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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-20
(45)【発行日】2023-03-29
(54)【発明の名称】遠心血液ポンプのインペラ及び流路
(51)【国際特許分類】
   A61M 60/806 20210101AFI20230322BHJP
   A61M 60/122 20210101ALI20230322BHJP
   A61M 60/232 20210101ALI20230322BHJP
   A61M 60/422 20210101ALI20230322BHJP
   A61M 60/82 20210101ALI20230322BHJP
【FI】
A61M60/806
A61M60/122
A61M60/232
A61M60/422
A61M60/82
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021027491
(22)【出願日】2021-02-24
(62)【分割の表示】P 2018246360の分割
【原出願日】2015-05-14
(65)【公開番号】P2021079181
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2021-02-25
(31)【優先権主張番号】14/449,616
(32)【優先日】2014-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/013,204
(32)【優先日】2014-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516379412
【氏名又は名称】シーエイチ バイオメディカル(ユーエスエイ)、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン、チェン
(72)【発明者】
【氏名】リン、フランク
【審査官】中尾 麗
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-210415(JP,A)
【文献】特開2003-269378(JP,A)
【文献】米国特許第04666373(US,A)
【文献】特表2007-506027(JP,A)
【文献】特表2003-531653(JP,A)
【文献】特開2013-213413(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 60/00-60/90
F04D 29/22-29/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向入口を画定する入口カニューレと、
環状磁気ロータと、
前記環状磁気ロータに結合されたインペラであって、前記インペラは、
前記環状磁気ロータに結合された第1の表面、前記環状磁気ロータから見て外方に向く第2の表面、及び前記環状磁気ロータと同心円状に整列させられた中央円形開口を含む平坦な周辺リング、並びに
前記周辺リングから前記環状磁気ロータの回転軸に向かって内側に延びる複数のブレード
を含み、前記複数のブレードのそれぞれは、
前記環状磁気ロータに向き且つ前記回転軸に垂直な第1の平面内に位置するブレード根元面、及び
前記環状磁気ロータから見て外方に向き且つ前記回転軸に垂直な第2の平面内に位置するブレード先端面
を含み、前記ブレード根元面及び前記ブレード先端面は、平行な平面内にあって、前記複数のブレードの純粋に径方向であって、インデューサのない特徴を画定する、インペラと、
前記平坦な周辺リングの前記中央円形開口を通って延び、且つ前記複数のブレードを軸方向に超え、前記軸方向入口内に延びる湾曲した中央部分を含むノーズ・コーンと
を備える、磁気浮上ポンプ装置。
【請求項2】
前記複数のブレードのそれぞれは、
前記平坦な周辺リングの前記第2の表面に結合された後縁部分と、
前記平坦な周辺リングの前記中央円形開口の上に掛かる前縁部分と、
