(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-22
(45)【発行日】2023-03-30
(54)【発明の名称】クランク軸の製造方法
(51)【国際特許分類】
B21K 1/08 20060101AFI20230323BHJP
B21J 5/02 20060101ALI20230323BHJP
F16C 3/08 20060101ALI20230323BHJP
【FI】
B21K1/08
B21J5/02 B
B21J5/02 A
F16C3/08
(21)【出願番号】P 2019021034
(22)【出願日】2019-02-07
【審査請求日】2021-10-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001553
【氏名又は名称】アセンド弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】田村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】大久保 潤一
【審査官】堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-144244(JP,A)
【文献】特開2010-188831(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0326620(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21K 1/08
B21J 5/02
F16C 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランク軸の製造方法であって、
a)型鍛造によって成形され、バリが除去された仕上げ鍛造品を準備する工程であって、前記仕上げ鍛造品は、クランクジャーナルと、前記クランクジャーナルに対して偏心するクランクピンと、前記クランク軸の回転軸方向において前記クランクジャーナルと前記クランクピンとの間に配置され前記クランクジャーナルと前記クランクピンとを連結するクランクアームと、を有する工程と、
b)前記クランクアームを前記クランクピン側から治具によって支持した状態で、前記クランクアームの幅方向の端部を前記クランクジャーナル側から押圧工具で押圧することにより、前記端部の材料を前記幅方向の外側に流動させて、前記端部を薄肉化するとともに前記クランクアームの本体から前記幅方向の外側に突出する突出部を成形する工程と、
c)前記突出部を前記幅方向の内側に向かって押圧することにより、前記クランクアームにおいて、前記幅方向で前記端部の内側に位置し前記端部よりも厚肉の中央部と、薄肉化された前記端部との境界を起点として、前記端部を前記クランクジャーナル側に折り曲げる工程と、
を備える、製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の製造方法であって、
前記押圧工具は、前記クランクアームの前記クランクジャーナル側の表面に対向する押圧面を有し、
前記押圧面は、
前記中央部に対応して設けられる凹状の逃げ部と、
前記幅方向で前記逃げ部の外側に配置され、前記逃げ部よりも前記クランクアーム側に張り出して前記端部に接触する接触部と、
を含む、製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の製造方法であって、
前記接触部は、前記クランクアームの長手方向に沿って凸状に湾曲する、製造方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の製造方法であって、
前記治具は、
前記クランクピンを外周側から把持する把持部と、
前記クランクアームを前記クランクピン側から支持する支持部と、
を有し、
前記支持部は、
前記クランクアームの前記クランクピン側の表面に対向して前記押圧工具からの押圧荷重を受け止める荷重受け面と、
前記クランクアームの外周面から前記幅方向の外側且つ前記押圧工具側に傾斜して延び、前記押圧工具で押圧されて流動する前記材料を案内する案内面と、
前記クランクアームの前記クランクピン側の前記表面と前記外周面との間の角部に沿って前記荷重受け面と前記案内面とを接続するコーナー面と、
を含む、製造方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の製造方法であって、
前記工程a)で準備される前記仕上げ鍛造品は、前記クランクアームのうち前記工程b)で押圧される前記端部において、前記クランクジャーナル側に隆起する隆起部を有する、製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、クランク軸の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車に搭載されるレシプロエンジンは、燃料の燃焼によるピストンの往復運動を回転運動に変換するため、クランク軸を備える。クランク軸は、クランクジャーナルと、クランクピンと、クランクアームとを備える。クランクジャーナルは、クランク軸の主軸部であり、軸心周りに回転する。クランクピンは、クランクジャーナルに対して偏心して配置され、コネクティングロッドを介してピストンに接続される。クランクアームは、クランクジャーナルとクランクピンとを連結する。
