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特許7248731ヒータ、シェーカ及び磁石が統合された試料処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-20
(45)【発行日】2023-03-29
(54)【発明の名称】ヒータ、シェーカ及び磁石が統合された試料処理装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/02 20060101AFI20230322BHJP
【FI】
G01N35/02 G
G01N35/02 D
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021062802
(22)【出願日】2021-04-01
(62)【分割の表示】P 2020504369の分割
【原出願日】2018-06-01
(65)【公開番号】P2021105615
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2021-04-07
(31)【優先権主張番号】15/668,039
(32)【優先日】2017-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】399117121
【氏名又は名称】アジレント・テクノロジーズ・インク
【氏名又は名称原語表記】AGILENT TECHNOLOGIES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】シオウ,チャイ・シオン
(72)【発明者】
【氏名】コー,トゥアン‐キム
(72)【発明者】
【氏名】クノール,デイヴィッド
【審査官】佐々木 崇
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0079586(US,A1)
【文献】特表2013-508685(JP,A)
【文献】特開2000-070755(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N35/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の列及び複数の行のアレイとして配列された複数の試料容器を備える試料支持器を準備することであって、前記複数の列は、少なくとも第1列と該第1列に隣接する第2列とを含み、前記第1列は、該第1列の1つ以上のそれぞれの試料容器に1つ以上の試料を含み、前記第2列は、該第2列の1つ以上のそれぞれの試料容器に1つ以上の試料を含むことと、
前記試料支持器が試料ステージの開口部を覆うように該試料ステージに前記試料支持器を取り付けることであって、前記開口部は、該開口部を通して前記試料容器を露出することを可能にする面積を有することと、
複数の磁石を移動させて、前記第1列の前記試料容器の底部と近接させることと、
前記磁石によって生成された磁場を前記第1列の前記試料容器に印加して、前記第1列の前記1つ以上の試料を前記磁場のうちの1つ以上に曝露することと、
前記試料支持器が前記試料ステージに取り付けられた状態を維持しつつ、前記複数の磁石を移動させて、前記第2列の前記試料容器の底部と近接させることと、
複数のヒータ素子を移動させて、前記第1列の前記試料容器の前記底部と近接させることと、
前記ヒータ素子から放出される熱エネルギーを前記第1列の前記試料容器に印加して、前記第1列の前記1つ以上の試料を前記熱エネルギーに曝露することと、
を含み、
前記複数の列は、第1の軸に沿って互いに隣接し、
前記ヒータ素子及び前記磁石は、ヒータ/磁石ステージに取り付けられ、
複数の磁石を移動させて前記第1列の前記試料容器の前記底部と近接させることと、前記複数の磁石を移動させて前記第2列の前記試料容器の前記底部と近接させることとは、前記ヒータ/磁石ステージを前記第1の軸に沿って第1列位置から第2列位置に移動させることによって実行される、試料を処理する方法。
【請求項2】
前記磁場を前記第2列の前記試料容器に印加することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ヒータ素子を移動させて、前記第2列の前記試料容器の前記底部と近接させることと、前記第2列の前記試料容器に熱エネルギーを印加することとを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の列は、1つ以上の追加の列を含み、前記方法は、前記磁場及び前記熱エネルギーが、前記第1列、前記第2列、及び前記追加の列のうちの少なくとも1つの追加の列の前記試料容器に連続的に印加されるまで、前記ヒータ素子及び前記磁石を前記追加の列のうちの1つ以上に順次移動させることと、前記磁場を印加するステップ及び前記熱エネルギーを印加するステップを1回以上繰り返すこととを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記試料のうちの少なくとも1つは、液体と、該液体に加えられた複数の磁性体ビーズとを含み、前記少なくとも1つの試料を含む前記試料容器に前記磁場を印加することは、前記磁性体ビーズを前記試料容器の底部に引動する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの試料は、前記磁性体ビーズが前記液体に加えられた後に前記磁性体ビーズに結合する複数の目標化合物を含み、前記少なくとも1つの試料を含む前記試料容器に前記磁場を印加することは、前記目標化合物を前記試料容器の前記底部に凝集させる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記試料のうちの少なくとも1つは液体を含み、前記少なくとも1つの試料を含む前記試料容器に前記熱エネルギーを印加することは、前記液体を蒸発させる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記試料ステージをシェークして前記試料を撹拌することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1列の前記試料容器に前記磁場を印加する前と、
前記第1列の前記試料容器に前記磁場を印加した後であって、前記第1列の前記試料容器に熱エネルギーを印加する前と、
前記2つのものの双方と、
からなる群から選択された期間中に前記試料ステージをシェークすることを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
各列に設けられた前記試料容器の数は、前記磁石の数と、前記ヒータ素子の数と、前記2つの数の双方とからなる群から選択された数に等しい、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記複数の磁石を移動させて前記第2列の前記試料容器の底部と近接させることと、前記複数のヒータ素子を移動させて前記第1列の前記試料容器の前記底部と近接させることとは、同時に実行される、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的には、加熱、シェーク、及び磁石ベースの分離によって液体内にある
生物試料又は化学試料等の試料を処理することに関する。特に、本発明は、加熱、オービ
タルシェーク、及び磁性体ビーズ分離を統合する装置に関する。
【0002】
[関連出願]
本出願は、2017年8月3日に出願された「SAMPLE PROCESSING APPARATUS WITH INT
EGRATED HEATER, SHAKER AND MAGNET」という発明の名称の米国特許出願第15/668
,039号の利益を主張する。この米国特許出願の内容は、その全体が、引用することに
よって本明細書の一部をなすものとする。
【背景技術】
【0003】
試料を処理及び分析する多くの方法は、試料から目標化合物の抽出等を行うために、試
料を加熱するステップ、試料をシェークするステップ、及び試料に磁場を印加するステッ
プを伴う。従来、加熱、シェーク、及び磁場印加の3つのステップは、例えば、シェーカ
、磁性体分離デバイス、及びヒータを利用する3つの独立した別々のステーションにおい
て行われる。
【0004】
1つの例は、血液試料からDNAのハイブリダイゼーション及び精製を実施する方法の
部類である。液体バッファ(liquid buffer:緩衝液)で運ばれるDNAからなる試料は
、試料容器内に提供される。磁性体ビーズが容器に加えられる。これらの磁性体ビーズは
、DNA分子がビーズに結合することを可能にするために必要に応じて官能化させること
ができる。次に、容器は、オービタルシェーカ等のシェーカに取り付けられる。シェーカ
は、磁性体ビーズと試料との均質な混合物を得るために試料を撹拌し、磁性体ビーズに結
合されるDNAの収率を高める。シェーク後、試料は、シェーカから取り除かれ、磁性体
分離デバイスに移送される。試料は管内に投与され、この管は、磁性体分離デバイスの管
ホルダに取り付けられる。磁性体分離デバイスは、管の側部の近くに位置決めされた永久
磁石を備える。これらの永久磁石は、磁性体ビーズを管の側部に引き寄せ、それによって
