(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-20
(45)【発行日】2023-03-29
(54)【発明の名称】仮接合接着剤用シリコーン組成物、その硬化体を含む電子物品、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C09D 183/07 20060101AFI20230322BHJP
C09D 183/05 20060101ALI20230322BHJP
C09D 5/20 20060101ALI20230322BHJP
【FI】
C09D183/07
C09D183/05
C09D5/20
(21)【出願番号】P 2020503847
(86)(22)【出願日】2018-07-31
(86)【国際出願番号】 US2018044588
(87)【国際公開番号】W WO2019028015
(87)【国際公開日】2019-02-07
【審査請求日】2021-07-14
(31)【優先権主張番号】10-2017-0097214
(32)【優先日】2017-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヒュン、デサプ
【審査官】水野 明梨
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-155295(JP,A)
【文献】特開2013-256266(JP,A)
【文献】特開2016-108353(JP,A)
【文献】国際公開第2013/176179(WO,A1)
【文献】“1.マツモトマイクロスフェアー F、FNシリーズ (未膨張グレード)の銘柄と特性”,2022年06月16日,URL:https://www.mtmtys.co.jp/product/general/data01_2.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J1/00-5/10
C09J9/00-201/10
C09D1/00-10/00
C09D100/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)
(A)各分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するポリジオルガノシロキサンと、
(B)各分子中に少なくとも1個のケイ素結合水素原子を有するポリオルガノシロキサンと、
(C)10以上の膨張比を有する熱膨張性粉末と、
を含む
、シリコーン組成物
を、電子物品の中間体の表面の少なくとも一部上にコーティングすることと、
(b)前記中間体上にコーティングされた前記シリコーン組成物を硬化させることによって硬化体を形成することと、
(c)上部に前記硬化体が形成された前記中間体を表面処理することと、
(d)前記硬化体を前記中間体から除去することと、
を含む、電子物品の製造方法。
【請求項2】
成分(A)が、式(1):
R’R”R’”SiO-(R”R’”SiO)
m-SiOR’”R”R’(1)
[式(1)中、
各R’は2~10個の炭素原子を含有するアルケニル基であり、
R”はエチレン性不飽和を含有せず、同一であるか又は異なっており、1~10個の炭素原子を含有する一価飽和炭化水素基、及び6~12個の炭素原子を含有する一価芳香族炭化水素基から独立に選択され、R”は、非置換であってもよく、又は前記組成物の硬化を妨げない基で置換されていてもよく、
R’”はR’又はR”と同一であり、
mは25℃で少なくとも0.1Pa・sの粘度を有する成分(A)の重合度を表す]
で表される、請求項1に記載の
電子物品の製造方法。
【請求項3】
成分(B)が、成分(B)中のケイ素結合水素原子の総数の、成分(A)中の全アルケニル基の総量に対するモル比が0.4:1~20:1となる量で添加される、請求項1又は2に記載の
電子物品の製造方法。
【請求項4】
成分(B)が、以下の化合物:
(i)トリメチルシロキシ末端メチルハイドロジェンポリシロキサン、
(ii)トリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン-メチルハイドロジェンシロキサンコポリマー、
(iii)ジメチルハイドロジェンシロキシ末端ジメチルシロキサン-メチルハイドロジェンシロキサンコポリマー、
(iv)ジメチルシロキサン-メチルハイドロジェンシロキサン環状コポリマー、
(v)(CH
3)
2HSiO
1/2単位及びSiO
4/2単位から構成されるコポリマー、並びに
(vi)(CH
3)
3SiO
1/2単位、(CH
3)
2HSiO
1/2単位、及びSiO
4/2単位から構成されるコポリマー
から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の
電子物品の製造方法。
【請求項5】
成分(C)の膨張前の平均粒子径が1~60μmである、請求項1~4のいずれか一項に記載の
電子物品の製造方法。
【請求項6】
前記シリコーン組成物が、(D)ヒドロシリル化反応触媒を更に含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の
