(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-22
(45)【発行日】2023-03-30
(54)【発明の名称】廃棄物コンテナの管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/30 20230101AFI20230323BHJP
【FI】
G06Q10/30
(21)【出願番号】P 2018217368
(22)【出願日】2018-11-20
【審査請求日】2021-08-20
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年5月22日~5月25日に開催の展示会「2018NEW環境展」にて公開 Rita Technology株式会社のウェブサイトにて公開(公開日:平成30年6月12日、公開アドレス:https://ritatechnology.com/2018/06/12/lpwa%E9%80%9A%E4%BF%A1%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8A%E9%95%B7%E6%9C%9F%E9%96%93%E5%8B%95%E4%BD%9C%E3%81%99%E3%82%8B%E5%A4%9A%E6%A9%9F%E8%83%BD%E3%83%87%E3%83%90%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%81%AE%E9%96%8B/)
(73)【特許権者】
【識別番号】396006181
【氏名又は名称】ウエノテックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002608
【氏名又は名称】弁理士法人オーパス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上野 光陽
(72)【発明者】
【氏名】小野 好之
(72)【発明者】
【氏名】今宿 芳明
(72)【発明者】
【氏名】名取 則行
【審査官】原 忠
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-041447(JP,A)
【文献】特開2005-314065(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業廃棄物が集積される廃棄物コンテナを管理する管理システムであって、
管理サーバと、
前記廃棄物コンテナに設置される情報取得装置と、
前記管理サーバと通信網を介して接続される管理端末装置と、を有し、
前記管理端末装置は、前記情報取得装置とは別の装置であるタブレット端末またはノート型のパーソナルコンピュータであり、
前記情報取得装置は、前記管理端末装置と通信可能に接続される有線または近距離無線の通信インタフェースを有し、
前記情報取得装置は、前記管理端末装置から情報取得要求メッセージを受信すると、前記廃棄物コンテナの識別情報を含む情報取得応答メッセージを前記管理端末装置に送信したのち、当該廃棄物コンテナの識別情報および位置情報を周期的に取得するとともに通信網を介して前記管理サーバに周期的に送信すること(以下、「情報送信」という。)を開始し、
前記管理端末装置は、前記情報取得応答メッセージを受信すると、当該情報取得応答メッセージに含まれる前記廃棄物コンテナの識別情報を前記管理サーバに送信し、
前記管理サーバは、前記管理端末装置から前記識別情報を受信すると当該識別情報によって識別される前記廃棄物コンテナの管理を開始
し、
前記管理サーバは、地図を表示可能な表示部を有し、前記廃棄物コンテナの管理を開始すると、前記情報取得装置から受信した前記位置情報に基づいて地図上に前記廃棄物コンテナの位置を示すアイコンを配置して前記表示部に表示し、
前記情報取得応答メッセージは、前記廃棄物コンテナの識別情報および位置情報を含み、
前記管理端末装置は、前記情報取得応答メッセージに含まれる前記廃棄物コンテナの識別情報および位置情報を前記管理サーバに送信し、
