(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-20
(45)【発行日】2023-03-29
(54)【発明の名称】超臨界/亜臨界流体を用いたスポンジ中の揮発性有機物の除去方法
(51)【国際特許分類】
C08J 9/40 20060101AFI20230322BHJP
【FI】
C08J9/40 CEQ
C08J9/40 CFF
C08J9/40 CEX
(21)【出願番号】P 2021524205
(86)(22)【出願日】2019-03-08
(86)【国際出願番号】 CN2019077409
(87)【国際公開番号】W WO2020098184
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2022-03-02
(31)【優先権主張番号】201811368036.X
(32)【優先日】2018-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505072650
【氏名又は名称】浙江大学
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】任 其龍
(72)【発明者】
【氏名】鮑 宗必
(72)【発明者】
【氏名】陳 富強
(72)【発明者】
【氏名】張 治国
(72)【発明者】
【氏名】陳 旻
(72)【発明者】
【氏名】楊 亦文
(72)【発明者】
【氏名】楊 啓▲エイ▼
【審査官】大村 博一
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-233565(JP,A)
【文献】特開2002-060519(JP,A)
【文献】特表平11-500078(JP,A)
【文献】特表2007-514529(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108690310(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/40
C08J 9/00-9/42
B29C 44/00-44/60;
67/20
B29C 71/04;
C08J 7/00-7/02;
7/12-7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スポンジ中の揮発性有機物の除去方法であって、
前記スポンジは、ラテックススポンジ、ポリウレタンフォーム、又はポリビニルアルコールスポンジであり、
前記揮発性有機物は、スチレン、1,3-ブタジエン、4-ビニル基シクロヘキセン、2,4-トリレンジアミン、又は4,4’-ジアミノジフェニルメタンであり、
処理対象スポンジブロックを抽出釜に入れ、
超臨界流媒質を抽出釜に送り、前記
超臨界流媒質の亜臨界条件下で抽出を行い、抽出終了後、常圧まで減圧し、分離し、脱揮済みのスポンジを得る工程を含み、
前記超臨界流媒質は、精製または改質炭酸ガスで、
前記亜臨界条件は、20℃≦温度<31.1℃、3MPa≦圧力<7.39MPaである、ことを特徴とする亜臨界流体を用いたスポンジ中の揮発性有機物の除去方法。
【請求項2】
改質炭酸ガスは、精製炭酸ガスに改質剤を所定の配合比で添加して調製した炭酸ガスである、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記改質剤は、エタノールまたはイソプロピルアルコールである、ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
改質剤の添加量は、精製炭酸ガス質量の0.5~20質量%である、ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
