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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-22
(45)【発行日】2023-03-30
(54)【発明の名称】透光パネルの枠構造
(51)【国際特許分類】
   E01F 8/00 20060101AFI20230323BHJP
   E01B 19/00 20060101ALI20230323BHJP
【FI】
E01F8/00
E01B19/00 C
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019051699
(22)【出願日】2019-03-19
(65)【公開番号】P2020153123
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2022-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000192615
【氏名又は名称】日鉄神鋼建材株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】505389695
【氏名又は名称】首都高速道路株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】599085275
【氏名又は名称】株式会社イシクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】山本 健次郎
(72)【発明者】
【氏名】鬼塚 充明
(72)【発明者】
【氏名】小山 拓也
(72)【発明者】
【氏名】谷尾 知親
(72)【発明者】
【氏名】蔵治 賢太郎
(72)【発明者】
【氏名】引地 宏陽
(72)【発明者】
【氏名】西辻 忠一
(72)【発明者】
【氏名】西辻 慎一
(72)【発明者】
【氏名】相原 隆夫
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-270262(JP,A)
【文献】特開2004-204620(JP,A)
【文献】特開2004-250975(JP,A)
【文献】特開2013-204345(JP,A)
【文献】特開2007-255052(JP,A)
【文献】特開2014-080760(JP,A)
【文献】特開2020-100977(JP,A)
【文献】特開2020-084491(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 8/00
E01B 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性を有する透光板と、この透光板を嵌め込む枠体と、を備えた透光パネルの枠構造であって、
前記枠体は、左右一対の縦枠と、これらの縦枠に架け渡された上枠及び下枠と、を備え、
前記下枠は、前記透光板の一部又は全部が溶解した際の溶解物を堰き止める堰止部材を有していること
を特徴とする透光パネルの枠構造。
【請求項2】
前記下枠には、前記堰止部材で堰き止められて上面に溜まった前記溶解物を枠内に誘導する誘導機構が設けられていること
を特徴とする請求項1に記載の透光パネルの枠構造。
【請求項3】
前記下枠には、前記堰止部材で堰き止められる降水を排水する排水機構が設けられていること
を特徴とする請求項1又は2に記載の透光パネルの枠構造。
【請求項4】
前記堰止部材は、前記下枠の上面に形成され、前記透光板側が低くなった傾斜面を有すること
を特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の透光パネルの枠構造。
【請求項5】
前記堰止部材は、前記下枠の上面に形成された、又は前記下枠の上面に取り付けられた前記枠体の長手方向に沿って上方へ立ち上がる堰止リブを有すること
を特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の透光パネルの枠構造。
【請求項6】
前記堰止部材は、前記下枠と一体成型されていること
を特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の透光パネルの枠構造。
【請求項7】
前記堰止部材は、前記下枠と別体として成型され、前記下枠にリベット止め又は係合されていること
を特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の透光パネルの枠構造。
【請求項8】
前記誘導機構は、前記下枠の上面に形成された孔又はスリット溝であること
を特徴とする請求項2に記載の透光パネルの枠構造。
【請求項9】
前記排水機構は、前記下枠の長手方向の端部に形成された開口であること
を特徴とする請求項3に記載の透光パネルの枠構造。
【請求項10】
前記堰止部材は、前記下枠に取り付けられた傾斜板であり、前記排水機構は、当該傾斜板の長手方向の端部に形成された切欠きであること
を特徴とする請求項3に記載の透光パネルの枠構造。
【請求項11】
前記下枠の前記透光板より外側の上面の幅は、前記下枠の前記透光板より内側の上面の幅より大きくなっていること
