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特許7248778無添加漢方薬の細胞壁破壊粉末の顆粒製剤の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-20
(45)【発行日】2023-03-29
(54)【発明の名称】無添加漢方薬の細胞壁破壊粉末の顆粒製剤の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/18 20060101AFI20230322BHJP
   A61K 36/481 20060101ALI20230322BHJP
   A61K 36/537 20060101ALI20230322BHJP
   A61K 36/808 20060101ALI20230322BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20230322BHJP
   A61K 125/00 20060101ALN20230322BHJP
【FI】
A61K36/18
A61K36/481
A61K36/537
A61K36/808
A61K9/16
A61K125:00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021506023
(86)(22)【出願日】2019-03-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-05
(86)【国際出願番号】 CN2019078215
(87)【国際公開番号】W WO2019205829
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2020-10-19
(31)【優先権主張番号】201810384021.6
(32)【優先日】2018-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520406681
【氏名又は名称】中山市中智薬業集団有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHONGSHAN ZHONGZHI PHARMACEUTICAL GROUP CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No 3, South Of Kangtai Road, Torch Hi-tech Industrial Development Zone, Zhongshan, Guangdong 528437, China
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【弁理士】
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100131200
【弁理士】
【氏名又は名称】河部 大輔
(72)【発明者】
【氏名】成 金楽
(72)【発明者】
【氏名】頼 智填
(72)【発明者】
【氏名】徐 吉銀
(72)【発明者】
【氏名】陳 勇軍
(72)【発明者】
【氏名】▲デン▼ ▲ウェン▼
(72)【発明者】
【氏名】彭 麗華
(72)【発明者】
【氏名】陳 ▲ウェイ▼▲シュエン▼
(72)【発明者】
【氏名】陳 金梅
(72)【発明者】
【氏名】王 義娜
(72)【発明者】
【氏名】梁 燕玲
(72)【発明者】
【氏名】喬 衛林
(72)【発明者】
【氏名】曹 暁俊
【審査官】長谷川 茜
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第101147746(CN,A)
【文献】特開2003-144949(JP,A)
【文献】特開平09-024285(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/00 -36/9068
A61K 9/00 - 9/72
