(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-20
(45)【発行日】2023-03-29
(54)【発明の名称】作業用車両の作動油タンク
(51)【国際特許分類】
E02F 9/00 20060101AFI20230322BHJP
B60P 3/00 20060101ALI20230322BHJP
【FI】
E02F9/00 Q
B60P3/00 K
(21)【出願番号】P 2020062987
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2022-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000150154
【氏名又は名称】株式会社竹内製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 佳佑
(72)【発明者】
【氏名】塩入 裕一
(72)【発明者】
【氏名】滝澤 貴登
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-154616(JP,A)
【文献】特開2001-059237(JP,A)
【文献】特開2015-232208(JP,A)
【文献】特開2002-061224(JP,A)
【文献】特開2006-282048(JP,A)
【文献】特開2009-030346(JP,A)
【文献】特開2008-285829(JP,A)
【文献】特開2013-136978(JP,A)
【文献】特開2011-063988(JP,A)
【文献】特開2005-061086(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00
B60P 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業用車両の車体に搭載され、作動油が内部に貯留される本体部を備える作動油タンクであって、
前記本体部は、前記車体の外壁部寄りに配置される外方側面と、前記外方側面に対して角度180°逆側に配置される内方側面とを貫通するU字鋼、角形管、もしくは円形管を用いて構成されてその内部に作動油配管が敷設される配管敷設部を有
し、
前記配管敷設部は、
U字鋼を用いて構成されており、前記本体部において前記外方側面に隣接する一方の隣接側面を切り欠いた位置に配設されており、
且つ、前記U字鋼における外側となる側面部に、所定の前記作動油配管を該配管敷設部内へ引き入れる、あるいは該配管敷設部内から引き出すために通過可能な切り欠き部が設けられていること
を特徴とする作動油タンク。
【請求項2】
前記本体部は、
前記配管敷設部が配設された前記一方の隣接側面が燃料タンクと対向する位置となるように配設されて
おり、前記一方の隣接側面と前記燃料タンクとの間の間隔が、パイロット制御用の前記作動油配管の外径よりも小さい寸法に設定されていること
を特徴とする請求項
1記載の作動油タンク。
【請求項3】
前記本体部は、第1側面ならびに前記第1側面の縦方向の端部にそれぞれ角度90°で連続する上面および下面を備えるコ字状の第1部材と、第2側面ならびに前記第2側面の横方向の端部に角度90°で連続する第3側面および第4側面を備えるコ字状の第2部材とを、前記第1側面と前記第2側面とが対向する配置で組み合わせて直方体状となるように連結して形成されており、
前記外方側面は前記第3側面もしくは前記第4側面であり、且つ、前記一方の隣接側面は前記第1側面もしくは前記第2側面であること
を特徴とする請求項
1または請求項2記載の作動油タンク。
【請求項4】
前記本体部は、第1側面ならびに前記第1側面の縦方向の端部にそれぞれ角度90°で連続する上面および下面を備えるコ字状の第1部材と、第2側面ならびに前記第2側面の横方向の端部に角度90°で連続する第3側面および第4側面を備えるコ字状の第2部材とを、前記第1側面と前記第2側面とが対向する配置で組み合わせて直方体状となるように連結して形成されており、
前記外方側面は前記第1側面もしくは前記第2側面であり、且つ、前記一方の隣接側面は前記第3側面もしくは前記第4側面であること
を特徴とする請求項
1または請求項2記載の作動油タンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作動油タンクに関し、さらに詳細には、作業用車両の作動油が貯留される作動油タンクに関する。
【背景技術】
【0002】
