(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-20
(45)【発行日】2023-03-29
(54)【発明の名称】エレベータ制御装置および制御方法
(51)【国際特許分類】
B66B 1/46 20060101AFI20230322BHJP
【FI】
B66B1/46 A
(21)【出願番号】P 2021189497
(22)【出願日】2021-11-22
【審査請求日】2021-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒瀬 航
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 雄太
(72)【発明者】
【氏名】西田 岳人
【審査官】吉川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特許第6897855(JP,B1)
【文献】中国実用新案第214780041(CN,U)
【文献】国際公開第2020/084660(WO,A1)
【文献】特開2002-179345(JP,A)
【文献】中国実用新案第213059734(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00-20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路を移動する乗りかごの行き先対象をそれぞれ表示する複数の表示部にそれぞれ対応して設けられ、利用者による所定の前記表示部への操作を非接触で検知する複数のセンサ部と、
前記複数の表示部にそれぞれ対応して設けられ、前記利用者が所定の前記表示部への操作を押下により行うことが可能な複数の押しボタンと、
前記センサ部に対する操作による検知信号に基づいて、呼びに関する制御を行う第1の制御部が設けられた第1の基板と、
前記第1の基板とは別個に設けられ、前記押しボタンに対する押下による検知信号に基づいて、前記呼びに関して前記第1の制御部による制御とは異なる制御を行う第2の制御部が設けられた第2の基板と、
前記複数の表示部と、前記複数のセンサ部と、前記複数の押しボタンと、を設けた操作盤と、
前記操作盤に設けられ、各種表示を行う表示装置と、を備え、
前記操作盤の裏面は、前記複数の表示部と前記複数のセンサ部と前記複数の押しボタンと前記表示装置のそれぞれの裏面を含み、
前記第1の基板と前記第2の基板は、前記操作盤の裏面に含まれる、前記表示装置の裏面に設けられている、
エレベータ制御装置。
【請求項2】
前記複数の表示部は、前記乗りかごの中に設けられ、前記行き先対象としての前記乗りかごの行き先階をそれぞれ表示する複数の行き先階表示部、を含む、
請求項1に記載のエレベータ制御装置。
【請求項3】
前記複数の表示部は、前記乗りかごへの乗り場に設けられ、前記行き先対象として前記乗りかごの上下の行き先方向をそれぞれ表示する複数の行き先方向表示部、を含む、
請求項1または2に記載のエレベータ制御装置。
【請求項4】
前記第1の制御部は、前記センサ部から前記検知信号を受信した場合に、仮登録を行い、前記検知信号の受信から非検知にならずに第1時間経過した場合に、呼びに関する情報を、ネットワークに接続された制御装置に送信し、
前記第2の制御部は、前記押しボタンから前記押下による検知信号を受信した場合に、前記呼びに関する情報を、ネットワークに接続された制御装置に送信する、
請求項1~3のいずれか一つに記載のエレベータ制御装置。
【請求項5】
エレベータ制御装置で実行される制御方法であって、
前記エレベータ制御装置は、
昇降路を移動する乗りかごの行き先対象をそれぞれ表示する複数の表示部にそれぞれ対応して設けられ、利用者による所定の前記表示部への操作を非接触で検知する複数のセンサ部と、
前記複数の表示部にそれぞれ対応して設けられ、前記利用者が所定の前記表示部への操作を押下により行うことが可能な複数の押しボタンと、
前記センサ部に対する操作による検知信号に基づいて、呼びに関する制御を行う第1の制御部が設けられた第1の基板と、
前記第1の基板とは別個に設けられ、前記押しボタンに対する押下による検知信号に基づいて、前記呼びに関して前記第1の制御部による制御とは異なる制御を行う第2の制御部が設けられた第2の基板と、
前記複数の表示部と、前記複数のセンサ部と、前記複数の押しボタンと、を設けた操作盤と、
前記操作盤に設けられ、各種表示を行う表示装置と、を備え、
前記操作盤の裏面は、前記複数の表示部と前記複数のセンサ部と前記複数の押しボタンと前記表示装置のそれぞれの裏面を含み、
前記第1の基板と前記第2の基板は、前記操作盤の裏面に含まれる、前記表示装置の裏面に設けられており、
前記第1の制御部が、前記センサ部から前記検知信号を受信した場合に、仮登録を行い、前記検知信号の受信から非検知にならずに第1時間経過した場合に、呼び登録を、ネットワークに接続された制御装置に送信し、
前記第2の制御部が、前記押しボタンから前記検知信号を受信した場合に、前記呼び登録を、ネットワークに接続された制御装置に送信する、
ことを含む制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータ制御装置および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータの乗りかご内または乗り場において、行き先階呼びまたは乗り場呼び等を非接触で行う技術が知られている。例えば、乗りかご内の操作盤に利用者の手指を検知するセンサを設け、このセンサにより行き先階呼びを行う手法がある。センサを用いた呼び登録の場合、押しボタンとセンサとを分離して配置した方式等がある。押しボタンを用いた呼び登録の場合には、押しボタンを押下することにより行われる。そして、呼び登録の方法は、押しボタンを用いる登録と、センサを用いた登録の2種類がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-103905号公報
【文献】特開2021-155161号公報
【文献】特許第6897855号公報
【文献】特開2021-143037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、センサ使用時の登録は一定時間センサがオンをしつづけた後に呼び登録をする方法である一方、押下ボタン使用時の登録はボタンを押下したタイミングで呼び登録する方法であり、呼び登録のための制御方法が異なっている。また、制御基板側では、入力される検知信号が押しボタンからの検知信号かセンサからの制御信号を識別することができないため、一つの制御基板では、呼び登録方法の切替えを行うことが困難であった。
【0005】
