(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-20
(45)【発行日】2023-03-29
(54)【発明の名称】硬化性シリコーンゴム化合物
(51)【国際特許分類】
C08L 83/06 20060101AFI20230322BHJP
C08K 5/5415 20060101ALI20230322BHJP
C09D 183/06 20060101ALI20230322BHJP
C09J 183/06 20060101ALI20230322BHJP
C09K 3/10 20060101ALI20230322BHJP
【FI】
C08L83/06
C08K5/5415
C09D183/06
C09J183/06
C09K3/10 G
(21)【出願番号】P 2019556866
(86)(22)【出願日】2018-04-20
(86)【国際出願番号】 EP2018060217
(87)【国際公開番号】W WO2018193107
(87)【国際公開日】2018-10-25
【審査請求日】2020-11-09
(32)【優先日】2017-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】510054005
【氏名又は名称】ニトロヘミー、アッシヤウ、ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100122297
【氏名又は名称】西下 正石
(72)【発明者】
【氏名】ランゲルバインス, クラウス
(72)【発明者】
【氏名】クルップ, アレクシス
(72)【発明者】
【氏名】クノット, トマス
(72)【発明者】
【氏名】リップシュトロイ, イエルク
(72)【発明者】
【氏名】シュック, リュディガ
(72)【発明者】
【氏名】ピクル, ウルリッヒ
【審査官】西山 義之
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-184260(JP,A)
【文献】特開平02-011659(JP,A)
【文献】特開2002-338811(JP,A)
【文献】特表2016-516865(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00- 13/08
C09D183/00-183/16
C09J183/00-183/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構成要素:
a.一般式HO-(SiR
lR
mO)
o-Hを有する少なくとも1つのシリコーン化合物であって、式中、R
lおよびR
mは、互いに独立して、1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカルを表し、oは、5~4,000の整数である、シリコーン化合物、
b.触媒であって、前記触媒は、構造式(V)
【化21】
を有し、式中、
Z
1、Z
2およびZ
3は、互いに独立して、L
2、R
5、R
6およびR
7からなる群より選択され、ここで、L
2は、-OHおよび-O-(C
1~C
10アルキル)からなる群より選択され;
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6およびR
7は、互いに独立して、必要に応じて置換されるC
1~C
20アルキル、必要に応じて置換されるC
3~C
8シクロアルキル、必要に応じて置換されるC
2~C
20アルケニルおよび必要に応じて置換されるC
5~C
10アリールからなる群より選択され;
X
4は、-M
3L
1
Δまたは-M
3を表し、ここで、L
1は、-OHおよび-O-(C
1~C
10アルキル)からなる群より選択され、M
3は、sおよびpブロック金属、dおよびfブロック遷移金属、ランタニドおよびアクチニド金属ならびに半金属からなる群より選択され、ここで、L
1
Δに対して存在し得る配位子の数(Δ)は、使用される金属原子の自由原子価の数値から直接決定され、その原子価の数値は、その金属の原子価を記述する、多面体金属シルセスキオキサンを含む、触媒、ならびに
c.一般式Si(R)
m(R
a)
4-mを有する少なくとも1つの架橋剤であって、式中、各Rは、互いに独立して、1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカルを表し、mは、0~2の整数であり、各R
aは、互いに独立して、以下:
・一般構造式(I):
【化18】
を有するヒドロキシカルボン酸エステルラジカルであって、式中、
各R
bは、互いに独立して、H、あるいは1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカルを表し、
各R
cは、互いに独立して、H、あるいは1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカルを表し、
R
dは、1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカルを表し、
R
eは、C、または1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカルを表し、
nは、1~10の整数である、
ヒドロキシカルボン酸エステルラジカル、
・一般構造式(II):
【化19】
を有するヒドロキシカルボン酸アミドラジカルであって、式中、
各R
nは、互いに独立して、H、あるいは1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカルを表し、
各R
oは、互いに独立して、H、あるいは1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカルを表し、
R
pおよびR
qは、互いに独立して、H、あるいは1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカルを表し、
R
rは、C、あるいは1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカルを表し、
pは、1~10の整数である、
ヒドロキシカルボン酸アミドラジカル、
・カルボン酸ラジカル-O-C(O)-R
fであって、式中、R
fは、H、あるいは1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカルを表す、カルボン酸ラジカル、
・オキシムラジカル-O-N=CR
gR
hであって、式中、R
gおよびR
hは、互いに独立して、H、あるいは1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカルを表す、オキシムラジカル、
・カルボン酸アミドラジカル-N(R
i)-C(O)-R
jであって、式中、R
iは、H、あるいは1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカルを表し、R
jは、H、あるいは1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカルを表す、カルボン酸アミドラジカル、および
・アルコキシラジカル-OR
kであって、式中、R
kは、1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカルを表す、アルコキシラジカルからなる群より選択される、架橋剤を混合することによって取得され得る、組成物。
【請求項2】
前記金属
シルセスキオキサンが、各々、前記組成物の総重量に基づいて、0.00001~0.01mol/kgの範囲内のモル濃度で存在することを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記金属
シルセスキオキサンが、0.001~0.5%という重量基準の割合で存在することを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
一般式Si(R)
m(R
a)
4-mの架橋剤と金属
シルセスキオキサン触媒とのモル比が、20対2,000であり、前記架橋剤は、架橋剤混合物としても存在してよいことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記金属シルセスキオキサンが、構造式(VI)
【化22】
を有し、式中、
チタンは、ORに連結され、Rは、-H、-メチル、-エチル、-プロピル、-ブチル、-オクチル、-イソプロピルおよび-イソブチルからなる群より選択され、
Z
1、Z
2およびZ
3は各々、互いに独立して、C
1~C
20アルキル、C
3~C
8シクロアルキル、C
2~C
20アルケニルおよびC
5~C
10アリール
からなる群より選択され、
R
l、R
2、R
3およびR
4は各々、互いに独立して、C
1~C
20アルキル、C
3~C
8シクロアルキル、C
2~C
20アルケニルおよびC
5~C
10アリール
からなる群より選択される、
ことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記金属シルセスキオキサンが、構造
式(VII)
【化23】
を有し、式中、
各Siは、イソブチルラジカルに連結され、チタンは、エタノラート配位子を有する、
ことを特徴とする、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
一般式HO-(SiR
lR
mO)
o-Hを有する前記シリコーン化合物において、R
lおよびR
mが、互いに独立して、必要に応じて置換される直鎖または分枝鎖のC
1~C
16アルキル基を表すことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
一般式Si(R)
m(R
a)
4-mを有する前記架橋剤において、各Rが、互いに独立して、必要に応じて置換される直鎖または分枝鎖のC
1~C
12アルキル基を表し、
各R
aが、互いに独立して、以下:
・一般構造式(I):
【化24】
を有するヒドロキシカルボン酸エステルラジカル、
・一般構造式(II):
【化25】
を有するヒドロキシカルボン酸アミドラジカル、
・カルボン酸ラジカル-O-C(O)-R
f、
・オキシムラジカル-O-N=CR
gR
h、
・カルボン酸アミドラジカル-N(R
i)-C(O)-R
j
からなる群より選択され、式中、
R
bおよびR
cの各々は、互いに独立して、必要に応じて置換される直鎖または分枝鎖のC
1~C
12アルキル基を表し
、
R
dは、必要に応じて置換される直鎖または分枝鎖のC
1~C
12アルキル基を表し、
R
eは、二価のベンゼンラジカルであるか、またはR
eは、Cを表し、R
bおよびR
cは、Hを表すか、またはR
eは、Cを表し、R
bは、Hを表し、R
cは、メチルを表し、
nは、1~5であり、
ここで、
R
nおよびR
oの各々は、互いに独立して、H、あるいは必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC
1~C
12アルキル基を表し、
R
pおよびR
qは、互いに独立して、H、あるいは必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC
1~C
12アルキル基を表し、
R
rは、二価のベンゼンラジカルであるか、またはR
rは、Cを表し、R
nおよびR
oは、Hを表すか、またはR
rは、Cを表し、R
nは、Hを表し、R
oは、メチルを表し、
pは、1~5であり、
ここで、
R
fは、H、あるいは必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC
1~C
12アルキル基、必要に応じて置換されるC
4~C
10シクロアルキル基または必要に応じて置換されるC
4~C
10アリール基または必要に応じて置換されるC
5~C
11アラルキル基を表し、
ここで、
R
gおよびR
hは、互いに独立して、H、あるいは必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC
1~C
12アルキル基、必要に応じて置換されるC
4~C
10シクロアルキル基または必要に応じて置換されるC
4~C
10アリール基または必要に応じて置換されるC
5~C
11アラルキル基を表し、
ここで、
R
iおよびR
jは、互いに独立して、H、あるいは必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC
1~C
12アルキル基、必要に応じて置換されるC
4~C
10シクロアルキル基または必要に応じて置換されるC
4~C
10アリール基または必要に応じて置換されるC
5~C
11アラルキル基を表す、
ことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
一般式HO-(SiR
lR
mO)
o-Hを有するシリコーン化合物であって、式中、oならびにラジカルR
lおよびR
mは、請求項1に従って定義される、シリコーン化合物を、一般式Si(R)
m(R
a)
4-mを有する架橋剤であって、式中、mならびにラジカルRおよびR
aは、請求項1に従って定義される、架橋剤と混合することによって取得され得る組成物を架橋するための、金属
シルセスキオキサンを含む触媒の使用であって、ここで、前記触媒は、請求項1に従って定義される、使用。
【請求項10】
一般式HO-(SiR
lR
mO)
o-Hを有する前記シリコーン化合物および一般式Si(R)
m(R
a)
4-mを有する前記架橋剤が、プレポリマーの形態で存在し、前記プレポリマーは、前記シリコーン化合物と、一般式Si(R)
m(R
a)
4-mを有する前記架橋剤とを反応させることによって取得され得ることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
組成物を調製するための方法であって、前記方法は、以下のプロセス工程:
a.以下:
i.一般式HO-(SiR
lR
mO)
o-Hを有する少なくとも1つのシリコーン化合物であって、式中、oならびにラジカルR
lおよびR
mは、請求項1に従って定義される、シリコーン化合物、
ii.請求項1に従って定義される、少なくとも1つの金属
シルセスキオキサンを含む、触媒、
iii.一般式Si(R)
m(R
a)
4-mを有する少なくとも1つの架橋剤であって、式中、mならびにラジカルRおよびR
aは、請求項1に従って定義される、架橋剤を含む組成物を提供する工程、
b.a.において提供された前記組成物を、力学的エネルギーおよび/または熱エネルギーを用いて混合する工程
を含む、方法。
【請求項12】
以下:
i.一般式HO-(SiR
lR
mO)
o-Hを有する少なくとも1つのシリコーン化合物であって、式中、oならびにラジカルR
lおよびR
mは、請求項1に従って定義される、シリコーン化合物、
ii.
請求項1に従って定義される、少なくとも1つの金属
シルセスキオキサンを含む、触媒、
iii.一般式Si(R)
m(R
a)
4-mを有する少なくとも1つの架橋剤であって、式中、mならびにラジカルRおよびR
aは、請求項1に従って定義される、架橋剤を含む組成物を硬化させることによって取得され得るシーリング材。
【請求項13】
請求項11に記載の方法によって取得され得る組成物。
【請求項14】
シーラント、接着材、ポッティング化合物またはコーティング剤としての、請求項1~
8、10のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項15】
b.触媒であって、前記触媒は、構造式(V)を有し、式中、
L
2は、-OH、-O-(C
1~C
8アルキル
)からなる群より選択され;
L
1は、-OH、-O-(C
1~C
8アルキル
)からなる群より選択され、
M
3は、第1、第2、第3、第4、第5、第8、第10および第11亜族の金属ならびに第1、第2、第3、第4および第5主族の金属からなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
b.触媒であって、前記触媒は、構造式(V)を有し、式中、
L
2は、-OH、-O-メチル、-O-エチル、-O-プロピル、-O-ブチル、-O-オクチル、-O-イソプロピルおよび-O-イソブチルからなる群より選択され;
L
1は、-OH、-O-メチル、-O-エチル、-O-プロピル、-O-ブチル、-O-オクチル、-O-イソプロピルおよび-O-イソブチルからなる群より選択され、
M
3は、Na、Zn、Sc、Nd、Ti、Zr、Hf、V、Fe、Pt、Cu、Ga、SnおよびBiからなる群より選択される、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
b.触媒であって、前記触媒は、構造式(V)を有し、式中、
M
3は、Zn、Ti、Zr、Hf、V、Fe、SnおよびBiからなる群より選択される、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
c.一般式Si(R)
m(R
a)
4-mを有する少なくとも1つの架橋剤であって、式中、各Rは、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC
1~C
16アルキル基、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC
2~C
16アルケニル基または必要に応じて置換されるC
4~C
14アリール基を表し、mは、0~2の整数であり、各R
aは、互いに独立して、以下:
・一般構造式(I)を有するヒドロキシカルボン酸エステルラジカルであって、式中、
各R
bは、互いに独立して、H、あるいは必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC
1~C
16アルキル基または必要に応じて置換されるC
4~C
14アリール基を表し、
各R
cは、互いに独立して、H、あるいは必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC
1~C
16アルキル基または必要に応じて置換されるC
4~C
14アリール基を表し、
R
dは、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC
1~C
16アルキル基、必要に応じて置換されるC
4~C
14シクロアルキル基、必要に応じて置換されるC
5~C
15アラルキル基または必要に応じて置換されるC
4~C
14アリール基を表し、
R
eは、C、または4~14個のC原子を有する必要に応じて置換される飽和もしくは部分不飽和の環式環系または4~14個のC原子を有する必要に応じて置換される芳香族基を表し、
nは、1~10の整数である、
ヒドロキシカルボン酸エステルラジカル、
・一般構造式(II)を有するヒドロキシカルボン酸アミドラジカルであって、式中、
各R
nは、互いに独立して、H、あるいは必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC
1~C
16アルキル基または必要に応じて置換されるC
4~C
14アリール基を表し、
各R
oは、互いに独立して、H、あるいは必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC
1~C
16アルキル基または必要に応じて置換されるC
4~C
14アリール基を表し、
R
pおよびR
qは、互いに独立して、H、あるいは必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC
1~C
16アルキル基、必要に応じて置換されるC
4~C
14シクロアルキル基、必要に応じて置換されるC
5~C
15アラルキル基または必要に応じて置換されるC
4~C
14アリール基を表し、
R
rは、C、あるい
は4~14個のC原子を有する必要に応じて置換される飽和もしくは部分不飽和の環式環系または4~14個のC原子を有する必要に応じて置換される芳香族基を表し、
pは、1~10の整数である、
ヒドロキシカルボン酸アミドラジカル、
・カルボン酸ラジカル-O-C(O)-R
fであって、式中、R
fは、H、あるいは必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC
1~C
16アルキル基、必要に応じて置換されるC
4~C
14シクロアルキル基または必要に応じて置換されるC
4~C
14アリール基または必要に応じて置換されるC
5~C
15アラルキル基を表す、カルボン酸ラジカル、
・オキシムラジカル-O-N=CR
gR
hであって、式中、R
gおよびR
hは、互いに独立して、H、あるいは必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC
1~C
16アルキル基、必要に応じて置換されるC
4~C
14シクロアルキル基または必要に応じて置換されるC
4~C
14アリール基または必要に応じて置換されるC
5~C
15アラルキル基を表す、オキシムラジカル、
・カルボン酸アミドラジカル-N(R
i)-C(O)-R
jであって、式中、R
iは、H、あるいは必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC
1~C
16アルキル基、必要に応じて置換されるC
4~C
14シクロアルキル基または必要に応じて置換されるC
4~C
14アリール基または必要に応じて置換されるC
5~C
15アラルキル基を表し、R
jは、H、あるいは必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC
1~C
16アルキル基、必要に応じて置換されるC
4~C
14シクロアルキル基または必要に応じて置換されるC
4~C
14アリール基または必要に応じて置換されるC
5~C
15アラルキル基を表す、カルボン酸アミドラジカル、および
・アルコキシラジカル-OR
kであって、式中、R
kは、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC
1~C
16アルキル基、必要に応じて置換されるC
4~C
14シクロアルキル基または必要に応じて置換されるC
4~C
14アリール基または必要に応じて置換されるC
5~C
15アラルキル基を表す、アルコキシラジカルからなる群より選択される、架橋剤を混合することによって取得され得る、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
前記金属
シルセスキオキサンが、各々、前記組成物の総重量に基づいて、0.00005~0.005mol/k
gの範囲内のモル濃度で存在することを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
【請求項20】
前記金属
シルセスキオキサンが、0.006~0.17%という重量基準の割合で存在することを特徴とする、請求項3に記載の組成物。
【請求項21】
一般式Si(R)
m(R
a)
4-mの架橋剤と金属
シルセスキオキサン触媒とのモル比が、100対2,000である、請求項4に記載の組成物。
【請求項22】
一般式Si(R)
m(R
a)
4-mの架橋剤と金属
シルセスキオキサン触媒とのモル比が、125対2,000である、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記金属シルセスキオキサンが、構造式(VI)を有し、式中、
Z
1、Z
2およびZ
3は各々、互いに独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ビニル、アリル、ブテニルおよびフェニルおよびベンジルからなる群より選択され、
