(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-20
(45)【発行日】2023-03-29
(54)【発明の名称】衛生管理装置、衛生管理方法及び衛生管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 40/00 20180101AFI20230322BHJP
A61L 2/26 20060101ALI20230322BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20230322BHJP
【FI】
G16H40/00
A61L2/26
G06T1/00 340B
(21)【出願番号】P 2019054746
(22)【出願日】2019-03-22
【審査請求日】2022-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】591186176
【氏名又は名称】株式会社 ゼンショーホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】平野 誠
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 徹
【審査官】鈴木 和樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-012597(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0302769(US,A1)
【文献】特開2001-292918(JP,A)
【文献】特開2016-059702(JP,A)
【文献】特開2009-282442(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 - 80/00
G06Q 10/00 - 99/00
G06T 1/00
A61L 2/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手洗い設備及びユーザ自身の姿を確認する設備の少なくとも一方が提供される衛生設備と、
前記衛生設備を使用する人物の画像を撮像する撮像部と、
前記撮像部によって撮像された画像に基づいて人物を認識し、認識した結果に基づいて個人を特定する特定部と、
前記特定部によって特定される個人に応じて、前記衛生設備を利用して人物が衛生状態を確保するための複数の言語による説明のうち1の言語を選択して出力する出力部と、
前記特定部によって特定された個人が前記衛生設備によって提供される手洗い設備及びユーザ自身の姿を確認する設備を使用した回数を計数する計数部と、
前記衛生設備を使用する場合の推奨使用方法を示す画像を記憶する記憶部と、
前記特定部によって特定された個人が前記衛生設備を使用する際の前記撮像部によって撮像された画像と、前記記憶部に記憶される推奨使用方法を示す画像と、前記計数部によって計数された回数とを表示する
と共に、前記計数部によって計数された回数に応じた文書を表示する表示部と、
を備える衛生管理装置。
【請求項2】
前記特定部によって特定される個人についての体温、血圧及び体臭のうち少なくとも1つの生体情報を測定する生体情報測定部と、
前記生体情報測定部によって測定される生体情報が予め設定された値を超える場合、前記表示部に警告を示す表示する警告部と、
を備える請求項1に記載の衛生管理装置。
【請求項3】
前記撮像部によって撮像される画像に基づいて、前記特定部によって特定される個人についての様子
として、個人が着用するユニフォームが汚れていないかを判定する判定部を備え、
前記警告部は、前記判定部によって判定される個人の様子と、予め記憶される基準となる人物の様子とが異なる場合、前記表示部に警告を表示する
請求項2に記載の衛生管理装置。
【請求項4】
前記判定部は、個人についての様子として、さらに、個人のヒゲ又は鼻毛が伸びているかを判定する
請求項3に記載の衛生管理装置。
【請求項5】
前記計数部によって計数された回数、及び、前記警告部による警告の回数のうちの少なくとも一方に基づいて、前記特定部によって特定された個人に対する評価を設定する評価部を備え、
前記表示部は、前記評価部によって設定された評価を表示する
請求項2~4のいずれか1項に記載の衛生管理装置。
【請求項6】
前記衛生設備は、人物から異物を除去するためのエアシャワー及びダストクリーナのうち少なくとも一方を備える
請求項1~5のいずれか1項に記載の衛生管理装置。
【請求項7】
コンピュータが、
手洗い設備及びユーザ自身の姿を確認する設備の少なくとも一方が提供される衛生設備を使用する人物の画像を撮像部で撮像する撮像ステップと、
前記撮像ステップによって撮像された画像に基づいて人物を認識し、認識した結果に基づいて個人を特定する特定ステップと、
前記特定ステップによって特定される個人に応じて、前記衛生設備を利用して人物が衛生状態を確保するための複数の言語による説明のうち1の言語を選択して出力部から出力する出力ステップと、
前記特定ステップによって特定された個人が前記衛生設備によって提供される手洗い設備及びユーザ自身の姿を確認する設備を使用した回数を計数する計数ステップと、
前記衛生設備を使用する場合の推奨使用方法を示す画像を記憶部に記憶する記憶ステップと、
前記特定ステップによって特定された個人が前記衛生設備を使用する際の前記撮像部によって撮像された画像と、前記記憶ステップで前記記憶部に記憶される推奨使用方法を示す画像と、前記計数ステップによって計数された回数とを表示部に表示する
と共に、前記計数ステップによって計数された回数に応じた文書を表示する表示ステップと、
を実行する衛生管理方法。
【請求項8】
コンピュータに、
手洗い設備及びユーザ自身の姿を確認する設備の少なくとも一方が提供される衛生設備を使用する人物の画像を撮像部で撮像する撮像機能と、
前記撮像機能によって撮像された画像に基づいて人物を認識し、認識した結果に基づいて個人を特定する特定機能と、
前記特定機能によって特定される個人に応じて、前記衛生設備を利用して人物が衛生状態を確保するための複数の言語による説明のうち1の言語を選択して出力部から出力する出力機能と、
前記特定機能によって特定された個人が前記衛生設備を使用した回数を計数する計数機能と、
