(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-20
(45)【発行日】2023-03-29
(54)【発明の名称】ブレード交換装置、切断装置、及び、切断品の製造方法
(51)【国際特許分類】
B26D 7/26 20060101AFI20230322BHJP
B26D 1/14 20060101ALI20230322BHJP
B28D 1/24 20060101ALI20230322BHJP
B23Q 11/08 20060101ALI20230322BHJP
B23Q 3/155 20060101ALI20230322BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20230322BHJP
【FI】
B26D7/26
B26D1/14 A
B26D1/14 Z
B28D1/24
B23Q11/08 Z
B23Q3/155 K
H01L21/78 F
(21)【出願番号】P 2019193762
(22)【出願日】2019-10-24
【審査請求日】2021-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】390002473
【氏名又は名称】TOWA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【氏名又は名称】伊佐治 創
(72)【発明者】
【氏名】宇澤 秀俊
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-105829(JP,A)
【文献】特開2017-202546(JP,A)
【文献】特開2015-077671(JP,A)
【文献】特開2017-148900(JP,A)
【文献】特開2015-217492(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 7/26
B26D 1/14
B28D 1/24
B23Q 11/08
B23Q 3/155
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレード交換機構と、防水カバーとを有し、
前記ブレード交換機構は、ブレードを吸着する吸着ユニットを含み、かつ、前記防水カバー内に出し入れ可能であり、
前記防水カバーが、前記ブレード交換機構の少なくとも一部を覆うカバー本体
と、前記カバー本体内への前記ブレード交換機構の出し入れの際に開閉する開閉扉とを含
み、
前記ブレード交換機構は、前記吸着ユニットが前記開閉扉と反対方向に向くように前記防水カバー内に収容され、その状態で前記開閉扉を閉めることが可能であることを特徴とするブレード交換装置。
【請求項2】
さらに、前記カバー本体内に気体を供給する気体供給部を含む請求項
1記載のブレード交換装置。
【請求項3】
さらに、前記カバー本体内の気体を排気する排気口を有する請求項1
又は2に記載のブレード交換装置。
【請求項4】
前記防水カバーの側面及び底面の少なくとも一方において、ブレードにより切断される切断対象物と対向する側の少なくとも一部が、下方に向かって前記切断対象物と反対側に傾斜している請求項1から
3のいずれか一項に記載のブレード交換装置。
【請求項5】
前記防水カバーが、前記ブレード交換機構とともに移動可能な移動部を含む請求項1から
4のいずれか一項に記載のブレード交換装置。
【請求項6】
前記ブレード交換機構が、前記移動部を移動させる移動機構を含む、請求項
5記載のブレード交換装置。
【請求項7】
さらに、交換用ブレードを収納可能な収納部を含む請求項1から
6のいずれか一項に記載のブレード交換装置。
【請求項8】
請求項1から
7のいずれか一項に記載のブレード交換装置と、スピンドル部とを含み、
前記スピンドル部は、切断対象物を切断するブレードを回転させ、
前記ブレードを前記ブレード交換装置によって交換可能であることを特徴とする切断装置。
【請求項9】
切断対象物を切断して製造される切断品の製造方法であって、
請求項
8記載の切断装置により前記切断対象物を切断する工程を含むことを特徴とする製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレード交換装置、切断装置、及び、切断品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
切断対象物を切断するための切断装置において、切断対象物を切断するブレード(刃)を交換するためのブレード交換機構が設けられることがある。例えば、特許文献1には、ブレード22を吸着するように構成される第1吸着部4と、前記第1吸着部の内側に位置し、前記第1吸着部による吸着とは独立してフランジまたはハブを吸着するように構成される第2吸着部5と、前記第2吸着部の内側に位置し、前記ブレード22をスピンドル21に脱着可能とする脱着部材24を回転可能に構成される脱着部材回転部6とを備えるブレード交換機構が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
切断装置においては、特許文献1にも記載されているように、高速で回転するブレードによって発生する摩擦熱を抑えるために、切断対象物及びブレードに水(切削水、又は、冷却水ともいう場合がある。)をかけながら切断が行われる場合がある。また、切断屑などを洗浄するための洗浄水を噴射する場合がある。このとき、切削水又は洗浄水等の水から、水滴、ミスト(微細な水滴)等が発生することがある。そして、ブレード交換機構に水、水滴、ミスト等が付着すると、ブレード交換機構の動作不良等が起こるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、ブレード交換機構への水、水滴、ミスト等の付着を抑制又は防止可能なブレード交換装置、切断装置、及び、切断品の製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明のブレード交換装置は、ブレード交換機構と、防水カバーとを有し、前記防水カバーが、前記ブレード交換機構の少なくとも一部を覆うカバー本体を含むことを特徴とする。
【0007】
本発明の切断装置は、
本発明のブレード交換装置と、スピンドル部とを含み、
前記スピンドル部は、切断対象物を切断するブレードを回転させ、
前記ブレードを前記ブレード交換装置によって交換可能であることを特徴とする。
【0008】
本発明の切断品の製造方法は、
切断対象物を切断して製造される切断品の製造方法であって、