作業用車両の例として、左右一対のクローラを有する走行装置と、走行装置上に旋回可能に設けられた車体と、車体の前部に設けられたショベル装置とを備えるパワーショベルが従来より知られている。一般的なパワーショベルにおいては、エンジンや電動モータを駆動源として駆動される油圧ポンプや、油圧ポンプから送出される作動油を受けて作動する複数の油圧シリンダが設けられている。当該油圧シリンダによってショベル装置等の駆動部を作動させ、掘削作業等を行う構成となっている。
【0003】
ここで、駆動部の作動に用いられる作動油は作動油タンクに貯留される構成となっている。従来の作動油タンクに関して、構造および配置の一例が特許文献1(特開2007-154616号公報)に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記に例示される作業用車両の作動油タンクには、駆動部(油圧シリンダ)、制御バルブ、オイルクーラ等の各機構に連通して作動油を通流させる多数の作動油配管が接続される構成となっている。そのため、各配管を敷設するための十分なスペースが必要となり、且つ、メンテナンス性の良い配管の引き回しも重要となる。
【0006】
その一方で、狭い場所で用いられる作業用車両に関しては小型化の要望が強く、特にパワーショベルの場合、後方突出量の小さい構成(「後方小旋回型」と称される)の実現が望まれている。そのため、作動油を通流させる作動油配管の敷設スペース確保と、車体の小型化とが相反する課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、作業用車両において、作動油配管を敷設するスペースの無駄を省くことにより車体の小型化を図ることができ、且つ、メンテナンス性にも優れた作動油タンクを提供することを目的とする。
【0008】
本発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
【0009】
本発明に係る作動油タンクは、作業用車両の車体に搭載され、作動油が内部に貯留される本体部を備える作動油タンクであって、前記本体部は、前記車体の外壁部寄りに配置される外方側面と、前記外方側面に対して角度180[°]逆側に配置される内方側面とを貫通するU字鋼、角形管、もしくは円形管を用いて構成されてその内部に作動油配管が敷設される配管敷設部を有し、前記配管敷設部は、U字鋼を用いて構成されており、前記本体部において前記外方側面に隣接する一方の隣接側面を切り欠いた位置に配設されており、且つ、前記U字鋼における外側となる側面部に、所定の前記作動油配管を該配管敷設部内へ引き入れる、あるいは該配管敷設部内から引き出すために通過可能な切り欠き部が設けられていることを要件とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、作動油配管を敷設するスペースの無駄を省くことにより車体の小型化を図ることができる。また、メンテナンス性に優れた作業用車両を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係る作動油タンクが搭載される作業用車両の例を示す概略図(斜視図)である。
【
図2】
図1の作業用車両における作動油タンクの搭載位置を説明する説明図(分解図)である。
【
図4】本発明の実施形態に係る作動油タンクの第一例を示す概略図(斜視図)である。
【
図5】
図4の作動油タンクの構成を説明する説明図(分解図)である。
【
図6】本発明の実施形態に係る作動油タンクの第二例を示す概略図(斜視図)である。
【
図7】
図6の作動油タンクの構成を説明する説明図(分解図)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本実施形態に係る作動油タンク40が搭載される作業用車両1の例を示す概略図(右前部上方からの斜視図)である。なお、説明の便宜上、図中において矢印により上下、左右、前後の方向を示す場合がある。また、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0013】
はじめに、作業用車両1の全体構成について説明する。ここでは、クローラ(無端状の履帯)を備えて走行するパワーショベルを例に挙げて説明するが、これに限定されるものではない。
【0014】
作業用車両1は、
図1に示すように、左右一対のクローラ30を有する走行装置12と、走行装置12上に旋回可能に設けられた車体10と、走行装置12や車体10に設けられた駆動部(ショベル装置16、ブレード装置18等)とを備えて構成されている。また、車体10には、中央部にオペレータ(作業者)が乗車して操縦を行う操縦室14が設けられ、後部に走行装置等を駆動するためのエンジン(不図示)が収容されるエンジンルーム20が設けられている。ただし、走行装置12は、左右一対のクローラに限定されるものではなく、左右一対のタイヤを備える構成としてもよい(不図示)。また、エンジンに代えてもしくはエンジンと共にバッテリーによって走行装置等を駆動する構成としてもよい(不図示)。