非接触センサと押下ボタンの双方の呼び登録を同一の制御方法で実現すると、一つの制御基板を用いることはできるが、押下ボタンの場合に、一定時間、押下ボタンを押下し続けた後に呼び登録をしなければならず、利用者にとって不便である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態のエレベータ制御装置は、昇降路を移動する乗りかごの行き先対象をそれぞれ表示する複数の表示部にそれぞれ対応して設けられ、利用者による所定の前記表示部への操作を非接触で検知する複数のセンサ部と、前記複数の表示部にそれぞれ対応して設けられ、前記利用者が所定の前記表示部への操作を押下により行うことが可能な複数の押しボタンと、前記センサ部に対する操作による検知信号に基づいて、呼びに関する制御を行う第1の制御部が設けられた第1の基板と、前記第1の基板とは別個に設けられ、前記押しボタンに対する押下による検知信号に基づいて、前記呼びに関して前記第1の制御部による制御とは異なる制御を行う第2の制御部が設けられた第2の基板と、前記複数の表示部と、前記複数のセンサ部と、前記複数の押しボタンと、を設けた操作盤と、前記操作盤に設けられ、各種表示を行う表示装置と、を備え、前記操作盤の裏面は、前記複数の表示部と前記複数のセンサ部と前記複数の押しボタンと前記表示装置のそれぞれの裏面を含み、前記第1の基板と前記第2の基板は、前記操作盤の裏面に含まれる、前記表示装置の裏面に設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態にかかる操作盤の構成の一例を示す模式図である。
【
図2】
図2は、本実施形態の操作盤の裏面の構成を示す模式図である。
【
図3】
図3は、
図2におけるA-A断面の一部,B-B断面の一部を示す図である。
図3(a)はA-A断面において押しボタン部用制御基板と一つの押しボタンの部分を示し、
図3(b)はB-B断面においてセンサ部用制御基板と一つのセンサ部の部分を示す。
【
図4】
図4は、実施形態にかかるエレベータ制御システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、本実施形態にかかるエレベータ制御システムによるセンサ部の検知に基づくエレベータ制御処理の手順の一例を示すフロー図である。
【
図6】
図6は、本実施形態にかかるエレベータ制御システムによる押下ボタンの検知に基づくエレベータ制御処理の手順の一例を示すフロー図である。
【
図7】
図7は、変形例1の車椅子用操作盤の構成の一例を示す図である。
図7(a)は、車椅子用操作盤の表面を示し、
図7(b)は車椅子用操作盤の裏面を示す。
【
図8】
図8は、変形例2にかかる乗り場の操作盤の表面の構成の一例を示す模式図である。
【
図9】
図9は、変形例2にかかる乗り場の操作盤の裏面の構成の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[実施形態]
以下、図面を参照して実施形態について詳細に説明する。
【0009】
(操作盤の構成例)
図1は、実施形態にかかる行き先階呼び装置の一部である操作盤318の構成の一例を示す模式図である。
【0010】
図1に示すように、行き先階呼び装置の一部である操作盤318は、エレベータの乗りかご1内の利用者による操作を受け付けたり、利用者に乗りかご1(
図4参照)の運行状況等を表示したりすることが可能なように、乗りかご1内に設置される。乗りかご1は、図示しない昇降路内を昇降して、各階に設けられた乗り場で乗りかご1に乗車した利用者を他の階に輸送する。
【0011】
操作盤318の設置位置は、例えば乗りかご1内の扉右横、つまり、乗りかご1内の扉側に向かって右側袖壁部分である。操作盤318が、乗りかご1の左側袖壁部分、または、側板部分等の他の部分に設置されていてもよい。
【0012】
操作盤318は、例えば行き先階表示部310(310a~310e)、センサ部311(311a~311e)、押しボタン312(312a~312e),315(315e,315c)、表示灯313(313a~313e),316(316e,316c)、開閉表示部314(314e,314c)、及び表示装置317を備える。
【0013】
行き先階表示部310は、例えば乗りかご1の行き先階の数字が示された文字盤等であり、乗りかご1の行き先階に対応して操作盤318に複数配置されている。
図1の例では、乗りかご1の行き先階である1階~5階にそれぞれ対応して、5つの行き先階表示部310a~310eが縦方向に配置されている。
【0014】
センサ部311は、非接触式のセンサであり、複数の行き先階表示部310にそれぞれ対応して、対応する行き先階表示部310近傍の操作盤318に複数配置されている。
図1の例では、縦方向に並ぶ行き先階表示部310a~310eの左横に、それぞれ対応する5つのセンサ部311a~311eが配置されている。乗りかご1の利用者が、所望の行き先階への呼びを行うために、対応するセンサ部311に手指等をかざすと、そのセンサ部311が、対応する行き先階表示部310への操作として利用者の手指等を検知する。
【0015】
センサ部311は、例えば非接触式の反射型光電センサ等として構成されている。反射型光電センサは、赤外線をセンサの外側へ向けて投光し、その光が当たった物体からの反射光を受光することで、非接触に物体を検知する。ただし、センサ部311は、非接触で物体を検知することができればよく、例えば静電容量型センサ等の他の型式のセンサとして構成されていてもよい。静電容量型センサは、センサの周囲に電界を発生させ、電界内に進入した物体によって静電容量が変化することにより非接触に物体を検知する。
【0016】
センサ部311は、表面から所定距離だけ離れた検知範囲を有している。センサ部311は、センサ部311が設けられた行き先階表示部310の表面から第1の距離だけ離間した位置までの第1の空間領域では前記利用者の操作を検知しない。検知範囲は、行き先階表示部310の表面から第1の距離から離間した位置から第2の距離だけ離間した位置までの空間領域であり、この空間領域で利用者の操作を検知する。第1の距離は、例えば、行き先階表示部310の表面から5mm程度であり、第2の距離は、例えば、行き先階表示部310の表面から25mm程度とすることができる。ただし、第1の距離、第2の距離についてはこれに限定されるものではない。
【0017】
押しボタン312は、利用者が手指等で押下することが可能に構成され、複数の行き先階表示部310にそれぞれ対応して、対応する行き先階表示部310と一体的に操作盤318に複数配置されている。すなわち、例えば押しボタン312のそれぞれの前面には、対応する行き先階表示部310である文字盤等がはめ込まれている。乗りかご1の利用者が、所望の行き先階への呼びを行うために、対応する押しボタン312を押下すると、上述の押下検知部32(
図1参照)が、対応する行き先階表示部310への操作として押しボタン312の押下を検知する。
【0018】
表示灯313は、上述のように複数の態様で発光することが可能に構成され、複数の行き先階表示部310にそれぞれ対応して、対応する行き先階表示部310と一体的に操作盤318に複数内蔵されている。すなわち、例えば押しボタン312のそれぞれの背面に、それぞれ表示灯313が埋め込まれている。後述する物体検知部31からのセンサ接点信号に基づいて、及び後述するネットワークに接続された制御盤10からの点灯指令に基づいて、対応する表示灯313が点灯する。表示灯313が点灯すると、押しボタン312及び行き先階表示部310を透過した表示灯313の光が利用者に目視される。
【0019】
図1の例では、複数の表示灯313のうち、行き先階表示部310b,310eに対応する表示灯313b,313eが暗点灯または明点灯する様子を示している。
【0020】
