(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-20
(45)【発行日】2023-03-29
(54)【発明の名称】異物の検出装置及び異物の検出方法ならびに異物の検出プログラム
(51)【国際特許分類】
G01N 21/89 20060101AFI20230322BHJP
G01N 21/85 20060101ALI20230322BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20230322BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20230322BHJP
A01M 1/00 20060101ALI20230322BHJP
【FI】
G01N21/89 Z
G01N21/85 A
G06T1/00 400C
G06T7/00 350C
G06T7/00 610B
A01M1/00 Q
(21)【出願番号】P 2019022076
(22)【出願日】2019-02-08
【審査請求日】2021-12-24
(73)【特許権者】
【識別番号】500409127
【氏名又は名称】株式会社大道産業
(74)【代理人】
【識別番号】100086184
【氏名又は名称】安原 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100102015
【氏名又は名称】大澤 健一
(72)【発明者】
【氏名】坂田 浩一
【審査官】小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-028930(JP,A)
【文献】特開2018-185552(JP,A)
【文献】特開2010-091530(JP,A)
【文献】特開2016-099175(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0172602(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/01
G01N 21/17 - G01N 21/61
G01N 21/84 - G01N 21/958
G06T 1/00 - G06T 1/40
G06T 3/00 - G06T 9/40
A01M 1/00 - A01M 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データから
異物である抽出対象物を抽出し
た画像解析にあたり、
照射部で撮影対象物に光を照射するとともに適正露出以上に露出を上げた状態を含む複数の
光の波長を撮影対象物に照射した状態で撮影し
た異なる露出の画像を
画像データ取得部で得るとともに、画像データ取得部から得られる、画像データ
である前記画像から異物
である前記抽出対象物を判別する
処理をコンピュータに実行させる異物判別装置であって、
コンピュータは、
前記画像データを区分分割する区分分割手段と、
ディープラーニングの手法による前記抽出対象物の特徴量の機械学習結果を有し、前記機械学習結果に基づいて、前記区分分割手段により分割された前記画像データの前記区分ごとに、前記区分が前記抽出対象物である確率を算出する画像識別手段と、
前記画像識別手段により算出された、前記区分ごとの前記抽出対象物である確率を画素値に変換する識別結果変換手段と、
前記識別結果変換手段により変換された前記画素値を有する画像に画像処理を行う画像処理手段と、を備え、
撮影対象物に照射する光は、
異物
である前記抽出対象物を含んでいる撮影対象物に、紫外光から赤外線光まで波長の異なる光を連続変化させて
照射部で照射するとともに、適正露出以上に露出を上げて
画像データ取得部で撮影し、
コンピュータは、画像データ取得部で得られた撮影したそれぞれの画像で白く撮影されている面積を演算し、それぞれの画像を比較することによって、画像で最も被写体が白く撮影されているものに使用された光の周波数が異物検出に適した光の周波数と判断し、
異物検出に必要な光の周波数を特定することを特徴とする異物の判別装置。
【請求項2】
それぞれの画像の比較は、得られた複数枚の画像を重ね合わせてAIで判断する請求項1記載の異物の判別装置。
【請求項3】
画像データから
異物である抽出対象物を抽出し
た画像解析にあたり、
照射部で撮影対象物に光を照射するとともに適正露出以上に露出を上げた状態を含む複数の
光の波長を撮影対象物に照射した状態で撮影し、異なる露出の画像を
画像データ取得部で得るとともに、画像データ取得部から得られる、画像データ
である前記画像から異物
である前記抽出対象物を判別する
処理をコンピュータに実行させる異物判別方法であって、
コンピュータでは、
前記画像データを区分分割する区分分割ステップと、
ディープラーニングの手法による前記抽出対象物の特徴量の機械学習結果に基づいて、前記区分分割ステップの処理により分割された前記画像データの前記区分ごとに、前記区分が前記抽出対象物である確率を算出する画像識別ステップと、
前記画像識別ステップの処理により算出された、前記区分ごとの前記抽出対象物である確率を画素値に変換する識別結果変換ステップと、
前記識別結果変換ステップの処理により変換された前記画素値を有する画像に画像処理を行う画像処理ステップと、を備え、
撮影対象物に照射する光は、
異物
である前記抽出対象物を含んでいる撮影対象物に、紫外光から赤外線光まで波長の異なる光を連続変化させて
照射部で照射するとともに、適正露出以上に露出を上げて
画像データ取得部で撮影し、
コンピュータは、画像データ取得部で得られた撮影したそれぞれの画像で白く撮影されている面積を演算し、それぞれの画像を比較することによって、画像で最も被写体が白く撮影されているものに使用された光の周波数が異物検出に適した光の周波数と判断し、
異物検出に必要な光の周波数を特定することを特徴とする異物の判別方法。
【請求項4】
それぞれの画像の比較は、得られた複数枚の画像を重ね合わせてAIで判断する請求項3記載の異物の判別方法。
【請求項5】
画像データから
異物である抽出対象物を抽出し
た画像解析にあたり、
照射部で撮影対象物に光を照射するとともに適正露出以上に露出を上げた状態を含む複数の
光の波長を撮影対象物に照射した状態で撮影し、異なる露出の画像を
画像データ取得部で得るとともに、画像データ取得部から得られる、画像データ
である前記画像から異物
である前記抽出対象物を判別する処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
