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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-20
(45)【発行日】2023-03-29
(54)【発明の名称】通信機器用ラック
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/20 20060101AFI20230322BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20230322BHJP
【FI】
G06F1/20 C
H05K7/20 U
G06F1/20 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018159230
(22)【出願日】2018-08-28
(65)【公開番号】P2020035053
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-05-14
(73)【特許権者】
【識別番号】593063161
【氏名又は名称】株式会社NTTファシリティーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】津田 晃宏
(72)【発明者】
【氏名】三野 洋介
【審査官】征矢 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-190222(JP,A)
【文献】特開平02-068996(JP,A)
【文献】特開平04-163994(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F1/20
H05K7/18;7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1台の情報通信技術用機器が搭載可能な通信機器用ラックにおいて、
情報通信技術用機器が収納される収納空間と外部とを区画する筐体であって、当該収納空間の一部を開放する作業用開口が設けられた筐体と、
前記作業用開口を開閉するための扉部であって、空気が流通可能な通気口が設けられた扉部と、
前記扉部に設けられ、前記通気口から前記収納空間内に突出した通気ダクトとを備え、
前記筐体内には、上下方向に延びる複数の柱が設けられ、少なくとも2本の前記柱間には、当該2本の柱間を渡す梁が予め決められた間隔(以下、配置間隔という。)で配置されており、
前記扉部は、
前記通気口より大きい開口が設けられた枠状の扉本体、及び
前記開口の一部を閉塞することにより、前記扉部に前記通気口を形成するとともに、配置間隔毎に切断用ミシン目が設けられた板状のブランクパネルを有して構成されており、
前記扉本体には、前記ブランクパネルが着脱自在に装着可能な装着部が設けられ、
前記通気ダクトは、少なくとも2本のダクト装着部を介して前記扉本体に固定されており、
前記ダクト装着部それぞれには複数のクリップが設けられ、それらクリップは、当該クリップの弾性変形を利用して前記通気ダクトを挟持する通信機器用ラック
【請求項2】
前記通気ダクトは、少なくとも前記筐体の前方側に位置している請求項1に記載の通信機器用ラック。
【請求項3】
前記通気ダクトは、少なくとも前記筐体の後方側に位置している請求項1に記載の通信機器用ラック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、少なくとも1台の情報通信技術用機器(以下、ICT装置ともいう。)が搭載可能な通信機器用ラック(以下、ラックと略す。)に関する。
【背景技術】
【0002】
ICT装置は、ラック内で収納された状態で稼働する。このため、例えば、特許文献1に記載のラックでは、ICT装置に設けられた吸気ファンに対向する位置に吸気用の開口が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-166100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ICT装置は、ラック内に収納された状態で稼働する。このため、ラック内に吸引された冷却用の新気(以下、吸気ともいう。)とICT装置から排出された排気とがラック内で混合してしまうと、ICT装置の冷却効率が低下してしまう。
【0005】
本開示は、ICT装置の整備性が低下することを抑制しながら、ICT装置の冷却効率の低下を抑制可能なラックの一例を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
少なくとも1台の情報通信技術用機器が搭載可能な通信機器用ラックは、例えば、以下の構成要件のうち少なくとも1つを備えることが望ましい。
