(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-20
(45)【発行日】2023-03-29
(54)【発明の名称】検査システム、および検査方法
(51)【国際特許分類】
G16H 20/00 20180101AFI20230322BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20230322BHJP
G16H 50/30 20180101ALI20230322BHJP
【FI】
G16H20/00
A61B5/00 102C
G16H50/30
(21)【出願番号】P 2018234488
(22)【出願日】2018-12-14
【審査請求日】2021-10-29
(73)【特許権者】
【識別番号】518327383
【氏名又は名称】朝長 健太
(73)【特許権者】
【識別番号】518327372
【氏名又は名称】株式会社産業予防医業機構
(73)【特許権者】
【識別番号】518446282
【氏名又は名称】株式会社アポロン
(74)【代理人】
【識別番号】100112689
【氏名又は名称】佐原 雅史
(74)【代理人】
【識別番号】100128934
【氏名又は名称】横田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】朝長 健太
【審査官】梅岡 信幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-253609(JP,A)
【文献】特開2008-304978(JP,A)
【文献】特開2017-126147(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
A61B 5/00- 5/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
団体によって運営される団体側計算機と、
検査対象となる前記団体に属する人(以下、所属員と呼ぶ。)の健康状態の程度を表す健康状態指標を導出し、当該健康状態指標を出力可能な検査装置と、
を備え、
前記団体側計算機は、
前記検査装置から出力される前記所属員の前記健康状態指標を受信する検査情報受信部と、
前記健康状態指標と、前記所属員への指示とを対応付ける指示対応テーブルを記憶する指示対応テーブル記憶部と、
前記指示対応テーブルを参照して、前記検査情報受信部で受信された前記健康状態指標に対する前記指示を判定する判定部と、
前記判定部で判定された前記指示を出力する指示出力部と、
を有することを特徴とする、
検査システム。
【請求項2】
前記団体側計算機は、
前記検査情報受信部で受信された検査対象となる前記所属員の前記健康状態指標を一時的に保持し、前記判定部で判定された後に、前記健康状態指標を破棄するバッファ部を有することを特徴とする、
請求項1に記載の検査システム。
【請求項3】
前記検査装置から出力された検査対象となる前記所属員の前記健康状態指標を記憶すると共に、前記団体側計算機からのアクセスを制限する、前記団体とは別団体によって運営され
る外部隔離計算機を備えることを特徴とする、
請求項1または2に記載の検査システム。
【請求項4】
前記団体側計算機と通信可能な所属員側計算機を備え、
前記所属員側計算機は、
前記指示出力部から出力される前記指示を受信する所属員側受信部を有することを特徴とする、
請求項1~3のいずれかに記載の検査システム。
【請求項5】
前記所属員側計算機は、前記所属員の識別情報に対応付けられたものが複数あり、
前記指示出力部は、検査対象となった前記所属員に対する前記指示を当該所属員の前記識別情報に対応付けられた前記所属員側計算機に出力することを特徴とする、
請求項4に記載の検査システム。
【請求項6】
前記指示の中には、医師と面談を行うべき旨の面談指示が含まれ、
前記所属員側計算機は、
医師に
前記面談を希望する旨の意思表示である面談希望意思表示の入力を外部から受け付ける入力部と、
前記入力部で受け付けた前記面談希望意思表示を出力する所属員側面談希望出力部と、
を有することを特徴とする、
請求項4に記載の検査システム。
【請求項7】
前記団体側計算機は、
前記所属員側面談希望出力部の出力先を記憶する出力先記憶部と、
前記出力先を前記前記所属員側計算機に出力する出力先出力部と、
を有し、
前記所属員側面談希望出力部は、前記出力先に出力することを特徴とする、
請求項6に記載の検査システム。
【請求項8】
前記
面談に応じる医師に対応付けられる医師側計算機を備え、
前記出力先には、前記医師側計算機が含まれることを特徴とする、
請求項7に記載の検査システム。
【請求項9】
前記団体側計算機は、
前記団体の運営者によって操作され、前記出力先記憶部に記憶される前記出力先を更新する出力先更新部を有することを特徴とする、
請求項7または8に記載の検査システム。
【請求項10】
前記指示の中には、前記検査装置により再検査を行うべき旨の再検査指示が含まれ、
前記判定部は、前記所属員に対して、所定回数、連続して前記再検査指示の判定を行った場合、前記面談指示の判定を行うことを特徴とする、
請求項6~9のいずれかに記載の検査システム。
【請求項11】
前記団体側計算機は、
前記検査装置により検査を行うことを勧奨する検査勧奨メッセージを前記所属員側計算機に出力するメッセージ出力部と、
前記メッセージ出力部が前記検査勧奨メッセージを前記所属員側計算機に出力してから所定期間内に、前記所属員側計算機に対応付けられた前記所属員の前記識別情報、および前記健康状態指標を前記検査装置から前記検査情報受信部が受信しない場合、当該所属員側計算機に再度、前記検査勧奨メッセージを出力するよう判定するメッセージ出力判定部と、
を有し、
前記メッセージ出力部は、前記メッセージ出力判定部での判定結果に応じて、再度、前記検査勧奨メッセージを出力することを特徴とする、
請求項
5に記載の検査システム。
【請求項12】
前記団体側計算機は、
前記団体の運営者によって操作され、前記指示対応テーブル記憶部に記憶される前記指示対応テーブルを更新する指示対応テーブル更新部を有することを特徴とする、
請求項1~11のいずれかに記載の検査システム。
【請求項13】
団体によって運営される団体側計算機と、
検査対象となる前記団体に属する人(以下、所属員と呼ぶ。)の健康状態の程度を表す健康状態指標を導出し、当該健康状態指標を出力可能な検査装置と、
が前記所属員の健康状態の検査を実施する検査方法であって、
前記検査装置
が、検査対象となった前記所属員の前記健康状態指標
を導出
し、検査対象となった前記所属員の前記健康状態指標
を前記団体側計算機に出力
する検査情報出力ステップと、
前記団体側計算機が、出力された検査対象となった前記所属員の前記健康状態指標
を受信
する検査情報受信ステップと、
前記団体側計算機が、前記健康状態指標と、当該健康状態指標に対する医師からの指示とを対応付ける指示対応テーブルを参照して、前記団体側計算機
が受信
した前記健康状態指標に対する前記指示
を判定
する判定ステップと、
前記団体側計算機が、判定された前記指示
を出力
する指示出力ステップと、
を備えることを特徴とする、
検査方法。
【請求項14】
団体によって運営される団体側計算機と、
検査対象となる前記団体に属する人(以下、所属員と呼ぶ。)の健康状態の程度を表す健康状態指標を導出し、当該健康状態指標を出力可能な検査装置と、
前記所属員の識別情報に対応付けられ、前記団体側計算機と通信可能な所属員側計算機と、
が前記所属員の健康状態の検査を実施する検査方法であって、
前記検査装置
が、検査対象となった前記所属員の前記健康状態指標
を導出
し、検査対象となった前記所属員の前記健康状態指標
を前記団体側計算機に出力
する検査情報出力ステップと、
前記団体側計算機が、出力された検査対象となった前記所属員の前記健康状態指標
を受信
する検査情報受信ステップと、
前記団体側計算機が、前記健康状態指標と、当該健康状態指標に対する医師からの指示とを対応付ける指示対応テーブルを参照して、前記団体側計算機
が受信
した前記健康状態指標に対する前記指示
を判定
する判定ステップと、
前記団体側計算機が、判定された前記指示
を検査対象となった前記所属員の前記識別情報に対応付けられた前記所属員側計算機に出力
する指示出力ステップと、
前記所属員の前記識別情報に対応付けられた前記所属員側計算機
が、出力された前記指示を受信
する判定結果受信ステップと、
を備えることを特徴とする、
検査方法。
【請求項15】
前記団体側計算機が、前記検査装置により検査を行うことを勧奨する検査勧奨メッセージ
を前記所属員側計算機に送信
するメッセージ送信ステップと、
前記所属員側計算機が、前記
検査勧奨メッセージ
を受信
するメッセージ受信ステップと、
を
備えることを特徴とする、
請求項14に記載の
