0068】
前述のハイブリッドのいずれか1つは、DNAとRNAのハイブリッドである。
【0069】
前述のRNAのいずれか1つは、ヒトRNAである。
【0070】
上記のように除去されると予想されるRNAは、rRNA及びY RNAである。前述のDNAプローブ混合物のいずれか1つは、配列表の配列番号5~配列番号208に連続して示されるように、204種類のプローブから構成される。
【0071】
上記のように除去されると予想されるRNAは、rRNAである。前述のDNAプローブ混合物のいずれか1つは、配列表の配列番号5~配列番号199に連続して示されるように、195種類のプローブから構成される。
【0072】
前述のアダプターのいずれか1つは、配列表の配列番号1に示される。
【0073】
前述の逆転写プライマーのいずれか1つは、配列表の配列番号2に示される。
【0074】
前述の増幅プライマー対のいずれか1つについては、1つは配列表の配列番号3に示され、もう一方は配列表の配列番号4に示される。
【0075】
本発明は、シークエンシングの前述の方法のいずれか1つの使用も保護しようとする。シークエンシングはハイスループットシークエンシングである。
【0076】
本発明は、シークエンシングの前述のキットのいずれか1つの使用も保護しようとする。シークエンシングはハイスループットシークエンシングである。
【0077】
本発明は、ポリA尾部付加及び5’末端ライゲーションを組み合わせている。システムのRNA含量は、ポリA尾部付加によって急速に増加し、それにより、続く精製による損失を避けることができる。特定の配列を除去することは都合がよい。断片化及び改変(T4 PNK処理)により、全ての型のRNAが同様の化学的状態に入り、同時にライブラリーへと構築され得る。
【図面の簡単な説明】
【0078】
図1図1は、本発明によって提供される方法の概略的なフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0079】
以下の実施例は、本発明のより良い理解を容易にするが、本発明を限定はしない。以下の実施例の実験方法は、他に特定しない限り、従来の方法である。以下の実施例で使用する試験材料は、他に特定しない限り、従来の生化学試薬店から全て購入される。以下の実施例の定量的検査は全て、3回の反復実験を設定し、結果は平均される。
【0080】
10×RNaseH緩衝液、RNaseH:NEB M0297L。RNase阻害剤:Thermo EO0382。T4 PNK:NEB M0201。ポリAポリメラーゼ:NEB M0276。10×T4 RNAリガーゼ緩衝液、T4 RNAリガーゼ1:NEB M0204。実施例で使用したアルカリホスファターゼは、FastAPアルカリホスファターゼであった:Thermo EF0651。Turbo DNase:Thermo AM2238。RNaseフリーDNaseI:NEB M0303。RNA Clean Beads:Vazyme N411。DNA Clean Beads:Vazyme N412。HiScript II RT、5×HiScript II緩衝液:Vazyme R201。2×HiFi PCR Mix:KAPA KK2602。Qubit HS:Thermo Q32854。
【0081】
小さなRNA断片は、18nt~300ntのサイズを有するRNA分子を指す(18ntと300ntを含む)。一般的な小さなRNA断片は、限定はされないが、マイクロRNA、短鎖非コードRNA(scRNA、tRNA、snRNA、snoRNA、piRNA)を含む。
【0082】
大きなRNA断片は、300ntよりも大きなサイズを有するRNA分子を指す。一般的な大きなRNA断片は、限定はされないが、mRNA及びLncRNA(長鎖非コードRNA)を含む。
【0083】
配列表の配列番号5~配列番号208では、RはA又はGを表す。
【実施例
【0084】
実施例1:試料としてCfRNAを使用してRNAライブラリー(小さなRNA断片の情報を含有する)を構築する
I.RNA抽出
CfRNAを、300μLの血漿から抽出した(RNAの量は約12ngであった)。
【0085】
II.RNAライブラリー構築
1.ポリA付加。
ステップIで得たCfRNAを取り、14.5μLの容積に達するまでDEPC HOを添加し、次いで2μLの10×RNaseH緩衝液を添加し、次いで氷上に置き、次いで表1に記載の試薬を添加し、次いで37℃で30分間反応させ、次いで氷上に置き、次いで2μLの40mM EDTA水溶液を添加して反応を停止させた。
【表1】
【0086】
2.rRNAプローブとのハイブリダイゼーション及びアダプターのライゲーション
