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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-22
(45)【発行日】2023-03-30
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20230323BHJP
【FI】
A63F5/04 661
A63F5/04 511E
A63F5/04 511F
A63F5/04 602A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020066851
(22)【出願日】2020-04-02
(65)【公開番号】P2021159585
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2022-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】503106797
【氏名又は名称】株式会社エンターライズ
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【弁理士】
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100131200
【弁理士】
【氏名又は名称】河部 大輔
(72)【発明者】
【氏名】大島 龍明
【審査官】奈良田 新一
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-116204(JP,A)
【文献】特開2005-304855(JP,A)
【文献】特開2004-337510(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04,7/02,13/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータによって回転駆動され、複数の図柄がそれぞれ配置された複数の回転リールと、
前記複数の図柄の一部が外部から視認可能なリール窓を有し、前記複数の回転リールを収容する筐体と、
前記リール窓への遊技者による接触を検出する接触検出部と、
特定演出を制御する演出制御部とを備え、
前記演出制御部は、
前記複数の図柄のうちの特定の図柄が前記リール窓内に停止した場合において前記接触検出部が前記リール窓のうち前記特定の図柄の停止位置に対応する部分への遊技者による接触を検出した場合に、前記特定演出を実行する一方、
前記特定の図柄が前記リール窓内に停止した場合において前記接触検出部が前記リール窓のうち前記特定の図柄の停止位置に対応する部分への遊技者による接触を検出しない場合に、前記特定演出を実行しないことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記複数の回転リールのうちの少なくとも1つの回転リールには、遊技媒体の払い出しを伴う役である払い出し役を構成する図柄と共に前記特定の図柄が配列されていることを特徴とする、請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
モータによって回転駆動され、複数の図柄がそれぞれ配置された複数の回転リールと、
前記複数の図柄の一部が外部から視認可能なリール窓を有し、前記複数の回転リールを収容する筐体と、
前記リール窓への遊技者による接触を検出する接触検出部と、
特定演出を制御する演出制御部とを備え、
前記演出制御部は、前記複数の図柄のうちの特定の図柄が前記リール窓内に停止した場合において前記接触検出部が前記リール窓のうち前記特定の図柄の停止位置に対応する部分への遊技者による接触を検出した場合に、前記特定演出を実行し、
前記複数の回転リールは、遊技媒体の払い出しを伴う役である払い出し役を構成する図柄が配置された第1回転リールと、演出用の第2回転リールとを含み、
前記特定の図柄は、前記第2回転リールに配置されていることを特徴とする遊技機。
【請求項4】
モータによって回転駆動され、複数の図柄がそれぞれ配置された複数の回転リールと、
前記複数の図柄の一部が外部から視認可能なリール窓を有し、前記複数の回転リールを収容する筐体と、
前記リール窓への遊技者による接触を検出する接触検出部と、
特定演出を制御する演出制御部とを備え、
前記接触検出部は、前記リール窓への遊技者による接触態様を検出し、
前記演出制御部は、
前記複数の図柄のうちの特定の図柄が前記リール窓内に停止した場合において前記接触検出部が前記リール窓のうち前記特定の図柄の停止位置に対応する部分への遊技者による接触を検出した場合に、前記特定演出を実行し、
前記接触検出部によって検出される接触態様に応じて前記特定演出を変更することを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、特許文献1に示すように、遊技者に遊技を飽きさせないようにするために、演出ボタンを備えた遊技機が知られている。遊技者が演出に応じて演出ボタンを押すことによって、演出に変化がもたらされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-010288号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、多くの遊技機が演出ボタンを備えるようになり、演出ボタンによる演出に目新しさがなくなってきている。そのため、遊技者を飽きさせないさらなる工夫が求められている。
【0005】
ここに開示された技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、遊技者を飽きさせない演出を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示された技術は、モータによって回転駆動され、複数の図柄がそれぞれ配置された複数の回転リールと、前記複数の図柄の一部が外部から視認可能なリール窓を有し、前記複数の回転リールを収容する筐体と、前記リール窓への遊技者による接触を検出する接触検出部と、特定演出を制御する演出制御部とを備え、前記演出制御部は、前記複数の図柄のうちの特定の図柄が前記リール窓内に停止した場合において前記接触検出部が前記リール窓のうち前記特定の図柄の停止位置に対応する部分への遊技者による接触を検出した場合に、前記特定演出を実行することを特徴とする遊技機である。
【0007】
また、第1の側面では、前記複数の回転リールのうちの少なくとも1つの回転リールには、遊技媒体の払い出しを伴う役である払い出し役を構成する図柄と共に前記特定の図柄が配列されていてもよい。
【0008】
また、第1の側面では、前記複数の回転リールは、遊技媒体の払い出しを伴う役である払い出し役を構成する図柄が配置された第1回転リールと、演出用の第2回転リールとを含み、前記特定の図柄は、前記第2回転リールに配置されていてもよい。
【0009】
また、第1の側面では、前記接触検出部は、前記リール窓への遊技者による接触態様を検出し、前記演出制御部は、前記接触検出部によって検出される接触態様に応じて前記特定演出を変更してもよい。
【0010】
また、第1の側面では、前記接触検出部によって検出される接触態様は、前記リール窓への接触圧力の大きさであってもよい。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、遊技者を飽きさせない演出を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態1に係るスロットマシンの正面図である。
図2】スロットマシンの構成を模式的に示すブロック図である。
図3】回転リールの図柄の配列の一例を示す図である。
図4】第1遊技状態における状態遷移を説明する図である。
図5】第2遊技状態における状態遷移を説明する図である。
図6】遊技区間の状態遷移を説明する図である。
図7】スロットマシンの特定演出の処理の流れを示すフローチャートである。
図8】実施形態2に係るスロットマシンの正面図である。
図9】回転リールの図柄の配列の一例を示す図である。
図10】スロットマシンの特定演出の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
《実施形態1》
例示的な実施形態1にかかるスロットマシン1について、図面を参照して説明する。
【0014】
<スロットマシンの構成>
図1に示すように、スロットマシン1は、筐体10を有する。筐体10の正面には、前面扉11が設けられている。スロットマシン1は、遊技機に相当する。
【0015】
筐体10は、回転リール20の一部が外部から視認可能なリール窓12を有している。詳しくは、リール窓12は、前面扉11の略中央に形成された開口と、この開口に設置された透明のパネルとで形成されている。遊技者は、このリール窓12から、後述する複数の回転リール20それぞれの表面に表示された複数の図柄を視認することができる。
【0016】