コンピュータでは、
前記画像データを区分分割する区分分割ステップと、
ディープラーニングの手法による前記抽出対象物の特徴量の機械学習結果に基づいて、前記区分分割ステップの処理により分割された前記画像データの前記区分ごとに、前記区分が前記抽出対象物である確率を算出する画像識別ステップと、
前記画像識別ステップの処理により算出された、前記区分ごとの前記抽出対象物である確率を画素値に変換する識別結果変換ステップと、
前記識別結果変換ステップの処理により変換された前記画素値を有する画像に画像処理を行う画像処理ステップと、を備え、
撮影対象物に照射する光は、
異物
である前記抽出対象物を含んでいる撮影対象物に、紫外光から赤外線光まで波長の異なる光を連続変化させて照射するとともに、適正露出以上に露出を上げて
画像データ取得部で撮影し、
コンピュータでは、画像データ取得部で得られた撮影したそれぞれの画像で白く撮影されている面積を演算し、それぞれの画像を比較することによって、画像で最も被写体が白く撮影されているものに使用された光の周波数が異物検出に適した光の周波数と判断し、
異物検出に必要な光の周波数を特定することを特徴とする異物の判別プログラム。
【請求項6】
それぞれの画像の比較は、得られた複数枚の画像を重ね合わせてAIで判断する請求項5記載の異物の判別プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異物の検出装置及び異物の検出方法ならびに異物の検出プログラムに係る。例えば、被検査物として緑色野菜中の異物である昆虫の検出装置及び異物である昆虫の検出方法ならびに異物の検出装置及び異物の検出方法ならびに異物である昆虫の検出プログラムに係る。
【背景技術】
【0002】
被検査物中の異物の検出装置及び異物の検出方法ならびに異物の検出プログラムとしては、種々のものが知られている。被検査物に、可視光及び赤外光を照射して、異物を発見する被検査物中の異物の検出装置及び異物の検出方法ならびに異物の検出プログラムとしても種々のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-033273号公報
【文献】特表2008-541007号公報
【文献】特開2002-48727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
可視光及び赤外光を照射して、異物を発見する装置としては以下のものが知られている。
特許文献1「白色系食品の異物検出装置」には、「白色系食品20に混入した有色異物を検出する白色系食品の異物検出装置において、前記白色系食品を搬送する搬送コンベア10と、該搬送コンベアの上方に設置され前記食品の光学画像を撮像するカメラ14と、該画像に対して2値化処理を含む画像処理を行い異物を検出する画像処理手段と、を備えた装置であって、前記搬送コンベア10のうち前記食品20が載置されるベルト面10aを白色光透過性材料で形成するとともに、前記搬送コンベア上の撮像領域Aより上方に位置して前記撮像領域に向けて白色光を照射する第1の白色照明16、17と、該撮像領域に対して前記ベルト面の下方から白色光を照射する第2の白色照明18と、を備えた構成とする。」。そして、「凹凸のある検出対象であっても高精度で以って異物検出を行うことができる白色系食品の異物検出装置を提供する。」とされる。
【0005】
特許文献2「食品の異物検出装置」は、「食品20に混入した毛髪、虫等の異物を検出する異物検出装置10において、前記食品20を検出領域Aに搬送する搬送コンベア11と、前記検出領域Aを挟んで少なくとも2方向から食品に対して照明光を照射する照明手段14、15と、検出領域Aの一側から前記食品の表画像を撮像する撮像カメラ12と、該撮像した表画像に対して2値化処理を含む画像処理を行い、異物を検出する画像処理手段13と、を備え、前記画像処理手段13が、前記撮像した表画像を2値化処理し、得られた2値画像のうち予め設定した黒色度の閾値を超える異常な1画素を検出した後に、該1画素に隣接する画素の異常の有無を検出し、異常画素が前記1画素を元に連続的に出現した場合に異物と判定する。このとき、異常画素が連続的な線状で出現した場合には毛髪等の繊維状異物と判定し、連続的な面積状に出現した場合には虫等の面積異物と判定する。」とされる。
【0006】
特許文献3「海苔の外観検査装置」は、「検査位置に対して上部に可視光及び赤外光を含んだ照明装置と、可視光及び赤外光を分離して受光できるカメラ装置を投受光面に対して一定の角度をもって配設し、被検体である海苔の表面の反射異物の反射光及び反射板の直射反射光とする可視光と、透過光である赤外光をカメラ装置に分離受光し、判定処理を行うことにより海苔の外形形状、カケ、穴、やぶれ、表面反射異物、表面異物、内面異物、裏面異物等の一部又は全部の検査を行う海苔の外観検査装置。」からなる。そのため、「検査位置においてコンベアを分離することなく、小型で高性能の外観検査装置を得る。産地の相違等に関わらず、検査対象海苔の寸法に若干の大小が生じていても被検体を正確に検査位置に運ぶ。」とされる。
【0007】
特許文献1、同2、同3記載発明には、被検査物に、可視光及び赤外光を照射、すること、「白色系食品の異物検出装置において、」「撮像領域に向けて白色光を照射する」については記載がある。
【0008】
しかしながら、特許文献1乃至3記載の発明では、異物の発見は容易とはいかなかった。
【0009】
他方、発明者は、以下知見した。
1.異物(本件では昆虫)が付いた撮影対象物(本件ではレタス)に光を照射し、適正露出以上に露出を上げた状態を含む複数の状態で撮影し、異なる露出の画像を得る。
2.露出を上げると撮影対象物である背景は白っぽくなり、異物が見えやすくなる。
3.異なる露出の画像データを複数得る。
4.複数の異なる露出の画像データを基に、ディープラーニングの手法により異物を検出することで、異物の発見が容易となる。
5.異物(本件では昆虫)が付いた撮影対象物(本件ではレタス)に撮影対象物色と同色乃至近似した光を照射する。例えば、レタスの場合は、緑色の光の領域(波長495-570 nm)の光を照射し、撮影対象物である白色野菜に紫色光あるいは、青色光あるいは、紫外光を照射するとともに適正露出以上に露出を上げた状態を含む複数の状態で撮影し、異なる露出の画像を得ると、更に有効である。
【0010】
更に、発明者は、異物を含んでいる撮影対象物(被写体)に、紫外光から赤外線光まで波長の異なる、例えばLED照明の光を連続変化させて(光の周波数をスィープして)、同時に適正露出以上に露出を上げて撮影した場合、画像で最も被写体が白く撮影されているものに使用された光の周波数が異物検出に適した光の周波数といえる、ことを知見した。
