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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-20
(45)【発行日】2023-03-29
(54)【発明の名称】レギュレータ
(51)【国際特許分類】
   F16K 17/30 20060101AFI20230322BHJP
   G05D 16/10 20060101ALI20230322BHJP
【FI】
F16K17/30 A
G05D16/10 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018169913
(22)【出願日】2018-09-11
(65)【公開番号】P2020041616
(43)【公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000153122
【氏名又は名称】株式会社ニッキ
(74)【代理人】
【識別番号】100098154
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 克彦
(74)【代理人】
【識別番号】100092864
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 京子
(72)【発明者】
【氏名】末永 直也
【審査官】笹岡 友陽
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/008200(WO,A1)
【文献】実開昭52-098073(JP,U)
【文献】特開2003-186547(JP,A)
【文献】特開2001-330171(JP,A)
【文献】特開平7-302123(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 17/30
G05D 16/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部に貫通して形成した筒状の通路における一方の開口端を高圧流体の導入口、他方の開口端を減圧流体の取出口とし、前記通路における前記導入口の内方に弁座シートを内側に有するとともに前記通路の軸線方向への通孔を形成した弁座シート保持部材からなる弁座を介して調圧室を配置し、前記通路の前記調圧室と前記取出口との間に前記弁座シートに密接可能な先端面を有するとともに両端を開放した筒状の連通通路を有する調圧弁体と前記調圧弁体の前記通路における取出口側の外周に包囲して形成されたピストン部とからなるピストン調圧弁が前記通路の軸線方向に摺動可能に且つ前記ピストン部の周囲において前記調圧室と同軸上に並行して設けられた大気室内に配置された所定の荷重を有する調圧ばねにより前記通路における前記取出口方向に付勢されており、前記導入口から導入される高圧流体が前記弁座シート保持部材に形成した前記通孔を介して前記弁座シートに向かい合うように設けられた前記調圧室へ導入されて前記調圧弁体の前記連通通路を通過して前記ピストンに作用する流体の圧力による荷重と前記調圧室とは逆側にピストンに作用する前記調圧ばねによる荷重が釣り合うことにより前記弁座シートと前記調圧弁体の開口面積を変化させて前記調圧室の流体圧力を制御することで所望の圧力に調整した流体を前記取出口から減圧流体として取り出レギュレータにおいて、
前記弁座シート保持部材に、前記調圧室側に開口が露出するとともに少なくとも一部が前記開口よりも大径の内周面を有する溝または孔である保持部が形成されており、
前記弁座シートが、前記保持部に嵌挿される係止体と、前記弁座シート保持部材の前記調圧室側の側面に沿って接合配置されて前記調圧弁体と密接する弁座シート本体とからなり、前記係止体と前記弁座シート本体とが一体に形成されており、前記弁座シートが前記弁座シート保持部材にインサート成形により形成されており、
前記調圧弁体の弁座シート側内周先端が先端方向に向けて前記弁座シート本体の径よりも大径に拡開するテーパ形状に形成されているとともに前記調圧弁体の内周面と接する前記弁座シート本体の外周縁が丸みを帯びた形状であることを特徴とするレギュレータ。
【請求項2】
