(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-20
(45)【発行日】2023-03-29
(54)【発明の名称】把持部を用いて布片を把持し、移動させかつ解放するための方法および把持部
(51)【国際特許分類】
A41H 43/02 20060101AFI20230322BHJP
B25J 15/08 20060101ALI20230322BHJP
D06F 67/04 20060101ALI20230322BHJP
D06F 89/00 20060101ALI20230322BHJP
【FI】
A41H43/02
B25J15/08 Z
D06F67/04
D06F89/00
(21)【出願番号】P 2020558679
(86)(22)【出願日】2018-12-20
(86)【国際出願番号】 DK2018050411
(87)【国際公開番号】W WO2019137585
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2021-12-06
(32)【優先日】2018-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(32)【優先日】2018-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】518134998
【氏名又は名称】インワテック エーピーエス
【氏名又は名称原語表記】INWATEC APS
【住所又は居所原語表記】Hvidkaervej 3, 5250 Odense SV Denmark
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マッズ・アンドレセン
【審査官】冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2002/0113448(US,A1)
【文献】国際公開第94/027900(WO,A1)
【文献】特開2000-24400(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41H43/02
B25J15/00-15/12
B65H3/00、3/04、5/08-5/14
D06F1/00-95/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
布片(2)を把持し、保持し、かつ解放するよう構成された把持部(1)であって、
2つの相対するコンベヤベルト(6)のループの形態の密着するフレキシブルな可動の表面部分(3)を備えるフレーム部材(11)を備えており、
前記コンベヤベルト(6)間にニップが画定され、前記コンベヤベルト(6)が第1の方向に移動する場合に前記表面部分(3)と接触した前記布片が前記ニップに引き込まれ、
前記コンベヤベルト(6)のうち第1のコンベヤベルト(6)が、第1の
ホイール対(
8、18)の周りで牽引され、前記コンベヤベルト(6)のうち第2のコンベヤベルト(6)が、第2の
ホイール対(
8、18)の周りで牽引され、
前記第1の
ホイール対(
8、18)のうちの第1の
ホイール(8)と前記第2の
ホイール対(
8、18)のうちの第1の
ホイール(8)とは、歯車(16)によって、それぞれの回転軸線周りで
2つの前記第1の
ホイール(8)を回転させるために、相互接続されており、
前記歯車(16)の少なくとも1つは、時計回りおよび反時計回りの回転のためにモータ(17)によって駆動されており、
前記第2の
ホイール対(
8、18)のうちの第2の
ホイール(18)を備えるさらなるフレーム部材(33)が
、前記フレーム部材(11)に対して転回するよう、旋回可能に取り付けられており、
ばね(34)が、前記さらなるフレーム部材(33)を、前記第2の
ホイール対(
8、18)のうちの第2の
ホイール(18)と前記第1の
ホイール対(
8、18)のうちの第2の
ホイール(18)とが互いに近接する第1のポジションへ付勢することを特徴とする把持部。
【請求項2】
前記布片(2)を解放するため
の、前記第1の方向に対して反対の第2の方向に前記
コンベヤベルト(6)を動かすことによって前記布片(2)を引き継ぐために、
コンベヤ機構に対して前記把持部(1)を3次元空間内で移動させるようロボットアーム(26)の端部に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の把持部。
