(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-20
(45)【発行日】2023-03-29
(54)【発明の名称】光学材料用重合性組成物およびその用途
(51)【国際特許分類】
C08G 18/38 20060101AFI20230322BHJP
C08G 18/48 20060101ALI20230322BHJP
C08L 75/04 20060101ALI20230322BHJP
G02B 1/04 20060101ALI20230322BHJP
G02C 7/10 20060101ALI20230322BHJP
C08K 5/1545 20060101ALI20230322BHJP
【FI】
C08G18/38 076
C08G18/48
C08L75/04
G02B1/04
G02C7/10
C08K5/1545
(21)【出願番号】P 2021519500
(86)(22)【出願日】2020-05-15
(86)【国際出願番号】 JP2020019409
(87)【国際公開番号】W WO2020230882
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2021-08-24
(31)【優先権主張番号】P 2019092679
(32)【優先日】2019-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】加曽利 祐基
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 伸介
【審査官】佐藤 貴浩
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/125786(WO,A1)
【文献】特開2019-066827(JP,A)
【文献】国際公開第2016/204111(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/009230(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G18/00-18/87
G02B 1/04
G02C 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリイソシアネート化合物と、
(B)ポリチオール化合物と、
(C)フォトクロミック化合物と、
(D)数平均分子量が50~10,000であるポリエーテル化合物と、
(E)粘度が1mPa・s以上1600mPa・s未満であるポリエーテル変性シロキサン化合物と、
を含
み、ポリエーテル化合物(D)の含有量に対するポリエーテル変性シロキサン化合物(E)の含有量の比(E(重量部)/D(重量部))が0.01~1.0である、光学材料用重合性組成物。
【請求項2】
ポリエーテル化合物(D)は、下記一般式(d1)で表される化合物および下記一般式(d2)で表される化合物から選択される少なくとも一種であり、
ポリエーテル変性シロキサン化合物(E)は、下記一般式(e)で表される化合物である、請求項1に記載の光学材料用重合性組成物;
【化1】
(一般式(d1)中、R
1およびR
2は、水素原子あるいは炭素数1~18のアルキル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。複数存在するR
1同士は同一または相異なっていてもよく、複数存在するR
2同士は同一または相異なっていてもよい。mは15以上500以下の整数を示す。)
【化2】
(一般式(d2)中、Qは(n+f)価の炭化水素基を表す。nは0以上の整数を示し、fは1以上の整数を示し、n+fは3以上である。mは2~58の整数を示す。)
【化3】
(一般式(e)中、R
1~R
8は同一または異なっていてもよく、R
1~R
8の少なくとも一つは下記一般式(i)で表されるポリエーテル基を示し、その他のR
1~R
8は、同一または異なっていてもよく、炭素数1~20の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素数1~20の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基、ヒドロキシル基、またはポリシロキシ基を示す。複数存在するR
2~R
5は、それぞれ同一または異なっていてもよい。m、nは同一または異なっていてもよく、0以上の整数を示す。)、
【化4】
(一般式(i)中、R
25は炭素数1~20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基、R
26は水素原子、炭素数1~20の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素数2~20の直鎖もしくは分岐のアルケニル基または炭素数2~20の直鎖もしくは分岐のアルキニル基を示す。複数存在するR
25は同一でも異なっていてもよい。kは1以上の整数を示す。)
【請求項3】
ポリエーテル変性シロキサン化合物(E)が、下記一般式(e-1)で表される化合物、下記一般式(e-2)で表される化合物またはそれらの混合物である、請求項1または2に記載の光学材料用重合性組成物。
【化5】
(一般式(e-1)中、a+cは1~100の整数であり、bは1~100の整数であり、dは10~1000の整数であり、eは1~100の整数である。)
る。
【化6】
(一般式(e-2)中、f+h
は1~100の整数であり、gは1~100の整数である。)
【請求項4】
フォトクロミック化合物(C)が、一般式(c1)または一般式(c2)で表される化合物である、請求項1~3のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物。
PC-L-Chain (c1)
PC-L-Chain-L'-PC' (c2)
(PCとPC'は一般式(1)~(4)のいずれかを示す。PCとPC'は同一でも異なっていても良い。)
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
(一般式(1)~(4)中、R
1~R
18は、水素、ハロゲン原子、カルボキシル基、アセチル基、ホルミル基、置換されてもよいC1~C20の脂肪族基、置換されてもよいC3~C20の脂環族基、または置換されてもよいC6~C20の芳香族有機基を示し、それぞれ同一でも異なってもよい。これら脂肪族基、脂環族基または芳香族有機基は、酸素原子、窒素原子を含んでもよい。一般式(1)~(4)で表される化合物に含まれる、いずれか1つの基は、2価の有機基であるLまたはL'と結合する。LとL'は、オキシエチレン鎖、オキシプロピレン鎖、(チオ)エステル基、(チオ)アミド基から選択される1種以上を含む2価の有機基を示す。Chainは、ポリシロキサン鎖、ポリオキシアルキレン鎖から選択される1種以上を含む1価または2価の有機基を示す。)
【請求項5】
ポリイソシアネート化合物(A)は、2,5-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタン、2,6-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタン、m-キシリレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、および1,5-ペンタメチレンジイソシアネートから選択される少なくとも一種である、請求項1~4のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物。
【請求項6】
ポリチオール化合物(B)は、4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタン、5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)、2,5-ビス(メルカプトメチル)-1,4-ジチアン、1,1,3,3-テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、4,6-ビス(メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチアン、および2-(2,2-ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)-1,3-ジチエタンから選択される少なくとも一種である、請求項1~5のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物。
【請求項7】
ポリエーテル変性シロキサン化合物(E)を0.001~2重量%の量で含む、請求項1~6のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物。
【請求項8】
ポリエーテル化合物(D)のミクロ相分離構造体を含む、請求項1~
7のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物。
【請求項9】
請求項1~
8のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物を硬化させた成形体。
【請求項10】
ポリエーテル化合物(D)のミクロ相分離構造体を含む、請求項
9に記載の成形体。
【請求項11】
請求項
9または
10に記載の成形体からなる光学材料。
【請求項12】
請求項
9または
10に記載の成形体からなるプラスチックレンズ。
【請求項13】
ポリイソシアネート化合物(A)と、フォトクロミック化合物(C)と、数平均分子量が50以上10,000以下であるポリエーテル化合物(D)と、粘度が1mPa・s以上1600mPa・s未満であるポリエーテル変性シロキサン化合物(E)とを混合する工程と、
前記工程で得られた混合液に、ポリチオール化合物(B)を混合する工程と、
を含む、光学材料用重合性組成物の製造方法
であって、
光学材料用重合性組成物中の、ポリエーテル化合物(D)の含有量に対するポリエーテル変性シロキサン化合物(E)の含有量の比(E(重量部)/D(重量部))が0.01~1.0である、光学材料用重合性組成物の製造方法。
【請求項14】
ポリエーテル化合物(D)は、下記一般式(d1)で表される化合物および下記一般式(d2)で表される化合物から選択される少なくとも一種であり、