を特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の透光パネルの枠構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路や鉄道に沿って設置され、騒音の伝播を防止するとともに透光性を有して内側から外側が視認可能な透光パネルの枠構造に関し、詳しくは、透光パネルが燃焼して溶解した際にも溶解物が外側へ流出する事故を防止することができる透光パネルの枠構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、道路や鉄道に沿って設置され、自動車や列車などの車両から発生する騒音の伝播を防止する遮音壁が設置されている。また、このような遮音壁には、車両等が走行する壁の内側から外側を視認可能とするために、樹脂ガラスや無機ガラスなどの透光性を有する透光パネルが嵌め込まれた遮音壁も知られている。
【0003】
しかし、図15に示すように、従来の透光パネルの枠構造は、下枠の上面が平らなものであった。このため、図16に示すように、透光パネルが燃焼して透光板が溶解した際には、溶解物が外側(橋梁などの土木構造物の外側で透光パネルを隔てて道路や鉄道に面していない側、一般に民地となる側、以下同じ)へ流出・落下して人的被害の発生や民地の建物への延焼するおそれがあるという問題があった。
【0004】
例えば、特許文献1には、合成樹脂製の透光性パネル2の横方向端部を支持させ、上下方向端部を横部材3で画した形式の遮音壁における前記透光性パネル2の板厚方向表面の近傍に沿って、格子状をなし端部が透光性パネル2近傍の縦部材1と横部材に支持された耐火線条物5製のパネル燃焼時落下防止装置4を付設した透光型遮音壁が開示されている(特許文献1の特許請求の範囲の請求項1、明細書の段落[0011]~[0026]、図面の図8等参照)。
【0005】
しかし、特許文献1に記載の透光型遮音壁は、車輛事故等で火災が発生して、火災の熱で軟化した透光性パネル2が外側(民地側)に落下しないように耐火線条物(ワイヤーロープ)5で受け止めるというものである。このため、樹脂パネル等からなる透光性パネル2が溶解した溶解物が外側(民地側)へ流れ出して、下方を通行する者へ人的被害が発生することを確実に防止できるものではなかった。
【0006】
また、特許文献2には、遮音性を有する面板と、面板を支持する少なくとも下枠材とを備えたパネルであって、前記下枠材の上面に面板表面を流下してきた雨水を受ける雨水受け溝が形成されている防音パネルが開示されている(特許文献2の特許請求の範囲の請求項2、明細書の段落[0016]~[0023]、図面の図2図3等参照)。
【0007】
しかし、特許文献2に記載の防音パネルは、下枠材の表面に光触媒含有層を設けることによりセルフクリーニングを行うことを主眼とするものであり、透光板(透光パネル)が燃焼して溶解した溶解物を受け止めることは想定されていなかった。つまり、前述の車輛事故等で光パネルが燃焼して透光板が溶解した溶解物が外側へ流出する事故を防止することは考慮されていなかった。また、これらのことが考慮されていない幅の狭い雨水受け溝11では、粘性の高い透光板の溶解物を受け止めて外側へ流出することを防止できなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2004-270262号公報
【文献】特開2004-204620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、前述した問題に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、透光パネルが燃焼して溶解した際にも溶解物が外側へ流出する事故を防止することができる透光パネルの枠構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1発明に係る透光パネルの枠構造は、透光性を有する透光板と、この透光板を嵌め込む枠体と、を備えた透光パネルの枠構造であって、前記枠体は、左右一対の縦枠と、これらの縦枠に架け渡された上枠及び下枠と、を備え、前記下枠は、前記透光板の一部又は全部が溶解した際の溶解物を堰き止める堰止部材を有していることを特徴とする。
【0011】
第2発明に係る透光パネルの枠構造は、第1発明において、前記下枠には、前記堰止部材で堰き止められて上面に溜まった前記溶解物を枠内に誘導する誘導機構が設けられていることを特徴とする。
【0012】
第3発明に係る透光パネルの枠構造は、第1発明又は第2発明において、前記下枠には、前記堰止部材で堰き止められる降水を排水する排水機構が設けられていることを特徴とする。
【0013】
第4発明に係る透光パネルの枠構造は、第1発明ないし第3発明のいずれかにおいて、前記堰止部材は、前記下枠の上面に形成され、前記透光板側が低くなった傾斜面を有することを特徴とする。
【0014】
第5発明に係る透光パネルの枠構造は、第1発明ないし第3発明のいずれかにおいて、前記堰止部材は、前記下枠の上面に形成された、又は前記下枠の上面に取り付けられた前記枠体の長手方向に沿って上方へ立ち上がる堰止リブを有することを特徴とする。
【0015】
第6発明に係る透光パネルの枠構造は、第1発明ないし第5発明のいずれかにおいて、前記堰止部材は、前記下枠と一体成型されていることを特徴とする。
【0016】
第7発明に係る透光パネルの枠構造は、第1発明ないし第5発明のいずれかにおいて、前記堰止部材は、前記下枠と別体として成型され、前記下枠にリベット止め又は係合されていることを特徴とする。
