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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-20
(45)【発行日】2023-03-29
(54)【発明の名称】付属品固定構造及び付属品固定方法
(51)【国際特許分類】
   A01K 87/04 20060101AFI20230322BHJP
   A01K 87/06 20060101ALI20230322BHJP
【FI】
A01K87/04 Z
A01K87/06 Z
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021157706
(22)【出願日】2021-09-28
(65)【公開番号】P2022132039
(43)【公開日】2022-09-07
【審査請求日】2022-11-02
(31)【優先権主張番号】10-2021-0026288
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0094540
(32)【優先日】2021-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000237385
【氏名又は名称】富士工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大村 一仁
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-97836(JP,A)
【文献】特開2000-189009(JP,A)
【文献】特開2014-193135(JP,A)
【文献】特開2020-18292(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 87/04
A01K 87/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付足を有する釣竿付属品を竿体に固定する付属品固定具を用いた付属品固定構造であって、
前記取付足が前記竿体の外周面に置かれた状態で前記取付足の外面及び前記竿体の外周面に多数の巻き回数で巻かれている片撚り糸からなり、前記取付足及び前記竿体を包むように構成されたラッピング部を含み、
前記片撚り糸は、厚さより大きい幅を有する断面形状を有するように張力によって伸長した状態で巻かれており、
前記片撚り糸は、前記片撚り糸の1周巻き部と前記片撚り糸のもう1つの1周巻き部が互いに対して角度を形成するように巻かれており、
前記ラッピング部は、前記張力によって伸長している前記片撚り糸の隣接した2つの1周巻き部が前記竿体の長手方向に沿って少なくとも部分的に重なっている重なり部と、前記張力によって伸長している前記隣接した2つの1周巻き部の外面によって部分的に限定される扁平外面部を有する、
付属品固定構造
【請求項2】
前記ラッピング部は、
前記取付足の長さより短い長さで前記竿体の外周面に複数の巻き回数で巻かれて固定される前記片撚り糸からなり、前記取付足の内面と前記竿体の外周面との間に間隙を形成する内側ラッピング部と、
前記内側ラッピング部、前記取付足の外面及び前記竿体の外周面に多数の巻き回数で巻かれる前記片撚り糸からなり、前記内側ラッピング部を覆い隠す外側ラッピング部と、を含み、
前記内側ラッピング部と前記外側ラッピング部は1本の前記片撚り糸で連続してなる、
請求項1に記載の付属品固定構造
【請求項3】
前記内側ラッピング部での前記片撚り糸は、隣接した2つの1周巻き部の間に間隙が形成されるように、前記竿体の外周面に巻かれており、
前記片撚り糸の切断された先端部は前記内側ラッピング部に固定され、
前記片撚り糸の切断された末端部は前記外側ラッピング部に固定されている
請求項2に記載の付属品固定構造
【請求項4】
前記外側ラッピング部は、前記取付足の先端から前記竿体の外周面に沿って離隔する方向に0mmを超え、2mm以下の長さを有する先端部を有する、
請求項2に記載の付属品固定構造
【請求項5】
前記ラッピング部は、前記取付足の先端に形成される垂直面と前記竿体の外周面との間に、前記片撚り糸が複数の層に巻かれて積層されている先端部を有する、
請求項1に記載の付属品固定構造
【請求項6】
前記ラッピング部の前記扁平外面部を覆うように被覆されており、合成樹脂材料からなる被覆部をさらに含む、
請求項1に記載の付属品固定構造
【請求項7】
取付足を有する釣竿付属品を竿体に固定する付属品固定方法であって、
前記取付足が前記竿体の外周面に置かれた状態で前記取付足の外面及び前記竿体の外周面に片撚り糸を多数の巻き回数で、前記片撚り糸の断面形状が厚さより大きい幅を有するように張力によって前記片撚り糸を伸長させながら巻くことによって前記取付足及び前記竿体を包むように構成されたラッピング部を形成する段階と、
前記片撚り糸を前記ラッピング部に固定することによって前記ラッピング部を完成する段階と、を含み、
前記ラッピング部を形成する段階は、
前記片撚り糸の1周巻き部と前記片撚り糸のもう1つの1周巻き部が互いに対して角度を形成し、
前記張力によって伸長している前記片撚り糸の隣接した2つの1周巻き部が前記竿体の長手方向に沿って少なくとも部分的に重なっている重なり部が形成され、
前記張力によって伸長している前記隣接した2つの1周巻き部の扁平外面によって部分的に限定される扁平外面部が形成されるように実行される、
付属品固定方法。
【請求項8】
前記ラッピング部を形成する段階は、前記片撚り糸が前記張力によって伸長した状態で前記片撚り糸の1周巻き部が扁平接触面を通じて前記取付足の外面及び前記竿体の外周面に面接触で接触するように実行される、
請求項7に記載の付属品固定方法。
【請求項9】
前記ラッピング部を形成する段階は、前記取付足の先端に向かう第1進行方向と、前記取付足の基端に向かう第2進行方向のいずれの進行方向にも前記片撚り糸が前記取付足の外面及び前記竿体の外周面に巻かれるように実行される、
請求項7に記載の付属品固定方法。
【請求項10】
前記ラッピング部を形成する段階は、
前記取付足の内面と前記竿体の外周面との間に間隙が形成されるように前記片撚り糸を前記竿体の外周面に複数の巻き回数で前記取付足の長さより短い長さで巻くことによって内側ラッピング部を形成する段階と、
前記内側ラッピング部から続く前記片撚り糸を前記取付足の外面に巻くことによって前記取付足を前記竿体の外周面に仮固定する段階と、
前記内側ラッピング部、前記取付足の外面及び前記竿体の外周面に前記内側ラッピング部から続く前記片撚り糸を多数の巻き回数で巻くことによって前記内側ラッピング部、前記取付足の外面及び前記竿体の外周面を覆う外側ラッピング部を形成する段階と、を含み、
前記内側ラッピング部を形成する段階、前記取付足を仮固定する段階及び前記外側ラッピング部を形成する段階は、1本の前記片撚り糸を用いて実行される、
請求項7に記載の付属品固定方法。
【請求項11】
前記内側ラッピング部を形成する段階は、前記片撚り糸の切断された先端部が前記内側ラッピング部に固定されるように、且つ、前記片撚り糸の隣接した2つの1周巻き部の間に間隙が形成されるように実行される、
請求項10に記載の付属品固定方法。
【請求項12】
前記外側ラッピング部を形成する段階は、前記取付足の先端から前記竿体の外周面に沿って離隔する方向に0mm超え、2mm以下の長さを有する先端部が形成されるように実行される、
請求項10に記載の付属品固定方法。
【請求項13】
前記ラッピング部を形成する段階は、前記取付足の先端に形成される垂直面と前記竿体の外周面との間に、前記片撚り糸を複数の層に巻いて積層させることによって形成される先端部が形成されるように実行される、
請求項10に記載の付属品固定方法。
【請求項14】
前記ラッピング部を完成する段階は、前記片撚り糸を前記ラッピング部に結び目で固定させる段階を含む、
請求項7に記載の付属品固定方法。
【請求項15】
前記ラッピング部を形成する段階は、前記片撚り糸が巻かれたスプールを有し、前記片撚り糸を放出するように構成された補助具を用いて実行される、
請求項7に記載の付属品固定方法。
【請求項16】
前記ラッピング部の前記扁平外面部を合成樹脂材料で被覆することによって前記扁平外面部を覆う被覆部を形成する段階をさらに含む、
請求項7に記載の付属品固定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、釣竿付属品を固定するための付属品固定具及び付属品固定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
釣竿は細長い竿体を備える。釣糸ガイド、リールシートのような釣竿付属品が竿体に固定される。釣糸ガイドは、釣糸を竿体に沿って案内する付属品である。リールシートは、釣糸が巻かれるリールを竿体に装着するための付属品である。
【0003】
釣竿付属品は、竿体への固定のために竿体に接触する取付足を有する。一例として、釣竿付属品は、取付足が竿体の外周面に接触した状態で巻糸を取付足及び竿体に巻いて固定させることにより、竿体に固定される。釣竿付属品の固定力を向上させるために、合成樹脂材料(接着剤)が巻かれた巻糸の外面に塗布され、巻かれた巻糸の外面が被覆される。
【0004】
釣竿のチップの方向に所定の大きさ以上の負荷が作用すれば、釣糸ガイドは巻糸により固定された状態で竿体から外れ得る。従って、付属品固定技術は、負荷に対する釣糸ガイドの固定強度を十分に考慮しなければならない。これにより、当該技術分野では、負荷に十分に耐えることができる固定強度を示す付属品固定技術について、多様な提案が行われてきた。釣糸ガイドの固定強度を増加させる案として、巻糸の巻き方の変更、合成樹脂材料の変更を考慮することができる。
【0005】
一例として、日本公開特許公報第2000-189009号(特許文献1)と日本公開特許公報第2020-162471号(特許文献2)は、釣糸ガイドを釣竿の竿体に固定するために釣糸ガイドの取付足と竿体に巻糸を巻く技術を開示している。しかし、前述した特許文献が開示している巻糸の巻き技術は、巻糸の交換を必要とし、多数の工程によって実行されなければならない。また、前述した特許文献が開示している巻糸の巻き技術は、巻糸の巻かれた部分が良好な外観を有するように巻糸を巻くことを条件とする。これにより、巻糸の巻かれた部分の間に隙間がないように、且つ、巻糸の巻かれた部分に突出部が形成されないように、巻糸が連続的に巻かれなければならない。即ち、巻糸のそれぞれの巻かれた部分が竿体の長手方向に並んで配列されて整列するように、巻糸を連続的に巻くことが要求される。このような要求を満たすために、作業者は繊細な操作で巻糸を巻かなければならないので、従来技術の巻糸の巻き技術は作業者に高度な熟練度を要求する。
【0006】
図1図5は、釣糸ガイドを釣竿の竿体に固定する従来技術を示す。図1図5を参照して、従来技術に従って釣糸ガイドを竿体に固定する例を説明する。
【0007】
図1は、従来技術に従って釣糸ガイドが釣竿の竿体に固定されていることを示す側面図である。釣糸ガイド(120)は、巻糸(130)を釣糸ガイド(120)の取付足(121)及び竿体(110)に巻くことにより、竿体(110)に固定される。巻糸(130)は、隣接した巻かれた部分の間に間隙がないように稠密に巻かれた状態で、取付足(121)と竿体(110)を包む。巻糸(130)が取付足(121)と竿体(110)を包むように固定された後、巻かれた巻糸に接着剤が塗布されて硬化する。硬化した接着剤は、巻かれた巻糸(130)を覆う被覆(140)を形成する。