ポリエーテル変性シロキサン化合物(E)は、下記一般式(e)で表される化合物である、請求項
13に記載の光学材料用重合性組成物の製造方法;
【化11】
(一般式(d1)中、R
1およびR
2は、水素原子あるいは炭素数1~18のアルキル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。複数存在するR
1同士は同一または相異なっていてもよく、複数存在するR
2同士は同一または相異なっていてもよい。mは15以上500以下の整数を示す。)
【化12】
(一般式(d2)中、Qは(n+f)価の炭化水素基を表す。nは0以上の整数を示し、fは1以上の整数を示し、n+fは3以上である。mは2~58の整数を示す。)
【化13】
(一般式(e)中、R
1~R
8は同一または異なっていてもよく、R
1~R
8の少なくとも一つは下記一般式(i)で表されるポリエーテル基を示し、その他のR
1~R
8は、同一または異なっていてもよく、炭素数1~20の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素数1~20の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基、ヒドロキシル基、またはポリシロキシ基を示す。複数存在するR
2~R
5は、それぞれ同一または異なっていてもよい。m、nは同一または異なっていてもよく、0以上の整数を示す。)、
【化14】
(一般式(i)中、R
25は炭素数1~20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基、R
26は水素原子、炭素数1~20の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素数2~20の直鎖もしくは分岐のアルケニル基または炭素数2~20の直鎖もしくは分岐のアルキニル基を示す。複数存在するR
25は同一でも異なっていてもよい。kは1以上の整数を示す。)
【請求項15】
ポリエーテル変性シロキサン化合物(E)が、下記一般式(e-1)で表される化合物、下記一般式(e-2)で表される化合物またはそれらの混合物である、請求項
13または
14に記載の光学材料用重合性組成物の製造方法。
【化15】
(一般式(e-1)中、a+cは1~100の整数であり、bは1~100の整数であり、dは10~1000の整数であり、eは1~100の整数である。)
る。
【化16】
(一般式(e-2)中、f+h
は1~100の整数であり、gは1~100の整数である。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトクロミック化合物を含む光学材料用重合性組成物、当該組成物から得られる光学材料およびプラスチックレンズに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、フォトクロミック性能を有するプラスチックレンズの開発が進められている。
特許文献1には、ポリチオール化合物と、ポリイソシアネート化合物と、フォトクロミック化合物と、ブロックコポリマー成分とを含む光学材料用重合性組成物が開示されている。特許文献1には、光学材料用重合性組成物によれば、優れたフォトクロミック特性、耐熱性および機械物性を備える光学材料を提供できると記載されている。
【0003】
特許文献2には、所定のポリエーテル変性シロキサン化合物と、重合反応性化合物とを含む光学材料用重合性組成物が開示されている。特許文献2には、所定のポリエーテル変性シロキサン化合物を添加することによりレンズの脈理が抑制されると記載されている。
【0004】
特許文献3には、アリルオキシカルボニル基を含む化合物と、ラジカル重合開始剤と、ポリエーテル変性シロキサン化合物とを含む、光学材料用重合性組成物が開示されている。特許文献3には、光学材料用重合性組成物によれば、良好な透明性を保持しつつ、重合中におけるクラックの発生や離型時の割れが抑制される記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2018/070383号
【文献】国際公開第2016/125786号
【文献】国際公開第2018/155475号
【非特許文献】
【0006】
【文献】P. Alexandridis, T.A. Hatton/Colloids Surfaces A: Physicochem. Eng. Aspects 96 (1995) 1-46
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、重合性化合物と、フォトクロミック化合物と、ブロックコポリマー成分とを含む光学材料用重合性組成物に、ポリエーテル変性シロキサン化合物を添加した場合、フォトクロミック性能が低下する場合があり、また白濁して透明性が低下したり脈理が発生する場合があった
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは鋭意検討の結果、所定の組み合わせにより、フォトクロミック性能に優れ、白濁が抑制され透明性に優れ、さらに脈理が抑制された光学材料が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明は、以下に示すことができる。
[1] (A)ポリイソシアネート化合物と、
(B)ポリチオール化合物と、
(C)フォトクロミック化合物と、
(D)数平均分子量が50~10,000であるポリエーテル化合物と、
(E)粘度が1mPa・s以上1600mPa・s未満であるポリエーテル変性シロキサン化合物と、
を含む、光学材料用重合性組成物。
[2] ポリエーテル化合物(D)は、下記一般式(d1)で表される化合物および下記一般式(d2)で表される化合物から選択される少なくとも一種であり、
ポリエーテル変性シロキサン化合物(E)は、下記一般式(e)で表される化合物である、[1]に記載の光学材料用重合性組成物;
【化1】
(一般式(d1)中、R
1およびR
2は、水素原子あるいは炭素数1~18のアルキル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。複数存在するR
1同士は同一または相異なっていてもよく、複数存在するR
2同士は同一または相異なっていてもよい。mは15以上500以下の整数を示す。)
【化2】
(一般式(d2)中、Qは(n+f)価の炭化水素基を表す。nは0以上の整数を示し、fは1以上の整数を示し、n+fは3以上である。mは2~58の整数を示す。)
【化3】
(一般式(e)中、R
1~R
8は同一または異なっていてもよく、R
1~R
8の少なくとも一つは下記一般式(i)で表されるポリエーテル基を示し、その他のR
1~R
8は、同一または異なっていてもよく、炭素数1~20の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素数1~20の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基、ヒドロキシル基、またはポリシロキシ基を示す。複数存在するR
2~R
5は、それぞれ同一または異なっていてもよい。m、nは同一または異なっていてもよく、0以上の整数を示す。)、
【化4】
(一般式(i)中、R
25は炭素数1~20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基、R
26は水素原子、炭素数1~20の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素数2~20の直鎖もしくは分岐のアルケニル基または炭素数2~20の直鎖もしくは分岐のアルキニル基を示す。複数存在するR
25は同一でも異なっていてもよい。kは1以上の整数を示す。)
[3] ポリエーテル変性シロキサン化合物(E)が、下記一般式(e-1)で表される化合物、下記一般式(e-2)で表される化合物またはそれらの混合物である、[1]または[2]に記載の光学材料用重合性組成物。
【化5】
(一般式(e-1)中、a+cは1~100の整数であり、bは1~100の整数であり、dは10~1000の整数であり、eは1~100の整数である。)
る。
【化6】
(一般式(e-2)中、f+hは好ましくは1~100の整数であり、gは1~100の整数である。)
[4] フォトクロミック化合物(C)が、一般式(c1)または一般式(c2)で表される化合物である、[1]~[3]のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物。
PC-L-Chain (c1)
PC-L-Chain-L'-PC' (c2)
(PCとPC'は一般式(1)~(4)のいずれかを示す。PCとPC'は同一でも異なっていても良い。)
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
(一般式(1)~(4)中、R
1~R
18は、水素、ハロゲン原子、カルボキシル基、アセチル基、ホルミル基、置換されてもよいC1~C20の脂肪族基、置換されてもよいC3~C20の脂環族基、または置換されてもよいC6~C20の芳香族有機基を示し、それぞれ同一でも異なってもよい。これら脂肪族基、脂環族基または芳香族有機基は、酸素原子、窒素原子を含んでもよい。一般式(1)~(4)で表される化合物に含まれる、いずれか1つの基は、2価の有機基であるLまたはL'と結合する。LとL'は、オキシエチレン鎖、オキシプロピレン鎖、(チオ)エステル基、(チオ)アミド基から選択される1種以上を含む2価の有機基を示す。Chainは、ポリシロキサン鎖、ポリオキシアルキレン鎖から選択される1種以上を含む1価または2価の有機基を示す。)
[5] ポリイソシアネート化合物(A)は、2,5-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタン、2,6-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタン、m-キシリレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、および1,5-ペンタメチレンジイソシアネートから選択される少なくとも一種である、[1]~[4]のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物。