前記衛生設備を使用する場合の推奨使用方法を示す画像を記憶部に記憶する記憶機能と、
前記特定機能によって特定された個人が前記衛生設備によって提供される手洗い設備及びユーザ自身の姿を確認する設備を使用する際の前記撮像部によって撮像された画像と、前記記憶機能で前記記憶部に記憶される推奨使用方法を示す画像と、前記計数機能によって計数された回数とを表示部に表示する
と共に、前記計数機能によって計数された回数に応じた文書を表示する表示機能と、
を実行させる衛生管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛生管理装置、衛生管理方法及び衛生管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、食品衛生法等が改正され、食品等事業者はハサップ(HACCP:Hazard Analysis and Critical Control Point)に沿って自ら食品の取扱い等についての衛生管理が求められている。そして、食品等事業者は、HACCPを効果的に運用するために、一般的衛生管理(PRP:Prerequisite Programs)に基づいて、従業員の衛生管理と教育訓練等を行う必要がある。このため、食品等事業者にとって、従来よりも衛生管理の重要性が高まっている。
【0003】
特許文献1に記載される入場管理システムは、外部と内部領域の間に中間領域を有する建物への入場を管理するシステムである。特許文献1に記載される入場管理システムは、外部から中間領域に人が入る際に人の体温を測定し、体温が所定値未満であると、人が中間領域に入れるようになっている。また、特許文献1に記載される入場管理システムは、中間領域から内部領域に人が入る際に、人が手洗いをしたか及び人がマスクを着用しているかを判定し、人が手洗いを行い且つマスクを着用していると、人が内部領域に入れるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上述したように、飲食店等においてもHACCPに沿って衛生管理を行う必要があるため、従業員の衛生管理は重要である。すなわち、食品を扱う企業の衛生管理では、従業員の手洗いを管理することに加え、一定の基準及びマニュアル通りに従業員に種々の衛生管理を実施させることが必要である。さらに、その企業の衛生管理は、従業員に対して衛生管理に関する教育を行うことも必要である。
【0006】
本発明は、人物の衛生管理が必要な施設において、その人物の衛生管理を行うことができる衛生管理装置、衛生管理方法及び衛生管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様の衛生管理装置は、手洗い設備及びユーザ自身の姿を確認する設備の少なくとも一方が提供される衛生設備と、衛生設備を使用する人物の画像を撮像する撮像部と、撮像部によって撮像された画像に基づいて人物を認識し、認識した結果に基づいて個人を特定する特定部と、特定部によって特定される個人に応じて、衛生設備を利用して人物が衛生状態を確保するための複数の言語による説明のうち1の言語を選択して出力する出力部と、特定部によって特定された個人が衛生設備によって提供される手洗い設備及びユーザ自身の姿を確認する設備を使用した回数を計数する計数部と、衛生設備を使用する場合の推奨使用方法を示す画像を記憶する記憶部と、特定部によって特定された個人が衛生設備を使用する際の撮像部によって撮像された画像と、記憶部に記憶される推奨使用方法を示す画像と、計数部によって計数された回数とを表示する表示部と、を備える。
【0008】
一態様の衛生管理装置は、特定部によって特定される個人についての体温、血圧及び体臭のうち少なくとも1つの生体情報を測定する生体情報測定部と、生体情報測定部によって測定される生体情報が予め設定された値を超える場合、表示部に警告を示す表示する警告部と、を備えることとしてもよい。
【0009】
一態様の衛生管理装置は、撮像部によって撮像される画像に基づいて、特定部によって特定される個人についての様子を判定する判定部を備え、警告部は、判定部によって判定される個人の様子と、予め記憶される基準となる人物の様子とが異なる場合、表示部に警告を表示することとしてもよい。
【0010】
一態様の衛生管理装置は、計数部によって計数された回数、及び、警告部による警告の回数のうちの少なくとも一方に基づいて、特定部によって特定された個人に対する評価を設定する評価部を備え、表示部は、評価部によって設定された評価を表示することとしてもよい。
【0011】
一態様の衛生管理装置では、衛生設備は、人物から異物を除去するためのエアシャワー及びダストクリーナのうち少なくとも一方を備えることとしてもよい。
【0012】
一態様の衛生管理方法は、コンピュータが、手洗い設備及びユーザ自身の姿を確認する設備の少なくとも一方が提供される衛生設備を使用する人物の画像を撮像部で撮像する撮像ステップと、撮像ステップによって撮像された画像に基づいて人物を認識し、認識した結果に基づいて個人を特定する特定ステップと、特定ステップによって特定される個人に応じて、衛生設備を利用して人物が衛生状態を確保するための複数の言語による説明のうち1の言語を選択して出力する出力ステップと、特定ステップによって特定された個人が衛生設備によって提供される手洗い設備及びユーザ自身の姿を確認する設備を使用した回数を計数する計数ステップと、衛生設備を使用する場合の推奨使用方法を示す画像を記憶部に記憶する記憶ステップと、特定ステップによって特定された個人が衛生設備を使用する際の撮像部によって撮像された画像と、記憶ステップで記憶部に記憶される推奨使用方法を示す画像と、計数ステップによって計数された回数とを表示部に表示する表示ステップと、を実行する。
【0013】
一態様の衛生管理プログラムは、コンピュータに、手洗い設備及びユーザ自身の姿を確認する設備の少なくとも一方が提供される衛生設備を使用する人物の画像を撮像部で撮像する撮像機能と、撮像機能によって撮像された画像に基づいて人物を認識し、認識した結果に基づいて個人を特定する特定機能と、特定機能によって特定される個人に応じて、衛生設備を利用して人物が衛生状態を確保するための複数の言語による説明のうち1の言語を選択して出力する出力機能と、特定機能によって特定された個人が衛生設備によって提供される手洗い設備及びユーザ自身の姿を確認する設備を使用した回数を計数する計数機能と、衛生設備を使用する場合の推奨使用方法を示す画像を記憶部に記憶する記憶機能と、特定機能によって特定された個人が衛生設備を使用する際の撮像部によって撮像された画像と、記憶機能で記憶部に記憶される推奨使用方法を示す画像と、計数機能によって計数された回数とを表示部に表示する表示機能と、を実行させる。