【請求項3】
前記第1のホイール対(8、18)のうちの第1のホイール(8)が第一ホイールであり、
前記第1のホイール対(8、18)のうちの第2のホイール(18)が第二ホイールであり、
前記第2のホイール対(8、18)のうちの第2のホイール(8)が第三ホイールであり、
前記第2のホイール対(8、18)のうちの第2のホイール(18)が第四ホイールであり、
2つの相対する前記コンベヤベルト(6)のループのうちの第1のコンベヤベルトのループの第1の表面は、2つの相対する前記コンベヤベルト(6)のループのうちの第2のコンベヤベルトのループの第2の表面に面しており、
前記第一ホイールにおける前記第1の表面と前記第三ホイールにおける前記第2の表面との間の第1の距離は、前記さらなるフレーム部材が転回する程度にかかわらず一定であると同時に、前記第二ホイールにおける前記第1の表面と前記第四ホイールにおける前記第2の表面との間の第1の距離は、前記さらなるフレーム部材が転回する程度に応じて変動することを特徴とする請求項1に記載の把持部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、把持部を用いて布片を把持し、移動させかつ解放するための方法および把持部に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術では、把持部を用いて布片を把持し、移動させかつ解放するための方法が公知となっており、そのため、把持部はまず、相対して密着する可動表面部分が設けられており、密着する可動表面部分は布片と接触する。こうした公知の方法によれば、表面部分は、布片を挟み込んで保持するために、把持動作時に互いに対してかつ把持部に対して移動され、続いて把持部は、表面部分間に挟み込まれた布片とともに、別の場所へ移動され、ここで表面部分は、布片を解放するために逆方向に移動させられる。公知の方法に基づく把持動作は典型的には2つの相対する側面から布片を挟み込むが、それは多くの場合に把持部と布片との間における不十分な把持につながるため、従来技術の方法は、個々の布片をその突き出した領域で把持しかつ保持するのに適していない。また、挟み込み部の最先端は、その前進中に布片を布の積み重ねへ押し込む傾向があり、これは把持動作の失敗につながる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明によれば、相対する表面部分は、把持動作のために布片と接触している間に所定の経路に沿って移動され、それによって、表面部分は互いに近接され、かつこれら表面部分は、把持される布片から離れる方向において少なくとも把持部に対して移動される。この動きは、表面部分が密着するようにさらに表面部分を前進させ、表面部分はまた、把持された布片に接触して布片を保持する。そのため、表面部分間に挟み込まれる布片のうち最初に接触される突き出た領域を把持部のより深くに移動させる間、動作中の表面部分の密着性に起因して、新たな表面部分は、アクティブポジションへ前進されて、布片の挟み込みまたは把持の強化に寄与する。
【0004】
表面部分が把持部に対して既定の距離まで移動される場合、これら表面部分は、互いから離れる動きが制限され、それによって布片の挟み込み動作が引き起こされることが好ましい。表面部分のこの制限は、特にしっかりとした安全な把持を保証する。
【0005】
表面部分の少なくとも1つが、円形の経路に沿って移動するように制限されており、かつ/または、把持部の一部を形成するガイドブロックまたはホイールによって表面部分の経路の少なくとも一部に制限される場合に、把持部を単純で公知の部品、例えばローラ、ホイールまたはコンベヤベルト部品から容易に作成できるようにすることが保証され、それによって単純で信頼性の高い把持部が作られてもよい。
【0006】
相対して密着する可動表面部分は、好ましくは、把持部に対して並進または回転する可動部材に接続されたチェーン、バンドまたはホイールなどの下部構造を有することによって、移動させられる。このようにして、作動して布片と接触する表面部分と、表面部分に動きを与える下部構造とが区別される。下部構造は、ホイールまたは他の回転体であってもよい。代替的には、下部構造は、ベルトまたはチェーンの一部からその隣接する部分へ引張力が伝達され得るように、チェーンまたはフレキシブルなベルトを備えてもよく、それによって、布片に接触している表面部分は、把持された布に実際に接触している表面部分から距離を置いたチェーンの部分に達する可動部材によって移動されてもよい。
