(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-22
(45)【発行日】2023-03-30
(54)【発明の名称】髪拭きタオル
(51)【国際特許分類】
A47K 10/02 20060101AFI20230323BHJP
【FI】
A47K10/02 Z
A47K10/02 C
(21)【出願番号】P 2019077381
(22)【出願日】2019-04-15
【審査請求日】2022-04-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000196129
【氏名又は名称】西川株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】東海林 由佳
(72)【発明者】
【氏名】折笠 舞
(72)【発明者】
【氏名】大阪 泰代
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-25942(JP,A)
【文献】特開2004-305616(JP,A)
【文献】実開昭54-139768(JP,U)
【文献】登録実用新案第3124601(JP,U)
【文献】実開平3-22081(JP,U)
【文献】実開平7-2484(JP,U)
【文献】実開昭59-185285(JP,U)
【文献】特開2010-222760(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 10/02
D03D 1/00-27/18
D03D 21/00-21/20
A41B 15/00-15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と、前記第1面の反対側を向く第2面とを有する髪拭きタオルであって、
前記第1面は、前記第1面の面外方向に突出する複数の糸によって形成された線状の複数の第1パイル部を有し、
前記第2面は、前記第2面の面外方向に突出する複数の糸によって形成された線状の複数の第2パイル部を有し、
前記複数の第1パイル部は、前記第1面においてストライプ状とされており、
前記複数の第2パイル部は、前記第2面においてストライプ状とされており、
前記第1パイル部の幅は、前記第2パイル部の幅よりも広く、
前記第1パイル部を形成する複数の糸のそれぞれの突出長さは、前記第2パイル部を形成する複数の糸のそれぞれの突出長さよりも長い、
髪拭きタオル。
【請求項2】
前記髪拭きタオルの中央を含む中央部と、
前記中央部の両端のそれぞれに設けられる端部と、
を備え、
前記中央部及び前記端部は、前記髪拭きタオルの長手方向に沿って並んでおり、
前記中央部及び前記端部のそれぞれは、前記第1面及び前記第2面を有し、
各前記端部の前記第1パイル部の幅は、前記中央部の前記第1パイル部の幅よりも広い、
請求項1に記載の髪拭きタオル。
【請求項3】
前記髪拭きタオルの中央を含む中央部と、
前記中央部の両端のそれぞれに設けられる端部と、
を備え、
前記中央部及び前記端部は、前記髪拭きタオルの長手方向に沿って並んでおり、
前記中央部及び前記端部のそれぞれは、前記第1面及び前記第2面を有し、
前記中央部の前記複数の第1パイル部は、前記中央を通ると共に前記髪拭きタオルの幅方向に延びる基準線に対して対称となるように配置されており、
前記中央部の前記複数の第1パイル部は、前記長手方向及び前記幅方向の双方に対して傾斜する方向に延在している、
請求項1又は2に記載の髪拭きタオル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、使用者の髪の毛を拭く髪拭きタオルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、女性等の長髪の使用者の髪の毛を拭くための髪拭きタオルとしては種々のものが知られている。特開2016-43223号公報には、髪用タオルが記載されている。髪用タオルは、平坦状のタオルと、タオルの表面に結び目を介して結ばれた複数の糸とを備える。
【0003】
複数の糸はタオルの表面において一定間隔毎に設けられており、複数の糸のそれぞれはタオルの表面から突出している。複数の糸のそれぞれ及び結び目は、タオルの表面から突出する突起状とされている。この髪用タオルで髪を拭くと突起状とされた結び目と糸とが髪の奥まで入り込み、髪の奥まで入り込んだ突起状の結び目と糸により、髪の根元及び頭皮上の水分の吸水性の向上を図っている。
