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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-20
(45)【発行日】2023-03-29
(54)【発明の名称】排気ダクトおよび外気導入ユニット
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/06 20060101AFI20230322BHJP
   F24F 13/08 20060101ALI20230322BHJP
   F24F 13/26 20060101ALI20230322BHJP
   F24F 13/04 20060101ALI20230322BHJP
   F24F 7/06 20060101ALI20230322BHJP
【FI】
F24F13/06 A
F24F13/08 C
F24F13/08 A
F24F13/26
F24F13/04
F24F7/06 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019231666
(22)【出願日】2019-12-23
(65)【公開番号】P2021099198
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-05-30
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 公開日 令和1年8月30日 公開場所 ピアハウス オアシス(兵庫県神戸市中央区新港町5番2号 神戸ポートオアシス1階)
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519458026
【氏名又は名称】有限会社龍雅設備
(74)【代理人】
【識別番号】100129643
【弁理士】
【氏名又は名称】皆川 祐一
(72)【発明者】
【氏名】五嶋 清隆
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0166809(US,A1)
【文献】特開平10-054597(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0204582(US,A1)
【文献】特開昭61-256162(JP,A)
【文献】実開平06-073631(JP,U)
【文献】特表2003-529039(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107560131(CN,A)
【文献】特開2001-020755(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/06
F24F 13/08
F24F 13/26
F24F 13/04
F24F 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ファンからの排気を大気中に放出する排気ダクトであって、
中心線が排気の流通方向に延びる筒状の外周壁部と、
前記外周壁部内に設けられて、前記排気ファンからの排気が流通方向に流通する排気流路を区画する区画壁部と、を含み、
前記外周壁部は、互いに対向する第1外壁部および第2外壁部ならびに互いに対向する第3外壁部および第4外壁部を有する四角筒状に形成され、
前記区画壁部は、前記第1外壁部から延出する第1内壁部を有し、
前記排気流路の前記流通方向の下流端は、前記外周壁部内で開口端として開放されており、
前記開口端の少なくとも一部は、前記外周壁部の内面に対して離間しており、
前記外周壁部の前記第1外壁部には、前記開口端の少なくとも一部に対して離間する部分に、前記外周壁部内に外気を取り入れるための四角形状の外気取込口が形成され、
前記外気取込口における前記流通方向の上流側の端縁に、前記区画壁部が接続されている、排気ダクト。
【請求項2】
排気ファンからの排気を大気中に放出する排気ダクトであって、
中心線が排気の流通方向に延びる筒状の外周壁部と、
前記外周壁部内に設けられて、前記排気ファンからの排気が流通方向に流通する排気流路を区画する区画壁部と、を含み、
前記外周壁部は、互いに対向する第1外壁部および第2外壁部ならびに互いに対向する第3外壁部および第4外壁部を有する四角筒状に形成され、
前記区画壁部は、前記第1外壁部から延出する第1内壁部を有し、