【発明の効果】
【0014】
一態様の衛生管理装置は、衛生設備を使用する人物が撮像された画像に基づいて人物を認識し、認識した結果に基づいて個人を特定する特定部と、特定された個人に応じて複数の言語による説明のうち1の言語を選択して出力する出力部と、特定された個人が衛生設備を使用した回数を計数する計数部と、特定された個人が衛生設備を使用する際の画像と、推奨使用方法を示す画像と、計数部によって計数された回数とを表示する表示部とを備えるので、飲食店を始めとする人物の衛生管理が必要な施設において、その人物の衛生管理を行うことができる衛生管理装置を提供することができる。
一態様の衛生管理方法及び衛生管理プログラムは、上述した一態様の衛生管理装置と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】一実施形態に係る衛生管理装置について説明するための図である。
【
図2】一実施形態に係る衛生管理装置について説明するためのブロック図である。
【
図3】記憶部に記憶される情報の一例について説明するための図である。
【
図4】表示部に表示される画像の一例について説明するための第1の図である。
【
図5】表示部に表示される画像の一例について説明するための第2の図である。
【
図6】一実施形態に係る衛生管理装置の機能について説明するためのブロック図である。
【
図7】一実施形態に係る衛生管理方法について説明するための第1のフローチャートである。
【
図8】一実施形態に係る衛生管理方法について説明するための第2のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、一実施形態に係る衛生管理装置について説明するための図である。
【0017】
衛生管理装置1は、衛生設備11を使用する人物個人に対して、衛生面での管理及び教育を行う装置である。衛生管理装置1は、例えば、飲食店等の店舗、食品工場及び訓練センタ等に配される。なお、衛生管理装置1は、上に例示した場所に配されるばかりでなく、例えば、学校等の教育機関、公共施設、集会場、及び、企業等の種々の場所に配されてもよい。
【0018】
衛生管理装置1は、例えば、飲食店の調理場、飲食店のバックエリア及び食品工場の衛生エリア等に入る人物に対して衛生設備11を使用させ、その人物が衛生設備11を使用する際の画像を撮像部12で撮像する。衛生管理装置1は、撮像された画像に基づいて人物個人を特定し、その個人に応じた言語で衛生状態を確保するための説明を出力部13から出力する。また、衛生管理装置1は、撮像部12で撮像された画像、及び、衛生設備11を使用する際の推奨使用方法を示す画像等を表示部15に表示する。
【0019】
次に、上述した衛生管理装置1について具体的に説明する。
図2は、一実施形態に係る衛生管理装置について説明するためのブロック図である。
図3は、記憶部に記憶される情報の一例について説明するための図である。
図4は、表示部に表示される画像の一例について説明するための第1の図である。
図5は、表示部に表示される画像の一例について説明するための第2の図である。
図2に示すように、衛生管理装置1は、衛生設備11、撮像部12、特定部21、出力部13、計数部22、記憶部14、表示部15、生体情報測定部16、警告部23、判定部24、及び、評価部25を備える。
【0020】
衛生設備11は、手洗い設備及びユーザ自身の姿を確認する設備の少なくとも一方が提供される。手洗い設備の一例は、水、温水、手洗い石鹸及び液体石鹸等の手洗い洗浄剤、アルコール消毒液等の殺菌剤、ペーパータオル及び温風器等の乾燥装置である。ユーザ自身の姿を確認する設備の一例は、鏡、カメラ部及び表示部等である。カメラ部はユーザの姿を撮像し、表示部はカメラ部によって撮像されたユーザの姿を表示する。温水が供給される蛇口等、手洗い石鹸が供給されるボトル等、アルコール消毒液が供給されるボトル等、ペーパータオルが供給される装置等には、例えば、人が接触したことを検知する接触センサ(図示せず)、液体ボトルを手動でプッシュする場合にはプッシュしたことを検知する検知センサ(図示せず)、液体又は紙が供給されたことを検知する供給センサ(図示せず)、又は、液体を手で受け止めたことを検知する検知センサ(図示せず)等が配されている。衛生設備11は、それらの種々のセンサの検知結果を計数部22に出力する。
【0021】
衛生設備11に配される鏡は、例えば、人物の全身を確認することが可能な全身姿見等であってよい。
また、衛生設備11には、照明装置(図示せず)が配される。その照明装置は、鏡の前に立つ人物(撮像部12によって撮像される人物)を相対的に十分に確認することが可能な明るさで光を照射する。照明装置は、例えば、床面から1mの高さで1000lx以上の明るさを提供できる装置であってよい。
【0022】
また、衛生設備11は、人物から異物を除去するためのエアシャワー及びダストクリーナのうち少なくとも一方を備えることとしてもよい。エアシャワーは、例えば、人物に対してエアを噴射して、人物に付着する異物を除去する装置である。異物は、例えば、埃及び花粉等である。ダストクリーナは、例えば、ローラに取り付けられる粘着物質(粘着シート)を人物に粘着させ、人物及び靴等に付着する異物を除去する器具である。
また、衛生設備11は、ATP(アデノシン三リン酸)検査を行う検査キット等を備えることとしてもよい。
【0023】
撮像部12は、衛生設備11を使用する人物の画像を撮像する。撮像部12は、画像として静止画又は動画を撮像する。撮像部12は、静止画で人物を撮像する場合、所定の時間毎に連続して人物を撮像することとしてもよい。所定の時間は、撮像した静止画から衛生基準を満たしているか否かを確認することができる程度の時間間隔である。所定の時間は、具体例としては、1秒、2秒、3秒、5秒、8秒又は10秒等である。
【0024】
