(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-20
(45)【発行日】2023-03-29
(54)【発明の名称】レンズ決定方法およびこれを利用する装置
(51)【国際特許分類】
A61B 3/00 20060101AFI20230322BHJP
A61B 34/10 20160101ALI20230322BHJP
A61F 2/14 20060101ALI20230322BHJP
【FI】
A61B3/00
A61B34/10
A61F2/14
A61B3/00 ZDM
(21)【出願番号】P 2021538439
(86)(22)【出願日】2019-08-27
(86)【国際出願番号】 KR2019010960
(87)【国際公開番号】W WO2021040078
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2021-09-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521285414
【氏名又は名称】ビジュウォクス
【氏名又は名称原語表記】VISUWORKS
【住所又は居所原語表記】4Th Floor, 5, Seocho-daero 78-gil, Seocho-gu, Seoul 06620 Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】キム ジンク
(72)【発明者】
【氏名】リュウ イクヒ
【審査官】▲高▼木 尚哉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/021561(WO,A1)
【文献】特開2019-130192(JP,A)
【文献】特開2018-149449(JP,A)
【文献】FINDL Oliver et al.,Analysis of nonlinear systems to estimate intraocular lens position after cataract surgey,Journal of Cataract & Refractive Surgery,Volume 30, Issue 4,2004年04月30日,page 863-866
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00
A61B 34/10
A61F 2/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサによって実行される
ICL挿入手術のための
有水晶体眼内レンズ(ICL)を決定する方法であって、
手術予定者の検査データを取得する段階
であって、前記手術予定者の検査データは前記手術予定者のATA(angle-to-angle)距離又は前記手術予定者のWTW(white-to-white)距離の少なくとも1つを含む段階と、
取得された検査データに基づいて、前記手術予定者の眼球に挿入される
ICLのサイズを
反映する値を計算する段階であって、前記計算は、前記取得された前記手術予定者の検査データをレンズ決定モデルに入力することを含む段階と、を含み、
前記レンズ決定モデルは、過去に
ICL挿入手術を受けた手術者の複数の検査データおよび前記手術者の眼球に挿入された
ICLの複数のサイズデータを基に学習し、
前記手術者の複数の検査データのそれぞれは、前記複数のサイズデータのそれぞれに
対応し、
前記手術者の複数の検査データのそれぞれは、ATA距離又はWTW距離の少なくとも1つを含む、方法。
【請求項2】
前記計算は、前記手術予定者の検査データに基づいて導出された前記
ICLサイズの精度の信頼性を計算することと、計算された信頼性をユーザーに提供することとをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記手術予定者の検査データが前記ATA距離を含んでいないが前記WTW距離を含む場合、前記WTW距離から前記ATA距離を推定する段階をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記方法は、前記取得された検査データに基づいて、前記ICLのレンズ度数を計算する段階をさらに含み、前記レンズ度数を計算する前記段階は、前記取得された前記手術予定者の検査データを前記レンズ決定モデルに入力することを含み、
前記レンズ決定モデルは、過去にICL挿入手術を受けた手術者の複数の検査データおよび前記手術者の切開データを基に学習する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記取得された前記手術予定者の検査データは、前記手術予定者の眼球から測定された屈折異常、乱視軸、及び乱視方向パラメータからなる群から選択された少なくとも1つをさらに含み、
前記レンズ度数は、さらに前記手術予定者のICL挿入手術の角膜切開プロセスにおいて予想される切開データを前記レンズ決定モデルに入力することによって、計算される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記取得された前記手術予定者の検査データを前記レンズ決定モデルに入力するとき、前記手術予定者の目標視力が導出されるためのレンズ度数、及び、前記手術予定者のICL挿入手術の角膜切開プロセスにおいて予想される切開データを計算する、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記ICL挿入手術の角膜切開プロセスにおいて、前記手術者の切開データは、角膜切開方法、角膜切開位置、角膜切開方向及び/又は角膜切開程度、コマの位置、角膜乱視、水晶体乱視、近視と乱視の比率からなる組から選択された少なくとも1つを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法を実行するためのプログラムが記録されているコンピュータ読取可能な記録媒体。
【請求項9】
手術予定者の検査データを保存するためのメモリー
であって、取得された前記手術予定者の検査データは前記手術予定者のATA(angle-to-angle)距離又は前記手術予定者のWTW(white-to-white)距離の少なくとも1つを含むメモリーと、
プロセッサと、を含み、
前記プロセッサは、
保存された前記手術予定者の検査データを前記メモリーから取得し、
取得された前記手術予定者の検査データ
をレンズ決定モデルに入力して、前記手術予定者の眼球に挿入されるICLのサイズを反映する値を計算するように構成され、
前記レンズ決定モデルは、過去に
ICL挿入手術を受けた手術者の複数の検査データおよび前記手術者の眼球に挿入された
ICLの複数のサイズデータを基に学習し、
前記手術者の複数の検査データのそれぞれは、前記複数のサイズデータのそれぞれに
対応し、
前記手術者の複数の検査データのそれぞれは、ATA距離又はWTW距離の少なくとも1つを含む、ICL挿入手術のための
有水晶体眼内レンズ(ICL)を決定するための装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の実施例はレンズ挿入手術に利用されるレンズを決める方法およびこれを利用する装置に関する。具体的には、人工知能を利用してレンズ挿入手術に利用されるレンズを決める方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
屈折異常により低下した裸眼視力を校正する手術方法の一つである眼球内へのレンズ挿入手術は、水晶体を有する正常状態の眼球に屈折障害を校正するために考案された特殊レンズを挿入することである。
【0003】
従来技術は、レンズ挿入手術を行うとき、レンズメーカーにより提供されるプログラムを利用してレンズを選択するが、これは手術予定者の基本的な眼球関連数値のみを入力データとして使用するだけであり、手術予定者の眼球の特性を考慮せずにレンズサイズおよび度数を決める。レンズメーカーにより提供されるプログラムは一般的に単純な公式を基に制作されているが、このような公式では単純に手術予定者の基本的な眼球関連数値のみが入力データとして使用される。その結果、手術予定者は不適切なサイズおよび度数のレンズを挿入することで、白内障、緑内障などの副作用が多く発生してレンズを摘出するなどの再手術を行う必要があるとの問題点が存在する。
【0004】
最近ではレンズ挿入手術に関連して、副作用の予防および視力の質の向上のために様々な研究が行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
1つの課題として、機械学習を利用して、レンズ挿入手術の手術予定者の眼球特性に合う挿入レンズに関する情報を提供することに関する。
【0006】
1つの課題として、人工知能を利用したレンズ決定補助システムおよびプロセスを提供することである。
【0007】
1つの課題として、レンズ挿入手術の手術予定者各自の眼球特性を考慮して手術予定者により適合するレンズを決めて、レンズ挿入手術の副作用の発生可能性を低くして視力の質を向上することを提供する。
【0008】
技術的課題は上述の課題に制限されず、言及していない課題は、本明細書および図面から本発明における当業者にとって明確に理解されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施例によれば、機械学習を利用して学習されたレンズ決定モデルを通じてレンズ挿入手術の際に手術予定者の眼球内へ挿入されるレンズを決める方法を提供することができる。
【0010】
技術的解決方法は上述の解決手段に制限されず、言及していない解決手段は、本明細書および図面から本発明における当業者にとって明確に理解されるべきである。
【発明の効果】
【0011】
一実施例によれば、レンズ挿入手術の手術予定者の眼球に適合するレンズサイズおよび度数のレンズを決めることによって、手術後の副作用の発生を最小化することができる。
【0012】
一実施例によれば、レンズ挿入手術の手術予定者の眼球に適合するレンズサイズおよび度数のレンズを決めることによって、レンズ挿入手術の再手術を防止することができる。
【0013】
発明の効果は上述した効果に制限されず、言及されていない効果は、本明細書および図面から本発明における当業者にとって明確に理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】レンズ挿入手術のとき、レンズが挿入される位置を説明する図である。
【
図2】一実施例によるレンズ決定補助システムを示す図である。
【
図3】他の一実施例によるレンズ決定補助システムを示す図である。
【
図4】他の一実施例によるレンズ決定補助システムを示す図である。
【
図5】サーバーを利用するレンズ決定補助システムを図式化した図である。
【
図6】サーバー装置とクライアント装置の間の関係を示す図である。
【
図7】一実施例によるレンズ決定モデルを示す図である。
【
図8】一実施例によるレンズ決定補助プロセスに対する図である。
【
図9】一実施例によるレンズサイズ決定モジュールに対する図である。
【
図10】一実施例によるレンズ挿入手術の副作用に対して説明するための図である。
【
図11】一実施例によるレンズサイズ決定プロセスに対する図である。
【
図12】レンズサイズを決める一実施例を示す図である。
【
図13】レンズサイズを決める一実施例を示す図である。
【
図14】レンズサイズを決める他の一実施例を示す図である。
【
図15】レンズサイズを決める他の一実施例を示す図である。
【
図16】レンズサイズを決める更なる他の一実施例を示す図である。
【
図17】レンズサイズ決定モデルの複数のサブモデルを図式化した図である。
【
図19】一実施例によるボールト値予測モジュールに対する図である。
【
図20】一実施例によるボールト値予測プロセスに対する図である。
【
図21】ボールト値を予測する一実施例を示す図である。
【
図22】ボールト値を予測する他の一実施例を示す図である。
【
図23】一実施例によるレンズ度数決定モジュールに対する図である。
【
図24】一実施例によるレンズ度数決定プロセスに対する図である。
【
図25】手術予定者の角膜切開過程で発生する1つの例を説明するための図である。
【
