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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-20
(45)【発行日】2023-03-29
(54)【発明の名称】砂杭造成用施工装置
(51)【国際特許分類】
   E02D 3/10 20060101AFI20230322BHJP
   E02D 7/28 20060101ALI20230322BHJP
【FI】
E02D3/10 104
E02D7/28
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2022151541
(22)【出願日】2022-09-22
(62)【分割の表示】P 2022093548の分割
【原出願日】2022-06-09
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000236610
【氏名又は名称】株式会社不動テトラ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】永石 雅大
(72)【発明者】
【氏名】尾形 太
(72)【発明者】
【氏名】矢部 浩史
【審査官】高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-6880(JP,A)
【文献】特開2009-62762(JP,A)
【文献】特開2012-237141(JP,A)
【文献】特開2016-3554(JP,A)
【文献】特開平7-279152(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 3/10
E02D 7/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤中に回転させながら貫入し、引き抜く際の杭材料の排出と打ち戻しを繰り返すことで無振動・無騒音にて締固めて砂杭を造成するケーシングと、
前記ケーシングを施工機本体に立設されたリーダに沿って昇降動させる強制昇降装置と、
前記ケーシングを回転自在に支持して正回転方向及び逆回転方向に回転させる回転駆動装置と、
前記ケーシングの外周面に該ケーシングを前記地盤中に貫入する際に周囲の土壌を地表に排出するスパイラルスクリューと、
を備え、
前記スパイラルスクリューは、前記ケーシングの先端の最下段から中段にかけてスパイラル幅が大径の大径スパイラルスクリューと、前記中段から上段側にかけてスパイラル幅が小径の小径スパイラルスクリューと、を有する異径のスパイラルスクリューであり、
前記大径スパイラルスクリューと前記小径スパイラルスクリューとの境界連結部の前記大径スパイラルスクリュー側には、傾斜した傾斜段差部が設けられ、
前記傾斜段差部を境にして前記地表へ排出される土壌の排出量よりも地中に打ち戻される土壌の打ち戻し量の方が多くなるように調整し、
前記ケーシングを逆回転させながら打ち戻す際に、前記砂杭材料と地中に打ち戻された土壌とを前記異径のスパイラルスクリューにて締固めて前記砂杭を造成することを特徴とする砂杭造成用施工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤中に締固め砂杭を造成する際に用いる砂杭造成用施工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の砂杭造成用施工装置に用いる砂杭造成用ケーシング(中空管)として特許文献1に記載されたものがある。この特許文献1に記載の砂杭造成用中空管は、中空管本体の外周面に傾斜羽根を形成している。そして、中空管を正回転させて、中空管周りの土壌を傾斜羽根を介して地表に排出しながら中空管を地盤の所定深度まで貫入させ、中空管の引き抜き時に、中空管内の砂杭材料を排出し、この引き抜く際の砂杭材料の排出と打ち戻し(再貫入)を順次繰り返すことで、砂杭を造成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-76663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の砂杭造成用中空管を用いて砂杭を造成する際に、周辺地盤に傾斜羽根により地表に排出された土壌の盛上がりが発生し、その盛上がり土や残土の処分費用が発生する。さらに、近年、中詰材料に使用する材料砂が値上がり傾向にあるため、施工全体の費用が嵩む。
