(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-20
(45)【発行日】2023-03-29
(54)【発明の名称】微細気泡発生器、及び家電機器
(51)【国際特許分類】
B01F 23/2326 20220101AFI20230322BHJP
B05B 1/02 20060101ALI20230322BHJP
D06F 39/08 20060101ALI20230322BHJP
B01F 25/314 20220101ALI20230322BHJP
【FI】
B01F23/2326
B05B1/02 101
D06F39/08 301B
D06F39/08 301A
B01F25/314
(21)【出願番号】P 2018147648
(22)【出願日】2018-08-06
【審査請求日】2021-03-04
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】内山 具典
(72)【発明者】
【氏名】加藤 瞬
(72)【発明者】
【氏名】本村 隆行
(72)【発明者】
【氏名】磯永 賢
【審査官】小久保 勝伊
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/055701(WO,A1)
【文献】特開2009-028579(JP,A)
【文献】特開2008-062151(JP,A)
【文献】国際公開第2018/021330(WO,A1)
【文献】米国特許第05335588(US,A)
【文献】特開2005-288222(JP,A)
【文献】特開2016-007308(JP,A)
【文献】国際公開第2018/116518(WO,A1)
【文献】米国特許第05863128(US,A)
【文献】国際公開第2017/029835(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 21/00-25/90
B05B 1/02
D06F 39/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が通過可能な第1流路と、前記第1流路の断面積を局所的に縮小することで前記第1流路を通過する液体中に微細気泡を発生させる衝突部と、を有する第1流路部材と、
前記第1流路部材の少なくとも前記衝突部を内部に収容し、前記第1流路部材の下流側に設けられ液体が通過可能な第2流路、を有する第2流路部材と、
前記第1流路又は前記第2流路の内部と外部とを連通し外気を前記第1流路又は前記第2流路内に引き込むことが可能な外気導入経路であって、少なくとも経路の一部に前記第1流路部材と前記第2流路部材との間の隙間を含んで構成されている外気導入経路と、を備え、
前記衝突部は、前記第1流路内の内周面から前記第1流路の径方向の中心へ向かって突出した板状でかつ液体が通過する方向に所定の長さを有する複数の突出部を有し、
複数の前記突出部は、前記第1流路の周方向に向かって相互に離間した状態で配置されて
おり、
前記外気導入経路は、前記周方向に隣接する2つの前記突出部の間に接続されている、
微細気泡発生器。
【請求項2】
前記外気導入経路は、前記第1流路と前記第2流路との境界部分に接続されている、
請求項1に記載の微細気泡発生器。
【請求項3】
前記第2流路部材は、内部に前記第1流路部材を収容する第1流路部材収容部を有し、
前記外気導入経路は、前記第1流路部材収容部の内面に形成された溝又は前記第2流路部材の外面に形成された溝を含んで構成されている、
請求項1
又は2に記載の微細気泡発生器。
【請求項4】
前記第1流路部材の外面と前記第2流路部材における前記第1流路部材収容部の内面とは、前記外気導入経路を除いて密着している、
請求項1から
3のいずれか一項に記載の微細気泡発生器。
【請求項5】
水を使用する家電機器であって、請求項1から
4のいずれか一項に記載の微細気泡発生器を備えた家電機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、微細気泡発生器、及び家電機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ファインバブルやウルトラファインバブル、又はマイクロバブルやナノバブルと称される直径が数十nm~数μmサイズの微細気泡が注目されてきている。このような微細気泡を含んだ水を、例えば洗剤等を使用する洗浄作業に用いることで、洗剤の分散性や洗浄対象物への浸透性を高めることができ、洗浄効果を向上させることができる。
【0003】
このような微細気泡を発生させる手段として、流体力学のいわゆるベンチュリ効果を利用した微細気泡発生器が知られている。このような微細気泡発生器は、水等の液体が流れる流路の断面積を局所的に縮小することでその流路を通る液体を急激に減圧させ、これにより液体中の溶存空気を析出させて微細気泡を発生させることができる。しかしながら、微細気泡の原料は水中に溶け込んだ残存空気であるため、微細気泡の生成濃度には限りがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、微細気泡の生成効率の向上を図ることができる微細気泡発生器、及び微細気泡発生器を備えた家電機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の微細気泡発生器は、液体が通過可能な第1流路と、前記第1流路の断面積を局所的に縮小することで前記第1流路を通過する液体中に微細気泡を発生させる衝突部と、を有する第1流路部材と、前記第1流路部材の少なくとも前記衝突部を内部に収容し、前記第1流路部材の下流側に設けられ液体が通過可能な第2流路、を有する第2流路部材と、前記第1流路又は前記第2流路の内部と外部とを連通し外気を前記第1流路又は前記第2流路内に引き込むことが可能な外気導入経路であって、少なくとも経路の一部に前記第1流路部材と前記第2流路部材との間の隙間を含んで構成されている外気導入経路と、を備え、前記衝突部は、前記第1流路内の内周面から前記第1流路の径方向の中心へ向かって突出した板状でかつ液体が通過する方向に所定の長さを有する複数の突出部を有し、複数の前記突出部は、前記第1流路の周方向に向かって相互に離間した状態で配置されており、前記外気導入経路は、前記周方向に隣接する2つの前記突出部の間に接続されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態について、微細気泡発生器の適用対象の一例であるドラム式洗濯機を示す図
【
