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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-20
(45)【発行日】2023-03-29
(54)【発明の名称】丁張り装置
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/18 20060101AFI20230322BHJP
【FI】
E04G21/18 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019110790
(22)【出願日】2019-06-14
(65)【公開番号】P2020204152
(43)【公開日】2020-12-24
【審査請求日】2022-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】391013416
【氏名又は名称】ゴトウコンクリート株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082658
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 儀一郎
(72)【発明者】
【氏名】松林 秀佳
(72)【発明者】
【氏名】大林 功
【審査官】荒井 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-197569(JP,A)
【文献】特開2016-125334(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/14-21/22
G01C 15/00、15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1丁張り装置と第2丁張り装置とを有し、
第1丁張り装置は、上面基板と該上面基板の両端より垂下して取り付けられた脚部と、脚部に取り付けられた脚部間の挟み間隔を変更する押圧具と、前記上面基板上に設けられた取付部と、該取付部に挿入され垂直方向へ立設された長さ変更可能な丁張り部材と、を備え、
第2丁張り装置は、上面基板と該上面基板の両端より垂下して取り付けられた脚部と、脚部に取り付けられた脚部間の挟み間隔を変更する押圧具と、前記上面基板に取り付けられた糸張り治具と、を備え、
前記糸張り治具は、上下左右方向に微調整可能にして上面基板に取り付けられた、
ことを特徴とする丁張り装置。
【請求項2】
前記第1丁張り装置の丁張り部材は、切断可能な木材で形成された、
ことを特徴とする請求項1記載の丁張り装置。
【請求項3】
前記第2丁張り装置は、上面基板の側面を構成する一対の上面基板ユニットと脚部の側面を構成する一対の脚部ユニットとを連結部材で連結して構成した上面基板・脚部形成部材を使用した、
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の丁張り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、トンネル内においてプレキャスト監視員通路壁を施工する際などに使用される丁張り装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
丁張りとは、例えば、構造物構築工事に着手する前に、建物の正確な位置を出す作業を指標し、別名、水盛り・遣り方とも言う。そして、丁張り装置とは、丁張りの際に用いられる建物を建てるために施工する、基準となる仮設工作物をいう。
具体的には、建物の水平方向の高さ、建物の配置、壁・柱の位置などを規定するための装置である。
【0003】
従来、特に、トンネル内でプレキャスト監視員通路壁を設置するときに必要な丁張り装置を所定の位置に設置する場合には、設置するための特別な工夫が必要となっていた。
【0004】
すなわち、通常の土木工事などでは地面に角材等の杭を打って、該杭を丁張り装置として使用し、丁張りを行うが、トンネル内においては、通常すでに地面は舗装されていて、土の部分地面がない。よって、そのまま地面に杭を打つことが出来ないものであった。そのため、例えば、すでに埋設してある円形水路の開口部(スリット)を利用し、この開口部(スリット)に杭を差してクサビで固定し、これを丁張り装置の取付部として使用していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-217100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、クサビで固定した杭は、丁張り作業の際に、少し大きな力がかかって引っ張られると動いてしまい、何度もクサビで固定し直さなければならないとの課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による丁張り装置は、
第1丁張り装置と第2丁張り装置とを有し、
第1丁張り装置は、上面基板と該上面基板の両端より垂下して取り付けられた脚部と、脚部に取り付けられた脚部間の挟み間隔を変更する押圧具と、前記上面基板上に設けられた取付部と、該取付部に挿入され垂直方向へ立設された長さ変更可能な丁張り部材と、を備え、
第2丁張り装置は、上面基板と該上面基板の両端より垂下して取り付けられた脚部と、脚部に取り付けられた脚部間の挟み間隔を変更する押圧具と、前記上面基板に取り付けられた糸張り治具と、を備え、
前記糸張り治具は、上下左右方向に微調整可能にして上面基板に取り付けられた、
ことを特徴とし、
または、
前記第1丁張り装置の丁張り部材は、切断可能な木材で形成された、
ことを特徴とし、
または、
前記第2丁張り装置は、上面基板の側面を構成する一対の上面基板ユニットと脚部の側面を構成する一対の脚部ユニットとを連結部材で連結して構成した上面基板・脚部形成部材を使用した、
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明による丁張り装置は、前記従来の課題を解消するために創案されたものであり、クサビで固定した杭は、丁張り作業の際に、少し大きな力がかかって引っ張られると動いてしまい、何度もやり直さなければならないことがないとの優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の使用状態を説明する説明図である。
