(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-20
(45)【発行日】2023-03-29
(54)【発明の名称】膵臓由来微小血管を含む組織構築物およびそれに関連する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 35/39 20150101AFI20230322BHJP
A61K 35/44 20150101ALI20230322BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230322BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20230322BHJP
A61K 35/545 20150101ALI20230322BHJP
A61L 27/38 20060101ALI20230322BHJP
A61L 27/36 20060101ALI20230322BHJP
A61L 27/52 20060101ALI20230322BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20230322BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20230322BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20230322BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20230322BHJP
【FI】
A61K35/39
A61K35/44
A61P43/00 121
A61P3/10
A61K35/545
A61L27/38
A61L27/36
A61L27/52
A61K47/36
A61K47/42
A61K47/34
A61K47/10
(21)【出願番号】P 2019559050
(86)(22)【出願日】2018-04-27
(86)【国際出願番号】 US2018029815
(87)【国際公開番号】W WO2018200968
(87)【国際公開日】2018-11-01
【審査請求日】2021-02-15
(32)【優先日】2017-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512131243
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ ルイスビル リサーチ ファンデーション,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF LOUISVILLE RESEARCH FOUNDATION,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100156443
【氏名又は名称】松崎 隆
(72)【発明者】
【氏名】アッパカライ、バラムルガン
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ、スチュアート ケー.
【審査官】柴原 直司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/047040(WO,A1)
【文献】2005年度実績報告書 β-細胞への分化能を有する膵内外のprogenitor cellの同定とその応用, [online], (2016.04.21), KAKEN科学研究費助成事業データベース, [2022.03.09検索], インターネット, <https://kaken.nii.ac.jp/report/KAKENHI-PROJECT-16591365/165913652005jisseki/>
【文献】MHC, (2015), 22, [2], p.95-101
【文献】慈医誌, (1981), 96, [4], p.687-700
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 35/39
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)1つまたは複数の膵臓の外分泌組織由来微小血管断片および(ii)1つまたは複数の膵島細胞を含む組織構築物
であって、
前記膵臓の外分泌組織由来微小血管断片が、
膵臓組織を酵素消化に供して、消化された膵臓組織のスラリーを生成する工程と
遠心管の底部に内分泌および外分泌組織を沈着させるのに十分な低速で、第1の遠心管において前記消化された組織のスラリーを遠心分離する工程と
前記第1の遠心管における上清を、第2の遠心管へ回収する工程と
前記膵臓の外分泌組織由来微小血管断片をペレット化するのに十分なより高い速度で、前記上清を遠心分離する工程と
を含む方法により得られるものである、組織構築物。
【請求項2】
生体適合性媒体をさらに含む、請求項1に記載の組織構築物。
【請求項3】
前記生体適合性媒体がヒドロゲルを含む、請求項2に記載の組織構築物。
【請求項4】
請求項3に記載の組織構築物であって、
前記ヒドロゲルが、アガロース、アルギネート、コラーゲン、フィブリノーゲン、フィブリン、ラミニン、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、シリコーン、多糖類、ポリエチレングリコール、およびポリウレタンからなる群から選択される材料から構成される、組織構築物。
【請求項5】
前記ヒドロゲルがI型コラーゲンで構成されている、請求項
3に記載の組織構築物。
【請求項6】
前記膵臓の外分泌組織由来微小血管断片および前記膵島細胞がヒトから得られたものである、請求項1~5のいずれか一項に記載の組織構築物。
【請求項7】
前記組織構築物が、1つもしくは複数の関連細胞または1つもしくは複数の幹細胞をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の組織構築物。
【請求項8】
1つまたは複数の膵臓の外分泌組織由来微小血管断片と
1つもしくは複数の関連細
胞と
を含
む組織構築物
であって、
前記膵臓の外分泌組織由来微小血管断片が、
膵臓組織を酵素消化に供して、消化された膵臓組織のスラリーを生成する工程と
遠心管の底部に内分泌および外分泌組織を沈着させるのに十分な低速で、第1の遠心管において前記消化された組織のスラリーを遠心分離する工程と
前記第1の遠心管における上清を、第2の遠心管へ回収する工程と
前記膵臓の外分泌組織由来微小血管断片をペレット化するのに十分なより高い速度で、前記上清を遠心分離する工程と
を含む方法により得られるものであり、かつ、
前記関連細胞が膵島細胞を含むものである、組織構築物。
【請求項9】
1つまたは複数の
幹細胞をさらに含む、請求項8に記載の組織構築物。
【請求項10】
生体適合性媒体をさらに含む、請求項8または9に記載の組織構築物。
【請求項11】
前記生体適合性媒体がヒドロゲルを含む、請求項10に記載の組織構築物。
【請求項12】
請求項11に記載の組織構築物であって、
前記ヒドロゲルが、アガロース、アルギネート、コラーゲン、フィブリノーゲン、フィブリン、ラミニン、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、シリコーン、多糖類、ポリエチレングリコール、ポリウレタンからなる群より選択される材料から構成される、組織構築物。
【請求項13】
前記ヒドロゲルがI型コラーゲンで構成されている、請求項
11に記載の組織構築物。
【請求項14】
膵臓の外分泌組織由来微小血管断片を含む組織構築物を
単離する方法であって
膵臓組織を酵素消化に供して、消化された膵臓組織のスラリーを生成する工程と
遠心管の底部に内分泌および外分泌組織を沈着させるのに十分な低速で、第1の遠心管において前記消化された組織のスラリーを遠心分離する工程と
