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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-20
(45)【発行日】2023-03-29
(54)【発明の名称】炊飯の前処理システム
(51)【国際特許分類】
   B02B 1/04 20060101AFI20230322BHJP
   A47J 43/24 20060101ALI20230322BHJP
【FI】
B02B1/04 102
A47J43/24
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019158332
(22)【出願日】2019-08-30
(65)【公開番号】P2021037430
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】390007456
【氏名又は名称】株式会社中西製作所
(72)【発明者】
【氏名】小山 政則
(72)【発明者】
【氏名】本庄 浩朗
【審査官】中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-175524(JP,A)
【文献】特開平07-289926(JP,A)
【文献】特開2015-037777(JP,A)
【文献】独国特許発明第820840(DE,C2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02B 1/00 - 7/02
A47J 43/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗米水と精白米粒との混合流体を流動させながら洗米する洗米手段を有し、前記洗米手段により洗米した精白米粒を既洗米粒として前記洗米水とともに送米する洗米部と、
下方に頂点を向けた略円錐形状で、上方と下方とに開口した筒状の部材であり、筒状の壁面に複数の孔を有する分離器と、前記分離器の内側に設けた下方に広がる陣笠形状の拡散器と、を有する分離部と、
を備え、
前記洗米水と前記既洗米粒との混合流体を、前記拡散器へと略鉛直方向に落下流動させて、前記拡散器により流動の方向を略鉛直方向から略水平方向へと変更し、
前記略水平方向へと流動の方向を変更した洗米水と既洗米粒との混合流体を、前記分離器の筒状の壁面の内側に到達させて、前記複数の孔を通過する前記洗米水と、前記複数の孔を通過しない前記既洗米粒とに分離することを特徴とする炊飯の前処理システム。
【請求項2】
拡散器は、水平方向に対して傾斜している傾斜部と、傾斜部の下部から略水平方向に延在させた水平部と、を有し、
前記傾斜部へと落下流動し、前記傾斜部に沿うように流動する洗米水と既洗米粒との混合流体の流動の方向を、前記水平部により略水平方向へと変更することを特徴とする請求項に記載の炊飯の前処理システム。
【請求項3】
貯水した浸漬水で既洗米粒を浸漬する浸漬タンクと、
前記浸漬タンクに設け、所定の水位を越えた前記浸漬水をオーバーフローさせる溢流部と、
前記浸漬水の水面に向けて清水を噴射する給水ノズルと、を有する浸漬部を備え、
前記給水ノズルから前記浸漬水の水面へと清水を噴射することにより、前記浸漬水を前記浸漬水の水面に浮かんだ米ぬか泡とともに流動させ、前記溢流部へとオーバーフローさせることを特徴とする請求項またはに記載の炊飯の前処理システム。
【請求項4】
浸漬部は、浸漬タンクに貯水した浸漬水の水面を区画する区画部材を備え、
分離部により分離した既洗米粒を前記区画した水面へと着水させて、前記区画した水面に米ぬか泡を浮かせ、
給水ノズルから前記区画した水面へと噴射する清水により、前記区画した水面に浮かぶ米ぬか泡を前記浸漬水とともに流動させ、オーバーフローさせるように溢流部を配置することを特徴とする請求項に記載の炊飯の前処理システム。
【請求項5】
分離部は、分離器で分離した既洗米粒を浸漬タンクに貯水した浸漬水へと落下流動させる流動管を備え、前記流動管の開口は、浸漬タンクに貯水する浸漬水の水面よりも下方に位置することを特徴とする請求項またはに記載の炊飯の前処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、特に学校、病院等の給食、大規模食品業界のように、比較的大量にご飯を必要とする場合における炊飯の前処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
比較的大量に洗米して炊飯を行う場合において、精白米粒を洗米した既洗米粒を浸漬部に投入し、浸漬水に浸漬して米に吸水させることが多い。浸漬部に既洗米粒を投入する際に、洗米水と既洗米粒との混合流体をネットやパンチングプレート等の網状の部材を通すことにより洗米水と既洗米粒とに分離する。これは、既洗米粒とともに流動する洗米水には、精白米粒を洗米したときに精白米粒から剥がれ落ちた米ぬかが多く含まれているためである。
【0003】
この米ぬかが多く含まれた洗米水を既洗米粒から分離せずに、浸漬部で既洗米粒を浸漬した後、当該既洗米粒を炊飯水とともに炊飯釜へと供給して炊飯すると、米ぬかの臭いが付着した、いわゆる「ぬか臭いご飯」が炊きあがる。この問題を解決するために、洗米水と既洗米粒との混合流体から洗米水を分離する数多くの技術が実施、公開されている。
【0004】
特許文献1には、図示しない洗米装置で洗米した既洗米粒を送米パイプ内で水圧により移送し、ネットまたはパンチングシート製の水分離板上に水と既洗米粒との混合流体を吐出することにより、水と、既洗米粒とを分離する配米装置のホッパが記載されている。水分離板上に吐出されて水と分離された既洗米粒は水分離板上を下方に滑り、清水を貯水したホッパ本体へと貯留され、浸漬されて浸漬米粒となる。そして、ホッパ本体に貯留した浸漬米粒は、ホッパ本体の下部に装着した開閉装置を開閉することにより、開閉装置のさらに下方に設置した炊飯釜へと定量だけ落下する。
【0005】
特許文献2には、方向切替バルブを洗米位置に切り替え、ポンプにより米と洗米水を洗米槽から送米管および洗米管を通って循環流動させながら洗米し、洗米後に方向切替バルブを送米位置に切り替え、洗米した精白米粒である既洗米粒を、網を円筒状にした回転筒に送る。回転筒は下り傾斜状に配置され、下り傾斜方向に沿った二方に開口を有する筒状であり、二方の開口の略中央を結ぶ軸線を中心として回転筒を回転させることにより、下り傾斜方向に既洗米粒を浸漬タンクへと順に送りながら、洗米水を円筒状の網から落下させて、既洗米粒とともに流動する洗米水を分離する洗米装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実開昭58-98035号公報
【文献】特開2018-38945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の配米装置のホッパでは、洗米装置により洗米し、水分を吸収して割れやすくなった既洗米粒は送米パイプの吐出口から水分離板の上に直接吐出されるため、水分離板からの高さの位置エネルギーを保持したまま水分離板に衝突することとなる。これにより、既洗米粒が割れてしまうおそれがある。
【0008】
また、洗米装置により洗米し、既洗米粒がネットまたはパンチングシート製の水分離板の上に吐出されたとき、既洗米粒が水分離板の孔に刺さり、次々に吐出される既洗米粒と衝突することにより、割れてしまうおそれがある。
【0009】
既洗米粒が割れて破砕米となり、その破砕米が混ざった既洗米粒を炊飯水とともに炊飯釜へと収納し、その炊飯釜を加熱して炊飯すると、破砕米から大量のでん粉が炊飯水へと溶け出して混ざり合うことなる。破砕米から溶け出したでん粉が大量に混ざり合った炊飯水にて米粒を炊飯すると、溶けだしたでん粉が炊飯水とともに加熱されて糊化することにより、炊飯釜内の米粒の流動を悪くして、ご飯のアルファ化を阻害し、美味しいご飯が炊きあがらないというおそれがある。
【0010】
特許文献2では、網を円筒状にした下り傾斜状の所定の長さを有し回転する回転筒状体内に洗米後の米を送米し、送米水と洗米後の米に分離して、洗米後の米を下側の開口面から浸漬タンクに落下させる。送米水と洗米後の米とに分離される際に、洗米後の米は回転する回転筒状体の内側に沿った持ち上げと落下とを所定の長さに亘って何度も繰り返し、徐々に下り傾斜状の回転筒状体内を移動していき、下側の開口面から浸漬タンクへと落下する。
【0011】
このとき、所定の長さを有する回転筒状体内を所定の時間をかけて移動することになるが、その間も洗米後の米は水を吸収するため、より割れ易くなる。そして割れやすくなった洗米後の米は、回転する回転筒状体の網状の内側に擦られながら移動することにより、下側の開口面に到達するまでに多くの洗米後の米が割れて大量の破砕米が発生してしまう。
【0012】
また、回転筒状体を回転させるためのモータ等の動力手段、安定して回転させるための保持部、清掃時に回転筒状体を取り外せる機構等が必要となるため、装置の構成が複雑となり、大型化してしまう。
【0013】
本発明は前記従来の課題を解決するもので、洗米水と既洗米粒との混合流体を洗米水と既洗米粒とに分離するとき、既洗米粒の割れを抑制することのできる炊飯の前処理システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(削除)
【0015】
発明の炊飯の前処理システムは、
洗米水と精白米粒との混合流体を流動させながら洗米する洗米手段を有し、前記洗米手段により洗米した精白米粒を既洗米粒として前記洗米水とともに送米する洗米部と、
下方に頂点を向けた略円錐形状で、上方と下方とに開口した筒状の部材であり、筒状の壁面に複数の孔を有する分離器と、前記分離器の内側に設けた下方に広がる陣笠形状の拡散器と、を有する分離部と、
を備え、
前記洗米水と前記既洗米粒との混合流体を、前記拡散器へと略鉛直方向に落下流動させて、前記拡散器により流動の方向を略鉛直方向から略水平方向へと変更し、
前記略水平方向へと流動の方向を変更した洗米水と既洗米粒との混合流体を、前記分離器の筒状の壁面の内側に到達させて、前記複数の孔を通過する前記洗米水と、前記複数の孔を通過しない前記既洗米粒とに分離することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の炊飯の前処理システムによれば、洗米水と既洗米粒との混合流体を洗米水と既洗米粒とに分離するとき、既洗米粒の割れを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態の炊飯の前処理システムの全体構成を示すブロック図。
図2】上記炊飯の前処理システムの洗米部の構成を示すブロック図。
図3】上記炊飯の前処理システムの分離部の主要な部材の構成を示す正面断面図(ハッチング省略)。
図4】上記炊飯の前処理システムの分離器の構成を示す外観図であって、(a)は上面図、(b)は正面図。
図5】上記炊飯の前処理システムの浸漬部の主要な部材の構成を示し、浸漬タンクに満水となる水位まで浸漬水を貯水した状態を示す上面断面図(ハッチング省略)。
図6】上記炊飯の前処理システムの浸漬タンクに満水となる水位まで浸漬水を貯水し、所定量の浸漬米粒が貯留されたときの浸漬水の流動状態を示す上面断面図(ハッチング、浸漬米粒省略)。
図7図5のA-A線における断面図(ハッチング省略)。
図8図6のC-C線における断面図(ハッチング省略)(浸漬米粒は稜線のみで表す)。
図9図5のA-A線における断面図(ハッチング省略)であって、チェーンを上方に引くことにより案内板を上方に引き上げている状態を示す図(ハッチング省略)。
図10】上記炊飯の前処理システムの浸漬部の固定区画部材および可動区画部材の構成を示す斜視図であって、(a)は固定区画部材のみの状態、(b)は固定区画部材に可動区画部材を取付けた状態を示す図。
図11図5のB-B線における断面図(ハッチング省略)であって、可動区画部材が閉じている状態を示す図。
図12図6のD-D線における断面図(ハッチング省略)であって、所定量の既洗米粒が貯留され、可動区画部材が所定角度だけ開いた状態を示す図。
図13図6のD-D線における断面図(ハッチング省略)であって、浸漬タンクに貯留した浸漬米粒が配管を通じて配米部へと流動する状態を示す図。
図14】上記炊飯の前処理システムの配米部および給水部の主要な部材の構成を示すブロック図。
図15】上記炊飯の前処理システムの浄化部の主要な部材の構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(削除)
【0019】
(削除)
【0020】
(削除)
【0021】
(削除)
【0022】
(削除)
【0023】
(削除)
【0024】
(削除)
【0025】
(削除)
【0026】
本発明の請求項に記載の発明は、
洗米水と精白米粒との混合流体を流動させながら洗米する洗米手段を有し、前記洗米手段により洗米した精白米粒を既洗米粒として前記洗米水とともに送米する洗米部と、
下方に頂点を向けた略円錐形状で、上方と下方とに開口した筒状の部材であり、筒状の壁面に複数の孔を有する分離器と、前記分離器の内側に設けた下方に広がる陣笠形状の拡散器と、を有する分離部と、
を備え、
前記洗米水と前記既洗米粒との混合流体を、前記拡散器へと略鉛直方向に落下流動させて、前記拡散器により流動の方向を略鉛直方向から略水平方向へと変更し、
前記略水平方向へと流動の方向を変更した洗米水と既洗米粒との混合流体を、前記分離器の筒状の壁面の内側に到達させて、前記複数の孔を通過する前記洗米水と、前記複数の孔を通過しない前記既洗米粒とに分離することを特徴とする炊飯の前処理システムとしたものである。
【0027】
これにより、洗米水と既洗米粒との混合流体が落下流動するときの運動エネルギーを、拡散器により略鉛直方向から略水平方向へと変更することにより減少させ、洗米水と既洗米粒との混合流体を分離器の複数の孔を有する壁面に到達させて、洗米水と既洗米粒とに分離する。これにより、既洗米粒が割れてしまうことを抑制することができる。
【0028】
本発明の請求項に記載の発明は、請求項に記載の発明において、
拡散器は、水平方向に対して傾斜している傾斜部と、傾斜部の下部から略水平方向に延在させた水平部と、を有し、
前記傾斜部へと落下流動し、前記傾斜部に沿うように流動する洗米水と既洗米粒との混合流体の流動の方向を、前記水平部により略水平方向へと変更することを特徴とする炊飯の前処理システムとしたものである。
【0029】
これにより、洗米水と既洗米粒との混合流体の流動の方向を複数回変更し、運動エネルギーをより減少させて、分離器の筒状の壁面の内側に到達させる際に、既洗米粒に与える衝撃を少なくし、既洗米粒が割れてしまうことを抑制することができる。
【0030】
本発明の請求項に記載の発明は、請求項またはに記載の発明において、
貯水した浸漬水で既洗米粒を浸漬する浸漬タンクと、
前記浸漬タンクに設け、所定の水位を越えた前記浸漬水をオーバーフローさせる溢流部と、
前記浸漬水の水面に向けて清水を噴射する給水ノズルと、を有する浸漬部を備え、
前記給水ノズルから前記浸漬水の水面へと清水を噴射することにより、前記浸漬水を前記浸漬水の水面に浮かんだ米ぬか泡とともに流動させ、前記溢流部へとオーバーフローさせることを特徴とする炊飯の前処理システムとしたものである。
【0031】
これにより、浸漬タンクに貯水した既洗米粒を浸漬する浸漬水を清浄な状態とすることができる。
【0032】
本発明の請求項に記載の発明は、請求項に記載の発明において、
浸漬部は、浸漬タンクに貯水した浸漬水の水面を区画する区画部材を備え、
分離部により分離した既洗米粒を前記区画した水面へと着水させて、前記区画した水面に米ぬか泡を浮かせ、
給水ノズルから前記区画した水面へと噴射する清水により、前記区画した水面に浮かぶ米ぬか泡を前記浸漬水とともに流動させ、オーバーフローさせるように溢流部を配置することを特徴とする炊飯の前処理システムとしたものである。
【0033】
これにより、浸漬タンクに貯水した浸漬水から米ぬか泡を効果的に除去して、浸漬タンクに貯水する浸漬水をより清浄な状態とすることができる。