この光の周波数を求めるため、撮影対象物(被写体)に紫外光から赤外線光までの波長の異なる例えばLED照明の光を連続変化させて撮影し、白く撮影されている面積をコンピュータで計算することによって、異物検出に必要な光の周波数を特定することができる。
そして、撮影対象物(被写体)に、異物検出に必要な光の周波数を特定した、周波数の光をあてることで、より効率良く異物を特定できる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、
画像データから異物である抽出対象物を抽出した画像解析にあたり、
照射部で撮影対象物に光を照射するとともに適正露出以上に露出を上げた状態を含む複数の光の波長を撮影対象物に照射した状態で撮影した異なる露出の画像を画像データ取得部で得るとともに、画像データ取得部から得られる、画像データである前記画像から異物である前記抽出対象物を判別する処理をコンピュータに実行させる異物判別装置であって、
コンピュータは、
前記画像データを区分分割する区分分割手段と、
ディープラーニングの手法による前記抽出対象物の特徴量の機械学習結果を有し、前記機械学習結果に基づいて、前記区分分割手段により分割された前記画像データの前記区分ごとに、前記区分が前記抽出対象物である確率を算出する画像識別手段と、
前記画像識別手段により算出された、前記区分ごとの前記抽出対象物である確率を画素値に変換する識別結果変換手段と、
前記識別結果変換手段により変換された前記画素値を有する画像に画像処理を行う画像処理手段と、を備え、
撮影対象物に照射する光は、
異物である前記抽出対象物を含んでいる撮影対象物に、紫外光から赤外線光まで波長の異なる光を連続変化させて照射部で照射するとともに、適正露出以上に露出を上げて画像データ取得部で撮影し、
コンピュータは、画像データ取得部で得られた撮影したそれぞれの画像で白く撮影されている面積を演算し、それぞれの画像を比較することによって、画像で最も被写体が白く撮影されているものに使用された光の周波数が異物検出に適した光の周波数と判断し、
異物検出に必要な光の周波数を特定することを特徴とする異物の判別装置、
からなる。
【0012】
この発明は、
それぞれの画像の比較は、得られた複数枚の画像を重ね合わせてAIで判断する異物の判別装置、
からなる。
【0013】
この発明は、
画像データから異物である抽出対象物を抽出した画像解析にあたり、
照射部で撮影対象物に光を照射するとともに適正露出以上に露出を上げた状態を含む複数の光の波長を撮影対象物に照射した状態で撮影し、異なる露出の画像を画像データ取得部で得るとともに、画像データ取得部から得られる、画像データである前記画像から異物である前記抽出対象物を判別する処理をコンピュータに実行させる異物判別方法であって、
コンピュータでは、
前記画像データを区分分割する区分分割ステップと、
ディープラーニングの手法による前記抽出対象物の特徴量の機械学習結果に基づいて、前記区分分割ステップの処理により分割された前記画像データの前記区分ごとに、前記区分が前記抽出対象物である確率を算出する画像識別ステップと、
前記画像識別ステップの処理により算出された、前記区分ごとの前記抽出対象物である確率を画素値に変換する識別結果変換ステップと、
前記識別結果変換ステップの処理により変換された前記画素値を有する画像に画像処理を行う画像処理ステップと、を備え、
撮影対象物に照射する光は、
異物である前記抽出対象物を含んでいる撮影対象物に、紫外光から赤外線光まで波長の異なる光を連続変化させて照射部で照射するとともに、適正露出以上に露出を上げて画像データ取得部で撮影し、
コンピュータは、画像データ取得部で得られた撮影したそれぞれの画像で白く撮影されている面積を演算し、それぞれの画像を比較することによって、画像で最も被写体が白く撮影されているものに使用された光の周波数が異物検出に適した光の周波数と判断し、
異物検出に必要な光の周波数を特定することを特徴とする異物の判別方法、
からなる。
【0014】
この発明は、
それぞれの画像の比較は、得られた複数枚の画像を重ね合わせてAIで判断する異物の判別方法、
からなる。
【0015】
この発明は、
画像データから異物である抽出対象物を抽出した画像解析にあたり、
照射部で撮影対象物に光を照射するとともに適正露出以上に露出を上げた状態を含む複数の光の波長を撮影対象物に照射した状態で撮影し、異なる露出の画像を画像データ取得部で得るとともに、画像データ取得部から得られる、画像データである前記画像から異物である前記抽出対象物を判別する処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
コンピュータでは、
前記画像データを区分分割する区分分割ステップと、
ディープラーニングの手法による前記抽出対象物の特徴量の機械学習結果に基づいて、前記区分分割ステップの処理により分割された前記画像データの前記区分ごとに、前記区分が前記抽出対象物である確率を算出する画像識別ステップと、
前記画像識別ステップの処理により算出された、前記区分ごとの前記抽出対象物である確率を画素値に変換する識別結果変換ステップと、
前記識別結果変換ステップの処理により変換された前記画素値を有する画像に画像処理を行う画像処理ステップと、を備え、
撮影対象物に照射する光は、
異物である前記抽出対象物を含んでいる撮影対象物に、紫外光から赤外線光まで波長の異なる光を連続変化させて照射するとともに、適正露出以上に露出を上げて画像データ取得部で撮影し、コンピュータでは、画像データ取得部で得られた撮影したそれぞれの画像で白く撮影されている面積を演算し、それぞれの画像を比較することによって、画像で最も被写体が白く撮影されているものに使用された光の周波数が異物検出に適した光の周波数と判断し、
異物検出に必要な光の周波数を特定することを特徴とする異物の判別プログラム、
からなる。
【0016】
この発明は、
それぞれの画像の比較は、得られた複数枚の画像を重ね合わせてAIで判断する異物の判別プログラム、
からなる。
【発明の効果】
【0031】
野菜果実等撮影対象物に異物が付着した部位の判別を可能とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】この発明の実施の形態である使用状態の正面図である。
【
図2】この発明の実施の形態である画像解析装置が有する機能について説明するための機能ブロック図である。
【
図3】この発明の実施の形態である画像解析処理について説明するためのフローチャートである。