前記第1の遠心管における上清を、第2の遠心管へ回収する工程と
前記膵臓の外分泌組織由来微小血管断片をペレット化するのに十分なより高い速度で、前記上清を遠心分離する工程と
を含む、単離する方法。
【請求項15】
前記膵臓組織から膵島細胞量を単離する工程をさらに含む、請求項14に記載の単離方法。
【請求項16】
1つまたは複数の膵臓の外分泌組織由来微小血管断片および1つまたは複数の膵島細胞を含む組織構築物を含む、糖尿病治療用組成物
であって、
前記膵臓の外分泌組織由来微小血管断片が、
膵臓組織を酵素消化に供して、消化された膵臓組織のスラリーを生成する工程と
遠心管の底部に内分泌および外分泌組織を沈着させるのに十分な低速で、第1の遠心管において前記消化された組織のスラリーを遠心分離する工程と
前記第1の遠心管における上清を、第2の遠心管へ回収する工程と
前記膵臓の外分泌組織由来微小血管断片をペレット化するのに十分なより高い速度で、前記上清を遠心分離する工程と
を含む方法により得られるものである、糖尿病治療用組成物。
【請求項17】
前記糖尿病治療用組成物が皮下投与用に製剤化されたものである、請求項16に記載の糖尿病治療用組成物。
【請求項18】
前記膵臓の外分泌組織由来微小血管断片および前記膵島細胞が生体適合性媒体中へ組み込まれている、請求項16または17に記載の糖尿病治療用組成物。
【請求項19】
前記膵臓の外分泌組織由来微小血管断片および前記膵島細胞が、糖尿病治療を必要とする対象から得られたものである、請求項16~18のいずれか一項に記載の糖尿病治療用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年4月28日に出願された米国仮出願第62/491,895号に基づく優先権を主張するものであり、その全体の開示は本明細書中に参照として組み込まれる。
【0002】
本開示の主題は、膵臓由来の微小血管断片を含む組織構築物および関連する方法に関する。特に、本開示の主題の特定の実施形態は、膵臓由来微小血管断片を含む組織構築物、膵臓由来微小血管断片の単離方法、および糖尿病治療のためのそのような組織構築物の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
膵島細胞移植は有効なβ細胞置換療法であり、1型糖尿病の治療に最も有望な技術である。選択された施設における膵島移植の長期臨床結果は、現在、全膵臓移植の結果に匹敵し、患者の50-70%が5年でインスリン独立性を達成する。しかし、既存のヒト膵島分離技術は、膵島血管系を完全に切断する。全膵臓移植とは異なり、移植された膵島の生存および機能にとって迅速かつ適切な血管再生が重要である。これは、通常、宿主血管系から血流を引き出すための、膵島移植片内の新しい血管の再確立に依存する。移植患者に注入された灌流液中の大量の膵島の投与にもかかわらず、注入された膵島のおおよそ50%以下が安定的に生着する。膵島移植片は、正常な膵島よりも著しく低い血管供給および低い酸素分圧を有する。これにより、宿主の循環系と限られた吻合のみが生じ、貧弱な血管再生に起因して多くの膵島が死ぬ。移植前に膵島を予め血管新生化することにより膵島生存性を潜在的に向上させることができ、膵島対宿主の吻合を補助することにより機能を向上させることができる。迅速かつ適切な膵島血管再生は、移植された膵島の即時生存および長期機能に重要である。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に提供される情報に基づいて当業者に明らかになるように、本願に開示されている主題は上記する一部または全ての要求を満たすものである。
【0005】
この本旨は、本願に開示されている主題のいくつかの実施形態を記載し、多くの場合、これらの実施形態の変形例および置換例を列挙する。この要約は、多数の様々な実施形態の単なる例示である。所与の実施形態についての1つまたは複数の代表的な特徴についての言及は、同様に例示に過ぎない。そのような実施形態は、典型的には、言及された特徴と共に、または伴わずに存在することができ、同様に、これらの特徴は、この本旨にリストされているか否かにかかわらず、本願に開示されている主題の他の実施形態に適用することができる。過剰な反復を避けるために、この要約は、そのような特徴のすべての可能な組合せを列挙または示唆しない。
【0006】
本開示の主題は、膵臓由来の微小血管断片を含む組織構築物および関連する方法を含む。特に、本願に開示されている主題は、膵臓由来の微小血管断片を含む組織構築物を含み、膵臓由来の微小血管断片を単離する方法、および糖尿病の治療のためのこのような組織構築物の使用を含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、膵臓由来微小血管断片および膵島細胞を含む組織構築物が提供される。いくつかの実施形態では、組織構築物は生体適合性媒体をさらに含み、これにより、ある実施形態では、膵臓由来微小血管断片および膵島細胞は、生体適合性媒体中に組み込まれている。いくつかの実施形態では、生体適合性媒体はヒドロゲルを含み、当該ヒドロゲルは一実施の形態において、例えばアガロース、アルギネート、コラーゲン、フィブリノーゲン、フィブリン、ラミニン、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、シリコーン、多糖類、ポリエチレングリコール、およびポリウレタンからなる群より選択される材料から構成される。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルはI型コラーゲンにより構成されるものである。
【0008】
いくつかの実施形態では、組織構築物は、膵臓由来微小血管断片と、1つもしくは複数の他の細胞および/または1つもしくは複数の幹細胞との組み合わせ、および/または、さらに膵島細胞との組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、組織構築物のための細胞は、治療を必要とするヒト被験体のようなヒト対象者から得られたものである。
【0009】
いくつかの実施形態では、膵臓から微小血管断片を単離する方法であって、膵臓組織を酵素消化して消化された膵臓組織のスラリーを生成させる工程と、消化された組織のスラリーを、遠心管の底部に内分泌および外分泌組織を沈着させるのに十分な低速で第1の遠心管中で遠心分離する工程と、第1の遠心管の上清を第2の遠心管に回収する工程と、膵臓組織からの微小血管断片をペレット化するのに十分なより高い速度で上清を遠心分離する工程とを含む。単離方法のいくつかの実施形態では、本方法は、膵臓組織から膵島細胞を単離する工程をさらに含む。
【0010】
さらに、いくつかの実施形態では、糖尿病を治療するための方法が提供される。いくつかの実施形態において糖尿病を治療する方法は、膵臓由来微小血管断片および膵島細胞を含む組織構築物の有効量を、治療を必要とする対象に投与することを含む。組織構築物の投与は、いくつかの実施形態において組織構築物を皮下投与することを含み、また特定の実施の形態においては組織構築物を対象の体内の複数の部位に皮下投与することを含む。
【0011】
本開示の主題のさらなる特徴および利点は、本明細書の説明、図面、および非限定的な例に基づいて当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1A-
図1Fは、膵臓由来の微小血管断片(pancreas-derived micro vessel fragments: PD-MVFs)の形態的評価を示す画像を含む。(
図1A)は膵島単離中のヒト膵島およびPD-MVFsを示し;(
図1B)はCD31染色した膵島を有する多数のPD-MVFsを示し;(
図1C)はPD-MVFsおよび膵島を示す
図1Bに示された画像の拡大図であり;(
図1D)はPD-MVFsおよび膵島(赤)のUEA-1染色(緑色)を示し;(