【0034】
本発明の請求項に記載の発明は、請求項またはに記載の発明において、
分離部は、分離器で分離した既洗米粒を浸漬タンクに貯水した浸漬水へと落下流動させる流動管を備え、前記流動管の開口は、浸漬タンクに貯水する浸漬水の水面よりも下方に位置することを特徴とする炊飯の前処理システムとしたものである。
【0035】
(実施形態1)
(炊飯の前処理システムの概要)
以下、本発明の一実施形態である炊飯の前処理方法、および炊飯の前処理システム10について、図1図15を用いて説明する。
【0036】
先ず、本発明の炊飯の前処理システム10の基本的な構成を、図1を用いて説明する。
本発明の一実施形態における炊飯の前処理システム10は、大きく分けて以下により構成している。
(1)空気と洗米水W2と精白米粒(米粒)R1とを混ぜ合わせて混合流体とし、その混合流体を洗米手段32内で流動させることにより精白米粒R1を洗米し送米する洗米部20
(2)洗米部20で混ぜ合わせ洗米し送米された混合流体を、空気を含んだ洗米水W3と、既洗米粒(米粒)R2とに分離する分離部40
(3)分離部40により分離した既洗米粒R2を、浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4で浸漬させつつ貯留し、浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4をオーバーフローさせる浸漬部60
(4)浸漬部60により浸漬した浸漬米粒(米粒)R3を、所定量だけ炊飯釜97へと配米する配米部90
(5)浸漬米粒R3の供給された炊飯釜97へと、所定の温度である炊飯水W6を供給する給水部100
(6)浸漬水を混ぜ合わせた空気を含んだ洗米水W5を、再び洗米部20で精白米粒R1の洗米に使用することができるよう浄化する浄化部120
(7)各部の機器と電気的に接続し、集中的に制御を行う制御部140
【0037】
なお、玄米を搗精した米粒を精白米粒(米粒)R1、洗米部20で空気を含んだ洗米水W3により洗米した精白米粒R1を既洗米粒(米粒)R2、浸漬部60で浸漬水W4により浸漬している既洗米粒R2を浸漬米粒(米粒)R3と称する。
【0038】
なお、浄化部120に貯水し、洗米部20のエジェクタ26へと流動する洗米水を洗米水W2、洗米部20で空気と洗米水W2とを混ぜ合わせ、精白米粒R1の送米および洗米に使用する洗米水を空気を含んだ洗米水W3、浸漬タンク61に貯水した水を浸漬水W4、炊飯釜97に供給される水を炊飯水W6と称する。また、清水W1は例えば水道水を示しているが、純水や軟水等の水道水とは異なる水を使用してもよい。
【0039】
なお、配管と称するものは、例えばステンレス等の金属製の配管を用いてもよいし、例えば塩化ビニル等の樹脂製の配管を用いてもよい。ただし、配管内を清掃することを考慮すると、金属製の配管に比較して着脱のしやすい樹脂製の配管を用いるのが好ましい。
【0040】
なお、バルブと称するものは、制御部140に備える制御盤141により制御可能な電磁バルブもしくは電動バルブとしてもよい。また、手動による調整や、電気的な制御が不要な個所は、手動のバルブとしてもよい。ただし、炊飯の前処理システム10を操作するときの作業員の誤りを防止するために、制御盤141によるプログラムで開閉を制御することのできる上に、単独での開閉を制御することのできる電磁バルブもしくは電動バルブを用いるのが好ましい。
【0041】
なお、図2図14および図15において、破線で示している個所がある。破線で示している個所は、図2図14および図15の各図で示す洗米部20、配米部90および浄化部120に含まれない箇所を示す。
【0042】
(1)洗米部
次に、洗米部20の構成について、図1および図2を用いて説明する。
【0043】
洗米部20は、空気を含んだ洗米水W3と精白米粒R1とをエジェクタ26により混ぜ合わせた、空気を含んだ洗米水と精白米粒の混合流体M1を、洗米手段32内で流動させることにより、精白米粒R1を洗米し、次の工程を行う分離部40へと送米するものである。
【0044】
図2に示すように、洗米部20は、
供給された精白米粒R1をガイドし、外部への飛散を防止する導入ガイド21と、
導入ガイド21によりガイドされ落下流動する精白米粒R1を受けるホッパ形状の受筒22と、
バルブ24を開放することにより配管23を通じて供給する清水W1を受筒22の壁面の内側に噴射して、精白米粒R1を受筒22の壁面の内側に沿って流下させる複数の清水ノズル25と、
後述する浄化部120の第2の浄化タンク128に貯水した洗米水W2を、フィルタ134を介して吸込んで吐出し、配管28を通じてエジェクタ26へと吐出して流動させるポンプ29と、
ポンプ29から吐出されエジェクタ26へと流動する洗米水W2の流量を調整するバルブ30と、
受筒22内の空気と、受筒22の壁面の内側を清水W1とともに落下流動する精白米粒R1と、を吸引口27から吸引し、その空気、清水W1および精白米粒R1を、配管28を通じてポンプ29により吐出され流動する洗米水W2に混ぜ合わせ、空気を含んだ洗米水と精白米粒の混合流体M1とするエジェクタ26と、
エジェクタ26から吐出され流動する空気を含んだ洗米水と精白米粒の混合流体M1を、次の工程を行う分離部40へと送る送米管(配管)31と、
送米管31の途中に組み込まれ、空気を含んだ洗米水と精白米粒の混合流体M1を内部で流動させることにより精白米粒R1を洗米する洗米手段32と、
を備える。
【0045】
筒状である導入ガイド21は、正面断面視で下方を頂点とする略三角形状をしたホッパ形状の受筒22へと接続している。導入ガイド21は上方と下方とが開口した筒状であるため、導入ガイド21の上方から精白米粒R1を供給することで、精白米粒R1を飛散させることなく受筒22へと供給することができる。
【0046】
導入ガイド21の下方の開口(符号なし)から接続する受筒22の斜辺の壁面の内側には、複数の清水ノズル25が取り付けられており、複数の清水ノズル25は、配管23を通じて、例えば水道水を供給する水道栓などに接続している。
【0047】
配管23には、開放することにより、例えば水道水である清水W1を供給することのできるようにバルブ24を取付けている。バルブ24を開放することにより、複数の清水ノズル25から清水W1を受筒22の斜辺の壁面の内側に沿って下方に向けて噴射する。
【0048】
受筒22の正面断面視で下方に向けた頂点部分の開口(符号なし)からは、エジェクタ26の吸引口27が接続している。また、エジェクタ26の上流側には後述する浄化部120の第2の浄化タンク128に貯水した洗米水W2を、フィルタ134を介し、ポンプ29により吸込んで、エジェクタ26へと吐出する配管28が接続されている。
【0049】
配管28におけるポンプ29の吐出側にはバルブ30が取り付けられ、バルブ30の開度を調整することにより、ポンプ29により吐出し、エジェクタ26へと流動する洗米水W2の単位時間当たりの流量を調整する。そして、エジェクタ26の下流側には後述するエジェクタ26により混ぜ合わせた空気を含んだ洗米水と精白米粒の混合流体M1を、流動させる送米管31を接続する。
【0050】
エジェクタ26から接続する送米管31の途中には、空気を含んだ洗米水と精白米粒の混合流体M1を内部で流動させることにより精白米粒R1を洗米する洗米手段32を設けている。洗米手段32は、内部を流動する流体を静的に撹拌することのできる部材、例えばスタティックミキサーである。
【0051】
途中に洗米手段32を組み込んだ送米管31は、次の工程を行う分離部40へと接続しており、洗米手段32の下流側の送米管31には、空気を含んだ洗米水と既洗米粒の混合流体M2が流動する。
【0052】
(2)分離部
次に、分離部40の構成について、図1図3および図4を用いて説明する。
【0053】
分離部40は、洗米部20から流動する空気を含んだ洗米水と既洗米粒の混合流体M2を、分離器43により、空気を含んだ洗米水W3と、既洗米粒(米粒)R2とに分離し、既洗米粒R2を次の工程を行う浸漬部60へと落下流動させるものである。
【0054】
図3に示すように、分離部40は、
洗米部20から接続する空気を含んだ洗米水と既洗米粒の混合流体M2を流動させる送米管31の開口31aの周囲に、開口31aの半径方向に広がるように、着脱自在に取り付けた円形の板金である板状の蓋41と、
送米管31の開口31aの下方に位置するように蓋41に取付けられ、送米管31の開口31aから略鉛直方向に落下流動した空気を含んだ洗米水と既洗米粒の混合流体M2を、水平方向に流動させる下方に広がる陣笠形状の拡散器42と、
拡散器42により水平方向に流動させた空気を含んだ洗米水と既洗米粒の混合流体M2を、空気を含んだ洗米水W3と、既洗米粒R2と、に分離する筒状の分離器43と、
蓋41を上部に被せて略密閉し、分離器43により分離された空気を含んだ洗米水W3を壁面の内側で受けて流動させる第1の水受け部44と、
第1の水受け部44の壁面の内側を流動する空気を含んだ洗米水W3を落下流動させる第1のリターン配管(配管)45と、
分離器43により分離された既洗米粒R2を次の工程を行う浸漬部60へと落下流動させる流動管46と、を備える。
【0055】
第1の水受け部44には、第1の水受け部44の上面を着脱自在に塞ぐことができる蓋41を被せている。また、例えば蓋41と送米管31の開口31a近傍とのそれぞれに、簡単な操作で着脱を自在とする図示しない接続部材を取付けることにより、洗米部20より接続する送米管31と蓋41とを着脱自在としている。
【0056】
また、第1の水受け部44の側面の下部には、第1のリターン配管45の開口45aを接続している。詳しくは後述するが、第1の水受け部44の側面の下部に開口45aを接続する第1のリターン配管45は、浸漬部60の溢流部76へと続き、溢流部76からさらに第2のリターン配管(配管)77へと接続する。
【0057】
また、蓋41に接続した洗米部20の送米管31の開口31aの下方には、蓋41の下面に図示しない例えば棒状のステーを介して固定された陣笠形状の拡散器42を備える。陣笠形状の拡散器42はその頂点を上方に向け、正面断面視で、水平方向に対して傾斜する傾斜部42aと、傾斜部42aの下部から略水平方向に延在した水平部42bを有している。水平部42bは、陣笠形状の拡散器42の縁の周囲に形成されている。そして、拡散器42は、上方と下方とを開口する筒状の分離器43内の上半部側に設けられる。
【0058】
図4に示すように、分離器43は、例えばステンレスを材料として、下方に頂点を向けた略円錐形状で、上方と下方とに開口した筒状の部材である。そして、分離器43の水平方向に対して傾斜した壁面43aには上方から下方に向けて所定角度傾斜させた複数の略直線状の孔43bを有する。
【0059】
孔43bは、既洗米粒R2が通過できない程度の大きさに構成されている。また、割れた既洗米粒R2である破砕米粒(米粒)R4は通過するよう構成されている。どの程度の大きさの破砕米粒R4が通過できるように孔43bを構成するかは、米の種類、破砕米粒R4が炊飯に与える影響等を考慮して、決定されるものである。なお、図4(a)では、図の見やすさを考慮して孔43bの記載を省略している。
【0060】
分離器43の複数の孔43bは長孔状に形成されており、長孔の両端は半円形状としている。これにより、孔43bに既洗米粒R2が挟まることを抑制し、孔43bの目詰まりによる分離効率の低下を抑制することができるとともに、後述の終了ステップで行う分離器43の清掃の際には、分離器43の清掃を容易とすることができる。
【0061】
なお、分離器43の形状は、本実施形態で例示したものに限定されない。例えば、分離器43を平板状の部材としてもよい。詳しくは後述するが、その壁面43に空気を含んだ洗米水と既洗米粒の混合流体M2を到達させ、空気を含んだ洗米水W3と、既洗米粒R2とに分離してもよい。好ましくは、壁面43aの水平方向に対する傾斜角度は、略45度以上90度以下の範囲の角度である。
【0062】
なお、分離器43の壁面43aに有する、上方から下方に向けて傾斜させた複数の略直線状の孔43bの所定角度は、本実施形態で例示したものに限定されない。例えば、壁面43aに有する複数の孔43bを水平方向に対して複数の異なる角度で形成された孔43bとし、組み合わせてもよい。
【0063】
図3に示すように、分離器43の下部には、次の工程を実施する浸漬部60の浸漬タンク61へと続く流動管46の上部の端面に嵌め込んで載置することにより、着脱自在に設置することのできる嵌め込み部43cを有している。これにより、流動管46の上に分離器43の嵌め込み部43cを嵌め込んで載置するだけで設置を完了させることができ、第1の水受け部44内の正しい位置に分離器43を設置するときの手間を減らすことができる。
【0064】
なお、分離部40に備える拡散器42は、蓋41の下面に例えば棒状のステーを介して固定されているため、蓋41を第1の水受け部44から取外すことにより、第1の水受け部44内から拡散器42を取り出すことができる。また、分離器43は流動管46の上に着脱自在に設置しているため、第1の水受け部44内から容易に取外すことができる。
【0065】
詳細については後述するが、これにより、蓋41と一体となった拡散器42と、分離器43とを作業性良く清掃することができる。
【0066】
(3)浸漬部
次に、浸漬部60の構成について、図1図5図12を用いて説明する。
【0067】
浸漬部60は、分離部40により分離した既洗米粒R2を浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4で浸漬させつつ貯留し、浸漬タンク61に貯留した浸漬米粒R3を次の工程を行う配米部90へと落下流動させるものである。また、浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4とともに、浸漬水W4の水面に浮かんだ米ぬか泡を溢流部76へと流動させてオーバーフローさせるものである。
【0068】
図1図7および図11に示すように、浸漬部60は、
分離部40の流動管46を通じて落下流動した既洗米粒R2を、貯水した浸漬水W4に浸漬して吸水させ、貯留する浸漬タンク61と、
浸漬タンク61の上方から浸漬タンク61へと異物が入り込むことを防止するよう、浸漬タンク61の開口に被せる蓋62と、
浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4内での浸漬米粒R3の流動を案内する陣笠形状の案内板64と、
バルブ67を開放することにより、給水管(配管)66を通じて清水W1を浸漬タンク61内に噴射する給水ノズル68と、
浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4の水位を検知し、制御盤141へと電気信号を送る水位検知手段69と、
浸漬タンク61に所定量の浸漬米粒R3が貯留されたことを検知し、電気信号を制御盤141へと送るパドル式のセンサである貯留量検知手段70と、
浸漬タンク61の縁に設けた4個所の凸部(図示なし)に両端を着脱自在に係止し、水平方向に設けた2本の略平行なフレーム71と、
2本の略平行なフレーム71の各々に係止され、浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4の水面に浮かぶ米ぬか泡を区画する門型形状をした板状の固定区画部材(区画部材)72と、
各々の固定区画部材72に固定されたヒンジ74により回動可能に取り付けられた板状の可動区画部材(区画部材)73と、
上方から第1のリターン配管45の開口45aを接続し、浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4が所定の水位を越えた際に、浸漬水W4をオーバーフローさせて流動させる水路である溢流部76と、
溢流部76の下方にその開口77aを接続し、第1のリターン配管45を落下流動する空気を含んだ洗米水W3と、浸漬タンク61に貯水し、オーバーフローにより溢流部76を流動する浸漬水W4と、を落下流動させる第2のリターン配管77と、