図26】レンズ度数を決める一実施例を示す図である。
【
図27】レンズ度数を決める他の一実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
一実施例による機械学習を利用するレンズ挿入手術のとき、眼球内へ挿入されるレンズを決める方法は、手術予定者の複数の検査データを取得する段階と、前記取得された手術予定者の複数の検査データをレンズ決定モデルに入力し、複数のレンズサイズのうち前記手術予定者の眼球に挿入されるレンズのサイズを決める段階と、を含む。前記レンズ決定モデルは、前記レンズ挿入手術の際に眼球内へ挿入されるレンズを決めるための公式とは異なり、過去にレンズ挿入手術を受けた手術者の検査データおよび前記手術者の眼球内への挿入が適用されるレンズのサイズ情報を基に学習されることができる。
【0016】
一実施例による機械学習を利用するレンズ挿入手術のとき、眼球内へ挿入されるレンズを決める方法は、手術予定者の複数の検査データを取得する段階と、前記取得された手術予定者の複数の検査データをレンズ決定モデルに入力し、複数のレンズサイズのうち前記手術予定者の眼球に挿入されるレンズのサイズを決める段階と、を含む。前記レンズ決定モデルは、前記レンズ挿入手術の際に眼球内へ挿入されるレンズを決めるための公式とは異なり、過去にレンズ挿入手術を受けた手術者の検査データおよび前記手術者の眼球内への挿入が適用されるレンズのサイズ情報を基に学習されることができる。
【0017】
前記手術予定者の複数の検査データは第1データおよび第2データのうちいずれか一つを含み、前記レンズ決定モデルに入力して決められるレンズサイズの正確度を高める入力データの優先順位は前記第1データが前記第2データより高いこともある。
【0018】
前記レンズサイズを決める段階において、前記手術予定者の検査データは前記第1データを含まず、前記第2データを含む場合にも、前記第2データを前記レンズ決定モデルに入力して前記手術予定者の眼球に挿入されるレンズサイズを決めるものの、前記手術予定者の検査データが前記第1データを含む場合に決められるレンズサイズの正確度は、前記手術予定者の検査データが前記第1データではない前記第2データを含む場合に決められるレンズサイズの正確度より高いこともある。
【0019】
前記レンズサイズを決める段階において、前記手術予定者の検査データにより導出されるレンズサイズの正確度に対する信頼度を算出し、前記算出された信頼度を使用者に提示して前記レンズサイズを決めることができる。
【0020】
一実施例によるレンズ決定方法は、前記手術予定者の検査データが、前記第1データを除いて前記第2データまたはそれ以外のデータを含む場合、前記第2データまたはそれ以外のデータから前記第1データを推定する段階を更に含む。前記推定する段階において、前記第1データが前記レンズ決定モデルに入力される場合に導出されたレンズサイズに対する正確度は、前記第2データが前記レンズ決定モデルに入力される場合に導出されたレンズサイズに対する正確度より高いこともある。
【0021】
前記手術予定者の複数の検査データのうち前記第1データは、レーザーおよび/または高周波数超音波を利用してATA(Anterior Chamber Angle)、ACD-epi(Anterior Chamber Depth)、ACD-endo、CCT(Central Corneal Thickness)、CLR(crystalline lens rise)、WTW、Axial Length、BUT、紅彩の間の距離測定、レンズが入る空間の大きさの値が取得され、前記第2データは、一般眼科検診を利用して取得されることができる。
【0022】
前記レンズサイズを決める段階において、前記手術予定者の眼球に挿入されるレンズのサイズは予め決められた複数のレンズサイズのうちいずれか一つのレンズサイズにより決められることができる。
前記レンズサイズを決める段階において、予め決められた複数のレンズサイズではなく、前記検査データを前記レンズ決定モデルに入力して導出される非規格化されたレンズサイズのうちいずれか一つのレンズサイズにより決められることができる。
【0023】
一実施例によるレンズ決定方法は、前記取得された手術予定者の検査データをレンズ決定モデルに入力して複数のレンズ度数のうち前記手術予定者の眼球に挿入されるレンズ度数を決める段階を更に含む。前記レンズ度数を決める段階は、前記レンズ決定モデルにより決められるレンズが前記手術予定者の眼球に挿入される場合、前記手術予定者の目標視力が導出されるように前記レンズ度数が決められ、前記レンズ決定モデルは過去にレンズ挿入手術を受けた手術者の検査データおよび前記手術者の切開情報を基に学習されることができる。
【0024】
前記取得された手術予定者の検査データは、前記手術予定者の眼球から測定されたジオプトリー、乱視軸、乱視方向パラメーターを含む。前記レンズ決定モデルに前記手術予定者の検査データおよび前記手術予定者のレンズ挿入手術の角膜切開過程で予想される切開情報を入力して、前記手術予定者の目標視力に適合するレンズ度数を決めることができる。
【0025】
前記レンズ決定モデルに前記手術予定者の検査データが入力される場合、前記手術予定者の目標視力が導出されるようにするレンズ度数および前記手術予定者のレンズ挿入手術の角膜切開過程で予想される切開情報が決められることができる。
【0026】
前記切開情報は、前記レンズ挿入手術の角膜切開過程で、角膜切開方法、角膜切開位置、角膜切開方向および/または角膜切開程度、コマの位置、角膜乱視および水晶体の乱視、近視および乱視の比率のうち少なくともいずれか一つを含む情報であってもよい。
【0027】
一実施例による機械学習を利用するレンズ挿入手術のとき、眼球内へ挿入されるレンズを決める装置は、手術予定者の複数の検査データを保存するメモリーと、プロセッサと、を含む。前記プロセッサは、前記メモリーに保存される前記手術予定者の複数の検査データを取得し、前記取得された手術予定者の複数の検査データをレンズ決定モデルに入力して、複数のレンズサイズのうち前記手術予定者の眼球に挿入されるレンズのサイズを決める。前記レンズ決定モデルは、前記レンズ挿入手術の際に眼球内へ挿入されるレンズを決めるための公式とは異なり、過去にレンズ挿入手術を受けた手術者の検査データおよび前記手術者の眼球内挿入が適用されるレンズのサイズ情報を基に学習されることができる。
【0028】
一実施例によるレンズ挿入手術における手術予定者の眼球に挿入されるレンズの後面と水晶体の前面の間の距離を示すボールト値を予測する方法は、前記手術予定者の複数の検査データおよび少なくとも一つのレンズサイズをボールト値予測モデルに入力する段階と、前記ボールト値予測モデルから前記少なくとも一つの入力されたレンズサイズそれぞれに対応する前記ボールト値を予測する段階と、を含む。前記ボールト値予測モデルは、過去にレンズ挿入手術を受けた手術者の複数の検査データ、前記手術者の眼球に挿入されたレンズサイズおよび前記手術者の手術後に測定されたボールト値を基に学習されることができる。
【0029】
前記ボールト値は、前記レンズ挿入手術の手術予定者の眼球に挿入されるレンズの後面と水晶体の前面の間の複数の距離のうち最短距離により定義されることができる。
【0030】
前記ボールト値を予測する段階は、前記予測されたボールト値が予め決められた範囲の条件を満たすか否かにより、前記入力されたレンズサイズが前記手術予定者の眼球に挿入されるレンズの適否に対する情報を提供する段階を含んでもよい。
【0031】
前記予測されたボールト値が予め決められた範囲の条件を満たす場合、前記入力されたレンズサイズが前記手術予定者の眼球に挿入されるレンズとして適合するとの情報を提供し、前記予測されたボールト値が前記予め決められた範囲の条件を満たさない場合、前記入力されたレンズサイズが前記手術予定者の眼球に挿入されるレンズとして非適合するとの情報を提供することができる。
【0032】
前記予め決められた範囲の条件は前記予測されたボールト値が250ないし750μm内に含まれるのを満たすことができる。
【0033】
一実施例によるレンズ挿入手術における手術予定者の眼球に挿入されるレンズの後面と水晶体の前面の間の距離を示すボールト値を予測する方法は、前記手術予定者の複数の検査データをボールト値予測モデルに入力する段階と、前記手術予定者の複数の検査データを入力して前記ボールト値予測モデルから前記手術予定者の眼球に適合した予想レンズサイズおよび前記予想レンズサイズそれぞれに対応する前記ボールト値を予測する段階と、を含む。前記ボールト値予測モデルは、前記レンズ挿入手術の過去手術を受けた患者の複数の検査データ、前記患者の眼球に挿入されたレンズサイズおよび前記患者の手術後に測定されたボールト値を基に学習されることができる。
【0034】
前記手術予定者の眼球に適合する予想レンズサイズは、予め決められた複数のレンズサイズのうちいずれか一つを選択することを含んでもよい。
【0035】
前記手術予定者の眼球に適合する予想レンズサイズは、予め決められた複数のレンズサイズでなく、非規格化されたレンズサイズのうちいずれか一つを選択することを含んでもよい。
【0036】
一実施例によるレンズ挿入手術における手術予定者の眼球に挿入されるレンズの後面と水晶体の前面の間の距離を示すボールト値を予測する装置は、手術予定者の複数の検査データを保存するメモリーとプロセッサを含む。前記プロセッサは、前記手術予定者の複数の検査データおよび少なくとも一つのレンズサイズをボールト値予測モデルに入力し、前記ボールト値予測モデルから前記少なくとも一つの入力されたレンズサイズそれぞれに対応する前記ボールト値を予測する。前記ボールト値予測モデルは、過去にレンズ挿入手術を受けた手術者の複数の検査データ、前記手術者の眼球に挿入されたレンズサイズおよび前記手術者の手術後測定されたボールト値を基に学習されることができる。
【0037】
以下では図面を参照して本発明の具体的な実施例を詳細に説明する。ただし、本発明の思想は提示される実施例に制限されず、本発明の思想を理解する当業者は同じ思想の範囲内で他の構成要素を追加、変更、削除等を通して、退歩的な他の発明や本発明の思想の範囲内に含まれる他の実施例を容易に提案できるが、これも本願発明の思想の範囲内に含まれるべきである。
【0038】
また、各実施例の図面に示される同じ思想の範囲内の機能が同じ構成要素は同じ符号を用いて説明する。
【0039】
1.用語の定義
(1)レンズ挿入手術
レンズ挿入手術は屈折異常により低下された裸眼視力を校正する手術方法の中の一つであり、水晶体を有する正常状態の目に屈折障害を校正するために考案された特殊レンズを挿入する手術である。
【0040】
図1はレンズ挿入手術の際にレンズが挿入される位置を説明する図である。レンズ挿入手術の種類は、Co(角膜)とI(紅彩)の間にレンズを挿入する前方レンズ挿入手術と、紅彩裏面と水晶体の間の空間にレンズを挿入する後方レンズ挿入手術を有する。
図1を参照すれば、後方レンズ挿入手術はIN1(第1レンズ挿入部)位置にレンズが挿入され、前方レンズ挿入手術はIN2(第2レンズ挿入部)位置にレンズが挿入される。以下では、説明の便宜のために、別名ICL(Implantable Collamer Lens)とも呼ばれる後方レンズ挿入手術を中心に本発明を説明する。しかし、これに制限されず、本発明が前方レンズ挿入手術に適用されることはもちろんである。
【0041】
(2)レンズ
本明細書において、レンズはレンズ挿入手術に利用される案内レンズを意味することで、眼球表面に着用するハードレンズおよびソフトレンズとは区別される。
【0042】
レンズに関する情報はレンズサイズとレンズ度数に関する情報を含んでもよい。レンズサイズは複数のレンズサイズを有してもよい。レンズ度数は複数のレンズ度数を有してもよい。また、レンズの決定という表現は複数のレンズサイズおよび複数のレンズ度数の組合せのうちいずれか一つを決めることを意味する。
【0043】
(3)レンズ決定モデル
レンズ決定モデルは人工知能を利用して眼球内へ挿入される案内レンズを決めるアルゴリズムおよび/またはモデルを意味する。以下で説明するレンズ決定モデルは、入力データとして手術予定者の検査データを、前記モデルを通じて入力すれば、前記入力データに対応する出力データにより手術予定者の眼球内へ挿入するレンズ情報を導出できるモデルである。以下では、レンズ決定モデルの構成、生成プロセスおよび判断プロセスなどを詳しく記述する。