検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、団体内に所属する人に対する検査システム、および検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、企業の従業員の疲労やストレスに起因したトラブルが多くなってきている。このため、企業には、各従業員の健康状態に対する配慮が求められている。このような各従業員の健康状態を管理するものとして、例えば、被検者の生体情報を測定して送信可能な複数のセンサと、前記センサから通信網を介して前記生体情報を受信して記憶するサーバー装置と、前記サーバー装置に記録された前記生体情報を閲覧可能な医師端末とを備える健康管理支援システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。健康管理支援システムによれば、医師が医師端末を通じて、被験者である従業員の健康状態を管理することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記健康管理支援システムを用いて従業員の健康状態を管理する場合、各従業員の健康状態を産業医等の医師が医師端末により把握することになるが、従業員の数が増えれば増えるほど医師に多大な労力と精神的な負担を掛けることになると共に、企業が負担するコストも増大する。このため、従業員の健康状態の管理において、まず第一に従業員が自己検査できる環境が望まれる。
【0005】
本発明は、斯かる実情に鑑み、企業の従業員の健康状態の管理において、医師および企業に掛かる負担を減らす検査システム、および、検査方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の検査システムは、団体によって運営される団体側計算機と、検査対象となる前記団体に属する人(以下、所属員と呼ぶ。)の健康状態の程度を表す健康状態指標を導出し、当該健康状態指標を出力可能な検査装置と、を備え、前記団体側計算機は、前記検査装置から出力される前記所属員の前記健康状態指標を受信する検査情報受信部と、前記健康状態指標と、前記所属員への指示とを対応付ける指示対応テーブルを記憶する指示対応テーブル記憶部と、前記指示対応テーブルを参照して、前記検査情報受信部で受信された前記健康状態指標に対する前記指示を判定する判定部と、前記判定部で判定された前記指示を出力する指示出力部と、を有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の検査システムにおいて、前記団体側計算機は、前記検査情報受信部で受信された検査対象となる前記所属員の前記健康状態指標を一時的に保持し、前記判定部で判定された後に、前記健康状態指標を破棄するバッファ部を有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の検査システムにおいて、前記検査装置から出力された検査対象となる前記所属員の前記健康状態指標を記憶すると共に、前記団体側計算機からのアクセスを制限する、前記団体とは別団体によって運営される外部隔離計算機を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の検査システムにおいて、前記団体側計算機と通信可能な所属員側計算機を備え、前記所属員側計算機は、前記指示出力部から出力される前記指示を受信する所属員側受信部を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の検査システムにおいて、前記所属員側計算機は、前記所属員の識別情報に対応付けられたものが複数あり、前記指示出力部は、検査対象となった前記所属員に対する前記指示を当該所属員の前記識別情報に対応付けられた前記所属員側計算機に出力することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の検査システムにおいて、前記指示の中には、医師と面談を行うべき旨の面談指示が含まれ、前記所属員側計算機は、医師に前記面談を希望する旨の意思表示である面談希望意思表示の入力を外部から受け付ける入力部と、前記入力部で受け付けた前記面談希望意思表示を出力する所属員側面談希望出力部と、を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の検査システムにおいて、前記団体側計算機は、前記所属員側面談希望出力部の出力先を記憶する出力先記憶部と、前記出力先を前記前記所属員側計算機に出力する出力先出力部と、を有し、前記所属員側面談希望出力部は、前記出力先に出力することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の検査システムにおいて、前記面談に応じる医師に対応付けられる医師側計算機を備え、前記出力先には、前記医師側計算機が含まれることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の検査システムにおいて、前記団体側計算機は、前記団体の運営者によって操作され、前記出力先記憶部に記憶される前記出力先を更新する出力先更新部を有することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の検査システムにおいて、前記指示の中には、前記検査装置により再検査を行うべき旨の再検査指示が含まれ、前記判定部は、前記所属員に対して、所定回数、連続して前記再検査指示の判定を行った場合、前記面談指示の判定を行うことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の検査システムにおいて、前記団体側計算機は、前記検査装置により検査を行うことを勧奨する検査勧奨メッセージを前記所属員側計算機に出力するメッセージ出力部と、前記メッセージ出力部が前記検査勧奨メッセージを前記所属員側計算機に出力してから所定期間内に、前記所属員側計算機に対応付けられた前記所属員の前記識別情報、および前記健康状態指標を前記検査装置から前記検査情報受信部が受信しない場合、当該所属員側計算機に再度、前記検査勧奨メッセージを出力するよう判定するメッセージ出力判定部と、を有し、前記メッセージ出力部は、前記メッセージ出力判定部での判定結果に応じて、再度、前記検査勧奨メッセージを出力することを特徴とする。
【0017】
また、本発明の検査システムにおいて、前記団体側計算機は、前記団体の運営者によって操作され、前記指示対応テーブル記憶部に記憶される前記指示対応テーブルを更新する指示対応テーブル更新部を有することを特徴とする。
【0018】
また、本発明の検査方法は、団体によって運営される団体側計算機と、検査対象となる前記団体に属する人(以下、所属員と呼ぶ。)の健康状態の程度を表す健康状態指標を導出し、当該健康状態指標を出力可能な検査装置と、が前記所属員の健康状態の検査を実施する検査方法であって、前記検査装置が、検査対象となった前記所属員の前記健康状態指標を導出し、検査対象となった前記所属員の前記健康状態指標を前記団体側計算機に出力する検査情報出力ステップと、前記団体側計算機が、出力された検査対象となった前記所属員の前記健康状態指標を受信する検査情報受信ステップと、前記団体側計算機が、前記健康状態指標と、当該健康状態指標に対する医師からの指示とを対応付ける指示対応テーブルを参照して、前記団体側計算機が受信した前記健康状態指標に対する前記指示を判定する判定ステップと、前記団体側計算機が、判定された前記指示を出力する指示出力ステップと、を備えることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の検査方法は、団体によって運営される団体側計算機と、検査対象となる前記団体に属する人(以下、所属員と呼ぶ。)の健康状態の程度を表す健康状態指標を導出し、当該健康状態指標を出力可能な検査装置と、前記所属員の識別情報に対応付けられ、前記団体側計算機と通信可能な所属員側計算機と、が前記所属員の健康状態の検査を実施する検査方法であって、前記検査装置が、検査対象となった前記所属員の前記健康状態指標を導出し、検査対象となった前記所属員の前記健康状態指標を前記団体側計算機に出力する検査情報出力ステップと、前記団体側計算機が、出力された検査対象となった前記所属員の前記健康状態指標を受信する検査情報受信ステップと、前記団体側計算機が、前記健康状態指標と、当該健康状態指標に対する医師からの指示とを対応付ける指示対応テーブルを参照して、前記団体側計算機が受信した前記健康状態指標に対する前記指示を判定する判定ステップと、前記団体側計算機が、判定された前記指示を検査対象となった前記所属員の前記識別情報に対応付けられた前記所属員側計算機に出力する指示出力ステップと、前記所属員の前記識別情報に対応付けられた前記所属員側計算機が、出力された前記指示を受信する判定結果受信ステップと、を備えることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の検査方法は、更に、前記団体側計算機が、前記検査装置により検査を行うことを勧奨する検査勧奨メッセージを前記所属員側計算機に送信するメッセージ送信ステップと、前記所属員側計算機が、前記検査勧奨メッセージを受信するメッセージ受信ステップと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の検査システムによれば、企業の従業員の健康状態の管理において、医師および企業に掛かる負担を減らすことができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の第一実施形態における検査システムの概念図である。