図1E)はPD-MVFs中の内皮のライニング(矢印)を示す高倍率図であり;(
図1F)は単一のPD-MVFsの走査電子顕微鏡像を示す。
【0013】
【
図2】
図2は、ヒト膵島単離中に多数の断片が解離することを示す画像であり、CD31染色(ブラウン)を用いた組織学的分析はヒト膵島とともに多数のPD-MVFs(矢印)の存在を示す。
【0014】
【
図3】
図3A-
図3Dは、膵臓消化後に回収されたPD-MVF試料の蛍光活性化細胞選別(FACS)分析を示すグラフである。PD-MVF試料は100μmメッシュを介して濾過され、LSRIIサイトメーターを用いたフローサイトメトリーのためCD31発現を染色したものである。(
図3A)は、前方散乱対側方散乱ドットプロットにてゲートした生細胞;(
図3B)は識別のためにCD45-、CD90+でゲートしたグラフを示す;(
図3C)はCD31発現を示し、数値は親ゲートのパーセンテージを示し、CD31+細胞は初期細胞集団の0.24%であった(
図3Aの生きたゲートとして示される);(
図3D)のグラフは、多くの内皮細胞(ECs)がPD-MVFサンプル中に存在することを示し、ここでPD-MVFサンプル中のECsは、膵臓消化物を100μmのメッシュを用いて濾過し、LSRIIサイトメーターを用いたフローサイトメトリーのためにCD31発現を染色後回収し、PD-MVFサンプルのFACS分析により定量したものであり、生細胞は側方散乱対CD31PEドットプロットでゲートし、ヒト(パネルAおよびパネルB)およびラット(パネルCおよびパネルD)PD-MVFsにおけるECsのパーセンテージを評価した。
【0015】
【
図4】4A-
図4Cは、PD-MVFsをコラーゲンゲルで培養し、当該PD-MVFsに発芽およびネットワーク形成をさせたインビトロ試験の結果を示す画像であり、発芽およびネットワーク形成は異なる時点でモニターした。(
図4A)は2日目に観察された発芽の開始(矢印)を示し、(
図4B)は7日目に観察された内皮の先端および柄細胞の形成を示し、(
図4C)はPD-MVFネットワーク形成の構築ブロックを形成したECsの存在を確認するUEA-1染色を示す。
【0016】
【
図5】
図5A-
図5Dは、新たに単離されたヒト膵島とPD-MVFsをコラーゲンゲル中で共培養し、様々な時点で評価した、潜在的な膵島血管新生単位としてのPD-MVFsを示す画像を含む。ゲルは特定の時点で取り出し(0日目、2日目、7日目、14日目)、それぞれインスリンおよびUAE-1染色を用いて膵島および血管形成の存在を示すように染色し、核はDAPI(青色)を用いて染色した。 膵島(インスリン染色、赤色)およびPD-MVFs(UEA-1、緑色)の免疫蛍光染色は、0日目(
図5A)、2日目(
図5B)、7日目(
図5C)、14日目(
図5D)時点のものを示す。それぞれの時点におけるすべてのサンプルにおいて標準的な染色プロトコルおよび共焦点顕微鏡撮像を適用した。
【0017】
【
図6】
図6A-
図6Bは、膵島単離試料(PD-MVFs)からの遺伝子発現試験を示すグラフであり、(
図6A)は、cDNA合成および定量リアルタイムPCRが生物学的に独立した4つの試料で実施され、ノッチシグナル経路に関連する既知の遺伝子を示し、すべての発現レベルはβ-アクチンを用いて標準化されたものであり、(
図6B)新たに収集されたヒトPD-MVFsの3群について実施されたHES1およびHEY1のノッチシグナル経路末端標的遺伝子発現であって、HES1およびHEY1の相対的mRNAレベルが、PD-MVF培養群において有意に高いことが見出され、ノッチ標的遺伝子のアップレギュレーションが、培養グループにおけるノッチ経路の増加した活性を示し、さらに、PD-MVF EC発芽中のノッチ経路の役割を示すことを見出した。
【0018】
【
図7】
図7A-
図7Iは、PD-MVFs(コラーゲンゲル)と共培養した、新たに単離されたヒト膵島が膵島周辺管(peri-islet vessels:PIVs)の形成を示す画像である。標準培養液中の膵島はPIVsが形成しなかった(0日目(
図7A)および14日目(
図7B));(
図7C)CD31染色は新鮮な膵島(矢印)において膵島内ECsの存在を示す;(
図7D)は14日目においてコラーゲンゲル中のPD-MVFsと共培養した膵島がPIVsを形成することを示す;(
図7E)膵島中のPIV形成についての拡大図(60x)を示す;(
図7F)UEA-1染色がPIV形成および発芽が内皮に由来することを示す;(
図7G-7I)PIVsの超微細構造を示すSEM画像である。
【0019】
図7J-7MはPD-MVFsが膵島内内皮発芽形成を亢進する画像を示す:(
図7J)GFP-膵島と共に培養したPD-MVFsは、膵島内ECsがPIVsを形成するように刺激する;(
図7K)膵島内管発芽についての拡大図である;(
図7L)Tie2マウス膵島は緑の膵島内ECsの存在を示す;(
図7M)Tie2マウス膵島内ECsがPD-MVFsの存在下、PIVの形成を刺激する。
【0020】
【
図8】
図8は、TAK1阻害が膵島発芽およびPIV形成を阻害することを示す画像であり、コラーゲンゲル内で培養したヒト膵島からの発芽形成を示し(上段パネル;矢印)、また、TAK1阻害剤存在下における膵島からのPIVおよび発芽形成阻害を示す(下段パネル)。
【0021】
【
図9】TAK1が新鮮な単離膵島中においてリン酸化されていることを示す画像であり、2つの独立したヒト膵島タンパク溶解物のウェスタンブロット分析によりTAK1の合計値(#5206、細胞シグナル伝達)およびリン酸化レベル(#9339、細胞シグナリル伝達)の決定を示す。このときGAPDHをローディングコントロールとして使用し、肝細胞をポジティブコントロールとして使用した。
【0022】
【
図10】
図10A-10Cは、齧歯類膵島および脂肪由来のMVFsを同時培養し、14日目にインスリン(緑色)およびGS-1(内皮染色、オレンジ)を使用して染色し、齧歯類膵島および脂肪由来のMVFsが‘血管バスケット’をインビトロで形成することを示す画像である。(
図10A)'血管バスケット"と呼ばれる強い微小血管構造を形成する齧歯島周囲の微小血管(矢印)を示す;(
図10B)これらのバスケットの膵島を10x倍率で示す;(
図10C)インビトロで培養された場合に、共接種されたMVFsと膵島内管とが吻合を示している膵島の20x倍拡大図である。
【0023】
【
図11】
図11A-11Gはバイオエンジニアリングした膵島(MVFsの存在下で培養した膵島)が糖尿病を回復させる可能性を有する点を示す画像およびグラフである:(
図11A)移植後のヌードマウス内へ移植したゲルを示す画像である;(
図11B)30日目に観察した移植片を示す画像である;(
図11C)血管網とともに生存している膵島の存在を示す組織学的画像である;(
図11D-11E)宿主と脂肪由来の移植した血管との吻合を示す画像である(緑―UAE-1染色および赤(デキストラン注入));(
図11F)対照膵島において、
図11D-11Eと比較して、より貧弱な血管網が観察されたことを示す画像である;(
図11G)予め血管新生した構築物として膵島およびPD-MVFを移植した後に糖尿病が迅速に回復したことを示すグラフである(青―発芽膵島またはバイオエンジニアリングした膵島;対照-赤)
【発明を実施するための形態】
【0024】
本願に開示されている主題の1つまたは複数の実施形態の詳細は、本明細書に記載されている。本明細書に記載された実施形態の修正、および他の実施形態は、この明細書に提供された情報に基づいて当業者に明らかとなるであろう。本明細書に提供される情報、特に説明された例示的な実施形態の具体的な詳細は、主に理解を明瞭にするために提供されるものであり、そこから不必要な制限が理解されるべきではない。競合する場合には、定義を含むこの本明細書が優先される。
【0025】
本明細書で使用される用語は、当業者によって十分に理解されると考えられるが、本願に開示されている主題の説明を容易にするために特定の定義が記載されている。