[6] ポリチオール化合物(B)は、4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタン、5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)、2,5-ビス(メルカプトメチル)-1,4-ジチアン、1,1,3,3-テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、4,6-ビス(メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチアン、および2-(2,2-ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)-1,3-ジチエタンから選択される少なくとも一種である、[1]~[5]のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物。
[7] ポリエーテル変性シロキサン化合物(E)を0.001~2重量%の量で含む、[1]~[6]のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物。
[8] ポリエーテル化合物(D)の含有量に対するポリエーテル変性シロキサン化合物(E)の含有量の比(E(重量部)/D(重量部))が0.01~1.0である、[1]~[7]のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物。
[9] ポリエーテル化合物(D)のミクロ相分離構造体を含む、[1]~[8]のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物。
[10] [1]~[9]のいずれかに記載の光学材料用重合性組成物を硬化させた成形体。
[11] ポリエーテル化合物(D)のミクロ相分離構造体を含む、[10]に記載の成形体。
[12] [10]または[11]に記載の成形体からなる光学材料。
[13] [10]または[11]に記載の成形体からなるプラスチックレンズ。
[14] ポリイソシアネート化合物(A)と、フォトクロミック化合物(C)と、数平均分子量が50以上10,000以下であるポリエーテル化合物(D)と、粘度が1mPa・s以上1600mPa・s未満であるポリエーテル変性シロキサン化合物(E)とを混合する工程と、
前記工程で得られた混合液に、ポリチオール化合物(B)を混合する工程と、
を含む、光学材料用重合性組成物の製造方法。
[15] ポリエーテル化合物(D)は、下記一般式(d1)で表される化合物および下記一般式(d2)で表される化合物から選択される少なくとも一種であり、
ポリエーテル変性シロキサン化合物(E)は、下記一般式(e)で表される化合物である、[14]に記載の光学材料用重合性組成物の製造方法;
【化11】
(一般式(d1)中、R
1およびR
2は、水素原子あるいは炭素数1~18のアルキル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。複数存在するR
1同士は同一または相異なっていてもよく、複数存在するR
2同士は同一または相異なっていてもよい。mは15以上500以下の整数を示す。)
【化12】
(一般式(d2)中、Qは(n+f)価の炭化水素基を表す。nは0以上の整数を示し、fは1以上の整数を示し、n+fは3以上である。mは2~58の整数を示す。)
【化13】
(一般式(e)中、R
1~R
8は同一または異なっていてもよく、R
1~R
8の少なくとも一つは下記一般式(i)で表されるポリエーテル基を示し、その他のR
1~R
8は、同一または異なっていてもよく、炭素数1~20の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素数1~20の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基、ヒドロキシル基、またはポリシロキシ基を示す。複数存在するR
2~R
5は、それぞれ同一または異なっていてもよい。m、nは同一または異なっていてもよく、0以上の整数を示す。)、
【化14】
(一般式(i)中、R
25は炭素数1~20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基、R
26は水素原子、炭素数1~20の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素数2~20の直鎖もしくは分岐のアルケニル基または炭素数2~20の直鎖もしくは分岐のアルキニル基を示す。複数存在するR
25は同一でも異なっていてもよい。kは1以上の整数を示す。)
[16] ポリエーテル変性シロキサン化合物(E)が、下記一般式(e-1)で表される化合物、下記一般式(e-2)で表される化合物またはそれらの混合物である、[14]または[15]に記載の光学材料用重合性組成物の製造方法。
【化15】
(一般式(e-1)中、a+cは1~100の整数であり、bは1~100の整数であり、dは10~1000の整数であり、eは1~100の整数である。)
る。
【化16】
(一般式(e-2)中、f+hは好ましくは1~100の整数であり、gは1~100の整数である。)
【発明の効果】
【0010】
本発明の光学材料用重合性組成物によれば、フォトクロミック性能に優れ、白濁が抑制され透明性に優れ、脈理が抑制された外観に優れる光学材料を提供することができる。言い換えれば、本発明の光学材料用重合性組成物は、これらの特性のバランスに優れた光学材料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る光学材料用重合性組成物を、以下の実施の形態に基づいて説明する。本実施形態において、「~」は特に断りがなければ「以上」から「以下」を表す。
本実施形態の光学材料用重合性組成物は、ポリイソシアネート化合物(A)と、ポリチオール化合物(B)と、フォトクロミック化合物(C)と、ポリエーテル化合物(D)と、ポリエーテル変性シロキサン化合物(E)と、を含む。以下、各成分について説明する。
【0012】
[ポリイソシアネート化合物(A)]
ポリイソシアネート化合物(A)としては、本発明の効果を発揮する範囲で従来公知の化合物を用いることができ、例えば脂肪族イソシアネート化合物、脂環族イソシアネート化合物、芳香族イソシアネート化合物、複素環イソシアネート化合物、芳香脂肪族イソシアネート化合物等が挙げられ、1種または2種以上混合して用いられる。これらのイソシアネート化合物は、二量体、三量体、プレポリマーを含んでもよい。これらのイソシアネート化合物としては、WO2011/055540号に例示された化合物を挙げることができる。
【0013】
ポリイソシアネート化合物(A)は、好ましくは、2,5-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタン、2,6-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタン、m-キシリレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、および1,5-ペンタメチレンジイソシアネートから選択される少なくとも一種であることが好ましく、
2,5-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタン、2,6-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタン、およびビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンから選択される少なくとも一種であることがより好ましい。
【0014】
[ポリチオール化合物(B)]
ポリチオール化合物(B)は、2以上のメルカプト基を有する化合物であり、本発明の効果を発揮する範囲で従来公知の化合物を用いることができ、例えばWO2016/125736号に例示された化合物を挙げることができる。
【0015】
本実施形態において、本発明の効果の観点から、ポリチオール化合物(B)は、4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタン、5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)、2,5-ビス(メルカプトメチル)-1,4-ジチアン、1,1,3,3-テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、4,6-ビス(メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチアン、および2-(2,2-ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)-1,3-ジチエタンから選択される少なくとも一種であることが好ましく、
4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタン、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)、および2,5-ビス(メルカプトメチル)-1,4-ジチアンから選択される少なくとも一種であることがより好ましい。
【0016】
[フォトクロミック化合物(C)]
フォトクロミック化合物は特定波長の光照射により、分子構造が可逆的に変化し、それに伴って吸光特性(吸収スペクトル)が変化する化合物である
本実施形態で用いるフォトクロミック化合物(C)としては、特定の波長の光に対して吸光特性(吸収スペクトル)が変化する化合物が挙げられる。
【0017】
本実施形態において、フォトクロミック化合物(C)としては、特に制限はなく、フォトクロミックレンズに使用しうる従来公知の化合物の中から、任意のものを適宜選択して用いることができる。例えば、スピロピラン系化合物、スピロオキサジン系化合物、フルギド系化合物、ナフトピラン系化合物、ビスイミダゾール化合物等から所望の着色に応じて、1種または2種以上を用いることができる。本実施形態においては、フォトクロミック化合物(C)としてナフトピラン系化合物を用いることが好ましい。
