(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-22
(45)【発行日】2023-03-30
(54)【発明の名称】低圧水銀ランプユニット
(51)【国際特許分類】
H01J 61/52 20060101AFI20230323BHJP
H01J 61/32 20060101ALI20230323BHJP
【FI】
H01J61/52 L
H01J61/32
(21)【出願番号】P 2019157492
(22)【出願日】2019-08-29
【審査請求日】2022-04-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000000192
【氏名又は名称】岩崎電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135965
【氏名又は名称】高橋 要泰
(74)【代理人】
【識別番号】100100169
【氏名又は名称】大塩 剛
(72)【発明者】
【氏名】鹿又 憲紀
(72)【発明者】
【氏名】西田 定治
【審査官】中尾 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-240557(JP,A)
【文献】特開昭63-019751(JP,A)
【文献】特開平01-067857(JP,A)
【文献】特開平02-158051(JP,A)
【文献】特開2002-229466(JP,A)
【文献】特開2006-210298(JP,A)
【文献】特開2008-071680(JP,A)
【文献】国際公開第2007/059964(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 61/52
H01J 61/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の側に電極が配置され、発光管が所定のランプ軸線方向長さに所定回数U字形状に屈曲を繰り返す面照射可能な低圧水銀ランプと該発光管の発光を被照射物の方向へ反射して向ける反射板とを備えた低圧水銀ランプユニットにおいて、
前記反射板には、冷却空気が通過する複数個の開口が形成され、該反射板の電極部近傍の開口率を局部的に高くして冷却空気量を多くし
て冷却効果を高め
、前記発光管の電極部近傍の箇所に最冷部を形成した、低圧水銀ランプユニット。
【請求項2】
請求項
1に記載の低圧水銀ランプユニットにおいて、
前記反射板の電極部近傍の開口は長円形であり、それ以外の開口は円形である、低圧水銀ランプユニット。
【請求項3】
請求項
1又は2に記載の低圧水銀ランプユニットにおいて、
前記反射板の電極部近傍の開口は、それ以外の開口より大きいサイズである、低圧水銀ランプユニット。
【請求項4】
一方の側に電極が配置され、発光管が所定のランプ軸線方向長さに所定回数U字形状に屈曲を繰り返す面照射可能な低圧水銀ランプと該発光管の発光を被照射物の方向へ反射して向ける反射板とを備えた低圧水銀ランプユニットにおいて、
前記発光管の電極部近傍の管径を相対的に太く形成し
、該発光管の電極部近傍の箇所に最冷部を形成した、低圧水銀ランプユニット。
【請求項5】
請求項
4に記載の低圧水銀ランプユニットにおいて、
前記反射板には、冷却空気が通過する複数個の開口が形成され、該反射板の電極部近傍の開口率を局部的に高くして冷却空気量を多くし冷却効果を高めた、低圧水銀ランプユニット。
【請求項6】
請求項
5に記載の低圧水銀ランプユニットにおいて、
前記反射板の電極部近傍の開口は長円形であり、それ以外の開口は円形である、低圧水銀ランプユニット。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の低圧水銀ランプユニットにおいて、
前記反射板は、U字部近傍の開口率を部分的に低く
し又は開口を設けず、相対的に発光管U字部の冷却を防いでいる、低圧水銀ランプユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低圧水銀ランプユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