を更に含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記複数のブレードのそれぞれの前記ブレード先端面は、覆いがない、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記環状磁気ロータは、磁性部分と非磁性部分とを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
中心柱と、前記中心柱と同心円状の環状空洞とを含むハウジング部分を更に備え、前記環状磁気ロータが、前記環状空洞内に位置する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記環状空洞内の二次流路であって、U字型の横断面を有し、且つ、前記環状磁気ロータと前記環状空洞の外表面との間の第1の間隙から、前記環状磁気ロータと前記環状空洞の底表面との間の第2の間隙まで、及び前記環状磁気ロータと前記環状空洞の内表面との間の第3の間隙まで、前記環状磁気ロータの周りに延びる、二次流路を更に備え、
前記第1の間隙、前記第2の間隙、及び前記第3の間隙は、0.254mm(0.010インチ)から0.508mm(0.020インチ)の間である、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記環状空洞内の二次流路であって、U字型の横断面を有し、且つ、前記環状磁気ロータと前記環状空洞の外表面との間の第1の間隙から、前記環状磁気ロータと前記環状空洞の底表面との間の第2の間隙まで、及び前記環状磁気ロータと前記環状空洞の内表面との間の第3の間隙まで、前記環状磁気ロータの周りに延びる、二次流路を更に備え、
前記第1の間隙、前記第2の間隙、及び前記第3の間隙は、0.127mm(0.005インチ)から0.762mm(0.030インチ)の間である、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記ノーズ・コーンは、前記ノーズ・コーンと前記複数のブレードの前記ブレード根元面との間の一定間隙を画定する実質的に平坦な周辺部分を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項9】
前記ノーズ・コーンの前記湾曲した中央部分は、前記軸方向入口内に延び、及び前記入口カニューレの内部湾曲に対応して、前記ノーズ・コーンと前記入口カニューレとの間に実質的に滑らかな間隔を画定する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記インペラの周辺の周りに部分的に延び、及び前記軸方向入口と流体連通する渦巻構造を更に備え、前記インペラ及び渦巻構造は一次流路を画定する、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記第3の間隙は、前記ノーズ・コーンの前記湾曲した中央部分から径方向外側に位置する、請求項7に記載の装置。
【請求項12】
前記第3の間隙は、前記入口カニューレから径方向外側に位置する、請求項7に記載の装置。
【請求項13】
軸方向入口を画定する入口カニューレと、中心柱と、前記中心柱と同心円状の環状空洞とを含むハウジング部分と、
前記環状空洞内に配置された環状磁気ロータと、
前記環状空洞内の二次流路であって、U字型の横断面を有し、及び前記環状磁気ロータの周りに延びる二次流路と、
前記環状磁気ロータに結合されたインペラであって、前記環状磁気ロータと同心円状に整列させられた中央円形開口を含む周辺リング、及び前記周辺リングから前記中央円形開口内に、且つ前記環状磁気ロータの回転軸に向かって内側に延びる複数のブレードを含むインペラと、
前記中心柱上に配置されたノーズ・コーンであって、前記中央円形開口を通って延び、且つ前記ブレードを軸方向に超え、前記軸方向入口内に延びる湾曲した中央部分を含むノーズ・コーンと
を備える、磁気浮上ポンプ装置。
【請求項14】
前記二次流路は、前記環状磁気ロータと前記環状空洞の外表面との間の第1の間隙と、前記環状磁気ロータと前記環状空洞の底表面との間の第2の間隙と、前記環状磁気ロータと前記環状空洞の内表面との間の第3の間隙とによって画定される、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記第1の間隙、前記第2の間隙、及び前記第3の間隙は、0.254mm(0.010インチ)から0.508mm(0.020インチ)の間である、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記第1の間隙、前記第2の間隙、及び前記第3の間隙は、0.127mm(0.005インチ)から0.762mm(0.030インチ)の間である、請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記環状磁気ロータの高さは、前記環状磁気ロータの厚さよりも大きい、請求項14に記載の装置。
