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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-20
(45)【発行日】2023-03-29
(54)【発明の名称】基礎パッキン用連結部材
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/64 20060101AFI20230322BHJP
   E04B 1/70 20060101ALI20230322BHJP
【FI】
E04B1/64 A
E04B1/70 C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019116839
(22)【出願日】2019-06-25
(65)【公開番号】P2021001518
(43)【公開日】2021-01-07
【審査請求日】2022-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】390004145
【氏名又は名称】城東テクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】成田 宏和
(72)【発明者】
【氏名】出野 久一
【審査官】齋藤 卓司
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-044346(JP,A)
【文献】特開2003-247241(JP,A)
【文献】特開2001-098651(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/64
E04B 1/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎上に隣接して配置される長尺な2つの基礎パッキンの長手方向の端部同士を連結するための基礎パッキン用連結部材であって、
前記基礎パッキンの前記長手方向に沿う側面に設けられた凹部に挿着可能な少なくとも2つの挿着部材と、
一方向に沿って延在し、前記少なくとも2つの挿着部材を前記一方向に並べた状態で保持することが可能な保持部材とを備えており、
前記保持部材は、前記少なくとも2つの挿着部材のうちの少なくとも一方の挿着部材を保持する保持位置を、前記一方向において可変可能に構成されていることを特徴とする基礎パッキン用連結部材。
【請求項2】
前記挿着部材、及び、前記保持部材の少なくともいずれかが弾性を有していることを特徴とする請求項1に記載の基礎パッキン用連結部材。
【請求項3】
前記一方の挿着部材は、前記保持部材に対して前記一方向に沿う側面側から装着保持可能とされていることを特徴とする請求項1又は2に記載の基礎パッキン用連結部材。
【請求項4】
前記保持部材が弾性を有し、
前記挿着部材は、前記基礎パッキンに係合する係合爪を有していることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の基礎パッキン用連結部材。
【請求項5】
前記一方の挿着部材は、前記凹部に挿入する先端とは反対側の基部に、歯が形成されており、
前記保持部材には、前記一方向に沿って配列され、前記一方の挿着部材の前記歯と噛合可能な複数の歯を有しており、
前記一方の挿着部材を保持する前記保持位置は、前記一方向において、前記一方の挿着部材の歯と前記保持部材の歯との噛合位置を変更することで、変更されることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の基礎パッキン用連結部材。
【請求項6】
前記一方の挿着部材は、前記保持部材に対して上下方向の移動を規制する規制部を有していることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の基礎パッキン用連結部材。
【請求項7】
前記基礎パッキンに設けられた前記凹部は、床下換気用の通気孔であり、
前記保持部材の厚みが、前記通気孔の高さよりも小さいことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の基礎パッキン用連結部材。
【請求項8】
前記保持部材は、前記一方向に沿って延在する第1保持部及び第2保持部を有しており、
前記一方向において、前記第1保持部の一端部と前記第2保持部の他端部とが着脱可能に連結されていることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の基礎パッキン用連結部材。
【請求項9】