【0005】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、施工時に発生する盛上がり土や残土を減らし、かつ、中詰めの材料砂の使用を削減することで、施工全体の低コスト化及び環境負荷の低減を図ることができる砂杭造成用施工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係る砂杭造成用施工装置は、地盤中に回転させながら貫入し、引き抜く際の杭材料の排出と打ち戻しを繰り返すことで無振動・無騒音にて締固めて砂杭を造成するケーシングと、前記ケーシングを施工機本体に立設されたリーダに沿って昇降動させる強制昇降装置と、前記ケーシングを回転自在に支持して正回転方向及び逆回転方向に回転させる回転駆動装置と、前記ケーシングの外周面に該ケーシングを前記地盤中に貫入する際に周囲の土壌を地表に排出するスパイラルスクリューと、を備え、前記スパイラルスクリューは、前記ケーシングの先端の最下段から中段にかけてスパイラル幅が大径の大径スパイラルスクリューと、前記中段から上段側にかけてスパイラル幅が小径の小径スパイラルスクリューと、を有する異径のスパイラルスクリューであり、前記大径スパイラルスクリューと前記小径スパイラルスクリューとの境界連結部の前記大径スパイラルスクリュー側には、傾斜した傾斜段差部が設けられ、前記傾斜段差部を境にして前記地表へ排出される土壌の排出量よりも地中に打ち戻される土壌の打ち戻し量の方が多くなるように調整し、前記ケーシングを逆回転させながら打ち戻す際に、前記砂杭材料と地中に打ち戻された土壌とを前記異径のスパイラルスクリューにて締固めて前記砂杭を造成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、施工時に発生する盛上がり土や残土を減らし、かつ、中詰めの材料砂の使用を削減することで、施工全体の低コスト化及び環境負荷の低減を図ることができる砂杭造成用施工装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態の砂杭造成用施工装置を示す斜視図である。
図2】上記砂杭造成用施工装置に用いられる砂杭造成用ケーシングの斜視図である。
図3】上記砂杭造成用ケーシングの側面図である。
図4】上記砂杭造成用ケーシングを先端側から見た図である。
図5図3を軸回りに90度回した側面図である。
図6】上記砂杭造成用ケーシングの先端側の部分斜視図である。
図7】上記砂杭造成用ケーシングの先端側の部分側面図である。
図8】上記砂杭造成用ケーシングの中段部分の斜視図である。
図9】上記砂杭造成用ケーシングの貫入時の説明図である。
図10】上記貫入時の掘削・締固め部の回転方向を示す図である。
図11】上記砂杭造成用ケーシングの引き抜き時の説明図である。
図12】上記引き抜き時の掘削・締固め部の回転方向を示す図である。
図13】上記砂杭造成用ケーシングの打ち戻し時の説明図である。
図14】本発明の第2実施形態の砂杭造成用施工装置に用いられる砂杭造成用ケーシングの先端側の部分側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
図1は本発明の第1実施形態の砂杭造成用施工装置を示す斜視図である。図2は砂杭造成用施工装置に用いられる砂杭造成用ケーシングの斜視図である。図3は砂杭造成用ケーシングの側面図である。図4は砂杭造成用ケーシングを先端側から見た図である。図5図3を軸回りに90度回した側面図である。図6は砂杭造成用ケーシングの先端側の部分斜視図である。図7は砂杭造成用ケーシングの先端側の部分側面図である。図8は砂杭造成用ケーシングの中段部分の斜視図である。図9は砂杭造成用ケーシングの貫入時の説明図である。図10は貫入時の掘削・締固め部の回転方向を示す図である。図11は砂杭造成用ケーシングの引き抜き時の説明図である。図12は引き抜き時の掘削・締固め部の回転方向を示す図である。図13は砂杭造成用ケーシングの打ち戻し時の説明図である。
【0011】
図1に示すように、砂杭造成用施工装置1は、前部にリーダ2を立設した施工機本体3と、ワイヤ4の巻き回しによりリーダ2に沿って昇降動して杭材料(中詰め材料)としての砂Sを搬送する昇降バケット5と、強制昇降装置6によりリーダ2に沿って昇降動すると共に、回転駆動装置7により回転自在に支持された円筒状の砂杭造成用ケーシング(中空管)10と、強制昇降装置6と回転駆動装置7とに連結される連結管8と、強制昇降装置6に取り付けられ、ケーシング10に砂Sを供給するホッパー9と、このホッパー9の排出口5b側と連結管8との間に設けられ、ホッパー9内に供給された砂Sをケーシング10側へ自然落下により供給する供給用配管9bと、を備えている。