前記管理サーバは、前記情報取得装置から前記位置情報を受信すると前記管理端末装置から受信した前記位置情報と比較し、これら位置情報が一致したとき、前記廃棄物コンテナの所在が正常であることを示す態様で前記アイコンを表示し、一致しないとき、前記廃棄物コンテナの所在が異常であることを示す態様で前記アイコンを表示することを特徴とする廃棄物コンテナの管理システム。
【請求項2】
前記管理サーバは、前記廃棄物コンテナの使用予定期間に関する情報を記憶しており、前記使用予定期間の終了日までの長さに応じた態様で前記アイコンを表示する、請求項
1に記載の廃棄物コンテナの管理システム。
【請求項3】
前記管理サーバは、前記廃棄物コンテナの使用者が操作する使用者端末装置から前記廃棄物コンテナの使用予定期間の問い合わせを受信すると、当該廃棄物コンテナの前記使用予定期間に関する情報を前記使用者端末装置に送信する、請求項
2に記載の廃棄物コンテナの管理システム。
【請求項4】
前記情報取得装置は、前記情報送信として前記廃棄物コンテナの識別情報、位置情報および充填度情報を周期的に取得するとともに通信網を介して前記管理サーバに周期的に送信し、
前記管理サーバは
、前記廃棄物コンテナの管理を開始すると、前記情報取得装置から受信した前記位置情報に基づいて地図上に前記廃棄物コンテナの位置を示すアイコンを配置するとともに当該アイコンを前記充填度情報に応じた態様で前記表示部に表示する、請求項1に記載の廃棄物コンテナの管理システム。
【請求項5】
前記情報取得装置は、前記情報送信を開始している状態で前記管理端末装置から前記情報取得要求メッセージを受信すると、前記情報送信を終了する、請求項1に記載の廃棄物コンテナの管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業廃棄物の回収に用いられる廃棄物コンテナを管理する管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
工場や建築現場などから排出された産業廃棄物は、廃棄物コンテナに集積されて産業廃棄物処理業者(以下、単に「処理業者」という。)に引き取られる。このような廃棄物コンテナは、産業廃棄物を排出する事業者に対して処理業者が貸し出しを行い、満杯になると事業者が電話などで処理業者に引き取りを依頼する。
【0003】
このような廃棄物の引き取りに適用可能な技術が特許文献1に開示されている。特許文献1に開示されているシステムは、廃棄物容器の収集に関するものである。特許文献1のシステムにおいて、廃棄物容器は廃棄物の充填度に関する周期情報をサーバに送信する。また、廃棄物容器は利用者により操作されるスイッチが設けられ、このスイッチが操作されると廃棄物容器を空にするのが望ましい旨の情報をサーバに送信する。サーバはこれら情報を受信すると廃棄物容器の効率的な収集を指示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
廃棄物コンテナは、例えば、工場や建築現場に設置した時点から貸出期間の管理が始まる。このような貸出期間の管理は、設置した廃棄物コンテナに付されたコンテナ管理番号を設置担当者が目視などにより確認して、処理業者の管理担当者に連絡することにより行っていた。そのため、管理方法について改善の余地があった。
【0006】
また、廃棄物コンテナは、事業者が勝手に移動したり盗難されたりすることがあり、所在が不明になってしまうことがあった。
【0007】
そこで、本発明は、廃棄物コンテナを適切に管理することができる管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の廃棄物コンテナの管理システムは、産業廃棄物が集積される廃棄物コンテナを管理する管理システムであって、管理サーバと、前記廃棄物コンテナに設置される情報取得装置と、前記管理サーバと通信網を介して接続される管理端末装置と、を有し、前記管理端末装置は、前記情報取得装置とは別の装置であるタブレット端末またはノート型のパーソナルコンピュータであり、前記情報取得装置は、前記管理端末装置と通信可能に接続される有線または近距離無線の通信インタフェースを有し、前記情報取得装置は、前記管理端末装置から情報取得要求メッセージを受信すると、前記廃棄物コンテナの識別情報を含む情報取得応答メッセージを前記管理端末装置に送信したのち、当該廃棄物コンテナの識別情報および位置情報を周期的に取得するとともに通信網を介して前記管理サーバに周期的に送信すること(以下、「情報送信」という。)