(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-20
(45)【発行日】2023-03-29
(54)【発明の名称】薄膜エッチング装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/306 20060101AFI20230322BHJP
【FI】
H01L21/306 R
(21)【出願番号】P 2020198339
(22)【出願日】2020-11-30
【審査請求日】2021-08-31
(31)【優先権主張番号】10-2019-0166795
(32)【優先日】2019-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】598123150
【氏名又は名称】セメス株式会社
【氏名又は名称原語表記】SEMES CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】77,4sandan 5-gil,Jiksan-eup,Seobuk-gu,Cheonan-si,Chungcheongnam-do,331-814 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】金 源根
(72)【発明者】
【氏名】金 泰信
【審査官】船越 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-157935(JP,A)
【文献】特開2015-092526(JP,A)
【文献】特開2010-080918(JP,A)
【文献】特開平11-219899(JP,A)
【文献】特開2019-121710(JP,A)
【文献】特開2019-110290(JP,A)
【文献】特開2007-081062(JP,A)
【文献】特開2016-001642(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/306-21/3063
H01L 21/308
H01L 21/465-21/467
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成された薄膜をエッチングするために前記基板上にエッチング液を供給するエッチング液供給ユニットと、
前記エッチング液によるエッチング工程が行われる間に前記基板の温度を測定するための温度測定ユニットと、
前記エッチング工程が行われる間に前記基板の温度を既に設定された温度に維持するために、前記基板の中心を含む第1部位に第1レーザービームを照射し、
前記第1部位と重ならずに前記第1部位を囲む第2部位にリング形態の第2レーザービームを照射するレーザー照射ユニットと、
前記基板の
前記第1部位と前記第2部位との温度差を減少させるために、前記温度測定ユニットによって測定された前記基板の温度に基づいて前記第1レーザービーム及び
前記第2レーザービームのパワーを制御する工程制御ユニットと、を含むことを特徴とする、薄膜エッチング装置。
【請求項2】
前記エッチング液供給ユニットは、
前記エッチング液を前記基板の中心部に供給するエッチング液供給ノズルと、
前記エッチング液供給ノズルを水平方向に移動させるためのノズル駆動部と、
前記エッチング液を既に設定された温度に加熱するためのエッチング液加熱部と、を含むことを特徴とする、請求項1に記載の薄膜エッチング装置。
【請求項3】
前記レーザー照射ユニットが、前記基板の中心部の上部に配置され、
前記エッチング液供給ノズルが、前記ノズル駆動部によって前記基板と前記レーザー照射ユニットとの間で水平方向に移動することを特徴とする、請求項2に記載の薄膜エッチング装置。
【請求項4】
前記エッチング液供給ノズルが、既に設定された量の前記エッチング液を前記基板の中心部に供給した後、前記基板から離隔するように水平移動することを特徴とする、請求項3に記載の薄膜エッチング装置。
【請求項5】
前記薄膜がシリコン窒化物を含み、前記エッチング液がリン酸及び水を含むことを特徴とする、請求項1に記載の薄膜エッチング装置。
【請求項6】
前記基板を回転させるための回転駆動ユニットをさらに含み、
前記エッチング液供給ユニットが、既に設定された量の前記エッチング液を前記基板の中心部に供給し、
前記回転駆動ユニットは、前記エッチング液が前記基板の上面に全体的に拡散して所定の厚さの液膜を形成するように前記基板を回転させることを特徴とする請求項1に記載の薄膜エッチング装置。
【請求項7】
前記回転駆動ユニットは、前記液膜が表面張力によって維持されるように前記基板の回転を停止させることを特徴とする、請求項6に記載の薄膜エッチング装置。