【0007】
本発明はまた、布片を把持し、保持し、かつ解放するよう適合された把持部に関する。把持部は、相対して密着するフレキシブルな可動表面部分を備えており、これら表面部分は、ロボットアームを用いて、布片にその望ましい把持地点で接触すべく配置されるよう構成されている。密着するフレキシブルな可動表面部分は、中心点に対して回転されることによって、かつ/または把持部のガイド部材にわたって引っ張られることによって、移動されるよう適合されている。回転またはガイド部材にわたる引っ張りを経て、把持部のうちよりアクティブな表面部分が布片に接触して、布片のうち初めに接触される部分がより強く把持されるかまたは挟み込まれ得ることが保証される。表面部分がフレキシブルであることによって、加圧された場合に表面部分が屈曲することおよび/またはへこむことができ、それによって、布片に隣接する表面部分の領域において表面部分が互いに接触する様式で、布要素が2つの相対する表面部分間に配置され得ることを理解されよう。
【0008】
本発明によれば、把持部は2つの相対して密着する可動表面部分を備える。そのため、明確に規定される把持領域は、相対する可動表面部分によって画定される。
【0009】
本発明によれば、相対する表面部分は、相対するブロックによってガイドされ、これら表面部分は、互いにかつ/または把持される布片に面するゴム状の外側表面を有する細長屈曲部材を備える。相対するブロックを配置し、そうしたブロックを用いてゴム状の外側表面を有する細長屈曲部材をガイドできるようにすることによって、相対するブロック間に隙間が容易に設けられる。そして、相対する表面部分がそうした隙間内に誘導された場合、相対するゴム状の表面間で挟み込み動作が実施され、それによって、表面部分に接触している布片は隙間に引き込まれて、強く挟み込まれれば挟み込まれるほど表面部分は隙間に引き込まれる。
【0010】
2つの相対する表面部分の各々は、下部にある回転または並進によって動作させられるチェーン、バンド、またはホイール部材を有しており、この動作が部分表面を移動させる。このようにして、下部にあるチェーン、バンド、またはホイール部材は、非常に頑丈に作られてもよく、例えばスチールまたは繊維材料によって提供される。同時に、表面部分は、高いフレキシブル性を有するようにかつさらにわずかに粘着性を有するように作られてもよく、例えばポリウレタン化合物または天然ゴムから作られてもよい。
【0011】
相対するブロックは隙間を形成しており、それによって、相対する表面部分は隙間内を上下に移動させられる。これは、布片をしっかりと保持するのを保証するのに役立つことができ、とりわけ隙間は、相対する表面部分間に挟み込まれた布片にかかる圧力が徐々に増大し得るように、V字型の入口を有することが好ましい。
【0012】
本発明は、洗濯設備において、布片や衣類または他の柔軟な個別の要素を把持するための方法の使用も含む。
【0013】
本発明は、以下の1つ以上の要素を分類するために使用されてもよい:織物、衣類、タオル、シーツ、枕カバー、ベッドシーツ、テーブルクロス、ラグ、キッチンタオル、モップ、ダストマット、作業着、ガウン、制服、シャツ、靴下、私服、産業用作業服、医療用作業服、食品産業用作業服、幼児用織物、よだれかけ、ブランケット、ナプキン、ウォッシュグローブ、および他の個別の柔軟要素。以下で「布」という用語が使用されているものは何でも、上述のいずれかまたは類似した性質の要素であると理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】稼働を意図した環境にある把持部を示す図である。
【
図2a】コンピュータグラフィックディスプレイモードで示される
図2における把持部の実施形態を示す図である。
【
図3】把持部の別の実施形態の3Dビューを概略的に示す図である。
【
図3a】コンピュータグラフィックディスプレイモードで示される
図3の把持部を示す図である。
【
図4】把持部の実施形態の3Dビューを概略的に示す図である。
【
図4a】コンピュータグラフィックモードで示される
図4における把持部を示す図である。
【
図5】3Dビューで概略的に示される把持部の実施形態を示す図である。
【
図5a】コンピュータグラフィックディスプレイモードで示される
図5における実施形態を示す図である。
【
図6】3Dで概略的に示される把持部の実施形態を示す図である。
