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特許7248993紙幣処理システムおよび紙幣処理管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-22
(45)【発行日】2023-03-30
(54)【発明の名称】紙幣処理システムおよび紙幣処理管理方法
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/50 20190101AFI20230323BHJP
   G07D 11/40 20190101ALI20230323BHJP
   G07D 11/235 20190101ALI20230323BHJP
   B65H 33/04 20060101ALI20230323BHJP
【FI】
G07D11/50
G07D11/40
G07D11/235
B65H33/04
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021545017
(86)(22)【出願日】2019-09-11
(86)【国際出願番号】 JP2019035607
(87)【国際公開番号】W WO2021048934
(87)【国際公開日】2021-03-18
【審査請求日】2021-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000116079
【氏名又は名称】ローレルバンクマシン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 博幸
【審査官】沖田 孝裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-222488(JP,A)
【文献】特開2017-062862(JP,A)
【文献】特開2016-071579(JP,A)
【文献】特開2018-160013(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 11/50
G07D 11/40
G07D 11/235
B65H 33/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙幣を集積してなる紙幣ブロックが、該紙幣ブロックの集積方向外側の一方に配置された仕切カードと共にセットされる投入部と、
前記投入部から取り込まれた紙幣および前記仕切カードを識別する識別部と、
前記識別部で正常紙幣と識別された紙幣を集積させる集積部と、
前記識別部で正常紙幣以外と識別されたリジェクト紙幣および前記仕切カードを排除するリジェクト部と、を備える紙幣処理装置と、
前記紙幣処理装置および当該紙幣処理装置を操作する取引操作担当者の周辺を撮像可能な撮像手段と、
前記撮像手段の撮像データを記録する記録手段と、
を備え、
前記仕切カードの少なくとも片面には目視によって識別可能な識別番号が付されていて、
前記撮像手段は前記識別番号を撮像可能であり、
前記記録手段は、前記識別番号の撮像データを記録し、
さらに、
前記撮像手段が前記識別番号を撮像していない状態で前記紙幣処理装置が計数動作を開始したことを検知する検知手段と、
前記検知手段がその旨検知した際にアラームを報知する報知手段と、
を備えることを特徴とする紙幣処理システム。
【請求項2】
紙幣を集積してなる紙幣ブロックが、該紙幣ブロックの集積方向外側の一方に配置された仕切カードと共にセットされる投入部と、
前記投入部から取り込まれた紙幣および前記仕切カードを識別する識別部と、
前記識別部で正常紙幣と識別された紙幣を集積させる集積部と、
前記識別部で正常紙幣以外と識別されたリジェクト紙幣および前記仕切カードを排除するリジェクト部と、を備える紙幣処理装置と、
前記紙幣処理装置および当該紙幣処理装置を操作する取引操作担当者の周辺を撮像可能な撮像手段と、
前記撮像手段の撮像データを記録する記録手段と、
を備え、
前記仕切カードの少なくとも片面には目視によって識別可能な識別番号が付されていて、
前記撮像手段は前記識別番号を撮像可能であり、
前記記録手段は、前記識別番号の撮像データを記録し、
さらに、
前記撮像手段が前記識別番号を撮像していない状態で前記紙幣処理装置が計数動作を開始したことを検知する検知手段と、
前記検知手段がその旨検知した際には前記識別部が新たに検知した前記仕切カードに該当する紙幣ブロックの計数動作を無効とする制御手段と、
を備えることを特徴とする紙幣処理システム。
【請求項3】
紙幣を集積してなる紙幣ブロックが、該紙幣ブロックの集積方向外側の一方に配置された仕切カードと共にセットされる投入部と、
前記投入部から取り込まれた紙幣および前記仕切カードを識別する識別部と、
前記識別部で正常紙幣と識別された紙幣を集積させる集積部と、
前記識別部で正常紙幣以外と識別されたリジェクト紙幣および前記仕切カードを排除するリジェクト部と、を備える紙幣処理装置と、
前記紙幣処理装置および当該紙幣処理装置を操作する取引操作担当者の周辺を撮像可能な撮像手段と、
前記撮像手段の撮像データを記録する記録手段と、
を備え、
前記仕切カードの少なくとも片面には目視によって識別可能な識別番号が付されていて、
前記撮像手段は前記識別番号を撮像可能であり、
前記記録手段は、前記識別番号の撮像データを記録し、
さらに、
前記撮像手段は、前記紙幣処理装置および前記取引操作担当者の周辺に加えて、前記紙幣処理装置に上位接続される上位端末装置および当該上位端末装置の操作者の周辺を撮像可能であり、
前記記録手段は、前記上位端末装置および当該上位端末装置の操作者の周辺の撮像データを記録することを特徴とする紙幣処理システム。
【請求項4】
紙幣を集積してなる紙幣ブロックが、該紙幣ブロックの集積方向外側の一方に配置された仕切カードと共にセットされる投入部と、
前記投入部から取り込まれた紙幣および前記仕切カードを識別する識別部と、
前記識別部で正常紙幣と識別された紙幣を集積させる集積部と、
前記識別部で正常紙幣以外と識別されたリジェクト紙幣および前記仕切カードを排除するリジェクト部と、を備える紙幣処理装置と、
前記紙幣処理装置および当該紙幣処理装置を操作する取引操作担当者の周辺を撮像可能な撮像手段と、
前記撮像手段の撮像データを記録する記録手段と、
を備える紙幣処理システムを用いて紙幣処理を行う際の紙幣処理管理方法であって、
前記仕切カードとして、少なくとも片面に目視によって識別可能な識別番号が付された仕切カードを用いるとともに、
前記紙幣ブロックを前記投入部にセットする際に、当該紙幣ブロックの集積方向外側の一方に配置される前記仕切カードの前記識別番号を前記撮像手段によって撮像させ、前記識別番号の撮像データを前記記録手段に記録させ
さらに、
前記撮像手段が前記識別番号を撮像していない状態で前記紙幣処理装置が計数動作を開始したことを検知手段によって検知させ、
前記検知手段がその旨検知した際に報知手段によってアラームを報知させることを特徴とする紙幣処理管理方法。
【請求項5】
紙幣を集積してなる紙幣ブロックが、該紙幣ブロックの集積方向外側の一方に配置された仕切カードと共にセットされる投入部と、
前記投入部から取り込まれた紙幣および前記仕切カードを識別する識別部と、
前記識別部で正常紙幣と識別された紙幣を集積させる集積部と、
前記識別部で正常紙幣以外と識別されたリジェクト紙幣および前記仕切カードを排除するリジェクト部と、を備える紙幣処理装置と、
前記紙幣処理装置および当該紙幣処理装置を操作する取引操作担当者の周辺を撮像可能な撮像手段と、
前記撮像手段の撮像データを記録する記録手段と、
を備える紙幣処理システムを用いて紙幣処理を行う際の紙幣処理管理方法であって、
前記仕切カードとして、少なくとも片面に目視によって識別可能な識別番号が付された仕切カードを用いるとともに、
前記紙幣ブロックを前記投入部にセットする際に、当該紙幣ブロックの集積方向外側の一方に配置される前記仕切カードの前記識別番号を前記撮像手段によって撮像させ、前記識別番号の撮像データを前記記録手段に記録させ
さらに、
前記撮像手段が前記識別番号を撮像していない状態で前記紙幣処理装置が計数動作を開始したことを検知手段によって検知させ、
前記検知手段がその旨検知した際には前記識別部が新たに検知した前記仕切カードに該当する紙幣ブロックの計数動作を制御手段によって無効にさせることを特徴とする紙幣処理管理方法。