【0008】
従来技術によると、巻糸の巻かれた部分が間隙や突出部を有せずに良好な外観を示すように、巻糸のそれぞれの巻かれた部分が竿体の長手方向に並んで配列されて整列しつつ、巻糸(130)が取付足と竿体に巻かれなければならない。即ち、巻糸(130)は、並んでいる配列の規則的な巻き形態で巻かれなければならない。巻糸の規則的な巻き形態を達成するために、釣糸ガイドを竿体に固定する従来技術は、諸撚り糸を巻糸として用いている。
【0009】
図2は、釣糸ガイドを釣竿の竿体に固定するために用いられる従来技術の諸撚り糸の構造を概略的に示しており、図3は、図2に例示している従来技術の諸撚り糸が取付足に巻かれている状態を例示する。図2を参照すると、諸撚り糸は、複数の単糸(131)を一方の方向(TD1)に撚ることによって複数の撚り糸(132)を作り、このような複数の撚り糸(132)を本来の糸の撚り方向(TD1)とは反対の方向(TD2)に撚ることによって形成される糸を意味する。諸撚り糸が、複数の単糸からなり、互いに異なる撚り方向を有するので、諸撚り糸は伸長し難いだけでなく、剛性によって崩れない断面形状を有する。即ち、図3に示すように、諸撚り糸の巻糸(130)が取付足(121)及び竿体に巻かれれば、諸撚り糸の巻糸(130)の断面形状は崩れず、諸撚り糸の巻糸(130)は円形の断面形状を有して取付足(121)及び竿体に巻かれる。これにより、諸撚り糸の巻糸(130)は、並んでいる配列の規則的な巻き形態で巻かれることができる。このような諸撚り糸の巻糸(130)の特性により、釣糸ガイドを竿体に固定する従来技術は、諸撚り糸の巻糸を用いている。
【0010】
図4A図4Iは、諸撚り糸の巻糸を用いて釣糸ガイドを竿体に固定する従来技術での工程を順に例示する。図4Aを参照すると、釣糸ガイド(120)の取付足(121)を竿体(110)の外周面に接触させ、取付足(121)と竿体(110)をテープ(11)で巻く。次に、図4Bを参照すると、巻糸(130)が竿体(110)の外周面に取付足(121)の先端の前方で所定の巻き長さ(WL)だけ巻かれ、巻糸(130)の最初の部分は、巻き長さ(WL)で巻かれた巻糸(130)により固定される。巻糸(130)の最初の部分を固定するために、巻糸(130)は取付足(121)の先端の前方で巻き長さ(WL)だけ竿体(110)の外周面に直接巻かれなければならない。次に、図4Cを参照すると、前記所定の巻き長さだけ巻かれた巻糸から突出する、巻糸の最初の部分の一部が刃物(12)により切断される。次に、図4Dを参照すると、巻糸(130)がテープ(11)の位置まで取付足及び竿体(110)に巻かれた後に、テープ(11)が除去される。次に、図4Eを参照すると、巻糸(130)が取付足(121)の中間まで巻かれた状態で、糸輪(13)が最外側に位置する巻糸の一部と、まだ巻かれていない巻糸の一部との間に固定される。次に、図4Fを参照すると、巻糸(130)が取付足(121)の基端の位置まで糸輪(13)を覆いつつ巻かれる。次に、図4Gを参照すると、巻糸(130)の一部を糸輪(13)に通す。次に、図4Hを参照すると、糸輪(13)を引っ張って、巻糸(130)の一部が、巻かれた巻糸から取り出される。次に、図4Iを参照すると、巻かれた巻糸(130)から突出する巻糸の一部が刃物(12)により切断される。
【0011】
図4A図4Iに示すように、巻糸(130)の巻かれた部分に間隙と突出部がないように、巻糸(130)は、並んでいる配列の規則的な巻き形態で取付足と竿体に巻かれる。巻糸(130)の巻かれた部分と、これに形成される被覆が良好な外観を示すように諸撚り糸の巻糸(130)を巻くためには、巻糸(130)が規則的な巻き形態で巻かれ、巻かれた巻糸(130)の外面が扁平になることが必須である。従って、作業者は、巻糸の巻かれた部分に間隙と突出部を作らずに巻糸の巻かれた部分が扁平な外面を有するように巻糸を巻かなければならず、作業者は巻糸の巻き技術に高度な熟練度を有しなければならない。作業者が巻糸を巻く動作においてミスすると、巻糸の巻かれた部分に不規則な間隙または突出部が形成され、巻糸の巻かれた部分の外面は扁平な外面にならない。作業者が巻糸を規則的な巻き形態で巻くための技術に高度な熟練度を有しなければ、巻糸の巻かれた部分に多くの間隙や突出部が発生し、それにより、釣糸ガイドを固定する工程で外観不良が多く発生する。外観不良が発生した巻糸の巻かれた部分には、良好な外観を示す被覆が形成され得ない。
【0012】
図5は、釣糸ガイドを竿体の外周面に固定するために諸撚り糸を取付足の先端付近で巻く従来技術の例を示す。竿体(110)を回転させて諸撚り糸の巻糸(130)を取付足(121)及び竿体(110)に巻くとき、巻かれた巻糸(130)に間隙や突出部を発生させないために、巻糸(130)を前記規則的な巻き形態で巻くことが要求される。このような理由で、取付足(121)の先端(122)と竿体(110)の外周面との間に段差が形成されないように、取付足(121)の先端(122)は鋭利な形状に形成され、取付足の先端部はなめらかな傾斜面(123)を有しなければならない。また、巻かれる巻糸(130)の進行方向は、巻糸が傾斜面(123)から滑り落ちないように、傾斜面(123)を上がる方向(図5での矢印の方向)にならなければならない。
【0013】
前述した通り、且つ、図1図5を参照して説明した通り、釣糸ガイドを竿体に固定する従来技術は、多数の工程により低い生産性を示し、作業者の高度な熟練度がなくては巻糸の巻かれた部分に外観不良を発生させ易い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】日本公開特許公報第2000-189009号
【文献】日本公開特許公報第2020-162471号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
開示された実施例は、前述した従来技術の問題のうち少なくとも1つ以上を解決した、釣竿付属品用付属品固定具及び付属品固定方法を提供する。一実施例によると、作業者に巻糸の巻き技術での高度な熟練度を要求しない付属品固定具及び付属品固定方法が提供される。一実施例によると、作業者が高度な熟練度で巻糸を巻かなくても、巻かれた巻糸が緩まず、付属品の固定力が安定する、付属品固定具及び付属品固定方法が提供される。一実施例によると、作業者が高度な熟練度で巻糸を巻かなくても、巻かれた巻糸に不規則な間隙が形成されず、巻かれた巻糸の外面が扁平で良好な外観を有する、付属品固定具及び付属品固定方法が提供される。一実施例によると、釣竿付属品と竿体との間で合成樹脂材料の浸潤度を高めることができ、釣竿付属品の固定強度を高めることができる、付属品固定具及び付属品固定方法が提供される。一実施例によると、高度な熟練度が要求される取付足の先端での巻糸の巻き技術を用いる必要がない、付属品固定具及び付属品固定方法が提供される。一実施例によると、減少した工程数により生産性を向上させることができる、付属品固定具及び付属品固定方法が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0016】
開示された実施例の一側面は、取付足を有する釣竿付属品を竿体に固定する付属品固定具に関する。一実施例による付属品固定具は、取付足及び竿体を包むように構成されたラッピング部を含む。ラッピング部は、取付足が竿体の外周面に置かれた状態で取付足の外面及び竿体の外周面に多数の巻き回数で巻かれている片撚り糸からなる。片撚り糸は、厚さより大きい幅を有する断面形状を有するように張力によって伸長した状態で巻かれている。片撚り糸は、片撚り糸の1周巻き部と片撚り糸のもう1つの1周巻き部が互いに対して角度を形成するように巻かれている。ラッピング部は、張力によって伸長している片撚り糸の隣接した2つの1周巻き部が竿体の長手方向に沿って少なくとも部分的に重なっている重なり部と、張力によって伸長している隣接した2つの1周巻き部の外面によって部分的に限定される扁平外面部を有する。
【0017】
一実施例において、片撚り糸の1周巻き部は、張力によって伸長した状態で取付足の外面及び竿体の外周面に面接触で接触する扁平接触面を有する。
【0018】
一実施例において、ラッピング部は、1本の片撚り糸で連続してなる内側ラッピング部及び外側ラッピング部を含む。内側ラッピング部は、取付足の長さより短い長さで竿体の外周面に複数の巻き回数で巻かれて固定される片撚り糸からなる。内側ラッピング部は、取付足の内面と竿体の外周面との間に間隙を形成する。外側ラッピング部は、内側ラッピング部、取付足の外面及び竿体の外周面に多数の巻き回数で巻かれる片撚り糸からなり、内側ラッピング部を覆い隠す。
【0019】
一実施例において、内側ラッピング部での片撚り糸は、隣接した2つの1周巻き部の間に間隙が形成されるように、竿体の外周面に巻かれている。片撚り糸の切断された先端部は内側ラッピング部に固定され、片撚り糸の切断された末端部は外側ラッピング部に固定される。
【0020】
一実施例において、外側ラッピング部は、取付足の先端から竿体の外周面に沿って離隔する方向に0mmを超え、2mm以下の長さを有する先端部を有する。
【0021】
一実施例において、ラッピング部は、取付足の先端に形成される垂直面と竿体の外周面との間に、片撚り糸が複数の層に巻かれ、積層されている先端部を有する。
【0022】
一実施例の付属品固定具は、ラッピング部の扁平外面部を覆うように被覆されており、合成樹脂材料からなる被覆部をさらに含む。
【0023】
開示された実施例のもう1つの側面は、取付足を有する釣竿付属品を竿体に固定する付属品固定方法に関する。一実施例による付属品固定方法は、取付足及び竿体を包むように構成されたラッピング部を形成する段階と、ラッピング部を完成する段階を含む。ラッピング部は、取付足が竿体の外周面に置かれた状態で取付足の外面及び竿体の外周面に片撚り糸を多数の巻き回数で、片撚り糸の断面形状が厚さより大きい幅を有するように張力によって片撚り糸を伸長させながら巻くことによって形成される。ラッピング部を形成する段階は、片撚り糸の1周巻き部と片撚り糸のもう1つの1周巻き部が互いに対して角度を形成し、張力によって伸長している片撚り糸の隣接した2つの1周巻き部が竿体の長手方向に沿って少なくとも部分的に重なっている重なり部が形成され、張力によって伸長している隣接した2つの1周巻き部の扁平外面によって部分的に限定される扁平外面部が形成されるように実行される。ラッピング部は、片撚り糸をラッピング部に固定することによって完成する。
【0024】
一実施例において、ラッピング部を形成する段階は、片撚り糸が張力によって伸長した状態で片撚り糸の1周巻き部が扁平接触面を通じて取付足の外面及び竿体の外周面に面接触で接触するように実行される。
【0025】
一実施例において、ラッピング部を形成する段階は、取付足の先端に向かう第1進行方向と、取付足の基端に向かう第2進行方向のうちいずれの進行方向にも片撚り糸が取付足の外面及び竿体の外周面に巻かれるように実行される。
【0026】