を開始し、前記管理端末装置は、前記情報取得応答メッセージを受信すると、当該情報取得応答メッセージに含まれる前記廃棄物コンテナの識別情報を前記管理サーバに送信し、前記管理サーバは、前記管理端末装置から前記識別情報を受信すると当該識別情報によって識別される前記廃棄物コンテナの管理を開始することを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、管理端末装置が、廃棄物コンテナの識別情報を取得して管理サーバに送信する。そして、管理サーバが、管理端末装置から廃棄物コンテナの識別情報を受信すると当該廃棄物コンテナの管理を開始する。このようにしたことから、例えば、廃棄物コンテナの使用開始に応じて、管理端末装置によって廃棄物コンテナの識別情報の取得から管理サーバへの送信までを一貫して行うことができる。そのため、人手によるミスを効果的に抑制して、廃棄物コンテナを適切に管理することができる。
【0010】
本発明において、前記管理サーバは、地図を表示可能な表示部を有し、前記廃棄物コンテナの管理を開始すると、前記情報取得装置から受信した前記位置情報に基づいて地図上に前記廃棄物コンテナの位置を示すアイコンを配置して前記表示部に表示する。このようにすることで、廃棄物コンテナの所在を視覚的に把握することができる。
【0011】
本発明において、前記情報取得応答メッセージは、前記廃棄物コンテナの識別情報および位置情報を含み、前記管理端末装置は、前記情報取得応答メッセージに含まれる前記廃棄物コンテナの識別情報および位置情報を前記管理サーバに送信し、前記管理サーバは、前記情報取得装置から前記位置情報を受信すると前記管理端末装置から受信した前記位置情報と比較し、これら位置情報が一致したとき、前記廃棄物コンテナの所在が正常であることを示す態様で前記アイコンを表示し、一致しないとき、前記廃棄物コンテナの所在が異常であることを示す態様で前記アイコンを表示する。このようにすることで、管理端末装置から管理サーバに送信された廃棄物コンテナの位置情報を正しいものとして、情報取得装置から送信された廃棄物コンテナの位置情報の正否を判断することができる。そのため、廃棄物コンテナの所在を適切に管理することができる。
【0012】
本発明において、前記管理サーバは、前記廃棄物コンテナの使用予定期間に関する情報を記憶しており、前記使用予定期間の終了日までの長さに応じた態様で前記アイコンを表示することが好ましい。このようにすることで、廃棄物コンテナの使用予定期間のおおよその残日数や使用予定期間の超過を視覚的に把握することができる。
【0013】
本発明において、前記管理サーバは、前記廃棄物コンテナの使用者が操作する使用者端末装置から前記廃棄物コンテナの使用予定期間の問い合わせを受信すると、当該廃棄物コンテナの前記使用予定期間に関する情報を前記使用者端末装置に送信することが好ましい。このようにすることで、廃棄物コンテナの使用者において、廃棄物コンテナの使用予定期間を把握することができる。
【0014】
本発明において、前記情報取得装置は、前記情報送信として前記廃棄物コンテナの識別情報、位置情報および充填度情報を周期的に取得するとともに通信網を介して前記管理サーバに周期的に送信し、前記管理サーバは、地図を表示可能な表示部を有し、前記廃棄物コンテナの管理を開始すると、前記情報取得装置から受信した前記位置情報に基づいて地図上に前記廃棄物コンテナの位置を示すアイコンを配置するとともに当該アイコンを前記充填度情報に応じた態様で前記表示部に表示することが好ましい。このようにすることで、廃棄物コンテナを貸し出している産業廃棄物処理業者において、廃棄物コンテナへの産業廃棄物の集積情報を把握することができ、事業者からの連絡を待つことなく廃棄物コンテナの引き取りなどを行うことができる。
