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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-20
(45)【発行日】2023-03-29
(54)【発明の名称】相談処理装置および相談処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/10 20230101AFI20230322BHJP
   G06F 16/90 20190101ALI20230322BHJP
【FI】
G06Q10/10
G06F16/90
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018235975
(22)【出願日】2018-12-18
(65)【公開番号】P2020098439
(43)【公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-12-10
(73)【特許権者】
【識別番号】596127554
【氏名又は名称】株式会社日立社会情報サービス
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】永野 拓郎
【審査官】新里 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-065623(JP,A)
【文献】特開2004-185067(JP,A)
【文献】特開2001-075987(JP,A)
【文献】特開2003-256613(JP,A)
【文献】特開2003-173342(JP,A)
【文献】特開2008-243033(JP,A)
【文献】特開平06-251071(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G06F 16/00-16/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓口端末を操作する相談者からの質問に対する回答を出力するための相談処理をする相談処理装置であって、
前記窓口端末において選択される選択肢であって、前記窓口端末側で設定可能な前記選択肢と、前記回答の回答事例を検索するための検索用語とを紐付ける質問確認テーブルを記憶する記憶部と、
前記窓口端末において、質問確認画面を生成して前記選択肢を段階的に表示し、前記相談者に対する複数回の問合せに対して選択された前記選択肢に記されるキーワードを組み合わせて、質問内容を構成することによって、前記相談者からの質問を確認する質問確認部と、を備え、
前記質問確認部は、
選択済みの前記選択肢に基づいて、選択無しの前記選択肢の選択傾向を示す全体マップを作成し、前記窓口端末に表示させ、
前記全体マップは、
前記選択無しの選択肢のうち、前記選択済みの選択肢と所定の閾値以上の関連度を有する選択肢をハイライト表示する、
ことを特徴とする相談処理装置。
【請求項2】
窓口端末を操作する相談者からの質問に対する回答を出力するための相談処理をする相談処理装置であって、
前記窓口端末において選択される選択肢であって、前記窓口端末側で設定可能な前記選択肢と、前記回答の回答事例を検索するための検索用語とを紐付ける質問確認テーブルを記憶する記憶部と、
前記窓口端末において、質問確認画面を生成して前記選択肢を段階的に表示し、前記相談者に対する複数回の問合せに対して選択された前記選択肢に記されるキーワードを組み合わせて、質問内容を構成することによって、前記相談者からの質問を確認する質問確認部と、を備え、
前記質問確認部は、
選択済みの前記選択肢に基づいて、選択無しの前記選択肢の選択傾向を示す全体マップを作成し、前記窓口端末に表示させ、
前記検索用語は、前記回答事例に含まれる専門用語を含む、
ことを特徴とする相談処理装置。
【請求項3】
窓口端末を操作する相談者からの質問に対する回答を出力するための相談処理をする相談処理装置における相談処理方法であって、
前記相談処理装置の記憶部は、
前記窓口端末において選択される選択肢であって、前記窓口端末側で設定可能な前記選択肢と、前記回答の回答事例を検索するための検索用語とを紐付ける質問確認テーブルを記憶しており、
前記相談処理装置は、
前記窓口端末において、質問確認画面を生成して前記選択肢を段階的に表示し、前記相談者に対する複数回の問合せに対して選択された前記選択肢に記されるキーワードを組み合わせて、質問内容を構成することによって、前記相談者からの質問を確認する質問確認ステップ、を実行し、
前記質問確認ステップにおいて、
選択済みの前記選択肢に基づいて、選択無しの前記選択肢の選択傾向を示す全体マップを作成し、前記窓口端末に表示させ、
前記全体マップは、
前記選択無しの選択肢のうち、前記選択済みの選択肢と所定の閾値以上の関連度を有する選択肢をハイライト表示する、
ことを特徴とする相談処理方法。
【請求項4】
窓口端末を操作する相談者からの質問に対する回答を出力するための相談処理をする相談処理装置における相談処理方法であって、
前記相談処理装置の記憶部は、
前記窓口端末において選択される選択肢であって、前記窓口端末側で設定可能な前記選択肢と、前記回答の回答事例を検索するための検索用語とを紐付ける質問確認テーブルを記憶しており、
前記相談処理装置は、
前記窓口端末において、質問確認画面を生成して前記選択肢を段階的に表示し、前記相談者に対する複数回の問合せに対して選択された前記選択肢に記されるキーワードを組み合わせて、質問内容を構成することによって、前記相談者からの質問を確認する質問確認ステップ、を実行し、
前記質問確認ステップにおいて、
選択済みの前記選択肢に基づいて、選択無しの前記選択肢の選択傾向を示す全体マップを作成し、前記窓口端末に表示させ、
前記検索用語は、前記回答事例に含まれる専門用語を含む、
ことを特徴とする相談処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相談処理装置および相談処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「ユーザが問題解決につながるQ&Aに効率よくたどりつくことのできるFAQ検索装置、FAQ検索方法、及びプログラムを提供する」という課題を解決する発明として、「ユーザ端末においてユーザが入力した検索条件を受信する検索条件受信部と、前記検索条件に対応するQ&Aを、FAQ記憶部から検出するFAQ検出部と、前記FAQ検出部が検出した全てのQ&Aの内容の少なくとも一部を、前記ユーザ端末に送信するFAQ送信部と、前記FAQ送信部から送信されたQ&Aの中から前記ユーザが選択したQ&Aの情報を受信し、前記ユーザが選択したQ&Aの情報と、そのQ&Aによって問題が解決した、解決しなかった、または未評価のいずれかの評価情報とを前記検索条件に関連付けて評価履歴記憶部に記憶する評価値受信部と、前記評価履歴記憶部から、前記検索条件と関連付けて記憶されている全てのQ&Aが関連付けて記憶され、且つそれらの全てのQ&Aに対して、問題が解決しなかったまたは未評価の評価情報が記憶されている他の検索条件を選択し、前記他の検索条件に関連付けて記憶されている他のQ&Aの中から、問題が解決したと評価されているQ&Aを抽出するFAQ抽出部と、を備え、前記FAQ送信部は、前記FAQ抽出部が抽出した全てのQ&Aの内容の少なくとも一部を前記ユーザ端末に送信する、FAQ検索装置」について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-95811号公報(請求項1、明細書の段落0006)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、年金等の相談者の質問に対応職員が回答する場合、質問内容を構成する検索条件は、口頭の会話や自然文がベースとなっていた。