、磁性体ビーズを管内の1つの領域に凝集する。次に、バッファが管から取り除かれ、洗
浄ステップとしてエタノールと置き換えられる。次に、試料がシェーカに戻され、シェー
カは再度作動され、管内にエタノール及び磁性体ビーズが分散される。次に、試料は、磁
性体分離デバイスに戻され、磁性体ビーズが再度凝集される。上記シェーク及び磁性体ビ
ーズ分離のステップは、1回以上繰り返される場合がある。次に、試料は、磁性体分離デ
バイスから取り除かれ、ヒータブロックに移送される。ヒータブロックによる加熱によっ
て、エタノールを蒸発させ、磁性体ビーズを空気乾燥させることが可能になる。次に、適
した溶媒洗浄ステップによって、磁性体ビーズからDNAを溶離することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
加熱、シェーク、及び磁場印加の従来のプロセスは不利である。加熱、シェーク、及び
磁石ベースの分離に必要とされる3つのステーションが別々に存在すると、作業台に過度
の空間が消費される。3つの別々のステーションを使用すると、ステーション間で試料を
手動で操作及び移送する必要があり、これは、多くの時間を要し、試料の汚染の可能性を
生み出す。したがって、これらの問題に対処する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の必要性に完全に若しくは部分的に対処するために、及び/又は当業者には見て取
ることができる他の必要性に対処するために、本開示は、例として後述の実施態様に記載
されるような方法、プロセス、システム、装置、機器及び/又はデバイスを提供する。
【0007】
1つの実施形態によれば、試料処理装置は、開口部を有し、試料支持器が該開口部を覆
うように該試料支持器を支持するように構成された試料ステージと、第1の軸に沿って移
動するように構成された第1のステージと、前記第1の軸に直交する第2の軸に沿って、
前記開口部に対して交互に接近移動及び離遠移動するように構成されるとともに、前記第
1のステージに結合され、前記第1の軸に沿って前記第1のステージとともに移動可能で
ある、第2のステージと、前記第2のステージ上に配置され、前記第1の軸及び前記第2
の軸に直交する第3の軸に沿って直線状に位置決めされた複数のヒータ素子(heater ele
ments:加熱要素)と、前記第2のステージ上に配置され、前記第3の軸に沿って直線状
に位置決めされた複数の磁石とを備え、前記磁石は、各磁石が前記第1の軸に沿って前記
ヒータ素子のそれぞれから隔置されるように前記ヒータ素子に隣接して位置決めされ、前
記第1のステージは、前記ヒータ素子及び前記磁石を前記第1の軸に沿って複数の列位置
に順次移動させるように構成され、各列位置において、少なくとも前記ヒータ素子又は前
記磁石は、前記試料支持器が前記試料ステージに取り付けられているとき、前記試料支持
器の試料容器の列と位置合わせされ、該列は、前記第3の軸に沿って配列されており、前
記第2のステージは、各列位置において、前記試料支持器が前記試料ステージに取り付け
られているときに前記ヒータ素子及び前記磁石が前記試料支持器に近接する上側位置と、
前記ヒータ素子及び前記磁石が前記試料支持器から遠隔にある下側位置との間で前記ヒー
タ素子及び前記磁石を移動させるように構成されている。
【0008】
一実施形態では、前記試料処理装置は、前記第1のステージ及び前記第2のステージの
移動を制御するように構成されたコントローラを備える。
【0009】
別の実施形態によれば、試料を処理する方法は、複数の列及び複数の行のアレイとして
配列された複数の試料容器を備える試料支持器を準備することであって、前記複数の列は
、少なくとも第1列と該第1列に隣接する第2列とを含み、前記第1列は、該第1列の1
つ以上のそれぞれの試料容器に1つ以上の試料を含み、前記第2列は、該第2列の1つ以
上のそれぞれの試料容器に1つ以上の試料を含むことと、前記試料支持器が試料ステージ
の開口部を覆うように該試料ステージに前記試料支持器を取り付けることであって、前記
開口部は、該開口部を通して前記試料容器を露出することを可能にする面積を有すること
と、複数の磁石を移動させて、前記第1列の前記試料容器の底部と近接させることと、前
記磁石によって生成された磁場を前記第1列の前記試料容器に印加して、前記第1列の前
記1つ以上の試料を前記磁場のうちの1つ以上に曝露することと、前記試料支持器が前記
試料ステージに取り付けられた状態を維持しつつ、前記複数の磁石を移動させて、前記第
2列の前記試料容器の底部と近接させることと、複数のヒータ素子を移動させて、前記第
1列の前記試料容器の前記底部と近接させることと、前記ヒータ素子から放出される熱エ
ネルギーを前記第1列の前記試料容器に印加して、前記第1列の前記1つ以上の試料を前
記熱エネルギーに曝露することとを含む。
【0010】
一実施形態では、前記試料容器は、容器間ピッチによって互いに隔置され、前記ヒータ
素子は、前記容器間ピッチに等しいヒータ間ピッチによって互いに隔置され、前記磁石は
、前記容器間ピッチに等しい磁石間ピッチによって互いに隔置され、各磁石は、前記容器
間ピッチに等しい磁石ヒータ間ピッチによって前記ヒータ素子のそれぞれから隔置されて
いる。
【0011】
本発明の他のデバイス、装置、システム、方法、特徴、及び利点は、添付図面及び以下
の詳細な記載を検討することで、当業者には明らかである又は明らかになるであろう。全
てのそのような更なるシステム、方法、特徴、及び利点は、本明細書内に含まれ、本発明
の範囲内にあり、添付の特許請求の範囲によって保護されることが意図される。
【0012】
本発明は、添付図面を参照することによってよりよく理解することができる。図中の構
成要素は、必ずしも縮尺どおりでなく、本発明の原理を例示するにあたり、代わって強調
されている。図において、同様の参照符号は、異なる図にわたって対応する部分を示して
いる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施形態による試料処理装置の一例の斜視図である。
図2図1に示す斜視図の反対側からの試料処理装置の別の斜視図である。
図3】一実施形態による、図1に示す試料処理装置とともに利用することができる試料支持器の一例の斜視図である。
図4図1に示す試料処理装置の上面図である。
図5】主としてシェーカ及びフレームを示すために様々な構成要素が除去された、図1に示す試料処理装置の側面図である。
図6】一実施形態による偏心駆動結合部の一例の平面図である。
図7】一実施形態による偏心ガイド結合部の一例の平面図である。
図8】一実施形態による上側第1列位置におけるヒータ及び磁石アセンブリを示す、図1に示す試料処理装置の上側部分の側面図である。
図9】一実施形態による下側第1列位置におけるヒータ及び磁石アセンブリを示す、図1に示す試料処理装置の上側部分の側面図である。
図10】一実施形態による下側第2列位置におけるヒータ及び磁石アセンブリを示す、図1に示す試料処理装置の上側部分の側面図である。
図11】一実施形態による上側第2列位置におけるヒータ及び磁石アセンブリを示す、図1に示す試料処理装置の上側部分の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書において用いられるような用語「流体」は、導管を通る流動性のある任意の物
質を指す一般的な意味で用いられる。したがって、用語「流体」は、別段の指定がない限
り又は文脈上別段の指示がない限り、一般に液体又は気体のいずれかを指すことができる
【0015】
本明細書において用いられるような用語「液体」は、一般に流動性物質を指す。液体は
、例えば、(生)化学化合物、ビーズ、又は他の粒子等の材料も含む混合物の一部とする
ことができる。そのような場合には、液体を、その材料を含むもの又は含有するものとし
て特徴付けることもできるし、材料を、液体内にあるものとして特徴付けることもできる
し、液体内に又は液体によって保持されるものとして特徴付けることもできる。材料は、
任意のメカニズムによって液体内に「保持」することができる。例として、液体及び材料
の混合物は、溶液、懸濁液、コロイド、又はエマルジョンの場合がある。固体粒子及び/
又は気泡が液体内に存在する場合がある。
【0016】
本明細書において用いられるような用語「(生)化学化合物」は、化学化合物及び生物
化合物を包含する。化学化合物は、例えば、小分子の場合もあるし、高分子量分子(例え
ば、ポリマ)の場合もある。生物化合物は、例えば、バイオポリマの場合がある。
【0017】
用語「核酸」及び「ポリヌクレオチド」は、本明細書においては、任意の長さのポリマ
、例えば、デオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドといったヌクレオチドからな
る塩基が、例えば、約2塩基よりも長いもの、約10塩基よりも長いもの、約100塩基
よりも長いもの、約500塩基よりも長いもの、1000塩基よりも長いもの、又は約1
0000以上の塩基までのものを示すものとして区別なく用いられ、酵素処理又は合成(
例えば、米国特許第5,948,902号及びこの特許において引用されている文献に記
載されているようなPNA)によって生成することができ、また、2つの天然に存在する