【0004】
特開2011-30996号公報には、ヘアドライタオルが記載されている。ヘアドライタオルは、使用者の頭頂部から毛先に延びるように巻き付けられる。このヘアドライタオルは、使用者の頭部に載せられる中央部と、中央部の両端側のそれぞれに位置する毛先巻き付け部とを備える。
【0005】
中央部及び毛先巻き付け部は、ヘアドライタオルの長手方向に並んでいる。中央部の幅は毛先巻き付け部よりも太く、毛先巻き付け部の太さは中央部から離れるにつれて太くなっている。よって、毛先巻き付け部と中央部との境目部分が細くなっているので、毛先に毛先巻き付け部を巻き付けやすい形状とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-43223号公報
【文献】特開2011-30996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述した髪拭きタオルは、タオルの表面に複数の糸が突起状に配置されており、突起状とされた部分で使用者の髪の水分が拭き取られる。しかしながら、この髪拭きタオルでは、突起状の複数の糸が設けられているだけであるため、吸水性の点で改善の余地がある。また、タオルの突起状の複数の糸が配置された表面の反対側の裏面は平坦状とされている。よって、平坦状の裏面に指を当てて髪を拭くことになるので、髪を拭いているときに当該裏面から指がずれて拭きにくいことがある。従って、髪の拭きやすさの点でも改善の余地がある。
【0008】
前述したヘアドライタオルは、螺旋状に使用者の髪に巻き付けることが可能である。しかしながら、このヘアドライタオルは、平坦状とされているため、前述した髪拭きタオルと同様、吸水性及び髪の拭きやすさの点で改善の余地がある。髪拭きタオルの吸水性が低い場合、髪を拭いているときに髪のキューティクルが剥がれやすくなる可能性がある。また、特に長髪の使用者の髪を拭くときには、髪のボリュームが多いため、ボリュームが多い髪を効率よく拭くことが求められる。従って、髪拭きタオルにおいては、高い吸水性を備えると共に拭きやすいことが求められる。
【0009】
本開示は、吸水性を高めることができると共に髪を拭きやすくすることができる髪拭きタオルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示に係る髪拭きタオルは、第1面と、第1面の反対側を向く第2面とを有する髪拭きタオルであって、第1面は、第1面の面外方向に突出する複数の糸によって形成された線状の複数の第1パイル部を有し、第2面は、第2面の面外方向に突出する複数の糸によって形成された線状の複数の第2パイル部を有し、複数の第1パイル部は、第1面においてストライプ状とされており、複数の第2パイル部は、第2面においてストライプ状とされており、第1パイル部の幅は、第2パイル部の幅よりも広く、第1パイル部を形成する複数の糸のそれぞれの突出長さは、第2パイル部を形成する複数の糸のそれぞれの突出長さよりも長い。
【0011】
この髪拭きタオルは、第1面と、第1面の反対側を向く第2面とを有し、第1面及び第2面のそれぞれには線状とされた複数の第1パイル部、及び複数の第2パイル部のそれぞれが形成されている。第1パイル部及び第2パイル部のそれぞれは、第1面及び第2面のそれぞれにおいてストライプ状とされている。従って、2つの第1パイル部の間にパイル部が存在しない部分が設けられ、2つの第2パイル部の間にもパイル部が存在しない部分が設けられる。従って、第1面及び第2面のそれぞれにおいて、パイル部が存在しない凹状とされた部分もストライプ状に形成される。よって、2つのパイル部の間において凹状とされたパイル部が存在しない部分に指を入れて髪を拭くことにより、ストライプ状とされたパイル部の間に指が入り込んだ状態で髪を拭くことができるので、髪を拭いているときに指をずれにくくすることができる。従って、髪を拭きやすくすることができる。また、線状とされた第1パイル部の幅は、線状とされた第2パイル部の幅よりも広く、且つ第1パイル部を構成する糸の突出長さは第2パイル部を構成する糸の突出長さよりも長い。従って、第1パイル部を髪に当てて第2パイル部を指で押さえて髪を拭くことにより、第2パイル部よりもボリュームが多い第1パイル部で髪を拭くことができるので、吸水性を高めることができる。また、2つの第2パイル部の間のパイル部が存在しない部分に指を入れて第1面を髪に当て、第1面の第1パイル部で髪を拭くことにより、吸水性を高めつつ拭きやすい髪拭きタオルとすることができる。