開閉表示部314は、例えば乗りかご1の扉の開閉を表示する表示盤等であり、乗りかご1の戸開を表示する開閉表示部314e、及び乗りかご1の戸閉を表示する開閉表示部314cを含む。
図1の例では、開閉表示部314e,314cが左右に並んで操作盤318に配置されている。
【0021】
押しボタン315は、利用者が手指等で押下することが可能に構成され、開閉表示部314e,314cにそれぞれ対応して、対応する開閉表示部314と一体的に操作盤318に複数配置されている。すなわち、例えば押しボタン315e,315cのそれぞれの前面には、対応する開閉表示部314e,314cである表示盤等がはめ込まれている。乗りかご1の利用者が、乗りかご1の扉の開閉を行うために、対応する押しボタン315を押下すると、上述の押下検知部32(
図1参照)が、対応する開閉表示部314への操作として押しボタン315の押下を検知する。
【0022】
表示灯316は、所定の態様で発光することが可能に構成され、開閉表示部314e,314cにそれぞれ対応して、対応する開閉表示部314と一体的に操作盤318に内蔵されている。すなわち、例えば押しボタン315e,315cのそれぞれの背面に、それぞれ表示灯316e,316cが埋め込まれている。例えば後述の押下検知部32(
図4参照)の検知結果に基づいて、対応するいずれかの表示灯316e,316cを点灯すると、押しボタン315及び開閉表示部314を透過した表示灯316の光が利用者に目視される。これにより、利用者は、自身の操作がどちらの開閉表示部314e,314cに対する操作と認識されたかを知ることができる。
【0023】
図1の例では、表示灯316e,316cのいずれもが消灯している様子を示している。
【0024】
表示装置317は、例えば液晶表示部としての液晶パネルとして構成され、乗りかご1が、どの階付近をどちらの向きに走行中であるかを表示する。
図1の例では、上向き矢印と「3」の文字が表示されている。このことから、乗りかご1は3階付近を上方へ向かって走行中であることが判る。
【0025】
また、操作盤318には、
図1に示すように、下部の鍵がかかった扉を有するボックス320が設けられている。このボックス320は、後述するセンサ部用制御基板410に接続されたダイヤル(不図示)が設けられている。
【0026】
なお、操作盤318の構成および各種構成の配置は
図1の例に限られない。
【0027】
図1の例では、複数の行き先階表示部310と、これらに対応するセンサ部311とがセットで縦1列に配置されることとしたが、行き先階表示部310とセンサ部311とがセットで複数列に配置されていてもよい。つまり、例えば1階~5階に対応する行き先階表示部310とセンサ部311とのセットが縦1列に配置された右隣等に、例えば6階~10階に対応する行き先階表示部310とセンサ部311とのセットを更に縦1列に配置することができる。
【0028】
また、複数の行き先階表示部310と、これらに対応するセンサ部311とがセットで横1列または複数列に配置されていてもよい。
【0029】
また、センサ部311の近傍に、センサ部311の存在を示す表示またはセンサ部311に手指等をかざす操作を促す表示等を配置してもよい。これらの表示は、例えばセンサ部311の近傍に所望の表示が記されたシール等を貼付することで配置することができる。
【0030】
また、それぞれのセンサ部311の近傍に、それらのセンサ部311に対応する行き先階を示す点字、センサ部311の存在を示す点字、またはセンサ部311に手指等をかざす操作を促す点字等を配置してもよい。これらの点字は、例えばセンサ部311の近傍に所望の点字が付された銘板等を設置することで配置することができる。
【0031】
また、操作盤318は、乗りかご1の開閉も非接触で行うことができるよう、開閉表示部314e,314cにそれぞれ対応するセンサ部を備えていてもよい。
【0032】
その他、操作盤318は、利用者の操作に供する種々の押しボタン及びセンサ等を備えることができ、また、利用者に種々の情報を提示する表示灯等を備えることができる。
【0033】
次に、操作盤318の裏面側の構成について説明する。
図2は、本実施形態の操作盤318の裏面の構成を示す模式図である。本実施形態の操作盤318の裏面には、
図2に示すように、
図1で説明した複数のセンサ部311、複数の押しボタン312、表示装置317、ボックス320が設けられる他、センサ部用制御基板420と押しボタン用制御基板410とが設けられている。すなわち、センサ部用制御基板420と押しボタン用制御基板410は、いずれも行き先階呼び装置830に内蔵されている。センサ部用制御基板420と押しボタン用制御基板410はそれぞれセンサ部311、押しボタン312から離れて、操作盤318の上部の表示装置317が設けられた位置に、表示装置317の裏面の一部を覆って配置されている。
【0034】
押しボタン用制御基板410は、複数の押しボタン312のそれぞれからの検知信号(押しボタン接点信号と称する場合もある)に基づいて行き先階呼びの制御を行うハードウェアが搭載された制御基板である。押しボタン用制御基板410は、端子421を備えており、当該端子421に接続されたケーブル422(
図3参照)より複数の押しボタン312のそれぞれに接続されている。
【0035】
センサ用制御基板420は、複数のセンサ部311のそれぞれからの検知信号(センサ接点信号と称する場合もある)に基づいて行き先階呼びの制御および表示灯313の発光制御を行うハードウェアが搭載された制御基板である。センサ用制御基板420は、端子411を備えており、当該端子411に接続されたケーブル412(
図3参照)より複数のセンサ部311のそれぞれおよび表示灯313のそれぞれに接続されている。
【0036】
すなわち、本実施形態では、押しボタン用制御基板410と、センサ部用制御基板420とが別個に設けられているので、押しボタン312の押下に基づく制御と、センサ部311の検知に基づく制御とを異なるようにすることが可能となる。
【0037】
図3は、
図2におけるA-A断面の一部,B-B断面の一部を示す図である。
図3(a)がA-A断面において押しボタン部用制御基板420と一つの押しボタン312の部分を示す。
図3(b)がB-B断面においてセンサ部用制御基板410と一つのセンサ部311の部分を示す。
【0038】
図3(a)に示すように、操作盤318の表面板318aに設けられた凹部3181に、押しボタン312が嵌め込まれている。押しボタン312は、利用者が押下するため操作盤318の表面側に現れる押下部3121と、外縁部3126と、突起部3122と、バネ3123と、接点3124,3125とを有している。
【0039】
外縁部3126は、押下部3121の外縁から内方、すなわち凹部3181側に延在する。突起部3122は、押下部3121の裏面の中央から内方、すなわち凹部3181側に突出する。バネ3123は、外縁部3126と凹部3181とに介在して設けられる。接点3125は、突起部3122の先端に設けられる。接点3124は、凹部3181の内壁面に、接点3125に対向して設けられる。接点3124にはケーブル412が接続されている。
【0040】
押下部3121、外縁部3126、および突起部3122とで、