【0044】
(4)学習
学習は学習データおよびラベリング(labeling)データまたはラベリングされていなデータを基にレンズ決定モデルに対して学習させて、レンズ決定モデルが入力データに対して出力データを決めさせる過程を言う。すなわち、レンズ決定モデルが前記データに対して規則を形成して判断することである。
【0045】
レンズ決定モデルは学習データを通じて学習されることができる。レンズ決定モデルに学習させる意味はモデルが持っている加重値(weight)を調整することを意味する。
【0046】
学習方法は、教師あり学習(supervised learning)、教師なし学習(unsupervised learning)、強化学習(reinforcement learning)、模倣学習(imitation learning)等の様々な方法が存在する。
【0047】
2.レンズ決定補助システム
2.1.レンズ決定補助システムの構成
図2は一実施例によるレンズ決定補助システム(1)を示す図である。
図2を参照すれば、レンズ決定補助システム(1)は手術予定者の眼球内に挿入されるレンズに関する情報のうち、レンズサイズを導出するレンズサイズ決定モジュール(1000)と、レンズサイズの決定を補助するボールト値予測モジュール(2000)と、レンズ度数を導出するレンズ度数決定モジュール(3000)を含んでもよい。
【0048】
レンズ決定補助システム(1)は、レンズサイズ決定、ボールト値予測、およびレンズ度数を決める機能を実行することができる。具体的に、レンズ決定補助システム(1)は、機械学習を通じて学習されたレンズ決定モデルを利用してレンズサイズ決定、ボールト値予測、およびレンズ度数を決めることができる。
【0049】
もちろん、
図2におけるレンズ決定補助システム(1)は、レンズサイズ決定モジュール(1000)、ボールト値予測モジュール(2000)、およびレンズ度数決定モジュール(3000)を全て含んで示されているが、これに対して限定されるのではなく、場合により、レンズ決定補助システムは、レンズサイズ決定モジュール、ボールト値予測モジュール、およびレンズ度数決定モジュールのうち少なくとも一つを含むこともできる。
【0050】
また、レンズサイズ決定モジュール(1000)、ボールト値予測モジュール(2000)、およびレンズ度数決定モジュール(3000)は、一つの装置により具現されてもよく、それぞれ異なる装置により具現されてもよい。例えば、レンズ決定補助システム(1)からレンズサイズを導出するレンズサイズ決定モジュールがいずれか一つの装置により具現される場合、手術予定者の眼球内へ挿入されるレンズのサイズ情報のみを取得することができる。
【0051】
または、レンズ決定補助システム(1)において、レンズサイズ決定モジュール、ボールト値予測モジュールおよびレンズ度数決定モジュールのうち少なくとも2つ以上のモジュールは、互いに連動して具現されてもよい。例えば、手術予定者の眼球内へ挿入されるレンズサイズ情報を取得するために、レンズサイズ決定モジュールとボールト値予測モジュールを組合せて、挿入されるレンズサイズと共に予測されるボールト値または導出するように連動して具現されてもよい。以下では、レンズ決定補助システムの各モジュールを一つずつ説明する。
【0052】
図3は、レンズ決定補助システム(1)の学習装置(11)および決定補助装置(21)の構成を示す図である。一実施例において、レンズ決定補助システム(1)は学習装置(11)および決定補助装置(21)を含んでもよい。
【0053】
学習装置(11)はレンズ決定モデルに対して学習させることができる。具体的に、学習装置(11)は学習データを基にレンズ決定モデルに対して学習させることができる。学習装置(11)は様々な学習方法でレンズ決定モデルを学習させることができる。例えば、学習装置(11)は教師あり学習、教師なし学習、強化学習、模倣学習などの方法によりレンズ決定モデルを学習させることができる。学習装置(11)は学習データに対してラベリング(labeling)されたデータを提供して、レンズ決定モデルを学習させることができる。ただし、必ずラベリングされたデータを利用するのではなく、ラベリングされていないデータを利用することもできる。
【0054】
決定補助装置(21)は、学習装置(11)から学習したレンズ決定モデルを受信して利用することができる。具体的に、決定補助装置(21)は、学習されたレンズ決定モデルを利用して手術予定者の眼球内へ挿入されるレンズ決定のために補助情報を出力することができる。具体的に、決定補助装置(21)は、手術予定者の検査データなどの入力データが入力されれば、前記手術予定者の眼球内へ適合するレンズ情報を出力することができる。決定補助装置(21)は、出力されたレンズ情報を通じて、使用者がレンズ挿入手術の手術予定者の眼球内へ挿入されるレンズを決めることができる。
【0055】
レンズ情報はレンズサイズ、ボールト値予測値、レンズ度数などに関する情報であってもよい。
【0056】
学習装置(11)により学習データを利用して学習されたレンズ決定モデルは、決定補助装置(21)に伝達されることができる。もちろん、
図3では学習装置(11)と決定補助装置(21)を分離して示しているが、これに限定されるのではなく、場合により、学習装置(11)および決定補助装置(21)は分離して具現されてもよく、分離されずに一つで具現されてもよい。一例で、決定補助装置は、学習装置と同じ装置であってもよく、別途の装置であってもよい。
【0057】
図4は学習装置および/または決定補助装置の構成を示す図である。
図4を参照すれば、学習装置および/または決定補助装置は、メモリー部(31)、制御部(33)および通信部(35)を含むことができる。
【0058】
学習装置および/または決定補助装置は制御部(33)を含むことができる。制御部(33)は、学習装置および/または決定補助装置動作を制御することができる。制御部(33)はメモリー部(31)に保存されたシステムプログラムおよび様々なプロセッシングプログラムを判読することができる。
【0059】
制御部(33)は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、GPU(Graphic Processing Unit)、一つ以上のマイクロ・プロセッサおよび他の予め決められた論理により入力されたデータを処理できる電子部品の中の一つ以上を含むことができる。
【0060】
学習装置および/または決定補助装置は、メモリー部(31)を含むことができる。メモリー部(31)は学習に必要なデータおよび学習モデルを保存することができる。メモリー部(31)は手術予定者の検査データを保存することができる。
【0061】
メモリー部(31)は、学習データ、ラベリングデータ、ラベリングされていないデータ、入力データ、出力データなどを保存することができる。
【0062】
メモリー部(31)は、非揮発性半導体メモリー、ハードディスク、フラッシュメモリ、RAM、ROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)または他にタンジブル(tangible)の非揮発性の記録媒体などで具現されてもよい。
【0063】
メモリー部(31)は、各種プロセッシングプログラム、プログラムのプロセッシングを実行するためのパラメーターまたはこのようなプロセッシング結果データなどを保存することができる。
【0064】
学習装置および/または決定補助装置は、通信部(35)を更に含むことができる。通信部(35)は外部装置と通信を行う。通信部(35)は有線または無線通信を行う。通信部(35)は両方向または単方向の通信を行うことができる。
【0065】
学習装置および/または決定補助装置はプロセッサ、揮発性メモリー、非揮発性メモリー、大容量保存装置および通信インターフェースを含むことができる。プロセッサは学習装置および/または決定補助装置を通じてレンズ決定モデルの学習を実行できる。
【0066】
図5は、サーバーを利用するレンズ決定補助システムを図式化した図である。
図5を参照すれば、レンズ決定補助システムは、複数のクライアント装置とサーバー装置を含むことができる。以下において、複数のクライアント装置中、第1クライアント装置を例示的に説明するが、これは第2クライアント装置でも同じく動作を行うことができる。
【0067】
第1クライアント装置(51)はサーバー装置(40)から情報を要求し、これに応答して転送されたレンズ決定補助に対する情報を取得でき、サーバー装置(40)からレンズ決定補助情報を要求することができる。
【0068】
第1クライアント装置(51)はレンズ決定に必要なデータを取得し、決定補助装置から取得されたデータを伝送することができる。
【0069】
第1クライアント装置(51)は、スマートフォン、タブレットPCなどの携帯用デバイスであってもよい。
【0070】
サーバー装置(40)はレンズ決定モデルを保存および/または駆動することができる。サーバー装置(40)は、学習されたレンズ決定モデルを構成する加重値を保存することができる。サーバー装置(40)は、レンズ決定補助に利用されるデータを収集および/または保存することができる。
【0071】
サーバー装置(40)は、レンズ決定モデルを利用したレンズ決定補助プロセスの結果を、第1クライアント装置(51)へ出力することができる。サーバー装置(40)は第1クライアント装置(51)からフィードバックを取得することができる。
【0072】
一実施例において、第1クライアント装置(51)は、サーバー装置(40)からレンズ決定モデルを取得し、取得したレンズ決定モデルを駆動することができる。この場合、第1クライアント装置(51)は、入力データをサーバー装置(40)に提供しなくても、レンズ決定モデルを駆動してレンズ決定補助に対する情報を取得することができる。
【0073】
サーバー装置(40)は、第1レンズ決定補助情報を取得する第1クライアント装置(51)および/または第2レンズ決定補助情報を取得する第2クライアント装置(52)と通信することができる。
【0074】
図6はサーバー装置(40)とクライアント装置(50)の間の関係を図式化した図である。
図6を参照すれば、サーバー装置(40)は、クライアント装置(50)と通信部を通じて通信を実行することができる。通信部は有線または無線通信を実行できる。通信部は両方向または単方向の通信を実行できる。クライアント装置(50)は、通信部を通じてサーバー装置(40)と通信を行うことができる。
【0075】
一実施例において、クライアント装置(50)から手術予定者の入力データをサーバー装置へ伝送すれば、サーバー装置(40)から学習されたレンズ決定モデルを利用して手術予定者の眼球内へ挿入されるレンズに関する情報を受信することができる。
【0076】
一実施例において、クライアント装置(50)の制御部(53)はメモリー部(51)から入力データを取得し、取得された入力データは通信部(55)を通じてサーバー装置(40)の通信部(45)へ転送される。また、サーバー装置(40)の制御部(43)は、メモリー部(41)に保存されたレンズ決定モデルに入力データを入力して結果値を取得し、取得された結果値は通信部(45)を利用してクライアント装置(50)の通信部(55)へ転送されることができる。
【0077】
2.2レンズ決定モデル
図7はレンズ決定モデルの構成を示す図である。
図7を参照すれば、レンズ決定モデル(100)は、レンズサイズ決定モデル(110)、ボールト値予測モデル(120)、およびレンズ度数決定モデル(130)を含むことができる。
【0078】
もちろん、
図7において、レンズ決定モデル(100)は、レンズサイズ決定モデル(110)、ボールト値予測モデル(120)およびレンズ度数決定モデル(130)を全て含んで示されているが、これに限定されるのではなく、場合により、レンズ決定モデル(100)は、レンズサイズ決定モデル、ボールト値予測モデルおよびレンズ度数決定モデルのうち少なくとも一つを含んでもよい。
【0079】
一実施例において、レンズ決定モデル(100)はレンズサイズ決定およびレンズ度数決定モデルを含んでもよく、レンズサイズ決定モデルおよびボールト値予測モデルを含んでもよい。
【0080】
