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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-20
(45)【発行日】2023-03-29
(54)【発明の名称】シート包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 75/62 20060101AFI20230322BHJP
   B65D 65/28 20060101ALI20230322BHJP
【FI】
B65D75/62 A
B65D65/28
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019035509
(22)【出願日】2019-02-28
(65)【公開番号】P2020138762
(43)【公開日】2020-09-03
【審査請求日】2022-01-28
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】新谷 尚己
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-093691(JP,A)
【文献】実開昭61-119968(JP,U)
【文献】特開平10-053286(JP,A)
【文献】特開2015-058954(JP,A)
【文献】特開平10-250764(JP,A)
【文献】特開2016-43946(JP,A)
【文献】特開2018-12514(JP,A)
【文献】特開2018-34841(JP,A)
【文献】特開2014-24553(JP,A)
【文献】特開2002-104437(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 75/62
B65D 83/08
B65D 65/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のシートが積層されたシート積層体を、フィルムによって形成された包装体によって包装したシート包装体であって、
前記包装体は、
少なくとも1か所のセンターシール部と、2か所のエンドシール部と、を有するピロー包装体であり、
前記2か所のエンドシール部を繋ぎ、前記包装体の上方を向くように配置された面である上面と、
前記2か所のエンドシール部を繋ぎ、前記包装体の下方を向くように配置された面である下面と、
前記上面と前記下面との間に位置する二つの側面と、
開封時に前記フィルムが破断される破断ラインが予め設定された開封部と、
を備え
前記開封部は、前記フィルムを貫通しないようにして、前記破断ラインに沿って形成された切れ目を備え、
前記切れ目は、2か所の交差部で交わるように形成された第1切れ目と第2切れ目とを含み、
前記第1切れ目は、前記2か所の交差部の間の部分の全体が前記上面に形成され、
前記第2切れ目は、前記2か所の交差部の間の部分の全体が前記側面の一方に形成されていることを特徴とするシート包装体。
【請求項2】
複数枚のシートが積層されたシート積層体を、フィルムによって形成された包装体によって包装したシート包装体であって、
前記包装体は、開封時に前記フィルムが破断される破断ラインが予め設定された開封部を備え、
前記開封部は、前記フィルムを貫通しないようにして、前記破断ラインに沿って形成された切れ目を備え、
前記フィルムは、複数のフィルム層を積層して形成され、
前記切れ目は、全てのフィルム層を貫通する部分が生じないようにして、前記フィルム層のうち、前記包装体の内面側に備えられたフィルム層に形成されていることを特徴とするシート包装体。
【請求項3】
前記包装体の外面側に、前記包装体の内面側に備えられたフィルム層に形成された前記切れ目の位置を示す位置特定部を備えることを特徴とする請求項2に記載のシート包装体。
【請求項4】
前記切れ目は、全てのフィルム層を貫通する部分が生じないようにして、前記フィルム層のうち、前記包装体の外面側に備えられたフィルム層と、前記包装体の内面側に備えられたフィルム層との両者の対向する位置に破線状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のシート包装体。
【請求項5】
前記外面側に備えられたフィルム層に形成された破線状の切れ目と、前記内面側に備えられたフィルム層に形成された破線状の切れ目と、が互い違いに配置されていることを特徴とする請求項4に記載のシート包装体。
【請求項6】
前記フィルムは、前記包装体の外面側に備えられた外層と、前記包装体の内面側に備えられた内層と、前記外層と前記内層との間に備えられたガスバリア性のバリア層と、を備え、
前記切れ目は、前記バリア層以外の層に形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のシート包装体。
【請求項7】
前記包装体は、少なくとも1か所のセンターシール部と、2か所のエンドシール部と、を有するピロー包装体であり、