本発明の切断装置により前記切断対象物を切断する工程を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ブレード交換機構への水、水滴、ミスト等の付着を抑制又は防止可能なブレード交換装置、切断装置、及び、切断品の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図5】
図5は、
図1の防水カバーの底面部材を示す図及びその一部の拡大図である。
【
図6】
図6は、ブレード交換機構の一例の正面図である。
【
図7】
図7は、
図6のブレード交換機構を
図1の防水カバーで覆ったブレード交換装置を示す正面図である。
【
図8】
図8は、実施例の切断装置の模式的な平面図である。
【
図9】
図9は、実施例のブレード交換機構に用いられる吸着アームの一例の模式的な斜視図である。
【
図10】
図10は、
図9に示す吸着アームを別の角度から見たときの模式的な斜視図である。
【
図13】
図13は、実施例のブレード交換方法の一部の工程を図解する模式的な断面図である。
【
図14】
図14は、実施例のブレード交換方法の工程の一部を図解する模式的な断面図である。
【
図15】
図15は、実施例のブレード交換方法の工程の一部を図解する模式的な断面図である。
【
図16】
図16は、実施例のブレード交換方法の工程の一部を図解する模式的な断面図である。
【
図17】
図17は、実施例のブレード交換方法の工程の一部を図解する模式的な断面図である。
【
図18】
図18は、吸着ユニットが第1動作位置に位置している状態の一例の実施例の切断装置の模式的な斜視図である。
【
図19】
図19は、
図18に示される切断装置を別の角度から見たときの模式的な斜視図である。
【
図20】
図20は、吸着ユニットが第2動作位置に位置している状態の一例の実施例の切断装置の模式的な斜視図である。
【
図21】
図21は、吸着ユニットが第1動作位置に位置している状態の他の一例の実施例の切断装置の模式的な斜視図である。
【
図22】
図22は、
図21に示される切断装置を別の角度から見たときの模式的な斜視図である。
【
図23】
図23は、実施例における第1スライド機構による吸着ユニットのY方向への移動の一例を図解する模式的な斜視図である。
【
図24】
図24は、実施例における第1スライド機構による吸着ユニットのY方向への移動の他の一例を図解する模式的な斜視図である。
【
図25】
図25は、実施例における第2スライド機構による吸着ユニットのZ方向への移動の一例を図解する模式的な斜視図である。
【
図26】
図26は、実施例における第2スライド機構による吸着ユニットのZ方向への移動の他の一例を図解する模式的な斜視図である。
【
図27】
図27は、実施例における第1回転機構による吸着ユニットのX-θ方向への回転の一例を図解する模式的な斜視図である。
【
図28】
図28は、実施例における第1回転機構による吸着ユニットのX-θ方向への回転の他の一例を図解する模式的な斜視図である。
【
図29】
図29は、実施例における第2回転機構による吸着ユニットのY-θ方向への回転の一例を図解する模式的な斜視図である。
【
図30】
図30は、実施例における第2回転機構による吸着ユニットのY-θ方向への回転の他の一例を図解する模式的な斜視図である。
【
図31】
図31は、実施例における収納部の模式的な斜視図である。
【
図32】
図32は、実施例におけるブレード押さえ部材が上がったときの
図31に示される収納部の模式的な斜視図である。
【
図33】
図33は、実施例における検出部の模式的な平面図である。
【
図34】
図34は、実施例における検出部によるブレードの摩耗および破損の少なくとも一方の検出方法の一例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
つぎに、本発明について、例を挙げてさらに詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の説明により限定されない。
【0012】
本発明のブレード交換装置における前記防水カバー(以下「本発明の防水カバー」ということがある。)は、例えば、さらに、開閉扉を含んでいてもよい。
【0013】
本発明のブレード交換装置は、例えば、さらに、前記カバー本体内に気体を供給する気体供給部を含んでいてもよい。
【0014】
本発明のブレード交換装置は、例えば、さらに、前記カバー本体内の気体を排気する排気口を有していてもよい。
【0015】
本発明の防水カバーは、例えば、その側面及び底面の少なくとも一方において、ブレードによる切断対象物と対向する側の少なくとも一部が、下方に向かって前記切断対象物と反対側に傾斜していてもよい。
【0016】
本発明の防水カバーは、例えば、前記ブレード交換機構とともに移動可能な移動部を含んでいてもよい。この場合において、本発明の防水カバーは、例えば、前記移動部に加え、移動しない固定部を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。例えば、本発明の防水カバーの一部が前記移動部で、一部が前記固定部であってもよいし、本発明の防水カバーの全体が、前記移動部であってもよい。
【0017】
本発明のブレード交換装置は、例えば、
前記防水カバーが、前記移動部を含む防水カバーであり、
前記ブレード交換機構が、前記移動部を移動させる移動機構を含んでいてもよい。
【0018】
本発明のブレード交換装置は、例えば、さらに、交換用ブレードを収納可能な収納部を含んでいてもよい。
【0019】
本発明の切断装置は、例えば、さらに、ブレードを含んでいてもよい。
【0020】
本発明の切断品の製造方法は、例えば、さらに、前記切断対象物を切断するブレードを交換する工程を含んでいてもよい。
【0021】
本発明のブレード交換装置において用いる前記ブレード交換機構(以下「本発明のブレード交換機構」という場合がある。)は、例えば、ブレードを吸着するように構成される第1吸着部と、前記第1吸着部の内側に位置し、前記第1吸着部による吸着とは独立してフランジまたはハブを吸着するように構成される第2吸着部と、前記第2吸着部の内側に位置し、前記ブレードをスピンドル部に脱着可能とする脱着部材を回転可能に構成される脱着部材回転部と、を備える、ブレード交換機構であってもよい。
【0022】
本発明のブレード交換機構において、例えば、前記脱着部材は、ナットであってもよい。
【0023】
本発明のブレード交換機構は、例えば、アーム部をさらに備え、前記アーム部は、前記第1吸着部と前記第2吸着部と前記脱着部材回転部とを含む吸着ユニットに取り付けられている、という形態であってもよい。
【0024】
本発明のブレード交換機構は、例えば、交換用ブレードを収納可能な収納部をさらに備えていてもよい。
