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特許7248714車軸カウンタ用のひずみ測定装置の取付方法、及びその使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-20
(45)【発行日】2023-03-29
(54)【発明の名称】車軸カウンタ用のひずみ測定装置の取付方法、及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   B61L 3/08 20060101AFI20230322BHJP
   G01L 1/24 20060101ALI20230322BHJP
【FI】
B61L3/08 Z
G01L1/24 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021005691
(22)【出願日】2021-01-18
(62)【分割の表示】P 2020516529の分割
【原出願日】2018-09-05
(65)【公開番号】P2021066433
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2021-05-20
(31)【優先権主張番号】17192644.7
(32)【優先日】2017-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516217907
【氏名又は名称】タレス マネジメント アンド サービシズ ドイチュランド ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Thales Management & Services Deutschland GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(74)【代理人】
【識別番号】100118278
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 聡
(72)【発明者】
【氏名】シッカー カイ
(72)【発明者】
【氏名】オルデヴュルテル カッセン
(72)【発明者】
【氏名】クレム ライナー
(72)【発明者】
【氏名】ムシャヴェック フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン ラース
【審査官】岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-286563(JP,A)
【文献】特表2017-504030(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61L 3/08
G01L 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
-少なくとも一つのひずみセンサ素子(5)を備えた光ファイバ(6)と、
-前記ひずみセンサ素子(5)が固定されている支持体(2)と、
-前記支持体(2)が固定されている監視されるべき構造体(4)と、を含み、
前記支持体(2)の少なくとも一部分は、前記支持体(2)が前記構造体(4)に固定された時点で、前記構造体(4)により弾性変形された状態に保持されるひずみ測定装置(1)であって、
前記支持体(2)は、互いに離間されて向かい合う第一の支持体部分(T1)と第二の支持体部分(T2)とにより形成されていて、
かつ、前記ひずみセンサ素子(5)は、少なくとも第一の固定点(7)で前記第一の支持体部分(T1)に固定され、かつ少なくとも第二の固定点(8)で前記第二の支持体部分(T2)に固定されていて、かつ前記固定点(7,8)の間の中央部分(5a)では、前記第一の支持体部分にも前記第二の支持体部分(T1,T2)にも固定されていないひずみ測定装置の取付方法において、
a)ブレイシング部材(41;81)を用いて、前記支持体(2)を少なくとも部分的に弾性緊張させ、
b)前記支持体(2)の少なくとも一部を、前記ブレイシング部材(41;81)を用いて、弾性緊張された状態に保持し、かつ前記監視されるべき構造体(4)に前記支持体(2)を固定し
c)前記ブレイシング部材(41;81)を取り除く
工程を有し、
前記ブレイシング部材(41)は、前記工程a)の前に、前記支持体(2)と強固に結合され、かつ前記工程a)のために前記ブレイシング部材(41)を壊して前記支持体(2)との結合を解除する、あるいは
前記ブレイシング部材(81)は、前記工程a)および前記工程b)において、前記支持体(2)と強固に結合されていて、前記工程c)のために前記ブレイシング部材(81)を壊して前記支持体(2)との結合を解除することを特徴とする取付方法。
【請求項2】
一つまたは複数のひずみ測定装置(1)の取付後に、壊されて前記支持体(2)との結合が解除されかつ前記工程c)において取り除かれたブレイシング部材(41;81)のすべての要素が揃っているかを検査することを特徴とする請求項1記載の取付方法。
【請求項3】
前記ブレイシング部材は、前記支持体2と一体的に作製されることを特徴とする請求項1又は2記載の取付方法。
【請求項4】
前記ひずみ測定装置(1)は、車軸カウンタ(91)用であって、前記監視されるべき構造体(4)は鉄道レールであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の取付方法。
【請求項5】
前記ひずみセンサ素子(5)は、ファイバ・ブラッグ・グレーティング(6a、FBG)を備えた光ファイバであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の取付方法。
【請求項6】
前記工程b)において、前記支持体(2)は、前記監視されるべき構造体(4)に接着されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の取付方法。
【請求項7】
-少なくとも一つのひずみセンサ素子(5)を備えた光ファイバ(6)と、
-前記ひずみセンサ素子(5)が固定されている支持体(2)と、
-前記支持体(2)が固定されている監視されるべき構造体(4)と、を含み、
前記支持体(2)の少なくとも一部分は、前記支持体(2)が前記構造体(4)に固定された時点で、前記構造体(4)により弾性変形された状態に保持されるひずみ測定装置(1)の使用方法であって、
請求項1乃至のいずれか一つの取付方法において、
前記支持体(2)は、互いに離間されて向かい合う第一の支持体部分(T1)と第二の支持体部分(T2)とにより形成されていて、
かつ、
前記ひずみセンサ素子(5)は、少なくとも第一の固定点(7)で前記第一の支持体部分(T1)に固定され、かつ少なくとも第二の固定点(8)で前記第二の支持体部分(T2)に固定されていて、かつ前記固定点(7,8)の間の中央部分(5a)では、前記第一の支持体部分にも前記第二の支持体部分(T1,T2)にも固定されていないことを特徴とする使用方法。
【請求項8】