R
l、R
2、R
3およびR
4は各々、互いに独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ビニル、アリル、ブテニルおよびフェニルおよびベンジルからなる群より選択される、
ことを特徴とする、請求項5に記載の組成物。
【請求項24】
一般式HO-(SiR
lR
mO)
o-Hを有する前記シリコーン化合物において、R
lおよびR
mが、互いに独立して、必要に応じて置換される直鎖または分枝鎖のC
1~C
12
アルキル基、必要に応じて置換される直鎖または分枝鎖のC
2~C
16アルケニル基を表すことを特徴とする、請求項
1に記載の組成物。
【請求項25】
一般式HO-(SiR
lR
mO)
o-Hを有する前記シリコーン化合物において、R
lおよびR
mが、互いに独立して、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC
2~C
12
アルケニル基、または必要に応じて置換されるC
4~C
14アリール基を表すことを特徴とする、請求項
1に記載の組成物。
【請求項26】
一般式HO-(SiR
lR
mO)
o-Hを有する前記シリコーン化合物において、R
lおよびR
mが、互いに独立して、必要に応じて置換されるC
4~C
10アリール基を表すことを特徴とする、請求項
1に記載の組成物。
【請求項27】
一般式Si(R)
m(R
a)
4-mを有する前記架橋剤において、各Rが、互いに独立して、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC
1~C
8アルキル基または必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC
2~C
12アルケニル基を表し、
各R
aが、互いに独立して、以下:
・一般構造式(I)を有するヒドロキシカルボン酸エステルラジカル、
・一般構造式(II)を有するヒドロキシカルボン酸アミドラジカル、
・カルボン酸ラジカル-O-C(O)-R
f、
・オキシムラジカル-O-N=CR
gR
h、
・カルボン酸アミドラジカル-N(R
i)-C(O)-R
j
からなる群より選択され、式中、
R
bおよびR
cの各々は、互いに独立して、必要に応じて置換される直鎖または分枝鎖のC
1~C
8アルキル基を表し
、
R
dは、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC
1~C
8アルキル基、C
4~C
10シクロアルキル基、C
5~C
11アラルキル基またはC
4~C
10アリール基を表し、
R
eは、二価のベンゼンラジカルであるか、またはR
eは、Cを表し、R
bおよびR
cは、Hを表すか、またはR
eは、Cを表し、R
bは、Hを表し、R
cは、メチルを表し、
nは、1~3の整数であり、
ここで、
R
nおよびR
oの各々は、互いに独立して、H、あるいは必要に応じて置換される直鎖または分枝鎖のC
1~C
8アルキル基を表し、
R
pおよびR
qは、互いに独立して、H、あるい
は必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC
1~C
8アルキル基または必要に応じて置換されるC
4~C
14シクロアルキル基またはC
5~C
11アラルキル基またはC
4~C
10アリール基を表し、
R
rは、二価のベンゼンラジカルであるか、またはR
rは、Cを表し、R
nおよびR
oは、Hを表すか、またはR
rは、Cを表し、R
nは、Hを表し、R
oは、メチルを表し、
pは、1~3の整数であり、
ここで、
R
fは、H、あるいは必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC
1~C
8アルキル基、必要に応じて置換されるC
4~C
8シクロアルキル基または必要に応じて置換されるC
4~C
10アリール基または必要に応じて置換されるC
5~C
11アラルキル基を表し、
ここで、
R
gおよびR
hは、互いに独立して、H、あるいは必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC
1~C
8アルキル基、必要に応じて置換されるC
4~C
8シクロアルキル基または必要に応じて置換されるC
4~C
10アリール基または必要に応じて置換されるC
5~C
11アラルキル基を表し、
ここで、
R
iおよびR
jは、互いに独立して、H、あるいは必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC
1~C
8アルキル基、必要に応じて置換されるC
4~C
8シクロアルキル基または必要に応じて置換されるC
4~C
10アリール基または必要に応じて置換されるC
5~C
11アラルキル基を表す、
ことを特徴とする、請求項
1に記載の組成物。
【請求項28】
一般式Si(R)
m(R
a)
4-mを有する前記架橋剤において、各Rが、互いに独立して、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC
2~C
8アルケニル基または必要に応じて置換されるC
4~C
10アリール基を表し、
各R
aが、互いに独立して、以下:
・一般構造式(I)を有するヒドロキシカルボン酸エステルラジカル、
・一般構造式(II)を有するヒドロキシカルボン酸アミドラジカル、
・カルボン酸ラジカル-O-C(O)-R
f、
・オキシムラジカル-O-N=CR
gR
h、
・カルボン酸アミドラジカル-N(R
i)-C(O)-R
j
からなる群より選択され、式中、
nは、1であり、
pは、1である
ことを特徴とする、請求項
1に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
低温硬化シリコーンゴム化合物、いわゆるRTC(室温架橋)シリコーンゴム化合物は、弾性特性を有する目的に合わせた材料として、かなり以前から知られている。それらは、通常、ガラス、アルミニウムなどの金属、PVCなどのプラスチック、処理された(されていない)形態の木材、セラミックス、石材または磁器のためのシーリング化合物または接着材として使用される。この場合、それらは、例えば、建築および衛生部門などにおいてシーリング化合物および接合部充填化合物として、例えば、電気事業におけるコーティング材として使用される(Roempp Chemie,CD-ROM,version 2.0,ed.E.Bartholome,Verlag Chemie,Weinheim 1982,volume 21,p.511 ff.)。特に、RTC-1シリコーンゴム化合物が使用される。それらは、一成分RTCシリコーンゴム化合物、例えば、α,ω-ジヒドロキシポリオルガノシロキサンとそれぞれ適切な硬化剤または架橋剤との塑性成形可能な混合物である。大気中の水分または水の影響下では、それらは通常、室温で重合する。
【0002】
好ましくは、2つまたはそれを超える官能基を有するポリオルガノシロキサンは、重合生成物の所望の化学的特性および物理的特性ならびに所望の重合速度に応じて、様々な多官能性硬化剤とともに使用される。この場合、α,ω-ジヒドロキシポリオルガノシロキサンは、二官能性ポリオルガノシロキサンとして非常に重要である。架橋剤または硬化剤はそれぞれ、加水分解脱離基によって放出される加水分解性のSiX基を特徴とし、それらは、中性、酸性または塩基性の系において硬化剤の分類を可能にする。公知の脱離基は、例えば、カルボン酸、アルコールおよびオキシムである。EP2030976B1には、架橋の際にα-ヒドロキシカルボン酸エステルを放出するシラン化合物が記載されている。
【0003】
DE202015009122U1には、脱離基としてα-ヒドロキシカルボン酸アミドを有するシランが開示されている。
【0004】
大気中の水分の存在下での室温におけるRTC-1シリコーンゴム化合物の重合は、好適な硬化触媒を添加することによって加速され得る。
【0005】
この場合、特に、スズ化合物が非常に重要である。DE69501063T2には、周囲温度で硬化するシリコーンエラストマー組成物中でのジブチルスズ-ビス(アセチルアセトネート)およびオクチル酸スズの使用が記載されている。EP0298877B1には、シリコーンエラストマー組成物用の、酸化スズおよびβ-ジカルボニル化合物を含むスズ触媒が記載されている。DE4332037A1では、縮合架橋シリコーンにおいてジラウリン酸ジブチル二スズが触媒として使用されている。
【0006】
スズ化合物は、通常、非常に高い触媒活性を特徴とする。しかしながら、その有毒な特性のせいで、RTCシリコーンゴム化合物において、スズを含まない硬化触媒の使用は回避されることが多い。
【0007】
スズを含まない好適な触媒としては、例えば、アルミニウム、亜鉛、ジルコニウムおよびチタン化合物が挙げられる。DE4210349A1には、縮合反応によって室温で架橋するシリコーンゴムの調製における、チタン酸テトラブチル、ジブチル-ビス(メチルアセトアセタト)チタネート、ジイソプロピル-ビス(メチルアセトアセタト)チタネートおよびジイソブチル-ビス(エチルアセトアセタト)チタネートの使用が記載されてい
る。EP0102268A1には、例えば、有機ジルコニウム化合物を触媒として含む、単一成分のシリコーン樹脂化合物が開示されている。
【0008】
現在までのところ、スズを含まない触媒の使用の主な欠点は、触媒活性が比較的低いこと、および特にシリコーンゴム化合物の引裂強度が低いことに基づいて、関連する力学的特性が不十分であることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】欧州特許第0298877号明細書
【文献】欧州特許出願公開第0102268号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
ゆえに、本発明の目的は、スズ含有量が少ない触媒の使用またはスズを含まない触媒の使用が、改善された力学的特性を特徴とするシリコーンゴム化合物をもたらす組成物を提供することである。
【0011】
ゆえに、本発明の本質は、少なくとも1つの金属シロキサン-シラノール(シラノレート)化合物を含む硬化性シリコーンゴム化合物の組成物、少なくとも1つの金属シロキサン-シラノール(シラノレート)化合物を含む硬化性シリコーンゴム化合物を調製するための方法、ならびにシーラント、接着材、ポッティング化合物および/またはコーティング剤としての、少なくとも1つの金属シロキサン-シラノール(シラノレート)化合物を含む硬化性シリコーンゴム化合物の使用である。この場合、金属シロキサン-シラノール(シラノレート)化合物は、好ましくは、触媒的に活性な量でシリコーンゴム化合物において使用される。
【0012】
したがって、本発明の目的は、請求項1に記載の組成物、請求項16に明記された方法、請求項14および19に明記された使用、ならびに請求項17に明記されたシーリング材によって達成される。好都合な実施形態が、それぞれの従属請求項の主題である。
【0013】
1つの好都合な実施形態において、本発明の目的は、金属シロキサン-シラノール(シラノレート)化合物を硬化性シリコーン組成物中で触媒として使用することによって達成され、ここで、その金属シロキサン-シラノール(シラノレート)化合物のモル濃度は、シーリング材1kgあたり0.00001mol~0.01molの範囲内、好ましくは、シーリング材1kgあたり0.00005mol~0.005molの範囲内、より好ましくは、シーリング材1kgあたり0.00007mol~0.0019molの範囲内である。
【0014】
好ましい実施形態において、金属シロキサン-シラノール(シラノレート)化合物は、硬化性シリコーン組成物中で触媒として使用され、ここで、その金属シロキサン-シラノール(シラノレート)化合物のモル濃度は、組成物1kgあたり0.00001mol~0.01molの範囲内、好ましくは、組成物1kgあたり0.00005mol~0.005molの範囲内、より好ましくは、組成物1kgあたり0.00007mol~0.0019molの範囲内である。
【0015】
本発明の目的は、有益なことに、少なくとも1つの金属シロキサン-シラノール(シラノレート)化合物を硬化性シリコーン組成物中で触媒として使用することによって達成される。金属シロキサン-シラノール(シラノレート)化合物は、例えば、WO2005/060671A2およびEP2796493A1から、原則として当業者に公知である。
【0016】
さらに、本発明の目的は、少なくとも1つの金属シロキサン-シラノール(シラノレート)化合物を硬化性シリコーン組成物中で触媒として使用することによって達成され、ここで、その金属シロキサン-シラノール化合物の重量基準の割合は、0.001~0.5%の範囲内、好ましくは、0.006~0.17%の範囲内である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の目的として、「シリコーンゴム化合物」は、シリコーンを含有する合成ゴム化合物であり、本発明の範囲において、ゴムポリマー、ポリ縮合物およびポリ付加物を含む用語である硬化性シリコーン組成物と交換可能に称される。前記化合物または組成物はそれぞれ、好適な架橋剤による架橋によって、高度に弾性の硬化状態に変換され得る。さらに、それらは、塑性成形可能な混合物であり、その混合物は、例えば、α,ω-ジヒドロキシポリオルガノシロキサンおよび好適な硬化剤または架橋剤をそれぞれ含み、水分の非存在下において保存され得るが、しかしながら、これらのシリコーンゴム化合物は、水または大気中の水分の影響下では室温で重合する。
【0018】
本発明の目的として、「シラノール」は、少なくとも1つのヒドロキシル基(OH)がケイ素原子に結合された有機ケイ素化合物(≡Si-OH)である。
【0019】
本発明の目的として、「シラノレート」は、少なくとも1つの脱プロトン化ヒドロキシ官能基(R-O
-
)がケイ素原子に結合した有機ケイ素化合物(≡Si-O
-
)であり、ここで、この負に帯電した酸素原子は、例えば金属などの他の化合物にも結合され得、かつ/または配位結合され得る。
【0020】
用語「金属シロキサン-シラノール(シラノレート)」とは、1つまたはそれを超えるシラノールおよび/またはシラノレート基を含むあらゆる金属シロキサン化合物を指す。本発明の1つの実施形態において、金属シロキサン-シラノレートだけが存在することも可能である。これらの異なる立体配座の間に詳細な区別がなされない限り、すべての組み合わせが含められる。すぐ前で説明したような金属シロキサン-シラノール(シラノレート)化合物(=金属シロキサン-シラノール/シラノレート化合物)は、下記では「M3S」化合物とも称される。これらの用語は、下記において交換可能に使用される。
【0021】
用語「触媒」とは、所与の反応の活性化エネルギーを低下させる物質であって、そのように低下させるとき、反応速度を高める物質を指す。
【0022】
特に、本発明の目的物は、以下の構成要素:
a.一般式HO-(SiR
l
R
m
O)
o
-Hを有する少なくとも1つのシリコーン化合物であって、式中、R
l
およびR
m
は、互いに独立して、1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカルを表し、oは、5~4,000の整数である、シリコーン化合物、
b.触媒であって、前記触媒は、特に、sおよびpブロック金属、dおよびfブロック遷移金属、ランタニドおよびアクチニド金属ならびに半金属からなる群より選択される金属を含む少なくとも1つの金属シロキサン-シラノール(シラノレート)化合物を含む、触媒、ならびに
c.一般式Si(R)
m
(R
a
)
4-m
を有する少なくとも1つの架橋剤であって、式中、各Rは、互いに独立して、1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカル、特に、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C16アルキル基、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC2~C16アルケニル基または必要に応じて置換されるC4~C14アリール基を表し、mは、0~2の整数であり、各R
a
は、互いに独立して、以下:
・一般構造式(I):
【化1】
を有するヒドロキシカルボン酸エステルラジカルであって、式中、
各R
b
は、互いに独立して、H、あるいは1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカル、特に、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C16アルキル基または必要に応じて置換されるC4~C14アリール基を表し、
各R
c
は、互いに独立して、H、あるいは1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカル、特に、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C16アルキル基または必要に応じて置換されるC4~C14アリール基を表し、
R
d
は、1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカル、特に、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C16アルキル基、必要に応じて置換されるC4~C14シクロアルキル基、必要に応じて置換されるC5~C15アラルキル基または必要に応じて置換されるC4~C14アリール基を表し、
R
e
は、C、または1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカル、特に、4~14個のC原子を有する必要に応じて置換される飽和もしくは部分不飽和の環式環系または4~14個のC原子を有する必要に応じて置換される芳香族基を表し、
nは、1~10の整数である、
ヒドロキシカルボン酸エステルラジカル、
・一般構造式(II):
【化2】
を有するヒドロキシカルボン酸アミドラジカルであって、式中、
各R
n
は、互いに独立して、H、あるいは1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカル、特に、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C16アルキル基または必要に応じて置換されるC4~C14アリール基を表し、
各R
o
は、互いに独立して、H、あるいは1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカル、特に、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C16アルキル基または必要に応じて置換されるC4~C14アリール基を表し、
R
p
およびR
q
は、互いに独立して、H、あるいは1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカル、特に、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C16アルキル基、必要に応じて置換されるC4~C14シクロアルキル基、必要に応じて置換されるC5~C15アラルキル基または必要に応じて置換されるC4~C14アリール基を表し、
R
r
は、C、あるいは1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカル、特に、4~14個のC原子を有する必要に応じて置換される飽和もしくは部分不飽和の環式環系または4~14個のC原子を有する必要に応じて置換される芳香族基を表し、
pは、1~10の整数である、
ヒドロキシカルボン酸アミドラジカル、
・カルボン酸ラジカル-O-C(O)-R
f
であって、式中、R
f
は、H、あるいは1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカル、特に、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C16アルキル基、必要に応じて置換されるC4~C14シクロアルキル基または必要に応じて置換されるC4~C14アリール基または必要に応じて置換されるC5~C15アラルキル基を表す、カルボン酸ラジカル、
・オキシムラジカル-O-N=CR
g
R
h
であって、式中、R
g
およびR
h
は、互いに独立して、H、あるいは1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカル、特に、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C16アルキル基、必要に応じて置換されるC4~C14シクロアルキル基または必要に応じて置換されるC4~C14アリール基または必要に応じて置換されるC5~C15アラルキル基を表す、オキシムラジカル、
・カルボン酸アミドラジカル-N(R
i
)-C(O)-R
j
であって、式中、R
i
は、H、あるいは1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカル、特に、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C16アルキル基、必要に応じて置換されるC4~C14シクロアルキル基または必要に応じて置換されるC4~C14アリール基または必要に応じて置換されるC5~C15アラルキル基を表し、R
j
は、H、あるいは1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカル、特に、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C16アルキル基、必要に応じて置換されるC4~C14シクロアルキル基または必要に応じて置換されるC4~C14アリール基または必要に応じて置換されるC5~C15アラルキル基を表す、カルボン酸アミドラジカル、および
・アルコキシラジカル-OR
k
であって、式中、R
k
は、1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカル、特に、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C16アルキル基、必要に応じて置換されるC4~C14シクロアルキル基または必要に応じて置換されるC4~C14アリール基または必要に応じて置換されるC5~C15アラルキル基を表す、アルコキシラジカル
からなる群より選択される、架橋剤
を混合することによって取得され得る、組成物である。
【0023】
驚くべきことに、請求項1において定義される金属シロキサン-シラノール(シラノレート)化合物は、シリコーンゴム化合物において触媒として使用されるとき、特に高い触媒活性を示すことが見出された。特に、触媒としての金属シロキサン-シラノール(シラノレート)化合物の高い触媒活性は、水分硬化シリコーンゴム化合物において見出された。高い触媒活性のおかげで、シリコーンゴム化合物中の触媒の量を有意に減少させることが可能である。触媒的に活性な金属シロキサン-シラノール(シラノレート)化合物を使用することによって、スズ触媒の使用を最小限に抑えることまたは使用を止めることすら可能である。
【0024】
本組成物は、一般式HO-(SiR
l
R
m
O)
o
-Hを有するシリコーン化合物および一般式Si(R)
m
(R
a
)
4-m
を有する架橋剤を、プレポリマーの形態で含み得る。そのプレポリマーは、それら2つの構成成分の反応産物である。これらの反応は、公知であり、エンドキャッピングとも称される(例えば、WO2016/146648A1を参照のこと)。
