(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-20
(45)【発行日】2023-03-29
(54)【発明の名称】てんかんおよび発作疾患の治療のための3α5β-神経活性ステロイド
(51)【国際特許分類】
C07J 41/00 20060101AFI20230322BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20230322BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20230322BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20230322BHJP
A61K 31/565 20060101ALI20230322BHJP
【FI】
C07J41/00 CSP
A61P25/00
A61P25/08
A61P25/24
A61K31/565
(21)【出願番号】P 2021558713
(86)(22)【出願日】2020-04-02
(86)【国際出願番号】 CZ2020050017
(87)【国際公開番号】W WO2020200335
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-09-30
(32)【優先日】2019-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CZ
(73)【特許権者】
【識別番号】516213013
【氏名又は名称】ウスタフ オルガニッケ ヘミエ アー ビオヘミエ アカデミエ ヴェド ツェーエル,ヴェー.ヴェー.イー
(73)【特許権者】
【識別番号】517063329
【氏名又は名称】フィズィオロギッキ ウスタフ アーヴェー ツェーエル,ヴェー.ヴェー.イー
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】クドヴァ,エヴァ
(72)【発明者】
【氏名】チョドウンスカ,ハナ
(72)【発明者】
【氏名】マレス,パヴェル
(72)【発明者】
【氏名】ヴェイルズ,カレル
【審査官】早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-179351(JP,A)
【文献】特開昭63-154682(JP,A)
【文献】国際公開第2009/108804(WO,A1)
【文献】国際公開第2008/036846(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第108517001(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07J 41/00
A61P 25/00
A61P 25/08
A61P 25/24
A61K 31/565
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式Iの化合物であって、
前記一般式I中、
R
1はメチルを表し、かつR
2は水素原子または直鎖状もしくは分枝鎖状C
1~C
4アルキルであるか、または
R
1およびR
2は共に-(CH
2)
p-基を形成し、
ここで、p=2または3であり、-(CH
2)
p-基は、一般式Iの1位および3位の炭素原子と窒素原子と共に5または6員環を形成し、
R
3は-O-(CH
2)
n-O
m-であり、
ここで、n=0、1または2であり、m=0または1であり、
R
4は水素原子またはヒドロキシル基であり、
R
5は水素原子であり、かつR
6は水素原子、アセチル基、シアノ基、C
1~C
4アルキルからなる群から選択されるか、または
R
5およびR
6は共にC
1~C
2アルキリデン、シアノメチレン基、酸素原子、2つのフッ素原子からなる群から選択される構造を形成する、
一般式Iの化合物。
【化1】
【請求項2】
(3R,5R,8R,9S,10S,13S,14S,17S)-17-アセチル-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル5-オキソピロリジン-2-カルボキシレート(1)、
(3R,5R,8R,9S,10S,13S,14S,17S)-17-アセチル-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル6-オキソピペリジン-2-カルボキシレート(2)、
(3R,5R,8R,9S,10S,13S,14S,17S)-17-シアノ-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル5-オキソピロリジン-2-カルボキシレート(3)、
(3R,5R,8S,9S,10S,11R,13S,14S,17S)-17-アセチル-11-ヒドロキシ-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル5-オキソピロリジン-2-カルボキシレート(4)、
(3R,5R,8S,9S,10S,13S,14S)-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル5-オキソピロリジン-2-カルボキシレート(5)、
(3R,5R,8R,9S,10S,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-オキソヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル5-オキソピロリジン-2-カルボキシレート(6)、
(3R,5R,8S,9S,10S,13S,14S)-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル6-オキソピペリジン-2-カルボキシレート(7)、
(3R,5R,8R,9S,10S,13S,14S,17S)-17-シアノ-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル6-オキソピペリジン-2-カルボキシレート(8)、
(3R,5R,8R,9S,10S,13S,14S,17S)-17-アセチル-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イルアセチルグリシネート(9)
(3R,8R,9S,10S,13S,14S,17S)-17-アセチル-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イルアセチルロイシネート(10)、
(3R,5R,8S,9S,10S,13R,14S,17S)-10,13,17-トリメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル5-オキソピロリジン-2-カルボキシレート(11)、
(3R,5R,8R,9S,10S,13S,14S,Z)-17-エチリデン10,13ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル5-オキソピロリジン-2-カルボキシレート(12)、
2-(((3R,5R,8S,9S,10S,13S,14S)-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル)オキシ)エチル5-オキソピロリジン-2-カルボキシレート(13)
2-(((3R,5R,8S,9S,10S,13S,14S)-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル)オキシ)エチル6-オキソピペリジン-2-カルボキシレート(14)、
2-((3R,5R,8R,9S,10S,13S,14S,17S)-17-アセチル-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル)エチル5-オキソピロリジン-2-カルボキシレート(16)、
2-((3R,5R,8R,9S,10S,13S,14S,17S)-17-アセチル-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル)エチル6-オキソピペリジン-2-カルボキシレート(17)
からなる群より選択される、請求項1に係る一般式Iの化合物。
【請求項3】
薬剤として使用するための請求項1または2に係る一般式Iの化合物。
【請求項4】
てんかんまたは痙攣に関連する状態
またはてんかんに付随して起こる状態の治療に使用するための、請求項1または2に係る一般式Iの化合物。
【請求項5】
低酸素症に関連する発作、外傷性脳損傷に関連する発作、中毒に関連する発作、過剰興奮によって引き起こされる病理学的変化、情動障害、うつ病、心的外傷後ストレス障害およびストレス関連疾患、不安症、統合失調症および精神異常、関連する虚血性CNS損傷、神経変性変化および神経変性障害、多発性硬化
症から選択される状態の治療に使用するための請求項1または2に係る一般式Iの化合物。
【請求項6】
活性成分として、少なくとも1つの請求項1または2に係る一般式Iの化合物、および少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含むことを特徴とする薬学的組成物。
【請求項7】
てんかん
またはてんかんに付随して起こる状態または痙攣に関連する状
態の治療のための請求項
6に係る薬学的組成物。
【請求項8】
低酸素症に関連する発作、外傷性脳損傷に関連する発作、中毒に関連する発作、過剰興奮によって引き起こされる病理学的変化、情動障害、うつ病、心的外傷後ストレス障害およびストレス関連疾患、不安症、統合失調症および精神異常、関連する虚血性CNS損傷、神経変性変化および神経変性障害、多発性硬化症から選択される状態の治療のための請求項6に係る薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、薬学および薬理学の分野にある。本発明は、てんかん発作の動物モデルにおいて抗痙攣効果を有し、従って中枢神経系(CNS)組織を保護する化合物に関する。
【0002】
〔背景技術〕
神経ステロイドは、脳内で新規にコレステロールから合成される物質のファミリーに属する。神経ステロイドの本質的な特徴は、様々な膜貫通型神経伝達物質受容体に直接的影響を及ぼす能力である。構造的観点からの化学構造と生物学的活性との関係における重要な因子は、円AとBとの幾何学的配置(C-5位の立体化学)、C-3位の置換基の種類、およびC-17位の側鎖の配置である。別の重要な構造的因子は、分子の親油性であり(J. Med. Chem. 2015, 58, 5950)、それは合成的に修飾することができる。もっともよく研究されている神経ステロイドの中には、アロプレグナノロン(20-オキソ-5α-プレグナン-3α-オール、ALLO)、デヒドロエピアンドロステロン(17-オキソ-アンドロスト-5-エン-3β-オール、DHEA)、プレグネノロン(20-オキソ-プレグン-5-エン-3β-オール、PREG)、プロゲステロン(プレグン-4-エン-3,20-ジオン、PROG)が属する。内因性神経ステロイドの合成類似体は、神経活性ステロイドと呼ばれる。神経活性ステロイドとは、治療学的に興味深い特性を有する分子を表す。神経活性ステロイドは主に、γ-アミノ酪酸(GABAA)およびN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体のアロステリック受容体モジュレーターであり、これらの受容体はCNSの興奮-抑制バランスに関与する。神経ステロイドおよびそれらの合成類似体(神経活性ステロイド)の両方が、中枢神経系および末梢において、発達から複雑な行動の管理までの様々な機能を有する。現行の研究では、神経ステロイドの効果には、精神異常発現および認知的副作用がない可能性があることが示されている(J. Neurosci. 2016, 36, 2161)。神経活性ステロイドは、インビトロおよびインビボ実験の両方で実証される明白な治療学的可能性を有している。神経ステロイドまたは神経活性ステロイドの神経保護効果は、非ゲノムレベルで媒介される可能性が高いが、細胞内のシグナル伝達カスケード、神経伝達または酸化・炎症過程に関わるアポトーシス促進因子および抗アポトーシス因子の発現調節にもまた関与する(Front. Endocrinol. 2011, 2, 50)。神経活性ステロイドの抗痙攣作用は、発作の動物モデルにおいて実証された。ALLOおよびPROGは、ペンチレンテトラゾール(Brain Res. 2000, 881, 98)、ピロカルピン(Neuropharmacology 1996, 35, 1049)、NMDA(J. Pharmacol. Exp. Ther. 1997, 282, 543)およびカイニン酸(Psychoneuroendocrinology 2000, 25, 407)の投与により誘発された実験的発作における有意な効果を示した。ALLOは、GABAA受容体を増強するため、てんかんの動物モデルにおいて発作、死亡および細胞死の頻度を減少させる(Pol. J. Pharmacol. 1997, 49, 411)。ALLOガナキソロンの合成誘導体は、げっ歯類において発作の発生を防止することができた(Epilepsia 2010, 51, 84)。ガナキソロン、アルファキサロン、ヒドロキシジオンおよびミナキソロンなどのいくつかの合成ステロイドは、臨床試験において鎮静剤および麻酔として試験された。もっとも成果のあった合成ステロイドは、Marinus Pharmaceuticalによって開発されたALLOのC-3メチル化誘導体であるガナキソロンである。ガナキソロンは、多くの動物モデルにおいて抗てんかん剤として有効なGABAA受容体の正のアロステリックモジュレーターである。臨床研究では、成人並びに小児において良好な忍容性が実証された。てんかんは、重症度並びに治療への反応が異なる種々の発作を有する25よりも多くの症候群によって特徴づけられる(Mental Health Clinician 2017,7, 235)。てんかん患者はまた、癲癇症候群の治療をしばしば複雑にさせる異なる精神的症状(例えば、認知および行動の変化)を示すこともある(Expert Opin. Drug Saf. 2011, 10, 913)。