【0012】
図1に示すように、ホッパー9は四角枠状に形成されていて、強制昇降装置6に取り付けられている。そして、ホッパー9の供給口9aに昇降バケット5の排出口5bより砂Sが供給されるようになっている。また、砂杭造成用ケーシング10は、回転駆動装置7の連結部7aに連結用ホルダー12を介して着脱自在に取り付けられるようになっている。尚、図1中符号5aは昇降バケット5の供給口を示す。また、供給用配管9bは、連結管8に斜めに貫通するように取り付けられていて、ホッパー9から供給された砂Sを連結管8内に自然落下により供給するものである。
【0013】
図1図2に示すように、砂杭造成用ケーシング10は、金属製で円筒状のケーシング本体11を有しており、このケーシング本体11を地盤D中に回転させながら貫入し、引き抜く際の砂(杭材料:内詰め材料)Sの排出と打ち戻し(再貫入)を順次繰り返すことで、無振動・無騒音にて砂S及び残土(外詰め材料)Ddを締固めて拡径の砂杭Kを造成するものである。
【0014】
図1図3図5に示すように、円筒状のケーシング本体11の基端部11aには、ケーシング本体11を回転駆動装置7に着脱自在に連結するための連結用ホルダー12を備えている。また、円筒状のケーシング本体11の先端11bには、ケーシング本体11よりも大径に形成された円筒状の取付リング13が固定されている。尚、円筒状の取付リング13が円筒状のケーシング本体11よりも大径に形成されているのは、貫入時のケーシング本体11のフリクション軽減と土圧の軽減を図るためである。また、図5に示すように、ケーシング本体11の長さ(高さ)Hは、例えば100cm(H=100cm)に、その外径Qは、例えば40cm(Q=40cm)に設定されている。
【0015】
また、図3図5に示すように、円筒状のケーシング本体11の内周面11cには、180度隔てた先端側の位置と中段側の位置に下方に向けて高圧水または高圧エアの高圧流体(図示省略)を噴射する内ノズル14が取り付けられている。そして、上中段に位置する各内ノズル14,14には、ケーシング本体11の基端部11aの外側に180度隔てて設けられた各供給口15からケーシング本体11の内周面11cに沿って下方へ延びるように配設された各供給管16を介して高圧流体が供給される。この各内ノズル14より噴射される高圧流体により、ケーシング本体11を引き抜く際の砂Sの抜けを良くしている。
【0016】
さらに、図2図5に示すように、円筒状のケーシング本体11の先端11bに固定された取付リング13には、ケーシング本体11の先端開口11dを横切るように放射状に架け渡され、地盤Dを掘削・締固める掘削・締固め部20が取り付けられている。
【0017】
図2図6図7に示すように、掘削・締固め部20は、ケーシング本体11の先端開口11dの中心軸X上の位置にある頂部21と、この頂部21からケーシング本体11の先端11b側に延びて固定される複数(この実施形態では3本)の傾斜部22と、を有して放射状に形成されている。
【0018】
図2図4図6図10に示すように、頂部21は、三角形の頂面(先端面)21aと六面から成る先端側面(先端面)21bとで角錐状に形成されている。この頂面21aの中央には、一つの掘削ビット21cが半円球状または角状に突設されている。また、角錐六面を形成する先端側面21bには、複数の掘削ビット21cが半円球状または角状にそれぞれ突設されている。
【0019】
図2図3図6に示すように、複数の傾斜部22の内側がL字状に切欠かれた基端22aがケーシング本体11よりも大径の取付リング13に溶接によりそれぞれ固定されている。また、図6図10に示すように、各傾斜部22のケーシング本体11の正回転(右回転である正転)方向R側(図10中上側にある傾斜部22の左縁側)には、地盤Dを掘削する掘削部としての掘削刃22bを有する掘削面22cが形成されている。この掘削面22cの掘削刃22bよりの位置には、掘削刃22bに沿って複数の掘削ビット22dが半円球状または角状にそれぞれ突設されている。さらに、図6図12に示すように、各傾斜部22のケーシング本体11の逆回転(左回転である逆転)方向L側(図12中上側にある傾斜部22の右側から掘削刃22b側)には、地盤Dを締固める締固め面22eが湾曲面状に形成されている。尚、図6に示すように、各傾斜部22は、先端側に先端側傾斜面22fを、基端側に基端側傾斜面22gを有している。
【0020】
また、図7に示すように、頂部21の先端側面21bは、ケーシング本体11の中心軸Xに対して例えば30度(θa=30°)傾斜している。さらに、各傾斜部22は、ケーシング本体11の中心軸Xに対して例えば15度(θ=15°)傾斜している。また、傾斜部22の先端から取付リング13までの長さ(高さ)Haは、例えば70cm(Ha=70cm)に設定されている。