前記支持体(2)が前記構造体(4)に固定された時点で、前記構造体(4)によって弾性変形された状態に保持される前記支持体(2)の部分は、前記第一の支持体部分(T1)と前記第二の支持体部分(T2)を含み、前記第一の支持体部分(T1)と前記第二の支持体部分(T2)が、少なくとも前記ひずみセンサ素子(5)の拡がり方向(ER)に沿った方向成分で相互に弾性緊張されていることを特徴とする請求項記載の使用方法。
【請求項9】
前記第一及び前記第二の支持体部分(T1,T2)がブラケット(31)により相互に結合されていることを特徴とする請求項記載の使用方法。
【請求項10】
前記ブラケット(31)は、前記ひずみセンサ素子(5)から距離ASだけ離れていることを特徴とする請求項9記載の使用方法。
【請求項11】
前記距離ASと、前記第一の固定点から前記第二の固定点(7,8)までの距離AEは、AS≧1*AEが当てはまることを特徴とする請求項10記載の使用方法。
【請求項12】
前記支持体(2)は、ブレイシングマウント(44;83)を形成し、前記ブレイシングマウント上又はその内部に、第一及び第二の支持体部分(T1,T2)に係合するブレイシング部材(41;81)が配置可能であることを特徴とする請求項乃至11のいずれか1項に記載の使用方法。
【請求項13】
前記ブレイシングマウント(44)と前記ブレイシング部材(41)とは、カムの様式で相互作用することを特徴とする請求項12記載の使用方法。
【請求項14】
前記取付方法の間、前記ブレイシングマウント(44;83)上又はその内部に配置されたブレイシング部材(41;81)を壊して、前記支持体(2)との結合を解除することを特徴とする請求項12又は13記載の使用方法。
【請求項15】
前記取付方法の間、前記ブレイシング部材(41;81)を壊して、前記ブレイシングマウント(44)の内部領域との結合を解除することを特徴とする請求項14記載の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ひずみ測定装置の取付方法、及びその使用方法、特に、
-少なくとも一つのひずみセンサ素子、特にファイバ・ブラッグ・グレーティングを備えた光ファイバと、
-ひずみセンサ素子が固定されている支持体と、
-支持体が固定されている監視されるべき構造体、特に鉄道レールとを含み、
この支持体の少なくとも一つの部分は、支持体が構造体上に固定された状態では、構造体により弾性変形した状態に保持される、
車軸カウンタ用のひずみ測定装置の取付方法、及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車軸カウンタ用のこのようなひずみ測定装置は、特に欧州特許出願公開第3069952号明細書から公知になっている。
【0003】
鉄道交通をより安全にするために、車軸カウンタが使用される。車軸カウンタは、特に列車が車軸カウンタの位置を完全に通過したかどうかを調査することに用いることができ、これにより、例えば関連する軌道区間が完全に空いたかどうかが突き止められる。
【0004】
車軸カウンタとして使用可能な測定原理は、車軸から伝達される列車の重力により引き起こされるレールの弾性変形をひずみセンサ素子を用いて測定することに基づく。
【0005】
これについて、欧州特許出願公開第3069952号明細書は、ひずみセンサ素子としてファイバ・ブラッグ・グレーティング(=FBG、Fiber Bragg Gitter)を、プリロードをかけながらレールに固定することを提案している。ファイバ・ブラッグ・グレーティングの反射波長は、FBGの弾性ひずみ状態に依存し、それによりひずみ状態を測定することができる。かかるプリロードによって、FBGがレールに未だに正確に固定されているか、またはレールから脱落しているかどうかの判定に、FBGのひずみ状態を用いることができる。一変形態様では、プリロードをかけながら支持体をレールに取り付けるため、かかるプリロードを熱を加えて行うことが提案されている。
【0006】
独国特許出願公開第102005010344号明細書からは、さらに、光導波路内の減衰特性が曲げ状態に影響されることが公知である。
【0007】
さらに、ひずみ状態の変化等による抵抗変化または容量変化に基づくひずみセンサ素子も公知となっている。
【0008】
しかしながら、プリロードをかけながら、ひずみセンサ素子を監視されるべき構造体、例えば鉄道レールに直接固定することは、比較的困難である。ひずみセンサが固定されている支持体を介してプリロードをかけることにより、確実な簡素化を達成することができる。しかしながら、この場合でも、(例えば作動点の調節のため)ひずみセンサ素子を規定のひずみ状態に調節することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】欧州特許出願公開第3069952号明細書
【文献】独国特許出願公開第102005010344号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、非常に簡単であり、厳しい環境において特に良好に使用することができるひずみ測定装置の取付方法を提供すると共に、ひずみセンサ素子の脱落を確実に判定可能であり、かつひずみセンサ素子のひずみ状態がより簡単に設定可能であるひずみ測定装置の使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は
a)ブレイシング部材を用いて、前記支持体を少なくとも部分的に弾性緊張させ、
b)前記支持体の少なくとも一部を、前記ブレイシング部材を用いて、弾性緊張された
状態に保持し、かつ前記監視されるべき構造体に前記支持体を固定、特に接着し、
c)前記ブレイシング部材を取り除く工程を有し、
前記ブレイシング部材は、前記工程a)の前に、前記支持体と強固に結合され、かつ前記工程a)のために前記ブレイシング部材を壊して前記支持体との結合を解除する、あるいは
前記ブレイシング部材は、前記工程a)および前記工程b)において、前記支持体と強固に結合されていて、前記工程c)のために前記ブレイシング部材を壊して前記支持体との結合を解除することを特徴とする、上述の本発明に係るひずみ測定装置の取付方法により達成される。
また、上述の本発明に係る取付方法において、
支持体は、互いに離間されて向かい合う第一の支持体部分と第二の支持体部分とにより形成されていて、
かつひずみセンサ素子は、少なくとも第一の固定点で第一の支持体部分に固定され、かつ少なくとも第二の固定点で第二の支持体部分に固定されていて、かつこれらの固定点の間の中央部分では、第一の支持体部分にも第二の支持体部分にも固定されていない、ことを特徴とする、上述の本発明に係るひずみ測定装置の使用方法も本発明の範囲内にある。
【0012】
本発明の範囲において、ひずみセンサ素子は、その全体の測定長さにわたり支持体に直線的に固定されるのではなく、ひずみセンサ素子は、第一の固定点だけで第一の支持体部分に、第二の固定部分だけで第二の支持体部分に固定されるものとする。その間にある中央部分では、ひずみセンサ素子は自由なままである。
【0013】