低圧水銀ランプは、点灯中の水銀蒸気圧が100Pa以下の水銀蒸気中のアーク放電の発光を利用する放電ランプである。発光管には、主に棒状のガラス管が用いられ、Ar(アルゴン)などの希ガスと、水銀又はそのアマルガム(水銀と他の金属との合金)が封入されている。低圧水銀ランプは、主として、流水殺菌装置、紫外線酸化水処理装置等に利用される。更に、紫外線消去型EPROM(Ultra-Violet Erasable Programmable ROM)と称されるICメモリのデータ消去用光源としても利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第2820623号「照明器具」(公報発行日:1998.11.05)出願人:鹿島建設株式会社
【文献】特開平7-240173号「放電ランプおよびランプ装置」(公開日:1995.09.12)出願人:東芝ライテック株式会社
【文献】特開平10-208698号「水銀蒸気放電灯」(公開日:1998.08.07)出願人:岩崎電気株式会社
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在、流水殺菌、紫外線酸化水処理、ICメモリのデータ消去等に使用されている低圧水銀ランプユニットでは、発光管の形状が面照射可能なように形成されている。従来、このような面照射用の低圧水銀ランプユニットに関しては、極端にランプ寿命が短いという問題点を有していた。
【0005】
そこで、本発明は、長寿命の低圧水銀ランプユニットを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的に鑑みて、本発明に係る低圧水銀ランプユニットは、一面において、一方の側に電極が配置され、発光管が所定のランプ軸線方向長さに所定回数U字形状に屈曲を繰り返す面照射可能な低圧水銀ランプと該発光管の発光を被照射物の方向へ反射して向ける反射板とを備えた低圧水銀ランプユニットであって、前記発光管の電極部近傍の箇所に、最冷部を形成している。
【0007】
更に、上記低圧水銀ランプユニットでは、前記反射板には、冷却空気が通過する複数個の開口が形成され、該反射板の電極部近傍の開口率を局部的に高くして冷却空気量を多くし、冷却効果を高くしてもよい。
【0008】
更に、上記低圧水銀ランプユニットでは、前記反射板の電極部近傍の開口は長円形であり、それ以外の開口は円形であってよい。
【0009】
更に、上記低圧水銀ランプユニットでは、前記反射板の電極部近傍の開口は、それ以外の開口より大きいサイズであってよい。
【0010】
更に、上記低圧水銀ランプユニットでは、前記発光管の電極部近傍の管径を相対的に太く形成してもよい。
【0011】
更に、上記低圧水銀ランプユニットでは、前記反射板は、U字部近傍の開口率を部分的に低くし、又は開口を設けず、相対的に発光管U字部の冷却を防いでいてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、長寿命の低圧水銀ランプユニットを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る低圧水銀ランプユニットを示す図であり、上段の図は平面図、下段の図は正面図である。
【
図2A】
図2Aは、
図1の低圧水銀ランプユニットの正面図に示された発光管に関して、発光管の電極部近傍の管径を相対的に太くしたことを説明する図である。
【
図2B】
図2Bは、
図1の低圧水銀ランプユニットの正面図に示された反射板に関して、反射板の電極部近傍部分の開口率を相対的に高くしたことを説明する図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る低圧水銀ランプユニットの長手方向の複数の位置で測定した表面温度のグラフであり、比較例として従来の低圧水銀ランプユニットのデータもプロットされている。
【
図4A】
図4Aは、従来の低圧水銀ランプユニットの最冷部の位置を示す図である。
【
図4B】
図4Bは、本実施形態に係る低圧水銀ランプユニットの最冷部の位置を示す図である。
【
図5A】
図5Aは、本実施形態に係る低圧水銀ランプユニットを使用して、紫外線消去型ICメモリのデータ消去を行っている際の、冷却空気の流れを説明する図である。
【
図5B】
図5Bは、本実施形態に係る他の低圧水銀ランプユニットの利用例を説明する図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係る低圧水銀ランプユニットの点灯時間(ランプ寿命)のデータである。
【
図7】
図7は、本実施形態に係る低圧水銀ランプユニットの寿命末期までの照度の推移を示すデータである。
【
図8】