【
図6a】コンピュータグラフィックディスプレイモードで示される
図6における実施形態を示す図である。
【
図7】布片を把持したままの
図2における把持部を示す図である。
【
図8a】コンピュータグラフィックディスプレイモードで示される
図8における把持部を示す図である。
【
図9a】コンピュータグラフィックディスプレイモードで示される
図9における把持部を示す図である。
【
図10】3Dビューで示される把持部を示す図である。
【
図11】
図10に示される把持部を反対側から見た状態で示すである。
【
図12】
図10に示される把持部のさらなる実施形態を示す図である。
【
図13】右側には特定の重要でないカバー部材がない正面図があり、左側にはすべての部材が存在する正面図がある、変更された実施形態を3Dレンダリングで示す図である。
【
図14】右側には特定の重要でないカバー部材がない正面図があり、左側上部にはすべての部材が存在する正面図があり、左側下部には背後から見た右側図の把持部が示された図がある、さらに別の実施形態を3Dレンダリングで示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図9に示される従来技術の把持部は、共通フレーム11に連結された2つの相対するアーム28を備える。(見ることのできない)アクチュエーターがフレーム11内に封入されており、アクチュエーターは、ピンチ、ペンチ、またははさみのような動きで、2つのアーム28を互いへ向けてまたは互いから離れるように旋回させるために配置されている。把持部は、ロボットアームまたは同様のデバイスの端部に取り付けられており、それによって当該把持部は、アーム28が互いへ向けて旋回された後に布片が2つのアーム28の間にあるように配置されてもよく、ここではアーム28はその端部が互いへ向かうように旋回されるため布片が把持され得る。把持部が布片に置かれた場合、アームの一方または両方が布を乱して布をさらに遠くへ押し出すことがあり、また、アームの旋回動作中に布が把持部から離れるように押し出されることがあり、把持部は、計画された把持工程から何も持たずに戻される。
【0016】
本発明に基づく把持部が
図1に示されており、移送動作中、布片2は把持されて相対する表面部分3間にしっかりと挟み込まれ、この時、布片2は把持部1から垂れ下がっている。布片2は、単一の布片2の積み重ね4から持ち上げられてコンベヤ機構5へ運ばれ、当該コンベヤ機構5は、布片を選別などのさらなる処理へ向けて送る。この構成は、選別されておらず清潔ではない布が到着する汚れ部門などにおける洗濯処理で使用され、ここでは第1の動作は、これら布片が洗浄が必要であるかまたは別の基準に従って選別され得るように、個々の布片を選び出すステップを含む。図示された把持部は、洗濯される要素またはタンブル洗濯される要素のための積み重ねから布片を別々にする場合など、洗濯プロセスの他の部分で使用されてもよい。把持部はある種のロボットアーム26の端部に懸架されており、
図1ではデルタロボット26が示されており、当該デルタロボット26は、コンピューター(図示せず)によって提示される方向に基づいて把持部1を3次元空間内であちこちに移動させることができる。コンピューターは、個々の衣類片を把持しようとするのに良好な地点を決定するために、さまざまなスキャナー(図示せず)または他のセンサから情報を取得してもよく、あるいは、ロボットアームは、より少ないガイダンスで機能し、ランダムで試行錯誤をして積み重ね4に取り組んでもよく、最終的には布片を把持してコンベヤ機構5へ布片を移動させる。ロボットアーム26の敏捷性、範囲および速度に応じて、1つ、2つ、またはそれ以上の間隔を空けたコンベヤ機構が提供されてもよく、それによって、個々の布片の色、重量、または把持部1に組み込まれたセンサによって容易に検知される他の特性に基づいた最初の選別が実施されてもよい。図示されたロボットアームはそうしたデバイスの一例であること、および把持部は他の自動ピックアンドプレース装置とともにうまく機能し得ることに留意されたい。
【0017】
