(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-20
(45)【発行日】2023-03-29
(54)【発明の名称】ロータリバルブ
(51)【国際特許分類】
F16K 11/08 20060101AFI20230322BHJP
F16K 5/04 20060101ALI20230322BHJP
【FI】
F16K11/08 Z
F16K5/04 E
(21)【出願番号】P 2019236236
(22)【出願日】2019-12-26
【審査請求日】2021-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】591012200
【氏名又は名称】株式会社東海理機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】篠田 和希
(72)【発明者】
【氏名】黒川 昌久
【審査官】篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】実公昭62-039159(JP,Y2)
【文献】特開2001-004100(JP,A)
【文献】特開2007-016876(JP,A)
【文献】特開2011-027198(JP,A)
【文献】特開2006-138347(JP,A)
【文献】実開昭58-157073(JP,U)
【文献】実開昭48-051196(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 11/08
F16K 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容部を有するハウジングと、
前記収容部に収容された弁本体部を有し、かつ軸部により前記ハウジングに回動可能に支持された弁体とを備え、
前記ハウジングの前記収容部に面した箇所には、流体が流入する複数の流入口が形成されるとともに、前記流体が流出する複数の流出口が形成され、
前記弁体には、前記流体の通路であり、かつ同流体の流れ方向における上流端及び下流端が前記弁本体部の外面において開口し、前記弁体が回動されることにより、少なくとも一部が移動することで、前記複数の流入口と前記複数の流出口との連通状態を変更する複数の可動流路が互いに独立した状態で形成され、
前記複数の可動流路
の1つは、前記弁体が回動されることにより、複数の前記流出口のうち前記流入口に対して連通される前記流出口を切替えるように構成されているロータリバルブ。
【請求項2】
前記複数の流入口は、第1流入口及び第2流入口を有し、
前記複数の可動流路は、第1可動流路及び第2可動流路を有し、
前記第1可動流路は、前記弁体が回動されることにより、複数の前記流出口のうち前記第1流入口に対して連通される前記流出口を切替え可能に構成され、
前記第2可動流路は、前記弁体が回動されることにより、前記第2流入口と、前記第1可動流路により前記第1流入口に対し連通される前記流出口とは異なる前記流出口とを連通可能に構成され、
前記第1可動流路は、前記第2可動流路が前記流出口を前記第2流入口に連通させているときに、前記流出口を前記第1流入口に連通させる請求項1に記載のロータリバルブ。
【請求項3】
前記ハウジングと前記弁本体部との間であって、同ハウジングにおける各流入口を取り囲む箇所には環状のシール部がそれぞれ配置されている請求項1
又は2に記載のロータリバルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁体を回動させることにより、流体の流れに関するモードを切替えるロータリバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
図7に示すように、ロータリバルブ80として、収容部84を有するハウジング81と、弁体85とを備えるものがある(例えば、特許文献1参照)。弁体85は、収容部84に収容された弁本体部86を有している。弁体85は、軸部87によりハウジング81に回動可能に支持されている。ハウジング81には、収容部84への流体FLの流入口82と、同収容部84からの流体FLの流出口83とが1つずつ形成されている。弁本体部86には、流体FLの可動流路88が形成されている。流体FLの流れ方向における可動流路88の上流端88a及び下流端88bは、弁本体部86の外面において開口している。
【0003】
