(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-22
(45)【発行日】2023-03-30
(54)【発明の名称】車両用シート
(51)【国際特許分類】
B60N 2/427 20060101AFI20230323BHJP
B60N 2/64 20060101ALI20230323BHJP
B60N 2/68 20060101ALI20230323BHJP
B60R 21/207 20060101ALI20230323BHJP
【FI】
B60N2/427
B60N2/64
B60N2/68
B60R21/207
(21)【出願番号】P 2021076276
(22)【出願日】2021-04-28
(62)【分割の表示】P 2016216090の分割
【原出願日】2016-11-04
【審査請求日】2021-05-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【氏名又は名称】福士 智恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100205501
【氏名又は名称】角渕 由英
(72)【発明者】
【氏名】山田 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】山部 篤史
【審査官】瀧本 絢奈
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-220994(JP,A)
【文献】特開2015-051770(JP,A)
【文献】特開2012-140044(JP,A)
【文献】特開平09-150705(JP,A)
【文献】特開平09-315256(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00- 2/90
B60R 21/207
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートバックフレームの側部を構成するサイドフレームと、
前記サイドフレームのシート内側の側面に取り付けられる取付部と、前記取付部から後方に突出した後方突出部と、を有するブラケットと、
前記後方突出部に対し固定されるエアバッグモジュールと、を備え
、
前記サイドフレームは、円筒状のパイプフレームと、前記パイプフレームの下部に取り付けられる板状の板フレームと、を有し、
前記ブラケットは、前記パイプフレームに対し、前記パイプフレームと前記板フレームとの接合部よりも下方に取り付けられることを特徴とする車両用シート。
【請求項2】
前記シートバックフレームを被覆するシートバックパッドを備え、
前記シートバックパッドは、側部にシート外側に向けて開口し、前記エアバッグモジュールを収納する収納部を有することを特徴とする請求項
1に記載の車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、側部にエアバッグを備える車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の側面衝突時に車両用シートの側部に設けられたエアバッグを膨出展開させて、乗員を保護するサイドエアバッグ装置を備えた車両用シートが知られている(例えば、下記の特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来技術においては、エアバッグモジュールは、サイドフレームからシート前方に延出したブラケットに取り付けられている。そのため、シートフレームに対して、シート後方側からエアバッグモジュールを取り付ける際の作業性が低かった。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両用シートの側部に配されるエアバッグモジュールをシート後方側から取り付ける際の作業性を向上させた車両用シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、本発明に係る車両用シートによれば、シートバックフレームの側部を構成するサイドフレームと、前記サイドフレームのシート内側の側面に取り付けられる取付部と、前記取付部から後方に突出した後方突出部と、を有するブラケットと、前記後方突出部に対し固定されるエアバッグモジュールと、を備え、前記サイドフレームは、円筒状のパイプフレームと、前記パイプフレームの下部に取り付けられる板状の板フレームと、を有し、前記ブラケットは、前記パイプフレームに対し、前記パイプフレームと前記板フレームとの接合部よりも下方に取り付けられることにより解決される。
上記の車両用シートによれば、エアバッグモジュールを取り付けるためのブラケットがサイドフレームの内側面に取り付けられているため、エアバッグモジュールの取付部分の左右方向の幅がコンパクトになる。さらに、エアバッグモジュールは、ブラケットとサイドフレームとの取付部よりも後方に取り付けられるため、シート後方からブラケットにエアバッグモジュールを組み付ける際の作業性を向上できる。