【請求項8】
前記エッチング液を回収するために前記基板を囲むように構成されたボウルユニットをさらに含むことを特徴とする、請求項6に記載の薄膜エッチング装置。
【請求項9】
前記基板を支持するためのサポートユニットをさらに含み、
前記回転駆動ユニットが、前記サポートユニットを回転させることを特徴とする、請求項6に記載の薄膜エッチング装置。
【請求項10】
前記温度測定ユニットが、前記基板の上部に配置される熱画像カメラを含むことを特徴とする、請求項1に記載の薄膜エッチング装置。
【請求項11】
前記温度測定ユニットが、前記基板の下部に配置される複数の赤外線温度センサーを含むことを特徴とする、請求項1に記載の薄膜エッチング装置。
【請求項12】
前記基板を支持するためのサポートユニットをさらに含み、
前記サポートユニットは、
円板状のサポートヘッドと、
前記サポートヘッドの上に配置され、前記基板の縁部を支持するためのサポートピンを含み、
前記赤外線温度センサーが、前記サポートヘッドの上に配置されることを特徴とする、請求項11に記載の薄膜エッチング装置。
【請求項13】
前記レーザー照射ユニットが、前記第1レーザービーム及び前記第2レーザービームのパワー調節が可能な可変リングモード(ARM)ファイバーレーザーを含むことを特徴とする、請求項1に記載の薄膜エッチング装置。
【請求項14】
前記基板を加熱するための赤外線ヒーターをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の薄膜エッチング装置。
【請求項15】
前記温度測定ユニットが、前記基板の上部に配置される熱画像カメラを含み、
前記赤外線ヒーターが、前記基板の下部に配置されることを特徴とする、請求項14に記載の薄膜エッチング装置。
【請求項16】
前記基板を支持するためのサポートユニットをさらに含み、
前記サポートユニットは、
円板状のサポートヘッドと、
前記サポートヘッドの上に配置され、前記基板の縁部を支持するためのサポートピンを含み、
前記赤外線ヒーターは、
前記サポートヘッドの上に配置される複数の赤外線ランプを含むことを特徴とする、請求項15に記載の薄膜エッチング装置。
【請求項17】
前記サポートヘッドの上面部には複数の凹溝が形成され、
前記赤外線ランプが前記凹溝内に配置され、
石英ウィンドウが前記凹溝の
各々の上部を覆うように前記赤外線ランプの
各々の上部に
1つずつ配置されることを特徴とする、請求項16に記載の薄膜エッチング装置。
【請求項18】
前記温度測定ユニットが、前記基板の下部に配置される複数の赤外線温度センサーを含み、
前記赤外線ヒーターが、前記基板の上部に配置されることを特徴とする、請求項14に記載の薄膜エッチング装置。
【請求項19】
前記基板を支持するためのサポートユニットをさらに含み、
前記サポートユニットは、
円板状のサポートヘッドと、
前記サポートヘッドの上に配置され、前記基板の縁部を支持するためのサポートピンを含み、
前記赤外線温度センサーが、前記サポートヘッドの上に配置されることを特徴とする、請求項18に記載の薄膜エッチング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜エッチング装置に関し、より詳しくは、シリコンウェハーのような基板上に形成された薄膜をエッチングして除去するための薄膜エッチング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、半導体素子は、基板として使用されるシリコンウェハーに対して一連の製造工程を反復的に行うことで製造される。例えば、基板上に薄膜を形成するための蒸着工程と、前記薄膜上にフォトレジストパターンを形成するためのフォトリソグラフィ工程と、前記薄膜をパターニングまたは除去するためのエッチング工程などが行われ得る。
【0003】
前記エッチング工程は、乾式エッチング工程と湿式エッチング工程に分けられ得、前記湿式エッチング工程は、基板を一枚ずつ処理する枚葉式と、複数の基板を同時に処理するバッチ式と、に分けられ得る。前記枚葉式エックエッチング装置は、基板を回転させながら前記基板上にエッチング液を供給し、前記薄膜と前記エッチング液との反応によって前記薄膜を除去し、前記反応によって生成された反応副産物と残りのエッチング液は、前記基板の回転によって前記基板から除去され得る。
【0004】