【0003】
てんかんに関連する一般的な心理学的共存症には、うつ病、不安症、注意欠陥障害および精神疾患があり、その罹患率は20%から30%である(Expert Opin. Drug Saf. 2011, 10, 913)。うつ病は、てんかん患者において最も一般的な精神的共存症のひとつであり、その罹患率は20%から50%である。しかし、ある集団ではその罹患率は80%に達することもある(Expert Opin. Drug Saf. 2011, 10, 913)。多くの著者によると、不安障害は、うつ病に次いで2番目の最も一般的な精神的共存症である。一方で、不安障害がより頻繁に発生することを報告する著者もいる。不安障害の発生率とてんかん患者の人生の質との間には有意な関係があることが繰り返し示されてきたことから、従って、てんかん診療において不安症および不安障害の適切な治療が、てんかん患者の個々のケアの優先事項のひとつとなるべきである。このアプローチが既に、神経ステロイドについて実験的に検証されている。PROG、DHEAおよびPREGが抗うつ作用のメカニズムに関与することを示す動物およびヒトの研究がいくつかある(Neuroscience 2011, 191, 55)。
【0004】
イオンを形成することができる置換基をC-3位に有するステロイド誘導体の神経保護作用は、特許US8575376、EP2435463およびUS15/506318によって特許請求されている。これらの文書はそれぞれ、イオン化可能な置換基によってC-3位が置換されたプレグナン誘導体(C-17位の極性アセチル置換基)およびアンドロスタン誘導体(C-17位の非極性置換基)を特許請求している。これらの荷電した誘導体の神経保護効果は、C-3位(3α-荷電した置換基)およびC-5β位における構造的特徴の特異的な組み合わせに直接的に関連し、これらの物質はイオン性グルタミン酸NMDA受容体を阻害する能力を有する。また、現行の論文および特許文献は、NMDA受容体阻害、それ故の神経保護効果は荷電したC-3置換基に依存し、荷電していない類似体はNMDA受容体調節に対する効果を欠くことを主張している(J. Pharmacol. Exp. Ther. 2000, 293, 747; Mol. Pharmacol. 1997, 52, 1113)。ここに提出する本発明の出願に特許請求される誘導体は、荷電していない環状もしくは非環状C-3位置換基を有する。
【0005】
現行の科学特許文献(US 9,527,881; J. Med. Chem. 2009, 52, 6012)は、プロリンまたはNH2基を有する非環状置換基を持つPROGのC-3位置換型ステロイド類似体の神経保護効果を列挙している。それらの物質は、一見、ここに付される本出願に特許請求される物質と構造的に類似しているように見える。具体的には、例えば上記特許の3β-L-プロリン-プロゲステロン-HCl(PI-33)である。その物質は、中枢神経系負傷のある患者の神経変性の予防および治療のためのステロイド類似体として記載される。物質PI-33を再合成し、ペンチレンテトラゾール誘発発作のモデルにおいて試験した。1および10mg/kg用量の投与は、全身性強直-間代発作の発生率を変化させなかった。いずれの用量を用いた動物の全てがこの種の発作を示した。結論付けられ得ることには、NHまたはNH2基を有する環状もしくは非環状置換基を有する物質の抗痙攣作用は一般的に予測できるものではなく、C-3位の置換または修飾は常に独特であり、付加的な方法で構造を提案することはできない。
【0006】
ステロイド誘導体の神経保護効果もまた、US20170246188A1(Method of Treating organophosphate intoxication)の出願によって主張されており、抗痙攣作用を有すると推測される。本出願の請求項は、特許請求される神経ステロイド物質が、種類または位置のいずれも定義しない一般式の群によってステロイド骨格を置換されたプレグナン、アンドロスタン、19-ノランドロスタンおよび19-ノルプレグナンとして定義されるため、推論的であると思われ得る。このように定義された一般式は、一般的に数百から数千の内因性または合成物質を包含する。例として、胆汁酸を挙げることができる。胆汁酸は、胆汁の構成要素であり、脂質の消化、コレステロールの代謝およびその体内からの除去において主要な役割を果たす。また、内因性グルココルチコイドホルモンであるテトラヒドロコルチコステロンも上述の例として言及することができる。上記の無作為に挙げられた物質は前記一般式の定義を満たす一方で、当業者は、これらの物質がいわゆるコリン作動性クリーゼ症状と定義される結果を伴う有機リン中毒の治療に効果がないことを前もって予測できることは明らかである。その効果はまた、ラットのペンチレンテトラゾール誘発発作のモデルにおいて試験された。アロプレグナノロン(S)-5-オキソピロリジン-2-カルボキシレートは、12日齢並びに25日齢のラットにおいて、ペンチレンテトラゾール(100mg/kg)を高用量で皮下投与することで誘発された全身性強直-間代発作に対して中程度の作用しか有さない。これらの結果は、神経ステロイドの治療効果は、一般的に予測できないこと、およびC-3位の置換もしくは修飾(C-3位においてある大きさのある種の置換基と結合したD環であり得る)は、常に極めて独特であって、前もって予測不可能であり、付加的なアプローチでの設計が不可能であることを明確に示している。
【0007】
〔発明の概要〕
本発明に係る化合物は、P12ラット、すなわちヒトの乳児の生後初期に相当する期間において著しく高い効率性を示す。本発明の化合物は、年齢依存的てんかん症候群に対して選択的活性を有する。未成熟の脳におけるてんかん症候群およびてんかんは、成熟した脳におけるそれらとは著しく異なる生理学的パラメータを有する。高い発作感受性およびてんかん発作の容易な発生は、少なくとも思春期前の時期まで続く脳の生後発達が原因である。発達初期段階では、抑制メカニズムは十分に発達および安定しておらず、神経伝達物質および神経修飾物質の変化を含む神経回路網の発達が激しい。発達初期段階におけるてんかんは、成人のてんかんとは対照的に、継続的に変化および発達している脳の神経生物学的基質によって起こる。小児てんかん学は、幼少期、児童期および思春期においてのみ存在する特定の年齢関連的てんかん症候群を説明する。加えて、成人期において存在するてんかんと同一のてんかん、すなわち非年齢関連的な症候群もまた存在する。この結果、成人のてんかんよりも児童期のてんかんの領域は、はるかに広い。
【0008】
ふさわしい薬物療法には、正確な診断が非常に重要である。年齢関連的(年齢特異的、年齢依存的)てんかんの一部は、抗てんかん剤の臨床的使用に感応的でない。これが、年齢特異的抗てんかん剤という特定の薬理学的範囲を開発する理由である。てんかんの種類は、予後および脳の発達に重要である。行動面の症状および神経精神学パラメータへ最小限の影響のみ与える良性てんかん症候群がある。一方で、通常脳症を伴う重篤なてんかん症候群がある。このてんかんは、結果として認知障害および精神運動発達の後退する可能性をまねくため、非常に重篤であると分類される。完全な補償の機会はごくわずかである。それは、本発明の化合物の年齢特異的な効力であり、これは年齢関連的診断(稀な疾患を含む)において本発明の化合物を使用することを決定づける。本発明の化合物は、個体発生並びに成人期の間に、精神・神経発達症候群および共存症の両方が存在する場合に重要となるだろう。本発明の化合物は、発達段階および成熟したラットの精神疾患の動物モデルにおいて有望な結果を示す。
【0009】
年齢特異的な効力は、本発明の化合物と比較的近い構造を有する既知の神経活性ステロイドのいずれでも観察されていない。そのため、特許請求される化合物は、その薬理学的特徴において特異的かつ独特である。その生物学的作用は、利用可能な技術水準に由来するものではない。
【0010】
発明者によって行われた評価において、1、5および10mg/kgの用量の本発明の化合物は、痙攣発作を有意に抑制した。最大用量(10mg/kg、i.p.)では、成熟した動物においてペンチレンテトラゾール誘発発作を消失させ、成熟したラットにおいて有意に、全身性強直-間代発作の発生率を低下させ、かつその潜時を引き延ばした。10mg/kgの用量では、60mA刺激電流強度によって引き起こされる発作をほぼ完全に阻害した。
【0011】
本発明は、一般式Iの化合物であって、
前記一般式I中、
R1はメチルを表し、かつR2は水素原子または直鎖状もしくは分枝鎖状C1~C4アルキルであるか、または
R1およびR2は共に-(CH2)p-基を形成し、
ここで、p=2または3であり、-(CH2)p-基は、一般式Iの1位および3位の炭素原子と窒素原子と共に5または6員環を形成し、
R3は-O-(CH2)n-Om-を表し、
ここで、n=0、1または2であり、m=0または1であり、
R4は、ステロイド骨格のC-11位における水素原子またはヒドロキシル基であり、
R5は水素原子であり、かつR6は、ステロイド骨格のC-17位における置換基であり、水素原子、アセチル基、シアノ基、C1~C4アルキルからなる群から選択されるか、または
R5およびR6は共にC1~C2アルキリデン、シアノメチレン基、酸素原子、2つのフッ素原子からなる群から選択される構造を形成する、
一般式Iの化合物を提供する。
【0012】
【0013】
基の定義は、当業者によって一般的に理解されるものとして使用する。
【0014】
アルキルは、1つの水素原子が除去されることで形成される、直鎖状もしくは分枝鎖状C1~C4、好ましくはC1~C3、最も好ましくはC1~C2の飽和脂肪族炭化水素のラジカルである。
【0015】
アルキレンは、直鎖状、分枝鎖状もしくは環状、好ましくは直鎖状もしくは分枝鎖状の2価の脂肪族炭化水素鎖である。
【0016】
アセチル基は、-CO-CH3基を意味する。
【0017】
シアノ基は、-C≡Nを意味する。
【0018】
シアノアルキル基は、1つの水素原子が-C≡N基によって置換された上述のアルキル基からなる基を意味する。
【0019】
シアノメチレン基は、=CH-C≡N基を意味する。
【0020】
1,1-ジフルオロエチル基は、-CF2-CH3基である。
【0021】
C1~C2アルキリデンは、二重結合を含む2価の脂肪族炭化水素鎖(=CH2または=CH-CH3)である。
【0022】
用語「ヒドロキシル」は、-OH基を表す。
【0023】
好ましい実施形態において、本発明は、以下の化学式Iの化合物を提供する:
(3R,5R,8R,9S,10S,13S,14S,17S)-17-アセチル-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル5-オキソピロリジン-2-カルボキシレート(1)、
(3R,5R,8R,9S,10S,13S,14S,17S)-17-アセチル-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル6-オキソピペリジン-2-カルボキシレート(2)、
(3R,5R,8R,9S,10S,13S,14S,17S)-17-シアノ-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル5-オキソピロリジン-2-カルボキシレート(3)、
(3R,5R,8S,9S,10S,11R,13S,14S,17S)-17-アセチル-11-ヒドロキシ-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル5-オキソピロリジン-2-カルボキシレート(4)、
(3R,5R,8S,9S,10S,13S,14S)-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル5-オキソピロリジン-2-カルボキシレート(5)、
(3R,5R,8R,9S,10S,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-オキソヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル5-オキソピロリジン-2-カルボキシレート(6)、
(3R,5R,8S,9S,10S,13S,14S)-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル6-オキソピペリジン-2-カルボキシレート(7)、
(3R,5R,8R,9S,10S,13S,14S,17S)-17-シアノ-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル6-オキソピペリジン-2-カルボキシレート(8)、
(3R,5R,8R,9S,10S,13S,14S,17S)-17-アセチル-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イルアセチルグリシネート(9)
(3R,8R,9S,10S,13S,14S,17S)-17-アセチル-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イルアセチルロイシネート(10)、