浸漬タンク61の下部に設けた流動開口61aから、次の工程を行う配米部90へと接続する配管78と、
閉鎖することにより浸漬タンク61に浸漬米粒R3を貯留し、所定時間だけ開放することにより、浸漬水W4と、浸漬タンク61に貯留した浸漬米粒R3とを配管78を通じて配米部90へと落下流動させる配米バルブ(バルブ)79と、
を備える。
【0069】
図7に示すように、分離部40の流動管46の開口46aの下方には、上方を開放する円筒形状のタンクであり、その下部を下方に頂点を向けた円錐形状とする浸漬タンク61を設けている。浸漬タンク61の下部には流動開口61aを有しており、流動開口61aに接続する配管78には、配米バルブ79を取付けている。配米バルブ79は、閉鎖することにより浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4と流動してきた既洗米粒R2を浸漬タンク61に貯留し、浸漬米粒R3として浸漬した状態に保持する。後述するが、配米バルブ79を開放することにより、浸漬タンク61に貯留した浸漬水W4と浸漬米粒R3とを、浸漬タンク61の下方に設けた配米部90の分離配米容器92へと落下流動させる。
【0070】
なお、図7に示すように、浸漬タンク61に満水となるまで浸漬水W4を貯水したときの水位をH3と称する。
【0071】
また、浸漬タンク61の上部の開口(符号なし)を着脱自在に塞ぐことのできる蓋62を、浸漬タンク61に被せる。蓋62には、蓋62を取り外しやすいように取手62aが複数取り付けられており、略中央部分は流動管46を逃がすように切欠きを設けている。なお、蓋62は取外しのしやすいように分割、例えば上面視で2分割となるよう構成するのが好ましい。
【0072】
図5および図7に示すように、案内板64の下面には、浸漬タンク61の底部に載置するための複数の板状の支持部材63の一方端側を溶接等により固定しており、その支持部材63の他端側を浸漬タンク61の底部に載置している。本実施形態では、図5に示すように、上面視で8つの支持部材63を案内板64に固定している。
【0073】
案内板64の下面に固定した支持部材63の他端側を浸漬タンク61の底部に載置することにより、案内板64の陣笠形状の外周縁と浸漬タンク61の内面とに所定の隙間を形成し、所定の隙間を浸漬米粒R3が流動できるよう配置される。所定の隙間は、例えば、50~60mmに設定されている。案内板64の頂点部分には、例えばステンレス製であるチェーン65の一方端側を接続している。チェーン65の他方端側は浸漬タンク61の縁へと接続しており、チェーン65を引き上げることにより、浸漬タンク61の底部から、案内板64および支持部材63を引き上げることができる。
【0074】
図8に示すように、浸漬タンク61で山状に貯留した浸漬米粒R3は、その稜線80が水平に対して安息角θ1、例えば略35度となるよう貯留される。そして、水平に対して、陣笠形状の案内板64の斜辺は角度θ2、例えば略30度としている。角度θ2は、安息角θ1よりも小さい角度となるよう形成している。
【0075】
なお、浸漬水W4中で山状に貯留した浸漬米粒R3の安息角は、使用する米の種類を変更すること等によって変化するが、略35度となる。大きく変化する場合は、その変化に応じた安息角をθ1として用いる。また、水平に対しての案内板64の斜辺の角度θ2も、安息角θ1に合わせて変更するのが好ましい。
【0076】
図9に示すように、浸漬タンク61の底部に載置された下面に支持部材63を固定した案内板64は、チェーン65を上方に引くことにより、浸漬タンク61の底部から引き上げることができる。また、チェーン65を上方に引きながら支持部材63を下面に固定した案内板64を浸漬タンク61内にゆっくりと下ろすことで、浸漬タンク61の底部に支持部材63の他端側を載置し、案内板64を浸漬タンク61の底部に再び位置させることができる。
【0077】
図1および図7に示すように、浸漬部60には、例えば水道栓などに接続する給水管66を設ける。浸漬タンク61内となる給水管66の末端には給水ノズル68が設けられ、バルブ67を開放することにより、浸漬タンク61に清水W1を噴射して供給し、浸漬水W4として貯水する。
【0078】
また、図11に示すように、浸漬タンク61には、例えばフロート式のレベルセンサ等の水位検知手段69が設けられている。水位検知手段69は、浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4の水位が、浸漬タンク61に満水となるまで貯水した所定の水位H3より下方であることを検知する。浸漬タンク61に貯水された浸漬水W4の水位が水位H3より下方であると検知されると、後述する制御盤141へと電気信号が送られ、制御盤141からバルブ67へと、バルブ67を開放するための電気信号が送られる。そして、浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4の水位がH3となるまで、給水管66を通じて清水W1を浸漬タンク61へと噴射して供給する。
【0079】
図7および図8に示すように、給水ノズル68は、浸漬タンク61に満水まで貯水した浸漬水W4の水位H3よりも、高い位置となるよう配置されている。また、浸漬タンク61に満水である水位H3まで貯水した浸漬水W4に、所定量の既洗米粒R2が落下流動したときの浸漬水W4の所定の範囲の水位よりも、高い位置となるよう配置されている。これにより、浸漬タンク61に貯水する浸漬水W4が給水ノズル68を通じて給水管66に逆流することを防止することができる。
【0080】
また、給水ノズル68は2つ、溢流部76と対向する位置に、清水W1の噴射方向を溢流部76へと向けるように設けられており、一方は水平方向よりも下方へと所定の角度、例えば水平方向よりも下方に20度の角度をつけて清水W1を噴射するよう設けられ、他方は略水平方向に清水W1を噴射するよう設けられている(図5参照)。
【0081】
詳細については後述するが、一方の給水ノズル68から噴射する清水W1と、他方の給水ノズル68から噴射する清水W1とにより、区画域75に浮かぶ米ぬか泡を浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4とともに溢流部76へと流動させることができる。
【0082】
図8に示すように、浸漬タンク61の壁面にはパドル式のセンサである貯留量検知手段70を取付けている。貯留量検知手段70は浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4内で、先端のパドル部分(符号なし)が略水平方向に設けられた軸の長手方向の軸線を中心に回転する。
【0083】
浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4に所定量の浸漬米粒R3が貯留されると、浸漬米粒R3の稜線80にパドル部分が触れ、貯留量検知手段70でパドル部分の回転の抵抗が検知される。抵抗が検知されると、貯留量検知手段70により電気信号として後述の制御盤141へと送られ、制御盤141にて浸漬タンク61に貯留した浸漬米粒R3が所定量に達したことが表示される。そして、洗米部20の導入ガイド21へと送る精白米粒R1の供給を停止するよう警告する。
【0084】
図5および図7に示すように、浸漬タンク61の縁に設けた4個所の凸部(図示なし)に、水平方向に延在する2本の平行なフレーム71の両端を、着脱自在となるよう係止している。なお、浸漬タンク61の縁に設けた4個所の凸部はフレーム71よりも短い板状の部材であり、上面を平坦として、その上面にフレーム71の両端を着脱自在に係止している。これにより、後述の終了ステップでは、浸漬タンク61の縁に設けた4個所の凸部からフレーム71を取外し、その上でチェーン65を上方に引くことにより、支持部材63および案内板64を浸漬タンク61の底部から引き上げて清掃することができる。
【0085】
図10(a)および図11に示すように、門型形状に形成した固定区画部材72の内側の開口部72dの両側の下端には、水平方向に対して傾斜する方向に面取りをした切欠き部72cを設けている。また、固定区画部材72の上端を折り曲げることにより、略水平となる折曲部72aと、さらにその端部を折り返して略垂直となる折返し部72bとを形成している。そして、浸漬タンク61の縁に設けた4つの凸部に係止し、水平方向に設けた2本の各々のフレーム71に、固定区画部材72の折曲部72aと折返し部72bとを載置し、係止している。
【0086】
また、図10(b)に示すように、門型形状に形成された固定区画部材72に取付けたヒンジ74には、可動区画部材73を回動自在に取付けている。また、図11に示すように、ヒンジ74は、浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4の水位H3よりも下方に位置するよう構成される。
【0087】
そして、固定区画部材72に対して可動区画部材73が回動自在となるよう取付けたヒンジ74により、可動区画部材73は浸漬タンク61の外側に向けて回動させることができる。後述するが、これにより、図12に示すように、浸漬米粒R3が所定量貯留されたとき、可動区画部材73が所定の角度θ3で開くこととなる。
【0088】
なお、固定区画部材72の折曲部72aとフレーム71とに孔をあけて、固定区画部材72の折曲部72aとフレーム71とをボルトとナットにより固定してもよい。その場合は、万が一、固定区画部材72の折曲部72aとフレーム71とを固定しているボルトとナットが緩んで外れた場合は、浸漬タンク61内に落下し、浸漬米粒R3に混入しまうことがある。そのため、固定区画部材72の折曲部72aとフレーム71とは、ボルトとナットにより固定しないのが好ましい。
【0089】
図5図7および図11に示すように、固定区画部材72および可動区画部材73は、浸漬タンク61の壁面の内側を仕切るように設けられている。浸漬タンク61に満水となる水位H3まで浸漬水W4を貯水すると、水位H3での水面は、固定区画部材72と、浸漬タンク61の壁面の内側とで区画される。この区画された領域の水面を区画域75と称する。区画域75は、図5および図6にてハッチングにより示した区域である。
【0090】
なお、浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4の水位が満水となる水位H3よりも低下した場合は、区画域75は、固定区画部材72および可動区画部材73と、浸漬タンク61の壁面の内側とで区画された区域となることがある。
【0091】
固定区画部材72の水平方向の両端は、略浸漬タンク61の壁面の内側に略接するように構成されている。これにより、詳細については後述するが、浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4の区画域75内に既洗米粒R2を落下流動させたときに発生する米ぬか泡が、区画域75内に区画される。
【0092】
また、固定区画部材72および可動区画部材73の下端の位置は、浸漬タンク61に満水となる水位H3まで貯水した浸漬水W4よりも下方に位置している。詳しくは後述する浸漬ステップにて説明するが、洗米部20を流動し、分離部40にて空気を含んだ洗米水と既洗米粒の混合流体M2から分離した既洗米粒R2が、浸漬部60の浸漬タンク61に満水となる水位H3まで貯水した浸漬水W4の水面に流動管46から着水したとき、空気を巻き込んで発生する米ぬか泡が区画域75の外側へと移動しない位置に、固定区画部材72および可動区画部材73の下端は位置している。つまり、空気を巻き込んで発生する米ぬか泡が固定区画部材72および可動区画部材73の下端より下を流動し、区画域75の外側へと移動しないように固定区画部材72および可動区画部材73の下端の位置が設定されている。
【0093】
また、詳しくは後述する配米ステップにて説明するが、配米ステップにて、浸漬タンク61に貯留した浸漬水W4および浸漬米粒R3を配米部90へと落下流動させたとき、浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4の水位が変動する。その変動により、浸漬水W4の水位が最も低下したときの水位よりも、固定区画部材72および可動区画部材73の下端の位置は下方に位置している。さらに、固定区画部材72に取り付けたヒンジ74も浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4の水位よりも、下方に位置している。
【0094】
これにより、配米ステップにて、浸漬タンク61に貯留した浸漬水W4および浸漬米粒R3を配米部90へと落下流動させることにより、浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4の水位が変動したとしても、浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4の区画域75内に浮かぶ米ぬか泡を、区画域75内に保持することができる。
【0095】
なお、ヒンジ74は、浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4の水位H3よりも上方に位置させてもよい。
【0096】
図6に示すように、浸漬タンク61の壁面の上部には、浸漬タンク61の壁面から連通するように上面視略三角形状の溢流部76が設けられている。溢流部76は給水ノズル68と対向する位置に設けられており、給水ノズル68から噴射する清水W1の噴射方向に溢流部76が位置する。
【0097】
図7に示すように、浸漬タンク61の側面上部から連通する溢流部76には、第1のリターン配管45の開口45aが下方に向くよう位置している。また、溢流部76の下部には、第2のリターン配管77の開口77aが接続されている。
【0098】
溢流部76は、後述する固定区画部材72と浸漬タンク61の壁面の内側とにより区画された区画域75(図5および図6にてハッチングした箇所)からオーバーフローする浸漬水W4等を、第2のリターン配管77へと流動させる。
【0099】
溢流部76は、浸漬タンク61との境に鉛直方向に立ち上がる壁部76aを有している。浸漬タンク61に満水となるまで浸漬水W4を貯水した水位H3は、壁部76aの略上端まで浸漬水W4を貯水した状態となる。
【0100】
壁部76aは、その上端の高さをあらかじめ定めることにより、浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4が溢流部76へとオーバーフローするときの水位をあらかじめ定めることができる。加えて、壁部76aを設けることにより、溢流部76へと流動した浸漬水W4が浸漬タンク61へと逆流することを防止することができる。
【0101】
溢流部76に上端を接続する第2のリターン配管77は、後述する浄化部120の第1の浄化タンク121へと接続している。
【0102】
図11に示すように、浸漬タンク61に満水となる水位H3まで浸漬水W4を貯水すると、流動管46の開口46aは水位H3よりも距離H4、例えば略10ミリメートル~20ミリメートルだけ下方に位置する。すなわち、浸漬水W4の水位が水位H3にあるとき流動管46の開口46aは、浸漬水W4中に位置することとなる。また、固定区画部材72および可動区画部材73の下端は、浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4の水位H3よりも距離H5、例えば120ミリメートル~130ミリメートルだけ下方に位置する。
【0103】
なお、浸漬タンク61に浸漬米粒R3を所定量まで貯留したとしても、固定区画部材72の下端に接触しない構成であるならば、可動区画部材73を固定区画部材72に取付けなくともよい。その場合は、図10に示す固定区画部材72の形状を門型形状に形成するのではなく、略矩形状とすることができ、区画部材72、73の製造を容易にすることができる。
【0104】
(4)配米部
次に、配米部90の構成について、図14を用いて説明する。
【0105】