【請求項6】
紙幣を集積してなる紙幣ブロックが、該紙幣ブロックの集積方向外側の一方に配置された仕切カードと共にセットされる投入部と、
前記投入部から取り込まれた紙幣および前記仕切カードを識別する識別部と、
前記識別部で正常紙幣と識別された紙幣を集積させる集積部と、
前記識別部で正常紙幣以外と識別されたリジェクト紙幣および前記仕切カードを排除するリジェクト部と、を備える紙幣処理装置と、
前記紙幣処理装置および当該紙幣処理装置を操作する取引操作担当者の周辺を撮像可能な撮像手段と、
前記撮像手段の撮像データを記録する記録手段と、
を備える紙幣処理システムを用いて紙幣処理を行う際の紙幣処理管理方法であって、
前記仕切カードとして、少なくとも片面に目視によって識別可能な識別番号が付された仕切カードを用いるとともに、
前記紙幣ブロックを前記投入部にセットする際に、当該紙幣ブロックの集積方向外側の一方に配置される前記仕切カードの前記識別番号を前記撮像手段によって撮像させ、前記識別番号の撮像データを前記記録手段に記録させ
さらに、
前記撮像手段によって、前記紙幣処理装置および当該紙幣処理装置を操作する取引操作担当者の周辺に加えて、前記紙幣処理装置に上位接続される上位端末装置および当該上位端末装置の操作者の周辺を撮像させ、前記上位端末装置および当該上位端末装置の操作者の周辺の撮像データを前記記録手段に記録させることを特徴とする紙幣処理管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣処理システムおよび紙幣処理管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通貨処理機において、隣り合う通貨群の間にセパレータカードを配置した通貨バッチ状態で通貨がセットされ、このように通貨バッチ状態でセットされた通貨を連続的に取り込んで計数するものがある(例えば、特許文献1参照)。この通貨処理機では、セパレータカードで各通貨山を認識するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2000-503956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
紙幣処理システムにおいて管理情報の多様化が求められている。
【0005】
本発明の目的は、管理情報の多様化が可能となる紙幣処理システムおよび紙幣処理管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る第1の態様は、紙幣を集積してなる紙幣ブロックが、該紙幣ブロックの集積方向外側の一方に配置された仕切カードと共にセットされる投入部と、前記投入部から取り込まれた紙幣および前記仕切カードを識別する識別部と、前記識別部で正常紙幣と識別された紙幣を集積させる集積部と、前記識別部で正常紙幣以外と識別されたリジェクト紙幣および前記仕切カードを排除するリジェクト部と、を備える紙幣処理装置と、前記紙幣処理装置および当該紙幣処理装置を操作する取引操作担当者の周辺を撮像可能な撮像手段と、前記撮像手段の撮像データを記録する記録手段と、を備え前記仕切カードの少なくとも片面には目視によって識別可能な識別番号が付されていて、前記撮像手段は前記識別番号を撮像可能であり、前記記録手段は、前記識別番号の撮像データを記録し、さらに、前記撮像手段が前記識別番号を撮像していない状態で前記紙幣処理装置が計数動作を開始したことを検知する検知手段と、前記検知手段がその旨検知した際にアラームを報知する報知手段と、を備える。
【0007】
本発明に係る第2の態様は、紙幣を集積してなる紙幣ブロックが、該紙幣ブロックの集積方向外側の一方に配置された仕切カードと共にセットされる投入部と、前記投入部から取り込まれた紙幣および前記仕切カードを識別する識別部と、前記識別部で正常紙幣と識別された紙幣を集積させる集積部と、前記識別部で正常紙幣以外と識別されたリジェクト紙幣および前記仕切カードを排除するリジェクト部と、を備える紙幣処理装置と、前記紙幣処理装置および当該紙幣処理装置を操作する取引操作担当者の周辺を撮像可能な撮像手段と、前記撮像手段の撮像データを記録する記録手段と、を備え、前記仕切カードの少なくとも片面には目視によって識別可能な識別番号が付されていて、前記撮像手段は前記識別番号を撮像可能であり、前記記録手段は、前記識別番号の撮像データを記録し、さらに、前記撮像手段が前記識別番号を撮像していない状態で前記紙幣処理装置が計数動作を開始したことを検知する検知手段と、前記検知手段がその旨検知した際には前記識別部が新たに検知した前記仕切カードに該当する紙幣ブロックの計数動作を無効とする制御手段と、を備える。
【0008】
本発明に係る第3の態様は、紙幣を集積してなる紙幣ブロックが、該紙幣ブロックの集積方向外側の一方に配置された仕切カードと共にセットされる投入部と、前記投入部から取り込まれた紙幣および前記仕切カードを識別する識別部と、前記識別部で正常紙幣と識別された紙幣を集積させる集積部と、前記識別部で正常紙幣以外と識別されたリジェクト紙幣および前記仕切カードを排除するリジェクト部と、を備える紙幣処理装置と、前記紙幣処理装置および当該紙幣処理装置を操作する取引操作担当者の周辺を撮像可能な撮像手段と、前記撮像手段の撮像データを記録する記録手段と、を備え、前記仕切カードの少なくとも片面には目視によって識別可能な識別番号が付されていて、前記撮像手段は前記識別番号を撮像可能であり、前記記録手段は、前記識別番号の撮像データを記録し、さらに、前記撮像手段は、前記紙幣処理装置および前記取引操作担当者の周辺に加えて、前記紙幣処理装置に上位接続される上位端末装置および当該上位端末装置の操作者の周辺を撮像可能であり、前記記録手段は、前記上位端末装置および当該上位端末装置の操作者の周辺の撮像データを記録する。
【0009】
本発明に係る第4の態様は、紙幣を集積してなる紙幣ブロックが、該紙幣ブロックの集積方向外側の一方に配置された仕切カードと共にセットされる投入部と、前記投入部から取り込まれた紙幣および前記仕切カードを識別する識別部と、前記識別部で正常紙幣と識別された紙幣を集積させる集積部と、前記識別部で正常紙幣以外と識別されたリジェクト紙幣および前記仕切カードを排除するリジェクト部と、を備える紙幣処理装置と、前記紙幣処理装置および当該紙幣処理装置を操作する取引操作担当者の周辺を撮像可能な撮像手段と、前記撮像手段の撮像データを記録する記録手段と、を備える紙幣処理システムを用いて紙幣処理を行う際の紙幣処理管理方法であって、前記仕切カードとして、少なくとも片面に目視によって識別可能な識別番号が付された仕切カードを用いるとともに、前記紙幣ブロックを前記投入部にセットする際に、当該紙幣ブロックの集積方向外側の一方に配置される前記仕切カードの前記識別番号を前記撮像手段によって撮像させ、前記識別番号の撮像データを前記記録手段に記録させ、さらに、前記撮像手段が前記識別番号を撮像していない状態で前記紙幣処理装置が計数動作を開始したことを検知手段によって検知させ、前記検知手段がその旨検知した際に報知手段によってアラームを報知させる。
【0010】
本発明に係る第5の態様は、紙幣を集積してなる紙幣ブロックが、該紙幣ブロックの集積方向外側の一方に配置された仕切カードと共にセットされる投入部と、前記投入部から取り込まれた紙幣および前記仕切カードを識別する識別部と、前記識別部で正常紙幣と識別された紙幣を集積させる集積部と、前記識別部で正常紙幣以外と識別されたリジェクト紙幣および前記仕切カードを排除するリジェクト部と、を備える紙幣処理装置と、前記紙幣処理装置および当該紙幣処理装置を操作する取引操作担当者の周辺を撮像可能な撮像手段と、前記撮像手段の撮像データを記録する記録手段と、を備える紙幣処理システムを用いて紙幣処理を行う際の紙幣処理管理方法であって、前記仕切カードとして、少なくとも片面に目視によって識別可能な識別番号が付された仕切カードを用いるとともに、前記紙幣ブロックを前記投入部にセットする際に、当該紙幣ブロックの集積方向外側の一方に配置される前記仕切カードの前記識別番号を前記撮像手段によって撮像させ、前記識別番号の撮像データを前記記録手段に記録させ、さらに、前記撮像手段が前記識別番号を撮像していない状態で前記紙幣処理装置が計数動作を開始したことを検知手段によって検知させ、前記検知手段がその旨検知した際には前記識別部が新たに検知した前記仕切カードに該当する紙幣ブロックの計数動作を制御手段によって無効にさせる。