(3R,5R,8S,9S,10S,13R,14S,17S)-10,13,17-トリメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル5-オキソピロリジン-2-カルボキシレート(11)、
(3R,5R,8R,9S,10S,13S,14S,Z)-17-エチリデン10,13ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル5-オキソピロリジン-2-カルボキシレート(12)、
2-(((3R,5R,8S,9S,10S,13S,14S)-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル)オキシ)エチル5-オキソピロリジン-2-カルボキシレート(13)
2-(((3R,5R,8S,9S,10S,13S,14S)-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル)オキシ)エチル6-オキソピペリジン-2-カルボキシレート(14)、
2-((3R,5R,8R,9S,10S,13S,14S,17S)-17-アセチル-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル)エチル5-オキソピロリジン-2-カルボキシレート(16)、
2-((3R,5R,8R,9S,10S,13S,14S,17S)-17-アセチル-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル)エチル6-オキソピペリジン-2-カルボキシレート(17)。
【0024】
本発明の別の目的は、薬剤として使用するための一般式Iの化合物および対応する上述の特定の化合物である。
【0025】
本発明の一態様は、てんかんまたは痙攣に関連する状態(低酸素症に関連する発作;外傷性脳損傷に関連する発作;中毒に関連する発作;過剰興奮によって引き起こされる病理学的変化など)の治療に使用するための、一般式Iの化合物である。
【0026】
本発明の一態様は、てんかんに付随して起こり得る状態(情動障害、うつ病、心的外傷後ストレス障害(PTSD)およびストレス関連疾患、不安症、統合失調症および精神異常、関連する虚血性CNS損傷、神経変性変化および神経変性障害、多発性硬化症など)の治療に使用するための一般式Iの化合物である。
【0027】
本発明はまた、てんかんまたはてんかんに関連する共存症または痙攣に関連する他の状態(低酸素症に関連する発作;外傷性脳損傷に関連する発作;中毒に関連する発作;過剰興奮によって引き起こされる病理学的変化など)の治療またはてんかんに付随して起こる状態(情動障害、うつ病、心的外傷後ストレス障害(PTSD)およびストレス関連疾患、不安症、統合失調症および精神異常、関連する虚血性CNS損傷、神経変性変化および神経変性障害、多発性硬化症など)の治療のための動物またはヒトの薬剤の製造における、請求項1または2に係る一般式Iの化合物の使用を含む。
【0028】
一態様において、本発明はさらに、てんかんおよびてんかんに関連する共存症または痙攣に関連する他の状態(低酸素症に関連する発作;外傷性脳損傷に関連する発作;中毒に関連する発作;過剰興奮によって引き起こされる病理学的変化など)の治療またはてんかんに付随して起こり得る状態(情動障害、うつ病、心的外傷後ストレス障害(PTSD)およびストレス関連疾患、不安症、統合失調症および精神異常、関連する虚血性CNS損傷、神経変性変化および神経変性障害、多発性硬化症など)の治療のための方法であって、
前記方法は、そのような治療を必要とする患者に少なくとも1つの一般式Iの化合物を投与する工程を含む方法を含む。
【0029】
本発明の目的はまた、活性成分として、少なくとも1つの一般式Iの化合物を含む薬学的組成物である。一般式Iの化合物は、好ましくは上述の特定の好ましい化合物のリストから選択され得る。
【0030】
薬学的組成物は、ヒトまたは動物への使用に適し得るかまたは、それらへの使用を目的とし得る。薬学的組成物は典型的には、薬学的に許容可能な賦形剤(フィラー、バインダー、溶媒、希釈剤、グリダント(glidants)、潤滑剤、安定化剤、防腐剤、着色料、被覆剤など)をさらに含む。適した賦形剤およびそれらの使用は、医薬製剤の分野の当業者に知られている。
【0031】
本発明の目的はまた、てんかんおよびてんかんに関連する共存症または痙攣に関連する他の状態(低酸素症に関連する発作;外傷性脳損傷に関連する発作;中毒に関連する発作;過剰興奮によって引き起こされる病理学的変化など)の治療に使用するための上述の薬学的組成物である。
【0032】
本発明の目的はまた、てんかんに付随して起こり得る状態(情動障害、うつ病、心的外傷後ストレス障害(PTSD)およびストレス関連疾患、不安症、統合失調症および精神異常、関連する虚血性CNS損傷、神経変性変化および神経変性障害、多発性硬化症など)の治療に使用するための上述の薬学的組成物である。
【0033】
本発明はまた、実験的研究および分析化学への使用に適した分析標準物質の生産のための、または身体の個々の部分の反応を改善することを目的とする食品サプリメントまたは化粧品に含まれる痙攣関連疾患に対する活性成分または補助的成分としての一般式Iの化合物の使用を含む。
【0034】
〔図面の簡単な説明〕
図1は、ゼブラフィッシュ(Danio rerio)のPTZ誘発発作のモデルにおける実施例1、2および3の物質の抗痙攣効果を示す。実施例1(A)、2(B)および3(C)の物質を、1、3および5mg/kgの用量で使用した。それぞれのグラフは、自発的な移動活動(左のグラフ)、水泳速度(中央のグラフ)およびターン数(特定の予測不能な動き、右のグラフ)に対する効果を示す。
【0035】
図2は、ゼブラフィッシュ(Danio rerio)のPTZ誘発発作のモデルにおける実施例1、2および3の物質の抗痙攣効果を示す。実施例1(A)、2(B)および3(C)の物質を、1、3および5mg/kgの用量で使用した。それぞれのグラフは、自発的な移動活動および暗/明行動パターンに対する効果を示す。
【0036】
図3は、12日齢および25日齢のラットのPTZ誘発発作のモデルにおける実施例1の物質の抗痙攣効果を示す。1、5および10mg/kg、i.p.の用量を使用した(x軸)。グラフA(y軸、%)-強直期のある全身性発作(GTCS)および強直期のない不完全な発作(GCS)の発生率;グラフB(y軸、s)-全身性発作の開始までの潜時;グラフC(y軸、スコア)-5段階評価による発作の重症度;それぞれの動物を、もっとも重症な事象によって分類した。段階:0-活動なし;1-独立した間代性筋痙攣;2-微小な間代発作および/またはてんかん性筋反射の独立した要素;3-立ち直り反応を維持した微小な間代発作;4-不完全な全身性発作(GCS);5-完全な全身性強直-間代発作(GTCS)。略語:P12-12日齢の動物;P25-25日齢の動物。アスタリスクは、対照と比較して有意な相違があることを示す;0または1-1匹のラットでのみ発作が消失したまたは発作が見られた。
【0037】
図4は、12日齢および25日齢のラットのPTZ誘発発作のモデルにおける実施例2の物質の抗痙攣効果を示す。1、5および10mg/kg、i.p.の用量で使用した(x軸)。グラフA(y軸、%)-強直期のある全身性発作(GTCS)および強直期のない不完全な発作(GCS)の発生率;グラフB(y軸、s)-全身性発作の開始までの潜時;グラフC(y軸、スコア)-5段階評価による発作の重症度;それぞれの動物を、もっとも重症な事象によって分類した。段階:0-活動なし;1-独立した間代性筋痙攣;2-微小な間代発作および/またはてんかん性筋反射の独立した要素;3-立ち直り反応を維持した微小な間代発作;4-不完全な全身性発作(GCS);5-完全な全身性強直-間代発作(GTCS)。略語:P12-12日齢の動物;P25-25日齢の動物。アスタリスクは、対照と比較して有意な相違があることを示す;0または1-1匹のラットでのみ発作が消失したまたは発作が見られた;nt-試験していない。
【0038】
図5は、12日齢および25日齢のラットのPTZ誘発発作のモデルにおける実施例3の物質の抗痙攣効果を示す。1、5および10mg/kg、i.p.の用量で使用した(x軸)。グラフA(y軸、%)-強直期のある全身性発作(GTCS)および強直期のない不完全な発作(GCS)の発生率;グラフB(y軸、s)-全身性発作の始まりまでの潜時;グラフC(y軸、スコア)-5段階評価による発作の重症度;それぞれの動物を、もっとも重症な事象によって分類した。段階:0-活動なし;1-独立した間代性筋痙攣;2-微小な間代発作および/またはてんかん性筋反射の独立した要素;3-立ち直り反応を維持した微小な間代発作;4-不完全な全身性発作(GCS);5-完全な全身性強直-間代発作(GTCS)。略語:P12-12日齢の動物、P25-25日齢の動物。アスタリスクは、対照と比較して有意な相違があることを示す;0または1-1匹のラットでのみ発作が消失したまたは発作が見られた;nt-試験していない。
【0039】
図6は、若年期(P60)のオスのラットの6Hz皮質間電気刺激により誘発された発作のモデルにおける実施例1の物質の抗痙攣効果を示す。最初の刺激の20分前に、1、5および10mg/kg、i.p.の用量のステロイド物質を投与した。グラフA(y軸 %)-完全な全身性発作(GTCS)および不完全、すなわち強直期のない全身性発作(GCS)の発生率;グラフB(y軸 %)-微小な間代発作の発生率;グラフC(y軸 s)-全身性発作の潜時;グラフD(y軸 s)-微小な間代発作の潜時;グラフE(y軸 スコア)-5段階評価による発作の重症度;それぞれの動物を、もっとも重症な事象によって分類した。段階:0-活動なし;1-独立した間代性筋痙攣;2-微小な間代発作および/またはてんかん性筋反射の独立した要素;3-立ち直り反応を維持した微小な間代発作;4-不完全な全身性発作(GCS);5-完全な全身性強直-間代発作(GTCS)。アスタリスクは、対照と比較して有意な相違があることを示す;1または2-1匹または2匹のラットでのみ発作が消失したまたは発作が見られた。
【0040】
図7は、15日齢および25日齢のオスのラットの6Hz皮質間電気刺激にり誘発された発作のモデルにおける実施例1の物質の抗痙攣効果を示す。X軸-使用した電流強度(P15のラットでは60および80mA、P25のラットでは40および60mA)。Y軸-発作の発生率%(A);発作の継続時間s(B)、スコアで表される発作の重症度(C)。5段階評価による発作の重症度;それぞれの動物を、もっとも重症な事象によって分類した。段階:0-活動なし;1-独立した間代性筋痙攣;2-微小な間代発作および/またはてんかん性筋反射の独立した要素;3-立ち直り反応を維持した微小な間代発作;4-不完全な全身性発作(GCS);5-完全な全身性強直-間代発作(GTCS)。アスタリスクは、対照と比較して有意な相違があることを示す。略語:P12-12日齢の動物;P25-25日齢の動物。
【0041】
図8は、ボックスプロット(25および75%の中央値)で表されるように、若年期(P60)のオスのラットの6Hz皮質間電気刺激により誘発された発作のモデルにおける実施例1の物質の抗痙攣効果を示し、最大値および最小値(y軸);用量mg/kg(x軸)。それぞれのボックス中の記号は、動物についてのそれぞれの値を示す。
【0042】
図9は、組織損傷、NMDA障害のモデル、グルタミン酸誘発興奮毒性のモデルのそれぞれにおける1mg/kgの用量での実施例1の化合物の神経保護効果。組織損傷は、NMDA(25mmol/L)をオスのラットの背側の海馬(dorsal hippocampus)に注入することで引き起こされる。パネル(A)の図は対照動物の脳の薄片、パネル(B)の図はNMDAを含む溶液を背側の海馬に投与され、(2-ヒドロキシプロピル)-β-シクロデキストリンによってi.p.処理された動物群(NMDA障害)、パネル(C)は、前記背側の海馬にNMDA障害があり、CDXに1mg/kgの用量で溶解された実施例1の化合物によってi.p.処理された動物の脳の薄片の代表的な画像を示す。
【0043】
本発明は、実施例によってさらに説明されるが、それらは本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0044】
〔略語一覧〕
CHCl3 クロロホルム
CDX (2-ヒドロキシプロピル)-β-シクロデキストリン
DCM ジクロロメタン
DMAP 4-ジメチルアミノピリジン(IUPAC:N,N-ジメチルピリジン-4-アミン)
DMF ジメチルホルムアミド(IUPAC:N,N-ジメチルホルムアミド)
DMSO ジメチルスルホキシド
EDCI 1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロリド
ESI エレクトロスプレーイオン化
HPLC 高速液体クロマトグラフィ
HRMS 高分解能質量分析
IC 赤外分光法
MS 質量分析
NMDA N-メチル-D-アスパラギン酸
NMR 核磁気共鳴
PBS リン酸緩衝生理食塩水
〔実施例-化学〕