【
図2】本発明の第一実施形態における検査システムの検査装置を構成する計算機のハード構成を示す図である。
【
図3】本発明の第一実施形態における検査システムの検査装置の機能ブロック図である。
【
図4】本発明の第一実施形態における検査システムの団体側計算機等を構成する計算機のハード構成を示す図である。
【
図5】本発明の第一実施形態における検査システムの団体側計算機の機能ブロック図である。
【
図6】(A),(B)は、本発明の第一実施形態における検査システムの団体側計算機の指示対応テーブルの一例を示す図である。(C)は、指示対応テーブルの内容が決定された際の団体側の条件を表示するインターフェースを示す図である。
【
図7】本発明の第一実施形態における検査システムの団体側計算機で計算された判定結果表示の一例を示す図である。
【
図8】(A)は、本発明の第一実施形態における検査システムの団体側計算機の宛先対応テーブルの一例を示す図である。(B)は、(A)の状態から更新された宛先対応テーブルの一例を示す図である。
【
図9】本発明の第一実施形態における検査システムの所属員側計算機の機能ブロック図である。
【
図10】本発明の第一実施形態における検査システムの所属員側計算機に判定結果が表示された様子を示す図である。
【
図11】本発明の第一実施形態における検査システムの所属員側計算機において、面談希望の出力確認が表示された様子を示す図である。
【
図12】(A)は、本発明の第一実施形態における検査システムの外部隔離計算機の機能ブロック図である。(B)は、本発明の第一実施形態における検査システムの医師側計算機の機能ブロック図である。(C)は、本発明の第一実施形態における検査システムの外部隔離計算機で健康状態指標としてのAHIが記憶される態様を示す図である。
【
図13】本発明の第一実施形態における検査システムにより検査を行う流れを示すフローチャートである。
【
図14】本発明の第一実施形態における検査システムにより所属員側処理を行う流れを示すフローチャートである。
【
図15】本発明の第一実施形態における検査システムにより判定処理を行う流れを示すフローチャートである。
【
図16】本発明の第一実施形態における検査システムにより検査勧奨メッセージ再出力処理を行う流れを示すフローチャートである。
【
図17】(A)は、本発明の第二実施形態における検査システムの概念図である。(B)は、本発明の第二実施形態における検査システムの一部を変形させた検査システムの概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
【0024】
<第一実施形態>
図1を参照して、本発明の第一実施形態における検査システム1について説明する。検査システム1は、団体に属する人(以下、所属員と呼ぶ。)の健康状態を検査するシステムであって、例えば、検査装置2と、団体側計算機3と、所属員側計算機4と、外部隔離計算機5と、医師側計算機6と、を備える。
【0025】
本実施形態において、検査装置2、所属員側計算機4、および医師側計算機6は、それぞれ複数で構成され、団体側計算機3および外部隔離計算機5はそれぞれ1つで構成されるが、これは一例であって、その他の構成であってもよい。また、各検査装置2、各所属員側計算機4、外部隔離計算機5および各医師側計算機6は、ネットワーク7を通じて、団体側計算機3と通信可能である。
【0026】
また、団体には、企業のみならず、その他の様々な態様の団体が含まれる。団体が企業の場合、所属員は、例えば、従業員となる。また、団体が企業の場合、医師は、例えば、産業医となる。
【0027】
<検査装置>
図2および
図3を参照して、検査装置2について説明する。検査装置2は、検査対象となる所属員の生体情報を取得して、当該所属員の健康状態の程度を表す健康状態指標を導出するものである。そして、検査装置2は、健康状態指標を団体側計算機3に出力する。団体側計算機3は、検査装置2から出力される健康状態指標を受信する。検査装置2は、所属員それぞれに用意されてもよいし、複数の所属員で共有されてもよい。検査装置2として、例えば、無呼吸検査装置が一例として挙げられるが、これに限定されるものではなく、その他の検査装置であってもよい。検査装置2が無呼吸検査装置である場合、健康状態指標は、無呼吸低呼吸指数AHI(Apnea Hypopnea Index)となる。
【0028】
<検査装置のハード構成>
図2を参照して、検査装置2のハード構成について説明する。検査装置2は、
図2に示すように、例えば、CPU101、RAM102、ROM103、記憶媒体104、無線通信インターフェース105と、アンテナ106と、有線通信インターフェース107と、接続コネクタ108と、操作入力インターフェース109と、操作入力装置110と、表示制御部111と、表示装置112と、センサインターフェース113と、センサ114と、電源装置115と、バス116と、を有する計算機10により構成される。なお、
図2中においてI/Fの表記は、インターフェースの略である。
【0029】
CPU101は、計算機10内の全体の処理を司るものであり、作業領域としてRAM102を使用する。ROM103には、例えば、計算機10を起動させるためのプログラムや、計算機10の基本的な動作を実現するオペレーティングシステム(OS)や、健康状態指標を導出するためのプログラムが書き込まれる。記憶媒体104は、例えば、フラッシュメモリ等により構成される。記憶媒体104には、例えば、導出された健康状態指標等の検査情報や、所属員の識別情報などが保存される。
【0030】
無線通信インターフェース105は、外部装置との間で無線通信により送受信されるデータの変換処理(変調・復調)等を行うものであり、アンテナ106に接続される。アンテナ106は、外部から送信されるデータを受信して無線通信インターフェース105へ送る。また、アンテナ106は、無線通信インターフェース105から供給されるデータを外部へ送信する。
【0031】
有線通信インターフェース107は、例えば、外部装置との間で有線通信により送受信されるデータの変換処理等を行うものであり、接続コネクタ108に接続される。有線通信インターフェース107として、例えば、USB等のシリアルバス規格を用いたものが挙げられるが、これに限定されるものではない。その他の有線通信インターフェース107として、IEEE1394等のシリアルバス方式、SCSI等のパラレルバス方式を採用したいずれのものであってもよい。また、有線通信インターフェース107は、外部のネットワークに接続可能なものを含んでいてもよい。そのような有線通信インターフェース107の規格として、例えば、イーサネット(登録商標)(Ethernet)が一例として挙げられる。
【0032】
操作入力インターフェース109は、操作入力装置110からの操作信号を、バス116を通じてCPU101へ伝えるものである。表示制御部111は、CPU101の命令に従った表示を表示装置112にさせるものである。CPU101の命令は、バス116を通じて表示制御部111に伝えられる。操作入力装置110は、例えば、表示装置112の表示部分をタッチして入力するタッチパネル方式のものであってもよいし、ボタンを押して入力する方式のものであってもよいし、マウスで構成されてもよい。表示装置112は、検査装置2の本体に埋め込まれた液晶表示装置であってもよいし、検査装置2の本体に接続される外部液晶モニタであってもよい。
【0033】
センサインターフェース113は、センサ114が取得した生体信号を、バス116を通じてCPU101へ伝えるものである。センサ114は、人の生体情報を取得するものであり、例えば、人の呼吸を検知する圧力センサ等が一例として挙げられる。
【0034】
電源装置115は、計算機10内の各部に電力を供給する。電源装置115は、例えば、充電可能な蓄電池で構成されてもよいし、外部電源から供給される電力を計算機10で使用可能な形態の電力に変換する回路により構成されてもよい。
【0035】
<検査装置の機能ブロック構成>
図3を参照して、検査装置2の機能ブロックの構成について説明する。検査装置2は、例えば、生体情報取得部20と、健康状態指標導出部21と、検査側入力部22と、検査側記憶部23と、検査側出力部24と、を有する。
【0036】
生体情報取得部20は、検査対象となる所属員の生体情報を取得するものである。検査装置2が無呼吸検査装置である場合、生体情報取得部20は、例えば、鼻カニューレ式の圧力センサを有する。鼻カニューレ式の圧力センサでは、鼻呼吸に関する生体情報が取得される。鼻呼吸に関する生体情報には、例えば、鼻呼吸に関する時間経過波形等が含まれる。生体情報取得部20は、主として、計算機10におけるセンサインターフェース113およびセンサ114により実現される。
【0037】
健康状態指標導出部21は、生体情報取得部20で取得された生体情報に基づいて、健康状態指標を導出するものである。健康状態指標導出部21は、主として、計算機10におけるCPU101、RAM102、健康状態指標を導出するためのプログラムが書き込まれたROM103等で実現される。