【0015】
先ず、操縦室14は、オペレータが搭乗して着座するシートや、駆動部等の作動を操作するための各種の操作レバー、操作スイッチおよび種々の車両情報を表示するディスプレイ装置等を備えて構成されている(いずれも不図示)。なお、密閉型のキャビンとして例示しているが、開放型のキャノピーとしてもよい(不図示)。
【0016】
次に、ショベル装置16、ブレード装置18等の駆動部について説明する。先ず、ショベル装置16は、車体10の前部に上下揺動可能に枢結されたブーム22と、ブーム22の先端部に上下揺動可能に枢結されたアーム24と、アーム24の先端部に上下揺動可能に枢結されたバケット26とを備えて構成されている。また、車体10の前部とブーム22とに跨って油圧駆動式のブームシリンダ32が設けられており、このブームシリンダ32によりブーム22が揺動作動される。また、ブーム22とアーム24とに跨って油圧駆動式のアームシリンダ34が設けられており、このアームシリンダ34によりアーム24が揺動作動される。また、アーム24とバケット26とに跨って油圧駆動式のバケットシリンダ36が設けられており、このバケットシリンダ36によりバケット26が揺動作動される。
【0017】
一方、ブレード装置18は、走行装置12の前部に上下揺動可能に枢結されたブレード28を備えて構成されている。また、走行装置12の前部とブレード28とに跨って油圧駆動式のブレードシリンダ(不図示)が設けられており、このブレードシリンダによりブレード28が揺動作動される。
【0018】
上記の各シリンダの駆動を行うための機構は、一例としてエンジンにより駆動される油圧ポンプ、制御バルブ等から構成されている(いずれも不図示)。オペレータの操作に応じて、パイロット制御用の作動油により制御バルブ類を作動させ、油圧ポンプから送出される駆動用の作動油を各シリンダに供給する制御が行われる。これにより、バケット26やブレード28が作動をして、掘削等の作業を行うことができる。ただし、駆動部は上記の構成のみならず、油圧ポンプから送出される作動油によって駆動されるその他の構成も含まれる。例えば、車体10を旋回駆動する旋回油圧モータ(不図示)も作動油によって駆動され、オペレータの操作に応じて車体10の水平旋回作動が行われる。
【0019】
なお、本実施形態に係る作業用車両1における走行および作業のためのその他の機構(駆動機構、制御機構等)については、公知の作業用車両(ここでは、パワーショベル)と同様であるため、詳細の説明を省略する。
【0020】
続いて、作動油が貯留される作動油タンク40について詳しく説明する。
図2は、作業用車両1における作動油タンク40の搭載位置を説明するために、操縦室14および外壁部等の図示を省略して車体10の内部構成が視認できるようにした説明図(右前部上方からの分解斜視図)である。また、
図3は、
図2におけるA部の拡大図である。
【0021】
図3に示すように、作動油タンク40は、箱状(一例として、後述の側面42a~42d、上面42e、下面42fを備える直方体状)に形成され、内部が作動油の貯留部となる本体部42を備えている。さらに、本体部42には、流入する作動油中の異物を除去するフィルタを備えるリターンフィルタ取付け部46と、流出する作動油中の異物を除去するフィルタを備えるサクションフィルタ取付け部48とが設けられている。一例として、リターンフィルタ取付け部46は筒状に形成されており、本体部42の内部において仕切られた状態で当該本体部42の上部に固定されている。なお、本体部42は、金属材料(一例として、SS400等の鋼材)を用いて形成されている。
【0022】
ここで、作動油タンク40の構成例(第一例)について、概略図(斜視図)を
図4に、分解図を
図5に示す。ただし、
図4、
図5においては、作動油タンク40の基本構造をわかり易くするために、
図3において示されているパイロット制御用の作動油配管の継手やサクションフィルタ取付け部等の図示を省略している。
【0023】
図3、
図4に示すように、作動油タンク40は、本体部42の外方側面42aと、当該外方側面42aに対して角度180[°]逆側に配置される内方側面42bとを貫通する構造の配管敷設部50が設けられている。この配管敷設部50は内部に空間部を有しており、当該内部すなわち空間部に複数の作動油配管(Pc、Pm等)を敷設することが可能となっている。一例として、配管敷設部50は、U字鋼を用いて構成しているが、これに限定されるものではなく、空間部を有する構造体であればよい。具体的には、角形管、円形管、あるいは、これらと同様の構造を有する板材の連結体等を用いて構成してもよい。
