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特許7248269ブランケット胴洗浄装置およびブランケット胴洗浄方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-20
(45)【発行日】2023-03-29
(54)【発明の名称】ブランケット胴洗浄装置およびブランケット胴洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   B41F 35/06 20060101AFI20230322BHJP
【FI】
B41F35/06
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018132276
(22)【出願日】2018-07-12
(65)【公開番号】P2020006655
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-07-02
(73)【特許権者】
【識別番号】590001717
【氏名又は名称】ニッカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
(74)【代理人】
【識別番号】100174609
【弁理士】
【氏名又は名称】関 博
(72)【発明者】
【氏名】小柳津 秀夫
【審査官】高松 大治
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-506784(JP,A)
【文献】特公平02-006629(JP,B2)
【文献】実開平03-090943(JP,U)
【文献】特開平02-136240(JP,A)
【文献】特開2013-063621(JP,A)
【文献】実開平06-055743(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 35/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
輪転印刷機のブランケット胴へ洗浄布を押し当てる膨縮パッドを備えた洗浄装置であって、
前記膨縮パッドは、前記ブランケット胴の長手方向に沿って配置されるパッドベースと、前記パッドベースの一方の面に配置された可撓性及び伸縮性を備えたシートにより構成されると共に、前記長手方向に沿って複数のブロックを構成するように分割されており、
前記ブロックは、前記膨縮パッドを構成する単一のシートに膨張を抑える仕切り板を配置することで膨縮部を分割して構成され、各ブロックは、それぞれ個別に稼働可能な構成とし、
前記パッドベースの他方の面側には、給布ユニットにおける送り出しローラが設けられ、
前記パッドベースを前記送り出しローラを支持するサイドプレートに締結して枠体を構成していることを特徴とするブランケット胴洗浄装置。
【請求項2】
前記パッドベースの他方の面には、前記送り出しローラとの接触を避けるための凹部を設けていることを特徴とする請求項1に記載のブランケット胴洗浄装置。
【請求項3】
前記給布ユニットは、前記膨縮パッドのブロック数に応じて長手方向に分割した前記送り出しローラと巻き取りローラを備え、前記送り出しローラ、及び前記巻き取りローラは、それぞれ長手方向に隣接するローラとの間に中板が備えられていることを特徴とする請求項に記載のブランケット胴洗浄装置。
【請求項4】
前記洗浄布は、前記ブロックの分割幅に合わせて、それぞれ対応するブロック毎に備えられていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のブランケット胴洗浄装置。
【請求項5】
1つのブランケット胴に対して、長手方向に沿って複数パターンが形成される輪転印刷機において、前記ブランケット胴に膨縮パッドを介して洗浄布を押し当てて、前記ブランケット胴の洗浄を行う方法であって、
前記膨縮パッドを前記ブランケット胴の長手方向に沿って、当該ブランケット胴に写される印刷パターンの数に対応する複数のブロックを構成するように分割し、