前記排気流路の前記流通方向の下流端は、前記外周壁部内で開口端として開放されており、
前記開口端の少なくとも一部は、前記外周壁部の内面に対して離間しており、
前記外周壁部の前記第1外壁部には、前記開口端の少なくとも一部に対して離間する部分に、前記外周壁部内に外気を取り入れるための四角形状の外気取込口が形成されおり、
前記外気取込口における前記流通方向の上流側の端縁に接続され、当該端縁から前記開口端に向けて、または、前記開口端よりも前記流通方向の下流側の空間に向けて延びる板状の案内部、をさらに含む、排気ダクト。
【請求項3】
前記外周壁部には、複数の前記外気取込口が前記流通方向に並べて形成されており、
前記流通方向の最上流の前記外気取込口における前記流通方向の上流側の端縁に、前記区画壁部が接続され、
前記案内部は、前記流通方向の最上流の前記外気取込口よりも下流側の前記外気取込口における前記流通方向の上流側の端縁に接続されている、請求項2に記載の排気ダクト。
【請求項4】
前記区画壁部は、前記第2外壁部から離間する第2内壁部を有し、
前記外気取込口は、前記第1外壁部および前記第2外壁部に形成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の排気ダクト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ダクトおよび排気ダクトに組み込まれる外気導入ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
飲食店の厨房や食品工場などからの排気は、屋内から屋外に延びる排気ダクトを通して大気に放出される。その排気は、臭気を伴う場合があり、人が不快に感じる臭気、つまり悪臭を伴う排気が大気中に放出されると、人の感覚を刺激する感覚公害を近隣にもたらす懸念がある。
【0003】
これを防止するには、排気中の臭気を大気中に拡散させて希釈することが有効である。そのため、従来、排気ダクトを上方に長く延ばして、排気ダクトの排出口をなるべく高い位置に設けたり、排気がなるべく高い位置に到達するように、排出口からの排気の排出速度を高めたりされている。
【0004】
しかしながら、排出口を高い位置に設ける構成では、排気ダクトの補強が必要となる。また、排気の排出速度を高める構成では、大流量の排気ファンが必要となる。そのため、それらの構成のどちらであっても、コストが高くついてしまう。そのうえ、どちらの構成も、排気が排気口から排出された後に、その排気中の臭気を大気で希釈する構成であるため、排気口近傍の大気の気流などによっては、臭気が十分に希釈されないまま、その臭気を伴う排気が近隣の地域に流れる場合がある。
【0005】
そこで、排気ダクトの途中部に外気導入ダクトを接続して、外気導入ダクトを通して排気ダクトに外気(大気)を取り込む構成が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。ところが、排気ダクトに外気導入ダクトを単に接続しても、外気導入ダクトに外気が取り込まれず、逆に、外気導入ダクトを通して大気中に排気が排出されるおそれがある。そのため、提案の構成では、外気導入ダクトにブースタファンが設けられて、このブースタファンの作動により、外気導入ダクトから排気ダクトに外気が強制的に導入される。また、排気ダクトから外気導入ダクトに排気が流れるのを防止するため、外気導入ダクトの途中部に逆流防止用のダンパが設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平11-83106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
かかる構成によれば、排気ダクト内で排気に外気を混合させることができる。しかし、ブースタファンおよびダンパが必要であるため、コストが高くつくうえ、ブースタファンにより外気導入ダクトから排気ダクトに流入する大気の量が多いと、排気ダクトを流れる排気の量が減少し、厨房などからの排気能力が低下してしまう。
【0008】