本実施形態においては、一般式(c1)および一般式(c2)から選択される少なくとも1種のフォトクロミック化合物を用いることが好ましい。
PC-L-Chain (c1)
PC-L-Chain-L'-PC' (c2)
PCとPC'は一般式(1)~(4)の化合物から誘導される1価の基を示す。PCとPC'は同一でも異なっていてもよい。
【0018】
【0019】
式(1)~(4)中、R1~R18は、水素、ハロゲン原子、カルボキシル基、アセチル基、ホルミル基、置換されてもよいC1~C20の脂肪族基、置換されてもよいC3~C20の脂環族基、または置換されてもよいC6~C20の芳香族有機基を示し、それぞれ同一でも異なってもよい。これら脂肪族基、脂環族基または芳香族有機基は、酸素原子、窒素原子を含んでもよい。一般式(1)~(4)で表される化合物に含まれる、いずれか1つの基は、2価の有機基であるLまたはL'と結合する。
【0020】
置換されてもよいC1~C20の脂肪族基としては、直鎖あるいは分枝鎖状のC1~C10アルキル基、直鎖あるいは分枝鎖状のC1~C10アルコキシ基、直鎖あるいは分枝鎖状のC2~C10アルケニル基、C1~C10ヒドロキシアルキル基、C1~C10ヒドロキシアルコキシ基、C1~C10アルコキシ基で置換されたC1~C10アルキル基、C1~C10アルコキシ基で置換されたC1~C10アルコキシ基、C1~C5ハロアルキル基、C1~C5ジハロアルキル基、C1~C5トリハロアルキル基、C1~C10アルキルアミノ基、C1~C10アミノアルキル基、直鎖あるいは分枝鎖状のC1~C20アルコキシカルボニル基等を挙げることができる。
置換されてもよいC3~C20の脂環族基として、C3~C20のシクロアルキル基、C6~C20のビシクロアルキル基等を挙げることができる。
【0021】
置換されてもよいC6~C20の芳香族有機基としては、フェニル基、C7~C16アルコキシフェニル基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、アリールC1~C5アルキルアミノ基、環状アミノ基、アリールカルボニル基、アロイル基等を挙げることができる。
【0022】
R1とR2として、好ましくは、水素原子;ハロゲン原子;
直鎖あるいは分枝鎖状のC1~C10アルキル基、直鎖あるいは分枝鎖状のC1~C10アルコキシ基、C1~C10ヒドロキシアルコキシ基、C1~C10アルコキシ基で置換されたC1~C10アルコキシ基、C1~C5ハロアルキル基、C1~C5ジハロアルキル基、C1~C5トリハロアルキル基、C1~C5アルキルアミノ基等の、置換されてもよいC1~C20の脂肪族基;
フェニル基、C7~C16アルコキシフェニル基、C1~C5ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、アリールC1~C5アルキルアミノ基、環状アミノ基等の、置換されてもよいC6~C20の芳香族有機基;等を挙げることができる。R1とR2は、それぞれ同一でも異なってもよい。
【0023】
R3として、好ましくは、水素原子;ハロゲン原子;カルボキシル基;アセチル基;
直鎖あるいは分枝鎖状のC1~C10アルキル基、直鎖あるいは分枝鎖状のC2~C10アルケ二ル基、直鎖あるいは分枝鎖状のC1~C10アルコキシ基、C1~C10ヒドロキシアルキル基、C1~C10アルコキシ基で置換されたC1~C10アルキル基、C1~C10アミノアルキル基、直鎖あるいは分枝鎖状のC1~C20アルコキシカルボニル基等の、置換されてもよいC1~C20の脂肪族基;
C3~C20のシクロアルキル基、C6~C20のビシクロアルキル基等の、置換されてもよいC3~C20の脂環族基;
アリールカルボニル基、ホルミル基、アロイル基等の、置換されてもよいC6~C20の芳香族有機基;等を挙げることができる。
R4として、好ましくは、水素原子;ハロゲン原子;カルボキシル基;アセチル基;ホルミル基;
直鎖あるいは分枝鎖状のC1~C10アルキル基、直鎖あるいは分枝鎖状のC2~C10アルケ二ル基、直鎖あるいは分枝鎖状のC1~C10アルコキシ基、C1~C10ヒドロキシアルキル基、C1~C10アルコキシ基で置換されたC1~C10アルキル基、C1~C10アミノアルキル基、直鎖あるいは分枝鎖状のC1~C20アルコキシカルボニル基等の、置換されてもよいC1~C20の脂肪族基;
C3~C20のシクロアルキル基、C6~C20のビシクロアルキル基等の、置換されてもよいC3~C20の脂環族基;
アリールカルボニル基、アロイル基、フェニル基、C7~C16アルコキシフェニル基、C1~C10ジアルコキシフェニル基、C1~C10アルキルフェニル基、C1~C10ジアルキルフェニル基等の、置換されてもよいC6~C20の芳香族有機基;等を挙げることができる。
【0024】
R3とR4は互いに結合してもよい。R3とR4が互いに結合して環構造を形成する場合、一般式(5)または(6)が挙げられる。点線部分がR3が結合している炭素原子とR4が結合している炭素原子との間の結合を表す。
【0025】
【0026】
R5、R6、R7、R8、R9、R10、R14、R15、R16は、R1、R2と同様な官能基を示す。複数存在するR5~R7とは同一でも異なっていてもよい。
【0027】
R11として、好ましくは、水素原子;ハロゲン原子;
直鎖あるいは分枝鎖状のC1~C20アルキル基、C1~C5ハロアルキル基、C1~C5ジハロアルキル基、C1~C5トリハロアルキル基等の、置換されてもよいC1~C20の脂肪族基;
C3~C20のシクロアルキル基、C6~C20のビシクロアルキル基、C1~C5アルキル基で置換されたC3~C20シクロアルキル基、C1~C5アルキル基で置換されたC6~C20のビシクロアルキル基等の、置換されてもよいC3~C20の脂環族基;
C1~C5アルキル基で置換されたアリール基等の、置換されてもよいC6~C20の芳香族有機基;等を挙げることができる。
【0028】
R12とR13として、好ましくは、水素原子;ハロゲン原子;
C1~C10アルキル基、C1~C5アルキルアルコキシカルボニル基等の、置換されてもよいC1~C20の脂肪族基;C5~C7のシクロアルキル基等の、置換されてもよいC3~C20の脂環族基;等を示す。
【0029】
R17とR18として、好ましくは、水素原子;ハロゲン原子;
直鎖あるいは分枝鎖状のC1~C10アルキル基、C1~C10ヒドロキシアルキル基等の、置換されてもよいC1~C20の脂肪族基;C5~C7のシクロアルキル基等の、置換されてもよいC3~C20の脂環族基;等を示す。
【0030】
一般式(c1)または(c2)のLとL'は、オキシエチレン鎖、オキシプロピレン鎖、(チオ)エステル基、(チオ)アミド基から選択される少なくとも1種の基を含む2価の有機基を示す。
具体的には、LとL'は、一般式(7)~(13)で表される。LとL'は同一でも異なっていてもよい。
【0031】
【0032】
式(7)~(13)中、
Yは、酸素、硫黄を示す。
R19は、水素、直鎖あるいは分枝鎖状のC1~C10アルキル基を示す。
R20は、直鎖あるいは分枝鎖状のC1~C10アルキル基を示す。
pは、0~15の整数を示し、rは、0~10の整数を示す。
【0033】
Qは、直鎖あるいは分枝鎖状のC1~C10アルキレン基、C1~C10アルケニレン基、1,2-、1,3-、1,4-位の置換アリール基から誘導される2価の基、置換ヘテロアリール基から誘導される2価の基等を示す。
*1、*2は結合手を表し、*1は「Chain」で表される1価または2価の有機基と結合し、*2はPCまたはPC' で表される1価の有機基と結合する。
【0034】
一般式(c1)または(c2)の「Chain」は、ポリシロキサン鎖、ポリオキシアルキレン鎖から選択される少なくとも1種の鎖を含む1価または2価の有機基を示す。
ポリシロキサン鎖としては、ポリジメチルシロキサン鎖、ポリメチルフェニルシロキサン鎖、ポリメチルヒドロシロキサン鎖等が挙げられる。
ポリオキシアルキレン鎖としては、ポリオキシエチレン鎖、ポリオキシプロピレン鎖、ポリオキシヘキサメチレン鎖等が挙げられる。
【0035】
具体的には、
「Chain」は、フォトクロミック化合物が一般式(c1)の場合は、一般式(14)または(15)の1価の有機基を示す。
【0036】
【0037】
「Chain」は、フォトクロミック化合物が一般式(c2)の場合、一般式(16)または(17)の2価の有機基を示す。
【0038】
【0039】
式(14)~(17)中、
R21は、直鎖あるいは分枝鎖状のC1~C10アルキル基を示す。
R22は、直鎖あるいは分枝鎖状のC1~C10アルキル基を示す。
R23は、水素、メチル基、エチル基を示す。
nは4~75の整数を示し、mは1~50の整数を示す。
qは1~3の整数を示す。
*3、*4は結合手を表し、*3はLで表される2価の有機基と結合し、*4はL'で表される2価の有機基と結合する。
【0040】
本実施形態のフォトクロミック化合物(C)、WO2009/146509公報、WO2010/20770公報、WO2012/149599公報、WO2012/162725公報に記載の方法により得られる。
【0041】
本実施形態のフォトクロミック化合物(C)としては、Vivimed社のReversacol Humber Blue(ポリジメチルシロキサン鎖、ナフトピラン系発色団(一般式(1))、Reversacol Calder Blue(ポリジメチルシロキサン鎖、ナフトピラン系発色団(一般式(1))、Reversacol Trent Blue(ポリジメチルシロキサン鎖、ナフトピラン系発色団(一般式(1))、Reversacol Pennine Green(ポリジメチルシロキサン鎖、ナフトピラン系発色団(一般式(1))、Reversacol Heath Green(ポリオキシアルキレン鎖、ナフトピラン系発色団(一般式(1))、Reversacol Chilli Red(ポリジメチルシロキサン鎖、ナフトピラン系発色団(一般式(1))、Reversacol Wembley Grey(ポリオキシアルキレン鎖、ナフトピラン系発色団(一般式(1))、Reversacol Cayenne Red(ポリオキシアルキレン鎖、ナフトピラン系発色団(一般式(1))、Peacock Blue(ポリオキシアルキレン鎖、ナフトピラン系発色団(一般式(1))、Jalapeno Red(ポリオキシアルキレン鎖、ナフトピラン系発色団(一般式(1))等が挙げられ、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