それにより、ひずみセンサ素子のひずみ状態を、支持体の弾性変形状態から少なくとも部分的に切り離すことが原理的に可能となる。特に、監視された構造体の変形の結果としての支持体の弾性変形を、適用ケースに応じて弱めるか、または強めるかして伝達することが可能となり、また、所定の閾値となったとき初めてひずみセンサにその弾性変形を伝達することが可能となり、また、支持体の所定の種類の変形を強化してひずみセンサ素子に伝達することが可能になる。この結果、ひずみセンサ素子は、最適な作動範囲内で作動することができ、かつひずみセンサ素子の所定の監視機能、例えば構造体からの脱落の判定をより確実に行うことができる。同時に、支持体を、ひずみセンサ素子により過度に制限されることなく、かつ容易に制御可能に弾性変形された状態で、構造体に固定することができる。
【0014】
ひずみセンサ素子は、とりわけその中央部分が、下にある支持体へのプリロードによって変形されてないため、ひずみセンサ素子への簡単でかつ直接的なアクセスが可能である。中央部分においては、例えば支持体に対するひずみセンサ素子への、(例えば連動部材による)付加的な緊張や(例えば長さ過剰による)付加的な弛緩を行うことができる。
【0015】
監視されるべき構造体に支持体を固定することにより、支持体の少なくとも一つの部分が構造体により弾性変形された状態で保持されている場合に、ひずみ測定装置が構造体に正しく取り付けられているか、または構造体から脱落しているかどうかを簡単に検査できるようになる。すなわち、後者の脱落により、支持体もしくは少なくとも上述の部分は弾性変形されていない状態に戻ることになるからである。構造体からの脱落は、例えば経年劣化や温度により固定が緩くなった際に起こることがある。ひずみ測定装置は、支持体の弾性変形または弾性緊張を、ひずみセンサ素子の測定されたひずみによって突き止めることが可能であるように構成されていることが好ましい。(つまり支持体の弾性変形はひずみセンサ素子の監視領域内にある)。あるいは、ひずみセンサ素子またはそのひずみとは他の、(例えば他のひずみセンサ素子の使用下で)支持体の変形を調査することができる測定装置もしくは測定方法を設けることも可能である。
【0016】
通常は、ひずみ測定装置は、ひずみセンサ素子を一つのみ備えるが、二つ以上のひずみセンサ素子を備えてもよい。
【0017】
本発明の範囲内において、ひずみセンサ素子は、第一及び第二の固定点で、第一及び第二の支持体部分が固定されていて、かつ中央部分においては、これらの支持体部分に(また支持体の他の部分にも)固定されていない。支持体は、第一及び第二の支持体部分の他に、通常は一以上の他の部分(例えばベース部材またはブラケット)を含む。
【0018】
ひずみセンサ素子は、好ましくは、ファイバ・ブラッグ・グレーティング(=FBG)を備えた光ファイバとして構成されていて、FBGは、この場合、固定点の間の中央部分にある。典型的には、ひずみセンサ素子は、支持体が構造体に固定された時点では弾性ひずみはわずかにしかない状態であるため、監視されるべき構造体の圧縮も伸張も容易に判定することができる。
【0019】
本発明に係るひずみ測定装置の取付方法は、特に車軸カウンタ内で使用することができ、このような車軸カウンタは、少なくとも一つのひずみ測定装置を含む。しかしながら、このひずみ測定装置は、他の用途、例えば機械部品の機械的荷重または摩耗を監視するための用途に用いてもよい。ひずみセンサ素子は、監視されるべき構造体の中立素分に対して傾いた角度で、例えば約45°の角度で配置することができる。監視されるべき構造体への支持体の取り付けは、例えばねじ止め、はんだ付けまたは接着により行うことができる。支持体部分へのひずみセンサ素子の固定は、例えばクランプ、はんだ付けまたは接着により行うことができる。
【0020】
要約すると、本発明に係るひずみ測定装置の取付方法は、非常に簡単であり、厳しい環境において特に良好に使用することができる。また、本発明に係るひずみ測定装置の使用方法によれば、第1に、ひずみセンサ素子を(支持体が構造体に固定された時点で)所望のプリロードで保持することを非常に簡単にでき、第2に、支持体の少なくとも一部によって、支持体が、監視されるべき構造体に未だに(十分に)固定されているかどうかを監視することを非常に簡単にできる。
【0021】
本発明の好ましい実施形態
本発明に係る取付方法が適用されるひずみ測定装置の好ましい実施形態において、
支持体が構造体に固定された時点で、構造体によって弾性変形された状態に保持される支持体の部分は、板ばね部材を含み、
かつこの板ばね部材上には、
-支持体が構造体に固定されたときに、構造体に支持されるための支持部材と、
-中央部分内でひずみセンサ素子に背面係合するための連動部材とが形成されていることが予定される。構造体に当接する支持部材により、板ばね部材は弾性変形を受ける。連動部材は、典型的には、ひずみセンサ素子の拡がり方向(測定方向)に対してほぼ垂直方向に、かつ典型的には、支持体が固定されている構造体の表面に対してほぼ垂直方向に移動する。連動部材は、板ばね部材の変形に応じて、ひずみセンサ素子に弾性ひずみまたは曲げを加えることに用いうる。このひずみまたは曲げは、ひずみセンサ素子により(例えばひずみ自体により、または変化した、大抵は高められた減衰により)測定することができ、かつ支持体の構造体からの剥離を容易に特定することができる。このような設計は、とりわけ、ひずみセンサ素子の監視されるべき構造体からの剥離の判定を確実にする。センサ落下の判定には、板ばね部材の弾性変形だけが必要であり、互いに弾性緊張した支持体面を構造体に固定(例えば接着)することを行う必要は特になく、これにより設置が非常に容易になる。
【0022】
この実施形態の好ましい発展態様の場合、支持体が構造体に固定された時点で板ばね部材が弾性変形された状態においては、板ばね部材と連動部材によりひずみセンサ素子にひずみが加えられないか、またはわずかなひずみしか加えられず、かつ支持体が構造体から剥離された後の板ばね部材が弾性弛緩された状態においては、ひずみセンサ素子に大きなひずみが加えられるように、板ばね部材と連動部材が構成されている。その弾性弛緩された状態において、板ばね部材は(連動部材と一緒に)ひずみセンサ素子を緊張および/または屈曲させるため、通常は容易に検出することができ、反対に、弾性緊張した状態においては、ひずみセンサ素子が連動部材により緊張されないか、またはわずかしか緊張されないように、板ばね部材と連動部材と(ならびに支持部材)は構成されている。あるいは、板ばね部材が弾性弛緩された状態において、ひずみセンサ素子を弛緩させるようにしてもよい。
【0023】
支持体が構造体に固定された時点で、構造体により弾性変形された状態が保持される支持体の部分は、第一の支持体部分と第二の支持体部分を含み、第一の支持体部分と第二の支持体部分が、少なくともひずみセンサ素子の拡がり方向に沿った方向成分で相互に弾性緊張されている実施形態も好ましい。かかる設計は、特に簡単である。支持体の弾性変形の方向成分は、ひずみセンサ素子のひずみ状態に直接作用する。
【0024】
