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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-20
(45)【発行日】2023-03-29
(54)【発明の名称】機械式駐車装置
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/40 20060101AFI20230322BHJP
   E04H 6/42 20060101ALI20230322BHJP
   E04H 6/18 20060101ALI20230322BHJP
【FI】
E04H6/40 A
E04H6/42 Z
E04H6/18 601G
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019168133
(22)【出願日】2019-09-17
(65)【公開番号】P2021046670
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2021-09-20
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000227043
【氏名又は名称】日精株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100208672
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 愼一
(72)【発明者】
【氏名】柿岡 真貴
【審査官】齋藤 卓司
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-170128(JP,A)
【文献】特開2018-190215(JP,A)
【文献】特開2005-213931(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00-6/44
G08G 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二箇所の出入口を有する乗込室と、前記乗込室の一方の出入口部近傍に配置した操作盤と、有人運転車両を対象にして前記操作盤での操作に対応した処理を行う通常構成処理部と、自動運転車両を対象にして前記乗込室までの移動処理を行う自動運転車両処理部を備えた機械式駐車装置において、
前記乗込室は、前記有人運転車両と前記自動運転車両とに共通する単一のものとされ、前記有人運転車両と前記自動運転車両とに共通して使用されるターンテーブルと、それぞれ90度異なる進入方向となる位置に形成される前記二箇所の前記出入口部と他の出入口部と、を備え、
前記有人運転車両を誘導させ、前記出入口部に至る有人運転車両進入路と、前記自動運転車両を誘導させ、他の出入口部に至る自動運転車両進入路とを有し、
前記有人運転車両進入路と前記自動運転車両進入路とは、前記有人運転車両進入路と前記自動運転車両進入路と分離部材又は仕切り部材にて仕切られ
前記通常構成処理部は、前記有人運転車両の運転車が前記操作盤で入出庫の操作を行い、前記出入口から前記乗込室に前記有人運転車両を進入させることで機械式駐車装置に設けられる格納処理部によって格納処理が行われる構成とされ、
前記自動運転車両処理部は、前記自動運転車両進入路に配置される自動運転車両検出部による自動運転車両の検出に基づいて、自動運転車両の自動運転制御部に自動運転許可信号を与え、運転車が自動運転車両から降車後、自動運転移動処理部が自動運転車両を前記他の出入口部から前記乗込室に前記自動運転車両が進入されて機械式駐車装置に設けられる格納処理部によって格納処理が行われる構成とされる、
機械式駐車装置。
【請求項2】