本実施形態においては、Reversacol Trent Blue、Reversacol Heath Green、Reversacol Chilli Red、Reversacol Wembley Grey、Reversacol Cayenne Red、Peacock Blue、Jalapeno Redから選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
【0042】
フォトクロミック化合物(C)は、当該フォトクロミック化合物(C)とポリイソシアネート化合物(A)とのプレミックスにより添加することもできる。なお、本実施形態におけるポリイソシアネート化合物(A)の使用全量は、プレミックスに用いられるポリイソシアネート化合物(A)の量を含む。
【0043】
[ポリエーテル化合物(D)]
ポリエーテル化合物(D)は、数平均分子量が50~10,000の化合物から選択される少なくとも一種からなる。ポリエーテル化合物(D)の数平均分子量は、好ましくは100~8,000、さらに好ましくは500~5,000、より好ましくは1,000~4,000、特に好ましくは1,500~3,500である。
【0044】
ポリエーテル化合物(D)は、本発明の効果を発揮し得る範囲で、上記範囲の数平均分子量を有する公知の化合物から選択して用いることができる。
ポリエーテル化合物(D)は、例えば、下記一般式(d1)で表される化合物(d1)および下記一般式(d2)で表される化合物(d2)から選択される少なくとも一種からなることが好ましい。
(化合物(d1))
【0045】
【0046】
一般式(d1)中、R1およびR2は、水素原子あるいは炭素数1~18のアルキル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。複数存在するR1同士は同一または相異なっていてもよく、複数存在するR2同士は同一または相異なっていてもよい。mは15以上500以下、好ましくは30以上500以下の整数を示す。
一般式(d1)で表される化合物としては、数平均分子量が150以上、好ましくは200以上のものを用いることができる。
【0047】
化合物(d1)としては、具体的に下記一般式(d1-1)で表される化合物、一般式(d1-2)で表される化合物を用いることができる。
【0048】
【0049】
一般式(d1-1)中、R3およびR4は、水素原子あるいは炭素数1~18のアルキル基を表し、少なくともどちらか一方は水素原子である。a+cは2以上600以下、好ましくは2以上400以下の整数であり、bは1以上300以下、好ましくは1以上100以下の整数を表す。複数存在するR3およびR4は、同一でも異なっていてもよい。
【0050】
このような化合物の例としてはBASF社製のプルロニック(Pluronic)シリーズなどが挙げられる。プルロニックに含まれる化合物の構造は非特許文献1に示される。
なお、一般式(d1)で表される化合物の末端水酸基は、イソシアネート等の重合性化合物と反応する場合もある。
【0051】
一般式(d1-1)で表される化合物としては、具体的に下記一般式(d1-1')で表される化合物を挙げることができる。
【0052】
【0053】
一般式(d1-1')中、a、b、cはそれぞれユニット数を示し、それぞれ独立に3以上300以下の整数である。
このような化合物の例としてはPluronicシリーズ(BASF社製)などが挙げられる。
【0054】
【0055】
一般式(d1-2)中、a、b、cはそれぞれユニット数を示し、それぞれ独立に3以上300以下の整数である。
このような化合物の例としてはPluronic Rシリーズ(BASF社製)などが挙げられる。
【0056】
【0057】
一般式(d2)中、Qは(n+f)価の炭化水素基を表す。nは0以上の整数を示し、fは1以上の整数を示し、n+fは3以上である。mは2~58の整数を示す。
一般式(d2)中、(HO)n-R-(O)f-基は、3つ以上の1級水酸基を有するポリオールから誘導される3価以上の基である。
【0058】
化合物(d2)の例としては、CAPA(R)ポリカプロラクトンポリオール(PERSTORP社製)、PLACCEL(R)(ダイセル社製)などが挙げられる。
【0059】
[ポリエーテル変性シロキサン化合物(E)]
ポリエーテル変性シロキサン化合物(E)は、粘度が1mPa・s以上1600mPa・s未満の化合物から選択される少なくとも一種からなる。ポリエーテル変性シロキサン化合物(E)の粘度は、好ましくは5~1000mPa・s、さらに好ましくは10~500mPa・s、より好ましくは15~400mPa・s、特に好ましくは20~200mPa・sである。
【0060】
ポリエーテル変性シロキサン化合物(E)は、本発明の効果を発揮し得る範囲で、上記範囲の粘度を有する公知の化合物から選択して用いることができる。
ポリエーテル変性シロキサン化合物(E)は、例えば、下記一般式(e)で表される化合物を用いることが好ましい。
【0061】
【0062】
R1~R8は同一または異なっていてもよく、R1~R8の少なくとも一つは下記一般式(i)で表されるポリエーテル基を示し、その他のR1~R8は、同一または異なっていてもよく、炭素数1~20の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素数1~20の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基、ヒドロキシル基、またはポリシロキシ基を示す。複数存在するR2~R5は、それぞれ同一または異なっていてもよい。m、nは同一または異なっていてもよく、0以上の整数、好ましくは1~20の整数、さらに好ましくは1~10の整数を示す。
【0063】
【0064】
一般式(i)中、R25は炭素数1~20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基、R26は水素原子、炭素数1~20の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素数2~20の直鎖もしくは分岐のアルケニル基または炭素数2~20の直鎖もしくは分岐のアルキニル基を示す。複数存在するR25は同一でも異なっていてもよい。kは1以上の整数を示す。
【0065】
なお、ポリエーテル部位の重合数を示すkは1以上の整数の中から適宜選択することができるが、好ましくは1~20の整数、さらに好ましくは1~10の整数を示す。
【0066】
また、一実施形態において、本発明の効果の観点から、kは好ましくは1~1000の整数を示し、より好ましくは40~600の整数を示し、さらにより好ましくは55~550の整数を示す。
また、一実施形態において、一般式(i)で表されるポリエーテル基のR26は好ましくは水素原子または炭素数1~20の直鎖もしくは分岐のアルキル基を示す。
また、一実施形態において、一般式(i)で表されるポリエーテル基のR26は炭素数2~20の直鎖もしくは分岐のアルケニル基または炭素数2~20の直鎖もしくは分岐のアルキニル基を示す。
また、一実施形態において、本発明の効果の観点から、一般式(i)で表されるポリエーテル基のR26は、好ましくは水素原子または炭素数2~20の直鎖もしくは分岐のアルケニル基であり、より好ましくは水素原子または炭素数2~8の直鎖もしくは分岐のアルケニル基である。
【0067】
なお、上記の一般式(e)における各置換基としては、具体的には以下に示されるものを挙げることができる。
炭素数1~20の直鎖もしくは分岐のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、イソプロピレン基、n-ブチレン基、イソブチレン基、t-ブチレン基、n-ペンチレン基、イソペンチレン基、t-ペンチレン基、n-ヘキシレン基、n-ヘプチレン基、イソヘプチレン基、n-オクチレン基、イソオクチレン基、n-ノニレン基、イソノニレン基、n-デシレン基、イソデシレン基、n-ウンデシレン基、イソウンデシレン基、n-ドデシレン基、イソドデシレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、シクロオクチレン基、シクロノニレン基、メチルシクロペンチレン基、メチルシクロヘキシレン基等を挙げることができる。好ましくは、炭素数1~8の直鎖または分岐のアルキレン基である。
【0068】
炭素数1~20の直鎖もしくは分岐のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、t-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、n-デシル基、イソデシル基、n-ウンデシル基、イソウンデシル基、n-ドデシル基、イソドデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、メチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基等を挙げることができる。
好ましくは、炭素数1~8の直鎖もしくは分岐のアルキル基である。
【0069】
炭素数1~20の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、t-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、t-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、イソヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、n-ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、n-デシルオキシ基、イソデシルオキシ基、n-ウンデシルオキシ基、イソウンデシルオキシ基、n-ドデシルオキシ基、イソドデシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、シクロオクチルオキシ基、シクロノニルオキシ基、メチルシクロペンチルオキシ基、メチルシクロヘキシルオキシ基等を挙げることができる。