本発明の目的は、低コストな構成で、排気を外気で効果的に希釈できる、排気ダクトおよび外気導入ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するため、本発明の一の局面に係る排気ダクトは、排気ファンからの排気を大気中に放出する排気ダクトであって、中心線が排気の流通方向に延びる筒状の外周壁部と、外周壁部内に設けられて、排気ファンからの排気が流通方向に流通する排気流路を区画する区画壁部とを含み、排気流路の流通方向の下流端は、外周壁部内で開口端として開放されており、開口端の少なくとも一部は、外周壁部の内面に対して離間しており、外周壁部には、開口端の少なくとも一部に対して離間する部分に、外周壁部内に外気を取り入れるための外気取込口が形成されている。
【0010】
この構成によれば、筒状の外周壁部内には、区画壁部が設けられ、その区画壁部により、排気ファンからの排気が流通する排気流路が区画されている。排気流路における排気の流通方向の下流端は、外周壁部内で開口端として開放され、開口端の少なくとも一部は、外周壁部の内面に対して離間している。そのため、外周壁部内において、排気流路の流通方向の下流側には、外周壁部の内面から離れて、排気流路の開口端から流出する排気の気流が形成される。そして、その気流と外周壁部との間の空気(流体)は、コアンダ効果により、気流に引き込まれる。外周壁部には、開口端の少なくとも一部に対して離間する部分に外気取込口が形成されているので、気流と外周壁部との間の空気が気流に引き込まれることにより、気流と外周壁部との間に負圧が生じ、その負圧により、外気取込口から外周壁部内に外気が取り込まれる。その結果、排気流路の開口端からの排気の気流に外気が引き込まれ、排気が外気により希釈される。
【0011】
よって、低コストな構成で、動力(電力)を必要とせずに、排気を外気で効果的に希釈することができる。そのため、排気が臭気を伴う場合であっても、その臭気が外気で薄まるので、大気中に放出された排気がその近隣に感覚公害をもたらすおそれをなくすことができる。
【0012】
外周壁部は、互いに対向する第1外壁部および第2外壁部ならびに互いに対向する第3外壁部および第4外壁部を有する四角筒状に形成されていてもよい。この場合、区画壁部が第1外壁部から延出する第1内壁部を有し、外気取込口が第1外壁部に形成されていてもよいし、区画壁部が第1外壁部から離間する第1内壁部と、第2外壁部から離間する第2内壁部とを有し、外気取込口が第1外壁部および第2外壁部に形成されていてもよい。
【0013】
外周壁部の中心線が水平または傾いて延びるように排気ダクトが設置される場合に、第1外壁部および第2外壁部を側方に向けることにより、排気ダクトにその上方から降りかかる雨水などが外気取込口に入ることを抑制でき、また、外周壁部の内面に付着した油などが外気取込口から下方に漏れ出ることを抑制できる。
【0014】
外気取込口は、四角形状に形成され、第1外壁部および第2外壁部のそれぞれには、複数の外気取込口が流通方向に並べて形成されており、流通方向の最上流の外気取込口における流通方向の上流側の端縁に、区画壁部が接続されていてもよい。
【0015】
外気取込口は、四角形状に形成され、第1外壁部および第2外壁部のそれぞれには、複数の外気取込口が流通方向に並べて形成されており、排気ダクトは、流通方向の最上流の外気取込口よりも下流側の外気取込口における流通方向の上流側の端縁に接続され、当該端縁から開口端よりも流通方向の下流側の空間に向けて延びる板状の案内部をさらに含む構成であってもよい。
【0016】
本発明の他の局面に係る外気導入ユニットは、中心線が排気の流通方向に延びる筒状の外周壁部を備え、排気ファンからの排気を大気中に放出する排気ダクトに取り付けられて、外周壁部内に外気を導入する外気導入ユニットであって、外周壁部に形成されている取付用開口の周縁に沿った外形を有し、外周壁部における取付用開口の周縁部に固定される固定部と、一端部が固定部における流通方向の上流側の端部に固定され、その固定された部分から外周壁部の内側に中心線が延びる方向に対して流通方向の下流側に傾斜して延びる板状の区画壁部とを含み、固定部に囲まれる部分には、外周壁部内に外気を取り入れるための外気取込口が形成されている。
【0017】
この外気導入ユニットが排気ダクトに取り付けられることにより、本発明の一の局面に係る排気ダクトと同様の作用効果を奏することができる。
【0018】