前記自動運転車両処理部は、前記二箇所の出入口部及び他の出入口部を異なるタイミングで使用するように決定するタイミング判定部を有し、前記自動運転車両処理部の自動運転移動処理部と連絡される前記通常構成処理部の出入口開閉処理部は、前記タイミング判定部によって決定された方の前記出入口部を開く前に、他方の前記出入口部を閉じる構成とされる、請求項1に記載の機械式駐車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動運転車両および有人運転車両を対象として格納する機械式駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の機械式駐車装置として、特許第5551410号公報(特許文献1)が知られており、特許文献1には、自走機能付車両は、車両側通信装置と運転制御器とを有する車両側制御装置を備えており、駐車装置は機械式駐車装置であり、前記駐車装置の停車スペースの前側には乗り捨てスペースである姿勢制御装置としてのターンテーブルが備えられ、前記姿勢制御装置の近傍には姿勢制御装置上に進入して停車する車両の前後と位置と向きと大きさを検出するための車両計測装置が備えられていると共に、受入側制御装置が備えてあり、前記受入側制御装置は、前記車両側通信装置と無線通信する外部通信装置と、 前記車両計測装置による車両の検出結果に基づき車両の前後と位置と向きと大きさを演算し、姿勢制御装置に転向指令を与えて車両の前後の向きを停車スペースの方向に向ける転向を行うと共に、前後の向きが調整された姿勢制御装置上の車両を駐車装置の停車スペースに移動させるための軌道を演算し、演算した軌道に沿って姿勢制御装置上の車両を前記停車スペースに入庫させる入庫指令を外部通信装置を介して車両側制御装置の運転制御器に与える演算制御器とを有し、外部から姿勢制御装置上に進入して停車する車両は車両計測装置により検出され、且つ受入側制御装置の演算制御器により車両の前後と位置と向きと大きさが演算され、演算制御器は無線通信により車両側制御装置の運転制御器から車両の駐車の承認を得ると共に車両を自動走行可能な状態に保持する指令を車両側制御装置に発し、更に、前記演算制御器により演算した車両の前後と向きに基づいて姿勢制御装置に転向指令を与えて車両の前後の向きを停車スペースの方向に向け、更に、受入側制御装置から車両側制御装置に入庫指令を与え、演算制御器で演算した軌道に沿うように運転制御器により車両を自動走行させて姿勢制御装置上の車両を停車スペースに入庫することを特徴とする自走機能付車両の乗り捨て駐車装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5551410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の機械式駐車装置は、自動運転車両のみを対象にした構成の場合には問題がないとしても、有人運転車両と自動運転車両が混在された状態での利用が増大し、しかも今後、自動運転車両が増加する機運にある中で、より円滑な格納処理が求められるようになっている。
【0005】
本発明の目的は、有人運転車両および自動運転車両の運転手の安全を確保しながら、不要な渋滞を避けて効率的な入庫処理を行うことができるようにした機械式駐車装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様に係る機械式駐車装置は、乗込室と、前記乗込室への出入口部近傍に配置した操作盤と、有人運転車両を対象にして前記操作盤での操作に対応した処理を行う通常構成処理部と、自動運転車両を対象にして前記乗込室までの移動処理を行う自動運転車両処理部を備えた機械式駐車装置において、前記有人運転車両を誘導させるために前記出入口部に至る有人運転車両進入路と、前記自動運転車両を誘導させるために他の出入口部に至る自動運転車両進入路とを有し、それぞれ共通の前記乗込室内への異なる進入方向となる二箇所に前記出入口部および前記他の出入口部を形成し、前記乗込室内に、二箇所の前記出入口部からそれぞれ入ってくる前記有人運転車両または前記自動運転車両の進入方向に対応する向きに旋回調整可能にターンテーブルを構成したことを特徴とする。
【0007】
第1態様に係る機械式駐車装置によれば、有人運転車両および自動運転車両の運転手の安全を確保しながら、不要な渋滞を避けて効率的な入庫処理を行うことができるようになり、また機械式駐車装置の構成も簡略化しながら、有人運転車両と自動運転車両を分けて有人運転車両進入路または自動運転車両進入路から共通の乗込室を使用して格納することができる。
【0008】