本体部に貫通して形成した筒状の通路における一方の開口端を高圧流体の導入口、他方の開口端を減圧流体の取出口とし、前記通路における前記導入口の内方に弁座シートを内側に有するとともに前記通路の軸線方向への通孔を形成した弁座シート保持部材からなる弁座を介して調圧室を配置し、前記通路の前記調圧室と前記取出口との間に前記弁座シートに密接可能な先端面を有するとともに両端を開放した筒状の連通通路を有する調圧弁体と前記調圧弁体の前記通路における取出口側の外周に包囲して形成されたピストン部とからなるピストン調圧弁が前記通路の軸線方向に摺動可能に且つ前記ピストン部の周囲において前記調圧室と同軸上に並行して設けられた大気室内に配置された所定の荷重を有する調圧ばねにより前記通路における前記取出口方向に付勢されており、前記導入口から導入される高圧流体が前記弁座シート保持部材に形成した前記通孔を介して前記弁座シートに向かい合うように設けられた前記調圧室へ導入されて前記調圧弁体の前記連通通路を通過して前記ピストンに作用する流体の圧力による荷重と前記調圧室とは逆側にピストンに作用する前記調圧ばねによる荷重が釣り合うことにより前記弁座シートと前記調圧弁体の開口面積を変化させて前記調圧室の流体圧力を制御することで所望の圧力に調整した流体を前記取出口から減圧流体として取り出レギュレータにおいて、
前記弁座シート保持部材に、前記導入口側の側面および前記調圧室側の側面に開口が露出する貫通孔である保持部が形成されており、
前記弁座シートが、前記保持部に嵌挿される軸体と、前記弁座シート保持部材の前記導入口側の側面に沿って接合配置される前記軸体よりも大径の係止体と、前記弁座シート保持部材の前記調圧室側の側面に沿って接合配置される前記軸体よりも大径の弁座シート本体とからなり、前記軸体と前記弁座シート本体と前記係止体とが一体に形成されており、前記弁座シートが前記弁座シート保持部材にインサート成形により形成されており、
前記調圧弁体の弁座シート側内周先端が先端方向に向けて前記弁座シート本体の径よりも大径に拡開するテーパ形状に形成されているとともに前記調圧弁体の内周面と接する前記弁座シート本体の外周縁が丸みを帯びた形状であることを特徴とするレギュレータ。
【請求項3】
前記弁座シート保持部材に形成した貫通孔である保持部が前記調圧室および前記導入口に向けてそれぞれ拡開することを特徴とする請求項2記載のレギュレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧の流体を所望の圧力に減圧する際に用いられるレギュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
調圧室内の圧力変動によりピストンを介して調圧バルブを開閉し、高圧流体の流量を制御するレギュレータは例えば実開昭52-92436号公報に提示されているように旧くから知られており、例えば燃料タンクに貯留したCNGなどの高圧燃料をエンジンに供給する際などの調圧器などに利用されている。
【0003】
図7は前記従来のレギュレータの一例を示すものであり、本体部1に貫通して形成した筒状の通路2における一方の開口端を高圧流体の導入口21、他方の開口端を減圧流体の取出口22としており、前記導入口21および取出口22には高圧流体を気密に導入するための入口カバー23および調圧した減圧流体を気密に取り出すための出口カバー24がそれぞれ配置されている。
【0004】
また、前記取出口22側に形成した保持部57に円筒形状の弁座シート4を止めねじ4
0により固着するとともに前記通路2の軸線方向に沿った複数の通孔52を形成した隔壁であるシート保持部材5を有する弁座3が前記通路2における前記導入口21の内方で入口カバー23によって所定位置に配置されており、前記通路2の前記弁座シート4の導入口21側方向に前記弁座3によって区分された調圧室25が形成されている。
【0005】
更に、前記通路2の前記調圧室25と前記取出口22との間に前記弁座3の弁座シート40に密接可能な先端面61を有するとともに両端を開放した筒状の連通通路62を有する調圧弁体6と前記調圧弁体6の前記通路2における取出口22側の外周に包囲して形成された前記調圧弁体6よりも大径のピストン部7とからなるピストン調圧弁8が前記通路2の軸線方向に摺動可能に配置されている。
【0006】
更にまた、前記ピストン部7にはその周囲において前記調圧室25と同軸上に並行して設けられた大気室26内に配置された所定の荷重を有する調圧ばね9により前記通路2の取出口22方向に付勢されている構成であり、図8に示すように、前記導入口21から導入される高圧流体が前記弁座3の弁座シート保持部材5に形成した通孔52を介して前記弁座シート4に向かい合うように設けられた調圧室25へと導入され、連通通路62が形成された調圧弁体6を通過して前記調圧弁体6と接合されたピストン部7に作用する流体の圧力による荷重と調圧室25とは逆側にピストン部7に作用する調圧ばね9による荷重とが釣り合うことにより、前記弁座シート4と調圧弁体6の開口面積を変化させて前記調圧室の流体圧力を制御することで、所望の圧力に調整した減圧流体を取出口22から取り出すものである。