【
図4】この発明の実施の形態である画像識別処理について説明するためのフローチャートである。
【
図5】この発明の実施の形態であるディープラーニングの手法を用いた抽出対象物である昆虫の付着したレタスについての学習結果を有している識別器による処理について説明するための図である。
【
図6】この発明の実施の形態であるレタスに、可視光である緑色光を照射し適正露出で撮影したレタスと虫の見え方をあらわす図である。
【
図7】この発明の実施の形態である第1実施例のレタスに、可視光である緑色光を照射し適正露出
以上に露出を上げて撮影した画像図である。
【
図8】この発明の実施の形態である第2実施例のレタスに、可視光である緑色光を照射し適正露出
で撮影した画像図である。
【
図9】この発明の実施の形態である第2実施例のレタスに、可視光である緑色光を照射し適正露出
以上に露出を上げて撮影した画像図である。
【
図10】この発明の実施の形態である第2実施例のレタスに、可視光である緑色光を照射し適正露出以上に露出を上げて撮影した画像図である。
【
図11】この発明の実施の形態である第3実施例のレタスに、可視光である緑色光を照射し適正露出
で撮影した画像図である。
【
図12】この発明の実施の形態である第3実施例のレタスに、可視光である緑色光を照射し適正露出
以上に露出を上げて撮影した画像図である。
【
図13】この発明の実施の形態である第3実施例のレタスに、可視光である緑色光を照射し適正露出以上に露出を上げて撮影した画像図である。
【
図14】この発明の実施の形態である第4実施例のレタスに、可視光である緑色光を照射し適正露出で撮影した画像図である。
【
図15】この発明の実施の形態である第4実施例のレタスに、可視光である緑色光を照射し適正露出以上に露出を上げて撮影した画像図である。
【
図16】この発明の実施の形態である第4実施例のレタスに、可視光である緑色光を照射し適正露出以上に露出を上げて撮影した画像図である。
【
図17】この発明の実施の形態である第5実施例のレタスに、可視光である緑色光を照射し適正露出で撮影した画像図である。
【
図18】この発明の実施の形態である第5実施例のレタスに、可視光である緑色光を照射し適正露出以上に露出を上げて撮影した画像図である。
【
図19】この発明の実施の形態である第5実施例のレタスに、可視光である緑色光を照射し適正露出以上に露出を上げて撮影した画像図である。
【
図20】この発明の実施の形態である第6実施例のレタスに、可視光である緑色光を照射し適正露出で撮影した画像図である。
【
図21】この発明の実施の形態である第6実施例のレタスに、可視光である緑色光を照射し適正露出以上に露出を上げて撮影した画像図である。
【
図22】この発明の実施の形態である第6実施例のレタスに、可視光である緑色光を照射し適正露出以上に露出を上げて撮影した画像図である。
【
図23】この発明の実施の形態である第6実施例のレタスに、可視光である緑色光を照射し適正露出以上に露出を上げて撮影した画像図である。
【
図24】この発明の実施の形態である第6実施例のレタスに、可視光である緑色光を照射し適正露出以上に露出を上げて撮影した画像図である。
【
図25】この発明の実施の形態である第6実施例のレタスに、可視光である緑色光を照射し適正露出以上に露出を上げて撮影した画像図である。
【
図26】この発明の実施の形態である第6実施例のレタスに、可視光である緑色光を照射し適正露出以上に露出を上げて撮影した画像図である。
【
図27】この発明の実施の形態である第6実施例のレタスに、可視光である緑色光を照射し適正露出以上に露出を上げて撮影した画像図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の一実施の形態の画像判別装置について、
図1~
図27に基づき説明する。
第1実施例
異物の判別装置、異物の判別方法、ならびに異物の判別プログラムの実施の形態について、説明する。
異物の判別装置である画像判別装置1は、照射部(照射手段)11、画像データ取得部(画像データ取得手段)21、操作入力情報取得部(操作入力情報取得手段)12、画像データ分割処理部(画像データ分割処理手段、区分分割手段)13、画像識別処理部(画像識別処理手段)14、識別結果変換処理部(識別結果変換処理手段)15、画像処理部(画像処理手段)16、出力処理部(出力処理手段)17、および、記憶部(記憶手段)18を有する。
【0034】
照射部11は、第1実施例に係るこの実施の形態では、緑色野菜W、この実施例では、レタスでは、照射部11では同色同系色、近似した色の光であるLEDの緑色光(495-570 nm)を使用する。
なお、可視光の波長は以下とされる。
紫 380-450 nm
青 450-495 nm
緑 495-570 nm
黄 570-590 nm
橙 590-620 nm
赤 620-750 nm
赤外線光の波長は、以下とされる。
近赤外線は、波長がおよそ0.7 - 2.5 μm
中赤外線は、波長がおよそ2.5 - 4 μm
遠赤外線は、波長がおよそ4 - 1000 μm
紫外線は、10 - 400 nm
【0035】
緑色野菜、緑色果実としては、
モロヘイヤ、にら、さやいんげん、ささげ、藤豆、青梗菜(チンゲンサイ)、山椒(さんしょう)、枝豆、そら豆、ターツァイ、かぼす、ハーブ類、アボガド(アボカド)、アロエ、すだち、ライム、キウイ、すいか、メロン、ブロッコリー、つるむらさき、春菊、ほうれん草類、からし菜類、広島菜、壬生菜、セロリ、ふき、アーティチョーク、小松菜、きゅうり、レタス、サラダ菜、エンダイブ、オクラ、おかひじき、つる菜、えんどう、ピーマン、大阪白菜、クレソン、アスパラガス、あしたば、青じそ(大葉)、かぼちゃがある。
【0036】
適正露出と露出過多
図1に図示するように、撮影対象物Wである、緑色野菜この実施例では、レタスには、抽出対象物である異物A、この実施例では昆虫Aがついている。
異物(本件では昆虫A)が付いた撮影対象物W(本件ではレタス)に撮影対象物色と同色乃至近似した光を照射する。レタスの場合は、緑色の光の領域(波長495-570 nm)を照射する。
レタスに、緑色光を照射するとともに、適正露出以上に露出を上げて撮影し、緑色光の反射光を取り入れ画像データを得て、画像データから異物を判別する異物の判別装置、異物の判別方法、ならびに異物の判別プログラムからなる。
露出を上げると撮影対象物W(本件ではレタス)である背景は白っぽくなり、異物Aが見えやすくなる。
そこで、適正露出の画像を含め、適正露出以上に露出を上げた露出過多の画像等、異なる露出の画像を複数得る。