【0025】
本発明のブレード交換機構は、例えば、移動機構をさらに備え、前記移動機構は、前記ブレードを脱着可能な第1動作位置と、前記交換用ブレードを前記収納部から取り出し可能な第2動作位置との間で前記吸着ユニットを移動可能に構成されていてもよい。
【0026】
本発明のブレード交換機構において、例えば、前記移動機構は、前記吸着ユニットを第1方向に移動可能に構成される第1スライド機構と、前記吸着ユニットを前記第1方向と交差する第2方向に移動可能に構成される第2スライド機構と、前記吸着ユニットを回転可能に構成される回転機構と、を備えていてもよい。
【0027】
本発明のブレード交換機構において、例えば、前記回転機構は、前記吸着ユニットを第1仮想面において回転可能に構成される第1回転機構と、前記吸着ユニットを前記第1仮想面とは異なる第2仮想面において回転可能に構成される第2回転機構と、を備えていてもよい。
【0028】
本発明のブレード交換機構は、例えば、前記ブレードの摩耗および破損の少なくとも一方が検出可能に構成される検出部をさらに備えていてもよい。
【0029】
本発明の切断装置は、例えば、本発明のブレード交換機構と、前記スピンドル部とを備える、切断装置であってもよい。また、本発明の切断装置は、例えば、さらに、前記ブレードを備えていてもよい。
【0030】
本発明の切断装置において、ブレードを交換する方法(以下「本発明のブレード交換方法」ということがある。)は、例えば、ブレードを吸着するように構成される第1吸着部と、前記第1吸着部の内側に位置して前記第1吸着部による吸着とは独立してフランジまたはハブを吸着するように構成される第2吸着部と、前記第2吸着部の内側に位置して前記ブレードをスピンドル部に脱着可能とする脱着部材を回転可能に構成される脱着部材回転部とを備えるブレード交換機構を用いるブレード交換方法であって、前記ブレードを前記第1吸着部により吸着するとともに前記第1吸着部による吸着とは独立して前記第2吸着部により前記フランジまたは前記ハブを吸着した状態で前記脱着部材回転部により前記脱着部材を回転させて前記脱着部材を前記スピンドル部から取り外す工程と、前記第1吸着部と前記第2吸着部と前記脱着部材回転部とを含む吸着ユニットを収納部に移動させる工程と、前記第1吸着部による吸着を解除して前記ブレードを前記収納部に収納する工程と、前記収納部に収納されている交換用ブレードを前記第1吸着部により吸着する工程と、前記吸着ユニットを移動させて前記交換用ブレードを前記スピンドル部に嵌め込む工程と、前記脱着部材回転部により前記脱着部材を回転させて前記交換用ブレードを前記スピンドル部に固定する工程と、を備える、ブレード交換方法であってもよい。
【0031】
本発明のブレード交換方法は、例えば、前記ブレードの摩耗および破損の少なくとも一方を検出する工程をさらに備えていてもよい。
【0032】
本発明において、切断対象物は、特に限定されないが、例えば、樹脂成形品、電子部品等の基板であってもよい。前記基板(インターポーザともいう。)としては、特に限定されないが、例えば、リードフレーム、プリント配線基板、シリコンウェハー等の半導体基板、ガラスエポキシ製基板、セラミック製基板、樹脂製基板、金属製基板等であっても良い。前記基板は、例えば、その一方の面又は両面にチップが実装された実装基板であっても良い。前記チップの実装方法は、特に限定されないが、例えば、ワイヤーボンディング、フリップチップボンディング等が挙げられる。本発明では、例えば、前記実装基板を樹脂封止することにより、前記チップが樹脂封止された電子部品を製造しても良い。また、前記基板の用途は、特に限定されないが、例えば、携帯通信端末用の高周波モジュール基板、電力制御用モジュール基板、機器制御用基板等が挙げられる。
【0033】
以下、本発明の具体的な実施例を図面に基づいて説明する。各図は、説明の便宜のため、適宜省略、誇張等をして模式的に描いている。
【実施例1】
【0034】
本実施例では、本発明の防水カバーの一例と、それを用いたブレード交換装置、切断装置及び切断品の製造方法の一例について説明する。
【0035】
図1~4に、本発明の防水カバーの一例を示す。
図1(a)~(e)は、この防水カバーを各方向から見た図である。
図1(a)は上面図である。
図1(b)は正面図である。
図1(c)は底面図である。
図1(d)は左側面図である。
図1(d2)は、
図1(d)において防水カバー本体の一部を取り外した状態の図である。
図1(e)は右側面図である。
図2は、
図1と同じ防水カバーの斜視図である。
図3は、
図1(b)と同様に、
図1の防水カバーの正面図である。
図4において、
図4(d)及び
図4(d2)は、それぞれ、
図1(d)及び
図1(d2)と同様に、
図1の防水カバーの左側面図である。図示のとおり、この防水カバー1000は、ブレードホルダ1001、カバー本体1002、カバー本体1002の開閉扉1003、排気筒1004、上部上板1005、下部上板1006、底板1002B及び気体供給部1007を含む。カバー本体1002は、後述するように、その内部にブレード交換機構の一部又は全部を収容して覆うことができる。開閉扉1003は、カバー本体1002の一側面に取り付けられ、開閉可能である。例えば、カバー本体1002内へのブレード交換機構の出し入れ等の際に、開閉扉1003を開閉することができる。開閉扉1003は、例えば、開閉機構(図示せず)により開閉可能である。前記開閉機構としては、特に限定されないが、例えば、エアシリンダ等が挙げられる。下部上板1006は、カバー本体1002の上端に取り付けられ、上部上板1005は、下部上板1006の上面に取り付けられている。上部上板1005及び下部上板1006は、それぞれ、カバー本体1002の開閉扉1003側に突出している。気体供給部1007は、カバー本体1002内に設けられ、カバー本体1002内に気体(例えば空気)を供給することができる。排気筒1004は、上部上板1005の上方に突出するように設けられている。排気筒1004は、上部上板1005の孔部(図示せず)を介してカバー本体1002内部と連通している。排気筒1004は、その上端に、カバー本体1002内の気体を排気する排気口を有する。ブレードホルダ1001は、下部上板1006の、カバー本体1002から突出した端部の下面において、下方に突出するように取り付けられている。ブレードホルダ1001の下端には、後述するように、ブレードマガジン(ブレードの収納部)を取り付け可能である。なお、本実施例では、防水カバー1000にブレードホルダ1001が取り付けられているが、本発明はこれに限定されない。例えば、ブレードホルダが防水カバーに取り付けられておらず、防水カバーと別部材であってもよい。また、開閉扉1003及び排気筒1004は、それぞれ、あっても無くてもよいが、ある方が利便性の観点から好ましい。上部上板1005及び下部上板1006は、あっても無くてもよい。また、排気筒1004、上部上板1005及び下部上板1006は、それぞれ、