【0007】
しかしながら、前記従来のレギュレータの弁座3は、弁座シート4が止めねじ40により固着されているものであり、別に固着するための部品と製造工程を必要とし、特に、弁座シート4は調圧弁体6の先端面61と密接させるために高精度の成形および配置が必要であることから取り付けの際の手間と高価な部品を必要とする問題があり、加えて、止めねじ40による取り付けでは使用中に止めねじ40が緩んで弁座シート4の位置ずれや脱落が生じるという問題がある。
【0008】
また、図9に示すように、弁座シート保持部材5の保持部57に弁座シート4を圧入し
、保持部57の内周面58より突設させた環状突起59によって固定するものも知られており、この取り付け手段によると、別体の取り付け部品を必要とせず製造工程も簡単である。
【0009】
しかしながら、弁座シート4を弾性材により形成する場合には使用による劣化や調圧弁体6との間に生じる粘着力などにより抜け落ち易く、長期の不使用期間が続くと著しいことに加え、使用時に弁座シート4と保持部57の間に高圧流体が回りこむ様に圧力が掛かり、弁座シート4が保持部57より脱落してしまうという問題も生じる(図10参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】実開昭52-92436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、弁座シートの取り付けに際して別体の取り付け部品を必要とせず精度よく取り付けられるばかりか使用中に脱落する心配のない弁座シートを有するレギュレータを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するためになされた本発明であるレギュレータは、本体部に貫通して形成した筒状の通路における一方の開口端を高圧流体の導入口、他方の開口端を減圧流体の取出口とし、前記通路における前記導入口の内方に弁座シートを内側に有するとともに前記通路の軸線方向への通孔を形成した弁座シート保持部材からなる弁座を介して調圧室を配置し、前記通路の前記調圧室と前記取出口との間に前記弁座シートに密接可能な先端面を有するとともに両端を開放した筒状の連通通路を有する調圧弁体と前記調圧弁体の前記通路における取出口側の外周に包囲して形成されたピストン部とからなるピストン調圧弁が前記通路の軸線方向に摺動可能に且つ前記ピストン部の周囲において前記調圧室と同軸上に並行して設けられた大気室内に配置された所定の荷重を有する調圧ばねにより前記通路における前記取出口方向に付勢されており、前記導入口から導入される高圧流体が前記弁座シート保持部材に形成した前記通孔を介して前記弁座シートに向かい合うように設けられた前記調圧室へ導入されて前記調圧弁体の前記連通通路を通過して前記ピストンに作用する流体の圧力による荷重と前記調圧室とは逆側にピストンに作用する前記調圧ばねによる荷重が釣り合うことにより前記弁座シートと前記調圧弁体の開口面積を変化させて前記調圧室の流体圧力を制御することで所望の圧力に調整した流体を前記取出口から減圧流体として取り出レギュレータにおいて、
前記弁座シート保持部材に、前記調圧室側に開口が露出するとともに少なくとも一部が前記開口よりも大径の内周面を有する溝または孔である保持部が形成されており、
前記弁座シートが、前記保持部に嵌挿される係止体と、前記弁座シート保持部材の前記調圧室側の側面に沿って接合配置されて前記調圧弁体と密接する弁座シート本体とからなり、前記係止体と前記弁座シート本体とが一体に形成されており、前記弁座シートが前記弁座シート保持部材にインサート成形により形成されており、
前記調圧弁体の弁座シート側内周先端が先端方向に向けて前記弁座シート本体の径よりも大径に拡開するテーパ形状に形成されているとともに前記調圧弁体の内周面と接する前記弁座シート本体の外周縁が丸みを帯びた形状であることを特徴とする。
【0013】