得られた複数の画像を基に、ディープラーニングの手法によることで、異物の発見が容易となる。
【0037】
図6は、この発明の実施の形態である第1実施例のレタスに、可視光である緑色光を照射し適正露出で撮影した画像図である。
図7この発明の実施の形態である第1実施例のレタスに、可視光である緑色光を照射し適正露出以上に露出を上げて撮影した画像図である。
【0038】
第2実施例
図8は、この発明の実施の形態である第2実施例のレタスに、可視光である緑色光を照射し適正露出で撮影した画像図である。
図9、
図10は、この発明の実施の形態である第2実施例のレタスに、可視光である緑色光を照射し適正露出以上に露出を上げて撮影した画像図である。
【0039】
第3実施例
図11は、この発明の実施の形態である第3実施例のレタスに、可視光である緑色光を照射し適正露出で撮影した画像図である。
図12、
図13は、この発明の実施の形態である第3実施例のレタスに、可視光である緑色光を照射し適正露出以上に露出を上げて撮影した画像図である。
【0040】
第4実施例
図14は、この発明の実施の形態である第4実施例のレタスに、可視光である緑色光を照射し適正露出で撮影した画像図である。
図15、
図16は、この発明の実施の形態である第4実施例のレタスに、可視光である緑色光を照射し適正露出以上に露出を上げて撮影した画像図である。
【0041】
第5実施例
図17は、この発明の実施の形態である第5実施例のレタスに、可視光である緑色光を照射適正露出で撮影した画像図である。
図18、
図19は、この発明の実施の形態である第5実施例のレタスに、可視光である緑色光を照射し適正露出以上に露出を上げて撮影した画像図である。
【0042】
第6実施例
図20は、この発明の実施の形態である第6実施例のレタスに、可視光である緑色光を照射し適正露出で撮影した画像図である。
図21、
図22、
図23、
図24、
図25、
図26、
図27は、この発明の実施の形態である第6実施例のレタスに、可視光である緑色光を照射し適正露出以上に露出を上げて撮影した画像図である。
【0043】
第7実施例
第7実施例に係るこの実施の形態では、赤色野菜、赤色果物Wでは、照射部11では同色同系色、近似した色の光であるLEDの赤色光(620-750 nm)あるいは、近赤外線(0.7 - 2.5 μm)を使用する。
赤色野菜、赤色果物としては、にんじん、トマト、いちご、スイカ、トウガラシ、パプリカ、茗荷(みょうが)、ビーツ、りんご、さくらんぼ、桃(もも)、ルバーブ、唐辛子、赤ピーマンがある。
【0044】
適正露出と露出過多
図1に図示するように、撮影対象物Wである、赤色野菜、赤色果物Wこの実施例では、ニンジンには、異物A、この実施例では昆虫Aがついている。
異物(本件では昆虫A)が付いた撮影対象物W(本件ではニンジン)に撮影対象物色と同色乃至近似した光を照射する。ニンジンの場合は、赤色光(620-750 nm)あるいは、近赤外線(0.7 - 2.5 μm)を照射する。
適正露出以上に露出を上げて撮影し、赤色光または近赤外線光の反射光を取り入れ画像データを得て、画像データから異物を判別する異物の判別装置、異物の判別方法、ならびに異物の判別プログラムからなる。
【0045】
露出を上げると撮影対象物W(本件ではニンジン)である背景は白っぽくなり、異物が見えやすくなる。
そこで、適正露出の画像を含め、適正露出以上に露出を上げた露出過多の画像等、異なる露出の画像を複数得る。
得られた複数の画像を基に、ディープラーニングの手法によることで、異物の発見が容易となる。
【0046】
第8実施例
第8実施例に係るこの実施の形態では、照射部11は、この実施の形態では、オレンジ色野菜、オレンジ色果実Wでは、照射部11では同色同系色、近似した色の光であるLEDのオレンジ色、橙色 光(590-620 nm)を使用する。
オレンジ色野菜、オレンジ色果実としては、かぼちゃ、にんじん、パパイヤ、柿、ゆず、マンゴー、あんず、オレンジ、びわがある。
【0047】
適正露出と露出過多
図1に図示するように、撮影対象物Wである、オレンジ色野菜、オレンジ色果実この実施例では、かぼちゃには、異物A、この実施例では昆虫Aがついている。
異物(本件では昆虫A)が付いた撮影対象物W(本件ではかぼちゃ)に撮影対象物色と同色乃至近似した光を照射する。かぼちゃの場合は、オレンジ色、橙色 光(590-620 nm)の光の領域を照射する。
【0048】
上に露出を上げて撮影し、オレンジ色橙色 光(590-620 nm)の反射光を取り入れ画像データを得て、画像データから異物を判別する異物の判別装置、異物の判別方法、ならびに異物の判別プログラムからなる。
露出を上げると撮影対象物W(本件ではかぼちゃ)である背景は白っぽくなり、異物が見えやすくなる。
そこで、適正露出の画像を含め、適正露出以上に露出を上げた露出過多の画像等、異なる露出の画像を複数得る。
得られた複数の画像を基に、ディープラーニングの手法によることで、異物の発見が容易となる。
【0049】
第9実施例
第9実施例に係るこの実施の形態では、照射部11は、この実施の形態では、黄色野菜、黄色果実Wでは、照射部11では同色同系色、近似した色の光であるLEDの黄色光(570-590 nm)を使用する。
黄色野菜、黄色果実としては、かぼちゃ、たまねぎ、レモン、きんかん、梨(ナシ)、パイナップル、グレープフルーツ、バナナ、とうもろこしがある。
【0050】
適正露出と露出過多
図1に図示するように、撮影対象物Wである、黄色野菜、黄色果実この実施例では、たまねぎには、異物A、この実施例では昆虫Aがついている。
異物(本件では昆虫A)が付いた撮影対象物W(本件ではたまねぎ)に撮影対象物色と同色乃至近似した光を照射する。たまねぎの場合は、黄色光(570-590 nm)の光の領域を照射する。
たまねぎに、黄色光(570-590 nm)を照射するとともに、適正露出以上に露出を上げて撮影し、
黄色光(570-590 nm)の反射光を取り入れ画像データを得て、画像データから異物を判別する異物の判別装置、異物の判別方法、ならびに異物の判別プログラムからなる。
露出を上げると撮影対象物W(本件ではたまねぎ)である背景は白っぽくなり、異物が見えやすくなる。
そこで、適正露出の画像を含め、適正露出以上に露出を上げた露出過多の画像等、異なる露出の画像を複数得る。
得られた複数の画像を基に、ディープラーニングの手法によることで、異物の発見が容易となる。
【0051】
第10実施例
第10実施例に係るこの実施の形態では、照射部11は、この実施の形態では、紫色野菜、紫色果実Wでは、照射部11では同色同系色、近似した色の光であるLEDの紫色光(380-450 nm)を使用する。