第一及び第二の支持体部分がブラケットによって相互に結合されている実施形態の発展態様が好ましい。具体的には、ブラケットは、ひずみセンサ素子から一定の距離ASだけ離れていること、好ましくは距離ASと、第一の固定点から第二の固定点までの距離AEは、AS≧1*AE、特に好ましくはAS≧3*AEが当てはまる。ブラケット(時としてバーとも言われる)は、固定ジョイントとして作用し、この固定ジョイントを中心として支持体部分は互いに弾性にねじ曲げられ(ねじられ)てもよい。適切な距離(および適切な弾性たわみ)により、ひずみセンサ素子にかかる力を調節することができ、この調節は、AS≧3*AEにより特に正確に実行できる。所望の場合には、支持体の弾性挙動を変更するために、支持体部分の間に一つ以上のばねが配置されてよい。変形例として、または付加的に、ベース部材を介して支持体部分を結合するようにしてもよい。
【0025】
支持体は、ブレイシングマウントを形成し、このブレイシングマウント上またはその内部に、第一及び第二の支持体部分に係合するブレイシング部材が配置可能である発展形態が好ましい。具体的には、ブレイシングマウントとブレイシング部材とは、カムの様式で相互作用する。ブレイシングマウントとブレイシング部材とによって、支持体またはその少なくとも一部に、特に支持体が構造体に固定(例えば接着)される間に、一時的に弾性変形を加えることができる。このような力の付与は、非常に簡単であり、とりわけ、カムにより手動でも可能となる。
【0026】
好ましくは、ブレイシングマウント上又はその内部に配置されたブレイシング部材は、壊されることで、支持体との結合、特にブレイシングマウントの内部領域との結合が解除される。ブレイシング部材は、はじめから支持体の部分として作成できるので、支持体と一緒に直接設置することが可能となる。ブレイシング部材(例えばカム)は、ブレイシングマウント内で使用する際に、壊して支持体との結合を解除する(例えばブレイシングマウントから取り外す)ことができ、(必要な場合に)ブレイシングマウント内に緊張を付与するために用いかつ作動する(特に回転する)ことができる。あるいは、ブレイシング部材は、壊して支持体との結合を解除することによって予め有していた応力作用を失うようにしてもよい。
【0027】
ブレイシング部材は、ブレイシングマウント上又はその内部に全く配置されていない場合も好ましい。通常動作(つまり構造体に接する状態でのひずみ測定の場合)では、この緊張付与要素は支持体にもはや力を加えないので、支持体の弾性状態は、構造体への固定のみに依存するため、ひずみ測定装置の脱落を良好に特定することができる。
【0028】
支持体はベース部材を有し、このベース部材によって支持体は監視されるべき構造体に固定され、かつ第一の支持体部分と第二の支持体部分がベース部材上にすなわちその特定位置に固定されることを予定する実施形態も好ましい。かかるベース部材により、構造体への適切でかつ簡単な固定を、特に広い領域に亘って行うことができる。支持体部分は、原則として、ベース部材を介してのみ構造体に固定されている。典型的なベース部材は、閉じた環(フレーム)として構成されており、支持体部分は、その環内で内側に向かって突出し、これにより、弾性変形を、特にひずみセンサ素子の拡がり方向に沿って延在する環部分に対して加えることができる。他の典型的な基本構造体は、支持体部分が据え付けられた閉じた平面によって形成されている。
【0029】
この実施形態の好ましい発展形態では、第一及び第二の支持体部分がそれぞれ、ひずみセンサ素子とは反対側にある後方領域内でのみベース部材に固定されており、かつ第一及び第二の支持体部分はそれぞれ、後方領域とは反対側にある前方領域内で、ひずみセンサ素子に固定される。これらの支持体部分は、ベース部材を介してのみ構造体に固定されているので、かかる固定は各支持体部分の後方領域で行われる。これらの支持体部分は、(前方領域と後方領域との間では)顕著な弾性変形を典型的には示さない。前方領域と後方領域と間に距離を設けることにより、ベース部材または構造体の弾性ひずみは増強されてひずみセンサ素子に伝達される。典型的には、前方領域と後方領域の間にある支持体部分の全長GLは、固定点の間にあるひずみセンサ素子の長さAEの少なくとも三倍長い。
【0030】
支持体が構造体に固定された時点で構造体により弾性変形された状態に保持される支持体の部分は、ベース部材を含み、特に弾性変形された状態では、ベース部材はほぼ平坦である発展形態が好ましい。ベース部材は、簡単な方法で、適切な弾性弛緩がされた第一の形状と、所望の弾性変形がされた第二の形状を採ることができ、これにより、支持体部分とひずみセンサ素子は、ベース部材上へ実質的に自由に配置することができ、特にその際、ベース部材が弾性変形された状態でひずみセンサ素子に所望のプリロードを加えることができる。ベース部材の弾性緊張は、作動点の調節等のため、ひずみセンサ素子を緊張(プリロード)状態とさせるために(可能であれば部分的にのみ)利用されてよい。ベース部材は、典型的には監視されるべき構造体に平面的に固定(例えば接着)されるため、平坦な、例えば鉄道レール(レールウェブ)の側面において非常に簡単に実装される。したがって、支持体の構造体からの剥離による弾性弛緩された状態で、ベース部材は、特にひずみセンサ素子の拡がり方向を含む平面内で、典型的には湾曲する。この湾曲により、ひずみセンサ素子の弾性ひずみを、平坦な状態と比べて変更することができる。
【0031】
一つの実施形態では、支持体は、少なくとも一つの当接部材を含むことが好ましい。ここで、この当接部材は、支持体が少なくとも部分的に弾性変形された状態では、ひずみセンサ素子またはその供給ラインを欠損させない。一方、この当接部材は、支持体の構造体からの剥離により支持体が少なくとも部分的に弾性弛緩された状態では、ひずみセンサ素子がその作動範囲外となるかまたは完全に機能しなくなるまで、ひずみセンサ素子またはその供給ラインを欠損させる(例えば、折り曲げるおよび/または分離する)ように構成される。当接部材は、弾性変形した状態(ひずみセンサ素子の規定状態)においては、典型的にはひずみセンサ素子(またはその供給ライン、例えば光ファイバの部分)から離間されている。一方、当接部材は、(ひずみセンサの脱落により)弾性弛緩した状態においては、ひずみセンサ素子(またはその供給ライン)と接触する。そのようなひずみセンサ素子(またはその供給ライン)は、当接部材により、典型的には折り曲げられるか、押し潰されるか、またはそれどころか分離され(例えば切断され)る。かかる状態は測定により容易に検出することができるので、ひずみ測定装置の脱落を判定することができる。この実施形態の場合、ひずみセンサ素子は、支持体の少なくとも部分的な弾性変形によるひずみ成分を引き受ける必要がなく、これにより、監視されるべき構造体のひずみの正確な測定が可能になる。尚、典型的には、ひずみセンサ素子(すなわちFBG)の損傷時には、反射波長変化が考慮され、かつひずみセンサ素子(すなわちFBG)の外側の損傷(供給ラインへの影響)時には、反射光の減衰が増加すること、つまり減衰が重要となる。
【0032】
ひずみセンサ素子は、ファイバ・ブラッグ・グレーティングを備えた光ファイバを含み、
さらに他のひずみセンサ素子が存在し、この他のひずみセンサ素子は、同様にこの光ファイバと他のファイバ・ブラッグ・グレーティングとを含み、
他のひずみセンサ素子は、同様に支持体に固定されていて、かつ