図1を参照すると、ロボットアーム26の把持動作および動きは、布片2を把持するための把持部の表面部分3の動作が実行され得ると同時に反対の方向にロボットアームが移動されるなどの、いくつかの方法で連携され得ることに留意されたい。まだ積み重ね4にある布片と接触している表面部分3が積み重ね4から離れる方向に移動される間、ロボットアームは把持部1全体を同様の速度でまたは正確に同じ速度で積み重ね4へ向けて前進させる。最良の状態で把持することを保証しかつ単一の布片2が把持部1に付着されることを保証することに従って、把持中に表面部分3が積み重ね4内へ前進されるように、もしくは表面部分3が積み重ね4における前進されたポジションから離れるよう後退されるように、ロボットアームを移動させることがさらに可能である。
図1では、Dタイプつまりデルタタイプのロボットアームが開示されており、ここでは、いくつかのアーム26が、把持部1のための基礎を形成するプラットホームの向きおよびポジションを決定する。
【0018】
図2、
図3、
図4、
図5および
図6における実施形態の各々は、相対して密着する可動表面部分3を備える。これらの表面部分3は、互いに対して移動可能である。
図2および
図3において、表面部分3は、相対するブロック7周りで牽引されるコンベヤベルト6の外面から構成される。
図5および
図6では、ベルト6はホイールまたはローラ8周りで牽引される。これによって、矢印9で示されるようにこれら表面部分3は互いへ向けてまたは互いから離れるように移動すると同時に、矢印10で示されるように把持部および布の積み重ねへ向けてまたはこれらから離れるように、表面部分3を移動させることができる。このようにして制御されたニップまたはピンチが提供され、相対して密着する表面部分3を同時に互いへ向けてかつ表面部分3と接触している布片から離れる方向に移動させることによって、表面部分3と接触している布片を当該ニップ内に引き込むことができる。
【0019】
図2に示される実施形態では、コンベヤベルトは、相対する丸みのあるブロック7の周りで牽引されており、これらブロック7は、共通フレーム11に取り付けられている。各コンベヤベルトは、ループを形成するために、ともに結合される前縁12および後縁13を有する。ループは、プランジャおよびシリンダ対14などの可動部材に接続されており、それを用いて、ループをブロック7周りをスライドさせて回転させることができ、矢印9、10で示される移動が引き起こされる。プランジャがフレーム11に対して下方に移動された後に挟まれた布片2が解放され、一方で、プランジャが上方に移動されることによって布片が挟まれる。油圧または空気圧がプランジャをシリンダ内で上下に駆動する。
【0020】
図5に示される実施形態では、コンベヤベルト6は、相対するローラまたはホイール対8の周りに、各コンベヤベルト6自体の無限ループとなるように引き付けられており、ここで2つの上側ホイール15は歯車16によって相互接続されており、それによって2つのホイール15は、いつでも同じ速度であるが反対の回転方向に一斉に駆動される。歯車16を駆動するために、これら歯車16の少なくとも1つはモータ17に接続されている。モータに接続されたホイールを反時計回りに回転させると、2つの下側ホイール18間にある2つのコンベヤベルトループの下側部分によって挟み込み動作が引き起こされ、かつモータ17を時計方向に回転させることによって、2つの下側ホイール18間に挟まれたつまり把持された布片が解放される。
【0021】
図2および
図5の実施形態の把持部は、
図1に開示されるようにロボットアームの外側端部に設置されており、ピンチ地点において、布片から離れる方向における相対する
コンベヤベルト6の移動速度と同じ速度で布片へ向かう方向にアームを駆動することによって、
コンベヤベルトは、ピンチ地点においてピックアップつまり挟み込み動作中に、布片へ向けてあるいは布片から離れるように移動されない。ピックアップ中にロボットアームの駆動速度とコンベヤベルトの駆動速度とを変更することによって、把持されるべき布片に圧力または持ち上げ力を与えることができ、これによって最も信頼性の高い把持動作が引き起こされる。これは、以下で説明される他の実施形態にも当てはまる。
【0022】
図6に示される実施形態におけるコンベヤベルトは、
図5の実施形態のベルトとは、2つの上側ホイールが
図6では1つの単一ローラ19に置き換えられるため、わずかに異なるよう構成されている。このローラ19は、2つの下側ホイール18の回転軸線の方向に垂直な回転軸線を有しており、2つのコンベヤベルトは、当該ローラ周りに巻き付けられているが、コンベヤベルトの各々は、2つの下側ホイール18の回転軸線の方向に対してそれぞれ90度回転されている。これらベルトを反対方向に90度方向転換することによって、これらベルトは、2つの下側ホイール18において反対方向に駆動される。この実施形態では、コンベヤベルト6は、円形断面を有するゴム状バンドを備えてもよい。
