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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-20
(45)【発行日】2023-03-29
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25C 1/25 20180101AFI20230322BHJP
   F25D 25/02 20060101ALI20230322BHJP
【FI】
F25C1/25 305F
F25D25/02 L
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019144162
(22)【出願日】2019-08-06
(65)【公開番号】P2021025712
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】藤原 圭吾
(72)【発明者】
【氏名】加納 奨一
【審査官】庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-257728(JP,A)
【文献】特開2006-078057(JP,A)
【文献】実開昭57-062886(JP,U)
【文献】実開昭53-142311(JP,U)
【文献】特開2009-180411(JP,A)
【文献】特開平02-254013(JP,A)
【文献】登録実用新案第3211694(JP,U)
【文献】特開2016-130591(JP,A)
【文献】特開2004-162939(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25C 1/00-5/00
F25D 1/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方が開口した貯蔵室と、
該貯蔵室内に配されて下面側に天面支持部を有する棚と、
該棚の下の底面と、
該底面側に取付けられた給水ポンプと、
該給水ポンプに着脱可能に接続された給水タンクと、を有し、
前記天面支持部は、該給水ポンプの天面側を支持する冷蔵庫。
【請求項2】
前記棚は、
平面部と、
該平面部の側周に取り付けられた樹脂製の枠部と、
前記天面支持部と、を有し、
前記天面支持部は、前記枠部に一端が連続して他端は前記枠部から離間している請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記棚は、
平面部と、
該平面部の側周に取り付けられた樹脂製の枠部と、
該平面部の上面に設けられた上面橋渡し部と、
該平面部の下面に設けられた下面橋渡し部と、を有し、
前記上面橋渡し部の一部又は略全部の上下方向の投影領域内に、前記下面橋渡し部の一 部又は略全部が配されている請求項1又は2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記棚の下面に不透光性の加工が施されており、
前記棚の下方、かつ、該棚の直下で最も近い別の棚又は前記貯蔵室の底面の上方、に配 線が配されており、
前記棚の下面に、下方に突出したスペーサが配されている請求項1乃至3何れか一項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、着脱自在な給水タンク400を開示している(0022)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-287857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
給水タンクは、その内部に収容される水を汲み上げて製氷室等に移送する給水ポンプに接続される。給水タンクが何らかの事情でがたつき得る構造であると、給水ポンプの着脱の際に給水タンクもがたつき得る。その際、給水タンクがその上下の底面や天面又は棚にがたつきに起因する移動で接触しやすくなる。これはユーザによる給水タンクの着脱動作の操作性を悪化させてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記事情に鑑みてなされた本発明は、
前方が開口した貯蔵室と、
該貯蔵室内に配されて下面側に天面支持部を有する棚と、
該棚の下の底面と、
該底面側に取付けられた給水ポンプと、
該給水ポンプに着脱可能に接続された給水タンクと、を有し、
前記天面支持部は、該給水ポンプの天面側を支持する冷蔵庫である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態の冷蔵庫の正面斜視図
図2】実施形態の冷蔵室扉を開けた状態の冷蔵室の正面図
図3】実施形態の下段棚の上面斜視図
図4】実施形態の下段棚の下面図
図5】実施形態のしきりの左側面図
図6図2のB-B断面図
図7図2のC-C断面矢視図
図8】実施形態の給水ポンプの上面斜視図
図9】実施形態の給水ポンプを冷蔵室底面に嵌合している箇所の部分断面図
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を、添付の図面を参照しつつ説明する。図1は本実施形態の冷蔵庫1の正面斜視図、図2は冷蔵室2の扉を開けた状態の冷蔵室2の正面図である。