【0017】
第8発明に係る透光パネルの枠構造は、第2発明において、前記誘導機構は、前記下枠の上面に形成された孔又はスリット溝であることを特徴とする。
【0018】
第9発明に係る透光パネルの枠構造は、第3発明において、前記排水機構は、前記下枠の長手方向の端部に形成された開口であることを特徴とする。
【0019】
第10発明に係る透光パネルの枠構造は、第3発明において、前記堰止部材は、前記下枠に取り付けられた傾斜板であり、前記排水機構は、当該傾斜板の長手方向の端部に形成された切欠きであることを特徴とする。
【0020】
第11発明に係る透光パネルの枠構造は、第1発明ないし第10発明のいずれかにおいて、前記下枠の前記透光板より外側の上面の幅は、前記下枠の前記透光板より内側の上面の幅より大きくなっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
第1発明~第11発明によれば、堰止部材により透光板の溶解物を堰き止めて、車輛事故等により透光パネルが燃焼した際にも、人的被害や延焼するおそれのある透光板の溶解物が外側へ流出する事故を防止することができる。
【0022】
特に、第2発明によれば、誘導機構により堰止部材で堰き止められて上面に溜まった溶解物を枠内に誘導することができ、透光パネルに振動や衝撃が加わった場合でも透光板の溶解物が外側へ流出することを確実に防止することができる。
【0023】
特に、第3発明によれば、排水機構により堰止部材で堰き止められる降水を排水することができる。このため、下枠に降水が溜まって、汚れたりボウフラ(蚊)などが発生したりすることを防止することができる。
【0024】
特に、第4発明によれば、下枠の上面に形成された傾斜面により透光板の溶解物を確実に堰き止めることができる。
【0025】
特に、第5発明によれば、堰止リブにより透光板の溶解物を確実に堰き止めることができる。
【0026】
特に、第6発明によれば、堰止部材が下枠と一体成型されているので、堰止部材を下枠に取り付ける作業を行う必要がなくなり、コストダウンを達成することができる。
【0027】
特に、第7発明によれば、堰止部材が下枠と別体として成型されているので、アクリル樹脂であるか否かなどの透光板の材質に起因する溶解性状に応じて堰止部材で堰き止められる溶解物の容量を変更することが可能となる。
【0028】
特に、第8発明によれば、下枠の上面に形成された孔又はスリット溝により、堰き止められて上面に溜まった透光板の溶解物を直ぐに枠内に誘導することができる。このため、透光パネルに振動や衝撃が加わった場合でも透光板の溶解物が外側へ流出することを確実に防止することができる。
【0029】
特に、第9発明によれば、下枠の長手方向の端部に形成された開口から堰止部材で堰き止められた降水を流出することができる。このため、下枠に降水が溜まって、汚れたりボウフラ(蚊)などが発生したりすることを防止することができる。
【0030】
特に、第10発明によれば、下枠に取り付けられた傾斜板の長手方向の端部に形成された切欠きにより堰止部材である傾斜板で堰き止められた降水を流出することができる。このため、下枠に降水が溜まって、汚れたりボウフラ(蚊)などが発生したりすることを防止することができる。
【0031】
特に、第11発明によれば、溶解物を貯留可能な面積を広げることができるとともに、透光パネルの枠体の幅を狭くして材料低減によるコストダウンを達成することができる。このため、コストダウンを達成しつつ、溶解物が外側へ流出して人的被害の発生や民地の建物への延焼するおそれを防止することができ、安全性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の第1実施形態に係る透光パネルを示す正面図である。
図2】同上の透光パネルを示す平面図である。
図3】同上の透光パネルを示す右側面図である。
図4図1のA-A線切断端面図である。
図5図1のB-B線切断端面図である。
図6】同上の透光パネルの下枠を主に示す図5のC部拡大端面図である。
図7】本発明の第2実施形態に係る透光パネルを示す右側面図である。
図8】同上の透光パネルの下枠を主に示す部分拡大端面図である。
図9】本発明の第3実施形態に係る透光パネルを示す右側面図である。
図10】同上の透光パネルの下枠を主に示す部分拡大端面図である。
図11】本発明の第4実施形態に係る透光パネルの下枠を主に示す部分拡大端面図である。
図12】同上の透光パネルの排水機構を示す堰止部材の斜視図である。
図13】本発明の第5実施形態に係る透光パネルの下枠を主に示す部分拡大端面図である。
図14】同上の透光パネルの排水機構を示す堰止部材の斜視図である。
図15】従来の透光パネルの下枠を主に示す部分拡大端面図である。
図16】透光パネルのバーナー燃焼試験を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態に係る透光パネルの枠構造について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0034】
[第1実施形態]
先ず、図1図6を用いて、本発明の第1実施形態に係る透光パネルの枠構造について説明する。図1は、第1実施形態に係る透光パネルを示す正面図であり、図2は、その平面図、図3は、右側面図である。また、図4は、図1のA-A線切断端面図であり、図5は、図1のB-B線切断端面図である。ここで、正面とは、騒音の発生源である道路又は鉄道側(以下、内側という)から見て透光板の板面に対して垂直且つ水平に見た状態を指している。