あるいは、本体部に貫通して形成した筒状の通路における一方の開口端を高圧流体の導入口、他方の開口端を減圧流体の取出口とし、前記通路における前記導入口の内方に弁座シートを内側に有するとともに前記通路の軸線方向への通孔を形成した弁座シート保持部材からなる弁座を介して調圧室を配置し、前記通路の前記調圧室と前記取出口との間に前記弁座シートに密接可能な先端面を有するとともに両端を開放した筒状の連通通路を有する調圧弁体と前記調圧弁体の前記通路における取出口側の外周に包囲して形成されたピストン部とからなるピストン調圧弁が前記通路の軸線方向に摺動可能に且つ前記ピストン部の周囲において前記調圧室と同軸上に並行して設けられた大気室内に配置された所定の荷重を有する調圧ばねにより前記通路における前記取出口方向に付勢されており、前記導入口から導入される高圧流体が前記弁座シート保持部材に形成した前記通孔を介して前記弁座シートに向かい合うように設けられた前記調圧室へ導入されて前記調圧弁体の前記連通通路を通過して前記ピストンに作用する流体の圧力による荷重と前記調圧室とは逆側にピストンに作用する前記調圧ばねによる荷重が釣り合うことにより前記弁座シートと前記調圧弁体の開口面積を変化させて前記調圧室の流体圧力を制御することで所望の圧力に調整した流体を前記取出口から減圧流体として取り出レギュレータにおいて、
前記弁座シート保持部材に、前記導入口側の側面および前記調圧室側の側面に開口が露出する貫通孔である保持部が形成されており、
前記弁座シートが、前記保持部に嵌挿される軸体と、前記弁座シート保持部材の前記導入口側の側面に沿って接合配置される前記軸体よりも大径の係止体と、前記弁座シート保持部材の前記調圧室側の側面に沿って接合配置される前記軸体よりも大径の弁座シート本体とからなり、前記軸体と前記弁座シート本体と前記係止体とが一体に形成されており、前記弁座シートが前記弁座シート保持部材にインサート成形により形成されており、
前記調圧弁体の弁座シート側内周先端が先端方向に向けて前記弁座シート本体の径よりも大径に拡開するテーパ形状に形成されているとともに前記調圧弁体の内周面と接する前記弁座シート本体の外周縁が丸みを帯びた形状であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明において、前記弁座シート保持部材に形成した貫通孔である保持部が前記調圧室および前記導入口に向けてそれぞれ拡開することで弁座シートを所定の位置に精度よく固着することができるとともに軸方向に移動するのを防止することができる。
【0015】
更に、前記弁座シートがスーパーエンジニアリングプラスチックにより形成されている場合には、耐磨耗性に優れ、軽量で錆びず、精度良く成形加工でき多量生産にも適しており、殊に、使用される燃料や高温にも耐性を有するという利点を有している。
【0016】
また、前記弁座シートにおける弁座シート本体の径が前記弁座シート本体に対向して配置される調圧弁体の先端と同径またはそれ以上であることにより確実に開閉作用を発揮させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、弁座を構成する部品の個体差や製造者の技能によるバラツキが解消されるとともに弁座シートが精度よく確実に取り付けられるばかりか使用中に脱落する心配のない弁座を有するレギュレータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明における実施の形態における閉弁時を示す断面図。
図2図1に示した実施の形態における開弁時を示す断面図。
図3図1および図2に示した実施の形態における弁座を示すものであり、(a)は弁座シートの縦断面図、(b)は弁座シート保持部材の縦断面図、(c)は弁座の縦断面図、(d)は弁座の斜視図。
図4図3に示した弁座の製造工程の一例を示す説明図であり、(a)はインサート成形機に弁座シート保持部材を取り付けた状態の断面図、(b)は弁座シートを形成する樹脂を注入した状態の断面図、(c)は弁座が完成した状態を示す断面図。
図5】本発明の異なる実施の形態を示す断面図。
図6】本発明の更に異なる実施の形態を示す断面図。
図7】従来例の閉弁時を示す断面図。
図8図7に示した従来例の開弁時を示す断面図。
図9】異なる従来例を示す断面図。
図10図9に示した従来例における不具合発生例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を説明する。
【0021】
図1乃至図2は、本発明における好ましい実施の形態の断面図を示すものであり、全体の構成は前記図7乃至図10に示した従来例とほぼ同様であり、それらの部分については詳細な説明を省略する。また、前記従来例と同一構成部には同一符号を付して説明する。
【0022】
そして、特に前記従来例と異なる点は、弁座3の構成である。本実施の形態における弁座3は、図3に示したように、弁座シート4が、弁座シート保持部材5の導入口21側の側面53および前記調圧室25側の側面54に開口が露出するように形成した貫通孔である保持部51に嵌挿される軸体41と、弁座シート保持部材5の導入口21側の側面53に沿って接合配置される前記軸体41よりも大径の係止体42と、弁座シート保持部材5の調圧室25側の側面54に沿って接合配置される軸体41よりも大径の弁座シート本体43とからなり、軸体41と係止体42と弁座シート本体43とが一体に形成される。