【0003】
近年、自動車の燃費向上及び軽量化を目的として、クランク軸の軽量化について様々な検討がなされている。例えば、特許文献1は、クランクアームに肉盗み部を有するクランク軸を提案する。特許文献1では、クランク軸の荒地成形品を型鍛造で成形する際、クランクアームに突出部を成形する。この突出部は、仕上げ打ち工程で用いられる金型の開き方向に突出している。仕上げ打ち工程では、型閉め動作によって突出部を曲げ、クランクアームの表面に凹状の肉盗み部を成形する。この肉盗み部は、クランクアームを部分的に減肉して軽量化する。また、肉盗み部によって軽減されたクランクアームの重量分、カウンターウエイトの重量を軽減することができる。
【0004】
特許文献2は、クランクアームのクランクジャーナル側の表面に凹みを設けたクランク軸を提案する。特許文献2では、仕上げ打ち工程において、クランクアームのクランクジャーナル側の表面を凹ませるとともに、クランクアームから幅方向の外側に突出する余肉部を成形する。仕上げ打ち工程で得られた仕上げ鍛造品は、バリ抜き工程でバリを除去される。その後、整形工程において、余肉部がクランクジャーナル側に折り曲げられる。これにより、クランクアームにおいて、クランクジャーナル側の表面の凹みが維持されつつ、幅方向の両端部が厚肉化される。このため、クランク軸の軽量化と剛性確保とを同時に図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-186815号公報
【文献】特許第6024832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、型鍛造により、肉抜き部を成形するための突出部を成形する。すなわち、突出部は、当該突出部の形状を彫り込んだ金型によって成形される。このような金型では、型彫り工具の制限により、彫り込む突出部の先端Rをある程度大きくせざるを得ない。よって、特許文献1の技術では、突出部の厚みを小さくすることに限界があり、クランクアーム及びクランク軸を十分に軽量化することが難しい。
【0007】
特許文献2では、クランクアームに余肉部を成形して折り曲げることにより、クランクアームの幅方向の両端部を厚肉化し、クランク軸の剛性を確保する。しかしながら、特許文献2の余肉部も、特許文献1の突出部と同様、型鍛造によって成形される。よって、余肉部の厚みが十分に小さくならず、クランクアーム及びクランク軸の軽量化が阻害される可能性がある。
【0008】
本開示は、クランク軸の剛性を確保することができ、クランク軸を十分に軽量化することができるクランク軸の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係るクランク軸の製造方法は、工程a)と、工程b)と、工程c)と、を備える。工程a)では、型鍛造によって成形され、バリが除去された仕上げ鍛造品を準備する。仕上げ鍛造品は、クランクジャーナルと、クランクピンと、クランクアームと、を有する。クランクピンは、クランクジャーナルに対して偏心する。クランクアームは、クランク軸の回転軸方向においてクランクジャーナルとクランクピンとの間に配置される。クランクアームは、クランクジャーナルとクランクピンとを連結する。工程b)では、クランクアームをクランクピン側から治具によって支持した状態で、クランクアームの幅方向の端部をクランクジャーナル側から押圧工具で押圧することにより、端部の材料を幅方向の外側に流動させて、端部を薄肉化するとともに突出部を成形する。突出部は、クランクアームの本体から幅方向の外側に突出する。工程c)では、突出部を幅方向の内側に向かって押圧することにより、クランクアームにおいて、幅方向で端部の内側に位置し端部よりも厚肉の中央部と、薄肉化された端部との境界を起点として、端部をクランクジャーナル側に折り曲げる。
【発明の効果】
【0010】
本開示に係るクランク軸の製造方法によれば、クランク軸の剛性を確保することができ、クランク軸を十分に軽量化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態に係る製造方法の工程a)で準備される仕上げ鍛造品の側面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す仕上げ鍛造品に含まれるクランクウェブの正面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る製造方法の工程b)が実施された後のクランクウェブの正面図である。
【
図4】
図4は、工程b)におけるクランクアームの加工方法を説明するための模式図である。
【
図5A】
図5Aは、工程b)におけるクランクアームの加工状態を示す横断面図である。
【
図5B】
図5Bは、工程b)におけるクランクアームの加工状態を示す別の横断面図である。
【
図6A】
図6Aは、実施形態に係る製造方法の工程c)におけるクランクアームの加工状態を示す横断面図である。