本発明において、前記情報取得装置は、前記情報送信を開始している状態で前記管理端末装置から前記情報取得要求メッセージを受信すると、前記情報送信を終了することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、廃棄物コンテナを適切に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係る廃棄物コンテナの管理システムの概略構成を示す図である。
【
図2】
図1の管理システムが有する情報取得装置の機能ブロック図である。
【
図3】
図1の管理システムが有する管理端末装置の機能ブロック図である。
【
図4】
図1の管理システムが有する管理サーバの機能ブロック図である。
【
図5】
図4の管理サーバで用いられる管理情報の一例を示す図である。
【
図6】
図1の管理システムの動作の一例を示すシーケンス図である。
【
図7】
図4の管理サーバの表示部に表示される地図の一例を示す図である。
【
図8】
図4の管理サーバの表示部に表示される地図の他の一例(充填率表示)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係る廃棄物コンテナの管理システムについて、
図1~
図8を参照して説明する。
【0018】
本実施形態の管理システムは、例えば、産業廃棄物を排出する事業者に廃棄物コンテナの貸し出しを行う産業廃棄物処理業者において利用され、廃棄物コンテナの所在や貸出期間(使用予定期間)を管理するものである。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係る廃棄物コンテナの管理システムの概略構成を示す図である。
図2~
図4は、
図1の管理システムが有する情報取得装置、管理端末装置および管理サーバの機能ブロック図である。
図5は、
図4の管理サーバで用いられる管理情報の一例を示す図である。
図6は、
図1の管理システムの動作の一例を示すシーケンス図である。
図7は、
図4の管理サーバの表示部に表示される地図の一例を示す図である。
図8は、
図4の管理サーバの表示部に表示される地図の他の一例(充填率表示)を示す図である。
【0020】
図1に示すように、本実施形態に係る管理システム1は、情報取得装置10と、管理端末装置20と、管理サーバ30と、を有しており、これらはインターネットなどの広域の通信網50に接続されている。
【0021】
情報取得装置10は、廃棄物コンテナ5に設置される。情報取得装置10は、例えば、
図2に示すように、プロセッサ11、メモリ12、通信モジュール13、GPSモジュール14(Global Positioning System Module)などを備えた低消費電力の組み込み用マイクロコンピュータユニットを有し、バッテリーでの長時間動作を可能としている。メモリ12は、プロセッサ11の作業領域および各種データ格納に用いられ、本実施形態では、情報取得装置10が設置される廃棄物コンテナ5を一意に識別するための識別情報Iを格納している。通信モジュール13は、通信網50が有する無線通信基地局51と通信可能に接続される。また、通信モジュール13は、有線または近距離無線の通信インタフェースを有しており、この通信インタフェースにより後述する管理端末装置20と通信可能に接続される。GPSモジュール14は、GPS衛星から信号を受信して位置情報Pを生成する。
【0022】
情報取得装置10は、通信インタフェースに接続された管理端末装置20からの要求に応じて、メモリ12から識別情報Iを取得するとともにGPSモジュール14から位置情報Pを取得して管理端末装置20に送信する。また、情報取得装置10は、識別情報Iおよび位置情報Pを所定の周期(例えば、1時間毎や1日毎など)で取得して通信網50を介して管理サーバ30に送信する。
【0023】
管理端末装置20は、タブレット端末で構成されている。管理端末装置20は、可搬性のよいノート型のパーソナルコンピュータなどで構成されていてもよい。管理端末装置20は、例えば、