【請求項18】
前記環状磁気ロータの高さは、前記環状磁気ロータの厚さの2倍である、請求項14に記載の装置。
【請求項19】
前記環状磁気ロータの高さは、前記環状磁気ロータの厚さの2倍よりも大きい、請求項14に記載の装置。
【請求項20】
前記中心柱の外径は、前記中心柱の高さよりも大きい、請求項14に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる「Centrifugal Blood Pump Impeller and Flow Path」と題する2014年6月17日に出願された米国仮出願第62/013,204号の優先権を主張するものである。
【0002】
本開示は、遠心ポンプ構造に関し、より具体的には、遠心磁気浮上血液ポンプ構造に関する。
【背景技術】
【0003】
心臓疾患は、男性及び女性の両方にとって死亡原因の第一位である。五百万人を上回る米国人は心不全を有しており、その数は依然として増加している。血液ポンプは、心不全を治療するのには効果的であるが、また、血液細胞損傷(溶血)及び血液細胞凝固(血栓形成)のような副次的影響を引き起こし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
溶血及び血栓形成は、主に、血液ポンプ内側の高いせん段応力及び流れの停滞に起因し得る。初期世代の血液ポンプは、ロータのような回転構成要素とステータのような固定構成要素との間のシャフト・シール又は接触軸受に起因して、血栓形成を引き起こし得ることで知られていた。もっと後の流体力学的軸受は、血液を潤滑剤として使用することにより、ロータとステータとの間の直接的な接触を排除した。しかしながら、もっと後のポンプにおいて薄膜の内側に生み出される高いせん段応力は、溶血の主な原因である。より最近に開発された血液ポンプは、磁気軸受を含み、その中で、磁力は、ロータとステータとの間に大きな間隙を有してロータを血液中に浮かせ、従って、せん段応力を大いに低減させることができる。しかしながら、より最近の磁気軸受を有する血液ポンプの設計は、追加の構成要素、二重に覆われたインペラを含み、その覆いの内側に埋め込まれた磁石を有する。追加の構成要素及び覆われたインペラは、このタイプの血液ポンプにかなりの重さと大きさを加え得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の態様による磁気浮上ポンプ装置は、環状磁気ロータと、前記磁気ロータに結合されたインペラと、を含む。インペラは、環状磁気ロータに結合された第1の表面と、環状磁気ロータから見て外方に向く第2の表面と、環状磁気ロータと同心円状に整列させられた中央円形開口と、を含む平坦な周辺リングを含む。多数のブレードが、周辺リングから環状磁気ロータの回転軸に向かって内側に延びる。ブレードのそれぞれは、環状磁気ロータに対向し且つ回転軸に垂直な第1の平面内に位置するブレード根元面と、環状磁気ロータから見て外方に向き且つ回転軸に垂直な第2の平面内に位置するブレード先端面と、を含む。第1の平面内のブレード根元面及び第2の平面のブレード先端面は、複数のブレードの純粋に径方向であって、インデューサ(inducer(入口導翼))のない特徴を画定する。
【0006】
本開示の別の態様による磁気浮上ポンプ装置は、中心柱と、中心柱と同心円状の環状空洞と、を有するハウジング部分を含む。環状磁気ロータは、環状空洞内に位置する。環状空洞内の二次流路は、U字型の横断面を含み、及び環状磁気ロータの周りに延びる。二次流路は、環状磁気ロータと環状空洞の外表面との間の第1の間隙と、環状磁気ロータと環状空洞の底表面との間の第2の間隙と、環状磁気ロータと環状空洞の内表面との間の第3の間隙と、によって画定される。本開示の態様によると、第1の間隙、第2の間隙、及び第3の間隙は、実質的に等しい。
【0007】