ステップ1の完了後、システムに1μLのDepletion Probe Set Mix及び0.5μLの20μM アダプターを添加し、反応させ(反応条件:95℃で5分、次いで0.1℃/秒の速さで22℃に冷却、次いで22℃で5分間維持)、次いで氷上に置き、次いで表2に記載の試薬を添加し、25℃で1時間反応させ、次いで2μLの1U/μL アルカリホスファターゼ及び13μLのTris-Cl緩衝液(pH7.5、10mM)を添加し、次いで37℃で10分間反応させた。
【0087】
アダプター(配列表の配列番号1):
5'-GAACGACAUGGCUACGAUCCGACUUNNNN-3'
アダプターでは、NはA、G、C又はUを表す。アダプターの5’末端と3’末端の両方がヒドロキシル基を有する。
【表2】
【0088】
Depletion Probe Set Mixはプローブ混合溶液であった(プローブ混合物は、配列表の配列番号5~配列番号208に連続して示されるように、204種類のプローブから構成された;Depletion Probe Set Mixでは、各プローブの濃度は0.5μMであった)。プライマー混合物の各プローブは、除去されると予想されるRNA(rRNA及びY RNA)と逆相補性であり、アニールしてDNA:RNAハイブリッドを形成する。
【0089】
3.除去されると予想されるDNA及びRNAの除去
(1)ステップ2の完了後、システムに1μLの5U/μL RNaseH及び4μLのTris-Cl緩衝液(pH7.5、10mM)を添加し、次いで37℃で30分間反応させ、次いで氷上に置き、次いで表3に記載の試薬を添加し、次いで37℃で30分間反応させ、次いで氷上に置いた。
【表3】
【0090】
(2)ステップ(1)の完了後、システムに精製のため70μLのRNA Clean Beads(1×)を添加し、精製産物を15μLのDEPC水で回収し、12.5μLの上澄み液を新しいヌクレアーゼフリー遠心チューブに注意深くピペットした。
【0091】
4.逆転写及びPCR
(1)ステップ3(2)の遠心チューブを取り、1μLの5μM Ad153R-25dT-VNを添加し、65℃で5分間反応させ、次いで氷上に2分間置き、次いで表4に記載の試薬を添加し、次いで逆転写にかけ(逆転写プログラム:50℃、40分)、次いで25μLの3mM EDTA水溶液を添加し、十分に混合し、85℃で15分間反応させた。
【表4】
【0092】
Ad153R-25dT-VN(配列表の配列番号2):
5'-GACCGCTTGGCCTCCGACTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTVN-3'
Ad153R-25dT-VNでは、VはA、G又はCを表し、NはA、G、C又はTを表す。
【0093】
(2)ステップ(1)の完了後、21μLの産物を取り、表5に記載の試薬を添加し、次いでPCR増幅にかけ(PCR増幅反応プログラム:94℃で3分;94℃で20秒、60℃で20秒、72℃で30秒、20サイクル;72℃で5分;16℃で保存)。
【表5】
【0094】
Ad153-RT-Barcode-N(配列表の配列番号3):
5'-TGTGAGCCAAGGAGTTGNNNNNNNNNNTTGTCTTCCTAAGACCGCTTGGCCTCCGACTT-3'
Ad153-RT-Barcode-Nでは、文字枠でマークした10個の「N」は、試料バーコードであり、各試料はユニークな試料バーコードを有した。
【0095】
Pi-Ad153F-FL(配列表の配列番号4):
5'-GAACGACATGGCTACGATCCGACTT-3'
【0096】
(3)ステップ(2)の完了後、システムに精製のため90μLのDNA Clean Beads(1.8×)を添加し、精製産物を20μLの1×TE溶液で回収し、それがライブラリー溶液であった。
【0097】
5.ライブラリーの品質管理
ライブラリー溶液の定量は、Qubit HSで実行し、ライブラリー濃度は2ng/μLより高いべきである。
【0098】
III.ハイスループットシークエンシング
複数試料のライブラリー溶液を混合し、次いでハイスループットシークエンシングにかけた。
【0099】
使用した装置は、BGI-SEQ500RSであった。
【0100】
パラメーター設定は:SE35;4プール1;他の設定はBGI-SEQ500RS標準プロトコールであった。
【0101】
低品質のリードは除去された;リードの5’末端の4塩基及び3’末端の複数の「A」(最初の塩基がAではなくなるまで)は除去された;少なくとも15個の連続する「A」を含有するリードは除去された;17塩基を超えないリードは除去された;rRNAアライメント及び除去が実施された;
マイクロRNA及びpiRNAアライメントを実施し、総リード数と比較した各遺伝子のリード数を計算した。