電子物品の製造方法。
【請求項7】
前記シリコーン組成物が、(E)ヒドロシリル化反応抑制剤を更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の
電子物品の製造方法。
【請求項8】
前記電子物品が、ディスプレイ、家庭用電気器具、半導体製品、又は自動車に含まれている、請求項
1~
7のいずれか一項に記載の電子物品の
製造方法。
【請求項9】
(b)の硬化が、25℃~200℃の温度で実施される、請求項
1~8のいずれか一項に記載の電子物品の製造方法。
【請求項10】
(c)の前記表面処理が、熱処理、電磁処理、又は陽極酸化処理である、請求項
1~9のいずれか一項に記載の電子物品の製造方法。
【請求項11】
(d)が、100℃~285℃の範囲内の(b)の硬化温度よりも高い温度で実施される、請求項
1~
10のいずれか一項に記載の電子物品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年7月31日に出願された韓国特許出願公開第10-2017-0097214号の優先権及び全ての利点を主張するものであり、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、仮接合接着剤用シリコーン組成物、その硬化体を含む電子物品、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
シリコーン組成物は、耐熱性、耐寒性、電気絶縁性、耐候性、撥水性、透明性などの優れた特性で知られている。これらの特性により、組成物は、様々な産業において幅広い用途を見出す。ヒドロシリル化反応により硬化可能なシリコーン組成物は、自動車、電子/電気物品、家庭用電気器具、医療分野などの分野での接着特性により、接着剤としても使用される。接着剤が永久接着に関与する場合に必要とされている。これに反して、特定の接着期間及びその後除去される被着体からの分離に関与する仮接合接着剤の適用も必要とされている。
【0004】
米国特許第5,246,973号、国際公開第2007/123379(A1)号、及び米国特許第6,240,037号などは、シリコーンゴム組成物を開示している。しかしながら、これらの参考文献に開示されているシリコーンゴム組成物は、自動車などに使用される一般的なシーラント、並びに織物及び車両のエアバッグへのコーティング剤に関連する。また、仮接合接着剤のための材料の使用は開示していない。
【0005】
先行技術文献
特許文献
特許文献1:米国特許第5,246,973号(登録日1993年9月21日)
【0006】
特許文献2:国際公開第2007/123379(A1)号(公開日2007年11月1日)
【0007】
特許文献3:米国特許第6,240,037号(登録日2002年7月16日)
【発明の概要】
【0008】
発明が解決しようとする課題
本開示の目的は、仮接合接着剤用シリコーン組成物を提供することである。本開示の別の目的は、シリコーン組成物の硬化体を含む電子物品の中間体を提供することである。本開示の別の目的は、シリコーン組成物を使用した電子物品の製造方法を提供することである。
課題を解決するための手段
仮接合接着剤用の本開示のシリコーン組成物は、
(A)各分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するポリジオルガノシロキサンと、
(B)各分子中に少なくとも1個のケイ素結合水素原子を有するポリオルガノシロキサンと、
(C)10以上の膨張比を有する熱膨張性粉末と、を含む。
【0009】
本開示の電子物品の中間体は、シリコーン組成物の硬化体を、表面の少なくとも一部上に含む。
【0010】
本発明の電子物品の製造方法は、
(a)シリコーン組成物を、電子物品の中間体の表面の少なくとも一部上にコーティングすることと、
(b)中間体上にコーティングされたシリコーン組成物を硬化させることによって硬化体を形成することと、
(c)上部に硬化体が形成された中間体を表面処理することと、
(d)硬化体を中間体から除去することと、を含む。
【0011】
発明の効果
本開示のシリコーン組成物は、ヒドロシリル化反応によって被着体に一時的に接合し、加熱によって、比較的簡単な方法で及び/又はいかなる残渣もなく分離可能な、接着剤として機能し得る。この性能により、接着剤は、所望の部分を、電子物品などの被着体の熱処理、電磁処理、又は陽極酸化処理から保護又はマスキングし得る。したがって、本開示のシリコーン組成物を使用する仮接合接着剤は、例えば、電磁干渉(EMI)シールド及び陽極酸化プロセスに適用されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施例1で使用した熱膨張性粉末の熱膨張後の拡大図である。
【0013】
【
図2】実施例2で使用した熱膨張性粉末の熱膨張後の拡大図である。
【0014】
【
図3】実施例3で使用した熱膨張性粉末の熱膨張後の拡大図である。
【0015】
【
図4】比較例1で使用した熱膨張性粉末の熱膨張後の拡大図である。
【0016】
【
図5】比較例2で使用した熱膨張性粉末の熱膨張後の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