図1のように防水カバー1000の一部を構成していてもよいし。防水カバーと別部材であってもよい。例えば、防水カバー1000が、カバー本体1002のみからなっていてもよいし、カバー本体1002及び開閉扉1003のみからなっていてもよい。
【0036】
切断対象物の切断時は、後述するようにブレード交換機構をカバー本体1002内に収納し、開閉扉1003を閉めた状態で、気体供給部1007によりカバー内に気体を供給可能である。そして、排気筒1004の排気口から、気体と共に水滴やミスト等を外部に排出可能である。
【0037】
また、
図4に示すとおり、防水カバー1000のカバー本体1002における底面(底板1002Bの下面)の同図左側には、斜面1002aが設けられている。また、カバー本体1002において、
図4左側の側面の一部には、図示のとおり、斜面1002bが設けられている。斜面1002a及び斜面1002bは、いずれも、下方に向かって図右側に傾斜している。
図4において、同図左側に切断対象物が配置され、ブレードにより切断されることになる。そして、斜面1002a及び斜面1002bは、いずれも、下方に向かって図右側、すなわち前記切断対象物と反対側に傾斜している。この傾斜について言い換えれば、側面視でカバー本体1002の幅が下方に向かって狭くなるように傾斜していると表現することもできる。ブレードにより切断対象物が切断されて出来た製品にならない部分である端材等が防水カバーに衝突して跳ね返ると、跳ね返った前記端材等が、製造目的とする切断品に衝突し、傷等の不良が生じるおそれがある。これに対し、斜面1002a又は斜面1002bのように、下方に向かって前記切断対象物と反対側に傾斜している斜面を設けることで、前記端材等が真っ直ぐ跳ね返って切断品に衝突する現象を抑制又は防止できる。これにより、前述した傷等の不良の問題を抑制又は防止できる。
【0038】
さらに、
図5に示すとおり、カバー本体1002底面の底板1002Bには、水抜き用の穴1002Baが設けられており、水がカバー本体1002内部に流入しても排出できる構成となっている。なお、
図5左側の図は、底板1002Bの斜視図であり、その図中の領域αは、水抜き用の穴1002Baが設けられた領域である。
図5右側の図は、左側の図の領域αの拡大図である。
【0039】
図6の側面図に、ブレード交換機構の一例を示す。図示のとおり、このブレード交換機構は、吸着ユニット2とアーム部3と、収納部51とを有し、さらに、第1スライド機構41と、第2スライド機構42とを備える移動機構40を備えている。第1スライド機構41は、例えば、後述する実施例2で示すように、吸着ユニット2をY方向へのスライドによる移動を可能にしている。吸着ユニット2のY方向への移動は、たとえば、吸着ユニット2の第1動作位置への移動および第2動作位置への移動などに利用することができる。収納部51は、ブレードマガジンを備えており、切断対象物を切断するブレードを収納可能である。また、第1スライド機構41の上面の一端には、第1スライド機構取付部201が設けられ、他端には、第1スライド機構取付部202が設けられている。第1スライド機構取付部201及び202は、それぞれ円筒形状である。第1スライド機構取付け部201及び202の上部には、上部上板1005が取り付けられる。防水カバー1000は、第1スライド機構41に取り付けられる。また、このブレード交換機構は、移動機構(図示せず)を含み、その移動機構により、ブレード交換機構を防水カバーとともに移動させることができる。なお、ブレード交換機構の構成及び動作等について、より詳しくは、後述する実施例2で説明する。
【0040】
図7の側面図に、本実施例のブレード交換装置を示す。図示のとおり、このブレード交換装置は、
図6のブレード交換機構に
図1~4の防水カバー1000が装着された装置である。図示のとおり、第1スライド機構取付部201及び202により、第1スライド機構41が防水カバー1000の上部上板1005に取付けられ、第1スライド機構41に防水カバー1000が取り付けられることで、ブレード交換機構に防水カバー1000が装着されている。ブレード交換機構の吸着ユニット2及びアーム部3は、カバー本体1002により覆われている。
図7は、開閉扉1003を開けた状態であるが、使用時(切断対象物の切断時)には、開閉扉1003を閉めることができる。これにより、吸着ユニット2及びアーム部3への切削水、水滴、ミスト等の付着を抑制又は防止可能である。また、
図6に示すように、切断対象物の切断時は、ブレード交換機構の吸着ユニット2が開閉扉1003とは反対方向に向くように防水カバー1001に収納される。このように収納することで、ブレードを吸着する部分である吸着ユニット2に切削水、水滴、ミスト等が付着するのを低減することができる。吸着ユニット2及びアーム部3への切削水、水滴、ミスト等の付着を低減することで、ブレード交換機構の動作不良等が起こるのを低減することができる。ブレードホルダ1001には、収納部51が取り付けられている。また、前述のとおり、ブレード交換機構の移動機構(図示せず)により、ブレード交換機構を防水カバー1000とともに移動させることができる。同図の防水カバー1000は、全体が、移動可能な「移動部」であるが、前述のとおり、本発明の防水カバーは、これに限定されない。例えば、前述のとおり、本発明の防水カバーの一部が移動可能な移動部で、一部が移動しない固定部であってもよい。
【実施例2】
【0041】
本実施例では、本発明のブレード交換機構、ブレード交換装置、切断装置及び切断品の製造方法の別の一例について説明する。なお、本実施例では、特に、ブレード交換機構について、実施例1よりも具体的かつ詳細に説明する。本実施例では、説明の簡略化のために、防水カバーと、ブレード交換機構の第1スライド機構取付部とについては、図示及び説明を省略している。しかし、実際には、防水カバーを用い、ブレード交換機構の少なくとも一部を覆うようにする。本実施例で用いる防水カバーは、特に限定されないが、例えば、実施例1で説明した防水カバー1000と同様でもよい。また、本実施例で用いるブレード交換装置は、防水カバーと、ブレード交換機構とを含む。本実施例で用いるブレード交換装置の構成は、特に限定されないが、例えば、実施例1の
図7と同様に、ブレード交換機構の一部を防水カバー1000で覆った構成でもよい。
【0042】