このため、相談者も対応職員も質問内容を特定するのに時間を要してしまい、迅速な回答ができず、相談の待ち時間の長期化という問題があった。また、回答内容が対応職員のスキルに依存するため、相談対応品質にばらつきが生じてしまう。このため、相談者からの事後的なクレーム対応や再来訪対応などによる相談件数の増加を招き、相談対応における運営経費や人件費の増加という問題があった。特許文献1には、上記問題の対応策について記載も示唆もされていない。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みて、相談対応の迅速化および低コスト化を実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は、
窓口端末を操作する相談者からの質問に対する回答を出力するための相談処理をする相談処理装置であって、
前記窓口端末において選択される選択肢であって、前記窓口端末側で設定可能な前記選択肢と、前記回答の回答事例を検索するための検索用語とを紐付ける質問確認テーブルを記憶する記憶部と、
前記窓口端末において、質問確認画面を生成して前記選択肢を段階的に表示し、前記相談者に対する複数回の問合せに対して選択された前記選択肢に記されるキーワードを組み合わせて、質問内容を構成することによって、前記相談者からの質問を確認する質問確認部と、を備え、
前記質問確認部は、
選択済みの前記選択肢に基づいて、選択無しの前記選択肢の選択傾向を示す全体マップを作成し、前記窓口端末に表示させ、
前記全体マップは、
前記選択無しの選択肢のうち、前記選択済みの選択肢と所定の閾値以上の関連度を有する選択肢をハイライト表示する、
ことを特徴とする。
また、本発明は、
窓口端末を操作する相談者からの質問に対する回答を出力するための相談処理をする相談処理装置であって、
前記窓口端末において選択される選択肢であって、前記窓口端末側で設定可能な前記選択肢と、前記回答の回答事例を検索するための検索用語とを紐付ける質問確認テーブルを記憶する記憶部と、
前記窓口端末において、質問確認画面を生成して前記選択肢を段階的に表示し、前記相談者に対する複数回の問合せに対して選択された前記選択肢に記されるキーワードを組み合わせて、質問内容を構成することによって、前記相談者からの質問を確認する質問確認部と、を備え、
前記質問確認部は、
選択済みの前記選択肢に基づいて、選択無しの前記選択肢の選択傾向を示す全体マップを作成し、前記窓口端末に表示させ、
前記検索用語は、前記回答事例に含まれる専門用語を含む、
ことを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、
窓口端末を操作する相談者からの質問に対する回答を出力するための相談処理をする相談処理装置における相談処理方法であって、
前記相談処理装置の記憶部は、
前記窓口端末において選択される選択肢であって、前記窓口端末側で設定可能な前記選択肢と、前記回答の回答事例を検索するための検索用語とを紐付ける質問確認テーブルを記憶しており、
前記相談処理装置は、
前記窓口端末において、質問確認画面を生成して前記選択肢を段階的に表示し、前記相談者に対する複数回の問合せに対して選択された前記選択肢に記されるキーワードを組み合わせて、質問内容を構成することによって、前記相談者からの質問を確認する質問確認ステップ、を実行し、
前記質問確認ステップにおいて、
選択済みの前記選択肢に基づいて、選択無しの前記選択肢の選択傾向を示す全体マップを作成し、前記窓口端末に表示させ、
前記全体マップは、
前記選択無しの選択肢のうち、前記選択済みの選択肢と所定の閾値以上の関連度を有する選択肢をハイライト表示する、
ことを特徴とする。
また、本発明は、
窓口端末を操作する相談者からの質問に対する回答を出力するための相談処理をする相談処理装置における相談処理方法であって、
前記相談処理装置の記憶部は、
前記窓口端末において選択される選択肢であって、前記窓口端末側で設定可能な前記選択肢と、前記回答の回答事例を検索するための検索用語とを紐付ける質問確認テーブルを記憶しており、
前記相談処理装置は、
前記窓口端末において、質問確認画面を生成して前記選択肢を段階的に表示し、前記相談者に対する複数回の問合せに対して選択された前記選択肢に記されるキーワードを組み合わせて、質問内容を構成することによって、前記相談者からの質問を確認する質問確認ステップ、を実行し、
前記質問確認ステップにおいて、
選択済みの前記選択肢に基づいて、選択無しの前記選択肢の選択傾向を示す全体マップを作成し、前記窓口端末に表示させ、
前記検索用語は、前記回答事例に含まれる専門用語を含む、
ことを特徴とする。
その他の発明については、後記する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、相談対応の迅速化および低コスト化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態の相談処理装置を含むシステムの機能構成図である。
図2】質問確認テーブルのデータ構造図である。
図3】回答事例テーブルのデータ構造図である。
図4】相談結果テーブルのデータ構造図である。
図5】相談処理のフローチャートである。
図6】窓口端末が表示する第1の質問確認画面の画面例である。
図7】窓口端末が表示する第2の質問確認画面の画面例である。
図8】窓口端末が表示する質問確認結果画面の画面例である。
図9】窓口端末が表示する検索結果画面の画面例である。
図10】窓口端末が表示する回答内容の画面例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
続いて、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態では、年金の相談センタの窓口業務を行う対応職員が、相談センタに訪れた相談者の年金相談に対応する状況を例にして説明する。
【0011】
≪構成≫
図1に示すように、本実施形態のシステムは、相談処理装置1と、窓口端末2-1~2-Nと、管理端末3とを備える。相談処理装置1、窓口端末2-1~2-N、および、管理端末3は、ネットワークを介して通信可能に接続している。相談処理装置1、窓口端末2-1~2-N、および、管理端末3はそれぞれ、入力部、出力部、制御部、および記憶部といったハードウェアを含むコンピュータである。例えば、制御部がCPU(Central Processing Unit)から構成される場合、その制御部を含むコンピュータによる情報処理は、CPUによるプログラム実行処理で実現される。また、そのコンピュータが含む記憶部は、CPUの指令により、そのコンピュータの機能を実現するためのさまざまなプログラムを記憶する。これによりソフトウェアとハードウェアの協働が実現される。前記プログラムは、記録媒体に記録したり、ネットワークを経由したりすることで提供することができる。