【0038】
検査側入力部22は、外部からの入力を受け付けるものである。具体的に検査側入力部22は、例えば、検査対象となる所属員の識別情報の入力を受け付ける。所属員の識別情報として、所属員に割り当てられたユニークな番号、所属員の氏名、年齢、性別等が挙げられる。検査側入力部22は、主として、計算機10における操作入力インターフェース109および操作入力装置110等で実現される。
【0039】
検査側記憶部23は、所定の情報を記憶するものである。所定の情報として、例えば、健康状態指標を含む検査情報等や、検査側入力部22により入力された検査対象となる所属員の識別情報が一例として挙げられる。検査側記憶部23では、記憶された情報が一時的に記憶されて、検査側出力部24から当該情報が出力された後に破棄されてもよいし、継続的に記憶されてもよい。検査側記憶部23は、主として、計算機10における記憶媒体104等により実現される。
【0040】
検査側出力部24は、検査情報を団体側計算機3に出力するものである。検査側出力部24の上記出力は、無線通信により実現されてもよいし、または、有線通信により実現されてもよい。検査情報には、検査対象となる所属員の健康状態指標が含まれる。検査側出力部24は、主として、計算機10における無線通信インターフェース105およびアンテナ106、または、計算機10における有線通信インターフェース107および接続コネクタ108等により実現される。
【0041】
<団体側計算機>
図4および
図5を参照して、団体側計算機3について説明する。団体側計算機3は、団体によって運営される計算機である。団体側計算機3は、各検査装置2から出力される検査情報を受信して、検査情報を判定して、検査情報に対応する指示を含む判定結果を作成して所属員側計算機4に出力するものである。
【0042】
<団体側計算機のハード構成>
図4を参照して、団体側計算機3のハード構成について説明する。団体側計算機3は、
図4に示すように、例えば、CPU101、RAM102、ROM103、記憶媒体104、無線通信インターフェース105と、アンテナ106と、有線通信インターフェース107と、接続コネクタ108と、操作入力インターフェース109と、操作入力装置110と、表示制御部111と、表示装置112と、電源装置115と、バス116と、音声制御部117と、スピーカ118と、を有する計算機11により構成される。
【0043】
CPU101は、計算機11内の全体の処理を司るものであり、作業領域としてRAM102を使用する。ROM103には、例えば、計算機11を起動させるためのプログラムや、その他のCPU101で実行される基本的なプログラムが書き込まれている。記憶媒体104は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)および/または、ソリッドステートドライブ(SSD)等により構成される。記憶媒体104には、例えば、計算機11の基本的な動作を実現するオペレーティングシステム(OS)や、そのオペレーティングシステムに依存するプログラムが書き込まれる。また、記憶媒体104は、供給されるデータの保存場所としても機能する。
【0044】
無線通信インターフェース105と、アンテナ106と、有線通信インターフェース107と、接続コネクタ108と、操作入力インターフェース109と、操作入力装置110と、表示制御部111と、表示装置112と、電源装置115とは、<検査装置のハード構成>で説明した計算機10と同様のものであるので、説明を省略する。
【0045】
音声制御部117は、CPU101の命令に従って、スピーカ118を通じて音声の出力を行うものである。CPU101の命令は、バス116を通じて音声制御部117に伝えられる。
【0046】
具体的に団体側計算機3は、例えば、タワー型のパソコンやノートパソコンにより構成されてもよい。
【0047】
<団体側計算機の機能ブロック>
図5を参照して、団体側計算機3の機能ブロックについて説明する。団体側計算機3は、例えば、指示対応テーブル記憶部30と、団体側条件記憶部30Aと、指示対応テーブル更新部31と、団体側受信部32と、バッファ部33と、判定部34と、判定結果記憶部34Aと、出力先対応テーブル記憶部35と、勤怠管理連動部35Aと、出力先対応テーブル更新部36と、団体側出力部37と、メッセージ出力判定部38と、団体側表示部39Aと、団体側入力部39Bと、を有する。
【0048】
指示対応テーブル記憶部30は、健康状態指標と、所属員への指示とを対応付ける指示対応テーブル300(例えば、
図6(A)参照)を記憶するものである。指示は、例えば、健康状態指標に応じた医師の指示に相当する。指示対応テーブル記憶部30は、主として、計算機11における記憶媒体104等により実現される。
【0049】
健康状態指標が無呼吸低呼吸指数AHIである場合、指示対応テーブル300では、例えば、
図6(A)に示すように、AHI数値310に2つの閾値が設けられて3つの範囲に分けられ、それぞれの範囲に対応する指示内容340が設定される。また、表示色320、および表示内容330がさらに設定されてもよい。AHI数値310には、例えば、2つの閾値「15」、「30」が設定されて、「0~15」の第一範囲、「15~30」の第二範囲、および「30以上」の第三範囲に分けられる。
【0050】
なお、表示色320は、
図7の判定結果表示に示すように、団体側計算機3において作成される「睡眠時無呼吸の自己検査結果」における睡眠状態程度バー410に表示される色である。例えば、AHI数値310の第一範囲では、表示色320は「青」となり、AHI数値310の第二範囲では、表示色320は「黄」となり、AHI数値310の第三範囲では、表示色320は「赤」となる。
【0051】
表示内容330は、
図7の判定結果表示に示すように、団体側計算機3において作成される「睡眠時無呼吸の自己検査結果」における「あなたの睡眠時無呼吸程度」420で表示される内容である。例えば、AHI数値310の第一範囲では、表示内容330は「問題無し」となり、AHI数値310の第二範囲では、表示内容330は「軽度な異常有り」となり、AHI数値310の第一範囲では、表示内容330は「異常有り」となる。
【0052】
指示内容は、
図7の判定結果表示に示すように、団体側計算機3において作成される「睡眠時無呼吸の自己検査結果」における「対応指示内容」430で表示される内容である。例えば、AHI数値310の第一範囲では、指示内容340は「睡眠に関して、特記対応無し。引き続き、健康の維持に努めて下さい」となり、AHI数値310の第二範囲では、指示内容340は「ただちに、同様の自己検査で、再検査を行って下さい」となり、AHI数値310の第三範囲では、指示内容340は「結果を持って、速やかに医師面談を受けて下さい」となる。
【0053】
なお、
図7の判定結果表示における識別番号、氏名、生年月日(年齢)、性別は、後述する出力先対応テーブル500が参照されて、出力される。
【0054】
以上の指示対応テーブル300の内容は、一例であって、その他の内容であってもよい。指示対応テーブル300の内容は、団体の中で自由に決めることができる。団体が企業なら、例えば、衛生委員会の中で決定することができる。指示対応テーブル300の内容が決定された際の団体側の条件は、団体側条件記憶部30Aで記憶される。団体側の条件として、例えば、衛生委員会の構成員の氏名(代表者氏名、総括安全衛生管理者氏名、産業医氏名、衛生管理者氏名)、指示対応テーブル300の内容について決定した衛生委員会等の開催日、指示対応テーブル300の内容についての決定(衛生委員会で指示対応テーブル300の数値等を決定したのか、それとも、指示対応テーブル300の数値等を決定する担当者を決定したのか、それとも、その他の決定か)、指示対応テーブル300の内容について決定した衛生委員会等の内容を周知した日、指示対応テーブル300の内容の入力担当者(代表者、または、総括安全衛生管理者、または、産業医、または、その他)等が一例として挙げられる。団体側の条件は、
図6(C)に示すようなインターフェースで、後述する団体側表示部39Aや、所属員側計算機4(所属員側表示部41)で表示可能である。
【0055】
指示対応テーブル記憶部30で記憶される指示対応テーブル300の内容は、指示対応テーブル更新部31により更新することができる。指示対応テーブル更新部31は、団体の運営者によって操作される。指示対応テーブル更新部31は、主として、計算機11におけるCPU101、RAM102、更新のためのプログラムが書き込まれたROM103、操作入力インターフェース109および操作入力装置110等で実現される。
【0056】
団体側受信部32は、検査装置2および所属員側計算機4から出力されるデータを受信するものである。団体側受信部32は、例えば、検査装置2から検査情報を受信する検査情報受信部32Aと、所属員側計算機4から後述する面談希望の意思表示を受信する団体側面談希望受信部32Bと、を有する。団体側受信部32は、主として、計算機11における無線通信インターフェース105およびアンテナ106、または、計算機11における有線通信インターフェース107および接続コネクタ108等により実現される。