紫色野菜、紫色果実としては、ブルーベリー、なす、ベリー類、ぶどうがある。
【0052】
適正露出と露出過多
図1に図示するように、撮影対象物Wである、紫色野菜、紫色果実この実施例では、なすには、異物A、この実施例では昆虫Aがついている。
異物(本件では昆虫A)が付いた撮影対象物W(本件ではなす)に撮影対象物色と同色乃至近似した光を照射する。なすの場合は、紫色光(380-450 nm)の光の領域を照射する。
なすに、紫色光(380-450 nm)を照射するとともに、適正露出以上に露出を上げて撮影し、
紫色光(380-450 nm)の反射光を取り入れ画像データを得て、画像データから異物を判別する異物の判別装置、異物の判別方法、ならびに異物の判別プログラムからなる。
露出を上げると撮影対象物W(本件ではなす)である背景は白っぽくなり、異物が見えやすくなる。
そこで、適正露出の画像を含め、適正露出以上に露出を上げた露出過多の画像等、異なる露出の画像を複数得る。
得られた複数の画像を基に、ディープラーニングの手法によることで、異物の発見が容易となる。
【0053】
第11実施例
第11実施例に係るこの実施の形態では、照射部11は、この実施の形態では、白色野菜、白色果実Wでは、照射部11ではLEDの紫色光(380-450 nm)あるいは、青色光(450-495 nm)あるいは、紫外光(10 - 400 nm)を使用する。
白色野菜、白色果実としては、大根、キャベツ、わさび、ねぎ、にんにく、たまねぎ、セロリアック(セロリラブ)、かぶ、れんこん、ゆり根、もやし、かいわれ菜、うど、たけのこ、白菜、チコリ(アンディーブ)がある。
【0054】
適正露出と露出過多
図1に図示するように、撮影対象物Wである、白色野菜、白色果実この実施例では、大根には、異物A、この実施例では昆虫Aがついている。
異物(本件では昆虫A)が付いた撮影対象物W(本件では大根)に大根の場合は、紫色光(380-450 nm)あるいは、青色光(450-495 nm)あるいは、紫外光(10 - 400 nm)の光の領域を照射する。
大根に、紫色光(380-450 nm)あるいは、青色光(450-495 nm)あるいは、紫外光(10 - 400 nm)を照射するとともに、適正露出以上に露出を上げて撮影し、紫色光(380-450 nm)等の反射光を取り入れ画像データを得て、画像データから異物を判別する異物の判別装置、異物の判別方法、ならびに異物の判別プログラムからなる。
露出を上げると撮影対象物W(本件では大根)である背景は白っぽくなり、異物が見えやすくなる。
そこで、適正露出の画像を含め、適正露出以上に露出を上げた露出過多の画像等、異なる露出の画像を複数得る。
得られた複数の画像を基に、ディープラーニングの手法によることで、異物の発見が容易となる。
【0055】
第12実施例
第12実施例では、異物を含んでいる撮影対象物(被写体)に、紫外光から赤外線光まで波長の異なる例えばLED照明の光を連続変化させて照射する(光の周波数をスィープして)、とともに、適正露出以上に露出を上げて撮影した場合、画像で最も被写体が白く撮影されているものに使用された光の周波数が異物検出に適した光の周波数といえる。
この光の周波数を求めるため、撮影対象物(被写体)に紫外光から赤外線光までの波長の異なる例えばLED照明の光を連続変化させて撮影し、撮影したそれぞれの画像で白く撮影されている面積をコンピュータで演算、計算することによって、それぞれの画像を比較する。得られた画像で最も被写体が白く撮影されているものに使用された光の周波数が異物検出に適した光の周波数と判断し、異物検出に必要な光の周波数を特定し、その光の周波数を使用する。
【0056】
適正露出と露出過多
図1に図示するように、撮影対象物Wである、緑色野菜この実施例では、レタスには、抽出対象物である異物A、この実施例では昆虫Aがついている。
異物(本件では昆虫A)が付いた撮影対象物W(本件ではレタス)に、適正露出以上に露出を上げて撮影した場合、画像で最も被写体が白く撮影されているものに使用された光の周波数の光を照射する。レタスの場合は、緑色の光の領域(波長495-570 nm)を照射する。
レタスに、緑色光を照射するとともに、適正露出以上に露出を上げて撮影し、緑色光の反射光を取り入れ画像データを得て、画像データから異物を判別する異物の判別装置、異物の判別方法、ならびに異物の判別プログラムからなる。
露出を上げると撮影対象物W(本件ではレタス)である背景は白っぽくなり、異物Aが見えやすくなる。
そこで、適正露出の画像を含め、適正露出以上に露出を上げた露出過多の画像等、異なる露出の画像を複数得る。
得られた複数の画像を基に、ディープラーニングの手法によることで、異物の発見が容易となる。
【0057】
画像データ取得部(画像データ取得手段)21は、撮影部であって、照射部11からの反射光を受光する。
画像データ取得部(画像データ取得手段)21は、例えば、デジタルスチルカメラ、ラインセンサカメラ等により第1実施例乃至第12実施例で撮像された、検査対象物の画像データを取得し、画像データ分割処理部13に供給する。
図6乃至
図27に図示する第1実施例乃至第12実施例で撮像された、異なる露出の画像データで受光された画像を重ね合わせた画像を得る。
【0058】
昆虫検出の仕方
第1実施例乃至第12実施例では、昆虫Aは、露出を変化させることで、白っぽい撮影対象物Wである背景に黒い点として検出されるため色と形状をAIに学習させ形状によって識別させることが出来る(
図6乃至
図27参照)。
【0059】
第1実施例乃至第12実施例で、二値化は、不要である。
ディープラーニングを用いたAIに学習させる方法をとらないと色と形状を用いた異物である昆虫Aの検出が困難であるので必ずディープラーニングを用いたAIを使用する必要がある。
人工知能 (AI) の一部であるディープラーニングは、人間と同じように、コンピューターがrawデータから新しい概念を習得できるようにするものである。ディープラーニングシステムでは、特定のイメージをそれぞれ数千通り確認すると、その違いを特定できる。
【0060】
得られた画像を重ね合わせ、AIで判断する。
異なる露出で受光した画像を得て、重ね合わせた画像を得る。
【0061】
操作入力情報取得部12は、入力部2から入力される、ユーザの操作入力を取得し、画像データ分割処理部13、画像識別処理部14、識別結果変換処理部15、画像処理部16、および、出力処理部17の各部に、ユーザの操作入力に対応する情報を供給する。
【0062】
画像データ分割処理部13は、画像データ取得部21から供給された