【0012】
相談処理装置1は、窓口端末2-1~2-Nを操作する相談者からの質問に対する回答を出力するための相談処理をするサーバ装置である。
【0013】
窓口端末2-1~2-Nは、相談者からの質問を入力したり、相談処理装置1からの回答を表示したりする端末である。窓口端末2-1~2-Nはいずれも同じであり、窓口端末2-1についてあてはまることは、窓口端末2-2~2-Nにもあてはまる。このため、以降の説明では、特段の事情が無い限り、窓口端末2-1について説明する。窓口端末2-1は、対応職員が使用するが、相談者が使用することもできる。窓口端末2-1は、例えば、入力部および出力部をタッチパネルとして実装することができる。
【0014】
管理端末3は、窓口端末2-1の上位装置であり、窓口端末2-1が備える機能と同じ機能を備える。管理端末3は、対応職員が使用する。管理端末3は、例えば、入力部および出力部をタッチパネルとして実装することができる。
【0015】
[相談処理装置1]
相談処理装置1は、テーブル更新部11と、質問確認部12と、検索用語蓄積部13と、回答候補検索部14と、回答情報作成部15と、相談結果記録部16といった機能部を備える。また、相談処理装置1は、質問確認テーブルT1と、回答事例テーブルT2と、相談結果テーブルT3とを記憶する。
【0016】
(テーブル更新部11)
テーブル更新部11は、外部端末からの更新要求に応じて、質問確認テーブルT1と、回答事例テーブルT2と、相談結果テーブルT3との内容を更新する。外部端末は、例えば、窓口端末2-1、管理端末3、システム管理者が用いるコンソールであるが、これらに限定されない。
【0017】
(質問確認部12)
質問確認部12は、窓口端末2-1から入力された情報に基づいて、相談者の質問を確認し、質問内容を特定する。質問確認部12は、相談者または対応職員が選択可能な選択肢を含む画面情報を窓口端末2-1に送信する。窓口端末2-1は、質問確認部12が送信する画面情報に基づいて、選択肢を含む画面を表示する。画面表示される各選択肢には、質問内容を構成するキーワードが記されており、相談者または対応職員にとっての目印となる。窓口端末2-1は、選択肢を段階的に表示し、相談者または対応職員に複数回選択させることができる。質問確認部12は、各選択肢に記されるキーワードを組み合わせて、質問内容を構成することができる。
【0018】
(検索用語蓄積部13)
検索用語蓄積部13は、相談者または対応職員が選択した選択肢に紐付けられた検索用語を、例えば、相談処理装置1のバッファに蓄積する。選択肢と検索用語との紐付けは、質問確認テーブルT1にて実現されている(詳細は後記)。
【0019】
(回答候補検索部14)
回答候補検索部14は、検索用語蓄積部13が蓄積した検索用語をキーにして、回答事例テーブルT2を参照して回答事例を検索する。回答候補検索部14は、検索して抽出された回答事例を、質問確認部12が確認した質問に対する回答候補とする。回答候補検索部14は、回答候補を含む画面情報を窓口端末2-1に送信する。窓口端末2-1は、回答候補検索部14が送信する画面情報に基づいて、回答候補を含む画面を表示する。相談者または対応職員は、窓口端末2-1が表示した回答候補のうち1つを選択する。
【0020】
(回答情報作成部15)
回答情報作成部15は、相談者または対応職員が選択した回答候補を、相談者の質問に対する回答とし、当該回答を含む回答情報を作成する。回答情報作成部15は、回答情報を含む画面情報を窓口端末2-1に送信する。窓口端末2-1は、回答情報作成部15が送信する画面情報に基づいて、回答情報の画面を表示する。
【0021】
(相談結果記録部16)
相談結果記録部16は、窓口端末2-1を介した、相談者または対応職員とのやり取りを示す相談結果を相談結果テーブルT3に記録する。
【0022】
(質問確認テーブルT1)
質問確認テーブルT1は、相談者の質問内容を構成するキーワードを管理するテーブルである。図2に示すように、質問確認テーブルT1は、例えば、「ボタンID」、「グループ」、「ボタン表示」、「検索用語」、「親グループ」、「子ボタンID」といった項目を備えるが、これらに限定されない。また、質問確認テーブルT1は、「ボタンID」で示す選択肢ごとに作成されたエントリを登録する。
【0023】
「ボタンID」の項目には、窓口端末2-1が画面表示する選択肢となる選択ボタンの識別子が格納される。
「グループ」の項目には、相談者または対応職員が複数の選択肢から1つを選択させるための、相談者または対応職員に問い合わせる問合せ文が格納される。グループは、窓口端末2-1が表示する1つの質問確認画面を構成する。質問確認画面には、問合せ文、および、複数の選択ボタンが表示される。
【0024】
「ボタン表示」の項目には、対象となるボタンIDで識別される選択ボタンであって、窓口端末2-1が画面表示する選択肢となる選択ボタンに記されるキーワードが格納される。
「検索用語」の項目には、対象となるボタンIDで識別される選択ボタンに紐づけられる検索用語であって、回答事例テーブルT2を参照して回答事例を検索するときのキーとなる検索用語が格納される。検索用語とキーワードとは一致してもよいし、一致してなくてもよい。例えば、検索用語は、検索対象となる回答事例に含まれる用語であってもよい。当該用語は、相談者が知らない可能性が高い専門用語(例:老齢給付、特別一時金)とすることができる。また、ボタンIDによっては、検索用語を定義しなくてもよい(Null)し、2語以上の検索用語を定義してもよい。
【0025】
「親グループ」の項目には、対象となるボタンIDに紐付けられたグループの親となるグループ(親グループ)の問合せ文が格納される。対象となるボタンIDのグループが最上位である場合、親グループは存在しないため、定義されない(Null)。
「子ボタンID」の項目には、対象となるボタンIDに紐付けられたグループの子となるグループに紐付けられたボタンIDが格納される。
なお、質問確認テーブルT1は、正規化して複数種類の小テーブルの集合として管理することができる。
【0026】
(回答事例テーブルT2)
回答事例テーブルT2は、相談者からの過去の質問に対する回答事例を管理するテーブルであり、ナレッジまたはFAQ(Frequently Asked Questions)の管理テーブルとなる。図3に示すように、回答事例テーブルT2は、例えば、「回答ID」、「タイトル」、「質問文」、「回答文」、「登録状態」、「端末ID」、「正式登録日時」といった項目を備えるが、これらに限定されない。また、回答事例テーブルT2は、「回答ID」で示す回答事例ごとに作成されたエントリを登録する。
【0027】
「回答ID」の項目には、対象となる回答事例の識別子が格納される。
「タイトル」の項目には、対象となる回答事例のタイトルが格納される。