まず、本開示のシリコーン組成物について以下に論じる。
【0018】
(A)各分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するポリジオルガノシロキサン
成分(A)は、各分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するポリジオルガノシロキサンである。成分(A)の好適なアルケニル基は、2~10個の炭素原子を有し、その好ましい種は、例えば、ビニル、アリル、及び5-ヘキセニルなどである。成分(A)は、アルケニル基以外のケイ素結合有機基を有してもよい。このようなケイ素結合有機基は、典型的には、好ましくは1~10個の炭素原子を有する一価飽和炭化水素基、及び好ましくは6~12個の炭素原子を有する一価芳香族炭化水素基から選択され、これらの炭化水素基は、非置換であるか、又はハロゲン原子などの本開示の組成物の硬化を妨げない基によって置換されている。ケイ素結合有機基の好ましい種は、例えば、メチル、エチル、及びプロピルなどのアルキル;3,3,3-トリフルオロプロピルなどのハロゲン化アルキル;及びフェニルなどのアリールである。
【0019】
成分(A)の分子構造は、典型的には直鎖状であるが、分子内に三価のシロキサン単位が存在することによる、いくらかの分岐が存在し得る。本開示のシリコーン組成物を硬化させることによって調製されるエラストマーにおいて、有用なレベルの物理的特性を達成するために、成分(A)の分子量は、25℃で少なくとも0.1Pa・sの粘度を達成するのに十分なものである必要がある。成分(A)の分子量の上限は特に制限されず、典型的には、本開示のシリコーン組成物の加工性によってのみ制限される。
【0020】
成分(A)の好ましい実施形態は、2つの末端にアルケニル基を有するポリジオルガノシロキサンであり、以下の式(1):
R’R”R’”SiO-(R”R’”SiO)m-SiOR’”R”R’ (1)
で表される。
【0021】
式(1)において、各R’は、ビニル、アリル、5-ヘキセニルなどの、好ましくは2~10個の炭素原子を含有するアルケニル基である。R”はエチレン性不飽和を含有せず、同一であるか又は異なっており、好ましくは1~10個の炭素原子を含有する一価飽和炭化水素基、及び好ましくは6~12個の炭素原子を含有する一価芳香族炭化水素基から独立に選択される。R”は、非置換であってもよく、又はハロゲン原子などの本開示の組成物の硬化を妨げない基で置換されていてもよい。
R’”はR’又はR”である。mは、成分(A)が25℃で少なくとも0.1Pa・s、好ましくは0.1~300Pa・s、より好ましくは0.3~20Pa・sの粘度を有することに等しい重合度を表す。当業者であれば、そのような粘度を得るために「m」の値を適切に制御することができる。
【0022】
所望により、上記成分(A)の一部は、側鎖位にアルケニル基を有し、以下の式(1’):
R”2R’”SiO-(R”2SiO)m1(R’R”SiO)m2-SiOR’”R”2 (1’)
で表されるポリジオルガノシロキサンであり得る。
式(1’)において、R’、R”、及びR’”は、式(1)のものと同一であり、m1+m2は1以上の整数であり、m1+m2は成分(A)が25℃で少なくとも0.1Pa・s、好ましくは0.1~300Pa・s、より好ましくは0.3~20Pa・sの粘度を有することに等しい重合度を表す。当業者であれば、そのような粘度を得るために「m1+m2」の値を適切に制御することができる。
【0023】
好ましくは、式(1)のR”及びR’”の全てはメチルである。別の選択は、式(1)のR”及びR’”のうちの少なくとも1つ、又はR”及びR’”の大部分がメチルであり、残りがフェニル又は3,3,3-トリフルオロプロピルであるということである。この選択は、ポリジオルガノシロキサン(成分(A))を調製するために典型的に使用される反応物質の入手可能性、及びこのようなポリジオルガノシロキサンを含む組成物から調製される硬化エラストマーに対して所望される特性に基づく。
【0024】
末端にのみエチレン性不飽和炭化水素基を含有する成分(A)の代表的実施形態としては、ジメチルビニルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、ジメチルビニルシロキシ末端ポリメチル-3,3,3-トリフルオロプロピルシロキサン、ジメチルビニルシロキシ末端ジメチルシロキサン-3,3,3-トリフルオロプロピルメチルシロキサンコポリマー、及びジメチルビニルシロキシ末端ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサンコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
概して、成分(A)は、25℃で少なくとも0.1Pa・s、好ましくは0.1~300Pa・s、より好ましくは0.3~20Pa・sの粘度を有する。
【0026】
(B)各分子中に少なくとも1個のケイ素結合水素原子を有するポリオルガノシロキサン