A23L 5/00 - 5/49
A23L 33/00 -33/29
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生薬を選別して洗浄し、チップ化して乾燥させ、処理済み生薬を得る、生薬炮製ステップ(1)と、
処理済み生薬を粉砕機で粉砕し、80~120メッシュの生薬粗粉を得る、生薬粉砕ステップ(2)と、
得られた生薬粗粉に対して細胞壁破壊粉砕を行い、200~1000メッシュの細胞壁破壊粉体を得る、一次細胞壁破壊粉砕ステップ(3)と、
細胞壁破壊粉体をスクリーニングし、300~1000メッシュの細胞壁破壊粉末を分離する、粒径によるスクリーニングステップ(4)と、
スクリーニングした300メッシュ以下の粉体を細胞壁破壊粉砕室に戻して再粉砕することで、300~500メッシュの細胞壁破壊粉末となるまで細胞壁破壊粉砕を行う、二次細胞壁破壊粉砕ステップ(5)と、
2回の細胞壁破壊粉砕により得られた材料を混合して、粒径と細胞が異なる成分を均一に分布させた均一な細胞壁破壊粉体を得る、混合ステップ(6)と、
ステップ(6)で得られた細胞壁破壊粉末を混合撹拌機に投入して、60体積%~90体積%の高濃度エタノール-水溶液と10体積%20体積%の低濃度エタノール-水溶液を複数回分けて加えて軟材とし、10~40メッシュの篩付き造粒機でウェット顆粒として押し出し、得たウェット顆粒をベークする、造粒ステップ(7)と、
ステップ(7)の顆粒を整粒して篩分けし、20~60メッシュの顆粒とする、整粒、篩分けステップ(8)と、を含む、漢方薬の細胞壁破壊粉末の顆粒製剤の製造方法。
【請求項2】
ステップ(4)は、力場にて細胞壁破壊粉体をスクリーニングし、300~1000メッシュの細胞壁破壊粉末を分離することである、請求項1に記載の漢方薬の細胞壁破壊粉末の顆粒製剤の製造方法。
【請求項3】
ステップ(7)に使用されるエタノール-水溶液と細胞壁破壊粉末との重量比が、(0.1~0.99):1である、請求項1に記載の漢方薬の細胞壁破壊粉末の顆粒製剤の製造方法。
【請求項4】
ステップ(7)において、押し出してウェット顆粒を製造するときに、押し出し力は0.05~1MPa、回転数は40~100r/minである、請求項1、2のいずれか1項に記載の漢方薬の細胞壁破壊粉末の顆粒製剤の製造方法。
【請求項5】
押し出し力は0.25~0.45MPa、回転数は75~85r/minである、請求項に記載の漢方薬の細胞壁破壊粉末の顆粒製剤の製造方法。
【請求項6】
ステップ(3)、(5)の粉砕ステップはジェットミルにて行われ、粉砕チャンバーの温度が18~26℃、相対湿度が55%以下、給気作動圧力が0.7Mpa以下、分級機の回転数が30~35r/sである、請求項に記載の漢方薬の細胞壁破壊粉末の顆粒製剤の製造方法。
【請求項7】
ステップ(7)では、高濃度エタノール-水溶液中のエタノールは70体積%~80体積%であり、低濃度エタノール-水溶液中のエタノールは15体積%~20体積%である、請求項に記載の漢方薬の細胞壁破壊粉末の顆粒製剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漢方薬細胞壁破壊粉末の加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超微粉砕技術は、近年急速に発展している新しい技術である。細胞壁破壊粉砕技術を利用して、漢方薬飲片を約300メッシュに粉砕することにより、細胞壁破壊率が86.7%に達し、生薬中の有効成分の溶出が促進され、その薬効が高まり、有効成分の利用率が90%以上であり、それにより、生薬の使用量を減少させ、生薬資源を保護するとともに、薬物の品質を向上させ、薬効を高める。
【0003】