図2】第1実施形態について、微細気泡発生器の適用対象の一例である縦型洗濯機を示す図
【
図3】第1実施形態について、微細気泡発生器が注水ケースに組み込まれた状態を示す部分断面図
【
図4】第1実施形態による微細気泡発生器を示す断面図
【
図5】第1実施形態について、
図4のX5-X5線に沿って切断した微細気泡発生器を拡大して示す断面図
【
図6】第1実施形態について、
図4のX6-X6線に沿って切断した微細気泡発生器を拡大して示す断面図
【
図7】第1実施形態について、
図5のA-A線及びB-B線に沿って切断した断面における圧力分布及び流速ベクトルを示す図
【
図8】第2実施形態による微細気泡発生器を示す断面図
【
図9】第2実施形態について、
図8のX9-X9線に沿って切断した微細気泡発生器を拡大して示す断面図
【
図10】第3実施形態による微細気泡発生器を示す断面図
【
図11】第3実施形態について、
図10のX11-X11線に沿って切断した微細気泡発生器を拡大して示す断面図
【
図12】第4実施形態による微細気泡発生器を示す断面図
【
図13】第1実施形態による微細気泡発生器を基にした第5実施形態による微細気泡発生器を示す断面図
【
図14】第2実施形態による微細気泡発生器を基にした第5実施形態による微細気泡発生器を示す断面図
【
図15】第5実施形態について、
図13及び
図14のX15-X15線に沿って切断した微細気泡発生器を拡大して示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、複数の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各実施形態で実質的に同一の要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0009】
(第1実施形態)
第1実施形態による微細気泡発生器について、
図1~
図7を参照して説明する。
図1及び
図2は、本実施形態による微細気泡発生器60を、例えば洗濯機10、20のような水を使用する家電機器に適用した例である。
【0010】
図1に示す洗濯機10は、外箱11、水槽12、回転槽13、扉14、モータ15、及び排水弁16を備えている。なお、
図1の左側を洗濯機10の前側とし、
図1の右側を洗濯機10の後側とする。また、洗濯機10の設置面側つまり鉛直下側を、洗濯機10の下側とし、設置面と反対側つまり鉛直上側を、洗濯機10の上側とする。洗濯機10は、回転槽13の回転軸が水平又は後方へ向かって下降傾斜したいわゆる横軸型のドラム式洗濯機である。この場合、水槽12及び回転槽13は、洗濯物を収納する洗濯槽として機能する。
【0011】
図2に示す洗濯機20は、外箱21、水槽22、回転槽23、内蓋241、外蓋242、モータ25、及び排水弁26を備えている。なお、
図2の左側を洗濯機20の前側とし、
図2の右側を洗濯機20の後側とする。また、洗濯機20の設置面側つまり鉛直下側を、洗濯機20の下側とし、設置面と反対側つまり鉛直上側を、洗濯機20の上側とする。洗濯機20は、回転槽23の回転軸が鉛直方向を向いた縦型洗濯機である。この場合、水槽22及び回転槽23は、洗濯物を収納する洗濯槽として機能する。
【0012】
図1及び
図2に示すように、洗濯機10、20は、それぞれ注水装置30を備えている。注水装置30は、それぞれ外箱11、21内の上後部に設けられている。注水装置30は、
図1及び
図2に示すように、給水ホース100を介して、例えば図示しない水道の蛇口など外部の水源に接続される。
【0013】
注水装置30は、
図1及び
図2に示すように、注水ホース301、注水ケース40、電磁給水弁50、及び微細気泡発生器60を有している。注水ケース40は、全体として容器状に形成されており、内部に洗剤や柔軟剤等を収容可能に構成されている。注水ケース40は、
図3にその一部を示すように、ケース本体41、吐出空間42、微細気泡発生器収容部43、連通部44、及び給気口45を有している。
【0014】
ケース本体41は、中空の容器状に形成されて、注水ケース40の外側形状を構成している。詳細は図示しないが、ケース本体41内には、洗剤を収納する洗剤ケースや柔軟剤を収納する柔軟剤ケースが出し引き可能に設けられている。吐出空間42は、ケース本体41の内部に形成された空間であり、電磁給水弁50から供給された水の吐出を受ける部分である。
【0015】
微細気泡発生器収容部43は、ケース本体41に微細気泡発生器60を収容し取り付けるための空間であり、外部に連通している。微細気泡発生器収容部43は、例えば内径が異なる複数の円筒形状によって、いわゆる段付きの円筒形状に形成されている。本実施形態の場合、微細気泡発生器収容部43の内径は、ケース本体41の外側からケース本体41の内側へむかうにつれて段階的に小さくなっている。
【0016】
連通部44は、吐出空間42と微細気泡発生器収容部43との間を例えば円筒形状に貫いて形成されている。連通部44によって、吐出空間42と微細気泡発生器収容部43との間は連通している。給気口45は、ケース本体41のうち微細気泡発生器収容部43を形成する周壁部を例えば円形に貫いて形成されており、ケース本体41の外部と微細気泡発生器収容部43内とを連通している。
【0017】
電磁給水弁50は、
図1及び
図2に示すように、外部の水源と注水ケース40との間、すなわち給水ホース100と注水ケース40との間に設けられている。注水ホース301は、注水ケース40と、水槽12、22内とを接続している。電磁給水弁50は、外部の水源から注水ケース40を介して水槽12、22内に給水する給水経路を開閉するものであり、図示しない洗濯機10、20の制御装置からの制御信号によって開閉動作が制御される。
【0018】
電磁給水弁50が開状態になると、外部の水源からの水は、電磁給水弁50、注水ケース40、及び注水ホース301を介して、水槽12、22内に注水される。その際、注水ケース40内に洗剤や柔軟剤が収容されていれば、その洗剤や柔軟剤は、注水ケース40内を通過する水によって水槽12、22内に流し落とされる。そして、電磁給水弁50が閉状態になると水槽12、22内に対する注水が停止される。
【0019】
電磁給水弁50は、
図3に示すように、流入部51と吐出部52とを有している。流入部51は、
図1又は
図2に示すように、給水ホース100に接続されている。吐出部52は、
図3に示すように、注水ケース40に接続されている。また、吐出部52は、例えばフランジ部521を有している。フランジ部521には、ねじ等の締結部材53が通される。そして、この締結部材53は、ケース本体41の壁部にねじ込まれる。これにより、吐出部52は、ケース本体41に取り付けられる。