そのため、弁体85が軸部87を支点として回動されることにより、上流端88aが流入口82に対向し、かつ下流端88bが流出口83に対向すると、流入口82及び流出口83が可動流路88を介して連通した状態となる。そのため、流入口82へ送られてきた流体FLは、その流入口82から可動流路88に流入し、同可動流路88によって流出口83に導かれる。この流体FLは、流出口83からロータリバルブ80の外部の流路に流出される。
【0004】
また、弁体85の上記回動により、流入口82と上流端88aとの間における流路面積や、下流端88bと流出口83との間における流路面積が変更されると、流入口82と流出口83との連通状態の程度が変更され、流出口83から流出される流体FLの流量が調整される。
【0005】
また、上流端88aが流入口82に対向しない位置まで弁体85が回動されると、流体FLが流入口82から可動流路88に流入されることが遮断される。下流端88bが流出口83に対向しない位置まで弁体85が回動されると、流体FLが流出口83から流出されることが遮断される。
【0006】
このように、弁体85を回動させて、流入口82と流出口83との連通状態を変更することにより、流体FLの流れに関するモードを切替えることが可能である。上記モードとしては、上述したように、流体FLが流入口82から可動流路88に流入するのを遮断するモード、流体FLが流出口83から流出するのを遮断するモード、流体FLを流入口82から流入させて流出口83から流出させるモード、流出口83から流出される流体FLの量を調整するモード等がある。
【0007】
なお、図示はしないが、ハウジング81に流入口82が1つ設けられ、流出口83が複数設けられる場合もある。このタイプのロータリバルブ80では、弁体85が回動されることにより、下流端88bを通過した後の流体FLの流路を切替えるモードが、上記流体FLの流れに関するモードに加わる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、上述したいずれのロータリバルブ80も、1種類の流体FLを対象とし、この流体FLについて、流れに関するモードを切替えるようにしている。そのため、複数種類の流体FLを対象とし、それぞれの流体FLについて、流れに関するモードを切替えたい場合には、流体FLの種類毎に、同流体FLの流路にロータリバルブ80を設けなればならない。
【0010】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、複数種類の流体のそれぞれについて、流れに関するモードを切替えることができるロータリバルブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するロータリバルブは、収容部を有するハウジングと、前記収容部に収容された弁本体部を有し、かつ軸部により前記ハウジングに回動可能に支持された弁体とを備え、前記ハウジングの前記収容部に面した箇所には、互いに異なる種類の流体が流入する複数の流入口が形成されるとともに、前記流体が流出する複数の流出口が形成され、前記弁体には、前記流体の通路であり、かつ同流体の流れ方向における上流端及び下流端が前記弁本体部の外面において開口し、前記弁体が回動されることにより、少なくとも一部が移動することで、前記複数の流入口と前記複数の流出口との連通状態を変更する可動流路が形成されている。
【0012】
上記の構成によれば、複数種類の流体のそれぞれが、ハウジングにおける複数の流入口のうち、対応する流入口に送られてくる。
一方、ロータリバルブにおいて、可動流路の上流端がいずれかの流入口に対向し、下流端がいずれかの流出口に対向すると、それらの流入口及び流出口は可動流路を介して連通された状態となる。そのため、上記のように流入口へ送られてきた流体は、その流入口から可動流路に流入し、同可動流路によって上記流出口に導かれる。この流体は、流出口からロータリバルブの外部の流路に流出される。ロータリバルブは、流体を流入口から流入させて流出口から流出させるモードになる。
【0013】
この際、可動流路の上流端及び流入口の間における流路面積と、同可動流路の下流端及び流出口の間における流路面積との少なくとも一方を変化させることで、同流出口から流出される流体の量を調整することが可能である。ロータリバルブは、流出口から流出される流体の量を調整するモードになる。
【0014】
上記の状態から弁体が回動されると、可動流路の少なくとも一部が軸部の周りを移動する。この移動により、弁体の周方向における可動流路の上流端及び下流端の少なくとも一方の位置が変化する。上流端及び流入口の位置関係と、下流端及び流出口の位置関係との少なくとも一方が変化する。
【0015】