【
図6B】
図6Bは、工程c)におけるクランクアームの加工状態を示す別の横断面図である。
【
図7】
図7は、
図2に示すクランクウェブとは異なるクランクウェブの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施形態に係るクランク軸の製造方法は、工程a)と、工程b)と、工程c)と、を備える。工程a)では、型鍛造によって成形され、バリが除去された仕上げ鍛造品を準備する。仕上げ鍛造品は、クランクジャーナルと、クランクピンと、クランクアームと、を有する。クランクピンは、クランクジャーナルに対して偏心する。クランクアームは、クランク軸の回転軸方向においてクランクジャーナルとクランクピンとの間に配置される。クランクアームは、クランクジャーナルとクランクピンとを連結する。工程b)では、クランクアームをクランクピン側から治具によって支持した状態で、クランクアームの幅方向の端部をクランクジャーナル側から押圧工具で押圧することにより、端部の材料を幅方向の外側に流動させて、端部を薄肉化するとともに突出部を成形する。突出部は、クランクアームの本体から幅方向の外側に突出する。工程c)では、突出部を幅方向の内側に向かって押圧することにより、クランクアームにおいて、幅方向で端部の内側に位置し端部よりも厚肉の中央部と、薄肉化された端部との境界を起点として、端部をクランクジャーナル側に折り曲げる(第1の構成)。
【0013】
第1の構成では、バリを除去した後の仕上げ鍛造品において、クランクアームの幅方向端部をクランクジャーナル側から押圧して薄肉化しつつ、クランクアームの本体から突出する突出部を成形する。その後、この突出部を押圧して、クランクアームの薄肉の幅方向端部をクランクジャーナル側に折り曲げる。これにより、クランクアームの幅方向端部は、幅方向中央部よりも薄肉である一方、側縁に向かって徐々に厚肉化することになる。このため、クランクアームの重量を低減しつつ、クランク軸のねじり剛性を確保することができる。また、クランクアームの幅方向中央部を厚肉のまま維持することで、クランク軸の曲げ剛性を確保することもできる。
【0014】
第1の構成では、型彫りされた金型を用いることなく、クランクアームに突出部を成形する。突出部は、クランクアームの幅方向端部を治具と押圧工具との間で圧縮することによって成形される。このため、突出部の先端Rを自由に設定することができ、突出部の厚みを十分に小さくすることが可能となる。よって、クランクアームをより軽量化することができる。また、クランクアームの軽量化に伴い、カウンターウエイトの重量を低減させることもできる。したがって、クランク軸を十分に軽量化することができる。
【0015】
押圧工具は、押圧面を有することができる。押圧面は、クランクアームのクランクジャーナル側の表面に対向する。押圧面は、凹状の逃げ部と、接触部と、を含んでいてもよい。逃げ部は、クランクアームの幅方向の中央部に対応して設けられる。接触部は、クランクアームの幅方向で逃げ部の外側に配置される。接触部は、逃げ部よりもクランクアーム側に張り出して、クランクアームの幅方向の端部に接触する(第2の構成)。
【0016】
第2の構成によれば、押圧工具の押圧面には、クランクアーム側に張り出す接触部が設けられている。このため、押圧工具をクランクアームに近づけたとき、接触部がクランクアームの幅方向端部に優先的に接触する。よって、クランクアームの幅方向端部を確実に押圧して薄肉化し、クランクアームを軽量化することができる。
【0017】
第2の構成によれば、押圧工具の押圧面には、凹状の逃げ部も設けられている。押圧工具をクランクアームに近づけたとき、クランクアームの幅方向中央部は、逃げ部内に配置され、実質的に押圧工具によって押圧されない。よって、クランクアームの幅方向中央部が不必要に加工されることがなく、幅方向中央部の厚みを確実に維持することができる。このため、クランク軸の曲げ剛性を確保することができる。
【0018】
接触部は、クランクアームの長手方向に沿って凸状に湾曲していてもよい(第3の構成)。
【0019】
第3の構成によれば、押圧工具の接触部がクランクアームの長手方向に沿って凸状に湾曲しているため、この接触部によって加工されたクランクアームの幅方向端部も、クランクアームの長手方向に沿い、段差が形成されることなく緩やかに湾曲する。これにより、クランクアームの幅方向端部の加工に起因して曲げ剛性又はねじり剛性が低下するのを防止することができる。
【0020】
治具は、把持部と、支持部と、を有することができる。把持部は、クランクピンを外周側から把持する。支持部は、クランクアームをクランクピン側から支持する。支持部は、荷重受け面と、案内面と、コーナー面と、を含んでいてもよい。荷重受け面は、クランクアームのクランクピン側の表面に対向して押圧工具からの押圧荷重を受け止める。案内面は、クランクアームの外周面から幅方向の外側且つ押圧工具側に傾斜して延びる。案内面は、押圧工具で押圧されて流動する材料を案内する。コーナー面は、クランクアームのクランクピン側の表面と外周面との間の角部に沿って荷重受け面と案内面とを接続する(第4の構成)。
【0021】