【0020】
微細気泡発生器60は、水等の液体が微細気泡発生器60の内部を通過する際に、その液体の圧力を急激に減圧することで、その液体中に溶存している気体例えば空気を析出させて微細気泡を発生させるものである。本実施形態の微細気泡発生器60は、水道圧を印加することによって、直径100μm以下の気泡を含む微細気泡いわゆるファインバブルを発生させることができる。更に本実施形態の微細気泡発生器60は、粒径がナノオーダーのウルトラファインバブルを含むファインバブルを発生させることができる。なお、本実施形態では、粒径が100μm以下の気泡をファインバブルと称し、粒径が1μm以下つまりナノオーダーの気泡をウルトラファインバブルと称する。
【0021】
図3の例において、電磁給水弁50の吐出部52から吐出された水は、微細気泡発生器60内を
図3の右側から左側へ向かって流れる。この場合、
図3に示された微細気泡発生器60について見ると、
図3の紙面右側が微細気泡発生器60の上流側となり、
図3の紙面左側が微細気泡発生器60の下流側となる。
【0022】
微細気泡発生器60は、
図4に示すように、全体として段付きの円筒形状に形成されている。
図3に示すように、微細気泡発生器60は、注水ケース40の微細気泡発生器収容部43内に収容されている。この場合、微細気泡発生器収容部43の内面と微細気泡発生器60の外面との間には、ケース側シール部材46が設けられている。ケース側シール部材46は、例えばゴム等の弾性部材で構成されたOリングである。
【0023】
ケース側シール部材46は、微細気泡発生器収容部43の内面と微細気泡発生器60の外面との間を気密及び水密に維持する。これにより、ケース側シール部材46は、例えば注水ケース40の吐出空間42に充満した液体が、微細気泡発生器収容部43の内面と微細気泡発生器60の外面との隙間を通って注水ケース40外へ逆流することを防いでいる。なお、ケース側シール部材46は、例えば注水ケース40又は微細気泡発生器60と一体に構成しても良い。
【0024】
微細気泡発生器60は、樹脂製であって、
図4に示すように、別体に構成された第1流路部材70と第2流路部材80と組み合わせて構成されている。第1流路部材70は、フランジ部71を一体に有し、全体として段付きの円筒形状に形成されている。
【0025】
また、第1流路部材70は、第1流路72と衝突部73とを有している。第1流路72は、液体が通過可能な流路であって、第1流路部材70を一方向に貫いて形成されている。第1流路72は、絞り部721とストレート部722とを含んで構成されている。絞り部721は、第1流路部材70の上流側から下流側つまり衝突部73側へ向かって内径が縮小する形状に形成されている。すなわち、絞り部721は、流路の断面積つまり液体の通過可能な領域の面積が上流側から下流側へ向かって連続的に徐々に減少するようないわゆる円錐形のテーパ管状に形成されている。
【0026】
ストレート部722は、絞り部721の下流側に設けられている。ストレート部722は、内径が変化しない、すなわち流路の断面積つまり液体の通過可能な領域の面積が変化しない円筒形、いわゆるストレート管状に形成されている。
【0027】
衝突部73は、第1流路72のストレート部722内に設けられており、流路であるストレート部722の断面積を局所的に縮小することでストレート部722を通過する液体中に溶存している空気を微細気泡として析出させる。衝突部73は、絞り部721及びストレート部722を構成する部材つまり第1流路部材70に一体に形成されている。本実施形態の場合、衝突部73は、第1流路72の下流端部つまりストレート部722の下流端部に設けられている。なお、衝突部73は、ストレート部722の途中部分に設けられていても良い。
【0028】
衝突部73は、少なくとも1つの突出部731を有して構成されている。本実施形態の場合、衝突部73は、
図5及び
図6に示すように、複数の突出部731、この場合、4本の突出部731によって構成されている。各突出部731は、ストレート部722の断面の周方向に向かって相互に等間隔に離間した状態で配置されている。
【0029】
各突出部731は、ストレート部722の内周面からストレート部722の径方向の中心へ向かって突出した棒状又は板状に形成されている。本実施形態において、各突出部731は、ストレート部722の径方向の中心へ向かって先端部が尖った板状であり、かつ液体が通過する方向に所定の長さ、例えば3mm以上の長さを有する形状に形成されている。そして、各突出部731の先端部分は、微細気泡の発生に必要な所定のギャップが確保されている。
【0030】
ストレート部722に流入した液体は、第1流路72のストレート部722において突出部731が設けられていない箇所を通る。この場合、
図5及び
図6に示すように、ストレート部722を断面方向に見た場合において突出部731が設けられていない隙間部分、つまりストレート部722に流入した液体が通過する部分を、通過領域732と称する。
【0031】
図4に示すように、第2流路部材80は、第1流路部材70のうち少なくとも衝突部73部分を内部に収容している。本実施形態の場合、第2流路部材80は、第1流路部材70全体を内部に収容している。なお、第1流路部材70の一部分、例えばフランジ部71が、第2流路部材80の第1流路部材収容部82から外部に突出し、電磁給水弁50の吐出部52が第1流路部材70に直接挿入される構成であっても良い。
【0032】
第2流路部材80は、
図4に示すように、吐出部挿入部81、第1流路部材収容部82、及び第2流路83を有している。吐出部挿入部81、第1流路部材収容部82、及び第2流路83は、第2流路部材80内に形成されて相互に連通している。本実施形態の場合、吐出部挿入部81、第1流路部材収容部82、及び第2流路83は、上流側から下流側へ向かって内径が小さくなる段付きの円筒形状に形成されている。
【0033】
吐出部挿入部81は、第2流路部材80における上流側に設けられている。吐出部挿入部81には、
図3に示すように、電磁給水弁50の吐出部52の先端部分が挿入される。吐出部挿入部81の内面との吐出部52の外面との間には、給水弁用シール部材54が設けられている。給水弁用シール部材54は、例えばゴム等の弾性部材で構成されたOリングである。
【0034】