【0021】
図2図5図9に示すように、ケーシング本体11は、外周面11eに該ケーシング本体11を地盤D中に貫入する際に周囲(ケーシング周り)の土壌Ddを地表Dhに排出するスパイラルスクリュー30を有している。このスパイラルスクリュー30により地表Dhに排出(排土)された土壌Ddは、施工の周囲の地表Dhに盛り上がって盛り上がり土の残土となり、この盛り上がり土の残土を外詰め材料として本実施形態では杭材料の一部として利用することで処分することができるようになっている。
【0022】
図5図8に示すように、スパイラルスクリュー30は、ケーシング本体11の先端の最下段から中段にかけてスパイラル幅Eが大径で金属板製の大径スパイラルスクリュー31と、中段から上段側にかけてスパイラル幅Fが小径で金属板製の小径スパイラルスクリュー32と、を有する異径のスパイラルスクリューである。これら大径スパイラルスクリュー31と小径スパイラルスクリュー32との境界連結部33の大径スパイラルスクリュー31側には、傾斜した傾斜段差部34が設けられている。この傾斜段差部34を境にして地表Dhへ排出される土壌Ddの排出量よりも地中に打ち戻される土壌Ddの打ち戻し量の方が多くなるように調整されて砂杭Kが造成される。尚、図5に示すように、大径スパイラルスクリュー31の外径Mは、例えば60cm(M=60cm)に、そのスパイラル幅Eは、例えば10cm(E=10cm)に設定されている。また、小径スパイラルスクリュー32の外径Nは、例えば50cm(N=50cm)に、そのスパイラル幅Fは、例えば5cm(F=5cm)に設定されている。
【0023】
次に、前記構成の砂杭造成用施工装置1に用いられる外周面11eにケーシング周りの土壌Ddを地表Dhに排出する異径のスパイラルスクリュー30を備えた砂杭造成用ケーシング10による砂杭造成工程を、図9図13に沿って順に説明する。
【0024】
まず、図9図10に示すように、強制昇降装置6と回転駆動装置7を介して砂杭造成用ケーシング10のケーシング本体11を正回転方向Rに回転させて掘削・締固め部20の掘削刃22b及び掘削面22cにて地盤Dを掘削して、ケーシング本体11を地盤Dに所定の深度まで貫入させる。この際に、スパイラルスクリュー30にてケーシング周りの土壌Ddを地表Dhに排出する。また、ケーシング本体11の中段から上段側にかけて設けられた大径スパイラルスクリュー31よりも小径の小径スパイラルスクリュー32によりケーシング周りの土壌Ddから地表Dhへ排出される排土を、下段から上段側にかけて同径のスパイラルスクリューを設けた従来のケーシングよりも大幅に減らすことができる。
【0025】
次に、図11図12に示すように、強制昇降装置6と回転駆動装置7を介してケーシング本体11を逆回転方向Lに回転させながら適宜の長さ引き抜く時に、ケーシング本体11内から内詰め材料としての砂Sを排出すると共に、ケーシング本体11の外側のケーシング周りから投入した地表Dhに排出した外詰め材料としての土壌Dd及びケーシング周りの土壌Ddをスパイラルスクリュー30にて地盤D中にそれぞれ落とし込む(引き込む)。この際、砂Sの排出量とケーシング本体11の外側から投入する土壌Ddの投入量をそれぞれ同量ほど地盤D中に落とし込む。
【0026】
次に、図13に示すように、強制昇降装置6と回転駆動装置7を介してケーシング本体11を逆回転方向Lに回転させながら適宜の長さ打ち戻して、ケーシング本体11内から排出された砂Sと地盤中に落とし込まれた土壌Ddとを掘削・締固め部20及びスパイラルスクリュー30にて締固めて拡径する。この際、掘削・締固め部20の締固め面22e及びスパイラルスクリュー30の大径スパイラルスクリュー31にて効率良く締固め及び拡径ができる。また、スパイラルスクリュー30の大径スパイラルスクリュー31は、小径スパイラルスクリュー32より大径であるため、ケーシング本体11の外周面11eに粘性土やシルト等が付着した際に周辺地盤の落とし込み効果が低減させることがなく、効率良く土の落とし込みができ、打ち戻し時の拡径圧力により拡径されて締固められた砂杭Kが造成される。
【0027】
次に、ケーシング本体11の前述の引き抜きと前述の打ち戻しとを地表Dhに至るまで順次繰り返し行うことにより、図1に示すように、拡径されて締固められた砂杭Kが完成する。
【0028】