可動流路の上流端がいずれかの流入口に対向し、下流端がいずれかの流出口に対向すると、それらの流入口及び流出口は可動流路を介して連通された状態となる。連通される流入口と流出口との組合せが、弁体の回動の前後で異なる。
【0016】
この際、可動流路の上流端が対向する流入口が弁体の回動前後で同じであって、下流端が対向する流出口が回動前後で変わった場合には、流体はその流出口から、弁体が回動される前とは異なる流路に流出される。ロータリバルブは、可動流路の下流端から流出された後の流体の流路を切替えるモードになる。
【0017】
また、弁体の上記回動により、可動流路の上流端がいずれの流入口にも対向しなくなると、流入口へ送られてきた流体は、可動流路へ流入することを規制され、流入口及び流出口の間の連通状態が遮断される。ロータリバルブは、流体が流入口から可動流路へ流入するのを遮断するモードになる。また、上記上流端が流入口に対向しているものの、可動流路の下流端がいずれの流出口にも対向していない場合には、上記流体は、流入口から可動流路内に流入可能であるが、流出口から流出することを規制され、流入口及び流出口の間の連通状態が遮断される。ロータリバルブは、流体が流出口から流出されるのを遮断するモードになる。
【0018】
このように、1つのロータリバルブでありながら、弁体を回動させて複数の流入口と複数の流出口との連通状態を変更することで、複数種類の流体のそれぞれについて、流れに関するモードを切替えることが可能となる。
【0019】
上記ロータリバルブにおいて、前記ハウジングと前記弁本体部との間であって、同ハウジングにおける各流入口を取り囲む箇所には環状のシール部がそれぞれ配置されていることが好ましい。
【0020】
上記の構成によれば、ハウジングと弁本体部との間の隙間は、環状のシール部よりも内周側の領域と外周側の領域とに区画される。各流入口は、シール部よりも内周側の領域に位置する。そのため、各流入口から上記隙間に出た流体が、同隙間であって、上記流入口の周りの他の種類の流体と混ざることが上記シール部によって規制される。
【発明の効果】
【0021】
上記ロータリバルブによれば、複数種類の流体のそれぞれについて、流れに関するモードを切替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】一実施形態におけるロータリバルブの斜視図。
【
図2】一実施形態において、弁体が第1の回転位相にされたロータリバルブの断面図。
【
図3】一実施形態におけるロータリバルブの分解斜視図。
【
図5】一実施形態において、弁体が第2の回転位相にされたロータリバルブの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、複数種類の流体の流路の途中に設けられて、流体の流れに関するモードを切替えるロータリバルブの一実施形態について、
図1~
図6を参照して説明する。
ここで、流体には、液体及び気体のいずれか一方又は両者が含まれる。複数種類の流体には、成分の異なる流体が含まれるほか、同一成分からなる流体であるが、温度の異なる流体も含まれる。本実施形態では、互いに温度の異なる2種類の冷却水を、流体FL1,FL2としている。
【0024】
また、流体の流れに関するモードとしては、例えば、次のモードが挙げられる。これらのモードの中には、他のモードが成立していることを前提とするものが含まれている。
・流体が流入口から可動流路に流入するのを遮断するモード
・流体を流入口から可動流路に流入させて流出口から流出させるモード
・流体が流入口から可動流路に流入するが、流出口から流出するのを遮断するモード
・流出口から流出される流体の量を調整するモード
・可動流路の下流端から流出された後の流体の流路を切替えるモード
ロータリバルブは、上述した複数のモードのうち、2以上のモードで作動し、それらのモードを切替えることが可能である。こうしたモードの切替えは、複数の流入口と複数の流出口との連通状態を変更することによりなされる。
【0025】
図1及び
図2に示すように、ロータリバルブ10は、ハウジング11及び弁体41を備えている。次に、各部材について説明する。
<ハウジング11>
ハウジング11は、ボディ12及びカバー31を備えている。ボディ12は、軸線L1に沿って延びる略円筒状の周壁部13を備えている。軸線L1に沿う方向における周壁部13の一方の端部、
図1では上端部は、閉塞部14によって塞がれ、他方の端部、
図4では下端部は開放されている。
【0026】
図1及び
図2に示すように、周壁部13には、複数(本実施形態では3つ)のパッキン装着用の突出壁部15,16,17が形成されている。各突出壁部15~17は、周壁部13から径方向における外方へ突出している。