外気導入ユニットは、固定部から外周壁部の内側に中心線が延びる方向に対して流通方向の下流側に傾斜して延びる板状の案内部をさらに含み、外気取込口は、区画壁部と案内部との間に形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、低コストな構成で、動力(電力)を必要とせずに、排気を外気で効果的に希釈することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る排気ダクトが組み込まれた排気装置の構成を図解的に示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る排気ダクトの斜視図である。
図3図2に示される排気ダクトの側面図である。
図4図2に示される排気ダクトの平面図である。
図5図4に示される切断面線A-Aにおける排気ダクトの断面図である。
図6】本発明の他の実施形態に係る外気導入ユニットの構成を示す斜視図である。
図7】外気導入ユニットが取り付けられた排気ダクトの平面図(流通方向の下流側から中心線方向に見た図)である。
図8】変形例に係る排気ダクトの平面図である。
図9図8に示される切断面線B-Bにおける排気ダクトの断面図である。
図10】他の変形例に係る排気ダクトの断面図である。
図11】さらに他の変形例に係る排気ダクトの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0022】
<排気装置>
図1は、本発明の一実施形態に係る排気ダクト2Aが組み込まれた排気装置1の構成を図解的に示す図である。
【0023】
排気装置1は、たとえば、飲食店の厨房からの排気を屋外に放出する装置(設備)であり、複数の排気ダクト2、排気ファン3および風量調節用のボリュームダンパ(VD)4を備えている。複数の排気ダクト2は、継ぎ合わされて、1本の排気風路を形成している。排気風路の一端は、厨房内で吸気口として開口し、その他端は、屋外で開放されている。排気ファン3およびボリュームダンパ4は、排気風路の途中に介装されている。排気ファン3の作動により、厨房内の空気が排気ダクト2に吸い込まれ、その厨房からの排気が排気ダクト2を屋外に向けて流通する。ボリュームダンパ4は、排気ファン3に対して、排気ファン3による送風方向、つまり排気ダクト2における排気の流通方向(以下、単に「流通方向」という。)の下流側に設けられている。
【0024】
複数の排気ダクト2には、その1つとして、排気を外気で希釈する排気希釈用の排気ダクト2Aが含まれている。排気ダクト2Aは、ボリュームダンパ4よりも流通方向の下流側に設けられることが好ましく、より好ましくは、排気風路の流通方向の下流端に設けられる。
【0025】
<排気ダクト>
図2は、排気ダクト2Aの斜視図である。図3は、排気ダクト2Aの側面図である。図4は、排気ダクト2Aの平面図である。図5は、図4に示される切断面線A-Aにおける排気ダクト2Aの断面図である。
【0026】
排気ダクト2Aは、たとえば、SECC(電気亜鉛めっき鋼板)またはSUS(ステンレス鋼板)からなる。排気ダクト2Aは、外周壁部11および区画壁部12を備えている。
【0027】
外周壁部11は、第1外壁部21、第2外壁部22、第3外壁部23および第4外壁部24を有する四角筒状をなしている。第1外壁部21および第2外壁部22は、それぞれ矩形板状に形成され、外周壁部11の中心線と平行な方向(以下、排気ダクト2Aに関する説明において、その方向を「中心線方向」という。)に延び、中心線方向と直交する方向に互いに対向している。第3外壁部23および第4外壁部24は、それぞれ矩形板状に形成され、中心線方向に延び、第1外壁部21と第2外壁部22との対向方向および中心線方向の両方向と直交する方向に互いに対向している。第3外壁部23の中心線方向に延びる一方の端縁および他方の端縁は、それぞれ第1外壁部21および第2外壁部22に接続されている。また、第4外壁部24の中心線方向に延びる一方の端縁および他方の端縁は、それぞれ第1外壁部21および第2外壁部22に接続されている。外周壁部11の中心線方向の両端には、別の排気ダクト2との接続のために、周囲に張り出す鍔状のフランジ部25が形成されている。
【0028】
区画壁部12は、第1内壁部31、第2内壁部32、第3内壁部33および第4内壁部34を有している。第1内壁部31、第2内壁部32、第3内壁部33および第4内壁部34は、それぞれ第1外壁部21、第2外壁部22、第3外壁部23および第4外壁部24の内面に固定されて、その内面から外周壁部11の中心線側に延出する板状をなしている。
【0029】
第1内壁部31は、第1外壁部21の内面における中心線方向と直交する幅方向の全幅から、先端に近づくほど幅方向の寸法が小さくなるように窄まりつつ、中心線方向に対して流通方向の下流側に傾斜して延び、途中で流通方向の下流側に屈曲してさらに延びている。
