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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-20
(45)【発行日】2023-03-29
(54)【発明の名称】酢酸塩粉末及びその調製方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 27/00 20160101AFI20230322BHJP
   A23L 27/40 20160101ALI20230322BHJP
   A23L 27/20 20160101ALI20230322BHJP
   A23L 5/00 20160101ALN20230322BHJP
【FI】
A23L27/00 A
A23L27/40
A23L27/20 D
A23L5/00 D
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020524375
(86)(22)【出願日】2018-11-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-21
(86)【国際出願番号】 EP2018080317
(87)【国際公開番号】W WO2019091970
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2021-10-08
(31)【優先権主張番号】17200361.8
(32)【優先日】2017-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504421730
【氏名又は名称】ピュラック バイオケム ビー. ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ルーゼン, ランベルトゥス ヘンリキュス エリザベス
(72)【発明者】
【氏名】ヒルホースト, ヘリット アンソン レーン
(72)【発明者】
【氏名】クシュマワーダニ, ヘニー
(72)【発明者】
【氏名】パパゲオルジオー, アポストロス
(72)【発明者】
【氏名】ファン デー ヴート マースチャルク, キース
【審査官】安田 周史
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-287868(JP,A)
【文献】特開平08-176506(JP,A)
【文献】特開平08-183948(JP,A)
【文献】特開2003-321668(JP,A)
【文献】特開昭50-031053(JP,A)
【文献】特開昭48-034079(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 27/00
A23L 27/40
A23L 27/20
A23L 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも10重量%の被覆酢酸塩粒子を含む粒状製品であって、
前記被覆酢酸塩粒子は、
酢酸ナトリウム水和物、酢酸ナトリウム無水物及びそれらの組合せから選択される酢酸ナトリウム成分を少なくとも80重量%含有する、1つ又は複数の担体粒子を含み、
前記1つ又は複数の担体粒子を覆うコーティング層を含み、前記コーティング層が、少なくとも60重量%の酢酸カリウムを含有し、
カリウム及びナトリウムを、0.4:1~5:1のモル比で含有し、及び、
40~1000μmの範囲の粒径を有する、粒状製品。
【請求項2】
前記1つ又は複数の担体粒子が、少なくとも90重量%の酢酸ナトリウムを含有する、請求項1に記載の粒状製品。
【請求項3】
前記コーティング層が、少なくとも70重量%の酢酸カリウムを含有する、請求項1又は2に記載の粒状製品。
【請求項4】
カリウム及びナトリウムが、前記被覆酢酸塩粒子中に0.5:1~3:1のモル比で存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載の粒状製品。
【請求項5】
前記酢酸ナトリウム成分及び酢酸カリウムの組合せが、前記被覆酢酸塩粒子の少なくとも80重量%を構成する、請求項1~4のいずれか一項に記載の粒状製品。
【請求項6】
前記被覆酢酸塩粒子が、3.5重量%未満の含水量を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の粒状製品。
【請求項7】
少なくとも30重量%の前記被覆酢酸塩粒子を含有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の粒状製品。
【請求項8】