前記第1保持部は、前記第2保持部と連結された状態で前記第2保持部に対して水平方向に回転可能に構成されていることを特徴とする請求項8に記載の基礎パッキン用連結部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の基礎と土台との間に配置されて用いられる基礎パッキンを連結する基礎パッキン用連結部材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅等の建物において、基礎と土台との間に基礎パッキンが敷設される基礎パッキン工法が広く用いられている。この基礎パッキン工法において、長尺状の基礎パッキンの端部同士を連結しつつ基礎上に連続して配置することが行われている。この基礎パッキン同士を連結する連結部材(ジョイナー)として、断面形状がコの字状のクリップ形式のものが提案されている(特許文献1参照)。この連結部材は、基礎パッキンの両端部上面に設けられた凹部に上方から掛け留めすることで、基礎パッキン同士を連結するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-282129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の連結部材においては、基礎パッキンを連結する際に基礎パッキンの上方から掛け留めするため、連結部材が基礎パッキンの上面から僅かに出っ張り、土台と干渉するという問題が生じる。また、この出っ張りによって、基礎パッキンと土台との間に不陸(隙間)が生じたり、該不陸が生じたときに基礎パッキンと土台との間に差し込まれて使用される調整板(薄板のスペーサ)とも干渉したり、調整板を差し込む作業の邪魔になるおそれがある。さらに、連結部材は基礎パッキンの上方から掛け留めするため、基礎パッキン上に既に土台が配置された既存の建物の基礎パッキンには連結部材を取り付けることができないという問題が生じる。
【0005】
そこで、本発明の目的は、土台や調整板と干渉させずに基礎パッキン同士を連結することが可能であるとともに、土台が基礎パッキン上に配置された状態であっても、基礎パッキン同士を連結することが可能な基礎パッキン用連結部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の基礎パッキン用連結部材は、基礎上に隣接して配置される長尺な2つの基礎パッキンの長手方向の端部同士を連結するための基礎パッキン用連結部材であって、前記基礎パッキンの前記長手方向に沿う側面に設けられた凹部に挿着可能な少なくとも2つの挿着部材と、一方向に沿って延在し、前記少なくとも2つの挿着部材を前記一方向に並べた状態で保持することが可能な保持部材とを備えており、前記保持部材は、前記少なくとも2つの挿着部材のうちの少なくとも一方の挿着部材を保持する保持位置を、前記一方向において可変可能に構成されている。
【0007】
これによると、基礎上に隣接して配置される2つの基礎パッキンのうちの一方の基礎パッキンの凹部に一方の挿着部材を、他方の基礎パッキンの凹部に他方の挿着部材を、基礎パッキンの一側面側からそれぞれ挿し込んで挿着し、これら挿着部材を保持部材で連結することで、2つの基礎パッキンの長手方向の端部同士を連結することが可能となる。このため、連結部材を土台や調整板と干渉させずに基礎パッキン同士を連結することが可能であるとともに、基礎パッキン上に土台を配置する前、基礎パッキン上に土台を配置した後、土台が基礎パッキン上に配置された状態(例えば、既存の建物の基礎パッキン)といった多様なシチュエーションにおいて、基礎パッキン同士を連結部材で連結することが可能である。さらに、基礎パッキン同士を側面側から連結することによって、基礎パッキンの端部同士が水平方向にずれるのを効果的に防止し、建物の耐震性を一段と向上させることができる。
【0008】
本発明において、前記挿着部材、及び、前記保持部材の少なくともいずれかが弾性を有していることが好ましい。これにより、基礎上に不陸が発生した場合、基礎パッキンを切断又は折断して用いる場合、基礎パッキンの配置にズレが生じた場合等により、一方の挿着部材を挿着する一方の基礎パッキンの凹部と、他方の挿着部材を挿着する他方の基礎パッキンの凹部との間の距離に僅かな誤差が生じたとしても、挿着部材、及び、保持部材の少なくともいずれかの弾性により、しならせて当該誤差を吸収し、基礎パッキン同士を連結することができる。
【0009】
また、本発明において、前記一方の挿着部材を、前記保持部材に対して前記一方向に沿う側面側から装着保持可能とするのが好ましい。これにより、保持部材の装着位置を決めたうえで挿着部材を保持部材の側面側から装着することができるので、連結部材を基礎パッキンに取付ける作業がより容易とできる。また、連結部材を基礎パッキンに取付けた後であっても、挿着部材を追加することもできる。さらに、挿着部材を保持部材の側面側から着脱自在に装着できるようにしておくことがより好ましい。これにより、連結部材を基礎パッキンに取付けた後であっても、挿着部材の挿着位置を変えたり、挿着部材を取り換えたりすることもできる。