【0057】
バッファ部33は、団体側受信部32で受信されたデータ(例えば、健康状態指標)を一時的に保持し、所定の処理が終了した後に、当該データを破棄するものである。例えば、検査情報受信部32Aで受信された検査情報は、バッファ部33で一時的に保持され、判定部34での判定が終了した後に、団体側計算機3から破棄される。そして、
図7に示すように、破棄される旨のメッセージ440が判定結果出力部37Bから所属員側計算機4に出力されることが好ましい。なお、検査情報受信部32Aで受信された検査情報は、団体側計算機3では保存されずに破棄されるが、後述する検査情報出力部37Eにより外部隔離計算機5に出力される。そして、外部隔離計算機5では、検査情報(健康状態指標)は、団体側計算機3を含む団体が保有する計算機からアクセスできない状態で保存される。バッファ部33は、主として、RAM102等で実現される。
【0058】
判定部34は、指示対応テーブル300を参照して、検査情報受信部32Aで受信された健康状態指標に対する評価を判定する。評価には、例えば、指示対応テーブル300における、表示色320、表示内容330、および指示内容340が含まれる。判定部34は、主として、CPU101、RAM102、健康状態指標に対する評価を判定するためのプログラムが書き込まれたROM103、指示対応テーブル300が記憶される記憶媒体104等により実現される。
【0059】
例えば、検査情報受信部32Aで受信された健康状態指標としてのAHI数値が「10」である場合、判定部34は、指示対応テーブル300を参照して、表示色320を「青」と判定し、表示内容330を「問題無し」と判定し、指示内容340を「睡眠に関して、特記対応無し。引き続き、健康の維持に努めて下さい」と判定する。また、検査情報受信部32Aで受信された健康状態指標としてのAHI数値が「35」である場合、判定部34は、指示対応テーブル300を参照して、表示色320を「赤」と判定し、表示内容330を「異常有り」と判定し、指示内容340を「結果を持って、速やかに医師面談を受けて下さい」(以下、面談指示と呼ぶ。)と判定する。
【0060】
判定結果記憶部34Aは、判定部34で判定された評価を記憶するものである。健康状態指標そのものは、団体側計算機3内部では保持されないが、評価は保持されてもよい。判定結果記憶部34Aは、主として、計算機11における記憶媒体104等により実現される。なお、判定結果記憶部34Aは、なくてもよい。
【0061】
出力先対応テーブル記憶部35は、所属員の識別番号510と、所属員の宛先アドレス520と、名前530、年齢540、生年月日550、性別560、所属部署570と、を対応付ける出力先対応テーブル500を記憶するものである。
図8(A)に示すように、出力先対応テーブル500の所属員の識別番号510として、例えば、所属員に割り当てられたユニークな番号「00001」等が一例として挙げられる。
図8(A)に示すように、出力先対応テーブル500の所属員の宛先アドレス520として、例えば、所属員側計算機4において受信可能なEメールアドレス「aa00001@(ドメイン)」等が一例として挙げられる。なお、
図7の判定結果表示における「識別番号」、「氏名」、「生年月日(年齢)」、「性別」は、出力先対応テーブル記憶部35における所属員の識別番号510、名前530、年齢540、生年月日550、性別560が参照されて表示される。出力先対応テーブル記憶部35は、主として、計算機11における記憶媒体104等により実現される。
【0062】
出力先対応テーブル更新部36は、出力先対応テーブル500の内容を更新するものである。出力先対応テーブル更新部36は、団体の運営者によって操作される。例えば、
図8(A)に示す出力先対応テーブル500の所属員識別情報「00004」、「00005」に対応する宛先アドレス520「aa00001@(ドメイン)」、「aa00002@(ドメイン)」を、出力先対応テーブル更新部36により、
図8(B)に示す出力先対応テーブル500の「aa00004@(ドメイン)」、「aa00005@(ドメイン)」ように変更することができる。出力先対応テーブル更新部36は、主として、計算機11におけるCPU101、RAM102、更新のためのプログラムが書き込まれたROM103、操作入力インターフェース109および操作入力装置110等で実現される。
【0063】
勤怠管理装置9は、所属員の出退勤に関する時刻の打刻を記録して、所属員の勤怠管理を行うものである。勤怠管理連動部35Aは、勤怠管理装置9で打刻が記録されると、それに連動して、団体側計算機3の各部に出勤、または、退勤の情報を伝達する。出勤、または、退勤の情報が伝達されると、例えば、後述するメッセージ出力部37Dから出力されるメッセージの全部、または一部は、勤怠管理装置9に出力される。勤怠管理装置9は、メッセージを受信して、自身の表示部の表示画面(ディスプレイ画面)にメッセージを表示する。所属員は、出退勤時には必ず勤怠管理装置9に立ち寄るため、勤怠管理装置9にメッセージを表示させれば、所属員にメッセージを強く印象づけることができる。
【0064】
団体側出力部37は、各所属員側計算機4、または、外部隔離計算機5、または、各医師側計算機6にデータを出力するものである。本実施形態において団体側出力部37からのデータの出力は、ネットワーク7を通じて行われる。団体側出力部37は、例えば、指示出力部37Aを有する判定結果出力部37Bと、団体側面談希望出力部37Cと、メッセージ出力部37Dと、検査情報出力部37Eと、を有する。団体側出力部37は、主として、計算機11における無線通信インターフェース105およびアンテナ106、または、計算機11における有線通信インターフェース107および接続コネクタ108等により実現される。
【0065】
判定結果出力部37Bは、判定部34で判定された評価を判定結果として出力するものである。判定結果出力部37Bには、指示対応テーブル300における指示内容340を出力する指示出力部37Aが含まれる。上記判定結果の出力先は、出力先対応テーブル500を参照して、検査装置2において検査対象となった所属員の識別情報に対応する宛先アドレスを有する所属員側計算機4となる。
【0066】
団体側面談希望出力部37Cは、団体側面談希望受信部32Bで受信した面談希望の意思表示を医師側計算機6に出力するものである。
【0067】
メッセージ出力部37Dは、所属員に対応付けられた全ての所属員側計算機4にメッセージを出力するものである。メッセージには、例えば、検査装置2により検査を行うべきことを勧奨する検査勧奨メッセージ、再検査の判定結果(再検査勧奨メッセージ:
図6(A)参照)を受けた所属員に対して検査装置2により再検査を行うことを勧奨する再検査再勧奨メッセージ、医師面談の判定結果(面談勧奨メッセージ:
図6(A)参照)を受けた所属員に対して医師面談を行うことを再勧奨する面談再勧奨メッセージ等のいずれかが含まれる。検査勧奨メッセージは、検査を行うべき旨が所属員に周知になることを主目的としたものである。つまり、目的によっては、検査勧奨メッセージは、検査周知メッセージと読み替えることもできる。検査勧奨メッセージを受信した全所属員は、期限内に検査装置2により検査を行うべきことを認識する。また、メッセージ出力部37Dは、メッセージ出力判定部38から指示された所属員に対応付けられた所属員側計算機4に、検査勧奨メッセージ、再検査再勧奨メッセージ、面談再勧奨メッセージのいずれかを出力する。
【0068】
メッセージ出力判定部38は、メッセージ出力部37Dが出力すべきメッセージを判定してメッセージ出力部37Dに対して指示を行う。メッセージ出力判定部38は、例えば、メッセージ出力部37Dが検査勧奨メッセージを所属員側計算機4に出力してから所定期間内に、健康状態指標を検査情報受信部32Aが受信したかどうかを所属員の識別情報毎に監視する。そして、メッセージ出力判定部38は、健康状態指標の受信が確認されていない所属員に対応付けられた所属員側計算機4に対して、再度、検査勧奨メッセージを出力すべきと判定する。この判定結果を受けて、メッセージ出力部37Dは、所属員側計算機4に対して、再度、検査勧奨メッセージを出力する。つまり、メッセージ出力判定部38は、所定期間内に、検査装置2により検査を行っていない所属員に対して、再度、検査勧奨メッセージが出力されるように動作する。
【0069】
また、メッセージ出力判定部38は、例えば、メッセージ出力部37Dから検査勧奨メッセージが出力された後に、健康状態指標の受信が確認された所属員に対して、判定結果記憶部34Aで記憶される判定結果、および指示対応テーブル300を参照して、判定結果に応じた指示を判定する。この場合の指示対応テーブル300の一例について
図6(B)を参照して以下説明する。
【0070】