【0012】
前述した髪拭きタオルは、髪拭きタオルの中央を含む中央部と、中央部の両端のそれぞれに設けられる端部と、を備え、中央部及び端部は、髪拭きタオルの長手方向に沿って並んでおり、中央部及び端部のそれぞれは、第1面及び第2面を有し、各端部の第1パイル部の幅は、中央部の第1パイル部の幅よりも広くてもよい。この場合、中央部の第1パイル部の幅と比較して、端部の第1パイル部の幅の方が広い。また、この髪拭きタオルでは、中央部を頭頂部に載せて中央部の第1パイル部で頭頂部の髪を拭きつつ、端部の第1パイル部で毛先を拭くことができる。そして、毛先に位置する端部の第1パイル部が頭頂部に位置する中央部の第1パイル部より幅広であることにより、端部の第1パイル部の方が糸のボリュームが多いので、端部の第1パイル部で毛先を握ることによって毛先の水分をより確実に且つ効率よく吸水することができる。従って、水分が残りやすい毛先を端部の第1パイル部で確実且つ効率よく吸水できるので、より拭きやすく且つ吸水性が高い髪拭きタオルとすることができる。
【0013】
前述した髪拭きタオルは、髪拭きタオルの中央を含む中央部と、中央部の両端のそれぞれに設けられる端部と、を備え、中央部及び端部は、髪拭きタオルの長手方向に沿って並んでおり、中央部及び端部のそれぞれは、第1面及び第2面を有し、中央部の複数の第1パイル部は、中央を通ると共に髪拭きタオルの幅方向に延びる基準線に対して対称となるように配置されており、中央部の複数の第1パイル部は、長手方向及び幅方向の双方に対して傾斜する方向に延在していてもよい。この場合、中央部を頭頂部に載せて中央部の第1パイル部で髪を拭くときに、ストライプ状とされた第1パイル部、及び第1パイル部の反対側に位置する第2パイル部のそれぞれは、髪が延びる方向に交差する方向に延在する。従って、ストライプ状とされた第2パイル部の間に指を入れて髪を拭くときに髪が延びる方向に髪拭きタオルを移動させやすく且つ指をずれにくくすることができる。その結果、頭頂部から延びる髪を効率よく拭くことができるので、一層髪を拭きやすい髪拭きタオルとすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、吸水性を高めることができると共に髪を拭きやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、実施形態に係る髪拭きタオルの中央部の第1面、及び各端部の第2面を示す平面図である。
【
図2】
図2は、
図1の髪拭きタオルの中央部の第2面、及び各端部の第1面を示す平面図である。
【
図3】
図3(a)、
図3(b)、
図3(c)及び
図3(d)は、それぞれ、髪拭きタオルの中央部の第1パイル部、当該中央部の第2パイル部、髪拭きタオルの端部の第1パイル部、及び当該端部の第2パイル部を示す模式的な平面図と側面図である。
【
図4】
図4は、
図1の髪拭きタオルによって髪の毛を拭く方法の例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施例に係る髪拭きタオルの実験装置を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、図面を参照しながら本開示に係る髪拭きタオルの実施形態について説明する。図面の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解の容易のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0017】
図1は、本実施形態に係る髪拭きタオル1を示す平面図である。
図2は、
図1の反対側から髪拭きタオル1を見た平面図である。
図1及び
図2に示されるように、髪拭きタオル1は、長方形状とされており、長手方向D1に延びる一対の長辺2と、幅方向D2に延びる一対の短辺3とを有する。各長辺2の長さL1は、例えば、70cm以上且つ120cm以下であり、各短辺3の長さ(髪拭きタオル1の幅W1)は、30cm以上且つ40cm以下である。但し、長さL1及び幅W1の値は適宜変更可能である。