【0010】
また、本発明において、前記保持部材が弾性を有し、前記挿着部材は、前記基礎パッキンに係合する係合爪を有していることが好ましい。これにより、保持部材の弾性によるしなりを利用して、基礎パッキンの凹部に挿着した各挿着部材を引き戻すことができるので、係止爪の引っ掛かりの緩みを軽減することができる。なお、本発明における弾性とは、材質的及び形状的なものを含む広い概念である。
【0011】
また、本発明において、前記一方の挿着部材は、前記凹部に挿入する先端とは反対側の基部に、歯が形成されており、前記保持部材には、前記一方向に沿って配列され、前記一方の挿着部材の前記歯と噛合可能な複数の歯を有しており、前記一方の挿着部材を保持する前記保持位置は、前記一方向において、前記一方の挿着部材の歯と前記保持部材の歯との噛合位置を変更することで、変更されることが好ましい。これにより、基礎上に不陸が発生した場合、基礎パッキンを切断又は折断して用いる場合、基礎パッキンの配置にズレが生じた場合等により、一方の挿着部材を挿着する一方の基礎パッキンの凹部と、他方の挿着部材を挿着する他方の基礎パッキンの凹部との間の距離に僅かな誤差が生じたとしても、複数の挿着部材との距離を任意の距離に変化させやすくなり、基礎パッキン同士を効果的に連結することができる。
【0012】
また、本発明において、前記一方の挿着部材は、前記保持部材に対して上下方向の移動を規制する規制部を有していることが好ましい。これにより、地震の縦揺れによって一方の挿着部材が保持部材から外れにくくできる。
【0013】
また、本発明において、前記基礎パッキンに設けられた前記凹部は、床下換気用の通気孔であり、前記保持部材の厚みが、前記通気孔の高さよりも小さいことが好ましい。これにより、基礎パッキンに連結部材を取り付けることによって、基礎パッキンの換気性能の低下を抑制することが可能となる。
【0014】
また、本発明において、前記保持部材は、前記一方向に沿って延在する第1保持部及び第2保持部を有しており、前記一方向において、前記第1保持部の一端部と前記第2保持部の他端部とが着脱可能に連結されていることが好ましい。これにより、第1保持部から第2保持部を取り外すことで、保持部材の一方向の長さを調整可能となる。
【0015】
また、本発明において、前記第1保持部は、前記第2保持部と連結された状態で前記第2保持部に対して水平方向に回転可能に構成されていることが好ましい。これにより、基礎パッキン同士が直線的ではなく非直線的に配置されている場合であっても、隣接する2つの基礎パッキンに取り付けることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の基礎パッキン用連結部材によると、基礎上に隣接して配置される2つの基礎パッキンのうちの一方の基礎パッキンの凹部に一方の挿着部材を、他方の基礎パッキンの凹部に他方の挿着部材を、基礎パッキンの一側面側からそれぞれ挿し込んで挿着し、これら挿着部材を保持部材で連結することで、2つの基礎パッキンの長手方向の端部同士を連結することが可能となる。このため、連結部材を土台や調整板と干渉させずに基礎パッキン同士を連結することが可能であるとともに、基礎パッキン上に土台を配置する前、基礎パッキン上に土台を配置した後、土台が基礎パッキン上に配置された状態(例えば、既存の建物の基礎パッキン)といった多様なシチュエーションにおいて、基礎パッキン同士を連結部材で連結することが可能である。さらに、基礎パッキン同士を側面側から連結することによって、基礎パッキンの端部同士が水平方向にずれるのを効果的に防止し、建物の耐震性を一段と向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る基礎パッキン用連結部材が用いられた建物構造の部分斜視図である。
図2図1に示す連結部材によって2つの基礎パッキンが連結された状態を示す部分斜視図である。
図3図2に示す連結部材の斜視図である。
図4図3に示す挿着部材の斜視図である。
図5図3に示す保持部材の斜視図である。
図6図5に示す保持部材の側面図である。
図7図5に示す保持部材の平面図である。
図8】本発明の変形例に係る基礎パッキン用連結部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態に係る基礎パッキン用連結部材が用いられた建物構造100について、図1及び図2を参照しつつ以下に説明する。
【0019】