給水弁用シール部材54は、吐出部挿入部81の内面との吐出部52の外面との間を気密及び水密に維持する。これにより、給水弁用シール部材54は、吐出部52から微細気泡発生器60に供給された液体が、吐出部挿入部81の内面との吐出部52の外面との隙間から漏れ出すことを防いでいる。なお、給水弁用シール部材54は、例えば微細気泡発生器60又は吐出部52と一体に構成しても良い。
【0035】
図4に示すように、第1流路部材収容部82は、吐出部挿入部81の下流側でかつ第2流路83の上流側に設けられている。第1流路部材70は、第2流路部材80の内部に形成された第1流路部材収容部82に収容されている。
【0036】
第1流路部材収容部82の内面と第1流路部材70の外面との間には、発生器内シール部材61が設けられている。発生器内シール部材61は、例えばゴム等の弾性部材で構成されたOリングである。発生器内シール部材61は、第1流路部材収容部82の内面と第1流路部材70の外面との間を気密及び水密に維持する。これにより、発生器内シール部材61は、第1流路部材70に供給された液体が、第1流路部材70の外側に回り込んで衝突部73を通らずに衝突部73の下流側に至ることを防いでいる。また、発生器内シール部材61は、第1流路部材70から吐出された液体が第1流路部材収容部82の内面と第1流路部材70の外面との隙間を通って逆流することを防いでいる。なお、発生器内シール部材61は、例えば第1流路部材70又は第2流路部材80と一体に構成しても良い。
【0037】
第2流路83は、液体が通過可能な流路であって、吐出部挿入部81及び第1流路部材収容部82の下流側に設けられている。本実施形態の場合、第2流路83の内径は、第1流路部材70において衝突部73が設けられている部分の内径、この場合、ストレート部722の内径と同等に設定されている。微細気泡発生器60内を通過する液体は、第2流路83から微細気泡発生器60の外部へ吐出される。
【0038】
また、微細気泡発生器60は、外気導入経路62を備えている。外気導入経路62は、微細気泡発生器60の外部と内部とを連通し、微細気泡発生器60の外部の空気を微細気泡発生器60内に取り込むための通気経路である。外気導入経路62は、第1流路部材70と第2流路部材80との間に設けられた隙間によって構成されている。本実施形態の場合、外気導入経路62の断面積は、衝突部73の通過領域732の面積よりも小さい。
【0039】
ここで、外気導入経路62において、微細気泡発生器60の外部側を上流側とし、微細気泡発生器60の内部側を下流側とする。本実施形態の場合、外気導入経路62は、第1経路部621と、第2経路部622と、第3経路部623と、を含んで構成されている。第1経路部621は、第2流路部材80の外周面側から内周面側へ向かって貫いた穴であり、第2流路部材80の径方向の外側から中心側へ向かって延びている。第1経路部621は、第2流路部材80の外部と内部、この場合、第1流路部材収容部82内とを連通している。第1経路部621の内径は、ケース本体41に形成された給気口45の内径よりも小さい。
【0040】
第2経路部622は、
図5にも示すように、第2流路部材80の内面、この場合、第1流路部材収容部82の内周面に溝状に形成されており、微細気泡発生器60内を流れる液体の流れ方向に沿って延びている。第2経路部622の上流側の端部は、第1経路部621に接続されている。第2経路部622の下流側の端部は、第1流路部材収容部82と第2流路83との境界部分、つまり第1流路部材70の下流側の端部部分まで延びている。
【0041】
この場合、第2経路部622の上流側の端部は、微細気泡発生器60内を流れる液体の流れ方向に対して、衝突部73よりも上流側に位置している。また、第2経路部622の下流側の端部は、微細気泡発生器60内を流れる液体の流れ方向に対して、衝突部73よりも下流側に位置している。このため、第2経路部622の長さ寸法は、衝突部73の長さ寸法よりも長い。
【0042】
第3経路部623は、
図6にも示すように、第2流路部材80の内面、この場合、第1流路部材収容部82の下流側の段差部分の底面を溝状の掘るようにして形成されており、微細気泡発生器60の径方向の中心側へ向かって延びている。すなわち、第3経路部623は、第2経路部622に対して直角方向に伸びている。第3経路部623の上流側の端部は、第2経路部622の下流側の端部に接続されている。また、第3経路部623の下流側の端部は、第2流路83内に接続されている。
【0043】
この場合、第3経路部623の下流側の端部は、第1流路部材収容部82と第2流路83との境界部分、つまり第1流路部材70の下流側の端部部分まで延びて、第2流路83内に接続されている。また、第3経路部623の下流側の端部は、
図6に示すように、第1流路72の周方向に隣接する2つの突出部731の間に接続されている。
【0044】
図4に示すように、第1流路部材70が第2流路部材80の第1流路部材収容部82に収容された状態において、第1流路部材70の外面と、第2流路部材80における第1流路部材収容部82の内面とは、外気導入経路62を除いて、つまり第2経路部622及び第3経路部623を除いて気密及び水密となるように密着している。そのため、第1流路部材70が第2流路部材80の第1流路部材収容部82内に組み込まれた状態では、第2経路部622及び第3経路部623の溝形状の開放部分は、第1流路部材70の外面によって覆われる。このようにして、第1流路部材70と第2流路部材80との間の隙間によって、微細気泡発生器60の外部と内部とを連通された外気導入経路62が形成されている。
【0045】
また、第1経路部621の上流側の端部つまり第1流路部材70の外部に繋がる端部は、ケース本体41に設けられた給気口45に対応している。本実施形態の場合、第1経路部621の内径は、ケース本体41に形成された給気口45の内径よりも小さい。そして、微細気泡発生器60がケース本体41の微細気泡発生器収容部43内に収容された状態において、第1経路部621は、給気口45と重なる位置に配置される。これにより、微細気泡発生器60がケース本体41に組み付けられた状態において、外気導入経路62は、ケース本体41の給気口45を介してケース本体41の外部に連通している。
【0046】
また、外気導入経路62のうち少なくとも第2流路83に繋がる第3経路部623は、その太さが1mm以下に設定されている。本実施形態の場合、外気導入経路62を構成する各経路部621、622、623は、いずれも太さが1mm以下に設定されている。例えば外気導入経路62の断面が円形であれば、その円の直径は1mm以下に設定されており、外気導入経路62の断面が矩形であれば、その矩形の縦寸法及び横寸法は、いずれも1mm以下に設定されている。
【0047】