前記開封部は、前記破断ラインが、一の前記エンドシール部と、他の前記エンドシール部とを結ぶように形成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のシート包装体。
【請求項8】
前記包装体は、少なくとも1か所のセンターシール部と、2か所のエンドシール部と、を有する平面視略矩形状のピロー包装体であり、
前記開封部は、前記破断ラインが、前記エンドシール部の長手方向と直行する方向の直線状に、前記エンドシール部に達しないように形成されていることを特徴とする請求項から5のいずれか1項に記載のシート包装体。
【請求項9】
前記包装体は、少なくとも1か所のセンターシール部と、2か所のエンドシール部と、を有する平面視略矩形状のピロー包装体であり、
前記開封部は、前記破断ラインが、前記エンドシール部の長手方向と平行な方向の直線状に、いずれか又は双方の前記エンドシール部の近傍に形成されていることを特徴とする請求項から5のいずれか1項に記載のシート包装体。
【請求項10】
前記包装体は、少なくとも1か所のセンターシール部と、2か所のエンドシール部と、を有するピロー包装体であり、
前記センターシール部は、前記包装体の他の部分から突出するようにして形成され、
前記開封部は、前記破断ラインが、前記センターシール部を当該ピロー包装体の外面側に密着させた際に、前記センターシール部によって覆われる位置に形成されていることを特徴とする請求項からのいずれか1項に記載のシート包装体。
【請求項11】
前記開封部を開閉自在に覆う蓋体を備えることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載のシート包装体。
【請求項12】
前記破断ラインに沿って当該シート包装体の内面側に備えられ、端部が当該シート包装体の外面側に露出した開封テープを備えることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載のシート包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ウェットティッシュー、トイレクリーナー、キッチンクリーナー等の家庭用のシートの包装体としては、当該シートを複数枚積層して積層体としたシート積層体を、ガスバリア性の柔軟なフィルムで包装したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-33560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなシート包装体としては、大別して、当該包装体を単独で用いることを主として念頭に置き、予め形成された開閉自在な取出口を有し、当該取出口から順次シートを取り出して使用することを想定したものと、開封した当該包装体から一度シートを全て取り出し上で、又は開封した当該包装体ごと、他の専用の容器に入れて使うことを主として念頭に置き、予め形成された開閉自在な取出口を有せず、包装体の使用者が包装体を破断することで、内部のシートを取り出すことを想定したものと、が存在している。
【0005】
後者においては、シート包装体の使用者は、包装体のフィルムを破ることでこれを開封することとなるが、この場合、破る位置は使用者によって区々となってしまう。しかし、開封時に破る位置によっては、途中で手に持った部分が千切れてしまう、内部のシートと干渉してしまう等の要因で開封し難い場合があり、場合によっては内部のシートを破損してしまうこともあった。
【0006】
本発明の課題は、使用者が包装体のフィルムを破って開封し易いシート包装体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、
複数枚のシートが積層されたシート積層体を、フィルムによって形成された包装体によって包装したシート包装体であって、
前記包装体は、
少なくとも1か所のセンターシール部と、2か所のエンドシール部と、を有するピロー包装体であり、
前記2か所のエンドシール部を繋ぎ、前記包装体の上方を向くように配置された面である上面と、
前記2か所のエンドシール部を繋ぎ、前記包装体の下方を向くように配置された面である下面と、
前記上面と前記下面との間に位置する二つの側面と、
開封時に前記フィルムが破断される破断ラインが予め設定された開封部と、
を備え
前記開封部は、前記フィルムを貫通しないようにして、前記破断ラインに沿って形成された切れ目を備え、
前記切れ目は、2か所の交差部で交わるように形成された第1切れ目と第2切れ目とを含み、
前記第1切れ目は、前記2か所の交差部の間の部分の全体が前記上面に形成され、
前記第2切れ目は、前記2か所の交差部の間の部分の全体が前記側面の一方に形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、使用者が包装体のフィルムを破って開封し易いシート包装体を提供することができる。
請求項2に記載の発明は、
複数枚のシートが積層されたシート積層体を、フィルムによって形成された包装体によって包装したシート包装体であって、
前記包装体は、開封時に前記フィルムが破断される破断ラインが予め設定された開封部を備え、