無水条件を必要とする反応は常に、予備乾燥装置中、不活性雰囲気下で行った。分析対象のサンプルは、50℃、100mbarの圧力下において五酸化リン上で乾燥させた。50℃の水浴中、回転式蒸発装置(0.25kPa)によって、溶媒を溶液から分離した。シリカゲル(ICN Biochemicals)の薄層に被覆されたプレート上で、薄層クロマトグラフィ(TLC)を行った。シリカゲルFluka(60ミクロン)上で調製用カラムクロマトグラフィを行った。融点は、Hund Wetzlar H-600(Helmut Hund, Germany)で測定した。旋光度は、クロロホルムオートポール4旋光計(Rudolph Research Analytical, Flanders, USA)で測定した。[α]D値は、[10-1.deg.cm2.g-1]で示され、濃度値は、[g・100ml-1]とし、20℃の標準温度に補正した。赤外線スペクトルは、ニコレット6700(Thermo Scientific, USA)を使用して、クロロホルム中で測定した。NMRスペクトルは、Bruker AVANCE IIITM400MHzのFTモードで、内部標準としてテトラメチルシラン(TMS)を使用して測定した。化学シフトは、ppm(δ-スケール)で示され、結合定数(J)はHzで示される。信号の多重度は、以下のように指定される:s-一重項、d-二重項、t-三重項、q-四重項、m-多重項、brは広域性を示す。質量スペクトルは、LTQ Advantage Thermo spectrometerにおいて正または負のモードでのESIまたはEIイオン化(10eV)で測定した。
【0045】
〔一般的手順〕
<一般的手順A>
3-ヒドロキシステロイド(1.0mmol)、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP、0.25mmol)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロリド(EDCI、2.7mmol)およびヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt、2.2mmol)の混合物を、真空下、室温で1時間乾燥させた。次いで、乾燥ジメチルホルムアミド(10mL)を不活性雰囲気下で加え、続いて乾燥DMF(5mL)中の特定のカルボン酸(1.5mmol)をゆっくりと滴下した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒蒸発後、残渣をカラムクロマトグラフィにより精製した。
【0046】
<一般的手順B>
ヒドロキシステロイド(1.0mmol)、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP、0.25mmol)および特定のカルボン酸(1.5mmol)の混合物を、真空下、室温で1時間乾燥させた。次いで、乾燥ジクロロメタン(DCM、2mL)を不活性雰囲気下で加え、続いて、乾燥DCM(10mL)中の1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロリド(EDCI、2.7mmol)をゆっくりと滴下した。反応混合物を、室温で一晩撹拌した。18時間後、それを水に注いだ。混合された抽出物を、HCl水溶液(5%)、NaHCO3水溶液、ブラインで洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させた。溶媒蒸発後、残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィにより精製した。
【0047】
〔実施例1:(3R,5R,8R,9S,10S,13S,14S,17S)-17-アセチル-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル5-オキソピロリジン-2-カルボキシレート(1)〕
化合物1を、一般的手順A(DMF)に従って作製した。20-オキソ-5β-プレグナン-3α-オール(318mg、1.0mmol)から出発し、L-ピログルタミン酸(194mg、1.5mmol)を用いて、化合物1(370mg、89%)をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィ(5%アセトン/クロロホルム)により得た:mp 167-168℃(クロロホルム, ジエチルエーテル), [α]D
20+105.6 (c 0.3, CHCl3)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 0.60 (3H, s, H-18), 0.94 (3H, s, H-19), 2.11 (3H, s, H-21), 4.16-4.24 (1H, m, H-C2´), 4.80 (1H tt, J = 11.4, 4.8 Hz, H-3), 5.86 (1H, s, N-H)。13C NMR (101 MHz, CDCl3): δ 209.7, 177.6, 171.5, 75.9, 64.0, 56.8, 55.6, 44.5, 41.9, 40.6, 39.3, 35.9, 35.1, 34.7, 32.2, 31.7, 29.3, 26.9, 26.7, 26.4, 25.1, 24.6, 23.4, 23.1, 21.0, 13.6。IRスペクトル(CHCl3): 1734, 1702 (C = O), 1230 (C-O)。MS: ESI m/z 452.3 (100%, M+Na)。HR-MS (ESI) m/z: C26H39NO4Na [M+Na]において、計算値, 452.27713; 実測値, 452.26742。C26H39NO4 (429.6)において、計算値: 72.69%, C; 9,15%, H; 3.26%, N. 実測値: 72.29%, C; 9,15%, H; 3.11%, N。
【0048】
〔実施例2:(3R,5R,8R,9S,10S,13S,14S,17S)-17-アセチル-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル6-オキソピペリジン-2-カルボキシレート(2)〕
化合物2を、一般的手順B(DCM)に従って作製した。化合物(318mg、1.0mmol)から出発し、6-オキソ-L-ピペコリン酸(213mg、1.5mmol)を用いて、化合物2(142mg、32%)をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィ(3%アセトン/クロロホルム)により得た:mp 139-141℃(アセトン/n-ヘプタン), [α]D
20+103.2 (c 0.3, CHCl3)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 0.60 (3H, s, H-18), 0.94 (3H, s, H-19), 4.05 (1H, m, H-C2´), 4.81 (1H, m, H-3), 6.14 (1H, s, N-H)。13C NMR (101 MHz, CDCl3): δ 209.7, 171.4, 170.5, 76.1, 64.0, 56.8, 55.1, 44.5, 42.0, 41.0, 39.3, 35.9, 35.0, 34.7, 32.2, 31.7, 31.2, 27.0, 26.7, 26.4, 25.6, 24.6, 23.4, 23.1, 21.0, 19.7, 13.6。IRスペクトル(CHCl3): 3402 (NH); 1734, 1698, 1663 (C = O)。MS: ESI m/z 466.3 (100 %, M+Na)。HR-MS (ESI) m/z:C27H41NO4Na [M+Na]において、計算値, 466.29278; 実測値, 466.29283。
【0049】
〔実施例3:(3R,5R,8R,9S,10S,13S,14S,17S)-17-シアノ-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル5-オキソピロリジン-2-カルボキシレート(3)〕
化合物を、一般的手順B(DCM)に従って作製した。3α-ヒドロキシ-5β-アンドロスタン-17β-カルボニトリル(250mg、0.83mmol)から出発し、L-ピログルタミン酸(139mg、1.07mmol)を用いて、化合物3(180mg、53%)を、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィ(20%アセトン/クロロホルム)により得た:mp 188-189℃(クロロホルム/ジエチルエーテル), [α]D
20+75.5 (c 0.2, CHCl3)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 0.91 (3H, s, H-18), 0.96 (3H, s, H-19), 4.25 (1H, ddd, J = 8.8, 5.1, 0.7 Hz, H-C2´), 4.80 (1H tt, J = 11.3, 4.8 Hz, H-3), 5.92 (1H, s, N-H)。13C NMR (101 MHz, CDCl3): δ 177.7, 171.5, 121.4, 75.8, 55.6, 54.5, 44.7, 41.8, 40.5, 40.5, 37.4, 36.3, 35.1, 34.8, 32.2, 29.3, 26.8, 26.8, 26.6, 26.4, 25.0, 24.7, 23.3, 20.6, 14.8。IRスペクトル(CHCl3): 2237 (CN), 1735, 1705 (C = O), 1229 (C-O)。MS: ESI m/z 435.3 (100%, M+Na)。HR-MS (ESI) m/z: C25H36N2O3Na [M+Na]において、計算値, 435.26181; 実測値, 345.26135。C25H36N2O3(412.6)において、計算値: 72.78%, C; 8.80%, H; 6.79%, N. 実測値: 72.39%, C; 8.64%, H; 6.33%, N。
【0050】
〔実施例4:(3R,5R,8S,9S,10S,11R,13S,14S,17S)-17-アセチル-11-ヒドロキシ-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル5-オキソピロリジン-2-カルボキシレート(4)〕
化合物4を、一般手順A(DMF)に従って作製した。20-オキソ-5β-プレグナン-3α,11α-ジオール(334mg、1.0mmol)から出発し、L-ピログルタミン酸(193mg、1.5mmol)を用いて、化合物4(213mg、48%)を、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィ(CHCl3中30%アセトン)により得た:mp 183-185℃(クロロホルム/ジエチルエーテル), [α]D
20+86.4 (c 0.2, CHCl3)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 0.62 (3H, s, H-18), 1.06 (3H, s, H-19), 2.13 (1H, s, H-21), 3.91 (1H, s, H-11), 4.20 (1H, ddd, J = 8.7, 5.2, 0.7 Hz, H-C2´), 4.85 (1H, tt, J = 10.9, 5.1 Hz, H-3), 5.83 (1H, s, N-H)。13C NMR (101 MHz, CDCl3): δ 209.1, 177.7, 171.5, 76.3, 69.1, 63.5, 55.7, 55.6, 50.8, 47.3, 44.3, 43.5, 38.0, 35.9, 34.8, 32.7, 31.6, 29.3, 27.6, 27.4, 26.3, 25.0, 24.5, 23.7, 23.1, 14.6。IRスペクトル(CHCl3): 1734, 1702 (C = O)。MS: ESI m/z 468.3 (100%, M+Na)。HR-MS (ESI) m/z: C26H39NO5Na [M+Na]において、計算値, 468.27219; 実測値, 468.27204。C26H39NO5 (445.6)において、計算値: 70.08%, C; 8.82%, H; 3.14%, N. 実測値: 69.91%, C; 8.68%, H; 2.87%, N。
【0051】
〔実施例5:(3R,5R,8S,9S,10S,13S,14S)-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル5-オキソピロリジン-2-カルボキシレート(5)〕
化合物5を、一般手順A(DFM)に従って作製した。3α-ヒドロキシ-5β-アンドロスタン(300mg、0.94mmol)から出発し、L-ピログルタミン酸(190mg、1.5mmol)を用いて、化合物5(210mg,58%)を、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィ(5%アセトン/クロロホルム)により得た:mp 136-137℃(クロロホルム/ジエチルエーテル), [α]D
20+29.5 (c 0.2, CHCl3)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 0.69 (3H, s, H-18), 0.94 (3H, s, H-19), 4.16-4.24 (1H, m, H-C2´), 4.79 (1H tt, J = 11.3, 4.8 Hz, H-3), 5.89 (1H, s, N-H)。13C NMR (101 MHz, CDCl3): δ 177.5, 171.4, 76.0, 55.5, 54.5, 41.9, 40.9, 40.7, 40.5, 39.0, 36.2, 35.0, 34.7, 32.1, 29.2, 27.0, 26.7, 26.5, 25.5, 24.9, 23.3, 20.8, 20.6, 17.5。IRスペクトル(CHCl3): 1734, 1704 (C = O)。MS: ESI m/z 386.3 (100%, M-H)。HR-MS (ESI) m/z:C24H36NO3 [M-H]において、計算値, 386.27007; 実測値, 386.26962。C24H37NO3 (387.3)において、計算値: 74.38%, C; 9.62%, H; 3.61%N. 実測値: 74.20%, C; 9.61%, H; 3.26%, N。