【0102】
実施例2:効果の比較
血漿試料は30人のヒト血漿試料であった。
【0103】
RNAライブラリーは、実施例1に記載の方法に従って構築し、平均ゲノムアライメント率は58.72%であり、平均トランスクリプトームアライメント率は39.59%であった。
【0104】
ライブラリーは、RNaseH法(http://www.vazyme.com/downloadRepository/11bf871d-c66c-40cc-adbe-317a78af2170.pdf)に従って構築し、平均ゲノムアライメント率は62.44%であり、平均トランスクリプトームアライメント率は26.99%であった(ここでアライメント率は、ミトコンドリアrRNAによる人工物であり、実際のアライメント率は約3%であった)。
【0105】
ライブラリーは、Small RNA(http://www.vazyme.com/downloadRepository/32ab9b89-8079-4961-b571-daf964c02a46.pdf)に従って構築し、平均ゲノムアライメント率は4.38%であり、平均トランスクリプトームアライメント率は1.77%であった。
【0106】
ライブラリーは、SMARTer(SMARTer(登録商標)Stranded Total RNA-Seq Kit-Pico Input Mammalian)に従って構築し、平均ゲノムアライメント率は35.10%であり、平均トランスクリプトームアライメント率は37.23%であった。
【0107】
実施例3:試料としてCfRNAを使用して、RNAライブラリーを構築する(大きなRNA断片の情報と小さなRNA断片の情報の両方を含有する)
I.RNA抽出
CfRNAを300μLの血漿から抽出した(RNAの量は約12ngであった)。
【0108】
II.RNAライブラリー構築
1.断片化、改変、及びポリA付加。
断片化は加熱処理によって実行した。
【0109】
改変の目的は、断片化によって得られたRNA断片に、5’末端にリン酸基を、3’末端にヒドロキシル基を形成させることであった。
【0110】
ステップIで得られたCfRNAを取り、14.5μLの容積に達するまでDEPC HOを添加し、次いで2μLの10×RNaseH緩衝液を添加し、加熱処理にかけ(RIN>8の場合、加熱処理は、94℃、10分のパラメーターを有した。5≦RIN≦8の場合、加熱処理は、90℃、5分のパラメーターを有した。3≦RIN≦5の場合、加熱処理は、80℃、5分のパラメーターを有した。RIN<3の場合、加熱処理は、65℃、5分のパラメーターを有した)、次いで氷上に置き、次いで表6に記載の試薬を添加し、次いで37℃で30分間反応させ、次いで氷上に置き、次いで2μLの40mM EDTA水溶液を添加して反応を停止させた。
【表6】
【0111】
ステップ2~5は、実施例1のステップIIのステップ2~5と同じであった。
【0112】
3.ハイスループットシークエンシング
実施例1のステップIIIと同じ。
【0113】
実施例4.試料として全RNAを使用してRNAライブラリーを構築する
I.RNA抽出
全RNAは、組織又は細胞から抽出した。
【0114】
II.RNAライブラリー構築
1.断片化、改変、及びポリA付加。
断片化は加熱処理によって実行した。
【0115】
改変の目的は、断片化によって得られたRNA断片に、5’末端にリン酸基を、3’末端にヒドロキシル基を形成させることであった。
【0116】
ステップIで得られた全RNA(約12ng)を取り、14.5μLの容積に達するまでDEPC HOを添加し、次いで2μLの10×RNaseH緩衝液を添加し、加熱処理にかけ(RIN>8の場合、加熱処理は、94℃、10分のパラメーターを有した。5≦RIN≦8の場合、加熱処理は、90℃、5分のパラメーターを有した。3≦RIN≦5の場合、加熱処理は、80℃、5分のパラメーターを有した。RIN<3の場合、加熱処理は、65℃、5分のパラメーターを有した)、次いで氷上に置き、次いで表6に記載の試薬を添加し、次いで37℃で30分間反応させ、次いで氷上に置き、次いで2μLの40mM EDTA水溶液を添加して反応を停止させた。
【0117】
2.rRNAプローブとのハイブリダイゼーション及びアダプターのライゲーション。
【0118】
ステップ1の完了後、システムに1μLのDepletion Probe Set Mix及び0.5μLの20μM アダプターを添加し、反応させ(反応条件:95℃で5分、次いで0.1℃/秒の速さで22℃に冷却、次いで22℃で5分間維持)、次いで氷上に置き、次いで表2に記載の試薬を添加し、25℃で1時間反応させ、次いで2μLの1U/μL アルカリホスファターゼ及び13μLのTris-Cl緩衝液(pH7.5、10mM)を添加し、次いで37℃で10分間反応させた。