また、サイドフレームは、円筒状のパイプフレームと、パイプフレームの下部に取り付けられる板状の板フレームと、を有することで、エアバッグモジュールを、ブラケットと板フレームのシート外側の側面の両方に取り付けることができる。これにより、エアバッグモジュールをブラケットと板フレームのどちらか一方に取り付ける場合と比較して、シートクッションフレームへのエアバッグモジュールの取り付けを強固にできる。
また、サイドフレームにおけるパイプフレームと板フレームとの接合部分よりも下、すなわち上記の接合部分に重ならない部分にブラケットを取り付けることで、サイドフレームの剛性向上を抑制できる。これにより、ブラケットを取り付けた場合においてもサイドフレームの適切な衝撃吸収性を維持できる。
【0009】
また、上記の車両用シートにおいて、前記後方突出部は、前記取付部から後方に延出する後方延出部と、前記後方延出部からシート外側に延出する外側延出部と、を有し、前記外側延出部に、前記エアバッグモジュールが取り付けられることとしてよい。
こうすることで、ブラケットにおいて、パイプフレームに取り付ける部分と、エアバッグモジュールに取り付ける部分との向きを異ならせることができる。これにより、ブラケットとパイプフレーム、ブラケットとエアバッグモジュールの取り付け箇所の干渉を抑制し、取り付け作業性を向上できる。
【0010】
また、上記の車両用シートにおいて、前記エアバッグモジュールは、エアバッグと、前記エアバッグにガスを供給するインフレータと、前記インフレータ及び前記エアバッグを覆うケースと、前記ケースから突出した突出部を有するリテーナと、を備え、前記ブラケットの前記外側延出部と、前記リテーナの前記突出部とを固定したこととしてよい。
こうすることで、エアバッグモジュールから突出するリテーナとブラケットを固定できる。これにより、エアバッグモジュールをブラケットに取り付ける作業性を向上できる。
【0011】
また、上記の車両用シートにおいて、前記ブラケットの前記外側延出部と、前記リテーナの前記突出部とは、両者を貫通するボルトに、ナットを締結させることにより固定され、前記リテーナの前記突出部には、前記ボルトが挿通される開口部が形成されることとしてよい。
こうすることで、エアバッグモジュールのリテーナとブラケットを、ボルトとナットを用いて容易に固定できる。これにより、エアバッグモジュールのブラケットへの取付作業を容易にできる。
【0012】
また、上記の車両用シートにおいて、前記リテーナの前記突出部は、前記サイドフレームの後方においてシート内側に向かって延出した内側延出部を有し、前記内側延出部と前記外側延出部が固定されることとしてよい。
こうすることで、エアバッグモジュールのリテーナとブラケットとをシート後方からボルトとナットを用いて容易に固定できる。これにより、エアバッグモジュールのブラケットへの取付作業を容易にできる。
【0013】
また、上記の車両用シートにおいて、前記ボルトの端部は、後方に向いており、前記ナットは、前記ボルトの端部を被覆するキャップナットであることとしてよい。
こうすることで、シート後方からボルトにナットを締結させる作業が容易となる。
また、キャップナットによりボルトの端部が被覆されているので、ボルトの端部によるシート内部の損傷を抑制できる。
【0014】
また、上記の車両用シートにおいて、前記リテーナの開口部は、シート内側の端部に渡って設けられることとしてよい。
こうすることで、ボルトにリテーナに設けられた開口部をシート外側から嵌め込むことができる。これにより、エアバッグモジュールをブラケットに取り付ける作業が容易となる。
【0015】
また、上記の車両用シートにおいて、前記シートバックフレームを被覆するシートバックパッドを備え、前記シートバックパッドは、側部にシート外側に向けて開口し、前記エアバッグモジュールを収納する収納部を有することとしてよい。
こうすることで、シートバックフレームにシートバックパッドを取り付けた後でも、シートバックパッドの収容部にエアバッグモジュールを配置し、取り付けることができる。このように、シートバックフレームにシートバックパッドを付けた後にエアバッグモジュールを取り付けることができるため、シートバックパッドの取り付けの際にエアバッグモジュールの位置ずれが発生することがない。これにより、エアバッグモジュールの配置精度を向上できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、車両用シートの側部に配されるエアバッグモジュールをシート後方側から取り付ける際の作業性を向上できる。
【0017】
本発明の一側面によれば、シートクッションフレームへのエアバッグモジュールの取り付けを強固にできる。
【0018】
本発明の一側面によれば、ブラケットを取り付けた場合においてもサイドフレームの適切な衝撃吸収性を維持できる。
【0019】
本発明の一側面によれば、ブラケットとパイプフレーム、ブラケットとエアバッグモジュールの取り付け箇所の干渉を抑制し、取り付け作業性を向上できる。
【0020】
本発明の一側面によれば、エアバッグモジュールをブラケットに取り付ける作業性を向上できる。
【0021】
本発明の一側面によれば、エアバッグモジュールのリテーナとブラケットを、ボルトとナットを用いて容易に固定できる。