構造体に固定された支持体により支持体が少なくとも部分的に弾性変形された状態で、ファイバ・ブラッグ・グレーティングは、第一のひずみ状態をとり、この第一のひずみ状態では、他のひずみセンサ素子における他のファイバ・ブラッグ・グレーティングの作動範囲で透過性があり、かつ支持体の構造体からの剥離により支持体が少なくとも部分的に弾性弛緩された状態で、ファイバ・ブラッグ・グレーティングは、第二のひずみ状態をとり、この第二のひずみ状態では、他のひずみセンサ素子における他のファイバ・ブラッグ・グレーティングの作動範囲で不透過性があるか、
またはファイバ・ブラッグ・グレーティングの反射波長間隔と、他のファイバ・ブラッグ・グレーティングの他の反射波長間隔とは、支持体が構造体に固定され少なくとも部分的に弾性変形された状態と、支持体が構造体からの剥離により少なくとも部分的に弾性弛緩された状態との間で重ならないことを予定する実施形態も好ましい。ひずみセンサ素子が、落下の検出のためだけに使用され、かつ他のひずみセンサ素子が、監視されるべき構造体のひずみの実際の検出のために使用されるように、ひずみセンサ素子と他のひずみセンサ素子を設置することができる。これにより、ひずみ測定装置の構造、取付および/または調整を簡素化することができ、構造体のひずみ測定がより正確になる。他のひずみセンサ素子は、支持体の少なくとも部分的な弾性変形によるひずみ成分を引き受ける必要がない。第一の構造形態(弛緩状態で「不透過性の」ファイバ・ブラッグ・グレーティングを備える)は、例えばファイバ・ブラッグ・グレーティングすなわち光ファイバを強く曲げるによって、比較的簡単に設置することができる。しかしながら、一般に、(互いに「別個である」反射波長と他の反射波長とを備える)第二の構造形態とすると、さらに正確なひずみ測定が可能となる。尚、構造体に対する、支持体のまたはその少なくとも一部分の弾性プリロードは、ひずみセンサ素子の監視領域内でのみ必要であり(かつ好ましくはひずみセンサ素子の監視領域内でのみ設定され)、他のひずみセンサ素子の監視領域内では必要ない。他のひずみセンサ素子は、互いに離間されかつ互いに向かい合う支持体部分における、支持体への各固定点によって固定されていてもよい。
【0033】
以下の工程:
a)ブレイシング部材を用いて、支持体を少なくとも部分的に弾性緊張させ、
b)支持体の少なくとも一部を、ブレイシング部材を用いて、弾性緊張した状態に保持し、かつ監視されるべき構造体に支持体を固定、特に接着し、
c)ブレイシング部材を取り除く
ことを特徴とする、上述の本発明に係るひずみ測定装置を取り付ける方法も本発明の範囲内にある。この方法は、非常に簡単であり、厳しい環境において(例えば野外での路線区間のレールに)特に良好に使用することができる。工程b)による固定は、この固定が所望の強度に至った場合(例えば接着剤の完全硬化後)に初めて完了する。工程c)の後の初めて、ひずみ測定装置が作動する、つまり監視されるべき構造体のひずみが監視される。作動中に、さらに、支持体の変形がまだあるかどうか、すなわち構造体からの剥離により支持体の変形がなくなってしまったかどうかが監視される。
【0034】
本発明に係る方法の好ましい変形態様は、ブレイシング部材は、工程a)の前に、支持体と強固に結合され、かつ工程a)のためにブレイシング部材を壊して支持体との結合を解除することが予定される。支持体に形成または固定されたブレイシング部材は、いつでも取付に利用でき、上記ブレイシング工程のために簡単に壊して支持体との結合を解除できかつ即座に使用することができる。ブレイシング部材は、特にカムとして構成されうる。
【0035】
ブレイシング部材が工程a)およびb)において、支持体と強固に結合されていて、工程c)のためにブレイシング部材を壊して支持体との結合を解除することを予定する変形態様も同様に好ましい。ここでも、支持体にはじめから固定または形成されているブレイシング部材は、いつでも利用できる。ブレイシング部材は、壊して支持体との結合を解除する前に、取付のために利用されるプリロードの下で、支持体の残り部分を押さえるかまたは保持する。構造体に支持体の固定が完了した後、ブレイシング部材を壊して支持体との結合を解除するので、プリロードは、構造体への固定(接着またはねじ止め)を介してのみ保持されるため、構造体からの脱落の際にプリロードまたは関連する弾性変形は失われる。
【0036】
これらの変形態様の発展態様として、一つまたは複数のひずみ測定装置の取付後に、壊されて支持体との結合が解除されかつ工程c)で取り除かれたブレイシング部材のすべての要素が揃っているかを検査することがのぞましい。これにより、ひずみ測定装置が正確に取り付けられたかどうかの簡単な外見検査を行うことができる。
【0037】
本発明の更なる利点は、明細書および図面から得られる。同様に、本発明に係る、上述の特徴及び以下に説明する特徴は、それぞれ個別に、またはいくつかを任意の組合せで使用することができる。図面または明細書に示す実施形態は、網羅的な列挙と解釈されるべきではなく、むしろ本発明の説明のための例示的な特徴を有する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1a】フレーム状のベース部材を備えた本発明に係るひずみ測定装置の第一の実施形態についての概略平面図である。
図1b図1aのひずみ測定装置の概略断面図である。
図2a】板ばね部材、支持部材、および連動部材を備えた、本発明に係るひずみ測定装置の第二の実施形態についての概略平面図である。
図2b】構造体に固定された支持体を備えた、図2aのひずみ測定装置の概略側面図である。
図2c】構造体から剥離した支持体を備えた、図2aのひずみ測定装置の概略側面図である。
図3】ブラケットを備えた本発明に係るひずみ測定装置の第三の実施形態についての概略平面図である。
図4a】未だ取り去っていないカムを備えた本発明に係るひずみ測定装置の第四の実施形態についての概略平面図である。
図4b】拡開するカムを備えた、図4aのひずみ測定装置である。
図4c】構造体に固定された後にカムが取り除かれた図4bのひずみ測定装置である。
図5a】弾性弛緩した湾曲した状態のベース部材を備えた、本発明に係るひずみ測定装置の第五の実施形態についての概略側面図である。
図5b】ベース部材が弾性変形された平坦な状態にある、図5aのひずみ測定装置である。
図6a】ひずみセンサ素子に当接する当接部材を備えた、本発明に係るひずみ測定装置の第六の実施形態の概略実施形態である。
図6b】ひずみセンサ素子から離れて配置された当接部材を備えた、図6bのひずみ測定装置である。
図7】ひずみセンサ素子内のファイバ・ブラッグ・グレーティングと、他のひずみセンサ素子内の他のファイバ・ブラッグ・グレーティングとを備えた本発明に係るひずみ測定装置の第七の実施形態の概略実施形態である。
図8a】構造体に固定する間、ブラケットと強固に結合された弓形のブレイシング部材とを備える、本発明に係るひずみ測定装置の第八の実施形態の概略実施形態である。
図8b】ブレイシング部材が取り除かれた、構造体に固定した後の図8aのひずみ測定装置である。
図8c】構造体から脱落した後の図8bのひずみ測定装置である。
図9】二つの本発明に係るひずみ測定装置を含む、車軸カウンタの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明を図面で示し、かつ実施例に基づいて詳細に説明する。
【0040】