本実施形態における建物構造100は、図1に示すように、長尺な基礎1(例えば、布基礎)と、複数の基礎パッキン10と、木製の土台2と、基礎パッキン10を連結する連結部材20とを含んでなる。本実施形態においては、図1に示すように、基礎1の右手前側が屋外であり、基礎1の左奥側が屋内であり、床下空間Sでもある。複数の基礎パッキン10は、基礎1の長手方向A(一方向)に沿って長尺に延在し、基礎1上において、連結部材20によって長手方向Aに直列に連結された状態で配置されている。土台2は、基礎1とで複数の基礎パッキン10を挟むようにこれら基礎パッキン10上に配置され、長手方向Aに長尺に形成されている。
【0020】
基礎1は、フーチング1aと、フーチング1aから上方に立設された立ち上がり部1bとで構成されている。土台2及び複数の基礎パッキン10は、基礎1に植設されたアンカーボルト、角座金及びナット(ともに図示せず)によって立ち上がり部1b上に固定されている。
【0021】
続いて、基礎パッキン10について、図2を参照しつつ以下に説明する。基礎パッキン10は、通常、鉛直方向Cの厚さが10~30mmである。また、幅は70~200mmで、土台2の幅に合わせて定められる。長手方向Aの長さは、500~2000mm程度と長尺で、これを直列に連結し、また、場合によっては、適当に切断して使用される。材質は、合成樹脂製である。本実施形態においては、フィラーを含むポリプロピレン樹脂を用いているが、特に限定するものではなく、別の合成樹脂から構成されていてもよい。
【0022】
基礎パッキン10の長手方向Aに沿う両側面10a,10bには、図2に示すように、幅方向B(長手方向A及び鉛直方向Cに直交する方向)に抜ける床下換気用の多数の通気孔12が形成されている。各通気孔12は、基礎パッキン10の両側面10a,10bから内側に凹んだ凹部を構成している。基礎パッキン10は、使用時に鉛直方向Cに圧縮荷重を受けるので、通気孔12の形成に際しては、必要とする圧縮強度が確保されるように設計されている。本実施形態における通気孔12の断面形状は4角形とし、隣接させて長手方向Aに配列されているが、円形やひし形など他の断面形状を有していてもよい。
【0023】
基礎パッキン10には、図2に示すように、アンカーボルトを通すために鉛直方向Cに貫通する複数の孔16が形成されている。孔16は、長手方向Aに沿って複数形成されている。また、基礎パッキン10の長手方向Aの両端には、基礎パッキン10同士を連結する際の位置決め用の凸部17及び凹部18がそれぞれ形成されており、基礎パッキン10同士を直列状に繋げて使用しやすくなっている。
【0024】
続いて、基礎パッキン10同士を連結するための基礎パッキン用連結部材20について、図2図7を参照しつつ以下に説明する。なお、図2図7についても、図1に示す長手方向A、幅方向B及び上下方向Cを反映し、連結部材20を説明する。連結部材20は、図2及び図3に示すように、2つの挿着部材30と、これら挿着部材30を長手方向Aに沿って並べた状態で保持する保持部材50とを有している。本実施形態における挿着部材30及び保持部材50は、ポリプロピレン樹脂から構成されており、いずれも弾性を有している。なお、挿着部材30及び保持部材50の材質は、PE(ポリエチレン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、PS(ポリスチレン)、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)等の熱可塑性樹脂、フェノール、エポキシ等の熱硬化性樹脂、アルミニウム、ステンレス、鉄等の金属でもよく、特に限定するものではない。
【0025】
挿着部材30は、図2に示すように、通気孔12に側面10a側(屋内側)から挿入されて、基礎パッキン10に取り付けられる。挿着部材30は、図3に示すように、基部31と、基部31から幅方向Bに沿って平行に延在する一対の延在部32とを有している。
【0026】
基部31は、図3及び図4に示すように、上下方向Cに沿って延在する略直方体形状を有しており、基部31の一側面31a(基礎パッキン10に挿着時に側面10aと対向する側面31a)の上側半部から一対の延在部32が突出して形成されている。基部31の一側面31aの下側半部には、幅方向Bに沿って突出し長手方向Aに並んで配置された複数の歯33が形成されている。各歯33は、先端が尖った山形状に形成されている。また、基部31の下端部には、規制部34が形成されている。規制部34は、歯33の先端よりも延在部32の先端側に突出して配置されている。これにより、図3に示すように、挿着部材30が保持部材50に保持された状態において、挿着部材30の保持部材50に対する上下方向Cの移動を規制することが可能となる。また、基部31の上側半部の上面には、上方に向かって開口した凹部31bが形成されている。
【0027】