しかしながら、ほとんどの漢方薬は、天然動物・植物であるので、組成成分が複雑であり、複数種の小分子化学成分、大分子有機物(タンパク質、核酸、脂質及び糖類)、無機物(たとえば水、塩、ミネラル類)及び細胞エルガスティック物質(ergastic substance)(代謝産物、貯蔵物質など)を含む。また、薬効作用を果たす有効活性成分は、一般には、低含有量の細胞エルガスティック物質であり、そして、各有効活性成分は、生薬の異なる部位又は同一部位の構成の異なる細胞での分布が異なる。漢方薬の薬用部位が複雑であり、花、葉、根、茎、全草など、さまざまな薬用部位が含まれ、異なる薬用部位の性質が大きく異なり、細胞レベルでは、外側から内側への各構成組織、たとえば、コルク層、皮層、師部、形成層、木部などは異なる種類の細胞で構成され、この構成細胞、たとえば柔細胞、石細胞、導管、木部繊維、コルク細胞などは細胞の密度、細胞壁破壊応力などの物理的・化学的性質が異なり、このため、これらの細胞壁破壊性能には大きな差異があり、簡単な細胞壁破壊粉砕で加工すると、細胞壁破壊材料の一部から得られた細胞壁破壊粉末は粒径の極めて小さい細胞壁破壊が容易な成分であり、別の部分は粒径の大きな細胞壁破壊が困難な成分となる場合がよくあり、その結果、細胞壁破壊粉体全体として成分の分布にムラが生じて、粒径及び有効成分の含有量が均一に分布している均質な細胞壁破壊粉体製品を得るのが難しく、臨床的に使用するときの治療効果及び安全性へ悪影響を与える。
【0004】
また、極細製剤の細胞壁破壊率が増えるため、細胞壁破壊製剤の表面積が大きくなり、形状が非規則的であり、流動性、分散性が劣り、吸湿しやすく、安定性が悪いなどの固有の問題が存在し、現在、極細細胞壁破壊粉末を造粒することで、製品の安定性を高める処理方法が取られる。たとえば、出願番号201610596213.4の特許では、漢方薬飲片の超音波細胞壁破壊方法及びその装置が開示されており、漢方薬飲片の製薬コストが高いという問題を解決するが、漢方薬飲片の原料利用効率が不十分であり、漢方薬飲片の原料の細胞壁破壊の均一性が低く、漢方薬飲片の安定性が劣り、溶解速度が低いという問題を抱えている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、従来技術の欠陥を解決し、漢方薬顆粒剤原料の細胞壁破壊の均一性に優れ、漢方薬顆粒の安定性が高く、溶解速度が高い、細胞壁破壊漢方薬飲片を製造する製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明がその技術的課題を解決するために使用される技術案は以下のとおりである。無添加漢方薬の細胞壁破壊粉末の顆粒製剤の製造方法であって、
生薬を選別して洗浄し、チップ化して乾燥させ、処理済み生薬を得る、生薬炮製ステップ(1)と、
処理済み生薬を粉砕機で粉砕し、80~120メッシュの生薬粗粉を得る、生薬粉砕ステップ(2)と、
得られた生薬粗粉に対して細胞壁破壊粉砕を行い、200~1000メッシュの細胞壁破壊粉体を得る、一次細胞壁破壊粉砕ステップ(3)と、
細胞壁破壊粉体をスクリーニングし、300~1000メッシュの細胞壁破壊粉末を分離する、粒径によるスクリーニングステップ(4)と、
スクリーニングした300メッシュ以下の粉体を細胞壁破壊粉砕室に戻して再粉砕することで、300~500メッシュの細胞壁破壊粉末となるまで細胞壁破壊粉砕を行う、二次細胞壁破壊粉砕ステップ(5)と、
2回の細胞壁破壊粉砕により得られた材料を混合して、粒径と細胞が異なる成分を均一に分布させた均一な細胞壁破壊粉体を得る、混合ステップ(6)と、
ステップ(6)で得られた細胞壁破壊粉末を混合撹拌機に投入して、50体積%~95体積%の高濃度エタノール-水溶液と0~30体積%の低濃度エタノール-水溶液を複数回分けて加えて軟材とし、10~40メッシュの篩付き造粒機でウェット顆粒として押し出し、得たウェット顆粒をベークする、造粒ステップ(7)と、
ステップ(7)の顆粒を整粒して篩分けし、20~60メッシュの顆粒とする、整粒、篩分けステップ(8)と、を含む。
【0007】