【0028】
「質問文」の項目には、対象となる回答事例で回答したときの質問文が格納される。
「回答文」の項目には、対象となる回答事例が示す回答文が格納される。
【0029】
「登録状態」の項目には、対象となる回答事例を正式な回答事例として登録するか否かを示す状態を示す値が格納される。例えば、正式な回答事例として登録する場合は「正式」という値が格納され、仮登録する場合は「仮」という値が登録される。「仮」から「正式」への昇格は、例えば、対象となる回答事例の採用総数が閾値を超えたこととすることができるが、これに限定されない。
【0030】
「端末ID」の項目には、対象となる回答事例を登録した窓口端末2-1~2-Nの識別子が格納される。
「正式登録日時」の項目には、対象となる回答事例について、「登録状態」の項目に「正式」という値を格納したタイミング(例えば、年月日時分秒で表現することができる)が格納される。なお、「登録状態」の項目に格納された値が「仮」であるエントリについては、仮登録されたタイミングが格納される。
【0031】
(相談結果テーブルT3)
相談結果テーブルT3は、相談者からの質問と、当該質問に対する回答とのやり取りに要する、窓口端末2-1での操作のログ情報を管理するテーブルである。図4に示すように、相談結果テーブルT3は、例えば、「端末ID」、「記録日時」、「操作」、「記録」といった項目を備えるが、これらに限定されない。また、相談結果テーブルT3は、各窓口端末2-1~2-Nで行われた操作ごとに作成されたエントリを登録する。
【0032】
「端末ID」の項目には、相談者からの相談を受け付けた窓口端末2-1~2-Nのうちいずれかの識別子が格納される。
「記録日時」の項目には、対象となる窓口端末に対する操作が行われたタイミング(例えば、年月日時分秒で表現することができる)が格納される。
【0033】
「操作」の項目には、対象となる窓口端末に対して行われた操作の識別子が格納される。例えば、窓口端末2-1(識別子:U001)が表示する初期画面上の開始ボタンに、相談者または対応職員が触れた場合は、「操作」の項目には、「開始」という値が格納される。また、窓口端末2-1(識別子:U001)が表示する選択ボタンに、相談者または対応職員が触れた場合は、「操作」の項目には、触れた選択ボタンのボタンID(図2)が格納される。
【0034】
「記録」の項目には、対象となる操作が行われたときの処理結果が格納される。例えば、窓口端末2-1(識別子:U001)でボタンIDがB001である選択ボタン(図2参照)を、相談者または対応職員が押した場合、検索用語蓄積部13が、押した選択ボタンに紐付けられた検索用語(図2参照)をバッファに蓄積し、「記録」の項目には、「加入者」という値が格納される。なお、操作によっては、記録を定義しなくてもよい(Null)。
【0035】
[窓口端末2-1]
図1に戻って、窓口端末2-1は、親子関係設定部21といった機能部を備える。
【0036】
(親子関係設定部21)
親子関係設定部21は、窓口端末2-1に対する、相談者または対応職員の操作に応じて、質問確認テーブルT1(図2)が管理するグループの親子関係を設定する。具体的には、親子関係設定部21は、各グループが構成する質問確認画面に表示される問合せ文の表示順序を設定することができる。
【0037】
グループの親子関係が設定されることにより、質問確認テーブルT1の「子ボタンID」の項目に従って、各質問確認画面に表示される選択ボタンの親子関係も設定される。つまり、相談者または対応職員が、第1の質問確認画面に表示される選択ボタンの1つを押すと、第1の質問確認画面の次に表示される第2の質問確認画面に表示される選択ボタンが決定する。
【0038】
また、親子関係設定部21は、窓口端末2-1に対する相談者または対応職員の操作に応じて、各質問確認画面に表示される選択ボタンの親子関係を変更設定することができる。例えば、親子関係設定部21は、第1の質問確認画面に表示される選択ボタンの1つを第2の質問確認画面に表示するように変更設定することができる。親子関係設定部21による変更設定に応じて、質問確認テーブルT1の「子ボタンID」の項目の値が更新される。
【0039】
窓口端末2-1は、グループの親子関係を設定したり、選択ボタンの親子関係を設定したりするための設定ファイルを備えている。親子関係設定部21は、設定ファイルを読み込み、各設定を行う。
親子関係設定部21の機能により、選択ボタンの表示順序を、相談者または対応職員の直感に従うように自由に設定することができる。このため、相談者による質問内容の特定を容易にすることができる。なお、選択ボタンの設定は、選択ボタンに記される選択肢の設定と同義である。
【0040】
[管理端末3]
管理端末3は、質問確認登録部31と、回答事例登録部32といった機能部を備える。
【0041】
(質問確認登録部31)
質問確認登録部31は、質問確認画面の内容を事前登録する。具体的には、質問確認登録部31は、本実施形態のシステムの運用開始前に、対応職員の操作に従い、質問確認画面を構成する質問確認データを相談処理装置1に送信する。質問確認データは、例えば、選択ボタンや問合せ文の構成データである。相談処理装置1は、テーブル更新部11によって、受信した質問確認データに基づいて、質問確認テーブルT1(図2)を更新する。
【0042】
(回答事例登録部32)
回答事例登録部32は、回答事例の内容を事前登録する。具体的には、回答事例登録部32は、本実施形態のシステムの運用開始前に、対応職員の操作に従い、回答事例データを相談処理装置1に送信する。回答事例データは、回答事例テーブルT2(図3)の回答文の構成データである。相談処理装置1は、テーブル更新部11によって、受信した回答事例データに基づいて、回答事例テーブルT2を更新する。
【0043】
≪処理≫
次に、図5等を参照して、相談処理装置1が実行する相談処理について、具体例を交えつつ説明する。相談処理は、年金の相談に訪れた相談者、または、窓口対応をする対応職員が、窓口端末2-1の初期画面(図示せず)に表示される開始ボタンを操作し、窓口端末2-1からの開始要求があったときに開始する。なお、管理端末3の質問確認登録部31による質問確認画面の内容の事前登録、および、回答事例登録部32による回答事例の内容の事前登録は完了しているとする。
【0044】
図5に示すように、まず、相談処理装置1は、ステップS1(S1a,S1b)~ステップS4に亘って、変数i(i=1,2,・・・)に関するループ処理を実行する。
ループ処理において、相談処理装置1は、質問確認部12によって、第iの質問確認画面を生成し、当該画面の画面情報を窓口端末2-1に送信する(ステップS2)。窓口端末2-1は、相談処理装置1から受信した画面情報に基づいて、第iの質問確認画面を表示する。
【0045】
例えば、i=1の場合、図6に示すように、窓口端末2-1が表示する第1の質問確認画面には、「あなたの加入段階はどれ」という問合せ文が表示されている。この問合せ文は、質問確認テーブルT1(図2)が管理するグループのうち第1のグループに紐付けられている問合せ文である。第1のグループは、図2中、ボタンIDがB001~B003であるエントリのグループに相当し、最上位である。
【0046】