また、レンズ決定モデル(100)は、一つの装置により具現されてもよく、それぞれ異なる装置により具現されてもよい。例えば、レンズ決定モデルがレンズサイズ決定モデルおよびボールト値予測モデルを含む場合、各モデルは互いに連動されて一つの装置により具現されることができる。または、レンズ決定モデル(100)がレンズサイズ決定モデルおよびレンズ度数決定モデルを含む場合、レンズサイズ決定モデルはレンズ度数決定モデルと独立してそれぞれ異なる装置で具現されることができる。
【0081】
図8はレンズ決定補助プロセスに対する図である。
図8を参照すれば、レンズ決定補助プロセスは、大きくレンズ決定モデルを学習させる学習段階(S100)と、学習されたレンズ決定モデルを利用してレンズ決定モデルを実行する決定段階(S200)に分けて考慮することができる。
【0082】
図8を参照すれば、学習段階(S100)は学習データを利用してレンズ決定モデルを学習させるプロセスであってもよい。また、学習段階(S100)は学習装置によって実行されることができる。
【0083】
一実施例によれば、学習段階(S100)は、学習データを取得し、取得されたデータからレンズ決定モデルを学習させることができる。すなわち、学習段階(S100)は、レンズ決定モデルを生成する過程であり、レンズ決定モデルの生成により、レンズ決定モデルを構成するモデルパラメーターを取得することができる。一例において、モデルパラメーターにはレンズ決定モデルを学習させて調整された加重値などを含むことができる。
【0084】
一実施例において、学習データは過去レンズ挿入手術を受けた手術者の複数の検査データ、前記手術者の眼球内への挿入が適用されたレンズ情報(レンズサイズおよびレンズ度数)、手術パラメーターおよび前記手術者の手術後に測定されたボールト値データを含むことができる。
【0085】
また、学習データのうち検査データは過去レンズ挿入手術を受けた手術者が眼球測定関連の複数の検査装置から取得した検査データを含むことができる。
【0086】
一実施例において、学習データのうちレンズ情報は過去レンズ挿入手術を受けた手術者の眼球に挿入されたレンズサイズおよび/またはレンズ度数などを含む。この場合、前記レンズ情報は、前記過去レンズ挿入手術を受けた手術者においてレンズ挿入手術の後の副作用が発生しなかった場合、前記手術者の眼球に挿入されたレンズサイズおよび/またはレンズ度数などを含む。もちろん、実施例により、前記レンズ情報は、前記過去レンズ挿入手術を受けた手術者においてレンズ挿入手術の後に副作用が発生した場合、前記手術者の眼球に挿入されたレンズサイズおよび/またはレンズ度数などを含む。
【0087】
また、学習データのうち手術パラメーターは、過去にレンズ挿入手術を受けた患者の角膜切開過程での角膜切開情報に関してもよい。一例において、手術パラメーターは、角膜切開方法、角膜切開位置、角膜切開程度などを含んでもよい。
【0088】
一実施例において、学習データのうち、ボールト値データは、レンズ挿入手術の手術予定者の眼球内へ挿入されるレンズの後面と水晶体の前面の間の距離を示す値を意味し、過去にレンズ挿入手術を受けた患者を対象に測定されたボールト値データを意味する。
【0089】
レンズ決定モデルは、学習データに基づいてレンズ情報を出力するモデルであってもよい。レンズ決定モデルは、レンズ情報を計算する複数の学習アルゴリズム(learning algorithm)から少なくともいずれか一つが選択されることができる。例えば、アルゴリズムは、ロジステック回帰(logistic regression)、K近傍法(K-Nearest Neighbors)、サポートベクターマシン(Support Vector Machine)、決定木(Decision Tree)等であってもよい。
【0090】
レンズ決定モデルは、予測される値を計算する複数の学習アルゴリズムのうち多数の学習アルゴリズムを使用することができる。例えば、レンズ決定モデルにアンサンブル学習(ensemble method)を使用し、学習アルゴリズムを別途に使用する場合に比べて更によい予測性能を得ることができる。
【0091】
レンズ決定モデルは、レンズ情報を生成する分類器(classifier)の形態で具現されてもよい。分類器は二重分類または複数の分類を実行できる。
【0092】
レンズ決定モデルは、レンズ情報を導出すために、回帰(regression)の形態で具現されてもよい。回帰法は線形回帰法、ロジステック回帰法等でもよい。
【0093】
一実施例において、学習段階(S100)は、任意の加重値が付与されたモデルを利用して結果値(出力データ)を取得し、取得された結果値(出力データ)を学習データのラベリングデータと比較し、その誤差により逆電波を実行して、加重値を最適化することによって実行される。
【0094】
図には示さなかったが、学習段階(S100)は、学習されたレンズ決定モデルの性能を評価する評価段階を含むことができる。評価段階において、レンズ決定モデルは評価データセットを利用して評価されることができる。レンズ決定モデルの評価は、前記学習段階によって学習されたレンズ決定モデルを評価し、レンズ決定モデルを利用して新しいデータに対する予測を行う段階である。具体的に、評価段階は学習されたレンズ決定モデルが新しいデータに対する一般化(generalization)が可能か否かを測定する段階である。
【0095】
また、レンズ決定モデルの学習段階(S100)において、学習データセットと評価データセットは区分される。ここで、学習データセットは、学習段階の学習過程で利用される学習データの集合を意味し、評価データセットは、評価段階の評価過程で利用される評価データの集合を意味する。この場合、レンズ決定モデルを学習させるために用いる学習データセットは、レンズ決定モデルの評価段階で使用されないことがある。
【0096】
また、
図8を参照すれば、決定段階(S200)は、学習段階でモデルパラメーターを取得して学習されたレンズ決定モデルを利用することができる。具体的に、決定段階(S200)は、手術予定者の検査データなどの入力データを取得した後、学習されたレンズ決定モデルを利用して手術予定者の眼球内へ挿入されるレンズに関する情報(結果値)を取得する。また、決定段階(S200)は、決定補助装置によって実行される。
【0097】
入力データは、レンズ挿入手術の手術予定者の複数の検査データなどを含むことができる。
【0098】
結果値は、手術予定者の眼球内へ挿入されるレンズに関する情報を含むことができる。レンズに関する情報は、レンズサイズ、レンズ度数、ボールト値予測値などを含むことができる。以下では、レンズサイズ決定、ボールト値予測およびレンズ度数決定に対して詳しく説明する。
【0099】
3.レンズサイズの決定
3.1.レンズサイズ決定モジュールの構成
図9は、レンズサイズ決定モジュール(1000)の構成を示す図である。一実施例において、レンズサイズ決定モジュール(1000)は、入力データから手術予定者の眼球内に挿入されるレンズサイズを出力することができる。
【0100】
図9を参照すれば、レンズサイズ決定モジュール(1000)は、入力部(1100)、レンズサイズ決定部(1300)、出力部(1500)を含むことができる。
【0101】
入力部(1100)は、データベースから入力データを取得できる。ここで、入力データは手術予定者の複数の検査データであってもよい。
【0102】
具体的に、入力部(1100)は、データベースと直接連結して入力データを取得することができる。それだけではなく、入力部(1100)は、サーバーまたは他の外部装置から入力データを受信して取得できる。
【0103】
入力データは手術予定者の検査データであってもよい。入力データは複数のパラメーターを含んでもよい。具体的に、入力データは、同一または他の検査装置から取得されたそれぞれ異なるパラメーターを示す検査データを含んでもよく、他の測定装備から取得された同一のパラメーターを示す検査データを含んでもよい。
【0104】
また、入力データは同一時点で測定された検査データを含み、それぞれ異なる時点で測定された検査データを含んでもよい。
【0105】
入力データは、同一の検査装置から取得された同一および/または他のパラメーターであってもよく、他の検査装置から取得された同一および/または他のパラメーターであってもよい。
【0106】
また、入力データは一つまたは複数であってもよい。各入力データにおいて、結果値(手術予定者の眼球内へ挿入されるレンズサイズ)に影響を及ぼす程度が異なる。一実施例において、各入力データはパラメーターを含み、入力データに含まれるパラメーターの種類によって、入力データが結果値に影響を及ぼす程度が変わる。ここで、パラメーターは手術予定者の眼球の特性を示すために定義されることで、数値的に表されることができる。例えば、前記パラメーターは、前方角の間の距離を示すATA(angle to angle distance)、ACD(Anterior Chamber Depth)-epi、ACD-endo、CCT(Central Corneal Thickness)、CLR(Crystalline Lens Rise)、WTW(White to white)、AL(Axial Length)、角膜曲率、屈折異常度(近視、乱視、遠視程度)、瞳孔の大きさ、眼圧、視力、角膜形、角膜厚さ、眼球長さ、レンズ挿入空間などのパラメーターを含むことができる。
【0107】
手術予定者は視力矯正術のうち、レンズ挿入手術を選択して手術を行う予定である人を含むことができる。手術予定者は、レンズ決定補助システムから出力されたレンズ情報を利用してレンズ挿入手術を行う予定である人であってもよい。そして、使用者は、レンズ決定補助システムを利用して手術予定者の眼球内へ挿入されるレンズ情報を取得する人であってもよい。例えば、レンズ挿入手術を行う医師、レンズメーカーなどを含むことができる。
【0108】
複数の検査データは、眼球を測定する複数の検査装置から取得できるデータであってもよく、複数の眼球関連パラメーターを含んでもよい。
【0109】
また、検査データは問診データを含むことができる。具体的に、手術予定者のレンズ挿入手術を行った後、望む目標視力などを含むことができる。
【0110】
また、検査データは角膜に対する測定データであってもよい。例えば、角膜形、角膜の対称性、角膜厚さ測定データ、角膜構造断層撮影データ、角膜形態分析データ、角膜曲率、角膜内皮細胞検査データなどを含むことができる。
【0111】
また、検査データは視力および/または屈折に対する測定データであってもよい。例えば、過去着用したメガネ度数データ、視力検査、屈折異常度(近視、乱視、遠視程度)等を含むことができる。
【0112】
また、検査データは眼球内での距離などに対する測定データであってもよい。具体的に、瞳孔の大きさ、眼球長さ、レンズが挿入される空間の距離などを含むことができる。
【0113】
また、検査データは眼球疾患および/または保有疾患に対するデータであってもよい。例えば、網膜疾患、緑内障、網膜変成などの有無に対するデータ、白内障、紅彩後面の疾患などを含むことができる。
【0114】
また、検査データは網膜に対する測定データであってもよい。例えば、眼底網膜写真撮影などを含むことができる。
【0115】
また、検査データは、一つまたは複数の装置から測定できる。
【0116】
もちろん、複数の検査データは、眼球を測定する複数の装置から取得されたデータのみに限らない。他にも様々なデータを含むことができる。例えば、眼球関連遺伝子、血液などの検査データを含むことができる。
【0117】
レンズサイズ決定部(1300)は、手術予定者の複数の検査データなどと同じの入力データを入力すれば、手術予定者の眼球に適合するレンズサイズを決めることができる。ここで、適合するレンズサイズは、手術予定者にレンズ挿入手術を行う際の副作用が生じる可能性を最小化するレンズサイズを意味する。レンズサイズ決定部(1300)の具体的な動作は
図11により詳細に説明する。
【0118】