一実施例において、ラッピング部を形成する段階は、内側ラッピング部を形成する段階と、取付足を竿体の外周面に仮固定する段階と、外側ラッピング部を形成する段階を含む。内側ラッピング部は、取付足の内面と竿体の外周面との間に間隙が形成されるように片撚り糸を竿体の外周面に複数の巻き回数で取付足の長さより短い長さで巻くことによって形成される。取付足は、内側ラッピング部から続く片撚り糸を取付足の外面に巻くことによって仮固定される。外側ラッピング部は、内側ラッピング部、取付足の外面及び竿体の外周面を覆う。外側ラッピング部は、内側ラッピング部、取付足の外面及び竿体の外周面に内側ラッピング部から続く片撚り糸を多数の巻き回数で巻くことによって形成される。内側ラッピング部を形成する段階、取付足を仮固定する段階及び外側ラッピング部を形成する段階は、1本の片撚り糸を用いて実行される。
【0027】
一実施例において、内側ラッピング部を形成する段階は、片撚り糸の切断された先端部が内側ラッピング部に固定されるように、且つ、片撚り糸の隣接した1周巻き部の間に間隙が形成されるように実行される。
【0028】
一実施例において、外側ラッピング部を形成する段階は、取付足の先端から竿体の外周面に沿って離隔する方向に0mmを超え、2mm以下の長さを有する先端部が形成されるように実行される。
【0029】
一実施例において、ラッピング部を形成する段階は、取付足の先端に形成される垂直面と竿体の外周面との間に、片撚り糸を複数の層に巻いて積層させることによって形成される先端部が形成されるように実行される。
【0030】
一実施例において、ラッピング部を完成する段階は、片撚り糸をラッピング部に結び目で固定させる段階を含む。
【0031】
一実施例において、ラッピング部を形成する段階は、片撚り糸が巻かれたスプールを有し、片撚り糸を放出するように構成された補助具を用いて実行される。
【0032】
一実施例の付属品固定方法は、ラッピング部の扁平外面部を合成樹脂材料で被覆することによって扁平外面部を覆う被覆部を形成する段階をさらに含む。
【発明の効果】
【0033】
一実施例による付属品固定具及び付属品固定方法によると、張力によって伸長した状態で取付足及び竿体に巻かれる片撚り糸でラッピング部がなされる。張力によって伸長する片撚り糸は、つぶされて扁平な断面形状を有する状態で、取付足の外面及び竿体の外周面に巻かれている。片撚り糸は、片撚り糸の重なり又は交差形態がラッピング部に形成され、ラッピング部が間隙のない扁平外面部を有するように、不規則的な巻き形態で巻かれることができる。従って、ラッピング部は、片撚り糸の重なり又は交差形態を有しながら扁平で良好な外観を示すことができる。
【0034】
重なり又は交差の不規則的な巻き形態で巻かれる片撚り糸からなるラッピング部は、取付足をより一層向上した固定力で固定することができ、片撚り糸の容易な巻き作業を可能にする。従って、張力によって伸長する片撚り糸を用いる一実施例による付属品固定具及び付属品固定方法は、諸撚り糸を規則的な巻き形態で巻くために必要な高度な熟練度を作業者に要求しない。これにより、作業者は取付足を巻く巻糸の重なりを憂慮することなく、片撚り糸の巻き作業を簡単かつ容易に行うことができる。
【0035】
張力によって伸長する片撚り糸を用いる一実施例による付属品固定具及び付属品固定方法は、釣竿付属品の固定力を安定及び向上させながら、巻かれた片撚り糸に緩みを発生させないラッピング部を実現することができる。
【0036】
一実施例による付属品固定具と付属品固定方法は、釣竿付属品と竿体との間で合成樹脂材料の浸潤度を向上させることができ、高度な熟練度を必要とする取付足の先端付近での巻き技術を排除させることができる。
【0037】
一実施例による付属品固定具と付属品固定方法は、片撚り糸を巻いて固定するための工程の数を減らすことができ、生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】従来技術により釣糸ガイドが釣竿の竿体に固定されていることを示す側面図である。
図2】釣糸ガイドを釣竿の竿体に固定するために用いられる従来技術の諸撚り糸の構造を概略的に示す図である。
図3図2に例示する従来技術の諸撚り糸が取付足に巻かれている状態を示す断面図である。
図4A】諸撚り糸によって釣糸ガイドを竿体に固定するための従来技術の工程の一例を示す側面図である。
図4B図4Aに示す工程の次の工程を示す側面図である。
図4C図4Bに示す工程の次の工程を示す側面図である。
図4D図4Cに示す工程の次の工程を示す側面図である。
図4E図4Dに示す工程の次の工程を示す側面図である。
図4F図4Eに示す工程の次の工程を示す側面図である。
図4G図4Fに示す工程の次の工程を示す側面図である。
図4H図4Gに示す工程の次の工程を示す側面図である。
図4I図4Hに示す工程の次の工程を示す側面図である。
図5】釣糸ガイドを竿体の外周面に固定するために諸撚り糸を取付足の先端付近で巻く従来技術の例を示す図である。
図6】釣糸ガイドが一実施例による付属品固定具によって釣竿の竿体に固定されている一例を示す平面図である。
図7図6に示す釣糸ガイド及び付属品固定具を示す側面図である。
図8】釣糸ガイドが一実施例による付属品固定具によって釣竿の竿体に固定されているもう1つの例を示す平面図である。
図9図8に示す釣糸ガイド及び付属品固定具を示す側面図である。
図10】一実施例による付属品固定具のラッピング部と、ラッピング部の一部断面形状を示す図である。
図11】一実施例による付属品固定具が用いる片撚り糸の構造を概略的に例示する図である。
図12】一実施例による付属品固定具において片撚り糸が取付足の外面に巻かれている状態を概略的に示す断面図である。
図13図6に示すラッピング部に被覆部が形成されている状態を示す側面図である。
図14図8に示すラッピング部に被覆部が形成されている状態を示す側面図である。
図15】一実施例による付属品固定具のラッピング部を片撚り糸で形成する一例を示す図である。
図16】一実施例による付属品固定具のラッピング部を取付足の先端付近で形成する例を示す図である。
図17】一実施例による付属品固定具のラッピング部が垂直な先端を有する取付足に適用される例を示す図である。
図18】もう1つの実施例による付属品固定具を示す側面図である。
図19図18に示す付属品固定具と、その断面形状を示す図である。
図20A】一実施例による付属品固定方法によって釣糸ガイドを竿体に固定する工程の一例を示す側面図である。
図20B図20Aに示す工程の次の工程を示す側面図である。
図20C図20Bに示す工程の次の工程を示す側面図である。
図20D図20Cに示す工程の次の工程を示す側面図である。
図20E図20Dに示す工程の次の工程を示す側面図である。
図21A】一実施例による付属品固定方法によって釣糸ガイドを竿体に固定する工程のもう1つの例を示す側面図である。
図21B図21Aに示す工程の次の工程を示す側面図である。
図21C図21Bに示す工程の次の工程を示す側面図である。
図21D図21Cに示す工程の次の工程を示す側面図である。
図21E図21Dに示す工程の次の工程を示す側面図である。
図22A】外側ラッピング部を完成する工程の一例を示す側面図である。
図22B図22Aに示す工程の次の工程を示す側面図である。
図22C図22Bに示す工程の次の工程を示す側面図である。
図23A】外側ラッピング部を完成する工程のもう1つの例を示す側面図である。
図23B図23Aに示す工程の次の工程を示す側面図である。
図23C図23Bに示す工程の次の工程を示す側面図である。
図23D図23Cに示す工程の次の工程を示す側面図である。
図24】内側ラッピング部を形成する工程のもう1つの例を示す側面図である。
図25】一実施例による付属品固定方法によって釣糸ガイドを釣竿の竿体に固定させるために片撚り糸を巻く作業を例示する図である。
図26】補助具を用いる付属品固定方法の実施例を示す側面図である。
図27図26に示す補助具の斜視図である。
図28図26に示す補助具の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本開示の実施例は、本開示の技術的思想を説明する目的で例示されたものである。本開示による権利範囲が、以下に提示される実施例やこれらの実施例に関する具体的説明で限定されるものではない。
【0040】
本開示に用いられる全ての技術的用語及び科学的用語は、異なって定義されない限り、本開示が属する技術分野で通常の知識を有する者に一般に理解される意味を有する。本開示に用いられる全ての用語は、本開示をさらに明確に説明する目的で選択されたものであり、本開示による権利範囲を制限するために選択されたものではない。
【0041】
本開示で用いられる「含む」、「備える」、「有する」等のような表現は、当該表現が含まれる語句または文章で異なって言及されない限り、他の実施例を含む可能性を内包する開放形用語(open-ended terms)として理解されるべきである。
【0042】
本開示で記述された単数形の表現は、異なって言及しない限り、複数形の意味を含み得、これは請求の範囲に記載された単数形の表現にも同様に適用される。
【0043】
本開示で用いられる「第1」、「第2」等の表現は、複数の構成要素を相互に区分するために用いられ、当該構成要素の順序または重要度を限定するものではない。
【0044】
本開示において、ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いたり、「結合されて」いると言及される場合、前記ある構成要素が前記他の構成要素に直接的に連結され得たり、結合され得るものとして、または新たな他の構成要素を介して連結され得たり、結合され得るものとして理解されるべきである。
【0045】
本開示で記載される寸法と数値は、記載された寸法と数値のみに限定されるものではない。異なって特定されない限り、このような寸法と数値は、記載された値及びこれを含む同等の範囲を意味するものとして理解され得る。
【0046】
本開示において、前方方向は釣竿の先端(tip)に向かう方向(図6において符号FDで指す方向)を意味し、後方方向は釣竿の後端(butt)に向かう方向(図6において符号RDで指す方向)を意味する。釣竿の長手方向(図6において符号LDで指す方向)は、前方方向と後方方向を含む。上方方向と下方方向は、図面に示された配向を基準とする。
【0047】
以下、添付の図面を参照し、実施例を説明する。添付の図面において、同一または対応する構成要素には同一の参照符号が付与されている。また、以下の実施例の説明において、同一または対応する構成要素を重複して記述することが省略され得る。しかし、構成要素に関する記述が省略されても、そのような構成要素がある実施例に含まれないものとして意図されはしない。
【0048】
本開示の実施例は、釣竿付属品を釣竿の竿体に固定するように構成された付属品固定具、その付属品固定具を用いた付属品固定構造、および、釣竿付属品を釣竿の竿体に固定する付属品固定方法に関する。実施例による付属品固定構造と付属品固定方法は、少なくとも1本の片撚り糸によって釣竿付属品を釣竿の竿体に堅固に固定することができる。
【0049】