また、図6に示すように、窓口端末2-1が表示する第1の質問確認画面には、「加入者」選択ボタン、「請求者」選択ボタン、「その他」選択ボタンという選択ボタン群が表示されている。これらの選択ボタンは、質問確認テーブルT1(図2)が管理するボタンIDのうち、第1のグループに属するボタンID:B001~B003で識別される選択ボタンである。
【0047】
本処理では、相談者は、年金の加入者として質問するつもりであるため、第1の質問確認画面(図6)において、「加入者」選択ボタンを押す。すると、窓口端末2-1は、「加入者」選択ボタンが選択されたことを示す選択情報を相談処理装置1に送信する。図6では、「加入者」選択ボタンが押されることで選択状態になり、反転表示される様子が図示されている。上記の処理は、他の第iの質問確認画面(i=2,3,・・・)のそれぞれについてあてはまる。
【0048】
なお、第1の質問確認画面の下部にある「選択結果で検索」ボタンは、第1の質問確認画面が表示されるまでに、相談者または対応職員が押してきた選択ボタンに紐付けられた検索用語をキーにして、回答候補検索部14による検索を実行させるボタンである。また、第1の質問確認画面の下部にある「選択結果を表示」ボタンは、「選択結果で検索」ボタンを押したことで実行される検索の結果を表示させるボタンである。「選択結果で検索」ボタンおよび「選択結果を表示」ボタンは、第iの質問確認画面にそれぞれ表示され、同様の役割を果たす。
ただし、第1の質問確認画面に関しては、当該画面の表示中は、相談者または対応職員が1度も選択ボタンを押しておらず、取得される検索用語が存在しない。つまり、第1の質問確認画面の表示中は、実質的に、回答候補検索部14による検索が実行不可の状態にある。このため、例えば、第1の質問確認画面中の「選択結果で検索」ボタンおよび「選択結果を表示」ボタンは、非アクティブ表示にして操作不可にしてもよいし、アクティブ表示にする場合は、検索できない旨のポップアップ表示をしてもよい。
【0049】
図5に戻って、相談処理装置1は、窓口端末2-1から選択情報を受信すると、検索用語蓄積部13によって、質問確認テーブルT1を参照し、選択された選択ボタンに紐付けられた検索用語を取得して、バッファに累積する(ステップS3)。例えば、i=1の場合、第1の質問確認画面(図6)において「加入者」選択ボタンが選択されたことにより、検索用語蓄積部13は、質問確認テーブルT1のうち、「ボタン表示」の項目が「加入者」であるボタンID:B001のエントリを読み出す。また、検索用語蓄積部13は、読み出したB001のエントリにおいて、「検索用語」の項目に格納されている「加入者」を検索用語として取得する。図6の下部に示すように、検索用語蓄積部13は、取得した検索用語:加入者をバッファに累積する。
【0050】
次に、相談処理装置1は、質問確認部12によって、相談者または対応職員が第iの質問確認画面で選択した選択ボタンの子ボタンが存在するか否か判定する(ステップS4)。具体的には、質問確認部12は、質問確認テーブルT1(図2)を参照して、第iの質問確認画面で選択した選択ボタンに該当するエントリの「子ボタンID」の項目の値がNullでないか否か判定する。子ボタンが存在する場合(ステップS4でYes)、相談処理装置1は、当該子ボタンを選択ボタンとして含む第(i+1)の質問確認画面の画面情報を生成し、生成した画面情報を窓口端末2-1に送信し、ループ処理を継続する。一方、子ボタンが存在しない場合(ステップS4でNo)、第iの質問確認画面で選択した選択ボタンは、ループ処理を終了し、ステップS5に進む。
【0051】
なお、i=2の場合、図7に示すように、窓口端末2-1が表示する第2の質問確認画面には、「確認したい手続きはどれ」という問合せ文が表示されている。この問合せ文は、質問確認テーブルT1(図2)が管理するグループのうち第2のグループに紐付けられている問合せ文である。第2のグループは、図2中、ボタンIDがB004~B006であるエントリのグループに相当し、第1のグループを親とする。
【0052】
また、図7に示すように、窓口端末2-1が表示する第2の質問確認画面には、「加入方法」選択ボタン、「手続きの種類」選択ボタンという選択ボタン群が表示されている。これらの選択ボタンは、質問確認テーブルT1(図2)が管理するボタンIDのうち、第2のグループに属するボタンID:B004,B006で識別される選択ボタンである。
【0053】
本処理では、相談者は、年金の加入に必要な手続について質問するつもりであるため、第2の質問確認画面(図7)において、「手続きの種類」選択ボタンを押す。すると、窓口端末2-1は、「手続きの種類」選択ボタンが選択されたことを示す選択情報を相談処理装置1に送信する。図7では、「手続きの種類」選択ボタンが押されることで選択状態になり、反転表示される様子が図示されている。
【0054】
なお、第2の質問確認画面の表示中は、前段の第1の質問確認画面で相談者または対応職員が押した選択ボタンに紐付けられた検索用語がバッファに蓄積されている。このため、第2の質問確認画面中の「選択結果で検索」ボタンおよび「選択結果を表示」ボタンは、アクティブ表示である。相談者または対応職員が第2の質問確認画面の下部にある「選択結果で検索」ボタンを押すと、回答候補検索部14は、バッファに蓄積されている検索用語をキーにして検索を実行する。相談者または対応職員が、「選択結果を表示」ボタンを押すと、窓口端末2-1は、「選択結果で検索」ボタンを押して検索したときの結果を表示する。
【0055】
相談処理装置1は、窓口端末2-1から選択情報を受信すると、検索用語蓄積部13によって、質問確認テーブルT1を参照し、選択された選択ボタンに紐付けられた検索用語を取得して、バッファに累積する(ステップS3参照)。第2の質問確認画面(図7)において「手続きの種類」選択ボタンが選択されたことにより、検索用語蓄積部13は、質問確認テーブルT1のうち、「ボタン表示」の項目が「手続きの種類」であるボタンID:B006のエントリを読み出す。また、検索用語蓄積部13は、読み出したB006のエントリにおいて、「検索用語」の項目に格納されている「手続き」および「種類」を検索用語として取得する。図7の下部に示すように、検索用語蓄積部13は、取得した検索用語:手続き、種類をバッファに累積する。
【0056】
図5に戻って、相談処理装置1は、質問確認部12によって、質問確認結果画面を生成し、当該画面の画面情報を窓口端末2-1に送信する(ステップS5)。質問確認結果画面は、段階的に表示される質問確認画面の最終版である。窓口端末2-1は、相談処理装置1から受信した画面情報に基づいて、質問確認結果画面を表示する。
【0057】
図8に示すように、窓口端末2-1が表示する質問確認結果画面には、選択肢の組合せを2次元表示する全体マップMが表示される。全体マップMは、相談者の質問傾向を示すことができる。全体マップMの最左列の最上行セルには、第1のグループの問合せ文(「あなたの加入段階はどれ」)が表示されている。また、全体マップMの最左列の最上行セルの直下には、第1のグループに属する選択ボタンに記される選択肢(加入者、請求者、その他)のセルが上下に並んで表示されている。第1の質問確認画面(図6)で、相談者または対応職員がすでに選択した「加入者」選択ボタンに記される選択肢(「加入者」)のセルは、選択済みであることを示す斜線網掛けが施されている。なお、選択済みであることを示す斜線網掛けの情報は、質問確認部12が送信する質問確認結果画面の画面情報に含めることができる。