図3(a)に示すように、断面略E字形状となっている。押下ボタン312が押下されると、押下部3121、外縁部3126、および突起部3122が、バネ3123の弾性力に抗して凹部3181に移動し、これにより接点3125が接点3124に接触すると、押下された旨の検知信号がケーブル412を介して押しボタン用制御基板410に送出される。
【0041】
また、押しボタン312内の、凹部3181の内壁面には2つの表示灯313が設けられている。2つの表示灯313は、不図示のケーブルによりセンサ部用制御基板420と、後述する通信部(通信I/F)34に接続されている。
【0042】
図3(b)に示すように、操作盤318の表面板318aには、センサ部311に対向する位置にアクリル板等で形成された透明部材3111が嵌め込められている。センサ部311は、取付部材3112に保持されて表面板318aの裏面に取り付けられる。センサ部311の投光部から赤外線が透明部材3111を介して発光され、利用者の手指等で反射した赤外線を透明部材3111を介してセンサ部311の受光部で受光する。センサ部311が受光した場合には、検知した旨の検知信号がケーブル422を介してセンサ部用制御基板420に送出される。
【0043】
(エレベータ制御システムの構成例)
上述した操作盤318は、例えば操作盤318の各部を制御する行き先階呼び装置30の一部を構成する。つまり、以下に述べる行き先階呼び装置30は、操作盤318の各部を制御して、利用者による行き先階呼びを受け付ける。以下に、
図4を用いて、行き先階呼び装置30を含むエレベータ制御システム100について説明する。
【0044】
図4は、本実施形態にかかるエレベータ制御システム100の機能構成の一例を示すブロック図である。
図4に示すように、エレベータ制御システム100は、制御盤10、及び行き先階呼び装置30を備える。エレベータ制御システム100が制御を行うエレベータは、乗りかご1、駆動装置2、カウンタウェイト3、及びロープ4等を備える。
【0045】
乗りかご1は、図示しない昇降路内を昇降して、各階に設けられた乗り場で乗りかご1に乗車した利用者を他の階に輸送する。乗りかご1とカウンタウェイト3とはロープ4によって連結されている。ロープ4は駆動装置2に架け渡されている。駆動装置2は例えば巻上機等であり、駆動装置2が駆動することで乗りかご1を昇降路内で上下に走行させることができる。
【0046】
制御盤10は、制御部11、通信部12、及び記憶部13を備え、エレベータ全体を制御する。制御盤10は、各種信号の授受が可能なように、駆動装置2と有線または無線で接続されている。また、制御盤10は、各種信号の授受が可能なように、例えば乗りかご1内等に設置される行き先階呼び装置30と接続されている。制御盤10と行き先階呼び装置30とは有線または無線で接続されていてよい。また、制御盤10は、各種信号の授受が可能なように、乗り場に設置される図示しない乗り場呼び装置等と有線または無線で接続されている。
【0047】
制御部11は、乗りかご1内の利用者から行き先階呼びがあった場合、または、乗り場の利用者から乗り場呼びがあった場合等に、それらの呼び登録を行う。制御部11は、呼び登録の内容を記憶部13に格納してもよい。
【0048】
ここで、行き先階呼びとは、乗りかご1内の利用者が、その乗りかご1を所望の行き先階へと向かわせるために行う操作である。また、乗り場呼びとは、乗り場の利用者が、上下いずれかの行き先方向に向かう乗りかご1をその乗り場に到着させるために行う操作である。
【0049】
また、行き先階呼びは、通信部12を介して行き先階呼び装置30から受信する呼び登録要求である。乗り場呼びは、通信部12を介して乗り場呼び装置から受信する呼び登録要求である。
【0050】
制御部11は、呼び登録の内容に応じて駆動装置2を駆動させ、乗りかご1を行き先階呼び、または乗り場呼びに応答させる。また、制御部11は、乗りかご1が所定階に到着すると乗りかご1及び乗り場の戸開および戸閉等を行う。
【0051】
また、制御部11は、行き先階呼び装置30から行き先階呼びを受信した場合、行き先階呼び装置30に対して表示灯313の明点灯の指令を通信部12を介して送出し、表示灯313を明点灯させる。また、制御部11は、乗り場呼び装置から乗り場呼びを受信した場合、乗り場呼び装置に対して表示灯の明点灯の指令を通信部12を介して送出し、表示灯を明点灯させる。
【0052】
通信部12は、乗りかご1内の利用者から行き先階呼びがあった場合、または、乗り場の利用者から乗り場呼びがあった場合等に、それらの情報を行き先階呼び装置30及び図示しない乗り場呼び装置等から取得する。また、通信部12は、制御部11からの各種命令等を乗りかご1等に送信する。
【0053】
記憶部13は、制御盤10にエレベータの制御を実行させるための各種プログラムを記憶する。上述のように、記憶部13が、行き先階呼び登録および乗り場呼び登録等を記憶していてもよい。
【0054】
エレベータ制御装置としての行き先階呼び装置30は、物体検知部31、センサ部311(311a,311b,311c・・・)、押下検知部32、押しボタン312(312a,312b,312c・・・)、表示灯313(313a,313b,313c・・・)、及び通信部34を備え、乗りかご1の利用者による行き先階呼びを受け付ける。行き先階呼び装置30のうち、少なくともセンサ部311、押しボタン312、及び表示灯313は乗りかご1内に設けられている。行き先階呼び装置30の全体が乗りかご1内に設けられていてもよい。
【0055】
センサ部311(311a,311b,311c・・・)は、乗りかご1の複数の行き先階(行き先対象)にそれぞれ対応して乗りかご1内に設けられている。所定の行き先階呼びを行おうとする利用者が、対応するセンサ部311に手指等をかざすと、センサ部311は利用者の手指等の物体を検知する。
【0056】
押しボタン312(312a,312b,312c・・・)は、乗りかご1の複数の行き先階にそれぞれ対応して乗りかご1内に設けられている。押しボタン312は、所定の行き先階呼びを行おうとする利用者が、対応する押しボタン312を押下することが可能に構成されている。
【0057】
表示灯313(313a,313b,313c・・・)は、乗りかご1の複数の行き先階にそれぞれ対応して乗りかご1内に設けられている。所定の行き先階呼びを行おうとする利用者が、対応するセンサ部311に手指等をかざし、または、対応する押しボタン312を押下すると、その行き先階に対応する表示灯313が所定の態様で発光する。
【0058】
物体検知部31は、計時部31aと、制御部31bとを備える。計時部31aは、いずれかのセンサ部311が利用者の手指等の物体を検知すると、第1の時間の計時を開始する。計時部31aは、そのセンサ部311が物体を検知し続けている間は、第1の時間を経過するまで計時を継続する。計時部31aは、第1の時間経過前に、そのセンサ部311が物体を検知しなくなった場合には、第1の時間の計時を終了する。
【0059】
計時部31aは、いずれかのセンサ部311が物体を検知した後に、そのセンサ部311が物体を検知しない状態、すなわち、非検知状態になると、計時を終了する。第1の時間としては、任意に設定することができる。例えば、第1の時間を300msとすることができるが、これに限定されるものではない。また、第1の時間を装置ごとに設定変更可能なパラメータデータとして構成し、装置ごとに調整するように構成してもよい。例えば、操作盤318の下部に設けられたボックス320内のダイヤルにより第1の時間を調整するように構成することができる。また、制御盤10に設けたボリュームつまみにより、行き先階呼び装置30(あるいは乗り場呼び装置)ごとに第1の時間を調整するように構成することができる。