【0022】
本発明の一側面によれば、エアバッグモジュールのリテーナとブラケットとをシート後方からボルトとナットを用いて容易に固定できる。
【0023】
本発明の一側面によれば、ボルトの端部によるシート内部の損傷を抑制できる。
【0024】
本発明の一側面によれば、ボルトにリテーナに設けられた開口部をシート外側から嵌め込むことができる。
【0025】
本発明の一側面によれば、シートバックフレームにシートバックパッドを取り付けた後でも、シートバックパッドの収容部にエアバッグモジュールを配置し、取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本実施形態に係る車両用シートの斜視図である。
【
図5】エアバッグモジュールのパイプフレームへの取り付け箇所の拡大図である。
【
図8】エアバッグモジュールの板フレームへの取り付け部の拡大図である。
【
図10】シートバックフレームにおいてインフレータの配置を変えた変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、
図1乃至
図10を参照しながら、本発明の実施の形態(以下、本実施形態)に係る車両用シートSについて説明する。本実施形態に係る車両用シートSは、側部にエアバッグ装置を備えた車両用シートである。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、以下に説明する部材の形状、寸法、配置等については、本発明の趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0028】
以下の説明中、「前後方向」とは、車両用シートSの着座者から見たときの前後方向を意味し、車両の走行方向と一致する方向である。
「シート幅方向」とは、車両用シートSの横幅方向を意味し、車両用シートSの着座者から見たときの左右方向と一致する。
また、「上下方向」とは、車両用シートSの高さ方向を意味し、車両用シートSを正面から見たときの上下方向と一致する。
【0029】
[車両用シートSの構成]
図1に示されるように、車両用シートSは、背もたれ部分となるシートバックS1と、着座部分となるシートクッションS2と、シートバックS1の上部に配され乗員の頭部を支持するヘッドレストS3を備える。
【0030】
シートバックS1は、
図2に示す骨格となるシートバックフレーム10に、シートバックパッド1を被せ、さらにシートバックパッド1を表皮2により被覆して構成したものである。
【0031】
シートバックS1の側方の内部には、それぞれエアバッグモジュール30とエアバッグモジュール40が設けられている。
本実施形態では、エアバッグモジュール40がエアバッグモジュール30よりも車両のドアに近いこととする。すなわち、エアバッグモジュール30がファーサイドエアバッグ装置、エアバッグモジュール40がニアサイドエアバッグ装置とする。
なお、ファーサイドエアバッグ装置であるエアバッグモジュール30は、車両用シートSの乗員を、隣に着座する乗員との衝突から保護するものである。
また、ニアサイドエアバッグ装置であるエアバッグモジュール40は、車両用シートSの乗員を、車両のドアや車両外部との衝突から保護するものである。
本実施形態では、車両用シートSの右側にファーサイドエアバッグ装置であるエアバッグモジュール30が、左側にニアサイドエアバッグ装置であるエアバッグモジュール40が設けられる例について説明するが、両者の配置は車両用シートSの車両における配置に応じて決定されるものであり、上記の例に限定されない。
【0032】
[シートバックS1の構成]
次に、
図2乃至
図9を参照しながら、シートバックS1の構成について説明する。
図2には、シートバックS1の骨格となるシートバックフレーム10の斜視図を示した。
図2に示されるように、シートバックフレーム10は、逆さU字形のパイプフレーム11と、それぞれシート幅方向端部をなす一対の板フレーム12と、一対の板フレーム12の下端部の間に架設される下部フレーム15と、を備える。
【0033】
パイプフレーム11の側部11Aと、板フレーム12の上端部はそれぞれ上下方向で重なるように配置されており、パイプフレーム11の側部11Aと、板フレーム12の上端部は溶接部50A、溶接部50Bを含む溶接部位において接合されている。
なお、本実施形態では、パイプフレーム11の側部11Aと、板フレーム12とにより構成されるシートバックフレーム10の側部をサイドフレーム13と称する。
【0034】
シートバックフレーム10には、パイプフレーム11の上部(すなわち側部11Aよりも上部)を架設するクロスメンバ14が設けられている。
【0035】
右側のサイドフレーム13には、ブラケット20を介してエアバッグモジュール30が取り付けられる。なお、ブラケット20は、パイプフレーム11と板フレーム12の接合部である溶接部50A及び溶接部50Bよりも下方に設けられており、上記の接合部の剛性が必要以上に強化されることを抑止している。これにより、シートバックフレーム10の衝撃吸収性がブラケット20とエアバッグモジュール30の取り付けにより阻害されることがない。
【0036】