配米部90は、浸漬部60により浸漬した浸漬米粒R3と浸漬水W4とを分離配米容器92へと落下流動させ、浸漬米粒R3から浸漬水W4を分離し、所定量の浸漬米粒R3を炊飯釜97へと配米するものである。
【0106】
配米部90は、
浸漬タンク61の配管78を通じて落下流動する浸漬水W4と浸漬米粒R3とを所定量貯留し、筒状の壁面に設けた複数の孔92a(図示なし)を通じて浸漬水W4を浸漬米粒R3から分離する分離配米容器92と、
分離配米容器92と組み合わせて、浸漬タンク61の配管78を通じて分離配米容器92に落下流動させ貯留する浸漬米粒R3の量を調整する配米量調整器91と、
分離配米容器92により分離された浸漬水W4を壁面の内側で受ける第2の水受け部93と、
第2の水受け部93の下部に接続し、第2の水受け部93で受けた浸漬水W4を排水する排水管(配管)94と、
分離配米容器92の下部を閉塞して分離配米容器92に浸漬米粒R3を貯留させ、例えばエアシリンダのような進退動自在の駆動手段96により駆動し、所定の時間だけ開放することにより、分離配米容器92に貯留する所定量の浸漬米粒R3を、下方に配置した炊飯釜97へと供給して配米する板状のシャッター95と、
を備える。
【0107】
浸漬部60の配管78の下端は、分離配米容器92の内側に位置させている。そして、配管78の下端近傍には、上方と下方とに開口を有する筒状の分離配米容器92の上方の開口を塞ぐように形成され、かつ上下方向に移動可能となるよう配米量調整器91を取付けている。配米量調整器91を上下方向に移動させることにより分離配米容器92内の容積を変更し、浸漬タンク61から配管78を通じて落下流動する浸漬米粒R3の貯留量を変更する。
【0108】
筒状の分離配米容器92は壁面に浸漬米粒R3が通過できない程度の大きさに構成された複数の孔92a(図示なし)を有しており、配米バルブ79を開放して浸漬部60の配管78を落下流動する浸漬水と浸漬米粒M3から浸漬水W4を、複数の孔92aを通じて分離配米容器92の壁面の外側へと流動させ分離する。その分離した浸漬水W4は、分離配米容器92を囲むように配置された第2の水受け部93により受ける。
【0109】
第2の水受け部93の下部には排水管94が接続されており、第2の水受け部93で受けた浸漬水W4を排水管94を通じて排水する。
【0110】
配米バルブ79を閉鎖した後に、分離配米容器92の下部に取付けたシャッター95を駆動手段96により駆動させることにより、シャッター95の下方に設けたコンベア98に載置した炊飯釜97へと所定量の浸漬米粒R3を落下させ供給する。さらに後述する給水部100により、炊飯釜97へと所定量の炊飯水W6を供給する。炊飯釜97を載置するコンベア98は、炊飯釜97に蓋(図示なし)を被せる蓋被せ装置(図示なし)へと続き、さらに蓋を被せた炊飯釜97を高温で加熱する炊飯装置(図示なし)へと続いている。
【0111】
(5)給水部
次に、給水部100の構成について、図1および図14を用いて説明する。
【0112】
給水部100は、所定量の浸漬米粒R3が供給された炊飯釜97へと、所定の温度である炊飯水W6を所定量供給するものである。
【0113】
図14に示すように、給水部100は、
清水W1である炊飯水W6を貯水するタンク104と、
タンク104に貯水した炊飯水W6の水位をフロートバルブ103により制御し、タンク104に貯水した炊飯水W6が所定の水位、例えばタンク104に50リットル~60リットル貯水された水位となるまで、タンク104に清水W1を供給する給水管(配管)101と、
給水管101に設けられ、手動で開放することにより給水管101を通じてタンク104へと清水W1を供給するバルブ102と、
タンク104に貯水した炊飯水W6を所定の温度に昇温し、図示しない温度センサにより所定の温度に保つよう制御されるヒータ105と、
バルブ107を所定時間開放することにより、ヒータ105により所定の温度に昇温した炊飯水W6を配米部90のシャッター95の下方に配置した炊飯釜97へと所定量供給する配管106と、
を備える。
【0114】
なお、バルブ102を電磁弁または電動弁として制御部140とバルブ102とを電気的に接続し、バルブ102の開閉を制御部140により行ってもよい。
【0115】
(6)浄化部
次に、浄化部120の構成について、図1図7図8および図15を用いて説明する。
【0116】
浄化部120は、浸漬水を混ぜ合わせた空気を含んだ洗米水W5から米ぬか泡や破砕米粒R4を除去し、再び洗米部20で精白米粒R1の洗米に使用することができるよう浄化するものである。
【0117】
図1および図15に示すように、浄化部120は、
浸漬部60の第2のリターン配管77を側壁に接続し、第2のリターン配管77を落下流動する浸漬水を混ぜ合わせた空気を含んだ洗米水W5を洗米水W2として貯水する第1の浄化タンク121と、
第1の浄化タンク121に貯水した洗米水W2が所定の水位を越えた際に、洗米水W2をオーバーフローさせて、洗米水W2の水面に浮かぶ米ぬか泡を洗米水W2とともに排水管(配管)122aを通じて排水させる排水ホッパ122と、
流量をバルブ126により調整し、第1の浄化タンク121に貯水した洗米水W2を第2の浄化タンク128へと流動させる第3のリターン配管(配管)125と、
第1の浄化タンク121内に設け、第2のリターン配管77を通じて落下流動する浸漬水を混ぜ合わせた空気を含んだ洗米水W5の流れが、第1の浄化タンク121から第3のリターン配管125へと直進し、第2の浄化タンク128へと直接的に流動することを抑制する板状の流動規制部材127と、
第1の浄化タンク121から第3のリターン配管125を通じて流動させた洗米水W2を貯水する第2の浄化タンク128と、
フロートバルブ129を用いて、第2の浄化タンク128に貯水した洗米水W2の水位を検知し、所定の水位を下回った際に第2の浄化タンク128に清水W1を供給する給水管130と、
給水管130に設けられ、手動で開放することにより給水管130を通じて第2の浄化タンク128へと清水W1を供給するバルブ131と、
第2の浄化タンク128の底部に設けた排水口128aに挿入し、第2の浄化タンク128に貯水した洗米水W2が所定の水位を越えた際に上部開口からオーバーフローさせて、溢流水として排水する溢流水排水管132と、
バルブ124を開放することにより、第1の浄化タンク121に貯水した洗米水W2、第1の浄化タンク121に貯留した米ぬか泡および第1の浄化タンク121に貯留した破砕米粒R4等を排出する、第1の浄化タンク121の下部に設けた排水管(配管)123と、
溢流水排水管132を排水口128aから取り外すことにより、第2の浄化タンク128の底部に設けた排水口128aから第2の浄化タンク128に貯水した洗米水W2および米ぬか泡等を排出する排水管133と、
を備える。
【0118】
図15に示すように、第2のリターン配管77は、第1の浄化タンク121の側面へと接続している。第1の浄化タンク121は、上方を開放する上面視矩形状のタンクであり、その下部を下方に頂点を向けた四角錐形状としている。第1の浄化タンク121の下部に有する下方に向けた四角錐形状の頂点からは、バルブ124を有する排水管123を接続する。排水管123は、バルブ124を開放することにより、第1の浄化タンク121に貯水した洗米水W2等を排出する。
【0119】
第1の浄化タンク121の内部には上方を開放する上面視矩形状のホッパであり、その下部を下方に頂点を向けた四角錐形状とする排水ホッパ122を設けており、排水ホッパ122の下方の頂点部分から排水管122aへと接続している。第1の浄化タンク121に貯水した洗米水W2は、排水ホッパ122の上部開口の縁まで貯水したときの水位H6を越えると、排水ホッパ122によりオーバーフローして排水管122aを通じて排水される。
【0120】
第2のリターン配管77が接続される第1の浄化タンク121の側面と対向する側の側面に、バルブ126を有する第3のリターン配管125の一方端が接続されている。第3のリターン配管125の他方端は、第2の浄化タンク128の側面へと接続している。
【0121】
また、第1の浄化タンク121内で、第2のリターン配管77が接続された個所と、第3のリターン配管125の一方端が接続される箇所との間で、第3のリターン配管125の一方端が接続される箇所の第1の浄化タンク121の壁面近傍には、板状の流動規制部材127を設けている。板状の流動規制部材127は、第2のリターン配管77から第1の浄化タンク121へと流動する浸漬水を混ぜ合わせた空気を含んだ洗米水W5が、第3のリターン配管125へと直進して直接的に流動しないよう、第2のリターン配管77から流動する浸漬水を混ぜ合わせた空気を含んだ洗米水W5の流動方向と略直交するように設けられる。
【0122】
側面に第3のリターン配管125の他方端を接続する第2の浄化タンク128には、フロートバルブ129により第2の浄化タンク128に貯水した洗米水W2の水位を検知し、所定の水位H7を下回った際に第2の浄化タンク128に清水W1を供給する給水管130を設けている。給水管130にはバルブ131を設け、バルブ131を開放することにより清水W1を供給し、第2の浄化タンク128に洗米水W2を貯水可能とする。
【0123】
また、第2の浄化タンク128は略立方体形状であり、第2の浄化タンク128の底面には開口である排水口128aを有する。排水口128aには、第2の浄化タンク128に貯水した洗米水W2が所定の水位H7を越えたとき、洗米水W2をオーバーフローにより流動させる溢流水排水管132を挿入している。第2の浄化タンク128に貯水した洗米水W2は、溢流水排水管132の上部開口の縁まで貯水したときの水位H7を越えると、オーバーフローして溢流水排水管132を通じて排水管133から排水される。溢流水排水管132は、上部開口の縁が水位H7と略同等か、もしくは水位H7より僅かに高くなるよう形成されている。
【0124】
第2の浄化タンク128の側面からは、網目状のフィルタ134を介して、さらに洗米部20のポンプ29へと続く配管28が接続されている。
【0125】
図7に示す浸漬タンク61に満水となるまで浸漬水W4を貯水したときの水位H3は、図15に示す第1の浄化タンク121の水位H6よりも上方となるよう構成している。
【0126】
これにより、浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4の水位が水位H3を越えたとき、浸漬水W4は溢流部76の壁部76aの上端を越えてオーバーフローし、ポンプ等を設けることなく、落差により、第2のリターン配管77を通じて第1の浄化タンク121へと落下流動させることができる。
【0127】
(7)制御部
次に、制御部140の構成について、図1を用いて説明する。
【0128】
制御部140は、各部の機器と電気的に接続し、集中的に制御を行うものである。
【0129】
制御部140は、以下のように、各部の各機器等に電気的に接続して制御を行う制御盤141を備える。
・洗米部20のポンプ29に電気的に接続し、駆動および停止を制御する。ポンプ29を駆動させることにより、第2の浄化タンク128に貯水した洗米水W2をエジェクタ26へと吐出させる。また、ポンプ29を停止することにより、エジェクタ26への洗米水W2の吐出を停止する。
・洗米部20のバルブ24に電気的に接続し、開放および閉鎖を制御する。開放することにより、受筒22の壁面の内側に取付けた清水ノズル25より清水W1を噴射させる。また、閉鎖することにより、清水ノズル25からの清水W1の噴射を停止する。
・浸漬部60のバルブ67に電気的に接続し、水位検知手段69からの電気信号を受けて、開放および閉鎖を制御する。開放することにより、浸漬タンク61へと清水W1を給水ノズル68から噴射する。また、閉鎖することにより、給水ノズル68からの清水W1の噴射を停止する。
・浸漬部60の貯留量検知手段70に電気的に接続し、貯留量検知手段70からの電気信号を受ける。
・浸漬部60の配米バルブ79に電気的に接続し、開放および閉鎖を制御する。開放することにより、浸漬タンク61に貯留した浸漬水と浸漬米粒M3を配管78を通じて分離配米容器92へと落下流動させる。また、閉鎖することにより、浸漬水と浸漬米粒M3の落下流動を停止する。
・配米部90のシャッター95を駆動させる駆動手段96に電気的に接続し、分離配米容器92の下部の開口の開放および閉塞を制御する。
・給水部100のバルブ107に電気的に接続し、開放および閉鎖することにより、炊飯釜97へと炊飯水W6を所定量供給する。
・給水部100のヒータ105およびタンク104に設けた図示しない温度センサに電気的に接続し、炊飯水W6を所定の温度に調整する。
【0130】
(炊飯の前処理システムの動作)
以下、本実施形態の炊飯の前処理システム10の動作について、図1図15を用いて説明する。
【0131】
先ず、本発明の炊飯の前処理システム10の基本的な動作の流れを、図1を用いて説明する。
本発明の一実施形態における炊飯の前処理システム10の動作は、大きく分けて以下により構成されている。
(1)準備ステップ以降の各ステップを行うための準備を行う準備ステップ
(2)あらかじめ用意した精白米粒R1を洗米部20へと供給する供給ステップ
(3)空気と、洗米水W2と、供給ステップで供給した精白米粒R1と、を混ぜ合わせて空気を含んだ洗米水と精白米粒の混合流体M1とし、その空気を含んだ洗米水と精白米粒の混合流体M1を洗米手段32内で流動させることにより精白米粒R1を洗米する洗米ステップ
(4)洗米ステップを経た後の空気を含んだ洗米水と既洗米粒の混合流体M2を、分離器43により空気を含んだ洗米水W3と、既洗米粒R2とに分離する分離ステップ
(5)分離ステップで分離した既洗米粒R2を浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4で浸漬し、浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4とともに、浸漬水W4の水面に浮かんだ米ぬか泡を流動させてオーバーフローさせる浸漬ステップ
(6)浸漬ステップで浸漬した浸漬米粒R3を、配米部90で所定量だけ炊飯釜97へと供給する配米ステップ
(7)配米ステップで浸漬米粒R3を供給された炊飯釜97へと、炊飯水W6を給水部100から所定量供給する給水ステップ
(8)分離ステップで分離した空気を含んだ洗米水W3と、浸漬ステップでオーバーフローさせた浸漬水W4と、を混ぜ合わせて浸漬水を混ぜ合わせた空気を含んだ洗米水W5とし、浄化部120で浄化する浄化ステップ
(9)あらかじめ定めた所定量の洗米すべき精白米粒R1を浸漬米粒R3として炊飯釜97へと配米した後に、次回の準備ステップに備える終了ステップ
【0132】
(1)準備ステップ
本実施形態の炊飯の前処理システム10では、まず準備ステップ以降の各ステップを行うための準備を行う準備ステップを行う。
【0133】
先ず、図1に示す制御部140の制御盤141の電源を投入する。
【0134】
次に、給水管66のバルブ67を開放し、浸漬部60の給水管66を通じて、給水ノズル68から清水W1を噴射して、浸漬タンク61に浸漬水W4として貯水する。浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4が水位H3(図7参照)となったとき、水位検知手段69が浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4の水位H3を検知し、制御盤141に電気信号を送る。そして、制御盤141はその電気信号を受けて、給水管66のバルブ67を閉鎖する。
【0135】
給水部100のバルブ102を開放し、給水管101を通じてタンク104に清水W1を供給し炊飯水W6として貯水する。タンク104に貯水した炊飯水W6が所定の水位となったとき、フロートバルブ103が作動し、給水管101からの清水W1の供給が停止する。そして、制御盤141によりヒータ105を作動させ、所定の水位まで貯水された炊飯水W6を所定の温度まで昇温し、所定の温度に保つよう制御される。
【0136】