成分(B)は、ポリオルガノシロキサンであり、以下に述べる成分(D)の触媒活性の下で、成分(B)のケイ素結合水素原子と成分(A)のアルケニル基との付加反応によって、成分(A)を硬化させるための架橋剤として作用する。通常、成分(B)は、成分(A)を十分に硬化させるために、成分(B)の水素原子が成分(A)のアルケニル基と十分に反応してネットワーク構造を形成できるように、3個以上のケイ素結合水素原子を含有する。この反応はシリコーン組成物の硬化を引き起こすことから、成分(A)が3個以上のアルケニル基を有する場合、2個のケイ素結合水素原子を有する成分(B)は、なおも架橋剤として機能することが容易に理解される。
【0027】
成分(B)の分子構造は特に制限されず、直鎖状でも、分岐を含む直鎖状でも、又は環状でもよい。この成分の分子量は特に制限されないが、成分(A)との優れた混和性を得るために、粘度は好ましくは25℃で0.001~50Pa・sである。
【0028】
成分(B)は、好ましくは、この成分中のケイ素結合水素原子の総数の、成分(A)中の全アルケニル基の総量に対するモル比が0.4:1~20:1となる量で添加され、1:1~10:1が好ましい。この比が0.4:1未満であるときは、十分に硬化した組成物が得られない。この比が20:1より大きいときは、加熱されたときに、硬化した組成物の硬度が増加する傾向がある。
【0029】
成分(B)の例としては、限定するものではないが、
(i)トリメチルシロキシ末端メチルハイドロジェンポリシロキサン、
(ii)トリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン-メチルハイドロジェンシロキサンコポリマー、
(iii)ジメチルハイドロジェンシロキシ末端ジメチルシロキサン-メチルハイドロジェンシロキサンコポリマー、
(iv)ジメチルシロキサン-メチルハイドロジェンシロキサン環状コポリマー、
(v)(CH3)2HSiO1/2単位及びSiO4/2単位から構成されるコポリマー、並びに
(vi)(CH3)3SiO1/2単位、(CH3)2HSiO1/2単位、及びSiO4/2単位から構成されるコポリマー
が挙げられる。
【0030】
(C)10以上の膨張比を有する熱膨張性粉末
成分(C)は、熱可塑性樹脂から構成されるシェル内に封入された揮発性物質を含み、加熱されると膨張する、熱膨張性粉末である。この成分のシェルを形成する熱可塑性樹脂の例としては、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリブタジエン、ポリクロロプレンなどのビニルポリマー、及びこれらのコポリマー;ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド;並びにポリエチレンテレフタレート、ポリアセタール、及びこれらのブレンドが挙げられる。熱膨張性粉末に封入された揮発性物質の例としては、ブタン、イソブテン、プロパンなどの炭化水素;メタノール、エタノールなどのアルコール;ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレンなどのハロゲン化炭化水素;及びジエチルエーテル、イソプロピルエーテルなどのエーテルが挙げられる。
【0031】
成分(C)の形状は、球状、針状、無定形などであってもよいが、これらに限定されない。
【0032】
成分(C)の膨張比は、10以上、好ましくは10~15である。成分(C)の膨張比が10以上であると、仮接着剤として使用して一時的に被着体に接着されたときに、残渣なく分離される点で有利である。膨張比が15以上であっても問題はない。しかしながら、実用的な側面において、15以上の膨張比を有する熱膨張性粉末は必要ではない。上記膨張比は、膨張前と膨張後の長さの比率であり、これは膨張前の平均粒子径に対する膨張後の平均粒子径の比率を意味する。
【0033】
成分(C)の平均粒子径は、膨張前に1~60μmの範囲であり、より好ましくは5~50μmの範囲であり、膨張後に10~660μm、より好ましくは50~550μmの範囲である。膨張前及び膨張後の平均粒子径が下限以上の値を有する場合、接着剤の粘度の過剰な増加が最小限に抑えられ得る。膨張前及び膨張後の平均粒子径が上限以下の値を有する場合、接着剤の排出に問題がない。平均粒子径は、熱膨張前であっても、熱機械分析器によって測定及び決定することができる。
【0034】
成分(C)の膨張比及び平均粒子径を測定する際、熱機械分析器が使用される。膨張比は、温度に応じて変化する。ここで、成分(C)の膨張比は、膨張比が最大であるときの温度における膨張比として定義される。
【0035】
成分(C)を配合する量は、通常、本開示の全組成物100重量部当たり1~30重量部である。接着剤は、その量が1重量部未満である場合、熱膨張の効果が低いため、容易に分離できない。その量が30重量部を超えると、シリコーン組成物の粘度が高すぎてシリコーン組成物を加工することができなくなり、及び/又は製造コストの増加により経済効率が低くなる。成分(C)の量は、全組成物100重量部当たり1~30重量部の範囲であることが好ましく、より好ましくは2~10重量部の範囲である。
【0036】
(D)ヒドロシリル化反応触媒