【0025】
すぐ前で説明したようなプレポリマーの形成だけでなく、その後の重合または縮合も、それぞれ、水または大気中の水分の存在下および請求項1に定義される触媒の存在下において生じて、Si-O-Si結合を形成することが示された。それは、M3S化合物が、エンドキャッピングだけでなく、シリコーン化合物の硬化も促進することを意味する。さらに、好ましい実施形態では、たった1つの作業工程でシリコーンゴム化合物を得ること
が可能である。
【0026】
この場合、驚くべきことに、シリコーンゴム化合物においてM3Sを使用すると、シリコーンゴム化合物の力学的特性の改善、特に、引裂強度の改善がもたらされることが見出された。
【0027】
「引裂強度」は、様々な試験方法によって決定され得るポリマーの力学的特性の1つである。「引裂強度」は、供試体が引張り試験において破損した瞬間の引張り応力によって決定され得る。
【0028】
「破断点伸び」は、供試体が破断した後の、最初の長さに対する長さの変化の比である。前記破断点伸びは、材料が亀裂なく形状の変化に耐える能力のことを表す。破断点伸びは、引張り試験においてDIN EN ISO8339およびDIN53504に則って決定される。
【0029】
「引張り応力値」は、シーリング材の100%の伸びにおいて、それぞれ接着面または隣接する建材に対して作用される応力を定義する。
【0030】
「割線係数」とは、応力-ひずみ線図の曲線の任意の点における応力とひずみとの比を指す。それは、応力-ひずみ曲線の始まりからその曲線上の任意の点までの曲線の傾きである。
【0031】
「弾性回復」は、膨張または変形を引き起こした力を解除した後、元の寸法のすべてまたは一部を取り戻す可撓性支持体の傾向を記載する。平均弾性回復は、DIN EN ISO7389に則って決定される。
【0032】
用語「架橋剤」は、特に、加水分解によって切り離され得る少なくとも2つの基を含む架橋可能なシラン化合物を意味するものとする。そのような架橋可能なシラン化合物の例は、Si(OCH
3
)
4
、Si(CH
3
)(OCH
3
)
3
およびSi(CH
3
)(C
2
H
5
)(OCH
3
)
2
である。架橋剤は、硬化剤とも称されることがある。特に、「架橋剤」は、特に、1つより多い架橋可能なシラン化合物を含み得る「架橋剤系」も含む。
【0033】
本発明の目的として、「ケージ」またはオリゴマーもしくはポリマーの「ケージ構造」は、鎖の形状の金属シロキサン-シラノール(シラノレート)化合物の3次元配置を意味するものとし、ここで、その鎖の個々の原子は、当該化合物の多面体の基本構造の礎石を形成する。この場合、少なくとも2つの面が、互いに連結した原子によって定義され、その結果は、共通の交点である。その化合物の1つの実施形態において、例えば、その化合物の立方体の形状の基本構造が形成される。
【0034】
「シーラント」または「シーリング化合物」とは、特に、水、気体または他の媒質に対して表面をシールするために、液体~粘性の形態または可撓性のプロファイルもしくはウェブとして適用される弾性材料を指す。
【0035】
用語「接着材」とは、表面粘着(接着)および/または内部強度(凝集)によって接合部材を結合する物質を指す。この用語は、特に、にかわ、ペースト剤、分散接着材、溶媒ベースの接着材、反応接着材および接触接着材を網羅する。
【0036】
「コーティング剤」は、表面をコーティングするあらゆる手段である。
【0037】
本発明によると、「ポッティング化合物」または「ケーブルポッティング化合物」は、
ケーブルおよび/またはケーブル付属品をポッティングする目的で高温状態または低温状態において処理される化合物である。
【0038】
用語「アルキル基」は、飽和炭化水素鎖を意味するものとする。アルキル基は、特に、一般式-C
n
H
2n+1
を有する。用語「C1~C16アルキル基」とは、特に、その鎖に1~16個の炭素原子を有する飽和炭化水素鎖を指す。C1~C16アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチルおよびエチルヘキシルである。同様に、「C1~C8アルキル基」とは、特に、その鎖に1~8個の炭素原子を有する飽和炭化水素鎖を指す。特に、アルキル基は、置換されてもよいことが明確に示されていなくても、置換されてよい。
【0039】
「直鎖アルキル基」とは、分枝を含まないアルキル基を指す。直鎖アルキル基の例は、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチルおよびn-オクチルである。
【0040】
「分枝鎖アルキル基」とは、直鎖ではないアルキル基を指し、ゆえに、特に、その炭化水素鎖は、枝分かれを有する。分枝鎖アルキル基の例は、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、sec-ペンチル、3-ペンチル、2-メチルブチル、イソペンチル、3-メチルブタ-2-イル、2-メチルブタ-2-イル、ネオペンチル、エチルヘキシルおよび2-エチルヘキシルである。
【0041】
「アルケニル基」とは、鎖に沿って少なくとも1つの二重結合を含む炭化水素鎖を指す。例えば、二重結合を有するアルケニル基は、特に、一般式-C
n
H
2n-1
を有する。しかしながら、アルケニル基は、1つより多い二重結合も有し得る。用語「C2~C16アルケニル基」は、特に、その鎖に2~16個の炭素原子を有する炭化水素鎖を指す。この場合、水素原子の数は、アルケニル基における二重結合の数に応じて変化する。アルケニル基の例は、ビニル、アリル、2-ブテニルおよび2-ヘキセニルである。
【0042】
「直鎖アルケニル基」とは、分枝を含まないアルケニル基を指す。直鎖アルケニル基の例は、ビニル、アリル、n-2-ブテニルおよびn-2-ヘキセニルである。
【0043】
「分枝鎖アルケニル基」とは、直鎖ではないアルケニル基を指し、ゆえに、特に、その炭化水素鎖は、枝分かれを有する。分枝鎖アルケニル基の例は、2-メチル-2-プロペニル、2-メチル-2-ブテニルおよび2-エチル-2-ペンテニルである。
【0044】
「アリール基」とは、単環式環系(例えば、フェニル)、二環式環系(例えば、インデニル、ナフタレニル、テトラヒドロナフチルまたはテトラヒドロインデニル)および三環式環系(例えば、フルオレニル、テトラヒドロフルオレニル、アントラセニルまたはテトラヒドロアントラセニル)を指し、ここで、単環式環系、または二環式もしくは三環式環系における環の少なくとも1つは、芳香族である。特に、C4~C14アリール基とは、4~14個の炭素原子を有するアリール基を指す。アリール基は、特に、置換されてもよいことが明確に示されていなくても、置換されてよい。
【0045】
「芳香族基」とは、芳香族系を有する、環状で平面状の炭化水素を指す。4~14個の炭素原子を有する芳香族基は、特に、4~14個の炭素原子を含む芳香族基を指す。芳香族基は、特に、単環式、二環式または三環式であり得る。さらに、芳香族基は、N、OおよびSからなる群より選択される1~5個のヘテロ原子も含み得る。芳香族基の例は、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、フラン、ピロール、チオフェン、イソオキサゾール、ピリジンおよびキノリンであり、ここで、上述の例では、対応する構造式への組み込みを可能にするために、必要な数の水素原子が、各場合において除去され
る。
【0046】
「シクロアルキル基」とは、芳香族ではない炭化水素環を指す。特に、4~14個の炭素原子を有するシクロアルキル基とは、4~14個の炭素原子を有する非芳香族炭化水素環を指す。シクロアルキル基は、飽和または部分不飽和であり得る。飽和シクロアルキル基は、芳香族ではなく、また、二重結合も三重結合も有しない。飽和シクロアルキル基とは対照的に、部分不飽和シクロアルキル基は、少なくとも1つの二重結合または三重結合を有するが、そのシクロアルキル基は、芳香族ではない。シクロアルキル基もまた、特に、置換されてもよいことが明確に示されていなくても、置換されてよい。
【0047】
「アラルキル基」とは、アリール基で置換されたアルキル基を指す。「C5~C15アラルキル基」とは、特に、5~15個の炭素原子を有するアラルキル基を指し、ここで、そのアルキル基とアリール基の両方の炭素原子が、その炭素原子数の中に含められる。アラルキル基の例は、ベンジルおよびフェニルエチルである。アラルキル基もまた、特に、置換されてもよいことが明確に示されていなくても、置換されてよい。
【0048】
「環式環系」とは、芳香族ではない炭化水素環を指す。特に、4~14個の炭素原子を有する環式環系とは、4~14個の炭素原子を有する非芳香族炭化水素環系を指す。環式環系は、単一の炭化水素環(単環式)、2つの炭化水素環(二環式)または3つの炭化水素環(三環式)からなり得る。特に、環式環系は、好ましくはN、OおよびSからなる群より選択される1~5個のヘテロ原子も含み得る。
【0049】
「飽和環式環系」は、芳香族ではなく、また、二重結合も三重結合も有しない。飽和環式環系の例は、シクロペンタン、シクロヘキサン、デカリン、ノルボルナンおよび4H-ピランであり、ここで、上述の例では、対応する構造式への組み込みを可能にするために、各場合において、必要な数の水素原子が除去される。例えば、構造式HO-R
*
-CH
3
(式中、R
*
は、6つの炭素原子を有する環式環系、特に、シクロヘキサンである)において、2つの水素原子が、その構造式への組み込みを可能にするために、その環式環系、特に、シクロヘキサンから除去され得る。
【0050】
別段述べられない限り、Nは、特に窒素を表す。さらに、別段述べられない限り、Oは、特に酸素を表す。別段述べられない限り、Sは、特に硫黄を表す。
【0051】
「必要に応じて置換される」は、それぞれ対応する基または対応するラジカルにおける水素原子が、置換基で置き換えられてもよいことを意味する。置換基は、特に、C1~C4アルキル、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、ベンジル、ハロゲン、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、C1~C4アルコキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、シアノ、ニトロおよびチオからなる群より選択され得る。ある基が、必要に応じて置換されると言及される場合、その基の0~50個、特に、0~20個の水素原子が、置換基によって置き換えられてもよい。ある基が置換される場合、少なくとも1つの水素原子が、置換基によって置き換えられる。
【0052】
「アルコキシ」とは、主要な炭素鎖に酸素原子を介して連結されるアルキル基を指す。
【0053】
用語「ポリシロキサン」は、少なくとも1つの有機シリコーン化合物、好ましくは、2つ、3つまたはそれを超える異なる有機シリコーン化合物を含む本発明の組成物を記載する。本組成物に含められる有機シリコーン化合物は、好ましくは、オリゴマーまたはポリマーの化合物である。ポリマーの有機シリコーン化合物は、好ましくは、二官能性ポリオルガノシロキサン化合物、より好ましくは、α,ω-ジヒドロキシル末端化ポリオルガノシロキサンである。α,ω-ジヒドロキシル末端化ポリジオルガノシロキサン、特に、α
,ω-ジヒドロキシル末端化ポリジアルキルシロキサン、α,ω-ジヒドロキシル末端化ポリジアルケニルシロキサンまたはα,ω-ジヒドロキシル末端化ポリジアリールシロキサンが、非常に強く優先される。ホモポリマーのα,ω-ジヒドロキシル末端化ポリジオルガノシロキサンに加えて、
【0054】
異なる有機置換基を有する、ヘテロポリマーのα,ω-ジヒドロキシル末端化ポリジオルガノシロキサンを使用することも可能であり、ここで、ケイ素原子上に同一の有機置換基を有するモノマーのコポリマーだけでなく、様々な有機置換基を有するモノマーのコポリマー、例えば、混合されたアルキル、アルケニルおよび/またはアリール置換基を有するものも、ケイ素原子上に含められる。好ましい有機置換基は、1~8個の炭素原子を有する直鎖および分枝鎖のアルキル基、特に、メチル、エチル、n-およびiso-プロピル、ならびにn-、sec-およびtert-ブチル、ビニルおよびフェニルを含む。この場合、個々の有機置換基における、炭素に結合した個々のまたはすべての水素原子が、従来の置換基(例えば、ハロゲン原子または官能基、例えば、ヒドロキシルおよび/またはアミノ基)によって置換され得る。結果として、部分的にフッ素置換されたもしくは全フッ素置換された有機置換基を有するα,ω-ジヒドロキシル末端化ポリジオルガノシロキサン、またはケイ素原子上にヒドロキシルおよび/もしくはアミノ基で置換された有機置換基を有するα,ω-ジヒドロキシル末端化ポリジオルガノシロキサンを使用することが可能である。
【0055】
有機シリコーン化合物の特に好ましい例は、α,ω-ジヒドロキシル末端化ポリジアルキルシロキサン(例えば、α,ω-ジヒドロキシル末端化ポリジメチルシロキサン、α,ω-ジヒドロキシル末端化ポリジエチルシロキサンまたはα,ω-ジヒドロキシル末端化ポリジビニルシロキサン)およびα,ω-ジヒドロキシル末端化ポリジアリールシロキサン(例えば、α,ω-ジヒドロキシル末端化ポリジフェニルシロキサン)である。この場合、5,000~120,000cStの動粘性率(25℃において)を有するポリオルガノシロキサン、特に、20,000~100,000cStの粘度を有するもの、より好ましくは、40,000~90,000cStの粘度を有するものが優先される。異なる粘度を有するポリジオルガノシロキサンの混合物を使用することも可能である。
【0056】
用語「シーリング材」は、本明細書中で使用されるとき、請求項のいずれか1項に記載の、硬化した本発明の組成物を記載する。
【0057】
本発明の好都合な実施形態を、下記で詳細に説明する。
【0058】
本発明の一つの実施形態は、以下の構成要素:
a.一般式HO-(SiR
l
R
m
O)
o
-Hを有する少なくとも1つのシリコーン化合物であって、式中、R
l
およびR
m
は、互いに独立して、1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカルを表し、oは、5~4,000の整数である、シリコーン化合物、
b.触媒であって、前記触媒は、特に、sおよびpブロック金属、dおよびfブロック遷移金属、ランタニドおよびアクチニド金属ならびに半金属からなる群より選択される金属を含む少なくとも1つの金属シロキサン-シラノール(シラノレート)化合物を含む、触媒、ならびに
c.一般式Si(R)
m
(R
a
)
4-m
を有する少なくとも1つの架橋剤であって、式中、各Rは、互いに独立して、1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカル、特に、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C16アルキル基、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC2~C16アルケニル基または必要に応じて置換されるC4~C14アリール基を表し、mは、0~2の整数であり、各R
a
は、互いに独立して、以下:
・一般構造式(I):
【化3】
を有するヒドロキシカルボン酸エステルラジカルであって、式中、
各R
b
は、互いに独立して、H、あるいは1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカル、特に、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C16アルキル基または必要に応じて置換されるC4~C14アリール基を表し、
各R
c
は、互いに独立して、H、あるいは1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカル、特に、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C16アルキル基または必要に応じて置換されるC4~C14アリール基を表し、
R
d
は、1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカル、特に、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C16アルキル基、必要に応じて置換されるC4~C14シクロアルキル基、必要に応じて置換されるC5~C15アラルキル基または必要に応じて置換されるC4~C14アリール基を表し、
R
e
は、C、または1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカル、特に、4~14個のC原子を有する必要に応じて置換される飽和もしくは部分不飽和の環式環系または4~14個のC原子を有する必要に応じて置換される芳香族基を表し、
nは、1~10の整数である、
ヒドロキシカルボン酸エステルラジカル、
・一般構造式(II):
【化4】
を有するヒドロキシカルボン酸アミドラジカルであって、式中、
各R
n
は、互いに独立して、H、あるいは1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカル、特に、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C16アルキル基または必要に応じて置換されるC4~C14アリール基を表し、
各R
o
は、互いに独立して、H、あるいは1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカル、特に、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C16アルキル基または必要に応じて置換されるC4~C14アリール基を表し、
R
p
およびR
q
は、互いに独立して、H、あるいは1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカル、特に、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C16アルキル基、必要に応じて置換されるC4~C14シクロアルキル基、必要に応じて置換されるC5~C15アラルキル基または必要に応じて置換されるC4~C14アリール基を表し、
R
r
は、C、あるいは1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカル、特に、4~14個のC原子を有する必要に応じて置換される飽和もしくは部分不飽和の環式環系または4~14個のC原子を有する必要に応じて置換される芳香族基を表し、
pは、1~10の整数である、
ヒドロキシカルボン酸アミドラジカル、
・カルボン酸ラジカル-O-C(O)-R
f
であって、式中、R
f
は、H、あるいは1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカル、特に、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C16アルキル基、必要に応じて置換されるC4~C14シクロアルキル基または必要に応じて置換されるC4~C14アリール基または必要に応じて置換されるC5~C15アラルキル基を表す、カルボン酸ラジカル、
・オキシムラジカル-O-N=CR
g
R
h
であって、式中、R
g
およびR
h
は、互いに独立して、H、あるいは1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカル、特に、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C16アルキル基、必要に応じて置換されるC4~C14シクロアルキル基または必要に応じて置換されるC4~C14アリール基または必要に応じて置換されるC5~C15アラルキル基を表す、オキシムラジカル、
・カルボン酸アミドラジカル-N(R
i
)-C(O)-R
j
であって、式中、R
i
は、H、あるいは1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカル、特に、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C16アルキル基、必要に応じて置換されるC4~C14シクロアルキル基または必要に応じて置換されるC4~C14アリール基または必要に応じて置換されるC5~C15アラルキル基を表し、R
j
は、H、あるいは1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカル、特に、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C16アルキル基、必要に応じて置換されるC4~C14シクロアルキル基または必要に応じて置換されるC4~C14アリール基または必要に応じて置換されるC5~C15アラルキル基を表す、カルボン酸アミドラジカル、および
・アルコキシラジカル-OR
k
であって、式中、R
k
は、1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカル、特に、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C16アルキル基、必要に応じて置換されるC4~C14シクロアルキル基または必要に応じて置換されるC4~C14アリール基または必要に応じて置換されるC5~C15アラルキル基を表す、アルコキシラジカル
からなる群より選択される、架橋剤
を含む組成物を記載する。
【0059】
本発明の1つの実施形態によると、硬化性シリコーンゴム化合物の組成物は、少なくとも1つの金属シロキサン-シラノール(シラノレート)化合物を含み、ここで、その金属シロキサン-シラノール(シラノレート)化合物は、0.001~0.5%の範囲内、好ましくは、0.006~0.17%の範囲内の重量基準の割合で存在する。特に、その金属シロキサンシラノール(シラノレート)化合物は、触媒活性を示す。様々な実施形態における本発明の組成物は、組成物1kgあたり0.00001mol~0.01molの範囲内、好ましくは、組成物1kgあたり0.00005mol~0.005molの範囲内、より好ましくは、組成物1kgあたり0.00007mol~0.0019molの範囲内のモル濃度でM3S触媒を含む。
【0060】
本発明の1つの実施形態において、M3S化合物は、モノマー、オリゴマーおよび/またはポリマーの形態であり得、ここで、オリゴマーからポリマーへの移行は、一般的な定義によると流動的である。
【0061】
好ましくは、オリゴマーおよび/またはポリマーのM3S化合物における金属は、鎖の末端および/または内部に存在する。
【0062】
1つの実施形態において、鎖の形状のM3S化合物は、直鎖状、分枝状および/またはケージである。
【0063】
好ましい実施形態において、鎖の形状の金属シロキサン-シラノール(シラノレート)化合物は、ケージ構造を有する。
【0064】
好ましくは、本発明のM3S化合物は、オリゴマー金属シルセスキオキサンを含む。
【0065】
特に、本発明のM3S化合物は、多面体金属シルセスキオキサンを含む。
【0066】
一つの実施形態において、本発明の組成物の金属シルセスキオキサンは、一般式R
*
q
Si
r
O
s
M
t
を有し、式中、各R
*
は、互いに独立して、必要に応じて置換されるC1~C20アルキル、必要に応じて置換されるC3~C8シクロアルキル、必要に応じて置換されるC2~C20アルケニル、必要に応じて置換されるC5~C10アリール、-OHおよび-O-(C1~C10アルキル)からなる群より選択され、
各Mは、互いに独立して、sおよびpブロック金属、dおよびfブロック遷移金属、ランタニドおよびアクチニド金属ならびに半金属からなる群、