【0023】
図3および
図4に示された実施形態では、オープンエンドのコンベヤベルトが使用されている。
図3では、2つのコンベヤベルト6は、2つの相対するブロック7間に設けられた隙間21で互いに接触して通過するように配置されている。コンベヤベルト6の下側端部20は、ブロック7のうち隙間21から離れるよう面する部分において、これらブロック7の各々に対して固定地点22で固定されている。隙間21と固定地点22との間で、フレキシブルなコンベヤベルト6は、空いたスペース周りに、精密に対称的な丸みのあるローブ(耳たぶ形状部分)23を形成しており、
コンベヤベルト6の弾性に起因して、2つのローブ23は、隙間21の外側で、直線的な接触ライン24を形成するように合流する。相対するブロックは、適切な移動手段(図示せず)によって接触ライン24に沿って上下に移動されてもよい。そうした手段は、2つのコンベヤベルトの上側端部も固定されているロボットアームにおける固定場所に対して、ブロック7および共通フレーム11を移動させてもよい。代替的に、ブロック7およびフレーム11はロボットアームに固定されており、2つのコンベヤベルトは、上から隙間に出入りするように押圧される。いずれの場合も、直線の接触ライン24を形成するように2つのコンベヤベルトローブ23が合流する合流地点25に存在する布片に狭持動作つまり挟み込み動作をもたらすことを前提として、ローブ23のサイズは、ブロック7とコンベヤベルト6との間の相対移動によって変化させられる。合流地点25が隙間21のかなり下にある限り、コンベヤベルトは、そのフレキシブルな特性に起因して、コンベヤベルト間に布片が存在するためへこんでもよく、しかしながら、一度ブロックがさらに下方へ移動されると、最終的に合流地点25は隙間21に入り、ここでコンベヤベルト6は互いから離間されるよう移動することが制限され、布片2にしっかりした狭持または挟み込みが与えられる。
図3に示されるように、隙間はV字型の入り口を有しており、こうした入口は、かさばる布片でも把持できるようにする。
【0024】
図4に開示される本発明の実施形態は、
図3の実施形態とほぼ同じ方法で作動し、コンベヤベルト6と相対するブロック7と共通フレーム11とからなる平行構造は同じでありかつ同じ様式で作動する。しかしながら、コンベヤベルトの下側端部はブロックに固定されておらず、隙間21から離れるように広げられる。2つのコンベヤベルト6は、これら自体が、示された姿勢をとるような弾性を備えていない場合があり、ばね金属またはプラスチック(図示せず)の層が場合によってはコンベヤベルトの外側に取り付けられてもよい。
【0025】
上記実施形態の各々において、把持動作を担う部材は、布片に接触した際の湾曲した状態から、挟み込みが実施された際のより直線的な形状へ変化する。該当する表面部分がゴム状でありひいては非常に摩擦特性が高いことを考慮すると、この形状の変化は、特定の布片を保持するのに役立つことがある。とりわけ、表面部分が頑丈なゴム-ネオプレンクラッド織りストランドを備える場合、
図5における2つの下側ホイール18周りなどの外向きの屈曲部から上側ホイールと下側ホイールとの間の直線部分への変形は、1つの同じコンベヤベルトの2つの離間された表面部分を互いに接近させ、それによって、
コンベヤ自体が衣類要素などの布片の個々の繊維を保持する。この効果は、チェーンまたはコンベヤベルト部分に一様ではないつまり小さなくぼみのある表面が使用されている場合に、強化されてもよい。使用されるコンベヤベルトが、コンベヤチェーンなどの単一の連結要素を備える場合にも、同様の効果が発生し得る。ここで、チェーンリンク間の角度は変化し、チェーンがローラ周りで牽引される場合または相対するブロック7の湾曲部分に追従する場合に、チェーンリンク間の角度は湾曲した部分に沿って最大となる。そうした個々のチェーンリンクは、1つのリンクにおけるタグが隣接するリンクのチェーンの上下にさらに接触するように、チェーンリンクの連結性に対する相対する表面部分の柔軟性を形成してもよい。
【0026】
本発明の上述の例示的な実施形態から明らかなように、表面部分の少なくとも1つは、中心点27に対して回転されると表現され得るように円形経路に沿って移動するよう制限され、かつ/または、把持部の一部を形成するガイドブロック7によって、少なくともその経路の一部で制限される。