第2態様に係る機械式駐車装置は、第1態様に係る機械式駐車装置において、二箇所の前記出入口部を異なるタイミングで使用するよう決定するタイミング判定部と、前記タイミング判定部によって決定された方の前記出入口部を開く前に、他方の前記出入口部を閉じる出入口開閉処理部を設けたことを特徴とする。
【0009】
第2態様に係る機械式駐車装置によれば、共通の乗込室を使用して構成を簡略化しているにも拘わらず、機械式駐車装置側の自動運転車両処理部による自動運転車両における自動運転の特長を生かして有人運転車両よりも早い時点で運転者を下車させ、その後、有人運転車両と自動運転車両をふさわしいタイミングで効率的に分けて入庫処理を扱うことができる。
【0010】
第3態様に係る機械式駐車装置は、第1態様に係る機械式駐車装置において、前記乗込室に至る二箇所の前記出入口部は、共通の前記ターンテーブルの回転中心から見てほぼ90度異なる方向に形成したことを特徴とする。
【0011】
第3態様に係る機械式駐車装置によれば、二箇所の出入口部に合わせて有人運転車両進入路および自動運転車両進入路を形成すると、簡単に有人運転車両と自動運転車両が無秩序に混在してしまうことを避けることができ、二箇所の出入口部の間での円滑な移動処理が可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明による機械式駐車装置によれば、有人運転車両および自動運転車両の運転手の安全を確保しながら、不要な渋滞を避けて効率的な入庫処理を行うことができるようになり、また機械式駐車装置の構成も簡略化しながら、有人運転車両と自動運転車両を分けて有人運転車両進入路または自動運転車両進入路から共通の乗込室を使用して格納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施例による機械式駐車装置の概略構成を示す平面図である。
図2図1に示した機械式駐車装置の制御系を示すブロック構成図である。
図3図2に示した自動運転車両と自動運転車両制御部との間での通信状態を示す平面図である。
図4図2に示した制御系による格納処理動作を示すフローチャートである。
図5】本発明の他の実施例による機械式駐車装置の要部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施例による機械式駐車装置を示す概略構成を示す平面図である。
【0016】
機械式駐車装置は、出入口部1Aと、出入口部1Aを開閉する出入口扉2Aと、出入口扉2Aの奥側に形成された乗込室3と、出入口部1Aの近傍における壁面に配置された操作盤4が構成されている。
【0017】
駐車車両のうち通常車両または自分で駐車のための操作を行う自動運転車両などの有人運転車両5を対象にして、出入口部1Aを通して乗込室3へと導くために有人運転車両進入路6が形成されている。また、この有人運転車両進入路6に隣接して、駐車車両のうち自動運転車両7を誘導するために自動運転車両進入路8が形成されている。有人運転車両進入路6に導かれた有人運転車両5が自動運転車両進入路8に入り込まないように、有人運転車両進入路6と自動運転車両進入路8間には仕切り板などの分離部材9が配置されている。
【0018】
有人運転車両5が有人運転車両進入路6から乗り込まれた場合、出入口部1Aの前方で図示の有人運転車両5Aのように一旦停止してもらい、その後、運転手に操作盤4の前へと移動してもらう。運転手が操作盤4から入庫操作を行うと、乗込室3の出入口扉2Aが自動で開くので、再び運転手が有人運転車両5Aに乗り込んで運転しながら、乗込室3内に配置されているトレー10上の所定位置に有人運転車両5Bのように停車させてもらう。その後、運転手が有人運転車両5Bから降りて再度、操作盤4の前へと移動してもらい、操作盤4を再び操作してもらって乗込室3の出入口扉2Aを閉じる。その後、有人運転車両5Bは機械駐車装置によって自動的に所定の格納スペースへと搬送させて格納されることになる。
【0019】
これに対して自動運転車両進入路8の奥側には、乗込室3に形成された他の出入口部1Bと、この出入口部1Bを開閉する出入口扉2Bと、出入口部1Aの近傍における壁面に配置されて自動運転車両7との間で無線通信および無線誘導を行う無線通信部11が設けられている。