【0026】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0027】
全ての特許、特許出願、公開された出願および刊行物、GenBank配列、データベース、ウェブサイト、および本明細書中の全開示を通して参照される他の公開された材料は、別段の記載がない限り、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0028】
URLまたは他のそのような識別子またはアドレスを参照する場合、そのような識別子が変更可能であり、インターネット上の特定の情報が移り変わり得ることを理解されるが、インターネットを検索することによって等価な情報を見つけることができる。これを参照して、このような情報の利用可能性及び公共への普及を証明する。
【0029】
本明細書に記載されたものと類似または同等の任意の方法、装置、および材料は、本明細書で開示されている主題の実施または試験において使用することができ、代表的な方法、装置、および材料が本明細書に記載される。
【0030】
本出願は、本発明の構成および本明細書に記載される他の成分または要素について"含む(オープンエンド)"、"構成される(クローズド)"または"本質的に構成する"ことができる。本明細書で使用されるように、"含む"は、オープンエンドであり、列挙された要素または構造もしくは機能におけるそれらの等価物に記載されていない他の任意の要素または要素群を加えることが可能であることを意味する。用語"有する"および"含む"は、文脈がそうでないことを示唆しない限り、オープンエンドと解釈されるべきである。
【0031】
長年の特許法の慣習によれば、"一つの(a、an、および、the)"という用語は、特許請求の範囲を含む本出願で使用される場合、"1つまたは複数"を指す。したがって、例えば、"細胞"に言及することは、複数のそのような細胞などを含む。
【0032】
特に指示がない限り、明細書及び特許請求の範囲において使用される成分の量、反応条件等の特性を表す全ての数は、全ての場合において"約"という用語によって変更されるものとして理解されるべきである。したがって、それと反対の指示がない限り、本明細書および特許請求の範囲に記載された数値パラメータは、本願に開示されている主題によって得られるべき所望の特性に応じて変化することができる近似値である。
【0033】
本明細書で使用する場合、"約"という用語は、値または質量、重量、時間、体積、濃度またはパーセンテージを言及するとき、いくつかの実施形態では±20%、いくつかの実施形態では±10%、いくつかの実施形態では±5%、いくつかの実施形態では±1%、いくつかの実施形態では±0.5%、およびいくつかの実施形態では±0.1%の変化を包含することを意味し、そのような変化は開示された方法を実施するのに適している。
【0034】
本明細書で使用されるように、範囲は"おおよそ(約)”の特定の値から、および/または、"おおよそ(約)"の別の特定の値の範囲として表すことができる。また、本明細書には開示された、いくつかの値が記載されており、その各値は、その値自体に加えて、“おおよそ(約)”の値として本明細書に開示されることも理解される。例えば、"10"の値が開示されている場合、"約10"も開示される。2つの特定のユニットの間の各ユニットも開示されることも理解される。例えば、10および15が開示されている場合、11、12、13、14も開示される。
【0035】
本明細書で使用される場合、"任意の"または"任意に"は、その後に記述される事象または状況が存在するか、または存在しないことを意味し、またその記載は、前記事象または状況が存在する場合と、それが存在しない場合とを含むことを意味する。例えば、任意に改変された部分は、その部分が変異体または非変異体であることを意味する。
【0036】
微小血管または微小血管断片は、脂肪組織から単離され得る。これらの微小血管断片は、組織移植物中の新たな血管を形成するために使用することができ、そして、予め血管化された(prevascularized)組織構築物の形成を促進する。さらに、膵島を移植する目的で膵組織からの膵島も単離される。この膵島単離の過程では、膵臓は酵素ベースの組織解離処理を受け、結果として周囲の外分泌組織から膵島が放出される。酵素消化後、消化された組織のスラリーを低速遠心分離し、遠心管の底部に内分泌および外分泌組織を沈着させる。上清は、その後、その消化工程の一部として通常、廃棄される。しかしながら、遠心分離プロセスから得られた上清を評価すると、驚くべきことに、上清が微小血管内皮細胞断片に富むことが発見され、これを本明細書では膵臓由来の微小血管断片またはPD-MVFsと呼ぶ。以下に詳細に記載されるように、これらの断片は、免疫細胞化学および細胞化学を用いて特徴付けられており、断片が内皮および周囲平滑筋細胞ならびに心細胞の両方を含むことが観察され、その断片は、移植または被験体への他の投与のための組織構築物中に利用され得ることが見出された。
【0037】
したがって、本願に開示されている主題は、膵臓由来の微小血管断片を含む組織構築物およびそれに関連する方法を含む。特に、本開示の主題は、膵臓由来の微小血管断片を含む組織構築物、膵臓由来の微小血管断片を単離する方法、および糖尿病の治療のためのそのような組織構築物の使用を含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、膵臓由来微小血管断片および膵島細胞を含む組織構築物が提供される。いくつかの実施形態では、組織構築物は、生体適合性媒体をさらに含み、これにより、ある実施形態では、膵臓由来の微小血管断片および膵島細胞は生体適合性媒体中に組み込まれる。
【0039】
用語"組織構築物"または"予め血管新生した(prevascularized)組織構築物"または"人工組織構築物"は、本明細書において同義に使用され、膵臓由来微小血管断片のような少なくとも1つの血管断片と、本明細書に記載される膵島細胞のような1つまたは複数の細胞とを含む組成物を指す。"血管フラグメント"または"管フラグメント"という用語は、本明細書では、少なくとも動脈、細動脈、毛細血管、小静脈、静脈、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも一部またはセグメントを含む血管組織のセグメントまたは組織片を指すために使用される。したがって、血管フラグメントまたは管フラグメントの用語は、"微小血管フラグメント"(microvessel fragment or microvascular fragment)の用語をさらに含み、"微小血管フラグメント"は、細動脈、毛細管、および小静脈のような、より小さな口径の血管組織のセグメントまたは組織片を指すために、本明細書では同義として使用される。典型的に、また当業者には理解されるように、血管または微小血管は、平滑筋細胞または心細胞のような壁細胞の1つまたは複数の層によって囲まれたチューブ内に配置された内皮細胞を含み、さらに、基底膜タンパク質のような細胞外マトリックス成分を含むことができる。
【0040】