撮像部12は、衛生設備11を使用する人物を撮像できる位置に配される。撮像部12は、例えば、衛生設備11を使用する人物の前方に配置され、人物が衛生設備11を使用しているシーンを撮像する。また、撮像部12は、衛生設備11として提供される鏡の上方又は側方等に配置され、人物が鏡を見ているシーンを撮像することとしてもよい。撮像部12は、撮像した画像(画像データ)を特定部21に提供する。また、撮像部12は、撮像した画像(画像データ)を記憶部14に記憶することとしてもよい。
【0025】
特定部21は、撮像部12によって撮像された画像に基づいて人物を認識し、認識した結果に基づいて個人を特定する。特定部21は、撮像部12から提供された画像に基づいて、その画像に写る人物個人を特定する。すなわち、特定部21は、画像に写る人物が店舗に勤務する複数の従業員のうち誰であるのかを特定する。特定部21は、種々の方法を用いて画像から人物を認識することができる。特定部21は、一例として、パターンマッチング又は予め学習したモデル(学習モデル)等に基づいて人物を認識することができる。この場合、特定部21は、例えば、認識される人物の顔の特徴を抽出することとしてもよい。
また、記憶部14には、人物の個人の顔の特徴が記録される顔情報が予め記憶されている。上記の「人物」は、衛生管理装置1が配される施設(例えば、飲食店等の店舗)に勤務する人物(従業員等)である。すなわち、上記の「人物」は、衛生設備11を利用する者である。記憶部14には、複数の人物の顔情報が予め記憶されることとしてもよい。特定部21は、人物が認識されると、例えば、その認識された人物の顔の特徴と、記憶部14に記憶される顔情報に記録される顔の特徴とに基づいて、人物個人を特定する。
【0026】
記憶部14には、例えば、
図3に例示するような情報が記憶されてよい。記憶部14に記憶される情報は、衛生管理装置1が配される施設に勤務する人物に対応付けて記録される種々の情報である。例えば、その情報には、人物の氏名、年齢、及び、人物個人の顔の特徴が記録される顔情報等が記録される。また、記憶部14に記憶される情報には、例えば、後述する生体情報(体温、血圧及び体臭(
図3には「体臭」は図示せず)、及び、後述する計数部22で計数される回数が記録される。また、記憶部14に記憶される情報には、後述する警告部23による警告の回数(
図3には図示せず)、及び、後述する評価部25によって設定される評価(
図3には図示せず)が記録されてもよい。また、記憶部14に記憶される情報は、上記の例示に限定されず、種々の情報が記録されてもよい。
【0027】
出力部13は、特定部21によって特定される個人に応じて、衛生設備11を利用して人物が衛生状態を確保するための複数の言語による説明のうち1の言語を選択して出力する。出力部13は、例えば、音を出力するスピーカを備える。
【0028】
衛生状態を確保するための説明は、例えば、衛生設備11の使用方法、衛生設備11を使用して人物の手を洗う時の洗い方、人物の手を消毒する時の消毒の仕方、ペーパータオルの使用方法、及び、人物が鏡を見て自身の身だしなみを確認する時の確認のポイント等の説明である。上記の例示のような説明は、例えば、複数の言語の音声(音声データ)により予め記憶部14に記憶されている。
上述したように特定部21は、人物個人を特定することができる。記憶部14には、人物個人と、その個人の国籍(その個人が話す言語)が予め記憶されている。このため、出力部13は、特定部21によって人物個人が特定され、さらに、その個人が話す言語が特定されると、記憶部14に記憶される複数の言語の説明のうち、特定された言語の説明を出力する。
衛生状態を確保するための説明は、例えば、ポスタ等の印刷物であってもよい。
【0029】
また、衛生管理装置1は、入力部(一例として、マイク(図示せず))を備えてもよい。衛生管理装置1は、衛生設備11を使用する人物がマイクを介して衛生面に関する質問を入力した場合、コンピュータ処理(人工知能)によって質問に応じた回答を出力部13から出力させることとしてもよい。この場合、記憶部14には、質問と、それに対応する回答とが複数記憶されている。衛生管理装置は、入力部から質問が入力されると、人工知能によってその質問に応じた回答を記憶部14から読み出し、その回答を出力部13から出力する。
なお、上述した入力部は、タッチパネル又はキーボード等を備えていてもよい。この場合、タッチパネル又はキーボード等の入力部を介して質問が入力されてもよい。
【0030】
計数部22は、特定部21によって特定された個人が衛生設備11によって提供される手洗い設備及びユーザ自身の姿を確認する設備を使用した回数を計数する。計数部22は、衛生設備11に配される上述したセンサ(図示せず)から検知結果を受け付ける。計数部22は、特定部21によって特定される人物個人毎に、検知結果に基づいて衛生設備11を使用する回数をカウントし、カウントした回数を記憶部14に記憶する。また、計数部22は、上述したセンサ(図示せず)の検知結果に基づいて、ユーザが石鹸等で手を洗う回数及び時間、並びに、手を流水で流す回数及び時間を計数(取得)することとしてもよい。
【0031】
記憶部14は、衛生設備11を使用する場合の推奨使用方法を示す画像を記憶する。衛生設備11を使用する場合の推奨使用方法は、例えば、推奨される手の洗い方、推奨される手の消毒の仕方、推奨されるペーパータオルの使用方法、推奨される人物の姿(身だしなみ)等である。記憶部14は、推奨使用方法を示す画像として、例えば、静止画又は動画である。撮像部12によって静止画が撮像される場合には、記憶部14は、推奨使用方法を示す画像として静止画を記憶することとしてもよい。撮像部12によって所定時間毎に静止画が撮像される場合には、記憶部14は、推奨使用方法を示す画像として、所定時間毎の静止画を記憶することとしてもよい。撮像部12によって動画が撮像される場合には、記憶部14は、推奨使用方法を示す画像として動画を記憶することとしてもよい。
【0032】
表示部15は、特定部21によって特定された個人が衛生設備11を使用する際の撮像部12によって撮像された画像と、記憶部14に記憶される推奨使用方法を示す画像と、計数部22によって計数された回数とを表示する。