図3に示すように、プロセッサ21と、プロセッサ21の作業領域として用いられるメモリ22と、プロセッサ21に実行されるプログラムやデータを格納する記憶装置23と、タッチパネル付ディスプレイ24と、を有している。また、管理端末装置20は、通信網50が有する無線通信基地局51と通信可能に接続される通信装置25を有している。この通信装置25は、有線または近距離無線の通信インタフェースも有している。
【0024】
管理端末装置20は、通信装置25の通信インタフェースにより情報取得装置10と通信可能に接続される。管理端末装置20は、廃棄物コンテナ5の管理開始に係る操作がタッチパネルに入力されると、情報取得装置10から廃棄物コンテナ5の識別情報Iおよび位置情報Pを取得して通信網50を介して管理サーバ30に送信する。
【0025】
管理サーバ30は、サーバ用コンピュータで構成されている。管理サーバ30は、例えば、
図4に示すように、プロセッサ31と、プロセッサ31の作業領域として用いられるメモリ32と、プロセッサ31に実行されるプログラムやデータを格納する記憶装置33と、各種情報を表示する表示部であるディスプレイ34と、を有している。また、管理サーバ30は、通信網50と通信可能に接続される通信装置35を有している。記憶装置33には、廃棄物コンテナ5の管理に用いられる管理情報100が格納されている。
【0026】
図5に管理情報100の一例を示す。管理情報100は、管理対象の廃棄物コンテナ5毎に情報レコードを有している。
図5において1行が1つの廃棄物コンテナ5に対応する情報レコードとなる。情報レコードは、識別子101、ステータス102、貸出期間103、マスタ所在地情報104、現所在地情報105、使用者情報106、を有している。
【0027】
識別子101は、廃棄物コンテナ5を一意に識別するための識別情報Iが設定される。
【0028】
ステータス102は、廃棄物コンテナ5の状態を示すステータス情報が設定される。ステータス情報としては、例えば、産業廃棄物処理業者の倉庫に保管されており貸出可能であることを示す「未貸出」、貸出中でかつ貸出期間内であることを示す「貸出中」、貸出中でかつ貸出期間を過ぎていることを示す「貸出期間超過」、貸出中でかつ所在地に異常が検出されたことを示す「所在確認要」、廃棄物コンテナ5が返却された直後のメンテナンス中であることを示す「メンテナンス」などがある。
【0029】
貸出期間103は、廃棄物コンテナ5が貸し出された場合、貸出期間(貸出開始日~貸出終了日)が設定される。
【0030】
マスタ所在地情報104は、管理端末装置20から受信した位置情報Pが設定される。
【0031】
現所在地情報105は、情報取得装置10から受信した最新の位置情報Pが設定される。
【0032】
使用者情報106は、廃棄物コンテナ5を借り受けた事業者(使用者)に関する情報(使用者を一意に識別する情報、例えば、会社名など)が設定される。
【0033】
管理サーバ30は、情報取得装置10や管理端末装置20から廃棄物コンテナ5に関する情報を受信すると、管理情報100を更新する。また、管理サーバ30は、
図7に示すように、管理情報100に基づき廃棄物コンテナ5の所在および状態を示すアイコン61~64を地
図60上に配置してディスプレイ34に表示する。また、管理サーバ30は、地
図60とともに現在の日付70もディスプレイ34に表示する。
【0034】
また、管理サーバ30は、廃棄物コンテナ5を借り受けた事業者が操作するタブレット端末などの使用者端末装置40から廃棄物コンテナ5の貸出期間の問い合わせを受信すると、廃棄物コンテナ5の貸出期間に関する情報(貸出期間103)を使用者端末装置40に送信する。廃棄物コンテナ5の貸出期間の問い合わせは、例えば、管理端末装置20と同様にして情報取得装置10から取得した識別情報Iや、事業者の会社名などを指定して行う。使用者端末装置40は、貸出期間の問い合わせに対する管理サーバ30からの応答に基づいて、貸出期間に関する情報を表示する。
【0035】
次に、本実施形態の管理システム1の動作の一例について、
図6を参照して説明する。
【0036】
産業廃棄物処理業者の設置担当者が産業廃棄物を排出する事業者(使用者)から廃棄物コンテナ5の貸し出しの依頼を受けると、設置担当者は事業者の指定した場所に廃棄物コンテナ5を搬入する。そして、設置担当者が廃棄物コンテナ5に情報取得装置10を設置して起動させるとともに管理端末装置20を通信装置25の通信インタフェースにより情報取得装置10に接続する。