一実施例において、レンズサイズ決定部(1300)は、手術予定者の検査データにより導出されるレンズサイズの正確度に対する信頼度を算出することができる。前記信頼度に対する情報は、予め保存されまたは外部から供給されることができる。例えば、複数の検査装置のうち、第1装置の結果値に対する信頼度が90%で、第2装置の結果値に対する信頼度が80%であることを含む情報は、予め保存された外部装置を通じて受信することができる。一実施例において、レンズサイズ決定モデル(110)は、学習段階で予め保存された信頼度を基に手術予定者の検査データにより導出されるレンズサイズの正確度に対する信頼度を算出することができる。例えば、第1装置により測定された検査データを利用する場合、出力されたレンズサイズの正確度に対する信頼度が90%であることを算出でき、出力部(1500)を通じて使用者に提示することができる。
【0119】
出力部(1500)はレンズサイズ決定部(1300)を通じて取得されたレンズサイズを使用者に出力することができる。一実施例で、出力部(1500)は出力データを視覚的に画面に出力するディスプレイを供給することができる。また、出力部(1500)は、イメージ、テキストなどの様々な形式で出力することができる。
【0120】
出力部(1500)は、レンズサイズ決定部(1300)を通じて手術予定者の眼球内へ挿入されるレンズサイズに対する情報(出力データ)を出力することができる。
【0121】
出力部(1500)は、レンズサイズ決定モデルの学習方法により、規格化されたレンズサイズを出力することができる。
【0122】
一実施例によれば、レンズサイズ決定モデルが分類器(classifier)の形態で表される場合、出力部は規格化されたレンズサイズを出力することができる。規格化されたレンズサイズは既成のレンズサイズであってもよい。既成のレンズサイズは予め一定の規格の通り作られたサイズであってもよい。例えば、規格化されたレンズサイズは、12.1mm、12.6mm、13.2mm、13.7mmであってもよい。より詳細な説明は、以下の目次3.3で行う。ただし、これに制限されず、レンズサイズ決定モデルが回帰(regression)の形態で表される場合、出力部は非規格化されたレンズサイズを出力することができる。規格化されたレンズサイズとは異なり、非規格化されたレンズサイズは、予め決められた範囲からいずれか一つ選択されたものではなく、レンズサイズの数値自体を意味することであり、出力部は、前記レンズサイズの数値を出力できる。これについては目次3.3で詳細に説明する。
【0123】
図10は、レンズ挿入手術の副作用に対して説明するための図である。
図10を参照すれば、
図10(a)および(c)は、レンズ挿入手術の後に、非適合レンズサイズが挿入されたものを示し、
図10(b)は、レンズ挿入手術で適合レンズサイズが挿入されたものを示している。また、Iは紅彩、La、Lb、Lcは眼球内へ挿入されたレンズ、Cは水晶体を示す。
【0124】
レンズ挿入手術の副作用は、手術予定者の眼球の特性を考慮せず、適していないレンズサイズのレンズを用いて手術を行うことによって発生する。例えば、
図10の(a)を参照すると、手術予定者の眼球にはレンズサイズがLaであるレンズが挿入されることがある。この場合、手術予定者の眼球の特性を考慮せず、小さいレンズサイズを選択して挿入することで、レンズと水晶体の間に摩擦が起きて水晶体が損傷して白内障を誘発する恐れがある。また、
図10の(c)を参照すると、手術予定者の眼球にはレンズサイズがLcであるレンズが挿入されることがある。この場合、手術予定者の眼球の特性を考慮せず、大きいレンズサイズを選択して挿入することで、Lcの末端が水晶体と紅彩の間に挟まって、房水の流れを阻止して緑内障を誘発する恐れがある。
【0125】
そのため、レンズ挿入手術では、副作用が発生する可能性を最小化させるレンズサイズが手術予定者の眼球特性を考慮して決められなければならない。一実施例において、
図10の(b)を参照すれば、Lbは手術予定者の眼球の特性を考慮したことで、手術予定者の眼球に適合するレンズサイズである。LbはCとの間で摩擦が起きないサイズであり、Iとの間でも適切な間隔を維持する位置に挿入されることで、副作用を発生する可能性が最小化されたレンズサイズである。
【0126】
このように、手術予定者の眼球の特性を考慮して眼球内へ挿入されるレンズと水晶体、紅彩およびレンズ挿入空間の大きさなどを考慮したレンズサイズを挿入することで、副作用が発生する可能性を最小化させることができる。
【0127】
3.2.レンズサイズ決定プロセス
図11は、レンズサイズ決定プロセス(S1000)の順序を示す図である。
図11を参照すれば、レンズサイズ決定プロセス(S1000)は、手術予定者の複数の検査データなどの入力データを取得する段階(S1100)、レンズサイズ決定モデルを利用してレンズサイズを導出する段階(S1300)を含んでもよい。前記レンズサイズ決定プロセス(S1000)は、
図2により記述されたレンズサイズ決定モジュール(1000)により実行されることができる。
【0128】
具体的に、入力データを取得する段階(S1100)において、入力データは、手術予定者の眼球測定関連の複数の検査装置から取得される複数の検査データであってもよい。一実施例で、眼球測定関連の複数の検査装置は、レーザーおよび/または高周波数超音波を利用して測定する検査装置であってもよい。例えば、UBM(ultrasound biomicroscopy)、OCT(optical coherence tomography)等を含むことができる。
【0129】
一実施例において、前記複数の検査データは
図9に示されたパラメーターを含むことができる。具体的に、複数の検査データは、角膜曲率、屈折異常度(近視、乱視、遠視程度)、瞳孔の大きさ、眼圧、視力、角膜形、角膜厚さ、眼球長さ、レンズ挿入空間、ATA(Anterior Chamber Angle),ACD(Anterior Chamber Depth)-epi、ACD-endo、CCT(Central Corneal Thickness)、CLR(Crystalline Lens Rise)、WTW(White to white)、AL(Axial Length)、BUT、紅彩の間の距離の測定などのパラメーターを含むことができる。
【0130】
レンズサイズは、取得された入力データからレンズサイズ決定モデルを利用して導出されることができる。
【0131】
また、一実施例で、入力データに含まれるパラメーターの種類によって、結果値に影響を及ぼす程度が異なるため、入力データごとに結果値が異なることができる。
【0132】
更なる他の一実施例において、各入力データは少なくとも一部の同じパラメーターを含むが、これはそれぞれ異なる検査装置によって導出されることができる。それぞれ異なる検査装置から同じパラメーターを導出したとしても、表す数値が異なることができる。これは、各検査装置によりパラメーターを測定する方法および原理などが異なるためである。例えば、UBM検査装置から取得されたAパラメーター(ここで、Aパラメーターは任意のパラメーターを表す)は、OCT検査装置から取得されたAパラメーターと同じ機能を実行するパラメーターまたはこれを表す数値が異なる。このように、検査装置により測定されるパラメーターの正確度が異なるため、入力データが結果値に影響を及ぼす程度が異なっている。
【0133】
また、各パラメーターまたは同じパラメーターでもいかなる検査装置から出力されたパラメーターにより結果値に影響を及ぼす程度が異なり、それによって、入力データの間の優先順位が変わることがある。
【0134】
結果値に対する正確度を高めるために、加重値は、優先順位が高いパラメーターまたは優先順位が高い検査装置から導出されたパラメーターに対して高くなることがある。
【0135】
一実施例において、入力データは優先順位データを含んでもよい。優先順位データは、入力データに含まれるパラメーターの種類によって優先順位が決まることがある。例えば、レンズサイズの導出に影響を及ぼす程度が大きい第1パラメーターを含む場合、前記入力データは第1優先順位データであり得る。レンズサイズの導出に影響を及ぼす程度が第1パラメーターより小さい第2パラメーターを含む場合、前記入力データは第2優先順位データであり得る。説明の便宜のために第1優先順位データ、第2優先順位データのみを説明したが、これに制限されるものではなく、複数の優先順位データを含み得る。
【0136】
一実施例において、第1優先順位データが含まれる入力データを利用してレンズサイズを決める場合、第1レンズサイズが導出されることがあり、第2優先順位データが含まれる入力データを利用してレンズサイズを決めた場合、第2レンズサイズが導出されることがある。例えば、結果値の正確度に対する確率は、第1レンズサイズが第2レンズサイズより高いこともある。この時、手術予定者が第1レンズサイズで手術する場合、第2レンズサイズで手術する場合より副作用の発生が少なくなる可能性がある。
【0137】
一実施例において、レンズサイズ導出段階(S1300)では、入力データに第1優先順位データが含まれず、第2優先順位データが含まれる場合、レンズサイズ決定部は第2優先順位データを利用してレンズサイズを導出することができる。
【0138】
一実施例において、入力データは第1優先順位データが必須的に含まれてもよい。これは結果値に対する正確度を保障するためである。
【0139】
学習段階(S100)において、レンズサイズ決定モデルは、第1優先順位データおよび第2優先順位データが共に学習されることもり、それぞれ学習されることもある。一実施例によれば、第1優先順位データおよび第2優先順位データが共に学習される場合、レンズサイズ導出段階(S1300)で、第1優先順位データおよび第2優先順位データのうちいずれか一つが使用され得る。他の一実施例によれば、第1優先順位データのみが学習される場合、レンズサイズ導出段階(S1300)で、第1優先順位データのみが使用され得、第2優先順位データのみ学習される場合、レンズサイズ導出段階(S1300)で、第2優先順位データのみが使用され得る。もちろん、これに限定されることなく、一実施例により第1優先順位データのみ学習されてもレンズサイズ導出段階(S1300)で、第2優先順位データが使用でき、第2優先順位データのみ学習されてもレンズサイズ導出段階(S1300)で、第1優先順位データが使用されることもある。
【0140】
3.3.実施例
図12および
図13は、レンズサイズを決める一実施例を示す図である。すなわち、
図12および
図13では、
図11に記載された段階S1300をより詳細に説明する。
図12および
図13を参照すれば、一実施例で、レンズサイズ決定モデルは分類器(classifier)を含んで示されることができる。
【0141】
一実施例において、分類器は決定木(decision tree)、サポートベクターマシン(support vector machine)、ランダムフォレスト(random forest)等の種類のアルゴリズムを利用することができる。これは一例にすぎず、これに限定されるものではない。
【0142】
一実施例においてレンズサイズ決定モジュール(1000)は、レンズサイズ決定モデル(110)に入力データを入力して、レンズサイズ決定モデル(110)からレンズサイズを導出することができる。レンズサイズ決定モデル(110)は分類器(classifier)を含み、分類器は、予め決められた値を有するレンズサイズのうちのいずれか一つを決めることができる。
【0143】
また、手術予定者の入力データから分類器を含んで示されているレンズサイズ決定モデルを利用して、規格化されたレンズサイズを取得することができる。分類器は手術予定者の入力データから手術予定者の眼球内へ挿入される一つのレンズサイズを決めることができる。
【0144】
また、規格化されたレンズサイズは既成のレンズサイズであってもよい。既成のレンズサイズは予め一定の規格で製造されたサイズであってもよい。一実施例において、手術予定者の入力データから、分類器で示されたレンズサイズ決定モデルを利用して規格化されたレンズサイズ、例えば、12.1mm、12.6mm、13.2mm、13.7mmうちの一つである12.6mmのレンズサイズを決めることができる。
【0145】
図14および
図15はレンズサイズを決める他の一実施例を示す図である。すなわち、
図14および15でも
図11により記載された段階S1300をより詳細に説明する。
図14および
図15を参照すれば、一実施例で、レンズサイズ決定モデルは回帰(regression)モデルを含んで示されてもよい。
【0146】