本開示のシリコーン組成物は、ヒドロシリル化反応触媒である成分(D)を更に含んでもよい。本開示のシリコーン組成物の硬化は、成分(D)によって実施され、成分(D)は、周期表の白金族から選択される金属、又はかかる金属の化合物である、ヒドロシリル化触媒である。上記金属には、白金、パラジウム、及びロジウムが含まれる。白金及び白金化合物が、ヒドロシリル化反応におけるこれらの触媒の活性水準の高さから、好ましい。
【0037】
好ましい硬化触媒の例としては、白金黒、様々な固体担体上の白金、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、及び塩化白金酸と液状エチレン性不飽和化合物(オレフィン及びエチレン性不飽和ケイ素結合炭化水素基を含有するオルガノシロキサンなど)との錯体が挙げられるが、これらに限定されない。塩化白金酸と、エチレン性不飽和炭化水素基を含有するオルガノシロキサンとの錯体は、米国特許第3,419,593号などに記載されている。1つの好ましい例は、白金とアルケニル変性ポリシロキサン、すなわち、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンとの錯体である。
【0038】
本開示のシリコーン組成物における成分(D)の濃度は、成分(A)と(B)とを合わせた重量を基準にして、百万部当たり(ppm)で、白金族金属0.1~500重量部の白金族金属濃度に等しい。
【0039】
上記成分(A)、(B)及び(D)の混合物は、周囲温度で硬化を開始し得る。
【0040】
(E)ヒドロシリル化反応抑制剤
本開示のシリコーン組成物の作業可使時間又はポットライフを長くするために、触媒の活性を遅延又は抑制するための好適な抑制剤の成分(E)を使用できる。例えば、米国特許第3,989,887号に記載されているようなアルケニル置換シロキサンを使用してもよい。
【0041】
白金触媒の抑制剤として知られる別の分類としては、米国特許第3,445,420号に開示されているアセチレン化合物が挙げられる。2-メチル-3-ブチン-2-オールなどのアセチレンアルコールは、25℃において白金含有触媒の活性を抑制する抑制剤の好ましい分類を構成する。典型的には、これらの抑制剤を含有する組成物は、実用的な速度で硬化させるために、70℃以上の温度に加熱される。
【0042】
金属1モル当たり1モルの抑制剤という低い抑制剤濃度で、十分な貯蔵安定性及び硬化速度を付与できる。他の場合では、金属1モル当たり最大500モルの抑制剤という抑制剤濃度が必要である。所与の組成物における、所与の抑制剤の最適濃度は、通常の実験で容易に決定される。
【0043】
その他の成分
本開示のシリコーン組成物を使用して調製できる硬化エラストマーの一部の種類を特徴付ける、高レベルの物理的特性を達成するために、超微粒子状シリカなどの補強充填剤を所望により含むことが望ましい場合がある。大抵、シリカ及び他の補強充填剤は、硬化性組成物の加工中における、「クレーピング」又は「クレープ硬化(crepe hardening)」と呼ばれる現象を防ぐために、1つ以上の既知の充填剤処理剤で処理される。
【0044】
超微粒子状形態のシリカは、好ましい補強充填剤である。超微粒子状シリカは、比較的大きな表面積を有することから特に好ましく、該表面積は典型的には1グラム当たり少なくとも50平方メートルである。本開示における使用では、1グラム当たり少なくとも200平方メートルの表面積を有する充填剤が好ましい。超微粒子状シリカは、沈殿型(湿潤)又はヒューム型(乾燥)であり得る。どちらの型のシリカも市販されている。
【0045】
本開示のシリコーン組成物で使用される超微粒子状シリカ、又は他の補強充填剤の量は、少なくとも部分的には、硬化エラストマーに所望される物性によって決定される。本開示のシリコーン組成物は、典型的には、ポリジオルガノシロキサン(成分(A))100重量部当たり0~50重量部の補強充填剤(例えば、シリカ)を含む。シリカ又は他の充填剤の量は、本開示のシリコーン組成物の粘度を300Pa・s超まで増加する量を超えないことが好ましい。
【0046】
充填剤処理剤は、加工中のポリジオルガノシロキサン組成物のクレーピングを防ぐために適用可能な、当該技術分野で開示されている任意の低分子量有機ケイ素化合物であってもよい。
【0047】
処理剤の例としては、各分子中に平均で2~20個のジオルガノシロキサン繰り返し単位を含有する液状ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサン、ヘキサオルガノジシロキサン、ヘキサオルガノジシラザンなどが挙げられるが、これらに限定されない。ヘキサオルガノジシラザンは、充填剤の処理で使用する条件下で加水分解して、ヒドロキシル基を有する有機ケイ素化合物を形成しようとする。好ましくは、処理剤中に存在するケイ素結合炭化水素基の少なくとも一部は、成分(A)及び(B)中に存在する炭化水素基の大部分と同一である。加工助剤として、少量の水を、1又は複数の種類のシリカ処理剤と共に添加してもよい。
【0048】
処理剤は、シリカ又は他の充填剤粒子の表面上に存在するケイ素結合ヒドロキシル基との反応によって、これらの粒子間の相互作用を低減するように機能すると考えられている。
【0049】