一対の延在部32は、図3に示すように、基部31から幅方向Bの中央までの間において、下端部同士を繋ぐ繋ぎ部35が形成されている。また、各延在部32には、幅方向Bの中央よりも先端側において、外側面32aに2つの係合爪32bが形成されている。係合爪32bは、外側面32aから外側に突出して形成されており、先端側にはテーパ面32c、基部31側には係合面32dが形成されている。一対の延在部32は、挿着部材30が基礎パッキン10の通気孔12に挿着されていない状態において、両者の間隔が先端に向かうに連れてやや離れるように構成されている。これにより、挿着部材30が通気孔12に挿着されることで、一対の延在部32が外側に広がろうとし、係合爪32bの係合面32dが基礎パッキン10の内側面10c(孔12を画定する側面)に係止される。また、各延在部32の2つの係合爪32bのうち、先端側の係合爪32bの方が基部31側の係合爪32bよりも先端がやや外側に位置している。このため、基礎パッキン10の幅サイズが図2に示すものよりも大きく又は孔16の幅が小さい場合でも、先端側の係合爪32bにより基礎パッキン10に係合可能となって、挿着部材30を通気孔12に挿着可能となる。
【0028】
保持部材50は、図5図7に示すように、長手方向Aに沿って長尺に延在した板状の棒部材から構成されている。保持部材50の上下方向Cの厚みは、通気孔12の高さよりも小さい。保持部材50の下半部には、2つの切り欠き部51,52が形成されている。切り欠き部51は、図7に示すように、保持部材50の両端部間であって幅方向Bの中央を含む図7中下側部分において長手方向Aに沿って長尺に延在している。切り欠き部52は、図7に示すように、右端部に形成されている。保持部材50の上半部には、図5に示すように、左端部に切り欠き部53が形成されている。
【0029】
保持部材50の右端部には、切り欠き部52によって形成された壁部52aが形成されている。また、当該右端部には、上下方向Cに貫通する円形の貫通孔52bが形成されている。壁部52aは、貫通孔52bを中心とした円弧状に形成されている。保持部材50の左端部には、切り欠き部53によって形成された壁部53aが形成されている。また、当該左端部には、上下方向Cに突出する円形の突出部53bが形成されている。突出部53bは、貫通孔52bにちょうど嵌合可能なサイズに形成されている。壁部53aは、突出部53bを中心とした円弧状に形成されている。これにより、一の保持部材50の貫通孔52bに、別の保持部材50の突出部53bを嵌合して2つの保持部材50を連結することが可能となる。このとき、一の保持部材50に円弧状の壁部52bが形成されていることで、連結した別の保持部材50を一の保持部材50に対して水平方向(突出部53bの中心と通る中心軸周り方向)に回転させても、別の保持部材50の左端部の角部が壁部52bに干渉しなくなる。このため、2つの保持部材50を基礎パッキン10に追従させやすくなる。つまり、2つの連結部材20を連結しても、基礎パッキン10に取付やすい。
【0030】
保持部材50の上半部であって切り欠き部51と上下方向Cに対向する部分には、幅方向Bに沿って突出し長手方向Aに並んで配置された複数の歯55が形成されている。各歯55は、先端が尖った山形状に形成されており、挿着部材30の複数の歯33と噛み合わせ可能に構成されている。保持部材50は、挿着部材30の複数の歯33と保持部材50の複数の歯55とを噛み合わせた状態で、挿着部材30を保持する。つまり、保持部材50による挿着部材30の保持位置は、挿着部材30の複数の歯33と保持部材50の複数の歯55とが噛み合った噛合位置でもある。したがって、噛合位置が長手方向Aに沿って変更されることで、保持部材50による挿着部材30の保持位置も変更される。
【0031】
続いて、連結部材20で2つの基礎パッキン10を連結するときの取付状況について以下に説明する。まず、連結部材20の保持部材50を、図2に示すように、連結する2つの基礎パッキン10の側面10aに沿わせつつ跨って配置する。このとき、保持部材50の複数の歯55が基礎パッキン10と反対側に配置されるように、保持部材50を配置する。そして、2つの挿着部材30のうちの一方の挿着部材30の複数の歯33を保持部材50の複数の歯55に噛み合わせつつ一方の基礎パッキン10の通気孔12へ一方の挿着部材30を挿入する。つまり、一方の挿着部材30を保持部材50の長手方向Aに沿う側面(歯55が形成された側面)側から通気孔12へ挿入する。このとき、歯33,55は互いに先端が尖った山形状を有しているため、一方の挿着部材30を通気孔12に挿入しつつも互いの歯33,55が噛み合いやすくなる。つまり、複数の歯33の先端間に歯55の先端が配置され、互いの歯33,55が近づくと、互いの歯33,55の側面(テーパ面)によって案内され、歯33,55が噛み合いやすくなる。こうして、一方の挿着部材30が保持部材50に装着保持される。また、このとき、先端側の係合爪32bのテーパ面32cと通気孔12の内面との接触により、一対の延在部32が内側に撓む。その後、基部31側の係合爪32bが通気孔12を通って孔16内に配置されることで、当該係合爪32bの係合面32dが内側面10cに係止され、一方の基礎パッキン10に一方の挿着部材30が挿着される。このとき、予め、保持部材50に一方の挿着部材30を保持させた状態で、一方の挿着部材30を一方の基礎パッキン10に挿着してもよい。