特に、第1、第2、第3、第4、第5、第8、第10および第11亜族の金属ならびに第1、第2、第3、第4および第5主族の金属からなる群、好ましくは、Na、Zn、Sc、Nd、Ti、Zr、Hf、V、Fe、Pt、Cu、Ga、SnおよびBiからなる群;より好ましくは、Zn、Ti、Zr、Hf、V、Fe、SnおよびBiからなる群
より選択され、
qは、4~19の整数であり、
rは、4~10の整数であり、
sは、8~30の整数であり、
tは、1~8の整数である。
【0067】
別の実施形態において、本発明に係る組成物の金属シルセスキオキサンは、一般式R
#
4
Si
4
O
11
Y
2
Q
2
X
4
Z
3
を有し、式中、各Xは、互いに独立して、Si、M
1
、-M
3
L
1
Δ
、M
3
または-Si(R
8
)-O-M
3
L
1
Δ
からなる群より選択され、M
1
およびM
3
は、互いに独立して、sおよびpブロック金属、dおよびfブロック遷移金属、ランタニドおよびアクチニド金属ならびに半金属からなる群、特に、第1、第2、第3、第4、第5、第8、第10および第11亜族の金属ならびに第1、第2、第3、第4および第5主族の金属からなる群、好ましくは、Na、Zn、Sc、Nd、Ti、Zr、Hf、V、Fe、Pt、Cu、Ga、SnおよびBiからなる群;より好ましくは、Zn、Ti、Zr、Hf、V、Fe、SnおよびBiからなる群より選択され、L
1
は、-OHおよび-O-(C1~C10アルキル)、特に、-O-(C1~C8アルキル)または-O-(C1~C6アルキル)からなる群より選択されるか、またはL
1
は、-OH、-O-メチル、-O-エチル、-O-プロピル、-O-ブチル、-O-オクチル、-O-イソプロピルおよび-O-イソブチルからなる群より選択され、R
8
は、必要に応じて置換されるC1~C20アルキル、必要に応じて置換されるC3~C8シクロアルキル、必要に応じて置換されるC2~C20アルケニルおよび必要に応じて置換されるC5~C10アリールからなる群より選択され;
各Zは、互いに独立して、L
2
、R
5
、R
6
およびR
7
からなる群より選択され、ここで、L
2
は、-OHおよび-O-(C1~C10アルキル)、特に、-O-(C1~C8アルキル)または-O-(C1~C6アルキル)からなる群より選択されるか、またはL
2
は、-OH、-O-メチル、-O-エチル、-O-プロピル、-O-ブチル、-O-オクチル、-O-イソプロピルおよび-O-イソブチルからなる群より選択され;
R
#
、R
5
、R
6
およびR
7
の各々は、互いに独立して、必要に応じて置換されるC1~C20アルキル、必要に応じて置換されるC3~C8シクロアルキル、必要に応じて置換されるC2~C20アルケニルおよび必要に応じて置換されるC5~C10アリールからなる群より選択され;各Yは、互いに独立して、-O-M
2
-L
3
Δ
を表すか、または2つのYが、一体となり、一体となって、-O-M
2
(L
3
Δ
)-O-または-O-を表し
、
L
3
は、-OHおよび-O-(C1~C10アルキル)、特に、-O-(C1~C8アルキル)または-O-(C1~C6アルキル)からなる群より選択されるか、またはL
3
は、-OH、-O-メチル、-O-エチル、-O-プロピル、-O-ブチル、-O-オクチル、-O-イソプロピルおよび-O-イソブチルからなる群より選択され、
各M
2
は、互いに独立して、sおよびpブロック金属、dおよびfブロック遷移金属、ランタニドおよびアクチニド金属ならびに半金属からなる群、特に、第1、第2、第3、第4、第5、第8、第10および第11亜族の金属ならびに第1、第2、第3、第4および第5主族の金属からなる群、好ましくは、Na、Zn、Sc、Nd、Ti、Zr、Hf、V、Fe、Pt、Cu、Ga、SnおよびBiからなる群;より好ましくは、Zn、Ti、Zr、Hf、V、Fe、SnおよびBiからなる群より選択され、
各Qは、互いに独立して、H、M
4
L
4
Δ
、-SiR
8
、-M
3
L
1
Δ
、XのM
3
に連結する単結合、またはラジカル-Si(R
8
)-O-M
3
L
1
Δ
のSi原子に連結する単結合を表し、ここで、M
3
、R
8
およびL
1
は、Xについての通りに定義され、
M
4
は、sおよびpブロック金属、dおよびfブロック遷移金属、ランタニドおよびアクチニド金属ならびに半金属からなる群、特に、第1、第2、第3、第4、第5、第8、第10および第11亜族の金属ならびに第1、第2、第3、第4および第5主族の金属からなる群、好ましくは、Na、Zn、Sc、Nd、Ti、Zr、Hf、V、Fe、Pt、Cu、Ga、SnおよびBiからなる群;より好ましくは、Zn、Ti、Zr、Hf、V、Fe、SnおよびBiからなる群より選択され、L
4
は、-OHおよび-O-(C1~C10アルキル)、特に、-O-(C1~C8アルキル)または-O-(C1~C6アルキル)からなる群より選択されるか、またはL
4
は、-OH、-O-メチル、-O-エチル、-O-プロピル、-O-ブチル、-O-オクチル、-O-イソプロピルおよび-O-イソブチルからなる群より選択されるが、
但し、少なくとも1つのXは、M
3
、-M
3
L
1
Δ
または-Si(R
8
)-O-M
3
L
1
Δ
を表すことを条件とする。
【0068】
L
1
Δ
、L
2
Δ
、L
3
Δ
、L
4
Δ
に対して存在し得る配位子の数(Δ)は、使用される金属原子の自由原子価の数値から直接決定され、その原子価の数値は、その金属の原子価を記述していることは、当業者に公知である。
【0069】
さらなる実施形態において、本発明の組成物の金属シルセスキオキサンは、一般式(Y
0.25
R
#
SiO
1.25
)
4
(Z
0.75
Y
0.25
XO)
4
(OQ)
2
を有し、式中、各Xは、互いに独立して、Si、M
1
、-M
3
L
1
Δ
、M
3
または-Si(R
8
)-O-M
3
L
1
Δ
からなる群より選択され、M
1
およびM
3
は、互いに独立して、sおよびpブロック金属、dおよびfブロック遷移金属、ランタニドおよびアクチニド金属ならびに半金属からなる群、特に、第1、第2、第3、第4、第5、第8、第10および第11亜族の金属ならびに第1、第2、第3、第4および第5主族の金属からなる群、好ましくは、Na、Zn、Sc、Nd、Ti、Zr、Hf、V、Fe、Pt、Cu、Ga、SnおよびBiからなる群;より好ましくは、Zn、Ti、Zr、Hf、V、Fe、SnおよびBiからなる群より選択され、L
1
は、-OHおよび-O-(C1~C10アルキル)、特に、-O-(C1~C8アルキル)または-O-(C1~C6アルキル)からなる群より選択されるか、またはL
1
は、-OH、-O-メチル、-O-エチル、-O-プロピル、-O-ブチル、-O-オクチル、-O-イソプロピルおよび-O-イソブチルからなる群より選択され、R
8
は、必要に応じて置換されるC1~C20アルキル、必要に応じて置換されるC3~C6シクロアルキル、必要に応じて置換されるC2~C20アルケニルおよび必要に応じて置換されるC6~C10アリールからなる群より選択され;
各Zは、互いに独立して、L
2
、R
5
、R
6
およびR
7
からなる群より選択され、ここで、L
2
は、-OHおよび-O-(C1~C10アルキル)、特に、-O-(C1~C8アルキル)または-O-(C1~C6アルキル)からなる群より選択されるか、またはL
2
は、-OH、-O-メチル、-O-エチル、-O-プロピル、-O-ブチル、-O-オクチル、-O-イソプロピルおよび-O-イソブチルからなる群より選択され;
R
#
、R
5
、R
6
およびR
7
の各々は、互いに独立して、必要に応じて置換されるC1~C20アルキル、必要に応じて置換されるC3~C6シクロアルキル、必要に応じて置換されるC2~C20アルケニルおよび必要に応じて置換されるC6~C10アリールからなる群より選択され;各Yは、互いに独立して、-O-M
2
-L
3
Δ
を表すか、または2つのYが、一体となり、一体となって、-O-M
2
(L
3
Δ
)-O-または-O-を表し、
L
3
は、-OHおよび-O-(C1~C10アルキル)、特に、-O-(C1~C8アルキル)または-O-(C1~C6アルキル)からなる群より選択されるか、またはL
3
は、-OH、-O-メチル、-O-エチル、-O-プロピル、-O-ブチル、-O-オクチル、-O-イソプロピルおよび-O-イソブチルからなる群より選択され、
各M
2
は、互いに独立して、sおよびpブロック金属、dおよびfブロック遷移金属、ランタニドおよびアクチニド金属ならびに半金属からなる群、特に、第1、第2、第3、第4、第5、第8、第10および第11亜族の金属ならびに第1、第2、第3、第4および第5主族の金属からなる群、好ましくは、Na、Zn、Sc、Nd、Ti、Zr、Hf、V、Fe、Pt、Cu、Ga、SnおよびBiからなる群;より好ましくは、Zn、Ti、Zr、Hf、V、Fe、SnおよびBiからなる群より選択され、
各Qは、互いに独立して、H、M
4
L
4
Δ
、-SiR
8
、-M
3
L
1
Δ
、XのM
3
に連結する単結合、またはラジカル-Si(R
8
)-O-M
3
L
1
Δ
のSi原子に連結する単結合を表し、ここで、M
3
、R
8
およびL
1
は、Xについての通りに定義され、
M
4
は、sおよびpブロック金属、dおよびfブロック遷移金属、ランタニドおよびアクチニド金属ならびに半金属からなる群、特に、第1、第2、第3、第4、第5、第8、第10および第11亜族の金属ならびに第1、第2、第3、第4および第5主族の金属からなる群、好ましくは、Na、Zn、Sc、Nd、Ti、Zr、Hf、V、Fe、Pt、Cu、Ga、SnおよびBiからなる群;より好ましくは、Zn、Ti、Zr、Hf、V、Fe、SnおよびBiからなる群より選択され、L
4
は、-OHおよび-O-(C1~C10アルキル)、特に、-O-(C1~C8アルキル)または-O-(C1~C6アルキル)からなる群より選択されるか、またはL
4
は、-OH、-O-メチル、-O-エチル、-O-プロピル、-O-ブチル、-O-オクチル、-O-イソプロピルおよび-O-イソブチルからなる群より選択されるが、
但し、少なくとも1つのXは、M
3
、-M
3
L
1
Δ
または-Si(R
8
)-O-M
3
L
1
Δ
を表すことを条件とする。
【0070】
本発明の金属シルセスキオキサンは、好ましくは、一般式Si
4
O
9
R
1
R
2
R
3
R
4
X
1
X
2
X
3
X
4
OQ
1
OQ
2
Y
1
Y
2
Z
1
Z
2
Z
3
を有し、式中、
X
1
、X
2
およびX
3
は、互いに独立して、SiまたはM
1
から選択され、ここで、M
1
は、sおよびpブロック金属、dおよびfブロック遷移金属、ランタニドおよびアクチニド金属ならびに半金属からなる群、特に、第1、第2、第3、第4、第5、第8、第10および第11亜族の金属ならびに第1、第2、第3、第4および第5主族の金属からなる群、好ましくは、Na、Zn、Sc、Nd、Ti、Zr、Hf、V、Fe、Pt、Cu、Ga、SnおよびBiからなる群;より好ましくは、Zn、Ti、Zr、Hf、V、Fe、SnおよびBiからなる群より選択され、
Z
1
、Z
2
およびZ
3
は、互いに独立して、L
2
、R
5
、R
6
およびR
7
からなる群より選択され、ここで、L
2
は、-OHおよび-O-(C1~C10アルキル)、特に、-O-(C1~C8アルキル)または-O-(C1~C6アルキル)からなる群より選択されるか、またはL
2
は、-OH、-O-メチル、-O-エチル、-O-プロピル、-O-ブチル、-O-オクチル、-O-イソプロピルおよび-O-イソブチルからなる群より選択され;
R
1
、R
2
、R
3
、R
4
、R
5
、R
6
およびR
7
は、互いに独立して、必要に応じて置換
されるC1~C20アルキル、必要に応じて置換されるC3~C8シクロアルキル、必要に応じて置換されるC2~C20アルケニルおよび必要に応じて置換されるC5~C10アリールからなる群より選択され;
Y
1
およびY
2
は、互いに独立して、-O-M
2
-L
3
Δ
を表すか、またはY
1
およびY
2
は、一体となり、一体となって-O-M
2
(L
3
Δ
)-O-または-O-を表し、
ここで、L
3
は、-OHおよび-O-(C1~C10アルキル)、特に、-O-(C1~C8アルキル)または-O-(C1~C6アルキル)からなる群より選択されるか、またはL
3
は、-OH、-O-メチル、-O-エチル、-O-プロピル、-O-ブチル、-O-オクチル、-O-イソプロピルおよび-O-イソブチルからなる群より選択され、M
2
は、sおよびpブロック金属、dおよびfブロック遷移金属、ランタニドおよびアクチニド金属ならびに半金属からなる群、特に、第1、第2、第3、第4、第5、第8、第10および第11亜族の金属ならびに第1、第2、第3、第4および第5主族の金属からなる群、好ましくは、Na、Zn、Sc、Nd、Ti、Zr、Hf、V、Fe、Pt、Cu、Ga、SnおよびBiからなる群;より好ましくは、Zn、Ti、Zr、Hf、V、Fe、SnおよびBiからなる群より選択され、
X
4
は、-M
3
L
1
Δ
またはM
3
を表し、Q
1
およびQ
2
は、各場合において、HまたはM
3
に連結する単結合を表し、ここで、L
1
は、-OHおよび-O-(C1~C10アルキル)、特に、-O-(C1~C8アルキル)または-O-(C1~C6アルキル)からなる群より選択されるか、またはL
1
は、-OH、-O-メチル、-O-エチル、-O-プロピル、-O-ブチル、-O-オクチル、-O-イソプロピルおよび-O-イソブチルからなる群より選択され、M
3
は、sおよびpブロック金属、dおよびfブロック遷移金属、ランタニドおよびアクチニド金属ならびに半金属からなる群、特に、第1、第2、第3、第4、第5、第8、第10および第11亜族の金属ならびに第1、第2、第3、第4および第5主族の金属からなる群、好ましくは、Na、Zn、Sc、Nd、Ti、Zr、Hf、V、Fe、Pt、Cu、Ga、SnおよびBiからなる群;より好ましくは、Zn、Ti、Zr、Hf、V、Fe、SnおよびBiからなる群より選択されるか、または
X
4
は、-M
3
L
1
Δ
を表し、Q
2
は、H、またはM
3
に連結する単結合を表し、
Q
1
は、H、M
4
L
4
Δ
または-SiR
8
を表し、ここで、M
4
は、sおよびpブロック金属、dおよびfブロック遷移金属、ランタニドおよびアクチニド金属ならびに半金属からなる群、特に、第2、第3、第4、第5および第8亜族の金属ならびに第1、第2、第3、第4および第5主族の金属からなる群、特に、Zn、Sc、Ti、Zr、Hf、V、Pt、Ga、SnおよびBiからなる群より選択され、
L
4
は、-OHおよび-O-(C1~C10アルキル)、特に、-O-(C1~C8アルキル)または-O-(C1~C6アルキル)からなる群より選択されるか、または
L
4
は、-OH、-O-メチル、-O-エチル、-O-プロピル、-O-ブチル、-O-オクチル、-O-イソプロピルおよび-O-イソブチルからなる群より選択され、R
8
は、必要に応じて置換されるC1~C20アルキル、必要に応じて置換されるC3~C8シクロアルキル、必要に応じて置換されるC2~C20アルケニルおよび必要に応じて置換されるC5~C10アリールからなる群より選択されるか、
または
X
4
、Q
1
およびQ
2
は、互いに独立して、-M
3
L
1
Δ
を表すか、
または
X
4
は、-Si(R
8
)-O-M
3
L
1
Δ
を表し、Q
2
は、X
4
のSi原子に連結する単結合を表し、Q
1
は、-M
4
L
4
Δ
を表すか、
または
X
4
は、-Si(R
8
)-O-M
3
L
1
Δ
を表し、Q
2
は、X
4
のSi原子に連結する単結合を表し、Q
1
は、X
4
のM
3
原子に連結する単結合を表す。
【0071】
さらなる実施形態において、金属シルセスキオキサンは、一般式(X
4
)(Z
1
Y
1
X
2
O)(Z
2
X
1
O
2
)(Z
3
X
3
O
2
)(R
1
Y
2
SiO)(R
3
SiO)(R
4
Si
O
2
)(R
2
SiO
2
)(Q
1
)(Q
2
)を有し、式中、
X
1
、X
2
およびX
3
は、互いに独立して、SiまたはM
1
から選択され、ここで、M
1
は、sおよびpブロック金属、dおよびfブロック遷移金属、ランタニドおよびアクチニド金属ならびに半金属からなる群、特に、第1、第2、第3、第4、第5、第8、第10および第11亜族の金属ならびに第1、第2、第3、第4および第5主族の金属からなる群、好ましくは、Na、Zn、Sc、Nd、Ti、Zr、Hf、V、Fe、Pt、Cu、Ga、SnおよびBiからなる群;より好ましくは、Zn、Ti、Zr、Hf、V、Fe、SnおよびBiからなる群より選択され、
Z
1
、Z
2
およびZ
3
は、互いに独立して、L
2
、R
5
、R
6
およびR
7
からなる群より選択され、ここで、L
2
は、-OHおよび-O-(C1~C10アルキル)、特に、-O-(C1~C8アルキル)または-O-(C1~C6アルキル)からなる群より選択されるか、またはL
2
は、-OH、-O-メチル、-O-エチル、-O-プロピル、-O-ブチル、-O-オクチル、-O-イソプロピルおよび-O-イソブチルからなる群より選択され;
R
1
、R
2
、R
3
、R
4
、R
5
、R
6
およびR
7
は、互いに独立して、必要に応じて置換されるC1~C20アルキル、必要に応じて置換されるC3~C6シクロアルキル、必要に応じて置換されるC2~C20アルケニルおよび必要に応じて置換されるC6~C10アリールからなる群より選択され;
Y
1
およびY
2
は、互いに独立して、-O-M
2
-L
3
Δ
を表すか、またはY
1
およびY
2
は、一体となり、一体となって-O-M
2
(L
3
Δ
)-O-または-O-を表し、
ここで、L
3
は、-OHおよび-O-(C1~C10アルキル)、特に、-O-(C1~C8アルキル)または-O-(C1~C6アルキル)からなる群より選択されるか、またはL
3
は、-OH、-O-メチル、-O-エチル、-O-プロピル、-O-ブチル、-O-オクチル、-O-イソプロピルおよび-O-イソブチルからなる群より選択され、M
2
は、sおよびpブロック金属、dおよびfブロック遷移金属、ランタニドおよびアクチニド金属ならびに半金属からなる群、特に、第1、第2、第3、第4、第5、第8、第10および第11亜族の金属ならびに第1、第2、第3、第4および第5主族の金属からなる群、好ましくは、Na、Zn、Sc、Nd、Ti、Zr、Hf、V、Fe、Pt、Cu、Ga、SnおよびBiからなる群;より好ましくは、Zn、Ti、Zr、Hf、V、Fe、SnおよびBiからなる群より選択され、
X
4
は、-M
3
L
1
Δ
またはM
3
を表し、Q
1
およびQ
2
は、各場合において、HまたはM
3
に連結する単結合を表し、ここで、L
1
は、-OHおよび-O-(C1~C10アルキル)、特に、-O-(C1~C8アルキル)または-O-(C1~C6アルキル)からなる群より選択されるか、またはL
1
は、-OH、-O-メチル、-O-エチル、-O-プロピル、-O-ブチル、-O-オクチル、-O-イソプロピルおよび-O-イソブチルからなる群より選択され、M
3
は、sおよびpブロック金属、dおよびfブロック遷移金属、ランタニドおよびアクチニド金属ならびに半金属からなる群、特に、第1、第2、第3、第4、第5、第8、第10および第11亜族の金属ならびに第1、第2、第3、第4および第5主族の金属からなる群、好ましくは、Na、Zn、Sc、Nd、Ti、Zr、Hf、V、Fe、Pt、Cu、Ga、SnおよびBiからなる群;より好ましくは、Zn、Ti、Zr、Hf、V、Fe、SnおよびBiからなる群より選択されるか、または
X
4
は、-M
3
L
1
Δ
を表し、Q
2
は、H、またはM
3
に連結する単結合を表し、
Q
1
は、H、M
4
L
4
Δ
または-SiR
8
を表し、ここで、M
4
は、sおよびpブロック金属、dおよびfブロック遷移金属、ランタニドおよびアクチニド金属ならびに半金属からなる群、特に、第2、第3、第4、第5および第8亜族の金属ならびに第1、第2、第3、第4および第5主族の金属からなる群、特に、Zn、Sc、Ti、Zr、Hf、V、Pt、Ga、SnおよびBiからなる群より選択され、
L
4
は、-OHおよび-O-(C1~C10アルキル)、特に、-O-(C1~C8アルキル)または-O-(C1~C6アルキル)からなる群より選択されるか、または
L
4
は、-OH、-O-メチル、-O-エチル、-O-プロピル、-O-ブチル、-
O-オクチル、-O-イソプロピルおよび-O-イソブチルからなる群より選択され、R
8
は、必要に応じて置換されるC1~C20アルキル、必要に応じて置換されるC3~C6シクロアルキル、必要に応じて置換されるC2~C20アルケニルおよび必要に応じて置換されるC6~C10アリールからなる群より選択されるか、
または
X
4
、Q
1
およびQ
2
は、互いに独立して、-M
3
L
1
Δ
を表すか、
または
X
4
は、-Si(R
8
)-O-M
3
L
1
Δ
を表し、Q
2
は、X
4
のSi原子に連結する単結合を表し、Q
1
は、-M
4
L
4
Δ
を表すか、
または
X
4
は、-Si(R
8
)-O-M
3
L
1
Δ
を表し、Q
2
は、X
4
のSi原子に連結する単結合を表し、Q
1
は、X
4
のM
3
原子に連結する単結合を表す。
【0072】
好ましい実施形態では、金属シルセスキオキサンは、一般式(III)
【化5】
を有し、式中、
X
1
、X
2
およびX
3
は、互いに独立して、SiまたはM
1
から選択され、ここで、M
1
は、sおよびpブロック金属、dおよびfブロック遷移金属、ランタニドおよびアクチニド金属ならびに半金属からなる群、特に、第1、第2、第3、第4、第5、第8、第10および第11亜族の金属ならびに第1、第2、第3、第4および第5主族の金属からなる群、好ましくは、Na、Zn、Sc、Nd、Ti、Zr、Hf、V、Fe、Pt、Cu、Ga、SnおよびBiからなる群;より好ましくは、Zn、Ti、Zr、Hf、V、Fe、SnおよびBiからなる群より選択され、
Z
1
、Z
2
およびZ
3
は、互いに独立して、L
2
、R
5
、R
6
およびR
7
からなる群より選択され、ここで、L
2
は、-OHおよび-O-(C1~C10アルキル)、特に、-O-(C1~C8アルキル)または-O-(C1~C6アルキル)からなる群より選択されるか、またはL
2
は、-OH、-O-メチル、-O-エチル、-O-プロピル、-O-ブチル、-O-オクチル、-O-イソプロピルおよび-O-イソブチルからなる群より選択され;
R
1
、R
2
、R
3
、R
4
、R
5
、R
6
およびR
7
は、互いに独立して、必要に応じて置換されるC1~C20アルキル、必要に応じて置換されるC3~C8シクロアルキル、必要に応じて置換されるC2~C20アルケニルおよび必要に応じて置換されるC5~C10アリールからなる群より選択され;
Y
1
およびY
2
は、互いに独立して、-O-M
2
-L
3
Δ
を表すか、またはY
1
およびY
2
は、一体となり、一体となって-O-M
2
(L
3
Δ
)-O-または-O-を表し、
ここで、L
3
は、-OHおよび-O-(C1~C10アルキル)、特に、-O-(C1~C8アルキル)または-O-(C1~C6アルキル)からなる群より選択されるか、またはL
3
は、-OH、-O-メチル、-O-エチル、-O-プロピル、-O-ブチル、-O-オクチル、-O-イソプロピルおよび-O-イソブチルからなる群より選択され、
M
2
は、sおよびpブロック金属、dおよびfブロック遷移金属、ランタニドおよびアクチニド金属ならびに半金属からなる群、特に、第1、第2、第3、第4、第5、第8、第10および第11亜族の金属ならびに第1、第2、第3、第4および第5主族の金属からなる群、好ましくは、Na、Zn、Sc、Nd、Ti、Zr、Hf、V、Fe、Pt、Cu、Ga、SnおよびBiからなる群;より好ましくは、Zn、Ti、Zr、Hf、V、Fe、Sn、Biからなる群より選択され、