充填剤は、配合前に処理剤によって表面処理されてもよく、処理済みの充填剤が市販されている。
【0050】
未処理シリカを充填剤として使用する場合、未処理シリカは、好ましくは、本開示のシリコーン組成物の他の成分の少なくとも一部の存在下で、充填剤が完全に処理され、均質材料に均一に分散されるまで、これらの成分を一緒にブレンドすることによって、処理剤で処理される。好ましくは、未処理シリカは、成分(A)の存在下で処理剤で処理される。
【0051】
更に、本開示のシリコーン組成物は、顔料及び/又は染料など、このような組成物において従来利用される様々な任意成分を含有してもよい。シリコーンエラストマー又はコーティングに適用可能であるがヒドロシリル化硬化反応型の付加反応を阻害しない、任意の顔料及び染料を本開示で用いることができる。顔料及び染料としては、カーボンブラック、二酸化チタン、酸化クロム、バナジン酸ビスマスなどが挙げられるが、これらに限定されない。本開示の好ましい実施形態では、顔料及び染料は、低粘度のポリジオルガノシロキサン(成分(A))中に25:75~70:30の比で分散された、顔料及び染料から構成される顔料マスターバッチの形態で使用される。
【0052】
他の任意成分としては、例えば、珪藻土、石英粉末、アルミナ及び炭酸カルシウムなどの非補強充填剤;難燃剤;並びに熱及び/又は紫外線安定剤が挙げられる。
【0053】
本開示のシリコーン組成物の相は、液相又はペーストであってもよいが、これに限定されない。本開示のシリコーン組成物は、電子物品などの被着体の仮接合接着剤として使用することができる。本開示のシリコーン組成物を含む仮接合接着剤は、シリコーン組成物が熱硬化によって硬化されると被着体に接着され、硬化温度よりも高い温度の熱が適用されると、組成物中の熱膨張性粉末が膨張するにつれて被着体から自動的に分離され得る。このような仮接着剤は、被着体が表面処理されるときに、被着体のコーティングされた部分を表面処理から保護又はマスキングするために使用されてもよい。表面処理としては、熱処理、電磁処理、陽極酸化処理などが挙げられるが、これらに限定されない。具体的には、仮接着剤は、例えば、電磁干渉(EMI)シールド、陽極酸化プロセスなどに適用され得る。
【0054】
本開示はまた、シリコーン組成物の硬化体を、表面の少なくとも一部上に含む、電子物品の中間体も提供する。本明細書において、「中間体」は、実際に使用する最終製品の前の状態を意味する。例えば、中間体は、最終粒子に含まれる部分であってもよい。また、最終製品であるかその一部であるかに関係なく、本開示のシリコーン組成物をコーティング及び硬化させることによって硬化体が接着された物品は、最終的に硬化体が除去されることから、中間体の一実施形態である。
【0055】
硬化体、すなわち、本開示のシリコーン組成物を硬化させることによって形成される物体の成分は、ポリジオルガノシロキサン複合体である。
【0056】
本明細書において、電子物品としては、スマートフォン、ノートブック、タッチパッド、携帯電話、DMB端末、PDAなどの様々な種類のディスプレイ;洗濯機、TV、冷蔵庫などの様々な種類の家庭用電気器具;半導体ウェハなどの半導体製品;及び自動車が挙げられるが、これらに限定されない。本開示のシリコーン組成物のコーティングは、電子物品のコーティングされた部分を表面処理から保護又はマスキングするためのものであってもよい。
【0057】
本開示のシリコーン組成物が仮接合接着剤に使用される場合、限定するものではないが、例えば、電子物品の電磁干渉(EMI)シールド及び陽極酸化プロセスに適用されてもよい。以下、本開示の解釈を容易にするために、電磁干渉シールド及び陽極酸化プロセスへの適用について説明する。
【0058】
電磁干渉シールド用途のマスキングプロセスは、以下のとおりである。
【0059】
このマスキングプロセスは、以下の工程(1)~(4)を含んでもよい。
工程(1):電子機器の基材上に上記仮接合接着剤組成物(=仮接合材、TBM)を分与する工程、
工程(2):接着剤組成物上に蓋を取り付け、組成物を硬化させることによって蓋を接合する工程、
工程(3):蓋上にEMIシールド材料をコーティングする工程、
工程(4):電子機器の中間体を更に処理した後、硬化した接着剤組成物を更に加熱することによって、接合された蓋を基材から剥離する工程。
【0060】
従来は、保護又はマスキングしようとする部分に感圧接着剤を接合し、特定のプロセスの後に機械的力を適用することによって接着剤を剥離するという方法が使用された。電磁干渉シールドへの本開示の適用は、従来方法と比較して、低コストのシリコーン材料を使用することによって経済的側面で有利であるだけでなく、熱膨張させるために温度を上昇するだけで接着剤を自動的に除去することによってプロセスの側面でも有利である。
【0061】
更に、プロセスは高温条件で実施され、すなわち、金属はスパッタリングによって気化し、シリコーン表面上に堆積する。したがって、電磁干渉シールドに使用される仮接着剤は、耐熱性を必要とする。本開示のシリコーン組成物を含む仮接着剤は、かかる耐熱性を有する。反対に、アクリル、エポキシ樹脂などの有機材料からなる従来の接着剤は、比較的熱に弱い。したがって、このようなプロセスにおいて仮接着剤としての使用に適さない。