【0030】
第2内壁部32は、第2外壁部22の内面における中心線方向と直交する幅方向の全幅から、先端に近づくほど幅方向の寸法が小さくなるように窄まりつつ、中心線方向に対して流通方向の下流側に傾斜して延び、途中で流通方向の下流側に屈曲してさらに延びている。
【0031】
第3内壁部33は、第3外壁部23の内面における中心線方向と直交する幅方向の全幅から、先端に近づくほど幅方向の寸法が小さくなるように窄まりつつ、中心線方向に対して流通方向の下流側に傾斜して延び、途中で流通方向の下流側に屈曲してさらに延びている。
【0032】
第4内壁部34は、第4外壁部24の内面における中心線方向と直交する幅方向の全幅から、先端に近づくほど幅方向の寸法が小さくなるように窄まりつつ、中心線方向に対して流通方向の下流側に傾斜して延び、途中で流通方向の下流側に屈曲してさらに延びている。
【0033】
第1内壁部31、第2内壁部32、第3内壁部33および第4内壁部34の流通方向の各上流端は、中心線方向において同じ位置に位置している。また、第1内壁部31、第2内壁部32、第3内壁部33および第4内壁部34の各屈曲部の位置は、中心線方向において同じ位置に位置し、第1内壁部31、第2内壁部32、第3内壁部33および第4内壁部34の流通方向の各下流端は、中心線方向において同じ位置に位置している。そして、第3内壁部33の幅方向の一方側の端縁および他方側の端縁は、それぞれ第1内壁部31および第2内壁部32に接続されている。また、第4内壁部34の幅方向の一方側の端縁および他方側の端縁は、それぞれ第1内壁部31および第2内壁部32に接続されている。
【0034】
これにより、区画壁部12は、底角が相対的に小さい角錐台形状と底角が相対的に大きい角錐台形状とを流通方向に積み重ねた形状に形成され、外周壁部11内において、排気ファン3(図1参照)からの排気が流通する排気流路35を区画している。排気流路35の流通方向の下流端は、外周壁部11の流通方向の下流端よりも上流側に位置して、開口端36として開放されている。
【0035】
第1外壁部21には、外気取込口41,42,43が流通方向の上流側からこの順で中心線方向に等間隔に並べて設けられている。また、第2外壁部22には、外気取込口44,45,46が流通方向の上流側からこの順で中心線方向に等間隔に並べて設けられている。外気取込口41~46は、いずれも幅方向に長い矩形状で同一サイズに形成されている。第1内壁部31および第2内壁部32は、それぞれ外気取込口41,44の流通方向の上流側の端縁に接続されている。
【0036】
第1外壁部21の内面には、案内部51,52が設けられている。案内部51は、外気取込口42の流通方向の上流側の端縁に沿って幅方向に第1外壁部21の内面の全幅にわたって延び、かつ、中心線方向に対して流通方向の下流側に傾斜して延びる板状に形成されている。案内部51の先端と区画壁部12(第1内壁部31)との間には、間隔が空けられている。案内部52は、外気取込口43の流通方向の上流側の端縁に沿って幅方向に第1外壁部21の内面の全幅にわたって延び、かつ、中心線方向に対して流通方向の下流側に傾斜して延びる板状に形成されている。案内部52の先端部は、中心線方向に見て案内部51の先端縁と重なる位置で流通方向の下流側に折り曲げられて、中心線方向に延び、第1外壁部21の内面と中心線方向と直交する方向に対向している。
【0037】
第2外壁部22の内面には、案内部53,54が設けられている。案内部53は、外気取込口45の流通方向の上流側の端縁に沿って幅方向に第2外壁部22の内面の全幅にわたって延び、かつ、中心線方向に対して流通方向の下流側に傾斜して延びる板状に形成されている。案内部53の先端と区画壁部12(第2内壁部32)との間には、間隔が空けられている。案内部54は、外気取込口46の流通方向の上流側の端縁に沿って幅方向に第2外壁部22の内面の全幅にわたって延び、かつ、中心線方向に対して流通方向の下流側に傾斜して延びる板状に形成されている。案内部54の先端部は、中心線方向に見て案内部52の先端縁と重なる位置で流通方向の下流側に折り曲げられて、中心線方向に延び、第2外壁部22の内面と中心線方向と直交する方向に対向している。
【0038】
なお、この実施形態では、排気ダクト2Aは、外周壁部11の中心線に関して、第1外壁部21と第2外壁部22との対向方向に対称に形成され、第3外壁部23と第4外壁部24との対向方向に対称に形成されている。