X
4
は、-M
3
L
1
Δ
またはM
3
を表し、Q
1
およびQ
2
は、各場合において、HまたはM
3
に連結する単結合を表し、ここで、L
1
は、-OHおよび-O-(C1~C10アルキル)、特に、-O-(C1~C8アルキル)または-O-(C1~C6アルキル)からなる群より選択されるか、またはL
1
は、-OH、-O-メチル、-O-エチル、-O-プロピル、-O-ブチル、-O-オクチル、-O-イソプロピルおよび-O-イソブチルからなる群より選択され、M
3
は、sおよびpブロック金属、dおよびfブロック遷移金属、ランタニドおよびアクチニド金属ならびに半金属からなる群、特に、第1、第2、第3、第4、第5、第8、第10および第11亜族の金属ならびに第1、第2、第3、第4および第5主族の金属からなる群、好ましくは、Na、Zn、Sc、Nd、Ti、Zr、Hf、V、Fe、Pt、Cu、Ga、SnおよびBiからなる群;より好ましくは、Zn、Ti、Zr、Hf、V、Fe、Sn、Biからなる群より選択されるか、または
X
4
は、-M
3
L
1
Δ
を表し、Q
2
は、H、またはM
3
に連結する単結合を表し、
Q
1
は、H、M
4
L
4
Δ
または-SiR
8
を表し、ここで、M
4
は、sおよびpブロック金属、dおよびfブロック遷移金属、ランタニドおよびアクチニド金属ならびに半金属からなる群、特に、第1、第2、第3、第4、第5、第8、第10および第11亜族の金属ならびに第1、第2、第3、第4および第5主族の金属からなる群、好ましくは、Na、Zn、Sc、Nd、Ti、Zr、Hf、V、Fe、Pt、Cu、Ga、SnおよびBiからなる群、より好ましくは、Zn、Ti、Zr、Hf、V、Fe、SnおよびBiからなる群より選択され、
L
4
は、-OHおよび-O-(C1~C10アルキル)、特に、-O-(C1~C8アルキル)または-O-(C1~C6アルキル)からなる群より選択されるか、または
L
4
は、-OH、-O-メチル、-O-エチル、-O-プロピル、-O-ブチル、-O-オクチル、-O-イソプロピルおよび-O-イソブチルからなる群より選択され、R
8
は、必要に応じて置換されるC1~C20アルキル、必要に応じて置換されるC3~C6シクロアルキル、必要に応じて置換されるC2~C20アルケニルおよび必要に応じて置換されるC6~C10アリールからなる群より選択されるか、
または
X
4
、Q
1
およびQ
2
は、互いに独立して、-M
3
L
1
Δ
を表すか、
または
X
4
は、-Si(R
8
)-O-M
3
L
1
Δ
を表し、Q
2
は、X
4
のSi原子に連結する単結合を表し、Q
1
は、-M
4
L
4
Δ
を表すか、
または
X
4
は、-Si(R
8
)-O-M
3
L
1
Δ
を表し、Q
2
は、X
4
のSi原子に連結する単結合を表し、Q
1
は、X
4
のM
3
原子に連結する単結合を表す。
【0073】
追加の好ましい実施形態において、金属シルセスキオキサンは、一般式(III)を有し、式中、X
1
、X
2
およびX
3
は、互いに独立して、Siを表し、
X
4
は、-M
3
L
1
Δ
を表し、Q
1
およびQ
2
は、各場合において、M
3
に連結する単結合を表し、L
1
は、-OHおよび-O-(C1~C10アルキル)、特に、-O-(C1~C8アルキル)または-O-(C1~C6アルキル)からなる群より選択されるか、またはL
1
は、-OH、-O-メチル、-O-エチル、-O-プロピル、-O-ブチル、-O-オクチル、-O-イソプロピルおよび-O-イソブチルからなる群より選択され、M
3
は、sおよびpブロック金属、dおよびfブロック遷移金属、ランタニドおよびアクチニド金属ならびに半金属からなる群、特に、第1、第2、第3、第4、第5、第8、第1
0および第11亜族の金属ならびに第1、第2、第3、第4および第5主族の金属からなる群、好ましくは、Na、Zn、Sc、Nd、Ti、Zr、Hf、V、Fe、Pt、Cu、Ga、SnおよびBiからなる群;より好ましくは、Zn、Ti、Zr、Hf、V、Fe、SnおよびBiからなる群より選択され、
Z
1
、Z
2
およびZ
3
は各々、互いに独立して、必要に応じて置換されるC1~C20アルキル、必要に応じて置換されるC3~C8シクロアルキル、必要に応じて置換されるC2~C20アルケニルおよび必要に応じて置換されるC5~C10アリールから選択され、
R
l
、R
2
、R
3
は各々、互いに独立して、必要に応じて置換されるC1~C20アルキル、必要に応じて置換されるC3~C8シクロアルキル、必要に応じて置換されるC2~C20アルケニルおよび必要に応じて置換されるC5~C10アリールから選択され、
Y
1
およびY
2
は、一体となり、一体となって-O-を形成する。
【0074】
1つの実施形態において、式(III)に記載の金属シルセスキオキサンは、存在する金属当量に応じて、モノマー、ダイマー、トリマー、マルチマーおよび/またはそれらの混合物として、本発明の金属シロキサン-シラノール(シラノレート)化合物に存在し得、例えば、式(IIIa)~(IIIc)
【化6-1】
【化6-2】
に記載の構造が可能であり、式中、Mは、sおよびpブロック金属、dおよびfブロック遷移金属、ランタニドおよびアクチニド金属ならびに半金属からなる群、特に、第1、第2、第3、第4、第5、第8、第10および第11亜族の金属ならびに第1、第2、第3、第4および第5主族の金属からなる群、好ましくは、Na、Zn、Sc、Nd、Ti、Zr、Hf、V、Fe、Pt、Cu、Ga、SnおよびBiからなる群;より好ましくは、Zn、Ti、Zr、Hf、V、Fe、SnおよびBiからなる群より選択され、各Rは、互いに独立して、必要に応じて置換されるC1~C20アルキル、必要に応じて置換されるC3~C8シクロアルキル、必要に応じて置換されるC2~C20アルケニル、必要に応じて置換されるC5~C10アリール、-OHおよび-O-(C1~C10アルキル)からなる群より選択される。この場合、四価金属Mは、いくつかのケージの共通部分である。同時に、金属Mへの結合の数が金属Mの原子価に左右されることは、当業者に公知である。必要であれば、構造式(IIIa)~(IIIc)は、しかるべく適合されるべきである。
【0075】
本発明の組成物の1つの実施形態では、式(III)、(IIIa)、(IIIb)および(IIIc)に記載の金属シルセスキオキサンの混合物が存在する。
【0076】
一つの特に好ましい実施形態では、金属シルセスキオキサンは、一般式(IV)
【化7】
を有し、式中、
X
1
、X
2
およびX
3
は、互いに独立して、SiまたはM
1
から選択され、ここで、M
1
は、sおよびpブロック金属、dおよびfブロック遷移金属、ランタニドおよびアクチニド金属ならびに半金属からなる群、特に、第1、第2、第3、第4、第5、第8、第10および第11亜族の金属ならびに第1、第2、第3、第4および第5主族の金属からなる群、好ましくは、Na、Zn、Sc、Nd、Ti、Zr、Hf、V、Fe、Pt、Cu、Ga、SnおよびBiからなる群;より好ましくは、Zn、Ti、Zr、Hf、V、Fe、SnおよびBiからなる群より選択され、
Z
1
、Z
2
およびZ
3
は、互いに独立して、L
2
、R
5
、R
6
およびR
7
からなる群より選択され、ここで、L
2
は、-OHおよび-O-(C1~C10アルキル)、特に、-O-(C1~C8アルキル)または-O-(C1~C6アルキル)からなる群より選択されるか、またはL
2
は、-OH、-O-メチル、-O-エチル、-O-プロピル、-O-ブチル、-O-オクチル、-O-イソプロピルおよび-O-イソブチルからなる群より選択され;
R
1
、R
2
、R
3
、R
4
、R
5
、R
6
およびR
7
は、互いに独立して、必要に応じて置換されるC1~C20アルキル、必要に応じて置換されるC3~C8シクロアルキル、必要に応じて置換されるC2~C20アルケニルおよび必要に応じて置換されるC5~C10アリールからなる群より選択され;
X
4
は、-M
3
L
1
Δ
を表し、ここで、L
1
は、-OHおよび-O-(C1~C10アルキル)、特に、-O-(C1~C8アルキル)または-O-(C1~C6アルキル)からなる群より選択されるか、またはL
1
は、-OH、-O-メチル、-O-エチル、-O-プロピル、-O-ブチル、-O-オクチル、-O-イソプロピルおよび-O-イソブチルからなる群より選択され、M
3
は、sおよびpブロック金属、dおよびfブロック遷移金属、ランタニドおよびアクチニド金属ならびに半金属からなる群、特に、第1、第2、第3、第4、第5、第8、第10および第11亜族の金属ならびに第1、第2、第3、第4および第5主族の金属からなる群、好ましくは、Na、Zn、Sc、Nd、Ti、Zr、Hf、V、Fe、Pt、Cu、Ga、SnおよびBiからなる群;より好ましくは、Zn、Ti、Zr、Hf、V、Fe、SnおよびBiからなる群より選択される。
【0077】
別の特に好ましい実施形態において、金属シルセスキオキサンは、一般構造式(V)
【化8】
を有し、式中、X
4
は、-M
3
L
1
Δ
を表し、L
1
は、-OHおよび-O-(C1~C10アルキル)、特に、-O-(C1~C8アルキル)または-O-(C1~C6アルキル)からなる群より選択されるか、またはL
1
は、-OH、-O-メチル、-O-エチル、-O-プロピル、-O-ブチル、-O-オクチル、-O-イソプロピルおよび-O-イソブチルからなる群より選択され、
M
3
は、sおよびpブロック金属、dおよびfブロック遷移金属、ランタニドおよびアクチニド金属ならびに半金属からなる群、特に、第1、第2、第3、第4、第5、第8、第10および第11亜族の金属ならびに第1、第2、第3、第4および第5主族の金属からなる群、好ましくは、Na、Zn、Sc、Nd、Ti、Zr、Hf、V、Fe、Pt、C
u、Ga、SnおよびBiからなる群;より好ましくは、Zn、Ti、Zr、Hf、V、Fe、SnおよびBiからなる群より選択され、
Z
1
、Z
2
およびZ
3
は、互いに独立して、必要に応じて置換されるC1~C20アルキル、必要に応じて置換されるC3~C8シクロアルキル、必要に応じて置換されるC2~C20アルケニルおよび必要に応じて置換されるC5~C10アリールからなる群より選択され;
R
l
、R
2
、R
3
およびR
4
は各々、互いに独立して、必要に応じて置換されるC1~C20アルキル、必要に応じて置換されるC3~C8シクロアルキル、必要に応じて置換されるC2~C20アルケニルおよび必要に応じて置換されるC5~C10アリールからなる群より選択される。
【0078】
さらに、本発明は、一般構造式(V)の金属シルセスキオキサンに関し、式中、X
4
は、-M
3
L
1
Δ
を表し、L
1
は、-OHおよび-O-(C1~C10アルキル)、特に、-O-(C1~C8アルキル)または-O-(C1~C6アルキル)からなる群より選択されるか、またはL
1
は、-OH、-O-メチル、-O-エチル、-O-プロピル、-O-ブチル、-O-オクチル、-O-イソプロピルおよび-O-イソブチルからなる群より選択され、M
3
は、sおよびpブロック金属、dおよびfブロック遷移金属、ランタニドおよびアクチニド金属ならびに半金属からなる群、特に、第1、第2、第3、第4、第5、第8、第10および第11亜族の金属ならびに第1、第2、第3、第4および第5主族の金属からなる群、好ましくは、Na、Zn、Sc、Nd、Ti、Zr、Hf、V、Fe、Pt、Cu、Ga、SnおよびBiからなる群;より好ましくは、Zn、Ti、Zr、Hf、V、Fe、SnおよびBiからなる群より選択され、
Z
1
、Z
2
およびZ
3
は、互いに独立して、L
2
、R
5
、R
6
およびR
7
からなる群より選択され、L
2
は、-OHおよび-O-(C1~C10アルキル)、特に、-O-(C1~C8アルキル)または-O-(C1~C6アルキル)からなる群より選択されるか、またはL
2
は、-OH、-O-メチル、-O-エチル、-O-プロピル、-O-ブチル、-O-オクチル、-O-イソプロピルおよび-O-イソブチルからなる群より選択され、
R
1
、R
2
、R
3
、R
4
、R
5
、R
6
およびR
7
は、互いに独立して、必要に応じて置換されるC1~C20アルキル、必要に応じて置換されるC3~C8シクロアルキル、必要に応じて置換されるC2~C20アルケニルおよび必要に応じて置換されるC5~C10アリールからなる群より選択される。
【0079】
さらに、本発明のM3S化合物における式(V)に記載の金属シルセスキオキサンは、6倍の配位金属中心を含むことができ、式(Va)
【化9】
に記載の構造が可能であり、式中、各Mは、互いに独立して、sおよびpブロック金属、dおよびfブロック遷移金属、ランタニドおよびアクチニド金属ならびに半金属からなる群、特に、第1、第2、第3、第4、第5、第8、第10および第11亜族の金属ならびに第1、第2、第3、第4および第5主族の金属からなる群、好ましくは、Na、Zn、Sc、Nd、Ti、Zr、Hf、V、Fe、Pt、Cu、Ga、SnおよびBiからなる群;より好ましくは、Zn、Ti、Zr、Hf、V、Fe、SnおよびBiからなる群より選択され、各Rは、互いに独立して、必要に応じて置換されるC1~C20アルキル、必要に応じて置換されるC3~C8シクロアルキル、必要に応じて置換されるC2~C20アルケニル、必要に応じて置換されるC5~C10アリール、-OHおよび-O-(C1~C10アルキル)からなる群より選択される。
【0080】
本発明に係る硬化性組成物において、金属シロキサン-シラノール(シラノレート)化合物は、構造(III)、(IIIa)、(IIIb)、(IIIc)、(IV)、(V)および(Va)を含む混合物であり得る。
【0081】
1つの実施形態において、M3S化合物において定義されたケージ構造が、未定義のオリゴマーおよび/もしくはポリマー構造ならびに/またはそれらの混合物に加えて、存在する。
【0082】
好ましい実施形態において、M3S化合物における金属は、チタンである。
【0083】
特に好ましい実施形態において、本発明のM3S化合物の金属シルセスキオキサンは、構造(VI)
【化10】
を有し、式中、チタンは、ORに連結され、Rは、-H、-メチル、-エチル、-プロピル、-ブチル、-オクチル、-イソプロピルおよび-イソブチルからなる群より選択され、
Z
1
、Z
2
およびZ
3
は各々、互いに独立して、C1~C20アルキル、C3~C8シクロアルキル、C2~C20アルケニルおよびC5~C10アリールを表し、特に、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ビニル、アリル、ブテニルおよびフェニルおよびベンジルからなる群より選択され、R
l
、R
2
、R
3
およびR
4
は各々、互いに独立して、C1~C20アルキル、C3~C8シクロアルキル、C2~C20アルケニルおよびC5~C10アリールを表し、特に、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ビニル、アリル、ブテニルおよびフェニルおよびベンジルからなる群より選択される。
【0084】
特に好ましい実施形態において、本発明のM3S化合物の金属シルセスキオキサンは、構造(VII)
【化11】
を有し、式中、各Siは、イソブチルラジカルに連結され、チタンは、エタノラート配位子を有する。構造式(VII)の化合物は、本明細書中でIBU-POSS-TI-OEtと称される。
【0085】
特に好ましい実施形態において、金属シロキサン-シラノール(シラノレート)化合物は、IBU-POSS-Ti-OEtである。
【0086】
別の特に好ましい実施形態において、M3S化合物は、オクチル-POSS-Ti-O
Etであり、式中、各Siは、オクチルラジカルに連結され、チタンは、エタノラート配位子を有する。
【0087】
さらに、本発明は、一般式HO-(SiR
l
R
m
O)
o
-Hのシリコーン化合物に関し、式中、oは、5~4,000の整数である。
【0088】
好ましい実施形態において、シリコーン化合物HO-(SiR
l
R
m
O)
o
-Hにおけるoは、特に、100~3,000、500~2,500、800~2,000または1,000~1,600の整数である。
【0089】
別の実施形態において、シリコーン化合物HO-(SiR
l
R
m
O)
o
-Hは、400~5,000,000、特に、3,000~2,500,000、15,000~1,000,000、30,000~750,000、50,000~500,000または70,000~120,000の重量平均分子量Mwを有する。
【0090】
さらに、本組成物は、25℃において20~500,000cStの動粘性率を有するシリコーン化合物HO-(SiR
l
R
m
O)
o
-Hに関する。
【0091】
好ましい実施形態において、シリコーン化合物HO-(SiR
l
R
m
O)
o
-Hは、25℃において20~350,000cStまたは20,000~100,000cStまたは20,000~90,000cStまたは20,000~80,000cStの動粘性率を有する。
【0092】
追加の好ましい実施形態において、本発明は、シリコーン化合物HO-(SiR
l
R
m
O)o-Hに関し、式中、R
l
およびR
m
は、互いに独立して、必要に応じて置換される直鎖または分枝鎖のC1~C16アルキル基、特に、必要に応じて置換される直鎖または分枝鎖のC1~C12またはC1~C8アルキル基、必要に応じて置換される直鎖または分枝鎖のC2~C16アルケニル基、特に、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC2~C12もしくはC2~C8アルケニル基または必要に応じて置換されるC4~C14アリール基、特に、必要に応じて置換されるC4~C10アリール基を表す。
【0093】
特に好ましい実施形態において、本発明は、シリコーン化合物HO-(SiR
l
R
m
O)
o
-Hに関し、式中、R
l
およびR
m
は、互いに独立して、メチル、エチル、プロピル、ブチル、トリフルオロメチル、ビニル、アリル、ブテニル、フェニルおよびナフチルからなる群より選択される。
【0094】
特に好ましい実施形態において、本発明は、シリコーン化合物HO-(SiR
l
R
m
O)
o
-Hに関し、式中、そのシリコーン化合物は、α,ω-ジヒドロキシ-ジメチルポリシロキサンである。
【0095】
さらに、本発明の組成物は、一般式Si(R)
m
(R
a
)
4-m
の架橋剤に関し、式中、各R
a
は、互いに独立して、
・一般構造式(I):
【化12】
を有するヒドロキシカルボン酸エステルラジカル、
・一般構造式(II):
【化13】
を有するヒドロキシカルボン酸アミドラジカル、
・カルボン酸ラジカル-O-C(O)-R
f
、
・オキシムラジカル-O-N=CR
g
R
h
、
・カルボン酸アミドラジカル-N(R
i
)-C(O)-R
j
、
・アルコキシラジカル-OR
k
からなる群より選択される。
【0096】
好ましい実施形態において、架橋剤は、一般式Si(R)
m
(R
a
)
4-m
のラジカルRを含み、式中、各ラジカルRは、互いに独立して、必要に応じて置換される直鎖または分枝鎖のC1~C12アルキル基、特に、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C8アルキル基または必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC2~C12アルケニル基、特に、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC2~C8アルケニル基または必要に応じて置換されるC4~C10アリール基を表す。
【0097】
特に好ましい実施形態において、一般式Si(R)
m
(R
a
)
4-m
の架橋剤の各ラジカルRは、互いに独立して、メチル、エチル、プロピル、ビニル、フェニルまたはアリルラジカルを表す。
【0098】
1つの実施形態において、一般式Si(R)
m
(R
a
)
4-m
の架橋剤は、ラジカルR
a
-OR
k
を含み、式中、R
k
は、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C12アルキル基、必要に応じて置換されるC4~C10シクロアルキル基または必要に応じて置換されるC4~C10アリール基または必要に応じて置換されるC5~C11アラルキル基、特に、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C8アルキル基、必要に応じて置換されるC4~C8シクロアルキル基または必要に応じて置換されるC4~C10アリール基または必要に応じて置換されるC5~C11アラルキル基である。
【0099】
さらなる実施形態において、一般式Si(R)
m
(R
a
)
4-m
の架橋剤は、ラジカルR
a
-OR
k
を含み、式中、R
k
は、フェニル、トリル、ナフチル、ベンジル、シクロヘキシル、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、n-ペンチル、sec-ペンチル、3-ペンチル、2-メチルブチル、イソペンチル、3-メチルブタ-2-イル、2-メチルブタ-2-イル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、エチルヘキシルおよび2-エチルヘキシルからなる群より選択される。
【0100】
好ましい実施形態において、本発明の組成物は、一般式Si(R)
m
(R
a
)
4-m
の架橋剤を含み、各R
a
は、互いに独立して、以下:
・一般構造式(I):
【化14】
を有するヒドロキシカルボン酸エステルラジカル、
・一般構造式(II):
【化15】
を有するヒドロキシカルボン酸アミドラジカル、
・カルボン酸ラジカル-O-C(O)-R
f
、
・オキシムラジカル-O-N=CR
g
R
h
、
・カルボン酸アミドラジカル-N(R
i
)-C(O)-R
j
、
からなる群より選択され、式中、
各R
b
は、互いに独立して、H、あるいは1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカル、特に、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C16アルキル基または必要に応じて置換されるC4~C14アリール基を表し、
各R
c
は、互いに独立して、H、あるいは1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカル、特に、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C16アルキル基または必要に応じて置換されるC4~C14アリール基を表し、
R
d
は、1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカル、特に、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C16アルキル基、必要に応じて置換されるC4~C14シクロアルキル基、必要に応じて置換されるC5~C15アラルキル基または必要に応じて置換されるC4~C14アリール基を表し、
R
e
は、C、または1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカル、特に、4~14個のC原子を有する必要に応じて置換される飽和もしくは部分不飽和の環式環系または4~14個のC原子を有する必要に応じて置換される芳香族基を表し、
nは、1~10の整数である、
各R
n