すなわち、当該構成要件は、情報通信技術用機器が収納される収納空間(31A)と外部とを区画する筐体(31)であって、当該収納空間(31A)の一部を開放する作業用開口(31F、31G)が設けられた筐体(31)と、作業用開口(31F、31G)を開閉するための扉部(32、35)であって、空気が流通可能な通気口(32A、35A)が設けられた扉部(32、35)と、扉部(32、35)に設けられ、通気口(32A、35A)から収納空間(31A)内に突出した通気ダクト(33)とである。
【0007】
これにより、当該ラックでは、通気ダクト(33)により吸気と排気との混合が抑制される。すなわち、通気ダクト(33)が、例えば吸気が流通するダクトである場合、排気と吸気との混合が当該通気ダクト(33)により抑制される。通気ダクト(33)が、例えば排気が流通するダクトである場合、排気と吸気との混合が当該通気ダクト(33)により抑制される。
【0008】
そして、通気ダクト(33)が扉部(32、35)に設けられているので、扉部(32、35)が開かれて作業用開口(31F、31G)が開放されると、通気ダクト(33)は、当該作業用開口(31F、31G)から消失した状態となる。したがって、ICT装置側に突出した通気ダクト(33)が設けられた構成であっても、ICT装置の整備性が低下することが抑制され得る。
【0009】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係るサーバ室の構成を示す図である。
図2】第1実施形態に係るラックの構成を示す図である。
図3】第1実施形態に係るラックの構成を示す図である。
図4】第1実施形態に係るクリップを示す図である。
図5】第2実施形態に係るラックの構成を示す図である。
図6】第3実施形態に係るラックの構成を示す図である。
図7】第4実施形態に係るラックの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されるものではない。
【0012】
なお、各図に付された方向を示す矢印等は、各図相互の関係を理解し易くするために記載されたものである。本開示に示された発明は、各図に付された方向に限定されるものではない。
【0013】
少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位は、「1つの」等の断りがされた場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該部材は2以上設けられていてもよい。本開示に示された発明は、少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位等の構成要素を備える。
【0014】
(第1実施形態)
1.サーバ室
本実施形態は、データセンター等のサーバ室に設置される通信機器用ラックに本開示を適用したものである。データセンター、つまりサーバ室SRには、図1に示されるように、複数の情報通信技術用機器(以下、ICT装置1と記す。)が設置されている。ICT装置1とは、情報を処理する機器であって、CPUやGPU等の演算装置を有する電子機器である。
【0015】
1台又は複数のICT装置1は、図1に示された通信機器用ラック3(以下、ラック3と略す。)に搭載された状態でサーバ室SRに設置されている。当該サーバ室SRには、複数のラック3が列状に並んで設置されている。以下、列状に並んだ複数のラック3をラック列Rともいう。
【0016】
ラック列Rを挟んで一方には、各ICT装置1を冷却するための冷風が供給される冷風通路(コールドアイル)3Aが設けられている。冷風は、サーバ室SRの天井、床及び壁のいずれかに設けられた冷風ダクト(図示せず。)を経由して冷風通路3Aに供給される。
【0017】
サーバ室SRには、冷風通路3Aと通路3Bとを仕切る仕切部材(図示せず。)が設けられている。このため、冷風通路3Aに供給された冷風は、図1に示されるように、各ラック列Rを通過して、当該冷風通路3Aと反対側の通路3Bに流通する。
【0018】
通路3Bには、冷風の吹出口が設けられていない。このため、当該通路3Bには、ICT装置1との熱交換を終えて温度が上昇した空気が流通する。つまり、通路3Bは、加熱された空気(温風)が流通する温風通路(ホットアイル)となる。
【0019】
温風通路3Bに集合した空気は、天井、床及び壁のいずれかに設けられた戻りダクト(図示せず。)を経由して空調機(図示せず。)に吸引される。空調機に吸引された空気は、当該空調機により冷却された後、再び、冷風通路3Aに供給される。
【0020】
2.ラックの構成