本開示の主題のいくつかの実施形態では、膵臓由来のこのような微小血管断片は、膵臓組織の一定量を取得し、続いてその膵臓組織を酵素消化に供して消化された組織のスラリーを生成することにより単離することができる。次いで、このスラリーを第1の遠心管を用い、当該第1の遠心管の底部に内分泌および外分泌組織を沈着させるのに十分な低速(例えば、100gから200g)で遠心分離することができる。次いで、第1の遠心管からの上清を回収して第2の遠心管に入れ、第2の遠心管を、一定量の微小血管断片がペレット化するのに十分なより速い速度(例えば、2000g)で遠心分離することができる。次いで、ペレット化された微小血管断片は、遠心管から吸引することができ、本明細書に記載されるような組織構築物においてただちに使用することができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、本願に開示されている主題と関連して製造され、利用される組織構築物が、適切な生体適合性媒体中に組み込まれた膵臓由来の微小血管断片を含む。本開示の主題において使用するための適切な生体適合性媒体は、典型的には、室温(例えば、25℃)においてゲル、半固体、または低粘度液体のような液体である生体適合性材料から形成することができ、細胞、組織、タンパク質、および関心のある他の生物学的材料のための三次元基質として使用することができる。本開示の主題に従って生体適合性媒体を形成するために使用することができる例示的な材料には、以下に限定されないが、コラーゲン、フィブリン、キトサン、MATRIGEL(商標)(BDbiosciences、San Jose、CA)、ポリエチレングリコール、化学架橋性または光架橋性デキストランを含むデキストランを含むポリマーおよびヒドロゲルが挙げられ、ならびにエレクトロスピニングされた生物学的、合成的または生物学的合成の混合物を含む。いくつかの実施形態では、生体適合性媒体は内皮化を支持する材料から構成され、例えば、米国特許第5、744、515号および第7、220、276号を参照することができる。いくつかの実施形態では、生体適合性媒体はヒドロゲルから構成される。
【0042】
"ヒドロゲル"という用語は、本明細書では、ポリマー鎖の三次元網状組織を含む二成分または多成分ゲルを指し、水は分散媒として作用し、ポリマー鎖間の空間を充填する。本願に開示される主題と共に使用されるヒドロゲルは一般に、使用予定の任意のパラメータ、および選択されたヒドロゲルの生物学的材料(例えば、細胞)の挙動および活性に及ぼす影響を考慮して、構築物の意図された使用に基づく特定の用途(例えば、特定の構築物)に対して選択される。本願に開示される主題についてのヒドロゲルの例示は、以下に限定されるものではないが、アルギネート、コラーゲン(コラーゲンIおよびVIを含む)、フィブリノーゲン、エラスチン、ケラチン、フィブロネクチン、プロテオグリカン、糖タンパク質、ポリラクチド、ポリエチレングリコール、ポリカプロラクトン、ポリコリド、ポリジオキサノン、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリスルホン、ペプチド配列、タンパク質および誘導体、オリゴペプチド、ゼラチン、エラスチン、フィブリン、ラミニン、ポリメタクリレート、ポリアセテート、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ無水物、ポリアミノ酸炭水化物、多糖類および修飾多糖類、ならびにそれらの誘導体およびコポリマーを含むポリマー材料から構成され、加えて生物活性ガラス、セラミック、シリカ、アルミナ、方解石、ヒドロキシアパタイト、リン酸カルシウム、骨のような無機材料およびこれらのすべての組合せから構成され得る。本開示の主題のヒドロゲルが含まれ得る材料に関するさらなる情報については、例えば、米国特許第7,919,11号、第6,991,652号および第6,969,480号を参照することができ、これらの開示は本明細書に組み込まれる。
【0043】
本開示の主題のいくつかの実施形態では、上記のように、組織構築物は、膵臓由来微小血管断片および膵島細胞から構成される。本開示の主題の他の実施形態では、本開示の主題の膵臓由来の微小血管断片と組み合わせ本とともに、明細書で下記に定義する1つまたは複数の関連細胞、および/または1つまたは複数の幹細胞を含む組織構築物を、代替的に提供することができる。
【0044】
本発明の構築物および方法に従って利用することができる幹細胞に関して、本明細書で使用する"幹細胞"という用語は、一般的に、伝統的な幹細胞、前駆細胞(progenitor cell、preprogenitor cell、およびprecursor cell)、予備細胞などを意味する。幹細胞の例としては、以下に限定されないが、胚幹細胞、成体幹細胞、多能性幹細胞、神経幹細胞、肝幹細胞、筋幹細胞、筋前駆体幹細胞、内皮前駆細胞、骨髄幹細胞、軟骨形成幹細胞、リンパ系幹細胞、間葉幹細胞、造血幹細胞、中枢神経系幹細胞、末梢神経系幹細胞等が挙げられる。幹細胞の単離および培養する方法を含む当該幹細胞に関する記載は、他の場所においても参照することができる(Embryonic Stem Cells, Methods and Protocols, Turksen, ed., Humana Press, 2002; Weisman et al., Annu. Rev. Cell. Dev. Biol. 17:387-403; Pittinger et al., Science, 284: 143-47, 1999; Animal Cell Culture, Masters, ed., Oxford University Press, 2000; Jackson et al., PNAS 96(25): 14482-86, 1999; Zuk et al., Tissue Engineering, 7:211-228, 2001; and U.S. Pat. Nos. 5,559,022, 5,672,346 and 5,827,735)。また、間質細胞の単離および培養方法を含む間質細胞に関する記載は、他の場所においても参照することができる(Prokeop、Science、276:71-74、1997;Thiese et. al.、Hepatology、31:235-40、2000;Current Protocols in Cell Biology、Bonnifacino et. al.、eds., John Wiley &; Sons, 2000;および米国特許第4,963,486号)。組織構築物に含めるために選択される幹細胞は、典型的には、そのような細胞が特定の構築物の意図された使用に適している場合に選択されることを当業者は理解するであろう。
【0045】
本発明の方法において利用することができる関連細胞に関して、本明細書で使用される"関連細胞"という用語は、その構築物の意図された用途に基づいて、本願に開示されている主題の構築物に組み込むのに適した細胞をいう。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の関連細胞は移植後に機能的な組織を形成する能力を有するため、用語"関連細胞"は用語"再生細胞"と同義的に使用することができる。例えば、特定の損傷した組織または器官の修復、再構築、または再増殖に適した関連細胞は、典型的には、その組織または器官に一般的に見られる細胞または細胞群を含む。この点に関して、本開示の主題の構築物中に組み込むことができる典型的な関連細胞は、ニューロン、心筋細胞、筋細胞、血管および/または胃腸平滑筋細胞、軟骨細胞、膵臓腺房細胞、ランゲルハンス島、膵島β細胞、骨細胞、肝細胞、ケファ細胞、線維芽細胞、筋芽細胞、サテライト細胞、内皮細胞、脂肪細胞、前脂肪細胞、胆管上皮細胞などを含む。これらのタイプの細胞は当該技術分野で知られている公知の技術によって単離され、直ちに使用され、または培養することができる。例示的な技術は、他の文献、Freshney, Culture of Animal Cells, A Manual of Basic Techniques, 4th ed., Wiley Liss, John Wiley & Sons, 2000; Basic Cell Culture: A Practical Approach, Davis, ed., Oxford University Press, 2002; Animal Cell Culture: A Practical Approach, Masters, ed., 2000; ならびに、米国特許第5,516,681号および第5,557,022号を参照することができる。いくつかの実施形態では、上記のように、関連細胞は膵島細胞を含み、膵島細胞は、膵臓β細胞、無傷の膵島全体などを含むことができる.