乳酸ナトリウム、乳酸カルシウム及びそれらの組合せから選択される少なくとも80重量%の乳酸塩を含有する、乳酸塩粒子を10~90重量%さらに含有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の粒状製品。
【請求項9】
少なくとも40重量%のアルカリ金属プロピオン酸塩を含有する10~90重量%のプロピオン酸塩粒子をさらに含有する、請求項1~のいずれか一項に記載の粒状製品。
【請求項10】
少なくとも80重量%の前記被覆酢酸塩粒子を含有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の粒状製品。
【請求項11】
0.40~0.80g/mlの範囲のかさ密度を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の粒状製品。
【請求項12】
前記被覆酢酸塩粒子に含有される前記1つ又は複数の担体粒子が、10~300μmの範囲の粒径を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の粒状製品。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の粒状製品を、食品又は飲料の0.1~10重量%の濃度で配合するステップを含む、食品又は飲料を調製する方法。
【請求項14】
請求項1~12のいずれか一項に記載の粒状製品を製造する方法であって、
酢酸ナトリウム水和物、酢酸ナトリウム無水物及びそれらの組合せから選択される酢酸ナトリウム成分を少なくとも80重量%含有する担体粒子の流動床を形成するステップ、
少なくとも30重量%の酢酸カリウムを含有する水溶液を流動床に噴霧することにより、担体粒子を噴霧コーティングするステップ、及び、
噴霧コーティングされた担体粒子を乾燥するステップ、
を含む、粒状製品を製造する方法。
【請求項15】
前記水溶液が少なくとも40重量%の酢酸カリウムを含有する、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、安定な酢酸塩粉末、より詳細には、酢酸ナトリウムを含有する1つ又は複数の担体粒子及び酢酸カリウムを含有するコーティング層を含む被覆酢酸塩粒子から成る酢酸塩粉末に関する。本発明の酢酸塩粉末は、取り扱いし易く(自由流動性で)、高い安定性を発揮する。
【0002】
本発明は、前述の酢酸塩粉末と他の粒状成分のブレンドにも関する。さらに、本発明は、食品又は飲料の調製における酢酸塩粉末及び前記酢酸塩粉末を含有するブレンドの使用に関する。最後に、本発明は酢酸塩粉末の製造プロセスを提供する。
【0003】
[発明の背景]
酢酸カリウムは、酢酸と水酸化カリウム又は炭酸カリウムなどのカリウム含有塩基との反応によって調製することができる。酢酸カリウムは、食品添加物として、防腐剤及び酸度調節剤として使用される。欧州連合において、酢酸カリウムは、E番号、E261と分類される。酢酸カリウムは、非常に吸湿性である。
【0004】
酢酸ナトリウムは、酢酸と炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム又は水酸化ナトリウムとの反応によって製造することができる。酢酸ナトリウムは、シーズニングとして、食品に添加されることがある。欧州連合において、酢酸ナトリウムは、E番号、E262と分類される。酢酸ナトリウムは、ポテトチップスに塩及び酢の風味を与えるためにしばしば使用される。酢酸ナトリウムは、酢酸カリウムよりも吸湿性が低い。
【0005】
米国特許出願公開第2008/0317921号は、未調理肉製品を有機酸塩及び潜在的酸と混合すること、それに続いてその肉製品を調理することを含む調理済み肉製品を製造するプロセスであって、潜在的酸が、未調理肉製品に添加されるときには酸性を示さないが、その肉製品の調理時に一般的な条件下で、少なくとも3個の炭素原子を有するカルボン酸に変換される化合物であり、有機酸塩が、乳酸塩、酢酸塩、及びそれらの組合せから選択される、調理済み肉製品を製造するプロセスを記載している。
【0006】
米国特許出願公開第2013/0171314号は、乳酸カリウム、酢酸カリウム、及び二酢酸ナトリウムを含む、食品用の抗菌性防腐剤組成物を記載している。防腐剤組成物は、20重量%~80重量%の固体含有量を有する水溶液として製剤化することができ、或いは乾燥混合物として製剤化することができる。
【0007】
米国特許出願公開第2013/0259998号は、酢酸カリウム及びアルカリ金属二酢酸塩を含む食品防腐組成物であって、酢酸カリウム:アルカリ金属二酢酸塩の重量比が1.5~9:1の範囲である、食品防腐組成物を記載している。食品防腐組成物は、酢酸カリウム及びアルカリ金属二酢酸塩、並びに任意選択でアンチケーキング剤を、不活性な乾燥雰囲気下で容器に添加し、それに続いて組成物の均一な混合物が得られるまで混合することによって製造される。防腐組成物は、新鮮な状態で使用されるか、或いは乾燥した、低温の不活性条件下で保存される。