本開示の一実施例による付属品固定具について、図6図14を参照する。図6図7は、それぞれ一実施例による付属品固定具によって釣糸ガイドが釣竿の竿体に固定される一例を示す平面図及び側面図である。図8図9は、それぞれ一実施例による付属品固定具によって釣糸ガイドが釣竿の竿体に固定されているもう1つの例を示す平面図及び側面図である。図10は、一実施例による付属品固定具のラッピング部と、ラッピング部の一部断面形状を示す。図11は、一実施例による付属品固定具が用いる片撚り糸の構造を概略的に例示する。図12は、一実施例による付属品固定具において片撚り糸が取付足の外面に巻かれている状態を概略的に示す断面図である。図13図14は、それぞれ一実施例による付属品固定具のラッピング部に被覆部が形成されている状態を示す。
【0050】
図6図9を参照すると、釣竿(1000)は、釣竿の細長い形状を維持しながら弾力的に撓むことができる構造物である竿体(1110)を含む。竿体(1110)は、細長い管状の部材であり得るか、または、細長いが、中が空いていない円筒状の部材であり得る。釣竿(1000)は、複数の竿体(1110)を含み得る。前記複数の竿体は、継手式(joined type)、振出式(telescopic type)のような連結方式によって順次連結され、釣竿のメインボディーを構成し得る。
【0051】
釣竿(1000)は、竿体(1110)に固定される釣竿付属品を含む。前記釣竿付属品は、リールを取り付けるためのリールシート(図示せず)、釣糸を案内するための釣糸ガイドを含み得る。前記リールシートは、釣竿のバット側に位置する竿体に固定され得る。前記リールシートには釣糸(図示せず)を放出したり巻いたりするためのリール(図示せず)が取り外し可能に装着される。前記釣糸ガイドは、釣竿のバット側に位置する竿体、釣竿のチップ側に位置する竿体、及びこれらの間に位置する竿体に固定され得る。前記釣糸ガイドは、釣糸の端に連結される仕掛けをキャストする時にリールから放出されるか、または、魚を釣り上げる時にリールに巻かれる釣糸を案内する。
【0052】
実施例によると、釣竿付属品は、竿体(1110)の外周面に前記片撚り糸を用いて堅固に固定され得る。釣竿付属品が竿体(1110)の外周面に固定されるように、釣竿付属品は竿体(1110)の外周面に置かれる取付足を有する。以下に説明される実施例では、前記釣竿付属品の例として、釣糸ガイド(1200)が竿体(1110)に固定されている。また、前記取付足を有するリールシートが、本開示の実施例によって、竿体(1110)に固定されることもできる。
【0053】
図6図8に示すように、釣糸ガイド(1200)は、釣糸を通すように構成されたガイドリング(1210)と、ガイドリング(1210)を支持し、竿体(1110)に取り付けられるフレーム(1220)からなる。ガイドリング(1210)は、セラミック材料からなり得る。フレーム(1220)は、金属材料からなり得る。
【0054】
図6に示す釣糸ガイドのフレーム(1220)は、ガイドリング(1210)を保持するリング保持部(1221)と、リング保持部(1221)から延長し、リング保持部(1221)に対して折り曲げられている取付足(1230)を有する。図6に示す釣糸ガイド(1200)は、1つの取付足(1230)を有する。図8に示す釣糸ガイドのフレーム(1220)は、リング保持部(1221)と、リング保持部(1221)から延長する支脚(1222,1223)と、各支脚(1222,1223)から延長し、支脚に対して折り曲げられている取付足(1230)を有する。図8に示す釣糸ガイド(1200)は、2つの取付足(1230)を有する。即ち、1つの前方支脚(1222)と一対の後方支脚(1223)がフレーム(1220)に設けられており、前方支脚(1222)と後方支脚(1223)にそれぞれ取付足(1230)が設けられている。図6図8に示す釣糸ガイドは、その取付足が一実施例による付属品固定具(2000)により竿体(1110)の外周面に固定された状態で、竿体(1110)に固定される。
【0055】
釣糸ガイドの取付足(1230)は、フレーム(1220)と一体に形成され得、竿体(1110)の外周面に置かれるように形成されている。釣糸ガイドの取付足は、所定の厚さを有する平板形状を取る。図10を参照すると、釣糸ガイドの取付足(1230)は、外面(1231)と内面(1232)を有する。外面(1231)は、取付足が竿体の外周面(1111)に置かれた状態で、取付足の外側表面(即ち、竿体の中心を基準に外側半径方向に位置する取付足の表面)である。内面(1232)は、竿体の外周面(1111)に向かう取付足の表面である。外面(1231)と内面(1232)は、扁平な表面または湾曲した表面を含み得る。また、取付足(1230)は、基端(1233)と先端(1234)を有する。基端(1233)は、図6に示すフレーム(1220)に、または、図8に示すフレームの支脚(1222,1223)に連結される。先端(1234)は、竿体の長手方向(LD)に基端(1233)の反対側に位置する。
【0056】
一実施例による付属品固定具(2000)は、釣糸ガイド(即ち、釣竿付属品)の取付足(1230)を竿体(1110)に片撚り糸によって固定するように構成されている。付属品固定具(2000)は、釣竿付属品を竿体に固定するように構成される固定物(fixing object)、固定構造(fixing structure)または固定装置(fixing device)を意味し得る。
【0057】
図6図10を参照すると、付属品固定具(2000)は、片撚り糸(2120)からなるラッピング部(wrapping portion)(2100)を含み、ラッピング部(2100)は取付足(1230)及び竿体(1110)を包むように構成されている。ラッピング部(2100)は、片撚り糸を取付足の外面(1231)及び竿体の外周面(1111)に竿体の長手方向(LD)に沿って竿体の周方向(CD)に多数の巻き回数で巻くことによって形成される。以下、片撚り糸(2120)が1つの巻き回数で巻かれた部分を、片撚り糸の1周巻き部という。従って、ラッピング部(2100)は、片撚り糸のそれぞれの1周巻き部が竿体の長手方向に沿って連続的に配置されている、片撚り糸が巻かれた物である。釣糸ガイド(1200)は、取付足(1230)及び竿体(1110)をともに包むラッピング部(2100)により竿体(1110)に堅固に固定される。
【0058】
釣糸ガイド(1200)は、取付足の外面(1231)及び竿体の外周面(1111)を片撚り糸(2120)で巻くことによって竿体(1110)に堅固に固定されることができる。一例として、取付足(1230)が竿体の外周面(1111)に置かれた状態で、片撚り糸(2120)を取付足の外面(1231)及び取付足によって覆われない竿体の外周面(1111)に多数の巻き回数で巻いてラッピング部(2100)を形成することによって、取付足(1230)はラッピング部(2100)を通じて竿体(1110)に堅固に固定されることができる。
【0059】
ラッピング部を構成する片撚り糸(2120)の材料として、ポリエステル、ナイロン、シルクのいずれか1つが選択され得るが、片撚り糸の材料がこれに限定されるわけではない。図11を参照すると、ラッピング部を形成する片撚り糸(2120)は、1本の単糸(2121)を右側または左側のいずれか一方向(TD1)に撚って形成される糸、または、2本以上の単糸を引き揃え、右側または左側のいずれか一方向(TD1)に撚って形成される糸を意味する。このような片撚り糸は、その長手方向に容易に伸長し得、伸長によってその断面形状がつぶされて扁平な形状に変形され得る。即ち、張力によって伸長した片撚り糸の断面形状は、厚さより大きい幅を有するように変形され得る。例えば、張力によって伸長した片撚り糸の断面形状は、厚さ寸法が小さく、幅寸法が厚さ寸法より数倍ほど大きい、薄い楕円形、薄い長方形のような形状を取れる。ここで、前記厚さ寸法は、片撚り糸が接触する表面に垂直な方向での片撚り糸の断面形状の寸法を意味し得、前記幅寸法は、片撚り糸が接触する表面に平行な方向での片撚り糸の断面形状の寸法を意味し得る。片撚り糸が張力によって伸長すれば、片撚り糸はその本来の厚さ寸法より小さい厚さ寸法を有し、その本来の幅寸法より大きい幅寸法を有する扁平な断面形状を有することになる。従って、伸長状態にある片撚り糸は、更に広い接触面積で取付足の外面と竿体の外周面に接触することができ、隣接する1周巻き部が小さい厚さで重なることができる。
【0060】
図6図12を参照して、一実施例による付属品固定具のラッピング部を説明する。
【0061】
1本の片撚り糸(2120)が取付足の外面(1231)及び竿体の外周面(1111)に連続的に巻かれてラッピング部(2100)を形成することができる。一実施例によると、ラッピング部(2100)の片撚り糸(2120)は、張力によって伸長した状態で、取付足の外面及び竿体の外周面に多数の巻き回数で巻かれている。即ち、図12に示すように、片撚り糸(2120)は、厚さ(T)より大きい幅(W)を有する断面形状を有するように張力によって伸長した状態で巻かれている。従って、ラッピング部(2100)での片撚り糸の断面形状はつぶされて扁平な形状を取る。
【0062】
図7図9を参照すると、ラッピング部での片撚り糸(2120)は、1周巻き部(2122A)と、もう1つの1周巻き部(2122B)が竿体の周方向(CD)に沿って互いに対して角度を形成したり、または、互いに交差するように巻かれている。従って、片撚り糸(2120)での1周巻き部(2122A)と、もう1つの1周巻き部(2122B)は、少なくとも部分的に互いに重なったり交差したりする。即ち、ラッピング部での片撚り糸(2120)は、張力によって伸長した状態で、それぞれの1周巻き部(2122A,2122B)が竿体の長手方向(LD)に沿って互いに重なるように巻かれている。片撚り糸(2120)のラッピング部で1周巻き部が互いに重なっているので、ラッピング部は更に向上した固定力で取付足を竿体に固定することができる。また、ラッピング部での片撚り糸のそれぞれの1周巻き部は互いに対して滑り難く、ラッピング部での片撚り糸は緩み難い。このように、ラッピング部での片撚り糸(2120)の巻き形態は、規則的な巻き形態ではなく、不規則的な巻き形態である。前記規則的な巻き形態は、1周巻き部と、これに直接隣接するもう1つの1周巻き部が竿体の長手方向に重なることなく並んで配置される巻き形態を意味し得る。前記不規則的な巻き形態は、1周巻き部と、このすぐ次の1周巻き部が竿体の長手方向に互いに重なったり互いに交差したり、または、1周巻き部と、これから離れている1周巻き部が互いに交差する巻き形態を意味し得る。また、巻かれた片撚り糸での一部区間では、1周巻き部と、もう1つの1周巻き部が互いに平行に位置することもできる。
【0063】
張力によって伸長した片撚り糸(2120)が取付足及び竿体に不規則的な巻き形態で巻かれるので、ラッピング部(2100)は重なり部を有する。図12に示すように、ラッピング部の重なり部(2111)では、張力によって伸長している片撚り糸の隣接した2つの1周巻き部(2122C)が竿体の長手方向(LD)に沿って少なくとも部分的に重なっている。重なり部(2111)は、隣接した2つの1周巻き部(2122C)のうちの1つの一側縁と、これに隣接するもう1つの1周巻き部の他側縁との間の重なり領域として限定され得る。これにより、ラッピング部(2100)は、多数の重なり部(2111)を有することができる。
【0064】