抽出時間は、5~30分間である、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記抽出は、静的抽出若しくは動的抽出、または両者の組み合わせである、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
分離した炭酸ガスを、抽出釜に戻して循環利用する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揮発性有機物の処理技術に関し、具体的には、超臨界/亜臨界流体を用いたスポンジ中の揮発性有機物の除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、人々の生活レベルの向上に伴い、質の高い生活がますます追求されている。スポンジ製品は反発弾性が高く、通気性が良く、重量が軽く、着心地が快適などの優れた特性を有するため、人々に大いに愛好される。スポンジ製品は、合成原料の違いにより、主にゴムスポンジ(ラテックススポンジ)、ポリウレタンフォーム(ポリエーテルとポリエステル型スポンジ)及びポリビニルアルコールスポンジに分けられ、そのうちのラテックススポンジとポリウレタンフォームが最も広く使用されている。
【0003】
ラテックススポンジは通気性が良く、抗菌防ダニ、睡眠促進などの利点があるため、近年、人気のある製品になっている。しかしながら、天然ラテックスの生産量は少なく、1本のゴムの木は一日平均30ccのラテックス樹液しか生産できず、市場の需要を満たすために、天然ゴムと合成スチレン・ブタジエンゴムを混合して生産することが一般的である。ここで、合成スチレン・ブタジエンゴムとは、1,3-ブタジエンとスチレンとを共重合して得られたものである。そして、ラテックススポンジは蒸発成形により成形されるため、それ自体が多くの気孔を有し、発泡、加硫などの加工プロセスを経た後、多くの未反応の揮発性有機物が残留する可能性がある。これらは、スポンジに異味異臭を与えるだけでなく、吸入、摂取または経皮吸収により人体に悪影響を与えるおそれもある。
【0004】
ポリウレタンフォームは耐寒、防振、吸音、集塵などの良好な性能を有するため、座布団、マットレス、衣類裏地、ろ過、吸音、集塵、防振、包装資材として広く用いられる。主にイソシアネートとポリエーテル/ポリエステルポリオールを反応させてスポンジ架橋構造を形成し、発泡、加硫などの加工プロセスを経て最終成形される。製造プロセスでは、発泡反応に使用されたアミン系触媒の一部分のみが反応過程で揮発し、大部分がスポンジの発達した気泡構造に残留する。さらに、製造プロセスで残留するオレフィン、芳香族炭化水素、アルデヒド化合物類など、スポンジに異味異臭を与えるだけでなく、吸入、摂取または経皮吸収により人体に悪影響を与えるおそれがある。したがって、それらを分離するために、脱揮は後処理に必要不可欠な一工程となっている。
【0005】
現在、国内外において、重合ラテックス中の揮発性有機物を除去するための常用手段としては、ストリッピング法、後重合法とストリッピング-後重合法が用いられている。ストリッピング法の基幹技術は真空排気条件下で蒸気を注入して残留モノマーを排出することであり、モノマーの除去効率は、蒸気とラテックスとの接触面積に大きく依存する。ドイツ特許公開番号(DE2717996A1)では、ポリマーラテックスを蒸気と共に容器に注入することにより、モノマーの除去効率を向上させる技術手段が開示されている。米国特許公開番号(US4130527A)と日本特許公開番号(JPH09220402A)では、蒸気とラテックスとの接触面積を高めることにより、モノマーの除去効率を向上させる改良されたストリッピング装置がそれぞれ開示されている。ストリッピング法では長年の改良を経ても、依然として、設備投資が高く、エネルギー消費が大きく、蒸気の長時間注入によるラテックス製品の安定性と品質が低下するなどの問題点が存在する。後重合法とは、モノマーの基本重合後に、高効率開始剤を添加し、重合を続けて残留モノマーをほぼ完全に変換する方法である。