【0011】
本発明に係る第6の態様は、紙幣を集積してなる紙幣ブロックが、該紙幣ブロックの集積方向外側の一方に配置された仕切カードと共にセットされる投入部と、前記投入部から取り込まれた紙幣および前記仕切カードを識別する識別部と、前記識別部で正常紙幣と識別された紙幣を集積させる集積部と、前記識別部で正常紙幣以外と識別されたリジェクト紙幣および前記仕切カードを排除するリジェクト部と、を備える紙幣処理装置と、前記紙幣処理装置および当該紙幣処理装置を操作する取引操作担当者の周辺を撮像可能な撮像手段と、前記撮像手段の撮像データを記録する記録手段と、を備える紙幣処理システムを用いて紙幣処理を行う際の紙幣処理管理方法であって、前記仕切カードとして、少なくとも片面に目視によって識別可能な識別番号が付された仕切カードを用いるとともに、前記紙幣ブロックを前記投入部にセットする際に、当該紙幣ブロックの集積方向外側の一方に配置される前記仕切カードの前記識別番号を前記撮像手段によって撮像させ、前記識別番号の撮像データを前記記録手段に記録させ、さらに、前記撮像手段によって、前記紙幣処理装置および当該紙幣処理装置を操作する取引操作担当者の周辺に加えて、前記紙幣処理装置に上位接続される上位端末装置および当該上位端末装置の操作者の周辺を撮像させ、前記上位端末装置および当該上位端末装置の操作者の周辺の撮像データを前記記録手段に記録させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、管理情報の多様化が可能となる紙幣処理システムおよび紙幣処理管理方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態の紙幣処理システムを示す概略構成図である。
図2】実施形態の紙幣処理システムで処理される紙幣および仕切カードを示す斜視図である。
図3】実施形態の紙幣処理システムで処理される仕切カードを示すもので、(a)は正面図、(b)は背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態を図面を参照して以下に説明する。図1に示す本実施形態の紙幣処理システム10は、金融機関の現金センタに設置されて、集配されてくる例えば売上金の伝票上の合計金額と貨幣の合計金額とを照合するために用いられるものである。
【0015】
紙幣処理システム10は、紙幣処理装置11を有している。紙幣処理装置11は、投入された紙葉類Sに対して所定の処理を行うものである。具体的に、紙幣処理装置11は、紙葉類Sとしての図2に示す紙幣S(a)を処理対象として識別処理を行うものである。図1に示す紙幣処理装置11は、紙幣S(a)を識別し金種別に計数して合計金額等を算出する処理を行うものである。
【0016】
以下、紙幣処理装置11において、この紙幣処理装置11に対して取引操作を行う取引操作担当者が主に立つ側を「前」、その逆側を「後」、取引操作担当者が見て右側を「右」、取引操作担当者が見て左側を「左」とする。図1の紙幣処理装置11は、これを前から見た図となっている。
【0017】
紙幣処理装置11は、図2に示すように、紙幣ブロックB(a)を、紙葉類Sとしての仕切カードS(b)と一纏めにして処理する。紙幣ブロックB(a)は、複数枚の紙幣S(a)を長辺方向を揃え短辺方向を揃えて厚さ方向に連続的に集積して一纏めにしてなるものである。仕切カードS(b)は、紙幣ブロックB(a)の集積方向外側の一方に、紙幣ブロックB(a)を構成する紙幣S(a)に対し長辺方向を揃え短辺方向を揃えて配置される。仕切カードS(b)は、紙幣ブロックB(a)の境界を判断するために使用されるもので、紙幣処理システム10の一部を構成する。ここで、各紙幣ブロックB(a)は、紙幣S(a)をバッチ処理単位毎に纏めたものである。紙幣ブロックB(a)は、上記のように複数枚の紙幣S(a)を集積して構成される場合が多いが、一枚のみの紙幣S(a)からなる場合もある。
【0018】
図1に示すように、紙幣処理装置11は、投入部12とリジェクト部13と集積部14とを有している。投入部12は、紙幣処理装置11の右側面の下部に設けられて紙幣処理装置11の右側方および前方に開口する。リジェクト部13は、紙幣処理装置11の右側面の上下方向中間部に設けられて紙幣処理装置11の右側方および前方に開口する。集積部14は、投入部12およびリジェクト部13の左方に配置されて紙幣処理装置11の前面に開口する。集積部14は、複数(具体的には12カ所)設けられている。
【0019】
投入部12には、紙葉類Sが長辺方向を揃え短辺方向を揃えて上下方向に集積された状態でセットされることになる。投入部12には、例えば、図2に示す紙幣S(a)を集積してなる紙幣ブロックB(a)が、この紙幣ブロックB(a)の集積方向外側の一方に配置された仕切カードS(b)と共にセットされる。投入部12は、セットされた紙葉類Sを最下のものから一枚ずつ分離し繰り出して紙幣処理装置11内に取り込む。
【0020】
図1に示すように、紙幣処理装置11の内部には、搬送部21と識別部22とが設けられている。搬送部21は、投入部12から取り込まれた紙葉類Sを紙幣処理装置11の内部で搬送する。識別部22は、搬送部21で搬送中の紙葉類Sを識別する。識別部22は、紙葉類Sが、仕切カードS(b)であるか、仕切カードS(b)以外の紙幣S(a)であるかを識別し、紙幣S(a)である場合、計数対象の正常紙幣S(a)であるか、正常紙幣S(a)以外のリジェクト紙幣S(a)であるかを識別する。そして、識別部22は、紙幣S(a)が正常紙幣S(a)である場合、金種等を識別しつつ計数する。よって、識別部22は、投入部12から取り込まれた紙幣S(a)および投入部12から取り込まれた仕切カードS(b)を識別する。
【0021】
識別部22は、紙葉類Sの画像データ等を取得して上記識別を行う。識別部22は、紙葉類Sの画像データにバーコードデータBDが含まれている場合、これが仕切カードS(b)であると識別する。識別部22は、画像データであるバーコードデータBDについては、各線の太さおよび配置から所定の規則にしたがって文字データに変換する。
【0022】
搬送部21は、識別部22よりも下流側の部分が識別部22の識別結果に基づいて紙葉類Sをリジェクト部13および複数の集積部14に択一的に振り分ける。搬送部21は、各部を結ぶように適宜分離して配置されて紙葉類Sを搬送する搬送路25と、搬送路25の各分岐位置に設けられて紙葉類Sを振り分ける複数の振分部26とを有している。
【0023】
リジェクト部13は、投入部12で紙幣処理装置11内に取り込まれた紙葉類Sのうち、識別部22で計数対象の正常紙幣S(a)以外と識別されたリジェクト紙幣S(a)と、仕切カードS(b)とを紙幣処理装置11外に取り出し可能に排除するものである。リジェクト部13は、搬送部21から繰り出される紙葉類Sを繰り出し順(言い換えれば投入部12の取り込み順)に下から上に集積させる。リジェクト部13においては、投入部12から繰り出された紙葉類Sが、投入部12にて下向きであった面を上向きにする。
【0024】
複数の集積部14は、投入部12で紙幣処理装置11内に取り込まれた紙幣S(a)のうち、識別部22で正常な計数対象と識別された正常紙幣S(a)を紙幣処理装置11外に取り出し可能に集積させるものである。複数の集積部14は、いずれも搬送部21から繰り出された紙幣S(a)を繰り出し順(言い換えれば投入部12の取り込み順)に下から上に集積させる。複数の集積部14においては、いずれも、投入部12から繰り出される紙葉類Sが、投入部12にて下向きであった面を下向きとする。
【0025】
紙幣処理装置11の前面には、操作入力を受け付けるとともに情報表示および音声出力を行う操作表示部31(報知手段)が設けられている。また、紙幣処理装置11の内部には、各部を制御する制御部32(検知手段,制御手段)と、識別の基準となるマスタデータや識別計数結果のデータ等を記憶する記憶部33とが設けられている。
【0026】
投入部12は、上述したように紙幣処理装置11の右側面に右側方および前方に開口するように設けられている。投入部12は、水平に対して若干左下がりに傾斜して配置される底部40と、底部40の左端縁部位置から底部40に対し垂直上方に広がる壁部41と、底部40の後端縁部から底部40に対し垂直上方に広がる壁部42とを有している。壁部42に対して壁部41は垂直に配置されている。底部40および壁部41は前後方向に沿っている。壁部42は前後方向に対して垂直に広がっている。投入部12には、紙葉類Sが、底部40上に載置される。