また、筐体10のリール窓12には、透明のタッチパネル13が設けられている。詳しくは、タッチパネル13は、前面扉11の内側であって、リール窓12の全面を覆う位置に配置されている。タッチパネル13は、タッチパネル13(すなわち、リール窓12)のうちどの位置が接触されたかを検出する。それに加えて、タッチパネル13は、タッチパネル13(すなわち、リール窓12)への接触圧力の大きさも検出する。例えば、タッチパネル13は、どの位置が接触されたかを検出するタッチセンサと、接触圧力を検出する感圧センサとを有している。タッチパネル13は、接触を検出した場合には、接触位置及び接触圧力の情報を含む検出信号を後述する演出制御部630へ出力する。タッチパネル13は、接触検出部の一例である。
【0017】
リール窓12の上方には、遊技中の各種の演出を行うための液晶画面3、スピーカ14、および電飾部(図示略)が設けられている。
【0018】
液晶画面3は、遊技者の遊技中に各種の演出動画(演出画面)を表示する。
【0019】
スピーカ14は、所定のBGM(バックグラウンドミュージック)、SE(サウンドエフェクト)および音声を出力する。
【0020】
電飾部は、例えば期待度の高い演出画面が表示されたり、役が入賞したりした場合に所定のパターンで点灯または消灯する。
【0021】
リール窓12の下方には、操作部4が設けられている。操作部4は、複数のストップスイッチ40、投入口が設けられたメダル投入部41、ベットスイッチ42、レバー43、媒体表示部44、精算スイッチ45および演出ボタン46などを含む。
【0022】
各ストップスイッチ40は、各回転リール20に対応して設けられている。各ストップスイッチ40は、回転リール20が回転している間に、各回転リール20の回転を停止させるための操作を受け付ける。
【0023】
メダル投入部41の投入口には、遊技媒体に相当するメダルが投入される。投入口付近には、メダルセンサが設けられている。メダルセンサは、投入口へのメダルの投入を検出し、検出信号を後述する制御部6に出力する。
【0024】
ベットスイッチ42は、メダルをベットする際に用いられる。
【0025】
レバー43は、各回転リール20を回転させるための操作を受け付けるスタートスイッチとして機能する。
【0026】
媒体表示部44は、メダルのクレジット数、メダルの払い出し枚数、メダルのベット数などを表示するものであって、例えば複数の7セグメントで構成される。また、媒体表示部44は、遊技区間が有利区間であって特定の条件が満たされている場合に、遊技区間が有利区間であることを表示する。具体的に、媒体表示部44における7セグメントの一部が点灯することにより、遊技区間が有利区間であることが告知される。
【0027】
精算スイッチ45は、遊技者による遊技が終了して、払出口51からメダルが払い出される際に用いられる。
【0028】
演出ボタン46は、遊技者が遊技を行う際に、音量設定、遊技データの確認などを行うために用いられるボタンである。また、演出ボタン46は、遊技中、演出に応じて遊技者により押下されることがある。遊技中に演出ボタン46が押下された場合、演出に変化が生じる。
【0029】
これらの操作部4の各スイッチ付近には、遊技者の操作を検出して制御部6に操作信号を出力するセンサが設けられている。
【0030】
筐体10のうち、操作部4の下方には、メダルの払出口51と、払出口51から払い出されたメダルを貯留するための下皿52とが設けられている。また、筐体10の内部には、メダルの受け入れおよび払い出しを行うホッパーユニット50が設けられている(図2参照)。
【0031】
図2に示すように、スロットマシン1は、回転リールユニット2、制御部6、RAMクリアボタン71および設定変更ボタン72をさらに備える。回転リールユニット2、制御部6、RAMクリアボタン71および設定変更ボタン72は、スロットマシン1の主電源をオンおよびオフする電源装置(図示略)などとともに、筐体10の内部に配置されている。
【0032】
回転リールユニット2は、図1および図2に示すように、3つの回転リール20と、3つのステッピングモータ21とを備える。回転リールユニット2は、筐体10の内部において、リール窓12の位置に対応して配置されている。回転リール20それぞれには、図3に示すように、複数の図柄が、当該リール20の周方向に沿って間隔を開けて配置されている。リール窓12からは、各回転リール20において周方向に沿って連続する3つの図柄が視認可能となっている。各回転リール20には、メダルの払い出しを伴う役である払い出し役およびメダルを投入せずに再遊技できる再遊技役を構成する複数の図柄が配列されている。また、各回転リール20には、払い出し役および再遊技役を構成する図柄と共に特定の図柄としてのPUSH図柄22が配列されている。ステッピングモータ21は、各回転リール20に対応して設けられており、対応する回転リール20を駆動する。このように、回転リール20は、モータによって回転駆動される。すなわち、回転リール20は、機械的又は物理的なリールであり、液晶等に表示されるビデオリールではない。
【0033】
ステッピングモータ21は、回転リール20の回転中にストップスイッチ40が操作されてから190m秒以内に、操作されたストップスイッチ40に対応する回転リール20の回転を停止させる。ステッピングモータ21は、504ステップで1回転する。これにより、回転リール20は、80回転/分の速度で回転する。すなわち、190m秒以内で進めるステップは、127ステップである。
【0034】
これらの回転リール20およびステッピングモータ21は、制御部6における回転リール制御部611(後述)によって、その回転および停止が制御される。
【0035】
RAMクリアボタン71は、制御部6を構成するRAMを初期化するための操作を受け付けるためのボタンである。設定変更ボタン72は、遊技者にとっての有利度が異なる複数の設定値のうちのいずれか1つをスロットマシン1に設定する際に、店舗スタッフによって押下されるボタンである。
【0036】
設定値とは、スロットマシン1に投入されたメダルの投入総数に対する、ホッパーユニット50から払い出されたメダルの払出総数の割合を示す出玉率を表した値である。設定された設定値は、内部抽せんに影響を与える。設定値に応じて、リプレイやベルなどの各種役の当せん確率が異なるからである。設定値は、店舗開店前に店舗スタッフによって設定される。
【0037】
<遊技者による遊技の流れ>
遊技者は、必要に応じて、演出ボタン46を押下してスピーカ14から出力される音量調整、液晶画面3の光度調整を行う。
【0038】
遊技者は、メダル投入部41の投入口からメダルを投入しまたはベットスイッチ42を操作することにより貯留(クレジット)されているメダルを使用して、スロットマシン1にメダルをベットする。スロットマシン1に所定枚数のメダルがベットされると、有効ラインLが有効化される。その後、レバー43の操作、すなわち遊技開始が可能となる。
【0039】
図1では、有効ラインLが、右下がりライン、右上がりライン、中段ラインの3本で構成されている場合を例示する。有効ラインLとは、役の入賞を決定するための仮想ラインである。本実施形態では、MAX BET(マックスベット)となる3枚ベット(3枚掛け)をした場合に、3本のラインLが有効化される。
【0040】
以下では、ベルやスイカなどのメダルの払い出しのある役が有効ラインL上に揃うことのみならず、特殊リプレイ、チャンス目、ボーナスなどの特定の役に対応する図柄が有効ラインL上に揃うことも、「入賞」と表現する。
【0041】
本実施形態における1ゲーム(1遊技)とは、遊技者がベットスイッチ42、レバー43およびストップスイッチ40を操作して、メダルの払い出し処理を含む遊技の結果を得る一連の動作を云う。
【0042】
具体的には、遊技開始可能な状態でレバー43が操作(レバーオン)されると、当せんフラグを決定する内部抽せんが行われるとともに、各回転リール20の回転が開始する。この状態で、ストップスイッチ40のいずれかが操作されると、その操作されたストップスイッチ40に対応する回転リール20が停止する。すべての回転リール20が停止し、有効ラインLに揃った(入賞した)図柄の組み合わせ(役)に応じて、所定枚数のメダルが払い出される。これにより、1ゲームが終了する。
【0043】
遊技者は、上記ゲームを繰り返し行う。ゲームが繰り返されることに応じて遊技が進行していき、液晶画面3の表示やスピーカ14からの音の出力は、遊技進行に応じて変化していく。
【0044】
<遊技状態について>
遊技中は、遊技区間および遊技状態の各種類が設定され、設定された遊技区間および遊技状態の各種類に基づいて内部抽せんが行われる。遊技状態には、図4および図5に示すように、第1遊技状態および第2遊技状態が含まれる。なお、第1遊技状態および第2遊技状態は、排他的に成立する遊技状態ではなく、説明の便宜上区別するために分類した状態にすぎない。
【0045】
第1遊技状態は、図4に示すように、特別役非持ち越し状態、特別役持ち越し状態および特別役実施状態を含む。特別役非持ち越し状態、特別役持ち越し状態および特別役実施状態は、排他的に成立する関係にある。
【0046】