核酸の方法と類似の配列固有の方法で天然に存在する核酸とハイブリダイズすることがで
き、例えば、ワトソン-クリック(Watson-Crick)塩基ペアリング相互作用に関与するこ
とができる。用語「核酸」及び「ポリヌクレオチド」は、デオキシリボ核酸(DNA)及
びリボ核酸(RNA)に加えて、ペプチド核酸(PNA)、ロックド核酸(LNA)、及
び非構造化核酸(UNA)も包含することができる。
【0018】
図1は、一実施形態による試料処理装置100の一例の斜視図である。図2は、図1
示す斜視図の反対側からの試料処理装置100の別の斜視図である。説明の便宜上、図1
及び図2(及び他の図面)は、デカルト座標(X,Y,Z)基準系を含み、その原点は、
図示した装置100に対して任意に配置されている。通常、X軸及びY軸は水平面に存在
し、Z軸が垂直方向に向くようになっている。これらの軸は、別称として方向と呼ばれる
。説明の便宜上、X軸、Z軸、及びY軸は、別称として、それぞれ第1の軸又は第1の方
向、第2の軸又は第2の方向、及び第3の軸又は第3の方向と呼ばれる。
【0019】
装置100は、以下で更に説明するように、試料の加熱、シェーク(撹拌)、及び磁性
体ビーズ分離(磁性体ビーズを用いた分析物の分離)を行うように構成されている。これ
らの機能を実施するために、装置100は、一般に、ヒータ104、磁石アセンブリ10
8、及びシェーカ112を備える。装置100は、一般に、ヒータ104、磁石アセンブ
リ108、シェーカ112、及び装置100の他の様々な構成要素を支持するフレーム1
16も備える。フレーム116は、下側プレート又は基部120、上側プレート124、
及び基部120と上側プレート124との間に(通常は垂直に)延在する1つ以上の側壁
(又はビーム)128等の1つ以上の構造物を備えることができる。
【0020】
装置100は、加熱、シェーク、及び磁性体ビーズ分離の動作を統合するスタンドアロ
ーン装置とすることができる。装置100は、ハウジング(図示せず)内に密閉すること
ができる。ハウジング(設けられる場合)は、装置100によって処理されている試料を
含む装置100を周囲環境から隔離するように構成することができる。ハウジングは、実
質的に埃のない環境を提供するように構成することができる。ハウジングは、例えば、温
度、圧力、湿度等に関する環境制御を提供するように構成することができる。装置100
は、関連システムの一部(例えば、関連システムの内部にあるもの、関連システムに接続
されたもの、又は関連システムに近接したもの)とすることができる。このため、基部1
20は、ベンチ若しくはテーブル等の適した表面上、又は、それ自体がベンチ若しくはテ
ーブル等の適した表面上に配置されたハウジング若しくは関連システムの表面上に配置す
ることができる。関連システム(設けられる場合)は、試料の準備、処理、及び/又は分
析に関する機能を実行するように構成された任意の装置又はシステムとすることができる
。例として、関連システムは、実験器具のハンドリング(例えば、ロボットによる把持及
び移送)、液体のハンドリング(例えば、ピペッタ並びに関連したポンプ、弁、及び管類
等を用いた試料、溶液、溶媒、試薬、染料等の標識等の吸引、移送、及び投与)、試料の
準備(例えば、試薬、バッファ、希釈液等の液体の追加)、試料の検出又は測定(例えば
、蛍光発光、ルミネセンス、吸光、顕微鏡検査等に基づく光学ベースの検出/測定又は撮
像)、バーコード又は試料若しくは試料容器を一意に識別する他のインディシアの光学読
み取り等を行うように構成することができる。
【0021】
装置100は、1つ以上の試料を処理するように構成することができるとともに、複数
の試料を同時に処理するように構成することができる。試料(及び/又は試料が存在する
液体)のうちの1つ以上は互いに異なるものとすることもできるし、全ての試料が同じも
のとすることもできる。1つ以上の試料は、1つ以上のそれぞれの試料容器において支持
することができる。シェーカ112は、当該シェーカ112によって生成されるシェーク
動作を容器(複数の場合もある)に効果的に伝達するとともに、シェーク中にシェーカ1
12に対する容器(複数の場合もある)の固定が維持される方法で、1つ以上の試料容器
を受容するように構成されている。したがって、シェーカ112は、取り付けられた容器
(複数の場合もある)がシェーク動作に従って動作するように構成されている。幾つかの
実施形態では、シェーカ112は、取り付けられた容器(複数の場合もある)がシェーカ
112のシェーク(動作)構成要素とともに動作するが、シェーク構成要素に対しては動
作しないように更に構成されている。
【0022】
図3は、一実施形態による、装置100とともに利用することができる試料支持器30
0の一例の斜視図である。この実施形態では、試料支持器300は、個々の試料をそれぞ
れ受容することができる複数の個々の試料容器336(チャンバ、ウェル等)を画定又は
支持するように構成された支持構造物332を備える。図示した実施形態では、試料支持
器300は、2次元アレイのウェル(試料容器336)を備えるマルチウェルマイクロタ
イタプレート、又はマイクロプレートである。通常の実施形態では、2次元アレイは、ウ
ェルの2:3方形マトリックスである。本実施形態では、試料支持器300は、8行12
列のウェルを備え、全部で96個のウェルを備える。図示した例では、各列における試料
容器336は、Y軸(第3の軸又は第3の方向)に沿って直線状に位置決めされるととも
に互いに隔置され、これらの列は、X軸(第1の軸又は第1の方向)に沿って互いに隣接
し、各行における試料容器336は、X軸に沿って直線状に位置決めされるとともに互い
に隔置され、これらの行は、Y軸に沿って互いに隣接している。ウェルのアレイの構成は
、本開示の出願時において最新の米国規格協会/ラボラトリオートメーションスクリーニ
ング協会(ANSI/SLAS)のマルチウェルプレート規格等の標準フォーマットに従
ったものとすることができる。ウェル(又は他のタイプの試料容器336)のピッチ、例
えば、2つの隣接するウェルの中心間の距離は、本明細書ではウェル間ピッチPと呼ばれ
るが、アレイ全体にわたって均一とすることができる。例えば、ウェル間ピッチPは、AN
SI/SLAS 4-2004 (R2012):Microplates - Well Positionsによって指定されているように
することができる。したがって、1つの非限定的な例では、ウェル間ピッチPは、96ウ
ェルフォーマットの場合には9.0mmであり、ANSI/SLAS 4-2004によって指定された
位置公差を考慮すると約9.0mmである。
【0023】
他の実施形態では、列の数は、12列よりも多くすることもできるし、少なくすること
もでき、行の数は、8行よりも多くすることもできるし、少なくすることもできる。XY
平面におけるウェル(又は他のタイプの試料容器336)の断面は、円形(図示のとおり
)又は多角形とすることができる。ウェルの深さ(Z軸)に沿ったウェルの側方断面は、
まっすぐなもの又は先細なものとすることができ、断面が感知できるほどに削減される(
段階的に減少される)1つ以上の遷移部を有することができる。試料支持器300の全て
又は一部(例えば、試料容器336の底部)は、光学読み取りを可能にするために光学的
に透明なものとすることができる。他の実施形態では、試料容器336は、支持構造物3
32から取り外し可能とすることができる。例えば、支持構造物332は、ラック等とす
ることができ、試料容器336は、このラックによって支持されるバイアル等とすること
ができる。
【0024】
図1図2、及び図4図7は、シェーカ112の構成要素を示している。図4は、装
置100の上面図である。図5は、主としてシェーカ112及びフレーム116を示すた
めに様々な構成要素が除去された装置100の側面図である。シェーカ112は、試料支
持器(例えば、図3に示す試料支持器300)が取り付けられる試料(又はシェーカ)ス
テージ(又はプラットフォーム)140を備える。試料ステージ140は、シェーク動作
を行うように可動式である。試料ステージ140は、任意の適した構成の取り付け特徴部
144を備えることができる。この取り付け特徴部は、試料支持器300の相補取り付け
特徴部(図示せず)又は試料支持器300と係合する相補取り付け特徴部(図示せず)に
結合し、それによって、試料支持器300を試料ステージ140に固定して取り付けるこ
とを可能にする。図5に最もよく示されているように、シェーカ112は、モータ548
(例えば、ブラシレスDCモータ等のDCモータ)を更に備え、このモータ548は、当
該モータ548によって回転される出力シャフト552を有する。モータ548は、回転
出力シャフト552と、この出力シャフト552と試料ステージ140との間に結合され
た、適した伝動リンク機構とを介して、試料ステージ140の動きを駆動する(それによ
って、試料支持器300と、試料支持器300によって受容された試料(複数の場合もあ
る)とをシェークする)。
【0025】
本実施形態では、シェーカ112は、オービタルシェーカとして構成される。すなわち
、シェーカ112は、オービタル運動を試料ステージ140に与え、その結果、試料ステ
ージ140に取り付けられた試料支持器300に与えるように構成されている。この実施