一実施例において、回帰モデルは、線形回帰(linear regression)、回帰木(regression tree)、サポートベクター回帰(support vector regression)、カーネル回帰(kernel regression)等の種類のアルゴリズムを利用することができる。これは一例にすぎず、これに限定されるものではない。
【0147】
一実施例において、レンズサイズ決定モジュール(1000)は、レンズサイズ決定モデル(110)に入力データを入力して、レンズサイズ決定モデル(110)からレンズサイズを導出することができる。レンズサイズ決定モデル(110)は、回帰モデル(regression)を含み、回帰モデルは予め決められた値、または予め決められた値ではないレンズサイズのうちのいずれか一つを決めることができる。
【0148】
また、手術予定者の入力データは、回帰モデルを含んで示されたレンズサイズ決定モデルを利用して規格化および/または非規格化されたレンズサイズを取得することができる。回帰モデルは、手術予定者の入力データから手術予定者の眼球内へ挿入されるレンズサイズに対する確率を導出することができる。最も高い確率で導出されたレンズサイズは、手術予定者の眼球内へ挿入されるレンズサイズのうち、最も適合するレンズサイズである。
【0149】
一実施例によれば、出力部(1500)は、レンズサイズ決定モデルの学習方法により非規格化されたレンズサイズを出力することができる。非規格化されたレンズサイズは、既成のレンズサイズを含む全体レンズサイズとして表されることができる。具体的に、非規格化されたレンズサイズは、手術予定者の眼球の特性を考慮して眼球内へ挿入されるレンズサイズとして、既成のレンズサイズより大きい場合もあり、小さい場合もあり、既成のレンズサイズの間の大きさである。非規格化されたレンズサイズは、手術予定者の眼球の特性を考慮して注文製作されるレンズサイズであってもよい。非規格化されたレンズサイズは規格化されたレンズサイズより手術予定者の眼球に最適化されたレンズサイズである。これは手術予定者の眼球にカスタマイジングされたレンズサイズである。
【0150】
他の一実施例において、レンズサイズ決定モデル(110)は、分類器(classifier)および回帰モデル(regression)を含んで示されてもよい。すなわち、レンズサイズ決定モデル(110)は、分類器および回帰モデルを直列的または並列的に組み合わせて示されることができる。一例において、レンズサイズ決定モジュール(1000)は、分類器および回帰モデルが組合わされたレンズサイズ決定モデル(110)に入力データを入力し、前記組合わされたレンズサイズ決定モデル(110)からレンズサイズおよび数値を導出することができる。例えば、回帰モデルを通じて出力されたレンズサイズ12.5mmは、分類器を通じて12.6mmの規格化されたレンズサイズを導出することができる。または、分類器を通じて出力されたレンズサイズ13.2mmは、回帰モデルを通じて13.3mmの非規格化されたレンズサイズを導出することができる。これは例示のみであり、分類器を通じて出力されたレンズサイズと回帰モデルを通じて出力されたレンズサイズが同時に導出されることもできる。
【0151】
図16はレンズサイズを決める更なる他の一実施例を示す図である。
図16を参照すれば、レンズサイズ決定モジュール(1000)は、入力データを補完するデータ補完部(1200)を更に含むことができる。
【0152】
データ補完部(1200)は、検査装置から優先順位データを取得できない場合、または、優先順位データを取得できる検査装置を有しない環境で、レンズ挿入手術の時の手術予定者の眼球内へ挿入されるレンズサイズに対して更に正確なレンズサイズを導出することができる。
【0153】
一実施例によれば、入力データは第1優先順位データおよび第2優先順位データを含むことができる。第1優先順位データのみを含んでもよく、第2優先順位データのみを含んでもよい。使用者は入力データとして第2優先順位データのみ使用し、第1優先順位データを使用できない場合、結果値に対する正確度は、第1優先順位データのみを使用する場合に比べて低いこともある。このような場合、第1優先順位データが欠測された場合でも、結果値に対する正確度を向上させるために、データ補完部(1200)を利用して第1優先順位データを推定することができる。
【0154】
データ補完部(1200)は、入力されたデータから第1優先順位データを推定することができる。
【0155】
優先順位データは、結果値に影響を及ぼす程度が大きいパラメーターを含むことができる。結果値に対する正確度を高めるために、優先順位が高いデータ、すなわち結果値に影響を及ぼす程度が大きいパラメーターを含むデータを入力することができる。例えば、レンズサイズ決定部は、パラメーターのうちATAを含む第1入力データを利用してレンズサイズを決める場合、結果値に対する正確度が高くなる可能性があり、ATAを含まずにCCTのみを含む第2入力データを利用してレンズサイズを決める場合、結果値に対する正確度が低い可能性がある。この場合、第1入力データは、優先順位が高い第1優先順位データを含むため、結果値に対する正確度が高くなる可能性がある。
【0156】
状況によって第1優先順位データを取得できず、第2優先順位データのみを取得できる場合にも正確度を高めるために、データ補完部は、第2入力データを利用して第1優先順位データを推定することができる。推定された第1優先順位データは、レンズサイズ決定部(1300)で入力データとして使用されることができる。例えば、第2入力データに含まれるCCT、視力検査データなどと同じパラメーターから欠測値に該当するATAを推定することができる。
【0157】
一実施例で、第1優先順位データを測定できる検査装置を有しない場合、データ補完部を利用して第1優先順位データを推定することができる。
【0158】
一実施例で、データ補完部(1200)は第1優先順位データ以外の入力データを別途の公式を利用して第1優先順位データとして推定することができる。
【0159】
一実施例で、データ補完部(1200)は、データ補完モデルを利用して第1優先順位データ以外の入力データを別途公式により第1優先順位データとして推定することができる。図に示していないが、データ補完モデルは、学習データで第1優先順位データおよび第2優先順位データを基に学習することができる。一例で、データ補完モデルは、第2優先順位データが入力されると、第1優先順位データが導出されるように学習することができる。前記学習されたデータ補完モデルは、入力データとして第2優先順位データが入力されると、推定される第1優先順位データを導出することができる。これは一例示にすぎず、これに限定されるものではない。
【0160】
また、一実施例で、レンズサイズ決定モデルは、予測される値を計算する複数の機械学習アルゴリズムのうち多数の機械学習アルゴリズムを共に使用することができる。一例で、レンズサイズ決定モデルは、アンサンブル学習(ensemble method)を利用して学習してレンズサイズを推定することができる。レンズサイズ決定モデルにアンサンブル学習が利用されることにより、レンズサイズ決定モデルの正確度が向上することができる。
【0161】
図17は、レンズサイズ決定モデルの複数のサブモデルを図式化した図である。
図17を参照すれば、レンズサイズ決定モデルは、複数のサブモデルを含むことができる。複数サブモデルのそれぞれは独立にレンズサイズを決めることができる。例えば、第1サブモデルは、ランダムフォレスト技法で学習してレンズサイズを決めるモデルであってもよく、第2サブモデルは決定木技法で学習してレンズサイズを決めるモデルであってもよい。また、
図17では第1サブモデルおよび第2サブモデルのみ図示しているが、これは例示のみであり、サブモデルは複数個のサブモデルであってもよい。
【0162】
複数のサブモデルは互いに並列的に連結されることができる。ここで、複数のサブモデルに入力される入力データおよび複数のサブモデルが出力する出力価格は互いに同一または異なってもよい。
【0163】
レンズサイズ決定モデルは、サブモデルの出力値に基づいて予測結果を出力することができる。
【0164】
レンズサイズ決定モデルは、並列的に連結される複数のサブモデルの出力値に基づいて予測結果を出力する出力サブモデルを含むことができる。一実施例で、第1サブモデルおよび第2サブモデルの出力値である第1出力値および第2出力値が同じである場合、出力サブモデルは、前記同じ値を出力することができる。他の一実施例で、第1サブモデルおよび第2サブモデルの出力値である第1出力値および第2出力値が異なる場合、出力サブモデルは、前記複数のサブモデルの出力値を一定比率で考慮して予測結果を出力し、または前記複数の出力値のうち特定値を出力することができる。換言すれば、出力サブモデルは、第1サブモデルからの第1出力値および第2サブモデルからの第2出力値に加重値を付与し、各出力値に付与された加重値を反映してレンズサイズを出力することができる。例えば、第1出力値に0.8の加重値が付与され、第2出力値に0.2の加重値が付与されると、第1出力値は規格化されたレンズサイズのうち12.6mmを示し、第2出力値は規格化されたレンズサイズのうち13.2mmを示す場合、出力サブモデルは加重値が高い第1出力値である12.6mmのレンズサイズを出力値として導出することができる。
【0165】
また、例えば、第1出力値に0.8の加重値が付与され、第2出力値に0.2の加重値が付与されると、第1出力値は非規格化されたレンズサイズのうち12.6mmを示し、第2出力値は非規格化されたレンズサイズのうち13.2mmを示す場合、出力サブモデルは加重値を反映した12.7mmのレンズサイズを出力値として導出することができる。
【0166】
また、前記加重値は学習過程で決めることができる。すなわち、複数のサブモデルを含むレンズサイズ決定モデルに対しても
図8で記述した学習段階(S100)が実行され、前記学習段階(S100)で加重値を決めることができる。
【0167】
更なる他の一実施例で、出力サブモデルは、前記複数の出力値に基づいて生成された更なる他の値を予測結果で出力することができる。ここで、出力サブモデルの出力値は前記複数の出力値と同じ種類であってもよく、異なる種類であってもよい。
【0168】
一実施例で、第1サブモデルと第2サブモデルは同一であり、各サブモデルに入力される入力データが異なる可能性がある。入力データは第1優先順位データであってもよく、または第2優先順位データであってもよい。優先順位の高いデータが入力されたサブモデルは、高い加重値が付与されることができる。例えば、第1優先順位データが入力された第1サブモデルは、第2優先順位データが入力された第2サブモデルより高い加重値が付与されて、第1出力値をレンズサイズ出力値として導出することができる。
【0169】
4.ボールト値予測
4.1.ボールト値の定義
図18はボールト値を定義するための図である。ボールティング(vaulting)値(または、ボールト(vault)値としても呼ばれる)は、レンズ挿入手術の手術予定者の眼球内へ挿入されるレンズの後面と水晶体の前面の間の距離を示す値である。具体的に、眼球内へ挿入されるレンズの後面と水晶体の前面の間の複数の距離のうち最短距離として定義される。
図18を参照すれば、Lは手術予定者の眼球内へ挿入されたレンズ、Iは紅彩、Cは水晶体、Vはボールト値を示している。LはIとCの間の空間に挿入されることができる。眼球内へ挿入されたレンズと水晶体の前面の間には複数の距離が存在することができる。この中でレンズの後面と水晶体の前面の間の最短距離、すなわち角膜の中心から垂直方向でレンズと水晶体の間の距離はVになることができる。
【0170】
一般的に、レンズ挿入手術の後に、手術者の眼球内へ適合したサイズのレンズが挿入されているか否かを確認するために、ボールト値を測定することができる。手術後に測定されたボールト値が一定範囲内にあれば、眼球内へ挿入されたレンズのサイズが手術者の眼球に適合するレンズサイズであると判断することができる。一例で、前記一定範囲はボールト値が250ないし750μmを含むことができる。一実施例で、ボールト値が250μm以下の場合、手術者の眼球内へ挿入されたレンズサイズは手術者の眼球に適合するサイズより小さいサイズが挿入されたと判断される。手術者の眼球に適合するレンズサイズより小さいサイズが挿入された場合、