図1aは、本発明に係るひずみ測定装置1の第一の実施形態を平面図であり、図1bは、関連する断面図である(図1aのlb平面を参照のこと)。
【0041】
ひずみ測定装置1は、ここでは環状に閉じたほぼ矩形のベース部材3と、第一の支持体部分T1および第二の支持体部分T2とを含む支持体2を含む。支持体部分T1,T2は、支持体2の外側フレームを形成するベース部材3から内側に向かって突き出ている。
【0042】
支持体2は、詳細には示されていないが、フレーム状のベース部材3を用いて、監視されるべき構造体4に固定されている。例えば、支持体2は、ベース部材3の下側の全体で構造体4に接着されているが、支持体部分T1,T2の下側は、構造体4には接着されておらず、構造体4に載置されているだけである。監視されるべき構造体4は、例えば列車走行区間の鉄道レールであることができる。
【0043】
支持体部分T1,T2には、固定点7,8でひずみセンサ素子5が固定されている。固定点7,8は、それぞれ支持体部分T1,T2の内側端部にある。固定点7,8の間にある、ひずみセンサ素子5の中央部分5aは、ここでは部分T1,T2の間で自由に張設されている。
【0044】
図示された実施形態において、ひずみセンサ素子5は、中央部分5a内にファイバ・ブラッグ・グレーティング(Faser Bragg Gitter、FBG)6aを備えた光ファイバ6として構成されている。尚、図1aでは、簡素化のために、ファイバ6は、中央部分5aの領域内だけ図示されており、図1bでは、ファイバ6の供給ライン6bも図示されている。変形例として、他のタイプのひずみセンサ素子、例えば電気抵抗測定ストリップが使用されてもよい。
【0045】
構造体4のひずみを監視するひずみセンサ素子5を使用するための基準状態においては、FBGの作動点を調節するために、ひずみセンサ素子5は、典型的には、中央部分5a内で、ファイバ6の拡がり方向ERにわずかに弾性伸張されている。ここで、(基準状態における)ひずみセンサ素子5の固定点7,8への固定時もしくは固定中における、ひずみセンサ素子5の弾性伸張は、実用に好適に予め設定可能である。
【0046】
構造体4が変形する場合、構造体4に固定されているベース部材3もまた変形する。ベース部材3のこの変形は、支持体部分T1,T2を介してひずみセンサ素子5に伝達され、その結果、この変形は測定可能となる。
【0047】
それぞれの後方領域9から、それぞれの固定点7,8が配置されている前方領域10までの部分T1,T2の全長GLは、GL=LT1+LT2で表されるが、この例では、全長GLは、固定点7,8の間の距離AEよりもかなり長い。図示された実施形態において、近似的にGL=2*AEとなるが、一般に、GL≧2*AEまたはGL≧3*AEが好ましい。ひずみセンサ素子5の拡がり方向ERに対して平行方向に突出し、拡がり方向ERに沿った構造体4の変形時には動くが、それ自体はほとんど変形しない部分T1,T2は、構造体4もしくはフレームの変形を拡がり方向ERで、AE/(LT1+AE+LT2)の比率に相応して増幅してひずみセンサ素子5に伝達することができる。
【0048】
前述した基準状態の場合、フレーム状のベース部材3は、弾性変形された状態であり、この状態で、固定されているベース部材3の下にある構造体4によって保持されている。ここでは、ベース部材3は、拡がり方向ERに関してわずかに弾性伸張されている。ベース部材3もしくは支持体2が構造体4から脱落している場合、ベース部材3の弾性変形は戻ることになり、つまり、ここでベース部材3は、拡がり方向ERで収縮する。それにより、ひずみセンサ素子5の弾性ひずみ状態も変化することになり、それにより構造体4からの脱落を明らかにすることができる。
【0049】
ひずみ測定装置のさらに説明される実施形態においては、図1a,1bの実施形態との相違点が特に説明される。
【0050】
本発明に係るひずみ測定装置1の第二の実施形態は、図2aにおいて平面図で示され、図2bにおいては、構造体4に固定された状態の側面図で示され、図2cにおいては、その剥離された状態の側面図で示される。
【0051】
ひずみ測定装置1は、部分T1,T2の他にさらに板ばね部材21を含む支持体2を有する。図示された実施形態において、板ばね部材21は、支持体部分T1,T2を相互に接続し、板ばね部材21は、その端部22,23でそれぞれ部分T1,T2に固定されていて、板ばね部材21の端部領域は、それぞれ部分T1,T2に被さっている。
【0052】
支持部材24が、板ばね部材21上に形成されており、かつ、この支持部材24は、ここでは、ひずみセンサ素子5に被さり、支持突出部24aにより、係止相手としての監視されるべき構造体4に支持されている。支持体2が構造体4に固定された時点で(図2b参照)、支持部材24は、板ばね部材21を構造体4から上方向に押し離し、それにより板ばね部材21は弾性変形される。具体的にはここでは伸張される。
【0053】
さらに連動部材25が、板ばね部材21上に形成されており、かつ、この連動部材25も、同様にひずみセンサ素子5に被さり、ここではひずみセンサ素子5の方向に下側に突出する連動突出部25aを有する。これにより、連動突出部25aは、ひずみセンサ素子5に背面係合する、つまり上方から係合する。構造体4に支持されることにより板ばね部材21が弾性変形された状態(図2b参照)においては、図示された実施形態の場合、連動部材25(またはその連動突出部25a)は、ひずみセンサ素子5に接触しない程度まで持ち上げられる。したがって、ひずみセンサ素子5は、(構造体4のひずみ監視のための)通常の測定動作のために予定された通常のひずみ状態を有する。
【0054】
ひずみ測定装置1が構造体4から脱落する場合、板ばね部材21は、図2cに示されている弾性変形していない状態に戻る。これは、支持部材24の前端にはもはや係止相手がないためである。この状態で、連動部材25の連動突出部25aは、ひずみセンサ素子5を押圧し、このひずみセンサ素子5に強い弾性ひずみを加える。この強い弾性ひずみは簡易に測定できるので、その結果、ひずみ測定装置1の構造体4からの脱落を容易に判定することができる。
【0055】
図2a~2cに示す実施形態の場合、支持体部分T1,T2すなわち支持体2は、剪断応力を全く受けずに、監視されるべき構造体4に固定することができ、これにより取付が容易になる。
【0056】
図3は、本発明に係るひずみ測定装置1の第三の実施形態を概略上面図で示す。
【0057】
支持体2は、ここでは、固定点7,8でひずみセンサ素子5が固定されている部分T1,T2と、一端で(図3では下側で)部分T1,T2を相互に結合するブラケット31とを含む。ひずみセンサ素子ERの拡がり方向ERは、ブラケット31またはその結合方向に対して平行方向に延びる。
【0058】
支持体2は、弾性変形した状態で、つまり部分T1,T2に所定の相互ねじれがある状態で、ブラケット31の中央の連結領域32あたりを中心として構造体4に固定される。このねじれは、ひずみセンサ素子5の領域内では、ひずみセンサ素子5の拡がり方向ERに対してほぼ平行に作用する。構造体4から脱落する場合、このねじれは戻り、それによりひずみセンサ素子5のひずみ状態が変化する。このねじれに、部分T1,T2とブラケット31はいずれも関与している。
【0059】