浄化部120のバルブ131を開放し、給水管130を通じて、第2の浄化タンク128に清水W1を供給して洗米水W2として貯水し、貯水した洗米水W2が所定の水位H7(図15参照)となったとき、フロートバルブ129が作動し、給水管130からの清水W1の供給が停止する。このとき、所定の水位H7は、溢流水排水管132の上部開口の縁と略同等か、もしくは僅かに低くなる。
【0137】
また、洗米水W2は、第2の浄化タンク128から第3のリターン配管125を通じて、第1の浄化タンク121へと流動し、水位H7と同じ水位まで貯水される。そして、第3のリターン配管125により、第2の浄化タンク128と第1の浄化タンク121とを流動する洗米水W2の流量は、バルブ126により調整される。
【0138】
洗米部20のポンプ29を駆動させ、第2の浄化タンク128に貯水した洗米水W2を吐出して洗米部20のエジェクタ26へと流動させる。洗米水W2はエジェクタ26で受筒22内の空気と混ぜ合わされ通過し、空気を含んだ洗米水W3となる。そして、空気を含んだ洗米水W3は、送米管31および洗米手段32を通じて分離部40の拡散器42へと略鉛直方向に落下流動する。第2の浄化タンク128の水位が低下するが、フロートバルブ129により清水W1が供給され、水位H7を維持する。
【0139】
拡散器42の上面に到達した空気を含んだ洗米水W3は、傾斜部42a、水平部42bにより略水平方向へと流動方向が変わり、そのまま分離器43の壁面43aに設けた複数の孔43bを通じて、第1の水受け部44へと流動する。そして、第1の水受け部44の内側を流動し、第1のリターン配管45へと流動する。
【0140】
第1のリターン配管45へと流動した空気を含んだ洗米水W3は浸漬部60の溢流部76へと落下流動し、さらに第2のリターン配管77へと落下流動していく。第2のリターン配管77を落下流動する空気を含んだ洗米水W3は、浄化部120の第1の浄化タンク121へと流動し貯水される。そして、第1の浄化タンク121へと流動し貯水する空気を含んだ洗米水W3が、所定の水位H6(図15参照)となるまで貯水する。このとき、第2のリターン配管77内においても、所定の水位H6と同じ水位まで貯水された状態となる。
【0141】
また、このとき、第1の浄化タンク121の排水ホッパ122からオーバーフローする流量と、第2の浄化タンク128の溢流水排水管132からオーバーフローする流量とのバランスを、第3のリターン配管125のバルブ126により調整する。
【0142】
配米部90の分離配米容器92にあらかじめ定めた所定量の浸漬米粒R3が貯留されるよう、配米量調整器91の位置を調整する。
【0143】
最後に、洗米部20のポンプ29を駆動させたまま洗米部20のバルブ24を開放して、清水ノズル25から受筒22の壁面の内側への清水W1の噴射を開始して、準備ステップは終了する。
【0144】
(2)供給ステップ
準備ステップが終了した後に、あらかじめ用意した精白米粒R1を洗米部20へと供給する供給ステップを行う。
【0145】
作業者があらかじめ用意した精白米粒R1を、洗米部20の導入ガイド21へと供給する。後述するが、あらかじめ用意した精白米粒R1は、炊飯の前処理システム10にあらかじめ合わせた状態のものを供給するのが好ましく、例えば精白米粒R1の搗精の度合(精白度)等の状態により、炊飯の前処理システム10の構成が変更となることがあるためである。
【0146】
なお、供給ステップでは作業者が精白米粒R1を導入ガイド21へと供給しているが、精白米粒R1を貯留する図示しない米サイロ、米サイロから精白米粒R1を所定量切り出す図示しない計量器、および計量器から切り出された精白米粒R1を搬送する図示しない昇米機を設置して、自動的に導入ガイド21へ精白米粒R1を供給するように構成してもよい。
【0147】
その場合は、制御盤141によりあらかじめ定めた所定量の精白米粒R1が導入ガイド21へ供給されるまで、もしくは浸漬タンク61に設けた貯留量検知手段70が浸漬タンク61に貯留した浸漬米粒R3の量を検知するまで、計量器および昇米機による精白米粒R1の供給を行う。
【0148】
(3)洗米ステップ
供給ステップを開始した後に、空気と洗米水W2と供給ステップで供給した精白米粒R1とを混ぜ合わせて空気を含んだ洗米水と精白米粒の混合流体M1とし、その空気を含んだ洗米水と精白米粒の混合流体M1を洗米手段32内で流動させることにより、精白米粒R1を洗米する洗米ステップを行う。
【0149】
図2に示すように、第2の浄化タンク128に貯水した洗米水W2を、フィルタ134を介してポンプ29に吸込んで吐出し、エジェクタ26へと流動させる。一方、供給ステップで供給された精白米粒R1は、導入ガイド21にガイドされ、受筒22を通り、受筒22内の空気とともに吸引口27へと吸引される。そのとき、受筒22の壁面の内側に付着した精白米粒R1は、受筒22の壁面の内側に取付けた清水ノズル25より噴射される清水W1とともに流動し、吸引口27へと吸引される。
【0150】
このようにして、吸引口27へと吸引される精白米粒R1と清水W1は、受筒22内の空気とともに吸引口27へと吸引され、ポンプ29から吐出され流動する洗米水W2とエジェクタ26内で混ぜ合わされて、空気を含んだ洗米水と精白米粒の混合流体M1となる。
【0151】
エジェクタ26内で混ぜ合わされて、送米管31へと流動させた空気を含んだ洗米水と精白米粒の混合流体M1は、送米管31の途中に組み込んだ、例えばスタティックミキサーである洗米手段32内を流動する。これにより、精白米粒R1を洗米して既洗米粒R2とする。そして、空気を含んだ洗米水と既洗米粒の混合流体M2は、分離部40に向けて送米管31内を流動していく。
【0152】
洗米手段32内を通過させて精白米粒R1を洗米するとき、精白米粒R1のうちの一部は、洗米手段32や、他の精白米粒R1、送米管31の壁面の内側に接触した衝撃で割れて、破砕米粒R4となる。この破砕米粒R4は、空気を含んだ洗米水と既洗米粒の混合流体M2とともに送米管31内を流動して、分離部40へと流動していく。
【0153】
(4)分離ステップ
洗米ステップを終了した後に、洗米ステップで混ぜ合わせた空気を含んだ洗米水と既洗米粒の混合流体M2を、分離器43により、空気を含んだ洗米水W3と、既洗米粒R2とに分離する分離ステップを行う。
【0154】
図3に示すように、空気を含んだ洗米水と既洗米粒の混合流体M2は、送米管31を通じて流動し、蓋41に取り付けた送米管31の開口31aから略鉛直方向に落下流動して、その運動エネルギーを保持したまま拡散器42の傾斜部42aに到達する。空気を含んだ洗米水と既洗米粒の混合流体M2が拡散器42の傾斜部42aに到達すると、流動の方向が陣笠形状に沿って上面視で360度拡がりながら傾斜部42aに沿うような方向へと変更される。
【0155】
このとき、空気を含んだ洗米水と既洗米粒の混合流体M2が拡散器42の傾斜部42aに到達し流動の方向が変更されることにより、空気を含んだ洗米水と既洗米粒の混合流体M2の運動エネルギーは減少する。
【0156】
そして、拡散器42の傾斜部42aを流動する空気を含んだ洗米水と既洗米粒の混合流体M2は、さらに拡散器42の水平部42bに到達する。空気を含んだ洗米水と既洗米粒の混合流体M2が水平部42bに到達すると、流動の方向が略水平方向へと変更される。
【0157】
このとき、空気を含んだ洗米水と既洗米粒の混合流体M2が水平部42bに到達し流動の方向が変更されることにより、空気を含んだ洗米水と既洗米粒の混合流体M2の運動エネルギーはさらに減少する。
【0158】
運動エネルギーの減少した空気を含んだ洗米水と既洗米粒の混合流体M2は、分離器43の壁面43aの内側へと到達する。分離器43の壁面43aには複数の孔43bが設けられているため、分離器43の壁面43aの内側に到達した空気を含んだ洗米水と既洗米粒の混合流体M2は、複数の孔43bにより、既洗米粒R2と空気を含んだ洗米水W3とに分離される。
【0159】
つまり、分離器43の壁面43aの内側に到達した空気を含んだ洗米水と既洗米粒の混合流体M2のうち、空気を含んだ洗米水W3は、孔43bを通過し、分離器43の外側へと流動する。そして、既洗米粒R2は、孔43bを通過できないため、分離器43の内側に留まる。このように、空気を含んだ洗米水と既洗米粒の混合流体M2は、空気を含んだ洗米水W3と既洗米粒R2とに分離される。
【0160】
このとき、空気を含んだ洗米水W3に含まれる空気は、送米管31の開口31aから拡散器42へと落下流動する際に、大気開放されることにより、空気を含んだ洗米水W3から空気が放散され分離される。その後も、拡散器42へ到達し、陣笠形状に沿って上面視で360度拡がりながら流動の方向が変更され、分離器43の複数の孔43bを通過し、第1の水受け部44へと流動するまで空気を含んだ洗米水W3から空気が放散され続ける。
【0161】
なお、空気を含んだ洗米水W3に含まれる空気が少ない場合や分離部40での空気の放散が多い場合等は、分離部40で空気を含んだ洗米水W3に含まれる略すべての空気が放散されて、後述する第1のリターン配管45へと流動する際には、空気を含まない状態となる事もある。
【0162】
この場合、後述の浄化ステップにおいて、第2のリターン配管77を落下流動する浸漬水を混ぜ合わせた空気を含んだ洗米水W5も、空気を含まない状態となる。
【0163】
このように、空気を含んだ洗米水と既洗米粒の混合流体M2のもつ運動エネルギーは、分離器43の壁面43aに到達するまで2度にわたり減少する。これにより、空気を含んだ洗米水と既洗米粒の混合流体M2が分離器43の壁面43aに到達したときの衝撃が緩和され、既洗米粒R2が割れて破砕米粒R4となることを抑制することができる。
【0164】
さらに、空気を含んだ洗米水と既洗米粒の混合流体M2が拡散器42の傾斜部42aや水平部42b、分離器43の壁面43aに到達したときに、空気を含んだ洗米水W3に含まれた空気が緩衝材となり、既洗米粒R2が接触の衝撃により割れて破砕米粒R4となることを抑制することができる。
【0165】
さらに、空気を含んだ洗米水と既洗米粒の混合流体M2の流動方向は、拡散器42により送米管31の開口31aから落下流動するときの略鉛直方向から、拡散器42の傾斜部42aに到達して変更される流動方向、そしてさらに水平部42bに到達して変更される略水平方向、へと変更される。このように変更する流動の方向は、一回あたりに変更される角度が鈍角となるようにしている。
【0166】
これにより、空気を含んだ洗米水と既洗米粒の混合流体M2が流動の方向を変更されるたびに既洗米粒R2に与えられる衝撃を和らげて、既洗米粒R2が拡散器42、分離器43へ到達したときの衝撃により割れて破砕米粒R4となることを抑制することができる。
【0167】
また、拡散器42の表面には孔等が無く、スムーズに空気を含んだ洗米水と既洗米粒の混合流体M2を流動させることができ、拡散器42で流動の方向を変更する際の破砕米粒R4の発生を抑制することができる。
【0168】
また、落下流動してきた空気を含んだ洗米水と既洗米粒の混合流体M2は、拡散器42により流動の方向が上面視で360度拡げられることにより、分散器43の壁面43aの内側のより広い面に接触し、効果的に空気を含んだ洗米水W3と既洗米粒R2とに分離させることができる。
【0169】
そして、分離器43の壁面43aに設けた孔43bにより分離器43の外側に分離された空気を含んだ洗米水W3は、第1の水受け部44へと流動し、第1のリターン配管45へと流動する。
【0170】
分離器43の壁面43aに設けた孔43bにより分離器43の内側に分離された既洗米粒R2は、分離器43の壁面43aの内側を下方に流動し、流動管46へと流動していく。このとき、分離し切れず、既洗米粒R2とともに分離器43の壁面43aの内側に沿って流動する空気を含んだ洗米水W3は、少量ではあるが分離器43の斜面を流動し、既洗米粒R2とともに流動管46へと流動していく。
【0171】
また、空気を含んだ洗米水と既洗米粒の混合流体M2とともに流動する、供給ステップで洗米部20の導入ガイド21へと精白米粒R1とともに供給されたもともと割れていた破砕米粒R4、導入ガイド21へと供給した際の衝撃により発生した破砕米粒R4、洗米ステップで送米管31内や洗米手段32内を流動させたときに発生した破砕米粒R4、そして空気を含んだ洗米水と既洗米粒の混合流体M2が拡散器42および分離器43に到達したときに発生した破砕米粒R4、これら破砕米粒R4の大部分は、空気を含んだ洗米水と既洗米粒の混合流体M2が分離器43の壁面43aに到達したときに分離器43の複数の孔43bを通過し、空気を含んだ洗米水W3とともに第1のリターン配管45へと流動する。分離器43の複数の孔43bを通過しなかった破砕米粒R4は、既洗米粒R2および空気を含んだ洗米水W3とともに、流動管46へと流動していく。
【0172】
さらに、分離器43の壁面43aに有する複数の孔43bは下方に向けて傾斜しているため、既洗米粒R2とともに分離器43の壁面43aの内側に沿って流動する空気を含んだ洗米水W3は、分離器43の壁面43aの内側を旋回しながら流動する。そして、分離器43の壁面43aの内側を下方へと直線的に流動するのに比較して、より長い時間、複数の孔43bを有する壁面43aの内側に沿って、空気を含んだ洗米水と既洗米粒の混合流体M2を流動させることができる。これにより、より効果的に空気を含んだ洗米水と既洗米粒の混合流体M2を、空気を含んだ洗米水W3と、既洗米粒R2とに分離することができる。
【0173】
そして、これらにより、分離ステップでは、駆動機構等による動力を必要とすることなく、既洗米粒R2の割れを抑制しつつ、洗米ステップにより洗米された既洗米粒R2の略全量を次の工程を行う浸漬部60へと送ることができる。
【0174】
詳細については後述するが、分離器43の壁面43aとの摩擦や、壁面43aに設けた複数の孔43bの上を流動することによる抵抗により、流動管46へと落下流動する既洗米粒R2の運動エネルギーをさらに減少させることができる。これにより、次に行う浸漬ステップで、浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4の水面に既洗米粒R2が着水したときの衝撃を和らげ、浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4の水面に発生する米ぬか泡の量を減らすことができる。
【0175】
なお、分離ステップの後で浸漬ステップへと移る前に、万が一、拡散器42および分離器43に付着したままの既洗米粒R2があった場合を想定し、分離ステップの後に、図1に示す洗米部20の導入ガイド21への精白米粒R1の供給を一時的に停止し、空気を含んだ洗米水W3のみを送米管31から拡散器42および分離器43へと落下流動させてもよい。これにより、確実に洗米部20から流動した既洗米粒R2を、浸漬部60へと落下流動させることができる。
【0176】
なお、本実施形態では、送米管31の開口31aから略鉛直方向に落下流動した空気を含んだ洗米水と既洗米粒の混合流体M2の流動の方向を2回変更し、都度運動エネルギーを減少させて、分離器43の壁面43aの内側へと到達させている。しかし、拡散器42の形状を変更することにより、空気を含んだ洗米水と既洗米粒の混合流体M2の流動の方向を変更する回数を、3回以上としてもよい。
【0177】
例えば、拡散器42の傾斜部42aの表面にエンボス加工等を施して凹凸を設け、傾斜部42aを流動する空気を含んだ洗米水と既洗米粒の混合流体M2の運動エネルギーを減少させてもよい。また、陣笠状の拡散器42の下方に、さらに空気を含んだ洗米水と既洗米粒の混合流体M2の流動の方向を変更する部材、例えば板金により形成された流動方向変更部材を設けて、流動方向の変更を行い、運動エネルギーを減少させてもよい。これにより、空気を含んだ洗米水と既洗米粒の混合流体M2の運動エネルギーをより効果的に減少させて、分離器43の壁面43aに到達させることができ、破砕米粒R4の発生を抑制することができる。
【0178】
(5)浸漬ステップ
分離ステップが終了した後に、分離ステップで分離した既洗米粒R2を浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4で浸漬し、浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4とともに、浸漬水W4の水面に浮かんだ米ぬか泡を流動させてオーバーフローさせる浸漬ステップを行う。