【0020】
自動運転車両7が音声や表示などに促されて有人運転車両進入路6ではなく自動運転車両進入路8へと乗り込まれてきた場合、予定の停止位置に停車してもらうと自動運転車両7の無線通信部と無線通信部11の間で無線通信が行われて、機械式駐車装置側での無線誘導による自動運転によって駐車する方法に許可を与えるかどうかの確認が行われる。運転手が許可を与えたり予め許可を登録した自動運転車両7であったりした場合、自動運転車両7における自動運転が可能になる状態にした後、自動運転車両進入路8で運転手に降りてもらって自動運転車両7を機械式駐車装置側に引き渡すことになる。
【0021】
機械式駐車装置側によって自動運転された自動運転車両7は、有人運転車両5の場合と同じ乗込室3を使用して格納スペースへと搬送されるようにしている。しかし、乗込室3には、有人運転車両5のための出入口部1Aおよび出入口扉2Aの他に、自動運転車両進入路8から乗込室3に至るように、先の有人運転車両5Aの乗り込み方向とはほぼ90度だけ異なる入経路が形成されるように出入口部1Bおよび出入口扉2Bが構成されている。この入り口部1Bから自動運転車両7を乗込室3内に導くために、乗込室3の床部には中心部の回転軸を中心にして水平面上で旋回可能なターンテーブル12が構成されている。
【0022】
乗込室3に配置されたトレー10はターンテーブル12上に搭載されており、有人運転車両5Aを乗込室3内に迎え入れる時には、トレー10の長手方向が有人運転車両5の進入方向に合致するようにターンテーブル12を旋回駆動できるように構成されている。これに対して、自動運転車両7を乗込室3内に迎え入れる時には、トレー10の長手方向が自動運転車両7の進入方向に合致するようにターンテーブル12を旋回駆動できるように構成されている。上述した乗込室3に至る出入口部1Aと出入口部1Bは、共通のターンテーブル12の回転中心から見てほぼ90度異なる方向に形成されている。
【0023】
このような構成によれば、自動運転車両7の運転手は自動運転車両進入路8の所定位置に自動運転車両7を停止させた後、その自動運転車両7を離れても、無線誘導13によって自動運転車両7を所定の位置に移動させながら格納することができる。しかも、機械式駐車装置側は、有人運転車両進入路6側から入された有人運転車両5の混雑状況を加味しながら、また有人運転車両5と自動運転車両7のバランスを取りながら、自動運転車両7の格納計画を立てることができる。
【0024】
図2は、自動運転車両7を含む制御系を示すブロック構成図である。
駐車しようとしている自動運転車両7には、アンテナ14を通して自動運転車両処理部15側との通信を行う車両側送受信部16と、機械式駐車装置側での自動運転による駐車に許可を与える許可信号送信部17と、自動運転車両7に既に搭載されている自動運転制御部18を有している。
【0025】
操作盤4には、有人運転車両5を対象にして通常のボタン操作に対応した処理を行う通常構成の通常構成処理部19と、自動運転車両7を対象にした処理を行う自動運転車両処理部15が接続されている。通常構成処理部19は、通常の機械式駐車装置で知られた構成で、乗込室3まで乗り込んだ有人運転車両5の運転手によって出入口扉2Aを閉操作するための操作が行われたとき出入口扉2Aの閉処理を行う出入口扉閉処理部20と、出入口扉閉処理部20による出入口扉2Aの閉動作完了後に、一連の格納処理を行う格納処理部21などを含んで構成されている。尚、出入口扉閉処理部20は、後述するように自動運転車両7を乗込室3内に無線通信による自動運転で移動させるとき、有人運転車両5側の出入口扉2Aを閉動作させた後、自動運転車両7側の出入口扉2Bを開動作させる機能が付加されている。
【0026】
一方、自動運転車両制御部15は、自動運転車両進入路8へと乗り込まれた自動運転車両7をセンサーなどによって検出する自動運転車両検出部22と、自動運転車両検出部22によって自動運転車両7が検出されたときにその機械式駐車装置側での自動運転による駐車処理の許可を求める申請信号を発生する許可申請信号発生部23と、自動運転車両7の車両側送受信部16との間でアンテナ24を通して信号の送受信を行う駐車装置側送受信部25と、許可申請信号発生部23からの許可申請信号を自動運転車両7の車両側送受信部16へと送信した後、車両側送受信部16からの許可信号を検出する許可信号判定部26を有している。