【0027】
図3及び
図4に示すように、閉塞部14の中心部分には、上記軸線L1に沿って延びる軸受孔18が形成されている。軸線L1に沿う方向における閉塞部14の周壁部13とは反対側の面、
図3では上面であって、軸受孔18の周囲からは円環状の突部19が突出している。
【0028】
カバー31は、周壁部13を挟んで、軸線L1に沿う方向における閉塞部14とは反対側、
図3では下側となる箇所に配置されている。軸線L1に沿う方向におけるカバー31のボディ12側の面、
図3では上面には、パッキン装着用の凹部32が形成されている。
【0029】
図2及び
図3に示すように、ボディ12とカバー31とは、それらの周縁部において相互に連結されている。本実施形態では、この連結が、ボディ12に設けられた係合孔27に対し、カバー31に設けられたピン33が係合されることによりなされているが、他の連結手段によってなされてもよい。
【0030】
図2及び
図4に示すように、ボディ12とカバー31とによって囲まれた箇所は、収容部38を構成している。
カバー31の中心部には、流体FL1の流入口34が収容部38に面して開口されている。カバー31における流入口34の周縁部からは、上記軸線L1に沿って収容部38から遠ざかる側、
図4では下側へ向けて接続管部35が突出している。接続管部35には、流体FL1の流路61を有する配管60が接続される。また、カバー31の中心部からずれた箇所には、流体FL2の流入口36が収容部38に面して開口されている。カバー31における流入口36の周縁部からは、接続管部37が突出している。接続管部37の突出方向は、上記流体FL2の流れ方向における下流部分では、上記軸線L1に沿って収容部38から遠ざかる方向であり、上流部分では、カバー31の径方向における外方である。接続管部37には、流体FL2の流路63を有する配管62が接続される。
【0031】
上記突出壁部15には流出口21が、突出壁部16には流出口22が、突出壁部17には流出口23がそれぞれ形成されている。これらの流出口21~23は、収容部38に面して開口されている。
【0032】
突出壁部15における流出口21の周縁部からは、ボディ12の径方向における外方へ向けて接続管部24が突出している。接続管部24には、流路65を有する配管64が接続される。同様に、突出壁部16における流出口22の周縁部からは接続管部25が、また突出壁部17における流出口23の周縁部からは接続管部26が、それぞれ上記径方向外方へ向けて突出している。接続管部25には、流路67を有する配管66が接続され、接続管部26には、流路69を有する配管68が接続される。
【0033】
<弁体41>
弁体41は、略円柱状をなす弁本体部44と、同弁本体部44の一方の面、
図4では上面の中心部から突出する軸部42とを備えている。そして、弁本体部44が収容部38に収容され、軸部42が軸受孔18に挿通されている。軸部42は軸受孔18においてボディ12に対し回動可能に支持されている。軸部42と突部19との間にはOリング43が介在されている(
図3参照)。
【0034】
図2及び
図4に示すように、弁体41には、流体FL1の可動流路45と、流体FL2の可動流路46とがそれぞれ形成されている。可動流路45,46は、流体FL1,FL2が弁体41内で混ざらないように、互いに離間させられている。
【0035】
流体FL1の流れ方向における可動流路45の上流端45aは、弁本体部44の外面であって、カバー31に対向する側、
図4では下側の面47の中心部に開口されている。上流端45aは流入口34に対向しており、弁体41の回転位相に拘わらず常に流入口34に連通した状態になっている。
【0036】
上記流れ方向における可動流路45の下流端45bは、弁本体部44の外面の一部を構成する外周面48に開口されている。可動流路45は、弁体41の回動により、流入口34と流出口21,22との連通状態を変更する。より詳しくは、
図2及び
図4に示すように、可動流路45は、弁体41の回転位相が第1の回転位相になった場合に、下流端45bにおいて流出口21に対向する。これに対し、
図5に示すように、可動流路45は、弁体41の回転位相が第2の回転位相になった場合に、下流端45bにおいて流出口22に対向する。
【0037】
図2及び