【0046】
さらに、本開示の主題のいくつかの実施形態では、糖尿病を治療する方法が提供される。いくつかの実施形態では、膵臓由来微小血管断片および膵島細胞を含む有効量の組織構築物を治療を必要とする被験体に投与することを含む、糖尿病の治療方法が提供される。本明細書中で使用されるように、用語"治療"または"治療する"は、糖尿病の進展を抑制すること、糖尿病の進行を阻害すること、糖尿病のさらなる進展を停止または予防すること、糖尿病の重篤度を減少させること、糖尿病に関連する症状を改善または軽減すること、糖尿病または糖尿病に関連する症状の1つまたは複数の症状の抑制を引き起こすことを含むが、これらに限定されない。
【0047】
本開示の主題の方法に従って治療用組織構築物を投与するのに適した方法は、非経口投与(血管内、筋肉内、および/または動脈内投与を含む)、皮下投与、腹腔内投与、外科的移植、および局所注射を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、本願に開示されている主題の組織構築物は被験体に移植され、一部の実施形態では皮下投与によって移植される。いくつかの実施形態では、組織構築物の皮下投与は、被験体の身体内の複数の部位に1つまたは複数の組織構築物を皮下投与することを含む。
【0048】
特定の投与経路にかかわらず、本願に開示されている主題の組織構築物は、所望の応答を達成するのに有効な量で典型的に投与される。したがって、用語"有効量"は、本明細書では、測定可能な生物学的応答(例えば、インスリンの産生の増加)を生じるのに十分な量の組織構築物を指すために使用される。本開示の主題の組織構築物中の実際の量の治療細胞、または、特定の治療に使用される組織構築物の数は、特定の被験体および/または用途に対して所望の治療応答を達成するのに有効な活性治療用細胞(例えば、膵島細胞)の量を投与するように変化させることができる。もちろん、いずれかの特定の場合における有効量は、治療用細胞の活性、剤形、投与経路、他の治療との組み合わせ、治療される状態の重篤度、および被験者の身体状態及び以前の病歴を含む様々な要因に依存する。好ましくは、最小量が投与され、その量は、投与が制限される毒性が生じない範囲で、最小有効量に増加される。治療上有効な量の決定および調整、ならびに特定の被験体に対するそのような調節を行うタイミングおよび方法の評価は、当業者に公知である。
【0049】
本願に開示されている主題に関して、好ましい被験体は脊椎動物の対象である。好ましい脊椎動物は温血動物であり、好ましい温血脊椎動物は哺乳動物である。好ましい哺乳動物は、最も好ましくはヒトである。本明細書で使用される"被験体"という用語は、ヒトおよび動物の両方の被験体を含む。このように、本願に開示されている主題に従って、獣医学的治療用途が供される。また本願に開示されている主題は、ヒトなどの哺乳動物の診断の用途に供され、同様に、シベリアンタイガーのような絶滅危惧のある重要な動物、人により消費される農場で育てる動物のような経済的に重要性のある動物、および/または、例えばペットまたは動物園において飼育される動物のようなヒトに対する社会的に重要な動物の診断の用途に提供される。このような動物の例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない:ネコやイヌなどの肉食動物;子ブタ、ブタ、イノシシを含むブタ類;畜牛、雄牛、羊、キリン、鹿、ヤギ、バイソン、ラクダなどの反芻動物および/または有蹄動物;ならびに、ウマ。またさらに、ヒトに対する経済的重要性から、絶滅危惧のあるおよび/または動物園で飼育されている鳥類、家禽、より詳細にはシチメンチョウ、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、ホロホロドリなどの家畜化された家禽の治療を含む鳥類の治療方法を提供する。このように、以下に限定されないが、家畜化されたブタ、反すう動物、有蹄動物、馬(競走馬を含む)、家禽などを含む家畜の治療方法を提供する。
【0050】
さらに、本開示の主題のいくつかの実施形態では、関連細胞(例えば、膵島細胞)および膵臓由来の微小血管断片を含むキットを提供する。いくつかの実施形態では、キットは、関連細胞を含む第1の容器と、膵臓由来微小血管断片を含む第2の容器とを備えることができる。キットの他の実施形態では、関連細胞および膵臓由来微小血管断片は、組み合わせられ、かつ、生体適合性媒体中に組み込まれており、このようなキットは、被験者に容易に投与できるように構築された組織構築物を提供する。いくつかの実施形態では、キットは、生体適合性媒体を製造するための材料をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、本開示の主題の組織構築物または組織構築物の構成要素を含むキットが、構成要素を組み合わせて組織構築物を作製するための指示書とともに、および/または、被験体において組織構築物を使用するための指示書とともに提供される。
【0051】
本画に開示されている主題のいくつかの実施形態では、本明細書に記載の微小血管断片の使用は、血管新生および吻合ならびに血管新生構築物の形成を改善するために、微小血管断片または細胞を用いて単離膵島を処理することを含む。いくつかの実施形態では、本開示の主題はさらに、膵島の血管再生および組織統合を改善するために、微小血管フラグメントを用いて膵島を処理すること、および皮下または筋肉内部位への送達のための血管新生された膵島移植片の作成を提供する。いくつかの実施形態では、さらなる承認認可を必要とせずに使用可能な細胞源を提供するために、本明細書に記載の微小血管断片は上清から単離し、直ちに使用することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の微小血管断片のさらなる操作は必要としない。
【0052】
本願に開示されている主題の実施は、特に指示がない限り、当業者の技能の範囲内で細胞生物学、細胞培養、分子生物学、トランスジェニック生物学、微生物学、組換えDNA、および免疫学の公知の技術を用いることができる。このような技術は文献に完全に説明されている。例えば、Molecular Cloning A Laboratory Manual (1989), 2nd Ed., ed. by Sambrook, Fritsch and Maniatis, eds., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Chapters 16 and 17; U.S. Pat. No. 4,683,195; DNA Cloning, Volumes I and II, Glover, ed., 1985; Oligonucleotide Synthesis, M. J. Gait, ed., 1984; Nucleic Acid Hybridization, D. Hames & S. J. Higgins, eds., 1984; Transcription and Translation, B. D. Hames & S. J. Higgins, eds., 1984; Culture Of Animal Cells, R. I. Freshney, Alan R. Liss, Inc., 1987; Immobilized Cells And Enzymes, IRL Press, 1986; Perbal (1984), A Practical Guide To Molecular Cloning; See Methods In Enzymology (Academic Press, Inc., N.Y.); Gene Transfer Vectors For Mammalian Cells, J. H. Miller and M. P. Calos, eds., Cold Spring Harbor Laboratory, 1987; Methods In Enzymology, Vols. 154 and 155, Wu et al., eds., Academic Press Inc., N.Y.; Immunochemical Methods In Cell And Molecular Biology (Mayer and Walker, eds., Academic Press, London, 1987; Handbook Of Experimental Immunology, Volumes I-IV, D. M. Weir and C. C. Blackwell, eds., 1986.