特別役非持ち越し状態とは、内部抽せんにより当せんした特別役(一種BBおよび二種BB)の入賞が持ち越されていない状態をいう。特別役非持ち越し状態は、RAMクリアボタン71を用いてRAMが初期化された場合、特別役実施状態に移行してから払い出しメダルの枚数が所定枚数(例えば180枚)を超えた場合などの、所定条件を満たした場合に設定される。特別役持ち越し状態にて特別役が入賞した場合(すなわち所定条件を満たした場合)、第1遊技状態は、一時的ではあるが特別役非持ち越し状態に設定される。
【0047】
特別役持ち越し状態は、内部抽せんにより特別役が当せんしてはいるものの、当該特別役の入賞が持ち越されている状態をいう。つまり、特別役持ち越し状態とは、内部抽せんによって、特別役のフラグが当せんしたが、当該特別役を示す図柄が有効ラインL上に揃っておらず、よって特別役が未だ入賞していない状態をいう。
【0048】
ここで、一種BBは、一種特別役物に係る役物連続作動装置であって、ビッグボーナスなどが該当する。二種BBは、3枚掛け時に当せんする可能性のある特別役である。特別役では、任意の特別役(例えば一種BB)の入賞が持ち越された状態にある場合、他の特別役(例えば二種BB)の抽せんは行われない。
【0049】
第1遊技状態が特別役非持ち越し状態である場合に特別役が当せんすると、第1遊技状態は、特別役非持ち越し状態から、当せんした当該特別役の入賞が持ち越された状態(特別役持ち越し状態)に移行する。
【0050】
当せんした特別役が入賞すると、第1遊技状態は、特別役持ち越し状態から、特別役非持ち越し状態を一時的に介して特別役実施状態に移行する。一種BBまたは二種BBが入賞したことによって第1遊技状態が特別役実施状態に移行すると、一種BBまたは二種BBによるメダルの払い出し枚数が所定枚数を超えるまで、特別役実施状態が維持される。
【0051】
更に詳細に、特別役実施状態には、一種BB実施状態、二種BB実施状態、およびRB実施状態が含まれる。一種BBが実施されている一種BB実施状態の間に、内部抽せんによってRBが当せんし入賞した場合、特別役実施状態は、一種BB実施状態からRB実施状態に移行する。RB実施状態において12ゲーム消化または特定役が8回入賞することで、特別役実施状態は、一種BB実施状態に移行する。
【0052】
第2遊技状態は、遊技中に行われる演出を決定するための状態であり、図5に示すように、一般遊技状態およびAT状態を含む。一般遊技状態とAT状態とは、排他的に成立する関係にある。
【0053】
一般遊技状態とは、AT状態でない状態、つまりアシスト機能が発生しない状態である。例えば、RAMクリア後やAT終了後などからAT抽せんに当せんするまでの間、第2遊技状態は一般遊技状態に設定される。
【0054】
一例として、AT抽せんは、後述する遊技区間が有利区間である場合に内部抽せんにより当せんした役(レア役など)に応じて行われる。AT抽せんにてATが当せんした場合に、第2遊技状態は、一般遊技状態からAT状態へと移行する。
【0055】
AT状態とは、内部抽せんにより当せんした特別役以外の役のストップスイッチ40の正解押し順(正解操作順)を、液晶画面3やスピーカ14を介して知らせるアシスト機能(AT機能)が働いている状態である。AT状態にて遊技が開始されてから所定ゲーム数が経過した場合、または、AT状態にて遊技が開始されてからのメダルの払い出し総枚数が所定枚数に達した場合に、第2遊技状態は、AT状態から一般遊技状態へと移行する。これにより、AT状態は終了する。
【0056】
<遊技区間について>
遊技区間とは、アシスト機能に関する処理が行われるか否かを決定するための区間である。図6に示すように、遊技区間は、通常区間と有利区間とを有する。通常区間と有利区間とは排他的な関係にあり、遊技区間は、通常区間または有利区間のいずれかを採り得る。
【0057】
通常区間とは、アシスト機能に関する処理およびAT抽せんを実行できないが、有利区間への区間移行抽せんが行われる区間である。通常区間にて遊技が行われた結果、内部当せんした役に応じて、遊技区間は通常区間から有利区間へと移行する。なお、第2遊技状態が一般遊技状態である間に、遊技区間は通常区間を採ることができる。
【0058】
有利区間は、アシスト機能に関する処理およびAT抽せんを実行可能な区間である。有利区間には、第2遊技状態が一般遊技状態で進行する有利区間と、AT状態で進行する有利区間とが含まれる。遊技区間が有利区間に移行してから所定の終了条件を満たすまでの間、遊技区間が有利区間である状態は維持される。
【0059】
<制御部の構成>
図2に示すように、制御部6は、主に、メイン制御部61およびサブ制御部63を有する。メイン制御部61は、内部抽せんや回転リール20の制御など、遊技を進行させるための制御を行う。サブ制御部63は、メイン制御部61から送信された信号や演出ボタン46が押下されたことに基づいて、演出に関する制御を行う。
【0060】
メイン制御部61およびサブ制御部63それぞれは、CPU、RAMおよびROMで構成される。メイン制御部61およびサブ制御部63それぞれのROMには、遊技進行に必要なプログラムが記憶されている。メイン制御部61のRAMには、遊技進行に必要な遊技データが記憶される。遊技データには、現在ゲーム数の他、各遊技状態および遊技区間がどの状態または区間であるかを示すデータなどが含まれる。サブ制御部63のRAMには、演出制御に関する各種データなどが記憶される。
【0061】
CPUがROM内のプログラムを読み出して実行することにより、メイン制御部61は、内部抽せん部610、回転リール制御部611、遊技結果判定部613、媒体管理部614、遊技進行制御部615、区間制御部616および遊技状態制御部617として機能する。サブ制御部63は、演出制御部630として機能する。
【0062】
―内部抽せん部―
内部抽せん部610は、レバー43の操作に基づいて内部抽せんを行い、複数の役のうちのいずれかの役に当せんしたか否かを決定する。具体的に、内部抽せん部610は、内部抽せんテーブルおよびレバー43が操作されたときに取得される乱数に従って内部抽せんを行う。メイン制御部61のROMには、設定値、第1遊技状態、第2遊技状態および遊技区間に応じた複数の内部抽せんテーブルが格納されている。内部抽せん部610は、レバー43の操作時の設定値等に応じた内部抽せんテーブルを用いて内部抽せんを行う。内部抽せん部610は、内部抽せんの結果に基づいて、内部抽せん結果信号を生成する。内部抽せん結果信号は、内部抽せん部610から回転リール制御部611、遊技進行制御部615および演出制御部630などに送信される。
【0063】
内部抽せんテーブルは、内部抽せんにより当せんする可能性のある役の情報を示したものである。内部抽せんテーブルは、役フラグ、役フラグに対応する乱数、および役フラグに対応する役(入賞可能役)の情報が含まれている。役の情報には、図柄の組み合わせとその組み合わせに対応する役とが、関連付けて1以上設定されている。1つの役フラグには、1以上の役が設定されている。例えば、1つの役フラグに複数の役が設定されている場合もある。
【0064】
内部抽せん部610は、レバー43の操作時に取得された乱数に対応する役フラグを成立させる。成立した役フラグに設定されている役が当せんした状態になる。成立した役フラグに複数の当せん役が設定されている場合には、設定されている全ての当せん役が同時に当せんする。
【0065】
役には、複数のストップスイッチ40の正解押し順が決められた役である押し順役が含まれる。押し順役は、複数のストップスイッチ40が正解押し順通りに操作されることによって入賞する役である。内部抽せんテーブルに記憶されている押し順役の情報には、正解押し順に関する情報も含まれる。
【0066】
複数のストップスイッチ40が正解押し順と異なる押し順、すなわち、不正解押し順で操作されると、その押し順役は入賞しない。ただし、1つの役フラグに複数の押し順役が設定されている場合には、一の押し順役の不正解押し順が別の押し順役の正解押し順となる場合がある。なお、押し順役が含まれる役フラグにおいては、全通りの押し順に押し順役が設定されていない場合もある。その場合、押し順役が設定されていない押し順はいずれの押し順役にとっても不正解押し順となる。
【0067】
押し順役は、AT状態で遊技が行われる際に内部抽せんにより当せんし得る。AT状態中に押し順役が当せんした場合には、正解押し順が報知される(すなわち、アシストされる)。複数の押し順役が同時に当せんしている状態においては、特定の押し順役(例えば、同時に成立した複数の押し順役のうち遊技者への恩恵が最大となる押し順役)の正解押し順が報知される。これにより、遊技者は、押し順役の取りこぼしを回避することができる。
【0068】
なお、押し順役は、一般遊技状態中にも当せんし得る。一般遊技状態中に押し順役が成立した場合、正解押し順の報知はされない。そのため、押し順役が取りこぼされたり、遊技者にとって恩恵が減った押し順役が入賞したりする。
【0069】
―回転リール制御部―
回転リール制御部611は、レバー43または各ストップスイッチ40の操作に基づいて、ステッピングモータ21の駆動を制御し、各回転リール20の回転を開始させる回転開始制御または回転を停止させる回転停止制御を行う。