図5に示される実施形態では、円形経路は、下側ホイール18によって画定される。
図5からも明らかなように、これら下側ホイール18は、接触ライン24に沿うニップが延長されてV字型となるように、ある程度離間されて配置されてもよい。これによって、表面部分3間でかさばった部分を固く把持して保持できる。
【0027】
図5の実施形態は、下側ホイールに対して軸方向にローラ延長部を追加することによって作動でき、これら延長部は同一であり、また延長部は示されたホイール18より大きい直径を有しており、これら延長部がともに接触または押圧することが可能となる。この設計に基づく把持部が
図8に示される。ここで、ローラまたはホイール18は、接触ラインの上下のいずれかに移動させる方法で各々が回転されることによって、布片の把持および解放を担うアクティブ表面を形成する。したがって、接触ライン24の下方にあるこれら表面は上方に移動してピックアップ動作のために互いに接近し、接触ラインに沿う表面は、把持された布片の解放動作のために互いからさらに離れるように下方に移動する。
図8の実施形態では、下側ホイール18は互いに接触し、把持されるものは何でもホイール18間に挟まれて、接触ライン24に沿って上方に移動される。ホイール18の上方では、コンベヤベルト6は、把持された布片を保持するように機能してもよく、または場合によっては1つのみのコンベヤベルト6が使用され、ホイール18の1つはアイドルホイールのままである。代替的には、モータ17は、ホイール18の1つに組み込まれ、その際、場合によりコンベヤベルト6は省略されてもよい。
【0028】
言及すべきことに、たとえ本発明に基づく把持部の開示された実施形態におけるアクティブ表面がかなり滑らかである場合が示されているとは言え、実際にはより好ましくはある程度粗い表面が使用され、把持動作の前に実施される布片に対する位置決めが完全ではない場合であっても、布片のしっかりとした把持を達成するために、均一に分散されたくぼみまたはしわを備える表面がより好ましい。
【0029】
上述の実施形態の例では、2つの相対する表面部分が把持動作を担っているが、3つ以上の相対する表面部分を利用することができる。
【0030】
図10および
図11には、本発明のさらなる実施形態が示されており、当該実施形態におけるモータ17はステッピングモータである。この時、モータ17の動作は、電子デバイスからの入力の制御によって導かれてもよく、その入力は、共通フレーム11上に配置されるかまたはモータ17に組み込まれる1つ以上のセンサに基づく。さまざまな種類のモータがこの能力を有してもよく、
図10および
図11に示される好ましい実施形態ではステッピングモータが使用される。
図11ではセンサハウジング30は、布片または衣類を把持するよう構成された表面部分3に隣接して配置されて示されている。ハウジング30の内部には、センサまたはセンサ対が設けられている。センサ要素は、29で示されるエネルギー光線を提供してもよく、そのためハウジングの1つには送信機が、反対側のハウジングには受信機が備えられる。代替的に、送信機および受信機が1つのハウジングに設けられており、場合によりエネルギー光線の送信および受信の両方が可能な要素として設けられる。衣類片が表面部分3間の挟み込み領域内に前進されるたびに、センサまたはセンサ対で検知されるエネルギー光線29が、遮断されかつ/または反射されて、モータ17を停止して部分表面3の前進を一時停止するという旨の信号が出力される。表面部分3間の衣類片の存在を検知するために使用されるエネルギーは、光またはレーダーエネルギーなどの電磁エネルギーであってもよく、あるいは音波、好ましくは超音波範囲にある音波が利用されてもよい。また、衣類片の存在を検知するために、煙センサで知られているような粒子エネルギーを使用することができる。
【0031】
センサがモータに組み込まれている場合、センサは電子ゲージの形態であってもよく、センサは、モータから歯車に伝わるモーメントひいては表面部分3の引き込みをモニタリングする。ここで、挟み込み領域に布が存在すると、表面部分における引き込みが増大され、それによってステッピングモータによって歯車に与えられるモーメントが増大される。
【0032】
衣類片の存在を検知する代替的な方法は、下側ホイール対18に組み込まれた圧力センサまたは共通フレーム11に組み込まれたひずみゲージなどがある。挟み込み領域に衣類片が存在すると、表面部分3が互いから離れるように加圧され、共通フレームに応力が発生し、ホイール対18のベアリングにかかる圧力が増加され、応力および圧力の両方を検出可能な状態となる。