【0027】
さらに自動運転車両制御部15は、有人運転車両進入路6および自動運転車両進入路8を含めて混雑状況を判断して自動運転による駐車処理のタイミングを決定するタイミング判定部27と、タイミング判定部27によるタイミング信号を受けたときトレー10の向きを自動運転車両7の進入方向に合わせるようにターンテーブル12を旋回駆動するターンテーブル向き調整部28と、タイミング判定部27によるタイミング信号を受けたとき自動運転により乗込室3までの移動処理を行い、その完了信号を出入口扉閉操作信号として出入口扉開閉処理部20に与える自動運転移動処理部29を有している。
【0028】
これらの制御系の各部は、記憶部30に格納された格納処理プログラムなどに基づいて制御部31によって各処理が行われる。
【0029】
図3は、自動運転車両7と自動運転車両制御部15との間での通信状態を示す平面図である。
【0030】
機械式駐車装置側の誘導によって自動運転による移動を開始する前に、機械式駐車装置側からの許可申請を行い、自動運転車両7側で許可ボタンが操作されて同意したり、予め同意の登録が行われたりしているとき、機械式駐車装置側の誘導によって自動運転による移動が開始される。
【0031】
図4は、上述した制御系による格納処理動作を示すフローチャートである。
【0032】
自動運転車両検出部22はステップS1で、入庫する自動運転車両を監視している。自動運転車両検出部22が入庫する自動運転車両7を検出した場合、許可申請信号発生部23はステップS2で、自動運転許可申請信号を発生する。許可申請信号発生部23は、駐車装置側送受信部25を通して自動運転車両7に自動運転許可申請信号を与え、自動運転車両7と自動運転車両処理部15の間で図3に示したように無線通信13が開始される。
【0033】
自動運転車両7は車両側送受信部16で自動運転許可申請信号を受信し、運転手が許可するために自動運転車両7に組み込まれた許可ボタンを操作すると、許可信号送信部17から車両側送受信部16を通して駐車装置側送受信部25へ許可信号が送信される。
【0034】
すると許可信号判定部26はステップS3で、自動運転許可信号を検出したと判定し、またステップS4でアナウンスや表示などによって自動運転車両7の自動運転制御部18を利用可能状態に保持しながら、図1に示すように運転手に自動運転車両7から下りてもらうように促し、自動運転車両7を機械式駐車装置側に委ねてもらう。
【0035】
その後、自動運転移動処理部28は、タイミング判定部27によって有人運転車両進入路6側の入出庫と連携を取りながらふさわしいタイミングで、駐車装置側送受信部25と車両側送受信部16間で通信しながら自動運転制御部18を制御して自動運転車両7を移動させる。
【0036】
これに前後して、出入口扉開閉処理部20はステップS6で、乗込室3の出入口扉2Aを閉じた後に出入口扉2Bを開き、また乗込室3内へ自動運転車両7が乗り込む前にターンテーブル向き調整部28は、自動運転車両7の乗り込み方向に合わせてトレー10が準備されるようにターンテーブル12の向きを変更する。その後、自動運転制御部18はステップS7で、開放された出入口部1Bを通して自動運転車両7を乗込室3内のトレー10上に載せる。
【0037】
この動作が完了した時点で、自動運転移動処理部29は、出入口扉開閉処理部20へ閉信号となる完了信号を与える。これを受けた出入口扉閉処理部20はステップS8で、乗込室3の出入口扉2Bを閉じる。
【0038】
その後、通常の格納処理と同じく格納処理部21はステップS9で、出入口扉の閉動作完了後に一連の格納処理を行う。こうして、自動運転車両7の格納処理が完了となる。
【0039】
図1に示したように駐車車両のうち有人運転車両5を誘導させる有人運転車両進入路6と、駐車車両のうち自動運転車両7を誘導させる自動運転車両進入路8が壁や仕切り板などの分離部材9によって区分されているため、自動運転車両進入路8に有人運転車両5と自動運転車両7が混在してしまって、機械式駐車装置側の自動運転車両処理部15による自動運転による移動が妨げられることが無い。