【0027】
投入部12には、長方形状の紙葉類Sが、長辺が壁部41に沿い、短辺が壁部42に沿うようにしてセットされる。言い換えれば、紙葉類Sは、その長辺が壁部42に垂直をなし、短辺が壁部41に垂直をなすようにして、投入部12にセットされる。投入部12は、底部40の上方に設けられて壁部41に沿って昇降するビルプレス45を有している。ビルプレス45は、底部40上に載置された紙葉類Sを底部40に向けて押圧する。
【0028】
投入部12は、蹴出ローラ51と、取込ローラ52と、分離ローラ53とを有している。蹴出ローラ51は、底部40上にセットされた紙葉類Sのうちの最下の紙葉類Sを搬送部21に向けて蹴り出す。取込ローラ52は、蹴出ローラ51で蹴り出された紙葉類Sを紙幣処理装置11の内部に取り込んで搬送部21に受け渡す。分離ローラ53は、取込ローラ52で取り込む紙葉類Sを一枚ずつに分離する。
【0029】
投入部12には、少なくとも一枚の紙幣S(a)と仕切カードS(b)とが重ねられてなる紙葉類群Gがセットされる。投入部12は、紙葉類群Gを紙幣処理装置11の内部に取り込む。投入部12は、上記の紙幣処理装置11の右側面に右側方に開口するように設けられている。
【0030】
リジェクト部13は、上述したように紙幣処理装置11の右側面に右側方および前方に開口するように設けられている。リジェクト部13は、水平に対して若干左下がりに傾斜して配置される底部60と、底部60の左端縁部位置から鉛直上方に広がる壁部61と、底部60の後端縁部から底部60に対して垂直をなして鉛直上方に広がる壁部62とを有している。壁部62に対して壁部61は垂直に配置されている。底部60および壁部61は前後方向に沿っている。壁部62は前後方向に対して垂直に広がっている。リジェクト部13には、搬送部21から順に繰り出される紙葉類Sが、底部60上に下から上に集積される。
【0031】
図2に示すように、仕切カードS(b)は、長方形状である。仕切カードS(b)は、その長辺方向の長さが、紙幣S(a)の最も長さが長いものの長辺方向の長さと同等になっている。よって、仕切カードS(b)は、紙幣S(a)と同等の長さ又は若干長い長さとなっている。
【0032】
投入部12には、仕切カードS(b)が、長辺が壁部41に沿い、短辺が壁部42に沿うようにしてセットされる。投入部12は、いずれも紙葉類Sである仕切カードS(b)および紙幣S(a)をそれぞれの短辺方向に沿って壁部41側に搬送して紙幣処理装置11の内部に取り込むことになる。搬送部21も、仕切カードS(b)および紙幣S(a)をそれぞれが短辺方向に沿って移動するように搬送する。
【0033】
図3に示すように、仕切カードS(b)は、一方の表面65の地色が白色である。この表面65に、黒色でバーコードデータBDと識別番号であるシリアル番号SNとが印刷されている。仕切カードS(b)は、他方の裏面66の地色が有色となっている。言い換えれば、裏面66の地色は着色されている。裏面66の地色は、例えば赤色や青色等である。よって、仕切カードS(b)は、その表面65と裏面66とが地色の目視によっても識別可能になっている。勿論、表面65の地色を有色とし、裏面66の地色を白色としても良い。つまり、仕切カードS(b)は、表面65および裏面66のうちの片面のみ地色が有色に着色されていれば良い。なお、裏面66には、バーコードデータBDおよびシリアル番号SNのいずれも印刷されていない。
【0034】
バーコードデータBDは、人間の直接の目視による識別が不可な画像データである。言い換えれば、バーコードデータBDは、機械を用いることで人間による識別が可能となる。バーコードデータBDは、仕切カードS(b)の長辺方向の中央であって短辺方向の中央に表示されている。バーコードデータBDは、仕切カードS(b)の短辺方向に延びるバーが、仕切カードS(b)の長辺方向に複数並ぶように表示されている。バーコードデータBDは、全体が、仕切カードS(b)の長辺方向に沿って延びるように表示されている。
【0035】
シリアル番号SNは、人間の直接の目視による識別が可能な画像データである。言い換えれば、シリアル番号SNは、機械を用いなくても人間による識別が可能となる。シリアル番号SNは、文字で構成されて表示されている。シリアル番号SNは、具体的には英数字で構成されて表示されている。よって、仕切カードS(b)の一方の面である表面65には、目視によって識別可能なシリアル番号SNが付されている。言い換えれば、仕切カードS(b)には、バーコードデータBDに含まれるシリアル番号SNが人間の直接の目視によっても識別可能なように、表面65に英数字で付されている。シリアル番号SNは、例えば4桁の英数字0001~FFFFである。図3の例では、シリアル番号SNが、4桁の英数字で構成される「1234」となっている。
【0036】
仕切カードS(b)の表面65にはシリアル番号SNが2箇所印刷されている。一方のシリアル番号SNは、仕切カードS(b)の一方の短辺部の近傍に表示されている。この一方のシリアル番号SNは、この一方の短辺部を上にしてこの短辺部に沿って左から右に順に読むように表示されている。他方のシリアル番号は、仕切カードS(b)の他方の短辺部の近傍に表示されている。この他方のシリアル番号は、この他方の短辺部を上にしてこの短辺部に沿って左から右に順に読むように表示されている。
【0037】
なお、バーコードデータBDを、仕切カードS(b)の両表面65,66に印刷しても良い。また、シリアル番号SNも仕切カードS(b)の両面に印刷しても良い。よって、仕切カードS(b)の少なくとも片面に目視によって識別不可なバーコードデータBDが付されていれば良い。また、仕切カードS(b)の少なくとも片面に目視によって識別可能なシリアル番号SNが付されていれば良い。なお、以上の説明においては、バーコードデータBDに含まれるシリアル番号SNとして説明したが、バーコードデータBDとシリアル番号SNは全く同一のものであっても良い。また、バーコードデータBDは機械によって識別できれば良く、例えば、画像データとしての二次元バーコードデータであっても良い。
【0038】
図1に示すように、紙幣処理システム10は、ビデオカメラ71(撮像手段)と、ビデオレコーダ72(記録手段)と、を有している。ビデオカメラ71は、カラー映像を動画で撮像可能である。ビデオカメラ71は、紙幣処理装置11と紙幣処理装置11の前側で紙幣処理装置11に対し取引操作を行う取引操作担当者の周辺とを撮像可能となっている。ビデオレコーダ72は、このビデオカメラ71で撮像した撮像データを記録する。ビデオカメラ71は仕切カードS(b)のシリアル番号を撮像可能である。ビデオレコーダ72は当該シリアル番号を撮像した撮像データを記録する。
【0039】
加えて、紙幣処理システム10は、上位端末装置81と、上記した仕切カードS(b)と、バーコードリーダ82と、を有している。上位端末装置81は、紙幣処理装置11に上位接続されて売上金の伝票データが入力される。仕切カードS(b)は、売上金の紙幣ブロックB(a)の境界を判断するために使用される。バーコードリーダ82は、上位端末装置81に接続されており、仕切カードS(b)の表面65に付加されたバーコードデータBDを読み取る。紙幣処理装置11と上位端末装置81とは通信ケーブルで接続されて、必要とする情報データを相互に通信可能となっている。
【0040】
さらに、紙幣処理システム10は、ビデオカメラ85(撮像手段)と、ビデオレコーダ86と、収容箱91と、を有している。ビデオカメラ85は、カラー映像を動画で撮像可能である。ビデオカメラ85は、上位端末装置81およびその前側でこれを操作する管理者の周辺を撮像可能である。ビデオカメラ85は、収容箱91およびその前側でこれを操作する管理者の周辺を撮像可能である。ビデオレコーダ86はビデオカメラ85による撮像の撮像データを記録する。収容箱91は紙葉類群Gを収容可能となっている。
【0041】
次に、紙幣処理システム10を用いて行われる取引処理について順を追って説明する。
【0042】
[1]登録処理