好ましくは、炭素数1~8の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基である。
【0070】
炭素数2~20の直鎖もしくは分岐のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、1-ヘキセニル基、2-ヘキセニル基、3-ヘキセニル基、4-ヘキセニル基、5-ヘキセニル基、6-ヘプテニル基、7-オクテニル基、8-ノネニル基、9-デケニル基、2-メチル-1-プロペニル基、2-メチル-2-プロペニル基、3-メチル-3-ブテニル基、4-メチル-4-ペンテニル基、2-シクロヘキシル-2-プロペニル基等を挙げることができる。
好ましくは、炭素数2~8の直鎖もしくは分岐のアルケニル基である。
【0071】
炭素数2~20の直鎖もしくは分岐のアルキニル基としては、例えば、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、1-ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、2-メチル-2-プロピニル基、3-メチル-1-ブチニル基、4-ペンチニル基、5-ヘキシニル基、6-ヘプチニル基、7-オクチニル基、8-ノニニル基、9-デシニル基等を挙げることができる。
【0072】
好ましくは、炭素数2~8の直鎖もしくは分岐のアルキニル基である。
一般式(e)で表される化合物として、例えば、ポリフローKL-100、ポリフローKL-600、グラノール410(共栄社化学(株)製 商品名);
BYK-302、BYK-307、BYK-322、BYK-323、BYK-331、BYK-333、BYK-347、BYK-348、BYK-349(BYK-Chemie(株)製 商品名);
KF-351、KF-353、KF-354L、KF-355、KF-355A、KF-615A、KF-618(信越化学工業(株)製 商品名);
SH3746、SH3771、SH8400、SF8410(東レ・ダウコーニング(株)製 商品名);
TSF4440、TSF4445、TSF4446、TSF4452(東芝シリコーン(株)製 商品名);等を挙げることができるが、これら例示化合物のみに限定されるものではない。これらは単独で用いても、2種以上の混合物として用いてもよい。
特に好ましい例は、ポリフローKL-100、ポリフローKL-600(共栄社化学(株)製 商品名)である。
【0073】
また、本発明の効果の観点から、一般式(e)で表される化合物は、好ましくはポリフローKL-100およびポリフローKL-600(共栄社化学(株)製 商品名)から選択される1種以上であり、より好ましくはポリフローKL-100である。
【0074】
また、本発明の効果の観点から、ポリエーテル変性シロキサン化合物(E)は好ましくは一般式(e)で表される化合物であって一般式(i)で表されるポリエーテル基のR26が水素原子である化合物および一般式(e)で表される化合物であって一般式(i)で表されるポリエーテル基のR26が炭素数2~20の直鎖もしくは分岐のアルケニル基である化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含み;
さらに好ましくは一般式(e)で表される化合物であって一般式(i)で表されるポリエーテル基のR26が水素原子である化合物および一般式(e)で表される化合物であって一般式(i)で表されるポリエーテル基のR26が炭素数2~8の直鎖もしくは分岐のアルケニル基である化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含み;
さらにより好ましくは一般式(e)で表される化合物であって一般式(i)で表されるポリエーテル基のR26が水素原子である化合物と、一般式(e)で表される化合物であって一般式(i)で表されるポリエーテル基のR26が炭素数2~8の直鎖もしくは分岐のアルケニル基である化合物からなる群から選択される少なくとも1種と、を含み;
よりいっそう好ましくは、下記一般式(e-1)で表される化合物と下記一般式(e-2)で表される化合物とを含む。
【0075】
【0076】
本発明の効果の観点から、上記一般式(e-1)中、a+cは好ましくは1~100の整数であり、より好ましくは5~50の整数である。
同様の観点から、上記一般式(e-1)中、bは好ましくは1~100の整数であり、より好ましくは5~50の整数である。
同様の観点から、上記一般式(e-1)中、dは好ましくは10~1000の整数であり、より好ましくは50~500の整数である。
同様の観点から、上記一般式(e-1)中、eは好ましくは1~100の整数であり、より好ましくは5~50の整数である。
また、同様の観点から、上記一般式(e-1)で表される化合物の分子量は、好ましくは100~10000であり、より好ましくは1000~5000である。
【0077】
【0078】
本発明の効果の観点から、上記一般式(e-2)中、f+hは好ましくは1~100の整数であり、より好ましくは1~20の整数である。
同様の観点から、上記一般式(e-2)中、gは好ましくは1~100の整数であり、より好ましくは1~10の整数である。
また、同様の観点から、上記一般式(e-2)で表される化合物の分子量は、好ましくは100~10000であり、より好ましくは500~5000である。
【0079】
また、ポリエーテル変性シロキサン化合物(E)が一般式(e-1)および一般式(e-2)で表される化合物を含むとき、ポリエーテル変性シロキサン化合物(E)中の一般式(e-1)で表される化合物と一般式(e-2)で表される化合物との質量割合は、本発明の効果の観点から、一般式(e-1)で表される化合物と一般式(e-2)で表される化合物の質量合計に対する一般式(e-1)で表される化合物の質量割合が、好ましくは50%~90%であり、より好ましくは60%~80%である。
【0080】
[その他の成分]
本実施形態においては、上記(A)~(E)成分に加えて、内部離型剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、染料、樹脂改質剤、重合触媒等をさらに含んでいてもよい。
【0081】
内部離型剤としては、酸性リン酸エステル、非反応性シリコーンオイルを用いることができる。酸性リン酸エステルとしては、リン酸モノエステル、リン酸ジエステルを挙げることができ、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0082】
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤、プロパンジオック酸エステル系紫外線吸収剤、オキサニリド系紫外線吸収剤等の種々の紫外線吸収剤を挙げることができ、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0083】
染料としては、アントラキノン系染料、ペリノン系染料、モノアゾ系染料、ジアゾ系染料、フタロシアニン系染料等を挙げることができ、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0084】
樹脂改質剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、エピスルフィド化合物、アルコール化合物、アミン化合物、エポキシ化合物、有機酸及びその無水物、(メタ)アクリレート化合物等を含むオレフィン化合物等を挙げることができ、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0085】
<光学材料用重合性組成物>
本実施形態の光学材料用重合性組成物は上記(A)~(E)成分と、必要に応じて上記その他の成分等を含む。
【0086】
ポリイソシアネート化合物(A)およびポリチオール化合物(B)の使用割合は、特に限定されないが、通常、モル比がSH基/NCO基=0.5以上3.0以下の範囲内、好ましくは0.6以上2.0以下、さらに好ましくは0.8以上1.3以下の範囲内である。
【0087】
フォトクロミック化合物(C)は、フォトクロミック性能の観点から、ポリエーテル化合物(D)100重量部に対して0.01~100重量部、より好ましくは1~10重量部である。
【0088】
ポリエーテル化合物(D)の使用量は、本発明の効果の観点から、光学材料用重合性組成物100重量%に対して0.5~10重量%、好ましくは1.0~9.0重量%、さらに好ましくは2.0~8.0重量%となる量で含むことができる。
【0089】
ポリエーテル変性シロキサン化合物(E)の使用量は、本発明の効果の観点から、光学材料用重合性組成物100重量%に対して0.001~2重量%、好ましくは0.01~1重量%となる量で含むことができる。
【0090】
ポリエーテル化合物(D)の含有量に対するポリエーテル変性シロキサン化合物(E)の含有量の比(E(重量部)/D(重量部))は、本発明の効果の観点から0.01~1.0、好ましくは0.05~0.5、より好ましくは0.10~0.40、さらに好ましくは0.15~0.20とすることができる。ポリエーテル化合物(D)を用いた場合、その添加量が多いと、フォトクロミック性能が向上するものの、脈理の発生が増加する傾向があり、これらの特性の改善はトレードオフの関係にあった。本発明においては、前記比(E/D)が上記範囲にあることにより、これらの特性をいずれも改善することができ、フォトクロミック性能により優れ、脈理がさらに抑制された外観(透明性)に優れる光学材料を得ることができる。言い換えれば、本発明の光学材料用重合性組成物は、これらの特性のバランスに優れた光学材料を提供することができる。
【0091】
本実施形態の光学材料用重合性組成物は、(A)~(E)成分と、必要に応じて上記その他の成分等を混合することにより調製することができる。
【0092】
本実施形態においては、ポリイソシアネート化合物(A)と、フォトクロミック化合物(C)と、ポリエーテル化合物(D)と、ポリエーテル変性シロキサン化合物(E)とを混合する工程aと、工程aで得られた混合液に、ポリチオール化合物(B)を混合する工程bと、
を含む製造方法により調製することが好ましい。
【0093】
工程aは、フォトクロミック化合物(C)とポリイソシアネート化合物(A)とのプレミックスを調製し、当該プレミックスに残りのポリイソシアネート化合物(A)と、ポリエーテル化合物(D)と、ポリエーテル変性シロキサン化合物(E)とを混合することもできる。