図6(B)に示すように、指示対応テーブル300には、例えば、さらに、AHI数値310それぞれに対応するフラグ350、インターバル360、回数370、メッセージ380が含まれる。AHI数値310の第一範囲(問題無し)に対応するメッセージ380は、「自己検査を行って下さい」(検査勧奨メッセージ)であり、AHI数値310の第二範囲(軽度な異常有り)に対応するメッセージ380は、「ただちに、同様の自己検査で、再検査を行って下さい」(再検査再勧奨メッセージ)であり、AHI数値310の第三範囲(異常有り)に対応するメッセージ380は、「結果を持って、速やかに医師面談を受けて下さい」(面談再勧奨メッセージ)である。
【0071】
フラグ350は、対応するメッセージ380を送るか否かを表すフラグである。フラグ350がオンになっていれば、対応するメッセージ380が送られ、オフの場合、対応するメッセージ380は送られない。
【0072】
インターバル360は、判定結果、または、対応するメッセージ380が送られてからの経過日数を表す。インターバル360に設定された日数以内に、対応する所属員から検査情報または面談希望意思表示を受信しなかった場合、メッセージ出力判定部38は、対応するメッセージ380を出力すべき旨の指示をメッセージ出力部37Dに対して行う。例えば、判定結果がAHI数値310の第一範囲にある場合、1回目のメッセージ380(検査勧奨メッセージ)は、判定結果が出されてから60日経過後に出力される。1回目のメッセージ380(検査勧奨メッセージ)が出力されてから30日以内に、検査情報が検査情報受信部32Aで受信されない場合、2回目のメッセージ380(検査勧奨メッセージ)が出力される。以上は、団体で60日毎に定期検査を行うべきことが決められている場合における検査機会の定期的なお知らせに相当する。
【0073】
同様に、例えば、判定結果がAHI数値310の第二範囲にある場合、1回目のメッセージ380(再検査再勧奨メッセージ)は、再検査の判定結果(再検査勧奨メッセージ:
図6(A)参照)が出されてから20日経過後に出力される。1回目のメッセージ380(再検査再勧奨メッセージ)が出力されてから5日以内に、検査情報が検査情報受信部32Aで受信されない場合、2回目のメッセージ380(再検査再勧奨メッセージ)が出力される。また、例えば、判定結果がAHI数値310の第三範囲にある場合、1回目のメッセージ380(面談再勧奨メッセージ)は、医師面談の判定結果(面談勧奨メッセージ:
図6(A)参照)が出されてから15日経過後に出力される。1回目のメッセージ380(面談再勧奨メッセージ)が出力されてから5日以内に、面談希望意思表示が団体側面談希望受信部32Bで受信されない場合、2回目のメッセージ380(面談再勧奨メッセージ)が出力される。
【0074】
回数370は、対応するメッセージ380がメッセージ出力部37Dから出力される限度回数を表す。したがって、限度回数に達すると、それ以降は、対応するメッセージ380は、出力されない。
【0075】
なお、指示対応テーブル300におけるフラグ350、インターバル360、回数370、メッセージ380の内容は、団体側条件記憶部30Aで記憶された条件の下に決定される。指示対応テーブル300におけるフラグ350、インターバル360、回数370、メッセージ380の内容が更新される場合、指示対応テーブル更新部31を通じて更新される。メッセージ出力判定部38は、主として、計算機11におけるCPU101、RAM102、メッセージ再出力処理のためのプログラムが書き込まれたROM103等により実現される。
【0076】
検査情報出力部37Eは、検査情報受信部32Aで受信された検査情報を外部隔離計算機5に出力する。外部隔離計算機5は、その検査情報を受信して記憶する。
【0077】
団体側表示部39Aは、指示対応テーブル300、または、出力先対応テーブル500、または、検査勧奨メッセージ、または、団体側条件(
図6(C)参照)等を表示するものである。団体の運営者は、団体側表示部39Aに表示された指示対応テーブル300、または、出力先対応テーブル500を見ながら、指示対応テーブル更新部31、または、出力先対応テーブル更新部36により、内容を更新する。また、団体の運営者は、団体側表示部39Aに表示された検査勧奨メッセージ表示枠を見ながら、団体側入力部39Bを操作して、検査勧奨メッセージを入力する。また、団体の運営者は、団体側表示部39Aに表示された団体側条件を見ながら、団体側条件更新部30Bにより、団体側条件記憶部30Aに記憶される団体側条件を更新する。団体側表示部39Aは、主として、計算機11における表示制御部111、表示装置112等により実現される。団体側入力部39Bは、主として、計算機11における操作入力インターフェース109、操作入力装置110等により実現される。団体側条件更新部30Bは、主として、計算機11におけるCPU101、RAM102、更新のためのプログラムが書き込まれたROM103、操作入力インターフェース109および操作入力装置110等で実現される。
【0078】
以上のように団体側計算機3は、検査装置2から出力された検査情報を判定して、判定結果を所属員側計算機4に出力する。そして、健康状態指標は判定を行った後に破棄される。また、団体側計算機3は、医師との面談希望の意思表示を、所属員側計算機4との間で医師側計算機6に中継する。したがって、団体側計算機3は、単に、判定結果を従業員に伝えたり、医師との面談希望の意思表示を中継したりするだけのものであり、健康状態指標等の重要な個人情報を保持したりしない。このため、団体側計算機3が外部からハッキングされたとしても重要な情報を盗まれることがない。また、団体の運営側も健康状態指標を保持することにより、所属員に対する何らかの健康管理を行わなくてはいけないという暗黙の義務や負担を有せずに済む。なお、医師との面談希望の意思表示は、団体側計算機3を介せずに、所属員側計算機4から医師側計算機6に直接出力されてもよい。
【0079】
<所属員側計算機>
図9を参照して、所属員側計算機4について説明する。所属員側計算機4は、所属員に対応付けられる計算機である。所属員側計算機4は、団体側計算機3から出力される判定結果、または、検査勧奨メッセージを受信する。
【0080】
<所属員側計算機のハード構成>
所属員側計算機4は、<団体側計算機のハード構成>で説明した計算機11と同様の構成である。具体的に所属員側計算機4として、
図10に示すように、例えば、携帯可能なスマートフォン12が一例として挙げられるが、これに限定されるものではなく、その他のタワー型のパソコンやノートパソコンであってもよい。また、所属員側計算機4は、検査装置2と一体となった構成でもよい。この場合、検査装置2および所属員側計算機4は、計算機10により構成される。
【0081】
<所属員側計算機の機能ブロック>
図9を参照して、所属員側計算機4の機能ブロックについて説明する。所属員側計算機4は、例えば、所属員側受信部40と、所属員側表示部41と、所属員側入力部42と、所属員側出力部43と、を有する。
【0082】
所属員側受信部40は、団体側計算機3から出力される情報を受信するものである。所属員側受信部40は、例えば、判定結果受信部40Aと、メッセージ受信部40Cと、を有する。判定結果受信部40Aは、団体側計算機3の判定結果出力部37Bから出力される判定結果を受信する。判定結果受信部40Aは、指示内容340(
図6(A)参照、以下においても同様。)を受信する指示受信部40Bを有する。メッセージ受信部40Cは、メッセージ出力部37Dから出力されるメッセージ(例えば、検査勧奨メッセージ、再検査再勧奨メッセージ、面談再勧奨メッセージ等)を受信するものである。所属員側受信部40は、主として、計算機11における無線通信インターフェース105およびアンテナ106、または、計算機11における有線通信インターフェース107および接続コネクタ108等により実現される。
【0083】
所属員側表示部41は、所属員側受信部40で受信された情報を表示するものである。所属員側表示部41では、
図10に示すように、例えば、判定結果として「睡眠時無呼吸の自己検査結果」が表示される。所属員側表示部41は、主として、計算機11における表示制御部111、表示装置112等により実現される。
【0084】
所属員側入力部42は、外部からの入力を受け付けるものである。所属員側入力部42を通じて、医師への面談希望の意思表示の入力が受け付けられる。所属員側入力部42は、例えば、タッチパネル方式の入力態様が一例として挙げられる。所属員側入力部42は、主として、計算機11における操作入力インターフェース109、操作入力装置110等により実現される。
【0085】
所属員側出力部43は、外部に情報を出力するものである。所属員側出力部43は、面談希望意思表示を出力する面談希望意思表示出力部43Aを有する。所属員側出力部43は、主として、計算機11における無線通信インターフェース105およびアンテナ106、または、計算機11における有線通信インターフェース107および接続コネクタ108等により実現される。
【0086】
例えば、所属員側入力部42がタッチパネル方式の場合、所属員側表示部41には、
図10に示すように、例えば、面談希望表示41Aが表示画面の一領域に表示される。その面談希望表示41Aが外部からタッチされると、