これは、次のような理由による。すなわち、外気導入経路62のうち特に第2流路83に繋がる第3経路部623が太すぎると、流路72、83内に導入される外気が過剰となってしまい、ミリサイズの比較的大きな気泡が増加してしまう。すると、その大きな気泡が流路72、83内の液体の流れを妨げることで流量が低下してしまい、その結果、微細気泡を増加させるという効果がかえって得られ難くなってしまうからである。更に、外気導入経路62が太すぎると、流路72、83内の液体が、外気導入経路62を逆流して微細気泡発生器60から漏れ出す可能性も高まるためである。
【0048】
なお、微細気泡発生器60の第1経路部621とケース本体41の給気口45との位置合わせは、種々の方法が考えられる。例えば微細気泡発生器60の第2流路部材80とケース本体41の微細気泡発生器収容部43とに、それぞれ対応するDカット形状を設けることで、第1経路部621と給気口45との位置合わせを行うようにしても良い。
【0049】
以上説明した実施形態によれば、微細気泡発生器60は、第1流路部材70と、第2流路部材80と、外気導入経路62と、を備える。第1流路部材70は、液体が通過可能な第1流路72と、第1流路72の断面積を局所的に縮小することで第1流路72を通過する液体中に微細気泡を発生させる衝突部73と、を有する。第2流路部材80は、第1流路部材70の少なくとも衝突部73を内部に収容する。第2流路部材80は、第1流路部材70の下流側に設けられ液体が通過可能な第2流路83と、を有する。外気導入経路62は、第1流路72又は第2流路83の内部と外部とを連通しており、外気を第1流路72内又は第2流路83内に引き込むことが可能に構成されている。
【0050】
この構成において、電磁給水弁50が動作して微細気泡発生器60の上流端部つまり第1流路部材70に水道圧が印加されると、まず、第1流路部材70の絞り部721からストレート部722にかけて水道水が流れる。水道水は、気体として主に空気が溶け込んだ気体溶解液体である。第1流路部材70内を通過する水は、絞り部721を通過する際に絞られて徐々に流速が増加していく。
【0051】
そして、高速流となった水が衝突部73に衝突し通過すると、その水の圧力が急激に低下する。その急激な圧力低下によって生じるキャビテーション効果により、水に溶存している空気が沸騰状態となって微細気泡として析出する。これにより、微細気泡発生器60は、第1流路部材70を通過する水の中に、いわゆるウルトラファインバブルやファインバブルを含む主に粒径が50μm以下の微細気泡を発生させる。特に本実施例の場合、衝突部73の突出部731は、板状で液体が通過する方向に所定の長さ、例えば3mm以上の長さを有するいわば長尺に形成されているため、前記した先行技術文献のような棒状のものと異なり、キャビテーション効果が得られる領域が長い。これにより、微細気泡発生器60は、液体が衝突部73を通過する期間、換言すれば微細気泡を析出する時間を長く確保することができ、その結果、発生する微細気泡の量を増大させることができる。
【0052】
このとき、液体が衝突部73を高速で流れるため、ストレート部722のうち衝突部73が設けられている領域、及び衝突部73の下流側つまり第2流路83と衝突部73との境界部分は、負圧になる。そのため、微細気泡発生器60の外部の空気は、外気導入経路62を通って微細気泡発生器60の第2流路83内に引き込まれる。外気導入経路62を通って第2流路83内に引き込まれた空気は、第2流路83内で気泡となって、衝突部73を通過して第2流路83内に流入した高速流に曝される。そして、高速流に曝された気泡は、その高速流のせん断応力によって破砕されて、粒径が50μm以下の微細気泡にまで細分化される。
【0053】
このように、本実施形態によれば、液体が微細気泡発生器60内を通過する際、液体の流れによる負圧によって、微細気泡発生器60の外部の空気が外気導入経路62を通って微細気泡発生器60内に引き込まれる。これにより、微細気泡発生器60は、予め液体中に溶存していた溶存空気だけでなく、外部からも空気を導入することで、微細気泡の生成効率を更に向上させることができる。その結果、微細気泡の生成効率が向上して濃度の高い微細気泡水を生成することができる。
【0054】
また、外気導入経路62は、外気導入経路62の全域うち少なくとも一部に、第1流路部材70と第2流路部材80との間に形成された隙間を含んで構成されている。これによれば、第1流路部材70又は第2流路部材80に対して複雑な加工を行うことなく、簡単な構成で、外気導入経路62を形成することができる。
【0055】
また、外気導入経路62は、第1流路72と第2流路83との境界部分に接続されている。この場合、第1流路72と第2流路83との境界部分は、衝突部73を通過した直後の液体が流れる箇所であるため、
図7に示すように流速が速く負圧となっている。すなわち、外気導入経路62は、液体が衝突部73を通過する際に負圧となる負圧領域に接続されている。そのため、外気導入経路62を、負圧となる第1流路72と第2流路83との境界部分つまり負圧領域に接続することで、第1流路72及び第2流路83に生じる負圧によって多量の外気を効率良く第2流路83内に引き込むことができる。
【0056】
そして、第2流路83内に引き込まれた外気による多量の気泡が、第2流路83内における高速流に曝されることで、より多くの気泡を破砕し、より多くの微細気泡へと細分化することができる。この結果、微細気泡の生成効率が更に向上してより濃度の高い微細気泡水を生成することができる。
【0057】
ここで、衝突部73周辺における圧力及び流速の分布、つまり通過領域732を通過する液体の圧力及び流速の分布を見ると、
図7に示すように、衝突部73における径方向の中心付近つまり突出部731の先端付近よりも、衝突部73の径方向の外側つまり突出部731の付け根部分の方が、低圧で流速も速い。
【0058】
そこで、本実施形態において、外気導入経路62の下流側の端部は、
図6に示すように、第1流路72の周方向に隣接する2つの突出部731の間、つまり突出部731の付け根部分であって第1流路72の内周面に接続されている。すなわち、外気導入経路62は、液体が衝突部73を通過する際に負圧となる負圧領域に接続されている。
【0059】
これによれば、微細気泡発生器60の空気を、第1流路72及び第2流路83のうち圧力がより低くかつ流速がより速い箇所、つまり隣接する突出部731間であって突出部731の付け根部分に引き込むことができる。これにより、外部から引き込んだ空気による気泡を、第1流路72及び第2流路83のうち圧力がより低くかつ流速がより速い箇所に曝すことで、その気泡を更に効率良く微細化させることができる。その結果、微細気泡の生成効率が更に向上してより濃度の高い微細気泡水を生成することができる。