【0062】
陽極酸化プロセスへの本開示の適用は、以下のとおりである。
【0063】
この陽極酸化プロセスは、以下の工程(1)~(3)を含んでもよい。
工程(1):電子機器のアアルミニウム基材上に上記仮接合接着剤組成物(=仮接合材、TBM)を分与し、組成物を硬化させる工程、
工程(2):TBMの硬化体によって部分的に被覆されたアルミニウム基材の陽極酸化処理、及び
工程(3):アルミニウム基材の陽極酸化処理後に、硬化した接着剤組成物を加熱することによって、基材からTBMの硬化体を剥離する工程。
【0064】
従来は、保護又はマスキングしようとする部分に感圧接着剤を接合し、特定のプロセスの後に機械的な力を適用することによって接着剤を剥離するという方法、又は感光性若しくは非感光性レジストをコーティングすることでマスキングし、その後エッチング液又は有機溶剤を用いてそれを剥離するという方法が使用された。工程(1)~(3)により、意図した部分がTBMによって陽極酸化から保護された陽極酸化アルミニウム基板が容易に得られる。上記のように、TBMの硬化体は、更に加熱することによって、いかなる残渣もなく、基材から容易に剥離することができる。
【0065】
本開示はまた、電子物品の製造方法も提供する。本方法は、
(a)本開示のシリコーン組成物(すなわち、仮接合材料、TBM)を、電子物品の中間体の表面の少なくとも一部上にコーティングすることと、
(b)中間体上にコーティングされたシリコーン組成物を硬化させることによって硬化体を形成することと、
(c)上部に硬化体が形成された中間体を表面処理することと、
(d)硬化体を中間体から除去することと、を含む。
【0066】
(a)において、シリコーン組成物は、液状シリコーン組成物、シリコーンゲル組成物、又は半液状流動性シリコーンエラストマー材料の形態でコーティングされてもよい。未硬化シリコーン組成物は流動性であり、標的物品の表面上に容易に適用することができ、コーティング厚さは、コーティング目的(例えば、シールドプロセス又は処理種)に応じて設計することができる。
【0067】
(b)のシリコーン組成物の硬化温度は、25℃~200℃の範囲であることが好ましい。温度が下限以上の場合、シリコーン組成物を液体状態から固体状態に容易に変化させることができる。温度が上限以下の場合、熱膨張性粉末の熱膨張による分離を阻害することによって、硬化体はコーティング後にその形状を維持することができる。
【0068】
(c)において、硬化体は、本開示のシリコーン組成物が硬化した物体であり、中間体を表面処理から保護又はマスキングする。表面処理としては、熱処理、電磁処理、陽極酸化処理などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
(d)において、熱膨張性粉末の膨張により、仮接合された硬化体が電子物品から除去される。(d)は、100℃~285℃の間であるが(b)の硬化温度よりも高い温度で行うことが好ましい。温度が下限以上の場合、熱膨張性粉末を適切に膨張させることができる。温度が上限以下の場合、いかなる人工的な物理力もなく、シリコーン硬化体を容易に自動的に除去することできる。また、(b)の硬化温度及び(d)の除去温度の範囲は、熱膨張性粉末の種類に応じて広い。(d)の除去温度は、(b)の硬化温度よりも高い。
【0070】
添付の特許請求の範囲は、詳細な説明に記載されている表現、及び特定の化合物、組成物又は方法に限定されず、これらは、添付の特許請求の範囲内にある特定の実施形態の間で変化し得ることが、理解されるべきである。本明細書で様々な実施形態の具体的な特徴又は態様の記述が依拠している任意のマーカッシュ群に関して、異なる、特殊な及び/又は不測の結果が、全ての他のマーカッシュ群の要素から独立して、それぞれのマーカッシュ群の各要素から得られる場合がある。マーカッシュ群の各要素は、個々に、及び、又は組み合わされて依拠とされ得、添付の特許請求の範囲内で、特定の実施形態を十分に裏付けることができる。
【0071】
更に、本発明の様々な実施形態を説明する際に依拠とされる任意の範囲及び部分範囲は、独立して及び包括的に、添付の特許請求の範囲内に入り、本明細書にその中の全部及び/又は一部の値が明記されていなくても、そのような値を包含する全範囲を説明及び想到するものと理解される。当業者であれば、列挙された範囲及び部分的範囲が、本発明の様々な実施形態を十分に説明し、可能にし、そのような範囲及び部分的範囲は、更に関連性がある2等分、3等分、4等分、5等分などに描かれ得ることを容易に認識する。単なる一例として、「0.1~0.9」の範囲は、更に、下方の3分の1、すなわち、0.1~0.3、中央の3分の1、すなわち、0.4~0.6、及び上方の3分の1、すなわち、0.7~0.9に描かれ得、これらは、個々に、及び包括的に、添付の特許請求の範囲内であり、個々に、及び/又は包括的に依拠とされ得、添付の特許請求の範囲内で、特定の実施形態を十分に裏付けることができる。更に、範囲を定義する、又は修飾する言葉、例えば「少なくとも」、「超」「未満」「以下」などに関して、そのような言葉は、部分範囲及び/又は上限若しくは下限を含むと理解されるべきである。別の例として、「少なくとも10」の範囲は、少なくとも10~35の部分範囲、少なくとも10~25の部分範囲、25~35の部分範囲などを本質的に含み、各部分範囲は、個々に、及び/又は包括的に依拠とされ得、添付の特許請求の範囲内で、特定の実施形態を十分に裏付けるものである。最終的に、開示した範囲内の個々の数が依拠とされ得、添付の特許請求の範囲内で、特定の実施形態を十分に裏付けることができる。例えば、「1~9」の範囲は、様々な個々の整数、例えば3、並びに、小数点を含む個々の数(又は分数)、例えば4.1を含み、これは、依拠とされ得、添付の特許請求の範囲内で、特定の実施形態を十分に裏付けることができる。