好ましくは、ブラケット31(もしくはその上部)とひずみセンサ素子5の間の距離ASは、固定点7,8の間の距離AEよりもかなり長くする。これにより、ひずみセンサ素子5の領域内の力を良好に制御できる。図示された実施形態において、ほぼAS=3*AEが当てはまり、一般に、好ましくはAS≧2*AEまたはAS≧3*AEが選択される。
【0060】
所望する場合は、ブラケット31は、連結領域32内で、例えばノッチ33によって弱められていてもよい。これにより、例えば、同じ力でより大きなねじれを生じさせることができ、それにより構造体からの脱落の判定がより容易となる。同様に、部分T1,T2相互の弾性挙動を調節するために、部分T1,T2の間に、一つのばね34または複数のばね34(必要に応じて、牽引ばねまたは圧縮ばね)を配置することも可能である。
【0061】
尚、この実施形態の場合でも、中央部分5a内のひずみセンサ素子5を自由に張設することができ、基準状態でのひずみセンサ素子5の弾性ひずみ状態を原理的に自由に決定することができる。
【0062】
図4aは、本発明に係るひずみ測定装置1の第四の実施形態を示す。支持体2は、ここでは、ひずみセンサ素子5が固定点7,8で固定されている支持体部分T1,T2と、これらの支持体部分T1,T2を相互に結合しているブラケット31とを含む。ひずみ測定装置1の取付の前に、ここでは、カムとして構成されているブレイシング部材41が、支持体部分T1,T2の間に保持されている。ブレイシング部材41は、典型的には、支持体2の残り部分と一体的に(例えば金属プレートからレーザー切断することにより)作製されていて、支持体2の残りの部分の、ここでは支持体部分T1,T2の間にある、二つの規定破断箇所42で保持されている。図4aに示された状況の場合、支持体2は弾性弛緩された状態であり、未だ構造体に固定されていない。ブレイシング部材41は、その長辺側が支持体部材T1,T2に対して平行に、すなわちひずみセンサ素子5の拡がり方向ERに対して垂直に配向されている。ひずみセンサ素子5は、支持体部分T1,T2の間に弛緩して渡設されていて、この状態は、ひずみ測定により容易に確認することができる。
【0063】
監視されるべき構造体4への取付のために、ブレイシング部材41は例えば図4aに示すようにブレイシング部材41回転43により壊して各規定破断箇所42との結合を解除する
【0064】
ブレイシング部材41すなわちカムが半回転することにより、このカムが部分T1,T2を拡開する(または支持体部分T1,T2に対してねじれを加える)。この結果、支持体2は弾性変形した状態をとる(図4b参照)。したがって、支持体部分T1,T2の内側の間に、ブレイシング部材41用のブレイシングマウント44が設置され、典型的にはブレイシング部材41用の固定回転軸45が設置される。ひずみセンサ素子5は、引っ張られ、かつその作動点に応じたわずかな弾性ひずみを受ける。ブレイシング部材41は、その長辺側が支持体部分T1,T2に対して垂直に、すなわちひずみセンサ素子5の拡がり方向ERに対して水平に配向されている。この拡開された状態で、支持体2は、監視されるべき構造体4に固定、例えば接着される。
【0065】
構造体4に固定後に(例えば接着剤の完全硬化後に)、ブレイシング部材は取り外すことができる(図4c参照)。ひずみ測定装置1が構造体4に固定された状態を維持している限り、支持体2の弾性変形状態も、ひずみセンサ素子5のわずかな弾性ひずみも維持される。構造体4から剥離が起きた場合、ひずみ測定装置1は、図4aに示す弾性弛緩した状態に戻るため、これは、ひずみセンサ5のたるみにより容易に測定することができる。
【0066】
本発明に係るひずみ測定装置1の図5aに側面図の形で概略的に示された第五の実施形態の場合、支持体2はベース部材3を備える。ベース部材3は、ここでは閉じた領域を有し、そこに部分T1,T2が固定されている。図示するように、ベース部材3が、構造体4に固定されておらず、弾性弛緩された状態では、ベース部材3は湾曲しており、それにより部分T1,T2は互いに接近し、かつこれらの間に延びるひずみセンサ素子5はたるんでいるため、これは容易に測定することができる。
【0067】
図5bで示す、(破線で示すように)ベース部材3によって支持体2が監視されるべき構造体4に固定、例えば接着されている基準状態において、ベース部材3は、弾性変形した状態(ここでは平坦な状態)に保持され、かつ、ひずみセンサ素子5は引っ張られているので、ひずみセンサ素子5は、その作動範囲で使用することができる。特に、ひずみセンサ素子5の拡がり方向ERに沿った(またはこの拡がり方向ERに沿ったコンポーネントを備えた)構造体4の変形を良好に測定することができる。
【0068】
本発明に係るひずみ測定装置1の第六の実施形態として、図6aに支持体2のベース部材3の弾性弛緩した状態を図示し、図6bにその支持体2の弾性変形した状態を図示する。ベース部材3には、二つの当接部材61が配置もしくは形成されている。
【0069】
ベース部材3が弾性弛緩した状態では、このベース部材は湾曲した状態をとり、それにより当接部材61は、支持体部分T1,T2の間の中央領域5aでひずみセンサ素子5を、図6aに示すように押圧するか(尚、支持体部分T1,T2と支持体2の残り部分との固定は、簡素化のため詳細は不図示とする)、またはそれどころかひずみセンサ素子を切断する(詳細は不図示)。これにより、良好な測定を可能とする形で、ひずみセンサ素子5を一時的にまたは永続的に欠損させる。ひずみセンサ素子5が、ファイバ・ブラッグ・グレーティングを備えた光ファイバとして構成されている場合、例えばファイバの押し潰しにより、反射波長を大きく離調させたりファイバを大きく減衰させたりすることができる。
【0070】
ベース部材3が弾性変形した状態、ここでは図6bに示すように、監視されるべき平坦な構造体4に固定され、ベース部材3が平坦となった状態では、当接部材61は、ひずみセンサ素子5から離間して配置されており、かつひずみセンサ素子5を欠損させない。よって、構造体4の通常のひずみ監視を行うことができる。
【0071】
図7は、本発明に係るひずみ測定装置1の第七の実施形態を示す。ひずみ測定装置1は、ここでは、一つのひずみセンサ素子5と、他のひずみセンサ素子71とを含む。ひずみセンサ素子5は、ファイバ・ブラッグ・グレーティング6a(スレーブFBGまたは補助FBGとも呼ぶ)によって形成されていて(これについては、例えば上述の図1aを参照)、他のひずみセンサ素子71は、他のファイバ・ブラッグ・グレーティング72(マスタFBGまたは主FBGとも呼ぶ)によって形成されている。ファイバ・ブラッグ・グレーティング6aと、他のファイバ・ブラッグ・グレーティング72とは、同じ光ファイバ6内の異なる位置に形成される。
【0072】
ひずみセンサ素子5では、支持体部分T1,T2の両方が、監視されるべき構造体4に対して弾性変形した状態で、ブラケット31を介して構造体4に固定されていて(例えば上述の図3を参照)、典型的には、このため、固定の際に、弾性応力が、例えばカムまたは他のブレイシング部材(詳細は不図示)によって局所的に支持体2に加えられる。支持体2の弾性変形が、ひずみセンサ素子5の監視範囲内となくなった場合、これはひずみセンサ素子5に関するひずみ状態の明らかな変化として判定される。