【0037】
管理端末装置20は、設置担当者によって廃棄物コンテナ5の管理開始に係る操作がタッチパネルに入力されると(S101)、情報取得要求メッセージM1を情報取得装置10に送信する(S102)。
【0038】
情報取得装置10は、管理端末装置20からの情報取得要求メッセージM1を受信すると、廃棄物コンテナ5の識別情報Iおよび位置情報Pを取得し、これら識別情報Iおよび位置情報Pを情報取得応答メッセージM2に含めて管理端末装置20に送信する(S103)。また、情報取得装置10は、情報取得応答メッセージM2を管理端末装置20に送信したのち、動作モードを「待機モード」から「情報取得モード」に遷移して、管理サーバ30への情報送信を開始する(S104)。この情報送信では、情報取得装置10は、例えば、1日毎など周期的に識別情報Iおよび位置情報Pを取得し、これら識別情報Iおよび位置情報Pを位置情報通知メッセージM4に含めて管理サーバ30に周期的に送信する(S107)。
【0039】
管理端末装置20は、情報取得装置10からの情報取得応答メッセージM2を受信すると、これに含まれる識別情報Iおよび位置情報Pを管理開始要求メッセージM3に含めて管理サーバ30に送信する(S105)。
【0040】
管理サーバ30は、管理端末装置20からの管理開始要求メッセージM3を受信すると、廃棄物コンテナ5の管理を開始する(S106)。具体的には、管理サーバ30は、管理情報100の中から管理開始要求メッセージM3に含まれる識別情報Iが識別子101に設定されている情報レコードを特定する。そして、管理サーバ30は、特定した情報レコードのステータス102を「貸出中」に更新し、マスタ所在地情報104に管理開始要求メッセージM3に含まれる位置情報Pを設定する。また、管理サーバ30は、記憶装置33に識別情報Iと関連付けられて別途記憶されている契約情報などから廃棄物コンテナ5を貸し出した事業者の会社名および貸出期間を取得して、特定した情報レコードの使用者情報106および貸出期間103に設定する。さらに、管理サーバ30は、管理情報100のマスタ所在地情報104に基づいて地
図60上に廃棄物コンテナ5の位置を示すアイコンを配置して、ディスプレイ34に表示する。
【0041】
また、管理サーバ30は、情報取得装置10からの位置情報通知メッセージM4を受信すると、廃棄物コンテナ5の情報を更新する(S108)。具体的には、管理サーバ30は、管理情報100の中から位置情報通知メッセージM4に含まれる識別情報Iが識別子101に設定されている情報レコードを特定する。そして、管理サーバ30は、特定した情報レコードの現所在地情報105に位置情報通知メッセージM4に含まれる位置情報Pを設定する。さらに、管理サーバ30は、管理情報100の現所在地情報105に基づいて地
図60上に廃棄物コンテナ5の位置を示すアイコンを配置して、ディスプレイ34に表示する。
【0042】
管理サーバ30は、地
図60上に配置するアイコンについて、廃棄物コンテナ5の所在および状態に応じた態様で表示する。
【0043】
具体的には、管理サーバ30は、廃棄物コンテナ5の貸出期間(使用予定期間)の終了日までの長さに応じた態様でアイコンを表示する。例えば、本日から貸出期間の終了日まで1月以上あるときには、青色でかつ円形のアイコン62を表示する。本日から貸出期間の終了日まで1月を切ったときには、黄色でかつ円形のアイコン61を表示する。本日が貸出期間の終了日を超えているときには、赤色でかつ円形のアイコン63を表示し、ステータス102に「貸出期間超過」を設定する。
【0044】
また、管理サーバ30は、現所在地情報105をマスタ所在地情報104と比較し、これらが一致したとき、廃棄物コンテナの所在が正常であることを示す態様でアイコンを表示し、一致しないとき、廃棄物コンテナの所在が異常であることを示す態様でアイコンを表示する。例えば、現所在地情報105とマスタ所在地情報104とが一致したとき、円形のアイコン61~63を表示し、一致しないとき、菱形のアイコン64を表示する。なお、現所在地情報105とマスタ所在地情報104とが所定の許容誤差(例えば、数メートル~数十メートルなど)内でずれている場合も「一致した」ものとしている。