張力によって伸長した片撚り糸は、つぶされて扁平な断面形状を有し、これにより、更に広い接触面積を有することができる。従って、片撚り糸は、つぶされて扁平な断面形状により、取付足の外面及び竿体の外周面に面接触で接触する扁平接触面を有することができる。図12に示すように、片撚り糸のそれぞれの1周巻き部は、張力によって伸長した状態で、取付足の外面(1231)及び竿体の外周面に接触する扁平接触面(2123)を有する。扁平接触面(2123)は、重なり部(2111)に隣接し、取付足の外面(1231)及び竿体の外周面に面接触で接触する。
【0065】
張力によって伸長した片撚り糸がつぶされて扁平な断面形状を有するので、図12に示すように、片撚り糸の1周巻き部は、扁平外面(2124)を有する。1周巻き部の扁平外面(2124)が、ラッピング部(2100)の外面部を部分的に限定する。図10図12に示すように、張力によって伸長した片撚り糸がつぶされて扁平な断面形状を有するので、ラッピング部(2100)は重なり部(2111)の存在にもかかわらず、概ね扁平な扁平外面部(2112)を有する。扁平外面部(2112)は、張力によって伸長している隣接した2つの1周巻き部(2122C)の扁平外面(2124)により部分的に限定され得る。従って、ラッピング部での片撚り糸(2120)が、それぞれの1周巻き部が互いに部分的に重なるように巻かれても、ラッピング部(2100)は、間隙がなくて概ね扁平な扁平外面部(2112)を有することができる。扁平外面部(2112)は、ラッピング部(2100)の円筒状での外面になる。
【0066】
図10を参照すると、ラッピング部を形成する片撚り糸(2120)は、取付足の基端(1233)から先端(1234)に向かう第1進行方向(AD1)に、取付足の外面(1231)と竿体の外周面(1111)に1つの巻かれた物として巻かれ得る。または、片撚り糸(2120)は、取付足の先端(1234)から基端(1233)に向かう第2進行方向(AD2)に、取付足の外面(1231)と竿体の外周面(1111)に1つの巻かれた物として巻かれ得る。即ち、片撚り糸が巻かれながら進行する方向は、第1進行方向(AD1)と第2進行方向(AD2)のいずれの進行方向にもなることができる。従って、一実施例の付属品固定具によると、片撚り糸を巻き始める開始点が取付足の先端のみに限定されるわけではない。または、片撚り糸(2120)は、第1及び第2進行方向(AD1,AD2)のいずれか1つの進行方向に巻かれた後、第1及び第2進行方向(AD1,AD2)のもう1つの進行方向に巻かれることができる。これにより、ラッピング部(2100)は少なくとも2つの層を有する1つの巻かれた物からなることができる。
【0067】
一実施例による付属品固定具は、ラッピング部の外観を向上させ、ラッピング部の片撚り糸を巻かれた状態で固着させることができる被覆部を含み得る。図13図14を参照すると、付属品固定具(2000)は、ラッピング部(2100)を全体的に覆う被覆部(2200)を含む。被覆部(2200)は、ラッピング部(2100)を覆うようにラッピング部(2100)に被覆されており、被覆材からなる。前記被覆材は、合成樹脂材料または接着剤であり得る。前記被覆材は、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、紫外線硬化樹脂のうち1つであり得るが、これに限定されるわけではない。一例として、液状の前記被覆材がラッピング部(2100)の全体にわたって塗布され、塗布された被覆材は硬化する。ラッピング部(2100)が前記片撚り糸によって形成された状態で、ラッピング部(2100)の片撚り糸の外面に液状の前記被覆材が塗布される。塗布された前記被覆材は硬化し、ラッピング部(2100)、ラッピング部に隣接した竿体(1110)の一部及びラッピング部に隣接した釣糸ガイドの一部を覆って被覆する被覆部(2200)が形成される。硬化した被覆材が片撚り糸に含浸される。被覆部(2200)は光を散乱させることができる。従って、釣人が被覆部(2200)を見ると、ラッピング部での片撚り糸の巻かれた部分間の境界は見えず、ラッピング部(2100)は均一の色に見えることがある。被覆部(2200)は、ラッピング部の前述した扁平外面部(2112)を全体的に合成樹脂材料で被覆することによって、扁平外面部(2112)を覆うようにラッピング部(2100)に被覆されている。扁平外面部(2112)が概ね扁平なので、被覆部(2200)は凹凸のない良好な外観を有することができる。
【0068】
前述した通り、一実施例による付属品固定具のラッピング部は、張力によって伸長した状態でつぶされて扁平な断面形状に巻かれる片撚り糸からなる。ラッピング部での片撚り糸は、片撚り糸の重なり又は交差形態がラッピング部に形成され、ラッピング部が間隙のない扁平外面部を有するように、不規則的な巻き形態で巻かれている。従って、ラッピング部は、扁平な外観を有しながら、取付足を更に向上した固定力で固定することができる。従って、張力によって伸長する片撚り糸を用いる一実施例による付属品固定具は、従来技術の諸撚り糸を規則的な巻き形態で巻くために必要な高度な熟練度を作業者に要求しない。
【0069】
図15は、一実施例による付属品固定具のラッピング部を片撚り糸で形成する一例を示す。図15を参照すると、取付足が竿体(1110)の外周面に置かれた状態で、張力(TF)により伸長した片撚り糸(2120)が取付足の外面と竿体の外周面に巻かれる。片撚り糸(2120)の張力(TF)による伸長は、手作業または片撚り糸を放出するように構成された機構によって行われることができる。一例として、取付足が竿体(1110)の外周面に置かれた状態で、竿体(1110)は矢印(WD1)の方向に回転することができ、これにより、片撚り糸(2120)が取付足の外面及び竿体(1110)の外周面に巻かれる。または、竿体(1110)は固定され、片撚り糸(2120)が竿体(1110)の周方向(CD)に旋回しながら巻かれることもできる。張力によって伸長した片撚り糸(2120)は、そのそれぞれの1周巻き部が互いに部分的に重なるように巻かれる。従って、ラッピング部(2100)を形成する巻かれた片撚り糸の張力が緩まない。また、張力(TF)によって伸長した片撚り糸(2120)がつぶされて扁平な断面形状を有しながら巻かれるので、ラッピング部(2100)は扁平外面部(2112)を有する。また、矢印(IR)で示した通り、片撚り糸(2120)は取付足の外面及び竿体の外周面に不規則的な巻き形態で巻かれることができる。即ち、1周巻き部(2122A)と、もう1つの1周巻き部(2122B)は、並んでいる配列の規則的な巻き形態ではなく、重なり又は交差の不規則的な巻き形態で巻かれることができる。また、前述した通り、片撚り糸(2120)は、前記第1進行方向に、または、前記第2進行方向に、または、前記第1進行方向の後に前記第2進行方向に巻かれることができる。
【0070】
図16は、一実施例による付属品固定具のラッピング部を取付足の先端付近で形成する例を示す。図16を参照すると、取付足(1230)は、鋭利な先端(1234)を限定する先端部(1235)を有し得る。先端部(1235)は、竿体(1110)の外周面(1111)に向かって低くなるように傾斜している。これにより、取付足(1230)は、先端部(1235)に傾斜面(1236)を有することができる。先端部(1235)は、平板形態の取付足の先端部を切削することによって形成され得る。張力(TF)によって片撚り糸(2120)が伸長するので、取付足(1230)と竿体(1110)に巻かれる片撚り糸の断面形状はつぶされて扁平な形状を有する。従って、片撚り糸(2120)が取付足(1230)の傾斜面(1236)に巻かれるとき、片撚り糸(2120)は傾斜面(1236)を滑り落ちない。また、片撚り糸(2120)は、取付足(1230)の傾斜面(1236)に間隙なく巻かれることができる。図16での拡大図に示すように、巻かれた片撚り糸(2120)はつぶされて扁平な断面形状を有するので、片撚り糸(2120)は部分的に重なり得、傾斜面(1236)で転がり難い。これにより、片撚り糸(2120)は取付足の先端部(1235)の傾斜面(1236)で、矢印(SD)の方向に滑らない。従って、片撚り糸(2120)は取付足の傾斜面(1236)を上がる方向に巻かれることもでき、傾斜面(1236)を下がる方向に巻かれることもできる。
【0071】
図17は、一実施例による付属品固定具のラッピング部が垂直な先端を有する取付足に適用される例を示す。一実施例による付属品固定具は、張力によって伸長した片撚り糸を用い、片撚り糸は部分的な重なりの不規則的な巻き形態で巻かれる。図5に示す従来の付属品固定具によると、諸撚り糸の不規則的な巻き形態を避けるために、取付足は鋭利な先端と、先端に隣接した傾斜面を有しなければならず、諸撚り糸は取付足の傾斜面を上がる方向に巻かれなければならない。しかし、一実施例の付属品固定具は、つぶされて扁平な断面形状を有するように張力によって伸長した片撚り糸を用いる。従って、図17に示すように、取付足(1230)は、鋭利な先端及び先端に隣接した傾斜面を備えることなく構成され得る。即ち、取付足(1230)は、先端(1234)に形成され、竿体(1110)の外周面(1111)に概ね垂直な垂直面を有し得、先端の前記垂直面は取付足(1230)の厚さに対応する高さを有し得る。前記垂直面を有する取付足(1230)は、取付足の先端(1234)と竿体の外周面(1111)との間に段差を作り得る。伸長した片撚り糸(2120)は、先端(1234)の前記垂直面と竿体の外周面(1111)との間で、矢印(VD)で示すように、積層されながら間隙なく複数の層に巻かれ得る。これにより、ラッピング部(2100)は、取付足の先端(1234)の前記垂直面と竿体の外周面(1111)との間に、片撚り糸が複数の層に巻かれて積層されている先端部(2113)を有し得る。また、巻かれる片撚り糸(2120)の進行方向が制限されない。即ち、片撚り糸(2120)は第1進行方向(AD1)と第2進行方向(AD2)のいずれの進行方向にも巻かれることができる。
【0072】
図17に示すように、一実施例の付属品固定具が先端(1234)に垂直面を有する取付足に効果的に適用され得る。取付足が先端(1234)に垂直面を有するので、取付足は更に短い長さを有するように構成されることができ、前記鋭利な先端と前記傾斜面を取付足に形成するために取付足を切削する作業を排除させることができる。また、取付足の切削作業により、取付足にサビが発生する短所をなくすことができる。
【0073】
一実施例による付属品固定具のラッピング部は、張力によって伸長した片撚り糸により、取付足と竿体を包む1つの巻かれた物として形成され得る。もう1つの実施例として、ラッピング部は、取付足と竿体との間に配置される1つの巻かれた物と、取付足と竿体をともに包むもう1つの巻かれた物からなり得る。図18は、もう1つの実施例による付属品固定具を一部切欠して示す側面図であり、図19は、図18に示す付属品固定具とその断面形状を示す。図18図19に示す、片撚り糸の2つの巻かれた物からなるラッピング部の構造は、図6図8に示す釣糸ガイドの固定のために採用されることもできる。
【0074】