【0035】
図1図5に示すように、本実施形態に係る透光パネル1は、透光板G1と、この透光板G1が嵌め込まれた枠体であるパネル枠2など、から主に構成されている。この透光パネル1は、道路又は鉄道に沿って立設されたH形鋼などからなる支柱(図示せず)に取り付けられ、自動車や列車などの車両から発生する騒音の伝播を防止する遮音壁として用いられる。また、透光パネル1は、透光板G1が透光性を有しており、内側から見て壁の向こう側(外側)が視認可能となっている。
【0036】
<透光板>
本実施形態に係る透光板G1は、ポリカーボネイト、アクリル樹脂、イソソルバイド(イソソルビド)を主原料としたバイオエンジニアリングプラスチックなどの樹脂ガラスからなる。但し、樹脂ガラスではなく、化学強化ガラス間に樹脂フィルムを介装した化学強化合わせガラスや一般的なフロートガラスなどからなる無機ガラスの外側に樹脂フィルム等が貼着されている場合も本発明を適用することができる。要するに、本発明は、車輛事故等により透光パネルが燃焼した際に透光板の一部又は全部が溶解して外側へ流出するおそれがある透光パネルには適用することができる。
【0037】
<パネル枠>
パネル枠2は、押し出し成形されたアルミ合金からなるアルマイト製の枠体であり、図1図5に示すように、左右一対の縦枠3,3と、これらの縦枠3,3の上端及び下端に架け渡された上枠4及び下枠5など、から構成されている。
【0038】
このパネル枠2は、図4図5に示すように、本実施形態に係るパネル枠2は、樹脂ガラスからなる透光板G1を支持するために、縦枠3、上枠4、及び下枠5に押縁6が嵌着され、これらの押縁6で透光板G1の四周の縁が内側から押さえ止められて固定されている。
【0039】
(縦枠)
図4に示すように、縦枠3は、支柱に固定される。
【0040】
縦枠3,3に押縁6が装着された上、透光板G1が縦枠3,3間に嵌め込まれる。なお、押縁6には、透光板G1と当接する部分には、シリコン樹脂などのゴム弾性体からなるガスケットGeが装着されている。
【0041】
(上枠)
上枠4は、図5に示すように、鉛直断面が概略矩形状の条材である枠本体40からなり、この枠本体40の下面の内側寄りに透光板G1を装着する透光板装着溝41が形成されている。なお、符号42は、透光板として耐衝撃性の低い無機ガラスを装着した場合に、割れないように弾性支持するためのガスケット装着溝42である。図5に示すように、透光板G1が樹脂ガラスからなる場合は、ガスケット装着溝42には、透光板G1の上辺部を掛け止めるボルトが装着されている。勿論、図15に示すように、透光板G1は、ボルト止めするのではなく、セッティングブロックSB上に載置してもよいことは云うまでもない。
【0042】
(下枠)
図6は、透光パネル1の下枠5を主に示す図5のC部拡大端面図である。図5図6に示すように、下枠5は、上枠4と同様に、鉛直断面が概略矩形状の条材である枠本体50からなり、この枠本体50の上面の内側寄りに透光板G1を装着する透光板装着溝51が形成されている。なお、下枠5にも、上枠4と同様に、ガスケット装着溝52が形成されている。
【0043】
((堰止部材))
そして、図6に示すように、この下枠5の枠本体50の外側の縁には、透光板G1が溶解した際の溶解物を堰き止める堰止部材として、下枠5と別体として成型された堰止アングル8がリベット止めされている。勿論、堰止アングル8は、リベット止めに限られず、ビス止め、溶接など他の既知の固定手段で取り付けられていてもよいことは云うまでもない。
【0044】
堰止アングル8の長さは、縦枠3,3間の内のり長さに相当する長さ(図示せず)となっており、上方へ立ち上がる堰止リブ8aの高さは、h1となっている。この堰止アングル8は、堰止リブ8aの高さh1により、枠本体50の透光板G1より外側の部分に、少なくとも一時的に、透光板G1が燃焼により溶解した際の溶解物を堰き止める機能を有している。
【0045】
なお、堰止アングル8の堰止リブ8aの高さh1は、透光板G1が燃焼時に短時間で流動性の高い流動物を生じる溶解性状を示すアクリル樹脂からなる場合を想定すると、5mm以上であることが好ましい。
【0046】
((誘導機構))
また、下枠5には、堰止部材である堰止アングル8で堰き止められて枠本体50の上面に溜まった透光板G1の溶解物を枠本体50の枠内に誘導する誘導機構として、スリット溝56が設けられている。スリット溝56は、堰止アングル8で堰き止められた溶解物を枠本体50の枠内に落下させ、堰き止めた溶解物の液面が振動等で揺れて堰止リブ8aを超えて流下することを防ぐ機能を有している。
【0047】
勿論、このスリット溝56は、枠本体50の長手方向の全長に亘って設けられておらず、ところどころに枠本体50の補強のため繋がっていてもよく、長孔が所定間隔をおいて複数設けられている形態であってもよい。但し、透光板G1の溶解物は、水と比べて粘性が高く、流動性が低い物性を示すため、枠本体50の必要強度の確保を条件に、スリットや長孔は、できるだけ開口面積を広くとることが好ましい。
【0048】
((排水機構))
さらに、図3に示すように、下枠5には、堰止アングル8で堰き止められる降水(雨水、雪解け水等を指す。)を排水する排水機構が設けられている。具体的には、下枠5の枠本体50の長手方向の端面が切りっ放しで開口して開口部50aが設けられている。換言すると、下枠5の上に縦枠3が取り付けられ、枠本体50の全長は、縦枠3の外側の側面同士の距離まで達している上、その端面が閉塞されずに露出している。