は、互いに独立して、H、あるいは1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカル、特に、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C16アルキル基または必要に応じて置換されるC4~C14アリール基を表し、
各R
o
は、互いに独立して、H、あるいは1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカル、特に、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C16アルキル基または必要に応じて置換されるC4~C14アリール基を表し、
R
p
およびR
q
は、互いに独立して、H、あるいは1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカル、特に、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C16アルキル基、必要に応じて置換されるC4~C14シクロアルキル基、必要に応じて置換されるC5~C15アラルキル基または必要に応じて置換されるC4~C14アリール基を表し、
R
r
は、C、あるいは1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカル、特に、4~14個のC原子を有する必要に応じて置換される飽和もしくは部分不飽和の環式環系または4~14個のC原子を有する必要に応じて置換される芳香族
基を表し、
pは、1~10の整数である、
R
f
は、H、あるいは1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカル、特に、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C16アルキル基、必要に応じて置換されるC4~C14シクロアルキル基または必要に応じて置換されるC4~C14アリール基または必要に応じて置換されるC5~C15アラルキル基を表す、R
g
およびR
h
は、互いに独立して、H、あるいは1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカル、特に、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C16アルキル基、必要に応じて置換されるC4~C14シクロアルキル基または必要に応じて置換されるC4~C14アリール基または必要に応じて置換されるC5~C15アラルキル基を表す、
R
i
は、H、あるいは1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカル、特に、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C16アルキル基、必要に応じて置換されるC4~C14シクロアルキル基または必要に応じて置換されるC4~C14アリール基または必要に応じて置換されるC5~C15アラルキル基を表し、R
j
は、H、あるいは1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカル、特に、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C16アルキル基、必要に応じて置換されるC4~C14シクロアルキル基または必要に応じて置換されるC4~C14アリール基または必要に応じて置換されるC5~C15アラルキル基を表す。
【0101】
好ましい実施形態において、架橋剤は、ラジカルRを含み、式中、各Rは、互いに独立して、必要に応じて置換される直鎖または分枝鎖のC1~C12アルキル基、特に、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C8アルキル基、または必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC2~C12アルケニル基、特に、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC2~C8アルケニル基、または必要に応じて置換されるC4~C10アリール基を表す。
【0102】
特に好ましい実施形態において、一般式Si(R)
m
(R
a
)
4-m
の架橋剤の各ラジカルRは、互いに独立して、メチル、エチル、プロピル、ビニル、フェニルまたはアリルラジカルである。
【0103】
1つの実施形態において、架橋剤のヒドロキシカルボン酸エステルラジカルにおけるR
b
およびR
c
の各々は、互いに独立して、必要に応じて置換される直鎖または分枝鎖のC1~C12アルキル基、特に、必要に応じて置換される直鎖または分枝鎖のC1~C8アルキル基である。
【0104】
好ましい実施形態において、架橋剤のヒドロキシカルボン酸エステルラジカルにおけるR
b
およびR
c
の各々は、互いに独立して、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチルおよびtert-ブチルからなる群、特に、Hおよびメチルからなる群より選択される。
【0105】
1つの実施形態において、架橋剤のヒドロキシカルボン酸エステルラジカルにおけるR
d
は、必要に応じて置換される直鎖または分枝鎖のC1~C12アルキル基、特に、必要に応じて置換される直鎖または分枝鎖のC1~C8アルキル基、C4~C10シクロアルキル基、C5~C11アラルキル基またはC4~C10アリール基である。
【0106】
好ましい実施形態において、架橋剤のヒドロキシカルボン酸エステルラジカルにおけるR
d
は、フェニル、トリル、ナフチル、ベンジル、シクロヘキシル、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、n-ペンチル、sec-ペンチル、3-ペンチル、2-メチルブチル
、イソペンチル、3-メチルブタ-2-イル、2-メチルブタ-2-イル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、エチルヘキシルおよび2-エチルヘキシルからなる群より選択される。
【0107】
好ましい実施形態において、架橋剤のヒドロキシカルボン酸エステルラジカルにおけるR
e
は、二価のベンゼンラジカルであるか、またはR
e
は、Cであり、R
b
およびR
c
は、Hであるか、またはR
e
は、Cであり、R
b
は、Hであり、R
c
は、メチルである。
【0108】
1つの実施形態において、架橋剤のヒドロキシカルボン酸エステルラジカルにおけるnは、1~5、特に、1~3の整数、特に、1である。
【0109】
特に好ましい実施形態において、ヒドロキシカルボン酸エステルラジカルを有する架橋剤は、メチル-トリス(エチルヘキシルサリチラト)シランおよび/またはプロピル-トリス(エチルヘキシルサリチラト)シランである。
【0110】
1つの実施形態において、本発明の組成物中の架橋剤のヒドロキシカルボン酸アミドラジカルにおけるR
n
およびR
o
の各々は、互いに独立して、H、あるいは必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C12アルキル基、特に、必要に応じて置換される直鎖または分枝鎖のC1~C8アルキル基である。
【0111】
好ましい実施形態において、架橋剤のヒドロキシカルボン酸アミドラジカルにおけるR
n
およびR
o
の各々は、互いに独立して、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチルおよびtert-ブチルからなる群、特に、Hおよびメチルからなる群より選択される。
【0112】
別の実施形態において、架橋剤のヒドロキシカルボン酸アミドラジカルにおけるR
p
およびR
q
は、互いに独立して、H、あるいは必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C12アルキル基、特に、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C8アルキル基または必要に応じて置換されるC4~C14シクロアルキル基またはC5~C11アラルキル基またはC4~C10アリール基である。
【0113】
好ましい実施形態において、架橋剤のヒドロキシカルボン酸アミドラジカルにおけるR
p
およびR
q
は、互いに独立して、H、フェニル、トリル、ナフチル、ベンジル、シクロヘキシル、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、n-ペンチル、sec-ペンチル、3-ペンチル、2-メチルブチル、iso-ペンチル、3-メチルブタ-2-イル、2-メチルブタ-2-イル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、エチルヘキシルおよび2-エチルヘキシルからなる群より選択される。
【0114】
1つの実施形態において、架橋剤のヒドロキシカルボン酸アミドラジカルにおけるR
r
は、二価のベンゼンラジカルであるか、またはR
r
は、Cであり、R
n
およびR
o
は、Hであるか、またはR
r
は、Cであり、R
n
は、Hであり、R
o
は、メチルである。
【0115】
さらなる実施形態において、架橋剤のヒドロキシカルボン酸アミドラジカルにおけるpは、1~5、特に、1~3の整数、特に、1である。
【0116】
1つの実施形態において、本発明の組成物の架橋剤のカルボン酸ラジカルにおけるR
f
は、H、あるいは必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C12アルキル基、必要に応じて置換されるC4~C10シクロアルキル基または必要に応じて置換されるC4~C10アリール基または必要に応じて置換されるC5~C11アラルキル基、特に
、H、あるいは必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C8アルキル基、必要に応じて置換されるC4~C8シクロアルキル基または必要に応じて置換されるC4~C10アリール基または必要に応じて置換されるC5~C11アラルキル基である。
【0117】
好ましい実施形態において、架橋剤のカルボン酸ラジカルにおけるR
f
は、H、フェニル、トリル、ナフチル、ベンジル、シクロヘキシル、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、n-ペンチル、sec-ペンチル、3-ペンチル、2-メチルブチル、イソペンチル、3-メチルブタ-2-イル、2-メチルブタ-2-イル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、エチルヘキシルおよび2-エチルヘキシルからなる群より選択される。
【0118】
特に好ましい実施形態において、カルボン酸ラジカルを有する架橋剤は、エチルトリアセトキシシランおよび/またはメチルトリアセトキシシランおよび/またはプロピルトリアセトキシシランである。
【0119】
別の実施形態において、本発明の架橋剤のオキシムラジカルにおけるR
g
およびR
h
は、互いに独立して、H、あるいは必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C12アルキル基、必要に応じて置換されるC4~C10シクロアルキル基または必要に応じて置換されるC4~C10アリール基または必要に応じて置換されるC5~C11アラルキル基、特に、H、あるいは必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C8アルキル基、必要に応じて置換されるC4~C8シクロアルキル基または必要に応じて置換されるC4~C10アリール基または必要に応じて置換されるC5~C11アラルキル基である。
【0120】
好ましい実施形態において、架橋剤のオキシムラジカルにおけるR
g
およびR
h
は、互いに独立して、H、フェニル、トリル、ナフチル、ベンジル、シクロヘキシル、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、n-ペンチル、sec-ペンチル、3-ペンチル、2-メチルブチル、イソペンチル、3-メチルブタ-2-イル、2-メチルブタ-2-イル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、エチルヘキシルおよび2-エチルヘキシルからなる群より選択される。
【0121】
特に好ましい実施形態において、オキシムラジカルを有する架橋剤は、メチル-トリス(2-ペンタノンオキシモ)シランおよび/またはビニル-トリス(2-ペンタノンオキシモ)シランである。
【0122】
1つの実施形態において、本発明の架橋剤のカルボン酸アミドラジカルにおけるR
i
およびR
j
は、互いに独立して、H、あるいは必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C12アルキル基、必要に応じて置換されるC4~C10シクロアルキル基または必要に応じて置換されるC4~C10アリール基または必要に応じて置換されるC5~C11アラルキル基、特に、H、あるいは必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C8アルキル基、必要に応じて置換されるC4~C8シクロアルキル基または必要に応じて置換されるC4~C10アリール基または必要に応じて置換されるC5~C11アラルキル基である。
【0123】
好ましい実施形態において、架橋剤のカルボン酸アミドラジカルにおけるR
i
およびR
j
は、互いに独立して、H、フェニル、トリル、ナフチル、ベンジル、シクロヘキシル、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、n-ペンチル、sec-ペンチル、3-ペンチル
、2-メチルブチル、イソペンチル、3-メチルブタ-2-イル、2-メチルブタ-2-イル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、エチルヘキシルおよび2-エチルヘキシルからなる群より選択される。
【0124】
特に好ましい実施形態において、カルボン酸アミドラジカルを有する架橋剤は、メチルエトキシ-ビス(N-メチルベンズアミド)シランである。
【0125】
別の特に好ましい実施形態では、記載されている架橋剤の混合物が、本発明に係る硬化性組成物のために使用される。
【0126】
さらに特に好ましい実施形態において、架橋剤は、上に記載されたような様々なラジカルR
a
を有する。
【0127】
さらに、本発明は、接着促進剤を含む組成物に関する。
【0128】
本発明の組成物において使用するための好ましい接着促進剤は、1つもしくはそれを超える反応性アミン基を有するオルガノシラン、1つもしくはそれを超える反応性カルボン酸基を有するオルガノシラン、1つもしくはそれを超える反応性エポキシ基を有するオルガノシランまたは1つもしくはそれを超える反応性チオール基を有するオルガノシランまたは1つもしくはそれを超える第三級アミン基を有するオルガノシラン、1つもしくはそれを超える尿素基を有するオルガノシラン、1つもしくはそれを超えるアミド基を有するオルガノシラン、1つもしくはそれを超えるカルバメート基を有するオルガノシランおよび1つもしくはそれを超えるイソシアヌレート基を有するオルガノシランを含み;好ましくは、前記構成要素の混合物が使用され得る。
【0129】
追加の好ましい実施形態において、本発明に係る組成物は、接着促進剤を含み、その接着促進剤は、特に、ジブトキシジアセトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ブチルアミノプロピルトリエトキシシラン、ブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、プロピルアミノプロピルトリエトキシシラン、プロピルアミノプロピルトリメトキシシラン、N-シクロヘキシル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-シクロヘキシル-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジプロピルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシプロピルシリルアセトキシプロピオンアミド、N,N’-ビス(トリメトキシシリルプロピル)尿素、N,N’-ビス(トリエトキシシリルプロピル)尿素、トリス(トリエトキシシリルプロピル)ジエチレン三尿素、ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、1,3,5-トリス(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、N-メチル(3-トリメトキシシリル)プロピル)カルバメート、N-エチル(3-トリエトキシシリル)プロピル)カルバメートおよびそれらの混合物、ならびにEvonikからDynasylan DAMOとして入手可能なN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランからなる群より選択される。
【0130】
特に好ましい実施形態において、接着促進剤と架橋剤とのある特定の組み合わせが、本発明に係る組成物のために選択される。結果として、以下の組み合わせが、好都合であると判明した:
【0131】
・ヒドロキシカルボン酸エステルラジカルまたはヒドロキシカルボン酸アミドラジカルをそれぞれ有する架橋剤と、第三級アミン、尿素、アミド、カルバメートまたはイソシアヌレート基を有する「非アミン接着促進剤」(本明細書中で使用されるとき、非アミンは、第一級および第二級アミン基でないことを意味する)との組み合わせ。そのような結合
剤(接着促進剤)の具体例は、N,N’-ビス(トリエトキシシリルプロピル)尿素、トリス(トリエトキシシリルプロピル)ジエチレン三尿素、ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、1,3,5-トリス(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、N-メチル(3-トリメトキシシリル)プロピル)カルバメートおよびN-エチル(3-トリエトキシシリル)プロピル)カルバメートである。
・カルボン酸ラジカルを有する架橋剤とジ-tertブトキシジアセトキシシラン(BDAC、CAS13170-23-5)との組み合わせ。
・オキシムラジカルを有する架橋剤と、3-アミノプロピルトリエトキシシラン(AMEO)、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(AMMO)およびアミノエチルアミノプロピルトリメトキシシランを含むがこれらに限定されない、商業的に入手可能なアミノシランとの組み合わせ。
・カルボン酸アミドラジカルを有する架橋剤と、3-アミノプロピルトリエトキシシラン(AMEO)、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(AMMO)およびアミノエチルアミノプロピルトリメトキシシランを含むがこれらに限定されない、商業的に入手可能なアミノシランとの組み合わせ。
【0132】
本発明の目的として、硬化性組成物は、従来の添加物(例えば、可塑剤、充填剤、着色料、チキソトロープ剤、湿潤剤またはUV安定剤)の添加によって、その特性に関して必要に応じて改変されてもよい。
【0133】
好ましい実施形態において、ポリアルキルシロキサン、特に、好ましくは、ポリジメチルシロキサンが、可塑剤として使用される。
【0134】
別の好ましい実施形態において、シリカ、特に、好ましくは、ヒュームドシリカとも称される発熱性二酸化ケイ素が、硬化性組成物に充填剤として加えられる。
【0135】
1つの実施形態において、本発明は、少なくとも1つのM3S触媒、請求項1に記載の一般式HO-(SiR
l
R
m
O)
o
-Hを有する少なくとも1つのシリコーン化合物、および請求項1に記載の一般式Si(R)
m
(R
a
)
4-m
を有する少なくとも1つの架橋剤を混合することによって得ることができる組成物に関する。
【0136】
1つの実施形態において、本発明の組成物は、構造式Vに記載の少なくとも1つの金属シルセスキオキサン;少なくとも1つのシリコーン化合物HO-(SiR
l
R
m
O)
o
-H(式中、R
l
およびR
m
は、互いに独立して、メチル、エチル、プロピル、ブチル、トリフルオロメチル、ビニル、アリル、ブテニル、フェニルおよびナフチルからなる群より選択される);ならびにメチル-トリス(エチルヘキシルサリチラト)シラン、プロピル-トリス(エチルヘキシルサリチラト)シラン、エチルトリアセトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、プロピルトリアセトキシシラン、メチル-トリス(2-ペンタノンオキシモ)シラン、ビニル-トリス(2-ペンタノンオキシモ)シラン、メチルエトキシ-ビス(N-メチルベンズアミド)シランおよび/またはそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1つの架橋剤を混合することによって得ることができる。
【0137】
1つの実施形態において、本発明の組成物は、構造式VIに記載の少なくとも1つの金属シルセスキオキサン;少なくとも1つのシリコーン化合物HO-(SiR
l
R
m
O)
o
-H(式中、R
l
およびR
m
は、互いに独立して、メチル、エチル、プロピル、ブチル、トリフルオロメチル、ビニル、アリル、ブテニル、フェニルおよびナフチルからなる群より選択される);ならびにメチル-トリス(エチルヘキシルサリチラト)シラン、プロピル-トリス(エチルヘキシルサリチラト)シラン、エチルトリアセトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、プロピルトリアセトキシシラン、メチル-トリス(2-ペンタノンオキシモ)シラン、ビニル-トリス(2-ペンタノンオキシモ)シラン、メチルエトキ
シ-ビス(N-メチルベンズアミド)シランおよび/またはそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1つの架橋剤を混合することによって得ることができる。
【0138】
1つの実施形態において、本発明の組成物は、構造式VIIに記載の少なくとも1つの金属シルセスキオキサン;少なくとも1つのシリコーン化合物HO-(SiR
l
R
m
O)
o
-H(式中、R
l
およびR
m
は、互いに独立して、メチル、エチル、プロピル、ブチル、トリフルオロメチル、ビニル、アリル、ブテニル、フェニルおよびナフチルからなる群より選択される);ならびにメチル-トリス(エチルヘキシルサリチラト)シラン、プロピル-トリス(エチルヘキシルサリチラト)シラン、エチルトリアセトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、プロピルトリアセトキシシラン、メチル-トリス(2-ペンタノンオキシモ)シラン、ビニル-トリス(2-ペンタノンオキシモ)シラン、メチルエトキシ-ビス(N-メチルベンズアミド)シランおよび/またはそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1つの架橋剤を混合することによって得ることができる。
【0139】
1つの実施形態において、本発明の組成物は、オクチル-POSS-Ti-OEt;少なくとも1つのシリコーン化合物HO-(SiR
l
R
m
O)
o
-H(式中、R
l
およびR
m