【0024】
前述の通り、従来の作業用車両においては、作動油タンクの周囲(例えば、作動油タンクの前方もしくは後方の周囲)に作動油配管を敷設するための敷設スペースを設ける構成となっていた。そのような敷設スペースを設けることによって、車両の寸法(ここでは、車体の前後方向寸法)が大きくなる要因となり、ひいては、後方突出量が大きくなる要因となっていた。また、敷設スペースの上下の空間がデッドスペースとなっていた。
【0025】
このような課題に対して、本実施形態に係る上記の構成によれば、作動油タンク40(本体部42)の幅寸法内(ここでは、前後方向の幅寸法内)に、作動油配管(Pc、Pm等)の敷設スペースとなる配管敷設部50を設けることができる。その結果、車両の寸法(ここでは、車体10の前後方向寸法)を小さくできる。すなわち、パワーショベルの場合であれば、後方突出量の小さい後方小旋回型の作業用車両1の実現が可能となる。したがって、作動油タンク40に接続される作動油配管(Pc、Pm等)の敷設スペース確保と、車体10の小型化という相反する課題の解決が可能となる。
【0026】
本実施形態に係る配管敷設部50は、外方側面42aに隣接する一方の隣接側面(一例として、隣接側面42c)寄りの位置に配設されている。具体的な構造としては、外方側面42aおよび内方側面42bそれぞれにおける隣接側面42c寄りの位置と、隣接側面42cにおける下面42f寄りの位置とを連続状に切り欠いて、当該切り欠いた位置に、U字鋼を用いた配管敷設部50が溶接によって連結される構成となっている。なお、変形例として、上記の隣接側面42cを隣接側面42dに代えて構成してもよい(不図示)。
【0027】
また、本実施形態において、U字鋼を用いた配管敷設部50は、開口が下向きとなる逆U字に配置して、本体部42との当接部分を溶接によって隙間が生じないように連結されている。これによれば、U字鋼の2面(側面部50a、底面部50b)を本体部の内面の一部として構成することができ、構造の簡素化および材料の削減を図ることができる。
【0028】
ここで、U字鋼を用いた配管敷設部50における外側となる側面部50cに所定の作動油配管(一例として、旋回油圧モータと連通する作動油配管)が通過可能な開口面積を有する切り欠き部50dが設けられている。なお、当該切り欠き部50dと対向する位置の機器(一例として、後述の燃料タンク)にも凹状の窪みを設ける構成とすればより好ましい(不図示)。これによれば、所定の作動油配管を当該切り欠き部50dを通過させて、配管敷設部50内へ引き入れる、あるいは配管敷設部50内から引き出す等の構成が実現できる。したがって、作動油配管を省スペースで効率的に引き回して敷設することが可能となる。
【0029】
なお、変形例として、U字鋼に代えて角形管、円形管を用いて配管敷設部50を構成する場合には、当該配管敷設部50を外方側面42aおよび内方側面42bの板面の外縁寄りではなく中央寄りに設けてもよい(不図示)。これによれば、作動油タンク40の内部を貫通して配置される角形管、円形管を、バッフルプレートの役割をなすように兼用することができる。
【0030】
続いて、作動油タンク40を車体10に搭載する際の配置について説明する。本実施形態においては、本体部42の外方側面42aが外壁部(ここでは、車体10の右側部の外壁部10a)寄りに隣接する配置で作動油タンク40を設置する構成としている。したがって、車体10の中央部寄りに設けられる制御バルブに連通するパイロット制御用の作動油配管Pcを、配管敷設部50内を通過させて敷設することができる。これにより、当該作動油配管Pcの継手を、外壁部10a寄りの側面(ここでは、外方側面42a)に設けることが可能となる。また、車体10の中央部寄りに設けられる駆動バルブに連通する駆動用(ここでは、リターン用)の作動油配管Pmを、配管敷設部50内を通過させて敷設することができる。これにより、当該作動油配管Pmのオイルクーラ62への接続部62aを、外壁部10a寄りの位置に設けることが可能となる。なお、サクションフィルタ取付け部48に関しても、外壁部10a寄りの側面(ここでは、外方側面42a)に設ける構成となっている。
【0031】
これらの構成によれば、上記作動油配管(Pc、Pm等)の交換やサクションフィルタの交換といったメンテナンス作業を、外壁部10aのすぐ横の場所から当該外壁部10aの開閉部10eを開けるだけで実施することが可能となる(