【0052】
〔実施例6:(3R,5R,8R,9S,10S,13S,14S)-10,13-ジメチル-17-オキソヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル5-オキソピロリジン-2-カルボキシレート(6)〕
化合物6を、一般手順A(DMF)に従って作製した。17-オキソ-5β-アンドロスタン-3α-オール(290mg、1.0mmol)から出発し、L-ピログルタミン酸(194mg、1.5mmol)を用いて、化合物6を、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィ(5%アセトン/クロロホルム)により得た:mp 114-116℃(アセトン/n-ヘプタン), [α]D
20 +98.5 (c 0.2, CHCl3)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 0.86 (3H, s, H-18), 0.97 (3H, s, H-19), 4.20 (1H, m, H-C2´), 4.80 (1H, m, H-3), 5.91 (1H, s, N-H)。13C NMR (101 MHz, CHCl3): δ 221.3, 177.7, 171.5, 75.8, 55.6, 51.6, 47.9, 41.9, 40.9, 36.1, 35.5, 35.0, 34.9, 32.2, 31.8, 29.3, 26.8, 26.6, 25.4, 25.0, 23.3, 21.9, 20.3, 13.9。IRスペクトル(CHCl3): 3439 (NH); 1703, 1706 (C = O); 1060 (C-O)。MS: ESI m/z 424.2 (100%, M+Na)。HR-MS (ESI) m/z: C24H35NO4Na [M+Na]において、計算値, 424.24583; 実測値, 424.24548。C24H35NO4 (401.2)において、計算値: 71.79%, C; 8.79%, H; 3.49%, N. 実測値: 71.40%, C; 8.93%, H, 3.32%, N。
【0053】
〔実施例7:(3R,5R,8S,9S,10S,13S,14S)-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル6-オキソピペリジン-2-カルボキシレート(7)〕
化合物を、一般手順A(DMF)に従って作製した。5β-アンドロスタン-3α-オール(276mg、1.0mmol)から出発し、6-オキソ-L-ピペコリン酸(213mg、1.5mmol)を用いて、化合物7(189mg、47%)を、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィ(5%アセトン/クロロホルム)により得た:mp 109-111℃(ジエチルエーテル), [α]D
20 +18.3 (c 0.3, CHCl3)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 0.68 (3H, s, H-18), 0.94 (3H, s, H-19), 4.04 (1H, m, H-C2´), 4.81 (1H, m, H-3), 6.13 (1H, s, N-H)。13C NMR (101 MHz, CHCl3): δ 171.4, 170.6, 76.3, 55.1, 54.7, 42.0, 41.1, 40.9, 40.6, 39.1, 36.3, 35.2, 34.9, 32.3, 31.2, 27.1, 26.8, 26.7, 25.7, 25.6, 25.6, 23.4, 21.0, 20.7, 19.7, 17.6。IRスペクトル(CHCl3): 3402 (NH); 1734, 1665 (C = O); 1062 (C-O)。MS: ESI m/z 424.3 (100%, M+Na)。HR-MS (ESI) m/z:C25H39NO3Na [M+Na]において、計算値, 424.28222; 実測値, 424.28258。C25H39NO3 (401.3)において、計算値: 74.77%, C; 9.79%, H; 3.49%, N. 実測値: 74.97%, C; 9.92%, H; 3.43%, N。
【0054】
〔実施例8:(3R,5R,8R,9S,10S,13S,14S,17S)-17-シアノ-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル6-オキソピペリジン-2-カルボキシレート(8)〕
化合物8を、一般手順A(DMF)に従って作製した。3α-ヒドロキシ-5β-アンドロスタン-17β-カルボニトリル(112mg、0.37mmol)から出発し、6-オキソ-L-ピペコリン酸(80mg、0,56mmol)を用いて、化合物8を、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィ(3%アセトン/クロロホルム)により得た:mp 69-71℃(エチルアセトン/n-ヘプタン), [α]D
20 +65.4 (c 0.3, CHCl3)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 0.91 (3H, s, H-19), 0.95 (3H, s, H-18), 2.29 (1H, t, J = 8.8 Hz, H-17), 4.04 (1H, m, H-C2´), 4.81 (1H, m, H-3), 6.12 (1H, s, N-H)。13C NMR (101 MHz, CHCl3): δ 171.4, 170.5, 121.4, 75.9, 55.1, 54.5, 44.7, 41.8, 40.5, 40.5, 37.4, 36.3, 35.0, 34.8, 32.2, 31.2, 26.8, 26.8, 26.7, 26.4, 25.6, 24.7, 23.3, 20.7, 19.7, 14.5。IRスペクトル(CHCl3): 3403 (NH); 2237 (CN); 1734, 1664, 1418 (C = O); 1062 (C-O)。MS: ESI m/z 449.3 (100%, M+Na)。HR-MS (ESI) m/z: C26H38N2O3Na [M+Na]において、計算値, 449.27746; 実測値, 449.27789。C26H38N2O3(426.6)において、計算値: 73.20%, C; 8.98%, H; 6.57%, N. 実測値: 73.22%, C; 9.29%, H; 6.25%, N。
【0055】
〔実施例9:(3R,5R,8R,9S,10S,13S,14S,17S)-17-アセチル-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イルアセチルグリシネート(9)〕
化合物を、一般手順A(DMF)に従って作製した。20-オキソ-5β-プレグナン-3α-オール(318mg、1.0mmol)から出発し、N-アセチルグリシン(176mg、1.5mmol)を用いて、化合物9(338mg、81%)を、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィ(3%アセトン/クロロホルム)により得た:mp 111-113℃(エチルアセトン/n-ヘプタン), [α]D
20 +92.0 (c 0.3, CHCl3)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 0.60 (3H, s, H-18), 0.93 (3H, s, H-19), 2.04 (3H, s, H-C5´), 2.11 (3H, s, H-21), 2.53 (1H, t, J = 8.8 Hz, H-17), 4.00 (2H, d, J = 5.0 Hz, H-C5´), 4.80 (1H, m, H-3), 6.00 (1H, m, N-H)。13C NMR (101 MHz, CHCl3): δ 209.7, 170.2, 169.7, 75.9, 63.9, 56.8, 44.4, 41.9, 41.8, 40.6, 39.3, 35.9, 35.1, 34.8, 32.3, 31.7, 27.0, 26.7, 26.4, 24.6, 23.4, 23.2, 23.0, 21.0, 13.6。IRスペクトル(CHCl3): 3463, 1516 (NH); 1734, 1697, 1676 (C = O); 1192, 1063 (C-O)。MS: ESI m/z 440.3 (100%, M+Na)。HR-MS (ESI) m/z: C25H39NO4Na [M+Na]において、計算値, 440.27713; 実測値, 440.27753。C25H39NO4(417.6)において、計算値: 71.91%, C; 9.41%, H; 3.35%, N. 実測値: 72.03%, C; 9.36%, H; 3.39%, N。
【0056】
〔実施例10:(3R,8R,9S,10S,13S,14S,17S)-17-アセチル-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イルアセチルロイシネート(10)〕
化合物10を、一般手順A(DMF)に従って作製した。20-オキソ-5β-プレグナン-3α-オール(318mg、1.0mmol)から出発し、N-アセチル-L-ロイシン(260mg、1.5mmol)を用いて、化合物10(155mg、33%)を、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィ(15%エチルアセトン/石油エーテル)により、ジアステレオマーの混合物として得た後、C3’-R/S(未確認)ジアステレオマーをHPLC精製(20%アセトン/ヘキサン)により油状生成物として得た:[α]D
20 +93.3 (c 0.3, CHCl3)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 0.60 (3H, s, H-18), 0.93 (3H, s, H-19), 0.95 (6H, dd, J = 6.3, 4.5 Hz, H-C5´and C6´), 2.02 (3H, s, H-acetyl-L-leucinate), 2.11 (3H, s, H-21), 2.55 (1H, t, J = 8.8 Hz, H-17), 4.58 (1H, m, H-C2´), 4.76 (1H, m, H-3), 5.83 (1H, m, NH)。13C NMR (101 MHz, CHCl3): δ 209.8, 173.0, 169.9, 75.6, 64.0, 56.8, 51.1, 44.5, 42.0, 40.6, 39.3, 35.9, 35.1, 34.8, 32.2, 31.7, 27.0, 26.7, 26.5, 25.0, 24.6, 23.4, 23.4, 23.0, 23.0, 22.3, 21.0。IRスペクトル(CHCl3): 3436 (NH); 2959, 2872 (CH3); 1727, 1697 (C = O); 1193, 1021 (C-O)。MS: ESI m/z 496.3 (100%, M+Na)。HR-MS (ESI) m/z: C29H48NO4 [M+H]において、計算値, 474.35779; 実測値, 474.35753。C29H47NO4 (473.7)において、計算値: 73.53%, C; 10.00%, H; 2.96%, N. 実測値: 73.37%, C; 10.35%, H; 2.69%, N。
【0057】
〔実施例11:(3R,5R,8S,9S,10S,13R,14S,17S)-10,13,17-トリメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル5-オキソピロリジン-2-カルボキシレート(11)〕
化合物11を、一般的手順A(DMF)に従って作製した。17β-メチル-5β-アンドロスタン-3α-オール(102mg、0.35mmol)から出発し、L-ピログルタミン酸(112mg、0.525mmol)を用いて、化合物11(124mg、60%)を、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィ(アセトン/クロロホルム、1:50~1:6)により、白色無定形固体として得た:mp 157-158℃(アセトン/n-ヘプタン), [α]D
20 +31.0 (c 0.3, CHCl3)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 0.52 (3H, s, H-18), 0.82 (3H, d, J = 6.8 Hz, 17-Me), 0.94 (3H, s, H-19), 4.19 (dd, J = 8.6, 5.2 Hz, H-C2´), 4.78 (1H, tt, J = 11.4, 4.8 Hz, H-3), 6.19 (1H, s, N-H)。13C NMR (101 MHz, CDCl3): δ 177.9, 171.6, 76.1, 55.9, 55.7, 45.3, 42.3, 42.2, 40.9, 37.8, 36.2, 35.2, 34.8, 32.3, 30.4, 29.4, 27.2, 26.7, 26.6, 25.0, 24.8, 23.5, 20.7, 13.9, 12.2。IRスペクトル(CHCl3): 3206, 3118 (NH), 2951, 2867 (CH2), 1736 (C = O), 1716 (C = O), 1448 (CH2), 1203, 1022 (C-O)。MS: ESI m/z 424.3 (100%, M+Na), 402.3 (24%, M+H)。HR-MS (ESI) m/z:C25H39NO3Na [M+Na]において、計算値, 424.2823, 実測値, 424.2822; C25H40NO3[M+H]において、計算値, 402.3003, 実測値, 402.3003。C25H39NO3(401.6)において、計算値: 74.77%, C; 9.79%, H; 3.49%, N. 実測値: 74.77%, C; 9.94%, H; 2.94%, N。