【0070】
具体的には、回転リール20全ての回転が停止している状態にて、レバー43が操作された場合、回転リール制御部611は、回転リール20全ての回転を開始させる。少なくとも1つの回転リール20の回転中に、回転中の回転リール20に対応するストップスイッチ40が操作された場合、回転リール制御部611は、操作されたストップスイッチ40に対応する回転リール20の回転を停止させる。
【0071】
回転停止制御では、回転リール制御部611は、ストップスイッチ40の操作に基づいて、当せんフラグが示す役に対応する図柄の組み合わせが、回転リール20の有効ラインL上に配置されることでその役が入賞するように、回転リール20の回転を停止させることができる。
【0072】
また、回転停止制御では、回転リール制御部611は、当せんした役と、各ストップスイッチ40操作時の回転リール40の位置とに応じて、引き込み制御または蹴飛ばし制御を行う。引き込み制御とは、当せんした役に対応する図柄を有効ラインL上に引き込むようにして、回転リール20の回転を停止させる制御である。蹴飛ばし制御とは、当せんしていない役に対応する図柄が有効ラインL上に揃わないように、回転リール20の回転を停止させる制御である。
【0073】
―遊技結果判定部―
遊技結果判定部613は、内部抽せんおよび回転リール20の回転停止制御の各結果に基づいて遊技結果を判定する。遊技結果とは、有効ラインL上に揃った図柄に基づいて、当せんした役が入賞したか否かが判定された結果を意味する。具体的には、有効ラインL上に停止した図柄の組み合わせと、予め定められている所定の図柄の組み合わせとが一致した場合に、遊技結果判定部613は、当せん役が入賞したと判定する。遊技結果判定部613は、判定結果信号を媒体管理部614および演出制御部630等に送信する。
【0074】
―媒体管理部―
媒体管理部614は、クレジット数の増減制御、およびホッパーユニット50によるメダルの払い出し動作の制御を行う。
【0075】
具体的に、媒体管理部614は、メダルがベットされた場合には、メダルのベット数に応じてクレジット数を減少させ、メダルがクレジットされた場合には、クレジット数を増加させる。
【0076】
内部抽せんによって当せんした役が遊技者の操作に基づいて入賞した場合、媒体管理部614は、入賞した役の種類に基づくメダルの払い出し枚数に基づいて、クレジット数を増加させる。
【0077】
また、媒体管理部614は、遊技結果判定部613が判定した遊技結果の他、精算スイッチ45の操作により出力された操作信号に基づいて、ホッパーユニット50を制御する。
【0078】
具体的に、当せんした役の入賞により得られたメダルは、先ずはクレジットとして貯留される。メダルを貯留した結果、クレジット数がその上限(例えば50枚)を超えた場合には、上限を超えた分のメダルがホッパーユニット50から払い出される。また、貯留中のメダルが一枚以上ある状態で精算スイッチ45が操作された場合、貯留中のメダルの少なくとも一部がホッパーユニット50から払い出される。
【0079】
さらに、媒体管理部614は、有利区間において、メダルの払い出し枚数からメダルのベット数を差し引いた枚数の累積値であるメダルの差枚数、および差枚数の最大値と最小値との差であるレンジ(MY)を算出する。メダルの差枚数およびレンジ(MY)は、区間制御部616に送信される。なお、媒体管理部614は、有利区間終了後に、メダルの差枚数およびレンジ(MY)をリセットする。
【0080】
―遊技進行制御部―
遊技進行制御部615は、遊技者の操作に基づいて遊技進行を制御する。その際、遊技進行制御部615は、店舗スタッフにより設定された設定値に基づいて、当該遊技者による遊技進行を制御する。
【0081】
また、遊技進行制御部615は、RAMクリアボタン71が押下された場合、メイン制御部61のRAMを初期化することで、遊技データをリセットする。遊技進行制御部615は、設定変更ボタン72が押下された場合、現在の設定値を他の設定値に変更し、変更した設定値を設定する。遊技進行制御部615は、設定値の情報を内部抽せん部610および演出制御部630等へ送信する。尚、本実施形態において、いずれの設定値が設定されているかによって、例えば、リプレイ、共通ベル、および一種BB等の役の当せん確率が異なる。
【0082】
―区間制御部―
区間制御部616は、遊技者による遊技の際、複数の遊技区間(通常区間および有利区間)のうちいずれかを設定する。
【0083】
具体的には、区間制御部616は、遊技区間が通常区間である場合に、通常区間の状態を維持するか、それとも有利区間に移行するかの区間移行抽せんを行う。所定の抽せん対象役が当せんした際に、区間移行抽せんを行うか否かの抽せんが行われ、その結果当せんした場合に、区間移行抽せんが行われる。区間移行抽せんに当せんした場合、区間制御部616は、遊技区間を有利区間に設定(移行)する。
【0084】
なお、区間移行抽せんの当せん確率は、設定値に応じて異なっている。一例としては、設定値に応じて、前記所定の抽せん対象役の当せん確率が異なっているか、または、前記所定の当せん対象役の当せん時に行われる区間移行抽せんの当せん確率が異なっている。
【0085】
また、区間制御部616は、遊技区間が有利区間である場合には、有利区間の状態を維持するか、通常区間に移行するかを決定する。例えば、区間制御部616は、遊技区間が有利区間の時に、第2遊技状態がAT状態から一般遊技状態に移行したか否かを判定する。一般遊技状態に移行したと判定した場合、区間制御部616は、遊技区間を有利区間から通常区間に移行させる。
【0086】
また、区間制御部616は、有利区間の状態での消化ゲーム数が1500ゲームに達した場合、または、有利区間の間にメダルの差枚数が2400枚に達した場合、遊技区間を、有利区間から通常区間に強制的に移行させる。
【0087】
また、区間制御部616は、遊技データがリセットされた場合、リセット直前の遊技区間いかんにかかわらず、遊技区間を通常区間に設定する。
【0088】
なお、区間制御部616は、設定(移行)した区間の種類を表す信号を、媒体表示部44に送信する。これにより、媒体表示部44には、有利区間か否かが表示される。
【0089】
―遊技状態制御部―
遊技状態制御部617は、第1遊技状態および第2遊技状態それぞれの設定を行う。
【0090】
具体的には、遊技状態制御部617は、第1遊技状態を特別役非持ち越し状態、特別役持ち越し状態および特別役実施状態のいずれかに設定し、第2遊技状態を一般遊技状態またはAT状態に設定する。
【0091】
一例として、図4に示すように、遊技状態制御部617は、メイン制御部61のRAMクリアなどの所定条件が満たされた場合は、第1遊技状態を特別役非持ち越し状態に設定する。内部抽せんにより特別役が当せんした直後、遊技状態制御部617は、第1遊技状態を特別役持ち越し状態に設定する。その特別役が入賞した場合、遊技状態制御部617は、第1遊技状態を特別役実施状態に設定する。
【0092】
また、図5に示すように、遊技状態制御部617は、AT抽せんの結果に基づいて、第2遊技状態をAT状態に設定するか否か(すなわち、ATに当せんしたか否か)を判定する。詳しくは、遊技状態制御部617は、遊技区間が有利区間である場合に内部抽せんにより当せんした役に応じてAT抽せんを行う。例えば、遊技状態制御部617は、レア役であるチェリー又はスイカ等が当せんした場合にAT抽せんを行う。有利区間の間にAT抽せんに当せんした場合、遊技状態制御部617は、第2遊技状態をAT状態に設定する。逆に、AT抽せんに当せんしなかった場合、遊技状態制御部617は、第2遊技状態を一般遊技状態に設定することができる。また、ATが終了した場合、遊技状態制御部617は、第2遊技状態をAT状態から一般遊技状態に移行させる。
【0093】
さらに、遊技状態制御部617は、AT状態のゲーム数を上乗せするか否かの上乗せ抽せんを行う。詳しくは、遊技状態制御部617は、AT状態中に内部抽せんにより当せんした役に応じて上乗せ抽せんを行う。例えば、遊技状態制御部617は、レア役であるチェリー又はスイカ等が当せんした場合に上乗せ抽せんを行う。上乗せ抽せんに当せんした場合、遊技状態制御部617は、AT状態の継続ゲーム数に所定のゲーム数を上乗せ、即ち、追加する。
【0094】
遊技状態制御部617は、AT抽せん及び上乗せ抽せんの抽せん結果を示す抽せん結果信号を演出制御部630等に送信する。
【0095】
―演出制御部―
演出制御部630は、遊技進行に基づいて、複数種類の演出映像の中から選択された演出映像を液晶画面3に表示させるとともに、その演出映像に応じた効果音やBGMなどをスピーカ14から出力させる。
【0096】
演出制御部630は、AT中、逐次当せんする押し順役の正解押し順の報知を、液晶画面3およびスピーカ14の少なくとも1つに行わせる(アシスト機能)。
【0097】
