(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-20
(45)【発行日】2023-03-29
(54)【発明の名称】防犯用ダイヤル照合機構付電気シリンダ
(51)【国際特許分類】
E05B 37/02 20060101AFI20230322BHJP
E05B 47/00 20060101ALI20230322BHJP
E05B 45/08 20060101ALI20230322BHJP
【FI】
E05B37/02 C
E05B47/00 J
E05B45/08
E05B47/00 K
(21)【出願番号】P 2019155136
(22)【出願日】2019-08-28
【審査請求日】2022-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】591244063
【氏名又は名称】酒井 信世
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】酒井 信世
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-019511(JP,A)
【文献】特開2011-080253(JP,A)
【文献】特許第3782812(JP,B2)
【文献】実開昭53-148798(JP,U)
【文献】特開2010-196436(JP,A)
【文献】特開平03-084179(JP,A)
【文献】特開平01-278669(JP,A)
【文献】特開2009-257008(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
防犯用ダイヤル照合機構付電気シリンダにおいて、ダイヤル照合機構をダイヤルモジュール内に納めてメインハウジングに設置して取付けており、ダイヤル番号変更レバーにより番号を選び設定し、設定番号に合わせたときに、ロックプレートが矢印方向に移動し、ダイヤルモジュール上部の制御基盤上に取付けられたリミットスイッチがオンになり、これで制御基盤に回路化された電子技術により電気シリンダが作動するものであり、制御基盤にタイマー機能を持たせてダイヤル照合によりリミットスイッチがオンになっても、一定時間電気シリンダに出力しないことを特徴とする防犯用ダイヤル照合機構付電気シリンダ。
【請求項2】
ダイヤル照合機構には、4桁のダイヤルを使用して、一定時間タイマーの時間を制御基盤により任意とすることを特徴とする請求項1に記載の防犯用ダイヤル照合機構付電気シリンダ。
【請求項3】
電気シリンダにおいて、電源が入らないときに、コンデンサを介して、電圧が一回のみ印加されることを特徴とする請求項1に記載の防犯用ダイヤル照合機構付電気シリンダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子制御により動作する電気シリンダ(特許第3782812号)と非常用にダイヤル番号操作により電気シリンダを解錠連動状態にできる一体型のダイヤル照合機構付電気シリンダに関する。
【背景技術】
【0002】
今日までの電気シリンダ錠では、非常時解錠が必要となる条件、即ちIC錠等で制御部が故障した場合、電池式IC錠の液漏れ等による電圧の急低下の場合、外部電源に接続されている電子錠の電源線の断線や停電、電源部故障等による電源の切断の場合、カードキーやスマートフォン等の使用キーの紛失の場合には、非常用の金属キーをキーシリンダーに差し入れて解錠することが一般的である。しかし、非常用の金属キーを常に所持していることは稀であり、通常、集合住宅やアパート等では管理室に保管されており、緊急時に部屋毎の金属キーを探し出すには時間がかかり、見つけ出せないこともある。
【0003】
この非常時解錠が必要となる場合には、迅速に対応して解錠できるとともに防犯対策も万全とすることが求められていた。そこで、防犯対策としてダイヤル照合機構に動作スイッチ機構を連動させてコンデンサを介して作動解錠するようにした。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第3782812号明細書
【文献】米国特許第8341986号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、防犯対策としてダイヤル照合時にスイッチ機構を作動させ、一定時間電気シリンダの解錠連動を遅延させ、ダイヤル照合を疑似的に扱う機能も備えさせるものとし、電源供給が切れた時もダイヤル照合させることにより、スイッチ機構を動作させ、コンデンサを通して電気シリンダを解錠連動させることができる錠を提供する。
【0006】
本発明は、従来の電気シリンダ錠に防犯用ダイヤル照合機構を備えて、更にスイッチ機構を作動させ、コンデンサを通して電気シリンダ錠を解錠させるものとすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の防犯用ダイヤル照合機構付電気シリンダ錠は、ダイヤル照合機構をダイヤルモジュール内に納めてメインハウジングに設置して取付けており、ダイヤル番号変更レバーにより番号を選び設定し、設定番号に合わせたときに、ロックプレートが矢印方向に移動し、ダイヤルモジュール上部の制御基盤上に取付けられたリミットスイッチがオンになり、これで制御基盤に回路化された電子技術により電気シリンダが作動する錠であり、制御基盤にタイマー機能を持たせてダイヤル照合でリミットスイッチがオンになっても、一定時間電気シリンダに出力しないことを特徴とする。
【0008】