図3乃至
図9に図示する紫色光で受光した画像および青色光で受光した画像、赤外線光で受光された画像を重ね合わせた画像についての画像データを区分分割し、所定の大きさの正方形のセルとして、画像識別処理部14、または、画像処理部16に供給する。
画像データ分割処理部13により分割されるセルの大きさは、ユーザにより指定可能で
ある。画像データ分割処理部13は、区分分割手段に対応する。また、セルは、区分分割手段により分割された区分に対応する。なお、セルは、画像データ分割処理部13により分割された区分に対応する所定の大きさの画像領域であり、縦横同画素数数からなる画素の正方形の領域で構成しても、縦横のサイズの異なる長方形の領域で構成されるようにしてもよい。
【0063】
画像識別処理部14は、ディープラーニング(Deep learning)の手法を用いた抽出対象物の学習結果を有しており、供給された画像データから抽出対象物の特徴量を発見する。例えば、異なる露出で昆虫Aは黒く映る画像から、ディープラーニングの手法を用いて昆虫Aを見分ける特徴量の学習を行った画像識別処理部14は、供給された画像データから抽出対象物である昆虫Aを識別することが可能である。
【0064】
ディープラーニングは、人間の脳の神経細胞のネットワーク(ニューラルネットワーク)を模倣したものであり、ニューラルネットワーク(多層ネットワーク)の層を深くすることによって、画像や音声などに含まれる特徴量を学習結果に基づいて発見することが可能な情報処理技術である。
従来の、画像や音声等の認識・識別技術では、ユーザが特徴量を設定し、その後、その特徴量を基に分類アルゴリズムにかけて、抽出対象物が分類されていたが、ディープラーニングを用いて、画像識別処理部14に機械学習を行わせることにより、ユーザによる特徴量の設定を必要とすることなく、抽出対象物を抽出することが可能である。画像識別処理部14は、画像データ分割処理部13、または、画像処理部16から供給された画像データを構成するそれぞれのセルが抽出対象物である確率を算出し、識別結果変換処理部15に供給する。画像識別処理部14は、画像識別手段に対応する。
【0065】
識別結果変換処理部15は、画像識別処理部14から供給された、画像データを構成するそれぞれのセルが抽出対象物である確率を後述する方法によって画素値に変換し、各セルをその変換された画素値に応じた画像データを生成し、画像処理部16に供給する。識別結果変換処理部15は、例えば、トーンカーブ(または、ルックアップテーブル)を参照し、それぞれのセルが対象物である確率(0%から100%)を、0から255の値を有する画素値に変換する。例えば、抽出対象物であるセルの確率が100%であった場合にはトーンカーブに基づいて画素値を255に変換する。識別結果変換処理部15は、識別結果変換手段に対応する。
【0066】
画像処理部16は、識別結果変換処理部15から供給された、各セルの画素値が抽出対象物である確率を示す画像データに対して、または、画像データ分割処理部13から供給された、区分分割されたセル画像データに対して、例えば、閾値などを用いたノイズ除去、昆虫Aを見分ける処理者の知見、膨張処理、クロージング処理、骨格線抽出処理などを反映した画像処理を実行し、処理後の画像データを、画像識別処理部14、または、出力処理部17に供給する。画像処理部16は、画像処理手段に対応する。
【0067】
ここで、画像データ分割処理部13によりセルに分割された画像データは、画像識別処理部14および画像処理部16のうちのどちらで先に処理をされるものであっても構わない。また、画像データ分割処理部13によりセルに分割された画像データは、画像識別処理部14または画像処理部16において、複数回処理されるものであっても構わない。画像判別装置1においては、入力部2により入力されたユーザの操作入力に基づいて、入力される画像データおよび抽出対象物の特徴に適するように、画像識別処理部14および画像処理部16における処理の順序および回数を設定することが可能である。
【0068】
出力処理部17は、画像処理部16から供給された処理後の画像データを、出力部3に供給して出力させたり、記憶部18に供給して記憶させる。また、出力処理部17は、記憶部18に記憶されている処理後の画像データを読み出し、出力部3に供給して出力させる。
記憶部18は、内蔵された記憶媒体、または、装着されたリムーバブル記憶媒体に、出力処理部17から供給された処理後の画像データを記憶する。
【0069】
画像判別装置1においては、画像識別処理部14において識別された、画像データを構成するそれぞれのセルが抽出対象物である確率を、識別結果変換処理部15において、画像データに変換し、その画像データを処理することにより、抽出対象物を検出することができる。したがって、異なる時期に撮影した画像の全体的な輝度等が異なる場合であっても、解析結果はその影響を受けることがなく、同部分の経時変化を比較する場合に用いて好適である。
【0070】
次に、
図2のフローチャートを参照して、画像判別装置1が実行する処理の一例として、野菜に付着した昆虫Aの多くの画像から、ディープラーニングの手法を用いた昆虫Sが付着した野菜の特徴量の学習を行った画像識別処理部14を備える画像判別装置1が実行する画像解析処理1について説明する。
【0071】
ステップS1において、画像データ取得部21は、解析する対象となる画像データを取得し、画像データ分割処理部13に供給する。
【0072】
ステップS2において、画像データ分割処理部13は、解析する画像データを区分分割し、画像識別処理部14に供給する。区分分割された1セルの大きさは、解析する画像データの種類や抽出対象物によってユーザが設定可能であってもよい。1つのセルは、解析する画像データを、例えば、縦64画素×横64画素のように正方形で構成されるようにしてもよいし、縦横のサイズの異なる長方形で構成されるようにしてもよい。また、1つのセルは、昆虫Aの1cm四方を1セルにしてもよいし、5cm四方を1セルにしてもよい。単位画素あたりの画像解像度を自由に設定することが可能である。
【0073】
ステップS3において、
図3を用いて後述する画像識別処理が実行される。
【0074】
ステップS4において、識別結果変換処理部15は、画像識別処理による識別結果、すなわち、画像識別処理部14により算出された、それぞれのセルが抽出対象物である確率を、例えば、トーンカーブに基づいて、画素値に変換し、画像処理部16に供給する。
【0075】
ステップS5において、
図4を用いて後述する従来型画像処理1が実行される。
【0076】