【0058】
〔実施例12:(3R,5R,8R,9S,10S,13S,14S,Z)-17-エチリデン10,13ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル5-オキソピロリジン-2-カルボキシレート(12)〕
化合物12を、一般手順A(DMR)に従って作製した。5β-プレグナン-17-エチリデン-3α-オール(302mg、1.0mmol)から出発し、L-ピログルタミン酸(194mg、1.5mmol)を用いた。粗生成物を、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィ(8%アセトン/クロロホルム)により予備精製した。化合物12(190mg、46%)を、以下の設定のHPLC分離により得た。高圧ポンプ(モデル361、Gilson)、注入バルブRheodyne、PC(software Trilution LC, Gilson)に接続される予備ELSD検出器(Gilson)。流量17mL/分、アセトン/ヘキサン 20/80、溶出時間48分間。カラムLuna5μmSi(2);Axia Packed 250×21.2mm。ローディング:1mLのジクロロメタン:mp 155-157℃(アセトン/ヘキサン), [α]D
20 +57.1 (c 0.3, CHCl3)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 0.86 (3H, s, H-18), 0.95 (3H, s, H-19), 4.20 (1H, ddd, J = 8.7, 5.4, 0.7 Hz, H-C2´), 4.79 (1H, tt, J = 11.4, 4.8 Hz, H-3), 5.11 (1H, qt, J = 7.1, 2.0 Hz, H-20), 5.86 (1H, s, N-H)。13C NMR (101 MHz, CDCl3): δ 177.6, 171.6, 150.4, 113.4, 76.1, 56.4, 55.6, 44.6, 42.0, 40.7, 37.5, 35.5, 35.0, 34.8, 32.3, 31.6, 29.3, 27.1, 26.7, 26.3, 25.0, 24.5, 23.4, 21.2, 17.0, 13.3。IRスペクトル(CHCl3): 3438, 1706 (オキソピロリジン); 1734 (C = O); 1244, 1022 (C-O); 1678, 828 (C=C)。MS: ESI m/z 827.6 (100%, 2M), 414.3 (65%, M+H)。HR-MS (ESI) m/z: C26H40NO3 [M+H]において、計算値, 414.30027; 実測値, 414.29987。C26H39NO3 (413.6)において、計算値: 75.50%, C; 9.50%, H; 3.39%, N. 実測値: 75.24%, C; 9.51%, H; 3.02%, N。
【0059】
〔実施例13:2-(((3R,5R,8S,9S,10S,13S,14S)-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル)オキシ)エチル5-オキソピロリジン-2-カルボキシレート(13)〕
化合物13を、一般的手順A(DMF)に従って作製した。3-(5β-アンドロスタン-3α-イル)オキシ)エタン-1-オール(320mg、10mmol)から出発し、L-ピログルタミン酸(194mg、1.5mmol)を用いた。粗生成物を、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィ(8%アセトン/クロロホルム)により予備精製した。化合物13(180mg、42%)を、以下の設定のHPLC分離によって得た。高圧ポンプ(モデル361、Gilson)、注入バルブRheodyne、PC(software Trilution LC, Gilson)に接続された予備ELSD検出器(Gilson)。流量17mL/分、アセトン/ヘキサン 20/80、溶出時間45分間。カラムLuna5μmSi(2);Axia Packed 250×21.2mm。ローディング:1mLのジクロロメタン:mp 110-111℃(アセトン/ヘキサン), [α]D
20 +11.4 (c 0.3, CHCl3)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 0.67 (3H, s, H-18), 0.92 (3H, s, H-19), 3.28 (1H, tt, J = 11.1, 4.6 Hz, H-3), 3.48 (1H, q, J = 7.0 Hz, H-C2´), 3.64-3.74 (2H, m, OCH2CH2O-ster), 4.18-4.42 (2H, m, OCH2CH2O-ster), 5.92 (1H, s, N-H)。13C NMR (101 MHz, CDCl3): δ 177.6, 172.1, 79.9, 65.7, 65.3, 55.4, 54.7, 42.3, 41.1, 40.8, 40.6, 39.2, 36.4, 35.6, 35.2, 33.3, 29.2, 27.4, 27.3, 26.9, 25.7, 25.0, 23.6, 21.0, 20.7, 17.6。IRスペクトル(CHCl3): 3437, 1705 (オキソピロリジン); 1744 (C = O); 1240, 1033 (C-O)。MS: ESI m/z 454.3 (87%, M+Na), 432.3 (58%, M+H)。HR-MS (ESI) m/z:C26H42NO4 [M+H]において、計算値, 432.31084; 実測値, 432.31049。C26H41NO4 (431.6)において、計算値: 72.35%, C; 9.58%, H; 3.25%, N. 実測値: 71.99%, C; 9.93%, H; 3.13%, N。
【0060】
〔実施例14:2-(((3R,5R,8S,9S,10S,13S,14S)-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル)オキシ)エチル6-オキソピペリジン-2-カルボキシレート(14)〕
化合物14を、一般的手順A(DMF)に従って作製した。3-(5β-アンドロスタン-3α-イル)オキシ)エタン-1-オール(320mg、1.0mmol)から出発し、6-オキソ-L-ピペコリン酸(214mg、1.5mmol)を用いた。粗生成物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィ(5%アセトン/クロロホルム)により予備精製した。化合物14(170mg、38%)を、以下の設定のHPLC分離により得た。高圧ポンプ(モデル361、Gilson)、注入バルブRheodyne、PC(software Trilution LC, Gilson)に接続された予備ELSD検出器(Gilson)。流量17mL/分、アセトン/ヘキサン 20/80、溶出時間42分間。カラムLuna5μmSi(2);Axia Packed 250×21.2mm。ローディング:1mLのジクロロメタン:mp 117-119℃(アセトン/ヘキサン), [α]D
20 +8.1 (c 0.3, CHCl3)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 0.68 (3H, s, H-18), 0.92 (3H, s, H-19), 3.27 (1H, tt, J = 11.1, 4.6 Hz, H-3), 3.69 (2H, ddd, J = 5.5, 4.2, 1.3 Hz, OCH2CH2O-ster), 4.12 (1H, ddd, J = 8.3, 5,1, 1,6 Hz, H-C2´), 4.25-4.36 (2H, m, OCH2CH2O-ster), 6.11 (1H, s, N-H)。13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 171.0, 170.9, 79.6, 65.3, 65.1, 54.6, 54.4, 42.0, 40.8, 40.5, 40.3, 38.9, 36.0, 35.2, 34.8, 33.0, 30.9, 27.1, 26.9, 26.6, 25.4, 25.3, 23.2, 20.7, 20.4, 19.4, 17.3。IRスペクトル(CHCl3): 3400, 1666 (オキソピペリジン); 1743 (C = O); 1294, 1244 (C-O)。MS: ESI m/z 468.3 (100%, M+Na), 446.3 (88%, M+H)。HR-MS (ESI) m/z:C27H44NO4[M+H]において、計算値, 446.32649; 実測値, 446.32614。C27H43NO4(445.6)において、計算値: 72.77%, C; 9.73%, H; 3.14%, N. 実測値: 72.63%, C; 9.65%, H; 3.03%, N。
【0061】
〔実施例15:1-((3R,5R,8R,9S,10S,13S,14S,17S)-3-(2-ヒドロキシエチル)-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]ペナントレン-17-イル)エタン-1-オン(15)〕
THF(20mL)中の20-オキソ-5β-プレグナン-3α-酢酸(5.9g、16.0mmol)を、THF(580mL)中のLiAlH4(1.4g、36.8mmol)の還流溶液に滴下して加えた。2時間の還流後、反応混合物を0℃に冷却し、Na2SO4の飽和水溶液で急冷し、固体を濾別した。濾液を真空濃縮し、残渣をエチルアセトンで希釈した。混合された抽出物を、塩酸水溶液(10%;3×40mL)、水(3×40mL)、およびNaHCO3飽和水溶液(3×40mL)で洗浄した。溶媒をNa2SO4上で乾燥させ、蒸発させた。シリカゲルでのカラムクロマトグラフィ(4%エチルアセトン/石油エーテル)による精製により、ヒドロキシル誘導体(3.1°g、54%)を20Rおよび20S異性体の混合物として得た。それを、次の反応工程で使用した。NaOCl水溶液(5.5%、30mL)を、酢酸(75mL)中のヒドロキシ誘導体の溶液(3°g、8.6mmol)へ加えた。室温で1時間撹拌した後、イソプロパノール(45mL)を加え、反応混合物をさらに30分間撹拌した。次いで、それを水で希釈し、クロロホルム(3×30mL)で抽出した。混合された抽出物をブラインで洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、溶媒を蒸発させた。シリカゲルでのカラムクロマトグラフィ(3~5%アセトン/ヘキサン)の後、以下の設定のHPLC分離を行った。高圧ポンプ(モデル361、Gilson)、注入バルブRheodyne、PC(software Trilution LC、Gilson)に接続された予備ELSD検出器(Gilson)。流量10mL/分、アセトン/ヘキサン 20/80、溶出時間36分間。カラムLuna5μmSi(2);Axia Packed 250×21.2mm。ローディング:3mLのジクロロメタン。化合物15(850mg、25%)を次の反応工程で使用した:1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 0.59 (3H, s, H-18), 0.92 (3H, s, H-19), 2.11 (3H, s, H-21), 2.53 (1H, t, J = 9.0 Hz, H-17), 3.66 (2H, t, J = 6.9 Hz, O-CH2-CH-ster)。13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 209.6, 63.8, 61. 7, 56.7, 44.2, 39.9, 39.2, 37.3, 35.6, 35.3, 34.6, 31.4, 31.1, 30.4, 29.5, 27.0, 26.2, 24.6, 24.3, 24.0, 22.7, 20.8, 13.3。
【0062】
〔実施例16:2-((3R,5R,8R,9S,10S,13S,14S,17S)-17-アセチル-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル)エチル5-オキソピロリジン-2-カルボキシレート(16)〕