前記開封部は、前記フィルムを貫通しないようにして、前記破断ラインに沿って形成された切れ目を備え、
前記フィルムは、複数のフィルム層を積層して形成され、
前記切れ目は、全てのフィルム層を貫通する部分が生じないようにして、前記フィルム層のうち、前記包装体の内面側に備えられたフィルム層に形成されていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のシート包装体であって、
前記包装体の外面側に、前記包装体の内面側に備えられたフィルム層に形成された前記切れ目の位置を示す位置特定部を備えることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載のシート包装体であって、
前記切れ目は、全てのフィルム層を貫通する部分が生じないようにして、前記フィルム層のうち、前記包装体の外面側に備えられたフィルム層と、前記包装体の内面側に備えられたフィルム層との両者の対向する位置に破線状に形成されていることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のシート包装体であって、
前記外面側に備えられたフィルム層に形成された破線状の切れ目と、前記内面側に備えられたフィルム層に形成された破線状の切れ目と、が互い違いに配置されていることを特徴とする。
【0011】
請求項に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載のシート包装体であって、
前記フィルムは、前記包装体の外面側に備えられた外層と、前記包装体の内面側に備えられた内層と、前記外層と前記内層との間に備えられたガスバリア性のバリア層と、を備え、
前記切れ目は、前記バリア層以外の層に形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、開封前の包装体の密閉性を保ちつつ、使用者が包装体のフィルムを破って開封し易いシート包装体を提供することができる。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか1項に記載のシート包装体であって、
前記包装体は、少なくとも1か所のセンターシール部と、2か所のエンドシール部と、を有するピロー包装体であり、
前記開封部は、前記破断ラインが、一の前記エンドシール部と、他の前記エンドシール部とを結ぶように形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、使用者が包装体のフィルムを破って開封し易いシート包装体を提供することができる。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項から5のいずれか1項に記載のシート包装体であって、
前記包装体は、少なくとも1か所のセンターシール部と、2か所のエンドシール部と、を有する平面視略矩形状のピロー包装体であり、
前記開封部は、前記破断ラインが、前記エンドシール部の長手方向と直行する方向の直線状に、前記エンドシール部に達しないように形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、使用者が包装体のフィルムを破って開封し易いシート包装体を提供することができる。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項から5のいずれか1項に記載のシート包装体であって、
前記包装体は、少なくとも1か所のセンターシール部と、2か所のエンドシール部と、を有する平面視略矩形状のピロー包装体であり、
前記開封部は、前記破断ラインが、前記エンドシール部の長手方向と平行な方向の直線状に、いずれか又は双方の前記エンドシール部の近傍に形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、使用者が、包装体の端部近傍において包装体のフィルムを破って開封
し易いシート包装体を提供することができる。
【0016】
請求項10に記載の発明は、請求項からのいずれか1項に記載のシート包装体であって、
前記包装体は、少なくとも1か所のセンターシール部と、2か所のエンドシール部と、を有するピロー包装体であり、
前記センターシール部は、前記包装体の他の部分から突出するようにして形成され、
前記開封部は、前記破断ラインが、前記センターシール部を当該ピロー包装体の外面側に密着させた際に、前記センターシール部によって覆われる位置に形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、使用者が包装体のフィルムを破って開封し易く、かつ開封後の密閉性も保ち易いシート包装体を提供することができる。
【0017】
請求項11に記載の発明は、請求項1から9のいずれか1項に記載のシート包装体であって、
前記開封部を開閉自在に覆う蓋体を備えることを特徴とする。
本発明によれば、使用者が包装体のフィルムを破って開封し易く、かつ開封後の密閉性も保ち易いシート包装体を提供することができる。
【0018】