形態では、シェーカ112は、試料ステージ140に取り付けられた偏心駆動結合部15
6及び1つ以上の偏心ガイド結合部160を備える。図示した実施形態は、4つの偏心ガ
イド結合部160を備えるが、設けられる結合部は、5つ以上とすることもできるし、3
つ以下とすることもできる。偏心駆動結合部156及び偏心ガイド結合部160の位置は
、試料支持器300に与えられるシェーク力を分散させるために、試料ステージ140の
占有面積全体にわたって分散させることができる。シャフトカプラ564は、モータ54
8と偏心駆動結合部156とを(出力シャフト552を介して)相互結合する。したがっ
て、モータ548は、偏心駆動結合部156のオービタル運動を能動的に駆動し、これに
応じて、偏心ガイド結合部160は、能動的に駆動されたオービタル運動に受動的に追従
する。
【0026】
図6は、偏心駆動結合部156の平面図である。偏心駆動結合部156は、駆動シャフ
ト668と同心のベアリング676を通じて駆動偏心672に取り付けられた駆動シャフ
ト668を備える。駆動シャフト668は、その中心軸と同軸に回転する。一方、駆動シ
ャフト668の回転に応答して、偏心成形された駆動偏心器672は、駆動シャフト66
8の中心軸の回りを旋回し、それによって、当業者によって理解されるように、オービタ
ルシェーク運動を試料ステージ140に与える。駆動シャフト668の中心軸に対する軌
道の径方向の範囲は、オフセット680によって規定され、このオフセットは、例えば、
1ミリメートル又は数ミリメートルとすることができる。
【0027】
図7は、偏心ガイド結合部160のうちの1つの平面図である。偏心ガイド結合部16
0は、偏心駆動結合部156と同様に構造化され、動作する。したがって、偏心ガイド結
合部160は、ガイドシャフト768と同心のベアリング776を通じてガイド偏心器7
72に取り付けられたガイドシャフト768を備える。ガイドシャフト768は、その中
心軸と同軸に回転する一方、ガイド偏心器772は、偏心駆動結合部156のオフセット
680と同じ値を有するオフセット780を有してガイドシャフト768の中心軸の回り
を旋回する。ガイドシャフト768は、能動的に駆動されず、逆に、モータ548によっ
て直接駆動される駆動シャフト668の回転と、その結果としてもたらされる試料ステー
ジ140及びガイド偏心器772のオービタル運動とに応答して回転する。
【0028】
図4を参照すると、ヒータ104は、1つ以上のヒータ素子184を備えることができ
る。これらのヒータ素子は、試料ステージ140の下方に位置決めされ、したがって、試
料支持器300(図3)が試料ステージ140に取り付けられているときは試料支持器3
00の下方に位置決めされている。マルチ容器試料支持器300を利用する本実施形態で
は、ヒータ104は、線形アレイのヒータ素子184を備える。試料支持器300の列と
同様に、ヒータ素子184も、Y軸(第3の軸又は第3の方向)に沿って直線状に位置決
めされるとともに互いに隔置されている。ヒータ素子184の数は、試料支持器300の
各列に設けられた試料容器336の数(本実施形態では8個)と同じである。ヒータ素子
184は、試料容器336のウェル間ピッチP(図3)と同じピッチであるヒータ間ピッ
チを有する。したがって、ヒータ素子184が、試料容器336の任意の所与の列の下方
に位置決めされると、各ヒータ素子184を試料容器336のうちの対応する1つに関連
付けることができる。その上、ヒータ素子184の中心を、XY平面において試料容器3
36のそれぞれの中心と位置合わせすることができる。ヒータ素子184は、円柱形とす
ることもできるし、円柱形部分を有することもできる。一実施形態では、ヒータ104は
抵抗加熱デバイスであり、この場合、ヒータ素子184は、金属組成(金属又は金属合金
)等の良好な熱伝導率を有する材料から構成することができ、電気抵抗材料のストリップ
と熱的(通常は物理的)に接触したものとすることができる。この場合、電気抵抗材料に
電流を通電することによってヒータ素子184を加熱することができ、それによって、電
気抵抗材料から放出された熱エネルギーは、熱伝導によってヒータ素子184に伝達され
る。その結果、熱エネルギーがヒータ素子184から放出され、対流によって試料容器3
36に伝達される。
【0029】
また、本実施形態では、ヒータ素子184は、列単位で指定することができるように移
動可能である。すなわち、ヒータ素子184は、試料支持器300の試料容器336の各
列と順次位置合わせすることができるように移動可能である。これを行うために、ヒータ
素子184は、XY平面において少なくとも1つの水平方向(第1の方向)において(本
実施形態では、X軸に沿って)移動可能(並進可能)である。特に、この第1の方向は、
列が互いに隣接する方向であり、それによって、ヒータ素子184は、各列に連続して対
処することが可能になる。また、ヒータ素子184を試料容器336に対して接離移動(
上昇及び下降)させ、それによって、熱エネルギーを試料容器336に選択的に印加する
ことを可能にするために、ヒータ素子184を垂直方向(第2の方向)に(Z軸に沿って
)移動可能(並進可能)とすることもできる。
【0030】
図2に最もよく示されているように、装置100は、ステージングアセンブリ134を
備える。ステージングアセンブリ134は、ヒータ素子184の移動を行う第1のステー
ジ188及び第2のステージ192を備える。第1のステージ188は、第1の軸(X軸
)に沿って移動するように構成され、第2のステージ192は、第2の軸(Z軸)に沿っ
て移動するように構成されている。第1のステージ188は、図示する歯付きベルトプー
リ装置等の適した伝動リンク機構206を介して第1のステージ188に結合された第1
のステージモータ196(例えば、双方向ステッパモータ)によって駆動される。第1の
ステージ188の移動は、1つ以上の第1の直線ガイド110によってガイドすることが
できる。第2のステージ192は、ラックピニオン装置、スクリュードライブ等の適した
伝動リンク機構218を介して第2のステージ192に結合された第2のステージモータ
214(例えば、双方向ステッパモータ)によって駆動される。第2のステージ192の
移動は、1つ以上の第2の直線ガイド122によってガイドすることができる。本実施形
態では、第2の直線ガイド122は、第1のステージ188に取り付けられ、第2のステ
ージ192は、第1のステージ188と試料ステージ140との間に位置決めされている
。加えて、ヒータ素子184は、第2のステージ192に取り付けられている。この構成
によって、第2のステージ192(したがって、ヒータ素子184)は、第1のステージ
188を基準にして相対的に試料ステージ140(したがって、試料ステージ140上に
取り付けられた試料支持器300)に対して接離移動する。その上、第1のステージ18
8は、第2のステージ192(したがって、ヒータ素子184)を第1の方向(X方向)
に移動させ、試料支持器300の列に順次対処する。
【0031】
図4を参照すると、磁石アセンブリ108は、1つ以上の磁石126を備えることがで
きる。これらの磁石は、試料ステージ140の下方に位置決めされ、したがって、試料支
持器300(図3)が試料ステージ140に取り付けられているときは試料支持器300
の下方に位置決めされている。マルチ容器試料支持器300を利用する本実施形態では、
磁石アセンブリ108は、線形アレイの磁石126を備える。試料支持器300及びヒー
タ素子184の列と同様に、磁石126は、Y軸(第3の軸又は第3の方向)に沿って直
線状に位置決めされるとともに互いに隔置されている。磁石126の数は、試料支持器3
00の各列に設けられた試料容器336の数(本実施形態では8個)と同じである。磁石
126は、試料容器336のウェル間ピッチP(図3)と同じピッチである磁石間ピッチ
を有する。したがって、磁石126が、試料容器336の任意の所与の列の下方に位置決
めされると、各磁石126を試料容器336のうちの対応する1つに関連付けることがで
きる。その上、磁石126の中心を、XY平面において試料容器336のそれぞれの中心
と位置合わせすることができる。磁石126は、円柱形(又はリング形状)とすることが
できる。磁石126は、永久磁石(例えば、ネオジム)とすることもできるし、電磁石と
することもできる。
【0032】
本実施形態におけるヒータ素子184と同様に、磁石126は、試料支持器300の試
料容器336の各列と順次位置合わせすることができ、それによって、各列に連続して対
処することができるように、少なくとも第1の方向(X方向)に移動可能である。また、
磁石126を試料容器336に対して接離移動させ、それによって、それぞれの磁石12
6によって生成された局在化した磁場を試料容器336に選択的に印加することを可能に
するために、磁石126を第2の方向(Z方向)にも移動可能とすることができる。磁石
126は、このように、Xステージ及びZステージによって移動させることができる。本
実施形態では、磁石126は、ヒータ素子184と同じステージングアセンブリ134に
取り付けられ、したがって、ステージングアセンブリ134は、ヒータ/磁石ステージン