図4に示すように、流体FL2の流れ方向における可動流路46の上流端46aは、弁本体部44の上記面47のうち、中心部からずれた箇所に開口されている。上記流れ方向における可動流路46の下流端46bは、弁本体部44の外周面48に開口されている。可動流路46は、弁体41の回動により、流入口36と流出口21~23との連通状態を変更する。より詳しくは、弁体41の回転位相が上記第1の回転位相になった場合、可動流路46は、上流端46aにおいて流入口36に対向し、下流端46bにおいて流出口23に対向する。これに対し、
図5及び
図6に示すように、弁体41の回転位相が第2の回転位相になった場合、可動流路46の上流端46aが流入口36に対向しなくなり、可動流路46は下流端46bにおいて流出口21に対向する。
【0038】
上記構成の弁体41は、図示しないモータ、手動操作等によって回動される。
上記ボディ12における突出壁部15~17のそれぞれと弁本体部44の外周面48との間には、流出口21~23をシールするためのパッキン50が配置されている。各パッキン50は、互いに同一の構成を有している。各パッキン50は貫通孔49を有している。
図3に示すように、各パッキン50の周壁部13側の面であって、貫通孔49の周りには環状のシール部51が形成されている。
図2及び
図4に示すように、パッキン50毎のシール部51は、流出口21~23の周りにおいて突出壁部15~17に接触している。また、各パッキン50の弁本体部44側の面であって、貫通孔49の周りには環状のシール部52が形成されている。パッキン50毎のシール部52は、弁本体部44の外周面48に接触しているが、特に、可動流路45,46の下流端45b,46bが流出口21~23に対向した場合には、その下流端45b,46bの周りにおいて外周面48に接触する。
【0039】
図3及び
図4に示すように、カバー31の凹部32と、弁本体部44の面47との間には、流入口34,36をシールするためのパッキン53が配置されている。パッキン53は、流入口34,36に対向する箇所にそれぞれ貫通孔54を有している。パッキン53のカバー31側の面、
図4では下面であって、各貫通孔54の周りにはシール部55が形成されている。各シール部55は、流入口34,36の周りにおいて凹部32に接触している。また、パッキン53の弁本体部44側の面、
図4では上面であって、各貫通孔54の周りにはシール部56が形成されている。一方(
図4の左方)のシール部56は、弁体41の回転位相に拘わらず可動流路45の上流端45aの周りにおいて面47に接触している。他方(
図4の右方)のシール部56は、面47に接触しているが、特に、可動流路46の上流端46aが流入口36に対向した場合には、その上流端46aの周りにおいて面47に接触する。
【0040】
カバー31と弁本体部44の面47との間の隙間は、環状のシール部55,56よりも内周側の領域と外周側の領域とに区画されている。各流入口34,36及び上流端45aは、対応するシール部55,56よりも内周側の領域に位置している。また、上流端46aは、流入口36に対向するときには、対応するシール部55,56よりも内周側の領域に位置する。
【0041】
上記構成のロータリバルブ10では、弁体41が回動されることにより、可動流路45,46の少なくとも一部が移動することで、流入口34,36と流出口21~23との連通状態が変更される。
【0042】
次に、上記のように構成された本実施形態の作用について説明する。また、作用に伴い生ずる効果についても併せて説明する。
図4に示すように、配管60内の流路61を流れる流体FL1は、接続管部35を介して流入口34に送られてくる。配管62内の流路63を流れる流体FL2は、接続管部37を介して流入口36に送られてくる。このように、流入口34,36毎に異なる種類の流体FL1,FL2が送られてくる。
【0043】
このような状況のもと、
図2及び
図4は、弁体41の回転位相が第1の回転位相になっているときのロータリバルブ10の内部の状態を示している。第1の回転位相では、可動流路45は、上流端45aにおいて流入口34に対向し、下流端45bにおいて流出口21に対向し、流入口34と流出口21とを連通状態にする。第1の回転位相では、流入口34と流出口22との連通状態も、流入口34と流出口23との連通状態も遮断される。
【0044】
また、第1の回転位相では、可動流路46は、上流端46aにおいて流入口36に対向し、下流端46bにおいて流出口23に対向し、流入口36と流出口23とを連通状態にする。第1の回転位相では、流入口36と流出口21との連通状態も、流入口36と流出口22との連通状態も遮断される。
【0045】