請求項12に記載の発明は、請求項1から11のいずれか1項に記載のシート包装体であって、
前記破断ラインに沿って当該シート包装体の内面側に備えられ、端部が当該シート包装体の外面側に露出した開封テープを備えることを特徴とする。
本発明によれば、使用者が包装体のフィルムを破って開封し易いシート包装体を提供することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、使用者が包装体のフィルムを破って開封し易いシート包装体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1実施形態に係るシート包装体の斜め上方からの斜視図である。
図2】第1実施形態に係るシート包装体の斜め下方からの斜視図である。
図3図1のIII-III部における断面図である。
図4】第2実施形態に係るシート包装体の斜め上方からの斜視図である。
図5】第3実施形態に係るシート包装体の斜め上方からの斜視図である。
図6】第4実施形態に係るシート包装体の斜め上方からの斜視図である。
図7】第5実施形態に係るシート包装体の斜め上方からの斜視図である。
図8】第6実施形態に係るシート包装体の図3と同一の位置における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態であるシート包装体について、図1から図8に基づいて説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、図示例に限定されない。
【0022】
[第1実施形態]
第1実施形態に係るシート包装体100について、図1から図3に基づいて説明する。
なお、以下においては、図1に示すように、前後方向、左右方向及び上下方向並びにX軸、Y軸及びZ軸を定めて説明する。すなわち、シート包装体100において、開封部121が形成された側を上、その反対側を下、シート包装体100のエンドシール部123の一方が形成された側を右、他方が形成された側を左、左を向いた際の左手側を前、左を向いた際の右手側を後とし、前後方向に沿った軸をX軸、左右方向に沿った軸をY軸、上下方向に沿った軸をZ軸とする。
【0023】
{実施形態の構成}
第1実施形態に係るシート包装体100は、シート111が複数積層されて形成されたシート積層体110が、包装体120に収納されたものである。
【0024】
(シート積層体)
シート積層体110は、図3に示すように、シート111が所定の折り方で折り畳まれた上で積層されたものである。
図3においては、C字状に折り畳まれたシート111が上下に積層された場合について図示しているが、シート111の積層方法はこれには限られず、包装体120に収納可能なものであれば任意である。
【0025】
(シート)
シート111としては、特に限定はなく、一般的な矩形状のウェットティッシュー、トイレクリーナー、キッチンクリーナー等任意のものを用いることができる。
なお、シート111が密閉性を保つ必要性の高いウェットシートである場合において本発明は特に有効であるが、ドライシートの積層体を包装する際に用いることも可能である。
【0026】
(包装体)
包装体120は、図1に示すように、上面に開封部121が備えられた袋状に形成され、内部にシート積層体110が収納されて使用される。
【0027】
(全体形状)
包装体120は、複数のフィルム層からなるフィルムによって形成されている。フィルムとしては、例えば、図3に示すように、包装体120の外面側に備えられた表層120aと、包装体120の内面側に備えられたシーラント層120cと、表層120aと、シーラント層120cとの間に備えられたバリア層120bと、からなるものが用いられる。
【0028】
表層120aは、包装体120の外面側に備えられたフィルム層であり、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタラート(PET)等が用いられる。表層120aの厚みは、10μmから20μmであることが好ましい。
【0029】
シーラント層120cは、包装体120の内面側に備えられた、包装体120形成時のヒートシールに用いられるフィルム層であり、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等が用いられる。シーラント層120cの厚みは、20μmから50μmであることが好ましい。
【0030】
バリア層120bは、表層120aとシーラント層120cとの間に備えられたガスバリア性の強い材料によって形成されたフィルム層であり、例えばアルミ箔が用いられる。バリア層120bの厚みは、7μmから12μmであることが好ましい。
【0031】
包装体120は、図1及び図2に示すように、上記3層からなる矩形状のフィルムにつき、対向する辺同士をシーラント層120cを用いて融着させ、センターシール部122を形成した上で、これによってロール状となったフィルムの内部にシート積層体110が収納された状態で、ロール状のフィルム両端部の開口部を上下にシーラント層120cを用いて融着させ、2か所のエンドシール部123、123を形成して閉口させることで、シート積層体110を内包した、所謂ピロー包装体状に形成されている。