グアセンブリ134とも呼ばれる場合がある。磁石126は、第2のステージ192に取
り付けられ、したがって、ヒータ素子184及び磁石126の双方を移動させるのに、同
じ第1のステージ188及び第2のステージ192が利用される。この構成によって、必
要とされるモータ付きステージの数が削減され、線形アレイの磁石126を線形アレイの
ヒータ素子184に隣接して位置決めすることが可能になる。ヒータ素子184及び磁石
126は、各ヒータ素子184と、第1の方向(X方向)に沿ってそのヒータ素子184
に隣接した対応する磁石126との間のピッチである磁石ヒータ間ピッチを有する。図4
から明らかなように、磁石ヒータ間ピッチは、試料容器336のウェル間ピッチP(図3
)と同じとすることができる。したがって、磁石126を1つの列のそれぞれの試料容器
336と位置合わせして、それらの試料容器に磁場を印加することができるとともに、ヒ
ータ素子184を隣接する列のそれぞれの試料容器336と位置合わせして、それらの試
料容器に熱エネルギーを印加することができる。
【0033】
図4に最もよく示されているように、試料ステージ140は、一般に、対向する2つの
端部領域438と、これらの端部領域に隣接した対向する2つの側部領域442と、端部
領域438の内側エッジ及び側部領域442の内側エッジによって画定された、試料ステ
ージ140の厚さを貫通する開口部130とを有する。開口部130は、試料支持器30
0が試料ステージ140上に取り付けられたときに、その試料容器336のアレイ全体の
面積にわたる十分な大きさを有する。したがって、開口部130は、試料支持器300の
底部側において全ての試料容器336を露出し、ヒータ素子184及び磁石126が全て
の試料容器336にアクセスすることを可能にする。すなわち、ヒータ素子184及び磁
石126を第2の方向(Z方向)に沿って移動させて試料容器336の底部に近接させ、
熱エネルギー及び磁場を印加することを可能にする。その上、偏心駆動結合部156は、
端部領域438のうちの1つに位置決めされ、偏心ガイド結合部160は、側部領域44
2に位置決めされ、これによって、ヒータ素子184及び磁石126による試料容器33
6の底部へのアクセスが容易になる。
【0034】
一実施形態では、装置100は、第2のステージ192のホーム位置、したがって、ヒ
ータ素子184及び磁石126のホーム位置を決定するように構成されたホーム位置決め
デバイス(図示せず)を更に備えることができる。このホーム位置は、ヒータ素子184
又は磁石126が試料容器336の所与の列と位置合わせされる(又はZ軸に対して同軸
となる)ように決定された位置とすることができる。位置合わせ不良が見つかった場合、
第1のステージ188を調整して、位置合わせ不良を訂正することができる。これを行う
ために、ホーム位置決めデバイスは、当業者によって理解されるように、ステージングア
センブリ134の動作を制御する装置100のシステムコントローラと通信する(システ
ムコントローラにフィードバック信号を提供する)ことができる。非限定的な例として、
ホーム位置決めデバイスは、当業者によって理解されるように、フォトインタラプタ、光
学エンコーダ、リレースイッチ、又は他の適切なセンサとすることができる。
【0035】
図8図11は、ヒータ104及び磁石アセンブリ108の動作(特に移動)を示して
いる。具体的には、図8図11は、ステージングアセンブリ134によって実施される
ヒータ104及び磁石アセンブリ108の移動シーケンスを示す、装置100の上側部分
の側面図である。図8図10は、試料ステージ140上に取り付けられた試料支持器3
00を更に示している。試料支持器300は、試料容器336が見えるように断面で示さ
れている。試料容器336の最初の3つの列には、それぞれC1、C2、及びC3のラベ
ルが付けられ、最後の列にはC12のラベルが付けられている。この例では、第1列C1
は、図8図11の観点から最も左の列となるように任意に選択されたものである。した
がって、第1の方向(X方向)(又は列間方向)におけるヒータ104及び磁石アセンブ
リ108の移動の進行は、図8図11の観点からは左から右となる。
【0036】
図8は、列に対する初期位置又は第1列位置におけるヒータ104及び磁石アセンブリ
108を示している。磁石アセンブリ108は、列間(column-to-column)方向とも呼ば
れる場合がある第1の方向(X方向)においてヒータ104に先行している。したがって
、第1列位置では、磁石126は、(第2の方向(Z方向)において垂直に)第1列C1
と位置合わせされる一方、ヒータ素子184は、試料容器336のアレイの占有面積の外
部(試料支持器300の左端部の下)に位置し、したがって、列のいずれとも位置合わせ
されていない。第1列位置では、ヒータ素子184が熱エネルギーを能動的に放出しない
ように、ヒータ104はOFF(又は非アクティブ)とすることができる。第1列位置及
び全ての後続の列の位置において、ヒータ104及び磁石アセンブリ108は、第2の方
向(Z方向)に関して上方(又は上昇)位置と下方(又は下降)位置との間で移動可能と
することができる。
【0037】
図8は、磁石126が第1列C1の試料容器336に近接している上側第1列位置を示
している。この上側第1列位置では、第1列C1の試料容器336に含まれる試料は、磁
石126によって生成されたそれぞれの磁場又は少なくとも磁場の強い領域に浸漬される
。言い換えれば、上側第1列位置では、磁石126は、試料容器336に印加される磁場
が、それらの使用目的(例えば、試料容器336の底部に磁性体ビーズを引っ張る等)に
効果的である、試料容器336の底部から近距離に隔置される。比較として、図9は、ヒ
ータ素子184及び磁石126が試料容器336からより遠隔に隔置された下側第1列位
置を示している。下側第1列位置では、試料容器336は、もはや磁場に浸漬されないか
、又は、少なくとも磁場の強い領域には浸漬されない。言い換えれば、下側第1列位置で
は、磁石126は、試料容器336に印加される磁場がそれらの使用目的に効果的でない
、試料容器336の底部から遠隔の距離に隔置される。下側列位置のいずれにおいても、
ヒータ104は、OFFとすることもできるし、少なくとも、試料容器336内に堆積す
る熱エネルギー量が僅かとなるように試料容器336から十分離れた距離とすることもで
きる。同様に、上側列の位置のいずれにおいても、ヒータ104は、ヒータ素子184の
上方の試料容器336の列を加熱するのに利用されていない場合にはOFFとすることが
できる。
【0038】
ヒータ104及び磁石アセンブリ108は、実施されている試料処理のタイプに応じて
、任意の所望の期間の間、図8に示す上側第1列位置に保持することができる。次に、ヒ
ータ104及び磁石アセンブリ108を以下の方法で第2列位置に指定することができる
。まず、ヒータ104及び磁石アセンブリ108は、図8に下向き矢印によって示すよう
に、図8に示す上側第1列位置から図9に示す下側第1列位置に下降される。ヒータ10
4及び磁石アセンブリ108は、上述したように、第2のステージ192を下方に並進さ
せることによって下降される。下側第1列位置では、磁石126は、第1列C1と引き続
き位置合わせされ、ヒータ素子184は、試料容器336のアレイの占有面積の外部に引
き続き位置するが、ヒータ素子184及び磁石126は、この時、試料容器336から遠
隔に位置決めされている。
【0039】
次に、ヒータ104及び磁石アセンブリ108が、引き続き下側第1列位置にいるとき
、ヒータ104及び磁石アセンブリ108は、図8に右向き矢印によって示すように、下
側第1列位置から図10に示す下側第2列位置に1ステップ前方に並進される。下側第2
列位置では、磁石126は、第2列C2と位置合わせされ(ただし、第2列C2から隔置
されている)、ヒータ素子184は、第1列C1と位置合わせされる(ただし、第1列C
1から隔置されている)。ヒータ104及び磁石アセンブリ108は、上述したように第
1のステージ188を前方に並進させることによって1ステップ前方に並進される。
【0040】
次に、ヒータ104及び磁石アセンブリ108が、引き続き下側第2列位置にいるとき
、ヒータ104及び磁石アセンブリ108は、下側第2列位置から図11に示す上側第2
列位置に上昇される(図8における上向き矢印参照)。ヒータ104及び磁石アセンブリ
108は、上述したように第2のステージ192を上方に並進させることによって上昇さ
れる。上側第2列位置では、ヒータ104がONである場合、第1列C1の試料容器33
6に含まれる試料は、ヒータ素子184から放出された熱エネルギーに曝露される。また
、上側第2列位置では、第2列C2の試料容器336に含まれる試料は、磁石126によ
って生成されたそれぞれの磁場又は少なくとも磁場の強い領域に浸漬される。この構成に
よって、磁場及び熱エネルギーを、第1列C1及びその後は試料容器336のアレイの連
続する各列に(正:applied to)順次印加することができる。
【0041】
ヒータ104及び磁石アセンブリ108は、実施されている試料処理のタイプに応じて
、任意の所望の期間の間、図11に示す上側第2列位置に保持することができる。次に、
ヒータ104及び磁石アセンブリ108を次の列位置(第3列位置)に指定することがで