図8は、本実施形態に係る低圧水銀ランプユニットの寿命末期までの照度の推移を示すデータである。
【
図9】
図9は、本実施形態に係る低圧水銀ランプユニットの寿命末期までの照度の推移を示すデータである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る低圧水銀ランプユニットの実施形態に関し、添付の図面を参照しながら、詳細に説明する。なお、同じ要素に対しては、同じ参照符号を付して、重複した説明を省略する。
【0015】
[低圧水銀ランプユニット]
(全体構成)
図1は、本実施形態に係る低圧水銀ランプユニットを示す図であり、上段の図は平面図、下段の図は正面図である。正面図に示すように、低圧水銀ランプユニット10では、発光管4が、反射板6の上に設置されている。
発光管4は、典型的には石英ガラスによって形成され、封入物として、水銀と、希ガスとして代表的にはアルゴンが封入されている。
【0016】
図2Aは、
図1の正面図に示す発光管の拡大図であり、発光管の電極部近傍の太い管
径と、U字部側部分の相対的に細い管
径とを示した説明図である。理解を容易にするため、管径の差は誇張して図示している。発光管4の左端は、電極2a,2bを内蔵した電極部4aであり、右端は屈曲部(U字形状部)4bである。
図1の平面図に示すように、発光管4は、一方の電極2aを内蔵した部分から長手方向に延在し(1段目)、最初のU字部4b1で屈曲して電極2a方向に折り返して長手方向に延在し(2段目)、電極2a近傍に達したら再びU字形状に折り返して長手方向に延在し(3段目)、第2のU字部4b2で屈曲して電極2a方向に折り返して長手方向に延在し(4段目)、これを所定の回数繰り返して電極2a側に戻って他方の電極2bを内蔵した端部で終端する形状である。
この発光管4の形状により、被照射物(「ワーク」ともいう。)に対して面照射が可能となる。
【0017】
発光管4の各部分は、隣接する部分と近接し、相互のランプ軸線方向は平行となっている。発光管の各部分は、長手方向長さの中心線CLを基準に、電極部側の発光管部分を参照符号「Te」、U字部側の発光管部分を参照符号「Tu」を付して説明する。
【0018】
反射板6は、典型的にはアルミニウムによって形成されているが、これに限定されない。この反射板6には、冷却空気が通過する複数個の開口(孔)9が形成されている。開口9の配置は、典型的には正格子状である。しかし、開口の配置はこれに限定されない。隣接する開口の列が隣接する開口の列と半格子分だけズレたモザイク状等任意のものであってよい。
【0019】
図1の正面図で見て、発光管4の発光は、上方に向かう発光と、反射板6で反射して上方に向かう発光とにより、被照射物(図示せず。)を照射する。
【0020】
ここで、本出願書類に使用する用語を定義する。このような形状の低圧水銀ランプを、単に「一方の側に電極が配置され、発光管が所定のランプ軸線方向長さに所定回数U字形状に屈曲を繰り返す面照射可能な低圧水銀ランプ」と称する。
「低圧水銀ランプ」は、発光管及びその封入物をいい、「低圧水銀ランプユニット」は低圧水銀ランプ及び反射板等の関連部品をいう。
電極2a,2bサイドでも発光管のU字形状部(2段目と3段目,4段目と5段目,…を接続する部分)が有るが、説明を簡単にするため、
図1で見て中心線CLを基準に右半分Tuを「U字部側」と称し、左半分Teを「電極部側」と称する。
更に、発光管4において、一番上側(図の例では1段目)と一番下側(8段目)の電極に近い発光管部分を「発光管の電極部近傍」と称する。
更に、反射板6の反射部6a内において、発光管の電極部近傍に対応する反射板のエリアを「反射板の電極部近傍部分」と称する。
【0021】
(最冷部位置転換の手段)
一般に、低圧水銀ランプのような金属放電ランプは、ランプの最冷部の温度に応じて封入された金属蒸気圧が変化する。低圧水銀ランプの紫外線出力は、ランプ点灯時の発光管内の水銀蒸気圧によって左右される。従来の低圧水銀ランプの最冷部は、U字部側の右端エリア(
図4A参照)に位置していた。水銀等の封入物は、この最冷部に留まる傾向がある。
【0022】
ランプ点灯時に、本来、発光に寄与するはずの封入物がU字部側の右端エリアに移動して溜まり、局部的な希ガス発光現象(アルゴンが充填されている場合はアルゴン発光現象)が発生することがある。希ガス発光が発生すると、十分な照度(紫外線出力)が得られず、ランプ照度にムラが生じて均斉度が劣化する。局部的な発光は、電極の劣化が促進され、電極物質がスパッタして電極付近の発光管内壁に付着し、全体的な照度が低下する。更に、ランプ寿命が極端に短くなる。初期点灯特性が悪い分、ランプ寿命を迎えるのも早くなる。