本開示の別の態様は、血液ポンプ内での細胞損傷を低減させるための方法を含む。方法は、血液を、磁気浮上血液ポンプの軸方向の入口カニューレから周辺渦巻構造まで一次流路を通して導くステップを含む。方法は、血液の一部を、磁気浮上血液ポンプ内で環状磁気ロータを取り囲む一定間隙のU字型の二次流経路を通して導くステップを更に含む。
【0008】
保護が求められる発明の対象の理解を容易にする目的のために、添付図面にその実施例が例示されており、その注意深い検査から、以下の説明と結び付けて考察すると、保護が求められる発明の対象、その構造及び操作、並びにその利点の多くは、容易に理解され及び評価されよう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の態様による磁気浮上ポンプ装置の図である。
図2】本開示の態様による磁気浮上ポンプ装置のインペラの図である。
図3】本開示の態様による磁気浮上ポンプ装置のハウジング部分及びインペラの図である。
図4】本開示の態様による磁気浮上ポンプ装置の渦巻構造及びディフューザ部分の図である。
図5】本開示の態様による磁気浮上ポンプ装置における一次流路及び二次流路の図である。
図6】本開示の態様による血液ポンプ内での細胞損傷を低減させるための方法を例示するプロセス・フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書中で論じられる材料、大きさ及び許容範囲と同様に注記に含まれる注釈は、単に提案であり、当業者は本開示の範囲内で提案を修正することができることを理解されたい。
【0011】
本開示の態様は多くの異なる実施例を含むが、本出願は開示の原理の例示としてみなされるべきものであって開示の広範な態様を例示される実施例に限定することを意図するものではないとの理解の下で、本発明の好適な実施例は図面に示され、及び本明細書中に詳細に説明される。
【0012】
本開示の態様は、インペラ及びロータ構造、及びより小さく軽く安全な血液ポンプの構造を容易にする二次流路配置を含む。開示されるポンプ装置は、マグレブ・ポンプの重さ及び大きさを伝統的なマグレブ・ポンプと比べて低減させ、及びその副次的影響、即ち溶血及び血栓形成を軽減する。本開示の態様による、インデューサのない、上方に掛かるインペラは、環状モータ・ロータに一体化される。環状ロータは、磁気軸受全体によって浮上させられて、インペラの下に均一なU字型の二次流路を画定する。
【0013】
図1を参照して、本開示の態様によると、ポンプ装置100は、中心柱102、及び中心柱102から延びるノーズ・コーン104を含む。中心柱102は、実質的に円筒形であり、及び中心柱102の直径はその高さよりも実質的に大きいような低アスペクト比を有する。低アスペクト比の柱は、軸方向入口126内の一次入口流が、中心柱102の周辺で、対向する二次路流内に直接的に流れるのを防止するように構成される。ノーズ・コーン104は、ハウジング118の内部湾曲と調和する湾曲した中心部分と、ノーズ・コーンとインペラ116との間に一定の隙間を提供する外部平坦部分と、を含む2部分輪郭を有する。
【0014】
環状ロータ106は、中心柱102の周りの円形経路内に位置する。本開示の態様によると、環状ロータ厚さの厚さは、狭いU字型経路108が環状ロータ106の周りに形成されるように、その高さの約半分である。U字型経路108の狭い形状は、U字型経路108の側部間隙112、114と比較して、底部間隙110の長さを低減させ、これは、底部間隙110内での流れ停滞の機会を低減させる。ハウジング118の底部122と、環状ロータ106と、中心柱102との間に間隔を空けて、全て約0.254mm(約0.010インチ)から約0.508mm(約0.020インチ)の間である大間隙110、112、114を有するU字型の二次流路108を画定する。別の実例において、本開示の態様によると、大間隙110、112、114は、約0.127mm(約0.005インチ)から約0.762mm(約0.030インチ)の間であってもよい。側部間隙112、114と底部間隙110との間の二次流路108の移行部分は、比較的大半径の湾曲を含む。大間隙110、112、114は、長方形のU字型経路108の3つの側辺として示されているが、本開示の態様は、U字型経路108の変形例を含み、その中で、経路の底部は湾曲していてもよく、及び環状ロータ106の底部は同様に湾曲していてもよい。そのような湾曲した構成(不図示)は、例えば、ディスク低減ポンプ効果のような付加的な利益を提供してもよい。