なお、本実施形態における光学材料用重合性組成物は、調製条件によって、ポリエーテル化合物(D)のミクロ相分離構造体が部分的に形成される場合もある。
【0094】
<硬化体>
本実施形態における光学材料用重合性組成物を重合硬化することにより硬化体を得ることができる。本実施形態の成形体は、ポリエーテル化合物(D)のミクロ相分離構造体と、フォトクロミック化合物(C)と、ポリイソシアネート化合物(A)とポリチオール化合物(B)が重合したチオウレタン樹脂と、を含む。ミクロ相分離構造体としては、ポリエーテル化合物(D)から構成されるミクロ相分離構造を備える重合体粒子(ミセル状粒子)等が挙げられる。ミクロ相分離構造体を含む硬化体は、フォトクロミック特性、耐熱性および機械物性に優れた光学材料を提供することができる。
【0095】
なお、フォトクロミック化合物(C)の少なくとも一部がポリエーテル化合物(D)から構成されるミクロ相分離構造体に内包されていてもよく、この場合上記効果に特に優れる。
【0096】
ミクロ相分離構造体である重合体粒子は、その体積50%平均粒子径が1nm以上1000nm以下である。当該構造は透過型電子顕微鏡により確認することができる。
【0097】
(ミクロ相分離構造)
ミクロ相分離構造とは以下のように説明される。ブロックコポリマーは共有結合を介してつながった複数の異なるコポリマー部位からなるポリマーである。このコポリマー部位は互いに異なる物性や親和性を有している。たとえば両新媒性のブロックコポリマーに関しては、強力な反発力のためにコポリマー部位はそれぞれ分離する傾向にあり、水と油のように混ざらず、そのため相分離を引き起こす。しかしそれぞれのコポリマー部位が化学的に結合しているために単純に二種類のホモポリマーを混合した場合のように完全に巨視的な相分離は引き起こされない。一方、AとBの異なるコポリマー部位からなるブロックコポリマーのミクロ相分離においてはコポリマーAに富んだ部位とコポリマーBに富んだ部位のミクロ集合体を形成する。この結果、ブロックコポリマーの構造に依存して、ナノサイズの球状ポリマーミセルのようないくつかのモルフォロジーが観察されうる。このようなブロックコポリマーのミクロ相分離の詳細に関しては、例えば参考文献(Chem. Soc. Rev., 2012, 41, 5969-5985)中に述べられている。ミクロ相分離構造を備える重合体粒子のようなミクロ相分離構造体を含むことで、濁りの少ない透明な硬化体を得ることができる。
【0098】
本実施形態の硬化体の製造方法は、上記の光学材料用重合性組成物を重合硬化する工程を含む。当該工程は、具体的には、ポリイソシアネート化合物(A)とポリチオール化合物(B)が重合して樹脂を形成するとともにポリエーテル化合物(D)がミクロ相分離構造体を形成し、前記樹脂と前記ミクロ相分離構造体とフォトクロミック化合物(C)とからなる成形体が形成される。
【0099】
本工程においては、加熱または赤外線以外の紫外線等の放射線を照射することにより、光学材料用重合性組成物を重合硬化せしめて硬化体を得ることができる。重合条件は適宜選択される。
【0100】
<成形体>
本実施形態における組成物を加熱重合して得られる樹脂およびその樹脂からなる成形体は、必要に応じて上記の様々な添加剤等が添加されて製造される。また、本実施形態における組成物に、本願に記載されていない重合反応性化合物および添加剤等を、本実施形態の効果を損なわない範囲で添加されてもよい。本実施形態の成形体は、硬化体と同様に、ポリエーテル化合物(D)のミクロ相分離構造体を含む。
【0101】
<用途>
本実施形態においては、上述の光学材料用重合性組成物を重合させる際のモールド形状を変えることにより種々の形状の成形体およびかかる成形体からなる光学材料を得ることができる。本実施形態の成形体は、所望の形状とし、必要に応じて形成されるコート層や他の部材等を備えることにより、様々な光学材料として用いることができる。
【0102】
光学材料としては、プラスチックレンズ、発光ダイオード(LED)、プリズム、光ファイバー、情報記録基板、フィルター等を挙げることができる。特に、プラスチックレンズとして好適である。
【0103】
<プラスチックレンズ>
本実施形態のプラスチックレンズは、通常、上述の光学材料用重合性組成物を用いた注型重合法によって製造される。本実施形態のプラスチックレンズの製造方法は、具体的には、光学材料用重合性組成物を注型重合することによりレンズ基材を形成する工程を含む。
【0104】
当該工程においては、得られた本実施形態の組成物をガラスモールドとガスケットまたはテープからなるキャビティーに注入し、加熱することにより、重合硬化せしめて本実施形態の樹脂およびその樹脂からなるプラスチックレンズ基材が製造される。当該工程により、ポリイソシアネート化合物(A)とポリチオール化合物(B)が重合して樹脂を形成するとともにポリエーテル化合物(D)がミクロ相分離構造体を形成し、前記樹脂と前記ミクロ相分離構造体とフォトクロミック化合物(C)とからなるプラスチックレンズ基材を得ることができる。
【0105】
重合条件については、光学材料用重合性組成物、触媒の種類と使用量、モールドの形状等によって大きく条件が異なるため限定されるものではないが、およそ、-50~150℃の温度で1~50時間かけて行われる。場合によっては、10~150℃の温度範囲で保持または徐々に昇温して、1~25時間で硬化させることが好ましい。
モールドから離型して得られたプラスチックレンズは、必要に応じて再加熱処理(アニーリング)を行ってもよい。
【0106】
本実施形態の硬化樹脂およびその樹脂からなるプラスチックレンズは、その表面に、ハードコート、反射防止コート、調光コート、滑り性付与コートまたは滑り性付与処理、および帯電防止コート等の機能性コート層等設けたり、ファッション性付与のための染色処理を行ったり、表面およびエッジの研磨等の処理を行ったり、さらには偏光性を付与する目的で偏光フィルムを内部に入れたり表面に貼り付けたり様々な機能性を付与する加工等を行ってもよい。
【0107】
本実施形態のプラスチックレンズは、メガネレンズ、カメラレンズ、ピックアップレンズ、フルネルレンズ、プリズムレンズ、およびレンチキュラレンズ等様々なレンズ用途に使用できる。それらの中でも特に好ましい用途として、表面が平滑なメガネレンズ、カメラレンズ、およびピックアップレンズが挙げられる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の様々な構成を採用することができる。
【実施例】
【0108】
以下に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例および比較例において製造した成形体の透明性、脈理は以下の方法により評価した。
【0109】
・透明性
透明性は、失透度により評価した。まず厚さ9mm、直径75mmの円形平板のレンズを作成した。次に、レンズ板に光源(HAYASHI製 Luminar Ace LA-150A) を照射して濃淡画像装置で画像の測定を行った。捉えた画像を濃淡画像処理して失透度を数値化した。得られた失透度の数値から透明性を以下の基準で評価した。また、目視による評価も行った。
3:失透度150未満(透明)
2:失透度200未満(やや白濁しているが、透明性あり)
1:失透度200以上(白濁)
【0110】
・脈理
成形体を超高圧水銀灯(光源型式OPM-252HEG:ウシオ電機社製)で投影し、透過した像から目視にて脈理の有無を確認し、以下の基準で評価した。
A:脈理なし
B:周辺部に軽微な脈理有り
C:全体に軽微な脈理有り
D:全体に中程度の脈理有り
E:全体に大きな脈理有り
【0111】
[実施例1]
2,5-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタンと2,6-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタンを含む組成物9.8重量部に、フォトクロミック化合物としてVivimed社製Reversacol Wembley Greyを0.036重量部、Vivimed社製Reversacol Heath Greenを0.060重量部、Vivimed社製 Peacock Blue 0.030重量部, およびVivimed社製 Jalapeno Red 0.024重量部、紫外線吸収剤としてHOSTAVIN PR-25 0.075重量部を溶解し、マスター液を準備した。2,5-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタンと2,6-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタンを含む組成物30.05重量部に、得られたマスター液10重量部を加えて攪拌し、そこにアデカ社製アデカプルロニックL-64を2.52重量部、酸性リン酸エステルとして城北化学工業社製JP-506Hを0.05重量部、ポリエーテル変性シロキサン化合物(ポリフローKL-100:共栄社化学製) 0.4重量部をそれぞれ加えて、15℃~20℃の間で30min攪拌した。
上記で得られた混合液に、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)を19.98重量部、4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタンを27.25重量部、それぞれ加えて15℃~20℃の間で15min攪拌した。
2,5-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタンと2,6-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタンを含む組成物10重量部に、ジメチルチンジクロリドを0.015重量部加え、均一に溶解させて溶液を作成した。この溶液を、上記で得られた混合液に加えて15℃~20℃の間で15min攪拌し、重合性組成物を得た。
その後、重合性組成物を、400Pa以下の減圧環境下・15℃~20℃の間で1H 攪拌・脱気を行った後、1.0μmのPTFEフィルターを使用してろ過を行い、この重合性組成物をガラスモールドへ注型した。重合性組成物を10℃~130℃の範囲で48時間かけて重合させた後、炉から成形型を取り出し、成形型をはずして、重合して得られた成形体を取り出した。