図10の(a)に示すように、白内障を誘発する恐れがある。他の実施例で、ボールト値が750μm以上の場合、患者の眼球内へ挿入されたレンズサイズは患者の眼球に適合するサイズより大きいサイズが挿入されたと判断される。患者の眼球に適合するレンズサイズより大きいサイズが挿入される場合、
図10の(c)に示すように、緑内障を誘発する恐れがある。したがって、レンズ挿入手術の副作用を予防するために、手術後にボールト値が適正範囲内にある必要がある。すなわち、レンズ挿入手術前に、レンズを正確に設計した後に挿入する必要性がある。以下ではボールト値を予測するボールト値予測モジュールおよびそれに対するプロセスに対し説明する。
【0171】
4.2.ボールト値予測モジュール構成
図19はボールト値予測モジュール(2000)の構成を示す図である。一実施例で、ボールト値予測モジュール(2000)は、入力データから手術予定者の眼球内の予測ボールト値を出力することができる。
【0172】
図19を参照すれば、ボールト値予測モジュール(2000)は、入力部(2100)、ボールト値予測部(2300)、出力部(2500)を含むことができる。
【0173】
入力部(2100)は、データベースから入力データを取得することができる。入力データは手術予定者の複数の検査データであってもよい。
【0174】
具体的に、入力部(2100)は、データベースと直接連結されて入力データを取得することができる。それだけではなく、入力部(2100)は、サーバーまたは他の外部装置から入力データを受信して取得できる。
【0175】
入力データは、手術予定者の検査データであってもよい。検査データは、前記目次3.1で説明したものと同一であってもよい。以下では、これと異なる内容のみ説明する。
【0176】
一実施例によれば、入力データは手術予定者の眼球内へ挿入される任意の予想レンズサイズを含むことができる。任意の予想レンズサイズは、規格化または非規格化されたレンズサイズであってもよい。
【0177】
一実施例で、ボールト値予測部(2300)は、入力データから手術予定者のボールト値を予測することができる。
【0178】
また、ボールト値予測部(2300)は、予測されたボールト値が一定範囲内に含まれれば、前記予測されたボールト値を提供でき、使用者は予測されたボールト値を基に適正レンズサイズで手術されたと判断することができる。
【0179】
一実施例で、ボールト値予測部(2300)は、予測されたボールト値により入力されたレンズサイズが、手術予定者のレンズ挿入手術が可能であるか否かに対する情報を提供することができる。例えば、予測されたボールト値が250ないし750μm範囲内に含まれない200μmが導出された場合、手術予定者のレンズ挿入手術は不可だとの判断を提供することができる。これは一例にすぎず、これに限定されるものではなく、反対に、予測されたボールト値が一定範囲内に含まれる場合、レンズ挿入手術が可能だとの判断を提供することもできる。
【0180】
また、ボールト値予測部(2300)は、予測されたボールト値により入力されたレンズサイズが、手術予定者のレンズ挿入手術に適合しているか否かに関する情報を提供することができる。例えば、予測されたボールト値が500μmである場合、入力データから入力された13.2mmのレンズサイズが手術予定者のレンズ挿入手術に適合するという情報を提供することができる。また、予測されたボールト値が800μmである場合、入力データにより入力された13.2mmのレンズサイズが手術予定者のレンズ挿入手術に適しないという情報を提供することもできる。これは一例にすぎず、これに限定されるものではない。
【0181】
ボールト値予測部(2300)の具体的な動作は
図20でより詳細に説明する。
【0182】
出力部(2500)は、ボールト値予測部(2300)を通じて取得されたボールト値を使用者に出力することができる。一実施例で、出力部(2500)は出力データを視覚的に画面に出力するディスプレイを提供することができる。また、出力部(2500)はイメージ、テキストなど様々な形式で出力することができる。
【0183】
一実施例で、予測されたボールト値はレンズ挿入手術の結果を判断する基準になることができる。例えば、予測されたボールト値が250ないし750μm範囲内に含まれれば、使用者は手術予定者の眼球に適合するレンズサイズで手術されたと判断することができる。
【0184】
一実施例で、ボールト値予測部(2300)の結果値により、入力データとして入力されたレンズサイズに対する手術予定者のレンズ挿入手術の適否および/または可否に対する情報を出力することができる。
【0185】
4.3.ボールト値予測プロセス
図20は、ボールト値予測プロセス(S2000)のフローチャートを示す図である。
図20を参照すれば、ボールト値予測プロセス(S2000)は、手術予定者の検査データなど入力データを取得する段階(S2100)と、ボールト値予測モデルを利用して予測ボールト値を導出する段階(S2300)を含むことができる。前記ボールト値予測プロセス(S2000)は
図2により記述されたボールト値予測モジュール(2000)により実行されることができる。
【0186】
具体的に、入力データを取得する段階(S2100)において、入力データは手術予定者の眼球測定関連の複数の検査装置から取得する複数の検査データであってもよい。これは目次3.2のレンズサイズ決定プロセスと同一であるため、省略する。
【0187】
一実施例において、入力データは前記複数の検査データおよび任意のレンズサイズを含んでもよい。
【0188】
予測ボールト値を導出す段階(S2300)において、手術予定者の複数の検査データを基に、ボールト値予測モデルを利用して任意のレンズサイズに対応するボールト値を予測することができる。
【0189】
一実施例において、ボールト値予測モデル(120)は、
図3で説明したように、学習装置(11)によって学習されることができ、決定補助装置(21)によって予測されたボールト値を導出することができる。また、ボールト値予測モデル(120)は、学習段階(S100)を通じて学習されることができ、決定段階(S200)を通じて予測されたボールト値を導出することができる。
図3および
図8により説明された事項がボールト値予測モデル(110)にそのまま適用されることができる。
【0190】
4.4.実施例
一実施例において、ボールト値予測モジュールは、手術予定者の複数の検査データおよび/または予想されるレンズサイズを入力データにしてボールト値を予測することができる。
【0191】
図21はボールト値予測の一実施例を示す図である。
図21を参照すれば、ボールト値予測部(2300)は、手術予定者の複数の検査データを入力データにしてボールト値およびレンズサイズを予測することができる。
【0192】
ボールト値は、眼球に挿入されるレンズサイズにより異なって導出されることができる。
【0193】
一実施例において、ボールト値予測モジュール(2000)は、検査データをボールト値予測モデル(120)に入力すれば、レンズサイズおよび予測されたボールト値を共に出力することができる。出力データとしてレンズサイズおよび予測されたボールト値が共に出力されることによって、使用者は手術予定者の眼球の特性に適合するレンズサイズを、予測されたボールト値を基に正確に判断することができる。例えば、12.6mmのレンズサイズおよび500μmを出力する場合、予測されたボールト値が適正範囲内に含まれるので、使用者は出力されたレンズサイズが手術予定者の眼球の特性に適合するレンズサイズだと判断することができる。または、13.2mmのレンズサイズおよび900μmを出力する場合、予測されたボールト値が適正範囲内に含まれないので、使用者は出力されたレンズサイズが手術予定者の眼球の特性に適合しないレンズサイズであると判断することができる。これは一例にすぎず、これに限定されるものではない。
【0194】
一実施例において、ボールト値予測モデル(120)は検査データを入力し、ボールト値およびレンズサイズを出力する学習データを利用して学習されることができる。ボールト値予測モデルの学習段階は
図8で説明した学習段階(S100)をそのまま適用することができる。
【0195】
一実施例において、予測されたボールト値は一定範囲を満たすボールト値であってもよい。すなわち、出力部(2500)は一定範囲内を満たすボールト値およびこれに対応するレンズサイズを出力することができる。例えば、出力部(2500)は、ボールト値が250ないし750μm範囲内を満たす500μm場合のレンズサイズ12.6mmを出力することができる。
【0196】
図22はボールト値予測の他の一実施例を示す図である。
図22を参照すれば、ボールト値予測部(2300)は、手術予定者の複数の検査データおよび任意のレンズサイズを入力データにしてボールト値を予測することができる。
【0197】
一実施例において、ボールト値予測モジュール(2000)は、検査データおよび任意のレンズサイズをボールト値予測モデル(120)に入力すれば、予測されたボールト値を出力することができる。使用者は入力された任意のレンズサイズに対して、予測されたボールト値を見て、前記入力された任意のレンズサイズが手術予定者の眼球の特性に適合するレンズサイズであるか否かを判断することができる。例えば、入力データとして検査データおよび13.2mmのレンズサイズを入力された後、450μmの予測されたボールト値が出力される場合、前記任意のレンズサイズである13.2mmのレンズサイズは手術予定者の眼球の特性に適合するレンズサイズであると判断することができる。これは一例にすぎず、これに限定されるものではない。
【0198】
一実施例において、ボールト値予測モデル(120)は検査データおよびレンズサイズを入力して、ボールト値を出力する学習データを利用して学習することができる。ボールト値予測モデルの学習段階は
図8で説明した学習段階(S100)をそのまま適用することができる。
【0199】
図に示していないが、一実施例において、ボールト値予測部(2300)はレンズサイズ決定部(1300)と連動して具現されることができる。これは使用者がレンズサイズ決定部(1300)を通じて導出された結果値の正確度を検証することができる。例えば、レンズサイズ決定部(1300)を通じて導出されたレンズサイズ13.2mmをボールト値予測部(2300)の入力データとして検査データと共に入力した場合、予測されたボールト値が500μmの場合、該ボールト値が一定範囲内に含まれるため、前記レンズサイズ決定部の結果値である13.2mmのレンズサイズが手術予定者の眼球内へ適合する結果値であり、結果値に対する正確度も高いということを検証することができる。
【0200】
一実施例において、レンズサイズ決定部(1300)とボールト値予測部(2300)は互いに直列的に連結されることができる。具体的に、レンズサイズ決定部(1300)を利用して導出されたレンズサイズ(出力データ)はボールト値予測部(2300)の入力データにより取得できる。すなわち、ボールト値予測部(2300)は、入力データとしてレンズサイズ決定部の結果値であるレンズサイズおよび手術予定者の複数の検査データになることができる。これを通じて、ボールト値予測部(2300)は入力されたレンズサイズと対応する予測ボールト値を出力することができる。
【0201】
5.レンズ度数決定
5.1.レンズ度数決定モジュールの構成
レンズ挿入手術の後の手術案の最大校正視力が目標視力以上であっても、手術後に残余乱視によって視力の質が落ちることがある。例えば、レンズ挿入手術の後の手術案の校正視力が目標視力である1.2に到達し、乱視校正が一部されても、残余乱視が残っていることがある。この場合、患者は前記残余乱視によって期待した手術結果を得ることができない。したがって、レンズ挿入手術に利用されるレンズの度数を決める時、角膜乱視などの乱視の要素を考慮しなければならない。
【0202】
一実施例において、レンズの度数を決める時、最大校正視力だけではなく、手術によって誘発される角膜乱視などを考慮して、レンズの度数を決める必要がある。この場合、前記残余乱視が予め予測されて、レンズに前記残余乱視を校正するための要素が予め反映されることができる。これにしたがって、使用者は目標視力だけではなく、望む視力の質も得ることができる。
【0203】