きる。この列位置では、磁石126は第3列C3と位置合わせされ、ヒータ素子184は
第2列C2と位置合わせされる。図8図11に示すとともに図8における矢印によって
更に示す移動シーケンスは、試料支持器300の試料容器336の全ての列が処理される
まで、すなわち、磁場及び熱エネルギーを受けるまで繰り返すことができる。幾つかの実
施形態では、最後の列位置は、ヒータ素子184が最後の列C12(本例では第12列)
と位置合わせされていることと、磁石126が試料容器336のアレイの占有面積の外部
(試料支持器300の右端部の下)に位置し、列のいずれとも位置合わせされていないこ
ととに対応することができる。
【0042】
したがって、装置100は、磁場を複数の試料(同じ列の試料容器336における試料
等)に同時に印加し、その後、熱エネルギーを同じ組の試料に同時に印加することを可能
にする。加えて、実行されている方法によって指示された任意の時点にシェーカ112を
動作させることができる。必要な場合には、ヒータ104及び磁石アセンブリ108を下
側位置に下降させ、シェーカ112が動作するためのクリアランスを設けることができる
。このように、装置100によって、加熱、シェーク、及び磁場印加の組み合わせを利用
して多種多様な試料処理プロトコルを実施することが可能になる。装置100は、単一ス
テーション、すなわち、装置100において、加熱、シェーク、及び磁場印加の3つの全
ての動作を統合する。したがって、加熱、シェーク、及び磁場印加にそれぞれ専用化され
た従来の別々のステーションは必要とされない。この統合された構成によって、加熱、シ
ェーク、及び磁場印加を行うのに必要とされるハードウェアの全体的な占有面積が削減さ
れる。統合された構成によって、ステーション間での試料の移送の必要もなくなり、それ
によって、処理スループットが向上する(処理時間が削減される)とともに、試料の汚染
のリスクが低減される。
【0043】
一般に、磁石アセンブリ108は、試料への磁場の印加を伴う任意のプロトコルに利用
することができる。1つの非限定的な例として、磁石アセンブリ108は、磁性体ビーズ
分離に利用することができる。磁性体ビーズ分離では、磁性体ビーズが試料に加えられ、
磁性体ビーズが試料の液相全体にわたって分散された懸濁液が形成される。ビーズのサイ
ズは、ナノメートル程度(例えば、約1000nm、すなわち約1マイクロメートル(μ
m)まで)、又はマイクロメートル程度(例えば、約1μm~約1000μm)とするこ
とができる。ビーズは、当業者によって理解されるように、シリカ又は他の適した材料か
ら構成することができる。ビーズは、酸化鉄又は他の適した磁性体材料で被覆されること
によって磁化される(磁場に応答する)。磁性体材料は、永久磁性体材料とすることもで
きるし、磁場によって永久的又は一時的に磁化される材料とすることもできる。本開示で
は便宜上、用語「磁性体」は、そのような全ての材料を包含する。ビーズは、試料から分
離及び隔離したい試料の分析物(すなわち、対象となる目標化合物)に特に結合する組成
物を有するプローブ又はリガンドを用いて官能化することもできる。分析物は、核酸等の
生物化合物とすることができ、これらの核酸は、ハイブリダイズされた核酸とすることが
できる。或いは、分析物は化学化合物とすることができる。磁性体ビーズが、試料支持器
300の試料容器336のうちの1つにあるような試料に加えられた後、試料内の分析物
は、磁性体ビーズ(又は実施形態に応じて磁性体ビーズのプローブ若しくはリガンド)に
結合する(磁性体ビーズによって捕捉される)。次に、磁石アセンブリ108が、磁石1
26のうちの1つが対応する試料容器336の底部に近接する上側位置に移動され、それ
によって、本明細書において説明したように、磁石126によって生成された磁場に試料
が浸漬される。これに応答して、分析物を保持した磁性体ビーズが磁石126に引き寄せ
られ、したがって、試料容器336の底部に引動され、それによって、捕捉された分析物
は試料容器336の底部に凝集される。その後、試料の液相を吸引(例えば、ピペット操
作)及び/又は蒸発によって除去することができる。次に、適した溶媒内で磁性体粒子を
洗浄して、磁性体粒子から分析物を解放することができる。次に、分析物を含有する溶媒
を試料容器336から吸引することができる。次に、実施されている特定のプロトコルに
よって必要に応じて、分析物を更に処理又は分析することができる。
【0044】
一般に、ヒータ104は、温度調節若しくは温度プログラミング又は試料の揮発性液相
の蒸発等の試料の加熱を伴う任意のプロトコルに利用することができる。1つの非限定的
な例として、プロトコル(例えば、磁石ベースの分離に関連するもの)は、アルコール(
例えば、エタノール、イソプロパノール等)等の揮発性溶媒を試料容器336に加えるこ
とを伴うことができる。ヒータ104は、磁性体ビーズが試料容器336の底部に引動さ
れた後等に、試料容器336内の溶媒を蒸発させるのに利用することができる。
【0045】
一般に、シェーカ112は、試料のシェーク又は撹拌を伴う任意のプロトコルに利用す
ることができる。例として、1つ以上の試料容器336内の試料(複数の場合もある)の
シェークは、試料の2つ以上の成分間の混合、均質化、化学反応の増強又は他の相互作用
、試料内の磁性体ビーズの分散又は再懸濁等を行うために実施することができる。
【0046】
次に、一例として、試料を処理する方法を説明する。本方法は、本明細書において説明
したようなヒータ104、磁石アセンブリ108、及びシェーカ112を備える装置10
0を用いて実行することができる。試料支持器が提供される。この試料支持器は、複数の
列及び複数の行のアレイとして配列された複数の試料容器を備える。複数の列は、第1列
と、この第1列に隣接する第2列とを少なくとも含む。第1列は、当該第1列の1つ以上
のそれぞれの試料容器内に1つ以上の試料を含み、第2列は、当該第2列の1つ以上のそ
れぞれの試料容器内に1つ以上の試料を含む。試料支持器は、試料ステージの開口部を覆
うように試料ステージに取り付けられる。この開口部は、当該開口部を通して試料容器を
露出させることを可能にする面積(サイズ)を有する。複数の磁石が移動され、第1列の
試料容器の底部と近接される。磁石によって生成された磁場が第1列の試料容器に印加さ
れ、第1列の1つ以上の試料がこれらの磁場のうちの1つ以上に曝露される。試料支持器
が試料ステージに取り付けられた状態を維持しつつ、複数の磁石は移動されて、第2列の
試料容器の底部と近接される。複数のヒータ素子が移動され、第1列の試料容器の底部と
近接される。これらのヒータ素子から放出される熱エネルギーが第1列の試料容器に印加
され、第1列の1つ以上の試料が熱エネルギーに曝露される。
【0047】
複数の列は、1つ以上の追加の列を含む。磁場及び熱エネルギーが、第1列、第2列、
及び追加の列のうちの少なくとも1つの追加の列の試料容器に連続的に印加されるまで、
ヒータ素子及び磁石を列単位で順次移動させることができ、磁場を印加するステップ及び
熱エネルギーを印加するステップを1回以上繰り返すことができる。
【0048】
本方法は、本明細書において説明した装置100を用いて試料をシェークすることも含
むことができる。例えば、試料への磁場の印加及び熱エネルギーの印加の1つ以上の反復
の間で試料をシェークすることができる。
【0049】
次に、別の例として、DNA等の核酸を含有する試料を処理する方法を説明する。本方
法は、本明細書において説明したようなヒータ104、磁石アセンブリ108、及びシェ
ーカ112を備える装置100を用いて実行することができる。ステップは、以下のとお
りである。
【0050】
1)DNAを保持する液体バッファが、マイクロプレートのウェル等の、試料支持器に
よって提供される試料容器のアレイの1つ以上の列内に分配される。
【0051】
2)磁性体ビーズが試料容器に加えられ、均質な混合を得て、DNAと磁性体ビーズと
の結合を可能にするために、シェーカが始動される。
【0052】
3)シェーカがオフにされ、磁石が、DNAを含む試料容器の1つの列に移動され、そ
れによって、磁性体ビーズは、磁場によって試料容器の底部に引動される。
【0053】
4)磁性体ビーズの全てが容器の底部に沈殿した後、バッファが試料容器から吸引され
、廃棄される。
【0054】
5)次に、洗浄ステップとして、エタノールが試料容器に加えられる。
【0055】
6)シェーカが再始動され、試料容器内でエタノール及び磁性体ビーズを分散させる。
【0056】
7)シェーカがオフにされ、磁性体ビーズが磁石によって引動される。ステップ6のシ
ェークの準備において、磁石を試料容器から遠ざけて、シェーク動作用のクリアランスを
設けておくことができ、この場合、シェーカがステップ7においてオフにされた後に、磁
石は試料容器に再び移動される。
【0057】
8)磁性体ビーズの全てが容器の底部に沈殿した後、エタノールが試料容器から吸引さ
れる。
【0058】
9)ステップ5~8が、1つ以上のサイクル、例えば2つのサイクルの間繰り返される
【0059】
10)次に、ヒータ素子が列に移動され、エタノールを蒸発させるように起動され、磁
性体ビーズの空気乾燥が可能になる。
【0060】