図18図19を参照すると、一実施例によるラッピング部(2100)は、張力によって伸長した片撚り糸(2120)が巻かれて形成される、片撚り糸の2つの巻かれた物を含む。一実施例によるラッピング部(2100)は、内側ラッピング部(2130)と外側ラッピング部(2140)を含む。内側ラッピング部(2130)と外側ラッピング部(2140)は、張力によって伸長する1本の片撚り糸(2120)で形成される。
【0075】
内側ラッピング部(2130)は、取付足の内面(1232)と竿体の外周面(1111)との間に配置され、内面(1232)と外周面(1111)との間に竿体の中心に対する外側半径方向に間隙を形成する。内側ラッピング部(2130)は、張力によって伸長した状態で竿体の外周面(1111)に周方向(CD)に複数の巻き回数で巻いて固定される片撚り糸(2120)からなる。内側ラッピング部(2130)を形成する片撚り糸(2120)は、取付足(1230)の長さより短い長さで巻かれる。内側ラッピング部(2130)は、竿体の長手方向での内側ラッピング部(2130)の長さ(L1)が竿体の長手方向での取付足(1230)の長さ(L2)より短いように巻かれる片撚り糸(2120)からなる。また、内側ラッピング部(2130)は、片撚り糸(2120)の切断された先端部(2125)を固定するように構成される。内側ラッピング部(2130)を構成する片撚り糸は、張力によって伸長した状態で外側ラッピング部(2140)に繋がる。
【0076】
張力によって伸長する片撚り糸(2120)がまず竿体(1110)の外周面に巻かれる。片撚り糸の切断された先端部(2125)は、片撚り糸の1周巻き部(2122A)と外周面(1111)との間で張力によって固定される。また、内側ラッピング部(2130)では、片撚り糸(2120)は2周~5周の複数の巻き回数で竿体(1110)の外周面に巻かれており、隣接した2つの1周巻き部(2122C)の間に間隙(2131)が形成されるように巻かれている。内側ラッピング部(2130)に間隙(2131)が形成されるので、前述した被覆部の被覆材が間隙(2131)に侵入することができる。間隙(2131)に侵入した被覆材が取付足の内面(1232)と竿体の外周面(1111)との間に介在したまま硬化するので、釣糸ガイドの固定が安定することができる。
【0077】
外側ラッピング部(2140)は、内側ラッピング部(2130)から続き、張力によって伸長する片撚り糸(2120)からなる。外側ラッピング部(2140)は、内側ラッピング部(2130)、取付足(1230)の外面(1231)及び竿体の外周面(1111)のいずれにも多数の巻き回数で巻かれ、張力によって伸長した状態にある片撚り糸(2120)からなる。外側ラッピング部(2140)は、取付足(1230)の基端(1233)と先端(1234)にわたって形成され、取付足(1230)と竿体(1110)を包むように構成される。外側ラッピング部(2140)は、内側ラッピング部(2130)を覆い隠す。取付足(1230)は、外側ラッピング部(2140)により竿体の外周面(1111)に向かって圧迫される方式で、竿体(1110)に堅固に固定される。外側ラッピング部(2140)を形成する片撚り糸(2120)は、結び目によって外側ラッピング部(2140)に固定され得る。例えば、外側ラッピング部(2140)が形成された後、前記結び目によって外側ラッピング部(2140)に固定された片撚り糸の一部が外側ラッピング部から切断され、これにより、片撚り糸の切断された末端部は外側ラッピング部に固定され得る。
【0078】
図19を参照すると、張力によって伸長した片撚り糸(2120)からなるラッピング部(2100)で、外側ラッピング部(2140)は取付足の先端(1234)と竿体の外周面(1111)との間に先端部(2141)を有し得る。一例として、取付足の先端(1234)から竿体(1110)の外周面(1111)に沿って離隔する方向に先端部(2141)が0mm超え、2mm以下の長さ(L3)を有するように、先端部(2141)が片撚り糸(2120)により形成され得る。前述した通り、片撚り糸の切断された先端部(2125)は、内側ラッピング部(2130)に固定されている。従って、一実施例によると、片撚り糸(2120)は取付足の先端(1234)から竿体(1110)の外周面に所定の長さで巻かれる必要がない。即ち、図5に示すように、取付足の先端から竿体の外周面に沿って所定の巻き長さを有するように片撚り糸が竿体の外周面に直接巻かれる必要がない。これにより、一実施例のラッピング部は更に短い長さを有することができる。従って、被覆部を形成するための被覆材の塗布量が減少することができ、生産性が向上することができる。また、釣竿が軽量化されることができ、釣竿の撓り性が向上することができる。
【0079】
本開示の実施例による付属品固定具により、取付足を有する釣竿付属品が釣竿の竿体に堅固に固定されることができる。本開示によると、取付足と竿体を包むように構成されるラッピング部が取付足を竿体の外周面に堅固に固定することができる。ラッピング部は、張力によって伸長している片撚り糸の巻かれた物として形成される。伸長状態にある片撚り糸でラッピング部が形成された後、片撚り糸が切断される。切断された片撚り糸の末端部はラッピング部に固定され、取付足及び竿体を包むラッピング部が完成する。
【0080】
従って、本開示により、取付足を有する釣竿付属品を竿体に固定する付属品固定方法は、伸長状態にある片撚り糸を取付足の外面及び竿体の外周面に巻くことによって、取付足及び竿体を包むように構成されたラッピング部を形成する段階と、片撚り糸をラッピング部に固定することによって、ラッピング部を完成する段階を含む。本開示による付属品固定方法に関し、付属品の固定のために実行される工程の具体的な例を示す図20A図21Eを参照する。図20A図20Eは、ラッピング部が片撚り糸の1つの巻かれた物として形成される例を示す。図21A図21Eは、ラッピング部が片撚り糸の2つの巻かれた物として形成される例を示す。
【0081】
図20A図20Cを参照すると、張力によって片撚り糸(2120)を伸長させながら片撚り糸(2120)を取付足(1230)の外面(1231)と竿体(1110)の外周面に巻くことによって、取付足(1230)及び竿体(1110)を包むラッピング部が形成され得る。張力によって伸長する片撚り糸(2120)はつぶされて扁平な断面形状を有するので、片撚り糸の巻き作業が容易である。
【0082】
図20Aに示すように、釣糸ガイド(1200)(釣竿付属品の一例)が竿体(1110)の外周面に置かれ、片撚り糸(2120)の最初の部分(片撚り糸の切断された先端部(2125))は取付足(1230)に隣接して竿体(1110)の外周面に接触する。図20B及び図20Cに示すように、取付足(1230)が竿体(1110)の外周面に置かれた状態で、片撚り糸(2120)が取付足(1230)の外面(1231)及び竿体(1110)の外周面に多数の巻き回数で巻かれる。片撚り糸(2120)が切断された先端部(2125)を覆うように巻かれるので、片撚り糸の切断された端部が簡単に処理されることができる。また、図4Aに示すテープを用いる取付足の固定が不要である。
【0083】
片撚り糸(2120)は、片撚り糸の断面形状が厚さより大きい幅を有するように(図12参照)張力(TF)によって伸長しつつ、取付足(1230)の外面及び竿体(1110)の外周面に巻かれる。竿体(1110)と釣糸ガイド(1200)がともに回転することによって、または、竿体(1110)と釣糸ガイド(1200)が固定され、片撚り糸(2120)が竿体(1110)を中心として旋回することによって、片撚り糸(2120)が巻かれることができる。
【0084】
図20Cに示すように、ラッピング部(2100)を形成する段階は、片撚り糸の1周巻き部(2122A)と片撚り糸のもう1つの1周巻き部(2122B)が互いに対して角度を形成するように実行される。即ち、ラッピング部(2100)を形成するための片撚り糸(2120)の巻き作業は、片撚り糸が重なり又は交差の形態を有する不規則的な巻き形態で巻かれるように実行される。また、ラッピング部(2100)を形成する段階は、片撚り糸(2120)の巻き作業によってラッピング部(2100)内に前記重なり部と前記扁平外面部が形成されるように(図12参照)実行される。前記重なり部では、張力(TF)によって伸長している片撚り糸の隣接した2つの1周巻き部(2122C)が竿体の長手方向(LD)に沿って少なくとも部分的に重なっている。前記扁平外面部は、張力(TF)によって伸長している片撚り糸のそれぞれの1周巻き部の外面によって限定される。詳細には、前記扁平外面部は、張力によって伸長している片撚り糸の隣接した2つの1周巻き部(2122C)の外面によって部分的に限定される。
【0085】
また、図20Cに示すように、ラッピング部(2100)を形成する段階は、片撚り糸(2120)が張力(TF)によって伸長した状態で片撚り糸の1周巻き部(2122A)が前記扁平接触面(図12参照)を通じて取付足の外面及び竿体(1110)の外周面に面接触で接触するように実行される。
【0086】
図20B及び図20Cに示すように、伸長状態にある片撚り糸(2120)を巻く作業は、取付足(1230)の基端(1233)で始まり得る。片撚り糸(2120)は、第1進行方向(AD1)に進行しながら巻かれた後に、第2進行方向(AD2)に進行しながら巻かれ得る。
【0087】
他の例として、片撚り糸(2120)を巻く作業は、取付足(1230)の先端(1234)で始まることもできる。また、片撚り糸(2120)を巻く作業は、第1進行方向(AD1)と第2進行方向(AD2)のいずれか1つの進行方向のみに巻かれた後に完了することもできる。従って、ラッピング部(2100)を形成する段階は、第1進行方向(AD1)と第2進行方向(AD2)のいずれの進行方向にも、伸長状態の片撚り糸(2120)が巻かれるように実行されることができる。
【0088】
また、ラッピング部(2100)を形成する段階は、図17に示す先端部(2113)が形成されるように実行され得る。即ち、取付足(1230)が先端(1234)に、図17に示す垂直面が設けられる場合、片撚り糸(2120)は複数の層に巻かれて積層され、前記先端部(2113)を形成し得る。
【0089】
図20Dを参照すると、ラッピング部(2100)が張力によって伸長した片撚り糸(2120)で形成された後、片撚り糸(2120)がラッピング部(2100)に固定される。片撚り糸(2120)をラッピング部(2100)に固定する作業は、ラッピング部(2100)に片撚り糸の結び目を作ることで実行され得る。即ち、ラッピング部(2100)を完成する段階は、片撚り糸をラッピング部(2100)に結び目で固定させる段階を含む。
【0090】