図4に例示するように、表示部15は、衛生設備11を使用する人物の画像15aと、推奨使用方法を示す画像15bと、を並べて表示する。表示部15は、表示される人物の画像が手を洗うシーンであれば、推奨使用方法を示す画像として推奨される手の洗い方の画像を表示する。同様に、表示部15は、表示される人物の画像が手を消毒するシーンであれば、推奨使用方法を示す画像として推奨される手の消毒の仕方の画像を表示する。同様に、表示部15は、人物がペーパータオルを使用するシーン及び人物の身だしなみを確認するシーンであれば、推奨使用方法を示す画像として、推奨されるペーパータオルの使用方法及び推奨される人物の姿をそれぞれ表示することとしてもよい。
【0033】
なお、衛生管理装置1の制御部(図示せず(コンピュータの処理装置))は、撮像部12によって撮像される人物個人の画像と、推奨使用方法を示す画像とを比較して差分を抽出し、両画像の違う部分(抽出した差分)を表示部15に表示することとしてもよい。すなわち、表示部15は、人物個人の画像のうち、推奨使用方法を示す画像と異なる部分が分かるように表示することとしてもよい。異なる部分が分かるように表示する方法として、異なる部分に色を付けて表示する、又は、異なる部分を示すシンボルを表示する等の種々の方法を用いることができる。これにより、衛生管理装置1は、人物に、その人物個人が実際に行った方法と、推奨される使用方法との違いを示すことができ、その人物を教育することができる。
【0034】
また、
図4に例示するように、表示部15は、計数部22によって計数される回数15c(衛生設備11を使用する回数)を表示する。表示部15に表示される回数は、人物個人が衛生設備11を使用する累積回数であってもよく、経過時間と衛生設備11を使用する回数との関係が分かるもの(グラフ等)であってもよい。
【0035】
また、表示部15は、
図5に例示するような画面を表示することとしてもよい。表示部15は、衛生設備11を使用する人物の画像(本人映像)15aと、推奨使用方法を示す画像(お手本映像)15bと、を並べて表示する。また、衛生管理装置1の制御部(図示せず)は、後述する生体情報測定部16によって測定される結果と、予め記憶部14に記憶されるテーブルの情報とに基づいて、測定結果に応じたテーブルの情報を記憶部14から読み出して、その情報を表示部に15に表示してもよい。
具体的な一例として、計数部22によって計数された回数と、その回数に応じた文書の情報とを対応付けてテーブルに記録されている場合、計数回数が相対的に高評価であると、表示部15は、「衛生意識は高くてグッドです。もう少しスピードを意識して更に上を目指しましょう!」という文書情報15eを表示する。
また、具体的な一例として、生体情報測定部16によって測定される生体情報が血圧であり、血圧と、その血圧に応じた文書の情報とを対応付けてテーブルに記録されている場合、生体情報測定部16によって血圧100が測定されると、表示部15は、「健康チェック」の欄において、「少し血圧高めです。牛丼と一緒にサラダも食べましょう!」という文書情報15fを表示する。
また、表示部15は、例えば、業務連絡等を表示することとしてもよい。表示部15は、その業務連絡をリアルタイムで表示することとしてもよい。表示部15は、衛生設備11を使用する人物が必ず確認する表示部である。その表示部15に業務連絡等を表示することにより、人物に確実に連絡事項を伝えることができる。
【0036】
なお、表示部15は、衛生管理装置1に配される表示部に限定されることはない。例えば、表示部15は、人物個人が所有する端末の表示部であってもよい。端末は、例えば、スマートフォン、タブレット端末又はパーソナルコンピュータ等であってよい。
また、表示部15は、衛生管理装置1から離れた場所にある管理端末の表示部であってもよい。衛生管理装置1から離れた場所とは、例えば、店舗又は食品工場を管理する管理本部等であってよい。管理端末は、例えば、パーソナルコンピュータ等であってよい。
【0037】
また、衛生管理装置1は、生体情報測定部16及び警告部23を備えることとしてもよい。
生体情報測定部16は、特定部21によって特定される個人についての体温、血圧及び体臭のうち少なくとも1つの生体情報を測定する。生体情報測定部16は、例えば、人物の体温を測定する赤外線カメラ、人物の血圧を測定する血圧計、及び、人物の匂いを測定する匂いセンサ等を備える。生体情報測定部16は、人物の生体情報を測定した結果と、特定部21によって特定された個人とを対応付けて記憶部14に記憶することとしてもよい。生体情報測定部16は、人物の生体情報を測定した結果を警告部23に提供する。
【0038】
警告部23は、生体情報測定部16によって測定される生体情報が予め設定された値(第1の値)を超える場合、表示部15に警告を示す表示する。警告部23は、人物個人の体温が所定温度を超える場合、表示部15に警告を表示する。また、警告部23は、人物個人の血圧が所定値を超える場合、表示部15に警告を表示する。また、警告部23は、人物個人の匂いレベルが所定値を超える場合、表示部15に警告を表示する。表示部15に表示される警告は、例えば、体温が所定温度を超えたこと、血圧が所定値を超えたこと、又は、匂いレベルが所定値を超えたことを示す情報であり、警告を示す文字又は画像等である。
なお、警告部23は、生体情報測定部16によって測定される生体情報が予め設定された値(第2の値)を下回る場合、表示部15に警告を示す表示を行うこととしてもよい。
また、警告部23は、生体情報測定部16によって測定される生体情報が予め設定される数値範囲外になる場合、表示部15に警告を示す表示を行うこととしてもよい。
【0039】
表示部15は、衛生管理装置1に付属する表示部、人物が所有する端末の表示部、管理本部の管理者が閲覧可能な管理端末の表示部等であってよい。
これにより、店舗又は食品工場等に勤務する人物は、表示部15に表示される警告を確認することにより、自身の健康状態(生体情報)を知ることができる。そして、表示部15に警告が表示される場合には、人物は、勤務を休む、健康状態を改善する、又は、身体を清潔にする若しくは衣服を着替える等を行うことができる。また、管理本部に勤務する管理者は、管理端末の表示部15に表示される警告を確認することにより、店舗又は食品工場に勤務する人物(従業員)の健康状態を把握することができ、又は、人物(従業員)に種々の改善を促す等の教育を行うことができる。
【0040】
また、衛生管理装置1は、判定部24を備えることとしてもよい。