そのため、接続管部35に送られてきた流体FL1は、流入口34から可動流路45の上流端45aに流入し、同可動流路45によって流出口21に導かれる。この流体FL1は、流出口21から接続管部24を介して配管64内の流路65に流出される。また、接続管部37に送られてきた流体FL2は、流入口36から可動流路46の上流端46aに流入し、同可動流路46によって流出口23に導かれる。この流体FL2は、流出口23から接続管部26を介して配管68内の流路69に流出される。流出口22は閉鎖された状態となり、この流出口22からは流体FL1,FL2が流出されない。ロータリバルブ10は、流体FL1を流入口34から流入させて流出口21から流出させるとともに、流体FL2を流入口36から流入させて流出口23から流出させるモードになる。
【0046】
上記の状態から弁体41が回動されると、可動流路45の下流部分が軸線L1の周りを移動する。この移動により、弁体41の周方向における可動流路45の下流端45bの位置が変化する。下流端45bと流出口21~23との位置関係が変化する。なお、上記周方向における上流端45aの位置は変化せず、同上流端45aと流入口34との位置関係は変化しない。
【0047】
また、弁体41の上記回動に伴い、可動流路46の全体が軸線L1の周りを移動する。この移動により、弁体41の周方向における可動流路46の上流端46a及び下流端46bのそれぞれの位置が変化する。上流端46aと流入口36との位置関係が変化するとともに、下流端46bと流出口21~23との位置関係が変化する。
【0048】
弁体41の上記回動により、
図5及び
図6に示すように、同弁体41の回転位相が第2の回転位相になると、可動流路45は、上流端45aにおいて流入口34に対向し、下流端45bにおいて流出口22に対向し、流入口34と流出口22とを連通状態にする。第2の回転位相では、流入口34と流出口21との連通状態も、流入口34と流出口23との連通状態も遮断される。
【0049】
そのため、接続管部35に送られてきた流体FL1は、流入口34から可動流路45の上流端45aに流入し、同可動流路45によって流出口22に導かれる。この流体FL1は、流出口22から接続管部25を介して配管66内の流路67に流出される。
【0050】
可動流路45の上流端45aは、第1の回転位相でも第2の回転位相でも流入口34に対向する。これに対し、可動流路45の下流端45bが対向する流出口は、回転位相の変化に伴い、流出口21から流出口22に切り替わる。従って、この可動流路45を流れた流体FL1は、上記流出口22から、第1の回転位相のときとは異なる流路67に流出される。
【0051】
また、第2の回転位相では、可動流路46の上流端46aが流入口36に対向しなくなる。流入口36と流出口21との連通状態も、流入口36と流出口22との連通状態も、流入口36と流出口23との連通状態も遮断される。接続管部37を介して流入口36へ送られてきた流体FL2は、可動流路46へ流入できず、いずれの流出口21~23からも流出されない。
【0052】
なお、このときには、可動流路46の下流端46bは流出口21に対向するが、上記のように上流端46aが流入口36に対向しないため、流入口36と流出口21との連通状態が遮断される。
【0053】
このとき、ロータリバルブ10は、流体FL1を流入口34から流入させて流出口22から流出させるとともに、可動流路45の下流端45bから流出された後の流体FL1の流路を切替え、さらに、流体FL2が流入口36から可動流路46へ流入するのを遮断するモードになる。
【0054】
上記第2の回転位相にある弁体41が、上記とは逆方向へ回動されると、可動流路45の下流部分が軸線L1の周りを上記とは逆方向へ移動する。この移動により、弁体41の周方向における可動流路45の下流端45bの位置が変化する。下流端45bと流出口21~23との位置関係が変化する。なお、上記周方向における上流端45aの位置は変化せず、同上流端45aと流入口34との位置関係は変化しない。
【0055】
また、弁体41の上記回動に伴い、可動流路46の全体が軸線L1の周りを上記とは逆方向へ移動する。この移動により、弁体41の周方向における可動流路46の上流端46a及び下流端46bのそれぞれの位置が変化する。上流端46aと流入口36との位置関係が変化するとともに、下流端46bと流出口21~23との位置関係が変化する。
【0056】
そして、弁体41の回転位相が第1の回転位相になると、ロータリバルブ10は上記
図2及び
図4に示す状態に戻る。流入口34に送られてきた流体FL1が可動流路45を流れた後に流出口21及び接続管部24を介して配管64内の流路65へ流出される。また、流入口36に送られてきた流体FL2が、可動流路46を流れた後に流出口23及び接続管部26を介して配管68内の流路69へ流出される。ロータリバルブ10は、流体FL1を流入口34から流入させて流出口21から流出させるとともに、流体FL2を流入口36から流入させて流出口23から流出させるモードになる。