化合物16を、一般的手順A(DMF)に従って作製した。20-オキソ-5β-プレグナン-3αエタノール(347mg、1mmol)から出発し、L-ピログルタミン酸(194mg、1.5mmol)を用いた。粗生成物を、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィ(8%アセトン/クロロホルム)により予備精製した。化合物16(200mg、44%)を、以下の設定のHPLC分離により得た。高圧ポンプ(モデル361、Gilson)、注入バルブRheodyne、PC(software Trilution LC、Gilson)に接続された予備ELSD検出器(Gilson)。流量10mL/分、アセトン/ヘキサン 40/80、溶出時間42分間。カラムLuna5μmSi(2);Axia Packed 250×21.2mm。ローディング:3mLのジクロロメタン:低融点固体、[α]D
20 +66.3 (c 0.3, CHCl3). 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 0.59 (3H, s, H-18), 0.93 (3H, s, H-19), 2.11 (3H, s, H-21), 4.18 (2H, t, J = 6.9 Hz, O-CH2-CH-ster), 4.26-4.21 (1H, m, H-C2´), 5.90 (1H, s, N-H)。13C NMR (101 MHz, CDCl3): δ 209.8, 177.6, 172.1, 65.1, 64.1, 57.0, 55.5, 44.5, 40.2, 39.5, 37.6, 35.9, 35.6, 31.7, 31.3, 30.5, 30.2, 29.3, 27.2, 26.5, 25.0, 25.0, 24.7, 24.6, 24.3, 23.0, 21.1, 13.6。IRスペクトル(CHCl3): 3438, 1739, 1702 (オキソピロリジン); 2924, 2864 (CH2)。MS: ESI m/z 480.3 (100%, M+Na), 458.3 (12%, M+H)。HR-MS (ESI) m/z:C28H44NO4[M+H]において、計算値, 458.32649; 実測値, 458.32611。C28H43NO4(457.7)において、計算値: 73.49%, C; 9.47%, H; 3.06%, N. 実測値: 73.08%, C; 9.43%, H; 2.79%, N。
【0063】
〔実施例17:2-((3R,5R,8R,9S,10S,13S,14S,17S)-17-アセチル-10,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル)エチル6-オキソピペリジン-2-カルボキシレート(17)〕
化合物KK-17を、一般的手順A(DMF)に従って作製した。20-オキソ-5β-プレグナン-3α-エタノール(347mg、1.0mmol)から出発し、6-オキソ-L-ピペコリン酸(214mg、1.5mmol)を用いた。粗生成物をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィ(5%アセトン/クロロホルム)により予備精製した。化合物KK-17(175mg、37%)を、以下の設定のHPLC分離により得た。高圧ポンプ(モデル361、Gilson)、注入バルブRheodyne、PC(software Trilution LC、Gilson)に接続された予備ELSD検出器(Gilson)。流量12mL/分、アセトン/ヘキサン 40/60、溶出時間37分間。カラムLuna5μmSi(2);Axia Packed 250×21.2mm。ローディング:1mLのジクロロメタン:mp 油, [α]D
20 +61.5 (c 0.2, CHCl3)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 0.59 (3H, s, H-18), 0.93 (3H, s, H-19), 2.11 (3H, s, H-21), 4.10-4.03 (2H, m, OCH2CH2O-ster), 4.30-4.11 (1H, m, H-C2´), 6.11 (1H, s, N-H)。13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 209.8, 171.3, 171.2, 164.4, 65.2, 64.1, 57.0, 55.0, 44.5, 40.2, 39.5, 37.5, 35.9, 35.6, 31.7, 31.3, 31.2, 30.5, 30.2, 27.9, 27.2, 26.5, 25.6, 24.6, 24.3, 23.0, 21.1, 19.7, 13.6。IRスペクトル(CHCl3): 3102 (oxopiperidine); 1739, 1697 (C = O); 1265, 1011 (C-O)。MS: ESI m/z 494.3 (100%, M+Na)。HR-MS (ESI) m/z:C29H45NO4Na [M+Na]において、計算値, 494.32408; 実測値, 494.32371。
【0064】
〔インビボでの実験〕
ZeClinics animal facility (Barcelona)にて、成熟した野生型(血統AB)ゼブラフィッシュ(Danio rerio)を、28~29℃で、14時間の明期:10時間の暗期の照明サイクル(午前7時に点灯、午後9時に消灯)下に置いた。動物およびそれらのケアに関する全ての手順は、カタロニアの政府から承認されるCEA-OH/9421/2に従って行われた。ペアの交配によって得られた胚を、温度が28.5℃に制御されたE3メディア(E3 media)中で、実験が行われる受精から7日後(dpf)まで育てた。
【0065】
化合物の抗痙攣効果を未成熟のラットのてんかん発作の2つのモデル(PTZモデルおよび6Hzモデル)において評価した。12日齢および25日齢のラットにおいてPTZ痙攣、15日齢および25日齢のラットにおいて6Hz誘発発作を試験した。どちらの試験においても若年期のラット(P60)もまた使用した。出生日をP0とした。事前認知効果(precognitive effect)を評価する実験を、Wistar種およびLong Evans種の成熟したオスのラット(3か月齢、体重300~400g)において行った。全ての動物は、生理学研究所CASの繁殖施設(証明書番号1396/2014-MZE-17214)から入手した。動物は、自由に食糧および水を得ることができる状態で、標準的な条件(21±1℃、湿度50~60%、照明計画12/12)下に置いた。動物への全ての操作は、https://nc3rs.org.uk/arrive-guidelinesおよびチェコ動物保護法246/1992 Sb.および国際指令(動物実験に関するEU指令2010/63/EU)に従って行った。
【0066】
実験における研究動物の数の減少に対する倫理的要求に関連して、実施例1の化合物を選択して、抗痙攣効果および神経保護効果を試験した。
【0067】
〔ゼブラフィッシュ(Danio rerio)のペンテトラゾール誘発発作のモデルにおけるステロイド化合物の抗痙攣効果〕
ゼブラフィッシュ(Danio rerio)の神経系における特許請求される化合物の抗痙攣作用。Danio rerioは、ヒトを含む哺乳類に対して多くの生理学的類似点を有する非常に汎用性の高い生物であるため、この試験は、成熟した動物における試験の近代的な代替方法である(Expert Opin. Drug Metab. Toxicol. 2009, 5, 393)。ステロイド化合物を、受精後7日目(dpf)の野生型幼生において、3つの濃度(1、3および5μmol・L-1)で試験した。負の対照として、兄弟である幼生をDMSO1%で培養した。これにより、PTZで処理された幼生の行動的変化を発見することができる。5mmol・L-1の用量でのペンテトラゾール(PTZ)の処理によって発作が誘発された。商業的に入手可能な抗痙攣剤トピラメートを比較対象として使用した。結果を、GraphPad Prism softwareで分析し、統計的有意性を、一方向ANOVA統計分析、続いてTukeyの多重比較検定によって評価した。ゼブラフィッシュの幼生の移動運動および視覚的刺激に対する反応を追跡し、EthoVision XT 12ソフトウェアおよびDanioVision装置(Noldus Information Technologies, Wageningen, The Netherlands)によって分析した。
【0068】
このクローズドシステムは、循環水を有するチャンバ上に位置するカメラおよび28℃に設定される温度センサからなる。48穴プレートに個別にされた幼生を、ソフトウェアによって制御された異なる刺激(明/暗環境、タッピング、音)を与えることができるチャンバ内に配置する。各実験の前に、幼生を順応させるために暗所に10分間置き、次いで、幼生に予め決定された一連の交互の暗環境および明環境を与える。最後の実験プロトコルは、3つの主要部分に分けられる:最初に、点灯した状態の15分間のステップ、次いで、連続した5回の短いフラッシュ光によりてんかん発作を誘発する、最後に、25分間の暗/明交互環境段階。異なる段階から異なるまとまった情報を推定することができる:最初のステップは、全体の幼生の移動運動における変化を発見することができる一方で、第2の部分は、発作を誘発する視覚的刺激に対する幼生の反応を分析し、発作の特徴:最大速度およびターン数(発作特有の異常な動き)を測定することを可能にする。最後の段階は、幼生の動きの異常および定形型行動(ゼブラフィッシュの自然な移動行動は、暗所で行動的であり、明所で不動である)からの逸脱を発見するのに有用である。化合物の抗痙攣効果を、実施例1、実施例2および実施例3に示される化合物について、1,3および5mg/kgの用量で研究した。結果(
図1および
図2)は、全ての物質が、3つの評価パラメータ(自発的移動活動、最大速度およびターン)において、PTZにより誘発されたてんかん様の移動活動を有意に低減させたことを示す。また、全ての物質は、鎮静させることなく、暗期/明期試験においててんかん様の移動活動を減少させた。
【0069】
〔ラットにおけるステロイド誘導体の抗痙攣効果〕
未成熟のオスのWistarラットの2つの年齢グループを、いずれの実験においても使用した。PTZモデルにおいて、脳の成熟度が生後初期のヒトの乳児、すなわち現行の薬物療法に対して最も耐性のある小児てんかん性脳症が見られ始める期間に相当するP12。他のグループであるP25動物は、就学年齢の小児に相当する。100mg/kgの用量のPTZの皮下注射により、全身性強直-間代発作を引き起こした。6Hzモデルを、P15において試験した(この日齢では、目は開いており、外科的にまぶたをそらす必要はない)。持続時間1秒間の二相性パルスをUgo Basile companyの定電流刺激装置によって皮質間に3秒間印加した。PTZ誘発全身性発作は、ヒト全身性強直-間代発作のモデルであり、6Hz刺激によって誘発される発作は、一般的に一時的な発作(精神運動発作、複雑部分発作)のモデルとされる。潜時および発作の重症度の相違を、ANOVA、続いてHolm-Sidak検定による一対比較によって評価した。発作の発生率を、Fischer直接確立検定により評価した。臨界p値を、p=0.05に設定した。
【0070】
〔PTZ誘発発作におけるステロイド誘導体の効果〕
抗痙攣効果を、12日齢および25日齢のオスのWistarラットで試験した。ステロイド誘導体を、PTZ(100mg/kg、s.c.)の投与の20分前に、1、5および10mg/kg、i.p.の用量で投与した。
【0071】
実施例1の化合物の抗痙攣効果を
図3に示す。12日齢のラット:1mg/kgの用量では、GTCSの強直期を抑制し、5mg/kgの用量では、発作の発生率を有意に減少し、10mg/kgの用量では、発作を完全に抑制した。1および5mg/kgの用量では、GTCSの潜時を有意に引き延ばした。25日齢のラット:5および10mg/kgの用量はで、強直期に対する選択的効果なしに、GTCSの発生率を減少させる。発作の潜時は、1mg/kgの用量の後に変化はなく、より多い用量の2つでは、1匹の動物でのみ発作を引き起こした。発作の重症度は、GTCSの存在をコピーした。実施例2の化合物の抗痙攣効果を
図4に示す。5および10mg/kgの用量の実施例2の化合物は、両方の年齢のグループにおいて、GTCSの発生率および発作の重症度を有意に抑制した。実施例3の化合物の抗痙攣効果を
図5に示す。5および10mg/kgの用量のこの物質は、25日齢のラットにおいて、GTCSの発生率を抑制した。12日齢のグループは、5mg/kgの用量によってのみ有意な効果がみられた。
【0072】
成熟したラットにおける実施例1の化合物の抗痙攣効果を、
図6に示す。10mg/kgの用量は、全身性強直-間代発作(GTCS)の発生率を有意に減少させ、一方で、微小な間代発作には影響を与えなかった。GTCSの潜時は、これらの発作を示す両方の動物において、5mg/kgの用量によって有意に減少した。GTCSは、10mg/kgの投与後の1匹のラットでのみ起こった。発作の重症度は、5および10mg/kgのいずれの投与後でも有意に減少した。
【0073】
〔ラットの6Hz発作モデルにおけるステロイド誘導体の効果〕
若いグループは15日齢の動物から構成された。この日齢の動物は、目が開いており、外科的にまぶたをそらす必要はない。他のグループは、25日齢であった。これらの2つの年齢グループの感応度は異なる。そのため、15日齢のラットには40、60および80mAの、25日齢の動物には20、40および60mAの電流強度を使用した。刺激は、20分間隔で行い、各刺激の10分前に局所麻酔として、メソカインの点眼薬を使用した。10mg/kg、i.p.の用量のステロイド誘導体を、最初の刺激の20分前に投与した。実施例1の化合物の抗痙攣効果を
図7に示す。60mAの電流強度の刺激により引き起こされた発作は抑制され、80mAの電流強度の刺激により引き起こされた発作は抑制されなかった。発作の持続時間は、両方の電流強度で有意に短くなった:発作の重症度に効果はなかった。高齢グループは、発作の発生率が低減される傾向を示した。発作が有意に短くなり、激しさが低減された。