【0032】
包装体120の大きさは、収納されるシート積層体110の大きさに応じて定められるが、包装体120を不必要に大きくすることなく、かつシート積層体110全体又は個々のシート111の取り出しが困難とならないように、シート積層体110を若干の余裕をもって収納できる大きさであることが好ましい。
【0033】
(開封部)
包装体120の上面側には、包装体120を開封し、内部のシート積層体110又は個々のシート111を取り出すための開封部121が備えられている。
【0034】
図1に示すように、開封部121は、包装体120の長手方向に沿って、一のエンドシール部123と他のエンドシール部123とを結ぶ直線状に、包装体120を形成するフィルムに、これを貫通しない切れ目を設けることによって形成されている。
すなわち、第1実施形態においては、開封部121としての上記切れ目に沿って、包装体120の開封時にこれを形成するフィルムが破断される破断ラインが設定されることとなる。
【0035】
具体的な形成位置としては、エンドシール部123、123の長手方向のいずれかの端部のうち近い方(図1においては前端部)から5mmから15mmの位置同士を結ぶようにして形成されていることが望ましい。
また、図3に示すように、開封部121は、包装体120を形成するフィルムのうち、外面側に備えられた表層120aのみに切れ目を入れるようにして形成されている。
【0036】
開封部121の切れ目の形成方法は、特に限定されず、例えば、所定のカッターやレーザーを用いて、ハーフカット加工を行えばよい。
【0037】
{実施形態の効果}
本実施形態に係るシート包装体100によれば、包装体120の上面に、その長手方向に沿って、エンドシール部123とエンドシール部123とを結ぶ直線状に、開封部121としての切れ目が形成されている。
これによって、シート包装体100の開封時においては、当該切れ目に沿って包装体120を形成するフィルムを破ることで、一方のエンドシール部123から他方のエンドシール部123へと向かって、容易に所定の位置において直線状に包装体120を破ることができ、包装体120の開封が容易となる。また、包装体120のエンドシール部123、123と直行する方向(図1においては左右方向)の全体を破ることが容易となることから、シート積層体110全体を取り出し易くなる。
【0038】
また、開封部121が、表層120aのみに切れ目を入れるようにして形成され、バリア層120b及びシーラント層120cには切れ目が形成されていないことから、開封部121を形成したことによって、開封部121による開封前の包装体120の密閉性を害することも防止できる。
【0039】
[第2実施形態]
第2実施形態に係るシート包装体100Aについて、図4に基づいて説明する。
なお、以下においては、図4に示すように、第1実施形態と同様にして、前後方向、左右方向及び上下方向並びにX軸、Y軸及びZ軸を定めて説明する。
また、第1実施形態に係るシート包装体100と同一の部分については、同一の符号を付して説明を省略し、第1実施形態と同様の効果についても、その説明を省略する。
【0040】
{実施形態の構成}
第2実施形態に係るシート包装体100Aは、包装体120Aの開封部121Aにつき、図4に示すように、包装体120Aを形成するフィルムを貫通しない2本の切れ目から形成したものである。
【0041】
具体的には、開封部121Aは、包装体120Aの上面側に備えられた第1切れ目1211と、包装体120Aの前面に備えられた第2切れ目1212と、を備え、第1切れ目1211と第2切れ目1212とは、2か所のエンドシール部123、123付近において交わっている。
すなわち、第2実施形態においては、第1切れ目1211と、第2切れ目1212とに沿って、包装体120Aの開封時にこれを形成するフィルムが破断される破断ラインが、両端部が交わるように2本設定されることとなる。
【0042】
具体的な形成位置としては、包装体120Aの上面と前面とを接続する角部を間において、第1切れ目1211と第2切れ目1212とが略平行に、これらの間のフィルムに沿った間隔が、10mmから30mmとなるように形成されていることが望ましい。
【0043】
第1切れ目1211及び第2切れ目1212としては、第1実施形態と同様に、包装体120Aを形成するフィルムのうち、外面側に備えられた表層120aのみに切れ目を入れるようにして形成すればよい。
【0044】
{実施形態の効果}
本実施形態に係るシート包装体100Aによれば、開封部121Aとして、第1切れ目1211と第2切れ目1212との2本の切れ目が形成されていることによって、これらの間が切り取られ易くなり、第1実施形態よりも精密に包装体120Aの開封位置を定めることが可能となる。
【0045】
[第3実施形態]
第3実施形態に係るシート包装体100Bについて、図5に基づいて説明する。
なお、以下においては、図5に示すように、第1実施形態と同様にして、前後方向、左右方向及び上下方向並びにX軸、Y軸及びZ軸を定めて説明する。