図11に示すように、例えば、所属員側表示部41には、最終確認表示41Bが表示される。ここで、「はい」表示41Cがタッチされると、医師に面談を希望する旨の意思表示である面談希望意思表示が面談希望意思表示出力部43Aから出力される。出力先は、団体側計算機3、または、医師側計算機6のいずれか一方、または双方であってもよい。
【0087】
<外部隔離計算機>
図12(A),(C)を参照して、外部隔離計算機5について説明する。外部隔離計算機5は、団体側計算機3を運営する団体から独立した団体により運営される計算機である。外部隔離計算機5は、団体側計算機3または検査装置2から出力される検査情報を受信して記憶する。検査情報として、検査装置2で導出された健康状態指標等の検査情報や、所属員の識別情報が一例として挙げられる。そして、外部隔離計算機5には、外部隔離計算機5により許容された外部の計算機からのみアクセス可能である。外部隔離計算機5にアクセス可能な計算機は限定されており、例えば、団体側計算機3からのアクセスが制限されるように、外部隔離計算機5は、団体側計算機3から隔離されていることが好ましい。
【0088】
<外部隔離計算機のハード構成>
外部隔離計算機5は、<団体側計算機のハード構成>で説明した計算機11と同様の構成である。具体的に外部隔離計算機5として、例えば、タワー型のパソコンやソートパソコンが一例として挙げられる。
【0089】
<外部隔離計算機の機能ブロック>
図12(A)を参照して、外部隔離計算機5の機能ブロックについて説明する。外部隔離計算機5は、例えば、外部隔離側検査情報受信部50と、外部隔離側検査情報記憶部51と、外部隔離側検査情報表示部52と、アクセス制御部53と、を有する。
【0090】
外部隔離側検査情報受信部50は、団体側計算機3の検査情報出力部37E、または、検査装置2の検査側出力部24から出力される検査情報を受信するものである。外部隔離側検査情報受信部50は、主として、計算機11における無線通信インターフェース105およびアンテナ106、または、計算機11における有線通信インターフェース107および接続コネクタ108等により実現される。
【0091】
外部隔離側検査情報記憶部51は、外部隔離側検査情報受信部50で受信した検査情報を記憶するものである。外部隔離側検査情報記憶部51では、
図12(C)に示すように、例えば、所属員の識別番号毎に、健康状態指標としてのAHIを外部隔離側検査情報受信部50での受信日時に対応付けて検査情報が記憶される。主として、計算機11における記憶媒体104等により実現される。
【0092】
外部隔離側検査情報表示部52は、外部隔離側検査情報記憶部51で記憶される検査情報を表示するものである。外部隔離側検査情報表示部52では、
図12(C)に示すようなテーブルが画面に表示される。外部隔離側検査情報表示部52は、主として、計算機11における表示制御部111、表示装置112等により実現される。
【0093】
アクセス制御部53は、外部からのアクセスを制御するものである。アクセス制御部53により許容された計算機のみが外部隔離側検査情報記憶部51で記憶された内容を閲覧することができる。したがって、アクセス制御部53により団体側計算機3からのアクセスが制限されれば、団体側は、外部隔離側検査情報記憶部51で記憶された内容を閲覧することができない。なお、アクセス制御部53では、団体側計算機3からのアクセスが制限されるよう設定されることが好ましい。また、アクセス制御部53は、アクセスを許容した外部の計算機毎に、アクセス可能な情報を制限することができる。例えば、所定の計算機は、特定の所属員の情報の全部または一部へのアクセスを許容され、別の所定の計算機は、別の特定の所属員の情報の全部または一部へのアクセスを許容されるというような態様が一例として挙げられる。
【0094】
<医師側計算機>
図12(B)を参照して、医師側計算機6について説明する。医師側計算機6は、医師が運営する計算機である。医師側計算機6は、団体側計算機3、または、所属員側計算機4から出力される面談希望意思表示を受信するものである。
【0095】
<医師側計算機のハード構成>
医師側計算機6は、<団体側計算機のハード構成>で説明した計算機11と同様の構成である。具体的に医師側計算機6として、例えば、タワー型のパソコン、またはノートパソコンが一例として挙げられる。
【0096】
<医師側計算機の機能ブロック>
図12(B)を参照して、医師側計算機6の機能ブロックについて説明する。医師側計算機6は、例えば、医師側面談希望受信部60と、医師側表示部61と、オンライン面談部62と、を有する。
【0097】
医師側面談希望受信部60は、所属員側計算機4の面談希望意思表示出力部43Aから出力される面談希望意思表示を受信するか、または、団体側計算機3の団体側面談希望出力部37Cから出力される面談希望意思表示を受信するものである。医師側面談希望受信部60は、主として、計算機11における無線通信インターフェース105およびアンテナ106、または、計算機11における有線通信インターフェース107および接続コネクタ108等により実現される。
【0098】
医師側表示部61は、医師側面談希望受信部60で受信された面談希望意思表示を表示するものである。この表示を見て医師は、所属員が面談希望をしていることを把握することができる。医師側表示部61は、主として、計算機11における表示制御部111、表示装置112等により実現される。
【0099】
オンライン面談部62は、所属員側計算機4と映像を通して遠隔で面談させるものである。これにより、所属員側計算機4と医師側計算機6を通じてお互いの映像および音声を医師と所属員は共有することができ、遠隔で面談することができる。なお、医師が所属員と面談する際、検査情報やそれに対応する判定結果を閲覧できる状態にあれば、より的確な診察を行うことができる。このため、医師側計算機6は、外部隔離計算機5にアクセスを許容された状態であることが好ましい。また、医師側計算機6には、面談希望をした所属員の検査情報やそれに対応する判定結果が出力されることが好ましい。なお、医師側計算機6で閲覧可能な検査情報として、検査装置2で導出された健康状態指標のみならず、例えば、呼吸状態の時間経過波形などの生体情報も含まれることが好ましい。また、医師の責任負担軽減の観点から、医師側計算機6は、外部隔離計算機5で記憶される面談希望に対応する所属員の情報の少なくとも一部についてのみ外部隔離計算機5へのアクセスを許容されることが好ましい。
【0100】
<検査方法>
図13を参照して、検査システム1を用いた検査方法について説明する。まず、団体側計算機3のメッセージ出力部37Dから所属員側計算機4に検査勧奨メッセージが出力される(ステップS100)。次に、所属員側計算機4のメッセージ受信部40Cにおいて検査勧奨メッセージが受信される(ステップS101)。そして、所属員側計算機4の所属員側表示部41において検査勧奨メッセージが表示される(ステップS102)。これにより、所属員に対して検査装置2を用いた自己検査を勧奨することができる。なお、検査装置2には、ステップS102より以前、または、以後に、検査対象となる所属員の識別情報が入力される(ステップS103)。
【0101】
次に、ステップS102において検査勧奨メッセージが表示された後に、所属員は、検査装置2により検査を開始する(ステップS104)。これにより、検査装置2の生体情報取得部20は、検査対象となる所属員の生体情報を取得し始める。そして、健康状態指標導出部21で健康状態指標が導出される。検査装置2による検査が終了すると(ステップS105)、検査装置2の検査側出力部24から検査情報が団体側計算機3に出力される(ステップS106)。
【0102】
次に、団体側計算機3の検査情報受信部32Aで健康状態指標を含む検査情報が受信される(ステップS107)。団体側計算機3のバッファ部33で検査情報が一時的に保持される(ステップS108)。団体側計算機3の判定部34でこの健康状態指標に対して判定処理が行われる(ステップS109)。判定結果が団体側計算機3の判定結果出力部37Bから所属員側計算機4に出力される(ステップS110)。また、外部隔離計算機5に健康状態指標を含む検査情報が出力される(ステップS111)。その後、検査情報受信部32Aで受信された健康状態指標は破棄される(ステップS112)。そして、所属員側計算機4で所属員側処理が行われる(ステップS113)。
【0103】
以上のように、本実施形態における検査方法によれば、所属員の自己検査を促進することができる。また、団体側計算機3は、重要な情報を破棄するため、セキュリティ面からも本実施形態における検査方法は安全である。
【0104】
<所属員側処理>
図14を参照して、所属員側処理について説明する。所属員側処理は、判定結果に対して所属員側計算機4で行われる処理である。まず、所属員側計算機4の判定結果受信部40Aで判定結果が受信される(ステップS200)。なお、判定結果には、指示内容340が含まれ、指示内容340は、指示受信部40Bで受信される。
【0105】
次に、判定結果における指示内容340が面談指示(面談勧奨メッセージ:
図6(A)参照)である場合(ステップS201)、所属員側計算機4の所属員側表示部41には、例えば、