【0073】
他のひずみセンサ素子71では、ここでは、光ファイバ6が、固定点74,75で支持体部分T1’,T2’に固定されていて、これらの固定点74,75の間では光ファイバ6は自由に張設されている。支持体部分T1’,T2’は、ここでも、ブラケット73を介して互いに結合されているが、構造体4に対する支持体2の局所的な弾性緊張または変形は存在しない。したがって、他のひずみセンサ素子71の監視領域内では、支持体2は、構造体4の変形を、支持体2による局所的な応力のオフセットなく、伝達する。
【0074】
図示された実施形態において、ファイバ・ブラッグ・グレーティング6aと、他のファイバ・ブラッグ・グレーティング72とは、大きく異なる、重複しない反射波長間隔を有する。例えば、(主として、局所的な支持体2の変形状態に依存する)ファイバ・ブラッグ・グレーティング6aが有する反射波長は、720nm~670nmの範囲内とすることができ、(主として、構造体4のひずみ状態に依存する)他のファイバ・ブラッグ・グレーティング72が有する他の反射波長は、635nm~625nmの範囲内とすることができる。次いで、ひずみセンサ素子5の現在の反射波長に基づき、構造体4に適正に載置されているかどうかを調査することができ、かつ他のひずみセンサ素子71が有する現在の他の反射波長に基づき、構造体4の変形を調査することができ、この両方を同時に測定可能である。変形例として、ひずみセンサ素子5すなわちひずみ測定装置1は、脱落時に、(他の反射波長区間の全域に相当する)他のファイバ・ブラッグ・グレーティング72の作動範囲において、ファイバ・ブラッグ・グレーティング6aが不透過となるように設定することも可能である。この状態は、他のファイバ・ブラッグ・グレーティング72の反射波長を測定しようとした時点で、容易に明らかとすることができる。
【0075】
典型的には、支持体2は複数の局所的な部分において、ひずみセンサ素子5の監視領域内と他のひずみセンサ素子71の監視領域内とで同じように固定されているので、一般に(例えば経年劣化の結果に応じた)同程度の保持を期待することができる。好ましくは、支持体2の全ての部分は、詳細には示されていない方式で互いに機械的に結合されているので、支持体2の全ての部分は同様の挙動を示す(具体的には、全てが構造体4に固定されているか、または全てが構造体4から脱落する)。
【0076】
図8aは、本発明に係るひずみ測定装置1の第八の実施形態を示す。この支持体2は、部分T1,T2を含み、これらの部分に固定点7,8でひずみセンサ素子5が固定されている。まず、部分T1,T2が、支持体2のブラケット31を介して互いに強固に結合され、次に、ここでは、弓状のブレイシング部材81を介して互いに強固に結合される。
【0077】
ブレイシング部材81は、ブラケット31内に弾性変形を生じさせ、ここで、部分T1,T2は互いに離れるように拡開される(または互いにねじられる、これについては、上述の図3の説明を参照)。この状態で、(部分T1,T2およびブラケット31と共に)支持体2は、監視されるべき構造体4に、固定、例えば接着される(が、ブレイシング部材81は固定、例えば接着されない)。
【0078】
完全な固定後に、ブレイシング部材81は取り外される。このため、ブレイシング部材81は、支持体2の規定破断箇所82で破断される(図8b参照)。ブラケット31の弾性拡張状態は、支持体2が固定されている構造体4によって維持される。支持体部分T1,T2に残る、表面が破断された領域は、ブレイシング部材81用のブレイシングマウント83と解釈することができる。
【0079】
ひずみ測定装置1が一度構造体4から脱落すると、ブラケット31は、それに基づき弾性弛緩状態となる。これは、図8cに示されている。この結果、部分T1,T2は互いに近づき、ひずみセンサ素子5はたるむ。この状態は、ひずみセンサ素子によって容易に測定することができる。
【0080】
図9は、監視されるべき構造体4としての鉄道レール92(例えばいわゆるレールウェブ)の側面に固定されている本発明に係る車軸カウンタ91の概略側面図を示す。車軸カウンタ91は、ここでは本発明に係るひずみ測定装置1を二つ有しており、これらはここでは例示的にそれぞれ二つの部分T1,T2とこれらを結合するブラケット31とにより形成されている(例えば図3参照)。車軸カウンタ91がその車軸を検出することができる車両は、鉄道レール92上を走行方向FRに走行することができる。ひずみセンサ素子5の拡がり方向ERは、ここでは、走行方向FRに対して傾斜して(図示された実施形態の場合は約45°の角度で)延びる。尚、走行方向FRは、同時に、車両の荷重下にある鉄道レール92(すなわち構造体4)における中立素分の延在方向に相当する。
【0081】
例えば、車軸が図9を上からみて左から右に車軸カウンタ91上を転がる場合、左側のひずみ測定装置1が、まず、(車両が通過していない)基準状態と比べて、相対的に引っ張られた状態を記録し、次いで、相対的に圧縮された状態を記録する。時間的にいくらか後に、右側のひずみ測定装置1も、まず、基準状態と比べて相対的に引っ張られた状態を記録し、次いで、相対的に圧縮された状態を記録する。走行方向が反対の場合には、これらの事象の発生順序は相応して逆となる。
【0082】
車軸カウンタ91内のこの2つのひずみ測定装置1により、列車運行における安全性を改善する冗長度を調節することができる。尚、より簡単な実施形態の場合、車軸カウンタ91内にひずみ測定装置を一つだけ設けてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1 ひずみ測定装置
2 支持体
3 ベース部材
4 監視されるべき構造体
5 ひずみセンサ素子
5a 中央部分
6 光ファイバ
6a ファイバ・ブラッグ・グレーティング
6b 供給ライン
7 第一の固定点
8 第二の固定点
9 後方領域
10 前方領域
21 板ばね部材
22 端部(板ばね部材)
23 端部(板ばね部材)
24 支持部材
24a 支持突出部
25 連動部材
25a 連動体突出部
31 ブラケット
32 連結領域
33 ノッチ
34 ばね
41 ブレイシング部材(カム)
42 規定破断箇所
43 回転方向
44 ブレイシングマウント
45 固定回転軸
61 当接部材
71 他のひずみセンサ素子
72 他のファイバ・ブラッグ・グレーティング
73 他のブラケット
74 固定点
75 固定点
81 ブレイシング部材(弓形)
82 規定破断箇所
83 ブレイシングマウント(弓形のブレイシング部材用)
91 車軸カウンタ
92 鉄道レール
AE 固定点間の距離
ER 拡がり方向(ひずみセンサ素子)
GL 部分T1,T2の全長
FBG ファイバ・ブラッグ・グレーティング
FR 走行方向
LT1 部分T1の長さ
LT2 部分T2の長さ
T1 第一の部分(ひずみセンサ素子)
T1’ 第一の部分(他のひずみセンサ素子)
T2 第二の部分(ひずみセンサ素子)
T2’ 第二の部分(他のひずみセンサ素子)
図1a
図1b
図2a
図2b
図2c
図3
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図6a
図6b
図7
図8a
図8b
図8c
図9