本発明のダイヤル照合機構付電気シリンダは、ダイヤル照合機構には、4桁のダイヤルを使用して、一定時間タイマー時間は制御基盤で任意とするタイマー機能を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明のダイヤル照合機構付電気シリンダは、電源が入らないときに、コンデンサを介して、電圧が一回のみ印加されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、電気シリンダ錠において非常時解錠が必要となったときに、キーを紛失したとしても、また金属キーを持っていなくとも、ダイヤル照合によって解錠することができる。
【0011】
本発明によると、ダイヤル照合によりリミットスイッチをオンとなしても、更に制御基盤にタイマー機能を持たせ、一定時間電気シリンダに出力電圧を供給しなくして、防犯機能を向上させた。
【0012】
本発明によると、停電、電池切れ等により電源供給が遮断されても、ダイヤル照合によってリミットスイッチがオンになった時に、コンデンサの電圧で、電気シリンダに出力を供給できる。
【0013】
本発明によると、電気シリンダにダイヤル照合機構を備える錠のみに限らずに、電気シリンダを電気錠に変えても、適用される防犯対策を提供する錠である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、この発明の好ましい実施の態様は、添付図面に基づいて詳細に説明される。
図1はドア扉に本発明のダイヤル照合機構付電気シリンダ錠を取付けた状態の斜視図であり、
図2は、電気シリンダの上部断面図であり、
図3は電気シリンダの分解図であり、
図4はリミットスイッチを備えるダイヤル照合機構の斜視図であり、
図5は制御基盤略図であり、
図6はダイヤル解錠を行う電気シリンダ錠のフロー図である。
【実施例】
【0015】
図1には、本発明のダイヤル照合機構付電気シリンダ3をドア扉17に取付けた状態を示し、公知のダイヤルモジュール機構8と電気シリンダ3を組合せた錠であり、電気シリンダ3が電気的に作動可能であり、錠前と連動されれば、電気錠になる。更に、ドア扉17の表面にカード読取器19を備えており、カードキーをその読取器19により読み取り解錠するものである。
【0016】
図2は、電気シリンダ上部断面図を示し、左側の上部断面図はリミットスイッチ11がオン位置にある状態を開示し、右側の上部断面図はリミットスイッチ11がオフ位置にある状態を開示する。メインハウジング1におけるダイヤルカバー2を開放して、ダイヤルモジュール8におけるダイヤル15の4桁を合わせて、ダイヤル15が設定番号となると、ロックプレート12が矢印方向20へ移動し、制御基盤7上に取付けられたリミットスイッチ11がオンになる。このリミットスイッチ11がオンになると、制御基盤7に回路化された電子技術により電気シリンダ3が動作する。
【0017】
図3は、電気シリンダ3の分解図を示し、プロテクタ4がメインハウジング1の開口に挿入されて、電気シリンダ3を覆う。このメインハウジング1にはダイヤルカバー2も取付けられている。また、ダイヤルモジュール8を収容する制御基盤7は、メインハウジング1内に収容される。電気シリンダ3はスペーサリング6を介して裏板9にピン10によって締結されている。
【0018】
図4には、本発明の4桁のダイヤルモジュール8が表面側と裏面側から見た斜視図で示され、ダイヤル照合時の制御基盤7に実装されたリミットスイッチ11の動作とダイヤル変更レバー13のダイヤル照合によりロックプレート12が矢印方向20に移動してスイッチ11が入る。照合変更はダイヤル照合変更レバー13により行う。この4桁ダイヤルモジュール8は一定時間タイマーを例えば30秒とした場合に、ダイヤル15を4桁模擬操作すると、約3日もかかることになるので、ダイヤル操作による不正解除は非常に困難になる。
【0019】
図5は制御基盤略図を示し、ダイヤル番号変更レバー13によりダイヤル15を選び設定する。設定番号に合わせた時、ロックプレート12が矢印方向20に移動し、ダイヤルモジュール8の上部に置かれている制御基盤7上に取付けられたリミットスイッチ11がオンになる。リミットスイッチ11がオンになれば、制御基盤7に回路化された電子技術により電気シリンダ3が動作する。
【0020】
図6は、ダイヤル解錠する電気シリンダ3のフロー図を示し、まず、電源からの電圧が供給されると、制御機能がダイヤルスイッチ11をオンに作動し、タイマーを介して電気シリンダ3に連動されて解錠させる。また、電源から電圧が供給されないと、すでに、コンデンサにチャージされた電源で働かし、ダイヤルスイッチをオンとして電気シリンダ3に連動されて解錠作用を行う。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明では、防犯対策としてダイヤル照合時にスイッチ機構を作動させ、一定時間電気シリンダの解錠を遅延させ、ダイヤル照合を疑似的に扱う機能も持ち合わせている。
【0022】
本発明では、電源供給(バッテリーも含む)切れた時もダイヤル照合させることにより、スイッチ機構を動作させ、コンデンサを介して電気シリンダを解錠させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明のダイヤル照合機構付電気シリンダをドア扉に取付けた状態の斜視図を示す。
【
図4】リミットスイッチを備えるダイヤル照合機構の斜視図を示す。
【
図6】ダイヤル解錠を行う電気シリンダ錠のフロー図を示す。
【符号の説明】
【0024】
1…… メインハウジング
2…… ダイヤルカバー
3…… 電気シリンダ
4…… プロテクタ-
5…… テールピース
6…… スペーサリング
7…… 制御基盤
8…… ダイヤルモジュール
9…… 裏板
10… ピン
11… リミットスイッチ
12… ロックプレート
13… ダイヤル番号変更レバー
14… コンデンサ
15… ダイヤル
16… 電気シリンダモータ線
17… ドア扉
18… ドアハンドル
19… カード読取器
20… 矢印方向