第4の構成によれば、クランクアームをクランクジャーナル側から押圧工具で押圧すると、治具に設けられた傾斜状の案内面に沿ってクランクアームの幅方向端部の材料が流動する。この材料が最終的に案内面と押圧工具との間に挟まれることにより、突出部が成形される。このとき、クランクアームのクランクピン側の角部及び表面は、案内面に連続するコーナー面及び荷重受け面によって拘束される。また、クランクピンは、治具の把持部によって拘束される。これにより、クランクアームにおいて余剰変形を発生させることなく、所望の形状の突出部を成形することができる。
【0022】
工程a)で準備される仕上げ鍛造品は、隆起部を有していてもよい。隆起部は、クランクアームのうち工程b)で押圧される端部において、クランクジャーナル側に隆起する(第5の構成)。
【0023】
第5の構成によれば、クランクアームの幅方向端部において、クランクジャーナル側の表面に予め隆起部が形成されている。クランクジャーナル側からクランクアームに押圧工具を近づけた際、この隆起部が優先的に押し潰され、幅方向の外側に向かって材料が順次流動する。よって、工程b)におけるクランクアームの加工を容易に行うことができる。
【0024】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。各図において同一又は相当の構成については同一符号を付し、同じ説明を繰り返さない。
【0025】
[クランク軸の製造方法]
本実施形態に係るクランク軸の製造方法は、クランク軸の仕上げ鍛造品を準備する工程a)と、当該仕上げ鍛造品を加工する工程b)及び工程c)と、を備える。以下、各工程について説明する。
【0026】
工程a)
本実施形態に係るクランク軸の製造方法では、まず、工程a)において、クランク軸の仕上げ鍛造品を準備する。仕上げ鍛造品は、一般的な型鍛造によって成形される。すなわち、加熱されたビレットを予備成形して荒地を得た後、この荒地の荒打ち及び仕上げ打ちを行ってバリ付きの仕上げ鍛造品を得る。その後、仕上げ鍛造品のバリ抜きを実施し、バリなしの仕上げ鍛造品を得る。
【0027】
図1は、バリ抜き後の仕上げ鍛造品10を模式的に示す側面図である。仕上げ鍛造品10は、最終製品であるクランク軸とほとんど同一の寸法及び形状を有する。仕上げ鍛造品10は、複数のクランクジャーナル11と、複数のクランクピン12と、複数のクランクアーム13と、を有する。
図1では、4気筒エンジン用のクランク軸の仕上げ鍛造品10を例示する。しかしながら、本実施形態に係る製造方法で製造されるクランク軸は、4気筒エンジン用のクランク軸に限られない。
【0028】
複数のクランクジャーナル11は、それぞれ、仕上げ鍛造品10(クランク軸)の回転軸X1を軸心とする概略円柱状をなす。クランクジャーナル11は、回転軸X1に沿って配列され、クランク軸の主軸部を構成する。
【0029】
複数のクランクピン12は、それぞれ概略円柱状をなし、クランクジャーナル11に対して偏心する。すなわち、複数のクランクピン12は、回転軸X1の周りに所定の位相差で配置される。本実施形態において、回転軸方向で両端に位置するクランクピン12は、中央の2つのクランクピン12と180°の位相差を有する。
【0030】
クランクアーム13の各々は、回転軸方向においてクランクジャーナル11とクランクピン12との間に配置される。クランクアーム13は、クランクジャーナル11とクランクピン12とを連結する。クランクアーム13は、回転軸X1と交差する表面131,132を有する。一方の表面131にクランクジャーナル11が接続され、他方の表面132にクランクピン12が接続される。各クランクアーム13において、両表面131,132をつなぐ面を外周面133という。
【0031】
本実施形態では、全てのクランクアーム13がカウンターウエイト14を一体で有する。ただし、一部のクランクアーム13にのみ、カウンターウエイト14が設けられていてもよい。一体化されたクランクアーム13及びカウンターウエイト14は、一般に、クランクウェブ15と称される。
【0032】
図2は、クランクウェブ15をクランクジャーナル11側から見た図である。以下、説明の便宜上、クランクウェブ15において、クランクジャーナル11側の面を正面、クランクピン12側の面を背面と称することがある。クランクウェブ15の正面視で、クランクピン12の中心軸X2及び回転軸X1に直交する軸を縦軸Zと定義する。縦軸Zが延びる方向を長手方向といい、クランクアーム13側を上、カウンターウエイト14側を下とする。クランクウェブ15の正面視で縦軸Zに垂直な方向は幅方向である。
【0033】
図2に示すように、カウンターウエイト14は、クランクアーム13から下方に向かって拡幅している。カウンターウエイト14は、例えば、正面視で概略扇状をなす。工程a)に続く工程b)では、クランクウェブ15のうちクランクアーム13を加工する。
【0034】
工程b)
工程b)におけるクランクアーム13の加工形状について、
図3を参照しつつ説明する。
図3は、工程b)が実施された後のクランクウェブ15の正面図である。
【0035】