【0033】
また、なにかがピックアップされたことを検知するために、上方から部分表面3間のニップに隣接する対象物までの距離を測定する距離センサが使用されてもよく、あるいは、機械式スイッチが使用されてもよく、当該機械式スイッチは入れられて、衣類片が2つの下側ホイール18間の領域もしくは部分表面3間の挟み込み領域に入った場合に遮断されるつまり閉じられる。
【0034】
センサ手段が把持部と組み合わされて把持動作を制御するために使用される場合、試行するたびごとに1枚の衣類のみが把持されることを確実にするという点で、より高い命中率が達成され、これは非常に望ましい結果である。
【0035】
図12に示される把持部は、布片がベルト6の部分表面3間で挟み込まれかつ挟持され得る領域で、コンベヤベルト6の両側に設けられる相対するブロック7を示す。ブロック7は、挟持する力が、ベルト6の高い張力にのみ依存するのではなく、
図1に示されるように一度物品2がブロック7間の領域に前進されるとブロック7と部分表面3との間にもたらされる圧力によって与えられることを保証する。
【0036】
図10および
図11の実施形態では、ブロック7も構造の一部であるが、図面を単純な状態にするために、ブロック7は示されない。
【0037】
図13に開示されたさらなる実施形態では、把持部1は、中間ホイール31と称される追加のホイールセットを備えており、当該ホイールは、上側ホイール対8と下側ホイール対18との間に配置される。追加のホイールセット31は、上側ホイール8の回転軸および下側ホイール18の回転軸線との間の線に対して互いへ向けてわずかにずれた軸点を有する。したがって、ベルト6のうち中間ホイール31と下側ホイール18との間にある部分は、布片がコンベヤベルト6間に挟み込まれるのを助けるV字形状32を形成する。
図13の左側には、把持部1が取り外し可能なカバーが適所においてわずかにサイズが小さくされた状態で示されている。
【0038】
図14に示された把持部1の実施形態では、ホイール対8、18の一方が(
図14の左上に示されている)フレーム部材11にヒンジ式で接続されており、それによってこれら2つのホイールは、上側ホイール8の回転軸が枢着部となるように、ともに旋回されてもよい。この動きは、
図14における旋回矢印39で示されている。この構成は、フレーム部材11に対して旋回するために、旋回可能な下側ホイール18がそれ自体のフレーム部材を必要とするという点でわずかな変更が必要とされる。この部材は旋回部材33と称されており、
図15にも示されている。
【0039】
旋回ピン35にねじりばね34が嵌め込まれており、それによって、ねじりばね34および旋回部材33の両方が旋回ピン35に取り付けられた場合に、ねじりばね34は、下側ホイール18が取り付けられた旋回部材33を、フレーム部材11に固定された反対側のホイール対へ向けて付勢することができる。これを行う際、ねじりばねは、
図15に示されるように2つの延長アーム36、37を有しており、2つの延長アーム36、37は、旋回部材33が付加的なフレーム部材38に挿入された際に組立状態で互いへ向けて付勢される。
【0040】
図14では、装置の外に延在する延長アーム37が図示されており、ここでは付加的なフレーム部材38は図面に含まれておらず、そのため、ねじりばねは曲がっていない状態で示されている。
【0041】
ここで示されるように、この実施形態は、ねじりばねの働きがベルト6間の圧力を保証するため、上述の中間ホイール31対または相対するブロック7を備えなくても機能する。
【符号の説明】
【0042】
1 把持部
2 布片
3 表面部分
4 積み重ね
5 コンベヤ機構
6 コンベヤベルト
7 相対するブロック
8 ホイール
9 矢印
10 矢印
11 共通フレーム
12 後縁
13 前縁
14 プランジャおよびシリンダ対
15 2つの上側ホイール
16 歯車
17 モータ
18 2つの下側ホイール
19 単一のローラ
20 下側端部
21 隙間
22 固定地点
23 ローブ
24 直線の接触ライン
25 合流地点
26 ロボットアーム
27 中心点
28 2つのアーム
29 波エネルギー光線
30 センサ対のためのハウジング
31 中間ホイール対
32 V字型
33 旋回部材
34 ねじりばね
35 旋回ピン
36 延長アーム
37 延長アーム
38 追加のフレーム部材
39 旋回矢印