【0008】
[発明の概要]
本発明者らは、相当な量の酢酸カリウムを含有し、且つ優れた安定性を発揮する酢酸塩粒子から成る、自由流動性粉末の製造を可能にするプロセスを開発した。より詳細には、本発明者らは、以下の特徴:
酢酸ナトリウム水和物、酢酸ナトリウム無水物及びそれらの組合せから選択される酢酸ナトリウム成分を少なくとも80重量%含有する、1つ又は複数の担体粒子を含むこと、
前記1つ又は複数の担体粒子を覆うコーティング層を含み、前記コーティング層が、少なくとも60重量%の酢酸カリウムを含有すること、
カリウム及びナトリウムを、0.4:1~5:1のモル比で含有すること、及び
40~1000μmの範囲の粒径
を有する、被覆酢酸塩粒子の製造を可能にする方法を開発した。
【0009】
したがって、本発明の第一の態様は、少なくとも10重量%のこれら被覆酢酸塩粒子を含む、粒状製品に関する。本発明の粒状製品は、被覆酢酸塩粒子のみから成る粉末の形態で提供できる。代わりに、粒状製品は、これらの被覆酢酸塩粒子と1つ又は複数の他の粒状成分のブレンドの形態で提供してもよい。
【0010】
本発明者らは、驚くべきことに、本発明の被覆酢酸塩粒子は、コーティング層中の高度に吸湿性の酢酸カリウムが周囲雰囲気と直接接触している場合でさえも、非常に安定であることを見出した。
【0011】
本発明の別の態様は、前述の粒状製品を食品又は飲料の0.1~10重量%の濃度で配合するステップを含む、食品又は飲料を調製する方法に関する。
【0012】
本発明のさらに別の態様は、本発明の粒状製品を製造するプロセスであって、
酢酸ナトリウム水和物、酢酸ナトリウム無水物及びそれらの組合せから選択される酢酸ナトリウム成分を少なくとも80重量%含有する、担体粒子の流動床を形成するステップ、
少なくとも30重量%の酢酸カリウムを含有する水溶液を流動床に噴霧することにより、担体粒子を噴霧コーティングするステップ、及び
噴霧コーティングされた担体粒子を乾燥するステップ
を含む、プロセスに関する。
【0013】
[発明の詳細な説明]
既に記載したように、本発明の第一の態様は、以下の特徴:
酢酸ナトリウム水和物、酢酸ナトリウム無水物及びそれらの組合せから選択される酢酸ナトリウム成分を少なくとも80重量%含有する、1つ又は複数の担体粒子を含むこと、
前記1つ又は複数の担体粒子を覆うコーティング層を含み、前記コーティング層が、少なくとも60重量%の酢酸カリウムを含有すること、
カリウム及びナトリウムを、0.4:1~5:1のモル比で含有すること、及び
40~1000μmの範囲の粒径
を有する、少なくとも10重量%の被覆酢酸塩粒子を含む、粒状製品に関する。
【0014】
本明細書で使用される場合、用語「粒状製品」は、粉末又は顆粒などの粒子から成る製品を表す。
【0015】
本明細書で使用される場合、用語「酢酸ナトリウム」は、別段の指示がない限り、酢酸ナトリウムの水和物及び無水酢酸ナトリウム(CHCOONa)の両方を包含する。
【0016】
本明細書で使用される場合、用語「酢酸カリウム」は、酢酸カリウム無水物(CHCOOK)を表す。
【0017】
本明細書で「被覆酢酸塩粒子」に言及する場合は常に、別段の指示がない限り、意味するものは、上に明記された特徴を有する被覆酢酸塩粒子又は本明細書において明記されたこれら被覆酢酸塩粒子の好ましい実施形態の被覆酢酸塩粒子である。
【0018】
本明細書で粒子の粒径に言及する場合は常に、別段の指示がない限り、この粒径はレーザー回折(Malvern Mastersizer 2000)を用いて測定した粒径である。
【0019】
本発明の被覆酢酸塩粒子は、好ましくは、3.5重量%未満、より好ましくは3.0重量%未満、最も好ましくは2.5重量%未満の含水量を有する。本明細書で物質の含水量に言及する場合には常に、含水量は、酢酸ナトリウム三水和物(CNaO)などの水和物に含有される結晶水を含む、典型的にはカールフィッシャー滴定法によって測定した含水量である。
【0020】
本発明の粒状製品の含水量は、典型的には8重量%未満、好ましくは6重量%未満、より好ましくは4重量%未満、最も好ましくは2.5重量%未満である。ここで、粒状製品の含水量は、被覆酢酸塩粒子に含有される水を含む。
【0021】
好ましい一実施形態において、粒状製品は、少なくとも20重量%、より好ましくは少なくとも50重量%、さらにより好ましくは少なくとも80重量%、最も好ましくは少なくとも90重量%の被覆酢酸塩粒子を含有する。
【0022】
被覆酢酸塩粒子の他に、粒状製品は、1つ又は複数の他の粒状成分を好適に含んでもよい。
【0023】