[エアバッグモジュール30の取付構造]
以下、ブラケット20へのエアバッグモジュール30の取り付けの構造に関して、
図3、
図5乃至
図9を参照しながら詳細に説明する。
【0037】
図5及び
図6に示されるように、右側のパイプフレーム11の側部11Aのシート内側の側面には、上下に配された貫通孔11Bと貫通孔11Cが形成されている。
ここで、ブラケット20は、パイプフレーム11の貫通孔11Cに取り付けられる取付部21、取付部21から後方に突出した後方突出部22を備える。なお、後方突出部22は、取付部21からシート後方に延出する後方延出部22Aと、後方延出部22Aからシート外側に延出する外側延出部22Bとからなる。
【0038】
ブラケット20の取付部21に形成される貫通孔と、ブラケット20に形成される貫通孔11Cにネジ23を締結させることで、ブラケット20がパイプフレーム11に対して固定される。
【0039】
図3、
図5及び
図7に示されるように、エアバッグモジュール30は、ケース33の内部に、エアバッグ31、インフレータ32、リテーナ34を備える。
インフレータ32は、車両の衝突を感知するセンサーからハーネス35を介して作動信号の入力を受けた場合にガスを発生させる。そして、インフレータ32は、発生したガスをエアバッグ31に注入してエアバッグ31を膨出展開させる。
【0040】
リテーナ34は、エアバッグモジュール30をシートバックフレーム10に取り付けるための板部材である。リテーナ34は、板フレーム12の外側面12Aに面した平板部34Dと、ケース33から突出した突出部34Aを備える。
【0041】
図8に示されるように、リテーナ34の平板部34Dを通じて、インフレータ32に設けられたスタッドボルト36A及びスタッドボルト36Bがシート内側に突出している。このスタッドボルト36A及びスタッドボルト36Bはそれぞれ、板フレーム12に形成される貫通孔に通される。
そして、スタッドボルト36Aには、板フレーム12のシート内側からナットを締結することで、インフレータ32、リテーナ34、板フレーム12が固定される。
一方、スタッドボルト36Bにはナット37を締結させることで、インフレータ32とリテーナ34とが固定されている。なお、スタッドボルト36Bが通される板フレーム12の貫通孔は、ナット37よりも大きな径であり、この部分においてはリテーナ34と板フレーム12とは固定されていない。
また、スタッドボルト36A及びスタッドボルト36Bを上下に挟む位置に力布を固定するための力布クリップ60が板フレーム12に取り付けられる。ここで、力布は、エアバッグモジュール30の側部を覆うことで、エアバッグ31の展開方向を案内するための部材である。
【0042】
図5に示されるように、リテーナ34の突出部34Aには、ブラケット20の外側延出部22Bが取り付けられる。
具体的には、
図5及び
図7に示すように、突出部34Aは、シート内側に延出する内側延出部34Bを有し、内側延出部34Bはその中心からシート内側の端部にかけて開口部34Cが形成される。
そして、ブラケット20の外側延出部22Bに形成される貫通孔と、開口部34Cにボルト24が通され、ボルト24の端部24Aにキャップナット25が嵌められて締結される。これにより、ブラケット20とリテーナ34とが固定される。
なお、上記構成によれば、ボルト24の端部24Aがシート後方を向いており、シート後方からキャップナット25を嵌めることができる。また、ボルト24の端部24Aは、キャップナット25により被覆されているためボルト24の端部24AがシートバックS1内部を損傷することを抑制できる。
【0043】
図9に示されるように、シートバックS1のシートバックパッド1において、エアバッグモジュール30を配置する側の側部には、パッド部材がくり抜かれた収納部1Aが設けられている。この収納部1Aには、エアバッグモジュール30が配置される。
このように、シートバックパッド1にエアバッグモジュール30を配置する収納部1Aを設けたことで、シートバックS1では、シートバックパッド1をシートバックフレーム10に組み付けた後に、エアバッグモジュール30をシートバックフレーム10に取り付けることができる。このため、エアバッグモジュール30をシートバックフレーム10に取り付けた後にシートバックパッド1をシートバックフレーム10に被せる場合に比べてエアバッグモジュール30の位置ずれを抑制することができる。
【0044】
次に、シートバックフレーム10に対するエアバッグモジュール40の取り付け構造について説明する。なお、エアバッグモジュール40は、シートバックフレーム10の左側のサイドフレーム13に取り付けられるサイドプレート41の外側に面して取り付けられる。
【0045】
図9に示されるように、パイプフレーム11のシート内側の貫通孔と、サイドプレート41に設けられた貫通孔とにネジ42を螺合させることにより、パイプフレーム11にサイドプレート41を固定する。
また、
図4に示されるように、エアバッグモジュール40を取り付けるサイドプレート41の上端よりも、エアバッグモジュール30の上端の位置が高くなっている。すなわち、エアバッグモジュール30の上端の方が、エアバッグモジュール40の上端よりも高い位置にある。