図8は、成熟したラットにおける実施例1の物質の抗痙攣効果を示す。閾値強度の変化は有意な水準には達せず、この傾向は、10mg/kg、i.p.の高用量の後に見られた。未成熟および成熟したラットのデータの比較から、小児モデルにおけるより高効率で、かつより広い領域への効果が明らかに示された。
【0074】
〔情動障害(てんかん共存症)のモデルにおける実施例1の化合物の効果〕
情動障害の行動モデルは、ストレスへの曝露に基づく。2つの行動試験を行った:高架式十字迷路試験(EPM、Nat. Protoc. 2007, 2, 322)およびNovelty suppressed feedingモデル(NSF、Interdiscip. Toxicol. 2017, 10, 40)。
【0075】
EPM試験において、迷路試験の30分前に、実施例1の化合物を1、3および10mg/kg、i.p.の用量で投与した。10分間の試験時間中、開放アーム、閉鎖アームおよび中央プラットフォームでの滞在時間を記録した。実施例1の化合物の10mg/kgの用量での投与の結果、対照グループと比較して、不安症のパラメータが有意に低減された。EPM試験は、実施例1の化合物の抗不安薬特性を示した。
【0076】
NSF試験において、試験の30分前に、実施例1の化合物を0.1、0.3、1、3および10mg/kgの用量でi.p.投与した。結果は、0.3mg/kgにおいて、食事までの潜時(抗不安薬パラメータ)を有意な減少を示した。1および3mg/kgの用量において、食事の摂取までの潜時が減少する傾向があった。
【0077】
〔統合失調症様行動および認知促進効果における実施例1の化合物の効果〕
統合失調症様行動を、0.1mg/kgの用量のジゾシルピンのi.p.投与によって誘発した。実施例1の化合物の効果を、受動的回避試験(Psychopharmacology (Berl). 2016, 233, 2077)において試験した。この試験は、記憶および学習能力を研究することを可能とする。
【0078】
試験の30分前に、実施例1の化合物を0.1、1および3mg/kg、i.p.の用量で適用した。その結果は、無傷の動物への実施例1の化合物の投与により、嫌悪刺激の印加の1時間後の記憶を損なわないことを示す。侵入までの潜時を低減する効果を、0.1mg/kgの用量の関連の24時間後に測定される潜時として示した。ジゾシルピンの適用は、記憶障害を招いた。該記憶障害を、嫌悪刺激の1および24時間後の侵入までの潜時として測定した。0.1mg/kgの用量での実施例1の化合物の投与は、逆刺激の1時間後に測定される記憶損傷を防止した。同様の傾向が、他の用量において、より長時間観察された。従って、実施例1の化合物の適用は、特に短期記憶において、認知促進効果を示す。
【0079】
〔興奮毒性CNS負傷モデルにおける実施例1の化合物の神経保護効果〕
実施例1の化合物の神経保護効果を、背側の海馬の両側興奮毒性障害のモデルにおいて試験した。この手順は、文献(Neuropharmacology 2011, 61, 61)に従って行った。このモデルは、NMDA受容体過剰刺激をシミュレートする。NMDA受容体過剰刺激は、多くの病理生理学的状態で発生し、これはカルシウムの神経への流入をもたらし、その結果、壊死に近い細胞死をもたらす。臨床的に、この事象は、神経変性およびCNS損傷によって明らかとなる。ラットを無作為に3つのグループに分けた。対照動物は、海馬にpH7.4のリン酸緩衝液を投与する処理をされた動物である。第2のグループは、NMDAと呼ばれ、海馬のNMDA障害を誘発された動物であった。第3のグループの動物は、NMDA障害の5分後に1mg/kg、i.p.の用量で実施例1の化合物を与えられた。NMDA障害は、背側の海馬へ興奮毒性NMDA(25mmol・L
-1、体積1μl)を注入することで誘発され、対照動物は滅菌PBS(10mmol・L
-1)を与えられた。実施例1の化合物(1mg/kg)またはビヒクルは、NMDA注入完了の5分後に投与された。海馬への興奮毒性損傷の導入の24時間後に、経心腔的潅流(transcardial perfusion)を行った。次いで、組織学的評価のために、脳組織を4%PFA中で一晩後固定し、続いて、10%、20%、30%(v/v)スクロースで後固定した(低温保存のため)。組織損傷、例えば実施例1の化合物の神経保護効果を、損傷したニューロンをFluoro Jade B(Merck Millipore, Catalog Number AG310-30MG)を用いて染色することで評価した。評価範囲は、以下を含んでいた:海馬-DG、門部、CA3、CA1。
図9の結果は、実施例1の化合物の投与後の背側の海馬損傷を有意に減少させることを示す。これらの結果は、実施例1の化合物の神経保護効果を実証しているのは明白である。
【0080】
〔産業上の利用可能性〕
本発明の化合物は、中枢神経系疾患、特に小児におけるてんかんおよび発作状態の治療に有用であろう。さらに、本発明の化合物は、関連する共存症に作用するために使用され得る。関連する共存症には、うつ病、不安症、統合失調症様行動、神経発達障害、情動障害およびストレス障害が挙げられる。特許請求される物質は、治療において別々に使用され得るが、治療のために現在承認されている薬剤の補助治療としても使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0081】
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図1-1】
図1は、ゼブラフィッシュ(Danio rerio)のPTZ誘発発作のモデルにおける実施例1、2および3の物質の抗痙攣効果を示す。実施例1(A)、2(B)および3(C)の物質を、1、3および5mg/kgの用量で使用した。それぞれのグラフは、自発的な移動活動(左のグラフ)、水泳速度(中央のグラフ)およびターン数(特定の予測不能な動き、右のグラフ)に対する効果を示す。
【
図1-2】
図1は、ゼブラフィッシュ(Danio rerio)のPTZ誘発発作のモデルにおける実施例1、2および3の物質の抗痙攣効果を示す。実施例1(A)、2(B)および3(C)の物質を、1、3および5mg/kgの用量で使用した。それぞれのグラフは、自発的な移動活動(左のグラフ)、水泳速度(中央のグラフ)およびターン数(特定の予測不能な動き、右のグラフ)に対する効果を示す。
【
図1-3】
図1は、ゼブラフィッシュ(Danio rerio)のPTZ誘発発作のモデルにおける実施例1、2および3の物質の抗痙攣効果を示す。実施例1(A)、2(B)および3(C)の物質を、1、3および5mg/kgの用量で使用した。それぞれのグラフは、自発的な移動活動(左のグラフ)、水泳速度(中央のグラフ)およびターン数(特定の予測不能な動き、右のグラフ)に対する効果を示す。
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図2】
図2は、ゼブラフィッシュ(Danio rerio)のPTZ誘発発作のモデルにおける実施例1、2および3の物質の抗痙攣効果を示す。実施例1(A)、2(B)および3(C)の物質を、1、3および5mg/kgの用量で使用した。それぞれのグラフは、自発的な移動活動および暗/明行動パターンに対する効果を示す。
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図3】
図3は、12日齢および25日齢のラットのPTZ誘発発作のモデルにおける実施例1の物質の抗痙攣効果を示す。1、5および10mg/kg、i.p.の用量を使用した(x軸)。グラフA(y軸、%)-強直期のある全身性発作(GTCS)および強直期のない不完全な発作(GCS)の発生率;グラフB(y軸、s)-全身性発作の開始までの潜時;グラフC(y軸、スコア)-5段階評価による発作の重症度;それぞれの動物を、もっとも重症な事象によって分類した。段階:0-活動なし;1-独立した間代性筋痙攣;2-微小な間代発作および/またはてんかん性筋反射の独立した要素;3-立ち直り反応を維持した微小な間代発作;4-不完全な全身性発作(GCS);5-完全な全身性強直-間代発作(GTCS)。略語:P12-12日齢の動物;P25-25日齢の動物。アスタリスクは、対照と比較して有意な相違があることを示す;0または1-1匹のラットでのみ発作が消失したまたは発作が見られた。
【
図4】
図4は、12日齢および25日齢のラットのPTZ誘発発作のモデルにおける実施例2の物質の抗痙攣効果を示す。1、5および10mg/kg、i.p.の用量で使用した(x軸)。グラフA(y軸、%)-強直期のある全身性発作(GTCS)および強直期のない不完全な発作(GCS)の発生率;グラフB(y軸、s)-全身性発作の開始までの潜時;グラフC(y軸、スコア)-5段階評価による発作の重症度;それぞれの動物を、もっとも重症な事象によって分類した。段階:0-活動なし;1-独立した間代性筋痙攣;2-微小な間代発作および/またはてんかん性筋反射の独立した要素;3-立ち直り反応を維持した微小な間代発作;4-不完全な全身性発作(GCS);5-完全な全身性強直-間代発作(GTCS)。略語:P12-12日齢の動物;P25-25日齢の動物。アスタリスクは、対照と比較して有意な相違があることを示す;0または1-1匹のラットでのみ発作が消失したまたは発作が見られた;nt-試験していない。
【
図5】
図5は、12日齢および25日齢のラットのPTZ誘発発作のモデルにおける実施例3の物質の抗痙攣効果を示す。1、5および10mg/kg、i.p.の用量で使用した(x軸)。グラフA(y軸、%)-強直期のある全身性発作(GTCS)および強直期のない不完全な発作(GCS)の発生率;グラフB(y軸、s)-全身性発作の始まりまでの潜時;グラフC(y軸、スコア)-5段階評価による発作の重症度;それぞれの動物を、もっとも重症な事象によって分類した。段階:0-活動なし;1-独立した間代性筋痙攣;2-微小な間代発作および/またはてんかん性筋反射の独立した要素;3-立ち直り反応を維持した微小な間代発作;4-不完全な全身性発作(GCS);5-完全な全身性強直-間代発作(GTCS)。略語:P12-12日齢の動物、P25-25日齢の動物。アスタリスクは、対照と比較して有意な相違があることを示す;0または1-1匹のラットでのみ発作が消失したまたは発作が見られた;nt-試験していない。
【
図6】
図6は、若年期(P60)のオスのラットの6Hz皮質間電気刺激により誘発された発作のモデルにおける実施例1の物質の抗痙攣効果を示す。最初の刺激の20分前に、1、5および10mg/kg、i.p.の用量のステロイド物質を投与した。グラフA(y軸 %)-完全な全身性発作(GTCS)および不完全、すなわち強直期のない全身性発作(GCS)の発生率;グラフB(y軸 %)-微小な間代発作の発生率;グラフC(y軸 s)-全身性発作の潜時;グラフD(y軸 s)-微小な間代発作の潜時;グラフE(y軸 スコア)-5段階評価による発作の重症度;それぞれの動物を、もっとも重症な事象によって分類した。段階:0-活動なし;1-独立した間代性筋痙攣;2-微小な間代発作および/またはてんかん性筋反射の独立した要素;3-立ち直り反応を維持した微小な間代発作;4-不完全な全身性発作(GCS);5-完全な全身性強直-間代発作(GTCS)。アスタリスクは、対照と比較して有意な相違があることを示す;1または2-1匹または2匹のラットでのみ発作が消失したまたは発作が見られた。
【
図7】
図7は、15日齢および25日齢のオスのラットの6Hz皮質間電気刺激にり誘発された発作のモデルにおける実施例1の物質の抗痙攣効果を示す。X軸-使用した電流強度(P15のラットでは60および80mA、P25のラットでは40および60mA)。Y軸-発作の発生率%(A);発作の継続時間s(B)、スコアで表される発作の重症度(C)。5段階評価による発作の重症度;それぞれの動物を、もっとも重症な事象によって分類した。段階:0-活動なし;1-独立した間代性筋痙攣;2-微小な間代発作および/またはてんかん性筋反射の独立した要素;3-立ち直り反応を維持した微小な間代発作;4-不完全な全身性発作(GCS);5-完全な全身性強直-間代発作(GTCS)。アスタリスクは、対照と比較して有意な相違があることを示す。略語:P12-12日齢の動物;P25-25日齢の動物。
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図8】
図8は、ボックスプロット(25および75%の中央値)で表されるように、若年期(P60)のオスのラットの6Hz皮質間電気刺激により誘発された発作のモデルにおける実施例1の物質の抗痙攣効果を示し、最大値および最小値(y軸);用量mg/kg(x軸)。それぞれのボックス中の記号は、動物についてのそれぞれの値を示す。
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図9】
図9は、組織損傷、NMDA障害のモデル、グルタミン酸誘発興奮毒性のモデルのそれぞれにおける1mg/kgの用量での実施例1の化合物の神経保護効果。組織損傷は、NMDA(25mmol/L)をオスのラットの背側の海馬(dorsal hippocampus)に注入することで引き起こされる。パネル(A)の図は対照動物の脳の薄片、パネル(B)の図はNMDAを含む溶液を背側の海馬に投与され、(2-ヒドロキシプロピル)-β-シクロデキストリンによってi.p.処理された動物群(NMDA障害)、パネル(C)は、前記背側の海馬にNMDA障害があり、CDXに1mg/kgの用量で溶解された実施例1の化合物によってi.p.処理された動物の脳の薄片の代表的な画像を示す。