まず、上位端末装置81の操作者である管理者が、図2に示すように、集配されてきた売上金の複数の紙幣ブロックB(a)のそれぞれの集積方向外側の一方に仕切カードS(b)を配置して、図1に示す所定の収容箱91に収容する。収容箱91は、複数の紙幣ブロックB(a)を、それぞれの紙幣S(a)の集積方向を合わせて、この方向に並べて収容する。
【0043】
管理者は、収容箱91に複数の紙幣ブロックB(a)を収容する際に、複数の紙幣ブロックB(a)のうちの一端の紙幣ブロックB(a)の他の紙幣ブロックB(a)とは反対側と、複数の紙幣ブロックB(a)の各境界とに仕切カードS(b)を挿入する。このとき、複数の紙幣ブロックB(a)のうちの一端の紙幣ブロックB(a)の他の紙幣ブロックB(a)とは反対側に配置された仕切カードS(b)は、表面65が紙幣ブロックB(a)とは反対の外側に向く向きとされる。この仕切カードS(b)に、残りの仕切カードS(b)も表裏の向きを揃える。すると、仕切カードS(b)の裏面66側に隣り合って配置される紙幣ブロックB(a)が、この仕切カードS(b)に対応する紙幣ブロックB(a)となる。収容箱91内では、仕切カードS(b)がすべての紙幣ブロックB(a)に個別に対応して設けられる。
【0044】
言い換えれば、管理者は、仕切カードS(b)を、表面65が対応する紙幣ブロックB(a)に対して反対側に向き、裏面66が対応する紙幣ブロックB(a)側に向くように配置する。つまり、管理者は、収容箱91に仕切カードS(b)を挿入する際には、すべての仕切カードS(b)で、それぞれの表面65が対応する紙幣ブロックB(a)に対して一定の同じ方向を向くように向きを揃える。
【0045】
以上のようにして、仕切カードS(b)と紙幣ブロックB(a)とからなる紙葉類群Gを複数、収容箱91に配置することになる。なお、収容箱91には、図示は略すが、例えば紙幣S(a)の集積方向に沿って移動可能な仕切板が複数設けられている。管理者は、紙葉類群Gを収容箱91に収容する際に、隣り合う紙葉類群Gと紙葉類群Gとの間の位置に、仕切板を、これらの厚さに応じた位置に配置しつつ介在させる。管理者は、このことを、すべての隣り合う紙葉類群Gと紙葉類群Gとの間の位置に対して行う。これにより、収容箱91に収容された複数の紙葉類群Gを、それぞれ他の紙葉類群Gと仕切板で隔離して仕分けることができる。
【0046】
続いて管理者は、上位端末装置81を操作して、各売上金に添付されてきた伝票データに記載されている情報データを、キーボードを介して上位端末装置81に入力する。それと共に、管理者は、各売上金の紙幣ブロックB(a)に対応する仕切カードS(b)に付されたバーコードデータBDをバーコードリーダ82で読み取らせる。そして、収容箱91に仕分けした各売上金に対応する情報データと、仕切カードS(b)に付されたバーコードデータBDとを一対一で関連付けて上位端末装置81に記憶させる関連付け操作を行う。
【0047】
すなわち、管理者は、上位端末装置81を操作して、複数の紙幣ブロックB(a)のうち一端にあって他の紙幣ブロックB(a)とは反対側に第1の仕切カードS(b)が配置された第1の紙幣ブロックB(a)に添付されてきた伝票データに記載されている情報データを、キーボードを介して上位端末装置81に入力する。それと共に、管理者は、第1の仕切カードS(b)の露出する表面65に付されたバーコードデータBDをバーコードリーダ82で読み取らせる。その後、管理者は、上位端末装置81に確定操作を行う。すると、上位端末装置81は、第1の紙幣ブロックB(a)に対応する情報データと、第1の仕切カードS(b)に付されたバーコードデータBDとを一対一で関連付けて記憶する。
【0048】
次に、第1の仕切カードS(b)および第1の紙幣ブロックB(a)を、第1の紙幣ブロックB(a)の第1の仕切カードS(b)とは反対側に隣り合う第2の仕切カードS(b)から離し、第2の仕切カードS(b)の表面65を露出させる。
【0049】
そして、管理者は、上位端末装置81を操作して、第2の仕切カードS(b)の第1の紙幣ブロックB(a)とは反対側に隣り合う第2の紙幣ブロックB(a)に添付されてきた伝票データに記載されている情報データを、キーボードを介して上位端末装置81に入力する。それと共に、管理者は、第2の仕切カードS(b)の露出する表面65に付されたバーコードデータBDをバーコードリーダ82で読み取らせる。その後、管理者は、上位端末装置81に確定操作を行う。すると、上位端末装置81は、第2の紙幣ブロックB(a)に対応する情報データと、第2の仕切カードS(b)に付されたバーコードデータBDとを一対一で関連付けて記憶する。
【0050】
以上のような関連付け操作を、収容箱91にある仕切カードS(b)および紙幣ブロックB(a)の全ての組み合わせに対して行う。
【0051】
この関連付け操作時に、ビデオカメラ85は、上位端末装置81および管理者の周辺を撮像することになり、その撮像データをビデオレコーダ86が記憶する。なお、ビデオカメラ85は、関連付け操作時に予め決められた配置位置に配置される収容箱91に対して、この収容箱91をも撮像可能な位置に設置されている。そして、ビデオカメラ85は、管理者が収容箱91の仕切カードS(b)の表面65のバーコードデータBDを上記のようにバーコードリーダ82で読み取る際に、仕切カードS(b)の表面65のシリアル番号SNを撮像する位置に配置されている。
【0052】
ここで、伝票データに記載されている情報データは、具体的には、売上主である顧客情報および売上金の金額と、店舗コードと、振り込み用の口座番号等とである。
【0053】
次に、管理者は、各売上金の紙幣ブロックB(a)と仕切カードS(b)とからなる紙葉類群Gが、上記のように仕分けして収容された収容箱91を、紙幣処理装置11の取引操作担当者に受け渡す。すると、作業が取引操作担当者に引き継がれて、これ以降は取引操作担当者が取引操作を行うことになる。
【0054】
[2]売上金の計数処理
紙幣処理装置11を操作する取引操作担当者は、まず、収容箱91から仕切カードS(b)および紙幣ブロックB(a)のセットである紙葉類群Gを1セットずつ取り出し、取り出しの度に、付されたシリアル番号SNの数字がビデオカメラ71に映るように仕切カードS(b)をビデオカメラ71にかざして、その撮像データを、ビデオレコーダ72に記憶させてから、紙幣処理装置11の投入部12に投入することが、作業ルール化されている。
【0055】
また、取引操作担当者は、仕切カードS(b)および紙幣ブロックB(a)のセットである紙葉類群Gを、これらのうちの仕切カードS(b)を下側にし、しかもその表面65を下向き(言い換えれば、裏面66を上向き)にして、紙幣処理装置11の投入部12に投入することが、作業ルール化されている。
【0056】
したがって、取引操作担当者は、まず、上記のように管理者から受け取った収容箱91に収容されている第1の仕切カードS(b)および第1の紙幣ブロックB(a)のセットである第1の紙葉類群Gを取り出す。そして、取引操作担当者は、例えばこれらを纏めた状態のまま、付されたシリアル番号SNの数字がビデオカメラ71に映るように第1の仕切カードS(b)をビデオカメラ71にかざして、シリアル番号SNを含む撮像データを、ビデオレコーダ72に記憶させる。
【0057】
続いて、取引操作担当者は、第1の紙葉類群Gを、第1の仕切カードS(b)および第1の紙幣ブロックB(a)のうち第1の仕切カードS(b)を下側にし、しかもその表面65を下向きにして、紙幣処理装置11の投入部12に投入する。すると、第1の仕切カードS(b)が表面65において投入部12の底部40に当接する。ビデオカメラ71は、この取引操作担当者による第1の紙葉類群Gの投入部12への投入作業を撮像する。ビデオレコーダ72は、この撮像データを記憶する。
【0058】
この状態で、取引操作担当者は、紙幣処理装置11の操作表示部31の計数釦を押下する。すると、紙幣処理装置11は、投入部12が、これらの第1の仕切カードS(b)および第1の紙幣ブロックB(a)を下から順に、つまり、まず第1の仕切カードS(b)、次に第1の紙幣ブロックB(a)の紙幣S(a)の順に一枚ずつ紙幣処理装置11内に取り込み、搬送部21が搬送し、識別部22が識別を行う。そして、識別部22で正常な計数対象と識別された正常紙幣S(a)は、集積部14のうちの第1の紙幣ブロックB(a)用に設定された一つに搬送されて集積される。
【0059】