複数のラック3それぞれは、略同一の構成である。以下の説明は、例えばラック列Rの中央に配置されたラック3の説明である。ラック3は、図2に示されるように、少なくとも1台のICT装置1が搭載可能な棚である。当該ラック3は、筐体31、扉部32及び通気ダクト33等を少なくとも備える。
【0021】
2.1 筐体等
<筐体>
筐体31は、ICT装置1が収納される収納空間31Aと外部とを区画するエンクロージャの一例である。筐体31内、つまり収納空間31A内には、上下方向に延びる複数(本実施形態では4本)の柱31B~31Eが設けられている。
【0022】
柱31Bと柱31Cとの間には、柱31B、31C間を渡す梁(図示せず。)が複数設けられている。同様に、柱31Dと柱31Eとの間には、柱31D、31E間を渡す梁(図示せず。)が複数設けられている。
【0023】
各梁は、予め決められた間隔(以下、配置間隔という。)で配置されている。ICT装置1は、水平方向において隣り合う2本の梁に固定される。なお、同一のラック3内に複数のICT装置1に固定される場合、各ICT装置1は、柱31B、31E側を基準として各梁に固定される。
【0024】
以下、筐体31、つまり収納空間31Aのうち上記の基準側を筐体31の前面側又は収納空間31Aの前面側という。筐体31の背面側又は収納空間31Aの背面側とは、ICT装置1を挟んで上記の基準側と反対側をいう。このため、多くの場合、前面側においては、複数のICT装置1それぞれが基準側に揃った状態となる。
【0025】
なお、多くのICT装置1は、通常、前面側に当該ICT装置1の操作部が位置するように、ラック3に搭載される。このため、ICT装置1に接続される電源ケーブル等のケーブル類は、多くの場合、背面側に位置する。
【0026】
そして、ICT装置1は、通常、前面側に当該ICT装置1の吸気面が位置し、かつ、背面側に当該ICT装置1の排気面が位置するように、ラック3に搭載される。以下は、前面側にICT装置1の吸気面が位置し、かつ、背面側に当該ICT装置1の排気面が位置する構成に関する説明である。
【0027】
<作業用開口>
筐体31には、収納空間31Aの一部を開放する作業用開口31Fが設けられている。作業用開口31Fは、施工者が利用する開口である。施工者とは、いわゆる施工者は勿論のこと、ICT装置1の保守点検を行う者等も含む意味である。利用とは、例えば、施工者が操作部の操作又は調整等の作業を行うこと等をいう。
【0028】
本実施形態に係る作業用開口31Fは、筐体31の前面側に設けられている。つまり、筐体31の前面には、収納空間31Aの内外を連通させる連通口として作業用開口31Fが設けられている。
【0029】
作業用開口31Fは、筐体31の前面の略全てが開放された連通口である。つまり、作業用開口31Fの上下方向寸法は、筐体31の前面の高さ寸法に略一致している。作業用開口31Fの水平方向寸法は、筐体31の前面の水平寸法に略一致している。
【0030】
2.2 扉部
扉部32は、作業用開口31Fを開閉するための開閉体である。つまり、本実施形態に係る扉部32は、筐体31の前面側を開閉する。当該扉部32には、空気が流通可能な通気口32Aが設けられている。
【0031】
本実施形態に係る扉部32は、扉本体32B(図2において、斜線が付された部位)、及びブランクパネル32D~32G等を少なくとも有して構成されている。扉本体32Bは、通気口32Aより大きい開口32Cが設けられた矩形枠状の部材である。
【0032】
ブランクパネル32D~32Gは、開口32Cの一部を閉塞することにより、扉部32に通気口32Aを形成する部材である。つまり、開口32Cのうちブランクパネル32D~32Gにより閉塞されていない部位が通気口32Aとなる。
【0033】
なお、ブランクパネル32D、32E(以下、第1ブランクパネル32D、32Eという。)は、開口32Cのうち通気口32Aに対して上下方向にずれた部位を閉塞する。ブランクパネル32F、32G(以下、第2ブランクパネル32F、32Gという。)は、開口32Cのうち通気口32Aに対して水平方向にずれた部位を閉塞する。
【0034】
第1ブランクパネル32D、32Eは、配置間隔毎に切断用ミシン目等が設けられた板状の部材である。切断用ミシン目とは、施工者が施工時に第1ブランクパネル32D、32Eを容易に切断可能とするための切断促進部の一例である。第2ブランクパネル32F、32Gは、配置間隔寸法と略同一の長手方向寸法を有する板状の部材である。
【0035】
扉本体32Bには、少なくとも1つ(本実施形態では、2つ)の装着部32H、32Jが設けられている。装着部32H、32Jは、少なくとも第1ブランクパネル32D、32Eが着脱自在に装着可能な部材である。
【0036】
なお、本実施形態に係る各装着部32H、32Jは、扉本体32Bの内壁面において、上下方向に延びるアングル部材により構成されている。第1ブランクパネル32D、32Eは、ネジ、リベット及びスナップフィット等の機械的締結具(図示せず。)により各装着部32H、32Jに固定されている。