【0023】
そして、本実施の形態における弁座3は、弁座シート4が熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂により形成されることを要し、特に従来周知のエンジニアリングプラスチック或いはスーパーエンジニアリングプラスチックにより成形されることが好ましく、例えば図4に示すようなインサート成形により弁座シート4と弁座シート保持部材5とが一体に形成される。
【0024】
詳細に説明すると、本実施の形態の弁座シート4は、例えば切削や鋳造などの所定の成形方法で予め形成した弁座シート保持部材5をインサート成形用の金型M1,M2の間に取り付け(図4(a)参照)、キャビティに樹脂を充填し(図4(b)参照)、樹脂が硬化した後に取り出すインサート成形により形成される(図4(c)参照)。
【0025】
尚、図4はあくまでインサート成形による製造工程の一例を示すものであり、金型M1
,M2に形成されるエア抜き孔などについての描写は省略している。
【0026】
弁座シート4を構成する素材によっては、硬化時に収縮を起こして弁座シート保持部材5との間に微小隙間を生じる場合がある(図示せず)。しかしながら、微小隙間を介して高圧流体が通過しても閉弁時における弁座3としての機能に支障なく、却って微小隙間があることで自動的な調芯を可能とし更に精度の向上を図ることができる。
【0027】
尚、弁座シート保持部材5は金属製であることが好ましいが、硬質樹脂その他の硬質素材を用いてもよい。
【0028】
以上の構成を有する本実施の形態に用いられる弁座3によると、前記従来例のように取り付けに別部材を必要とせず部品の調達や管理ならびに製造工程を少なくして結果として製造価格の低下を図ることができる。また、取り付け並びに使用精度が良好で使用時に脱落する心配もない。
【0029】
また、本実施の形態では、弁座シート保持部材5に形成した貫通孔である保持部51が調圧室25および導入口21に向けてそれぞれ拡開することで弁座シート4を所定の位置に精度よく固着することができるとともに軸方向に移動するのを防止することができる。
【0030】
更に、本実施の形態では、弁座シート4としてエンジニアリングプラスチック或いはス
ーパーエンジニアリングプラスチックで形成されているので、耐磨耗性に優れ、軽量で錆びず、精度良く成形加工でき多量生産にも適しており、殊に、使用される燃料や高温にも耐性を有するという利点を有している。
【0031】
図5は本発明の異なる実施の形態を示すものであり、本実施の形態における弁座シート保持部材5は前記調圧室25側に開口55が露出するとともに少なくとも一部が前記開口55よりも大径の内周面56を形成した溝である保持部51が形成されており、弁座シート4が、前記保持部51に嵌挿される係止体42と、前記弁座シート保持部材5の前記調圧室25側の側面54に沿って接合配置されて前記調圧弁体6と密接する弁座シート本体43とからなり、前記係止体42と前記弁座シート本体43とが一体に形成されており、前記弁座シート4が前記弁座シート保持部材5にインサート成形により形成される。
【0032】
図6は本発明の更に異なる実施の形態を示すものであり、前記図1に示した実施の形態では弁座シート4における弁座シート本体42の径が弁座シート本体42に対向して配置される調圧弁体6の先端と同径またはそれ以上であることから確実に開閉作用を行うことができるが、本実施の形態では、調圧弁体6の弁座シート4側の先端面61が先端方向に向けて拡開するテーパ形状に形成されており、閉鎖時に弁座シート4と調圧弁体6とを確実に密接させて閉鎖させることができる。
【符号の説明】
【0033】
1 本体部、2 通路、3 弁座、4 弁座シート、5 弁座シート保持部材、6 調圧弁体、7 ピストン部、8 ピストン調圧弁、9 調圧ばね、21 導入口、22 取出口、23 入口カバー、24 出口カバー、25 調圧室、26 大気室、40 止めねじ、41 軸体、42 係止体、43 弁座シート本体、51 保持部、52 通孔、53 側面、54 側面、55 開口、56 内周面、57 保持部、58 内周面、59 環状突起、61 先端面、62 連通通路、M1 金型、M2 金型
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10