好ましい一実施形態によれば、粒状製品は、乳酸ナトリウム、乳酸カルシウム及びそれらの組合せから選択される乳酸塩を少なくとも80重量%含有する、乳酸塩粒子を10~90重量%さらに含有する。被覆酢酸塩粒子及び乳酸塩粒子の組合せは、好ましくは粒状製品の少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも60重量%、最も好ましくは少なくとも70重量%を構成する。
【0024】
別の好ましい実施形態によれば、粒状製品は、少なくとも40重量%のアルカリ金属プロピオン酸塩を含有する10~90重量%のプロピオン酸塩粒子をさらに含有する。被覆酢酸塩粒子及びプロピオン酸塩粒子の組合せは、好ましくは粒状製品の少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも60重量%、最も好ましくは少なくとも70重量%を構成する。
【0025】
本発明の被覆酢酸塩粒子は、45~900μmの範囲、好ましくは50~850μmの範囲、より好ましくは60~800μmの範囲の粒径を有する。
【0026】
別の好ましい実施形態によれば、被覆酢酸塩粒子は、100~800μmの範囲、より好ましくは145~700μmの範囲、最も好ましくは190~650μmの範囲の平均直径D[4,3]を有する。ここで、「平均直径D[4,3]」は、De Brouckere平均直径又は体積平均直径を表し、実際の粒子が同じ体積の球形粒子であると仮定した、加重平均体積として定義できる。この平均直径は、以下の式を用いて計算される:
【0027】
【数1】

式中、
Di=サイズクラスiの平均粒径、
ni=サイズクラスiの粒子の数。
【0028】
本発明の粒状製品は、好ましくは0.40~0.80g/mlの範囲、より好ましくは0.45~0.75g/mlの範囲、最も好ましくは0.50~0.70g/mlの範囲のかさ密度を有する。本明細書で使用する場合、用語「かさ密度」は、一定量の粒状製品の質量を前記量が占める全体積で割った値を表す。全体積は、粒子体積、粒子間空隙体積、及び内部細孔体積を含む。本明細書で言及されるかさ密度は、「タップ」密度、すなわち、体積にそれ以上の変化が見られなくなるまで機械的にタップ(公称カウントで最低180タップ)された後の製品のかさ密度である。
【0029】
被覆酢酸塩粒子中の1つ又は複数の担体粒子は、好ましくは少なくとも85重量%、より好ましくは少なくとも90重量%、最も好ましくは少なくとも92重量%の酢酸ナトリウム成分を含有する。
【0030】
担体粒子中の酢酸ナトリウム成分は、好ましくは主として無水酢酸ナトリウムから成る。したがって、好ましい一実施形態において、1つ又は複数の担体粒子は、少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも85重量%、最も好ましくは少なくとも90重量%の無水酢酸ナトリウムを含有する。
【0031】
被覆酢酸塩粒子のコーティング層は、好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも80重量%、最も好ましくは少なくとも90重量%の酢酸カリウムを含有する。
【0032】
本発明の被覆酢酸塩粒子は、酢酸カリウムを含有するコーティング層の他に、1つ又は複数の追加のコーティング層を含んでもよい。しかし、本発明の利点は、被覆酢酸塩粒子が追加のコーティング層を含まない場合に特に評価が高い。
【0033】
別の好ましい実施形態において、カリウム及びナトリウムは、被覆酢酸塩粒子中に0.5:1~3:1、さらにより好ましくは0.6:1~2:1のモル比で存在する。
【0034】
被覆酢酸塩粒子中のナトリウムの全量は、好ましくは10~20重量%の範囲、より好ましくは11~18重量%の範囲である。
【0035】
被覆酢酸塩粒子中のカリウムの全量は、好ましくは15~30重量%の範囲、より好ましくは17~25重量%の範囲である。
【0036】
被覆酢酸塩粒子中の酢酸の全量は、好ましくは55~72重量%の範囲、より好ましくは60~70重量%の範囲である。ここで、「酢酸の全量」は、酢酸ナトリウム水和物に含有される水を含む、酢酸残基の全量を表す。
【0037】
好ましい一実施形態によれば、酢酸ナトリウム成分及び酢酸カリウムの組合せは、被覆酢酸塩粒子の少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも90重量%、最も好ましくは少なくとも95重量%を構成する。
【0038】
本発明の被覆酢酸塩粒子に含有される1つ又は複数の担体粒子は、好ましくは20~300μmの範囲、より好ましくは30~250μmの範囲、最も好ましくは40~200μmの範囲の粒径を有する。
【0039】