図23はレンズ度数決定モジュール(3000)の構成を示す図である。一実施例において、レンズ度数決定モジュール(3000)は、入力データから手術予定者の眼球内へ挿入されるレンズ度数を出力することができる。
【0204】
図23を参照すれば、レンズ度数決定モジュール(3000)は、入力部(3100)、レンズサイズ決定部(3300)、出力部(3500)を含むことができる。
【0205】
入力部(3100)は、データベースから入力データを取得することができる。入力データは手術予定者の複数の検査データであってもよい。
【0206】
具体的に、入力部(3100)は、データベースと直接連結されて入力データを取得することができる。それだけではなく、入力部(3100)はサーバーまたは他の外部装置から入力データを受信して取得することもできる。
【0207】
入力データは手術予定者の検査データであってもよい。検査データは前記目次3.1で説明したものと同一であってもよい。以下ではこれと他の内容のみを説明する。
【0208】
一実施例によれば、検査データは前記手術予定者の測定された裸眼視力、眼球から測定されたジオプトリー、乱視軸、乱視方向パラメーター、角膜乱視および水晶体の乱視、近視および乱視の比率データなどを含むことができる。
【0209】
一実施例によれば、入力データは角膜切開情報を含むことができる。角膜切開情報は、レンズ挿入手術の時にレンズを挿入する前に手術予定者の角膜を切開する過程で、予測または計画された角膜切開に対する情報を意味することになる。角膜切開情報は手術予定者のレンズ挿入手術の角膜切開過程で、角膜切開方法、角膜切開位置、角膜切開方向および/または角膜切開程度などを含むことができる。角膜切開情報のうち、角膜切開の位置により乱視の変化量が異なる可能性があり、角膜切開の大きさにより手術により誘発される乱視値(SIA)が異なる可能性がある。したがって、レンズの度数を決るとき、角膜切開情報を考慮して乱視の変化量および/または手術により誘発される乱視などの要素を調整した乱視を予想した後、レンズの度数を決めれば更に視力の質が向上する効果をもたらすことができる。
【0210】
一実施例において、レンズ度数決定部(3300)は手術予定者の複数の検査データなどと同じ入力データをレンズ度数決定モデル(130)に適用して、手術予定者の眼球に適合するレンズ度数を決めることができる。ここで、適合するレンズ度数は手術予定者にレンズ挿入手術を行う際に、副作用が発生する可能性を最小化し、視力の質が高いレンズ度数を意味することになる。レンズ度数を決める際の副作用とは、視力低下、視力低下に伴う頭痛などが存在する可能性がある。
【0211】
一実施例において、適合するレンズ度数を決めるために、レンズ度数決定部(3300)は手術予定者の複数の検査データおよび/または手術予定者の予想角膜切開情報などと同じ入力データを入力して、手術予定者の眼球に適合するレンズ度数を出力することができる。
【0212】
レンズ度数決定部(3300)の具体的な動作は
図24を用いて詳細に説明する。
【0213】
出力部(3500)は、レンズ度数決定部(3300)を通じて手術予定者の眼球内へ挿入されるレンズ度数に対する情報(出力データ)を出力することができる。
【0214】
出力部は、レンズ度数決定モデルの学習方法により、手術予定者の眼球に適合するレンズ度数を出力することができる。
【0215】
一実施例によれば、レンズ度数決定モデルが回帰(regression)形態で具現される場合、出力部は手術予定者の眼球の目標視力に適合するレンズ度数を出力することができる。複数のレンズ度数中手術予定者の眼球に適合するように最も高い確率のレンズ度数を出力することができる。これは一例にすぎず、これに限定されるものではない。レンズ度数決定モデルは分類器(classifier)を用いて具現されることもできる。この場合、規格化された複数のレンズ度数の中で手術予定者の眼球に適合するレンズ度数を出力することができる。
【0216】
5.2.レンズ度数決定プロセス
図24はレンズ度数決定プロセス(S3000)のフローチャートを示す図である。
図24を参照すれば、レンズ度数決定プロセス(S3000)は手術予定者の複数の検査データなどの入力データを取得する段階(S3100)と、レンズ度数決定モデルを利用してレンズ度数を導出する段階(S3300)を含むことができる。前記レンズ度数決定プロセス(S3000)は
図2により記述されたレンズ度数決定モジュール(3000)により実行されることができる。
【0217】
具体的に、入力データを取得する段階(S3100)において、入力データは手術予定者の眼球測定関連複数の検査から取得する複数の検査データであってもよい。一実施例において、眼球測定関連の複数の検査は細隙などの顕微鏡検査、眼底の検査、自動屈折および角膜曲率検査、角膜地形図の検査などを含むことができる。
【0218】
一実施例で、前記複数の検査データは、裸眼視力、コマの位置、角膜乱視および水晶体乱視、近視と乱視の比率などを含むことができる。
【0219】
一実施例において、入力データは手術予定者の予想される角膜切開情報を含むことができる。例えば、予想される角膜切開情報は手術予定者の角膜切開過程で、角膜の切開程度、角膜の切開位置、角膜の切開方向などを含むことができる。
【0220】
レンズ度数を決める段階において、角膜切開情報を考慮する場合がある。
図25は角膜切開情報を説明するための図である。具体的に、
図25の(a)は乱視校正がない場合の角膜切開、
図25の(b)は乱視校正がある場合の角膜切開を例示して図式化した図である。
【0221】
図25の(a)を参照すれば、一実施例において、手術予定者の視力校正のうち、乱視校正がない場合、角膜切開方向は瞳孔を中心にx軸方向であってもよい。また、角膜切開程度は瞳孔の1/4の長さであってもよい。
【0222】
図25の(b)を参照すれば、一実施例において、手術予定者の視力校正のうち乱視校正がある場合、角膜切開方向は瞳孔を中心にy軸方向であってもよい。また、角膜切開程度は瞳孔の1/4の長さであってもよい。
【0223】
図25は手術予定者の角膜切開過程で発生する一例を説明し、これに制限されず、手術予定者の乱視程度、乱視比率などにより異なることがある。
【0224】
一実施例において、入力データは検査データ以外に
図25で説明したように、予想される角膜切開情報を入力して使用されることができる。前記角膜切開情報を入力した場合、レンズ度数決定部はこれを考慮してレンズ度数を決めることができる。
【0225】
5.3.実施例
図26はレンズ度数決定の一実施例を示す図である。
図26を参照すれば、レンズ度数決定部(3300)は、手術予定者の複数の検査データを入力データにして、レンズ度数を出力することができる。
【0226】
一実施例において、レンズ度数決定モジュール(3000)は、検査データをレンズ度数決定モデル(130)に入力すれば、レンズ度数を出力することができる。
【0227】
一実施例において、レンズ度数決定モデル(130)は、検査データを入力して、レンズ度数を出力する学習データを利用して学習することができる。レンズ度数決定モデルの学習段階は、
図8で説明した学習段階(S100)をそのまま適用することができる。
【0228】
図には示さなかったが、一実施例において、レンズ度数決定部(3300)は手術予定者の検査データを入力データにして、レンズ度数および角膜切開情報を出力することができる。角膜切開過程で角膜切開程度、角膜切開位置、角膜切開程度などの角膜切開情報と同時に予想されるレンズ度数を出力することによって、前記角膜切開情報により校正される乱視などの要素を考慮したレンズ度数を出力することができる。
【0229】
一実施例において、レンズ度数決定モデル(130)は検査データを入力して、レンズ度数および角膜切開情報を出力する学習データを利用して学習することができる。レンズ度数決定モデルの学習段階は
図8で説明した学習段階(S100)をそのまま適用することができる。
【0230】
図示しなかったが、一実施例において、レンズ度数決定部(3300)は手術予定者の検査データを入力データにして、レンズ度数、角膜切開情報および手術で誘発される乱視値(SIA)等の乱視パラメーターを出力することができる。角膜切開過程で角膜切開情報および手術で誘発される乱視値(SIA)等の乱視パラメーターと同時に予想されるレンズ度数を出力することによって、前記角膜切開情報により校正される乱視および手術で誘発される乱視などの要素を考慮したレンズ度数を出力することができる。
【0231】
一実施例において、レンズ度数決定モデル(130)は検査データを入力して、レンズ度数、角膜切開情報および手術で誘発される乱視値(SIA)等の乱視パラメーターを出力する学習データを利用して学習することができる。レンズ度数決定モデルの学習段階は
図8で説明した学習段階(S100)をそのまま適用することができる。
【0232】
図27はレンズ度数決定の他の一実施例を示す図である。
図27を参照すれば、レンズ度数決定部(3300)は手術予定者の複数の検査データおよび角膜切開情報を入力データにして、レンズ度数を出力することができる。
【0233】
一実施例において、レンズ度数決定モデル(130)は検査データおよび角膜切開情報を入力して、レンズ度数を出力する学習データを利用して学習することができる。レンズ度数決定モデルの学習段階は
図8で説明した学習段階(S100)をそのまま適用することができる。
【0234】
図示しなかったが、一実施例において、レンズ度数決定部(3300)は手術予定者の複数の検査データおよび角膜切開情報を入力データにして、予測された手術で誘発される乱視値(SIA)等の乱視パラメーターを出力することができる。
【0235】
一実施例において、レンズ度数決定モデル(130)は検査データおよび角膜切開情報を入力し、乱視パラメーターを出力する学習データを利用して学習することができる。レンズ度数決定モデルの学習段階は
図8で説明した学習段階(S100)をそのまま適用することができる。
【0236】
図示しなかったが、一実施例において、レンズ度数決定部(3300)は手術予定者の複数の検査データおよび角膜切開情報を入力データにし、予測された手術で誘発される乱視値(SIA)等の乱視パラメーターおよび角膜切開情報を出力することができる。
【0237】
一実施例において、レンズ度数決定モデル(130)は検査データおよび角膜切開情報を入力し、乱視パラメーターおよび角膜切開情報を出力する学習データを利用して学習することができる。レンズ度数決定モデルの学習段階は
図8で説明した学習段階(S100)をそのまま適用することができる。
【0238】
実施例による方法は様々なコンピューティング装置を通じて実行されることができるプログラムの司令形態で具現されて、コンピュータ判読可能媒体に記録されることができる。前記コンピュータ判読可能媒体は、プログラム司令、データ ファイル、データ構造などを単独でまたは組合わされて含むことができる。前記媒体に記録されるプログラム司令は、実施例のために特に設計して構成されたものなどや、コンピュータソフトウェア当業者に公示されて使用することができる。コンピュータ判読可能記録媒体は、例えば、ハードディスク、フロッピーディスク(登録商標)および磁気テープのような磁気媒体(magnetic media)、CD-ROM、DVDのようなオプティカルメディア(optical media)、フロプティカルディスク(floptical disk)のような磁気-オプティカルメディア(magneto-optical media)およびロム(ROM)、ラム(RAM)、フラッシュメモリなどと同じプログラム司令を保存して実行するように特別に構成されたハードウェア装置が含まれる。プログラム司令は、例えば、コンパイラによって作成されるようなマシンコードだけではなくインタプリタなどを使用してコンピューティング装置によって実行できる高級言語コードを含む。上記のハードウェア装置は実施例の動作を実行するために一つ以上のソフトウェアモジュールとして作動するように構成され、その逆の場合も同じである。
【0239】
上記では実施例を基にして本発明の構成と特徴を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の思想と範囲内で多様に変更または変形できることは、本発明の当業者に明白なことであり、したがってこのような変更または変形は特許請求の範囲に属することを理解されたい。