【0049】
この開口部50aは、堰止アングル8で堰き止められた降水がスリット溝56を通過して枠本体50の枠内に流下し、枠本体50の長手方向の両端に設けられた開口部50aから流れ出して排出する機能を有している。
【0050】
一方、透光板G1の溶解物は、水と比べて粘性が高く、流動性が低いため、枠本体50の長手方向の両端に流れ着くまでに硬化してしまい、開口部50aから流出することはない。このため、堰止アングル8で透光板G1が燃焼した際の溶解物を堰き止めることができるとともに、下枠5に降水が溜まって、汚れたりボウフラ(蚊)などが発生したりすることを防止することができる。
【0051】
なお、下枠5は、透光板G1より外側の上面の幅d2が、下枠5の透光板G1より内側の上面の幅d1より大きく設定されている。このため、溶解物を貯留可能な面積を広げて貯留可能な容量を増量することができるとともに、パネル枠2全体の幅を狭くして材料低減によるコストダウンを達成することができる。
【0052】
以上説明した第1実施形態に係る透光パネル1の枠構造によれば、堰止アングル8により透光板G1の溶解物を堰き止めて、車輛事故等により透光パネル1が燃焼した際にも、人的被害や延焼するおそれのある透光板G1の溶解物が外側へ流出する事故を防止することができる。
【0053】
また、第1実施形態に係る透光パネル1の枠構造によれば、スリット溝56により堰止アングル8で堰き止められて枠本体50の上面に溜まった溶解物を枠本体50の枠内に誘導して落下させることができる。このため、透光パネル1が燃焼した後、さらに透光パネル1に振動や衝撃が加わった場合でも透光板G1の溶解物が外側へ流出することを確実に防止することができる。
【0054】
その上、第1実施形態に係る透光パネル1の枠構造によれば、堰止アングル8で透光板G1が燃焼した際の溶解物を堰き止めることができるとともに、排水機構である開口部50aから堰止アングル8で堰き止められる降水を排水することができる。このため、下枠5に降水が溜まって、汚れたりボウフラ(蚊)などが発生したりすることを防止することができる。
【0055】
[第2実施形態]
次に、図7図8を用いて、本発明の第2実施形態に係る透光パネルの枠構造について説明する。本発明の第2実施形態に係る透光パネル1-2が前述の第1実施形態に係る透光パネル1と相違する点は、主に、下枠5が下枠5-2となっており、堰止部材、誘導機構、及び排水機構の形態が相違する点である。よって、その点について主に説明し、同一構成は同一符号を付し説明を省略する。
【0056】
図7は、第2実施形態に係る透光パネル1-2を示す右側面図であり、図8は、図6に相当する第2実施形態に係る透光パネル1-2の下枠5-2を主に示す部分拡大端面図である。下枠5-2は、前述の下枠5と同様に、鉛直断面が概略矩形状の条材である枠本体50-2からなり、この枠本体50-2の上面の内側寄りに透光板G1を装着する透光板装着溝51が形成されている。なお、下枠5と同様に、ガスケット装着溝52も形成されている。
【0057】
((堰止部材))
図8に示すように、この下枠5-2の枠本体50-2は、ガスケット装着溝52の矩形の囲いから外側に大きな開口56-2が形成されている。そして、その開口56-2の内部に透光板G1が溶解した際の溶解物を堰き止める堰止部材として傾斜板8-2がリベット止めされている。この傾斜板8-2は、下枠5と別体として成型されている。勿論、傾斜板8-2も、リベット止めに限られず、ビス止め、溶接など他の既知の固定手段で取り付けられていてもよいことは云うまでもない。
【0058】
この傾斜板8-2の長さは、枠本体50-2の全長に亘っているが、縦枠3,3間の内のり長さに相当する長さ(図示せず)があればよい。この傾斜板8-2は、その傾斜面により、傾斜板8-2の内側上方と枠本体50-2との間のスペースに、透光板G1が燃焼により溶解した際の溶解物を堰き止める機能を有している。
【0059】
((誘導機構))
図示形態に係る下枠5-2には、前述の誘導機構に相当する機構は設けられてない。下枠5と相違して、誘導機構がなくても、下枠5-2には、傾斜板8-2の内側上方と枠本体50-2との間に透光板G1の溶解物を収容する充分なスペースがあるからである。しかし、誘導機構として傾斜板8-2に、スリット溝や長孔を形成して、傾斜板8-2の内側上方と枠本体50-2との間に溶解物を誘導するようにしてもよい。さらに、透光板G1の溶解物を収容するスペースを拡大することができるからである。
【0060】
((排水機構))
さらに、図7に示すように、下枠5-2には、前述の開口部50aと同様に、傾斜板8-2で堰き止められる降水を排水する排水機構が設けられている。具体的には、下枠5-2の枠本体50-2の長手方向の端面に開口部50-2aが設けられている。換言すると、下枠5-2の上に縦枠3が取り付けられ、枠本体50-2の全長は、縦枠3の外側の側面同士の距離まで達している上、その端面が閉塞されずに露出している。
【0061】
この開口部50aは、傾斜板8-2で堰き止められた降水が枠本体50-2の枠内を流れてゆき、枠本体50-2の長手方向の両端に設けられた開口部50-2aから流れ出して排出する機能を有している。
【0062】