【0032】
この後、他方の挿着部材30の複数の歯33を保持部材50の複数の歯55に噛み合わせつつ他方の基礎パッキン10の通気孔12へ他方の挿着部材30を挿入する。つまり、他方の挿着部材30を保持部材50の長手方向Aに沿う側面(歯55が形成された側面)側から通気孔12へ挿入する。このとき、歯33,55は互いに先端が尖った山形状を有しているため、他方の挿着部材30を通気孔12に挿入しつつも上述と同様に互いの歯33,55が噛み合いやすくなる。こうして、他方の挿着部材30が保持部材50に装着保持される。そして、他方の挿着部材30も、一方の挿着部材30と同様に、他方の基礎パッキン10に挿着させる。このとき、予め、保持部材50に他方の挿着部材30を保持させた状態で、他方の挿着部材30を他方の基礎パッキン10に挿着してもよい。
【0033】
上述の実施形態における連結部材20においては、各挿着部材30が基礎パッキン10の端部から2つ目の通気孔12に挿着しているが、挿着部材30の保持部材50による保持位置は、長手方向Aにおいて、可変可能に構成されている。このため、挿着部材30は、長手方向Aにおいて、保持部材50の複数の歯55と重なる通気孔12であれば、どの通気孔12に挿着してもよい。
【0034】
以上に述べたように、本実施形態における連結部材20によると、基礎1上に隣接して配置される2つの基礎パッキン10のうちの一方の基礎パッキン10の通気孔12(凹部)に一方の挿着部材30を、他方の基礎パッキン10の通気孔12(凹部)に他方の挿着部材30を、基礎パッキン10の一側面10a側からそれぞれ挿し込んで挿着し、これら挿着部材30を保持部材50で連結することで、2つの基礎パッキン10の長手方向Aの端部同士を連結することが可能となる。このため、連結部材20を土台2や調整板と干渉させずに基礎パッキン10同士を連結することが可能であるとともに、基礎パッキン10上に土台2を配置する前、基礎パッキン10上に土台2を配置した後、土台2が基礎パッキン10上に配置された状態(例えば、既存の建物の基礎パッキン10)といった多様なシチュエーションにおいて、基礎パッキン10同士を連結部材20で連結することが可能である。さらに、基礎パッキン10同士を側面10a側から連結することによって、基礎パッキン10の端部同士が水平方向にずれるのを効果的に防止し、建物の耐震性を一段と向上させることができる。なお、本実施形態の連結部材20は、3以上の挿着部材30を有していてもよい。
【0035】
連結部材20を構成する2つの挿着部材30及び保持部材50が弾性を有している。これにより、基礎1上に不陸が発生した場合、基礎パッキン10を切断又は折断して用いる場合、基礎パッキン10の配置にズレが生じた場合等により、一方の挿着部材30を挿着する一方の基礎パッキン10の通気孔12と、他方の挿着部材30を挿着する他方の基礎パッキン10の通気孔12との間の距離に僅かな誤差が生じたとしても、2つの挿着部材30、及び、保持部材50の弾性により、しならせて当該誤差を吸収し、基礎パッキン10同士を連結することができる。
【0036】
変形例として、連結部材20を構成する2つの挿着部材30及び保持部材50のうちの1又は2つの部材が、弾性を有していてもよい。これにおいても、上述と同様に、2つの挿着部材30、及び、保持部材50のうちの弾性を有する部材により、しならせて当該誤差を吸収し、基礎パッキン10同士を連結することができる。
【0037】
また、保持部材50が弾性を有し、2つの挿着部材30が係合爪32bを有している。これにより、保持部材50の弾性によるしなりを利用して、基礎パッキン10の通気孔12に挿着した各挿着部材30を引き戻すことができるので、係止爪32bの引っ掛かりの緩みを軽減することができる。
【0038】
また、挿着部材30に複数の歯33が形成されており、保持部材50に複数の歯33と噛合可能な複数の歯55が形成されており、挿着部材30を保持する保持位置が、長手方向Aにおいて、挿着部材30の歯33と保持部材50の歯55との噛合位置を変更することで、変更される。これにより、基礎1上に不陸が発生した場合、基礎パッキン10を切断又は折断して用いる場合、基礎パッキン10の配置にズレが生じた場合等により、一方の挿着部材33を挿着する一方の基礎パッキン10の通気孔12と、他方の挿着部材33を挿着する他方の基礎パッキン10の通気孔12との間の距離に僅かな誤差が生じたとしても、挿着部材30間の距離を任意の距離に変化させやすくなり、基礎パッキン10同士を効果的に連結することができる。