図8に、本実施例の切断装置の模式的な平面図を示す。本実施例の切断装置は、本発明の切断装置の一例である。
図8に示されるように、本実施例の切断装置は、切断対象物を切断することによって複数の製品に個片化する装置である。本実施例の切断装置111は、基板供給モジュールAと基板切断モジュールBと検査モジュールCとを、それぞれ構成要素として備えている。各構成要素(各モジュールA~C)は、それぞれ他の構成要素に対して着脱可能かつ交換可能である。
【0043】
基板供給モジュールAは、たとえば、切断対象物の一例に相当する封止済基板112を供給するように構成されている基板供給機構113と、切断装置111の動作や制御などを行なうように構成されている制御部CTLとを備えている。封止済基板112は、たとえば、プリント配線基板やリードフレームなどからなる基板(図示せず)と、基板が有する複数の領域に装着された複数の機能素子(半導体素子などのチップ)(図示せず)と、複数の領域が一括して覆われるようにして形成された封止樹脂(図示せず)とを備えている。より具体的には、BGA(Ball grid array)パッケージ基板、LGA(Land Grid Array)パッケージ基板、CSP(Chip size package)パッケージ基板、LED(Light emitting diode)パッケージ基板等が挙げられる。封止済基板112は、最終的に切断されて個片化される切断対象物である。封止済基板112は、たとえば搬送機構(図示せず)などによって基板切断モジュールBに搬送され得る。
【0044】
基板切断モジュールBは、たとえば、封止済基板112を設置するように構成されている切断用テーブル114と、切断用テーブル114をY方向に移動させるように構成されている移動機構115と、切断用テーブル114をθ方向に回転させるように構成されている回転機構116と、後述するスピンドル部21と、後述する本実施例のブレード交換機構120とを備えることができる。切断用テーブル114はたとえば切断用治具(図示せず)を備えていてもよく、切断用テーブル114が切断用治具を備える場合には切断用治具の上に封止済基板112が設置され得る。
【0045】
図8において、本実施例の切断装置111は、説明の便宜の観点から、1個のスピンドル部21を有するシングルスピンドル構成の切断装置として示されている。しかしながら、本実施例の切断装置111はシングルスピンドル構成の切断装置には限定されず、たとえば後述するようにスピンドル部を2個有するツインスピンドル構成の切断装置としてもよいことは言うまでもない。
【0046】
スピンドル部21は、たとえば、独立してX方向とZ方向とに移動可能であるように構成されることができる。スピンドル部21の回転軸の先端部には、たとえば円板状のブレード22が取り付けられ得る。ブレード22は、たとえば、回転軸の軸方向(X方向)に対して直交する面(Y軸とZ軸とを含む面)に平行に固定されることができる。また、スピンドル部21は、たとえば、高速で回転するブレード22によって発生する摩擦熱を抑えるために、切削水を噴射する切削水用ノズル(図示せず)を備えていてもよい。また、スピンドル部21に対して切断用テーブル114を相対的に移動させながら封止済基板112を切断することができる。ブレード22は、たとえば、Y軸とZ軸とを含む面内において回転することによって封止済基板112を切断するように構成することができる。
【0047】
検査モジュールCは、たとえば、検査用テーブル110と、トレイ122とを備えることができる。検査用テーブル110は、たとえば、封止済基板112を切断して個片化された複数の製品Pからなる集合体である切断済基板121を設置可能なように構成することができる。複数の製品Pは、たとえば、検査用のカメラ(図示せず)によって検査されて、良品と不良品とに選別されることができる。トレイ122は、たとえば、良品に選別された製品Pを収容可能なように構成することができる。
【0048】
図9に、本実施例のブレード交換機構に用いられる吸着アームの一例の模式的な斜視図を示す。吸着アーム1は、吸着ユニット2と、吸着ユニット2に取り付けられたアーム部3とを備えている。吸着ユニット2は、アーム部3の一端に取り付けられている。
【0049】
図10に、
図9に示す吸着アーム1を別の角度から見たときの模式的な斜視図を示す。吸着ユニット2は、円筒状の第1吸着部4と、円筒状の第2吸着部5と、環状の脱着部材回転部6とを備えている。
図9において、脱着部材回転部6、第2吸着部5および第1吸着部4は、吸着ユニット2の吸着側(遠位側)から吸着ユニット2のアーム部3側(近位側)にかけて、第1吸着部4、第2吸着部5および脱着部材回転部6の順にそれぞれの遠位側の表面が見えるように示されている。なお、吸着ユニット2の説明において、近位側はアーム部3側を意味し、遠位側は吸着ユニット2の吸着側を意味する。
【0050】
図11に、
図9および
図10に示される吸着ユニット2の模式的な平面図を示す。第1吸着部4の内側に第2吸着部5が位置しており、第2吸着部5の内側に脱着部材回転部6が位置している。第1吸着部4は、後述のブレードを吸着するように構成されている複数の第1吸着口4xと、複数の第1吸着口4xに通じる環状の第1吸着溝4yとを備えている。第2吸着部5は、後述のフランジまたはハブを吸着するように構成されている複数の第2吸着口5xと、複数の第2吸着口5xに通じる環状の第2吸着溝5yとを備えている。脱着部材回転部6は、互いに間隔を空けて環状に配置された複数の突出部6aを備えている。脱着部材回転部6は回転可能に構成されており、たとえば
図11の矢印の方向に回転可能であるが、脱着部材回転部6の回転方向は特に限定されないことは言うまでもない。
【0051】
図12に、
図9~
図11に示される吸着ユニット2の模式的な断面図を示す。第1吸着部4は中空であり、第1吸着部4の中空の内側に中空の第2吸着部5が位置している。第1吸着部4の中空を取り囲む外壁には、第1吸着口4xを介して第1吸着溝4yに通じて、後述のブレードを吸引するように構成されているガス流路14が設けられている。ガス流路14は、第1吸着口4xに通じるガス流路4zに接続されている。第1吸着部4は、第1吸着部4の近位側の外壁の一部から内側に突出する突出部4aを備えている。突出部4aは、突出部4aの近位側に、突出部近位面4bを備えている。第1吸着部4は、第1吸着部4の遠位側の表面として、第1吸着部遠位面4cを備えている。
【0052】