例えば、前記基板上に形成されたシリコン窒化膜の場合、リン酸と水を含むエッチング液を用いて前記シリコン窒化膜を除去し得る。この際、前記シリコン窒化膜と前記エッチング液との反応速度を増加させるために、前記エッチング液を加熱した後、前記基板の中心部に供給し得る。前記エッチング液は、前記基板の回転によって前記基板の中心部から縁部へ拡散する。しかし、前記エッチング液の移動中に前記エッチング液の温度が低下することがあり、これによって前記基板の中央部から縁部へ進むほどエッチング速度が低下し得る。結果的に、前記基板上の薄膜が均一に除去されないという問題点が発生する恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】韓国登録特許公報第10-1757812号公報
【文献】韓国登録特許公報第10-1870648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、基板上の薄膜を均一に除去できる薄膜エッチング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を達成するため本発明の一実施例による薄膜エッチング装置は、基板上に形成された薄膜をエッチングするために前記基板上にエッチング液を供給するエッチング液供給ユニットと、前記エッチング液によるエッチング工程が行われる間に前記基板の温度を測定するための温度測定ユニットと、前記エッチング工程が行われる間に前記基板の温度を既に設定された温度に維持するために、前記基板の中心を含む第1部位に第1レーザービームを照射し、前記第1部位を囲む第2部位にリング形態の第2レーザービームを照射するレーザー照射ユニットと、前記基板の第1部位と前記第2部位との温度差を減少させるために、前記温度測定ユニットによって測定された前記基板の温度に基づいて前記第1レーザービーム及び第2レーザービームのパワーを制御する工程制御ユニットと、を含み得る。
【0008】
本発明の一実施例によれば、前記エッチング液供給ユニットは、前記エッチング液を前記基板の中心部に供給するエッチング液供給ノズルと、前記エッチング液供給ノズルを水平方向に移動させるためのノズル駆動部と、前記エッチング液を既に設定された温度に加熱するためのエッチング液加熱部と、を含み得る。
【0009】
本発明の一実施例によれば、前記レーザー照射ユニットは、前記基板の中心部の上部に配置され、前記エッチング液供給ノズルは、前記ノズル駆動部によって前記基板と前記レーザー照射ユニットとの間で水平方向に移動し得る。
【0010】
本発明の一実施例によれば、前記エッチング液供給ノズルは、既に設定された量の前記エッチング液を前記基板の中心部に供給した後、前記基板から離隔するように水平移動し得る。
【0011】
本発明の一実施例によれば、前記薄膜はシリコン窒化物を含み、前記エッチング液はリン酸及び水を含み得る。
本発明の一実施例によれば、前記薄膜エッチング装置は、前記基板を回転させるための回転駆動ユニットをさらに含み、前記エッチング液供給ユニットは、既に設定された量の前記エッチング液を前記基板の中心部に供給し、前記回転駆動ユニットは、前記エッチング液が前記基板の上面に全体的に拡散して所定の厚さの液膜を形成するように前記基板を回転させ得る。
【0012】
本発明の一実施例によれば、前記回転駆動ユニットは、前記液膜が表面張力によって維持されるように前記基板の回転を停止させ得る。
本発明の一実施例によれば、前記薄膜エッチング装置は、前記エッチング液を回収するために前記基板を囲むように構成されたボウル(bowl)ユニットをさらに含み得る。
【0013】
本発明の一実施例によれば、前記薄膜エッチング装置は、前記基板を支持するためのサポートユニットをさらに含み、前記回転駆動ユニットは、前記サポートユニットを回転させ得る。
【0014】
本発明の一実施例によれば、前記温度測定ユニットは、前記基板の上部に配置される熱画像カメラを含み得る。
本発明の一実施例によれば、前記温度測定ユニットは、前記基板の下部に配置される複数の赤外線温度センサーを含み得る。
【0015】
本発明の一実施例によれば、前記薄膜エッチング装置は、前記基板を支持するためのサポートユニットをさらに含み、前記サポートユニットは、円板状のサポートヘッドと、前記サポートヘッドの上に配置され、前記基板の縁部を支持するためのサポートピンを含み、前記赤外線温度センサーは、前記サポートヘッドの上に配置され得る。
【0016】
本発明の一実施例によれば、前記レーザー照射ユニットは、前記第1レーザービーム及び前記第2レーザービームのパワー調節が可能な可変リングモード(Adjustable Ring Mode;ARM)ファイバーレーザーを含み得る。
【0017】
本発明の一実施例によれば、前記薄膜エッチング装置は、前記基板を加熱するための赤外線ヒーターをさらに含み得る。