米国特許公開番号(US4301264A)では、ある程度まで乳化重合した後、第2の開始剤を加えて一定の条件下で重合続け、残留モノマーを0.1%以下まで低下させることが開示されている。後重合法は開始剤に対する要求が高く、高い活性と選択性とを兼ね備えなければならない。ストリッピング-後重合法はストリッピング法と後重合法とを組み合わせて使用することにより、モノマーの除去効率を高めるが、操作方法が比較的複雑であった。米国特許公開番号(US457573A)では、ストリッピングを行うとともに、残留モノマーの含有量が0.05%に低下するまで、1時間当たりラテックスの0.01%の開始剤を連続的に添加するストリッピング-後重合法が開示されている。
【0006】
2014年6月、EUが、2014/391/EU号決議を公布した。決議では、ラテックススポンジ中のスチレンと4-ビニルシクロヘキセンの残留量について、1,3-ブタジエン<1μg/m3、スチレン<10μg/m3、4-ビニル基シクロヘキセン<2μg/m3と規定され、ポリウレタンフォーム中の2,4-トリレンジアミンと4,4’-ジアミノジフェニルメタンの残留放散量が、2,4-トリレンジアミン<5ppm、4,4’-ジアミノジフェニルメタン<5ppmに規定されている。また、スポンジ製品の生産過程にホルムアルデヒド、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの残留溶媒が存在するが、EU標準では、総揮発性有機物含有量が<500μg/m3に規定され、中国国家標準GB 18584.3では、総揮発性有機化合物は<600μg/m3であることが要求される。しかしながら、中国国内企業は、スポンジ中の揮発性有害物質の有効な除去手段を確立しておらず、スポンジ中の揮発性有機物の超臨界/亜臨界流体の脱揮方法に関する報告もこれまでなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】ドイツ特許公開番号DE2717996A1
【文献】米国特許公開番号US4130527A
【文献】日本特許公開番号JPH09220402A
【文献】米国特許公開番号(US4301264A)
【文献】米国特許公開番号(US457573A)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、超臨界/亜臨界流体を用いて、スポンジ中に残留する揮発性有機物を除去し、品質基準に合格するスポンジを取得するためのスポンジ中の揮発性有機物の超臨界/亜臨界流体除去方法を提供する。当該方法は、地球に優しく、高効率、低コスト、産業上応用しやすいなどの利点を有する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
超臨界/亜臨界流体を用いたスポンジ中の揮発性有機物の除去方法は、処理対象スポンジブロックを抽出釜に入れ、臨界流媒質を抽出釜に送り込み、該臨界流媒質の超臨界条件下または亜臨界条件下で抽出を行い、抽出終了後、常圧まで減圧し、分離し、脱揮済みのスポンジを得る工程を含む。
【0010】
本発明で用いた脱揮装置は超臨界抽出装置であり、静的抽出または動的抽出を採用できる。さらには両者を組み合わせて使用することができる。静的抽出の場合、CO2は上記装置内での処理対象スポンジに接触して一定時間物質移動した後、分離釜中で圧力を解放し、動的抽出脱揮の場合、CO2が一定の流量で脱揮装置や抽出装置を通過し、スポンジ中の揮発性有機物をCO2と共に脱揮装置に送出する。
【0011】
超臨界/亜臨界流体を脱揮に用いれば、選択性に優れ、温度と圧力を変化させることによって流体の密度と溶解性能を調整しコントロールすることができ、目標生成物の溶解と除去を実現することができる。超臨界/亜臨界流体は、(1)密度は液体に近く、多くの化合物に対する溶解能力が増強し、且つ有効に制御可能となる、(2)伝達特性はガスに類似し、且つ表面張力がゼロであり、高粘性系の伝達特性を増強させる独特な物理化学的特性を有する。CO2は環境ガスの一つであり、温和な臨界特性(臨界温度304K、臨界圧力7.39MPa)及び無毒、安価、不燃性、不活性などの特徴を持ち、且つ溶媒と溶質を分離しやすく、製品への残留溶媒をなくすことを実現でき、更に循環使用することもでき、操作者の健康への影響と環境への汚染を減少可能な最有力の超臨界媒質である。