また、第1実施形態に係るシート包装体100と同一の部分については、同一の符号を付して説明を省略し、第1実施形態と同様の効果についても、その説明を省略する。
【0046】
{実施形態の構成}
第3実施形態に係るシート包装体100Bは、図5に示すように、包装体120Bの前後方向中央部に、エンドシール部123、123に達しない左右方向の直線状に、包装体120Bを形成するフィルムを貫通しない切れ目である開封部121Bを形成したものである。
すなわち、第3実施形態においては、開封部121Bとしての上記切れ目に沿って、包装体120Bの開封時にこれを形成するフィルムが破断される破断ラインが設定されることとなる。
【0047】
具体的には、開封部121Bは、図5に示すように、包装体120Bの上面側において、内部の左右方向中央部にシート積層体110が収納された状態において、左右において斜めとなる部分を除き、シート積層体110上方において平面状となる部分の全体に亘るように形成されていることが好ましい
【0048】
開封部121Bも、第1実施形態と同様に、包装体120Bを形成するフィルムのうち、外面側に備えられた表層120aのみに切れ目を入れるようにして形成すればよい。
【0049】
{実施形態の効果}
本実施形態に係るシート包装体100によれば、開封部121Bが包装体120Bの前後方向中央部に、エンドシール部123、123に達しないように形成されていることで、包装体120B上面を前後方向へと引っ張ることで、包装体120上面の前後方向中央部に、左右方向に延在し、包装体120Bの左右方向両端部には達しない取出口を容易に形成することができる。
これによって、包装体120Bの上面側中央部から、内部に積層されたシート111を一枚ずつ引き出し易くなることから、シート積層体110が包装体120Bに包装された状態のままで使用する場合において、シート111を一枚ずつ取り出し易くなる。
【0050】
[第4実施形態]
第4実施形態に係るシート包装体100Cについて、図6に基づいて説明する。
なお、以下においては、図6に示すように、第1実施形態と同様にして、前後方向、左右方向及び上下方向並びにX軸、Y軸及びZ軸を定めて説明する。
また、第1実施形態に係るシート包装体100と同一の部分については、同一の符号を付して説明を省略し、第1実施形態と同様の効果についても、その説明を省略する。
【0051】
{実施形態の構成}
第4実施形態に係るシート包装体100Cは、図6に示すように、包装体120Cの左右方向の一方の端部のエンドシール部123付近に、前後方向の直線状に、包装体120Cを形成するフィルムを貫通しない切れ目である開封部121Cを形成したものである。
すなわち、第4実施形態においては、開封部121Cとしての上記切れ目に沿って、包装体120Cの開封時にこれを形成するフィルムが破断される破断ラインが設定されることとなる。
なお、開封部121Cについては、両方のエンドシール部123の近傍に備えられていてもよい。
【0052】
具体的には、開封部121Cは、図6に示すように、包装体120C上面側の、内部の左右方向中央部にシート積層体110が収納された状態で、包装体120Cの左端部付近及び/又は右端部付近において斜めとなる部分に、前後方向の全体に亘るように形成されていることが好ましい。
【0053】
開封部121Cも、第1実施形態と同様に、包装体120Cを形成するフィルムのうち、外面側に備えられた表層120aのみに切れ目を入れるようにして形成すればよい。
【0054】
{実施形態の効果}
本実施形態に係るシート包装体100Cによれば、開封部121Cが包装体120Cエンドシール部123付近に、これに沿って形成されていることで、包装体120Cの左右方向端部付近に、前後方向に延在する取出口を形成することが容易となる。
これによって、包装体120Cの左右方向の端部付近に開口部を形成し易くなることから、シート積層体110が包装体120Cに包装された状態のままで使用する場合において、例えば、包装体120Cの端部を折り畳むことによる開封後の開封部121Cの再密封が容易となる。
【0055】
[第5実施形態]
第5実施形態に係るシート包装体100Dについて、図7に基づいて説明する。
なお、以下においては、図7に示すように、第1実施形態と同様にして、前後方向、左右方向及び上下方向並びにX軸、Y軸及びZ軸を定めて説明する。
また、第1実施形態に係るシート包装体100と同一の部分については、同一の符号を付して説明を省略し、第1実施形態と同様の効果についても、その説明を省略する。
【0056】
{実施形態の構成}
第5実施形態に係るシート包装体100Dは、開封部につき、包装体120Dの前後方向中央部に、第3実施形態と同様の、エンドシール部123、123に達しない左右方向の直線状に形成された開封部121Bとした上で、開閉自在にこれを覆う蓋体124を設けたものである。
【0057】
具体的には、蓋体124は、図7に示すように、包装体120Dの本体とは別体のフィルムにより、開封部121Bを開閉自在に覆うように構成されている。蓋体124を構成するフィルムとしては、ガスバリア性を有し、開封部121Bを閉塞することが可能なものであれば任意であるが、例えば、包装体120Dの本体を構成するフィルムと同様のものを用いることができる。