【0060】
また、第2流路部材80は、内部に第1流路部材70を収容する第1流路部材収容部82を有している。そして、外気導入経路62は、第1流路部材収容部82の内面に設けられた溝である第2経路部622及び第3経路部623を含んで構成されている。すなわち、本実施形態において、外気導入経路62は、第1経路部621と、第2経路部622と、第3経路部623と、を有している。そして、第1経路部621と第2経路部622と第3経路部623とのうち、第2経路部622及び第3経路部623は、第1流路部材収容部82の内面に設けられた溝によって構成されている。
【0061】
これによれば、第2経路部622及び第3経路部623を、第1流路部材収容部82の内面に設けられた溝で構成することで、経路部全体を細い穴で構成する場合と異なり、加工中に混入しがちなカスなどの異物による経路途中の目詰まり有無の検査が容易となり、しかも経路内の異物の除去も容易にできるなど、簡単な構成でかつ外気を意図した箇所に引き込むことができる。したがって、微細気泡発生器60による微細気泡の生成効率を更に向上して濃度の高い微細気泡水を生成することができるとともに、外気導入経路62を設けたことによる微細気泡発生器60の製造性の低下を極力抑制することができる。
【0062】
また、第1流路部材70の外面と第2流路部材80における第1流路部材収容部82の内面とは、外気導入経路62を除いて気密及び水密となるように密着している。つまり、本実施形態の場合、第1流路部材70と第2流路部材80との間には、外気導入経路62を除いて他に外気等が流入可能な隙間が存在していない。これによれば、外気導入経路62以外の隙間から意図しない空気が混入してしまい、微細気泡発生器60による微細気泡の生成効率がかえって低下してしまうことを抑制できる。また、外気導入経路62以外の隙間から微細気泡発生器60を通過する液体が漏れてしまうことを抑制できる。
【0063】
更に、微細気泡発生器60を採用した洗濯機10、20は、微細気泡発生器60の作用により、注水ケース40を通して水槽12、22内に注水される水にウルトラファインバブルを含む微細気泡を含ませることができる。ここで、洗剤の主成分である陰イオン(アニオン)界面活性剤及び微細気泡水中の微細気泡は、それぞれ個別でも汚れを落とす洗浄能力を有している。しかし、例えば微細気泡を含む水に洗剤を溶解させるなどして濃縮洗剤水に微細気泡を付与すると、疎水相互作用と称される分子間に働く引力的相互作用によって洗剤中の界面活性剤と微細気泡が吸着し、これにより界面活性剤の凝集つまりミセルがほぐれて水中に分散し易くなる。その結果、界面活性剤が汚れと短時間で反応し易い状態となって洗浄能力が向上する。
【0064】
すなわち、微細気泡を含む水に洗剤を溶解させて洗濯液を生成することで、洗剤中の界面活性剤と微細気泡との相互作用が働き、その結果、水道水に洗剤を溶かしただけの単なる洗濯液と比べて、洗浄能力を格段に高めることができる。また、汚れが乳化されて水中に分散し易くなるため、衣類に汚れが再付着することを防ぐ効果も期待できる。このような理由により、本実施形態の洗濯液は、通常の水道水に洗剤を溶かした洗濯液よりも洗浄能力が高いものとなっている。その結果、洗濯機10、20は、高い洗浄能力を発揮することができる。
【0065】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、
図8及び
図9を参照して説明する。
本実施形態の微細気泡発生器60は、上記第1実施形態の外気導入経路62に換えて、
図8に示す外気導入経路63を備えている。本実施形態の外気導入経路63は、第1経路部631と、第2経路部632と、第3経路部633と、を含んで構成されている。そして、本実施形態は、第2経路部632及び第3経路部633が、第2流路部材80の外面に形成された溝である点で、上記第1実施形態と異なる。
【0066】
すなわち、第1経路部631は、上記第1実施形態の第1経路部621と同様に、第2流路部材80の外周面側から内周面側へ向かって貫いた穴であり、第2流路部材80の径方向の外側から中心側へ向かって延びている。第2経路部632及び第3経路部633は、第1流路部材70の外面を溝形状に掘るようにして形成されている。すなわち、本実施形態において、外気導入経路63のうち第2経路部632及び第3経路部633は、第1流路部材70の外面に設けられた溝状によって構成されている。
【0067】
この場合、第1流路部材70が第2流路部材80の第1流路部材収容部82内に組み込まれた状態では、第2経路部632及び第3経路部633の溝形状の開放部分は、第2流路部材80の内面によって覆われる。そして、第3経路部633は、通過領域732の途中部分、衝突部73を通過する液体の流れ方向において衝突部73が設けられている領域の途中部分に接続されている。つまり、本実施形態の外気導入経路63は、衝突部73の途中部分に接続されている。
【0068】
また、上記第1実施形態の外気導入経路62と同様に、本実施形態の外気導入経路63も、各経路部631、632、633のうち少なくとも第2流路83に繋がる第3経路部633は、その太さが1mm以下に設定されている。この場合、外気導入経路63を構成する各経路部631、632、633は、いずれも太さが1mm以下に設定されている。
【0069】
これによれば、上記第1実施形態と同様の作用効果が得られる。
すなわち、本実施形態において、衝突部73の各突出部731は、前記したように板状で長尺に形成されており、また、外気導入経路63は、衝突部73の途中部分に接続されている。このため、衝突部73を通過する液体に長時間のキャビテーション効果を作用させることができるだけでなく、更には衝突部73の途中部分に導入された外気にもそのキャビテーション効果を作用させて外気を粉砕することができる。その結果、外気導入経路63から導入した外気を、より効率的に微細気泡に細分化することができる。
【0070】
また、第2経路部632及び第3経路部633は、第1流路部材70の外面に設けられた溝状で構成されている。このため、第2経路部632及び第3経路部633の加工を、第1流路部材70の外側から行うことができるため、加工がし易くなり、その結果、生産性の向上が図られる。
【0071】