【0012】
したがって、前記超臨界流体媒質は、精製または改質超臨界炭酸ガスであることが好ましい。
【0013】
精製または改質超臨界/亜臨界炭酸ガスを媒質とする。炭酸ガスが超臨界条件で比較的高い溶解能力と拡散性能を有する特徴を利用して、抽出装置にて処理対象スポンジを超臨界/亜臨界炭酸ガスと十分に接触させ、超臨界/亜臨界炭酸ガスをスポンジの多孔質チャンネルに拡散浸透させるとともに、多孔質チャンネル表面の揮発性有機物を溶解させる。揮発性有機物が溶解した超臨界/亜臨界炭酸ガスを抽出装置から流出し、一定温度に保持された分離釜内で圧力を解放し、超臨界/亜臨界炭酸ガスと揮発性有機物を相分離し、相分離後の炭酸ガス流体は循環利用可能となる。脱揮過程では、新鮮な超臨界/亜臨界炭酸ガス流体を抽出釜に連続的に補充することで揮発性有機物の除去を続けて、一定時間の抽出処理を経た後、スポンジ中の揮発性有機物の完全除去という目的を達成する。
【0014】
改質超臨界/亜臨界炭酸ガスは、精製超/亜臨界炭酸ガスに改質剤を所定の配合比で添加して調製したものであることがさらに好ましい。
【0015】
改質剤は、エタノールまたはイソプロピルアルコールであることがさらに好ましい。
【0016】
改質剤の添加量は、精製超臨界/亜臨界炭酸ガス質量の0.5~20質量%であることがなおさらに好ましい。
【0017】
すなわち、改質超臨界/亜臨界流体は改質剤と炭酸ガスとの混合溶媒であり、改質剤の比率が少ないため、主体は、依然として炭酸ガスであり、改質剤を添加することで流体の極性を向上させ、溶解性を向上させることができる。
【0018】
超臨界条件とは、動作温度と圧力が炭酸ガスの臨界温度(31.1℃と臨界圧力(7.39MPa)を下回らない条件であり、亜臨界条件とは、動作温度と圧力が炭酸ガスの臨界温度(31.1℃)と臨界圧力(7.39 MPa)よりやや低い条件である。
【0019】
したがって、超臨界条件は、31.1℃≦温度≦60℃、7.39MPa≦圧力≦25Mpaであり、亜臨界条件は、20℃≦温度<31.1℃、3MPa≦圧力<7.39MPaであることが好ましい。
【0020】
本発明の方法は、上記脱揮過程において、超臨界または亜臨界条件下で行われる必要がある。すなわち、温度と圧力をCO2の超臨界または近臨界点の温度と圧力に制御する必要がある。超臨界流条件下で抽出を行うことがさらに好ましい。具体的には、超臨界条件は、温度をCO2の臨界温度以上且つスポンジの酸化温度以下、31.1℃≦温度≦60℃、7.39MPa≦圧力≦25Mpaに制御する。このような条件で、超臨界流体は、液体よりも高い拡散係数及び液体溶媒に相当する溶解性能を有し、且つ操作条件が温和で、生産過程のエネルギー消費が低く、生産コストの管理が有利となる。
【0021】
抽出時間は、5~30分間であることが好ましい。
【0022】
動的抽出の場合、超臨界体媒質の流速は処理の量に応じて調整され、動的抽出の場合の超臨界媒質の流速は、100kg/h~200kg/hであることが好ましい。
【0023】
好ましく、処理対象スポンジブロックは、ラテックススポンジ、ポリウレタンフォームまたはポリビニルアルコールスポンジを含むが、これらに限定されない。
【0024】
ラテックスマットレスにおける揮発性有機物は、スチレン、1,3-ブタジエン、4-ビニル基シクロヘキセンなどを含むが、これらに限定されない。ポリウレタンフォームにおけるラテックススポンジ中の揮発性有機物は、2,4-トリレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルメタンなどを含むが、これらに限定されない。
【0025】