【0119】
アダプター(配列表の配列番号1):
5'-GAACGACAUGGCUACGAUCCGACUUNNNN-3'
アダプターでは、NはA、G、C又はUを表す。アダプターの5’末端と3’末端の両方がヒドロキシル基を有する。
【0120】
Depletion Probe Set Mixはプローブ混合溶液であった(プローブ混合物は、配列表の配列番号5~配列番号199に連続して示されるように、195種類のプローブから構成された;Depletion Probe Set Mixでは、各プローブの濃度は0.5μMであった)。プライマー混合物の各プローブは、除去されると予想されるRNA(rRNA)と逆相補性であり、アニールしてDNA:RNAハイブリッドを形成した。
【0121】
ステップ3~5は、実施例1のステップIIのステップ3~5と同じであった。
【0122】
III.ハイスループットシークエンシング
複数試料のライブラリー溶液を混合し、次いでハイスループットシークエンシングにかけた。
【0123】
使用した装置は、BGI-SEQ500RSであった。
【0124】
パラメーター設定は:SE50;4プール1;他の設定はBGI-SEQ500RS標準プロトコールであった。
【0125】
低品質のリードは除去された;リードの5’末端の4塩基及び3’末端の複数の「A」(最初の塩基がAではなくなるまで)は除去された;少なくとも15個の連続する「A」を含有するリードは除去された;17塩基を超えないリードは除去された;rRNAアライメント及び除去が実施された;
マイクロRNA及びpiRNAアライメントを実施し、総リード数と比較した各遺伝子のリード数を計算した。
【0126】
RNA-RefSeqアライメントを実施し、短鎖非コードRNA、mRNA及びLong Noncordingのアライメントを別々に実施し、RPKMを計算した。
【0127】
実施例5:試料として全RNAを使用して、RNAライブラリーを構築する
I.RNA抽出
全RNAを、組織又は細胞から抽出した。
【0128】
II.RNAライブラリー構築
1.ポリA付加。
ステップIで得た全RNA(約12ng)を取り、14.5μLの容積に達するまでDEPC HOを添加し、次いで2μLの10×RNaseH緩衝液を添加し、次いで氷上に置き、次いで表1に記載の試薬を添加し、37℃で30分間反応させ、次いで氷上に置き、次いで2μLの40mM EDTA水溶液を添加して反応を停止させた。
【0129】
2.rRNAプローブとのハイブリダイゼーション及びアダプターのライゲーション
実施例4のステップIIのステップ2と同じ。
【0130】
ステップ3~5は、実施例1のステップIIのステップ3~5と同じであった。
【0131】
III.ハイスループットシークエンシング
実施例4のステップIIIと同じ
実施例6:効果の比較
試料は、胎盤組織試料及びヒト不死化白血球(EBウイルス法による)試料であった。
【0132】
RNAライブラリーは、実施例4に記載の方法に従って構築し、胎盤組織試料のゲノムアライメント率は66.32%であり、マイクロRNAアライメント率は0.32%であり、mRNA+lncRNAアライメント率は27.76%であった。
【0133】
RNAライブラリーは、実施例5に記載の方法に従って構築し、胎盤組織試料のゲノムアライメント率は79.18%であり、マイクロRNAアライメント率は21.54%であり、mRNA+lncRNAアライメント率は9.50%であった。
【0134】
RNAライブラリーは、実施例4に記載の方法に従って構築し、ヒト不死化白血球試料のゲノムアライメント率は73.07%であり、マイクロRNAアライメント率は0.22%であり、mRNA+lncRNAアライメント率は28.52%であった。
【0135】
RNAライブラリーは、実施例5に記載の方法に従って構築し、ヒト不死化白血球試料のゲノムアライメント率は86.85%であり、マイクロRNAアライメント率は2.41%であり、mRNA+lncRNAアライメント率は20.40%であった。
【産業上の利用可能性】
【0136】
本発明は、以下の利点を有する:ライブラリー構築が高効率と高感度である;プロセスは簡略化され、大幅に加速される;非常に低コストであり、1つの反応材料は30元以下である;操作が簡単である;カスタマイズが容易であり、モジュールは異なるニーズに合うように調整され得る;高品質のシークエンシングをもたらす;長鎖RNA断片及び短鎖RNA断片を同時に検出することができる。
図1
【配列表】
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