一方、透光板G1の溶解物は、枠本体50-2の長手方向の両端に流れ着くまでに硬化してしまい、開口部50-2aから流出することはない。このため、傾斜板8-2で透光板G1の溶解物を堰き止めることができるとともに、下枠5-2に降水が溜まって、汚れたりボウフラ(蚊)などが発生したりすることを防止することができる。
【0063】
なお、下枠5-2も、透光板G1より外側の上面の幅d2が、下枠5-2の透光板G1より内側の上面の幅d1より大きく設定されている。このため、溶解物を貯留可能な面積を広げて貯留可能な容量を増量することができるとともに、パネル枠2全体の幅を狭くして材料低減によるコストダウンを達成することができる。
【0064】
以上説明した第2実施形態に係る透光パネル1-2の枠構造によれば、傾斜板8-2の内側上方と枠本体50-2との間のスペースに、透光板G1の溶解物を傾斜板8-2で堰き止めて貯留することができる。このため、車輛事故等により透光パネル1-2が燃焼した際にも、人的被害や延焼するおそれのある透光板G1の溶解物が外側へ流出する事故を防止することができる。
【0065】
また、第2実施形態に係る透光パネル1-2の枠構造によれば、枠本体50-2の枠内のスペースである傾斜板8-2の内側上方と枠本体50-2との間のスペースに透光板G1の溶解物を収容している。このため、透光パネル1が燃焼した後、さらに透光パネル1に振動や衝撃が加わった場合でも透光板G1の溶解物が外側へ流出することを防止することができる。
【0066】
それに加え、第2実施形態に係る透光パネル1-2の枠構造によれば、傾斜板8-2で透光板G1の溶解物を堰き止めることができるとともに、排水機構である開口部50-2aから傾斜板8-2で堰き止められる降水を排水することができる。このため、下枠5-2に降水が溜まって、汚れたりボウフラ(蚊)などが発生したりすることを防止することができる。
【0067】
[第3実施形態]
次に、図9図10を用いて、本発明の第3実施形態に係る透光パネル1-3の枠構造について説明する。本発明の第3実施形態に係る透光パネル1-3が前述の第1、第2実施形態に係る透光パネル1及び透光パネル1-2と相違する点は、主に、下枠5-3が前述の堰止リブ8aと傾斜板8-2と同様の堰止リブと傾斜面を兼ね備えているとともに、これらが、下枠5-3と一体成型されている点である。よって、その点について主に説明し、同一構成は同一符号を付し説明を省略する。
【0068】
図9は、第3実施形態に係る透光パネル1-3を示す右側面図であり、図10は、図6に相当する第3実施形態に係る透光パネル1-3の下枠5-3を主に示す部分拡大端面図である。下枠5-3は、前述の下枠5と同様に、鉛直断面が概略矩形状の条材である枠本体50-3からなり、この枠本体50-3の上面の内側寄りに透光板G1を装着する透光板装着溝51が形成されている。なお、下枠5と同様に、ガスケット装着溝52も形成されている。
【0069】
((堰止部材))
図10に示すように、下枠5-3の枠本体50-3の上面には、透光板G1の溶解物を堰き止める堰止部材として前述の傾斜板8-2に相当する傾斜面8-3aが形成されている。また、下枠5-3の枠本体50-3には、堰止部材として前述の堰止リブ8aに相当する堰止リブ8-3bが枠本体50-3の外側の上縁に沿って形成されている。
【0070】
この傾斜面8-3aの長さは、枠本体50-3の全長に亘っており、堰止リブ8-3bの長さは、縦枠3,3間の内のり長さに相当する長さ(図示せず)となっている。これらの傾斜面8-3a及び堰止リブ8-3bは、透光板G1と傾斜面8-3a及び堰止リブ8-3bの間のスペースに、透光板G1が燃焼により溶解した際の溶解物を堰き止める機能を有している。
【0071】
((誘導機構))
図示形態に係る下枠5-3には、前述の誘導機構に相当する機構は設けられてない。下枠5と相違して、誘導機構がなくても、下枠5-3には、透光板G1と傾斜面8-3a及び堰止リブ8-3bの間のスペースに透光板G1の溶解物を収容する充分なスペースがあるからである。しかし、誘導機構として傾斜面8-3aに、スリット溝や長孔を形成して、枠本体50-3の枠内に溶解物を誘導するようにしてもよい。さらに、透光板G1の溶解物を収容するスペースを拡大することができるからである。
【0072】
((排水機構))
さらに、図9に示すように、下枠5-3には、前述の開口部50aと同様に、傾斜面8-3a及び堰止リブ8-3bで堰き止められる降水を排水する排水機構が設けられている。具体的には、下枠5-3の枠本体50-3の長手方向の端面に開口部50-3aが設けられている。換言すると、下枠5-3の上に縦枠3が取り付けられ、枠本体50-3の全長は、縦枠3の外側の側面同士の距離まで達している上、その端面が閉塞されずに露出している。
【0073】
この開口部50-3aは、傾斜面8-3a及び堰止リブ8-3bで堰き止められた降水が枠本体50-3の傾斜面8-3a上を流れてゆき、枠本体50-3の長手方向の両端に設けられた開口部50-3aから流れ出して排出する機能を有している。
【0074】
一方、透光板G1の溶解物は、枠本体50-3の長手方向の両端に流れ着くまでに硬化してしまい、開口部50-3aから流出することはない。このため、傾斜面8-3a及び堰止リブ8-3bで透光板G1の溶解物を堰き止めることができるとともに、下枠5-3に降水が溜まって、汚れたりボウフラ(蚊)などが発生したりすることを防止することができる。
【0075】