11)適した溶媒が試料容器内に投与され、その結果、DNAは磁性体ビーズから溶離
する。
【0061】
12)次に、磁石(必要な場合には、適切に再位置決めされる)が利用され、磁性体ビ
ーズを容器の底部に沈殿させる。
【0062】
13)DNAをこの時点で保持している溶媒が試料容器から吸引され、装置100とは
別の器具等によってDNAを更に処理又は解析することが可能にされる。
【0063】
上記ステップは、試料容器アレイの1つ以上の他の列について繰り返すことができる。
【0064】
図1及び図2を参照すると、装置100は、システムコントローラ(例えば、コンピュ
ータ又はコンピューティングデバイス)146も備えることができる。システムコントロ
ーラ146は、例えば、ヒータ104、磁石アセンブリ108、シェーカ112、第1の
ステージ188(例えば、第1のステージ188に結合されたモータ、又はこのモータと
通信するモータコントローラ)、第2のステージ192(例えば、第2のステージ192
に結合されたモータ、又はこのモータと通信するモータコントローラ)、ホーム位置決め
デバイス等の動作等の装置100の様々な機能面を制御、監視及び/又はタイミング調節
するように構成された1つ以上のモジュール(又はユニット若しくは構成要素)を概略的
に表すことができる。1つ以上のモジュールは、例えば、コンピュータワークステーショ
ン若しくはデスクトップコンピュータ、又は、ラップトップコンピュータ、ポータブルコ
ンピュータ、タブレットコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータ、パーソナルデジタル
アシスタント(PDA)、スマートフォン等のモバイルコンピューティングデバイスとす
ることもできるし、これらに組み込むこともできる。システムコントローラ146は、試
料支持器300のマップ、装置100のデータ及び制御パラメータを入力するフィールド
等の、ユーザがインタラクトすることができるオブジェクト又はデータの画面表示を提供
するユーザインタフェースを提供及び制御するように構成することもできる。システムコ
ントローラ146は、本明細書に開示された方法のうちの任意のものの全て又は一部を実
行する命令を含む非一時的(有形)コンピュータ可読(機械可読)媒体を搭載又は装填す
ることができる1つ以上の読み取りデバイスを備えることができる。そのような全ての目
的のために、システムコントローラ146は、有線通信リンク又は無線通信リンクを介し
て装置100の様々な構成要素と信号通信することができる。また、これらの目的のため
に、システムコントローラ146は、1つ以上のタイプのハードウェア、ファームウェア
、他のタイプの電子機器、及び/又はソフトウェア、並びに、1つ以上のメモリ、データ
ベース、ユーザ入力デバイス、及びユーザ出力デバイスを備えることができる。ユーザ入
力デバイスの例としては、キーボード、キーパッド、タッチ画面、マウス、ジョイスティ
ック、トラックボール、ライトペン、他のポインティングデバイス、マイクロフォン等が
あるが、これらに限定されるものではない。ユーザ出力デバイスの例としては、ディスプ
レイ画面、プリンタ、ランプ又は発光ダイオード(LED)等の視覚インジケータ、ラウ
ドスピーカ等の可聴インジケータ等があるが、これらに限定されるものではない。
【0065】
本明細書において説明されたプロセス、サブプロセス及びプロセスステップの1つ以上
は、1つ以上の電子デバイス又はデジタル制御デバイス上で、ハードウェア、ファームウ
ェア、他のタイプの電子機器、ソフトウェア又は上記のものの2つ以上の組み合わせによ
って実行される場合があることは理解されよう。ソフトウェアは、例えば、図1に概略的
に示されるシステムコントローラ146等の適切な電子処理構成要素又はシステム内のソ
フトウェアメモリ(図示せず)内に存在することができる。ソフトウェアメモリは、論理
機能(すなわち、デジタル回路又はソースコード等のデジタル形式で実施することができ
る「ロジック」、又はアナログ電気信号、音響信号若しくはビデオ信号等のアナログ信号
源等のアナログ形式で実施することができる「ロジック」)を実施するための非一時的実
行可能命令の順序付きリストを含むことができる。命令は、例えば、1つ以上のマイクロ
プロセッサ、汎用プロセッサ、プロセッサの組み合わせ、デジタルシグナルプロセッサ(
DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ
(FPGA)等を含む、処理モジュール内で実行することができる。さらに、概略図は、
機能のアーキテクチャ又は物理的レイアウトによって制限されない物理的(ハードウェア
及び/又はソフトウェア)実施態様を有する論理的機能分割を説明する。本明細書におい
て説明されたシステムの例は、様々な構成において実現することができ、単一のハードウ
ェア/ソフトウェアユニット、又は別々のハードウェア/ソフトウェアユニット内のハー
ドウェア/ソフトウェア構成要素として動作することができる。
【0066】
実行可能命令は、電子システムの処理モジュール(例えば、図1のシステムコントロー
ラ146)によって実行されるときに、電子システムに命令を実行するように指示する、
命令を記憶しているコンピュータプログラム製品として実現することができる。コンピュ
ータプログラム製品は、電子コンピュータベースシステム、プロセッサを含むシステム、
又は命令実行システム、装置若しくはデバイスから命令を選択的にフェッチし、命令を実
行することができる他のシステム等の、命令実行システム、装置若しくはデバイスによっ
て、又はそれらに関連して使用するための任意の非一時的コンピュータ可読記憶媒体にお
いて選択的に具現化することができる。本開示の文脈において、コンピュータ可読記憶媒
体は、命令実行システム、装置若しくはデバイスによって、又はそれらに関連して使用す
るためのプログラムを記憶することができる任意の非一時的手段である。非一時的コンピ
ュータ可読記憶媒体は、選択的に、例えば、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線又は半導
体システム、装置若しくはデバイスとすることができる。非一時的コンピュータ可読媒体
のより具体的な例の網羅的でないリストは、1つ以上の導線を有する電気的接続(電子)
、ポータブルコンピュータディスケット(磁気)、ランダムアクセスメモリ(電子)、リ
ードオンリメモリ(電子)、例えば、フラッシュメモリ等の消去可能プログラム可能リー
ドオンリメモリ(電子)、例えば、CD-ROM、CD-R、CD-RW等のコンパクト
ディスクメモリ(光学)、及びデジタルバーサタイルディスクメモリ、すなわち、DVD
(光学)を含む。例えば、紙又は他の媒体の光学走査を介してプログラムを電子的に取り
込むことができ、その後、必要に応じて、コンパイルするか、解釈するか、又は別の方法
で適切に処理し、その後、コンピュータメモリ又はマシンメモリ内に記憶することができ
るので、非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、プログラムが印刷された紙又は別の適切
な媒体であってもよいことに留意されたい。
【0067】
また、本明細書において使用されるときに、「信号通信する」又は「電気通信する」と
いう用語は、2つ以上のシステム、デバイス、構成要素、モジュール又はサブモジュール
が、何らかのタイプの信号経路にわたって進行する信号によって互いに通信できることを
意味することは理解されよう。信号は、第1のシステム、デバイス、構成要素、モジュー
ル又はサブモジュールと第2のシステム、デバイス、構成要素、モジュール又はサブモジ
ュールとの間の信号経路に沿って、第1のシステム、デバイス、構成要素、モジュール又
はサブモジュールから第2のシステム、デバイス、構成要素、モジュール又はサブモジュ
ールに情報、電力又はエネルギーを伝達することができる通信信号、電力信号、データ信
号又はエネルギー信号とすることができる。信号経路は、物理的接続、電気的接続、磁気
的接続、電磁的接続、電気化学的接続、光学的接続、有線接続又はワイヤレス接続を含む
ことができる。また、信号経路は、第1のシステム、デバイス、構成要素、モジュール又
はサブモジュールと第2のシステム、デバイス、構成要素、モジュール又はサブモジュー
ルとの間に、更なるシステム、デバイス、構成要素、モジュール又はサブモジュールを含
むこともできる。
【0068】
より一般的には、「通信(連通)する(communicate)」及び「通信(連通)している
(in communication with)」(例えば、第1の構成要素が第2の構成要素と「通信(連
通)する」又は「通信(連通)している」)等の用語は、2つ以上の構成要素又は要素間
の構造的、機能的、機械的、電気的、信号、光学的、磁気的、電磁的、イオン又は流体的
な関係性を示すために本明細書において使用される。その場合に、1つの構成要素が第2
の構成要素と通信(連通)すると言われることは、更なる構成要素が、第1の構成要素と
第2の構成要素との間に存在する場合があり、及び/又は第1の構成要素及び第2の構成
要素と動作可能に関連付けられるか、又は関与する場合があるという可能性を除外するこ
とを意図するものではない。
【0069】