図3に示すように、工程b)では、クランクアーム13のクランクジャーナル11側の表面131において、幅方向の両端部134を凹状に変形させる。すなわち、クランクアーム13において、幅方向の各端部134の厚みを幅方向の中央部135の厚みよりも小さくする。クランクアーム13の表面131において、厚肉の中央部135と薄肉の端部134との間には段差が形成される。
【0036】
クランクアーム13には、突出部136が形成される。突出部136は、クランクアーム13の本体から幅方向の両外側に突出する。クランクアーム13のクランクジャーナル11側の表面131において、各突出部136は、薄肉化された端部134と段差を介することなく滑らかに連続する。クランクアーム13において、薄肉の端部134及び突出部136は、長手方向でクランクピン12の頂点(上端)から回転軸X1までの範囲R1に設けられる。より好ましくは、薄肉の端部134及び突出部136は、長手方向でクランクピン12の頂点からクランクジャーナル11の頂点(上端)までの範囲R2に設けられる。
【0037】
クランクアーム13を
図3に示す形状に加工する具体的な方法について、
図4を参照しつつ説明する。
図4は、工程b)におけるクランクアーム13の加工方法を説明するための模式図である。
【0038】
図4を参照して、工程b)では、まず、治具20により、仕上げ鍛造品10のクランクジャーナル11を保持する。治具20は、例えば、円筒状の内周面を有し、クランクウェブ15の縦軸Z(
図2)を境界として幅方向で左右に分割するよう構成されている。治具20は、クランクジャーナル11を外周側から把持して拘束する。
【0039】
また、治具30により、クランクアーム13をクランクピン12側から支持する。治具30は、治具20と同様、クランクウェブ15の縦軸Z(
図2)を境界として幅方向で左右に分割するよう構成されている。ただし、必要に応じ、治具20,30をクランクウェブ15の長手方向で上下に分割することもできる。治具30は、クランクピン12を保持するとともに、クランクアーム13のクランクピン12側の表面132に接触する。この状態で、押圧工具40をクランクアーム13に近づけ、押圧工具40でクランクアーム13を押圧する。以下、
図5A及び
図5Bを参照して、治具30及び押圧工具40の構成及び動作について詳細に説明する。
【0040】
図5A及び
図5Bは、工程b)におけるクランクアーム13の加工状態を示す横断面図である。
図5A及び
図5Bでは、クランクアーム13とともに治具30及び押圧工具40を示す。クランクアーム13、治具30、及び押圧工具40の横断面とは、クランクアーム13の幅方向に沿う平面で切断した断面をいう。
【0041】
まず、
図5Aを参照して、治具30及び押圧工具40の構成を説明する。
図5Aに示すように、治具30は、把持部31と、支持部32とを有する。把持部31は、円筒状の内周面311を有し、クランクピン12を外周側から把持する。支持部32は、クランクアーム13をクランクピン12側から支持する。支持部32は、荷重受け面321と、案内面322と、コーナー面323とを含む。
【0042】
荷重受け面321は、クランクピン12側で、クランクアーム13の表面132に対向する。荷重受け面321は、クランクアーム13の表面132に対応する形状を有する。荷重受け面321は、把持部31の内周面311に連続して設けられている。把持部31によってクランクピン12が把持されたとき、荷重受け面321は、クランクアーム13の表面132に接触する。クランクアーム13の長手方向において荷重受け面321がクランクアーム13の表面132に接触する範囲(長手方向範囲)は、長手方向において押圧工具40がクランクアーム13の表面131に接触する範囲(長手方向範囲)と一致するか、当該範囲を包含する。
【0043】
案内面322は、クランクアーム13の外周面133から幅方向の外側、且つ押圧工具40側に傾斜して延びる。すなわち、案内面322は、加工中のクランクアーム13の横断面視で、クランクピン12の中心軸X2に対して傾斜する傾斜面である。中心軸X2に対する案内面322の角度θは、好ましくは45°以上であり、より好ましくは50°以上である。角度θは、80°以下であることが好ましい。
【0044】
コーナー面323は、荷重受け面321と案内面322とを接続する。コーナー面323は、クランクアーム13の表面132と外周面133との間の角部を拘束するため、当該角部に沿う形状を有する。コーナー面323は、クランクアーム13の外周面133まで延在していてもよい。コーナー面323の終点、すなわち案内面322の起点は、狙いの加工形状に応じて適宜決定することができる。
【0045】
押圧工具40は、押圧面41を有する。押圧面41は、クランクアーム13の表面131に対向する。押圧面41は、逃げ部411と、接触部412とを含む。
【0046】
逃げ部411は、押圧面41に設けられた凹状の部分である。逃げ部411は、クランクアーム13の幅方向の中央部135に対応して設けられる。逃げ部411は、底面411aと、側面411bとを有する。押圧工具40の横断面視では、底面411a,側面411bは概ね直線状をなす。押圧工具40の横断面視で、底面411aは、側面411bと円弧411cを介して接続される。押圧工具40の横断面視で、側面411bは、接触部412と円弧411dを介して接続される。円弧411c,411dの曲率半径は、3mm~10mmであることが好ましい。