【0179】
図11に示すように、分離ステップにより空気を含んだ洗米水と既洗米粒の混合流体M2から分離された既洗米粒R2と、第1の水受け部44へと分離されなかった空気を含んだ洗米水W3とは、流動管46を通じて開口46aから浸漬タンク61へと落下流動する。
【0180】
浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4の水面に既洗米粒R2と、空気を含んだ洗米水W3とが落下流動し、浸漬水W4内で既洗米粒R2が浸漬米粒R3として貯留される。そして、浸漬タンク61に満水となる水位H3まで貯水した浸漬水W4は、落下流動した既洗米粒R2と、空気を含んだ洗米水W3の体積分だけ水位がH3を超えて上昇する。
【0181】
そして、浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4は、溢流部76の壁部76aの上端を越えて溢流部76へと流動してオーバーフローする。溢流部76へとオーバーフローした浸漬水W4は、第2のリターン配管77の開口77aへと流動して、第2のリターン配管77内を落下流動する。
【0182】
浸漬タンク61に満水となる水位H3まで貯水した浸漬水W4に落下流動し、浸漬水W4内で沈む浸漬米粒R3は、図11に示す矢印により示した方向に流動して案内板64に到達する。そして、案内板64に到達した浸漬米粒R3は矢印により示した方向、つまり、案内板64の斜面の上面から、案内板64の陣笠形状の外周縁と浸漬タンク61の壁面との隙間を通って浸漬タンク61の壁面の内側に沿って流動し、流動開口61aから配管78へと流動していく。配管78に設けられた配米バルブ79は閉鎖されているため、浸漬タンク61には浸漬米粒R3が貯留されることとなる。
【0183】
図12に示すように、浸漬米粒R3が浸漬タンク61に貯留され、安息角θ1で形成される山状に貯留されていくと、やがて浸漬タンク61に山状に貯留した浸漬米粒R3が可動区画部材73の下端に接触する。固定区画部材72および閉じた状態の可動区画部材73で囲まれた範囲よりも外側に貯留された浸漬米粒R3は、稜線80aを形成する。
【0184】
そのまま既洗米粒R2を浸漬タンク61に落下流動し続けることで、固定区画部材72および可動区画部材73で囲まれた範囲に、浸漬米粒R3が稜線80bを形成しながら貯留される。この稜線80bは、前述の浸漬米粒R3の稜線80aの可動区画部材73の下端に接している側を流動管46側へ延長した線より、上方に位置することとなる。
【0185】
そして、固定区画部材72および可動区画部材73に囲まれた範囲で貯留された浸漬米粒R3が、可動区画部材73が浸漬タンク61の外側方向へ開くほどの重量が可動区画部材73にかかるまで、貯留される。
【0186】
可動区画部材73に浸漬タンク61の外側へ開くほどの重量がかかるまでの間、固定区画部材72および可動区画部材73で囲まれた範囲の内側に貯留した浸漬米粒R3は、固定区画部材72の切欠き部72cと可動区画部材73との間の隙間を、区画域75の外側方向へと流動していく。そして、既洗米粒R2が浸漬タンク61へと続けて落下流動していくと、徐々に可動区画部材73が浸漬タンク61の外側方向へ開いていく。
【0187】
可動区画部材73が外側方向へ開いていくとき、固定区画部材72に設けた切欠き部72cにより、浸漬米粒R3を徐々に、固定区画部材72および可動区画部材73に囲まれた範囲からその外側へと流動させることができる。これにより、区画域75の外側で、安息角θ1で貯留された浸漬米粒R3の山を安定させつつ、区画域75内の浸漬米粒R3を区画域75の外側へと流動させることができる。
【0188】
さらに、固定区画部材72の切欠き部72cと可動区画部材73との間の隙間を、浸漬米粒R3が区画域75の外側方向へと流動することで、稜線80bを形成するように貯留した浸漬米粒R3の山をゆるやかに崩し、稜線80bを形成するように貯留した浸漬米粒R3が区画域75の外側方向へと流動するよう導くことができる。そして、その導きにより、可動区画部材73が外側方向へと開くことを促進することができる。
【0189】
浸漬米粒R3が浸漬タンク61に所定量だけ貯留されると、それぞれの可動区画部材73はヒンジ74の軸を回転軸として、浸漬タンク61の外側方向に所定の角度θ3、例えば略10度だけ回動した状態となる。これにより、固定区画部材72および可動区画部材73に囲まれた範囲に貯留されていた浸漬米粒R3が、固定区画部材72および可動区画部材73に囲まれた範囲の外側へと流動して、浸漬タンク61内、つまり固定区画部材72および可動区画部材73に囲まれた範囲と、その範囲の外側とで、稜線80を形成するように山状に貯留される。
【0190】
そして、浸漬米粒R3を固定区画部材72および可動区画部材73に囲まれた範囲からその外側へと、徐々に流動させつつ、可動区画部材73を浸漬タンク61の外側へと開くことにより、安定して浸漬米粒R3を貯留することができ、より多くの浸漬米粒R3を浸漬タンク61に貯留することができる。
【0191】
また、図11に示すように、ヒンジ74は、浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4の水位H3よりも下方に位置するよう構成される。これにより、可動区画部材73が浸漬タンク61の外側方向に所定の角度θ3だけ回動しても、浸漬水W4の水面に浮かんだ状態の米ぬか泡を区画域75内に留めることができる。
【0192】
また、山状に貯留した浸漬米粒R3の稜線80が貯留量検知手段70に達したとき、貯留量検知手段70により浸漬タンク61に貯留された浸漬米粒R3の量が所定量であることを検知する。そして、貯留量検知手段70から電気信号が制御盤141へと送られ、制御盤141に取付けたランプ等により、浸漬タンク61に所定量の浸漬米粒R3が貯留されたことを作業者に知らせる。
【0193】
導入ガイド21部へと精白米粒R1を供給していた作業者は、制御盤141にて浸漬タンク61に所定量の浸漬米粒R3が貯留されたことを知らせるランプ等を見て、精白米粒R1の供給を停止する。つまり、供給ステップは、浸漬タンク61に貯留した浸漬米粒R3が所定量となったとき、停止するものである。
【0194】
浸漬タンク61に貯留された浸漬米粒R3は、所定の時間、例えば30分~90分の間、浸漬タンク61に貯水された浸漬水W4内で浸漬を行う。
【0195】
なお、浸漬タンク61に貯留した浸漬米粒R3が所定量となる前に、作業者が自発的に精白米粒R1の供給を停止してもよい。その場合は浸漬タンク61に所定量の浸漬米粒R3が貯留されることはないが、あらかじめ定めた炊飯米の量に応じて精白米粒R1の供給量を制御するようにしてもよい。また、後述する配米ステップが開始されて浸漬タンク61に貯留した浸漬米粒R3が配米部90へと流動し、浸漬タンク61に貯留した浸漬米粒R3が減ったときに、供給ステップを再度行ってもよい。
【0196】
なお、供給ステップで、米サイロ、計量器、昇米機を組み合わせて構成し、図1に示す導入ガイド21へと自動的に精白米粒R1を供給するようにした場合は、貯留量検知手段70により浸漬タンク61に貯留された浸漬米粒R3の量が所定量であることを検知すると、計量器および昇米機の運転を停止し、精白米粒R1の供給を停止するよう制御してもよい。
【0197】
次に、浸漬タンク61に満水となる水位H3まで貯水した浸漬水W4に既洗米粒R2を落下流動させ、既洗米粒R2が浸漬水W4に着水したときについて、図1図5および図11を用いて詳細に説明する。
【0198】
図1で示す洗米部20で精白米粒R1を洗米手段32により洗米すると、精白米粒R1に付着していた米ぬかが精白米粒R1から離れて空気を含んだ洗米水W3へと混じる。そして、洗米手段32による洗米を終えた既洗米粒R2は、空気を含んだ洗米水と既洗米粒の混合流体M2として分離部40へと流動するが、その空気を含んだ洗米水W3には、精白米粒R1に付着していた米ぬかが混ざっている。そして分離部40にて分離された既洗米粒R2の表面には、この米ぬかが混ざった空気を含んだ洗米水W3が付着した状態となっている。
【0199】
米ぬかが含まれている空気を含んだ洗米水W3が付着した既洗米粒R2が、浸漬タンク61に満水となる水位H3まで貯水した浸漬水W4の水面に、空気を巻き込みながら着水する。このとき、既洗米粒R2の表面に付着していた空気を含んだ洗米水W3に含まれた米ぬかが空気と浸漬水W4と混ざり合い、米ぬか泡となる。米ぬか泡は浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4の水面の上に広がる。
【0200】
図11に示す固定区画部材72および可動区画部材73の下端は、浸漬タンク61に満水となるまで貯水した水位H3から鉛直方向で下方に、距離H5の位置に位置させている。また、固定区画部材72の両端は浸漬タンク61の壁面の内側に略接するように構成されている。
【0201】
そのため、浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4の水面に既洗米粒R2が着水し、既洗米粒R2に付着していた米ぬかにより発生する米ぬか泡が浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4の水面付近で一度沈下したとしても、浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4の水面よりも上方から距離H5まで延在している固定区画部材72および可動区画部材73により、米ぬか泡が区画域75の外側へと流動することを遮ることができる。
【0202】
そして、固定区画部材72と浸漬タンク61の壁面の内側とにより区画された区画域75で米ぬか泡が浮かび上がり、水面の上に広がる。これにより、浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4に既洗米粒R2が着水したときに発生する米ぬか泡を、区画域75内に留めることができる。
【0203】
さらに、浸漬タンク61に満水となる水位H3まで貯水した浸漬水W4に、既洗米粒R2が落下流動し浸漬米粒R3として貯留されると、落下流動した既洗米粒R2の体積分だけ水位がH3を超えて上昇する。そして、浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4は、溢流部76の壁部76aの上端を越えて、区画域75に浮かんだ米ぬか泡とともに溢流部76へと流動してオーバーフローする。溢流部76へとオーバーフローした浸漬水W4と米ぬか泡は、第2のリターン配管77の開口77aへと流動して、第2のリターン配管77内を落下流動する。
【0204】
これにより、例えばポンプ等の機器を用いて動力を与えなくとも、浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4の区画域75に浮かぶ米ぬか泡を、浸漬水W4とともに溢流部76へとオーバーフローさせて、第2のリターン配管77へと流動させることができ、浸漬タンク61に貯水する浸漬水W4から米ぬかを米ぬか泡として排出し、浸漬水W4を清浄化することができる。
【0205】
また、流動管46の開口46aから落下流動した既洗米粒R2が、浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4の水面に着水するとき、落下流動する既洗米粒R2の運動エネルギーは上述した分離ステップにて減少させられている。そのため、拡散器42により既洗米粒R2が落下流動するときに有する運動エネルギーを減少させない場合に比較して、既洗米粒R2が浸漬水W4の水面に着水するときの衝撃が小さい。
【0206】
これにより、浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4の水面に着水する際に、既洗米粒R2が割れることを抑制することができる。さらに、浸漬タンク61に満水となる水位H3まで貯水した浸漬水W4の水面に既洗米粒R2が着水した後に、既洗米粒R2に付着していた米ぬか泡が浸漬水W4内に沈み込む深さを浅くし、固定区画部材72および可動区画部材73により、浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4の水面に浮上する米ぬか泡を区画域75に確実に区画することができる。
【0207】
また、固定区画部材72および可動区画部材73の下端の位置と、浸漬水W4の水位H3との距離H5を小さくすることができ、これにより、固定区画部材72と可動区画部材73とを小型化することができる。
【0208】
さらに、既洗米粒R2が浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4に着水するときの運動エネルギーを減少させたことにより、既洗米粒R2が浸漬水W4の水面に空気を巻き込みながら着水するときに空気を巻き込む量が少なくなり、浸漬タンク61に貯水する浸漬水W4の水面で、空気と米ぬかとが混ざり合って発生する米ぬか泡を少なくすることができる。
【0209】
加えて、既洗米粒R2が浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4に着水するときの流動管46の開口46aは、浸漬タンク61に満水となるまで貯水した浸漬水W4の水位H3よりも距離H4だけ下方に位置する。そして、流動管46内にも、水位H3と同じ水位の浸漬水W4の水面が形成される。
【0210】
これにより、既洗米粒R2が浸漬水W4に着水して空気を巻き込むのは、流動管46内での浸漬水W4の水面のみとし、流動管46の開口46aを水面H3よりも上方に位置させた場合に比較して、既洗米粒R2が浸漬水W4に着水することにより発生する米ぬか泡を少なくすることができる。
【0211】
空気と米ぬかとが混ざり合って発生する米ぬか泡は、固定区画部材72、可動区画部材73や浸漬タンク61の壁面の内側等に触れることで、壁面やその部材の表面に米ぬかを付着させる。給水ノズル68から噴射する清水W1や、浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4が接触する機会の少ない箇所に米ぬか泡が付着すると、時間の経過とともに乾燥し、清水W1を噴射して流し落とすことが困難である状態の米ぬかとなりやすい。
【0212】
そして、万が一、固定区画部材72、可動区画部材73や浸漬タンク61の壁面の内側に付着した米ぬかにカビ等が発生した場合、剥がれ落ちて浸漬米粒R3に混ざり込み、後述する配米ステップにより炊飯釜97へと供給されて、炊飯後のご飯に異物として混入するおそれがある。
【0213】
そのおそれを、既洗米粒R2が浸漬水W4の水面に着水するとき、米ぬか泡の発生を少なくすることにより、抑制することができる。
【0214】
なお、流動管46の開口46aは、浸漬タンク61に満水となるまで貯水した浸漬水W4の水位H3よりも上方に位置していてもよい。その場合、流動管46内を落下流動する既洗米粒R2が浸漬水W4の水面に着水するときに、浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4の水面に大量の米ぬか泡を発生させることができる。
【0215】
そして、浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4の水位が、後述の溢流部76の壁部76aの上端よりも上方となったときに、より効果的に浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4の水面に浮かぶ米ぬか泡を浸漬水W4とともに流動させ、壁部76aを越えて溢流部76へとオーバーフローさせることができる。
【0216】