【0015】
ポンプ装置100のハウジング118は、上部120と、底部122と、を含む。上部120は、軸方向入口126を画定する入口カニューレ124と、インペラを囲む平坦な円形カバーと、調和する半渦巻構造と、を含む。底部は、部分的渦巻構造と、平坦な円形底部と、円筒形中心柱と、ノーズ・コーン104と、を画定する円筒形ハウジング構造を含む。
【0016】
図2を参照して、本開示の態様によると、インペラ116は、ロータ106の端部に取り付けられる薄いハブ・リング202を含む。インペラは、ハブ・リング202から延びる多数の、インデューサのない即ち純粋に径方向の、ブレード204を含む。ブレード204は、半開であり、及びハブ・リング202によって画定される円形開口の上に掛かる。本開示の態様によると、各ブレード204の上縁として示されるブレード先端206は、覆いがない。各ブレード204の底縁として示されるブレード根元208は、各ブレード204の前縁(内側)部分210は開放され及び後縁212(外側)部分はハブ・リング202によって覆われているように、半開である。
【0017】
図3及び図4を参照して、渦巻構造302は、コーン・ディフューザ304(図3)を含み、及びコーン・ディフューザ304の近位端404における横断面は、長方形横断面部分406と、半円形横断面部分408と、を含む。
【0018】
インデューサのないブレード204は、純粋に径方向であって、ブレード先端206及び根元208は、ポンプ回転軸に垂直な2つの平行な平面内にあることを意味する。本開示によると、各ブレード204のブレード前縁210は、ブレード204の前縁部分210で軸方向の流れ又は混合した流れ成分が生じないように、入口カニューレ124の内径よりも大きい直径に位置する。インデューサのないブレード204は、重さを省き、及び血流を低速に変えることを遅らせることによって発生が誘発される細胞損傷を潜在的に低減することができる。
【0019】
本開示の態様によると、ブレード先端206は、開放されており、及び覆いがない。覆いがない構成は、インペラ116の軸方向の大きさ及び重さを低減させ、及び回転する覆いと固定のハウジングとの間の潜在的な流れ停滞を排除する。代替的な構成において、ブレード先端206は、例えば、埋め込まれた磁石を有さずに、覆いによって覆われていてもよい。ブレード根元208は、各ブレード204の前縁部分210は開放され、及び各ブレードの後縁部分212はブレード長さのおよそ半分からブレードの後縁までハブ・リング202によって覆われているように、半開である。
【0020】
本開示の態様によると、ハブ・リング202は、磁石が充填された環状ロータ106の端部に取り付けられる。ハブ・リング202及び環状ロータ106はインペラ116の外縁に位置するので、ポンプ・モータは、より慣用の遠心ポンプと比べて、所与の速度に関して、より大きいトルク及びより大きい力を発生させる。開示されるロータ及びインペラ構成の増大したトルク及び増大した力は、所与の力の仕様に関して、磁石の重さの低減及びロータの大きさの低減を可能にする。
【0021】
本開示の別の態様によると、環状ロータ106とハウジング118の一部とは、インペラ116の下にU字型の二次流路108を形成する。環状ロータ106は、比較的大間隙110、112、114が二次流路108全体に沿って形成されるように、磁気軸受によって完全に浮上させられる。大間隙110、112、114は、増大した二次的流れを用いて洗いを向上させて、血栓形成を低減し、及び、より小さいせん段応力を生み出して、溶血を低減させる。
【0022】
本開示の態様によるポンプ装置の実施例を構築するために、径方向ブレード204は、ブレード根元208の後縁部分で環状の薄いディスク上で機械加工されて、インデューサのない、上方に掛かるインペラ116を形成することができる。インペラ116は、磁石が充填された環状ロータ106の1つの端部にレーザー溶接されて、ロータ組み立て品を形成することができる。ロータ組み立て品は、その後、部分的渦巻構造、平坦な円形底部、円筒形中心柱102、及びノーズ・コーン104を含むハウジング118の底部122内に挿入され得る。ハウジング118の上部120は、入口カニューレ、平坦な円形カバーを含み、及び調和する半渦巻構造は、従って、インペラ116を囲い及びポンプ装置100を形成するようにされ得る。