図1では開閉部10eを開けた状態で図示)。このように、極めてメンテナンス性に優れた構成が実現できる。なお、本実施形態においては、外方側面42aを隣接配置させる「外壁部」を車体の右側部の外壁部10aとしているが、これに限定されるものではなく、車体の左側部の外壁部10b、後部の外壁部10c、もしくは前部の外壁部10dとする構成(不図示)としても同様の効果を得ることができる。
【0032】
また、本実施形態においては、作動油タンク40を、車体10の前後方向において燃料タンク60と並設する構成としている。一例として、本体部の外方側面42aに隣接する隣接側面42cを燃料タンク60と対向する位置となるように配設する構成としている。従来は、作動油タンクと燃料タンクとの間に十分な空間を設けて、作動油配管の敷設スペースとする構成としていたため、車体の前後方向寸法が大きくなる要因となっていた。これに対して、本実施形態に係る上記の構成によれば、作動油タンク40と燃料タンク60との間の間隔を、パイロット制御用の作動油配管Pcの外径よりも小さい寸法に設定して、両者を隣接配置することができる。したがって、車体10の前後方向寸法をより一層小さくすることができる。
【0033】
ここで、上記構成を備える作動油タンク40を形成する際の具体的な構造例について説明する。
図5に示すように、本体部42は、第1側面A1ならびに第1側面A1の縦方向の端部にそれぞれ角度90[°]で連続する上面A5および下面A6を備えるコ字状の第1部材AXと、第2側面A2ならびに第2側面A2の横方向の端部に角度90[°]で連続する第3側面A3および第4側面A4を備えるコ字状の第2部材AYとを、第1側面A1と第2側面A2とが対向する配置で組み合わせて直方体状となるように連結(溶接)して形成される。この構成の場合、第3側面A3もしくは第4側面A4が上記の「外方側面42a」として設定される(
図4、
図5は、第3側面A3に設定した場合)。また、第1側面A1もしくは第2側面A2が上記の「一方の隣接側面42c」として設定される(
図4、
図5は、第2側面A2に設定した場合)。また、上面A5が「上面42e」として設定され、下面A6が「下面42f」として設定される。
【0034】
続いて、作動油タンク40の構成例(第二例)について説明する、
図6に概略図(斜視図)を示し、
図7にその分解図を示す、
図6、
図7においても、作動油タンク40の基本構造をわかり易くするために、
図3において示されているパイロット制御用の作動油配管の継手やサクションフィルタ取付け部等の図示を省略している。
【0035】
第二例に係る作動油タンク40の構成は、前述の第一例の場合と基本的に同じであるが、形成する際の構造例が以下のように相違する。
【0036】
第二例に係る作動油タンク40を形成する際の具体的な構造例として、
図7に示すように、本体部42は、第1側面B1ならびに第1側面B1の縦方向の端部にそれぞれ角度90[°]で連続する上面B5および下面B6を備えるコ字状の第1部材BXと、第2側面B2ならびに第2側面B2の横方向の端部に角度90[°]で連続する第3側面B3および第4側面B4を備えるコ字状の第2部材BYとを、第1側面B1と第2側面B2とが対向する配置で組み合わせて直方体状となるように連結(溶接)して形成される。この構成の場合、第1側面B1もしくは第2側面B2が上記の「外方側面42a」として設定される(
図6、
図7は、第1側面B1に設定した場合)。また、第3側面B3もしくは第4側面B4が上記の「一方の隣接側面42c」として設定される(
図6、
図7は、第3側面B3に設定した場合)。また、上面B5が「上面42e」として設定され、下面B6が「下面42f」として設定される。
【0037】
以上説明した通り、本発明に係る作動油タンクによれば、メンテナンス性に優れた作業用車両の実現が可能となる。また、作動油配管を敷設するスペースの無駄を省くことが可能となるため、作業用車両の小型化が可能となる。特に、本発明に係る構成をパワーショベルに適用することによって、後方小旋回型の車両構造の実現が可能となる。
【0038】
なお、本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、本発明を逸脱しない範囲において種々変更可能である。特に、作業用車両としてパワーショベルを例に挙げて説明を行ったが、これに限定されるものではなく、例えば、スキッドステアローダ、クローラキャリア等の他の作業用車両に対しても同様に適用できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0039】
1 作業用車両
10 車体
12 走行装置
14 操縦室
16 ショベル装置
18 ブレード装置
40 作動油タンク
42 本体部
46 リターンフィルタ取付け部
48 サクションフィルタ取付け部
50 配管敷設部
60 燃料タンク
62 オイルクーラ
Pc、Pm 作動油配管