【0047】
クランクアーム13及び押圧工具40の代表横断面において、逃げ部411の幅は、クランクアーム13の幅の1/3以上であることが好ましい。クランクアーム13及び押圧工具40の代表横断面とは、押圧工具40に押圧されて薄肉化するクランクアーム13の端部134の長手方向中央の位置におけるクランクアーム13及び押圧工具40の横断面をいう。逃げ部411の幅は、押圧工具40の代表横断面視で、円弧411dと接触部412との接続点間の距離をいう。
【0048】
側面411bは、押圧工具40の横断面視で直線状であってもよいし、曲線状であってもよい。押圧工具40の代表横断面において側面411bが直線状をなす場合、側面411bがクランクピン12の中心軸X2となす角度は、15°以上であることが好ましい。
【0049】
接触部412は、クランクアーム13の幅方向の端部134に対応して設けられる。接触部412は、クランクアーム13の幅方向で逃げ部411の外側に配置される。接触部412は、逃げ部411よりもクランクアーム13側に張り出している。押圧工具40の横断面視で、接触部412は概ね直線状をなす。
【0050】
接触部412は、好ましくは、クランクアーム13の長手方向に沿って凸状に湾曲する。すなわち、接触部412は、クランクアーム13の長手方向において、上下端部よりも中央部がクランクアーム13側に張り出す凸曲面であることが好ましい。
【0051】
押圧工具40の代表横断面視で、逃げ部411と接触部412との間の急峻度h/dは、0.2以上であることが好ましく、0.45以上であることがより好ましい。hは、逃げ部411に対する接触部412の高さである。接触部412の高さhは、押圧工具40の代表横断面において、逃げ部411の底面411aから接触部412までの回転軸方向の距離で定義される。クランクアーム13及び押圧工具40の代表横断面視で、高さhは、クランクアーム13の中央部135の厚み(回転軸方向の寸法)の2/3以下であることが好ましい。dは、押圧工具40の代表横断面において、逃げ部411の底面411aから接触部412までの幅方向の距離である。
【0052】
次に、押圧工具40の動作と、これに伴うクランクアーム13の材料の挙動とを説明する。
図5Aを参照して、治具30に支持されたクランクアーム13に押圧工具40を接近させていくと、押圧工具40の接触部412がクランクアーム13の幅方向の端部134に接触し、端部134を押圧する。一方、クランクアーム13の幅方向の中央部135は、凹状の逃げ部411内に配置されるため、押圧工具40で押圧されない。よって、クランクアーム13では、
図5Bに示すように、端部134の材料のみが幅方向の外側に流動し、端部134が薄肉化される。幅方向の外側に流動した材料は、治具30の案内面322に案内されて突出部136を成形する。突出部136は、案内面322及び接触部412により、クランクアーム13の横断面視で概略三角形状に成形される。押圧工具40がクランクアーム13の端部134を押圧している間、押圧工具40からの押圧荷重は、治具30の荷重受け面321によって受け止められる。端部134から流動した材料が案内面322と接触部412との間を満たすに伴い、案内面322にも押圧工具40からの押圧荷重が作用する。
【0053】
押圧工具40を所定の位置まで移動させ、クランクアーム13の端部134の薄肉化及び突出部136の成形が完了したら、押圧工具40を後退させてクランクアーム13から離間させる。その後、クランクジャーナル11及びクランクピン12から治具20,30を取り外す(
図4)。
【0054】
工程b)において、押圧工具40は、一般的な油圧機構や楔機構等を用いて移動させることができる。例えば、押圧工具40に油圧シリンダを接続し、この油圧シリンダを伸縮させることで、クランクアーム13に対する押圧工具40の接近及び離間を行ってもよい。また、例えば、押圧工具40においてクランクアーム13と反対側の表面に斜面を設け、この斜面に対して楔部材の斜面をスライドさせることで、クランクアーム13に対する押圧工具40の接近及び離間を行うこともできる。ただし、押圧工具40の駆動方法は、これらに限定されるものではない。
【0055】
工程c)
工程b)に続く工程c)では、端部134が薄肉化され、突出部136が成形されたクランクアーム13をさらに加工する。
図6A及び
図6Bは、工程c)におけるクランクアーム13の加工状態を示す横断面図である。
【0056】
図6Aを参照して、工程c)では、クランクアーム13の幅方向に沿って接近及び離間可能な一対の金型50が使用される。工程c)では、この金型50を互いに接近させることで、クランクアーム13の突出部136を幅方向の内側に向かって押圧する。これにより、クランクアーム13の薄肉の端部134は、厚肉の中央部135との境界Bを起点としてクランクジャーナル11(
図1)側に折れ曲がる。すなわち、端部134は、
図6Bに示すように、中央部135との境界Bからクランクジャーナル11(
図1)側に傾倒する。突出部136は、突出部136に接触する金型50の内面に沿って変形する。これにより、クランクアーム13の端部134の厚みは、幅方向の外側に向かって大きくなる。クランクアーム13の端部134を折り曲げた後、金型50同士を離間させてクランク軸を取り出して工程c)を終了する。