【0057】
このように、本実施形態によると、1つのロータリバルブ10でありながら、弁体41を回動させて流入口34,36と流出口21~23との連通状態を変更することで、2種類の流体FL1,FL2のそれぞれについて、流れに関するモードを切替えることができる。
【0058】
本実施形態によると、上記以外にも、次の効果が得られる。
・
図3及び
図4に示すように、カバー31の凹部32と弁本体部44の面47との間の隙間にパッキン53が配置され、同カバー31における各流入口34,36を取り囲む箇所に環状のシール部55,56がそれぞれ配置されている。そのため、各流入口34,36から上記隙間に出た流体FL1,FL2が、同隙間であって、上記流入口34,36の周りの他の種類の流体と混ざるのをシール部55,56によって規制することができる。
【0059】
なお、上記実施形態は、これを以下のように変更した変形例として実施することもできる。上記実施形態及び以下の変形例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0060】
<ハウジング11に関する事項>
・上記実施形態において、流入口34,36の少なくとも一方が流出口に変更されてもよい。また、流出口21~23の少なくとも1つが流入口に変更されてもよい。
【0061】
・収容部38を有することを条件に、ハウジング11がボディ12及びカバー31とは異なる部材によって構成されてもよい。この変形例には、ボディ12及びカバー31に対し、別の部材が加わることも含まれる。
【0062】
<流入口及び流出口に関する事項>
・ハウジング11に3以上の流入口が設けられてもよい。また、ハウジング11に2又は4以上の流出口が設けられてもよい。ハウジング11の体格に制約がなければ、流入口の数と流出口の数との組合せを無限大に成立させることが可能である。表現を変えると、複数の流入口と複数の流出口との連通状態の種類を制限なく増やすことが可能になる。
【0063】
・複数の流入口の全部がカバー31に代えてボディ12に設けられてもよい。また、複数の流入口の一部がカバー31に設けられ、残部がボディ12に設けられてもよい。
・複数の流出口の全部がボディ12に代えてカバー31に設けられてもよい。また、複数の流出口の一部がボディ12に設けられ、残部がカバー31に設けられてもよい。
【0064】
<弁体41に関する事項>
・弁本体部44は、円柱状に代えて球状に形成されてもよい。
・弁体41における可動流路の数が1又は3以上に変更されてもよい。可動流路が1つの場合、途中で複数に分岐されてもよい。
【0065】
・複数の流体の成分が同じで、温度が異なる場合には、弁体41が回動されることにより、複数の流入口と複数の流出口との連通状態が変更されることを条件に、上記複数の流体が同一の可動流路に流されてもよい。
【0066】
<その他>
・可動流路45,46は、弁体41が回動されることにより、自身の少なくとも一部が移動することで、複数の流入口と複数の流出口との連通状態を変更する。この連通状態の変更には、弁体41の回動量を調整することで、可動流路の上流端及び流入口の間における流路面積を連続的に変化させ、流出口から流出される流体の量を調整することも含まれる。また、上記連通状態の変更には、弁体41の回動量を調整することで、可動流路の下流端及び流出口の間における流路面積を連続的に変化させ、同流出口から流出される流体の量を調整することも含まれる。
【0067】
・ロータリバルブによって切替えられるモードの中には、流体が流入口から可動流路に流入するが、流出口から流出するのを遮断するモードが含まれてもよい。
・上記ロータリバルブ10は、流体として、冷却水とは異なる種類の液体がそれぞれ流される複数の流路の途中に設けられるロータリバルブや、流体として液体に代えて気体がそれぞれ流される複数の流路の途中に設けられるロータリバルブにも適用可能である。また、上記ロータリバルブ10は、液体が流される流路と気体が流される流路とを有する場合において、それらの流路の途中に設けられるロータリバルブにも適用可能である。
【符号の説明】
【0068】
10…ロータリバルブ
11…ハウジング
21,22,23…流出口
34,36…流入口
38…収容部
41…弁体
42…軸部
44…弁本体部
45,46…可動流路
45a,46a…上流端
45b,46b…下流端
55,56…シール部
FL1,FL2…流体