【0039】
<作用効果>
以上のように、筒状の外周壁部11内には、区画壁部12が設けられ、その区画壁部12により、排気ファン3からの排気が流通する排気流路35が区画されている。排気流路35における流通方向の下流端は、外周壁部11内で開口端36として開放され、開口端36は、外周壁部11の内面に対して離間している。そのため、外周壁部11内において、排気流路35の流通方向の下流側には、外周壁部11の内面から離れて、排気流路35の開口端36から流出する排気の気流が形成される。そして、その気流と外周壁部11との間の空気(流体)は、コアンダ効果により、気流に引き込まれる。外周壁部11には、外気取込口41~46が形成されているので、気流と外周壁部11との間の空気が気流に引き込まれることにより、気流と外周壁部11との間に負圧が生じ、その負圧により、外気取込口41~46から外周壁部11内に外気が取り込まれる。その結果、排気流路35の開口端36からの排気の気流に外気が引き込まれ、排気が外気により希釈される。
【0040】
よって、低コストな構成で、動力(電力)を必要とせずに、排気を外気で効果的に希釈することができる。そのため、排気が臭気を伴う場合であっても、その臭気が外気で薄まるので、大気中に放出された排気がその近隣に感覚公害をもたらすおそれをなくすことができる。
【0041】
外周壁部11は、互いに対向する第1外壁部21および第2外壁部22ならびに互いに対向する第3外壁部23および第4外壁部24を有している。区画壁部12は、第1外壁部21から離間する第1内壁部31と、第2外壁部22から離間する第2内壁部とを有しており、外気取込口41~46は、第1外壁部21および第2外壁部22に形成されている。
【0042】
外周壁部11の中心線が水平または傾いて延びるように排気ダクト2Aが設置される場合に、第1外壁部21および第2外壁部22を側方に向けることにより、排気ダクト2Aにその上方から降りかかる雨水などが外気取込口41~46に入ることを抑制でき、また、外周壁部11の内面に付着した油などが外気取込口41~46から下方に漏れ出ることを抑制できる。
【0043】
また、第1外壁部21の内面には、案内部51,52が設けられ、第2外壁部22の内面には、案内部53,54が設けられている。案内部51,53は、それぞれ外気取込口42,45の流通方向の上流側の端縁から中心線方向に対して流通方向の下流側に傾斜して延びる板状をなしている。そして、第1内壁部31および第2内壁部32は、中心線方向に対して流通方向の下流側に傾斜して延び、途中で流通方向の下流側に屈曲してさらに延びている。これにより、第1内壁部31と案内部51との間の断面積および第2内壁部32と案内部53との間の断面積を大きく確保でき、外気取込口41,44から外周壁部11内への外気の取込量を増大させることができる。
【0044】
案内部51,53の先端部は、折り曲げられておらず、案内部52,54の先端部は、流通方向の下流側に折り曲げられて、中心線方向に延びている。これにより、外気取込口42,45から外周壁部11内に取り込まれる外気と排気流路35の開口端36からの排気の気流との接触面積を大きく確保でき、コアンダ効果を良好に発揮することができる。また、外気取込口43,46から外周壁部11内に取り込まれる外気を案内部52,54の先端部で中心線方向に案内することができ、外周壁部11の内周面に外気の中心線方向の気流を形成することができる。
【0045】
また、第1内壁部31、案内部51,52、第2内壁部32および案内部53,54は、それぞれ外気取込口41~46の流通方向の上流側の端縁に接続されている。そのため、それらの接続部分に油や塵埃が溜まることを抑制できる。
【0046】
<外気導入ユニット>
図6は、本発明の他の実施形態に係る外気導入ユニット101の構成を示す斜視図である。図7は、外気導入ユニット101が取り付けられた排気ダクト2の平面図(流通方向の下流側から中心線方向に見た図)である。
【0047】
外気導入ユニット101は、既設の排気ダクト2に取り付けて、排気ダクト2内に外気を導入するユニットである。外気導入ユニット101が取り付けられる排気ダクト2は、ボリュームダンパ4よりも流通方向の下流側に設けられていることが好ましい。
【0048】