本発明の種々の態様又は詳細は、本発明の範囲から逸脱することなく変更することができることが理解されよう。さらに、上述の記載は、単に例示目的のものであり、限定する目的はない。本発明は、特許請求の範囲によって規定される。
出願当初の特許請求の範囲に記載された各請求項の記載は、以下の通りであった。
請求項1:
開口部を有し、試料支持器が該開口部を覆うように該試料支持器を支持するように構成された試料ステージと、
第1の軸に沿って移動するように構成された第1のステージと、
前記第1の軸に直交する第2の軸に沿って、前記開口部に対して交互に接近移動及び離遠移動するように構成されるとともに、前記第1のステージに結合され、前記第1の軸に沿って前記第1のステージとともに移動可能である、第2のステージと、
前記第2のステージ上に配置され、前記第1の軸及び前記第2の軸に直交する第3の軸に沿って直線状に位置決めされた複数のヒータ素子と、
前記第2のステージ上に配置され、前記第3の軸に沿って直線状に位置決めされた複数の磁石と、
を備え、
前記磁石は、各磁石が前記第1の軸に沿って前記ヒータ素子のそれぞれから隔置されるように前記ヒータ素子に隣接して位置決めされ、
前記第1のステージは、前記ヒータ素子及び前記磁石を前記第1の軸に沿って複数の列位置に順次移動させるように構成され、各列位置において、少なくとも前記ヒータ素子又は前記磁石は、前記試料支持器が前記試料ステージに取り付けられているとき、前記試料支持器の試料容器の列と位置合わせされ、該列は、前記第3の軸に沿って配列されており、
前記第2のステージは、各列位置において、前記試料支持器が前記試料ステージに取り付けられているときに前記ヒータ素子及び前記磁石が前記試料支持器に近接する上側位置と、前記ヒータ素子及び前記磁石が前記試料支持器から遠隔にある下側位置との間で前記ヒータ素子及び前記磁石を移動させるように構成されている、試料処理装置。
請求項2:
前記ヒータ素子は、ヒータ間ピッチによって互いに隔置され、
前記磁石は、前記ヒータ間ピッチに等しい磁石間ピッチによって互いに隔置され、
各磁石は、前記ヒータ間ピッチに等しい磁石ヒータ間ピッチによって前記第1の軸に沿って前記ヒータ素子のそれぞれから隔置され、
各列位置において、前記第1のステージは、前記試料支持器が前記試料ステージに取り付けられているとき、少なくとも前記ヒータ素子又は前記磁石を前記試料支持器のそれぞれの試料容器と位置合わせするように構成されている、請求項1に記載の試料処理装置。
請求項3:
前記複数の列位置は、前記試料支持器が前記試料ステージに取り付けられているとき、前記ヒータ素子が前記試料支持器の第1列の試料容器と位置合わせされる少なくとも1つの列位置を含み、前記磁石は、前記第1列に隣接する第2列の試料容器と同時に位置合わせされる、請求項1に記載の試料処理装置。
請求項4:
前記試料ステージは、前記試料支持器が前記試料ステージに取り付けられているとき、前記試料支持器をシェークするように構成されている、請求項1に記載の試料処理装置。
請求項5:
前記試料ステージは、前記開口部を部分的に画定する端部領域及び側部領域を備え、前記端部領域に結合された駆動結合部と、前記側部領域に結合されたガイド結合部とを更に備え、前記駆動結合部は、前記ガイド結合部の動きを誘発し、前記試料ステージをシェークするように構成されている、請求項4に記載の試料処理装置。
請求項6:
前記試料ステージは、前記試料支持器をオービタル運動でシェークするように構成されている、請求項4に記載の試料処理装置。
請求項7:
前記上側位置において、前記ヒータ素子及び前記磁石は、前記開口部内にあるか、又は、前記開口部を通って延在する、請求項1に記載の試料処理装置。
請求項8:
複数の列及び複数の行のアレイとして配列された複数の試料容器を備える試料支持器を準備することであって、前記複数の列は、少なくとも第1列と該第1列に隣接する第2列とを含み、前記第1列は、該第1列の1つ以上のそれぞれの試料容器に1つ以上の試料を含み、前記第2列は、該第2列の1つ以上のそれぞれの試料容器に1つ以上の試料を含むことと、
前記試料支持器が試料ステージの開口部を覆うように該試料ステージに前記試料支持器を取り付けることであって、前記開口部は、該開口部を通して前記試料容器を露出することを可能にする面積を有することと、
複数の磁石を移動させて、前記第1列の前記試料容器の底部と近接させることと、
前記磁石によって生成された磁場を前記第1列の前記試料容器に印加して、前記第1列の前記1つ以上の試料を前記磁場のうちの1つ以上に曝露することと、
前記試料支持器が前記試料ステージに取り付けられた状態を維持しつつ、前記複数の磁石を移動させて、前記第2列の前記試料容器の底部と近接させることと、
複数のヒータ素子を移動させて、前記第1列の前記試料容器の前記底部と近接させることと、
前記ヒータ素子から放出される熱エネルギーを前記第1列の前記試料容器に印加して、前記第1列の前記1つ以上の試料を前記熱エネルギーに曝露することと、
を含む、試料を処理する方法。
請求項9:
前記磁場を前記第2列の前記試料容器に印加することを含む、請求項8に記載の方法。
請求項10:
前記ヒータ素子を移動させて、前記第2列の前記試料容器の前記底部と近接させることと、前記第2列の前記試料容器に熱エネルギーを印加することとを含む、請求項9に記載の方法。
請求項11:
前記複数の列は、1つ以上の追加の列を含み、前記方法は、前記磁場及び前記熱エネルギーが、前記第1列、前記第2列、及び前記追加の列のうちの少なくとも1つの追加の列の前記試料容器に連続的に印加されるまで、前記ヒータ素子及び前記磁石を前記追加の列のうちの1つ以上に順次移動させることと、前記磁場を印加するステップ及び前記熱エネルギーを印加するステップを1回以上繰り返すこととを更に含む、請求項8に記載の方法。
請求項12:
前記試料のうちの少なくとも1つは、液体と、該液体に加えられた複数の磁性体ビーズとを含み、前記少なくとも1つの試料を含む前記試料容器に前記磁場を印加することは、前記磁性体ビーズを前記試料容器の底部に引動する、請求項8に記載の方法。
請求項13:
前記少なくとも1つの試料は、前記磁性体ビーズが前記液体に加えられた後に前記磁性体ビーズに結合する複数の目標化合物を含み、前記少なくとも1つの試料を含む前記試料容器に前記磁場を印加することは、前記目標化合物を前記試料容器の前記底部に凝集させる、請求項12に記載の方法。
請求項14:
前記試料のうちの少なくとも1つは液体を含み、前記少なくとも1つの試料を含む前記試料容器に前記熱エネルギーを印加することは、前記液体を蒸発させる、請求項8に記載の方法。
請求項15:
前記試料ステージをシェークして前記試料を撹拌することを含む、請求項8に記載の方法。
請求項16:
前記第1列の前記試料容器に前記磁場を印加する前と、
前記第1列の前記試料容器に前記磁場を印加した後であって、前記第1列の前記試料容器に熱エネルギーを印加する前と、
前記2つのものの双方と、
からなる群から選択された期間中に前記試料ステージをシェークすることを含む、請求項15に記載の方法。
請求項17:
各列に設けられた前記試料容器の数は、前記磁石の数と、前記ヒータ素子の数と、前記2つの数の双方とからなる群から選択された数に等しい、請求項8に記載の方法。
請求項18:
前記複数の磁石を移動させて前記第2列の前記試料容器の底部と近接させることと、前記複数のヒータ素子を移動させて前記第1列の前記試料容器の前記底部と近接させることとは、同時に実行される、請求項8に記載の方法。
請求項19:
前記列は、第1の軸に沿って互いに隣接し、
前記ヒータ素子及び前記磁石は、ヒータ/磁石ステージに取り付けられ、
複数の磁石を移動させて前記第1列の前記試料容器の前記底部と近接させることと、前記複数の磁石を移動させて前記第2列の前記試料容器の前記底部と近接させることとは、前記ヒータ/磁石ステージを前記第1の軸に沿って第1列位置から第2列位置に移動させることによって実行される、請求項8に記載の方法。
請求項20:
前記列は、第1の軸に沿って互いに隣接し、
前記ヒータ素子及び前記磁石は、第1の軸に沿って移動するように構成された第1のステージと、前記第1の軸に直交する第2の軸に沿って移動するように構成された第2のステージとを備えるステージングシステムに取り付けられ、前記第2のステージは、該第2のステージが前記第1の軸に沿って前記第1のステージとともに移動可能であるように前記第1のステージに結合され、前記ヒータ素子及び前記磁石は、前記第2のステージ上に位置決めされ、
前記複数の磁石を移動させて前記第1列の前記試料容器の前記底部と近接させることは、前記第2のステージを前記第2の軸に沿って前記試料支持器に向けて移動させることを含み、
前記複数の磁石を移動させて前記第2列の前記試料容器の前記底部と近接させることと、前記複数のヒータ素子を移動させて前記第1列の前記試料容器の前記底部と近接させることとは、
前記第2のステージを前記第2の軸に沿って前記試料支持器から離遠移動させることと、
前記第1のステージを前記第1の軸に沿って第1列位置から第2列位置に移動させることと、
前記第2列位置にいる間に、前記第2のステージを前記第2の軸に沿って前記試料支持器に向けて移動させることと、
を含む、請求項8に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11