【0037】
扉本体32Bの内壁面とは、扉部32により作業用開口31Fが閉塞された状態において、収納空間31A(ICT装置1)に面する面をいう。装着部32H、32J、つまりアングル部材は、ネジにより扉本体32Bに固定されている。
【0038】
なお、本実施形態では、筐体31の背面にも作業用開口(図示せず。)が設けられている。当該作業用開口は、多数の穴が設けられたメッシュ状の扉部(図示せず。)により開閉可能に閉塞されている。
【0039】
2.3 通気ダクト
通気ダクト33は、図3に示されるように、通気口32Aから収納空間31A内に突出した通気部材である。本実施形態に係る通気ダクト33は、扉部32の内壁面からICT装置1に向けて突出した管状の通気部材である。
【0040】
本実施形態に係る通気ダクト33は、扉部32、つまり扉本体32Bに固定されている。具体的には、図2に示されるように、通気ダクト33は、2本のダクト装着部34A、34Bを介して扉本体32Bに固定されている。なお、本実施形態では、第2ブランクパネル32F、32Gは、ダクト装着部34A、34Bに固定されている。
【0041】
各ダクト装着部34A、34Bは、2本の装着部32H、32J間を渡すように水平方向に延びている梁状の部材である。各ダクト装着部34A、34Bには、図4に示されるように、複数のクリップ34Cが設けられている。
【0042】
各クリップ34Cは、当該クリップ34Cの弾性変形を利用して通気ダクト33を挟持する弾性係止部の一例である。なお、本実施形態に係る各クリップ34Cは、各ダクト装着部34A、34Bに固定されている。
【0043】
3.本実施形態に係るラックの特徴
本実施形態に係るラック3は、扉部32に設けられた通気口32Aから収納空間31A内に突出した通気ダクト33を備える。これにより、当該ラック3では、通気ダクト33により吸気と排気との混合が抑制される。
【0044】
そして、通気ダクト33が扉部32に設けられているので、扉部32が開かれて作業用開口31Fが開放されると、通気ダクト33は、当該作業用開口31Fから消失した状態となる。したがって、ICT装置側に突出した通気ダクト33が設けられた構成であっても、ICT装置の整備性が低下することが抑制され得る。
【0045】
扉部32は、通気口32Aより大きい開口32Cが設けられた枠状の扉本体32B、及び開口32Cの一部を閉塞することにより、扉部32に通気口32Aを形成するブランクパネル32D~32Gを有して構成されている。
【0046】
これにより、施工者は、ICT装置1の大きさ又はICT装置1の搭載位置等に応じて、通気口32Aの位置又は大きさを容易に変更することが可能となる。つまり、施工者は、ブランクパネル32D~32Gにて閉塞する位置又は大きさをICT装置に合わせて変更することにより、様々なICT装置に合わせた通気口32Aを得ることができ得る。
【0047】
扉本体32Bには、第1ブランクパネル32D、32Eが着脱自在に装着可能な装着部32H、32Jが設けられている。これにより、施工者は、容易に第1ブランクパネル32D、32Eを扉部32に装着することができ得る。
【0048】
本実施形態の扉部32は、通気口32A以外の部位は、ブランクパネル32D~32Gにより閉塞されているので、ラック3の外部からICT装置1に棒状の異物が突っ込まれる等のリスクが低減され得る。
【0049】
ところで、ICT装置1は、冷風通路(コールドアイル)3A側を基準面としてラック3内に固定される。このため、通気ダクト33が収納空間31Aの前面側に配置された構成であると、以下の利点がある。
【0050】
(1)通気ダクト33及び通気口32Aは、ICT装置1の個数と同数とすることが望ましい。複数のICT装置1がラック3内に搭載された場合において、閉塞状態にある扉部32の内壁面から各ICT装置1までの距離が略同一となる。
【0051】
したがって、通気ダクト33が収納空間31Aの前面側に配置された構成であると、複数の通気ダクト33それぞれの突出寸法が略同一となる。したがって、施工者の施行作業性が向上する。
【0052】
なお、通気ダクト33の先端とICT装置1との間に発生する隙間寸法は、可能な限り小さいことが望ましい。このため、通気ダクト33の先端とICT装置1との間にスポンジやゴム等の弾性変形可能な部材が配置された構成であってもよい。
【0053】
(2)各ICT装置1は基準面側を基準として固定されるので、通気口32AからICT装置1(の吸気面)までの距離が短い。したがって、通気ダクト33の突出寸法が小さくなるので、作業用開口31Fが開放されたときに、通気ダクト33が障害となって作業性が低下してしまうことが抑制される。