【0040】
また、乗込室3に至る出入口部1Aと出入口部1Bは、共通のターンテーブル12の回転中心から見てほぼ90度だけ異なる方向に形成している。このため、タイミング判定部27によって有人運転車両進入路6および自動運転車両進入路8の状況が判定されて、自動運転車両7を乗込室3内に移動させるタイミングが決定されると、出入口部1Aと出入口部1Bに合わせて有人運転車両5と自動運転車両7を簡単に分離して移動することができ、円滑な運用ができる。
【0041】
上述の説明は、入庫時について行ったが、出庫時においてはほぼ逆の手順でほぼ同様に行うことができるので、説明を省略する。
【0042】
上述した説明から分かるように本実施例では、乗込室3と、乗込室3への出入口部1A近傍に配置した操作盤4と、有人運転車両5を対象にして操作盤4での操作に対応した処理を行う通常構成処理部19と、自動運転車両7を対象にして乗込室3までの移動処理を行う自動運転車両処理部15を備え、前記有人運転車両を誘導させるために前記出入口部に至る有人運転車両進入路と、前記自動運転車両を誘導させるために他の出入口部に至る自動運転車両進入路とを有し、それぞれ共通の前記乗込室内への異なる進入方向となる二箇所に前記出入口部および前記他の出入口部を形成し、乗込室3内に、出入口部1Aまたは出入口部1Bから入ってくる有人運転車両5または自動運転車両7の進入方向に対応する向きに旋回調整可能なターンテーブル12を構成した。
【0043】
このような構成であるため、有人運転車両5および自動運転車両7の運転手の安全を確保しながら、不要な渋滞を避けて効率的な入庫処理を行うことができるようになり、また機械式駐車装置の構成も簡略化しながら、有人運転車両5と自動運転車両7を分けて有人運転車両進入路6または自動運転車両進入路8から共通の乗込室3を使用して格納することができる。
【0044】
また、本発明は上述の構成に加えて、出入口部1Aまたは他の出入口部1Bの使用タイミングを検出するタイミング判定部27と、タイミング判定部27によって決定された方の出入口部1Bの出入口扉2Bを開く前に、他方の出入口部1Aの出入口扉2Aを閉じる出入口開閉処理部20を設けたことを特徴とする。
【0045】
このような構成であるため、共通の乗込室3を使用して構成を簡略化しているにも拘わらず、機械式駐車装置側の自動運転車両処理部15による自動運転車両7における自動運転の特長を生かして有人運転車両5よりも早い時点で運転者を下車させ、その後、有人運転車両5と自動運転車両7をふさわしいタイミングで効率的に分けて入庫処理を扱うことができる。
【0046】
また、乗込室3に至る出入口部1Aと出入口部1Bは、共通のターンテーブル12の回転中心から見てほぼ90度異なる方向に形成した。
【0047】
このような構成であるため、出入口部1Aと出入口部1Bに合わせて有人運転車両進入路6および自動運転車両進入路8を形成すると、簡単に有人運転車両5と自動運転車両7が無秩序に混在してしまうことを避けることができ、出入口部1Aと出入口部1Bの間での円滑な移動処理が可能となる。
【0048】
図5は、本発明の他の実施例による機械式駐車装置の要部を示す平面図である。
【0049】
先の実施例では、有人運転車両5を誘導させる有人運転車両進入路6と、自動運転車両7を誘導させる自動運転車両進入路8が比較的接近してほぼ並行に形成されている。これに対して本実施例では、機械式駐車装置の建屋によって形成された仕切り部材32によって、有人運転車両進入路6と自動運転車両進入路8をより明確に区分して機械式駐車装置側に案内するようにしている。
【0050】
乗込室3には、有人運転車両5のための出入口部1Aおよび出入口扉2Aの他に、先の有人運転車両5Aの乗り込み方向とはほぼ90度だけ異なる方向に自動運転車両7のための出入口部1Bおよび出入口扉2Bが乗込室3に至るように形成されている。しかも、有人運転車両5がほぼ直線的な入方向となって出入口部1Aを通過する有人運転車両進入路6が形成されているのと同じく、自動運転車両7がほぼ直線的な入方向となって出入口部1Bを通過する自動運転車両進入路8が形成されている。
【0051】