【0058】
全体マップMの中列の最上行セルには、第2のグループの問合せ文(「確認したい手続きはどれ」)が表示されている。また、全体マップMの中列の最上行セルの直下には、第2のグループに属する選択ボタンに記される選択肢(加入方法、請求方法、手続きの種類)のセルが、第1のグループに属する選択肢との親子関係が明示される態様で、上下に並んで表示されている。第2の質問確認画面(図7)で、相談者または対応職員がすでに選択した「手続きの種類」選択ボタンに記される選択肢(「手続きの種類」)のセルは、選択済みであることを示す斜線網掛けが施されている。なお、選択済みであることを示す斜線網掛けの情報は、質問確認部12が送信する質問確認結果画面の画面情報に含めることができる。
【0059】
全体マップMの最右列の最上行セルの上部には、問合せ文(「確認したい項目はどれ」)が表示されている。この問合せ文は、質問確認テーブルT1(図2)が管理するグループのうち第3のグループに紐付けられている問合せ文である。第3のグループは、図2中、ボタンIDがB007等であるエントリのグループに相当し、第2のグループを親とする。
【0060】
また、全体マップMの最右列の最上行セルの下部には、第3のグループに属する選択ボタンの選択肢(第2のグループに属する選択ボタンのうち、相談者または対応職員が既に選択した選択ボタンと親子関係にある選択ボタンの選択肢)となる「手続き要件」、「必要書類」、「結果通知」が左右に並んで表示されている。また、全体マップMの最右列の最上行セルの直下には、太枠破線で囲まれた質問選択エリアm1が表示されている。質問選択エリアm1は、選択済みである、第1のグループ~第3のグループの各々に属する選択ボタンの選択肢の組で構成されるエリアである。質問選択エリアm1は、相談者が選択しなかった、選択無しの選択肢に対する選択傾向を示すことができ、全体マップMの一部となる。
【0061】
質問確認部12は、第1グループ~第3グループに属する選択ボタンの選択肢を組み合わせて、相談者の質問内容を構成することができる。この質問内容は、例えば、第1グループ~第3グループの選択肢を含む質問文とすることができるが、これに限定されない。
【0062】
質問選択エリアm1内の複数のセルは、第1のグループに属する選択ボタンの選択肢(加入者、請求者、その他)のセルの位置、第2のグループに属する選択ボタンの選択肢(加入方法、請求方法、手続きの種類)のセルの位置、および、第3のグループに属する選択ボタンの選択肢(手続き要件、必要書類、結果通知)のセルの位置、に対応する位置に配置されている。質問選択エリアm1内の各セルには、対応する、第1グループ~第3グループに属する選択ボタンに紐付けられた検索用語(図2参照)をキーにして、回答候補検索部14が回答事例テーブルT2を参照して、検索、抽出された回答事例の件数が表示される。表示される回答事例の件数は、質問確認部12が第1グループ~第3グループに属する選択ボタンの選択肢を組み合わせて構成した、相談者の質問内容に対する回答候補の件数に相当する。
【0063】
図8の例によれば、相談者または対応職員が、第1のグループの問合せ文(「あなたの加入段階はどれ」)に対し、「加入者」を選択し、第2のグループの問合せ文(「確認したい手続きはどれ」)に対し、「手続きの種類」を選択した条件下では、第3のグループの問合せ文(「確認したい項目はどれ」)に対する選択肢が存在しない。質問確認テーブルT1(図2)において、「ボタン表示」が「手続きの種類」である、ボタンID:B006のエントリは、「子ボタンID」がNull値であるためである。よって、上記の条件下で、第3のグループに属する選択ボタンの選択肢(手続き要件、必要書類、結果通知)のセルは一体化して表示される。また、上記の条件を満たし、回答候補検索部14が検索、抽出する回答候補は2件存在し、一体化されたセルc1には、「候補:2件」が表示される。
【0064】
また、図8の例によれば、相談者または対応職員が、第1のグループの問合せ文(「あなたの加入段階はどれ」)に対し、「加入者」を実際に選択したが、第2のグループの問合せ文(「確認したい手続きはどれ」)に対し、「加入方法」を仮に選択し、第3のグループの問合せ文(「確認したい項目はどれ」)に対し、「手続き要件」を仮に選択した場合、回答候補検索部14が検索、抽出する回答候補が5件存在する。この場合、「手続き要件」に対応するセルc2には、「候補:5件」が表示される。
【0065】
また、図8の例によれば、相談者または対応職員が、第1のグループの問合せ文(「あなたの加入段階はどれ」)に対し、「請求者」を仮に選択し、第2のグループの問合せ文(「確認したい手続きはどれ」)に対し、(第1のグループの問合せ文に対し、「加入者」を選択したときには、実際に選択した)「手続きの種類」を仮に選択した場合、第3のグループの問合せ文(「確認したい項目はどれ」)に対する選択肢が存在しない(理由は上記に述べたとおり)。この場合、第3のグループに属する選択ボタンの選択肢(手続き要件、必要書類、結果通知)のセルは一体化して表示される。また、回答候補検索部14が検索、抽出する回答候補は1件存在し、一体化されたセルc3には、「候補:1件」が表示される。
【0066】
同様にして、回答候補検索部14が、第1のグループ~第3のグループでそれぞれ選択した選択ボタンの選択肢をキーにして検索、抽出する回答候補の件数が、質問選択エリアm1内の各セルに表示される。
【0067】
また、質問確認部12は、質問確認結果画面の画面情報を窓口端末2-1に送信する際、質問選択エリアm1内の各セルについて、ハイライトの濃度を変更する情報を、当該画面情報に含めることができる。このため、図8に示すように、窓口端末2-1が表示する質問確認結果画面において、質問選択エリアm1内のいくつかのセルは、濃淡の異なるドット模様のハイライトが施されている。ハイライトが施された質問選択エリアm1を含む全体マップMは、相談者が選んだ選択肢の傾向を俯瞰的に表示することができる。
【0068】
ハイライトの濃度は、例えば、相談者または対応職員がこれまでに選択した選択肢との関連度が大きいほど濃くなるように決定することができる。関連度は、例えば、対象となる選択肢(図8の例では、第3のグループに属する選択肢)が、選択済みの選択肢(図8の例では、第1のグループまたは第2のグループに属する選択肢)に従属しているか否かを示す指標である。特に、選択無しの選択肢が従属する、選択済みの選択肢の数が所定数(所定の閾値)以上である場合、当該選択無しの選択肢に対応するセルをハイライト表示の対象とすることができる。
【0069】
なお、対象となる、第3グループの選択無しの選択肢が直接従属する、第2のグループに属する選択肢が、相談者が選択しなかった、選択無しの選択肢であったとしても、当該第2グループの選択肢が直接従属する、第1のグループに属する選択肢が選択済みであったとする。この場合、当該第1のグループに属する選択肢は、対象となる、第3グループの選択無しの選択肢に対して、上記関連度を求める上で、「選択済みの選択肢」としてカウントする。