なお、下枠5-3も、透光板G1より外側の上面の幅d2が、下枠5-3の透光板G1より内側の上面の幅d1より大きく設定されている。このため、溶解物を貯留可能な面積を広げて貯留可能な容量を増量することができるとともに、パネル枠2全体の幅を狭くして材料低減によるコストダウンを達成することができる。
【0076】
また、堰止リブ8-3bの高さh1も、前述と同様に、透光板G1が燃焼時に短時間で流動性の高い流動物を生じる溶解性状を示すアクリル樹脂からなる場合を想定すると、5mm以上であることが好ましい。
【0077】
以上説明した第3実施形態に係る透光パネル1-3の枠構造によれば、透光板G1と傾斜面8-3a及び堰止リブ8-3bの間のスペースに、透光板G1の溶解物を堰き止めて貯留することができる。このため、車輛事故等により透光パネル1-3が燃焼した際にも、人的被害や延焼するおそれのある透光板G1の溶解物が外側へ流出する事故を防止することができる。
【0078】
また、第3実施形態に係る透光パネル1-3の枠構造によれば、傾斜面8-3a及び堰止リブ8-3bで透光板G1の溶解物を堰き止めることができるとともに、排水機構である開口部50-3aから傾斜面8-3a及び堰止リブ8-3bで堰き止められる降水を排水することができる。このため、下枠5-3に降水が溜まって、汚れたりボウフラ(蚊)などが発生したりすることを防止することができる。
【0079】
[第4実施形態]
次に、図11図12を用いて、本発明の第4実施形態に係る透光パネル1-4の枠構造について説明する。本発明の第4実施形態に係る透光パネル1-4が前述の第2実施形態に係る透光パネル1-2と相違する点は、主に、下枠5-3の形態及び傾斜板8-4がリベット止めではなくスライド係合されている点である。よって、その点について主に説明し、他の説明は省略する。
【0080】
図11は、本発明の第4実施形態に係る透光パネル1-4の下枠5-4を主に示す部分拡大端面図であり、図12は、透光パネル1-4の排水機構を示す傾斜板8-4の斜視図である。下枠5-4は、前述の下枠5と同様に、鉛直断面が概略矩形状の条材である枠本体50-4からなり、この枠本体50-4の上面の内側寄りに透光板G1を装着する透光板装着溝51-4が形成されている。
【0081】
((堰止部材))
また、この下枠5-4の枠本体50-4は、図11に示すように、透光板G1が溶解した際の溶解物を堰き止める堰止部材として傾斜板8-4が枠本体50-4の上面にスライド係合されている。この傾斜板8-4は、下枠5-4と別体として成型されている。
【0082】
この傾斜板8-4の長さは、縦枠3,3間の内のり長さに相当する長さ(図示せず)である。この傾斜板8-4は、その傾斜面により、傾斜板8-4の内側上方と透光板G1との間のスペースに、透光板G1が燃焼により溶解した際の溶解物を堰き止める機能を有している。
【0083】
((誘導機構))
図示形態に係る下枠5-2には、前述の誘導機構に相当する機構は設けられてない。しかし、誘導機構として傾斜板8-4に、スリット溝や長孔を形成して、枠本体50-4の枠内に溶解物を誘導するようにしてもよい。さらに、透光板G1の溶解物を収容するスペースを拡大することができるからである。
【0084】
((排水機構))
さらに、図12に示すように、傾斜板8-4で堰き止められる降水を排水する排水機構として傾斜板8-4の長手方向の両端部に斜めに切り欠いた一対の切欠き8-4aが形成されている。この切欠き8-4aは、傾斜板8-4で堰き止められた降水が傾斜板8-4の長手方向の端部に流れてゆき、その端部の切欠き8-4aから流れ出して排出する機能を有している。
【0085】
一方、透光板G1の溶解物は、水と比べて粘性が高く、流動性が低いため、傾斜板8-4の長手方向の両端に流れ着くまでに硬化してしまい、切欠き8-4aから流出することはない。このため、傾斜板8-4で透光板G1が燃焼した際の溶解物を堰き止めることができるとともに、下枠5-4に降水が溜まって、汚れたりボウフラ(蚊)などが発生したりすることを防止することができる。
【0086】
以上説明した第4実施形態に係る透光パネル1-4の枠構造によれば、透光板G1と傾斜板8-4との間のスペースに、透光板G1の溶解物を堰き止めて貯留することができる。このため、車輛事故等により透光パネル1-4が燃焼した際にも、人的被害や延焼するおそれのある透光板G1の溶解物が外側へ流出する事故を防止することができる。
【0087】
また、第4実施形態に係る透光パネル1-4の枠構造によれば、傾斜板8-4で透光板G1の溶解物を堰き止めることができるとともに、排水機構である切欠き8-4aから傾斜板8-4で堰き止められる降水を排水することができる。このため、下枠5-4に降水が溜まって、汚れたりボウフラ(蚊)などが発生したりすることを防止することができる。
【0088】
それに加え、第4実施形態に係る透光パネル1-4の枠構造によれば、傾斜板8-4を枠本体50-4にスライド係合させるだけで、取り付けることができる。このため、リベット止めなどの作業をする必要がなく、短時間で傾斜板8-4を枠本体50-4に取り付けることができ、労務費を削減することによりコストダウンを達成することができる。
【0089】
さらに、第4実施形態に係る透光パネル1-4の枠構造によれば、傾斜板8-4が下枠5-4と別体として成型されているので、アクリル樹脂であるか否かなどの透光板G1の材質に起因する溶解性状に応じて堰き止められる溶解物の容量を変更することが可能である。