図2】第1丁張り装置の構成を説明する説明図(1)である。
図3】第1丁張り装置の構成を説明する説明図(2)である。
図4】第1丁張り装置の構成を説明する説明図(3)である。
図5】第2丁張り装置の構成を説明する説明図(1)である。
図6】第2丁張り装置の構成を説明する説明図(2)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1はトンネル1内でプレキャスト監視員通路壁2を設置する状態を表した概略図である。図1において、上面にスリット3を有する円形水路4が埋設されており、このスリット3と円形水路4の上側面を利用して丁張り装置を取り付けている。
【0011】
本発明で使用される丁張り装置は2種類である。すなわち第1丁張り装置5と第2丁張り装置6である。
【0012】
第1丁張り装置5は、上面基板7と該上面基板7の両端から垂下する1対の脚部8により形成された固定部9を有している。そして、脚部8には押圧具10が設けられ、例えば、該固定部9の脚部8間において何らかの取付体(例えば円形水路のスリット3と円形水路4の上側面)に挟み込む様設置した後、前記押圧具10を作動させて前記何らかの取付体を強固に挟み付け固定する。
【0013】
図2から理解されるように、上面基板7には、上方に向かって立設された中空管状の取付部11が設けられている。図2には四角形状の中空部を有する中空管状の取付部11が示されているが、この形状に限定されるものではない。
【0014】
ここで、この取付部11の中空部には、長尺の丁張り部材12が差し込まれて立設される。そして、この丁張り部材12の先端部分で構築する構築部材の高さを規定するものとなる。
【0015】
前記丁張り部材12は、簡単に切断できる部材、木材などが使用される。施工する構造物の高さが各々異なっていても迅速に対応しなければならないからである。すぐに切断できれば高さの変更に対応できる。
しかしながら、丁張り部材12の材質は、前記木材に限定されない。迅速に切断できる材質であれば良い。
【0016】
また、取付部11の側面からは、外周方向の異なる方向から少なくとも2箇所から固定具13が取り付けられ、前記丁張り部材12が取付部11に強固に固定されるものとなる(図3参照)。
【0017】
図4は、一対の脚部8で挟み込み固定する取付体の幅が比較的広い場合に使用する第1丁張り装置5を示す図面である。図に示すように、上面基板7は長い長方形状に形成され、その長手方向両端側に一対の脚部8が垂下して取り付けられている。これにより挟み込み固定する取付体の幅が比較的広い場合でも問題なく使用できる。
【0018】
次に、図5図6に、第2丁張り装置6の構成を示す。該第2丁張り装置6も第1丁張り装置5と同様に、上面基板7とこの上面基板7の両端から垂下する脚部8を有している。ただ、第1丁張り装置5と異なるのは、上面基板7及び一対の脚部8は、2枚の部材を連結して構成したことである。
【0019】
すなわち、図6に示すように、上面基板7の側面を構成する一対の上面基板ユニット14と脚部8の側面を構成する一対の脚部ユニット16とを連結部材15で連結して構成した上面基板・脚部形成部材17を使用することにより、全体として強固な第2丁張り装置6としたものである。
尚、第2丁張り装置6は、前記構成に限定されるものではなく、例えば、1つの金属材を折曲して構成しても構わない。
【0020】
ここで、前記一方側脚部8側に設置された連結部材15には押圧具10が取り付けられており、この第2丁張り装置6を所定の取付体に挟み込んで固定する際、押圧具10を取付体側に押し込んで強固取付体に挟み込むことができる。
【0021】
符号18は、糸張り治具である。該糸張り治具18は、一方側の上面基板ユニット14に取り付けられている。図5図6に示すように、糸張り治具18は、略方形状をなし、その方形状の下端側からは三角形状の糸張り部19が垂下するようにして設けられている。そして、糸張り部19の頂角部には、凹状に凹む凹部20が設けられ、該凹部20に丁張り用の糸などの丁張り21が係止できるように構成されている。
【0022】
ところで、この糸張り治具18は、例えばねじ状の取付部材22によって、一方側の上面基板ユニット14端部に取り付けられるが、前記上面基板ユニット14にはねじ部25より大きく円状に広がる大きな穴として構成された調節穴23が設けられており、この調節穴23に取付部材22のねじ部25を差し込んで固定することによって、前記糸張り治具18の位置決めを微調整して取り付けることができるようになっている。尚、調節穴23を出来るだけ大きく形成すれば、位置決めの微調整範囲も大きくとることが出来る。
【0023】
つぎに、本発明の使用状態につき説明する。
始めに、2つの第1丁張り装置5を間隔をあけて設置する。例えば既に設置してある円形水路4のスリット3と該円形水路4の外側面24を利用して両脚部8間に押圧具10で締め付けて挟み込み、強固に固定する。
【0024】
次に取付部11に丁張り部材12を嵌め込んで立設させる。そして、前記丁張り部材12の先端部間に跨がって丁張り21、すなわち丁張りの糸を張り、構築物、すなわち、プレキャスト監視員通路壁2の先端高さを正確に、迅速に規定する。
【0025】
前記プレキャスト監視員通路壁2の一部が構築された後、構築されたプレキャスト監視員通路壁2の上端部に第2丁張り装置6をセットする。そして、構築する方向には第1丁張り装置5をセットする。その後、前記第2丁張り装置6と第1丁張り装置5間に丁張り21、すなわち糸を張り、構築すべきプレキャスト監視員通路壁2の高さを正確に、迅速に規定する。
【0026】
以上の作業を連続して行うことによりトンネル1内においてプレキャスト監視員通路壁2が完成される。
【符号の説明】
【0027】
1 トンネル
2 プレキャスト監視員通路壁
3 スリット
4 円形水路
5 第1丁張り装置
6 第2丁張り装置
7 上面基板
8 脚部
9 固定部
10 押圧具
11 取付部
12 丁張り部材
13 固定具
14 上面基板ユニット
15 連結部材
16 脚部ユニット
17 上面基板・脚部形成部材
18 糸張り治具
19 糸張り部
20 凹部
21 丁張り
22 取付部材
23 調節穴
24 円形水路の外側面
25 ねじ部

図1
図2
図3
図4
図5
図6