乗込室3の床部には旋回可能なターンテーブル12が構成されており、有人運転車両5に次いで自動運転車両7を乗込室3内に乗り込ませる場合、ターンテーブル12をほぼ90度だけ回転させて、ターンテーブル12上のトレー10の長手方向と、自動運転車両7の乗り込み方向が合致するようにターンテーブル12を旋回制御する構成も先の実施例の場合と同様である。
【0052】
このような構成によれば、有人運転車両5の入庫時は先の実施例の場合と同様に行うことができるのは勿論、自動運転車両7の入庫時、自動運転車両7はほぼ直線的な入方向となって出入口部1Bを通過する自動運転車両進入路8が形成されているため、自動運転車両7を自動運転によって乗込室3内に入させるとき、先の実施例に比べて一層円滑に、しかも短時間に入庫処理を行うことができる。詳細な説明は省略するが、出庫処理を行う場合もほぼ同様の効果を得ることができる。
【0053】
また本実施例でも、先の実施例の場合と同様に、自動運転車両7の運転手は、停止位置で下りて自動運転車両7を機械式駐車装置側に引き渡すため、その後、タイミング判定部27によって有人運転車両進入路6へと案内された有人運転車両5とのタイミングを調整しながら、自動運転車両7を機械式駐車装置側での自動運転車両処理部15によって乗込室3内へと移動させることができる。
【0054】
以上説明したように本発明は、乗込室3と、乗込室3への出入口部1A近傍に配置した操作盤4と、有人運転車両5を対象にして操作盤4での操作に対応した処理を行う通常構成処理部19と、自動運転車両7を対象にして乗込室3までの移動処理を行う自動運転車両処理部15を備えた機械式駐車装置において、有人運転車両5を誘導させる有人運転車両進入路6と、自動運転車両7を誘導させる自動運転車両進入路8の間を区分すると共に、乗込室3内へのそれぞれ異なる進入方向となる出入口部1A,1Bを形成し、出入口部1A,1Bの奥部に有人運転車両5および自動運転車両7のための共通の乗込室3を形成し、乗込室3内に、出入口部1Aまたは出入口部1Bから入ってくる有人運転車両5または自動運転車両7の進入方向に対応する向きに旋回調整可能なターンテーブル12を構成したことを特徴とする。
【0055】
このような構成であるため、有人運転車両5および自動運転車両7運転手の安全を確保しながら、不要な渋滞を避けて効率的な入庫処理を行うことができるようになり、また機械式駐車装置の構成も簡略化しながら、有人運転車両5と自動運転車両7を分けて有人運転車両進入路6または自動運転車両進入路8から共通の乗込室3を使用して格納することができる。
【0056】
また本発明は上述の構成に加えて、二箇所の出入口部1Aまたは他の出入口部1Bを異なるタイミングで使用するよう決定するタイミング判定部27と、タイミング判定部27によって決定された方の出入口部1Bの出入口扉2Bを開く前に、他方の出入口部1Aの出入口扉2Aを閉じる出入口開閉処理部20を設けたことを特徴とする。
【0057】
このような構成であるため、共通の乗込室3を使用して構成を簡略化しているにも拘わらず、機械式駐車装置側の自動運転車両処理部15による自動運転車両7における自動運転の特長を生かして有人運転車両5よりも早い時点で運転者を下車させ、その後、有人運転車両5と自動運転車両7をふさわしいタイミングで効率的に分けて入庫処理を扱うことができる。
【0058】
また本発明は上述の構成に加えて、乗込室3に至る二箇所の出入口部1A,1Bは、共通のターンテーブル12の回転中心から見てほぼ90度異なる方向に形成したことを特徴とする。
【0059】
このような構成であるため、出入口部1Aと出入口部1Bに合わせて有人運転車両進入路6および自動運転車両進入路8を形成すると、簡単に有人運転車両5と自動運転車両7が無秩序に混在してしまうことを避けることができ、出入口部1Aと出入口部1Bの間での円滑な移動処理が可能となる。
【符号の説明】
【0060】
1A,1B 出入口部
2A,2B 出入口扉
3 乗込室
4 操作盤
5 有人運転車両
6 有人運転車両進入路
7 自動運転車両
8 自動運転車両進入路
10 トレー
12 ターンテーブル
15 自動運転車両処理部
19 通常構成処理部
20 出入口開閉処理部
27 タイミング判定部
図1
図2
図3
図4
図5