排気ダクト2は、第1外壁部111、第2外壁部112、第3外壁部113および第4外壁部114を有する四角筒状をなしている。第1外壁部111および第2外壁部112は、それぞれ矩形板状に形成され、排気ダクト2の中心線と平行な方向(以下、外気導入ユニット101に関する説明において、その方向を「中心線方向」という。)に延び、中心線方向と直交する方向に互いに対向している。第3外壁部113および第4外壁部114は、それぞれ矩形板状に形成され、中心線方向に延び、第1外壁部111と第2外壁部112との対向方向および中心線方向の両方向と直交する方向に互いに対向している。第3外壁部113の中心線方向に延びる一方の端縁および他方の端縁は、それぞれ第1外壁部111および第2外壁部112に接続されている。また、第4外壁部114の中心線方向に延びる一方の端縁および他方の端縁は、それぞれ第1外壁部111および第2外壁部112に接続されている。外周壁部11の中心線方向の両端には、別の排気ダクト2との接続のために、周囲に張り出す鍔状のフランジ部115が形成されている。
【0049】
なお、以下において、方向について言及する場合、外気導入ユニット101が排気ダクト2に取り付けられた状態を基準とする。
【0050】
外気導入ユニット101は、固定部121、側板部122,123、区画壁部124および案内部125,126を備えている。
【0051】
固定部121は、四角枠状に形成されている。
【0052】
側板部122,123は、それぞれ固定部121の中心線方向と直交する幅方向の一方端および他方端の一方面から突出し、かつ、中心線方向に延びている。
【0053】
区画壁部124は、側板部122,123間に設けられている。区画壁部124は、板状をなし、一端部が固定部121における流通方向の上流側の端部に固定され、その固定された部分から外周壁部11内に中心線方向に対して流通方向の下流側に傾斜して延びている。区画壁部124の先端部は、流通方向の下流側に折り曲げられて、中心線方向に延びている。また、中心線方向と直交する幅方向において、区画壁部124は、固定部121の内周縁と同じ幅に形成されている。
【0054】
案内部125は、側板部122,123間において、区画壁部124に対して流通方向の下流側に間隔を空けて設けられている。案内部125は、板状をなし、中心線方向に対して流通方向の下流側に傾斜するように延びている。案内部125の固定部121側の端部は、流通方向の上流側に折り曲げられて、中心線方向に延びている。案内部125の固定部121側と反対側の端部は、流通方向の下流側に折り曲げられて、中心線方向に延びている。案内部125の幅方向の両端は、側板部122,123に接続されて、側板部122,123に固定されている。
【0055】
案内部126は、側板部122,123間において、案内部125に対して流通方向の下流側に間隔を空けて設けられている。案内部126は、板状をなし、中心線方向に対して流通方向の下流側に傾斜するように延びている。案内部126の固定部121側の端部は、固定部121の流通方向の上流側の端部に対して間隔を空けて配置され、流通方向の上流側に折り曲げられて、中心線方向に延びている。案内部126の固定部121側と反対側の端部は、流通方向の下流側に折り曲げられて、中心線方向に延びている。案内部126の幅方向の両端は、側板部122,123に接続されて、側板部122,123に固定されている。
【0056】
固定部121に囲まれる領域において、区画壁部124と案内部125との間、案内部125,126間および案内部126と固定部121の間は、それぞれ外気取込口131,132,133として開口している。
【0057】
排気ダクト2の第1外壁部111および第2外壁部112には、それぞれ外気導入ユニット101の固定部121に対応した矩形状の取付用開口134,135が形成されている。外気導入ユニット101の側板部122,123、区画壁部124および案内部125,126が排気ダクト2の外側から取付用開口134,135に嵌め入れられ、固定部121が第1外壁部111の取付用開口134の周縁部分および第2外壁部112の取付用開口135の周縁部分に当接した状態で固定されることにより、外気導入ユニット101が排気ダクト2に取り付けられる。
【0058】
<作用効果>
2個の外気導入ユニット101が排気ダクト2に取り付けられた状態において、一方の外気導入ユニット101の区画壁部124と他方の外気導入ユニット101の区画壁部124とが中心線方向と直交する方向に互いに対向する。排気ファン3(図1参照)からの排気は、その互いに対向する区画壁部124間を通過することにより、流速が上昇する。これにより、区画壁部124間の流通方向の下流側には、排気ダクト2の第1外壁部111および第2外壁部112から離れて、区画壁部124間から流出する排気の気流が形成される。