【0023】
本開示の態様によると、ノーズ・コーン104の輪郭とハウジング118の上部120の内表面とは、滑らかな子午線状の流路を形成して、軸方向入口から径方向インペラ内へ流れを徐々に方向変換させる。ノーズ・コーン104の輪郭は、また、下流の平坦な区域を含み、これは、上方に掛かるブレード根元208とノーズ・コーン104との間の一定の軸方向隙間を形成する。ノーズ・コーン104と上方に掛かるブレード根元208との間の隙間は、他の間隙の大きさ(0.127mm(0.005”)~0.762mm(0.030”))と類似している。中心柱102は、環状ロータ106内部の永久磁石と併せて慣用の方法で能動的な磁気軸受として機能するように構成されたコイル及び他の電子機器を含有していてもよい。
【0024】
図4を参照して、本開示の態様によると、渦巻構造横断面402の形状は、非円形である。渦巻構造横断面402は、半円形部分408と組み合わされた長方形部分406を含んで、横断面の面積を犠牲にすることなく半径方向の大きさを最小化する。半円形部分408は、ハウジング118の上部120の部分又はハウジング118の底部122の部分として作製され得る。接線方向に延ばされたコーン形状のディフューザ304は、渦巻構造302の最大横断面の位置で渦巻構造302から延び、且つハウジングから約6度~8度の角度で分岐する。コーン形状のディフューザ304は、ポンプ出口としての役割を果たし、及び流出移植片に接続する。
【0025】
本開示の態様によると、ハウジング118の底部122は、中心柱102を含み、及び環状ロータ106とインペラ116の下にU字型の二次流路108を形成する。二次流路108は、外側半径方向間隙114と、底部軸方向間隙110と、内側軸方向間隙112と、を含む。流体力学的軸受は関与しないので、間隙110、112、114のそれぞれは、環状ロータ106が磁気軸受によって浮上されるときに、比較的大きく(0.127mm(0.005”)~0.762mm(0.030”))され得る。
【0026】
図5を参照して、一次流路500の軸方向部分502は、入口カニューレ124内に延び、及び、ノーズ・コーン104の周りで一次流路500の半径方向部分504内の半径方向の流れに滑らかに移行する。静圧はブレード204の通路空間に沿って上昇するので、二次流路108内の二次的流れは、外側半径方向間隙114内で下方に押され、底部間隙110に沿って内側に方向転換し、内側軸方向間隙112内で上方に流れ、次いで、ブレード204の通路空間に再び入る。
【0027】
本開示の態様による二次流路の大きい間隙、狭いアスペクト比、及び大きい角半径は、二次流路内の流れ停滞及びせん段応力を低減させ、及びその結果、血栓形成又は溶血の機会を低減させる。
【0028】
図6を参照して、本開示の態様による、血液ポンプ内での細胞損傷を低減させるための方法600は、ブロック602における、血液を軸方向入口カニューレから磁気浮上血液ポンプの周辺渦巻構造まで一次流路を通して導くステップと、ブロック604における、血液の一部を、磁気浮上血液ポンプ内で環状磁気ロータを取り囲む一定間隙のU字型の二次流経路を通して導くステップと、を含む。
【0029】
本開示の態様は、実質的に均等、一定、又は均一であってもよい周囲間隙に関して画定される二次流経路又は二次流路に関して説明されたが、本開示の態様はまた、例えば、不均等な間隙又は不均一な間隙によって画定される二次流路を含んでいてもよいことは理解されよう。
【0030】
本明細書で使用される際に、用語「結合される(coupled)」又は「伝達可能に結合される(communicably coupled)」は、二者間における、直接的又は間接的な、任意の物理的、電気的、磁気的、又は他の接続を意味し得る。用語「結合される」は、2つの実体の間の固定された直接的な結合に限定されない。前述の説明及び添付図面において説明された事項は、例示のみを目的とし及び限定としてではなく与えられる。具体的な実施例が示され及び説明されているが、当業者には、変更及び修正は、出願人の貢献の幅広い態様から逸脱することなくなされてもよいことは明らかであろう。求められる保護の実際の範囲は、先行技術に基づくそれらの正しい全体像を見たときに、以下の特許請求の範囲に定義されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6