他方、識別部22で識別された第1の仕切カードS(b)およびリジェクト紙幣S(a)は、搬送部21でリジェクト部13に排除される。よって、第1の紙葉類群Gの中で第1の仕切カードS(b)が最初にリジェクト部13に排除される。その際に、第1の仕切カードS(b)は、裏面66が下向きになって、リジェクト部13の底部60に当接する。その後、この第1の仕切カードS(b)の上にリジェクト紙幣S(a)が集積される。
【0060】
ここで、リジェクト紙幣S(a)がなく、投入部12に投入された第1の仕切カードS(b)のみがリジェクト部13に搬送され、第1の紙幣ブロックB(a)の全ての紙幣S(a)が集積部14に搬送されて、投入部12に紙葉類Sがなくなると、第1の仕切カードS(b)および第1の紙幣ブロックB(a)のセットである第1の紙葉類群Gに対する計数処理が終了する。
【0061】
取引操作担当者は、次に、収容箱91に収容されている第2の仕切カードS(b)および第2の紙幣ブロックB(a)のセットである第2の紙葉類群Gを取り出し、これらを纏めた状態のまま、付されたシリアル番号SNの数字がビデオカメラ71に映るように第2の仕切カードS(b)をビデオカメラ71にかざして、その撮像データを、ビデオレコーダ72に記憶させる。
【0062】
続いて、取引操作担当者は、第2の紙葉類群Gを、第2の仕切カードS(b)および第2の紙幣ブロックB(a)のうち第2の仕切カードS(b)を下側にし、しかもその表面65を下向きにして、紙幣処理装置11の投入部12に投入する。すると、第2の仕切カードS(b)が表面65において投入部12の底部40に当接する。ビデオカメラ71は、この取引操作担当者による第2の紙葉類群Gの投入部12への投入作業を撮像する。ビデオレコーダ72は、この撮像データを記憶する。
【0063】
この状態で、取引操作担当者は、紙幣処理装置11の操作表示部31の計数釦を押下する。すると、紙幣処理装置11は、投入部12が、これらの第2の仕切カードS(b)および第2の紙幣ブロックB(a)を下から順に、つまり、まず第2の仕切カードS(b)、次に第2の紙幣ブロックB(a)の紙幣S(a)の順に一枚ずつ紙幣処理装置11内に取り込み、搬送部21が搬送し、識別部22が識別を行う。そして、識別部22で正常な計数対象と識別された正常紙幣S(a)は、集積部14のうちの、第1の紙幣ブロックB(a)用に設定されたものとは異なる、第2の紙幣ブロックB(a)用に設定されたものに搬送されて集積される。
【0064】
他方、識別部22で識別された第2の仕切カードS(b)およびリジェクト紙幣S(a)は、搬送部21でリジェクト部13に排除されて集積される。その際に、第2の紙葉類群Gの中で、第2の仕切カードS(b)が最初にリジェクト部13に排除され、その際に裏面66が下向きになって、リジェクト部13の底部60に当接する。その後、この第2の仕切カードS(b)の上にリジェクト紙幣S(a)が集積される。
【0065】
ここで、リジェクト紙幣S(a)がなく、投入部12に投入された第2の仕切カードS(b)のみがリジェクト部13に搬送され、第2の紙幣ブロックB(a)の全ての紙幣S(a)が集積部14に搬送されて、投入部12に紙葉類Sがなくなると、第2の紙葉類群Gに対する計数処理が終了する。
【0066】
取引操作担当者は、その後も同様に、収容箱91から、仕切カードS(b)と紙幣ブロックB(a)とのセットである紙葉類群Gを1セットずつ取り出し、紙葉類群Gのセット毎に、付されたシリアル番号SNの数字が映るように仕切カードS(b)をビデオカメラ71に向かってかざし、その撮像データを、ビデオレコーダ72に記憶させる。
【0067】
そして、その後、仕切カードS(b)を下側にし、その表面65を下向きにして、投入部12に投入した後、計数釦を押下する。すると、紙幣処理装置11が、紙葉類群Gを、セット毎に、投入部12で取り込み、識別部22で正常な計数対象と識別された正常紙幣S(a)を、集積部14のうちの対応する一つに集積させ、仕切カードS(b)およびリジェクト紙幣S(a)を、リジェクト部13に排除する計数処理を行う。
【0068】
このようにして、収容箱91の中の仕切カードS(b)と紙幣ブロックB(a)のセットである紙葉類群Gの全てに対して、上記の操作を繰り返し行う。そして、計数動作が全て終了したら、取引操作担当者は紙幣処理装置11の操作表示部31の完了釦を押下して完了操作を行う。
【0069】
すると、紙幣処理装置11で完了操作が行われた旨、上位端末装置81で認識が働き、上位端末装置81が紙幣処理装置11から取引操作が行われた個別の計数データを通信ケーブルでの通信によって吸い上げることになる。そして、管理者が上位端末装置81側で完了操作を行うと、上位端末装置81は、取引操作担当者によって行われた操作による、仕切カードS(b)に付されたシリアル番号SNに対応する正常紙幣S(a)の計数結果による計数金額と、予め管理者によって登録処理の際に上位端末装置81で登録された、この仕切カードS(b)に付されたシリアル番号SNと同じシリアル番号SNに対応する売上金との照合を個別に行うことになる。
【0070】
このようにして、取引操作担当者が収容箱91の中の紙葉類群Gの全てについて、紙幣処理装置11で行った計数結果が上位端末装置81で照合した結果と突合すると計数処理が完了する。
【0071】
なお、紙葉類群Gの各セットの計数動作中に識別部22で正常紙幣S(a)以外と識別されたリジェクト紙幣S(a)は、仕切カードS(b)と共にリジェクト部13に排除されて集積されることになる。このリジェクト紙幣S(a)は、計数未確定のため、取引操作担当者は、リジェクト部13から抜き取って、投入部12に再投入して再計数操作を行う必要がある。
【0072】
その際には、紙幣ブロックB(a)の先頭で識別されてリジェクト部13に排除された仕切カードS(b)も一緒に抜き取る。そして、上述した操作と同じく、取引操作担当者は、仕切カードS(b)およびリジェクト紙幣S(a)のセットのうち、付されたシリアル番号SNの数字がビデオカメラ71に映るようにこの仕切カードS(b)をビデオカメラ71にかざし、その撮像データを、ビデオレコーダ72に記憶させる。
【0073】
取引操作担当者は、それから、これらの仕切カードS(b)およびリジェクト紙幣S(a)を、仕切カードS(b)を下側にし、しかも仕切カードS(b)の表面65を下向きにして、紙幣処理装置11の投入部12に投入し、図示略の計数釦を押下する。ビデオカメラ71は、この取引操作担当者による仕切カードS(b)およびリジェクト紙幣S(a)の投入作業も撮像する。この撮像データを、ビデオレコーダ72が記憶する。このようにして、リジェクト部13に搬送されるリジェクト紙幣S(a)が一切無くなり、全ての紙幣S(a)が集積部14に搬送されると、紙幣処理装置11は計数処理が終了したことになる。
【0074】
ここで、ビデオカメラ71は、リジェクト部13から抜き取られた仕切カードS(b)とリジェクト紙幣S(a)とからなるブロックが投入部12に再セットされるシーンを撮像する。ビデオレコーダ72は、この撮像の撮像データを記憶する。
【0075】
例えば、取引操作担当者は、リジェクト部13から取り出したものの中から、第1の仕切カードS(b)および第1の紙幣ブロックB(a)のリジェクト紙幣S(a)のセットを取り出し、付されたシリアル番号SNの数字がビデオカメラ71に映るように第1の仕切カードS(b)をビデオカメラ71にかざし、その撮像データを、ビデオレコーダ72に記憶させる。
【0076】
続いて、取引操作担当者は、セットである第1の仕切カードS(b)およびリジェクト紙幣S(a)を、これらのうち第1の仕切カードS(b)を下側にし、しかもその表面65を下向きにして、紙幣処理装置11の投入部12に投入する。すると、第1の仕切カードS(b)が表面65において投入部12の底部40に当接する。ビデオカメラ71は、この取引操作担当者による第1の仕切カードS(b)およびリジェクト紙幣S(a)の投入作業も撮像し、その撮像データを、ビデオレコーダ72に記憶させる。
【0077】
この状態で、取引操作担当者は、紙幣処理装置11の操作表示部31の計数釦を押下する。すると、紙幣処理装置11は、投入部12が、これらの第1の仕切カードS(b)およびリジェクト紙幣S(a)を下から順に、つまり、まず第1の仕切カードS(b)、次にリジェクト紙幣S(a)の順に一枚ずつ紙幣処理装置11内に取り込み、搬送部21が搬送し、識別部22が識別を行う。
【0078】