【0060】
計時部31aは、センサ部311が非検知となった場合に、第2の時間の計時を開始する。そして、計時部31aは第2の時間が経過したら、計時を終了する。第2の時間としては、任意に設定することができる。例えば、第2の時間を200msとすることができるが、これに限定されるものではない。また、第2の時間を装置ごとに設定変更可能なパラメータデータとして構成し、装置ごとに調整するように構成してもよい。例えば、操作盤318の下部に設けられたボックス320内のダイヤルにより第2の時間を調整するように構成することができる。また、制御盤10に設けたボリュームつまみにより、行き先階呼び装置30(あるいは乗り場呼び装置)ごとに第1の時間を調整するように構成することができる。
【0061】
制御部31bは、いずれかのセンサ部311が利用者の手指等の物体を検知すると、計時部31aが計時した結果に基づいて行き先階呼びがあったか否かを判定する。具体的には、制御部31bは、いずれかのセンサ部311について第1の時間に達する前に、計時部31aが第1の時間の計時を終了した場合には、そのセンサ部311に対応する行き先階への呼びはなかったものと判定する。また、制御部31bは、いずれかのセンサ部311について第1の時間に達した場合に、他のセンサ部311が物体を検知しなければ、物体を検知したセンサ部311に対応する呼びがあったものと判定し仮登録する。そして、制御部31bは、仮登録した場合には、操作が行われた行き先階に対応する表示灯313を暗点灯させる。一方、制御部31bは、当該センサ部311が非検知となった場合には暗点灯した表示灯313を消灯させる。
【0062】
押下検知部32は、制御部32bを備える。制御部32bは、いずれかの押しボタン312が利用者によって押下されると、押下された押しボタン312に対応する行き先階への呼びがあったものと判定する。そして、制御部32bは、行き先階への呼びがあったと判定した場合、押下された押しボタン312に対応する行き先階への行き先階呼びを通信部34を介して、制御盤10に通知する。これにより、制御盤34により押下された押しボタン312に対応する行き先階へ呼びの本登録が行われ、押下された押しボタン312に対応する表示灯313が明点灯する。
【0063】
ここで、本実施形態では、表示灯313の発光態様としては、上述のように、暗点灯と明点灯がある。暗点灯は明点灯より照度が暗い点灯を意味する。表示灯313の明点灯は、押しボタン312の押下、およびセンサ部311の検知から第1の時間経過したことによる呼び登録の入力を、行き先階呼び装置30が検知した結果に対する応答の点灯を意味する。明点灯は、全点灯とも称されることができる。
【0064】
なお、発光の態様として、暗点灯、明点灯は一例であり、これらに限定されるものではない。例えば、点滅等の発光態様を採用することも可能である。
【0065】
通信部34は、通信インタフェース(通信I/F)であり、物体検知部31または押下検知部32が、所定の行き先階への呼びがあったものと判定した場合には、その行き先階呼びの情報を制御盤10に送信する。
【0066】
なお、上述したように、行き先階呼び装置30は、乗りかご1の複数の行き先階に対応する押しボタン312の他に、例えば乗りかご1の戸開および戸閉を行う押しボタン等を備えている。この場合、上述の押下検知部32は、これらの他の押しボタンの押下を検知し、通信部34を介して制御盤10等に検知結果を通知してもよい。
【0067】
また、上述したように、行き先階呼び装置30は、乗りかご1の複数の行き先階に対応する表示灯313の他に、例えば乗りかご1の戸開および戸閉等に対応する表示灯等を備えている。この場合、押下検知部32は、検知結果等に基づいて、これらの表示灯を種々の態様で発光させてもよい。
【0068】
また、行き先階呼び装置30は、上記以外にも、乗りかご1の利用者の操作に供する種々の構成を備えることができる。
【0069】
次に、実施形態1にかかるエレベータ制御システム100の物理構成について説明する。制御盤10は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び記憶装置等を備えるコンピュータとして構成されている。
【0070】
ROMには、例えば制御プログラム及び呼び登録プログラム等のエレベータの制御に関わる各種プログラムが格納されている。ROMに格納されたこれらのプログラムが読み出されてRAMに展開され、それらのプログラムをCPU101が実行することにより、制御盤10のエレベータ制御装置としての機能が実現される。
【0071】
この呼び登録プログラムがCPUにより実行されることで、上述の制御部11、通信部12、及び記憶部13等が実現される。
【0072】
行き先階呼び装置30は、上述した押しボタン用制御基板410と、センサ部用制御基板420と、を備えるコンピュータとして構成されている。行き先階呼び装置30はまた、上述のようにセンサ部311(311a,311b,311c・・・)、押しボタン312(312a,312b,312c・・・)、及び表示灯313(313a,313b,313c・・・)を備えている。
【0073】
押しボタン用制御基板410は、CPU、ROM、及びRAM等を備えている。ROMには、例えば押下ボタン312の押下に基づく呼び等の制御プログラム等の各種プログラムが格納されている。ROMに格納された制御プログラムが読み出されてRAMに展開され、CPUによって実行されることにより、押下検知部32の制御部32b等が実現される。
【0074】
センサ部用制御基板420は、押しボタン用制御基板410とは別個に、CPU、ROM、及びRAM等を備えている。ROMには、例えばセンサ部311の検知に基づく呼び等の制御プログラム等の各種プログラムが格納されている。ROMに格納された制御プログラムが読み出されてRAMに展開され、CPUによって実行されることにより、物体検知部31の計時部31a、制御部31b等が実現される。
【0075】
ここで、呼び登録プログラム、各制御プログラム等は、コンピュータで実行可能な、エレベータの制御に関する複数の命令を含むコンピュータ読み取り可能かつ非遷移的な記録媒体(Non-transitory Computer Readable Recording Medium)を有するコンピュータプログラムプロダクトである。呼び登録プログラム、各制御プログラム等等は、例えばモジュール構成となっており、これらのモジュールが主記憶装置上にロードされる。
【0076】
呼び登録プログラム、各制御プログラム等は、例えばコンピュータでの読み取りが可能なように記録媒体等に格納されて提供される。記録媒体は、例えば磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、またはフラッシュメモリ等である。また、呼び登録プログラム、各制御プログラム等等は、ネットワークに置かれたサーバ等により配信され、または、ダウンロード可能なように構成されることで、他の様々な手法により提供されてもよい。
【0077】