【0072】
以下の実施例は、本発明を例示することを意図しており、決して本発明の範囲を限定するものとみなされるべきではない。
【実施例】
【0073】
シリコーン組成物、その硬化体を含む電子物品の中間体、及び本開示の電子物品の製造方法を、実施例及び比較例を参照して更に詳細に説明する。
【0074】
本明細書に記載されていない内容は、当業者によって十分に導出可能である。したがって、その説明を省略する。
【0075】
実施例1
硬化性シリコーン組成物は、
硬化性シリコーン組成物100重量部に対して、
86.43重量部の、分子両末端がジメチルビニルシロキシ基で保護され、平均単位式:
(CH2=CH)[(CH3)2SiO)]290Si(CH3)2(CH=CH2)
を有するポリオルガノシロキサンと、
1.61重量部の、平均単位式:
(CH3)3SiO[(CH3)2HSiO]5.7[(CH3)2SiO]3.5Si(CH3)3
を有するポリオルガノシロキサンと、
6.85重量部の、120m2/gの表面積を有する疎水性ヒュームドシリカと、
重量単位で4ppmの金属白金が含まれる量の、白金と1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンとの錯体と、
0.025重量部の、反応抑制剤としての2-フェニル-3-ブチン-2-オールと、
5.0重量部の、熱膨張性粉末FN-78D(粉末A、膨張比:12)(松本油脂製薬株式会社(日本))とを、
均一に混合することによって調製した。
【0076】
実施例2
熱膨張性粉末MSH-380(粉末B、膨張比:11)(松本油脂製薬株式会社(日本))をFN-78Dの代わりに使用したことを除き、実施例1と同様にして硬化性シリコーン組成物を調製した。
【0077】
実施例3
熱膨張性粉末F-190D(粉末C、膨張比:10)(松本油脂製薬株式会社(日本))をFN-78Dの代わりに使用したことを除き、実施例1と同様にして硬化性シリコーン組成物を調製した。
【0078】
比較例1
熱膨張性粉末F-65D(粉末D、膨張比:5)(松本油脂製薬株式会社(日本))をFN-78Dの代わりに使用したことを除き、実施例1と同様にして硬化性シリコーン組成物を調製した。
【0079】
比較例2
熱膨張性粉末F-100MD(粉末E、膨張比:7.5)(松本油脂製薬株式会社(日本))をFN-78Dの代わりに使用したことを除き、実施例1と同様にして硬化性シリコーン組成物を調製した。
【0080】
図1は、実施例1で使用した熱膨張性粉末の熱膨張後の拡大図である。
【0081】
図2は、実施例2で使用した熱膨張性粉末の熱膨張後の拡大図である。
【0082】
図3は、実施例3で使用した熱膨張性粉末の熱膨張後の拡大図である。
【0083】
図4は、比較例1で使用した熱膨張性粉末の熱膨張後の拡大図である。
【0084】
図5は、比較例2で使用した熱膨張性粉末の熱膨張後の拡大図である。
【0085】
電子物品上の硬化体の形成
上記シリコーン組成物を使用することによって、電子物品上に硬化体を形成した。
【0086】
仮接合接着剤としてのシリコーン組成物の性能
本開示のシリコーン組成物を電子物品上にコーティングした後、100℃の温度での第1の硬化によって硬化体を形成し、200℃の温度での第2の硬化によって硬化体を電子物品から除去した。
【0087】
第1の硬化中、シリコーン組成物でコーティングされた硬化体が電子物品に接着された場合には「×」、そうでない場合は「〇」として示す。
【0088】
第2の硬化中、硬化体が電子物品から自動的に除去された場合には「〇」、そうでない場合には「×」として示す。実施例及び比較例の各々について3回の実験を実施した。
【0089】
更に、硬化体が除去されたときに、多くの残渣が存在した場合、性能を「悪い」と評価する。そうでない場合、性能を「良い」と評価する。
【表1】
表1
【0090】
産業上の利用可能性
本開示のシリコーン組成物は、電子物品の製造に好適である。本組成物により製造された電子物品は、表面処理が実施されるときの仮接合接着剤として使用され、接着剤が残渣なく除去される点で有利である。
【0091】
本発明の多くの修正及び他の実施形態は、本発明が関連する技術分野の当業者にとって想起されることになり、前述の説明で提示される教示の利点を有する。したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、修正及び他の実施形態は、添付の特許請求の範囲内に含まれることを意図することが理解されるべきである。