演出制御部630は、PUSH図柄22がリール窓12内に停止した際に、リール窓12のうちPUSH図柄22の停止位置に対応する部分への遊技者による接触があった場合に、特定演出を実行する。特定演出は、遊技が単調となることを防ぐために、遊技性に変化を与えるものである。特定演出は、例えば、AT当せん、AT上乗せ当せんの期待度を表す演出である。例えば、演出制御部630は、AT、ボーナスまたはAT上乗せが当せんした場合、リール窓12のうちPUSH図柄22の停止位置に対応する部分への遊技者による接触に応じて特定演出を制御する。演出制御部630は、当せんの旨を液晶画面3に表示させるための演出パターンを選択し、当該演出パターンに従って液晶画面3の表示制御およびスピーカ14の音声出力制御を行う。
【0098】
<特定演出の処理の流れ>
図7を用いて、スロットマシン1の特定演出の処理の流れを説明する。
【0099】
演出制御部630は、ステップS1において、内部抽せんによって、特別役(一種BBおよび二種BB)が当せんしたか否かを判定する。具体的には、演出制御部630は、内部抽せん部610からの内部抽せん結果信号に基づいて特別役が当せんしたか否かを判定する。
【0100】
特別役が当せんしている場合(ステップS1のYES)、演出制御部630は、ステップS2において、PUSH図柄22がリール窓12内に停止したか否かを判定する。以下、図柄がリール窓12内に停止することを、単に「図柄が停止する」とも称する。詳しくは、特別役が当せんしている場合であっても、特別役が入賞しない場合、すなわち、特別役を構成する図柄が停止しない場合がある。そのような場合において、PUSH図柄22が停止する場合がある。演出制御部630は、遊技結果判定部613からの判定結果信号に基づいてPUSH図柄22がリール窓12内に停止したか否かを判定する。
【0101】
PUSH図柄22が停止した場合(ステップS2のYES)、演出制御部630は、ステップS3において、遊技者がリール窓12のうちPUSH図柄22の停止位置に対応する部分へ接触したか否かを判定する。ここで、PUSH図柄22の停止位置に対応する部分とは、リール窓12のうち停止したPUSH図柄22と概ね対向する部分を意味する。すなわち、PUSH図柄22の停止位置に対応する部分とは、PUSH図柄22の外形と厳密に同じ形状をしている必要はなく、PUSH図柄22の外形よりも小さな部分であってもよく、PUSH図柄22の外形よりも大きな部分であってもよい。以下、リール窓12のうちPUSH図柄22の停止位置に対応する部分への接触を単に「PUSH図柄22への接触」とも称する。具体的には、演出制御部630は、タッチパネル13が遊技者によるPUSH図柄22への接触を検出したか否かを判定する。尚、演出制御部630は、遊技者にPUSH図柄22への接触を促す画像を液晶画面3に表示させてもよい。
【0102】
遊技者によるPUSH図柄22への接触があった場合(ステップS3のYES)、演出制御部630は、ステップS4において、接触圧力が大きいか否かを判定する。具体的には、演出制御部630は、タッチパネル13からの検出信号に基づいて、接触圧力が所定の閾値よりも大きいか否かを判定する。
【0103】
接触圧力が閾値よりも大きい場合(ステップS4のYES)、演出制御部630は、ステップS5において、第1特定演出を実行する。一方、接触圧力が閾値以下の場合(ステップS4のNO)、演出制御部630は、ステップS6において、第2特定演出を実行する。具体的には、ステップS5であってもステップS6であっても、演出制御部630は、当せんした特別役に対応した特定演出を選択し、当該特定演出に従って液晶画面3の表示制御およびスピーカ14の音声出力制御を行う。これにより、特別役の当せんが遊技者に報知される。ただし、第1特定演出と第2特定演出とでは特定演出の内容が異なる。演出制御部630は、タッチパネル13への接触圧力の大きさに応じて特定演出の内容を変更する。例えば、一種BBに対応する第1特定演出及び第2特定演出の2つの特定演出がサブ制御部63のROMに記憶されている。一種BBが当せんした場合、演出制御部630は、接触圧力の大きさに応じて第1特定演出及び第2特定演出の一方を選択し、実行する。
【0104】
その後、ステップS7において、演出制御部630は、遊技が終了されたか否かを判定する。遊技が終了された場合(ステップS7のYES)、特定演出の処理が終了する。一方、遊技が終了されていない場合(ステップS7のNO)、演出制御部630は、ステップS1からの処理を繰り返す。
【0105】
一方、ステップS2において、PUSH図柄22が停止しなかった場合(ステップS2のNO)、演出制御部630は、ステップS7へ進む。つまり、演出制御部630は、特定演出を実行しない。PUSH図柄22が停止しなかった場合には、特別役が入賞した場合と、特別役が入賞せず且つPUSH図柄22が停止しなかった場合とが含まれる。特別役が入賞した場合には、特別役の当せんを報知する必要がないので、演出制御部630は特定演出を実行せず、特別役の演出(すなわち、特別役の実施に伴う演出)を実行する。特別役が入賞せず且つPUSH図柄22が停止しなかった場合には、遊技が終了されていなければ、演出制御部630は、再びステップS1の判定を行う。特別役が当せんした状態は維持されるので、演出制御部630は、ステップS2以降の処理を再度行う。
【0106】
また、ステップS3において、遊技者によるPUSH図柄22への接触がなかった場合(ステップS3のNO)、演出制御部630は、ステップS7へ進む。つまり、演出制御部630は、特定演出を実行しない。つまり、PUSH図柄22への接触による特定演出の実行は、遊技者に委ねられている。遊技者は、PUSH図柄22へ接触しないことによって、特定演出の不実行を選択することができる。
【0107】
このように、内部抽せんによって特別役が当せんした場合、そのゲームで特別役が入賞すると、特定演出は実行されず、特別役の演出が実行される。一方、そのゲームで特別役が入賞しなかった場合であってPUSH図柄22が停止した場合には、遊技者がPUSH図柄22へ接触すると、特別役が当せんしている旨を報知する特定演出が実行される。この場合、特別役が入賞していないため、遊技者は一旦、落胆してしまう。しかし、PUSH図柄22が停止していることによって、遊技者に特定演出への期待感をもたせることができる。そして、PUSH図柄22への接触という操作が特定演出の契機となるので、遊技者は遊技進行に関与することができる。さらに、特定演出の契機となる操作は、本来は触ることができない回転リール20への疑似的な接触である。これらにより、遊技者を飽きさせない演出を提供することができ、遊技の興趣性を向上させることができる。
【0108】
一方、ステップS1において、特別役が当せんしていない場合(ステップS1のNO)、演出制御部630は、ステップS8において、レア役が当せんしたか否かを判定する。ステップS8で判定するレア役は、AT抽せん又は上乗せ抽せんの契機となるレア役であり、例えば、チェリーまたはスイカである。一般遊技状態で進行する有利区間においてレア役が当せんした場合、AT抽せんが行われる。また、AT状態で進行する有利区間においてレア役が当せんした場合、上乗せ抽せんが行われる。すなわち、ステップS8では、演出制御部630は、AT抽せんまたは上乗せ抽せんが行われたか否かを判定する。具体的には、演出制御部630は、内部抽せん部610からの内部抽せん結果信号に基づいてレア役が当せんしたか否かを判定する。
【0109】
レア役が当せんしている場合(ステップS8のYES)、演出制御部630は、ステップS9において、PUSH図柄22が停止したか否かを判定する。レア役が当せんし且つPUSH図柄22が停止する場合には、レア役の入賞と同時にPUSH図柄22が停止する場合と、レア役が入賞せず(すなわち、レア役を取りこぼし)且つPUSH図柄22が停止する場合とがある。演出制御部630は、遊技結果判定部613からの判定結果信号に基づいてPUSH図柄22がリール窓12内に停止したか否かを判定する。
【0110】
PUSH図柄22が停止した場合(ステップS9のYES)、演出制御部630は、前述のステップS3において、遊技者によるPUSH図柄22への接触があったか否かを判定する。
【0111】
遊技者によるPUSH図柄22への接触があった場合(ステップS3のYES)、演出制御部630は、ステップS4において、接触圧力が大きいか否かを判定する。
【0112】
接触圧力が閾値よりも大きい場合(ステップS4のYES)、演出制御部630は、ステップS5において、第1特定演出を実行する。一方、接触圧力が閾値以下の場合(ステップS4のNO)、演出制御部630は、ステップS6において、第2特定演出を実行する。具体的には、ステップS5であってもステップS6であっても、ステップS9を経由してきた場合には、演出制御部630は、AT抽せんまたは上乗せ抽せんの当せん結果に対応した特定演出を実行する。演出制御部630は、遊技状態制御部617からの抽せん結果信号に基づいてATまたはAT上乗せが当せんしたかを判定し、AT当せん、ATはずれ、AT上乗せ当せんまたはAT上乗せはずれに対応した特定演出を実行する。これにより、AT当せんまたはAT上乗せ当せんが遊技者に報知される。
【0113】