なお、主に、制御盤10によって実行される呼び登録プログラムと、行き先階呼び装置30によって実行される各制御プログラムとによって、エレベータ制御システム100によって実行されるエレベータ制御プログラムが構成される。
【0078】
(エレベータ制御システムの処理例)
次に、
図5、
図6を用いて、本実施形態のエレベータ制御システム100のエレベータ制御処理の例について説明する。以下、行き先階呼び装置30の処理例を中心に、エレベータ制御システム100の処理例について説明する。
【0079】
図5は、本実施形態にかかるエレベータ制御システム100によるセンサ部311の検知に基づくエレベータ制御処理の手順の一例を示すフロー図である。この処理は、センサ部用制御板420における物体検知部31により実行される。
【0080】
図5に示すように、物体検知部31の制御部31bは、いずれかのセンサ部311が、対応する行き先階表示部310への操作を検知したか否かを判定する(S101)。いずれのセンサ部311も非検知状態であった場合には(S101:No)、物体検知部31はいずれかのセンサ部311が検知状態となるまで待機する。
【0081】
例えば所定のセンサ部311が、ある行き先階を表示する行き先階表示部310への操作を検知した場合には(S101:Yes)、物体検知部31の制御部31bは、対応する表示灯313を暗点灯させる(S102)。また、物体検知部31の計時部31aは、当該行き先階を表示する行き先階表示部310に対応するセンサ部311について検知時間のカウントを開始する(S103)。
【0082】
制御部31bは、カウント対象のセンサ部311が非検知となったか否かを判定する(S104)。カウント対象のセンサ部311が検知状態を維持している間(S104:No)、制御部31bはカウント対象のセンサ部311が非検知状態となるまで待機する。
【0083】
カウント対象のセンサ部311が非検知状態となると(S104:Yes)、制御部31bは、計時部31aがカウントした検知時間が、第1の時間に達したか否かを判定する(S105)。
【0084】
検知時間が第1の時間に達していなかった場合(S105:No)、制御部31bが当該行き先階に対する呼びはなされなかったと判定し、計時部31aは検知時間のカウントを終了する(S106)。また、制御部31bは、暗点灯している表示灯313を消灯させる(S107)。
【0085】
一方、検知時間が第1の時間に達していた場合(S105:Yes)、ステップS111以降の処理が開始される。すなわち、計時部31aは検知時間のカウントを終了する(S111)。
【0086】
また、計時部31bは、行き先階を表示する行き先階表示部310に対応するセンサ部311について非検知時間のカウントを開始する(S112)。物体検知部31は、計時部31bがカウントした非検知時間が、第2の時間に達したか否かを判定する(S113)。非検知時間が第2の時間に達するまでの間(S113:No)、制御部31bは、他のいずれかのセンサ部311が、対応する行き先階表示部310への操作を検知したか否かを判定する(S118)。いずれのセンサ部311も非検知状態であった場合には(S118:No)、制御部31bは、非検知時間が第2の時間に達するまで待機する。
【0087】
非検知時間が第2の時間に達すると(S113:Yes)、制御部31bが行き先階に対する呼びがあったと判定し、計時部31bは非検知時間のカウントを終了する(S114)。また、制御部31bは、通信部34を介して、当該行き先階に対する呼びの情報を制御盤10に通知(すなわち送信)する(S116)。制御盤10の通信部12が行き先階に対する呼びの情報を受信すると、制御部11は行き先階についての呼び登録を行うとともに、明点灯の指令を通信部12を介して行き先階呼び装置30の呼びのあった行き先階に対応する表示灯313に送出する。これにより、表示灯313が明点灯される。その後、制御部11は、その呼び登録に基づいて駆動装置2を制御して、乗りかご1を行き先階呼び情報で指定された行き先階へと走行させる。
【0088】
一方、S113で、非検知時間が第2の時間に達する前に(S113:No)、例えば所定のセンサ部311が、他の行き先階を表示する行き先階表示部310への操作を検知した場合には(S118:Yes)、制御部31bがS101で検知された行き先階に対する呼びはなされなかったと判定し、計時部31bは非検知時間のカウントを終了する(S119)。そして、制御部31bは、S101で検知された行き先階を表示する行き先階表示部310に対応し、暗点灯している表示灯313を消灯させる(S211)。そして、S118で検知された他の行き先階を、行き先階として(S212)、S102からの処理を繰り返し実行する。すなわち、S102において、S118で検知されたS行き先階に対応する表示灯313を暗点灯し、S103以降の処理を上述と同様に実行する。
【0089】
次に、押下ボタン312の検知に基づくエレベータ制御処理について説明する。
図6は、本実施形態にかかるエレベータ制御システム100による押下ボタン312の検知に基づくエレベータ制御処理の手順の一例を示すフロー図である。この処理は、押下ボタン用制御板410における押下検知部32により実行される。
【0090】
図6に示すように、押下検知部32の制御部32bは、いずれかの押下ボタン312の押下操作を検知したか否かを判定する(S301)。いずれの押下ボタン312も押下されていない場合には(S301:No)、制御部32bはいずれかの押下ボタン312が押下状態となるまで待機する。
【0091】
例えば所定の押下ボタン312への押下操作を検知した場合には(S301:Yes)、制御部32bは、行き先階に対する呼びがあったと判定し、通信部34を介して、当該行き先階に対する呼びの情報を制御盤10に通知(すなわち送信)する(S302)。制御盤10の通信部12が行き先階に対する呼びの情報を受信すると、制御部11は行き先階についての呼び登録を行うとともに、明点灯の指令を通信部12を介して行き先階呼び装置30の呼びのあった行き先階に対応する表示灯313に送出する。これにより、表示灯313が明点灯される。その後、制御部11は、その呼び登録に基づいて駆動装置2を制御して、乗りかご1を行き先階呼び情報で指定された行き先階へと走行させる。
【0092】
このように本実施形態では、行き先階呼び装置30が、センサ部311に対する操作による検知信号に基づいて、呼びに関する制御を行う物体検知部311が設けられたセンサ用制御基板420と、押しボタン312に対する押下による検知信号に基づいて、呼びに関して物体検知部31による制御とは異なる制御を行う押下検知部32が設けられた押下ボタン用制御基板410と、を互いに独立して設けている。このため、センサ部311から検知信号と押下ボタン312からの検知信号とを区別しなくても、押しボタンによる呼びとセンサによる呼びとを異なる方法で制御することが可能となる。
[変形例1]
上記実施形態では、乗りかご1内の開閉ドアの近傍にある操作盤318を例にあげて説明したが、乗りかご1内の側壁面の車椅子用操作盤に本実施形態を適用することもできる。
【0093】
図7は、変形例1の車椅子用操作盤801の構成の一例を示す図である。
図7(a)は、車椅子用操作盤801の表面を示し、
図7(b)は車椅子用操作盤801の裏面を示している。車椅子用操作盤801は、