判定部24は、撮像部12によって撮像される画像に基づいて、特定部21によって特定される個人についての様子を判定する。判定部24は、個人についての様子(個人の様子)として、例えば、ヒゲ又は鼻毛が伸びているか、個人が着用するユニフォームが汚れていないか、並びに、ユニフォームのキャップの被り方を判定する。判定部24は、例えば、撮像部12によって撮像される画像と、基準となる画像とに基づいて、個人の様子を判定する。基準となる画像(後述する基準となる人物の様子)は、例えば、ヒゲが伸びていない顔の画像、鼻毛が出ていない顔の画像、汚れていないユニフォームの画像、及び、正しくキャップを被った画像等である。基準となる画像は、記憶部14に予め記憶される。
【0041】
この場合、警告部23は、判定部24によって判定される個人の様子と、予め記憶される基準となる人物の様子とが異なる場合、表示部15に警告を表示することとしてもよい。警告部23は、判定部24によって個人の様子と基準となる人物の様子とが異なると判定される場合、表示部15に警告を表示する。警告は、ヒゲ又は鼻毛が伸びている、ユニフォームが汚れている、又は、正しくキャップが被れていないことを示す文字又は画像等である。
【0042】
また、衛生管理装置1は、評価部25を備えることとしてもよい。
評価部25は、計数部22によって計数された回数、及び、警告部23による警告の回数のうちの少なくとも一方に基づいて、特定部21によって特定された個人に対する評価を設定する。評価部25は、計数部22によって計数される回数、すなわち、人物が衛生設備11を使用する回数が相対的に多い場合、例えば、回数に応じて加点を行う。また、評価部25は、出力部13によって出力される衛生状態を確保するための説明の通りに人物が衛生状態を確保した場合、加点を行うこととしてもよい。また、評価部25は、警告部23による警告の回数が相対的に多い場合、例えば、回数に応じて減点を行う。評価部25は、加点及び減点に基づいて、人物個人の評価点を取得する。
評価部25は、評価点を設定するばかりでなく、例えば、「優」、「良」、「可」又は「不可」等の多段階で個人に対する評価を行ってもよく、種々の他の評価方法によって評価してもよい。
【0043】
この場合、表示部15は、評価部25によって設定された評価を表示することとしてもよい。すなわち、
図4に例示するように、表示部15は、評価部25によって取得された評価点15dを表示する。管理本部、店舗及び食品工場等の管理者は、人物個人の評価点に応じて、その人物個人に対して異なる指導・教育を行うことができる。管理者は、評価点が相対的に低い人物個人に対しては勤務につかせず、衛生面での指導・教育を行うこととしてもよい。また、管理者は、評価点が相対的に中間の人物個人に対しては、衛生面での指導・教育のみを行うこととしてもよい。また、管理者は、評価点が相対的に高い人物個人に対して、衛生面での表彰等を行うこととしてもよいし、人物の査定(例えば、給料等)に反映させることとしてもよい。
【0044】
なお、衛生管理装置1は、上述した衛生管理を、人物が出勤した時、人物が退勤する時、人物が勤務中の所定時間毎に、その人物に行わせてもよい。
【0045】
上述した衛生管理装置1の各部は、コンピュータの処理装置(演算処理装置)等の機能として実現されてもよい。すなわち、衛生管理装置1の撮像部12、特定部21、出力部13、計数部22、記憶部14、表示部15、生体情報測定部16、警告部23、判定部24及び評価部25は、
図6に示すように、コンピュータの処理装置100(演算処理装置)等による、撮像機能101、特定機能102、出力機能103、計数機能104、記憶機能105、表示機能106、生体情報測定機能107、警告機能108、判定機能109及び評価機能110として実現されてもよい。衛生管理プログラムは、上述した各機能をコンピュータに実現させることができる。衛生管理プログラムは、外部メモリ又は光ディスク等の、コンピュータで読み取り可能な非一時的な記録媒体に記録されていてもよい。
また、上述したように、衛生管理装置1の各部は、コンピュータの処理装置(演算処理装置)等で実現されもよい。その処理装置(演算処理装置)等は、例えば、集積回路等によって構成される。このため、衛生管理装置の各部は、処理装置(演算処理装置)等を構成する回路として実現されてもよい。すなわち、衛生管理装置の撮像部、特定部、出力部、計数部、記憶部、表示部、生体情報測定部、警告部、判定部及び評価部は、コンピュータの処理装置(演算処理装置)等を構成する、撮像回路、特定回路、出力回路、計数回路、記憶回路、表示回路、生体情報測定回路、警告回路、判定回路部及び評価回路として実現されてもよい。
【0046】
次に、一実施形態に係る衛生管理方法について説明する。
まず、一実施形態に係る衛生管理方法の第1の処理内容について説明する。
図7は、一実施形態に係る衛生管理方法について説明するための第1のフローチャートである。
【0047】
ステップST11において、撮像部12は、衛生設備11を使用する人物の画像を撮像する。衛生設備11は、温水、手洗い石鹸、アルコール消毒液、鏡及びペーパータオルのうち少なくとも1つを提供する。
【0048】
ステップST12において、特定部21は、ステップST11で撮像された画像に基づいて人物を認識し、認識した結果に基づいて個人を特定する。
【0049】
ステップST13において、出力部13は、ステップST12で特定された個人に応じて、複数の言語による説明のうち1の言語を選択して出力する。出力部13は、例えば、スピーカを備え、説明を音声でスピーカから出力する。説明は、衛生状態を確保するための説明であり、例えば、衛生設備11の使用方法、衛生設備11を使用して人物の手を洗う時の洗い方、人物の手を消毒する時の消毒の仕方、ペーパータオルの使用方法、及び、人物が鏡を見て自身の身だしなみを確認する時の確認のポイント等の説明である。
【0050】
ステップST14において、ステップST12で特定された個人が衛生設備11を使用した回数を計数する。計数部22は、例えば、衛生設備11に配される種々のセンサ(接触センサ及び供給センサ(図示せず))等から出力された検知結果に基づき、検知の回数に応じて計数する。
【0051】