【0046】
以上説明した車両用シートSによれば、エアバッグモジュール30を取り付けるためのブラケット20がサイドフレーム13の内側面に取り付けられているため、エアバッグモジュール30の取付部分の左右方向の幅がコンパクトになる。さらに、エアバッグモジュール30は、ブラケット20とサイドフレーム13の取付部よりもシート後方に取り付けられるため、シート後方からブラケット20にエアバッグモジュール30を組み付ける際の作業性を向上できる。
【0047】
また、車両用シートSによれば、エアバッグモジュール30を、ブラケット20と、板フレーム12の外側面12Aとの両方に取り付けることができる。これにより、エアバッグモジュール30をブラケット20と板フレーム12のどちらか一方に取り付ける場合に比べて、取り付けを強固にできる。
【0048】
また、車両用シートSによれば、サイドフレーム13におけるパイプフレーム11と板フレーム12との接合部分(溶接部50A、溶接部50B)よりも下、すなわち上記の接合部分に重ならない位置にブラケット20を取り付けることで、サイドフレーム13の剛性向上を抑制できる。これにより、ブラケット20を取り付けた場合においてもサイドフレーム13の適切な衝撃吸収性を維持できる。
【0049】
また、車両用シートSによれば、ブラケット20において、パイプフレーム11に取り付ける部分と、エアバッグモジュール30に取り付ける部分との向きを異ならせることができる。これにより、ブラケット20とパイプフレーム11、ブラケット20とエアバッグモジュール30の取り付け箇所の干渉を抑制し、取り付け作業性を向上できる。
【0050】
また、車両用シートSによれば、エアバッグモジュール30のリテーナ34とブラケット20とをボルト24とキャップナット25を用いてシート後方から取り付け易くなる。
また、キャップナット25によりボルト24の端部24Aが被覆されているので、ボルト24の端部24Aによるシートバックパッド1の損傷を抑制できる。
【0051】
また、車両用シートSによれば、ボルト24に対してリテーナ34の開口部34Cをシート外側から嵌め込むことができる。これにより、エアバッグモジュール30の取り付けの作業性を向上できる。
【0052】
また、車両用シートSによれば、シートバックパッド1の側部にエアバッグモジュール30を収容する収納部1Aを設けたことで、シートバックフレーム10にシートバックパッド1を取り付けた後でも、シートバックパッド1の収納部1Aにエアバッグモジュール30を配置し、取り付けることができる。このように、シートバックフレーム10にシートバックパッド1を付けた後にエアバッグモジュール30を取り付けることができるため、シートバックパッド1の取り付けの際にエアバッグモジュール30の位置ずれが発生することを抑制できる。これにより、エアバッグモジュール30の配置精度を向上できる。
【0053】
[その他の実施形態]
また、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。
例えば、
図10に示すように、エアバッグモジュール30のケース33の外部にインフレータ32を配置することとしてもよい。この際、下部フレーム15においてシート前方に位置し、乗員の腰部を支持する前壁部15Aと、シート後方に位置する後壁部15Bとの間にインフレータ32を配置する。
なお、インフレータ32に取り付けられるスタッドボルト36A及びスタッドボルト36Bは、後壁部15Bに設けられた貫通孔に通されてナットにより後壁部15Bに対して固定される。
また、インフレータ32とエアバッグ31とは、パイプ38により接続し、インフレータ32から発生するガスを、パイプ38を通じてエアバッグ31に注入する。
このように、インフレータ32を下部フレーム15の位置に配置することで、シートバックフレーム10の上部の重量を抑えることができる。これにより、車両衝突時におけるシートバックフレーム10の変形を抑制することができる。
また、インフレータ32を下部フレーム15の前壁部15Aと後壁部15Bの間に配置することにより、インフレータ32を外部衝撃から保護することができる。
【符号の説明】
【0054】
S 車両用シート
S1 シートバック
S2 シートクッション
S3 ヘッドレスト
1 シートバックパッド
1A 収納部
2 表皮
10 シートバックフレーム
11 パイプフレーム
11A 側部
11B 貫通孔
11C 貫通孔
12 板フレーム
12A 外側面
13 サイドフレーム
14 クロスメンバ
15 下部フレーム
15A 前壁部
15B 後壁部
20 ブラケット
21 取付部
22 後方突出部
22A 後方延出部
22B 外側延出部
23 ネジ
24 ボルト
24A 端部
25 キャップナット
30 エアバッグモジュール
31 エアバッグ
32 インフレータ
33 ケース
34 リテーナ
34A 突出部
34B 内側延出部
34C 開口部
34D 平板部
35 ハーネス
36A スタッドボルト
36B スタッドボルト
37 ナット
38 パイプ
40 エアバッグモジュール
41 サイドプレート
42 ネジ
50A 溶接部
50B 溶接部
60 力布クリップ