【0058】
蓋体124の形状は、開封部121Bを完全に覆うことができれば特に限定されることはなく、例えば、図7に示すような略矩形状に形成すればよい。
また、蓋体124の裏面には、例えば、ポリエステル系、アクリル系、ゴム系等の感圧接着剤が塗布されており、蓋体124は、開封部121Bに沿って包装体120Dの本体に固定された一端部を支点として、開閉自在に開封部121Bを覆うようにして、包装体120Dの本体に取り付けられている。
【0059】
また、蓋体124には、これを剥がしやすくするため、包装体120Dの本体に固定された側の端部と対向する端部に、当該端部から突出した摘み部124aが設けられている。
摘み部124a下面には上記の感圧接着剤が塗布されておらず、蓋体124を剥がす際の持ち手として用いられる。
【0060】
{実施形態の効果}
本実施形態に係るシート包装体100Dによれば、第3実施形態と同様の効果に加えて、開封部121Bが蓋体124によって開閉自在に覆われていることによって、開封部121Bの切れ目を割いて包装体120Dを一度開封した後も、蓋体124によって、容易にこれを密閉することが可能となる。
【0061】
なお、蓋体によって覆うことができる開封部の構成は、第3実施形態と同様の開封部121Bには限られず、例えば、他の実施形態において説明した開封部につき、蓋体によって開閉自在に覆われるように構成することも可能である。
【0062】
[第6実施形態]
第6実施形態に係るシート包装体100Eについて、図8に基づいて説明する。
なお、以下においては、図8に示すように、第1実施形態と同様にして、前後方向、左右方向及び上下方向並びにX軸、Y軸及びZ軸を定めて説明する。
また、第1実施形態に係るシート包装体100と同一の部分については、同一の符号を付して説明を省略し、第1実施形態と同様の効果についても、その説明を省略する。
【0063】
{実施形態の構成}
第6実施形態に係るシート包装体100Eは、図8に示すように、包装体120Eの下面側に、センターシール部122に沿う左右方向の直線状に、包装体120Eを形成するフィルムを貫通しない切れ目である開封部121Dを形成したものである。
すなわち、第6実施形態においては、開封部121Dとしての上記切れ目に沿って、包装体120Eの開封時にこれを形成するフィルムが破断される破断ラインが設定されることとなる。
【0064】
具体的には、開封部121Dは、図8に示すように、包装体120Eの下面側において、センターシール部122を折り畳み、包装体120Eの外面側に密着させた際に、これに覆われる位置に、左右方向の直線状に形成されている。
開封部121Dとしては、第1実施形態に係る開封部121のようにエンドシール部123、123同士を結ぶようにして形成してもよいし、第3実施形態に係る開封部121Bのように、エンドシール部123、123に達しないように形成してもよい。
【0065】
開封部121Dも、第1実施形態と同様に、包装体120Eを形成するフィルムのうち、外面側に備えられた表層120aのみに切れ目を入れるようにして形成すればよい。
【0066】
{実施形態の効果}
本実施形態に係るシート包装体100Eによれば、開封部121Dの切れ目を割いて包装体120Dを一度開封した後も、センターシール部122を折り畳み、包装体120Eの外面側にこれを密着させることで、開封部121Dをある程度密閉することができる。これによって、第5実施形態のように蓋体124を別途設けずとも、開封後の包装体120Eの密閉性を向上できる。
【0067】
さらに、センターシール部122の、開封部121Dと対向する面に、第5実施形態における蓋体124と同様に、例えば、ポリエステル系、アクリル系、ゴム系等の感圧接着剤を塗布することで、センターシール部122を、開封部121Dを覆うようにして、着脱自在に包装体120Eの外面側に接着可能としてもよい。
この場合、開封後の包装体120Eの密閉性をさらに向上できる。
【0068】
[変形例]
以下、上記実施形態の変形例について説明する。
【0069】
(開封部の構成)
いずれの実施形態においても、包装体を形成するフィルムとして、表層120a、バリア層120b及びシーラント層120cの3層からなるフィルムを用い、開封部を、表層120aのみに設けられた切れ目として形成した場合につき説明したが、具体的な開封部の構成はこれに限られない。
【0070】
例えば、開封部は、フィルムの包装体外側に位置する外層(上記実施形態においては表層120a)ではなく、フィルムの包装体内側に位置する内層(上記実施形態においてはシーラント層120c)に切れ目を入れることによって形成されていてもよい。
この場合、包装体の外部から開封部の位置が分からなくなるため、例えば外層側の開封部に対応する位置に、線状にプリントを施す等の方法によって、内層側に設けられた開封部の切れ目の位置を、包装体外部からも特定できるようにすることが好ましい。
【0071】