ステップST15において、記憶部14は、衛生設備11を使用する場合の推奨使用方法を示す画像を予め記憶する。衛生設備11を使用する場合の推奨使用方法は、例えば、推奨される手の洗い方、推奨される手の消毒の仕方、推奨されるペーパータオルの使用方法、推奨される人物の姿(身だしなみ)等である。
【0052】
ステップST16において、表示部15は、ステップST12で特定された個人の画像と、ステップST15で記憶部14に記憶された画像と、ステップST14で計数された回数とを表示する。個人の画像は、ステップST12で特定された個人が衛生設備11を使用する際に、ステップ11で撮像部12によって撮像された画像である。記憶部14に記憶された画像は、ステップST15で記憶部14に記憶された推奨使用方法を示す画像である。計数された回数は、ステップST14で計数部22によって計数された回数である。
【0053】
次に、一実施形態に係る衛生管理方法の第2の処理内容について説明する。
図8は、一実施形態に係る衛生管理方法について説明するための第2のフローチャートである。
【0054】
ステップST21において、生体情報測定部16は、ステップST12で特定される個人の生体情報を測定する。生体情報は、体温、血圧及び体臭のうち少なくとも1つである。生体情報は、具体的な一例として、人物の体温を測定する赤外線カメラ、人物の血圧を測定する血圧計、及び、人物の匂いを測定する匂いセンサ等で測定される。
【0055】
ステップST22において、警告部23は、ステップST21で測定された生体情報について警告が必要であるかを判定する。すなわち、警告部23は、ステップST21で測定された生体情報が予め設定された値を超えるかを判定する。警告部23は、例えば、人物個人の体温が所定温度を超えたかを判定し、人物個人の血圧が所定値を超えたかを判定し、人物個人の匂いレベルが所定値を超えたかを判定する。測定された生体情報が示す値が予め設定された値を超える場合(Yes)、処理は、ステップST23に進む。測定された生体情報が示す値が予め設定された値を超えない場合(No)、処理は、ステップST24に進む。
【0056】
ステップST23において、警告部23は、表示部15に警告を表示する。警告は、例えば、体温が所定温度を超えたこと、血圧が所定値を超えたこと、又は、匂いレベルが所定値を超えたことを示す情報であり、警告を示す文字又は画像等で表示部15に表示される。
【0057】
ステップST24において、判定部24は、ステップST11で撮像される画像に基づいて、ステップST12で特定される個人の様子を判定する。判定部24は、個人の様子として、例えば、ヒゲ又は鼻毛が伸びているか、個人が着用するユニフォームが汚れていないか、並びに、ユニフォームのキャップの被り方を判定する。
【0058】
ステップST25において、警告部23は、ステップST24で判定された個人の様子について警告が必要かを判定する。すなわち、警告部23は、ステップST24で判定された個人の様子と、予め記憶される基準となる人物の様子とが異なるかを判定する。個人の様子と、予め記憶される基準となる人物の様子とが異なる場合(Yes)、処理は、ステップST26に進む。個人の様子と、予め記憶される基準となる人物の様子とが異ならない場合(No)、処理は、ステップST27に進む。
【0059】
ステップST26において、表示部15に警告を表示する。警告は、例えば、ヒゲ又は鼻毛が伸びている、ユニフォームが汚れている、又は、正しくキャップが被れていないことを示す文字又は画像等である。
【0060】
ステップST27において、評価部25は、ステップST14で計数部22によって計数された回数、並びに、ステップST23及びステップST26の警告の回数に基づいて、ステップST12で特定された個人に対する評価を設定する。評価部25は、計数部22によって計数される回数、すなわち、人物が衛生設備11を使用する回数が相対的に多い場合、例えば、回数に応じて加点を行う。また、評価部25は、警告部23による警告の回数が相対的に多い場合、例えば、回数に応じて減点を行う。評価部25は、例えば、加点及び減点に基づいて、人物個人の評価点を取得する。
【0061】
ステップST28において、表示部15は、ステップST27で設定された評価を表示する。例えば、表示部15は、ステップST27で設定された個人の評価点を表示する。
【0062】
以下、本実施形態の効果について説明する。
衛生管理装置1は、温水、手洗い石鹸、アルコール消毒液、鏡及びペーパータオルのうち少なくとも1つが提供される衛生設備11を使用する人物の画像を撮像する撮像部12と、撮像部12によって撮像された画像に基づいて人物を認識し、認識した結果に基づいて個人を特定する特定部21と、特定部21によって特定される個人に応じて複数の言語による説明のうち1の言語を選択して出力する出力部13と、特定部21によって特定された個人が衛生設備11を使用した回数を計数する計数部22と、特定部21によって特定された個人が衛生設備11を使用する際の画像と、記憶部14に記憶される推奨使用方法を示す画像と、計数部22によって計数された回数とを表示する表示部15と、を備える。
これにより、衛生管理装置1は、多言語により手の洗い方の説明(人物が衛生状態を確保するための説明)を出力するので、従業員に適切な指導を行うことができる。
また、衛生管理装置1は、従業員自身の手の洗い方の画像と、推奨される手の洗い方の画像とを表示するので、両画像(手の洗い方)の違いを従業員に示すことができ、また従業員の手洗い回数も従業員に示すことができるので、従業員に衛生管理を徹底させることができる。
よって、衛生管理装置1は、飲食店を始めとする人物の衛生管理が必要な施設において、その人物の衛生管理を行うことができる。
【0063】
なお、食品工場等においては、食品を扱う衛生管理区域と、一般の人物が入れる外部区域とを分離することができる。しかし、飲食店等においては、顧客が居る客室と調理場とが区切られておらず、また従業員も客室と調理場とを頻繁に往復する。このため、飲食店等においては、衛生管理区域とそれ以外の外部区域とを厳密に分けることはできない。
また、飲食業界では複数の系列店を用いて食品を提供することがあるが、複数の飲食店の間で同じ基準で衛生管理を行う必要がある。このため、飲食店にあった衛生管理装置の開発が望まれていた。