つまり、AT当せん、ATはずれ、AT上乗せ当せんおよびAT上乗せはずれの種別が同じであっても、第1特定演出と第2特定演出とでは特定演出の内容が異なる。演出制御部630は、接触圧力の大きさに応じて特定演出の内容を変更する。AT当せん、ATはずれ、AT上乗せ当せんおよびAT上乗せはずれのそれぞれに対応する第1特定演出及び第2特定演出の2つの特定演出がサブ制御部63のROMに記憶されている。例えば、ATが当せんした場合、演出制御部630は、AT当せんに対応する第1特定演出及び第2特定演出の一方を接触圧力の大きさに応じて選択し、実行する。
【0114】
一方、遊技者によるPUSH図柄22への接触がなかった場合(ステップS3のNO)、演出制御部630は、ステップS7へ進む。特別役の場合と同様に、PUSH図柄22への接触による特定演出の実行は、遊技者に委ねられる。
【0115】
また、ステップS9においてPUSH図柄22が停止しなかった場合、演出制御部630は、ステップS10において、AT抽せんによってAT当せんとなったか、または、上乗せ抽せんによってAT上乗せ当せんとなったかを判定する。具体的には、演出制御部630は、遊技状態制御部617からの抽せん結果信号に基づいてATまたはAT上乗せが当せんしたかを判定する。
【0116】
ATまたはAT上乗せが当せんした場合には、演出制御部630は、ステップS6へ進む。一方、ATまたはAT上乗せが当せんしなかった場合には、演出制御部630は、ステップS7へ進む。
【0117】
ATまたはAT上乗せが当せんし且つPUSH図柄22が停止しなかった場合には、第1特定演出および第2特定演出のいずれを実行するかを決定する機会がないので、演出制御部630は、ステップS6において、ATまたはAT上乗せ当せんに対応した第2特定演出を実行する。尚、演出制御部630は、ステップS6ではなく、ステップS7へ進んで、第1特定演出を実行してもよい。あるいは、演出制御部630は、ステップS6でもステップS7でもなく、第1特定演出及び第2特定演出とは別の特定演出を実行するステップへ進んでもよい。
【0118】
このように、内部抽せんによってレア役が当せんした場合も特定演出が実行され得る。レア役が当せんした場合、AT抽せんまたは上乗せ抽せんが行われて、AT当せんまたはAT上乗せ当せんとなり得る。そのため、レア役が当せんした場合には、PUSH図柄22が停止し且つ遊技者がPUSH図柄22へ接触すると、AT抽せんまたは上乗せ抽せんの当せん結果を報知する特定演出が実行される。ATまたはAT上乗せが当せんした場合、PUSH図柄22が停止しなくても、回転リール20の停止後に特定演出が実行される(ステップS10、ステップS6の順で行われる処理)。そのため、回転リール20の停止後にAT当せんまたはAT上乗せ当せんを報知する特定演出が実行されないと、遊技者は一旦、落胆してしまう。しかし、PUSH図柄22が停止していることによって、遊技者に特定演出への期待感をもたせることができる。さらに、PUSH図柄22への接触という操作が特定演出の契機となるので、遊技者は遊技進行に関与することができる。それに加えて、特定演出の契機となる操作は、本来は触ることができない回転リール20への疑似的な接触である。これらにより、遊技者を飽きさせない演出を提供することができ、遊技の興趣性を向上させることができる。
【0119】
<効果>
以上をまとめると、スロットマシン1(遊技機)は、ステッピングモータ21(モータ)によって回転駆動され、複数の図柄がそれぞれ配置された複数の回転リール20と、複数の図柄の一部が外部から視認可能なリール窓12を有し、複数の回転リール20を収容する筐体10と、リール窓12への遊技者による接触を検出するタッチパネル13(接触検出部)と、特定演出を制御する演出制御部630とを備え、演出制御部630は、複数の図柄のうちのPUSH図柄22(特定の図柄)がリール窓12内に停止した場合においてタッチパネル13がリール窓12のうちPUSH図柄22の停止位置に対応する部分への遊技者による接触を検出した場合に、特定演出を実行する。
【0120】
この構成によれば、PUSH図柄22がリール窓12内に停止した場合、リール窓12のうちPUSH図柄22の停止位置に対応する部分へ遊技者が接触すると、特定演出が実行される。リール窓12への接触という新たな操作で特定演出が実行されるので、スロットマシン1は、遊技者を飽きさせない演出を提供することができる。それに加えて、本来は触ることができない回転リール20への疑似的な接触が特定演出の契機となるので、遊技の興趣性を向上させることができる。
【0121】
また、複数の回転リール20のうちの少なくとも1つの回転リール20には、遊技媒体の払い出しを伴う役である払い出し役を構成する図柄と共にPUSH図柄22が配列されている。
【0122】
この構成によれば、PUSH図柄22が配置されている回転リール20は、演出用の回転リールではなく、払い出し役を構成する図柄が配列された回転リール20である。そのため、回転リール20が回転し、回転リール20が停止し、払い出し役の入賞か否かが決定するという一連の通常の遊技中にPUSH図柄22が出現する。つまり、通常の遊技中においてPUSH図柄の出現の期待感を高揚させることができる。
【0123】
さらに、タッチパネル13は、リール窓12への遊技者による接触態様を検出し、演出制御部630は、タッチパネル13によって検出される接触態様に応じて特定演出を変更する。
【0124】
この構成によれば、PUSH図柄22へ接触する際のタッチパネル13への接触態様に応じて特定演出が変更される。これにより、特定演出の幅が広がり、遊技の興趣性がさらに向上する。
【0125】
具体的には、タッチパネル13によって検出される接触態様は、リール窓12への接触圧力の大きさである。
【0126】
この構成によれば、遊技者が単にPUSH図柄22へ接触するだけでなく、PUSH図柄22へ接触する際のタッチパネル13への接触圧力の大きさに応じて特定演出が変更される。そのため、遊技者による遊技の進行への関与の度合いが大きくなり、遊技の興趣性が一層向上する。
【0127】
《実施形態2》
次に、実施形態2に係るスロットマシン201について図面を参照して説明する。図8は、スロットマシン201の正面図である。
【0128】
筐体210は、回転リール220の一部が外部から視認可能なリール窓212を有している。リール窓212には、第1リール窓212aと第2リール窓212bとが含まれている。第1リール窓212aは、第2リール窓212bよりも大きい。第2リール窓212bは、第1リール窓212aの右側に配置されている。
【0129】
スロットマシン201は、回転リールとして、左メインリール220Lと、中メインリール220Cと、右メインリール220Rと、演出用リール220Eとを有している。4つの回転リールを区別しない場合には、単に「回転リール220」と称する。4つの回転リール220は、演出用リール220E、中メインリール220C、右メインリール220R、左メインリール220Lの順で左から右へ水平方向に並んでいる。
【0130】
演出用リール220E、中メインリール220Cおよび右メインリール220Rは、第1リール窓212aから視認可能に配置されている。第1リール窓212aからは、各回転リール220において周方向に沿って連続する3つの図柄が視認可能となっている。
【0131】
左メインリール220Lは、第2リール窓212bから視認可能な状態で配置されている。第2リール窓212bからは、左メインリール220Lの1つの図柄が視認可能となっている。
【0132】
3つのストップスイッチ40のうち左側のストップスイッチ40が操作されると、左メインリール220L及び演出用リール220Eが停止する。中央のストップスイッチ40が操作されると、中メインリール220Cが停止する。右側のストップスイッチ40が操作されると、右メインリール220Rが停止する。
【0133】
リール窓212には、中メインリール220C、右メインリール220Rおよび左メインリール220Lを横切る有効ラインLが定められている。詳しくは、有効ラインLは、中メインリール220Cの中段、右メインリール220Rの中段、及び左メインリールLを横切っている。有効ラインL上に停止する図柄の組み合わせが、いずれかの役に対応しているときに、その役が入賞したことになる。つまり、実際の当せん役および入賞役は、左メインリール220L、中メインリール220Cおよび右メインリール220Rの停止図柄の組み合わせによって決定され、演出用リール220Eは演出のために用いられる。
【0134】
図9は、回転リール220の図柄の配列を示す図である。左メインリール220L、中メインリール220Cおよび右メインリール220Rのそれぞれには、メダルの払い出しを伴う払い出し役およびメダルを投入せずに再遊技できる再遊技役を構成する複数の図柄が配列されている。左メインリール220L、中メインリール220Cおよび右メインリール220Rは、入賞役を決定するための回転リールである。演出用リール220Eには、払い出し役および再遊技役を構成する図柄と共に特定の図柄としてのPUSH図柄22が配列されている。演出用リール220Eは、演出用の回転リールである。そのため、演出用リール220Eの払い出し役および再遊技役を構成する図柄は、演出用に過ぎず、入賞役には無関係である。左メインリール220L、中メインリール220Cおよび右メインリール220Rは、第1回転リールの一例である。演出用リール220Eは、第2回転リールの一例である。