このように流動管46の開口46aの高さ位置によって奏する効果は異なるが、流動管46の開口46aの高さ位置は、洗米する精白米粒R1の種類等により、適宜設定するとよい。また、流動管46の開口46aに鉛直方向に可動させることのできる部材を設けて、洗米する精白米粒R1の種類に合わせて流動管46の開口46aの位置を可変とする構造としてもよい。
【0217】
次に、既洗米粒R2が浸漬タンク61に貯留されるときの、浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4の区画域75の様子について、図6図8および図12を用いて詳細に説明する。
【0218】
図8に示すように、浸漬タンク61に満水となる水位H3まで貯水された浸漬水W4に既洗米粒R2が落下流動し始めると、浸漬水W4の水位は、浸漬タンク61に落下流動した既洗米粒R2と、空気を含んだ洗米水W3の体積分だけ水位H3を超えて上昇する。これにより、浸漬水W4の水位は、溢流部76の壁部76aの上端よりも上方となり、浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4は、壁部76aを越えて溢流部76へとオーバーフローしていく。
【0219】
これにより、浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4に既洗米粒R2と、空気を含んだ洗米水W3とを落下流動させたとき、既洗米粒R2に付着していた米ぬかを米ぬか泡として区画域75に浮いた状態とし、浸漬水W4とともに溢流部76へとオーバーフローさせることができる。そして、浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4の清浄度の低下を抑制することができる。
【0220】
そして、浸漬タンク61に貯水する浸漬水W4への既洗米粒R2の落下流動を継続すると、浸漬タンク61に貯留した浸漬米粒R3が所定量となる。浸漬タンク61に貯留した浸漬米粒R3が所定量となったとき、作業員が洗米部20の導入ガイド21への精白米粒R1の供給を停止するため、やがて浸漬タンク61に落下流動する既洗米粒R2の流れも停止する。
【0221】
浸漬タンク61に貯留した浸漬米粒R3が所定量となると、貯留量検知手段70が浸漬タンク61に山状に貯留された浸漬米粒R3の稜線80にかかることとなる。そして、貯留量検知手段70は浸漬タンク61に所定量の浸漬米粒R3が貯留されたことを検知し、制御盤141へと電気信号を送る。制御盤141はその電気信号を受けて、給水管66のバルブ67を開放し、所定の時間、例えば10秒間だけ給水ノズル68から清水W1を噴射する。
【0222】
図6に示すように、既洗米粒R2の落下流動が停止したとしても、給水ノズル68から所定の時間だけ清水W1を噴射することにより、引き続き区画域75に浮いた状態の米ぬか泡を浸漬水W4とともに流動させて溢流部76へとオーバーフローさせ、区画域75に浮いた状態の米ぬか泡の量を減らすとともに、浸漬水W4に清水W1が混ざることにより、浸漬タンク61に貯水する浸漬水W4の清浄度の低下を抑制することができる。
【0223】
また、給水ノズル68は2つ、略同方向へと向けて設けられており、一方は水平方向よりも下方へと所定の角度、例えば20度の角度をつけて清水W1を噴射するよう設けられ、他方は略水平方向に清水W1を噴射するよう設けられている。
【0224】
そして、一方の水平方向よりも下方へと所定の角度をつけて清水W1を噴射するよう設けられた給水ノズル68から清水W1を噴射することにより、一方の給水ノズル68から噴射した清水W1が浸漬タンク61に着水した個所から溢流部76の壁部76aまでの間の区画域75に浮かぶ米ぬか泡を、溢流部76へと流動するよう促進することができる。
【0225】
また、他方の略水平方向に清水W1を噴射するよう設けられた給水ノズル68から清水W1を噴射することにより、区画域75の中で、一方の給水ノズル68から噴射された清水W1が着水する箇所よりも溢流部76に近い箇所に浮かぶ米ぬか泡を、溢流部76へと流動させるよう促進することができる。
【0226】
そして、壁部76aを越えて溢流部76へとオーバーフローした浸漬水W4は、米ぬか泡とともに第2のリターン配管77へと流動していく。
【0227】
なお、給水ノズル68が清水W1を噴射する角度は、例示した角度とは異なる角度としてもよい。例えば、一方は水平方向よりも下方へと所定の角度、例えば水平方向よりも下方に60度の角度をつけて清水W1を噴射するよう設けられ、他方は水平方向よりも下方へと所定の角度、例えば水平方向よりも下方に30度の角度をつけて清水W1を噴射するよう設けられてもよい。もしくは、例えば一方の給水ノズル68が清水W1を噴射する角度と、他方の給水ノズル68が清水W1を噴射する角度とを同じとしてもよい。
【0228】
また、給水ノズル68の数を増減してもよい。例えば、2つの給水ノズル68から清水W1を噴射する幅に比較して、同等もしくはそれ以上の幅に清水W1を噴射する給水ノズル68を1つ設けるようにしてもよい。もしくは、給水ノズル68を3つ以上設けるようにしてもよい。
【0229】
(6)配米ステップ
浸漬ステップが終了した後に、浸漬ステップで浸漬した浸漬米粒R3を、配米部90で所定量だけ炊飯釜97へと供給する配米ステップを行う。
【0230】
図1に示す浸漬部60の浸漬タンク61に所定の時間だけ浸漬し、吸水させた浸漬米粒R3は、浸漬部60の配管78に設けられた配米バルブ79を所定の時間、例えば3秒だけ開放することにより、浸漬水W4と浸漬米粒R3は配管78を通じて分離配米容器92へと落下流動する。
【0231】
図13に示すように、浸漬タンク61に貯留した浸漬米粒R3は、浸漬タンク61の下方に設けた案内板64の上面の斜辺により案内されつつ、案内板64の外周縁と浸漬タンク61の壁面との間に形成された隙間から流動開口61aへと流動していく。これにより、浸漬タンク61に貯留した浸漬米粒R3の質量を案内板64の上面により受けることができる。
【0232】
そして、流動開口61aへと流動する浸漬米粒R3に、案内板64より上方に貯留した浸漬米粒R3の質量がかからないようにして、浸漬タンク61に貯留する浸漬米粒R3を円滑に流動開口61aへと流動させることができる。また、浸漬タンク61に貯留した浸漬米粒R3のうち、先に分離部40より落下流動し浸漬された浸漬米粒R3を、先に配米部90へと流動させることができ、配米部90において炊飯釜97に供給する浸漬米粒R3の浸漬時間のバラツキを抑制することができる。
【0233】
また、水平に対しての案内板64の斜辺の角度θ2は、安息角θ1より小さい角度としている。そのため、浸漬タンク61に貯留した浸漬米粒R3が流動開口61aから配管78を通じて分離配米容器92へと落下流動している間、浸漬タンク61に貯留する浸漬米粒R3の稜線80は角度θ1を維持する。これにより、浸漬タンク61に貯留した浸漬米粒R3の配管78への流動が安定し、浸漬米粒R3の流動開口61aでの詰まりを防止することができる。
【0234】
配米バルブ79を開放して、浸漬タンク61に貯留した浸漬米粒R3を配管78を通じて分離配米容器92に送ると、浸漬米粒R3とともに浸漬水W4も配管78を通じて分離配米容器92に流動することとなる。浸漬タンク61に貯水された浸漬水W4の水位が水位H3よりも低下すると、水位検知手段69により検知され、水位検知手段69から電気信号を制御盤141へと送る。
【0235】
そして、電気信号を受け取った制御盤141はバルブ67に電気信号を送り、バルブ67を開放して、浸漬タンク61に貯水する浸漬水W4が満水である水位H3となるまで、浸漬部60の給水管66を通じて給水ノズル68から浸漬タンク61へと清水W1を噴射させる。
【0236】
浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4が満水である水位H3となったとき、水位検知手段69が浸漬水W4の水位を検知してバルブ67を閉鎖する。この際に、水位検知手段69は、浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4の水面の波立ちによる水面変動の影響を考慮して、水位検知手段69が浸漬水W4が満水である水位H3となっていることを所定の時間、例えば3~10秒間検知したときに、浸漬水W4の水位が水位H3であると判断するよう制御している。
【0237】
つまり、配米バルブ79を開放して、浸漬タンク61に貯水する浸漬水W4と浸漬タンク61に貯留する浸漬米粒R3とを、分離配米容器92へと送るたびに、浸漬タンク61に貯水する浸漬水W4の水位が低下する。
【0238】
浸漬タンク61に貯水する浸漬水W4の水位が低下するたびに、水位検知手段69により浸漬タンク61に貯水する浸漬水W4の水位を検知して、バルブ67を開放し、給水管66を通じて給水ノズル68から清水W1を浸漬タンク61へと、浸漬タンク61に貯水する浸漬水W4が満水である水位となるまで噴射し貯水している。
【0239】
なお、浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4が水位H3となっていることを所定の時間だけ検知したときに、水位検知手段69が浸漬水W4が水位H3であると判断するまでの所定の時間は、例示した時間よりも長くしてもよい。所定の時間を長くすることにより、より長い時間給水ノズル68から浸漬タンク61へと清水W1が噴射される。
【0240】
これにより、浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4の水位を上昇させて、浸漬水W4を溢流部76の壁部76aの上端を越えて溢流部76へとオーバーフローさせることが可能となり、区画域75に浮かんだ米ぬか泡を浸漬水W4とともに流動させて溢流部76へとオーバーフローさせることができる。そして、区画域75に浮かんだ米ぬか泡の量を減らすとともに、浸漬水W4に清水W1が混ざることにより、浸漬タンク61に貯水する浸漬水W4の清浄度の低下を抑制することができる。
【0241】
そして、配米ステップを継続し、浸漬タンク61に貯留した浸漬水W4と浸漬米粒R3が配管78を通じて分離配米容器92へと落下流動していくにつれて、浸漬タンク61に貯留した浸漬米粒R3の可動区画部材73に接触していた稜線80が下方へと移動する。そして、接触する稜線80の下方への移動とともに、その稜線80に接触していた可動区画部材73の下端が下方に移動して、角度θ3で開いていた可動区画部材73がヒンジ74の軸を中心に回動し、閉じていく。
【0242】
図14に示すように、配米バルブ79を所定の時間だけ開放することにより、浸漬水W4と浸漬米粒R3は、浸漬タンク61の流動開口61aから配管78を通じて分離配米容器92に落下流動する。
【0243】
分離配米容器92に落下流動した浸漬水W4と浸漬米粒R3のうち、浸漬水W4は、分離配米容器92の壁面にあけた複数の孔92a(図示なし)を通じて第2の水受け部93へと流動する。第2の水受け部93へと流動した浸漬水W4は、排水管94を通じて排水される。
【0244】
分離配米容器92に落下流動した浸漬水W4と浸漬米粒R3のうち、浸漬米粒R3は、準備ステップで配米量調整器91を調整することによりあらかじめ定めた所定量だけ、分離配米容器92に貯留される。そして、配米バルブ79を開放する所定時間が経過し、配米バルブ79が閉鎖される。
【0245】
配米バルブ79が閉鎖された後に、駆動手段96によりシャッター95を駆動して、分離配米容器92の下部の開口を開放し、分離配米容器92に貯留した所定量の浸漬米粒R3を炊飯釜97へと供給する。
【0246】
また、配米ステップを繰り返すことにより、図13に示す浸漬タンク61に貯留した浸漬水W4および浸漬米粒R3を配米部90へと落下流動させたとき、浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4の水位が変動する。その変動により浸漬水W4の水位が最も低下したときの水位よりも、固定区画部材72および可動区画部材73の下端の位置は下方に位置している。さらに、固定区画部材72に取り付けたヒンジ74も、浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4の水位が変動して最も低下したときの水位よりも下方に位置している。
【0247】
これにより、浸漬タンク61に貯留した浸漬水W4および浸漬米粒R3を配米部90へと落下流動させることにより、浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4の水位が変動したとしても、浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4の区画域75内に浮かぶ米ぬか泡を、区画域75内に保持することができる。
【0248】
一時的に低下した浸漬タンク61の水位は水位検知手段69により検知され、制御盤141によりバルブ67を開放し、浸漬タンク61に貯水する浸漬水W4が満水である水位H3となるまで、給水管66を通じて給水ノズル68から清水W1を浸漬タンク61へと噴射して貯水する。
【0249】
これにより、浸漬水W4内で漂う米ぬかの量はそのままに、浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4の量を増やして、浸漬米粒R3の浸漬に使用する浸漬水W4に含まれる米ぬかの割合を減らす。そして、より清浄度の高い浸漬水W4により浸漬米粒R3を浸漬することができるので、浸漬米粒R3と炊飯水W6とを収納して後述の蓋をした炊飯釜97を加熱することによる炊飯で炊きあがるご飯が、ぬか臭くなることを抑制することができる。
【0250】
なお、浸漬米粒R3から分離し、第2の水受け部93から流動した浸漬水W4は、排水管94により排水せず、後述する浄化部120の第1の浄化タンク121に流動させてもよい。これにより、洗米に使用する水の使用量をより多く削減することができる。
【0251】
なお、配米バルブ79を所定時間だけ開放し、浸漬水と浸漬米粒M3を浸漬タンク61から配管78を通じて分離配米容器92へと落下流動させ、所定の時間だけ給水ノズル68から清水W1を噴射するとき、給水ノズル68から噴射する清水W1の量は、1回の配米ステップで浸漬タンク61から分離配米容器92へと流動する浸漬水と浸漬米粒M3の量よりも多くしてもよい。これにより、確実に浸漬水W4とともに米ぬか泡を溢流部76へとオーバーフローさせることができる。
【0252】
またそのとき、所定の時間だけ給水ノズル68から清水W1を噴射するタイミングは、異なるタイミングとしてもよい。例えば、配米バルブ79を開放する前に所定の時間だけバルブ67を開放し、浸漬タンク61に所定の時間だけ給水ノズル68から清水W1を噴射してもよい。
【0253】
(7)給水ステップ
配米ステップが終了した後に、配米ステップで浸漬米粒R3を供給された炊飯釜97へと、給水部100から炊飯水W6を所定量供給する給水ステップを行う。
【0254】
図1に示すように、ヒータ105により所定の温度に昇温した炊飯水W6を、バルブ107を開放することにより配管106を通じて、配米ステップにより浸漬米粒R3が供給された炊飯釜97へと所定量供給する。
【0255】
そして、配米ステップおよび給水ステップを終了した後には、所定量の浸漬米粒R3と所定量の炊飯水W6とを収納した炊飯釜97をコンベア98により蓋被せ装置(図示なし)のもとへと搬送する。蓋被せ装置により炊飯釜97の蓋を被せた炊飯釜97は、コンベア98により連続炊飯装置(図示なし)へと搬送される。
【0256】
なお、本実施形態では配米ステップの後に給水ステップを行っているが、給水ステップを行った後に配米ステップを行ってもよい。もしくは、配米ステップと給水ステップを同時に行ってもよい。これにより、一つの炊飯釜97に対する配米ステップの開始から給水ステップの終了までにかかる時間を短くすることができ、同量の美味しいご飯を炊くための前準備を短い時間で完遂することができる。
【0257】
(8)浄化ステップ
分離ステップで分離した空気を含んだ洗米水W3と、浸漬ステップでオーバーフローさせた浸漬水W4とを浄化する浄化ステップを行う。
【0258】