また、飲食店においては、従業員の身だしなみによって顧客が飲食店に抱く印象が変わる。このため、飲食店においては、従業員の身だしなみも重要であるが、従来は、身だしなみを含めて従業員の衛生管理を行うことができていない。
この点、本実施形態の衛生管理装置1は、人物の衛生管理が必要な施設において、その人物の衛生管理を行うことができ、さらに衛生教育も行うことができる。
【0064】
衛生管理装置1は、特定部21によって特定される個人についての体温、血圧及び体臭のうち少なくとも1つの生体情報を測定する生体情報測定部16と、生体情報測定部16によって測定される生体情報が予め設定された値を超える場合、又は、生体情報測定部16によって測定される生体情報が前回測定時若しくは前回勤務時から著しく変化がある(予め設定された閾値を超える)場合、表示部15に警告を示す表示する警告部23と、を備えることとしてもよい。
これにより、衛生管理装置1は、従業員の生体情報を測定し、その生体情報に異常がある場合には警告を行うので、従業員の生体情報に問題がある場合にはその従業員を勤務から外す等の衛生管理を行うことができる。
【0065】
衛生管理装置1は、撮像部12によって撮像される画像に基づいて、特定部21によって特定される個人についての様子を判定する判定部24を備えることとしてもよい。この場合、警告部23は、判定部24によって判定される個人の様子と、予め記憶される基準となる人物の様子とが異なる場合、表示部15に警告を表示することとしてもよい。
これにより、従業員のアピアランスを判定し、アピアランスに問題がある場合には警告を行うので、従業員に自身の様子(身だしなみ等)を改善させることができ、衛生管理を行うことができる。
【0066】
衛生管理装置1は、計数部22によって計数された回数、及び、警告部23による警告の回数のうちの少なくとも一方に基づいて、特定部21によって特定された個人に対する評価を設定する評価部25を備えることとしてもよい。この場合、表示部15は、評価部25によって設定された評価を表示することとしてもよい。
これにより、衛生管理装置1は、衛生管理に関して従業員を評価するので、評価に応じて従業員を指導することができる。
【0067】
衛生管理装置1では、衛生設備11は、人物から異物を除去するためのエアシャワー及びダストクリーナのうち少なくとも一方を備えることとしてもよい。
これにより、衛生管理装置1は、エアシャワー及びダストクリーナを設置することにより、衛生管理を行うことができる。
ここで、ダストクリーナに加速度センサ等の、ダストクリーナを使用していることを検知することのできる検知センサ(図示せず)を配し、衛生管理装置1がその検知センサの検知結果を取得できるようになっていてもよい。また、エアシャワー及びダストクリーナを人物が使用しているシーンを撮像可能な撮像部を配し、衛生管理装置1がその撮像部で撮像された画像を認識することに基づいて、人物がエアシャワー及びダストクリーナを使用していることを検知することとしてもよい。なお、撮像部によって人物がエアシャワーを使用しているシーンを撮像する場合、衛生管理装置1は、撮像部で撮像された画像を認識することに基づいて、人物が身体を回転させてエアシャワーを使用しているのか確認することができる。これにより、衛生管理装置1は、人物がエアシャワー及びダストクリーナを適切に使用しているかを監視することができる。
【0068】
衛生管理方法では、コンピュータが、温水、手洗い石鹸、アルコール消毒液、鏡及びペーパータオルのうち少なくとも1つが提供される衛生設備11を使用する人物の画像を撮像部12で撮像する撮像ステップと、撮像ステップによって撮像された画像に基づいて人物を認識し、認識した結果に基づいて個人を特定する特定ステップと、特定ステップによって特定される個人に応じて複数の言語による説明のうち1の言語を選択して出力する出力ステップと、特定ステップによって特定された個人が衛生設備11を使用した回数を計数する計数ステップと、特定ステップによって特定された個人が衛生設備11を使用する際の画像と、記憶部14に記憶される推奨使用方法を示す画像と、計数ステップによって計数された回数とを表示部15に表示する表示ステップと、を実行する。
これにより、衛生管理方法は、多言語により手の洗い方の説明(人物が衛生状態を確保するための説明)を出力するので、従業員に適切な指導を行うことができる。
また、衛生管理方法は、従業員自身の手の洗い方の画像と、推奨される手の洗い方の画像とを表示するので、両画像(手の洗い方)の違いを従業員に示すことができ、また従業員の手洗い回数も従業員に示すことができるので、従業員に衛生管理を徹底させることができる。
よって、衛生管理方法は、飲食店を始めとする人物の衛生管理が必要な施設において、その人物の衛生管理を行うことができる。
【0069】
衛生管理プログラムは、コンピュータに、温水、手洗い石鹸、アルコール消毒液、鏡及びペーパータオルのうち少なくとも1つが提供される衛生設備11を使用する人物の画像を撮像部12で撮像する撮像機能と、撮像機能によって撮像された画像に基づいて人物を認識し、認識した結果に基づいて個人を特定する特定機能と、特定機能によって特定される個人に応じて複数の言語による説明のうち1の言語を選択して出力する出力機能と、特定機能によって特定された個人が衛生設備11を使用した回数を計数する計数機能と、特定機能によって特定された個人が衛生設備11を使用する際の画像と、記憶部14に記憶される推奨使用方法を示す画像と、計数機能によって計数された回数とを表示部15に表示する表示機能と、実行する。
これにより、衛生管理プログラムは、多言語により手の洗い方の説明(人物が衛生状態を確保するための説明)を出力するので、従業員に適切な指導を行うことができる。
また、衛生管理プログラムは、従業員自身の手の洗い方の画像と、推奨される手の洗い方の画像とを表示するので、両画像(手の洗い方)の違いを従業員に示すことができ、また従業員の手洗い回数も従業員に示すことができるので、従業員に衛生管理を徹底させることができる。
よって、衛生管理プログラムは、飲食店を始めとする人物の衛生管理が必要な施設において、その人物の衛生管理を行うことができる。
【符号の説明】
【0070】
1 衛生管理装置
11 衛生設備
12 撮像部
13 出力部
14 記憶部
15 表示部
16 生体情報測定部
21 特定部
22 計数部
23 警告部
24 判定部
25 評価部