【0045】
そして、廃棄物コンテナ5を貸し出した事業者から引き取りの依頼を受けると、設置担当者は廃棄物コンテナ5の所在地に引き取りに向かう。そして、設置担当者が管理端末装置20を通信装置25の通信インタフェースにより情報取得装置10に接続する。
【0046】
管理端末装置20は、設置担当者によって廃棄物コンテナ5の管理終了に係る操作がタッチパネルに入力されると(S109)、情報取得要求メッセージM1を情報取得装置10に送信する(S110)。
【0047】
情報取得装置10は、管理端末装置20からの情報取得要求メッセージM1を受信すると、廃棄物コンテナ5の識別情報Iおよび位置情報Pを取得し、これら識別情報Iおよび位置情報Pを情報取得応答メッセージM2に含めて管理端末装置20に送信する(S111)。また、情報取得装置10は、管理サーバ30への周期的な情報送信を開始している状態(S104)で(すなわち、動作モードが「情報取得モード」のとき)上記情報取得要求メッセージM1を受信すると、管理サーバ30への情報送信を終了し、動作モードを「情報取得モード」から「待機モード」に遷移する(S112)。
【0048】
管理端末装置20は、情報取得装置10からの情報取得応答メッセージM2を受信すると、これに含まれる識別情報Iを管理終了要求メッセージM5に含めて管理サーバ30に送信する(S113)。
【0049】
管理サーバ30は、管理端末装置20からの管理終了要求メッセージM5を受信すると、廃棄物コンテナ5の管理を終了する(S114)。具体的には、管理サーバ30は、管理情報100の中から管理終了要求メッセージM5に含まれる識別情報Iが識別子101に設定されている情報レコードを特定する。そして、管理サーバ30は、特定した情報レコードのステータス102を「メンテナンス」に更新し、マスタ所在地情報104、現所在地情報105および使用者情報106に初期値を設定してリセットする。また、管理サーバ30は、特定した情報レコードに対応する廃棄物コンテナ5の位置を示すアイコンを地
図60上から消去する。
【0050】
以上より、本実施形態の管理システム1によれば、管理端末装置20が、廃棄物コンテナ5の識別情報Iを取得して管理サーバ30に送信する。そして、管理サーバ30が、管理端末装置20から廃棄物コンテナ5の識別情報Iを受信すると当該廃棄物コンテナ5の管理を開始する。このようにしたことから、例えば、廃棄物コンテナ5の使用開始に応じて、管理端末装置20によって廃棄物コンテナ5の識別情報Iの取得から管理サーバ30への送信までを一貫して行うことができる。そのため、人手によるミスを効果的に抑制して、廃棄物コンテナ5を適切に管理することができる。
【0051】
また、管理サーバ30は、地
図60を表示可能なディスプレイ34を有している。そして、管理サーバ30は、廃棄物コンテナ5の管理を開始すると、情報取得装置10から受信した位置情報Pである現所在地情報105に基づいて地
図60上に廃棄物コンテナ5の位置を示すアイコンを配置してディスプレイ34に表示する。このようにすることで、廃棄物コンテナ5の所在を視覚的に把握することができる。
【0052】
また、管理端末装置20は、廃棄物コンテナ5の識別情報Iおよび位置情報Pを取得して管理サーバ30に送信する。管理サーバ30は、情報取得装置10から位置情報Pを受信すると管理情報100の現所在地情報105に設定して管理端末装置20から受信した位置情報Pが設定されたマスタ所在地情報104と比較する。そして、管理サーバ30は、これらが一致したとき、廃棄物コンテナ5の所在が正常であることを示す円形のアイコンを表示し、一致しないとき、廃棄物コンテナ5の所在が異常であることを示す菱形のアイコンを表示する。このようにすることで、管理端末装置20から管理サーバ30に送信された廃棄物コンテナ5の位置情報Pを正しいものとして、情報取得装置10から送信された廃棄物コンテナ5の位置情報Pの正否を判断することができる。そのため、廃棄物コンテナ5の所在を適切に管理することができる。
【0053】