【0023】
この対策として、本発明者等は、最冷部の位置をU字部側の右端エリアから電極部近傍に転換することにより、ランプ寿命の改善を図ることにした。最冷部には封入物が溜まる特性がある。ランプ点灯時には、電極付近から徐々にランプ温度が上昇するが、最冷部が電極から離れたU字側にあると、本来発光に寄与する封入物が蒸発しきれず、ランプ電圧が低下してランプ照度が低下する。最冷部を電極付近に設けることにより、発光に寄与する封入物を蒸発させることで、ランプ電圧、ランプ照度の低下を抑え、ランプ寿命の長期化が期待できる。
【0024】
最冷部の位置転換の手段として、発光管の電極部近傍に、従来のU字部側に位置する最冷部より低温の箇所を形成するため、次の構成を採用した。
構成1:反射板に関し、電極部近傍を一層冷やすため、開口率(=全開口の合計面積/反射板の面積)を部分的に高くする。例えば、反射板の電極部近傍部分の開口率を局部的に高くし冷却空気量を多くして、冷却効果を高める。
構成2:発光管に関し、他の部分に比較して、発光管の電極部近傍の管径を太くして、冷却空気に曝される表面積を広くして、冷却効果を高める。
構成3:反射板に関し、電極から遠いU字部側の開口率を部分的に低くし、又は開口を設けず、相対的に発光管U字部の冷却を防ぐ。
【0025】
構成1に関して、反射板の電極部近傍の開口率を局部的に高くするには、種々の構成が採用できる。例えば、
図2B(A)に示すように、反射板の電極部近傍部分に位置する開口を相互に繋げて一つの長円形開口にしてもよい。
図2B(B)に示すように、反射板の電極部近傍部分に位置する開口を一層大きなサイズにしてもよい。
図2Bでは、見易くするため、変形した開口は太線で描かれている。その他、反射板の電極部近傍部分に位置する開口の個数を多くしてもよい。
【0026】
先ず、本実施例の利点・効果を確認するための実験を行った。この実験では、発光管は、いずれの場合も、構成2の発光管の電極部近傍の管径を太くした自社製の発光管を使用した。反射板は、構成1の電極部近傍部分の開口率を局部的に高くし、構成3のU字部側に開口を設けない自社製反射板を使用したランプユニットを「実施例」とし、他社製反射板を使用したランプユニットを「従来例」として、比較実験を行った。予備実験を通して、最冷部の位置転換の手段に関し、構成2に比較して、構成1,3の反射板の開口率の相違の効果が相対的に大きいことが判明しており、反射板の相違のデータを必要としたからである。
【0027】
実験に使用したランプユニット(実施例)と、比較のため使用したユニット(従来品)とのスペックは、次の通りである。
【0028】
【0029】
表1に示すとおり、構成1の反射板の開口に関しては、実施例では、
図2B(A)に示す形状を採用し、反射板の円形開口9をφ6.5 mmとし、電極部近傍部分に位置する開口9を相互に繋げて長円形開口(短軸6.5mmと長軸φ82.5mm)とした。従来品では、開口9はφ6.5 mmである。構成2の発光管に関しては、実施例と従来品共に、電極部近傍の太い管
径はφ10mmであり、U字部側部分の相対的に細い管
径はφ9mmである。構成3の反射板の開口に関しては、実施例では、
図2Bに示すように反射板の電極から遠いU字部
側6bには開口9を設けず、U字部側に供給される冷却空気を少なくし、従来品では、φ6.5の開口を設けている。
【0030】
(最冷部位置の転換)
図3は、本実施形態に係る低圧水銀ランプユニットの実施例の点灯中のランプ軸線方向に沿って複数の位置で測定した表面温度のデータ(〇)であり、比較例として従来品のデータ(●)も表示している。
グラフ横軸の測定位置は、下段に示すランプに示すように、電極付近を「位置1」とし、中心部を「位置3」とし、U字部付近を「位置5」とし、1と3の中間を「位置2」、3と5の中間を「位置4」としている。
【0031】
グラフを全体的に見ると、従来品の最冷部は位置5のU字部にある。これに対して、実施例では、最冷部は位置1の電極部近傍に転換されている。更に、従来品の最冷部位置5の表面温度41℃は、実施例では開口の無い反射板を使うことにより表面温度54℃に上昇し、最冷部にならないことを確実なものとしている。また、従来品の表面温度に比較して実施例の表面温度は、相対的に低い傾向にある。両者の表面温度を平均的に見ると、15℃程度低くなっている。