【実施例】
【0053】
本願に開示される主題は、以下の特定の非限定的な例示によりさらに説明される。
【0054】
実施例1-3の材料および方法
【0055】
膵臓由来微小血管断片(PD-MVF)の採取。PD-MVFの採取は膵臓消化工程後であって、ヒト膵島単離操作の工程中に行った。組織解離酵素を用いて膵臓消化を行い、消化液中で遊離した膵島を観察できた時点で消化を停止させた。閉鎖系における消化の使用が終了した時点で(消化が開始された後、通常15-20分の間にスイッチ時間)、必要に応じて、室温の新鮮なRPMIを回収用容器に添加した。この消化物は、低温条件下(フラスコを入れる準備ができた氷バケット中の氷)、RPMIおよび血清で予め充填した1リットルのエルレンマイヤーフラスコに回収した。4つのこのようなフラスコを予め調製し、使用可能になるまで冷蔵庫内で保持した。1Lの容積に達したとき、溶液を直ちに250mLの円錐管にデカントし、170G、4℃で3分間遠心分離した。底部に沈殿させたより重い膵島と房状画分とを分離して回収し、氷上に保持した1Lフラスコに上清(PD-MVFリッチ)を回収した。全ての上清(総容積4-5L)を収集するために多数のフラスコを必要とした。すべての消化された組織を収集した後(ステップ3-5)、上清溶液を再び250mLの円錐管に移し、170Gで3分間回転させた。これにより、上部へ脂肪層が分離され、ペレットとしてより小さな房状画分が分離された。この工程をもう1回繰り返して、多くの脂肪および房状細胞を分離した。次いで、PD-MVF富化上清を高速2000gで3分間回転させ、MVF細胞のプールを回収した。その後細胞を吸引し、血清を含むRPMI培地に入れ、さらなる分析のために供した。
【0056】
生存度評価。この微小血管断片の生存度は、New Bruckrickの核計数器、細胞培養のための自動化された細胞計数装置を製造者の指示(核細胞核を染色するための蛍光色素piを含む、Nucleo Cassettesと呼ばれる使い捨てカートリッジを使用)に従い評価した。
【0057】
FACS分析。FACS分析のために、1×106PD-MVF細胞を染色緩衝液(HBSS、2%FBS、および、0.02%NaN3)で2回洗浄し、500gで4分間回転させた。次いで50μmのFcRブロック(20%濃度)を添加し、氷上で5分間インキュベートした。濾過を行い凝集細胞を除去し、plain HBSSを1mlを加し、500gで4分間回転させた。次いで、製造者が推奨する濃度のヒトモノクローナル蛍光抗体またはアイソタイプコントロール(BDまたはAbcamのいずれか)で、抗体標識を氷上で20-30分間行った。次いで、細胞をPBSで2回洗浄し、パラホルムアルデヒドで固定し、FACS-calibur機器で分析した。
【0058】
コラーゲンゲル培養(in vivo試験)。新たに回収したヒトPD-MVFsおよび膵島(膵島:PD-MVFs:1:1000)をコラーゲンゲル(I型コラーゲン[Invitrogen、Carlsbad、CA])で培養した。コラーゲンゲル(全容量5mL)を調製するために、1.945mLの滅菌水に1.805mLのコラーゲン(最終濃度3mg/mL)を添加し、当該滅菌水にL-グルタミンを含む1.25ml 4xDMEM(4.7mg/ml)を加えた。ゲル構築物を形成するため、0.25mlの膵島-コラーゲン混合物または膵島-コラーゲン-PD-MVF混合物を、非コーティング48ウェル組織培養プレート中に置き、重合させた(37℃、約1時間)。一度重合させた後、セットゲルに内皮細胞増殖補助剤(ECGS)を補充したDMED培地(Corning Life Sciences、コーニング、ニューヨーク)を1ml入れ、次の日にインビボヌードマウスの(糖尿病の回復をチェックするための)移植試験に利用した。
【0059】
ヌードマウス移植。糖尿病(ストレプトゾトシン誘発)ヌードマウスにおけるヒト膵島およびPD-MVFsを含むコラーゲンゲルの移植は皮下空間へ導入した。単離されたヒト膵島およびPD-MVFs(1:1000)を、コントロール群と供にコラーゲンゲル(3mg/ml)中に埋め込んだ。実験群(n=20;膵島およびPD-MVFsのそれぞれが103:1×106/mlで含むコラーゲンゲル)および対照群(膵島単独(103)または;PD-MVFs単独(1×106))を使用した。これらのゲル構築物を皮下に移植し、公知の方法(Logana et al.、2018)にて、糖尿病改善の確認のためにマウスをモニターした。
【0060】
実施例1-ヒト膵島機能を改善するための膵臓由来微小血管断片(PD-MVF)の単離および特徴付け
【0061】
研究者らは、以前、移植された膵島への血流を促すように新しい微小血管の発達のための新規な独立した微小血管ユニットとして、脂肪から採取された微小血管断片(MVFs)を利用してきた。MVFsは、高い血管新生活性を示し、インビトロで微小血管ネットワークに迅速に発達する特有の能力を有する。以下に説明するように、ヒト膵島単離中にヒト膵臓からの微小血管断片(膵臓由来のPD-MVFs)の解離が観察され、それらを収集する新規な方法が確立された。これらのMVFsは、膵臓内の外分泌組織由来であった。酵素消化の間、無傷の膵島と共に多数のPD-MVFsが膵臓組織から解離された。しかしながら、これらの断片は、その後の膵臓消化の処理の間であって、膵島および房状組織をペレット化するための遠心分離を利用するその後の洗浄工程中に消失していた。遠心力(g力および時間)は、微小血管断片をペレット化するのに十分ではなく、微小血管断片は廃棄されていた上清中に残っていた。したがって、最終的な膵島生成物はMVFsを欠いていた。
【0062】
この点に関して、本願に開示されている主題の微小血管断片を得るために、最初の遠心分離上清からその後の遠心分離工程へより高いg力で、微小血管断片をペレット化させる方法が開発された。次いで、これらの断片を、単離膵島に戻して、微小血管断片が富化された膵島単離物を生成することができる。特に、AD-MVFsを単離するためには、脂肪組織を最初にコラゲナーゼで短時間消化し、次いで、ナイロンスクリーンを用いたサイズ選択に基づいて断片を回収していた。同様のアプローチを用いて、膵臓由来のMVFs(PD-MVFs)を単離した。ヒト膵島分離手順の間、膵臓組織試料は、標準的な酵素の組み合わせを用いて最初によく染み込ませた。次いで、組織は同じ酵素混合物の存在下で、Ricordiチャンバーを用いて解離した。最も大きい組織の解離後、消化された組織混合物の全量を遠心分離した。遠心分離後に得られた上清は、特定の細孔径の金属篩に通過させてPD-MVFsを回収した。ラット膵臓消化の推定された1gmは、約1-2万個の細胞をもたらし、一方、ヒト膵臓1グラム当たりから推定0.45-0.55百万個のPD-MVF細胞が得られた。位相差顕微鏡を用いた齧歯類およびヒトPD-MVFsの形態学的評価(