【0070】
相談者または対応職員は、第1のグループの問合せ文(「あなたの加入段階はどれ」)に対し、「加入者」を選択し、第2のグループの問合せ文(「確認したい手続きはどれ」)に対し、「手続きの種類」を選択している。
このため、質問確認部12は、第3のグループに属する選択肢のセルのうち、選択済みである、第2のグループの選択肢「手続きの種類」に従属する選択肢のセルに最も濃いドット模様のハイライトを施すことができる。質問確認結果画面では、「手続きの種類」のセルの右隣にある、一体化したセルc1に、最も濃いドット模様のハイライトが施される。最も濃いハイライトが施されたセルは、相談者の選択履歴を踏まえ、相談者が知りたい情報(直截回答)を得るための最適な質問内容を構成する選択肢の組合せに対応するセルであるといえる。
【0071】
また、質問確認部12は、第3のグループに属する選択肢のセルのうち、選択済みである、第1のグループの選択肢「加入者」、および、第2のグループの選択肢「手続きの種類」の何れかに従属する選択肢のセルに、多少濃度の大きいドット模様のハイライトを施すことができる。例えば、質問確認結果画面(図8)では、第1のグループの選択肢「請求者」のセルの右隣にある、第2のグループの選択肢「手続きの種類」のセルの右隣にある、第3のグループの、一体化したセルc3に、2番目に濃いドット模様のハイライトが施される。
【0072】
第1のグループの選択肢「請求者」は、相談者が選択していないが、第2のグループの選択肢「手続きの種類」は、相談者が選択している。2番目に濃いドット模様のハイライトが施されたセルc3は、相談者が選択した選択肢の組合せに部分一致する組合せに従属する、第3のグループの選択肢のセルとなる。
【0073】
2番目に濃いハイライトが施されたセルは、相談者には元々無関係であるため選択することが無いものの、相談者が知るべき情報(関連回答)を得るための質問内容を構成する選択肢の組合せに対応するセルとなり得る。図8の例でいえば、加入者として必要な手続きの種類を知るために訪れた相談者は、遅かれ早かれ、請求者として必要な手続きの種類を知ることになる。このため、セルc3に2番目に濃いドット模様のハイライトを施すことで、請求者として必要な手続きの種類の重要性を、相談者に早い段階で気付かせることができる。
【0074】
また、従来では、このような関連回答は、対応職員が相談者に通知していたが、対応職員のスキル次第では、関連回答の通知が欠落するおそれがあった。従来では、関連回答の内容を相談者が知得するためには、相談者が直接質問するしかなかった。しかし、専門知識を持たない相談者にそのような質問をしてもらえる期待度は概して低い。本実施形態によれば、全体マップMで、相談者の直接質問にある程度関連性を持つ、複数種類の質問内容を俯瞰表示することで、相談者が直接質問しなくとも、相談者が知るべき情報を相談者に知得させることができる。
【0075】
なお、質問確認結果画面(図8)では、第1のグループの選択肢「加入者」(相談者が選択済み)のセルの右隣にある、第2のグループの選択肢「加入方法」(相談者の選択無し)のセルの右隣にある、第3のグループのセルc2などに、3番目に濃いドット模様のハイライトが施される。3番目に濃いハイライトが施されたセルも、相談者が知るべき情報(関連回答)を得るための質問内容を構成する選択肢の組合せに対応するセルとなり得る。このため、セルc2などに3番目に濃いドット模様のハイライトを施すことで、加入者として必要な手続きの、手続き要件等の重要性を、相談者に早い段階で気付かせることができる。
【0076】
本処理では、相談者は、年金の加入に必要な手続について質問するつもりであるため、質問確認結果画面(図8)において、第2のグループの選択肢「手続きの種類」の右隣にあるセルc1を質問項目として押す(図8中、白抜きの矢印参照)。すると、窓口端末2-1は、質問項目が選択されたことを示す選択情報を相談処理装置1に送信する。
【0077】
図5に戻って、相談処理装置1は、窓口端末2-1から選択情報を受信すると、選択情報から質問項目を取得する(ステップS6)。このとき、相談処理装置1は、検索用語蓄積部13によって、質問確認テーブルT1を参照し、選択された質問項目が示す第3のグループの選択肢(選択ボタン)に紐付けられた検索用語を取得して、バッファに累積することができる。なお、質問確認結果画面(図8)において、質問項目として選択されたセルc1が示す第3のグループの選択肢については、検索用語が紐付けられていないため、バッファへの累積はない。
【0078】
次に、相談処理装置1は、回答候補検索部14によって、検索用語蓄積部13が蓄積した検索用語をキーにして、回答事例テーブルT2を参照して回答候補を検索する(ステップS7)。次に、相談処理装置1は、回答候補検索部14によって、検索して抽出した回答候補を含む検索結果画面を生成し、当該画面の画面情報を窓口端末2-1に送信する(ステップS8)。窓口端末2-1は、相談処理装置1から受信した画面情報に基づいて、検索結果画面を表示する。
【0079】
図9に示すように、検索結果画面の下部には、検索して抽出した回答候補の一覧テーブルが表示されている。一覧テーブルは、例えば、回答候補を、「利用数」、「最終利用日」、「回答候補タイトル」といった項目に分けて表示している。
「利用数」は、対象の回答候補が、過去の相談者によって最終的な回答として利用された回数を示す。
「最終利用日」は、対象の回答候補が、最終的な回答として利用された日の最終日(例えば、年月日で表示)を示す。
「回答候補タイトル」は、対象の回答候補について、回答情報作成部15が付与したタイトルを示す。
【0080】
図9に示すように、検索結果画面の右上部には、「使用する検索用語」エリアが表示されている。「使用する検索用語」エリアには、回答候補検索部14が回答候補を検索するために用いたキー、つまり、検索用語蓄積部13がバッファに累積した検索用語が表示されている。
【0081】
また、図9に示すように、検索結果画面の左上部には、「保留する検索用語」エリアが表示されている。「保留する検索用語」エリアには、「使用する検索用語」エリア内の検索用語のうち、回答候補検索部14の検索に用いない検索用語が表示される。相談者または対応職員の操作によって、特定の検索用語を「使用する検索用語」エリアと「保留する検索用語」エリアとに移動することができる。
【0082】
図9の検索結果画面に表示されている「検索結果を更新」ボタンを、相談者または対応職員が押すと、窓口端末2-1は、相談処理装置1に新たな検索要求をすることができる。相談処理装置1は、回答候補検索部14によって、「使用する検索用語」エリア内の検索用語をキーにして、回答候補を再検索することができる。相談処理装置1は、再検索によって抽出された回答候補の情報を窓口端末2-1に送信する。窓口端末2-1は、検索結果画面の下部に、再検索して抽出した回答候補の一覧を表示することができる。
【0083】
相談者または対応職員は、一覧テーブルに表示されている回答候補の1つを押して選択することができる。窓口端末2-1は、選択された回答候補を示す選択結果を相談処理装置1に送信する。