抽出操作を超臨界抽出装置により行う場合、処理対象スポンジ中の揮発性有機物の含有量とスポンジが到達すべき品質基準に基づいて抽出時間を決定することができ、抽出時間は超臨界流体の流量に依存する。
【0026】
分離された炭酸ガスは、抽出釜に戻して循環利用される。揮発性有機物の含有量は静的ヘッドスペース-ガスクロマトグラフ質量分析法または環境チャンバー法を用いて分析及び測定できる。
【発明の効果】
【0027】
本方法を用いてスポンジ中の揮発性有機物に対して超臨界/亜臨界流体脱揮を実施する技術効果は、従来技術と対比すると、主に以下の2つの点に反映される。
(1) 超臨界/亜臨界流体がポリマーに溶解してポリマーを適度に膨潤させ、揮発性有機物不純物の外部への拡散速度を増加させることにより、脱揮効率を大幅に向上させることができる。従来の脱揮技術方法、例えば、ストリッピング法、後重合法とストリッピング-後重合法など、では、揮発性有機物のスポンジ中での拡散を有効に促進できず、脱揮効率が比較的低く、且つ所要の温度が高く、スポンジ材料を変形させやすく、反発力が低下する。
(2)超臨界/亜臨界脱揮は、脱揮効果を極めて大きく向上させ、スポンジ中の揮発性有機物含有量を著しく低下させることができる。揮発性有機物の除去率を計算すると、最高99%に達し、且つ抽出後、有毒有害溶媒の残留も認められなかった。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の方法のプロセスの実施に用いられる装置の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明のプロセスは、例えば
図1に示す装置を用いて実施される。本装置は、順次接続する炭酸ガス貯蔵缶1、凝縮器2、炭酸ガス中間貯蔵缶3、炭酸ガスポンプ4、抽出釜7、分離釜8を含み、添加溶剤貯蔵缶5は、添加溶剤ポンプ6を介して抽出釜7の投入口に接続され、装置構成部の出入り口毎に弁が設けられている。
【0030】
炭酸ガスは、凝縮器2を介して凝縮して炭酸ガス中間貯蔵缶3に送られる。中間貯蔵缶内の低温を保持するために、冷媒を中間貯蔵缶のジャケットに送り、中間貯蔵缶中の炭酸ガスは、炭酸ガスポンプ4により抽出釜7の投入口に計量供給される。精製炭酸ガスを臨界流媒質とした場合には、添加溶剤貯蔵缶5の弁を閉じる。一方、炭酸ガスを改質する必要がある場合には、同時に添加溶剤貯蔵缶の弁を開放し、添加溶剤ポンプ6により添加溶剤を抽出釜の投入口に計量供給する。抽出釜の頂部排出口は、分離釜の投入口に接続し、分離釜を介して分離された炭酸ガスは中間貯蔵缶に戻され循環利用される。
【0031】
以下、本発明の具体的な実施例及び
図1を参照しながら、本発明の技術方案をさらに説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されることはない。
【0032】
実施例1:
サイズ0.5m×0.8m×0.1mの未処理ラテックススポンジブロックを採取し、体積10Lの脱揮釜に充填した。温度30℃、圧力6.0MPa、CO2流速120kg/hの条件下で30分間動的抽出し、その後、脱揮釜を徐々に減圧し常圧にし、脱揮済みのラテックススポンジを得た。ヘッドスペース-ガスクロマトグラフ質量分析計(HS-GC-MS)及び環境チャンバー法を用いて脱揮済みのラテックススポンジ中に残留する揮発性有機物を分析した結果、24時間の総揮発性有機物の放散量は35μg/m3であった。この値は、国家の関連標準に適合し、総除去率は99%より大きい。ここで、スチレン放散量は1.2μg/m3であり、4-ビニル基シクロヘキセン含有量は1.0μg/m3であり、1,3-ブタジエン放散量は0.9μg/m3であり、EU基準を満たしている。
【0033】
実施例2:
サイズ0.5m×0.8m×0.1mの未処理ラテックススポンジブロックを採取した。体積10Lの脱揮釜に充填し、温度40℃、圧力12MPa、CO2流速100kg/hの条件下で15分間動的抽出し、その後、脱揮釜を徐々に減圧し常圧にし、脱揮済みのラテックススポンジを得た。ヘッドスペース-ガスクロマトグラフ質量分析計(HS-GC-MS)及び環境チャンバー法を用いて脱揮済みのラテックススポンジ中に残留する揮発性有機物を分析した結果、24時間の総揮発性有機物の放散量が25μg/m3であった。この値は、国家の関連標準に適合し、総除去率は99%より大きい。ここで、スチレン放散量は0.4μg/m3であり、4-ビニル基シクロヘキセン含有量は0.9μg/m3であり、1,3-ブタジエン放散量は0.1μg/m3であり、EU基準を満たしている。
【0034】
実施例3:
サイズ0.5m×0.8m×0.1mの未処理ラテックススポンジブロックを採取した。体積10Lの脱揮釜に充填し、温度40℃、圧力12MPa、CO2流速120kg/hの条件下で30分間動的抽出し、その後、脱揮釜を徐々に減圧し常圧にし、脱揮済みのラテックススポンジを得た。ヘッドスペース-ガスクロマトグラフ質量分析計(HS-GC-MS)及び環境チャンバー法を用いて脱揮済みのラテックススポンジ中に残留する揮発性有機物を分析した結果、24時間の総揮発性有機物の放散量は18μg/m3であった。この値は、国家の関連標準に適合し、総除去率は99%より大きい。ここで、スチレン放散量は0.4μg/m3であり、4-ビニル基シクロヘキセン含有量は0.6μg/m3であり、1,3-ブタジエンは検出されず、EU基準を満たしている。
【0035】
実施例4:
サイズ0.5m×0.8m×0.1mの未処理ラテックススポンジブロックを採取した。体積10Lの脱揮釜に充填し、温度45℃、圧力12MPa、CO2流速120kg/hの条件下で30分間動的抽出し、その後、脱揮釜を徐々に減圧し常圧にし、脱揮済みのラテックススポンジを得た。ヘッドスペース-ガスクロマトグラフ質量分析計(HS-GC-MS)及び環境チャンバー法を用いて脱揮済みのラテックススポンジ中に残留する揮発性有機物を分析した結果、24時間の総揮発性有機物の放散量が12μg/m3であった。この値は、国家の関連標準に適合し、総除去率は99%より大きい。ここで、スチレン放散量は0.2μg/m3であり、4-ビニル基シクロヘキセン含有量は0.2μg/m3であり、1,3-ブタジエンは検出されず、EU基準を満たしている。
【0036】
実施例5:
サイズ0.5m×0.8m×0.1mの未処理ラテックススポンジブロックを採取した。体積10Lの脱揮釜に充填し、温度40℃、圧力20MPa、CO2流速100kg/hの条件下で5分間動的抽出し、その後、脱揮釜を徐々に減圧し常圧にし、脱揮済みのラテックススポンジを得た。ヘッドスペース-ガスクロマトグラフ質量分析計(HS-GC-MS)及び環境チャンバー法を用いて脱揮済みのラテックススポンジ中に残留する揮発性有機物を分析した結果、24時間の総揮発性有機物の放散量が15μg/m3であった。この値は、国家の関連標準に適合し、総除去率は99%より大きい。ここで、スチレン放散量は0.5μg/m3であり、4-ビニル基シクロヘキセン含有量は0.6μg/m3であり、1,3-ブタジエンは検出されず、EU基準を満たしている。
【0037】
実施例6:
サイズ0.5m×0.8m×0.1mの未処理ポリウレタンフォームブロックを採取した。体積10Lの脱揮釜に充填し、温度30℃、圧力6.0MPa、CO2流速120kg/hの条件下で30分間動的抽出し、その後、脱揮釜を徐々に減圧し常圧にし、脱揮済みのポリウレタンフォームを得た。ヘッドスペース-ガスクロマトグラフ質量分析計(HS-GC-MS)及び環境チャンバー法を用いて脱揮済みのポリウレタンフォーム中に残留する揮発性有機物を分析した結果、24時間の総揮発性有機物の放散量が45μg/m3であった。この値は、国家の関連標準及びEU基準に適合し、総除去率は99%より大きい。ここで、2,4-トリレンジアミン放散量は2.0μg/m3であり、4,4’-ジアミノジフェニルメタン含有量は1.8μg/m3であり、EU基準を満たしている。
【0038】
実施例7:
サイズ0.5m×0.8m×0.1mの未処理ポリウレタンフォームブロックを採取した。体積10Lの脱揮釜に充填し、温度40℃、圧力12MPa、CO2流速100kg/hの条件下で15分間動的抽出し、その後、脱揮釜を徐々に減圧し常圧にし、脱揮済みのポリウレタンフォームを得た。ヘッドスペース-ガスクロマトグラフ質量分析計(HS-GC-MS)及び環境チャンバー法を用いて脱揮済みのポリウレタンフォーム中に残留する揮発性有機物を分析した結果、24時間の総揮発性有機物の放散量が35μg/m3であった。この値は、国家の関連標準及びEU基準に適合し、総除去率は99%より大きい。ここで、2,4-トリレンジアミン放散量は1.2μg/m3であり、4,4’-ジアミノジフェニルメタン含有量は1.0μg/m3であり、EU基準を満たしている。
【0039】
実施例8:
サイズ0.5m×0.8m×0.1mの未処理ポリウレタンフォームブロックを採取した。体積10Lの脱揮釜に充填し、温度40℃、圧力12MPa、CO2流速120kg/hの条件下で30分間動的抽出し、その後、脱揮釜を徐々に減圧し常圧にし、脱揮済みのポリウレタンフォームを得た。ヘッドスペース-ガスクロマトグラフ質量分析計(HS-GC-MS)及び環境チャンバー法を用いて脱揮済みのポリウレタンフォーム中に残留する揮発性有機物を分析した結果、24時間の総揮発性有機物の放散量が20μg/m3であった。この値は、国家の関連標準及びEU基準に適合し、総除去率は99%より大きい。ここで、2,4-トリレンジアミン放散量は0.9μg/m3であり、4,4’-ジアミノジフェニルメタン含有量は0.8μg/m3であり、EU基準を満たしている。
【0040】
実施例9:
サイズ0.5m×0.8m×0.1mの未処理ポリウレタンフォームブロックを採取した。体積10Lの脱揮釜に充填し、温度45℃、圧力12MPa、CO2流速120kg/hの条件下で30分間動的抽出し、その後、脱揮釜を徐々に減圧し常圧にし、脱揮済みのポリウレタンフォームを得た。ヘッドスペース-ガスクロマトグラフ質量分析計(HS-GC-MS)及び環境チャンバー法を用いて脱揮済みのポリウレタンフォーム中に残留する揮発性有機物を分析した結果、24時間の総揮発性有機物の放散量が15μg/m3であった。この値は、国家の関連標準及びEU基準に適合し、総除去率は99%より大きい。ここで、2,4-トリレンジアミン放散量は0.6μg/m3であり、4,4’-ジアミノジフェニルメタン含有量は0.5μg/m3であり、EU基準を満たしている。
【0041】
実施例10:
サイズ0.5m×0.8m×0.1mの未処理ポリウレタンフォームブロックを採取した。体積10Lの脱揮釜に充填し、温度40℃、圧力20MPa、CO2流速100kg/hの条件下で5分間動的抽出し、その後、脱揮釜を徐々に減圧し常圧にし、脱揮済みのポリウレタンフォームを得た。ヘッドスペース-ガスクロマトグラフ質量分析計(HS-GC-MS)及び環境チャンバー法を用いて脱揮済みのポリウレタンフォーム中に残留する揮発性有機物を分析した結果、24時間の総揮発性有機物の放散量は25μg/m3であった。この値は、国家の関連標準及びEU基準に適合し、総除去率は99%より大きい。ここで、2,4-トリレンジアミン放散量は1.2μg/m3であり、4,4’-ジアミノジフェニルメタン含有量は0.8μg/m3であり、EU基準を満たしている。
【0042】
以上、本発明の具体的な実施例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許の技術的範囲を限定するものではない。当業者であれば、本発明の原理と主旨から逸脱することなく、本発明の範囲内でこれらの実施例に対してさまざまな修正及び修飾を行うことができ、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲とその等価物で規定される。
【符号の説明】
【0043】
1 炭酸ガス貯蔵缶
2 凝縮器
3 炭酸ガス中間貯蔵缶
4 炭酸ガスポンプ
5 添加溶剤貯蔵缶
6 添加溶剤ポンプ
7 抽出釜
8 分離釜