そして、識別部22で正常な計数対象と識別された正常紙幣S(a)は、集積部14のうちの対応する一つに搬送されて集積される。このようにして、リジェクト部13に搬送されるリジェクト紙幣S(a)が一切無くなり、全ての紙幣S(a)が集積部14に搬送されると、紙幣処理装置11は第1の仕切カードS(b)および第1の紙幣ブロックB(a)に対する計数処理が終了したことになる。
【0079】
次に、取引操作担当者は、リジェクト部13から取り出したものの中から、第2の仕切カードS(b)および第2の紙幣ブロックB(a)のリジェクト紙幣S(a)のセットを取り出し、付されたシリアル番号SNの数字がビデオカメラ71に映るように第2の仕切カードS(b)をビデオカメラ71にかざし、その撮像データを、ビデオレコーダ72に記憶させる。
【0080】
続いて、取引操作担当者は、セットである第2の仕切カードS(b)およびリジェクト紙幣S(a)を、これらのうち第2の仕切カードS(b)を下側にし、しかもその表面65を下向きにして、紙幣処理装置11の投入部12に投入する。すると、第2の仕切カードS(b)が表面65において投入部12の底部40に当接する。ビデオカメラ71は、この取引操作担当者による第2の仕切カードS(b)およびリジェクト紙幣S(a)の投入作業も撮像し、その撮像データを、ビデオレコーダ72に記憶させる。
【0081】
この状態で、取引操作担当者は、紙幣処理装置11の操作表示部31の計数釦を押下する。すると、紙幣処理装置11は、投入部12が、これらの第2の仕切カードS(b)およびリジェクト紙幣S(a)を下から順に、つまり、まず第2の仕切カードS(b)、次にリジェクト紙幣S(a)の順に一枚ずつ紙幣処理装置11内に取り込み、搬送部21が搬送し、識別部22が識別を行う。
【0082】
そして、識別部22で正常な計数対象と識別された正常紙幣S(a)は、集積部14のうちの対応する一つに搬送されて集積される。このようにして、リジェクト部13に搬送されるリジェクト紙幣S(a)が一切無くなり、全ての紙幣S(a)が集積部14に搬送されると、紙幣処理装置11は第2の仕切カードS(b)および第2の紙幣ブロックB(a)に対する計数処理が終了したことになる。
【0083】
以上では、仕切カードS(b)および紙幣ブロックB(a)のセットである紙葉類群Gをセット毎(群毎)に投入部12に投入して計数処理を行う場合を例にとり説明したが、紙葉類群Gを複数セット纏めて投入部12に投入して計数処理を行うことも可能である。その際には、先の仕切カードS(b)とその次の仕切カードS(b)との間が、先の仕切カードS(b)とセットの紙幣ブロックB(a)として識別されることになる。この場合、各紙幣ブロックB(a)毎に異なる集積部14に正常紙幣S(a)を集積させることになり、すべての紙幣ブロックB(a)のリジェクト紙幣S(a)をそれぞれに対応する仕切カードS(b)と共にリジェクト部13に纏めて集積させることになる。この場合も、ビデオカメラ71は、この取引操作担当者による投入部12への複数の紙葉類群Gの投入作業を撮像し、その撮像データを、ビデオレコーダ72に記憶させる。
【0084】
このように複数の紙葉類群Gを一度に連続的に計数する場合、リジェクト部13に集積された、仕切カードS(b)および紙幣ブロックB(a)のリジェクト紙幣S(a)のセットを、複数セット纏めて投入部12に投入して再計数処理を行うことになる。先の仕切カードS(b)とその次の仕切カードS(b)との間が、先の仕切カードS(b)とセットの紙幣ブロックB(a)のリジェクト紙幣S(a)として識別されることになる。
【0085】
この操作の中で、取引操作担当者は、リジェクト部13から抜き取るべき仕切カードS(b)とリジェクト紙幣S(a)とを取り間違えてしまう虞と、さらにはリジェクト部13から抜き取るべき仕切カードS(b)とリジェクト紙幣S(a)とを正しく抜き取った場合であっても、投入部12に再投入する際の向きをセットし間違えてしまう虞がある。特に、このように、仕切カードS(b)および紙幣ブロックB(a)の複数セット纏めての計数において、複数の紙幣ブロックB(a)でリジェクト紙幣S(a)が発生した場合に、その可能性は高くなる。
【0086】
しかしながら、リジェクト部13に順次集積されていく仕切カードS(b)およびリジェクト紙幣S(a)は、そのリジェクト部13の下層の方が先に投入部12から紙幣処理装置11内に取り込まれたものであり、上層の方が後に投入部12から紙幣処理装置11内に取り込まれたものであるので、ひと目で認識できる。
【0087】
さらに、上述したように、仕切カードS(b)の裏面66のみ地色が赤色や青色等で着色されているため、例え、複数の紙幣ブロックB(a)の纏めての計数で発生した複数のリジェクト紙幣S(a)を纏めて一度にリジェクト部13から抜き取った場合であっても、この着色されている仕切カードS(b)の裏面66が目印となって、着色面である裏面66に対して何れの方向の紙幣が、仕切カードS(b)に対応する紙幣ブロックB(a)のものであったかの認識を間違えさえしなければ、間違える虞が無くなる。
【0088】
また、例えばシリアル番号SNが「1234」の仕切カードS(b)とセットとなった、例えば合計10万円分の紙幣ブロックB(a)を計数した際に、1回目の計数処理で万円券1枚のリジェクト紙幣Sが発生した場合には、シリアル番号SNが「1234」の仕切カードS(b)の1回目の計数時が9万円となり、リジェクトした万円券1枚を、再度シリアル番号SNが「1234」の仕切カードS(b)とで再計数して正常な計数対象と識別された2回目の計数時が1万円であれば、合計10万円となり計算が合う。この計算は紙幣処理装置11側で行っても良いし、上位端末装置81側で行っても良い。
【0089】
なお、以上のようにして、リジェクト部13に集積されたリジェクト紙幣S(a)を再計数し、紙幣ブロックB(a)の紙幣S(a)を全て正常に計数したにもかかわらず、上位端末装置81での照合の結果、計数結果が、仕切カードS(b)に付されたシリアル番号SNに対応する売上金と一致しない場合もまれに発生する。その場合には、照合が一致しなかった紙幣ブロックB(a)が特定できているので、管理者は上記[1]の登録処理で行った際の登録画面を呼び出して、このシリアル番号SNに関連付けられた伝票の情報データである、売上主の顧客情報(連作先等)、売上金の金額、店舗コードと振込み用の口座番号等を確認してその旨記録すると共に、当該売上主に、伝票に記載された金額と計数した貨幣の金額が一致しなかった旨、連絡するようになっている。そして、売上主の許諾を得た後、当該一致しなかった伝票の金額の方を実際に計数した貨幣の金額に修正して、照合一致させる補正処理を行うようになっている。
【0090】
[3]ビデオカメラ撮像処理と撮像データ記録処理
以上、取引操作担当者の操作の一連について説明したが、ビデオカメラ71による撮像処理とビデオレコーダ72による撮像データ記録処理とは、必ず、取引操作担当者が紙幣処理装置11への操作を開始した時から開始され、紙幣ブロックB(a)の計数操作が終了して上位端末装置81で照合した結果が突合して取引操作が完了するまでの間、漏れなく連続的に実行される仕組みとなっている。
【0091】
このようにして記録されたビデオデータは、図示略のPC端末のハードディスクに記憶されて保管される仕組みとなっている。つまり、取引操作担当者が不正とみなされる不審な動きをしたり、紙幣処理装置11で操作ミスを行ったとしても、その際の状況は全て、ビデオデータとして記録されるようになっている。
【0092】
[4]ビデオカメラ撮像処理と作業ルール遵守の仕組み
以上、取引操作担当者の操作に関する作業ルールを含めて説明したが、もし仮に、当該作業ルールが遵守されなかった場合の運用ガードについて説明する。紙幣処理システム10には、ビデオカメラ71での撮像データを画像解析する仕組みが制御部32に設けてあり、それは特に人の手の動きと仕切カードS(b)の表面65に特化して解析が行われる。
【0093】
つまり、ビデオカメラ71での撮像データから、もし取引操作担当者が、仕切カードS(b)および紙幣ブロックB(a)のセットである紙葉類群Gを、その仕切カードS(b)に付されたシリアル番号SNの数字がビデオカメラ71に映るようにかざさずに、紙幣処理装置11の投入部12に投入する操作を検知した際には、制御部32が操作表示部31の図示せぬ音声出力部がアラームとして警告音を鳴らすようになっている。なお、アラームとしての警告音だけでなく、警告ランプを点灯させるようにしても良い。そして、このアラームによって、取引操作担当者は操作を誤ったことに気付くようになっている。