【0090】
[第5実施形態]
次に、図13図14を用いて、本発明の第5実施形態に係る透光パネル1-5の枠構造について説明する。本発明の第5実施形態に係る透光パネル1-5が前述の第1実施形態に係る透光パネル1と相違する点は、主に、堰止アングル8ではなく傾斜板8-5がリベット止めされている点である。よって、その点について主に説明し、同一構成は同一符号を付し説明を省略する。
【0091】
図13は、本発明の第5実施形態に係る透光パネル1-5の下枠5を主に示す部分拡大端面図であり、図14は、透光パネル1-5の排水機構を示す傾斜板8-5の斜視図である。下枠5は、前述の第1実施形態に係る透光パネル1の下枠5と同構成である。
【0092】
((堰止部材))
また、図13に示すように、透光板G1が溶解した際の溶解物を堰き止める堰止部材として傾斜板8-5が枠本体50の外側に張り出すように外付けされてリベット止めされている。
【0093】
傾斜板8-5の長さは、縦枠3,3間の内のり長さに相当する長さ(図示せず)である。この傾斜板8-5は、その傾斜面により、傾斜板8-5の内側上方と透光板G1との間のスペースに、透光板G1が燃焼により溶解した際の溶解物を堰き止める機能を有している。
【0094】
なお、傾斜板8-5は、下枠5より外側に張り出しているため、傾斜板8-5の幅d2’が、下枠5の透光板G1より内側の上面の幅d1より大きなっている。このため、溶解物を貯留可能な面積を広げて貯留可能な容量を増量することができるとともに、パネル枠2全体の幅を狭くして材料低減によるコストダウンを達成することができる。
【0095】
また、傾斜板8-5の高さh1も、前述と同様に、透光板G1が燃焼時に短時間で流動性の高い流動物を生じる溶解性状を示すアクリル樹脂からなる場合を想定すると、5mm以上であることが好ましい。
【0096】
((誘導機構))
図示形態に係る下枠5には、前述の誘導機構に相当する機構は設けられてない。しかし、誘導機構として傾斜板8-5及び下枠5の上面に、スリット溝や長孔を形成して、枠本体50の枠内に溶解物を誘導するようにしてもよい。さらに、透光板G1の溶解物を収容するスペースを拡大することができるからである。
【0097】
((排水機構))
さらに、図14に示すように、傾斜板8-5で堰き止められる降水を排水する排水機構として傾斜板8-5の長手方向の両端部に斜めに切り欠いた一対の切欠き8-5aが形成されている。この切欠き8-5aは、傾斜板8-5で堰き止められた降水が傾斜板8-5の長手方向の端部に流れてゆき、その端部の切欠き8-5aから流れ出して排出する機能を有している。
【0098】
一方、透光板G1の溶解物は、水と比べて粘性が高く、流動性が低いため、傾斜板8-5の長手方向の両端に流れ着くまでに硬化してしまい、切欠き8-5aから流出することはない。このため、傾斜板8-5で透光板G1が燃焼した際の溶解物を堰き止めることができるとともに、下枠5に降水が溜まって、汚れたりボウフラ(蚊)などが発生したりすることを防止することができる。
【0099】
以上説明した第5実施形態に係る透光パネル1-5の枠構造によれば、透光板G1と傾斜板8-5との間のスペースに、透光板G1の溶解物を堰き止めて貯留することができる。このため、車輛事故等により透光パネル1-5が燃焼した際にも、人的被害や延焼するおそれのある透光板G1の溶解物が外側へ流出する事故を防止することができる。
【0100】
また、第4実施形態に係る透光パネル1-5の枠構造によれば、傾斜板8-5で透光板G1の溶解物を堰き止めることができるとともに、排水機構である切欠き8-5aから傾斜板8-5で堰き止められる降水を排水することができる。このため、下枠5に降水が溜まって、汚れたりボウフラ(蚊)などが発生したりすることを防止することができる。
【0101】
それに加え、第5実施形態に係る透光パネル1-5の枠構造によれば、傾斜板8-5が下枠5と別体として成型されているので、アクリル樹脂であるか否かなどの透光板G1の材質に起因する溶解性状に応じて堰き止められる溶解物の容量を変更することが可能である。
【0102】
以上、本発明の第1~第5実施形態に係る透光パネルの枠構造について詳細に説明したが、前述した又は図示した実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたって具体化した一実施形態を示したものに過ぎない。よって、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。
【符号の説明】
【0103】
1,1-2,1-3,1-4,1-5:透光パネル
G1:透光板
2:パネル枠
3:縦枠
30:内側枠
31:外側枠
4:上枠
40:枠本体
41:透光板装着溝
42:ガスケット装着溝
5,5-2,5-3,5-4:下枠
50,50-2、50-3,50-4:枠本体
50a,50-2a,50-3a:開口部(排水機構)
51,51-4:透光板装着溝
52:ガスケット装着溝
56:スリット溝(誘導機構)
56-2:開口
6:押縁
8:堰止アングル(堰止部材)
8a:堰止リブ(堰止部材)
8-2,8-4,8-5:傾斜板(堰止部材)
8-3a:傾斜面(堰止部材)
8-3b:堰止リブ(堰止部材)
8-4a,8-5a:切欠き(排水機構)
Ge:ガスケット
SB:セッティングブロック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16