【0054】
(第2実施形態)
上述の実施形態に係る扉部32及び作業用開口31Fは、ラック3(収納空間31A)の前面側に設けられた構成であった。これに対して、本実施形態に係るラック3は、図5に示されるように、ラック3の背面に設けられた作業用開口31Gに扉部35が設けられた構成である。
【0055】
扉部35の構成は、扉部32と同一である。つまり当該扉部35には、通気口35A及び通気ダクト33が設けられている。なお、上述の実施形態と同一の構成要件等は、上述の実施形態と同一の符号が付されている。このため、本実施形態では、重複する説明は省略されている。
【0056】
このため、本実施形態に係る通気ダクト33は、ICT装置1から排出された熱気を通気口35Aに導く。これにより、排気と吸気との混合が当該通気ダクト33により抑制される。
【0057】
なお、通気ダクト33の先端とICT装置1との間に発生する隙間寸法は、可能な限り小さいことが望ましい。このため、通気ダクト33の先端とICT装置1との間にスポンジやゴム等の弾性変形可能な部材が配置された構成であってもよい。
【0058】
因みに、本実施形態における通気ダクト33の先端とICT装置1との間に発生する隙間寸法の許容範囲は、第1実施形態における通気ダクト33の先端とICT装置1との間に発生する隙間寸法の許容範囲より大きい。
【0059】
ところで、通常、ICT装置1は、背面側にICT装置1の排気面が位置するように収納空間31A内に搭載される。そして、通常、排気は噴流状態でICT装置1から吹出される。このため、通気ダクト33が収納空間31Aの背面側に配置された構成であると、以下の利点がある。
【0060】
(1)ICT装置1の排気口の位置を特定し易く、施工者は、通気ダクト33の設置位置や必要サイズを容易に理解でき得る。
(2)排気は、噴流状であるので、通気ダクト33をICT装置1の排気口に密着させなくても、ラック3内において、排気の再循環が発生し難い。
【0061】
(3)排気噴流の流速が比較的に大きいので、通気ダクト33開口面積を排気口よりも大きい場合であっても、排気が概ね通気ダクト33内を通過して通気口32Aからラック3外に排出される。
【0062】
(4)ICT装置1から排出された排気は、通気ダクト33を流通することにより、大きく流速が低下することなく、ラック3の外まで導かれるため、扉に大きなメッシュ開口が設けられた構成に比べて、扉部の通過時に排気の再循環が発生し難い。
【0063】
(5)背面には、ケーブル類が配索されているので、排気が当該ケーブル類に当たることで、排気が再循環してしまう可能性がある。しかし、排気は通気ダクト33内を流通して通気口35Aに至るので、明確な気流経路を確保することができ、排気の再循環が抑制される。
【0064】
(第3実施形態)
上述の実施形態に係るラック3の前面側及び背面側に扉部32、35が設けられ、少なくとも一方の扉部に通気口32A、35A及び通気ダクト33が設けられた構成であった。
【0065】
これに対して、本実施形態に係るラック3は、図6に示されるように、当該ラック3のうち、通気口32A及び通気ダクト33が設けられた扉部32又は扉部35と反対側には、扉部が設けられておらず、開放された構成となっている。
【0066】
つまり、当該ラック3では、例えば、前面側の扉部32に通気口32A及び通気ダクト33が設けられた構成の場合には、背面側の扉部35が設けられていない。また、当該ラック3では、例えば、背面側の扉部35に通気口35A及び通気ダクト33が設けられた構成の場合には、前面側の扉部32が設けられていない。
【0067】
なお、上述の実施形態と同一の構成要件等は、上述の実施形態と同一の符号が付されている。このため、本実施形態では、重複する説明は省略されている。
(第4実施形態)
本実施形態に係るラック3は、図7に示されるように、水平方向にも複数のICT装置1が搭載可能なラックである。なお、上述の実施形態と同一の構成要件等は、上述の実施形態と同一の符号が付されている。このため、本実施形態では、重複する説明は省略されている。
【0068】
なお、図7は、第3実施形態に係るラック3に本実施形態に係るラック3が適用された例である。しかし、本実施形態に係るラック3は、第1、2実施形態に係るラック3、又はその他の実施形態に係るラック3にも適用可能である。
【0069】
(その他の実施形態)
上述の実施形態に係る扉部32、35は、筐体31に対して揺動変位する方式であった。しかし、本明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、当該発明は、例えば、筐体31に対してスライド又は着脱自在な扉部32、35を備える構成であってよい。
【0070】