【0084】
図5に戻って、相談処理装置1は、窓口端末2-1から、回答候補の選択結果を取得する(ステップS9)。次に、相談処理装置1は、回答情報作成部15によって、取得した選択結果が示す回答候補を、相談者の質問に対する回答とし、当該回答を含む回答情報を作成し、当該回答情報を含む画面情報を窓口端末2-1に送信する(ステップS10)。窓口端末2-1は、相談処理装置1から受信した画面情報に基づいて、回答内容を表示する。
【0085】
図10に示すように、窓口端末2-1が表示する回答内容は、例えば、「相談タイトル」欄と、「1.相談事例」欄と、「2.回答事例」欄と、「3.詳細情報」欄に分かれている。
「相談タイトル」欄には、例えば、表示対象の回答事例の、回答事例テーブルT2(図3)の「タイトル」の項目に格納されているタイトルが記載される。
「1.相談事例」欄には、例えば、表示対象の回答事例の、回答事例テーブルT2の「質問文」の項目に格納されている質問文が記載される。
「2.回答事例」欄には、例えば、表示対象の回答事例の、回答事例テーブルT2の「回答文」の項目に格納されている回答文が記載される。
「3.詳細情報」欄には、例えば、表示対象の回答事例の、回答事例テーブルT2に示される回答文の付加情報が記載される。
【0086】
回答を見た、相談者または対応職員は、相談を終了する場合には、窓口端末2-1が表示する終了ボタン(図示せず)を押す。すると、窓口端末2-1は、終了要求を相談処理装置1に送信する。相談処理装置1は、終了要求を取得する(ステップS11)。
【0087】
次に、相談処理装置1は、ステップS1~ステップS11に亘る、窓口端末2-1での操作のログ情報を示す相談結果を相談結果テーブルT3(図4)に記録する(ステップS12)。
以上で、相談者の相談に対し、相談処理装置1が実行する相談処理が終了する。
【0088】
図5の相談処理の途中段階において、相談者または対応職員は、窓口端末2-1を操作して、窓口端末2-1が表示する選択ボタン、または、選択ボタンに記される選択肢に対して、親子関係設定部21による設定変更をすることができる。具体的には、第1のグループ~第3のグループに属する選択肢の数、内容、選択肢同士の親子関係を、相談者または対応職員が設定変更することができ、相談者または対応職員の直感に従う検索条件(質問内容)を構成することができる。
【0089】
従来では、窓口端末2-1が表示する質問確認画面にどの選択ボタンを配置表示するかを示す設定情報は、エンジニアが予めプログラム上に記載していた。このため、相談業務について動的に変動する、相談者または対応職員のニーズを満たすことができず、顧客満足度の低下を引き起こしていた。本実施形態では、親子関係設定部21によって、エンジニアを介することなく、相談者または対応職員がその場で、選択ボタンの設定変更を行うことができるため、顧客満足度を向上させることができる。
【0090】
本実施形態によれば、質問確認部12によって、相談者の操作を、複数回の問合せに対する、複数回の選択肢の選択という操作で済ますことができる。このため、相談者の質問内容を、選択された複数の選択肢、つまり、各選択肢で示され、質問内容を構成するキーワードから特定することができるため、相談者も対応職員も質問内容を特定するのに要する時間を短縮することができる。また、従来のように、相談者が質問内容を文字入力するという負担を回避することができる。その結果、回答を迅速にすることができ、相談の待ち時間を短縮することができる。
【0091】
また、相談者に出力する回答の回答事例を検索するための検索用語は、予め決められた選択肢に紐付けられているため、対応職員のスキルに関わらず、同じ質問内容に対して、同じ回答を出力することができる。このため、相談対応品質にばらつきが生じることのない、高い検索精度を実現することができる。その結果、相談者からの事後的なクレーム対応や再来訪対応などを回避することができ、相談件数の低下、相談対応における運営経費や人件費の低下に資する。
【0092】
また、質問確認部12によって、相談者に全体マップを表示することで、相談者に対し、相談者からの質問に対する直截回答のみならず、その質問に関係し、相談者が知っておくべき関連回答を、相談者に気付かせることができる。この関連回答は、対応職員のスキルによらずに提示することができるとともに、直截回答と同時に提示することができる点で有用である。従来では、関連回答のレコメンデーションは、検索対象同士の関連付けに基づいてなされていた。このため、関連回答の出力は、直截回答の選択の後にするしかなかった。その結果、関連回答を含めた回答内容全体の確認は、複数回必要としていた。本実施形態では、全体マップを表示することで、回答内容全体の確認は1回で済み、相談者からの事後的なクレーム対応や再来訪対応などの回避に資する。
【0093】
したがって、相談対応の迅速化および低コスト化を実現することができる。
なお、相談者が選択肢は、窓口端末2-1~2-N側で設定可能とすることで、相談者または対応職員が、自身の直感に従う検索条件(質問内容)を構成することができる。
【0094】
また、全体マップ(図8参照)になされたハイライト表示によって、相談者に関連回答をより一層気付かせることができる。
【0095】
また、質問確認テーブルT1で管理する検索用語が、回答事例テーブルT2が管理する回答事例に含まれる専門用語を含むことで、専門用語を知らないと見込まれる相談者であっても、質問確認部12を介した選択肢の選択を通じて、専門用語をキーにした回答事例の検索を実行することができる。その結果、相談者または対応職員のスキルに依存しない検索精度を実現することができる。
【0096】
≪その他≫
(a):本実施形態では、年金の相談について説明したが、住宅の相談など、他の種類の相談についても本発明を適用することができる。
(b):本実施形態は、年金の相談センタの窓口業務を行う対応職員が、相談センタに訪れた相談者の年金相談に対応する状況における相談処理装置1について説明した。しかし、例えば、年金相談をサービスデスク業務として行い、相談者が、自身で所有する機器(例:PC、スマートフォン、タブレット端末)から専用サイトにアクセスし、チャットボット等で情報提供する形態に、本発明の相談処理装置1を適用してもよい。
【0097】
本実施形態で説明した種々の技術を適宜組み合わせた技術を実現することもできる。
本実施形態で説明したソフトウェアをハードウェアとして実現することもでき、ハードウェアをソフトウェアとして実現することもできる。
その他、ハードウェア、ソフトウェア、フローチャートなどについて、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0098】
1 相談処理装置
2 窓口端末
3 管理端末
11 テーブル更新部
12 質問確認部
13 検索用語蓄積部
14 回答候補検索部
15 回答情報作成部
16 相談結果記録部
21 親子関係設定部
31 質問確認登録部
32 回答事例登録部
T1 質問確認テーブル
T2 回答事例テーブル
T3 相談結果テーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10