図1A-1F)は、AD-MVFに類似したvermiform様形態を示した。より高い倍率においては、AD-MVFsについて以前に観察された形態である、内皮ライニングを有するビーズ構造を示し、走査電子顕微鏡(SEM)画像は、PD-MVFの拡大された管状構造を実証した。
図2(黒い矢印)に示すように、MVFs内の内皮細胞(ECs)の存在は、CD31染色によって確認された。さらに、PD-MVFサンプル内の内皮細胞(EC)(CD31抗体)を定量するためにFACs分析を実施した(
図3A-3D)。精製されたヒトPD-MVF調製物では、従来よりも高い割合(14-20%)のECが観察された。一方、ラットPD-MVFサンプルは、一貫してより高い割合のECの存在(25-35%、n=3)を示した。間葉系幹細胞、免疫細胞および前駆細胞(CD90;CD73、CD117)、管細胞(dutal cell)(CK19)のような他の細胞サブ集団もまた試料中で同定された。総じて、ソーティング分析はPD-MVFsは、血管新生の発芽およびネットワーク形成のための構築ブロックであるECを含んでいることを明らかにした。MVFsは、インビボ血管新生プロセス中に関与している細胞成分および細胞外成分から構成されていることが以前に示されている。ここでさらに、PD-MVFsをコラーゲンゲル中に配置することにより、PD-MVFsの血管新生ポテンシャルを評価した。興味深いことに、3Dゲルでの培養後2日以内にPD-MVFs内から発芽が観察された(
図4A、矢印)。7日目に増強した発芽は、内皮先端および茎細胞表現型に似た管状構造をもたらす(
図4B、矢印)。ネットワーク形成は14日目に観察され、管状構造体および血管網のもとは、UEA-1グリーンで染色した後、本来的に内皮であることが確認された(
図4C)。PD-MVFsおよびヒト膵島は同じ組織由来であった。
【0063】
さらに、PD-MVFsは、新たに単離された膵島における血管新生(neovasculature formaition)をサポートする能力を有するとの仮説が立てられた。新規膵島血管新生ユニットとしてのPD-MVFsの可能性を決定するために、3Dゲル中で膵島およびPD-MVFs(それぞれ、1:1000細胞)を共培養した。免疫染色により、インビトロ共培養試験中のPD-MVFs(UEA-1、緑色)および膵島(インスリン、赤色)を同定した(
図5A)。共培養試験の2日目、7日目、14日目に、ネットワーク形成の強い進展を観察した(
図5B-
図5D)。遺伝子発現試験(
図6A-
図6B)はさらに、ノッチシグナル伝達経路の構成要素がPD-MVFネットワーク形成中に役割を果たすことを明らかにした。総じて、これらの観察は、PD-MVFsが膵島の周囲に新生血管を形成する能力を有し、これらの断片がヒト膵島と共移植するための血管ユニットとして利用される能力を有することを示した。
【0064】
実施例2-膵島発芽の調査
【0065】
標準培地における新たに単離されたヒト膵島は14日目の観察に示すように、細胞芽を形成する能力を有しない(
図7B)。しかしながら、共培養および共移植試験は、PD-MVFsが膵島内ECsを刺激して、膵島周囲血管(peri-islet vessels: PIVs)を形成することを実証した。膵島内内皮構造は膵島をCD31で染色した際に観察できた(
図7C、黒矢印)。共培養の14日目に強いPIV形成が観察された(
図7D)。PD-MVFsで観察されたように、膵島をUEA-1で染色した際、これらの膵島発芽のソースは本来的に内皮であった(
図7F)。SEM画像は、新たに単離されたヒト膵島からのPIVsの超微細構造を明らかにした(
図7G-7I)。
PD-MVFsの存在下でPIVsを形成する新たに単離されたヒト膵島の能力は、PD-MVFsが、生存および発芽形成のために膵島内ECを刺激する血管新生促進パラクリン因子を放出することを示唆した。その仮説を検証するために、ラットGFP膵島を、コラーゲンゲル中の通常の非GFPラットPD-MVFsと共培養し(1:1000)、表現型を14日間観察した。刺激された膵島内ECはPIVsを形成し(GFP膵島の中からの緑色の毛髪状突起)、周囲環境内のPD-MVF細胞と吻合した(
図7J-7K)。この観察は、Tie2マウス試験(GFPタグ付きEC)を用いてさらに確認し、PD-MVFsが膵島内血管新生を刺激するためにプロ血管新生因子を放出したことを示した(
図7L-
図7M)。マイトジェン活性化プロテインキナーゼであるTAK1が膵島ECの生存中に役割を果たすと推察された。TAK1阻害剤(5z-7-オキソゼアノール)の存在下において3Dコラーゲンゲルで培養したヒト膵島は、適切なコントロールと比較して(黒矢印、4日目および7日目)、4日目または7日目に発芽を示さなかった(
図8)。TAK1は、p38MAPKおよびJNKをそれぞれ活性化する下流キナーゼ(MKK4、MKK3/6)の活性化に関与する上流MAPキナーゼである。TAK1タンパク質のリン酸化(Ser421)は、新たに単離された膵島の細胞溶解物において観察され(図(9)、当該分子が膵島内における生存促進経路の開始を活性化することを示唆するものである。
【0066】
実施例3-PD-MVF構築物の移植
【0067】
膵島血管新生を補助するためにPD-MVFsを利用する能力は臨床的に関連する。PD-MVFsは、血管新生された構築物中で使用することができ、そして膵島移植機能を改善するための潜在能力を有する。インビトロの試験により、脂肪組織由来のMVFsと共培養した齧歯類島(1:1000)は、"血管バスケット"と称される構造体を形成する能力を有していたことが実証された。MVFsは、膵島の周囲に強力なネットワークを形成し、その多くが膵島内血管と吻合していた(
図10A-10C)。インビボ試験は、構築物(PD-MVFsおよび膵島)がヌードマウスモデルに移植されたとき、移植後7日以内に宿主脈管構造と吻合することができたことを示す(
図11B)。移植片の組織切片は、宿主内に埋もれた膵島の存在を示した(
図11C)。デキストラン注入試験は、宿主の欠陥と脂肪由来MVF移植片とが吻合したことを示し(
図11D-11E)、一方対照の膵島は、より小さい血管を有していた。重要なことに、膵島-PD-MVF移植片(バイオエンジニアリングされた膵島)は、対照膵島移植片と比較した場合に、糖尿病の短時間における改善を示した(
図11G)。
【0068】
それぞれの個々の刊行物、特許、または特許出願が具体的かつ個別に参照として組み込まれている旨が示されているのと同じ範囲で、本明細書に記載された全ての刊行物、特許、および特許出願は、参照として本明細書中に組み込まれ、刊行物等には下記リストに記載されたものを含む:
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【0069】
本願に開示されている主題の様々な点が、ここに開示された主題の範囲を逸脱することなく変更可能であることが理解される。また、以上の記載は、説明のためのものであって、本発明を限定するものではない。