本発明の一実施例によれば、前記温度測定ユニットは、前記基板の上部に配置される熱画像カメラを含み、前記赤外線ヒーターは、前記基板の下部に配置され得る。
【0018】
本発明の一実施例によれば、前記薄膜エッチング装置は、前記基板を支持するためのサポートユニットをさらに含み、前記サポートユニットは、円板状のサポートヘッドと、前記サポートヘッドの上に配置され、前記基板の縁部を支持するためのサポートピンを含み、前記赤外線ヒーターは、前記サポートヘッドの上に配置される複数の赤外線ランプを含み得る。
【0019】
本発明の一実施例によれば、前記サポートヘッドの上面部には複数の凹溝が形成され、前記赤外線ランプが前記凹溝内に配置され、複数の石英ウィンドウが前記凹溝の上部を覆うように前記赤外線ランプの上部に配置され得る。
【0020】
本発明の一実施例によれば、前記温度測定ユニットは、前記基板の下部に配置される複数の赤外線温度センサーを含み、前記赤外線ヒーターは、前記基板の上部に配置され得る。この場合、前記薄膜エッチング装置は、前記基板を支持するためのサポートユニットをさらに含み、前記サポートユニットは、円板状のサポートヘッドと、前記サポートヘッドの上に配置され、前記基板の縁部を支持するためのサポートピンを含み、前記赤外線温度センサーは、前記サポートヘッドの上に配置され得る。
【発明の効果】
【0021】
上述したような本発明の実施例によれば、前記エッチング液の供給によって前記エッチング液及び前記基板の温度が前記基板の第1部位及び第2部位で変化でき、前記第1部位と第2部位との温度差は、前記第1レーザービーム及び第2レーザービームのパワー調節によって減少できる。特に、前記第2部位の温度が前記第1部位よりも低いことがあり、この場合、前記第2レーザービームのパワーを前記第1レーザービームのパワーよりも強くすることで前記基板及び前記エッチング液の温度を均一にすることができる。これとは異なり、前記赤外線ヒーターによって加熱された前記基板の温度が前記エッチング液の温度よりも高い場合、前記エッチング液を前記基板上に供給する間に前記第1部位の温度が前記第2部位よりも低くなることがあり、この場合、前記第1レーザービームのパワーを前記第2レーザービームのパワーよりも強くすることで前記基板及び前記エッチング液の温度を均一にすることができる。結果的に、前記基板及び前記エッチング液の温度が全体的に均一に維持され、これによって前記薄膜のエッチング速度が全体的に均一になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施例による薄膜エッチング装置を説明するための概略的な構成図である。
【
図2】
図1に示したエッチング液供給部を説明するための概略的な平面図である。
【
図3】
図1に示したレーザー照射ユニットから提供される第1レーザービーム及び第2レーザービームを説明するための概略図である。
【
図4】本発明の他の実施例による薄膜エッチング装置を説明するための概略的な構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施例は、添付図面を参照して詳細に説明される。しかし、本発明は、以下にて説明される実施例に限定されたとおり構成されるべきものではなく、この他の多様な形で具体化することができる。下記の実施例は、本発明を完全に完成するために提供されるというより、本発明の技術分野における熟練した当業者に、本発明の範囲を十分に伝達するために提供される。
【0024】
本発明の実施例の一要素が、他の一要素上に配置されるかまたは接続されると説明される場合、上記要素は、前記他の一要素上に直接配置されるかまたは接続されるすること可能であり、他の要素が、これらの間に介在されることも可能である。これとは相違に、一要素が他の一要素上に直接配置されるかまたは接続されると説明される場合、それらの間には、更に他の要素があることはない。多様な要素、組成、領域、層、及び/または部分のような、多様な項目を説明するために、第1、第2、第3などの用語を使用することができるが、上記の項目は、これらの用語によって限定されることはない。
【0025】
本発明の実施例で使用された専門用語は、単に特定の実施例を説明するための目的として使用されるものであり、本発明を限定するためのものではない。また、特別に限定しない以上、技術及び科学用語を含む全ての用語は、本発明の技術分野における通常の知識を有する当業者に理解され得る同一の意味を有する。通常の辞書において限定されるものと同じ上記の用語は、関連技術と本発明の説明の文脈からその意味と一致する意味を有するものと解釈され、明確に限定されない限り、理想的にまたは過度に外形的な直感で解釈されない。