前記ブランケット胴の長手方向に沿った払拭箇所に対応した前記ブロックの前記膨縮パッドのみを膨らませて前記洗浄布の押し当てを行うことを特徴とするブランケット胴洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷機の洗浄装置に係り、特に、輪転印刷機におけるブランケット胴の洗浄を行う装置、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
輪転印刷機におけるブランケット胴の洗浄装置は主に、回転状態にあるブランケット胴に洗浄剤を含浸させた洗浄布を押し当て、ブランケット胴に付着した汚れを洗浄布によって払拭することで成される。洗浄布の押し当てを行うためのアクチュエータは、種々構成が提案されており、例えばカムやシリンダのロッドなどにより押圧を行うものや、エアの供給により膨張するパッドにより押圧するものなどが知られている。
【0003】
特許文献1に開示されている洗浄装置は、チューブ型のパッドにエアを供給した際のパッドの膨張を利用して、洗浄布の押し当てを行うタイプのものである。特許文献1に開示されている技術は、ブランケット胴を洗浄するために洗浄布を押し当てる回数を制御するためのものである。
【0004】
具体的には、印刷対象とする紙の幅が異なると、紙が通過する部分と紙が通過しない部分とで、ブランケット胴の汚れ度合が異なる。そして、ブランケット胴の幅よりも大幅に狭い紙に印刷を行う場合、ブランケット胴の汚れ具合が大きくなるため、払拭を行うための洗浄布の押し当て回数を増やす必要がある。特許文献1では、このように、紙の幅によってブランケット胴の汚れ具合が異なる場合に、最適な払拭回数(押し当て回数)を予め定め、紙幅によって、払拭回数を変化させることを特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-63621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されているブランケット胴洗浄装置は、ブランケット胴の汚れ具合に応じて洗浄布の押し当て回数、すなわち払拭回数を変化させるため、無駄な払拭回数が低減され洗浄作業の効率化、並びに損紙の低減を図ることができる。
【0007】
しかし、近年では、1つのブランケット胴に対して、複数パターンに区分けされた印刷を行う事もある。そうした場合、一方の印刷パターンを印刷するブランケット胴の胴部分にのみゴミや埃が付着することがある。従来のブランケット胴洗浄装置では、ゴミや埃が付着していない部分にも洗浄布が押し当てられることとなる。このため、一方の印刷パターンを印刷する紙はもちろん、他方の印刷パターンによる印刷も停止せざるを得ず、損紙の量が増え、歩留まりが悪くなるといった問題がある。
【0008】
そこで本発明では、複数の印刷パターンを印刷するブランケット胴において、損紙の発生を抑制することのできるブランケット胴洗浄装置、およびブランケット胴洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係るブランケット胴洗浄装置は、輪転印刷機のブランケット胴へ洗浄布を押し当てるパッドを備えた洗浄装置であって、前記パッドは、前記ブランケット胴の長手方向に沿って配置されると共に、前記長手方向に沿って複数のブロックを構成するように分割されており、前記ブロックは、それぞれ個別に稼働可能な構成とされていることを特徴とする。
【0010】
また、上記のような特徴を有するブランケット胴洗浄装置において、前記パッドは、膨縮パッドとすると良い。このような構成とすることにより、機械的にパッドを稼働させる構成に比べて小型化を図ることができる。
【0011】
また、上記のような特徴を有するブランケット胴洗浄装置において前記パッドは、単一の膨縮パッドにおける膨縮部を分割して前記ブロックを構成し、前記パッドの支持板であるパッドベースと、前記ローラを支持するサイドプレートとを締結して枠体を構成していることが望ましい。このような特徴を有することによれば、サイドプレートとパッドベースが一体的に構成されるため、ブランケット胴洗浄装置の剛性を高めることができる。
【0012】
また、上記のような特徴を有するブランケット胴洗浄装置において、前記洗浄布は、前記ブロックの分割幅に合わせて、それぞれ対応するブロック毎に備えられているようにすることができる。このような特徴を有することによれば、分割されたブロック単位のパッドのうちの1つがブランケット胴への洗浄布の押し付けがあったとしても、洗浄布にヨレが生じるおそれがない。