【0135】
リール窓212には、透明のタッチパネル213が設けられている。詳しくは、タッチパネル213は、前面扉11の内側であって、第1リール窓212aのうち演出用リール220Eに対応する部分に配置されている。タッチパネル213の機能は、タッチパネル13と同じである。タッチパネル213は、接触検出部の一例である。
【0136】
続いて、スロットマシン201の特定演出について、図10のフローチャートを参照しながら説明する。
【0137】
演出制御部630は、ステップS201において、PUSH図柄22がリール窓212内に停止したか否かを判定する。演出制御部630は、遊技結果判定部613からの判定結果信号に基づいて演出用リール220EのPUSH図柄22が第1リール窓212a内に停止したか否かを判定する。
【0138】
PUSH図柄22が停止した場合(ステップS201のYES)、演出制御部630は、ステップS202において、遊技者にPUSH図柄22を上か下へフリック操作またはスワイプ操作を指示する画像を液晶画面3に表示させる。例えば、演出制御部630は、「上か下か、どちらか選べ!」といったメッセージを液晶画面3に表示させる。
【0139】
続いて、演出制御部630は、ステップS203において、遊技者がPUSH図柄22へ接触したか否かを判定する。遊技者によるPUSH図柄22への接触がなかった場合(ステップS203のNO)、演出制御部630は、ステップS208へ進む。
【0140】
一方、PUSH図柄22への接触があった場合(ステップS203のYES)、演出制御部630は、ステップS204において、フリック操作またはスワイプ操作の方向を判定する。具体的には、演出制御部630は、遊技者がPUSH図柄22を上および下の何れにフリック操作またはスワイプ操作したかを、タッチパネル213の検出信号に基づいて判定する。
【0141】
続いて、演出制御部630は、ステップS205において、特別役、ATおよびAT上乗せの何れかに当せんしているか否かを判定する。具体的には、演出制御部630は、内部抽せん部610からの内部抽せん結果信号および遊技状態制御部617からの抽せん結果信号に基づいて特別役、ATおよびAT上乗せの何れか1つが当せんしたか否かを判定する。
【0142】
特別役、ATおよびAT上乗せの何れかが当せんしている場合(ステップS205のYES)、演出制御部630は、ステップS206において、第1特定演出を実行する。第1特定演出は、特別役、ATおよびAT上乗せのうちステップS205で当せんが判定されたものの当せんの期待度が高い演出、または、特別役、ATおよびAT上乗せのうちステップS205で当せんが判定されたものが当せんしていることを報知する演出である。実施形態2の第1特定演出には、液晶画面3の表示およびスピーカ14からの音声に加えて、演出用リール220Eの動作も含まれる。具体的には、演出制御部630は、ステップS204で判定したフリック操作またはスワイプ操作の方向へ演出用リール220Eを回転させる回転制御を行う。遊技者は、PUSH図柄22をフリック操作またはスワイプ操作した方向に演出用リール220Eが回転し始めることによって、特別役、ATおよびAT上乗せのうちの何れかが当せんしていることを知ることができる。演出制御部630は、特別役、ATおよびAT上乗せのうちの何れが当せんしたかを、液晶画面3に表示させてもよい。
【0143】
一方、特別役、ATおよびAT上乗せの何れも当せんしていない場合(ステップS205のNO)、演出制御部630は、ステップS207において、第2特定演出を実行する。第2特定演出は、特別役、ATおよびAT上乗せの当せんの期待度が低い(第1特定演出の期待度に比べて低い)演出、または、特別役、ATおよびAT上乗せの何れも当せんしていないことを報知する演出である。実施形態2の第2特定演出には、液晶画面3の表示およびスピーカ14からの音声に加えて、演出用リール220Eの動作も含まれる。具体的には、演出制御部630は、ステップS204で判定したフリック操作またはスワイプ操作の方向と反対方向へ演出用リール220Eを回転させる回転制御を行う。遊技者は、PUSH図柄22をフリック操作またはスワイプ操作した方向とは反対方向に演出用リール220Eが回転し始めることによって、特別役、ATおよびAT上乗せの何れもが当せんしなかったことを知ることができる。
【0144】
ステップS206,S207の後は、演出制御部630は、ステップS208において、遊技が終了されたか否かを判定する。遊技が終了された場合(ステップS208のYES)、特定演出の処理が終了する。一方、遊技が終了されていない場合(ステップS208のNO)、演出制御部630は、ステップS201からの処理を繰り返す。
【0145】
このように、スロットマシン201においては、演出用リール220EのみにPUSH図柄22が配置され、PUSH図柄22がリール窓212内に停止し且つPUSH図柄22への接触があったか否かによって特定演出を実行するか否かが決定される。さらに、演出用リール220Eが特定演出の少なくとも一部を実施する。入賞役は、左メインリール220L、中メインリール220C及び右メインリール220Rによって決定され、演出用リール220Eには依存しない。そのため、演出用リール220Eは、比較的自由に動作することができ、停止後であっても再始動することができる。この演出用リール220Eの性質を利用し、スロットマシン201は、演出用リール220Eに特定演出の少なくとも一部を実施させる。
【0146】
PUSH図柄22が停止することによって、遊技者に特定演出への期待感をもたせることができる。さらに、PUSH図柄22への接触という操作が特定演出の契機となるので、遊技者は遊技進行に関与することができる。それに加えて、特定演出の契機となる操作は、本来は触ることができない回転リール220への疑似的な接触である。これらにより、遊技者を飽きさせない演出を提供することができ、遊技の興趣性を向上させることができる。
【0147】
<効果>
以上をまとめると、スロットマシン201(遊技機)は、ステッピングモータ21(モータ)によって回転駆動され、複数の図柄がそれぞれ配置された複数の回転リール220と、複数の図柄の一部が外部から視認可能なリール窓212を有し、複数の回転リール220を収容する筐体210と、リール窓212への遊技者による接触を検出するタッチパネル213(接触検出部)と、特定演出を実行する演出制御部630とを備え、演出制御部630は、複数の図柄のうちのPUSH図柄22(特定の図柄)がリール窓212内に停止した場合においてタッチパネル213がリール窓212のうちPUSH図柄22の停止位置に対応する部分への遊技者による接触を検出した場合に、特定演出を実行する。
【0148】
この構成によれば、PUSH図柄22がリール窓212内に停止した場合、リール窓212のうちPUSH図柄22の停止位置に対応する部分へ遊技者が接触すると、特定演出が実行される。リール窓212への接触という新たな操作で特定演出が実行されるので、スロットマシン201は、遊技者を飽きさせない演出を提供することができる。それに加えて、本来は触ることができない回転リール220への疑似的な接触が特定演出の契機となるので、遊技の興趣性を向上させることができる。
【0149】
また、複数の回転リール220は、遊技媒体の払い出しを伴う役である払い出し役を構成する図柄が配置された左メインリール220L、中メインリール220Cおよび右メインリール220R(第1回転リール)と、演出用の演出用リール220E(第2回転リール)とを含み、PUSH図柄22は、演出用リール220Eに配置されている。
【0150】
この構成によれば、演出用リール220Eは、演出用の回転リールであり、払い出し役等の入賞役を決定する左メインリール220L、中メインリール220Cおよび右メインリール220Rと比べて柔軟に動作することができる。そのため、演出用リール220Eは、入賞役との関係での制約を受けることなく、PUSH図柄22を比較的自由に停止させることができる。これにより、特定演出を柔軟に実行することができる。
【0151】
《その他の実施形態》
前記実施形態において説明した各種制御手段および処理手順は一例であって、本発明、その適用物、またはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。各種制御手段および処理手順は、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜設計変更が可能である。
【0152】
前記実施形態の一般遊技状態には、CZが含まれてもよい。また、前記実施形態では、有利遊技状態として、ATやボーナスを例示したが、有利遊技状態には、ARTが含まれてもよい。CZとは、ATへの突入確率やリプレイ確率がCZでない場合よりも高い遊技状態である。ARTは、リプレイ確率が一般遊技状態時よりも高く、かつ、押し順役の正解押し順を報知する遊技状態である。そして、設定値に応じて、AT、CZおよびARTの少なくとも1つへの突入確率が変化してもよい。設定値に応じて、AT、CZおよびARTの性能が変化してもよい。