【0059】
そして、その気流と第1外壁部111および第2外壁部112との間の空気(流体)は、コアンダ効果により、気流に引き込まれる。固定部121に囲まれる領域には、外気取込口131~133が形成されているので、気流と第1外壁部111および第2外壁部112との間の空気が気流に引き込まれることにより、気流と第1外壁部111および第2外壁部112との間に負圧が生じ、その負圧により、外気取込口41~46から外周壁部11内に外気が取り込まれる。その結果、排気流路35の開口端36からの排気の気流に外気が引き込まれ、排気が外気により希釈される。
【0060】
よって、低コストな構成で、動力(電力)を必要とせずに、排気を外気で効果的に希釈することができる。そのため、排気が臭気を伴う場合であっても、その臭気が外気で薄まるので、大気中に放出された排気がその近隣に感覚公害をもたらすおそれをなくすことができる。その他、排気ダクト2Aの構成と同様な作用効果を奏することができる。
【0061】
<変形例>
以上、本発明の2つの実施形態について説明したが、本発明は、さらに他の形態で実施することもできる。
【0062】
たとえば、図8および図9に示されるように、区画壁部12の第2内壁部32、第3内壁部33および第4内壁部34、外気取込口44,45,46ならびに案内部53,54が形成されず、区画壁部12の第1内壁部31と外周壁部11の第2外壁部22、第3外壁部23および第4外壁部24とにより、排気流路35が区画されてもよい。
【0063】
図8および図9に示される構成においても、低コストな構成で、動力(電力)を必要とせずに、排気を外気で効果的に希釈することができる。ただし、図8および図9に示される構成が図2に示される構成と同じ寸法であれば、図2に示される構成では、図8および図9に示される構成よりも、外周壁部11内に多量の外気を取り込むことができる。
【0064】
図10に示されるように、案内部52,54が省略されてもよい。また、すべての案内部51~54が省略されてもよい。
【0065】
さらに、図11に示されるように、第1外壁部21の内面に、案内部51,52および外気取込口43の流通方向の上流側の各端に沿って、断面略三角形状の折り返し部201が形成されていてもよい。また、第2外壁部22の内面に、案内部53,54および外気取込口46の流通方向の上流側の各端に沿って、断面略三角形状の折り返し部202が形成されていてもよい。これにより、外気取込口41~46から取り込まれる外気が排気流路35からの排気の気流に向けて案内されて、その気流に外気を良好に導入することができる。また、折り返し部201,202により、それぞれ第1外壁部21および第2外壁部22を補強することができる。
【0066】
また、前述の実施形態では、排気ダクト2Aがボリュームダンパ4よりも流通方向の下流側に設けられることが好ましいとした。排気ダクト2Aがボリュームダンパ4よりも流通方向の上流側に設けられた場合、排気ダクト2Aが加圧状態に置かれることになり、外気取込口41~46からの外気の取込量が減り、外気による排気の希釈の効果が薄れる可能性がある。また、排気ダクト2Aが排気ファン3よりも流通方向の上流側に設けられた場合、排気ファン3よりも流通方向の下流側に設けられる排気ダクト2の内面に付着した油脂などから発生する臭いが良好に希釈されずに大気に放出されるおそれがある。外気導入ユニット101が取り付けられる排気ダクト2の位置についても、排気ダクト2Aと同様である。
【0067】
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0068】
2,2A:排気ダクト
3:排気ファン
11:外周壁部
12,124:区画壁部
21,111:第1外壁部
22,112:第2外壁部
23,113:第3外壁部
24,114:第4外壁部
31:第1内壁部
32:第2内壁部
35:排気流路
36:開口端
41~46,131~133:外気取込口
51~54,125,126:案内部
101:外気導入ユニット
121:固定部
134,135:取付用開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11