片撚り糸(2120)を取付足と竿体に巻くときに、片撚り糸のそれぞれの1周巻き部は部分的に重なっている。片撚り糸(2120)に印加される張力を緩めても、片撚り糸(2120)が解けない。従って、張力を緩めた状態で、片撚り糸(2120)をラッピング部(2100)に結び目で固定してラッピング部(2100)を完成することができる。結び目から突出する片撚り糸の一部が切断され、これにより、片撚り糸の切断された末端部はラッピング部(2100)に固定されることができる。例えば、図20Dに示すように、片撚り糸(2120)を巻いてラッピング部(2100)が形成された後、片撚り糸(2120)に印加される張力を緩め、ラッピング部(2100)、または、取付足の基端(1233)、またはラッピング部(2100)及び取付足の基端(1233)を巻くことができる片撚り糸輪(2127)を作る。その後、片撚り糸を片撚り糸輪(2127)に通す。その後、片撚り糸輪(2127)を通過した片撚り糸が引っ張られ、片撚り糸輪(2127)が閉鎖される。これにより、片撚り糸がラッピング部(2100)に結び目で固定され、ラッピング部(2100)に形成される結び目は明確に観察されない。その後、前記結び目から突出する片撚り糸を切断する。これにより、図20Eに示すように、ラッピング部(2100)が完成し、片撚り糸の切断された末端部(図示せず)はラッピング部(2100)に固定される。
【0091】
図20Eに示すように、ラッピング部(2100)が完成した後、ラッピング部の扁平外面部(2112)をその全体にわたって合成樹脂材料で被覆することによって、図13図14に示す被覆部(2200)がラッピング部の扁平外面部(2112)を覆うように形成され得る。即ち、一実施例による付属品固定方法は、ラッピング部(2100)を完成した後、被覆部(2200)を形成する段階を含み得る。
【0092】
図20A図20Eに示す例は、更に少ない数の工程で釣竿の付属品を釣竿の竿体に固定することを例示する。従って、一実施例による付属品固定方法は、図4A図4Iに示す従来の工程の数より少ない数の工程で行われ得る。
【0093】
前述した片撚り糸の2つの巻かれた物からなるラッピング部を用いる付属品固定方法に関し、図21A図21Eを参照する。
【0094】
図21A図21Eを参照すると、片撚り糸の2つの巻かれた物からなるラッピング部を形成する段階は、内側ラッピング部(2130)を形成する段階と、取付足(1230)を竿体(1110)の外周面に仮固定する段階と、外側ラッピング部(2140)を形成する段階を含む。
【0095】
図21Aに示すように、片撚り糸(2120)を複数の巻き回数で竿体(1110)の外周面に巻く。張力(TF)によって片撚り糸(2120)が伸長した状態で、片撚り糸(2120)が竿体(1110)の外周面に巻かれる。この時、片撚り糸の最初の部分の一部が、片撚り糸の1周巻き部(2122A)により覆われるように、片撚り糸(2120)が竿体(1110)の外周面に巻かれる。これにより、片撚り糸の前記最初の部分の一部が固定される。
【0096】
図21Bに示すように、片撚り糸(2120)が複数の巻き回数(例えば、2周~5周)で竿体(1110)の外周面に巻かれれば、取付足の内面と竿体の外周面との間に間隙を形成する、内側ラッピング部(2130)が形成される。内側ラッピング部(2130)を形成するとき、片撚り糸(2120)は、隣接した2つの1周巻き部(2122C)の間に間隙(2131)が形成されるように巻かれる。また、内側ラッピング部(2130)での片撚り糸(2120)は、取付足の長さより短い長さで巻かれる。内側ラッピング部(2130)が形成された後、最外側の片撚り糸の1周巻き部から突出する片撚り糸の一部が刃物(12)により切断される。これにより、片撚り糸の切断された先端部(2125)が内側ラッピング部(2130)に固定される。このように、内側ラッピング部(2130)を形成する段階は、片撚り糸の切断された先端部(2125)が内側ラッピング部(2130)に固定されるように、且つ、片撚り糸の隣接した2つの1周巻き部(2122C)の間に間隙が形成されるように実行される。内側ラッピング部(2130)に間隙(2131)が形成されるので、前述した被覆材が間隙(2131)に侵入し、間隙(2131)に侵入した被覆材は取付足の下面と竿体の外周面との間に介在したまま硬化し得る。内側ラッピング部(2130)が形成された後、片撚り糸(2120)は内側ラッピング部(2130)から延長し続けている。
【0097】
図21Cに示すように、内側ラッピング部(2130)が形成された後、釣糸ガイドの取付足(1230)が内側ラッピング部(2130)を通じて竿体(1110)の外周面に置かれる。内側ラッピング部(2130)で片撚り糸の外面は、張力によって扁平である。従って、取付足(1230)が竿体の外周面に置かれるとき、釣糸ガイドのガタツキや傾きが起こらない。取付足(1230)が内側ラッピング部(2130)を通じて竿体の外周面に置かれた後、内側ラッピング部(2130)から続いており、張力(TF)によって伸長している片撚り糸(2120)が取付足(1230)の外面(1231)に巻かれる。これにより、釣糸ガイドの取付足(1230)が竿体(1110)の外周面に仮固定される。従って、一実施例によるラッピング部は、内側ラッピング部と外側ラッピング部との間に仮固定部(2114)を有し、仮固定部(2114)は、内側ラッピング部から続く片撚り糸の一部によって形成され、釣糸ガイドの取付足を竿体に仮固定するように構成される。釣糸ガイドを竿体に仮固定するとき、内側ラッピング部(2130)から続く片撚り糸は、取付足(1230)の基端、または、取付足(1230)の基端と先端との間の任意の地点に巻かれ得る。
【0098】
図21Dに示すように、取付足が竿体の外周面に仮固定された後、内側ラッピング部から続き、取付足を仮固定した片撚り糸(2120)を取付足の全領域(取付足の基端から先端まで)にわたって巻く。この時、片撚り糸(2120)は、張力(TF)によって伸長した状態で、内側ラッピング部、取付足の外面及び竿体(1110)の外周面に多数の巻き回数で巻くことによって巻かれる。これにより、内側ラッピング部、取付足の外面及び竿体の外周面を覆う外側ラッピング部(2140)が形成される。外側ラッピング部(2140)が前記内側ラッピング部を覆い隠すので、前記内側ラッピング部は露出しない。外側ラッピング部(2140)が形成される途中で、張力によって伸長する片撚り糸(2120)は、前述した不規則的な巻き形態で巻かれる。従って、外側ラッピング部(2140)には前述した重なり部及び前述した扁平外面部が形成される。
【0099】
図21A図21Eに例示する付属品固定方法によると、片撚り糸の切断された先端部は内側ラッピング部で固定され、1本の片撚り糸が張力によって伸長した状態で、まず内側ラッピング部を形成する。その後、内側ラッピング部から続く片撚り糸が張力によって伸長した状態で釣糸ガイドの取付足に巻かれることによって、釣糸ガイドを竿体に仮固定する。その後、釣糸ガイドを仮固定した片撚り糸が取付足と竿体に巻かれ、ラッピング部の外側ラッピング部を形成する。このように、1本の片撚り糸を用いて、内側ラッピング部と外側ラッピング部を含むラッピング部が形成される。即ち、一実施例による付属品固定方法で、内側ラッピング部を形成する段階、取付足を仮固定する段階、及び、外側ラッピング部を形成する段階は、張力によって伸長した状態にある1本の片撚り糸を用いて実行される。内側ラッピング部は、外側ラッピング部により覆い隠されるだけでなく、取付足は竿体の外周面とともに外側ラッピング部の片撚り糸によって巻かれる。
【0100】
一実施例によると、ラッピング部の外側ラッピング部の先端と取付足の先端間の距離が非常に短いか、ほとんどないように、ラッピング部の外側ラッピング部が形成され得る。即ち、外側ラッピング部(2140)を形成する段階は、図19に示す先端部(2141)が取付足の先端と竿体の外周面との間に形成されるように実行され得る。一例として、外側ラッピング部(2140)を形成する段階で、取付足の先端から竿体の外周面に沿って離隔する方向に0mm超え、2mm以下の長さを有する先端部(2141)が片撚り糸によって外側ラッピング部に形成されるように、片撚り糸が取付足の先端付近に巻かれ得る。前述した通り、片撚り糸の切断された先端部は内側ラッピング部に固定されるので、片撚り糸は取付足の先端から竿体(1110)の外周面に所定の長さで巻かれる必要がない。従って、外側ラッピング部を含むラッピング部は、更に短い長さを有することができる。
【0101】
図21Eに示すように、外側ラッピング部(2140)が形成された後、片撚り糸(2120)をラッピング部の外側ラッピング部(2140)に固定することによって、外側ラッピング部と内側ラッピング部からなるラッピング部が完成する。従って、一実施例による付属品固定方法で、ラッピング部を完成する段階は、外側ラッピング部(2140)の片撚り糸(2120)を外側ラッピング部(2140)に固定し、外側ラッピング部(2140)から突出する片撚り糸を切断する段階を含む。これにより、片撚り糸の切断された末端部は外側ラッピング部に固定されることができる。このように外側ラッピング部が完成した後、ラッピング部(2100)の前記扁平外面部(即ち、外側ラッピング部に形成される扁平外面部)をその全体にわたって合成樹脂材料で被覆することによって、図13図14に示す被覆部(2200)が前記扁平外面部を覆うように形成され得る。即ち、一実施例による付属品固定方法は、外側ラッピング部(2140)を完成した後、被覆部(2200)を形成する段階を含み得る。
【0102】
図22A図22Cは、片撚り糸によって外側ラッピング部が形成された後、外側ラッピング部を完成する工程の一例を示す。張力によって伸長している片撚り糸を取付足と竿体に巻くときに、片撚り糸の1周巻き部と、もう1つの1周巻き部は部分的に重なる。従って、片撚り糸に印加される張力を緩めても、巻かれた片撚り糸が解けない。従って、片撚り糸に印加される張力を緩めた状態で片撚り糸を固定させることができる。図22Aを参照すると、片撚り糸(2120)を巻いて外側ラッピング部(2140)を形成した後、片撚り糸(2120)に印加される張力を緩め、外側ラッピング部(2140)内の片撚り糸に片撚り糸輪(2127)を作る。その後、図22Bを参照すると、片撚り糸輪(2127)に片撚り糸(2120)を通す。その後、片撚り糸(2120)を引っ張って、片撚り糸輪(2127)を閉鎖させる。これにより、片撚り糸(2120)が外側ラッピング部(2140)に固定されることができる。図22Cを参照すると、外側ラッピング部(2140)から突出する片撚り糸の一部を刃物(12)で切断し、これにより、片撚り糸の切断された末端部は、外側ラッピング部(2140)内に位置して固定される。図22A図22Cに示す片撚り糸の固定方式は、オーバーハンドノット(overhand knot)またはハーフヒッチノット(half hitch knot)のような結び目方式であり得る。このように、片撚り糸の切断された末端部が外側ラッピング部(2140)に固定され、外側ラッピング部と内側ラッピング部を含むラッピング部が完成し得る。図22A図22Cに示す片撚り糸の固定方式は、図20Dに示す片撚り糸の1つの巻かれた物からなるラッピング部を完成するために用いられることもできる。
【0103】
他の実施例として、外側ラッピング部を完成する段階は、糸輪を用いて片撚り糸を外側ラッピング部に固定するように実行され得る。これと関連し、片撚り糸によって外側ラッピング部が形成された後、外側ラッピング部を完成する工程のもう1つの例を示す、図23A図23Dを参照する。
【0104】