第2吸着部5の中空を取り囲む外壁には、第2吸着口5xを介して第2吸着溝5yに通じて、フランジまたはハブを吸着するように構成されているガス流路13が設けられている。ガス流路13の一端には、ガス流路13中のガスを吸引するように構成されているガス吸引口12が取り付けられている。ガス流路13の他端には、第2吸着口5xに通じるガス流路5zが接続されている。第2吸着部5は、第2吸着部5の近位側の端部に、内側に張り出した鉤状部5aを備えている。鉤状部5aは、遠位側の表面として鉤状部遠位面5bを備えるとともに、近位側の表面として鉤状部近位面5cを備えている。第2吸着部5は、第2吸着部5の遠位側の表面として、第2吸着部遠位面5dを備えている。
【0053】
第2吸着部5も中空であり、第2吸着部5の中空の内側に脱着部材回転部6が位置している。脱着部材回転部6の突出部6aは、脱着部材回転部6が遠位側に向かって部分的に突出した部材となっている。脱着部材回転部6の近位側には、回転可能な回転駆動部材9が取り付けられている。回転駆動部材9が軸10を中心として回転することにより、脱着部材回転部6も回転することが可能となる。脱着部材回転部6の遠位側の一部は回転駆動部材9よりも外側に張り出している。脱着部材回転部6の外側に張り出した部分は、近位側の表面として回転部近位面6bを備えている。回転駆動部材9の近位側も部分的に外側に張り出している。回転駆動部材9の外側に張り出した部分は、遠位側の表面として近位側張出部遠位面9aを備えている。
【0054】
脱着部材回転部6、回転駆動部材9および軸10の周りを取り囲むように筒状のスリーブ15が位置している。スリーブ15は、脱着部材回転部6を収容できるように構成されている収容部15aと、収容部15aを支持するように構成されている支持部15bとを備えている。収容部15aは支持部15bよりも外側に張り出している。収容部15aは、近位側の表面として、収容部近位面15cを備えている。収容部近位面15cは、鉤状部遠位面5bと向かい合っている。支持部15bは、遠位側の表面として、支持部遠位面15dを備えている。
【0055】
スリーブ15の近位側には、吸着ユニット2とアーム部3とを連結可能なように構成されている連結部11が取り付けられている。連結部11は、連結部11の遠位側の突出部11aがスリーブ15の近位側の中空に嵌め込まれることによって、スリーブ15に取り付けられている。連結部11は、鉤状部近位面5cと向かい合う連結部内側近位面11bと、突出部近位面4bに向かい合う連結部外側近位面11cとを備えている。連結部外側近位面11cは、連結部内側近位面11bよりも近位かつ外側に位置している。
【0056】
回転部近位面6bと近位側張出部遠位面9aとの間で回転駆動部材9の周囲を取り囲むように第1バネ16が位置している。第1バネ16は、回転部近位面6bと近位側張出部遠位面9aとの間の距離が変化することによって伸縮可能である。
【0057】
鉤状部近位面5cと連結部内側近位面11bとの間で支持部15bの周囲を取り囲むように第2バネ8が位置している。第2バネ8は、鉤状部近位面5cと連結部内側近位面11bとの間の距離が変化することによって伸縮可能である。
【0058】
突出部近位面4bと連結部外側近位面11cとの間で第2バネ8の周囲を取り囲むように第3バネ7が位置している。第3バネ7は、突出部近位面4bと連結部外側近位面11cとの間の距離が変化することによって伸縮可能である。
【0059】
以下、上述の吸着アームを備えた本実施例のブレード交換機構を用いた本実施例のブレード交換方法について説明する。本実施例では、ブレード22がハブを有しないハブレスブレードである場合について説明するが、本実施例はハブレスブレードに限定されるものではなく、ブレード22がハブを有するハブ付きブレードにも適用できることは言うまでもない。
【0060】
まず、
図13の模式的断面図に示すように、吸着ユニット2を使用済みのブレード22に近づける。ここで、交換の対象となる使用済みのブレード22は、スピンドル部21の近位側フランジ20と遠位側フランジ23との間に挟み込まれている。そして、たとえばナットなどの脱着部材24によって遠位側フランジ23が近位側フランジ20に締め付けられ、これによりブレード22は、スピンドル部21の近位側フランジ20と遠位側フランジ23との間で固定されている。なお、近位側フランジ20の近位側とはスピンドル部21に対する近位側を意味し、遠位側フランジ23の遠位側とはスピンドル部21に対する遠位側を意味する。
【0061】
次に、
図14の模式的断面図に示すように、第1吸着部4の第1吸着部遠位面4cがブレード22の近位側(アーム部3側)の表面に接触するまで、吸着ユニット2をさらに遠位側(スピンドル部21側)に移動させる。
【0062】
次に、
図15の模式的断面図に示すように、吸着ユニット2をさらに遠位側(スピンドル部21側)に移動させるように、アーム部3を遠位側(スピンドル部21側)に移動させる。このとき、ブレード22によって第1吸着部4は遠位側(スピンドル部21側)から近位側(アーム部3側)に力を受けるが、第3バネ7が突出部近位面4bに接触して縮むため、第1吸着部4の移動は抑制され、ブレード22に対する過度の荷重が抑制される。そして、第1吸着部4の移動が抑制された状態で第2吸着部5が遠位側(スピンドル部21側)に移動し、第2吸着部5の遠位側の第2吸着部遠位面5dが遠位側フランジ23と接触する。
【0063】
第2吸着部5の第2吸着部遠位面5dが遠位側フランジ23と接触した後に、脱着部材回転部6の突出部6aが脱着部材24の貫通孔24aに嵌っていない場合には、第1バネ16が縮んで、矢印31の方向に脱着部材回転部6が近位側(アーム部3側)に移動する。このとき、遠位側フランジ23によって第2吸着部5は遠位側(スピンドル部21側)から近位側(アーム部3側)に力を受けるが、第2バネ8が鉤状部近位面5cに接触して縮むため、第2吸着部5の移動は抑制される。
【0064】
次に、
図16の模式的断面図に示すように、脱着部材回転部6の突出部6aが脱着部材24の貫通孔24aに嵌っていない場合には、脱着部材回転部6をたとえば矢印32の方向に回転させる。脱着部材回転部6の回転により、脱着部材回転部6の突出部6aが脱着部材24の貫通孔24aの位置に到達したときに第1バネ16が伸びて、突出部6aが貫通孔24aに嵌まる。
【0065】
次に、脱着部材回転部6が回転することによって脱着部材24を回転させる。これによ
り、近位側フランジ20に対する脱着部材24による遠位側フランジ23の締め付けが解除される。その後、第1吸着部4がブレード22を吸着し、第2吸着部5が遠位側フランジ23を吸着する。その後、吸着ユニット2を近位側(アーム部3側)に移動させることによって、たとえば
図17の模式的断面図に示すように、スピンドル部21から、脱着部材24とともにブレード22および遠位側フランジ23が取り外される。
【0066】
その後、吸着ユニット2は、
図18および
図19の模式的斜視図に示されるブレード22を脱着可能な第1動作位置から