図15に示すように、分離ステップで分離した空気を含んだ洗米水W3と、浸漬ステップでオーバーフローさせた浸漬水W4とは、第2のリターン配管77を通じて落下流動して混ざり合い、浸漬水を混ぜ合わせた空気を含んだ洗米水W5として、浄化部120の第1の浄化タンク121へと落下流動する。
【0259】
第2のリターン配管77を落下流動する浸漬水を混ぜ合わせた空気を含んだ洗米水W5は、第2のリターン配管77内で、水位H6まで貯水された洗米水W2の水面に、第2のリターン配管77内の空気を巻き込みながら着水する。これにより、浸漬水を混ぜ合わせた空気を含んだ洗米水W5に含まれる米ぬかの一部は、米ぬか泡となる。
【0260】
そして、第2のリターン配管77から第1の浄化タンク121へと落下流動し、浸漬水を混ぜ合わせた空気を含んだ洗米水W5は、第1の浄化タンク121に貯水された洗米水W2に混じることとなる。
【0261】
第1の浄化タンク121で貯水された洗米水W2には、上述したように第2のリターン配管77を落下流動し洗米水W2の水面に空気を巻き込みながら着水するときに発生した米ぬか泡と、浸漬タンク61に貯水した浸漬水W4とともに流動し溢流部76へとオーバーフローした米ぬか泡とが含まれており、浸漬水を混ぜ合わせた空気を含んだ洗米水W5が第1の浄化タンク121に貯水した洗米水W2に混ざると、米ぬか泡は第1の浄化タンク121に貯水した洗米水W2の水面に浮かぶ。
【0262】
そして、第1の浄化タンク121に貯水した洗米水W2には浸漬水を混ぜ合わせた空気を含んだ洗米水W5が加わり、第1の浄化タンク121で満水となる水位H6まで貯水されていた洗米水W2の水位は上昇して、排水ホッパ122により、洗米水W2とともに洗米水W2の水面に浮かぶ米ぬか泡が排水される。
【0263】
また、第2のリターン配管77から第1の浄化タンク121へと浸漬水を混ぜ合わせた空気を含んだ洗米水W5を落下流動させると、浸漬水を混ぜ合わせた空気を含んだ洗米水W5の流れは第1の浄化タンク121内で直進するように流動し、流動規制部材127へと衝突する。これにより、浸漬水を混ぜ合わせた空気を含んだ洗米水W5の流れが第3のリターン配管125を通じて、第2の浄化タンク128へと直接的に流動することを防止することができる。
【0264】
そして、米ぬか泡を第1の浄化タンク121にとどめ、米ぬか泡を第1の浄化タンク121内で所定の水位を越えて貯水した洗米水W2とともにオーバーフローさせて、排水ホッパ122内へと効果的に排出することができる。
【0265】
また、第1の浄化タンク121にとどめる米ぬか泡が大量に発生した場合は、米ぬか泡は排水ホッパ122内へと溢れるように流動するので、洗米水W2を排水ホッパ122へとオーバーフローさせなくても、米ぬか泡を排水ホッパ122内へと排出することができる。
【0266】
さらに、第2のリターン配管77から第1の浄化タンク121へと落下流動した浸漬水を混ぜ合わせた空気を含んだ洗米水W5を第1の浄化タンク121に貯水することで、浸漬水を混ぜ合わせた空気を含んだ洗米水W5の空気成分と、浸漬水を混ぜ合わせた空気を含んだ洗米水W5が第2のリターン配管77を落下流動し洗米水W2の水面に着水した際に巻き込んだ空気成分と、が気泡となって洗米水W2中を浮上し、第1の浄化タンク121に貯水した洗米水W2の水面から大気放散させることができる。
【0267】
さらにまた、第2のリターン配管77から第1の浄化タンク121へと落下流動した浸漬水を混ぜ合わせた空気を含んだ洗米水W5の流れが流動規制部材127へと衝突することにより、第1の浄化タンク121内の洗米水W2中の空気成分が気泡となって洗米水W2中を浮上し、第1の浄化タンク121に貯水した洗米水W2の水面から大気放散させることができる。
【0268】
これらにより、第1の浄化タンク121内の洗米水W2中の空気成分の一部が気泡となって洗米水W2中に残存する米ぬか成分を浮上させ、洗米水W2とともに排水ホッパ122より排出することができる。
【0269】
また、第2のリターン配管77から第1の浄化タンク121へと落下流動した浸漬水を混ぜ合わせた空気を含んだ洗米水W5には、破砕米粒R4が含まれている。その破砕米粒R4は、第1の浄化タンク121の下部に沈下し貯留される。
【0270】
このとき、第1の浄化タンク121の水位H6は、第2の浄化タンク128の水位H7よりも上方となるようバルブ12により調整している。
【0271】
そのため、第1の浄化タンク121の水位H6と第2の浄化タンク128の水位H7の落差により、第1の浄化タンク121に貯水した洗米水W2は、第3のリターン配管125を通じて第2の浄化タンク128へと流動する。
【0272】
第2の浄化タンク128へと流動した洗米水W2は、継続して駆動しているポンプ29により、フィルタ134を介して配管28を通じ、ポンプ29へと吸込まれ吐出される。ポンプ29より吐出された洗米水W2は、ふたたびエジェクタ26へと流動し、送米管31を通じて分離部40へと流動する。
【0273】
なお、炊飯の前処理システム10の動作中に、タイミングによっては、分離ステップで分離した空気を含んだ洗米水W3だけ、または浸漬ステップでオーバーフローさせた浸漬水W4だけが、第2のリターン配管77を通じて落下流動して、浄化部120の第1の浄化タンク121へと落下流動することがある。この場合においても、上記した浄化ステップを同様に行うことができる。
【0274】
なお、第2の浄化タンク128からは、溢流水排水管132を通じて、水位H7を越えた洗米水W2を排水することができるが、排水ホッパ122内へと米ぬか泡を効果的に排出できる第1の浄化タンク121で、より多くの洗米水W2を排水するようにバルブ126の流量を調整し、排水する洗米水W2とともに米ぬか泡を排出するのが好ましい。
【0275】
(9)終了ステップ
あらかじめ定めた所定量の精白米粒R1を浸漬米粒R3として炊飯釜97へと配米する配米ステップが終了した後に、次回の準備ステップに備える終了ステップを行う。
【0276】
まずは、あらかじめ定めた所定量の精白米粒R1の供給を完了した後に、図1に示す導入ガイド21への精白米粒R1の供給を停止して、供給ステップを終了する。
【0277】
次に、精白米粒R1の供給を停止した後に、洗米部20のポンプ29を所定の時間、例えば1分間だけ作動させてから停止し、バルブ24を閉鎖して、洗米ステップおよび分離ステップを終了する。これにより、供給した精白米粒R1を確実に分離部40へと流動させることができるとともに、洗米部20および分離部40に付着した米ぬかや破砕米粒R4等を、浄化部120の第1の浄化タンク121へと落下流動させることができる。
【0278】
そして、配米バルブ79を開放して、浸漬タンク61に貯留した浸漬米粒R3のうち、あらかじめ炊飯を予定していた炊飯釜97数分の量を分離配米容器92へと流動させ、炊飯釜97へと供給する。これにより、浸漬ステップおよび配米ステップを終了する。
【0279】
浸漬ステップおよび配米ステップを終了させた後に、給水部100のバルブ102を閉めてから、制御盤141の電源を切る。そして、浄化部120のバルブ131を閉鎖する。
【0280】
そして、第1の浄化タンク121の排水管123に設けたバルブ124を開放し、第1の浄化タンク121に貯水した洗米水W2、底部に沈下し貯留された破砕米粒R4、および洗米水W2の水面に浮かぶ米ぬか泡を排出する。それとともに、第2の浄化タンク128の溢流水排水管132を外し、排水口128aを通じて排水管133から、第2の浄化タンク128に貯水した洗米水W2を排水する。
【0281】
また、第1の浄化タンク121および第2の浄化タンク128に貯水した洗米水W2を排出するとともに、配米バルブ79を手動にて開放する。配米バルブ79を開放すると、浸漬タンク61に貯水していた浸漬水W4および若干残留している浸漬米粒R3が配管78を通じて分離配米容器92へと落下流動する。
【0282】
浸漬水W4は、第2の水受け部93から排水管94へと流動して排水される。浸漬タンク61に残留し、浸漬水W4とともに分離配米容器92へと落下流動した浸漬米粒R3は、シャッター95を手動にて駆動し、分離配米容器92の下部の開口を開放することにより排出することができるので、ざる等で受けて回収すればよい。
【0283】
次に、図示しない水道栓に接続したホース等を用いて、洗米部20、分離部40、浸漬部60、配米部90、浄化部120にそれぞれ清水を噴射して洗浄する。
【0284】
終了ステップの後に、洗米部20の受筒22や洗米手段32、分離部40の拡散器42や分離器43、浸漬部60の固定区画部材72や可動区画部材73、浸漬タンク61等が米ぬか等により汚れている場合は、各部材に散水することにより洗浄する。
【0285】
その際、分離部40の蓋41を送米管31および第1の水受け部44から取り外すことにより、流動管46に嵌め込み部43cを嵌め込んだ分離器43を第1の水受け部44から取り出すことが可能となり、分離器43を清掃することができる。また、拡散器42は蓋41の下面に例えば棒状のステーを介して固定されているため、蓋41を上下反転させることで清掃することができる。
【0286】
それに加えて、浸漬部60の固定区画部材72および可動区画部材73を、係止したフレーム71から持ち上げて取り外した後に、フレーム71を浸漬タンク61の縁に設けた4個所の凸部から取外す。そして、チェーン65を上方に引いて下面に支持部材63を固定した案内板64を浸漬タンク61内から引き上げることにより、固定区画部材72および可動区画部材73、支持部材63および案内板64も清掃することができる。
【0287】
また、浄化部120の排水ホッパ122を第1の浄化タンク121から取り外し、溢流水排水管132を第2の浄化タンク128から取り外すことにより、排水ホッパ122および溢流水排水管132を清掃することができる。
【0288】
これらの部材を清掃した後に、取り外しと逆の手順をふむことで、各部材を清潔な状態で取り付けることができる。
【0289】
そして、各部材の清掃と取り付けが終了した後に、浸漬部60の配米バルブ79、第1の浄化タンク121の排水管123のバルブ124を閉鎖して、第2の浄化タンク128の溢流水排水管132を排水口128aに挿入して、次回の準備ステップに備える。
【0290】
このように、本実施形態の炊飯の前処理システム10ではいくつかのバルブ、およびポンプ29を操作することと、各部の部材の取外しを行い、水道栓に接続したホース等を用いて清水を噴射して洗浄するだけで、容易に炊飯の前処理システム10全体の清掃を行うことができる。
【0291】
なお、分離器43に清水を噴射して清掃する場合、分離器43は第1の水受け部44内で清掃してもよい。そうすることにより、分離器43の清掃を行うために第1の水受け部44内から取出す手間をなくし、さらに取り出した分離器43を落下させて破損させることを防止することができる。
【0292】
なお、精白米粒R1の状態にもよるが、洗米部20へと供給するあらかじめ定めた精白米粒R1の状態にあわせて、第1のリターン配管45を第2のリターン配管77へと接続せず、直接排水設備へと接続してもよい。この場合は、浸漬タンク61の溢流部76の壁部76aの上端を越えて流動する浸漬水W4および米ぬか泡が第2のリターン配管77内を落下流動し、第1の浄化タンク121へと流動する。
【0293】
(洗米サイクルについて)
上記のように、本実施形態の炊飯の前処理システム10では、供給ステップ、洗米ステップ、分離ステップ、浸漬ステップ、配米ステップ、給水ステップ、および浄化ステップを行い、炊飯釜97へと浸漬米粒R3と炊飯水W6とを連続的に供給することができる。そして、その連続的に供給する各ステップを繰り返すことにより、大量の精白米粒R1を浸漬米粒R3として炊飯釜97へと供給することのできる洗米サイクルを形成することができる。
【0294】
一度の洗米サイクルで供給した精白米粒R1は、その洗米サイクル内の配米ステップで浸漬米粒R3として、炊飯釜97へと供給するのが好ましい。
【0295】
なお、洗米部20は本実施形態で説明したスタティックミキサーを用いて洗米するものに限らず、他の洗米装置を採用することができる。
【0296】
例えば他の洗米装置とは、洗米槽に貯水した洗米水をポンプを用いて流動配管を流動させ、洗米槽に戻して循環流動させながら洗米し、洗米した米を洗米水とともに送米管31にて分離部40へと送米する循環式洗米装置とすることもできる。
【0297】
また、洗米槽内で回転するスクリューに沿って米と洗米水を流動させつつ洗米し、洗米した米を洗米水とともに送米管31にて分離部40へと送米するスクリュータイプの洗米装置とすることもできる。これらの場合、送米管31から分離部40へと流動するのは、空気を含まない精白米粒と洗米水との混合流体となる場合もある。
【0298】
以上に記載したように、本実施形態の炊飯の前処理方法および炊飯の前処理システムによれば、浸漬タンクに貯水した既洗米粒を浸漬する浸漬水を清浄な状態とすることができる。そして、既洗米粒を浸漬水により浸漬した浸漬米粒を、清水である炊飯水とともに炊飯釜に供給して炊飯釜に蓋をして加熱し、炊飯を行ってできたご飯は、ぬか臭さがなく、美味しいご飯に炊き上げることができる。
【0299】
なお、本願発明は以上に例示した構成や形状等に限定されることなく、種々の変更が可能である。そして、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、一部を省略する等、変更して構成することも可能であることは無論である。
【産業上の利用可能性】
【0300】
精白米粒に限らず、搗精されていない米である玄米や他の穀物の洗浄にも適用することができる。
【符号の説明】
【0301】
W1 清水
W2 洗米水
W3 空気を含んだ洗米水
W4 浸漬水
W5 浸漬水を混ぜ合わせた空気を含んだ洗米水
W6 炊飯水
M1 空気を含んだ洗米水と精白米粒の混合流体
M2 空気を含んだ洗米水と既洗米粒の混合流体
M3 浸漬水と浸漬米粒
R1 精白米粒(米粒)
R2 既洗米粒(米粒)
R3 浸漬米粒(米粒)
R4 破砕米粒(米粒)
10 炊飯の前処理システム
20 洗米部
21 導入ガイド
22 受筒
23 配管
24 バルブ
25 清水ノズル
26 エジェクタ
27 吸引口
28 配管
29 ポンプ
30 バルブ
31 送米管(配管)
31a 開口
32 洗米手段
40 分離部
41 蓋
42 拡散器
42a 傾斜部
42b 水平部
43 分離器
43a 壁面
43b 孔
43c 嵌め込み部
44 第1の水受け部
45 第1のリターン配管(配管)
45a 開口
46 流動管
46a 開口
60 浸漬部
61 浸漬タンク
61a 流動開口
62 蓋
62a 取手
63 支持部材
64 案内板
65 チェーン
66 給水管(配管)
67 バルブ
68 給水ノズル
69 水位検知手段
70 貯留量検知手段
71 フレーム
72 固定区画部材(区画部材)
72a 折曲部
72b 折返し部
72c 切欠き部
72d 開口部
73 可動区画部材(区画部材)
74 ヒンジ
75 区画域
76 溢流部
76a 壁部
77 第2のリターン配管(配管)
77a 開口
78 配管
79 配米バルブ(バルブ)
80 稜線
80a 稜線
80b 稜線
90 配米部
91 配米量調整器
92 分離配米容器
92a 孔
93 第2の水受け部
94 排水管(配管)
95 シャッター
96 駆動手段
97 炊飯釜
98 コンベア
100 給水部
101 給水管(配管)
102 バルブ
103 フロートバルブ
104 タンク
105 ヒータ
106 配管
107 バルブ
120 浄化部
121 第1の浄化タンク
122 排水ホッパ
122a 排水管(配管)
123 排水管(配管)
124 バルブ
125 第3のリターン配管(配管)
126 バルブ
127 流動規制部材
128 第2の浄化タンク
128a 排水口
129 フロートバルブ
130 給水管
131 バルブ
132 溢流水排水管
133 排水管
134 フィルタ
140 制御部
141 制御盤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15