図7(a)に示すように、例えば行き先階表示部810、センサ部811、押しボタン812,815、不図示の表示灯、開閉表示部814、非常用ボタン816及び液晶表示部817を備える。
【0094】
行き先階表示部810は、例えば乗りかご1の行き先階の数字が示された文字盤等であり、乗りかご1の行き先階に対応して車椅子用操作盤801に複数配置されている。
図6の例では、乗りかご1の行き先階である1階~14階にそれぞれ対応して、14個の行き先階表示部810が横方向に二列となって配置されている。
【0095】
センサ部811は、非接触式のセンサであり、複数の行き先階表示部810にそれぞれ対応して、対応する行き先階表示部810の近傍に複数配置されている。
図7(a)の例では、横方向に二列に並ぶ行き先階表示部810の下側に、それぞれ対応する14個のセンサ部811が配置されている。
【0096】
押しボタン812は、利用者が手指等で押下することが可能に構成され、複数の行き先階表示部810にそれぞれ対応して、対応する行き先階表示部810と一体的に車椅子用操作盤801に複数配置されている。
【0097】
表示灯(不図示)は、複数の態様で発光することが可能に構成され、複数の行き先階表示部810にそれぞれ対応して、対応する行き先階表示部810と一体的に車椅子用操作盤801に複数内蔵されている。
【0098】
開閉表示部814は、例えば乗りかご1の扉の開閉を表示する表示盤等であり、乗りかご1の戸開を表示する開閉表示部と乗りかご1の戸閉を表示する開閉表示部とから構成される。
図6の例では、二つの開閉表示部814が左右に並んで車椅子用操作盤801に配置されている。
【0099】
押しボタン815は、利用者が手指等で押下することが可能に構成され、二つの開閉表示部814にそれぞれ対応して、対応する開閉表示部814と一体的に車椅子用操作盤801に複数配置されている。二つの開閉表示部814にそれぞれ対応して、二つの表示灯(不図示)が対応する開閉表示部814と一体的に車椅子用操作盤801に内蔵されている。
【0100】
非常用ボタン816は、押下されることにより、管理センタ等の外部に非常事態を通知するためのボタンである。
【0101】
液晶表示部817は、液晶パネルとして構成され、乗りかご1が、どの階付近をどちらの向きに走行中であるかを表示する。
図6の例では、上向き矢印と「10」の文字が表示されている。このことから、乗りかご1は10階付近を上方へ向かって走行中であることが判る。
【0102】
ここで、センサ部811、押しボタン812、815、表示灯、開閉表示部814、液晶表示部817のそれぞれの構成は、操作盤318のセンサ部311、押しボタン312、315、表示灯313、316、開閉表示部314、表示装置317の押しボタン312の構成と同様である。なお、車椅子操作盤801の構成および各種構成の配置は
図7(a)の例に限られない。
【0103】
車椅子用操作盤801の裏面には、
図7(b)に示すように、
図7(a)で説明したセンサ部811、押しボタン812、815、表示灯、開閉表示部814、液晶表示部817が設けられる他、センサ部用制御基板1420と押しボタン用制御基板1410とが設けられている。すなわち、センサ部用制御基板1420と押しボタン用制御基板1410は、いずれも行き先階呼び装置830に内蔵されている。センサ部用制御基板1420と押しボタン用制御基板1410はそれぞれセンサ部811、押しボタン812から離れて、車椅子用操作盤801の裏面における右側の液晶表示装置817が設けられた位置に、液晶表示装置817の裏面の一部を覆って配置されている。
【0104】
押しボタン用制御基板1410は、複数の押しボタン812のそれぞれからの検知信号(押しボタン接点信号と称する場合もある)に基づいて行き先階呼びの制御を行うハードウェアが搭載された制御基板である。押しボタン用制御基板1410は、端子1421を備えており、当該端子1421に接続されたケーブル(不図示)より複数の押しボタン812のそれぞれに接続されている。なお、押しボタン用制御基板1410に実現される押下検知部の機能、構成は、上記実施形態の押下検知部32と同様である。
【0105】
センサ用制御基板1420は、複数のセンサ部811のそれぞれからの検知信号(センサ接点信号と称する場合もある)に基づいて行き先階呼びの制御および表示灯の発光制御を行うハードウェアが搭載された制御基板である。センサ用制御基板1420は、端子1411を備えており、当該端子1411に接続されたケーブル(不図示)より複数のセンサ部811のそれぞれおよび表示灯のそれぞれに接続されている。なお、センサ用制御基板1420に実現される物体検知部の機能、構成は、上記実施形態の物体知部31と同様である。
【0106】
このように、本変形例1では、押しボタン用制御基板1410と、センサ部用制御基板1420とが別個に設けられているので、上記実施形態と同様に、押しボタン812の押下に基づく制御と、センサ部811の検知に基づく制御とを異なるようにすることが可能となる。
【0107】
[変形例2]
上記実施形態および変形例では、乗りかご1内の操作盤318、車椅子用操作盤801を例にあげて説明したが、乗り場における乗り場呼び装置の操作盤に本実施形態を適用することもできる。
図8は、変形例2にかかる乗り場の操作盤518の構成の一例を示す模式図である。
図8では、操作盤518の表面を示している。
【0108】
乗り場呼び装置50は、例えば乗り場に設置された操作盤518を備える。操作盤518の設置位置は、例えば乗りかご1が発着する乗り場の扉横等である。1つの乗り場には少なくとも1つの操作盤518が設置されていればよい。複数の乗りかご1が乗り場を発着する場合には、複数の乗りかご1のそれぞれに対応する複数の操作盤518が設置されていてもよい。
【0109】
操作盤518は、例えば行き先方向表示部510(510u,510d)、センサ部511(511u,511d)、押しボタン512(512u,512d)、表示灯513(513u,513d)、及び表示装置517を備える。
【0110】
行き先方向表示部510は、例えば乗り場に到着する乗りかご1の上下方向等の行き先方向を表示する表示盤等であり、乗りかご1の行き先方向に対応して操作盤518に複数配置されている。
図8の例では、乗りかご1の行き先方向である上方向(上層階)及び下方向(下層階)にそれぞれ対応して、2つの行き先方向表示部510u,510dが縦方向に配置されている。
【0111】
センサ部511は、例えば反射型光電センサ、または静電容量型センサ等の非接触式のセンサであり、複数の行き先方向表示部510にそれぞれ対応して、対応する行き先方向表示部510近傍の操作盤518に複数配置されている。
図8の例では、縦方向に並ぶ行き先方向表示部510u,510dの左横に、それぞれ対応する2つのセンサ部511u,511dが配置されている。
【0112】
乗り場の利用者が、所望の行き先階(上層階または下層階等)の方向(上方向または下方向等)へ向かう乗りかご1の乗り場呼びを行うために、対応するセンサ部511に手指等をかざすと、そのセンサ部511が、対応する行き先方向表示部510への操作として利用者の手指等を検知する。
【0113】