図20の模式的斜視図に示される収納部51から交換用ブレードを取り出しおよび収納可能な第2動作位置に移動させられる。なお、
図18および
図19は、吸着ユニット2が第1動作位置に位置している状態の一例の本実施例の切断装置の模式的な斜視図を示しており、
図20は吸着ユニット2が第2動作位置に位置している状態の一例の本実施例の切断装置の模式的な斜視図を示している。
【0067】
図18~
図20に示される本実施例の切断装置は、スピンドル部21と向かい合う位置に第2のスピンドル部25を備えている。たとえば
図21および
図22の模式的斜視図に示されるように、本実施例のブレード交換機構の吸着ユニット2は、スピンドル部21におけるブレード22の脱着を可能とするだけでなく、第2のスピンドル部25におけるブレード22の脱着も可能とする。なお、
図21および
図22は、吸着ユニット2が第1動作位置に位置しているときの他の一例の本実施例の切断装置の模式的な斜視図を示している。
【0068】
図18~
図22の模式的斜視図に示されるように、本実施例のブレード交換機構は、第1スライド機構41と、第2スライド機構42とを備える移動機構40を備えている。第1スライド機構41は、たとえば
図23および
図24の模式的斜視図に示すように、吸着ユニット2を矢印61、62で示されるY方向へのスライドによる移動を可能にしている。吸着ユニット2のY方向への移動は、たとえば、吸着ユニット2の第1動作位置への移動および第2動作位置への移動などに利用することができる。
【0069】
第2スライド機構42は、たとえば
図25および
図26の模式的斜視図に示すように、吸着ユニット2を矢印71、72で示されるZ方向へのスライドによる移動を可能にしている。吸着ユニット2のZ方向への移動は、たとえば、第1動作位置から第2動作位置への移動のための1つのステップおよび第2動作位置から第1動作位置への移動のための1つのステップなどに利用することができる。なお、
図25および
図26の矢印71、72で示されるZ方向は
図23および
図24の矢印61、62で示されるY方向と交差している。
【0070】
本実施例のブレード交換機構は、
図27および
図28の模式的斜視図に示される第1回転機構43と、
図29および
図30の模式的斜視図に示される第2回転機構44とを備えている。
【0071】
第1回転機構43は、たとえば
図27および
図28に示されるように、吸着ユニット2を第1仮想面82内において矢印81で示されるX-θ方向に回転可能に構成されている。吸着ユニット2のX-θ方向における回転は、たとえば、第1動作位置から第2動作位置への移動のための1つのステップおよび第2動作位置から第1動作位置への移動のための1つのステップなどに利用することができる。
【0072】
第2回転機構44は、たとえば
図29および
図30に示されるように、吸着ユニット2を第2仮想面93内において矢印91、92で示されるY-θ方向に回転可能に構成されている。吸着ユニット2のY-θ方向における回転は、たとえば、吸着ユニット2のスピンドル部21から第2のスピンドル部25への移動および吸着ユニット2の第2のスピンドル部25からスピンドル部21への移動などに利用することができる。なお、第2仮想面93は、第1仮想面82とは異なる仮想面であり、第1仮想面82と第2仮想面93とは互いに交差する。
【0073】
図31に、本実施例のブレード交換機構の収納部51の模式的な斜視図を示す。収納部51は、最上段から最下段にかけて順に、第1のブレードマガジン53a、第2のブレードマガジン53b、および第3のブレードマガジン53cを備えている。収納部51は、また、第1のブレード押さえ部材54a、第2のブレード押さえ部材54b、および第3のブレード押さえ部材54cを備えている。第1のブレード押さえ部材54a、第2のブレード押さえ部材54b、および第3のブレード押さえ部材54cは、それぞれ、第1のブレードマガジン53a、第2のブレードマガジン53b、および第3のブレードマガジン53cに収納されるブレードをそれぞれのブレードマガジンの周りで押さえるように構成されている。これにより、ブレードマガジンからのブレードの落下を抑制することができる。なお、本実施例では、収納部51に備えられているブレードマガジンが3つであるが、本発明はこれに限定されない。例えば、収納部51に備えられているブレードマガジンの数は、1つでも、2つでも、4つ以上の任意の数でもよい。ただし、ブレードマガジンの数の数が複数であることが、利便性の観点から好ましい。
【0074】
本実施例のブレード交換機構の吸着ユニット2は、スピンドル部21または第2のスピンドル部25から使用済みのブレードを上述のようにして取り外した後、吸着ユニット2に吸着された使用済みのブレードとともに
図20に示される第2動作位置に移動させられる。このとき、たとえば
図32の模式的斜視図に示すように、第1のブレード押さえ部材54a、第2のブレード押さえ部材54bおよび第3のブレード押さえ部材54cの少なくとも1つが上に起き上がってブレードの押さえを解除する。
【0075】
そして、使用済みのブレードを吸着した吸着ユニット2が、ブレードが収容されていない空のブレードマガジンに接近し、使用済みのブレードの中央の開口部を空のブレードマガジンに嵌め込む。その後、吸着ユニット2は、第1吸着部4による使用済みのブレードの吸着のみを停止し、当該ブレードマガジンから離れる。これにより、使用済みのブレードを空のブレードマガジンに収納することができる。
【0076】
その後、吸着ユニット2は、交換用のブレードが収納されている別のブレードマガジンに移動する。そして、交換用のブレードを押さえているブレード押さえ部材が上に起き上がって交換用のブレードの押さえを解除する。その後、吸着ユニット2を交換用のブレードに接近させて、交換用のブレードの表面に吸着ユニット2の第1吸着部4の第1吸着部遠位面4cを接触させる。そして、第1吸着部4のガス流路13を通じてガス吸引口12から吸引することにより、第1吸着部遠位面4cに交換用のブレードを吸着させる。
【0077】
交換用のブレードを吸着した吸着ユニット2は、
図20に示される第2動作位置から、
図18および
図19に示される第1動作位置に移動させられる。そして、
図17に示されるように、吸着ユニット2の遠位側への移動により、吸着ユニット2をスピンドル部21に接近させる。
【0078】
次に、