図10の「対応指示内容」に示すように、医師と面談することを勧奨する面談指示表示が表示される(ステップS202)。面談指示表示には、
図10に示すように、面談希望表示41Aが併せて表示される。
【0106】
面談を希望する場合、例えば、面談希望表示41Aをタッチして、面談希望の意思表示を入力すると(ステップS203)、面談希望意思表示が面談希望意思表示出力部43Aから出力される(ステップS204)。
【0107】
一方、判定結果における指示内容340が再検査指示(再検査勧奨メッセージ:
図6(A)参照)である場合(ステップS205)、所属員側計算機4の所属員側表示部41には、例えば、
図10の「対応指示内容」に示す部分に、「ただちに、同様の自己検査で、再検査を行って下さい」という再検査表示がされる(ステップS206)。また、判定結果における指示内容340が面談指示および再検査指示でもない場合(ステップS205)、所属員側計算機4の所属員側表示部41には、例えば、
図10の「対応指示内容」に示す部分に、「睡眠に関して、特記対応無し。引き続き、健康の維持に努めて下さい」という経過観察表示がされる(ステップS207)。
【0108】
<判定処理>
図15を参照して、判定処理について説明する。まず、バッファ部33で一時保持された検査情報のうち、健康状態指示指標の大きさが第一閾値(例えば、AHI数値「30」)以上かどうか判定部34で判断される(ステップS300)。健康状態指示指標の大きさが第一閾値以上と判定部34で判定されると、判定部34は、指示対応テーブル300を参照して、指示内容340として医師面談が適切と判定する(ステップS301)。
【0109】
健康状態指示指標の大きさが第一閾値以下と判定部34で判定されると、次に、健康状態指示指標の大きさが第二閾値(例えば、AHI数値「15」)以下かどうか判定部34で判断される(ステップS302)。健康状態指示指標の大きさが第二閾値以下と判定部34で判定されると、判定部34は、指示対応テーブル300を参照して、指示内容340として経過観察が適切と判定する(ステップS303)。健康状態指示指標の大きさが第二閾値以上と判定部34で判定されると、通常は、判定部34は、指示対応テーブル300を参照して、指示内容340として再検査が適切と判定する(ステップS305)。つまり、健康状態指示指標の大きさが第二閾値以上第一閾値以下にある場合、再検査が適切と判断される。
【0110】
しかしながら、再検査が適切な状態が複数回続く場合、指示内容340として医師面談が適切と判定することが好ましい。このため、ステップ302において、健康状態指示指標の大きさが第二閾値以上と判定部34で判定されても、直前の検査までに再検査判定が所定回数連続して出されたかどうかが判定部34で判断される(ステップS304)。判定結果記憶部34Aに判定結果が記憶されているため、その情報に基づいて行われる。
【0111】
再検査判定が所定回数連続して出されていなければ、判定部34は、指示内容340として再検査が適切と判定する(ステップS305)。再検査判定が所定回数連続して出されていれば、判定部34は、指示内容340として医師面談が適切と判定する(ステップS301)。
【0112】
<検査勧奨メッセージ再出力処理>
図16を参照して、検査勧奨メッセージ再出力処理について説明する。検査勧奨メッセージ再出力処理とは、検査勧奨メッセージを一定条件の下、団体側計算機3から所属員側計算機4に再出力する処理を指す。検査勧奨メッセージ再出力処理において、まず、
図13に示すように、団体側計算機3のメッセージ出力部37Dから最初の検査勧奨メッセージが出力されてから(ステップS100)、所定期間内に検査情報受信部32Aで検査情報が受信されたかどうか所属員の識別情報毎にメッセージ出力判定部38で判定される(ステップS400)。
【0113】
検査情報受信部32Aで所属員の識別情報に対応する検査情報が受信されていないと判定されると、通常は、メッセージ出力判定部38から検査勧奨メッセージを再出力するようメッセージ出力部37Dに対して指示が行われ、メッセージ出力部37Dから検査勧奨メッセージが再出力される(ステップS402)。
【0114】
しかしながら、検査勧奨メッセージを際限なく送り続けると、所属員にとって馴れとなって、所属員が検査を行うことを勧奨する効果が低くなる可能性があるため、検査勧奨メッセージを送る回数は制限された方が好ましい。このため、検査情報受信部32Aで検査情報が受信されないまま、検査勧奨メッセージが再出力された回数が所定回数に達したかが、所属員の識別情報毎にメッセージ出力判定部38で判断される(ステップS402)。検査勧奨メッセージの再出力回数が所定回数の達していなければ、団体側計算機3のメッセージ出力部37Dから検査勧奨メッセージが再出力される(ステップS402)。一方、検査勧奨メッセージの再出力回数が所定回数の達していれば、メッセージ出力部37Dから検査勧奨メッセージが再出力されない。
【0115】
次に、団体側計算機3のメッセージ出力部37Dから検査勧奨メッセージが再出力されてから所定期間内に、検査勧奨メッセージの再出力先の所属員の識別情報に対応付けられた検査情報が検査情報受信部32Aで受信されたかどうかメッセージ出力判定部38で判断される(ステップS403)。メッセージ出力判定部38で受信済みと判断されると、再出力処理は終了する。一方、メッセージ出力判定部38で受信していないと判断されると、再度、ステップS402の処理に戻る。
【0116】
<第二実施形態>
図17を参照して、本発明の第二実施形態における検査システム1について説明する。本発明の第二実施形態における検査システム1は、
図17(A)に示すように、本発明の第一実施形態における検査システム1と同様に、例えば、検査装置2と、団体側計算機3と、所属員側計算機4と、外部隔離計算機5と、医師側計算機6と、を備える。
【0117】
本発明の第一実施形態における検査システム1では、検査装置2は、無線通信により検査情報を団体側計算機3に出力することが想定されていたが、本実施形態の検査システム1では、検査装置2は、
図17(A)に示すように、有線通信により検査情報を団体側計算機3に出力する。具体的に検査装置2は、有線のデータ転送ケーブル8Aにより団体側計算機3と接続され、データ転送ケーブル8Aを通じて検査情報を団体側計算機3に出力することが想定される。
【0118】
また、本発明の第一実施形態における検査システム1では、所属員側計算機4は、無線通信により団体側計算機3と通信していたが、本実施形態の検査システム1では、所属員側計算機4は、
図17(A)に示すように、有線通信により団体側計算機3と通信する。具体的に、所属員側計算機4は、データ転送ケーブル8Bにより団体側計算機3と接続され、データ転送ケーブル8Bを通じて判定結果が団体側計算機3から出力されてくる。
【0119】
所属員側計算機4として、例えば、プリンター等の印刷装置、または、外部液晶モニタ等の表示装置が一例として挙げられる。所属員側計算機4としてのプリンター等の印刷装置から判定結果が印刷物として出力されたり、または、所属員側計算機4としての外部液晶モニタ等の表示装置の画面に判定結果が表示されたりする。また、
図17(B)に示すように、所属員側計算機4は、団体側計算機3の一部を構成するものと捉えてもよい。団体側計算機3の一部を構成する所属員側計算機4として、例えば、
図4に示す計算機11の表示装置112が挙げられる。また、
図17(B)に示すように、所属員側計算機4は、検査装置2と一体となったものと捉えてもよい。所属員側計算機4は、例えば、
図2に示す計算機11の表示装置112が挙げられる。
【0120】
尚、本発明の検査システム1、および検査方法は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0121】
1 検査システム
2 検査装置
3 団体側計算機
4 所属員側計算機
5 外部隔離計算機
6 医師側計算機
7 ネットワーク
8A,8B データ転送ケーブル
10,11 計算機
12 スマートフォン
20 生体情報取得部
20A 検査情報受信部
21 健康状態指標導出部
22 検査側入力部
23 検査側記憶部
24 検査側出力部
30 指示対応テーブル記憶部
30A 団体側条件記憶部
30B 団体側条件更新部
31 指示対応テーブル更新部
32 団体側受信部
32A 検査情報受信部
32B 団体側面談希望受信部
33 バッファ部
34 判定部
34A 判定結果記憶部
35 出力先対応テーブル記憶部
36 出力先対応テーブル更新部
37 団体側出力部
37A 指示出力部
37B 判定結果出力部
37C 団体側面談希望出力部
37D メッセージ出力部
37E 検査情報出力部
38 メッセージ出力判定部
39A 団体側表示部
39B 団体側入力部
40 所属員側受信部
40A 判定結果受信部
40B 指示受信部
40C メッセージ受信部
41 所属員側表示部
42 所属員側入力部
43 所属員側出力部
43A 面談希望意思表示出力部
50 外部隔離側検査情報受信部
51 外部隔離側検査情報記憶部
52 外部隔離側検査情報表示部
60 医師側面談希望受信部
61 医師側表示部
300 指示対応テーブル
500 出力先対応テーブル