【0026】
本発明の実施例は、本発明の理想的な実施例の概略的な図解を参照して説明される。これにより、上記図解の形状からの変化、例えば、製造方法及び/または許容誤差の変化は、十分予想できるものである。したがって、本発明の実施例は、図解として説明された領域の特定形状に限定されるとおり説明されることはなく、形状においての偏差を含み、図面に記載された要素は、全的に概略的なものであり、これらの形状は要素の正確な形状を説明するためのことではなく、また、本発明の範囲を限定することでもない。
【0027】
図1は、本発明の一実施例による薄膜エッチング装置を説明するための概略的な構成図であり、
図2は、
図1に示したエッチング液供給部を説明するための概略的な平面図である。
【0028】
図1及び
図2を参照すれば、本発明の一実施例による薄膜エッチング装置100は、半導体製造工程でシリコンウェハーのような基板10に形成された薄膜12を除去するために使用され得る。例えば、前記基板10には、シリコン窒化物(Si
3N
4)を含む薄膜12が形成され得、前記薄膜エッチング装置100は、リン酸(H
3PO
4)と水(H
2O)を含むエッチング液20を前記基板10に供給し、前記薄膜12と前記エッチング液20とのエッチング反応を用いて前記薄膜12を除去し得る。
【0029】
本発明の一実施例によれば、前記薄膜エッチング装置100は、前記薄膜12の除去のためのエッチング工程が行われる工程チャンバ102を含み得、前記工程チャンバ102内には、前記基板を支持するためのサポートユニット110と、前記サポートユニット110を回転させるための回転駆動ユニット120と、が配置され得る。
【0030】
一例として、前記サポートユニット110は、ほぼ円板状のサポートヘッド112と、前記サポートヘッド112の上に配置され、前記基板10の縁部を支持するためのサポートピン114と、を含み得る。前記サポートピン114は、前記基板10の縁部を支持するために円環の形態で配置され得、前記サポートピン114の上部には、前記基板10が回転する間に前記基板10の側面部を支持するためのサポート部材116が各々備えられ得る。前記回転駆動ユニット120は、前記サポートヘッド112の下部に配置され、回転力の提供のためのモーターを含む回転駆動部122と、前記回転駆動部122と前記サポートヘッド112とを連結する駆動軸124を含み得る。
【0031】
前記薄膜エッチング装置100は、前記薄膜12をエッチングするために前記基板10にエッチング液20を供給するエッチング液供給ユニット130を含み得る。一例として、前記エッチング液供給ユニット130は、前記エッチング液20を前記基板10の中心部に供給するエッチング液供給ノズル132と、前記エッチング液供給ノズル132を水平方向に移動させるためのノズル駆動部134と、前記エッチング液20を既に設定された温度に加熱するためのエッチング液加熱部136と、を含み得る。
【0032】
一方、シリコン窒化物を含む前記薄膜12は、リン酸と水を含む前記エッチング液20との化学的な反応によって除去され得る。前記薄膜12と前記エッチング液20との反応式は、次のようである。
【0033】
3Si3N4+4H3PO4+27H2O→4(NH4)3PO4+9H2SiO3
前記のような化学反応は、前記エッチング液20の温度によって反応速度が増加し得、前記薄膜12のエッチング速度を増加させるために、前記エッチング液加熱部136は、前記エッチング液20の沸点以下の温度、例えば、約150℃に前記エッチング液20を加熱し得る。
【0034】
本発明の一実施例によれば、前記薄膜12に対するエッチング工程は、パドル(puddle)方式で行われ得る。具体的に、前記エッチング液供給ユニット130は、既に設定された量の前記エッチング液20を前記基板10の中心部に供給し得、前記回転駆動ユニット120は、前記エッチング液20が前記基板10の上面に全体的に拡散して所定の厚さの液膜を形成するように前記基板10を低速で回転させ得る。即ち、前記基板10に供給された前記エッチング液20は、遠心力によって前記基板10の中心部から縁部へ拡散でき、前記回転駆動ユニット120は、前記エッチング液20が前記基板10の縁部まで充分に拡散した後、前記基板10の回転を停止させ得る。前記液膜は、前記エッチング液20の表面張力によって維持でき、前記薄膜12に対するエッチング工程は、前記液膜が形成された後、既に設定された時間の間に行われ得る。
【0035】