【0013】
さらに、上記のような特徴を有するブランケット胴洗浄装置において、前記洗浄布を巻き付けるローラは、隣接するローラとの間に中板を備えるようにすると良い。このような特徴を有する事によれば、回転軸をローラ毎に分割することができる。よって、隣接するローラを個別に回転させることができる。また、個々のローラにおける軸が短くなるため、支持の安定性も確保することができる。
【0014】
また、上記目的を達成するための本発明に係るブランケット胴洗浄方法は、輪転印刷機のブランケット胴に対して、膨縮パッドを介して洗浄布を押し当てて、前記ブランケット胴の洗浄を行う方法であって、前記膨縮パッドを前記ブランケット胴の長手方向に沿って複数のブロックを構成するように分割し、前記ブランケット胴の長手方向に沿った払拭箇所に対応した前記ブロックの前記膨縮パッドを膨らませて前記洗浄布の押し当てを行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
上記のような特徴を有するブランケット胴洗浄装置、およびブランケット胴洗浄方法によれば、複数の印刷パターンを印刷するブランケット胴において、損紙の発生を抑制することが可能となり、製品の歩留まり向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態に係るブランケット胴洗浄装置の構成を示す側面図である。
図2】パッドユニットの正面構成を示す図である。
図3図2におけるA-A断面の構成を示す図である。
図4】パッドユニットを構成するパッドベースの平面構成を示す図である。
図5】パッドユニットを構成するパッドベースの底面構成を示す図である。
図6】給布ユニットの配置構成を示す図である。
図7】実施形態に係るブランケット胴洗浄装置の構成を示す部分断面斜視図である。
図8】印刷機とブランケット胴洗浄装置との関係を示す図である。
図9】ブランケット胴に対する印刷パターンの配置例を示す図である。
図10】ブランケット胴洗浄装置の変形例に係るパッドユニットの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明のブランケット胴洗浄装置およびブランケット胴洗浄方法に係る実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態は、本発明を好適に実施するための一部の形態であり、その機能を逸脱しない範囲において、構成の一部を変更した場合でも、本発明の一部とみなすことができる。
【0018】
[構成]
まず、図1から図9を参照して、本発明に係るブランケット胴洗浄装置の基本構成について説明する。なお、図1は、実施形態に係るブランケット胴洗浄装置の構成を示す側面図である。また、図2は、パッドユニットの正面構成を示す図である。図3は、図2におけるA-A断面の構成を示す図である。図4は、パッドユニットを構成するパッドベースの平面構成を示す図であり、図5は、同底面構成を示す図である。また、図6は、給布ユニットの配置構成を示す図である。また、図7は、実施形態に係るブランケット胴洗浄装置の構成を示す部分断面斜視図である。図8は、印刷機とブランケット胴洗浄装置との関係を示す図である。図9は、ブランケット胴に対する印刷パターンの配置例を示す図である。
【0019】
本実施形態に係るブランケット胴洗浄装置10は、輪転印刷機のブランケット胴50へ洗浄布30を押し当てることで、ブランケット胴50の汚れを払拭する役割を担う。ブランケット胴洗浄装置10は、パッドユニット12と、給布ユニット24、およびフレーム34を基本として構成されている。パッドユニット12は、ブランケット胴50に対して洗浄布30を押し当てる役割を担う要素であり、膨縮パッド14と、パッドベース16とを基本として構成されている。
【0020】
膨縮パッド14は、空気等の流体の導入により膨張すると共に、導入した流体を排出することで収縮する。膨縮パッド14は、袋状に形成され、単体で流体を導入する空間を構成しても良いが、本実施形態では、ゴムやシリコン等の可撓性、および伸縮性を備えたシートにより構成され、詳細を後述するパッドベース16との間に、流体を導入する空間を構成している。可撓性、および伸縮性を備える素材により膨縮パッド14を構成することで、膨張は空気等の流体の導入圧力で成される。一方、収縮は、膨縮パッド14を構成する素材が、膨張状態から戻ろうとする収縮力を利用することとなり、余分な動力が不要となる。