は、互いに独立して、メチル、エチル、プロピル、ブチル、トリフルオロメチル、ビニル、アリル、ブテニル、フェニルおよびナフチルからなる群より選択される);ならびにメチル-トリス(エチルヘキシルサリチラト)シラン、プロピル-トリス(エチルヘキシルサリチラト)シラン、エチルトリアセトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、プロピルトリアセトキシシラン、メチル-トリス(2-ペンタノンオキシモ)シラン、ビニル-トリス(2-ペンタノンオキシモ)シラン、メチルエトキシ-ビス(N-メチルベンズアミド)シランおよび/またはそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1つの架橋剤を混合することによって得ることができる。
【0140】
好ましい実施形態において、本発明の組成物は、構造式Vに記載の少なくとも1つの金属シルセスキオキサン;少なくとも1つのシリコーン化合物HO-(SiR
l
R
m
O)
o
-H(式中、シリコーン化合物はα,ω-ジヒドロキシ-ジメチルポリシロキサンである);ならびにメチル-トリス(エチルヘキシルサリチラト)シラン、プロピル-トリス(エチルヘキシルサリチラト)シラン、エチルトリアセトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、プロピルトリアセトキシシラン、メチル-トリス(2-ペンタノンオキシモ)シラン、ビニル-トリス(2-ペンタノンオキシモ)シラン、メチルエトキシ-ビス(N-メチルベンズアミド)シランおよび/またはそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1つの架橋剤を混合することによって得ることができる。
【0141】
好ましい実施形態において、本発明の組成物は、構造式VIに記載の少なくとも1つの金属シルセスキオキサン;少なくとも1つのシリコーン化合物HO-(SiR
l
R
m
O)
o
-H(式中、シリコーン化合物はα,ω-ジヒドロキシ-ジメチルポリシロキサンである);ならびにメチル-トリス(エチルヘキシルサリチラト)シラン、プロピル-トリス(エチルヘキシルサリチラト)シラン、エチルトリアセトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、プロピルトリアセトキシシラン、メチル-トリス(2-ペンタノンオキシモ)シラン、ビニル-トリス(2-ペンタノンオキシモ)シラン、メチルエトキシ-ビス(N-メチルベンズアミド)シランおよび/またはそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1つの架橋剤を混合することによって得ることができる。
【0142】
好ましい実施形態において、本発明の組成物は、構造式VIIに記載の少なくとも1つの金属シルセスキオキサン;少なくとも1つのシリコーン化合物HO-(SiR
l
R
m
O)
o
-H(式中、シリコーン化合物はα,ω-ジヒドロキシ-ジメチルポリシロキサンである);ならびにメチル-トリス(エチルヘキシルサリチラト)シラン、プロピル-トリス(エチルヘキシルサリチラト)シラン、エチルトリアセトキシシラン、メチルトリアセ
トキシシラン、プロピルトリアセトキシシラン、メチル-トリス(2-ペンタノンオキシモ)シラン、ビニル-トリス(2-ペンタノンオキシモ)シラン、メチルエトキシ-ビス(N-メチルベンズアミド)シランおよび/またはそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1つの架橋剤を混合することによって得ることができる。
【0143】
好ましい実施形態において、本発明の組成物は、オクチル-POSS-Ti-OEt;少なくとも1つのシリコーン化合物HO-(SiR
l
R
m
O)
o
-H(式中、シリコーン化合物はα,ω-ジヒドロキシ-ジメチルポリシロキサンである);ならびにメチル-トリス(エチルヘキシルサリチラト)シラン、プロピル-トリス(エチルヘキシルサリチラト)シラン、エチルトリアセトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、プロピルトリアセトキシシラン、メチル-トリス(2-ペンタノンオキシモ)シラン、ビニル-トリス(2-ペンタノンオキシモ)シラン、メチルエトキシ-ビス(N-メチルベンズアミド)シランおよび/またはそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1つの架橋剤を混合することによって得ることができる。
【0144】
1つの実施形態において、本発明の組成物における一般式Si(R)
m
(R
a
)
4-m
の架橋剤とM3S触媒とのモル比は、20対2,000、好ましくは、100対2,000、より好ましくは、125対2,000である。
【0145】
本発明の組成物の好ましい実施形態において、一般式Si(R)
m
(R
a
)
4-m
(式中、R
a
は、カルボン酸ラジカルの形態である)の架橋剤と式Vの触媒とのモル比は、300対1,500、好ましくは、400対1,300、より好ましくは、1,000対1,500である。本発明の組成物の好ましい実施形態において、一般式Si(R)
m
(R
a
)
4-m
(式中、R
a
は、カルボン酸ラジカルの形態である)の架橋剤と、式VIに記載の触媒とのモル比は、300対1,500、好ましくは、400対1,300、より好ましくは、1,000対1,500である。
【0146】
本発明に係る組成物の特に好ましい実施形態において、一般式Si(R)
m
(R
a
)
4-m
(式中、R
a
は、カルボン酸ラジカルの形態である)の架橋剤と式VIIに記載の触媒とのモル比は、300対1,500、好ましくは、400対1,300、より好ましくは、1,000対1,500である。
【0147】
本発明の組成物の1つの実施形態において、一般式Si(R)
m
(R
a
)
4-m
(式中、R
a
は、オキシムラジカルの形態である)の架橋剤と式Vに記載の触媒とのモル比は、100対2,000、好ましくは、125対2,000、より好ましくは、150対2,000である。
【0148】
本発明の組成物の好ましい実施形態において、一般式Si(R)
m
(R
a
)
4-m
(式中、R
a
は、オキシムラジカルの形態である)の架橋剤と式VIに記載の触媒とのモル比は、100対2,000、好ましくは、125対2,000、より好ましくは、150対2,000である。
【0149】
本発明の組成物の特に好ましい実施形態において、一般式Si(R)
m
(R
a
)
4-m
(式中、R
a
は、オキシムラジカルの形態である)の架橋剤と式VIIに記載の触媒とのモル比は、100対2,000、好ましくは、125対2,000、より好ましくは、125対2,000である。
【0150】
1つの実施形態において、本発明の組成物は、DIN53504に則ると、硬化後に、450~1,300%、好ましくは、500~1,300%、より好ましくは、700~1,300%の破断点伸びを示す。
【0151】
1つの実施形態において、本発明の組成物は、DIN8339に則ると、硬化後に、210%~1,300%、好ましくは、500~1,300%、より好ましくは、700~1,300%の破断点伸びを示す。
【0152】
さらに、本発明は、以下:
i.一般式HO-(SiR
l
R
m
O)
o
-Hを有する少なくとも1つのシリコーン化合物であって、式中、oならびにラジカルR
l
およびR
m
は、請求項1に従って定義される、シリコーン化合物、
ii.少なくとも1つのM3S化合物を含む、触媒、
iii.一般式Si(R)
m
(R
a
)
4-m
を有する少なくとも1つの架橋剤であって、式中、mならびにラジカルRおよびR
a
は、請求項1に従って定義される、架橋剤
を含む組成物を硬化させることによって取得され得るシーリング材に関する。
【0153】
さらに、本発明は、一般式HO-(SiR
l
R
m
O)
o
-H(式中、oならびにラジカルR
l
およびR
m
、それぞれのパラメータは、すでに記載されたように定義される)を有するシリコーン化合物を含む組成物を架橋するための触媒として金属シロキサン-シラノール(シラノレート)化合物を使用することに関する。
【0154】
さらに、本発明は、組成物を調製するための方法であって、前記方法は、以下のプロセス工程:
a.以下:
i.一般式HO-(SiR
l
R
m
O)
o
-Hを有する少なくとも1つのシリコーン化合物であって、式中、oならびにラジカルR
l
およびR
m
は、請求項1に従って定義される、シリコーン化合物、
ii.少なくとも1つのM3S化合物を含む、触媒、
iii.一般式Si(R)
m
(R
a
)
4-m
を有する少なくとも1つの架橋剤であって、式中、mならびにラジカルRおよびR
a
は、請求項1に従って定義される、架橋剤
を含む組成物を提供する工程、
b.a.において提供された前記組成物を、力学的エネルギーおよび/または熱エネルギーを用いて混合する工程
を含む、方法に関する。
【0155】
本発明の組成物は、触媒の改善された触媒活性または触媒効率を特徴とする。
【0156】
本発明の組成物は、触媒としてのM3S化合物の改善された触媒活性または触媒効率を特徴とする。
【0157】
本発明の組成物は、触媒の改善された触媒活性または触媒効率を特徴とし、その結果として、スズ化合物の使用を回避できる。本発明の組成物は、触媒の改善された触媒活性または触媒効率を特徴とし、それは、比較的少量(シーリング材の1キログラムあたりの重量パーセントまたはモルパーセントを単位とする)の触媒の使用を可能にするという特徴である。
【0158】
本発明の範囲において使用されるM3S化合物およびそれらの調製は、従来のシリコーン樹脂の調製方法から当業者に公知である。シリコーン樹脂は、例えば、加水分解性脱離基を有するシラン化合物の制御された加水分解およびその後の縮合反応によって形成される(例えば、B.Tieke,Macromolecular Chemistry:An Introduction,完全改訂第2版および増補版,2.1.8.5章のシリコーン樹脂を参照のこと)。シランの加水分解性脱離基の数および水とシランとのモル比
が、シリコーン樹脂の架橋および重合の程度を決定する。これらのシリコーン樹脂は、金属アルコラートを加えることによって、オリゴマーまたはポリマーのシリコーン化合物に組み込まれる(WO2015114050A1を参照のこと)。(金属)シルセスキオキサンの一般的な調製方法は、文献からも公知である(例えば、P.G.Harrison,J.Organomet.Chem.1997,542,141;J.D.Lichtenhan,Comments Inorg.Chem.1995,17,115;R.Murugavel,A.Voigt,M.G.Walawalkar,H.W.Roesky,Chem.Rev.1996,96,2205;WO01/10871A1;WO07/041344A8を参照のこと)。
【0159】
一般的な調製方法
チタンイソプロポキシドを含むポリオール中の5重量%のマスターバッチとしての[Ti(POSS)1.5]の合成
190mlのトルエン中のイソブチルトリシラノール-POSS(47g,59mmol)の溶液に、チタンイソプロポキシド(12ml,44mmol)を加える。その反応混合物を60~180分間、50~67℃に加熱する。次いで、Daltocel F428(950g)をその反応混合物に加える。溶媒トルエンを80℃~150℃においてさらに30~80分間除去することにより、不溶性残渣を含まない透明の液体が、濃縮物(マスターバッチ)として得られる。
【0160】
トルエンに加えて、ヘキサンなどの従来の非プロトン性溶媒を使用することも可能である。さらに、より高いPOSSおよびチタンの比を得るために、チタンプロポキシドの量を変化させてもよいという選択肢がある。溶媒交換を減圧下で行うこともできる。
【0161】
実施例に与えられるデータは、別段述べられない限り、個々の構成要素の重量パーセントを単位とする。
【0162】
テトラエチルオルトチタネートを含むポリオール中の5重量%のマスターバッチとしての[Ti(POSS)1.5]の合成
190mlのトルエン中のイソブチルトリシラノール-POSS(47g,59mmol)の溶液に、テトラエチルオルトチタネート(44mmol)を加える。その反応混合物を60~180分間、50~67℃に加熱する。次いで、Daltocel F428(950g)をその反応混合物に加える。溶媒トルエンを80℃~150℃においてさらに30~80分間除去することにより、不溶性残渣を含まない透明の液体が、濃縮物(マスターバッチ)として得られる。
【0163】
トルエンに加えて、ヘキサンなどの従来の非プロトン性溶媒を使用することも可能である。さらに、より高いPOSSおよびチタンの比を得るために、チタンプロポキシドの量を変化させてもよいという選択肢がある。溶媒交換を減圧下で行うこともできる。
【0164】
実施例に与えられるデータは、別段述べられない限り、個々の構成要素の重量パーセントを単位とする。
【実施例】
【0165】
実施例1
α,ω-ジヒドロキシル末端化ポリジメチルシロキサン、α,ω-ジヒドロキシル末端化ポリジエチルシロキサンまたはα,ω-ジヒドロキシル末端化ポリジビニルシロキサン、ならびにα,ω-ジヒドロキシル末端化ポリジアリールシロキサン(例えば、α,ω-ジヒドロキシル末端化ポリジフェニルシロキサン)から選択されるα,ω-ジヒドロキシポリオルガノシロキサン(30~70重量%)。この場合、5,000~120,000
cStの動粘性率(25℃において)を有するポリオルガノシロキサン、特に、20,000~100,000cStの粘度を有するもの、より好ましくは、40,000~90,000cStの粘度を有するものが優先される。異なる粘度を有するポリジオルガノシロキサンの混合物を使用することも可能であり、ポリジアルキルシロキサン50~150cSt(15~45重量%);一般式Si(R)
m
(R
a
)
4-m
の少なくとも1つのシラン(0.5~4.5重量%)および/または少なくとも2つのシランの混合物(0.5~9重量%)を含む架橋剤を真空下で混合した。その後、充填剤、好ましくは、シリカ(5~15重量%)を必要に応じてその中に分散させ、塊が滑らかになるまで、真空下で撹拌した。次いで、請求項10に記載の0.001~0.5重量%の金属シルセスキオキサン、および必要に応じて、上に記載されたような接着促進剤(0.5~2重量%)を、真空下で混合することによって組み込んだ。
【表1】
【0166】
実施例2
α,ω-ジヒドロキシジメチル-ポリシロキサン80,000cSt(30~70重量%)、ポリジメチルシロキサン100cSt(15~45重量%)、一般式Si(R)
m
(R
a
)
4-m
の少なくとも1つのシラン(0.5~4.5重量%)および/または少なくとも2つのシランの混合物(0.5~9重量%)を含む架橋剤(式中、各R
a
は、互いに独立して、以下:
・一般構造式(I):
【化16】
を有するヒドロキシカルボン酸エステルラジカルであって、式中、
各R
b
は、互いに独立して、H、あるいは1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカル、特に、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C16アルキル基または必要に応じて置換されるC4~C14アリール基を表し、
各R
c
は、互いに独立して、H、あるいは1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカル、特に、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C16アルキル基または必要に応じて置換されるC4~C14アリール基を表し、
R
d
は、1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカル、特に、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C16アルキル基、必要に応じて置換されるC4~C14シクロアルキル基、必要に応じて置換されるC5~C15アラルキル基または必要に応じて置換されるC4~C14アリール基を表し、
R
e
は、C、または1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカル、特に、4~14個のC原子を有する必要に応じて置換される飽和もしくは部
分不飽和の環式環系または4~14個のC原子を有する必要に応じて置換される芳香族基を表し、
nは、1~10の整数である、
ヒドロキシカルボン酸エステルラジカル、
・一般構造式(II):
【化17】
を有するヒドロキシカルボン酸アミドラジカルであって、式中、
各R
n
は、互いに独立して、H、あるいは1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカル、特に、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C16アルキル基または必要に応じて置換されるC4~C14アリール基を表し、
各R
o
は、互いに独立して、H、あるいは1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカル、特に、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C16アルキル基または必要に応じて置換されるC4~C14アリール基を表し、
R
p
およびR
q
は、互いに独立して、H、あるいは1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカル、特に、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C16アルキル基、必要に応じて置換されるC4~C14シクロアルキル基、必要に応じて置換されるC5~C15アラルキル基または必要に応じて置換されるC4~C14アリール基を表し、
R
r
は、C、あるいは1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカル、特に、4~14個のC原子を有する必要に応じて置換される飽和もしくは部分不飽和の環式環系または4~14個のC原子を有する必要に応じて置換される芳香族基を表し、
pは、1~10の整数である、
ヒドロキシカルボン酸アミドラジカル、
・カルボン酸ラジカル-O-C(O)-R
f
であって、式中、R
f
は、H、あるいは1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカル、特に、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C16アルキル基、必要に応じて置換されるC4~C14シクロアルキル基または必要に応じて置換されるC4~C14アリール基または必要に応じて置換されるC5~C15アラルキル基を表す、カルボン酸ラジカル、
・オキシムラジカル-O-N=CR
g
R
h
であって、式中、R
g
およびR
h
は、互いに独立して、H、あるいは1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカル、特に、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C16アルキル基、必要に応じて置換されるC4~C14シクロアルキル基または必要に応じて置換されるC4~C14アリール基または必要に応じて置換されるC5~C15アラルキル基を表す、オキシムラジカル、
・カルボン酸アミドラジカル-N(R
i
)-C(O)-R
j
であって、式中、R
i
は、H、あるいは1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカル、特に、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C16アルキル基、必要に応じて置換されるC4~C14シクロアルキル基または必要に応じて置換されるC4~C14アリール基または必要に応じて置換されるC5~C15アラルキル基を表し、R
j
は、H、あるいは1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカル、特に、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C16アルキル基、必要に応じて置換されるC4~C14シクロアルキル基または必要に応じて置換されるC4~C14アリール基または必要に応じて置換されるC5~C15アラルキル基を表す、カルボ
ン酸アミドラジカル、および
・アルコキシラジカル-OR
k
であって、式中、R
k
は、1~20個の炭素原子を有する必要に応じて置換される炭化水素ラジカル、特に、必要に応じて置換される直鎖もしくは分枝鎖のC1~C16アルキル基、必要に応じて置換されるC4~C14シクロアルキル基または必要に応じて置換されるC4~C14アリール基または必要に応じて置換されるC5~C15アラルキル基を表す、アルコキシラジカル
からなる群より選択される)を真空下で混合した。その後、充填剤、好ましくは、シリカ(5~15重量%)を必要に応じてその中に分散させ、塊が滑らかになるまで、真空下で撹拌した。次いで、0.006~0.17重量%の触媒IBU-POSS-Ti-OEtおよび必要に応じて接着促進剤(0.5~2重量%)を、真空下で混合することによって組み込んだ。
【表2】
【表3】
【0167】
上に記載されたシリコーンゴム化合物の構成成分のすべてを、1工程で共に混合することができる。
【0168】
好ましい実施形態において、本発明のシリコーンゴム化合物は、ただ1つの工程において中間形成プレポリマーを経由して1工程で得られる。そのプレポリマーの形成、ならびにその後のシリコーンゴム化合物の形成は、さらなる精製工程または中間工程なしに、本発明の触媒の存在下において形成され得る。
【0169】
下記に記載される実施例の場合において、パラメータのすべてを、下記に記載される試験方法によって決定した。下記に記載されるシーリング材のすべてが、無色透明であり、24時間後に、適切な安定性および切欠き抵抗性を示した。さらに、以下の3つすべての供試体のシーリング材が、最初の長さの100%伸長(その伸長は24時間維持される)におけるガラス上でのコンディショニング方法AであるDIN EN ISO8340に則って合格した。
【0170】
本発明の触媒(実施例3および4)を用いたときと従来の触媒(参考実施例)を用いたときの引裂強度の比較:
実施例3
オキシム脱離基を有する架橋剤混合物
【表4】
【表5】
【0171】
α,ω-ジヒドロキシジメチル-ポリシロキサン80,000cSt、PDMS100cStおよびビニル-トリス(2-ペンタノンオキシモ)シランを真空下で混合した。次いで、メチル-トリス(2-ペンタノンオキシモ)シランを真空下でそれに混ぜ合わせた。その後、シリカをその中に分散させ、塊が滑らかになるまで、真空下で撹拌した。次いで、触媒IBU-POSS-Ti-OEt(VII)、およびN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(DAMO)に基づくオリゴマー接着促進剤を、真空下で混合することによって組み込んだ。生成物は、8分という皮張り時間および20分というタックフリータイムを特徴とした。このシーリング材は、試験されたすべての材料、すなわち、ガラス、アルミニウム、PVC、シートメタル、鋼、コンクリート、木材、塗装木材、ニス塗装木材、ポリアミドおよびAl/Mg合金に対して良好な接着をもたらした。
【0172】