前記無添加漢方薬の細胞壁破壊粉末の顆粒製剤の製造方法では、一次細胞壁破壊粉砕後、スクリーニングを行うと、粉体の粒径分布が500~600メッシュに集中し、この部分の細胞壁破壊粉末は主に細胞壁が破壊された柔細胞から構成され、スクリーニングした300メッシュ以下の粉体について二次細胞壁破壊を行うと、粉体の粒径分布が400~500メッシュに集中し、この部分の細胞壁破壊粉末は主に導管、木部繊維、コルク細胞等など、破砕応力の大きな細胞からなる。生薬に対して細胞壁破壊粉砕操作を2回行うことで、生薬の異なる組織が効果的に破砕され、得られる細胞壁破壊粉末の均一性が良好であり、漢方薬資源が活用され、薬物の品質が高まる。
【0008】
前記無添加漢方薬の細胞壁破壊粉末の顆粒製剤の製造方法において、ステップ(7)に使用されるエタノール-水溶液と超微粉との重量比が、(0.1~0.99):1であることを特徴とする。
【0009】
前記無添加漢方薬の細胞壁破壊粉末の顆粒製剤の製造方法において、ステップ(7)に使用されるエタノール-水溶液と超微粉との重量比が、(0.3~0.8):1であることを特徴とする。
【0010】
前記無添加漢方薬の細胞壁破壊粉末の顆粒製剤の製造方法において、ステップ(7)に使用されるエタノール-水溶液と超微粉との重量比が、(0.5~0.7):1であることを特徴とする。
【0011】
前記無添加漢方薬の細胞壁破壊粉末の顆粒製剤の製造方法において、ステップ(7)において、押し出してウェット顆粒を製造するときに、押し出し力は0.05~1MPa、回転数は40~100r/minであることを特徴とする。
【0012】
前記無添加漢方薬の細胞壁破壊粉末の顆粒製剤の製造方法において、押し出し力は0.25~0.45MPa、回転数は75~85r/minであることを特徴とする。
【0013】
前記無添加漢方薬の細胞壁破壊粉末の顆粒製剤の製造方法において、ステップ(3)、(5)の粉砕ステップはジェットミルにて行われ、粉砕チャンバーの温度が18~26℃、相対湿度が55%以下、給気作動圧力が0.7Mpa以下、分級機の回転数が30~35r/sであることを特徴とする。
【0014】
前記無添加漢方薬の細胞壁破壊粉末の顆粒製剤の製造方法において、ステップ(7)では、高濃度エタノール-水溶液中のエタノールは60体積%~90体積%であり、低濃度エタノール-水溶液中のエタノールは10体積%~20体積%であることを特徴とする。
【0015】
前記無添加漢方薬の細胞壁破壊粉末の顆粒製剤の製造方法において、ステップ(7)では、高濃度エタノール-水溶液中のエタノールは70体積%~80体積%であり、低濃度エタノール-水溶液中のエタノールは15体積%~20体積%であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の有益な効果は以下のとおりである。
(1)漢方薬の細胞壁破壊が300メッシュ以上に粉砕され、細胞の細胞壁破壊率が99%以上に達し、それによって、薬物の有効成分を十分に溶出させ、漢方薬資源を節約する。
(2)ジェットミルで漢方薬に対して細胞壁破壊粉砕を2回行うことで、細胞壁破壊粉末の粒径が均一になり、各成分の分布が均一になり、均一性に優れている。
(3)造粒中、濃度の異なるエタノール-水溶液を交互して加えて、湿式造粒を行い、このようにして、製造された顆粒剤は溶解性に優れて、迅速に崩壊することができ、細胞壁破壊顆粒剤が溶解しにくく、安定性が悪いという従来技術の問題を解決する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、実施例1のオウギの2回の細胞壁破壊混合粉末の粒径分布図である。
図2図2は、実施例2のタンジンの2回の細胞壁破壊混合粉末の粒径分布図である。
図3図3は、実施例3のゲンジンの2回の細胞壁破壊混合粉末の粒径分布図である。
図4図4は、比較例1のオウギの細胞壁破壊粉末の粒径分布図である。
図5図5は、比較例2のオウギの細胞壁破壊粉末の粒径分布図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、特定の実施例を参照しながら、本発明をさらに詳細に説明し、特に断らない限り、本発明で使用される試薬、設備及び方法は本分野で一般的に市販されている試薬、設備及び一般的に使用あれる方法である。
【実施例
【0019】
実施例1:
(1)生薬炮製:オウギを選別して洗浄し、チップ化して乾燥させ、処理済みオウギを得た。
(2)生薬粉砕:オウギを100メッシュの粉砕機で粉砕し、80~120メッシュのオウギ粗粉を得た。
(3)一次細胞壁破壊粉砕:得られたオウギ粗粉に対して細胞壁破壊粉砕を行い、200~1000メッシュの細胞壁破壊粉体を得た。
(4)粒径によるスクリーニング:細胞壁破壊粉体をスクリーニングし、300~1000メッシュの細胞壁破壊粉末を分離し、ここで、粉体の粒径分布が500~600メッシュに集中した。
(5)二次細胞壁破壊粉砕:スクリーニングした300メッシュ以下の粉体を細胞壁破壊粉砕室に戻して再粉砕することで、300~500メッシュの細胞壁破壊粉末となるまで細胞壁破壊粉砕を行い、ここで、粉体の粒径分布が400~500メッシュに集中した。
(6)混合:材料搬送混合システムを用いて、2回で得られた異なる材料を混合した。
(7)造粒:ステップ(6)で得られた細胞壁破壊粉末を混合撹拌機に投入して、エタノール-水溶液の総添加量が細胞壁破壊粉末の重量の0.5となるように、90%エタノール-水溶液と20%エタノール-水溶液を交互して加えることで軟材とし、30メッシュの篩付き造粒機でウェット顆粒として押し出して、得たウェット顆粒をベークした。
(8)整粒、篩分け:ステップ(7)の顆粒を整粒して篩分けし、20~60メッシュの顆粒とした。
【0020】
実施例2:
ステップ(7)では、使用される高濃度と低濃度のエタノール-水溶液がそれぞれ75体積%と30体積%であること、エタノール-水溶液の総添加量が細胞壁破壊粉末の重量の0.3であること、押し出し造粒には40メッシュの篩が使用されていること以外、実施例1の製造方法に従って、タンジンを処理して、対応するタンジン顆粒を得た。
【0021】
実施例3:
ステップ(7)では、使用される高濃度と低濃度のエタノール-水溶液がそれぞれ60体積%と10体積%であること、エタノール-水溶液の総添加量が細胞壁破壊粉末の重量の0.8であること、押し出し造粒には20メッシュの篩が使用されていること以外、実施例1の製造方法に従って、ゲンジンを処理して、対応するゲンジン顆粒を得た。
【0022】
比較例1:
(1)生薬炮製:オウギを選別して洗浄し、チップ化して乾燥させ、処理済みオウギを得た。
(2)生薬粉砕:オウギを100メッシュの粉砕機で粉砕し80~120メッシュのオウギ粗粉を得た。
(3)細胞壁破壊粉砕:得たオウギ粗粉に対して超音波で細胞壁破壊粉砕を行い、50~80μmの細胞壁破壊粉体を得た。
(4)二次細胞壁破壊粉砕:ステップ(3)の細胞壁破壊粉末を超微粉砕することで、500~600メッシュの細胞壁破壊粉末となるまで細胞壁破壊粉砕を行った。
)混合:2回で得られた異なる材料を混合した。
)造粒:ステップ()で得られた細胞壁破壊粉末を混合撹拌機に投入して、エタノール-水溶液の総添加量が細胞壁破壊粉末の重量の0.5となるように、90%エタノール-水溶液と20%エタノール-水溶液を交互して加えることで軟材とし、30メッシュの篩付き造粒機でウェット顆粒として押し出し、得られたウェット顆粒をベークした。
)整粒、篩分け:ステップ()の顆粒を整粒して篩分けし、20~60メッシュの顆粒を得た。
【0023】
比較例2:
(1)生薬炮製:オウギを選別して洗浄し、チップ化して乾燥させ、処理済みオウギを得た。
(2)生薬粉砕:オウギを100メッシュの粉砕機で粉砕し、80~120メッシュのオウギ粗粉を得た。
(3)細胞壁破壊粉砕:得られたオウギ粗粉に対して細胞壁破壊粉砕を行い、300メッシュ以上の細胞壁破壊粉体を得た。
(4)細胞壁破壊粉末軟材の製造:製造された細胞壁破壊粉末を槽型混合機に投入し、適量の80~99%エタノールを加えて軟材とした。
(5)顆粒製造:まず、ステップ(3)で製造されたオウギ細胞壁破壊粉末を少量で揺動造粒機に加え、30メッシュのスクリーンで造粒し、造粒には、ステップ(4)で製造された細胞壁破壊粉末軟材を投入しながらステップ()で製造されたオウギ細胞壁破壊粉末を加え、軟材と乾燥粉末との比率を6:0.5とした。