冷蔵庫1は内部に貯蔵室を構成する冷蔵室2、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5、野菜室6等を備えている。
冷蔵室2内には、上から順に、可動の上段棚7、固定の右側棚8及び可動の左側棚9、固定の下段棚10、及び室内貯蔵室12が配されている。下段棚10の上面には、上下に延在するしきり11が配されている。冷蔵室2背面には冷却パネル14が設けられている。
【0008】
右側棚8及び左側棚9は、上段棚7よりも左右寸法が小さい棚であり、右側棚8は冷蔵室2内で固定され、左側棚9は可動に設けられている。右側棚8及び左側棚9の他端は、垂直方向に延在するしきり11の上端で支持されている。しきり11は、固定の下段棚10の上面側に固定されている。
【0009】
[下段棚10]
図3は下段棚10の上面斜視図、図4は下段棚10の下面図である。
下段棚10は、主面となるガラスや樹脂で形成された平面部19と、平面部19の左右中央側で上面に配された、前後に延在する上面橋渡し部26と、平面部19周囲であって下段棚10の縁に配された、略矩形で例えば樹脂製の枠部20と、下面に配された下面橋渡し部27と、下面側の枠部20から連続する凸部25と、下面橋渡し部27からさらに下方に突出する貯蔵室支持部28と、を有する。
平面部19は、一枚の板状部材で形成することができる。
上面橋渡し部26は、後端が開放しており、前端及び前端近傍の上側を塞ぐ袋状部262を有し、左右に壁が立設した凹条261を有する。橋渡し部26はガラス板19を挟んで前側の枠部材と奥側の樹脂部材をつなげている。
【0010】
枠部20は、平面部19の縁に固化前の流動樹脂を供給することで平面部19周囲に成形されるいわゆるインサート成形で取り付けられる。好ましくは、後述するように枠部20と同一工程で橋渡し部26,27、凸部25もインサート成形される。
【0011】
下面橋渡し部27は、平面部19の応力緩和を実現することができる。上面橋渡し部26も同様に、例えば枠部20と同時に一体部材としてインサート成形される樹脂製であることから、平面部19上面側に応力を与え得る。このため平面部19の下面であって好ましくは上面橋渡し部26の上下方向投影領域内を含んで又は略一致して、下面橋渡し部27を有している。これにより平面部19の上側と下側で発生する収縮による応力を相殺させ、棚10の反りを抑制している。下面橋渡し部27にはしきり11を取り付けないため、上面橋渡し部26と異なり、凹条や袋状部は設けなくてもよい。
【0012】
平面部19、下面橋渡し部27や枠部20には不透光性の構成、例えば塗料を塗布することができる。これにより、室内貯蔵室12や給水ポンプ16の配線が下段棚10を介して目視しにくいようにしている。塗料は室内貯蔵室12等の、棚10の下側に配された部材と接触すると削り取られる虞があるため、棚10及び室内貯蔵室12等とのスペーサとして貯蔵室支持部28を配している。貯蔵室支持部28を室内貯蔵室12等ではなく棚10(例えば枠部20や下面橋渡し部27)に配しているため、輸送時などの振動により貯蔵室支持部28が棚10に接触して塗料を削り取る事態を抑制している。
【0013】
下段棚10の下面には、枠部20の1辺201から連続して形成された凸部25が配されている。凸部25の一端251が枠部20に連続しているため、枠部20と凸部25とを同一工程で形成しやすい。
【0014】
凸部25(一端251)は、枠部20から不連続で(すなわち離間して)形成してもよい。凸部25の両端251,252がそれぞれ枠部材20又は下面橋渡し部27に連続して成形された場合、収縮による応力が発生し、平面部19、枠部20、又は下面橋渡し部27を変形させる虞がある。このため、凸部25は多くとも一端251のみが枠部20や下面橋渡し部27に連続して一体化されていて、残りの端部252は離間している。これにより凸部25と枠部20または下面橋渡し部27との接続を途切れさせている。接続を途切れさせることにより収縮の応力の発生を抑制できるため、応力を打消すための構造部材を下段棚10の上部に設ける必要性を低減でき、意匠性の自由度を向上させることができる。
【0015】
凸部25は、後述するように給水ポンプ16の前方に設けられている。これにより、給水ポンプ16が前側に傾いても支持することができ、給水タンク13の操作性を向上させることができる。
【0016】
[しきり11]
図5は本実施形態のしきり11の側面図である。しきり11は、主面119と、主面119下端側に配されて凹条261左右の側壁に挟持される狭幅部112と、狭幅部112の前端に配された鋭角の突き当り部111と、上端側に位置して棚8が取り付けられる切欠き114と、を有する。右側棚8には、切欠き114と対になって嵌合する例えば溝(不図示)が設けられている。
狭幅部112が凹条261に挿入され、突き当り部111が袋状部262に当接し、狭幅部112が凹条261の左右側壁に当接して、しきり11が係止される。
【0017】
[棚10下方のレイアウト]
図6は下段棚10の下方のレイアウトを示す図であり、図2のB-B断面図である。
下段棚10の下には、冷蔵室2のコ字状の内壁21に三方を囲まれて、前側に室内貯蔵室12と給水タンク13が左右に並び、給水タンク13の後側に給水ポンプ16が配置されている。なお、冷却パネル14は後側の内壁21に取付けられている。