また、管理サーバ30は、廃棄物コンテナ5の貸出期間に関する情報を記憶しており、貸出期間の終了日までの長さに応じた色でアイコンを表示する。このようにすることで、廃棄物コンテナ5の貸出期間のおおよその残日数または貸出期間の超過を視覚的に把握することができる。
【0054】
また、管理サーバ30は、廃棄物コンテナ5を借り受けた事業者が操作する使用者端末装置40から廃棄物コンテナ5の貸出期間の問い合わせを受信すると、当該廃棄物コンテナ5の貸出期間に関する情報を使用者端末装置40に送信する。このようにすることで、廃棄物コンテナ5を借り受けた事業者において、廃棄物コンテナ5の貸出期間を容易に把握することができる。
【0055】
上述した実施形態において、管理端末装置20は、通信インタフェースにより情報取得装置10と接続され、情報取得装置10から識別情報Iおよび位置情報Pを取得する構成であったが、これに限定されるものではない。例えば、管理端末装置20は、カメラ機能を備え、廃棄物コンテナ5に貼付された識別情報バーコードをカメラで読み取ることにより、廃棄物コンテナ5の識別情報Iを取得するようにしてもよい。また、管理端末装置20は、GPSモジュールを備え、廃棄物コンテナ5が搬入された場所において自身のGPSモジュールにより取得した位置情報を、廃棄物コンテナ5の位置情報Pとして取得してもよい。
【0056】
また、上述した実施形態において、情報取得装置10は、例えば、カメラで撮影した画像を解析したり、レーザー距離計などのセンサを用いて底面からの距離を計測したりして廃棄物コンテナ5の充填度情報を取得して、識別情報Iとともに通信網50を介して管理サーバ30に送信するようにしてもよい。充填度情報とは、廃棄物コンテナの満量に対する集積されている廃棄物の量の度合いを示す情報(例えば充填率)である。つまり、情報取得装置10に廃棄物コンテナ5の充填率を検出するセンサを設け、位置情報通知メッセージM4に充填率を示す充填度情報も含めて管理サーバ30に送信する。そして、管理サーバ30において、充填率(充填度情報)に応じた態様(色や形、数値など)で廃棄物コンテナ5の所在を示すアイコンを表示する。例えば、充填率が50%未満のときには、白色のアイコンを表示する。充填率が50%以上70%未満のときには、黄色のアイコンを表示する。充填率が70%以上のときには、赤色のアイコンを表示する。または、アイコンの近傍に充填率を示す数値を添えて表示するようにしてもよい。このような数値を添えた表示態様も、充填度情報に応じたアイコンの表示態様に含む。
図8に、上述した実施形態において廃棄物コンテナ5の充填率を数値で表示する一例を示す。このようにすることで、廃棄物コンテナ5を貸し出している産業廃棄物処理業者において、廃棄物コンテナ5への産業廃棄物の集積状態を把握することができ、事業者からの連絡を待つことなく廃棄物コンテナ5の引き取りなどを行うことができる。
【0057】
上記に本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態の構成に限定されない。前述の実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、実施形態の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の趣旨を逸脱しない限り、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0058】
1…管理システム、10…情報取得装置、11…プロセッサ、12…メモリ、13…通信モジュール、14…GPSモジュール、20…管理端末装置、21…プロセッサ、22…メモリ、23…記憶装置、24…タッチパネル付ディスプレイ、25…通信装置、30…管理サーバ、31…プロセッサ、32…メモリ、33…記憶装置、34…ディスプレイ、35…通信装置、40…使用者端末装置、50…通信網、51…無線通信基地局、60…地図、61~64…アイコン、70…現在の日付、I…識別情報、P…位置情報、M1…情報取得要求メッセージ、M2…情報取得応答メッセージ、M3…管理開始要求メッセージ、M4…位置情報通知メッセージ、M5…管理終了要求メッセージ