成形体は無色透明であり、太陽光線下に置くと直ちに発色し、光線を遮断すると消色するという良好な調光性能を有するものであった。さらに、成形体は光学材料に適した透明性を有し脈理が確認されなかった。得られた成形体の評価結果を表-1に示す。
【0112】
[実施例2]
実施例1のポリエーテル変性シロキサン化合物(ポリフローKL-100:共栄社化学製)の添加量を0.5重量部に変更した以外は、実施例1と同様に重合性組成物および成形体を作成した。
成形体は無色透明であり、太陽光線下に置くと直ちに発色し、光線を遮断すると消色するという良好な調光性能を有するものであった。さらに、成形体は光学材料に適した透明性を有し脈理が確認されなかった。得られた成形体の評価結果を表-1に示す。
【0113】
[実施例3]
実施例1のポリエーテル変性シロキサン化合物(ポリフローKL-100:共栄社化学製)の添加量を0.05重量部に変更した以外は、実施例1と同様に重合性組成物および成形体を作成した。
成形体は無色透明であり、太陽光線下に置くと直ちに発色し、光線を遮断すると消色するという良好な調光性能を有するものであった。さらに、成形体は光学材料に適した透明性を有し全体に中程度の脈理が確認された。得られた成形体の評価結果を表-1に示す。
【0114】
[実施例4]
実施例1のポリエーテル変性シロキサン化合物(ポリフローKL-100:共栄社化学製)の添加量を0.1重量部に変更した以外は、実施例1と同様に重合性組成物および成形体を作成した。
成形体は無色透明であり、太陽光線下に置くと直ちに発色し、光線を遮断すると消色するという良好な調光性能を有するものであった。さらに、成形体は光学材料に適した透明性を有し全体に中程度の脈理が確認された。得られた成形体の評価結果を表-1に示す。
【0115】
[実施例5]
実施例1のポリエーテル変性シロキサン化合物(ポリフローKL-100:共栄社化学製)の添加量を0.2重量部に変更した以外は、実施例1と同様に重合性組成物および成形体を作成した。
成形体は無色透明であり、太陽光線下に置くと直ちに発色し、光線を遮断すると消色するという良好な調光性能を有するものであった。さらに、成形体は光学材料に適した透明性を有し全体に中程度の脈理が確認された。得られた成形体の評価結果を表-1に示す。
【0116】
[実施例6]
実施例1のポリエーテル変性シロキサン化合物(ポリフローKL-100:共栄社化学製)の添加量を0.3重量部に変更した以外は、実施例1と同様に重合性組成物および成形体を作成した。
成形体は無色透明であり、太陽光線下に置くと直ちに発色し、光線を遮断すると消色するという良好な調光性能を有するものであった。さらに、成形体は光学材料に適した透明性を有し全体に軽微な脈理が確認された。得られた成形体の評価結果を表-1に示す。
【0117】
[実施例7]
実施例1のポリエーテル変性シロキサン化合物(ポリフローKL-100:共栄社化学製)の添加量を1.0重量部に変更した以外は、実施例1と同様に重合性組成物および成形体を作成した。
成形体は無色透明であり、太陽光線下に置くと直ちに発色し、光線を遮断すると消色するという良好な調光性能を有するものであった。さらに、成形体は光学材料に適した透明性を有し周辺部に軽微な脈理が確認された。得られた成形体の評価結果を表-1に示す。
【0118】
[実施例8]
2,5-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタンと2,6-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタンを含む組成物9.8重量部に、フォトクロミック化合物としてVivimed社製Reversacol Wembley Greyを0.0745重量部、Vivimed社製Reversacol Heath Greenを0.061重量部、紫外線吸収剤としてHOSTAVIN PR-25 0.075重量部を溶解し、マスター液を準備した。2,5-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタンと2,6-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタンを含む組成物29.99重量部に、得られたマスター液10重量部を加えて攪拌し、そこにアデカ社製アデカプルロニックL-64を1.94重量部、酸性リン酸エステルとして城北化学工業社製JP-506Hを0.05重量部、ポリエーテル変性シロキサン化合物(ポリフローKL-100:共栄社化学製) 0.1重量部をそれぞれ加えて、15℃~20℃の間で30min攪拌した。
上記で得られた混合液に、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)を 23.35重量部、4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタンを24.92重量部、それぞれ加えて15℃~20℃の間で15min攪拌した。
2,5-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタンと2,6-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタンを含む組成物10重量部に、ジメチルチンジクロリドを0.025重量部加え、均一に溶解させて溶液を作成した。この溶液を、上記で得られた混合液に加えて15℃~20℃の間で15min攪拌し、重合性組成物を得た。
その後、重合性組成物を、400Pa以下の減圧環境下・15℃~20℃の間で1H 攪拌・脱気を行った後、1.0μmのPTFEフィルターを使用してろ過を行い、この重合性組成物をガラスモールドへ注型した。重合性組成物を10℃~130℃の範囲で48時間かけて重合させた後、炉から成形型を取り出し、成形型をはずして、重合して得られた成形体を取り出した。
成形体は無色透明であり、太陽光線下に置くと直ちに発色し、光線を遮断すると消色するという良好な調光性能を有するものであった。さらに、成形体は光学材料に適した透明性を有し周辺部に軽微な脈理が確認された。得られた成形体の評価結果を表-1に示す。
【0119】
[実施例9]
実施例1のポリエーテル変性シロキサン化合物(ポリフローKL-100:共栄社化学製)の添加量を0.2重量部に変更した以外は、実施例1と同様に重合性組成物および成形体を作成した。
成形体は無色透明であり、太陽光線下に置くと直ちに発色し、光線を遮断すると消色するという良好な調光性能を有するものであった。さらに、成形体は光学材料に適した透明性を有し周辺部に軽微な脈理が確認された。得られた成形体の評価結果を表-1に示す。
【0120】
[実施例10]
実施例1のポリエーテル変性シロキサン化合物(ポリフローKL-100:共栄社化学製)の添加量を0.3重量部に変更した以外は、実施例1と同様に重合性組成物および成形体を作成した。
成形体は無色透明であり、太陽光線下に置くと直ちに発色し、光線を遮断すると消色するという良好な調光性能を有するものであった。さらに、成形体は光学材料に適した透明性を有し全体に軽微な脈理が確認された。得られた成形体の評価結果を表-1に示す。
【0121】
[比較例1]
ポリエーテル変性シロキサン化合物(ポリフローKL-100:共栄社化学製)を添加しなかった以外は、実施例1と同様に重合性組成物および成形体を作成した。
成形体は、太陽光線下に置くと直ちに発色し、光線を遮断すると消色するという良好な調光性能を有するものであった。成形体の透明性および脈理の評価結果を表-1に示す。
【0122】
[比較例2]
ポリエーテル変性シロキサン化合物(KF-352A:信越化学工業(株)製)を0.5重量部へ変更した以外は、実施例1と同様に重合性組成物および成形体を作成した。
成形体は、太陽光線下に置くと直ちに発色し、光線を遮断すると消色するという良好な調光性能を有するものであった。成形体の透明性および脈理の評価結果を表-1に示す。
【0123】
[比較例3]
ポリエーテル変性シロキサン化合物(X-22-4515:信越化学工業(株)製)を0.5重量部へ変更した以外は、実施例1と同様に重合性組成物および成形体を作成した。
成形体は、太陽光線下に置くと直ちに発色し、光線を遮断すると消色するという良好な調光性能を有するものであった。成形体の透明性および脈理の評価結果を表-1に示す。
【0124】
【0125】
表-1に記載の成分は以下のとおり。
A1:2,5-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタンと2,6-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ-[2.2.1]-ヘプタンを含む組成物
B1:4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタン
B2:ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)
C1:Reversacol Wembley Grey(ポリオキシアルキレン鎖、ナフトピラン系発色団(一般式(1))、Vivimed社製)
C2:Reversacol Heath Green(ポリオキシアルキレン鎖、ナフトピラン系発色団(一般式(1))、Vivimed社製)
C3:Peacock Blue(ポリオキシアルキレン鎖、ナフトピラン系発色団(一般式(1)) 、Vivimed社製)
C4:Jalapeno Red(ポリオキシアルキレン鎖、ナフトピラン系発色団(一般式(1))、Vivimed社製)
D1:アデカプルロニックL-64(数平均分子量2900のポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロックコポリマー(一般式(d1-1')))
E1:ポリフローKL-100(ポリエーテル変性シロキサン化合物(一般式(e))、共栄社化学(株)製)
E2:KF-352A(ポリエーテル変性シロキサン化合物、信越シリコーン(株)製)
E3:X-22-4515(ポリエーテル変性シロキサン化合物、信越シリコーン(株)製)
【0126】
この出願は、2019年5月16日に出願された日本出願特願2019-092679号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。