図23Aに示すように、外側ラッピング部(2140)を完成するために、糸輪(13)が、既に巻かれている片撚り糸と、まだ巻かれていない片撚り糸との間に挿入される。その後、糸輪(13)を覆うように片撚り糸(2120)を複数の巻き回数でさらに巻く。次に、図23Bに示すように、片撚り糸(2120)を糸輪(13)に通す。次に、図23Cに示すように、片撚り糸(2120)を掴んでいる糸輪(13)を外側ラッピング部(2140)から引っ張って取り出す。これにより、片撚り糸の一部(2128)は、片撚り糸によって覆われた状態で外側ラッピング部(2140)から突出する。次に、図23Dに示すように、外側ラッピング部(2140)から突出する片撚り糸の一部(2128)が刃物(12)で切断され、外側ラッピング部(2140)が完成する。また、刃物(12)で切断された片撚り糸の最後の部分が片撚り糸の切断された末端部(2126)となり、片撚り糸の切断された末端部(2126)は外側ラッピング部(2140)内に固定される。図23A図23Dに示す片撚り糸の固定方式は、図20Dに示すラッピング部を完成するために用いられることもできる。
【0105】
図21Bに示す工程は、内側ラッピング部(2130)から突出する片撚り糸の一部を切断することを例示する。他の実施例として、内側ラッピング部を形成するとき、片撚り糸の最初の部分の一部を切断する工程は省略され得る。これと関連し、図21Aに示す工程と類似の工程を示す図24を参照する。
【0106】
図24を参照すると、片撚り糸(2120)を竿体(1110)の外周面に巻き、片撚り糸の切断された先端部(2125)(片撚り糸の最初の部分)を固定する内側ラッピング部(2130)が形成される。片撚り糸(2120)には張力(TF)が印加されるので、片撚り糸(2120)はつぶされて扁平な断面形状を有し、片撚り糸(2120)は竿体(1110)の外周面に広い接触面積で接触する。従って、片撚り糸の最初の部分(切断された先端部(2125))が片撚り糸によって覆われるように片撚り糸(2120)を切断された先端部(2125)に重ねて巻くことによって、片撚り糸の切断された先端部(2125)は解けずに固定されることができる。従って、片撚り糸の最初の部分の一部を切断する必要がない。片撚り糸(2120)を重ねるように巻いても、巻かれた片撚り糸(2120)の外面は張力により扁平である。従って、釣糸ガイドの取付足を竿体(1110)の外周面上に位置させるときに、釣糸ガイドのガタツキや傾きのような問題を引き起こさない。
【0107】
図25は、一実施例による付属品固定方法によって釣糸ガイドを釣竿の竿体に固定させるために片撚り糸を巻く作業を例示する。図25を参照すると、釣竿付属品(例えば、釣糸ガイド(1200))の取付足が竿体(1110)の外周面に置かれた状態で、片撚り糸(2120)を用いて釣糸ガイド(1200)を竿体(1110)の外周面に固定させる。竿体(1110)の一端は回転体(21)にクランピングされており、複数の支持ローラ(22)により支持され得る。回転体(21)が矢印(WD1)の方向に回転するに伴って、竿体(1110)は釣糸ガイド(1200)とともに回転する。竿体(1110)の回転により、片撚り糸(2120)が竿体(1110)と釣糸ガイド(1200)の取付足に巻かれる。張力(TF)が片撚り糸(2120)に印加される。作業者が指で片撚り糸(2120)を引っ張るに伴って、片撚り糸(2120)に張力(TF)が印加されて維持され得る。片撚り糸(2120)への張力を印加する例が図25に示す例に限定されるわけではなく、片撚り糸(2120)を放出するように構成された機構によって片撚り糸(2120)に張力が印加されることもできる。竿体(1110)は、支持ローラ(22)の代わりにV溝を有する支持台上に支持されることもできる。図25に示す例とは異なり、竿体(1110)が支持台上に固定された状態で、片撚り糸(2120)が竿体(1110)に対して旋回しながら、片撚り糸(2120)が竿体(1110)に、または、竿体(1110)及び釣糸ガイド(1200)の取付足に巻かれることもできる。
【0108】
釣竿のチップ側に配置される竿体は大きい程度に撓むことができる。釣竿のチップ側に配置される竿体に付属品を固定する工程でこのような竿体を回転させれば、竿体は遠心力により大きく揺れる。チップ側に配置される竿体に巻糸を規則的な巻き形態で巻く作業は、作業者の高度な熟練度を必要とする。しかし、一実施例の付属品固定方法によると、チップ側に配置される竿体に釣竿付属品を片撚り糸を用いて固定させることができ、片撚り糸を不規則的な巻き形態で巻くことができる。また、チップ側に配置される竿体に片撚り糸を巻くために補助具が用いられることができる。図26図28は、補助具を用いる付属品固定方法の実施例を示す。
【0109】
図26を参照すると、釣竿の竿体(1120)は釣竿のチップ側に配置される。竿体(1120)の先端には、竿体(1120)から突出するように釣糸ガイド(1200)が固定される。釣糸ガイド(1200)を竿体(1120)に固定するために、前述した実施例のように、片撚り糸(2120)が釣糸ガイド(1200)の取付足と竿体(1120)に巻かれ、これにより、片撚り糸(2120)からなるラッピング部が形成される。また、片撚り糸(2120)を放出するように構成された補助具(2300)が片撚り糸(2120)を巻くために用いられる。竿体(1120)は回転せず、補助具(2300)が片撚り糸(2120)を張力によって伸長させながら、竿体(1120)を中心として旋回する。これにより、張力によって伸長した片撚り糸(2120)からなり、釣糸ガイド(1200)の取付足と竿体(1120)を包むように構成されたラッピング部が形成される。即ち、一実施例による付属品固定方法において、ラッピング部を形成する段階は、片撚り糸(2120)を放出するように構成された補助具(2300)を用いて実行され得る。
【0110】
補助具(2300)を矢印(WD2)で示した通り、竿体(1120)を中心として旋回させながら、片撚り糸(2120)が不規則的な巻き形態で巻かれる。補助具(2300)により、竿体(1120)は揺れることなく片撚り糸(2120)で巻かれることができる。作業者は掌で補助具(2300)を握ることができ、補助具(2300)を引っ張ることによって片撚り糸(2120)に張力を印加することができる。補助具(2300)が用いられるので、作業者は繊細な操作ができない。しかし、張力によって伸長する片撚り糸(2120)が不規則的な巻き形態で巻かれるので、作業者に繊細な操作が要求されず、竿体(1120)及び釣糸ガイド(1200)に片撚り糸(2120)を巻く作業が補助具(2300)により容易に実行され得る。補助具(2300)により片撚り糸(2120)が巻かれた状態で、作業者が補助具(2300)を離す場合、補助具(2300)の自重により片撚り糸(2120)の巻き状態が解けない。
【0111】
補助具(2300)は、図20A図21Eに示す、ラッピング部を形成する諸般の工程で用いられることができる。また、補助具(2300)は、竿体(1120)の先端に釣糸ガイドを固定するために、且つ、竿体(1120)の任意の地点に釣糸ガイドを固定するために用いられることができる。また、補助具(2300)は、前述した釣竿のチップ側に配置される竿体(1120)への使用に限定されず、釣竿の他の竿体に釣竿付属品を固定するために用いられることができる。
【0112】
図27図26に示す補助具の斜視図であり、図28図26に示す補助具の分解斜視図である。図27及び図28を参照すると、一実施例による補助具(2300)は、ヨーク形状のフレーム(2310)と、フレーム(2310)の一端に配置され、片撚り糸(2120)が巻かれたり解けたりするスプール(2320)と、スプール(2320)をフレーム(2310)に回転可能に結合させるための軸部(2330)と、軸部(2330)の端部とフレーム(2310)に結合される軸受部(2340)を有する。ガイドリング(2350)がフレーム(2310)の他端に結合される。片撚り糸(2120)は、スプール(2320)からガイドリング(2350)を通過して補助具(2300)の外部に放出される。ガイドリング(2350)は、セラミック材料からなり、片撚り糸(2120)の傷つきを防止する。軸部(2330)と軸受部(2340)は螺合する。軸部(2330)と軸受部(2340)の螺合により、スプール(2320)の挟持圧力が緩和されることができ、片撚り糸(2120)の張力が調整されることができる。
【0113】
本開示の実施例による付属品固定具と付属品固定方法によって竿体に固定される釣竿付属品(例えば、釣糸ガイド)の固定力を確認するための試験が行われた。下記表1は、固定力確認試験の結果を示す。下記表1で、試験1の試験例1と比較例1は、同一の直径の竿体と、同一のサイズの釣糸ガイドに関する。下記表1で、試験2の試験例2と比較例2は、試験1での竿体とは異なる直径を有する竿体と、試験1での釣糸ガイドのサイズとは異なるサイズを有する釣糸ガイドに関する。試験例1と試験例2は、一実施例により片撚り糸を用いて釣糸ガイドを竿体に固定する例を意味する。試験例1と試験例2での片撚り糸は、張力によって伸長した状態で不規則的な巻き形態で取付足と竿体に巻かれている。比較例1と比較例2は、諸撚り糸を用いて釣糸ガイドを竿体に固定する例を意味する。比較例1と比較例2での諸撚り糸は、規則的な巻き形態で取付足と竿体に巻かれている。各試験は、片撚り糸が取付足と竿体に巻かれた後、被覆部が形成された状態と、諸撚り糸が取付足と竿体に巻かれた後、被覆部が形成された状態で行われた。
【0114】
【表1】
【0115】
上記表1から、試験例1及び試験例2で、付属品と竿体間の固定力(取付足固定強度)は、比較例1及び比較例2での固定力と差が見られないことを確認することができる。
【0116】
以上、一部の実施例と添付の図面に示す例により、本開示の技術的思想が説明されたものの、本開示が属する技術分野で通常の知識を有する者が理解し得る本開示の技術的思想及び範囲を逸脱しない範囲で、多様な置換、変形及び変更がなされ得るという点を知るべきである。また、そのような置換、変形及び変更は、添付の請求の範囲内に属するものと考えられるべきである。
【符号の説明】
【0117】
1000 釣竿、1110 竿体、1111 竿体の外周面、1120 竿体、1200 釣糸ガイド、1230 取付足、1231 外面、1232 内面、1233 基端、1234 先端、2000 付属品固定具、2100 ラッピング部、2111 重なり部、2112 扁平外面部、2113 先端部、2120 片撚り糸、2122A 1周巻き部、2122B もう1つの1周巻き部、2122C 隣接した2つの1周巻き部、2123 扁平接触面、2124 扁平外面、2125 片撚り糸の先端部、2126 片撚り糸の末端部、2130 内側ラッピング部、2131 間隙、2140 外側ラッピング部、2141 外側ラッピング部の先端部、2200 被覆部、2300 補助具、2320 スプール、T 片撚り糸の断面形状の厚さ、W 片撚り糸の断面形状の幅、TF 張力、AD1 第1進行方向、AD2 第2進行方向。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図4I
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20A
図20B
図20C
図20D
図20E
図21A
図21B
図21C
図21D
図21E
図22A
図22B
図22C
図23A
図23B
図23C
図23D
図24
図25
図26
図27
図28