【0018】
室内貯蔵室12は冷蔵室2内に設けられる、前方が開口する箱状の貯蔵室であり、冷蔵室2とは別環境で食品を収納できる貯蔵室である。例えば、冷蔵室2内温度が2℃から10℃程度であるところ、室内貯蔵室12の一例として、-2℃から0℃程度のチルド室を設けることができる。
【0019】
給水タンク13は製氷室3で製氷・貯蔵される氷の材料となる水を入れる容器であり、使用者によって取り出し自在である。
給水ポンプ16は、給水タンク13の後側に設けられており、給水タンク13内部の水を吸い上げ、製氷室3内に設置された製氷機に供給する機能を有する。
図7は給水タンク13、給水ポンプ16、下段棚10の配置を表す図で、図2のC-C断面矢視図である。図8は給水ポンプ16の上面斜視図,図9は給水ポンプ16を冷蔵室底面24に嵌合している箇所の部分断面図である。
【0020】
[ポンプ16の底面24への取付]
図9に例示するように冷蔵室の底面24は、給水ポンプ16の取付に対応して一部が上方に出っ張っている。底面24の上方への出っ張り部分として、例えば後面部241と前面部242とが形成されており、これらの間は窪んでいて給水ポンプ16の主部分が載置され、冷蔵室より下方の製氷室等に連通している。また、前面部242の上端側には、底面嵌合部243が設けられている。
【0021】
給水ポンプ16は、冷蔵室に取付けられた状態で底面24の後面部241より後方に位置するポンプ後面部161、底面24の前面部242より前方に位置するポンプ前面部162、ポンプ前面部161の中央側に配されて底面嵌合部243に対応するポンプ嵌合部163を有する。
【0022】
給水ポンプ16を底面24に取付るには、底面の出っ張り面241,242の間に給水ポンプ16の主部分が載置されるように給水ポンプ16を運び、ポンプ嵌合部163と底面嵌合部243とを対応させて両者を係止させる。両者が係止した状態では、上述のようにポンプと底面との前面162,242同士、後面161,242同士が対向する。本実施形態では、ポンプ嵌合部163がツメ、底面嵌合部243が孔とされているが、両者が係止されればその態様や位置は問わない。ツメ嵌合とすることで、製造現場において組付けしやすく、また修理等の対応において使用する工具を減らすことができるなどの利点がある。
【0023】
[ポンプ16のがたつき]
一般的に樹脂の成形品には金型からの離型をよくするため、3°以下程度の抜き勾配がついている。本実施形態では、ポンプの前後面161,162は、上部から下部にかけて板厚が薄くなるよう、抜き勾配がついている。また、冷蔵庫底面の少なくとも後面241(嵌合部が配されていない側)には下部から上部にかけて板厚が薄くなるように抜き勾配がついている。
【0024】
このように、ポンプ16と底面24の少なくとも一方が樹脂品であると、給水ポンプ16の主部分と底面24の前後側には隙間が生じてしまうため、給水ポンプ16が前後に傾き得る。給水ポンプ16が前後に傾くと、ポンプ16の天面164も前後に傾く。このため、棚10の下面のうち、天面164に対向する部分にポンプ天面支持部としての凸部25を設けてポンプ16の傾きを支持している。この際、天面164にスリットなどの凹部を設けて、凸部25が凹部に入り込むようにしてもよいし、凸部25に代えて凹部を形成し、ポンプ天面164から凸部を延ばしてもよい。さらに、天面164に代えてポンプ16の前面の上端側に接して支持できるように棚10から凸部を延ばしてもよい。
【0025】
凸部25の位置としてはポンプ天面164を支持できれば特に問われないが、食品等収納物の重さで下段棚10がたわむことがある。本実施例では図3に示すように、枠部材20のうち前面を除く3辺に壁があるため、前方部分のたわみ量が大きい。このため、給水ポンプ16についてもその前端側がより棚10に接しやすいため、凸部25は給水ポンプ16の天面のうち、前端側に接し得るように配してもよい。
【0026】
同様に、下段棚10の下部かつ給水ポンプ16の後方に凸部25を有することで給水ポンプ16が後側に傾くことを抑制できるが、冷蔵庫製造において、先に給水ポンプ16を取付け、その後に下段棚10を取り付ける工程のため、下段棚10を取り付ける際に、凸部25が給水ポンプ16とぶつかり、取付不良になることが考えられる。そのため、凸部は給水ポンプ16の前方にのみ設けることが望ましい。また、後側に傾くことを抑制するため、給水ポンプ16の上部後方に緩衝材を取り付けることが望ましい。緩衝材の材質としては、発泡ポリエチレンや発泡スチロールのブロックなどクッション性と剛性を有する素材があげられる。
【符号の説明】
【0027】
1・・・冷蔵庫
2・・・冷蔵室
3・・・製氷室
4・・・冷凍室
5・・・冷凍室
6・・・野菜室
7・・・可動の上段棚
8・・・固定の右側棚
9・・・可動の左側棚
10・・・固定の下段棚
11・・・しきり
12・・・室内貯蔵室
13・・・給水タンク(水容器)
14・・・冷却パネル
15・・・風路カバー
16・・・給水ポンプ
19・・・平面部
20・・・枠部
21・・・冷蔵室内壁
24・・・冷蔵室底面
25・・・凸部
26・・・上面橋渡し部
27・・・下面橋渡し部
28・・・貯蔵室支持部(スペーサ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9