本発明の特に好ましい一実施形態によれば、被覆酢酸塩粒子の少なくとも30重量%、より好ましくは少なくとも40重量%、最も好ましくは少なくとも50重量%は、少なくとも2つの担体粒子を含む凝集粒子から成る。
【0040】
本発明の別の態様は、本明細書において定義される粒状製品を、食品又は飲料の0.1~10重量%、好ましくは0.15~8重量%の濃度で配合するステップを含む、食品又は飲料を調製する方法に関する。
【0041】
本方法は、粒状製品を食品全体に分布させるステップ又は粒状製品を飲料全体に分散させるステップを、好ましくは含む。
【0042】
好ましくは、本方法は粒状製品を食品に配合するステップを含む。
【0043】
特に好ましい一実施形態によれば、食品は肉製品、より好ましくは加工肉製品である。加工肉製品の例は、
新鮮肉の加工製品(例えば、ハンバーガー、フライドソーセージ、ケバブ、チキンナゲット)
肉の塩漬け品(例えば、生の塩漬け牛肉、生ハム、調理牛肉、調理ハム、再構成製品及びベーコン)
生肉の調理製品(例えば、フランクフルトソーセージ、モルタデラ、リオナソーセージ及びミートローフ)
調理済みの調理製品(例えば、レバーソーセージ、ブラッドソーセージ及びコーンビーフ)
生(乾燥)肉の発酵ソーセージ(例えば、サラミ)
乾燥肉
を含む。
【0044】
最も好ましくは、本方法は、肉の塩漬け品及び生(乾燥)肉の発酵ソーセージから選択される加工肉製品の調製に適用される。
【0045】
本発明のさらに別の態様は、本発明の粒状製品を製造するプロセスであって、
酢酸ナトリウム水和物、酢酸ナトリウム無水物及びそれらの組合せから選択される酢酸ナトリウム成分を少なくとも80重量%含有する、担体粒子の流動床を形成するステップ、
少なくとも30重量%の酢酸カリウムを含有する水溶液を流動床に噴霧することにより、担体粒子を噴霧コーティングするステップ、及び
噴霧コーティングされた担体粒子を乾燥するステップ
を含む、プロセスに関する。
【0046】
製造プロセスの好ましい一実施形態において、担体粒子は少なくとも85重量%、より好ましくは少なくとも90重量%の酢酸ナトリウム成分を含有する。
【0047】
本発明の特に好ましい一実施形態において、少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも90重量%の担体粒子は、20~300μmの範囲、より好ましくは30~250μmの範囲、最も好ましくは40~200μmの範囲の粒径を有する。
【0048】
水性プロセスにおいて使用される水溶液は、好ましくは少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも50重量%の酢酸カリウムを含有する。
【0049】
噴霧コーティングされた粒子の乾燥は、乾燥ガスの流れを粒子の流動床に通過させることにより、好ましくは噴霧コーティングと同時に達成される。使用される乾燥ガスは、好ましくは空気、酸素、窒素及びそれらの組合せから選択される。
【0050】
同時に行う噴霧コーティング及び乾燥は、好ましくは50~160℃の範囲、より好ましくは60~150℃の範囲、最も好ましくは70~140℃の範囲の乾燥ガス温度を用いて行われる。
【0051】
同時に行う噴霧コーティング及び乾燥は、好ましくは大気圧又は加圧下で、より好ましくは1.5~4バールの圧力で、最も好ましくは2~3バールの圧力で行われる。
【0052】
本発明は以下の非限定的実施例によって、さらに例証される。
【0053】
[実施例]
実施例1
本発明の被覆酢酸塩粒子を、以下に記載するように、グラット(GLATT)(登録商標)流動床乾燥機中で調製した。
【0054】
酢酸ナトリウム粉末を、噴霧乾燥によって調製した。こうして得られた粉末は、70μmの平均直径、D[4,3]を有していた。
【0055】
流動床乾燥機のバスケットに、40kgの酢酸ナトリウム粉末を充填した。この出発物質を、生成物の流動化の間、60℃まで加熱した。気流速度を、600m/時に設定した。
【0056】
68%酢酸カリウム水溶液を噴霧液として使用した。この噴霧液は、酢(23%)を水酸化カリウム(50%)によりpH約9.0まで中和し、それに続く真空下での蒸発によって乾物含量68重量%に調製しておいた。
【0057】
流動床の温度が60℃に達した時に、噴霧を開始した。空気入口温度を120℃に、噴霧圧力を3バールに設定した。噴霧速度を最初は、約250g/分に設定し、次いで5時間にわたり噴霧しながら噴霧速度を650g/分まで上昇させた後で、噴霧を止めた。生成物を30℃まで約20分間冷却し、アルミニウムバッグに収集した。
【0058】
こうして得られた粉末の特性を、表1に要約する。
【0059】
【表1】
【0060】
粉末のSEM-EDX像を得た。これらの像は、粉末が、多孔質で不規則な形状の粒子から成っていることを示した。