図16に示すように、吸着ユニット2をさらに遠位側(スピンドル部21側)に移動させる。これにより、遠位側フランジ23がスピンドル部21の近位側フランジ20に接触し、近位側フランジ20と遠位側フランジ23との間に交換用のブレード22を挟み込む。次に、脱着部材回転部6を矢印32の方向とは逆方向に回転させることによって脱着部材24を回転させ、脱着部材24により遠位側フランジ23を近位側フランジ20に締め付ける。これにより、近位側フランジ20と遠位側フランジ23との間に交換用のブレード22を固定することができる。その後、第1吸着部4による交換用のブレード22の吸着を停止するとともに、第2吸着部5による遠位側フランジ23の吸着を停止する。
【0079】
次に、
図13に示すように、吸着ユニット2を近位側(アーム部3側)に移動させ、吸着ユニット2をスピンドル部21から引き離す。これにより、交換用のブレード22のスピンドル21への取り付けが完了する。
【0080】
以上のように、本実施例においては、ブレード22の自動交換を実現することができる。
【0081】
図33に、本実施例のブレード交換機構に用いられる検出部100の模式的な平面図を示す。本実施例において、検出部100は、レーザセンサ101と、モータ103とを備えている。検出部100は、モータ103の駆動によって、レーザセンサ101の矢印102方向への移動が可能となるように構成されている。
【0082】
図34に、検出部100によるブレード22の摩耗および破損の少なくとも一方の検出方法の一例のフローチャートを示す。まず、ステップ1(S1)において、位置調整レーザ光遮光率Aの測定が行なわれる。S1は、たとえば以下のように行なうことができる。
【0083】
まず、レーザセンサ101の位置調整を行なう。ここで、レーザセンサ101は、たとえば、レーザ光の出射部(図示せず)とレーザ光の検知部(図示せず)との間に切断開始前のブレード22の刃先が位置するように位置調整が行われる。次に、レーザセンサ101が位置調整された状態でレーザセンサ101の出射部からレーザ光を出射して検知部で検知する。その後、その状態でのレーザ光の遮光率(位置調整レーザ光遮光率A)を測定する。位置調整レーザ光遮光率Aは、上記のレーザセンサ101の位置調整後かつ切断開始前の状態でのレーザ光の出射量に対するレーザ光の検知部で検知されるレーザ光の検知量の割合である。切断開始前のブレード22の刃先によってレーザ光の検知部への入射が遮られる傾向にあるため、位置調整レーザ光遮光率Aは高くなり得る。
【0084】
次に、ステップ2(S2)において、摩耗または破損検出レーザ光遮光率A’の測定が行なわれる。S2は、たとえば以下のように行なうことができる。
【0085】
まず、スピンドル部21を回転させることによってブレード22を回転させる。次に、回転したブレード22によって切断対象物が切断される。次に、回転したブレード22によって切断対象物を切断している状態でレーザセンサ101の出射部からレーザ光を出射して検知部で検知する。その後、その状態でのレーザ光の遮光率(摩耗または破損検出レーザ光遮光率A’)を測定する。切断によってブレード22が摩耗または破損した場合には切断開始前と比べてブレード22の刃先によってレーザ光の検知部への入射が遮られにくくなるため、摩耗または破損検出レーザ光遮光率A’は位置調整レーザ光遮光率Aよりも低くなり得る。
【0086】
次に、ステップ3(S3)において、S1で測定されたレーザ光の遮光率Aと、S2で測定されたレーザ光の遮光率A’との対比が行われる。このとき、レーザ光の遮光率Aとレーザ光の遮光率A’とが等しい場合には、ブレード22の回転による切断対象物の切断は停止せず、再度S2に戻って摩耗または破損検出レーザ光遮光率A’の測定が行なわれる。
【0087】
一方、S3においてレーザ光の遮光率Aとレーザ光の遮光率A’とが等しくないと判断されると、ステップ4(S4)において、ブレード22の回転を停止されて上述したブレード22の自動交換が実施される。
【0088】
上述のように、本実施例のブレード交換機構がブレード22の摩耗および破損の少なくとも一方が検出可能なように構成される検出部100を備えている場合には、ブレード22の摩耗および破損の少なくとも一方を検出した後にブレード22の回転による切断が自動停止して、本実施例におけるブレード22の自動交換を行なうことできる。これにより
ブレード22の交換のさらなる自動化の実現が可能となる。
【0089】
以上のように各実施例について説明を行なったが、上述の各実施例の構成を適宜組み合わせることも可能である。
【0090】
さらに、本発明は、上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、必要に応じて、任意にかつ適宜に組み合わせ、変更し、又は選択して採用できるものである。
【符号の説明】
【0091】
1 吸着アーム
2 吸着ユニット
3 アーム部
4 第1吸着部
4a 突出部
4b 突出部近位面
4c 第1吸着部遠位面
4x 第1吸着口
4y 第1吸着溝
4z ガス流路
5 第2吸着部
5a 鉤状部
5b 鉤状部遠位面
5c 鉤状部近位面
5d 第2吸着部遠位面
5x 第2吸着口
5y 第2吸着溝
5z ガス流路
6 脱着部材回転部
6a 突出部
6b 回転部近位面
7 第3バネ
8 第2バネ
9 回転駆動部材
9a 近位側張出部遠位面
10 軸
11 連結部
11a 突出部
11b 連結部内側近位面
11c 連結部外側近位面
12 ガス吸引口
13 ガス流路
15 スリーブ
15a 収容部
15b 支持部
15c 収容部近位面
15d 支持部遠位面
16 第1バネ
20 近位側フランジ
21 スピンドル部
22 ブレード
23 遠位側フランジ
24 脱着部材
24a 貫通孔
25 第2のスピンドル部
31、32 矢印
40 移動機構
41 第1スライド機構
42 第2スライド機構
43 第1回転機構
44 第2回転機構
51 収納部
53a 第1のブレードマガジン
53b 第2のブレードマガジン
53c 第3のブレードマガジン
54a 第1のブレード押さえ部材
54b 第2のブレード押さえ部材
54c 第3のブレード押さえ部材
61、62、71、72 矢印
81 矢印
82 第1仮想面
91、92 矢印
93 第2仮想面
100 検出部
101 レーザセンサ
102 矢印
103 モータ
110 検査用テーブル
111 切断装置
112 封止済基板
113 基板供給機構
114 切断用テーブル
115 移動機構
116 回転機構
120 ブレード交換機構
121 切断済基板
122 トレイ
201、202 第1スライド機構取付部
1000 防水カバー
1001 ブレードホルダ
1002 カバー本体
1002a、1002b 斜面
1002B 底板
1002Ba 水抜き用の穴
1003 開閉扉
1004 排気筒
1005 上部上板
1006 下部上板
1007 気体供給部
α 水抜き用の穴1002Baが設けられた領域