【0039】
挿着部材30は、保持部材50に対して上下方向Cの移動を規制する規制部34を有している。これにより、地震の縦揺れによって挿着部材30が保持部材50から外れにくくできる。
【0040】
また、保持部材50の上下方向Cの厚みが、基礎パッキン10の通気孔12の高さよりも小さい。これにより、基礎パッキン10に連結部材20を取り付けても、保持部材50によって幅方向Bに対向する通気孔12全体を覆わないため、基礎パッキン10の換気性能の低下を抑制することが可能となる。
【0041】
変形例として、連結部材200は、上述の2つの連結部材20が連結されて構成されたものであってもよい。本変形例の連結部材200について、図8を参照しつつ以下に説明する。本変形例の連結部材200は、図8に示すように、上述の2つの連結部材20から構成されている。つまり、一方の連結部材20(図8中左側)の保持部材50(第1保持部)の一端部(図8中右側端部)の貫通孔52bに、他方の連結部材20(図8中右側)の保持部材50(第2保持部)の他端部(図8中左側端部)の突出部53bを嵌合して、2つの連結部材20を連結して、本変形例の連結部材200を構成している。このような連結部材200においては、2つの保持部材50が着脱可能に連結されて、一つの保持部材250を構成している。これにより、一方の保持部材50(第1保持部)から他方の保持部材50(第2保持部)を取り外すことで、保持部材250の長手方向(一方向)Aの長さを調整可能となる。
【0042】
また、保持部材250を構成する2つの保持部材50は、互いに連結された状態において、一方の保持部材50に対して他方の保持部材50を水平方向に回転可能に構成されている。これにより、基礎パッキン10同士が直線的ではなく非直線的に配置されている場合であっても、隣接する2つの基礎パッキン10に取り付けることができる。なお、本変形例における連結部材200は、4つの挿着部材30を有しているが、2又は3つの挿着部材30を有していてもよいし、5以上の挿着部材30を有していてもよい。
【0043】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、上述の実施形態及び各変形例においては、挿着部材30が貫通した通気孔12に挿着されているが、挿着部材30は貫通してない凹部に挿着されていてもよい。つまり、挿着部材30は、基礎パッキンの側面に設けられた凹部に挿着することが可能であればよい。また、上述の保持部材50は、2つの挿着部材30のいずれもその保持位置を、長手方向Aに可変可能に構成されているが、一方の挿着部材30だけ、長手方向Aに可変可能に構成され、他方の挿着部材30だけ保持部材50に固定されていてもよい。
【0044】
保持部材50は、挿着部材30を保持する保持位置を、長手方向Aにおいて可変可能に構成されておればよく、特に歯33,55同士の噛み合わせによる保持構成に限定するものではない。また、上述の保持部材50と挿着部材30は、基礎パッキン10に取り付けることで、両者が取り外しにくい構成(保持部材50が基礎パッキン10に挿着された挿着部材30と基礎パッキン10との間に配置された構成)となるが、予め両者が分離不可能に構成されるものの挿着部材が保持部材に対して長手方向にスライド可能に支持されておればよい。このとき、挿着部材が、長手方向において、保持部材の任意の位置で固定することができればよい。このときの固定構造は、ピン固定などどのような固定構造であってもよい。
【0045】
挿着部材30は、係合爪32bを有していなくてもよい。また、保持部材50の上下方向Cの厚みが、通気孔12の高さ以上且つ基礎パッキン10の厚み以下であってもよい。また、保持部材50は、別の保持部材50と連結不可能な構成であってもよい。
【0046】
また、上述の実施形態及び各変形例においては、挿着部材30及び保持部材50が弾性を有しているが、例えば、硬質樹脂や金属から構成され、弾性を有していなくてもよい。さらに、硬質性樹脂や金属であっても、薄い又は細い部分を設けることで弾性を付与することもできる。
【符号の説明】
【0047】
1 基礎
10 基礎パッキン
10a 側面
12 通気孔(凹部)
20,200 連結部材
30 挿着部材
32b 係合爪
33,55 歯
34 規制部
50 保持部材(第1保持部、第2保持部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8