押しボタン512は、利用者が手指等で押下することが可能に構成され、複数の行き先方向表示部510にそれぞれ対応して、対応する行き先方向表示部510と一体的に操作盤518に複数配置されている。すなわち、例えば押しボタン512のそれぞれの前面には、対応する行き先方向表示部510である表示盤等がはめ込まれている。乗り場の利用者が、所望の行き先階(上層階または下層階等)の方向(上方向または下方向等)へ向かう乗りかご1の乗り場呼びを行うために、対応する押しボタン512を押下すると、押下検知部が、対応する行き先方向表示部510への操作として押しボタン512の押下を検知する。
【0114】
表示灯513は、上述のように複数の態様で発光することが可能に構成され、複数の行き先方向表示部510にそれぞれ対応して、対応する行き先方向表示部510と一体的に操作盤518に複数内蔵されている。すなわち、例えば押しボタン512のそれぞれの背面に、それぞれ表示灯513が埋め込まれている。物体検知部から暗点灯の指令、及び制御盤10からの明点灯の指令に基づいて、対応する表示灯513が点灯すると、押しボタン512及び行き先方向表示部510を透過した表示灯513の光が利用者に目視される。これにより、利用者は、どちらの行き先方向への呼びが登録されたかを知ることができる。
【0115】
表示装置517は、複数の行き先方向表示部510および表示灯513とは異なる位置に設けられている。具体的には、表示装置517は、例えば液晶表示部(液晶パネル)等として構成され、その操作盤518に対応する乗りかご1、または乗り場呼びに応答中の乗りかご1等が、どの階付近をどちらの向きに走行中であるかを表示する。
図8の例では、上向き矢印と「3」の文字が表示されている。このことから、乗りかご1は3階付近を上方へ向かって走行中であることが判る。
【0116】
なお、操作盤518の構成および各種構成の配置は
図8の例に限られない。例えば、行き先方向表示部510とセンサ部511とがセットで横1列に配置されていてもよい。また例えば、センサ部511の近傍に所望の表示が記されたシール等が貼付され、また、所望の点字が付された銘板等が設置されていてもよい。
【0117】
また例えば、行き先方向表示部510、押しボタン512、表示灯513のうちのいずれか、あるいは全部が分離され、別々に操作盤518に配置されていてもよい。また例えば、操作盤518は、押しボタン512u,512d等を備えていなくともよい。
【0118】
その他、操作盤518は、利用者の操作に供する種々の押しボタン及びセンサ等を備えることができ、また、利用者に種々の情報を提示する表示灯等を備えることができる。
【0119】
図9は、変形例2にかかる乗り場の操作盤518の裏面の構成の一例を示す模式図である。操作盤518の裏面には、
図9に示すように、
図8で説明したセンサ部511、押しボタン512、表示灯、表示装置517が設けられる他、センサ部用制御基板2420と押しボタン用制御基板2410とが設けられている。すなわち、センサ部用制御基板2420と押しボタン用制御基板2410は、いずれも乗り場呼び装置50に内蔵されている。センサ部用制御基板2420と押しボタン用制御基板2410はそれぞれセンサ部511、押しボタン512から離れて、操作盤518の上部における右側の表示装置517が設けられた位置に、表示装置517の裏面の一部を覆って配置されている。
【0120】
押しボタン用制御基板2410は、複数の押しボタン512のそれぞれからの検知信号(押しボタン接点信号と称する場合もある)に基づいて行き先方向の乗り場呼びの制御を行うハードウェアが搭載された制御基板である。押しボタン用制御基板2420は、端子2421を備えており、当該端子2421に接続されたケーブル(不図示)より複数の押しボタン512のそれぞれに接続されている。なお、押しボタン用制御基板2410に実現される押下検知部の機能、構成は、上記実施形態の押下検知部32と同様である。
【0121】
センサ用制御基板2420は、複数のセンサ部511のそれぞれからの検知信号(センサ接点信号と称する場合もある)に基づいて行き先方向の乗り場呼びの制御および表示灯の発光制御を行うハードウェアが搭載された制御基板である。センサ用制御基板2420は、端子2411を備えており、当該端子2411に接続されたケーブル(不図示)より複数のセンサ部511のそれぞれおよび表示灯のそれぞれに接続されている。なお、センサ用制御基板2420に実現される物体検知部の機能、構成は、上記実施形態の物体知部31と同様である。
【0122】
このように、本変形例2では、押しボタン用制御基板2410と、センサ部用制御基板2420とが別個に設けられているので、上記実施形態と同様に、押しボタン512の押下に基づく制御と、センサ部511の検知に基づく制御とを異なるようにすることが可能となる。
【0123】
なお、本変形例では、押しボタン用制御基板2410と、センサ部用制御基板2420とを、乗り場の操作盤518の裏面に設けているが、これに限定されるものではない。例えば、昇降路の内壁側に各階ごとの第1の中継盤および第2の中継盤を配置し、押しボタン512は押下による検知信号を第1の中継盤に有線または無線で送出し、センサ部511は検知信号を第2の中継盤に有線または無線で送出する。そして、第1の中継盤で、上述の押しボタン用制御基板2410と同様の制御処理を行い、第2の中継盤で上述のセンサ部用制御基板2420と同様の制御処理を、それぞれ実行させるように構成してもよい。
【0124】
[その他変形例]
上記実施形態および変形例では、センサ部とセンサ部用制御基板、および押しボタンと押しボタン用制御基板のそれぞれをケーブルで有線接続していたが、無線通信により検知信号を伝達するように構成してもよい。
【0125】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0126】
1…乗りかご、2…駆動装置、3…カウンタウェイト、4…ロープ、10…制御盤、11…制御部、12…通信部、13…記憶部、30…行き先階呼び装置、51…物体検知部、31a…計時部、31b…制御部、32…押下検知部、32b…制御部、34…通信部、50…乗り場呼び装置、100…エレベータ制御システム、310a~310e…行き先階表示部(表示部)、311a~311e,511d,511u,811…センサ部、312a~312e,315c,315e,512d,512u,815…押しボタン、313a~313e,316c,316e,513d,513u…表示灯、510d,510u…行き先方向表示部(表示部)。
【要約】
【課題】押しボタンによる呼び登録とセンサによる呼び登録とを異なる方法で制御することを可能とすること。
【解決手段】実施形態のエレベータ制御装置は、昇降路を移動する乗りかごの行き先対象をそれぞれ表示する複数の表示部にそれぞれ対応して設けられ、利用者による所定の前記表示部への操作を非接触で検知する複数のセンサ部と、前記複数の表示部にそれぞれ対応して設けられ、前記利用者が所定の前記表示部への操作を押下により行うことが可能な複数の押しボタンと、前記センサ部に対する操作による検知信号に基づいて、呼びに関する制御を行う第1の制御部が設けられた第1の基板と、前記第1の基板とは別個に設けられ、前記押しボタンに対する押下による検知信号に基づいて、前記呼びに関して前記第1の制御部による制御とは異なる制御を行う第2の制御部が設けられた第2の基板と、を備える。
【選択図】
図2