決定されたショアA硬度は、23であった。60℃で4週間貯蔵した後でさえ、このシーリング材は、安定であり(ショアA:21)、無色だった。直径2mmのダイを5barで30秒間用いた押し出し成形物は、14.0gであった。さらに、そのシーリング材は、極めて優れた特性を示した:
【表6】
【表7】
【0173】
実施例4
オキシム脱離基を有する架橋剤混合物
【表8】
【0174】
α,ω-ジヒドロキシジメチル-ポリシロキサン80,000cSt、PDMS100cStおよびビニル-トリス(2-ペンタノンオキシモ)シランを真空下で混合した。次いで、メチル-トリス(2-ペンタノンオキシモ)シランを真空下でそれに混ぜ合わせた。その後、シリカをその中に分散させ、塊が滑らかになるまで、真空下で撹拌した。次いで、触媒オクチル-POSS-Ti-OEt、およびN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(DAMO)に基づくオリゴマー接着促進剤を、真空下で混合することによって組み込んだ。生成物は、8分という皮張り時間および20分というタックフリータイムを特徴とした。このシーリング材は、試験されたすべての材料、すなわち、ガラス、アルミニウム、PVC、シートメタル、鋼、コンクリート、木材、塗装木材、ニス塗装木材、ポリアミドおよびAl/Mg合金に対して良好な接着をもたらした。
【0175】
決定されたショアA硬度は、24であった。60℃で4週間貯蔵した後でさえ、このシーリング材は、安定であり(ショアA:21)、無色だった。直径2mmのダイを5barで30秒間用いた押し出し成形物は、12.0gであった。さらに、このシーリング材は、極めて優れた特性を示した:
【表9】
【0176】
参考実施例A
オキシム脱離基を有する架橋剤混合物
【表10】
【表11】
【0177】
α,ω-ジヒドロキシジメチル-ポリシロキサン80,000cSt、PDMS100cStおよびビニル-トリス(2-ペンタノンオキシモ)シランを真空下で混合した。次いで、メチル-トリス(2-アセトンオキシモ)シランも、真空下でそれに混ぜ合わせた。その後、シリカをその中に分散させ、塊が滑らかになるまで、真空下で撹拌した。次いで、オクチルスズ触媒、およびN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(DAMO)に基づくオリゴマー接着促進剤を、真空下で混合することによって組み込んだ。生成物は、9分という皮張り時間および23分というタックフリータイムを特徴とした。このシーリング材は、試験された材料のすべて、すなわち、ガラス、アルミニウム、PVC、シートメタル、鋼、コンクリート、木材、塗装木材、ニス塗装木材、ポリアミドおよびAl/Mg合金に対して良好な接着をもたらした。
【0178】
決定されたショアA硬度は、26であった。60℃で4週間貯蔵した後でさえ、このシーリング材は、安定であり(ショアA:23)、無色だった。直径2mmのダイを5barで30秒間用いた押し出し成形物は、18.0gであった。さらに、このシーリング材は、以下の特性を示した:
【表12】
【表13】
【0179】
個々のシリコーンゴム化合物の調製
実施例5
オキシム脱離基を有する架橋剤混合物
【表14】
【0180】
α,ω-ジヒドロキシジメチル-ポリシロキサン80,000cSt、PDMS100cSt、エチル-トリス(アセトンオキシモ)シランおよびビニル-トリス(2-ペンタノンオキシモ)シランを真空下で混合した。その後、シリカをその中に分散させ、塊が滑らかになるまで、真空下で撹拌した。次いで、触媒IBU-POSS-Ti-Et(VII)、およびN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(DAMO)に基づくオリゴマー接着促進剤を、真空下で混合することによって組み込んだ。生成物は、無色透明だった。これは、10分という皮張り時間および40分というタックフリータイムを特徴とした。このシーリング材は、試験された材料のすべて、すなわち、ガラス、アルミニウム、PVC、シートメタル、鋼、コンクリート、木材、塗装木材、ニス塗装木材、ポリアミドおよびAl/Mg合金に対して良好な接着をもたらした。
【0181】
決定されたショアA硬度は、22であった。60℃で4週間貯蔵した後でさえ、このシーリング材は、安定であり(ショアA:21)、無色だった。直径2mmのダイを5barで30秒間用いた押し出し成形物は、12.0gであった。さらに、このシーリング材は、極めて優れた特性を示した:
【表15】
【0182】
実施例6
オキシム脱離基を有する架橋剤混合物
【表16】
【表17】
【0183】
α,ω-ジヒドロキシジメチル-ポリシロキサン80,000cSt、PDMS100cStおよびビニル-トリス(2-ペンタノンオキシモ)シランを真空下で混合した。次いで、メチル-トリス(2-ペンタノンオキシモ)シランを真空下でそれに混ぜ合わせた。その後、シリカをその中に分散させ、塊が滑らかになるまで、真空下で撹拌した。次いで、触媒IBU-POSS-Ti-OEt(VII)、およびN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(DAMO)に基づくオリゴマー接着促進剤を、真空下で混合することによって組み込んだ。生成物は、無色透明だった。これは、8分という皮張り時間および30分というタックフリータイムを特徴とした。このシーリング材は、試験された材料のすべて、すなわち、ガラス、アルミニウム、PVC、シートメタル、鋼、コンクリート、木材、塗装木材、ニス塗装木材、ポリアミドおよびAl/Mg合金に対して良好な接着をもたらした。
【0184】
決定されたショアA硬度は、26であった。60℃で4週間貯蔵した後でさえ、このシーリング材は、安定であり(ショアA:24)、無色だった。直径2mmのダイを5barで30秒間用いた押し出し成形物は、12.0gであった。さらに、このシーリング材は、極めて優れた特性を示した:
【表18】
【表19】
【0185】
実施例7
カルボン酸脱離基を有する架橋剤
【表20】
【0186】
ポリマー80,000cSt、PDMS100cStおよびプロピルトリアセトキシシランを真空下で混合した。次いで、接着促進剤BDACも、真空下でそれに混ぜ合わせた。その後、シリカをその中に分散させ、塊が滑らかになるまで、真空下で撹拌した。次いで、触媒IBU-POSS-Ti-OEt(VII)を、真空下で混合することによって組み込んだ。生成物は、無色透明だった。これは、8分という皮張り時間および40分というタックフリータイムを特徴とした。このシーリング材は、試験された材料のすべて、すなわち、ガラス、アルミニウム、PVC、シートメタル、鋼、木材、塗装木材、ニス塗装木材、ポリアミドおよびAl/Mg合金に対して良好な接着をもたらした。
【0187】
決定されたショアA硬度は、23であった。60℃で4週間貯蔵した後でさえ、このシーリング材は、安定であり(ショアA:23)、無色だった。直径2mmのダイを5barで30秒間用いた押し出し成形物は、25.0gであった。さらに、このシーリング材は、極めて優れた特性を示した:
【表21】
【0188】
実施例8
カルボン酸脱離基を有する架橋剤
【表22】
【表23】
【0189】
α,ω-ジヒドロキシジメチル-ポリシロキサン80,000cSt、PDMS100cStおよびプロピルトリアセトキシシランを真空下で混合した。次いで、接着促進剤BDACも、真空下でそれに混ぜ合わせた。その後、シリカをその中に分散させ、塊が滑らかになるまで、真空下で撹拌した。次いで、触媒IBU-POSS-Ti-OEt(VII)を、真空下で混合することによって組み込んだ。生成物は、無色透明だった。これは、8分という皮張り時間および40分というタックフリータイムを特徴とした。このシーリング材は、試験された材料のすべて、すなわち、ガラス、アルミニウム、PVC、シートメタル、鋼、木材、塗装木材、ニス塗装木材、ポリアミドおよびAl/Mg合金に対して良好な接着をもたらした。
【0190】
決定されたショアA硬度は、23であった。60℃で4週間貯蔵した後でさえ、このシーリング材は、安定であり(ショアA:23)、無色だった。直径2mmのダイを5barで30秒間用いた押し出し成形物は、25.0gであった。さらに、このシーリング材は、極めて優れた特性を示した:
【表24】
【表25】
【0191】
実施例9
ヒドロキシカルボン酸脱離基を有する架橋剤
【表26】
【0192】
α,ω-ジヒドロキシジメチル-ポリシロキサン80,000cSt、PDMS100cSt、メチル-トリスサリチル酸エチルヘキシルエステルシランおよびプロピル-トリスサリチル酸エチルヘキシルエステルシランを真空下で混合した。次いで、AMEOも、真空下でそれに混ぜ合わせた。その後、シリカをその中に分散させ、塊が滑らかになるまで、真空下で撹拌した。次いで、触媒IBU POSS-Ti-OEt(VII)および接着促進剤トリス(3-トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートおよび接着促進剤ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン(DMAPTMS)を、真空下で混合することによって組み込んだ。
【0193】
生成物は、7分という皮張り時間および120分というタックフリータイムを特徴とした。このシーリング材は、試験されたすべての材料、すなわち、ガラス、アルミニウム、PVC、シートメタル、鋼、木材、塗装木材、ニス塗装木材、ポリアミドおよびAl/Mg合金に対して良好な接着をもたらした。
【0194】
決定されたショアA硬度は、27であった。60℃で4週間貯蔵した後でさえ、このシーリング材は、安定であり(ショアA:24)、無色だった。直径2mmのダイを5ba
rで30秒間用いた押し出し成形物は、12.0gであった。さらに、このシーリング材は、極めて優れた特性を示した:
【表27】
【0195】
【0196】
*
テトラ(グリコール酸n-ブチルエステル)シランの合成
1,000mlの三口フラスコを、窒素雰囲気下において、222gのトルエン、67.6gのトリエチルアミンおよび90.6gのグリコール酸n-ブチルエステルで満たす。次いで、26.8gのテトラクロロシランを、撹拌しながら計量供給する。この場合、ウォーターバスを用いて冷却することによって、反応温度を<35℃で維持する。計量供給の際、混合物をさらに30分間、30℃で撹拌し、次いで、形成した塩酸塩を濾過によって除去する。
【0197】
次いで、最後に、溶媒トルエンを真空中での蒸留によって分離する。86g(理論値の98.5%)の黄色がかった液体(主としてSi(OCH2COO-n-C4H9)4からなる)が得られる。
【0198】
II)調製:
ポリマー80,000、架橋剤および触媒を真空下で混合する。次いで、得られた混合物を、大気中の水分の排除下において軽くたたく。
【0199】
【0200】
この混合物は、完全に硬化しないので、より詳しい研究を行うことができなかった。
【0201】
試験方法の一般的な実施:
1.シリコーンシーリング材のタックフリータイムの決定
タックフリータイムを決定するために、シーリング材を分配する際の温度ならびに大気中の水分を、好適なデバイスを用いて決定し、適切なプロトコルで記録しなければならない。充填され、密封された、すぐに使える状態のカートリッジ(調合後のシーリング材の耐用寿命は少なくとも24時間である)を、シリコーンカートリッジ用のガンに挿入する。次いで、適切な量のシリコーンを清潔なガラスプレートにスプレーする。直ちにそのシリコーンをこてで広げ、切れ目のないシリコーン片を形成する。現在の時刻を読む。適切な間隔で、決定されるべきシーリング材のタックフリータイムを、清潔な指でシリコーン表面を軽く触れることによって決定する。シーリング材が粘着性ではない場合、現在の時刻を再度読む。
【0202】
2.シリコーンシーリング材の押し出し成形の決定
充填され、密封された、すぐに使える状態のカートリッジ(調合後のシーリング材の耐用寿命は少なくとも24時間である)を、シリコーンカートリッジ用の圧縮空気ガンに挿入し、好適なカートリッジチップをねじで留める。その圧縮空気ガンを圧縮空気供給に接続し;圧力計を5barの圧力に設定する。次いで、少量のシリコーンをシリコーンカートリッジから拭き取り紙にスプレーし、カートリッジチップをシリコーンで完全に満たす。次いで、アルミニウムボウルを上のせ式天秤の上に置き、風袋を計る。すぐに、シリコーンをそのボウルに正確に30秒間スプレーし、次いで、最後に上のせ式天秤での重量を読む。
【0203】
3.シリコーンシーリング材の安定性の決定
安定性を決定するために、シーリング材を分配する際の温度ならびに大気中の水分を、好適なデバイスを用いて決定し、適切なプロトコルで記録しなければならない。充填され、密封された、すぐに使える状態のカートリッジ(調合後のシーリング材の耐用寿命は少なくとも24時間である)を、シリコーンカートリッジ用のガンに挿入する。次いで、ウォーム形状を厚紙(直径およそ3cm)に円を描くようにスプレーする。すぐに、そのシリコーンウォームを有する厚紙を垂直に置き、現在の時刻を読む。
【0204】
30分後、そのシリコーンウォームが元の形状を有するか、またはそのウォームが下向きに流れたかを観察する。そのウォーム形状が変化しなかった場合、そのシリコーンシーリング材は、安定である。
【0205】
4.シリコーンシーリング材の完全硬化の決定
完全硬化を決定するために、シーリング材を分配する際の温度ならびに大気中の水分を、好適なデバイスを用いて決定し、適切なプロトコルで記録しなければならない。充填され、密封された、すぐに使える状態のカートリッジ(調合後のシーリング材の耐用寿命は少なくとも24時間である)を、シリコーンカートリッジ用のガンに挿入する。次いで、適切な量のシリコーンを清潔なガラスプレートにスプレーする。直ちにそのシリコーンをこてで広げ、切れ目のないシリコーン片を形成する。適切な間隔(日数)で、小さな横材を、ナイフでそのシリコーンから慎重に切り離し、そのシーリング材の硬化を評価する。そのシーリング材の本体の内部が、まだ粘着性でゲル様である場合、そのシーリング材は、まだ完全に硬化しておらず、その決定手順を繰り返す。シーリング材が、完全に硬化した場合、硬化時間を、日数を単位として記録する。シーリング材が、分配の7日後もまだ粘着性である場合、完全硬化に関する判定基準に不備があると判断するものとする。
【0206】
5.シリコーンシーリング材の接着の決定
接着を決定するために、シーリング材を分配する際の温度ならびに大気中の水分を、好適なデバイスを用いて決定し、適切なプロトコルで記録しなければならない。充填され、密封された、すぐに使える状態のカートリッジ(調合後のシーリング材の耐用寿命は少なくとも24時間である)を、シリコーンカートリッジ用のガンに挿入する。次いで、シリコーンボタンを、適切に清浄にされたキャリア材料(例えば、ガラス、アルミニウム、木材、プラスチック、コンクリート、天然石など)にスプレーする。シーリング材が、完全に硬化した後(約48時間後)、そのシリコーンがキャリア材料から再度剥がれたか、またはそのシリコーンがそのキャリア材料と密接な結合を形成したかを判断するために、そのシリコーンボタンを指で引っ張る。シリコーンボタンが、容易に剥がれ得るか、またはキャリア材料から外すのが難しいか、もしくは全く外れない場合、接着特性は、不良、平均または良好として評定されるものとする。
【0207】
6.シリコーンシーリング材の臭気の決定
充填され、密封された、すぐに使える状態のカートリッジ(調合後のシーリング材の耐用寿命は少なくとも24時間である)を、シリコーンカートリッジ用のガンに挿入する。次いで、適切な量のシリコーンを清潔なガラスプレートにスプレーする。直ちにそのシリコーンをこてで広げ、切れ目のないシリコーン片を形成する。次いで、シリコーンシーリング材をその臭気に関して評価する。
【0208】
7.シリコーンシーリング材の外観の決定
充填され、密封された、すぐに使える状態のカートリッジ(調合後のシーリング材の耐用寿命は少なくとも24時間である)を、シリコーンカートリッジ用のガンに挿入する。次いで、適切な量のシリコーンを清潔なガラスプレートにスプレーする。直ちにそのシリコーンをこてで広げ、切れ目のないシリコーン片を形成する。次いで、そのシリコーンシーリング材を、外見、色および滑らかさについて目視検査によって評価する。
【0209】
8.シリコーンシーリング材の皮張り時間の決定
皮張り時間を決定するために、シーリング材を分配する際の温度ならびに大気中の水分を、好適なデバイスを用いて決定し、適切なプロトコルで記録しなければならない。充填され、密封された、すぐに使える状態のカートリッジ(調合後のシーリング材の耐用寿命は少なくとも24時間である)を、シリコーンカートリッジ用のガンに挿入する。次いで、適切な量のシリコーンを清潔なガラスプレートにスプレーする。直ちにそのシリコーンをこてで広げ、切れ目のないシリコーン片を形成する。適切な間隔で、決定されるべきシーリング材の皮張りを、清潔な指でシリコーン表面にわずかな圧力を加えることによって決定する。そのシーリング材がその表面に皮張りを形成して、シリコーン残渣が指に貼り付かない場合、ストップウォッチに表示された計測時間を読む。
【0210】
9.DIN53504に則ったダンベル状標本S1を用いる引張り試験
試験されるべきシリコーンを決定するために、シリコーンカートリッジの関連する試験番号および試験日をプロトコルに記録しなければならない。カートリッジにおける調合後のシーリング材の耐用寿命は、少なくとも24時間でなければならない。モールドを洗剤で湿らせて、金属上にシリコーンが集積するのを防ぐ。充填され、密封された、すぐに使える状態のカートリッジをシリコーンカートリッジ用のガンに挿入する。そのカートリッジの先端部を除去する。次いで、ダンベル状標本S1用のダイにシリコーンを、粉砕したモールドの長さおよび高さにわたってスプレーし、直ちにこてで平らにする。少なくとも24時間後に、ダイから供試体を引き上げることによって、シリコーンの硬化を確認する。表面は、もはや粘着性ではないはずである。ダンベル状標本は、空気ポケットまたは異物混入なく、かつ亀裂なく、視覚的に完全でなければならない。ダイから取り出した後、供試体に試験番号を付ける。引張り試験機T300では、ダンベル状標本S1のために張
力クランプを使用しなければならない。バーが、計測される26mmという初期長を正確に示すように、試験できるダンベル状標本を、上部クランプと下部クランプとの間で留める。計測されたデータ、またはより詳細には、計測マークを、弛緩状態においてゼロにリセットする。スタートボタンを押すことによって、供試体の伸長、またはより詳細には、計測値の表示が開始する。そのデバイスは、供試体が破損した後、自動的に停止する。計測値は、表示されたままであり、直接読むことができる。
【0211】
10.DIN8339に則ったH供試体による引張り試験
試験されるべきシリコーンを決定するために、シリコーンカートリッジの関連する試験番号および試験日をプロトコルに記録しなければならない。カートリッジにおける調合後のシーリング材の耐用寿命は、少なくとも24時間でなければならない。
【0212】
充填され、密封された、すぐに使える状態のカートリッジをシリコーンカートリッジ用のガンに挿入する。そのカートリッジの先端部を除去する。次いで、ダイにシリコーンを粉砕したモールドの長さおよび高さにわたってスプレーし、直ちにこてで平らにする。その後、供試体を標準的な条件下において28日間貯蔵する。引張り試験の前に、供試体を目視検査によって確認する。供試体は、空気ポケットも亀裂も一切示さない場合がある。
【0213】
引張り試験機MFC T300では、H供試体のために張力クランプを使用しなければならない。距離が12mmであるように、その標本を上部クランプと下部クランプとの間で留める。計測されたデータ、またはより詳細には、計測マークを、弛緩状態においてゼロにリセットする。スタートボタンを押すことによって、供試体の伸長、またはより詳細には、計測値の表示が開始する。
【0214】
そのデバイスは、供試体が破損した後、自動的に停止する。計測値は、表示されたままであり、直接読むことができる。
【0215】
11.DIN8340に則ったH供試体による引張り試験
試験されるべきシリコーンを決定するために、シリコーンカートリッジの関連する試験番号および試験日をプロトコルに記録しなければならない。カートリッジにおける調合後のシーリング材の耐用寿命は、少なくとも24時間でなければならない。充填され、密封された、すぐに使える状態のカートリッジをシリコーンカートリッジ用のガンに挿入する。そのカートリッジの先端部を除去する。次いで、ダイにシリコーンをモールドの長さおよび高さにわたってスプレーし、直ちにこてで平らにする。その後、供試体を標準的な条件下において28日間貯蔵する。引張り試験の前に、供試体を目視検査によって確認する。供試体は、空気ポケットも亀裂も一切示さない場合がある。
【0216】
引張り試験機MFC T300では、H供試体のために張力クランプを使用しなければならない。距離が12mmであるように、その標本を上部クランプと下部クランプとの間で留める。計測されたデータ、またはより詳細には、計測マークを、弛緩状態においてゼロにリセットする。スタートボタンを押すことによって、供試体の伸長、またはより詳細には、計測値の表示が開始する。そのデバイスは、供試体が破損した後、自動的に停止する。計測値は、表示されたままであり、直接読むことができる。
【0217】
12.シリコーンシーリング材の貯蔵安定性の決定
充填され、密封された、すぐに使える状態のカートリッジを、加熱した乾燥オーブンに入れる。試験方法のプロトコルに従って、その加熱した乾燥オーブン内で好適な温度において数週間という特定の期間にわたってシリコーンシーリング材を貯蔵する。貯蔵時間が経過したら、そのカートリッジをシリコーンカートリッジ用のガンに挿入する。次いで、適切な量のシリコーンを、広げられた吸収剤パッドにスプレーする。直ちにそのシリコー
ンをこてで広げ、切れ目のないシリコーン片を形成する。次いで、そのシリコーンシーリング材をPA-E0002およびPA-E0010について評価する。
【0218】
13.シリコーンシーリング材の初期耐荷能力の決定
初期耐荷能力を決定するために、シーリング材を分配する際の温度ならびに大気中の水分を、好適なデバイスを用いて決定し、適切なプロトコルで記録しなければならない。充填され、密封された、すぐに使える状態のカートリッジ(調合後のシーリング材の耐用寿命は少なくとも24時間である)を、シリコーンカートリッジ用のガンに挿入する。次いで、厚紙に3cm間隔で水平線を引き、次いで、切断する。次いで、適切な量のシリコーンをその厚紙にスプレーする。直ちにそのシリコーンをこてで広げ、切れ目のないシリコーン片を形成する。現在の時刻を読む。15分という等間隔で、第1の線から始めて、厚紙を曲げて直角を形成し、キンクポイントにおいてシリコーン表面を評価する。シリコーンが、キンクポイントにおいて完全にひびが入っているか、または部分的にだけひびが入っている場合、もう15分後に、次の3cmの線において決定手順を繰り返す。シリコーンが、キンクポイントにおいて弾性であり、かつ亀裂が検出できない場合、そのシリコーンは、初期段階における荷重に供され得る。現在時刻を再度読む。
【0219】
14.シリコーンシーリング材のショア硬度の決定
充填され、密封された、すぐに使える状態のカートリッジ(調合後のシーリング材の耐用寿命は少なくとも24時間である)を、シリコーンカートリッジ用のガンに挿入する。次いで、適切な量のシリコーンを清潔なガラスプレートにスプレーする。直ちにそのシリコーンをこてで広げ、切れ目のないシリコーン片を形成する。完全に硬化したシーリング材の場合(PA-E0008を参照のこと)、ショア硬度決定デバイスを両手で完全に平らにシリコーン表面の上に置き、ショア硬度の最大値を読む。その計測を、シリコーン表面上の様々な点において少なくとも5回繰り返し、個々の測定値の平均を得る。