なお、第2流路部材80に設けられた第1経路部631と、第1流路部材70に設けられた第2経路部632との位置合わせは、種々の方法が考えられる。例えば第1流路部材70の外面と第2流路部材80の第1流路部材収容部82とに、それぞれ対応するDカット形状を設けることで、第1経路部631と第2経路部632との位置合わせを行うようにしても良い。
【0072】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について、
図10及び
図11を参照して説明する。
図10及び
図11に示す微細気泡発生器60は、上記第1実施形態の微細気泡発生器60の構成に加えて、先端部シール部材64を備えている。先端部シール部材64は、例えばゴム等の弾性部材で構成されたOリングである。先端部シール部材64は、第1流路部材70の先端部と第2流路部材80の第1流路部材収容部82の内面との間に設けられている。この場合、先端部シール部材64は、例えば
図11に示すように、第3経路部623を避けたC字形の円弧状に形成されている。
【0073】
これによれば、先端部シール部材64によって、第1流路部材70の先端部と第2流路部材80の第1流路部材収容部82の内面との間を気密及び水密に維持することができる。このため、第1流路部材70の先端部と第2流路部材80の内面との間から、第3経路部623を通る空気が漏れ出てしまうことを抑制でき、これにより、外気導入経路62を通る外気を効率良く微細気泡発生器60内に引き込むことができる。その結果、微細気泡の生成効率が向上して濃度の高い微細気泡水を生成することができる。
【0074】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について、
図12を参照して説明する。
微細気泡発生器60は、
図12に示すように、第1流路部材テーパ面74と、第2流路部材テーパ面84と、を備える構成としても良い。第1流路部材テーパ面74は、第1流路部材70の先端部の外周面に設けられたテーパ形状の面である。また、第2流路部材テーパ面84は、第2流路部材80の内周面、この場合、第1流路部材収容部82の下流側に設けられたテーパ形状の面である。
【0075】
第1流路部材テーパ面74と第2流路部材テーパ面84とは、相互に嵌合するように形成されている。この場合、第1流路部材テーパ面74及び第2流路部材テーパ面84は、下流側へ行くほど先細るように、つまり下流側へ行くほど第1流路72及び第2流路83の径方向の内側へ向かうように傾斜している。また、外気導入経路62のうち第2経路部622は、第1流路部材テーパ面74及び第2流路部材テーパ面84に沿って傾斜している。
【0076】
第1流路部材70は、第1流路部材テーパ面74を第2流路部材テーパ面84に嵌め込むようにして第1流路部材収容部82に差し込まれる。これにより、第1流路部材テーパ面74と第2流路部材テーパ面84とが密着する。したがって、これによれば、先端部シール部材64を用いることなく、第1流路部材70と第2流路部材80と間を、外気導入経路62を除いて気密及び水密に維持することができる。
【0077】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について、
図13~
図15を参照して説明する。
上記各実施形態において、外気導入経路62、63から微細気泡発生器60内に取り込む外気は空気に限られない。本実施形態において、
図13及び
図14に示す微細気泡発生器60は、微細気泡発生器60の外部で生成された例えばオゾン等のような機能性を有する気体を、外気導入経路62、63を通して微細気泡発生器60内に取り込むように構成されている。
【0078】
具体的には、
図13及び
図14に示す微細気泡発生器60において、外気導入経路62、63は、
図3に示す給気口45を介して、微細気泡発生器60の外部に設けられた図示しないオゾン発生装置に接続されている。すなわち、本実施形態において、注水ケース40の給気口45は、図示しないオゾン発生装置に接続されている。そして、このオゾン発生装置で生成されたオゾンは、給気口45及び外気導入経路62、63を通って、微細気泡発生器60内へ導入される。
【0079】
この場合、
図13に示す微細気泡発生器60は、
図4に示す第1実施形態の微細気泡発生器60の構成に加えて、更に衝突部85を備えている。また、
図14に示す微細気泡発生器60は、
図8に示す第2実施形態の微細気泡発生器60の構成に加えて、更に衝突部85を備えている。衝突部85は、第2流路部材80に一体に設けられており、第1流路部材70の衝突部73に対して下流側に位置している。なお、以下の説明では、第1流路部材70に設けられた衝突部73を、第1衝突部73と称し、第2流路部材80に設けられた衝突部85を、第2衝突部85と称する。
【0080】
第2衝突部85は、第2流路83内に設けられており、第2流路83の断面積を局所的に縮小することで、第2流路83を通過する液体中に溶存している気体、すなわち第1流路部材70の第1衝突部73で析出されなかった残りの溶存空気を微細気泡として析出させる。また、第2衝突部85は、第1衝突部73で発生した気泡のうち比較的サイズが大きいものや、外気導入経路62、63を介して導入されたオゾン等による気泡を破砕して、粒径がナノオーダーのウルトラファインバブルを含む微細気泡に微細化する。
【0081】
第2衝突部85は、第2流路83を構成する部材つまり第2流路部材80に一体に形成されている。本実施形態の場合、第2衝突部85は、外気導入経路62、63の出口部分の下流側でかつ第2流路83の下流端部に設けられている。なお、第2衝突部85は、外気導入経路62、63の出口部分の下流側であれば、第2流路83の途中部分に設けられていても良い。
【0082】
第2衝突部85は、少なくとも1つの第2突出部851を有して構成されている。本実施形態の場合、第2衝突部85は、第1衝突部73と同様に複数の第2突出部851、この場合、
図15に示すように、4本の第2突出部851によって構成されている。各第2突出部851は、第2流路83の断面の周方向に向かって相互に等間隔に離間した状態で配置されている。
【0083】
各第2突出部851は、第1突出部731と同様に、第2流路83の内周面から第2流路83の径方向の中心へ向かって突出した棒状又は板状に形成されている。本実施形態において、各第2突出部851は、第2流路83の径方向の中心へ向かって先端部が尖った錐状に形成されている。そして、各第2突出部851の先端部分は、微細気泡の発生に必要な所定のギャップが確保されている。
【0084】
第2流路83に流入した液体は、第2流路83において第2突出部851が設けられていない箇所を通る。この場合、