【0032】
図4A及び
図4Bは、最冷部の箇所を概略的に示す図である。
図4Aに破線の枠で示すように、従来品の最冷部11aはU字部にあった。しかし、最冷部の位置転換後は、
図4Bに破線の枠で示すように、実施例の最冷部11bは電極部近傍に変更されている。
【0033】
(低圧水銀ランプユニットの応用例)
図5Aは、本実施形態に係る低圧水銀ランプユニット10aを使用して、紫外線消去型EPROM のデータ消去を行っている際の、冷却空気の流れを説明する図である。EPROM22aが収納されたトレイ22aの上方に、低圧水銀ランプユニット10aが発光面下向きで配置されている。装置全体が、フード24
aで覆われている。ファン23aが稼働すると、吸気流Finと排気流Foutが発生し、低圧水銀ランプユニット10aを冷却している。
【0034】
図5Bは、本実施形態に係る他の低圧水銀ランプユニット10bの利用例を説明する図であり、(A)は装置の概略平面図であり、(B)は概略正面である。被照射品(ワーク)が収納されたトレイ22bの上方に、低圧水銀ランプユニット10bが発光面下向きで配置され、安定器32により点灯される。この応用例では、上下二段の複数個の軸流ファン23b、23cが稼働して、低圧水銀ランプユニット10bを冷却している。
【0035】
(低圧水銀ランプユニットの寿命)
表1の実施例の仕様を満たしたランプから選択した2本のサンプルを用いて、第1実施例及び第2実施例のランプユニットの寿命データを表示した。従来品も同様に表1の従来品の仕様を満たしたランプから選択した2本のサンプルの寿命データである。
【0036】
図6は、実施例の点灯時間(ランプ寿命)のデータであり、比較例として従来品のデータも表示している。ランプ寿命は、初期照度の80%を下回る時点までとした。
実施例の2本のランプは、点灯時間が6,000時間を超えても、初期照度の略80%を維持していた。これに対し、従来品は、点灯時間が200時間程度で寿命が尽きている。本実施形態に係るランプでは、従来品の30倍に近い長寿命化が実現できたことを確認した。
【0037】
図7は、実施例の寿命末期の照度の推移を示すデータである。比較例として従来品のデータも破線により表示している。従来品は、
図6に示すように点灯時間200時間程度で寿命が尽きるが、
図7に破線で示すように寿命末期の照度は6.8 mW/cm
2程度であった。これに対し、実施例の2本のランプは、寿命末期においても、略8.0 mW/cm
2(初期照度の80%)を維持していた。従って、実施例は、長寿命化ランプであり、且つ寿命末期においても所望の照度を維持できることが確認された。
【0038】
図8及び
図9は、更に、別のランプを使って実験した、本実施形態に係る低圧水銀ランプユニットの寿命末期の照度の推移を示すデータである。比較例として従来品のデータも破線により表示している。2本のランプは、寿命末期においても、初期照度の略80%を維持していた。従って、実施例は、長寿命化ランプであり、且つ寿命末期においても所望の照度を維持できることが確認された。
【0039】
[本実施形態の利点・効果]
(1)本実施形態で説明したように、反射板の電極部近傍の開口率を高くしたことにより、
図3に示すように、最冷部の位置を、U字部近傍から電極部近傍へ転換することができた。
(2)発光管の電極部近傍の管径を、相対的に太く形成することにより、電極部近傍の冷却効率を高め、最冷部の位置を、U字部近傍から電極部近傍へ転換することを促進できる。
(3)
図3に示すように、従来品に比較して、実施例のランプの表面温度を相対的に下げることができた。
(4)
図6に示すように、最冷部の位置を転換することにより、従来品に比較して、実施例のランプ寿命を30倍近く長くすることができた。
(5)
図7~
図9に示すように、最冷部の位置を転換することにより、実施例のランプは、寿命末期の照度の低下が少ないことが確認できた。
【0040】
[まとめ]
以上、本発明に係る低圧水銀ランプユニットの実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されない。本発明の技術的範囲は、添付の特許請求の範囲の記載によって定められる。
【符号の説明】
【0041】
2a,2b:電極、 4:発光管、 6:反射板、 9:開口、 10:低圧水銀ランプユニット、 11a,11b:最冷部、 23a:ファン、 23b,23c:軸流ファン、 24:フード、 32:安定器、