ステップS6において、出力処理部17は、画像処理部16から供給された処理後の画像解析結果を記憶部18に供給する。記憶部18は、供給された画像解析結果を記憶する。また、出力処理部17は、画像処理部16から供給された処理後の画像解析結果を出力部3に供給して出力させ、処理が終了される。
【0077】
このような処理により、画像データを構成するそれぞれのセルが抽出対象物である確率が、画像データに変換され、その画像データを用いて、抽出対象物が検出されるので、画像の全体的な輝度等が異なる場合であっても、解析結果はその影響を受けることがない。
また、このようにして得られた対象物の抽出結果には、例えば、昆虫Aと紛らわしい部分が昆虫Aとともに抽出されてしまうことがなく、目視の確認に近い解析結果を得ることが可能となる。
【0078】
次に、
図3のフローチャートを参照して、ステップS3において実行される画像識別処理について説明する。
【0079】
ステップS11において、画像識別処理部14は、操作入力情報取得部12から供給されるユーザの操作入力に基づいて、識別するべきターゲットの指定を受ける。ここでは、画像識別処理部14は、識別するべきターゲットとして、昆虫Aの指定を受ける。
【0080】
ステップS12において、画像識別処理部14は、学習結果に基づいて、ターゲットの識別処理を実行する。
【0081】
13において、画像識別処理部14は、ステップS12の処理による識別結果に基づいて、セルごとに、ターゲットに含まれる画素の画素値が抽出対象である確率を算出して、識別結果変換処理部15に供給し、処理は、
図3のステップS4に戻る。
【0082】
このような処理により、画像識別処理部14は、ディープラーニングの手法を用いて、例えば、昆虫Aが付着した野菜の多くの画像から得た特徴量の学習結果に基づいて、ユーザによる特徴量の設定を必要とすることなく、昆虫Aと紛らわしい部分等に対応する部分を排除して、抽出対象物を抽出することが可能である。
【0083】
次に、
図4のフローチャートを参照して、
図2のステップS5において実行される従来型画像処理1について説明する。
【0084】
ステップS21において、画像処理部16は、識別結果変換処理部15から供給された画素値を有するセル画像データ、すなわち、セル画像の画素値が抽出対象物である確率を示す画像データに対して、所定の閾値以下の画素値を有するセル画像の画素値を0とする。識別結果変換処理部15から供給された画像データが、昆虫Aの存在する確率が高いセルが画素値の高いドットで示され、昆虫Aの存在する確率が低いセルが画素値の低いドットで示されている画像データである。
【0085】
画素値の70%を閾値として、それ以下の画素値を有するセルについては、画素値を0とした場合、例えば、野菜に付着した昆虫A中で存在する昆虫Aの特徴と近い特徴を有している昆虫Aと紛らわしい部分によるノイズ成分がある程度除去された画像データが得られる。
【0086】
ステップS22において、画像処理部16は、ステップS21の処理により画素値ありとなったドットの面積を広げる膨張処理を実行する。この処理により、
図6乃至
図27等の画像のうち、野菜に付着した昆虫Aの検出されている部分が、表される。
【0087】
ステップS23において、画像処理部16は、ステップS22の処理により得られた画像データから、連続している画素の長さを検出し、所定の閾値以下の長さとなる成分を除去する。この処理により、
図6乃至
図27等の画像データのうち、昆虫Aと紛らわしい部分や、ステップS21の処理によって削除できなかったノイズ成分が除去された画像データを得ることができる。
【0088】
ステップS24において、画像処理部16は、ステップS23の処理により得られた画像データのエッジ部分を滑らかにするクロージング処理を実行する。この処理により、
図6乃至
図27等に示された画像データから、画像データを得ることができる。
【0089】
ステップS25において、画像処理部16は、ステップS24の処理により得られた画像データに対して、骨格線抽出処理を実行することにより、ステップS22の膨張処理により膨張された、野菜に付着した昆虫Aの形状に戻して、画像データを得ることができる。
【0090】
ステップS26において、画像処理部16は、ステップS25の処理により得られた画像データの連続している画素の長さを検出し、所定の閾値以下の長さとなる成分を除去する。この処理により、画像データのうち、昆虫Aと紛らわしい部分や、ステップS21およびステップS23の処理によって削除できなかったノイズ成分が除去され、
図3に示されるような画像データを得ることができる。ステップS26の処理の終了後、処理は、
図2のステップS6に戻る。
【0091】
このような処理により、画像処理部16は、識別結果変換処理部15から供給され、各ドットの画素値が抽出対象物である確率を示す画像データに対して、従来行われていた画像処理をさらに行うことにより、ディープラーニングの手法を用いた抽出対象物の学習結果を有している識別器による画像識別結果よりも精度良く、検出するべき対象物を抽出することが可能となる。
【0092】
これに対して、抽出結果を出力可能な識別器と同等の能力を有する画像識別処理部14を用いて検出された、それぞれのセルが抽出対象物である確率を、識別結果変換処理部15により画像データに変換し、野菜Wの中で存在する昆虫Aに関する知見を反映した画像処理機能を有する画像処理部16によって処理した場合、昆虫Aに近いノイズ成分が除去された抽出結果を得ることが可能となる。このようにして、画像判別装置1を用いて、目視の確認に近い解析結果を得ることが可能となる。
【0093】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行することもできるし、ソフトウェアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行する場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、プログラム記録媒体からインストールされる。
【符号の説明】
【0094】
1 画像判別装置(異物の判別装置)
2 入力部
3 出力部
11 照射部
12 操作入力情報取得部(操作入力情報取得手段)
13 画像データ分割処理部(画像データ分割処理手段、区分分割手段)
14 画像識別処理部(画像識別処理手段)
15 識別結果変換処理部(識別結果変換処理手段)
16 画像処理部(画像処理手段)
17 出力処理部(出力処理手段)
18 記憶部(記憶手段)
21 画像データ取得部(画像データ取得手段)
A 抽出対象物(昆虫)
W 撮影対象物