【0057】
工程c)で使用する金型50は、例えば、クランク軸の最終製品形状を掘り込んだ金型であってもよい。この場合、工程c)において、クランクアーム13の端部134を折り曲げると同時に、仕上げ鍛造品10を最終製品の寸法及び形状に矯正することができる。ただし、工程c)はクランクアーム13の薄肉の端部134を折り曲げる工程であるため、金型50は、クランクアーム13の端部134を拘束しない。金型50のうち突出部136を押圧する部分は、金型50の横断面視で回転軸方向に対して平行な面であってもよいし、回転軸方向に対して傾斜する面であってもよい。境界Bを起点とする端部134の折り曲げは、前工程b)でクランクアーム13に付与した形状によって発生するものであり、本工程c)で使用する金型50の形状には実質的に依存しない。このため、工程c)で使用する金型50は、特に限定されない。
【0058】
[実施形態の効果]
本実施形態に係るクランク軸の製造方法では、仕上げ鍛造品10からバリを除去した後、工程b)において、クランクアーム13の幅方向の端部134をクランクジャーナル11側から押圧して薄肉化しつつ、当該端部134の材料を幅方向の外側に流動させて突出部136を成形する。クランクアーム13のクランクジャーナル11側の表面131において、厚肉の中央部135と薄肉の端部134との間には段差が形成される。このため、続く工程c)で突出部136を幅方向の内側に押圧すれば、クランクアーム13の薄肉の端部134は、厚肉の中央部135との境界Bを起点としてクランクジャーナル11側に折れ曲がる。これにより、クランクアーム13の幅方向の両側縁の厚みが大きくなり、クランク軸のねじり剛性を確保することができる。
【0059】
本実施形態に係る製造方法で製造されるクランク軸では、クランクアーム13の幅方向の端部134が薄肉化され、軽量化されている。このクランクアーム13の軽量化に伴い、クランクアーム13とつりあうカウンターウエイト14の重量を低減させることができる。このため、クランク軸を軽量化することができる。一方、クランクアーム13の幅方向の中央部135は厚肉に維持されている。よって、クランク軸の曲げ剛性を確保することができる。
【0060】
本実施形態では、クランクアーム13の端部134を治具30と押圧工具40との間で圧縮することにより、クランクアーム13に突出部136を成形する。突出部136の成形には、型彫りされた金型を用いない。よって、突出部136の先端Rを自由に設定することができ、突出部136の厚みを小さくすることができる。このため、クランクアーム13の重量を十分に抑制することができる。
【0061】
本実施形態において、クランクアーム13のうちクランクピン12の頂点よりも上側の部分は、工程b)で押圧されず、薄肉化されない。よって、クランク軸に熱処理を施した際、当該部分に割れが生じるのを防止することができる。
【0062】
本実施形態において、押圧工具40の押圧面41は、凹状の逃げ部411と、クランクアーム13側に張り出す接触部412とを有する。この押圧面41をクランクアーム13に接近させた際には、まず、接触部412がクランクアーム13に接触する。接触部412は、クランクアーム13の幅方向の端部134に対応しているため、端部134を確実に押圧して薄肉化する。一方、クランクアーム13の幅方向の中央部135は逃げ部411内に配置され、実質的に押圧面41で押圧されない。よって、中央部135の厚みを確実に維持することができる。
【0063】
本実施形態において、接触部412は、クランクアーム13の長手方向に沿って凸状に湾曲していることが好ましい。これにより、クランクアーム13の端部134を、長手方向に沿って緩やかに湾曲する形状に加工することができる。よって、端部134の加工に起因してクランク軸の剛性が低下するのを抑制することができる。
【0064】
押圧工具40における逃げ部411と接触部412との間の急峻度h/dは、クランクアーム13における厚肉の中央部135と薄肉の端部134との間の急峻度に相当する。クランクアーム13の端部134を適切に折り曲げるためには、ある程度の急峻度h/dが必要となる。すなわち、急峻度h/dが小さすぎる場合、端部134を折り曲げる際、端部134と中央部135との境界Bがクランクジャーナル11側に押し出されるとともに、突出部136がクランクジャーナル11側に倒れ込む。この場合、境界Bを起点としてクランクアーム13の端部134を折り曲げることが困難になる。境界Bを起点とした端部134の折り曲げを容易にするため、本実施形態では、急峻度h/dを好ましくは0.2以上、より好ましくは0.45以上に設定している。
【0065】
本実施形態において、逃げ部411の底面411a及び接触部412にそれぞれ連続する円弧411c,411dは、好ましくは3mm~10mmの曲率半径を有する。円弧411c,411dの曲率半径が大きすぎると、クランクアーム13において薄肉の端部134と厚肉の中央部135との段差が緩やかになり、急峻度h/dが小さすぎる場合と同様、端部134を適切に折り曲げることが難しくなるためである。