前記のように基板10に供給された前記エッチング液20が前記基板10の中心部から縁部へ拡散する間に前記エッチング液の温度が変化することがあり、これによって、前記薄膜12のエッチング速度が部位ごとに変わり得る。これを解決するために、本発明の一実施例によれば、前記薄膜エッチング装置100は、前記エッチング液20によるエッチング工程が行われる間に前記基板10の温度を測定するための温度測定ユニット140と、前記エッチング工程が行われる間に前記基板10の温度を既に設定された温度に維持するために前記基板10の中心を含む第1部位に第1レーザービーム30(
図3参照)を照射し、前記第1部位を囲む第2部位にリング形態の第2レーザービーム32(
図3参照)を照射するレーザー照射ユニット150と、前記基板10の第1部位と前記第2部位との温度差を減少させるために、前記温度測定ユニット140によって測定された前記基板10の温度に基づいて前記第1レーザービーム30及び第2レーザービーム32のパワーを制御する工程制御ユニット104と、を含み得る。
【0036】
一例として、前記温度測定ユニット140は、前記基板10の上部に配置される熱画像カメラ142を含み得、前記工程制御ユニット104は、前記熱画像カメラ142によって得られるイメージから前記基板10の第1部位及び前記第1部位を囲む円環状の前記第2部位の温度を検出し得る。
【0037】
前記レーザー照射ユニット150は、前記基板10の中心部の上部に配置され得、前記基板10の第1部位に対応する円形のビームパターンを有する第1レーザービーム30及び前記基板10の第2部位に対応する円環状のビームパターンを有する第2レーザービーム32を提供し得る。一例として、前記レーザー照射ユニット150は、前記第1レーザービーム30及び前記第2レーザービーム32のパワー調節が可能な可変リングモード(Adjustable Ring Mode;ARM)ファイバーレーザーを含み得る。
【0038】
図3は、
図1に示したレーザー照射ユニットから提供される第1レーザービーム及び第2レーザービームを説明するための概略図である。
図3を参照すれば、前記工程制御ユニット104は、前記基板10の温度に応じて前記第1レーザービーム30及び第2レーザービーム32のパワーを調節し得る。例えば、前記工程制御ユニット104は、
図3の(a)に示したように、前記第1レーザービーム30と第2レーザービーム32とのパワーを同一に制御するか、または、
図3の(d)及び(e)に示したように、前記第1レーザービーム30及び第2レーザービーム32を選択的に提供することも可能である。また、前記基板10の第1部位と第2部位との温度差が発生する場合、
図3の(b)に示したように、前記第2レーザービーム32のパワーを前記第1レーザービーム30のパワーよりも強くするか、または、
図3の(c)に示したように、前記第1レーザービーム30のパワーを前記第2レーザービーム32のパワーよりも強く制御し得る。
【0039】
前記のように基板10の第1部位及び第2部位の温度に応じて、前記第1レーザービーム30及び第2レーザービーム32のパワーを制御することで前記基板10の温度を既に設定された温度に均一に制御でき、これによって前記薄膜12のエッチング速度を全体的に均一に制御することができる。
【0040】
また、
図1及び
図2を参照すれば、前記エッチング液供給ノズル132は、前記レーザー照射ユニット150よりも低く配置され得る。即ち、前記エッチング液供給ノズル132は、前記基板10と前記レーザー照射ユニット150との間で前記ノズル駆動部134によって水平方向に移動し得る。例えば、前記ノズル駆動部134は、ノズルアーム138を介して前記エッチング液供給ノズル132と連結され得、前記エッチング液供給ノズル132が前記基板10の中心部の上部に位置するように前記ノズルアーム138を回転させ、前記基板10の上に前記エッチング液20が供給された後、前記第1レーザービーム30及び前記第2レーザービーム32との干渉を防止するために、前記エッチング液供給ノズル132が前記基板10から離隔するように前記ノズルアーム138を回転させ得る。
【0041】
本発明の一実施例によれば、前記薄膜エッチング装置100は、前記エッチング液20を回収するために、前記基板10を囲むように構成されるボウル(bowl)ユニット160をさらに含み得る。例えば、前記エッチング工程が行われた後、前記基板10の上の反応副産物及び残余エッチング液を除去するために、前記回転駆動ユニット120は、前記基板10を高速で回転させることができ、これによって、前記反応副産物と残余エッチング液が遠心力によって前記基板10から除去され得る。前記基板10から除去された前記反応副産物と前記残余エッチング液は、前記ボウルユニット160によって回収され、前記ボウルユニット160と連結された排出管(図示せず)によって排出され得る。