【0153】
スロットマシン1の機種の仕様によっては、有利区間が最大1500ゲームに至る前や、遊技者の出玉の獲得枚数が2400枚に至るよりも前に、ATなどである有利遊技状態や有利区間が任意のタイミングにて終了することがあってもよい。
【0154】
前記実施形態では、遊技機がATタイプのスロットマシンである場合を例示した。しかし、遊技機は、RTタイプまたはARTタイプのスロットマシンなど、AT機以外であっても実現できる。
【0155】
さらに、遊技機は、スロットマシンに限定されず、パチンコ遊技機であってもよい。具体的には、ビデオリールではない、モータによって回転駆動される回転リールを備えるパチンコ遊技機であれば、本開示の技術を適用することができる。
【0156】
特定演出は、入賞役の成否が決定する回転リール20,220の停止後に行われているが、これに限定されるものではない。例えば、レバー43が操作されてから、回転リール20,220の回転処理を開始するまでの間に待機期間を設け、この待機期間中にPUSH図柄22を停止させる疑似遊技を行ってもよい。疑似遊技中に遊技者によるPUSH図柄22への接触があった場合には特定演出が実行される。このように疑似遊技中に特定演出を実行する構成においては、遊技者によるPUSH図柄22への接触の判定を、メイン制御部61が行う。具体的には、メイン制御部61に接触判定部を設け、接触判定部がタッチパネル13,213からの検出信号に基づいて、遊技者によるPUSH図柄22への接触があったか否かを判定する。そして、遊技者によるPUSH図柄22への接触を接触判定部が判定した場合には、演出制御部630が特定演出を実行すると共に、回転リール制御部611が回転リール20,220の回転処理を開始する(すなわち、回転リール20,220を再始動させる)。尚、この場合の特定演出として、さらなる疑似遊技に発展してもよい。
【0157】
また、特定演出は、特別役、ATまたはAT上乗せの当せんの結果を報知しているが、これに限定されるものではない。特定演出によって報知する対象は、ART当せん、RT当せん、またはCZ当せん等であってもよい。
【0158】
接触の対象となる特定の図柄は、PUSH図柄22に限定されるものではない。例えば、図3において、「紫7」を特定の図柄として用いてもよい。あるいは、特定の図柄は、常に決まった図柄でなくてもよい。つまり、演出制御部630は、「赤7に触れ!」とか、「左ベルに触れ!」とかのように液晶画面3に表示することによって、その時々で特定の図柄を設定してもよい。この構成によれば、PUSH図柄22のような接触のための専用の図柄を回転リール20に配置する必要がない。それに加えて、回転リール20の回転停止制御において、PUSH図柄22の停止を考慮する必要がないので、制御が簡便になる。
【0159】
実施形態1では、特別役が当せんした場合、及び、レア役が当せんした場合にPUSH図柄22が停止し得る。しかし、特別役が当せんしていない場合、または、レア役が当せんしていない場合にもPUSH図柄22が停止してもよい。この場合に、遊技者によるPUSH図柄22への接触があると、演出制御部630は、特別役がはずれた演出、または、AT若しくはAT上乗せがはずれた演出を行ってもよい。つまり、PUSH図柄22は、特別役及びレア役の当せんか否かにかかわらず停止し、遊技者によるPUSH図柄22への接触があった場合には、特別役、ATおよびAT上乗せの当せん結果に応じた特定演出が実行される。
【0160】
また、演出制御部630は、ステップS10の処理を省略してもよい。つまり、演出制御部630は、レア役が当せんし且つPUSH図柄22が停止しない場合(ステップS9のNO)には、ステップS7へ進んでもよい。
また、演出制御部630は、PUSH図柄22が停止した後に演出ボタン46の押し下げを促す画像を液晶画面3に表示させ、演出ボタン46が押し下げられると、PUSH図柄22への接触を促す画像を液晶画面3に表示させてもよい。PUSH図柄22への接触があった場合には、演出制御部630は、前述で説明したように特定演出を実行する。つまり、PUSH図柄22が停止した場合に、演出ボタン46の押し下げ及び液晶画面3によるPUSH図柄22への接触指示を経て、遊技者のPUSH図柄22への接触を契機に特定演出が実行されるようにしてもよい。PUSH図柄22が停止した場合に、演出ボタン46の押し下げ及び演出画面3による指示が無ければ、遊技者がPUSH図柄22へ接触しても特定演出は行われない。
【0161】
タッチパネル13は、接触圧力を検出しなくてもよい。つまり、演出制御部630は、タッチパネル13への接触圧力に応じて特定演出の内容を変更する処理を行わなくてもよい。その場合、演出制御部630は、遊技者によるPUSH図柄22への接触があった場合に特定演出を実行する。あるいは、演出制御部630は、接触圧力の代わりに、接触態様として実施形態2のようにフリック操作またはスワイプ操作の操作方向に応じて、特定演出の内容を変更してもよい。あるいは、演出制御部630は、接触圧力の代わりに、接触態様として接触時間に応じて特定演出の内容を変更してもよい。その場合、接触時間が所定期間よりも長いと、演出制御部630は第1特定演出を実行する一方、接触時間が所定期間以下の場合には、演出制御部630は第2特定演出を実行してもよい。このように、接触態様に応じて特定演出を変更することによって、遊技者が特定演出を選択することができるので、遊技の倦怠感、すなわち、退屈さを低減することができる。
【0162】
PUSH図柄22は、全ての回転リール20に配置されていなくてもよい。例えば、左の回転リール20だけにPUSH図柄22が配置されていてもよい。
【0163】
実施形態2において、スロットマシン201は、遊技者にPUSH図柄22のフリック操作またはスワイプ操作を要求しているが、これを省略してもよい。つまり、演出制御部630は、遊技者によるPUSH図柄22への接触があるか否かによって特定演出を実行してもよい。あるいは、演出制御部630は、実施形態1のように、タッチパネル213への接触圧力の大きさに応じて特定演出の内容を変更してもよい。
【0164】
また、遊技者がPUSH図柄22をフリック操作またはスワイプ操作したときの演出用リール220Eの動作は、一例に過ぎず、様々な動作態様が採用され得る。
さらに、演出用リール220EにおいてPUSH図柄22が停止しなかった場合に、演出制御部630は、演出用リール220Eを再始動させて、PUSH図柄22を停止させてもよい。例えば、PUSH図柄22が停止可能であるにもかかわらず、ストップスイッチ40の操作タイミングによってPUSH図柄22が停止しなかった場合に、演出制御部630は、演出用リール220Eを再始動させて、PUSH図柄22を強制的に停止させてもよい。
【0165】
特定演出は、液晶画面3による映像の出力およびスピーカ14による音声の出力に限定されず、任意の演出を採用し得る。特定演出として筐体10,210が振動したり、筐体10,210から風が出たり、スピーカ14から曲が流れたりしてもよい。
また、スロットマシン1,201は、演出用のビデオリールを有していてもよい。その場合には、特定演出として、ビデオリールが特定の態様で動作したり、特定の図柄を停止させたりしてもよい。
【0166】
リール窓12,212は、前面扉11の開口と開口に設置された透明のパネルとで形成されているが、これに限定されない。リール窓12,212は、透明のパネルを有しておらず、前面扉11の開口だけで形成されていてもよい。遊技者は、回転リール20,220へ直接、接触することができる。この場合、回転リール20,220に、遊技者による接触を検出するセンサが接触検出部として設けられていてもよい。つまり、タッチパネル13,213が省略される。
PUSH図柄22は、AT抽せん又は上乗せ抽せんの契機となるレア役を構成する図柄の1つであってもよい。例えば、左の回転リール20の停止図柄がチェリーであり、真ん中の回転リール20の停止図柄がPUSH図柄22となる図柄の組み合わせが、レア役の1つであってもよい。
【0167】
これらの他の実施形態を採用した場合においても、本実施形態の作用効果は発揮される。また、本実施形態と他の実施形態、および他の実施形態同士を適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0168】
1,201 スロットマシン(遊技機)
10,210 筐体
20 回転リール
220L 左メインリール(回転リール、第1回転リール)
220C 中メインリール(回転リール、第1回転リール)
220R 右メインリール(回転リール、第1回転リール)
220E 演出用リール(回転リール、第2回転リール)
21 ステッピングモータ(モータ)
22 PUSH図柄(特定の図柄)
12,212 リール窓
13,213 タッチパネル(接触検出部)
630 演出制御部
図1
図2
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図10