【0066】
本実施形態において、クランクアーム13を押圧工具40で押圧する際、このクランクアーム13は、押圧工具40と反対側から治具30によって支持される。クランクアーム13の端部134の材料は、押圧工具40の押圧荷重を受けて流動し、治具30に設けられた傾斜状の案内面322に案内されて突出部136に変形する。このとき、クランクピン12は、治具30の把持部31に拘束され、クランクアーム13のクランクピン12側の表面132及び角部は、案内面322に連続するコーナー面323に拘束される。これにより、クランクピン12及びクランクアーム13で余剰変形が生じるのを抑制することができる。
【0067】
本実施形態において、治具30は、押圧工具40からの押圧荷重を受け止めるための荷重受け面321を有する。荷重受け面321がクランクアーム13の表面132に接触する長手方向範囲は、押圧工具40がクランクアーム13の表面131に接触する長手方向範囲と一致するか、当該長手方向範囲を包含する。これにより、クランクアーム13において、押圧工具40で押圧された部分の周辺で余剰変形が発生するのを抑制することができる。
【0068】
本実施形態では、クランクピン12の中心軸X2に対する案内面322の角度θは、好ましくは45°以上であり、より好ましくは50°以上である。これにより、突出部136について、工程c)で押圧するのに十分な高さを確保することができる。また、角度θは、好ましくは80°以下である。これにより、工程c)での押圧によって突出部136が座屈するのを防止することができる。
【0069】
以上、本開示に係る実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0070】
例えば、
図7に示すように、工程a)で準備される仕上げ鍛造品10は、隆起部137を有していてもよい。隆起部137は、クランクアーム13のうち次工程b)で押圧される予定の端部134に設けられ、クランクジャーナル11側に隆起する。クランクアーム13の長手方向において、隆起部137の範囲は、工程b)で押圧される端部134の範囲の1/2以下であることが好ましい。クランクアーム13に隆起部137を予め設けておくことにより、工程b)では、この隆起部137に押圧工具40が優先的に接触し、端部134の材料を円滑に流動させることができる。
図7では、工程b)で押圧される予定の端部134及び成形される予定の突出部136を二点鎖線で表示する。
【0071】
本実施形態の工程b)において、クランクアーム13の幅方向の両端部134は、1つの押圧工具40によって同時に押圧される。しかしながら、工程b)では、クランクアーム13の端部134各々に個別の押圧工具を押し当てることにより、端部134ごとの押圧を行うこともできる。例えば、本実施形態の押圧工具40を、クランクピン12の中心軸X2を境界として幅方向で左右に分割し、分割された押圧工具40でクランクアーム13の端部134をそれぞれ押圧してもよい。
【0072】
本実施形態の工程c)では、工程b)で薄肉化されたクランクアーム13の両端部134を折り曲げる。しかしながら、工程c)では、設計要件等に応じ、クランクアーム13の両端部134のうち、いずれか一方のみを折り曲げることもできる。あるいはまた、工程b)でクランクアーム13の両端部134のうち、いずれか一方のみを薄肉化し、その薄肉化した端部134を工程c)で折り曲げることもできる。
【0073】
本実施形態の工程c)では、金型50のみが使用されている。しかしながら、工程c)では、金型50と、金型50とは別の第2の金型とが併用されてもよい。例えば、金型50によってクランクアーム13の薄肉の端部134を折り曲げる間、クランクアーム13の表面131のうち、折り曲げの起点である境界Bの近傍から厚肉の中央部135にかけた領域に、第2の金型を押し当てることができる。これにより、クランクアーム13における余剰変形をさらに抑制することができる。
【0074】
工程c)は、一般的な鍛造クランク軸の製造プロセスにおける整形工程と同時に実施してもよい。その場合は、金型50による折り曲げの終了時に、通常の整形工程と同様、クランクジャーナル11等の必要箇所を金型50と一体の金型で、又は金型50と別体の金型で圧下し、最終製品の形状に整える。
【0075】
本実施形態では、工程b)及び工程c)において、カウンターウエイト14を一体で有するクランクアーム13の加工を実施する。しかしながら、一部のクランクアーム13がカウンターウエイト14を有しない場合、カウンターウエイト14を有しないクランクアーム13についても、工程b)及び工程c)の加工を実施することができる。工程b)及び工程c)の加工は、クランク軸に含まれる全てのクランクアーム13に対して施されてもよいが、一部のクランクアーム13にのみ施されてもよい。
【符号の説明】
【0076】
10:仕上げ鍛造品
11:クランクジャーナル
12:クランクピン
13:クランクアーム
134:端部
135:中央部
136:突出部
137:隆起部
30:治具
31:把持部
32:支持部
321:荷重受け面
322:案内面
323:コーナー面
40:押圧工具
41:押圧面
411:逃げ部
412:接触部