図15に示すように、第2流路83を断面方向に見た場合において第2突出部851が設けられていない隙間部分、つまり第2流路83に流入した液体が通過する部分を、第2通過領域852と称する。
【0085】
また、本実施形態の場合、第1衝突部73の各第1突出部731と、第2衝突部85の各第2突出部851とは、第1流路72及び第2流路83の周方向へ向かってずれている。この場合、第1衝突部73及び第2衝突部85は、それぞれ4つの第1突出部731及び第2突出部851を有している。そして、各第1突出部731及び第2突出部851は、第1流路72及び第2流路83の周方向へ向かって45°ずつ、ずらして配置されている。
【0086】
なお、第1突出部731と第2突出部851とをずらす角度は、45°に限られない。また、第1突出部731と第2突出部851とは、第1流路72及び第2流路83の周方向へ向かってずれていなくても良い。また、第1突出部731と第2突出部851との数は、同一である必要はなく、異なっていても良い。
【0087】
また、第1突出部731と第2突出部851との位置合わせは、種々の方法が考えられる。例えば第1流路部材70のフランジ部71と、第2流路部材80の第1流路部材収容部82とに、それぞれ対応するDカット形状を設けることで、第1突出部731と第2突出部851との位置合わせを行うようにしても良い。
【0088】
ここで、従来、例えば洗浄性能の向上や除菌機能の付与を目的として、機能性を有する気体例えばオゾンを水に溶け込ませてオゾン水を生成し、そのオゾン水を洗濯等の洗浄に使用することが考えられている。このような従来技術において、オゾン水の生成は、まずオゾンガスを生成し、そのオゾンガスを水中に供給していわゆるバブリングを行うことで行われていた。
【0089】
液体に対する気体の溶解性は、気体と液体との接触面積つまり単位量当たりの気液界面の総面積が大きくなるほど向上し、また、気体が液体中に滞留している時間が長くなるほど向上する。しかしながら、上述したバブリングのような従来方法によって水中に生成される気泡は、粒径が100μm~数mmといった比較的大きなサイズとなる。このため、バブリングで生成された気泡は、気泡の表面積が大きいことから単位量当たりにおける気体と液体との接触面積が小さい。また、バブリングで生成された気泡は、体積が大きいことから浮力が大きく、発生後直ぐに水面へ上昇して空気中へ放出されてしまうため、水中での滞留時間が短い。
【0090】
したがって、バブリングのような従来方法では、水に対する気体の溶解性は低く、必要な量の気体を液体に溶解させるためには、供給する気体の単位時間当たりの量を増やしたり供給時間を増やしたりする必要があった。このような事情から、バブリングのような従来方法では、オゾン水等の機能性気体を溶解させた液体を効率良く生成することが難しかった。
【0091】
一方、本実施形態によれば、微細気泡発生器60の外部で生成されたオゾンは、
図13及び
図14に示すように、まず、外気導入経路62、63を通って、微細気泡発生器60内における第1衝突部73の下流側の負圧領域又は第1衝突部73の途中部分の負圧領域に供給される。このため、第2流路83内の水が外気導入経路62を逆流することを防ぐことができるとともに、負圧によってより多くのオゾンを第2流路83内に引き込むことができる。
【0092】
そして、外気導入経路62、63を通って第2流路83内に供給されたオゾンは、第2流路83内で気泡となって、第1衝突部73を通過して第2流路83内に流入した高速流に曝される。そして、高速流に曝された気泡は、その高速流のせん断応力によって破砕され、更に第2衝突部85を通過することで、ウルトラファインバブルやファインバブルを含む主に粒径が50μm以下の微細気泡にまで細分化される。
【0093】
この場合、マイクロオーダー及びナノオーダーまで微細気泡化されたオゾンは、バブリングで生じるミリオーダーの気泡に比べて、水との接触面積が極めて増大するとともに、水中での滞留時間が極めて長くなる。これにより、微細気泡化されたオゾンが水に溶解し易くなり、その結果、オゾンを溶解させたオゾン水を効率良く生成することができる。このように、本実施形態によれば、液体中に供給した機能性気体を微細気泡化することで、機能性気体を溶解させた液体を効率良く生成することができる。
【0094】
更に、微細気泡化されたオゾンのうち水に溶解しなかった残りは、引き続き微細気泡として水中に長時間滞留する。このオゾンによる微細気泡は、空気による微細気泡と同様に、界面活性剤との相互作用によって、界面活性剤の洗浄能力を引き上げる作用を奏する。また、オゾンによる微細気泡は、オゾンによる殺菌や脱臭・消臭作用を奏する。このため、本実施形態のように、オゾンが溶解されかつオゾンによる微細気泡を含む微細気泡水は、洗剤を溶かした洗濯液はもちろん、洗濯物をすすぐすすぎ水としても好適である。
【0095】
なお、上記各実施形態において、微細気泡発生器60は、先端部シール部材64や、第1流路部材テーパ面74及び第2流路部材テーパ面84に換えて、第1流路部材70と第2流路部材80の間に位置し弾性変形又は塑性変形可能なリブを、第1流路部材70及び第2流路部材80のいずれか一方又は両方に一体に設けられていても良い。
【0096】
また、上記説明した各実施形態の微細気泡発生器60は、上述した洗濯機10、20以外にも、例えば食器洗浄機や温水便座など水道水を使用して洗浄する家電機器に適用することができる。水道水を使用する家電機器に微細気泡発生器60を適用することで、洗浄用の水道水を微細気泡が高濃度に含まれた微細気泡水にし、微細気泡による洗浄効果を付加させることができる。その結果、家電機器の付加価値を向上させることができる。
【0097】
また、上記実施形態の微細気泡発生器60は、樹脂成型品であるため、生産性が高くコストが安い。また、微細気泡発生器60は、微細気泡の発生に水道の圧力を用いており、ポンプや送風機等の装置を必要としないため、簡易な構成でかつ小型なものにすることができる。そのため、ユーザは、微細気泡発生器60を低コストで家電機器等に採用することができ、また微細気泡発生器60を採用することによる家電機器等の大型化を抑制できる。
【0098】
以上、本発明の複数の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0099】
図面中、10、20は洗濯機(家電機器)、60は微細気泡発生器、62、63は外気導入経路、70は第1流路部材、72は第1流路、73は衝突部、731は突出部、80は第2流路部材、82は第1流路部材収容部、83は第2流路、を示す。