上述の実施形態に係る通気ダクト33は、扉部32、35の内壁面から突出していた。しかし、本明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、当該発明に係る通気ダクト33は、例えば、扉部32、35の外壁面から突出した部分が設けられていてもよい。
【0071】
上述の実施形態では、クリップ34Cにて通気ダクト33がダクト装着部34A、34Bに固定される構成であった。しかし、本明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、当該発明は、例えば、ネジやピン等の締結具にて通気ダクト33がダクト装着部34A、34Bに固定される構成であってもよい。
【0072】
上述の実施形態では、各クリップ34Cは、各ダクト装着部34A、34Bに固定されていた。しかし、本明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、当該発明は、例えば、各クリップ34Cがスライド式であってもよい。
【0073】
上述の実施形態に係る通気ダクト33は、ダクト装着部34A、34Bを介して扉本体32Bに固定されていた。しかし、本明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、当該発明は、例えば、ダクト装着部34A、34Bを介することなく、通気ダクト33が装着部32H、32J又は扉本体32Bに直接的に固定された構成であってもよい。
【0074】
上述の実施形態では、第2ブランクパネル32F、32Gは、ダクト装着部34A、34Bに固定されていた。しかし、本明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、当該発明は、例えば、第2ブランクパネル32F、32Gが装着部32H、32J、第1ブランクパネル32D、32E又は扉本体32Bに固定された構成であってもよい。
【0075】
上述の実施形態に係る通気ダクト33は、通気口32A、35AからICT装置1に向けて直線状に突出した管状の部材であった。しかし、本明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、当該発明に係る通気ダクト33は、例えば、通気口32A、35AからICT装置1に向かう直線に対して傾いた管状又は風向案内板等に構成されていてもよい。
【0076】
上述の実施形態に係る通気口32A、35Aは、ICT装置1の吸気部又は排気部に対して対向する位置に設けられていた。しかし、本明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、当該発明に係る通気口32A、35Aは、例えば、ICT装置1の吸気部又は排気部に対してずれた位置に設けられていてもよい。
【0077】
上述の実施形態では、前面側からICT装置1に吸引された空気が背面側からICT装置1外に排出されるICT装置1が搭載される例であった。しかし、本明細書に開示されたラック3はこれに限定されるものではない。
【0078】
すなわち、当該ラック3は、例えば、前面側からICT装置1に吸引された空気が背面側以外からICT装置1外に排出されるICT装置1に対しても適用可能である。背面側以外とは、例えば、右側面、左側面、下面又は上面等である。
【0079】
上述の実施形態に係る第1ブランクパネル32D、32Eには、配置間隔毎に切断用ミシン目等の切断促進部が設けられていた。しかし、本明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。
【0080】
すなわち、例えば、切断促進部が設けられていない第1ブランクパネル32D、32E、又は切断用ミシン目以外の切断促進部が設けられた第1ブランクパネル32D、32E等であってもよい。
【0081】
上述の実施形態に係る装着部32H、32Jは、アングル部材により構成されていた。しかし、本明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、例えば、角パイプ、丸パイプ、I型鋼、H型鋼等にて各装着部32H、32Jが構成されていてもよい。
【0082】
さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成でもよい。
【符号の説明】
【0083】
1… ICT装置
3… 通信機器用ラック
3A… 冷風通路
3B… 温風通路
31… 筐体
31A… 収納空間
31F… 作業用開口
32、35… 扉部
32A、35A… 通気口
32B… 扉本体
32C… 開口
32D~32G… ブランクパネル
32H、32J… 装着部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7