また、開封部は、フィルムの包装体外側に位置する外層(上記実施形態においては表層120a)と、フィルムの包装体内側に位置する内層(上記実施形態においてはシーラント層120c)との両者に対して、同一の位置(間の層を挟んで対向する位置)に切れ目を入れることによって形成されていてもよい。
この場合、当該切れ目に沿ってさらにフィルムが破れやすくなることから、包装体の開封をさらに容易にすることができる。
【0072】
この場合、フィルム中央の切れ目が形成されていない層を、上記各実施形態のようにアルミ箔等で形成されたバリア層としておくことが、開封部を開封する前の密閉性を向上する上で望ましい。
【0073】
また開封部を形成する切れ目は、包装体を形成するフィルムを貫通しないように形成された切れ目であればよく、上記各実施形態において説明したように、フィルムのうち1層のみに形成された切れ目には限られない。
例えば、3層のうち2層に切れ目を入れるようにして形成してもよい。上記実施形態のようにフィルムが表層120a、バリア層120b及びシーラント層120cの3層からなる場合、2層に切れ目を入れるとバリア層120bも切断されることから、密閉性の観点から好ましくはないが、表層120a又はシーラント層120cのいずれかが、切れ目を入れられることなく残っていれば、一応の密閉性は確保できる。
【0074】
また、上記実施形態においては、開封部を形成する切れ目を実線状に形成した場合につき説明したが、これに限られず、破線状に断続的に、フィルムを貫通しないように切れ目を入れるようにして形成してもよい。
【0075】
この場合、例えば、フィルムの包装体外側に位置する外層(上記実施形態においては表層120a)と、フィルムの包装体内側に位置する内層(上記実施形態においてはシーラント層120c)との両者に対して、同一の位置(間の層を挟んで対向する位置)に破線状に切れ目を入れつつ、破線の切れ目部分と切れ目が形成されていない部分のパターンを両者において逆にし、互い違いに切れ目が形成されるようにすると、開封部のいずれの部分においても2層のシート材が維持されつつ、外層と内層との両者が破断され易くなることから、密閉性を保ちつつ、開封のし易さもさらに向上できる。
【0076】
(フィルムの構成)
具体的なフィルムの構成としては、上記のように、少なくとも表層120a、バリア層120b及びシーラント層120cを有するものが好ましいが、限定はなく、包装体を形成可能なものであれば、任意のフィルムを用いることが可能である。
例えば、上記のように表層120a、バリア層120b及びシーラント層120cを備えつつ、さらなる層を備えてもよい。
【0077】
また、好ましくはないものの、より少数の層のみからなるフィルムを用いることも可能である。例えは、表層120a及びバリア層120bのみからなるフィルムを用いて、フィルム同士の接続は、例えば、逐一接着剤を塗布して行うようにすることも可能である。
また、単層のみからなるフィルムを用いて、開封部の切れ目は、当該単層のみからなるフィルムの一面又は両面から、これを貫通しないように形成することも可能である。
【0078】
(開封テープ)
いずれの実施形態においても、開封部としては、上記の切れ目に加えて、これに沿って開封テープを備えてもよい。開封テープは、例えばポリエステル等によって形成された細長い紐状又は帯状の部材であり、これを開封部の切れ目に沿って、包装体の内面側に貼付するようにして備えると共に、開封部の切れ目の端部において、開封テープが包装体の外面側に露出するように形成する。
これによって、開封テープの外面側に露出した端部を引っ張ることで、さらに容易に開封部の切れ目に沿って包装体を開封することが可能となる。
【0079】
なお、包装体120を形成するフィルムの強度が高くない場合には、切れ目を形成することなく、開封部として、例えば上記各実施形態において開封部としての切れ目が形成された位置に沿って、開封テープのみを備える構成とすることも可能である。
すなわち、この場合当該開封テープに沿って、包装体の開封時にこれを形成するフィルムが破断される破断ラインが設定されることとなる。
【0080】
(その他の変形例)
上記各実施形態においては、包装体が、1か所のセンターシール部122と、2か所のエンドシール部123、123とを有するピロー包装体である場合について説明したが、包装体の具体的な構成はこれに限られず、例えば、複数枚のフィルムから包装体を形成することで、センターシール部122が2か所以上に形成されたピロー包装体であってもよい。
また、ピロー包装体以外の構成の包装体に対して、フィルムを貫通しない切れ目及び/又は開封テープを備える開封部を設けることも可能である。
【符号の説明】
【0081】
100、100A、100B、100C、100D、100E シート包装体
110 シート積層体
111 シート
120、120A、120B、120C、120D、120E 包装体
120a 表層(外層)
120b バリア層
120c シーラント層(内層)
121、121A、121B、121C、121D 開封部
122 センターシール部
123 エンドシール部
124 蓋体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8