【0021】
パッドベース16は、膨縮パッド14の支持、および位置決めを行う役割を担う支持部材である。本実施形態に係るパッドベース16の場合、膨縮パッド14を配置する面を平坦面としつつ、パッドベース16と膨縮パッド14との間に流体を導入するための流体導入路18が形成されている。また、本実施形態では、パッドユニット12と給布ユニット24とを狭隘なスペースに隣接配置している。このため、パッドベース16の背面に凹部20を形成し、給布ユニット24における送り出しローラ26との接触を避けるための逃げを構成している。
【0022】
また、本実施形態のパッドユニット12では、膨縮パッド14を複数(図2に示す例では2つ)のブロックに分割している。膨縮パッド14の分割は、膨縮パッド14を構成するシートを物理的に切り離す構成としても良いが、本実施形態では、膨縮パッド14の膨張を抑える仕切り板22をパッドベース16に配置することで、膨縮パッド14の分割を図るようにしている。膨縮パッド14における分割領域には、それぞれ、流体導入路18が形成されており、分割領域のそれぞれが個別に膨縮可能に構成されている。
【0023】
給布ユニット24は、上述したパッドユニット12を介してブランケット胴50へ押し付けられる洗浄布30の送り出しと巻き取りを行う要素である。具体的には、送り出しローラ26と、巻き取りローラ28とを備える。このような構成とすることで、送り出しローラ26に巻かれた洗浄布30を、使用に伴い巻き取りローラ28により巻き取ることができる。
【0024】
本実施形態では、分割した膨縮パッド14のブロック数(本実施形態では2つ)に応じて、送り出しローラ26と巻き取りローラ28の双方を分割している。洗浄布30を1組の送り出しローラ26と巻き取りローラ28で供給した場合、片側の膨縮パッド14のみが膨張し、洗浄布30をブランケット胴50に押し当てた場合、ブランケット胴50の回転により押し当てた部分のみに引っ張りの力が作用する。よって、洗浄布30にヨレが生じることとなる虞がある。これに対し、送り出しローラ26と巻き取りローラ28とを膨縮パッド14のブロック数、および幅に応じて分割した場合には、押圧時の摩擦に基づくヨレが洗浄布30に生じることが無くなり、洗浄布30の供給と巻き取りを安定させることができる。
【0025】
また、給布ユニット24は、図6に示すように、送り出しローラ26と巻き取りローラ28に対してそれぞれ、隣接する各ローラ間に中板32を配置し、回転軸の分割を図るようにしている。このような構成とすることで、一方の送り出しローラ26および巻き取りローラ28と、他方の送り出しローラ26および巻き取りローラ28とが個別に回転することが可能となる。また、洗浄布30の交換も、一方の送り出しローラ26および巻き取りローラ28と、他方の送り出しローラ26および巻き取りローラ28とで個別に行うことが可能となる。さらに、ローラ単位の回転軸が短くなることにより、支持の安定化を図る事もできる。
【0026】
また、上述したように、本実施形態に係るブランケット胴洗浄装置では、給布ユニットにおける送り出しローラをパッドユニットの背面に近接配置し、その設置スペースの小型化を図っている。送り出しローラに巻かれた洗浄布の一部がパッドベースの背面に設けられた凹部に入り込むほどに送り出しローラをパッドユニットに近接させることで、ブランケット胴洗浄装置を狭いスペースに配置することができるようになる。
【0027】
フレーム34は、パッドユニット12と給布ユニット24を位置決め支持する役割を担う要素である。本実施形態では、図1に示すように、パッドユニット12と、給布ユニット24における送り出しローラ26とを、ブランケット胴50の中心Oから半径方向に延びる直線上に位置するように配置し、両者の下部に巻き取りローラ28を配置するように構成している。フレーム34は、パッドユニット12におけるパッドベース16と、送り出しローラ26、および巻き取りローラ28の側面に係合するように配置されている。なお、パッドベース16とフレーム34が直接締結されていることより、装置全体の剛性を高めることができる。
【0028】
[効果]