【0094】
また、さらに、もし取引操作担当者が、仕切カードS(b)および紙幣ブロックB(a)のセットである紙葉類群Gを、シリアル番号SNの数字がビデオカメラ71に映るように仕切カードS(b)をかざさずに、紙幣処理装置11の投入部12に投入する操作を行い、上述したアラームに気付かずに入金計数動作まで行ってしまった場合でも、制御部32が、誤った入金計数動作を検知して、当該取引操作を無効とする仕組みを備えている。
【0095】
制御部32が無効とする制御の一例としては、識別部22が新たに仕切カードS(b)を検知した際には、以降の投入部12の紙葉類Sの取り込み動作を停止させ、当該仕切カードS(b)をリジェクト部13にリジェクトさせると共に、搬送部21上の紙幣S(a)も全てリジェクト部13にリジェクトさせるようにして、計数動作そのものが無効となるように制御する。すなわち、ビデオカメラ71がシリアル番号SNを撮像していない状態で紙幣処理装置11が計数動作を開始したことを検知すると、制御部32は、識別部22が新たに検知した仕切カードS(b)に該当する紙幣ブロックB(a)の計数動作を無効とする。
【0096】
[5]ビデオデータの再生確認
ところで、売上金の伝票金額と、紙幣処理システム10にて計数した貨幣の金額とが一致しなかった旨の連絡を受けた売上主の中には、この現金センタからの当該連絡内容に承服できず、現金センタを訪問して、その際の詳しい状況の説明を求める場合もある。その場合に、現金センタの責任者は、当該売上主の売上金に関して、上位端末装置81に記録された該当する箇所を提示して、伝票記載の金額と計数した貨幣の金額が一致していない旨説明する。
【0097】
また、それでも承服できない売上主に対しては、当該売上主の売上金を計数した際の情報であるシリアル番号SNを提示すると共に、該当する箇所のビデオデータをビデオレコーダ72から読み出し再生して、当該シリアル番号SNの仕切カードS(b)がビデオカメラ71にかざされてから計数終了するまでの期間のビデオデータを閲覧させて、取引操作担当者が何ら不正なことを行ってないことを確認してもらえるようになっている。
【0098】
以上の実施形態においては、紙幣処理装置11および紙幣処理装置11で取引操作を行う操作担当者の周囲を撮像するビデオカメラ71と、上位端末装置81および管理者の周囲を撮像するビデオカメラ85とを設けているが、ビデオカメラ71,85のうちビデオカメラ71のみを設けても良い。
【0099】
上記の紙幣処理システム10は、紙幣処理装置11およびこの紙幣処理装置11を操作する取引操作担当者の周辺を撮像可能なビデオカメラ71と、ビデオカメラ71の撮像データを記録するビデオレコーダ72と、を備える。また、仕切カードS(b)の表面65には目視によって識別可能なシリアル番号SNが付されている。そして、ビデオカメラ71がこのシリアル番号SNを撮像すると、ビデオレコーダ72がその撮像データを記憶する。これにより、取引操作担当者が紙幣ブロックB(a)を紙幣処理装置11で計数するシーンの撮像データを記録する際には、何れの紙幣ブロックB(a)かを特定できる仕切カードS(b)に付されたシリアル番号SNも併せて記録されるので、管理情報の多様化が可能となる。よって、例えば、売上主から売上金が伝票金額と合致していない等のクレームがあった場合には、対象となる当該記録である撮像データを特定して、売上主に閲覧させることが可能となる。
【0100】
また、紙幣処理システム10は、ビデオカメラ71がシリアル番号SNを撮像していない状態で紙幣処理装置11が計数動作を開始したことを検知すると、制御部32が、操作表示部31によりアラームを報知する。これにより、紙幣ブロックB(a)を紙幣処理装置11で計数する前に、必ずビデオカメラ71に仕切カードS(b)のシリアル番号SNをかざすという作業ルールを操作員に徹底させる効果が生じる。
【0101】
さらに、紙幣処理システム10は、ビデオカメラ71がシリアル番号SNを撮像していない状態で紙幣処理装置11が計数動作を開始したことを検知すると、制御部32が、識別部22が新たに検知した仕切カードS(b)に該当する紙幣ブロックB(a)の計数動作を無効とする。これにより、紙幣ブロックB(a)を紙幣処理装置11で計数する前に、必ずビデオカメラ71に仕切カードS(b)のシリアル番号SNをかざすという作業ルールが守られなかった場合には、制御部32が計数動作を無効とする。このため、作業ルールに反した取引動作を止めさせて、やり直しさせることができるようになる。なお、制御部32が無効とする制御の一例としては、識別部22が新たに仕切カードS(b)を検知した際に、投入部12の紙葉類Sの取り込み動作を停止させ、当該仕切カードS(b)をリジェクト部13にリジェクトさせると共に搬送部21上の紙幣S(a)も全てリジェクト部13にリジェクトさせるようにして、計数動作が正常に完了できないようにすれば良い。
【0102】
また、紙幣処理システム10は、紙幣処理装置11および取引操作担当者の周辺を撮像するビデオカメラ71に加えて、紙幣処理装置11に上位接続される上位端末装置81および当該上位端末装置81の操作者である管理者の周辺を撮像可能なビデオカメラ85を有している。そして、ビデオレコーダ86が、このビデオカメラ85の撮像データを記録する。これにより、紙幣処理装置11を操作する取引操作担当者だけでなく、上位端末装置81の操作者である管理者の操作状況も撮像して記録が可能になる。
【0103】
さらに、紙幣処理システム10は、仕切カードS(b)が、一方の表面65の地色が白色、他方の裏面66の地色が有色である。そして、ビデオカメラ71が、リジェクト部13から抜き取られた仕切カードS(b)とリジェクト紙幣S(a)とからなるブロックが投入部12に再セットされるシーンを撮像し、ビデオレコーダ72は、この撮像の撮像データを記録する。これにより、リジェクト紙幣S(a)が発生した際の操作ミスがなかったかについて、撮像および記録を行うことになる。
【0104】
ここで、リジェクト部13においては、投入部12から繰り出された仕切カードS(b)が、投入部12にて下向きであった表面65を上向きに反転させて、この表面65上に同じ紙葉類群Gのリジェクト紙幣S(a)を載置させる。このため、仕切カードS(b)の表面65および裏面66と同じ紙葉類群Gのリジェクト紙幣S(a)との関係が、投入部12への投入時と逆になる。よって、投入部12への再セットの際にミスを生じやすい。このため、ビデオカメラ71が、リジェクト部13から抜き取られた仕切カードS(b)とリジェクト紙幣S(a)とからなるブロックが投入部12に再セットされるシーンを撮像することによる効果が高い。
【0105】
紙幣処理システム10を用いて、紙幣処理を行う際の紙幣処理管理方法は、紙幣ブロックB(a)を投入部12にセットする際に、この紙幣ブロックB(a)に対応してこの紙幣ブロックB(a)の集積方向外側の一方に配置される仕切カードS(b)のシリアル番号SNをビデオカメラ71によって撮像させ、当該撮像の撮像データをビデオレコーダ72に記録させる。これにより、取引操作担当者が紙幣ブロックB(a)を紙幣処理装置11で計数するシーンの撮像データを記録する際には、何れの紙幣ブロックB(a)かを特定できる仕切カードS(b)に付されたシリアル番号SNも併せて記録される。このため、管理情報の多様化が可能となる。よって、例えば、売上主から売上金が伝票金額と合致していない等のクレームがあった場合には、対象となる当該記録である撮像データを特定して、売上主に閲覧させることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0106】
上記した紙幣処理システムおよび紙幣処理管理方法によれば、管理情報の多様化が可能となる。
【符号の説明】
【0107】
10 紙幣処理システム
11 紙幣処理装置
12 投入部
13 リジェクト部
14 集積部
22 識別部
31 操作表示部(報知手段)
32 制御部(検知手段,制御手段)
65 表面(一方の面)
66 裏面 (他方の面)
71 ビデオカメラ(撮像手段)
72 ビデオレコーダ(記録手段)
81 上位端末装置
85 ビデオカメラ(撮像手段)
86 ビデオレコーダ(記録手段)
B(a) 紙幣ブロック
S(a) 紙幣
S(b) 仕切カード
SN シリアル番号(識別番号)
図1
図2
図3