【0042】
図示したように、前記ボウルユニット160が一つのボウルを備えているが、前記ボウルユニット160は、複数のボウルを備えてもよい。例えば、前記エッチング工程が行われた後、前記基板10のエッチング残留物を除去するためのリンス工程と、前記基板10を乾燥させるための乾燥工程と、が行われ得、前記ボウルユニット160は、前記リンス工程で使用されるリンス液、例えば、脱イオン水を回収するための第2ボウル(図示せず)と、前記乾燥工程で使用される乾燥溶液、例えば、イソプロピルアルコールを回収するための第3ボウル(図示せず)などをさらに含み得る。また、図示していないが、前記薄膜エッチング装置100は、前記リンス液及び前記乾燥溶液を提供するためのリンス液供給ユニット及び乾燥溶液供給ユニットをさらに含み得る。
【0043】
なお、本発明の一実施例によれば、前記薄膜エッチング装置100は、前記基板10を既に設定された温度に加熱するための赤外線ヒーター170をさらに含み得る。前記赤外線ヒーター170は、前記基板10の下部に配置され得、前記サポートヘッド112の上に配置される複数の赤外線ランプ172を含み得る。例えば、前記赤外線ヒーター170は、前記サポートヘッド112内に配置される複数の赤外線ランプ172を含み得、前記サポートヘッド112には、前記赤外線ランプ172から照射された赤外線光を前記基板10の下面に伝達するための石英ウィンドウ174が備えられ得る。具体的に、前記サポートヘッド112の上面部には複数の凹溝が形成され得、前記赤外線ランプ172は、前記凹溝内に配置され得る。この際、前記石英ウィンドウ174は、前記凹溝の上部を覆うように前記赤外線ランプ172の上部に配置され得る。
【0044】
図4は、本発明の他の実施例による薄膜エッチング装置を説明するための概略的な構成図である。
図4を参照すれば、前記薄膜エッチング装置100は、前記基板10を加熱するための赤外線ヒーター180と、前記基板10の温度を測定するための温度測定部190と、を含み得る。例えば、前記赤外線ヒーター180は、前記基板10の上部に配置される複数の赤外線ランプ182を含み得、前記温度測定ユニット190は、前記基板10の下部、一例として、前記サポートヘッド112の上に配置される複数の赤外線温度センサー192を含み得る。
【0045】
上述したような本発明の実施例によれば、前記エッチング液20の供給によって前記エッチング液20及び前記基板10の温度が前記基板10の第1部位及び第2部位で変化でき、前記第1部位と第2部位との温度差は、前記第1レーザービーム30及び第2レーザービーム32のパワー調節によって減少できる。特に、前記第2部位の温度が前記第1部位よりも低いことがあり、この場合、前記第2レーザービーム32のパワーを前記第1レーザービーム30のパワーよりも強くすることで、前記基板10及び前記エッチング液20の温度を均一に制御することができる。
【0046】
これとは異なり、前記赤外線ヒーター170によって加熱された前記基板10の温度が前記エッチング液20の温度よりも高い場合、前記エッチング液を前記基板10に供給する間に前記第1部位の温度が前記第2部位よりも低くなることがあり、この場合、前記第1レーザービーム30のパワーを前記第2レーザービーム32のパワーよりも強くすることで、前記基板10及び前記エッチング液20の温度を均一にすることができる。結果的に、前記基板10及び前記エッチング液20の温度が全体的に均一に維持され、これによって、前記薄膜12のエッチング速度が全体的に均一になる。
【0047】
以上、本発明の望ましい実施例を参照して説明したが、当該技術分野における熟練された当業者は、下記の請求範囲に記載した本発明の思想及び領域から外れない範囲内で本発明を多様に修正及び変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0048】
10 基板
12 薄膜
20 エッチング液
100 薄膜エッチング装置
102 工程チャンバ
110 サポートユニット
112 サポートヘッド
114 サポートピン
116 サポート部材
120 回転駆動部
122 駆動ユニット
124 駆動軸
130 エッチング液供給部
132 エッチング液供給ノズル
134 ノズル駆動部
136 エッチング液加熱部
138 ノーズアーム
140 温度測定部
142 熱画像カメラ
150 レーザー照射ユニット
160 ボウルユニット
170 赤外線ヒーター
172 赤外線ランプ
174 石英ウィンドウ
180 赤外線ヒーター
182 赤外線ランプ
190 温度測定部
192 赤外線温度センサー