(6)合格した細胞壁破壊飲片顆粒を50℃~60℃オーブンに入れて乾燥させ、その後、上層20メッシュ、下層60メッシュの篩付き振動整粒機を用いて整粒し、3回篩掛けし、個包装すると、オウギ細胞壁破壊飲片を得た。
【0024】
粒径均一性の検出試験
実施例1~3における2回の細胞壁破壊混合粉末と、比較例1、2で得られた細胞壁破壊粉末について、レーザー粒度分布計を用いて細胞壁破壊粉末の粒度を測定し、結果を表1に示す。
表1 細胞壁破壊粉末の粒度検出結果
【表1】
表1のデータから分かるように、本発明で提供される粉砕方法により得られた細胞壁破壊粉末は、粒径が均一であり、均一性がさらに良好である。
実施例1~3の粒径分布を統計した結果、図1~3に示すように、細胞壁破壊粉末は、粒径が正規分布を呈し、粒径が均一であり、均一性が良好である。
【0025】
成分均一性の検出試験
実施例3のゲンジン細胞壁破壊粉末顆粒を3つランダムに取り、高速液体クロマトグラフィー(通則0512)により粉末中の有効成分であるハルパギド、ハルパゴシドを測定し、ここで、オクタデシルシラン結合シリカゲルをフィラー、アセトニトリルを移動相A、0.03%リン酸溶液を移動相Bとして、下表に記載のように勾配溶出を行い、検出波長を210nmとした。理論板数は、ハルパゴシドとハルパギドのピークで換算すると、ずべて5000以上であった。
【表2】
対照品溶液を製造するにあたって、ハルパギド対照品、ハルパゴシド対照品を適量で取り、精密に秤量し、30%メタノールを加えて、1mlあたりハルパギド60μg、ハルパゴシド20μgを含む混合溶液を調製すると、対照品溶液を得た。
試験品溶液を製造するにあたって、実施例3のゲンジン細胞壁破壊粉末(3番篩)を0.5g×3でランダムに取り、精密に秤量し、栓付き三角フラスコに入れ、50%メタノール50mlを精密に加え、栓をつけて密閉させ、重量を秤量して、1時間浸漬し、超音波処理(パワー500W、周波数40kHz)を45分間行い、放冷した後、さらに重量を秤量し、減量分50%メタノールを補充し、均一に振動させてろ過し、次のろ液として試験品溶液を得た。
測定法には、対照品溶液と試験品溶液を10μlずつ精密に吸い取り、液体クロマトグラフに注入して、測定した。
本品では、乾燥品を基準に、ハルパギド(C15H24O10)とハルパゴシド(C24H30O11)の全含有量が0.45%以上でなければならない。
3つのサンプルについて測定したところ、ハルパギド(C15H24O10)とハルパゴシド(C24H30O11)の全量は、それぞれ、0.65%、0.63%であり、0.63%、RSDは1.81%である。
以上から、ランダムに量られた3つのサンプル中の有効成分の含有量が近いことがわかり、このため、2回の細胞壁破壊を行って混合した細胞壁破壊粉末の顆粒の均一性が優れており、薬物の品質の安定性が確保される。
【0026】
溶解時間の検出試験
試験方法
実施例1~3及び比較例で製造された乾燥顆粒を2gずつ精密に秤量して、300mlの透明カップに投入し、90℃~95℃の水100ml(振動中に加熱せず)を加え、1sあたり1回転の速度で、1分間、2分間、3分間、5分間、10分間時計回りに振った後、カップにおける顆粒の溶解の状況を観察し、また、カップ中の液体0.5mlを取り、レーザー粒度分布計を用いて遮光率を検出した。試験結果を下表2に示す。
表2 細胞壁破壊粉末顆粒の溶解試験結果
【表3】
【0027】
表2のデータから明らかなように、本発明で提供される細胞壁破壊顆粒の製造方法は、効果が良好であり、溶出拡散速度がより高い。
【0028】
以上は、本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明を制限するものではなく、当業者にとって自明なように、本発明はさまざまな変更や変化を有し得る。本発明の趣旨及び原則を逸脱することなく行われる修正、等同な置換、改良などであれば、本発明の特許範囲に含まれるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5