以上第1実施形態の砂杭造成用施工装置1によれば、中詰め材料として砂Sを用い、ケーシング10のケーシング本体11の外側から投入する外詰め材料として地表Dhに排出した土壌Ddや既にある周辺地盤の盛上がり土や残土Ddを砂Sの排出量と同量ほど使用して砂杭Kを造成することにより、施工時に発生する盛上がり土や残土を減らすことができ、かつ、中詰めの材料砂の使用を削減することができ、施工全体の低コスト化を図ることができる。
【0029】
また、ケーシング本体11内に投入する中詰め材料とケーシング周りに投入する外詰め材料の各投入量及びケーシングの回転速度をそれぞれ調整して砂杭Kを造成すれば、施工時に発生する盛上がり土や残土を減らし、かつ、中詰めの材料砂の使用を削減することにより、施工時の環境負荷の低減を図ることができる。
【0030】
さらに、異径のスパイラルスクリュー30の傾斜段差部34を境にして地表Dhへ排出される土壌Ddの排出量よりも地中に打ち戻される土壌Ddの打ち戻し量の方が多くなるように調整して砂杭Kを造成することにより、施工時に発生する盛上がり土や残土をより減らすことができ、施工全体の低コスト化より一段と図ることができる。
【0031】
図14は本発明の第2実施形態の砂杭造成用施工装置に用いられる砂杭造成用ケーシングの先端側の部分側面図である。
【0032】
この第2実施形態の砂杭造成用施工装置に用いられる砂杭造成用ケーシング10は、掘削・締固め部20の頂部21の先端側面21bがケーシング本体11の中心軸Xに対して例えば60度(θc=60°)傾斜し、各傾斜部22がケーシング本体11の中心軸Xに対して例えば30度(θb=30°)傾斜した点が、前記第1実施形態のものとは異なる。尚、他の構成は、前記第1実施形態と同様であるため、同一構成部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。また、傾斜部22の先端から取付リング13までの長さ(高さ)Hbは、例えば35cm(Hb=35cm)に設定されている。
【0033】
この第2実施形態では、掘削・締固め部20の頂部21の先端側面21bをケーシング本体11の中心軸Xに対して例えば60度傾斜させ、各傾斜部22をケーシング本体11の中心軸Xに対して例えば30度傾斜させたことで、前記第1実施形態と同様の作用・効果を奏する。
【0034】
尚、前記実施形態によれば、ケーシング本体の内周面に高圧流体を噴射する内ノズルを設けたが、ケーシング本体の外周面に高圧流体を噴射する外ノズルを設けても良い。
【0035】
また、前記実施形態によれば、掘削・締固め部を頂部からケーシング本体の先端側に延びて取付リングに固定される3本の傾斜部を有して放射状に形成したが、掘削・締固め部を頂部からケーシング本体の先端側に延びて取付リングに固定される2本或いは4本の傾斜部を有して放射状に形成しても良い。
【0036】
さらに、前記実施形態によれば、ケーシング本体内に投入する中詰め材料として砂の代わりに盛上がり土や残土を使用しても良い。この中詰め材料として盛上がり土や残土を使用した場合、施工全体の低コスト化より一段と図ることができる。尚、盛上がり土や残土が中詰め材料として使用できない状態の場合には、盛上がり土や残土を中詰め材料として使用できる状態まで改質してから使用すれば良い。
【符号の説明】
【0037】
1 砂杭造成用施工装置
2 リーダ
3 施工機本体
6 強制昇降装置
7 回転駆動装置
10 ケーシング
11b 先端
11e 外周面
30 異径のスパイラルスクリュー
31 大径スパイラルスクリュー
32 小径スパイラルスクリュー
33 境界連結部
34 傾斜段差部
D 地盤
Dh 地表
Dd ケーシング周りの土壌、盛上がり土、残土(外詰め材料)
S 砂(杭材料:内詰め材料)
K 砂杭
E,F スパイラル幅
【要約】
【課題】施工時に発生する盛上がり土や残土を減らし、中詰めの材料砂の使用を削減することで、施工全体の低コスト化と環境負荷の低減を図る砂杭造成用施工装置を提供する。
【解決手段】砂杭造成用施工装置1は、ケーシング10と、強制昇降装置6と、回転駆動装置7と、ケーシング10の外周面に該ケーシングを地盤D中に貫入する際に周囲の土壌を地表Dhに排出するスパイラルスクリュー30と、を備え、スパイラルスクリューは、大径の大径スパイラルスクリュー31と小径スパイラルスクリュー32とを有し、これら大小径スパイラルスクリューとの境界連結部に設けられた傾斜段差部を境にして地表Dhへ排出される土壌の排出量よりも地中に打ち戻される土壌の打ち戻し量の方が多くなるように調整し、ケーシング10を逆回転させながら打ち戻す際に、砂杭材料Sと地中に打ち戻された土壌とをスパイラルスクリュー30にて締固めて砂杭Kを造成する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14