このような構成のブランケット胴洗浄装置10によれば、図9に示すように、ブランケット胴50に対して長手方向に2つの印刷パターン(パターンA、パターンB)が形成されている場合において、一方の印刷パターンに紙粉などのゴミや汚れが付着したとする。こうした場合に、紙粉などのゴミや汚れが付着している側に対応する膨縮パッド14のみを膨らませ、当該箇所に洗浄布30を押し当てて払拭を行うことができる。このため、洗浄布30を押し当てていない側のラインには影響が無く、製品とすることが可能となる。よって、生産性、すなわち歩留まりの向上を図ることができる。なお、パターンAとパターンBの図柄は、同じであっても、異なるものであっても良い。
【0029】
[方法]
このような構成のブランケット胴洗浄装置10では、以下のようにしてブランケット胴50の洗浄を行う。まず、洗浄布30のセットを行う。洗浄布30のセットは、送り出しローラ26から引き出した洗浄布30をパッドユニット12における膨縮パッド14の接触ルートに這わせて巻き取りローラ28へ導く。ここで、洗浄布30は、予め洗浄液を含浸させた物の他、所定のタイミングで洗浄布30に洗浄液を散布するものであっても良い。なお、本実施形態では、洗浄液が含浸されたタイプの洗浄布30を用いる。洗浄液を塗布する装置を設けるスペースを省略するためである。
【0030】
ブランケット胴50を介した印刷を行う際、本実施形態では、図9に示すように、ブランケット胴50の長手方向に沿って2つの印刷パターン(パターンA、パターンB)が形成されている。このような場合において、一方の印刷パターン側にだけゴミや汚れが付着している時に、当該ゴミや汚れが付着している側のブランケット胴50に対応した位置の膨縮パッド14を膨らませてゴミや塵埃を払拭する。なお、塵埃の払拭は、膨縮パッド14を断続的に押し当てる事を繰り返して行うようにすれば良い。
【0031】
このような方法によれば、ブランケット胴50に形成された2つの印刷パターンのうち、一方のみを払拭することとなる。よって、払拭されていない側の印刷パターンは、製品として成り立つこととなり、歩留まりの向上を図ることができる。なお、2つの印刷パターンのうち、両方の印刷パターンにゴミや汚れが付着した場合には、2つの膨縮パッド14を同時に膨らませてゴミや塵埃の払拭を行うようにすれば良い。
【0032】
ここで、印刷パターンに対するゴミや汚れの付着の検出は、目視で行っても良いし、図8に示すようにカメラ等の撮像装置36を介して印刷用紙の印刷面を撮像し、撮像された印刷面を解析することで行うようにしても良い。そして、印刷面にゴミや汚れが存在すると判定された場合には、汚れがある側の印刷パターンを示すと共に、警報を発する。警報後、作業者は、自動、あるいは手動で、汚れがあると判定された側に対応する膨縮パッド14を膨らませ、ゴミや塵埃の払拭を行えば良い。
【0033】
[変形例]
上記実施形態では、パッドユニット12について、膨縮パッド14の分割は、2つとしていた。しかしながら、膨縮パッドの分割数は、ブランケット胴50に写される印刷パターンの数に対応させることができる。例えば、印刷パターンの数が3つである場合には、図10に示すように、パッドユニット12における膨縮パッドの分割数を3つとすることができる。
【0034】
また、上記実施形態では、パッドユニット12について、小型化を前提として、膨縮パッド14を採用する旨記載した。しかしながら、洗浄布30をブランケット胴50に押し付けるパッドであって、複数のブロックに分割され、かつ各ブロック毎に稼働させることが可能なパッドとしては、背景技術の項で述べたような、カムやシリンダのロッドなどにより押圧を行う機構を持つパッドであっても良い。このような構成のパッドユニットであっても、複数の印刷パターンを印刷するブランケット胴において、損紙の発生を抑制するという効果を奏することができるからである。
【符号の説明】
【0035】
10………ブランケット胴洗浄装置、12………パッドユニット、14………膨縮パッド、16………パッドベース、18………流体導入路、20………凹部、22………仕切り板、24………給布ユニット、26………送り出しローラ、28………巻き取りローラ、30………洗浄布、32………中板、34………フレーム、50………ブランケット胴。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10