【0018】
髪拭きタオル1は、中央部10と、中央部10の長手方向D1の両端のそれぞれに位置する端部20とを有する。一対の端部20のうちの一方、中央部10、及び一対の端部20のうちの他方は、この順で長手方向D1に沿って並んでいる。一対の端部20は、例えば、髪拭きタオル1の中央Cを通り且つ幅方向D2に延びる基準線Aに対して対称とされている。
【0019】
中央部10及び端部20のそれぞれは、例えば、長方形状とされている。一例として、中央部10の長手方向D1の長さL2は35cm以上且つ45cm以下であり、各端部20の長手方向D1の長さL3は15cm以上且つ45cm以下である。但し、長さL2及び長さL3の値は適宜変更可能である。
【0020】
中央部10及び端部20のそれぞれは、第1面31と、第1面31の反対側を向く第2面32とを有する。例えば、第1面31は使用者M(
図4参照)の髪M1を拭く髪拭き面に相当し、第2面32は使用者Mの指M2が当てられる指当て面に相当する。髪拭きタオル1の一方側の面(
図1に示される面)には、一方の端部20の第2面32、中央部10の第1面31、及び他方の端部20の第2面32がこの順で長手方向D1に沿って並んでいる。髪拭きタオル1の他方側の面(
図2に示される面)には、一方の端部20の第1面31、中央部10の第2面32、及び他方の端部20の第1面31がこの順で長手方向D1に沿って並んでいる。
【0021】
中央部10の第1面31には線状に延びる複数の第1パイル部41が形成されており、中央部10の第2面32には線状に延びる複数の第2パイル部42が形成されている。本明細書において「パイル部」とは、布地から輪状に突出する複数の糸の集合体を示している。第1パイル部41及び第2パイル部42は、共にストライプ状とされている。第1パイル部41の幅W3は第2パイル部42の幅W4よりも広い。
【0022】
複数の第1パイル部41及び複数の第2パイル部42は、例えば、基準線Aに対して対称となるように配置されている。また、第1パイル部41及び第2パイル部42のそれぞれは、長手方向D1及び幅方向D2の双方に対して傾斜する方向に延びている。長手方向D1に対する第1パイル部41の延在方向の角度は、例えば、30°以上且つ60°以下(一例として45°)であり、長手方向D1に対する第2パイル部42の延在方向の角度も例えば同様である。
【0023】
中央部10の複数の第1パイル部41は、例えば、一対の長辺2の一方の辺2aから中央部10と端部20との境界部Bに延びている。辺2aは、長手方向D1の両端側に斜めに延び出す各第1パイル部41(第2パイル部42)の始点が位置する辺である。また、複数の第1パイル部41は、互いに平行に延びていてもよい。
【0024】
基準線Aから見て一方側に位置する複数の第1パイル部41と、基準線Aから見て他方側に位置する複数の第1パイル部41とは互いに対称とされている。また、一対の第1パイル部41の間に位置する基準線Aの部分は、パイル部が存在しない平坦部(凹部)とされている。
【0025】
中央部10の複数の第2パイル部42は、上記の第1パイル部41と同様、一方の辺2aから境界部Bに延びており、複数の第2パイル部42は互いに平行に延びていてもよい。基準線Aから見て一方側に位置する複数の第2パイル部42と、基準線Aから見て他方側に位置する複数の第2パイル部42とは互いに対称とされている。一対の第2パイル部42の間に位置する基準線Aの部分は、各第2パイル部42に連続するパイル部とされており、パイル部が存在しない部分43に対して突出している。
【0026】
前述したように、一対の端部20は、例えば、基準線Aに対して互いに対称とされている。端部20の第1面31には、線状に延びる複数の第1パイル部51が形成されており、端部20の第2面32には、線状に延びる複数の第2パイル部52が形成されている。各第1パイル部51は各第2パイル部42に交差する方向に延びており、例えば、第1パイル部51と第2パイル部42との成す角の角度は60°以上且つ120°以下(一例として90°)であってもよい。
【0027】
各第2パイル部52は各第1パイル部41に交差する方向に延びており、例えば、各第2パイル部52と各第1パイル部41との成す角の角度は60°以上且つ120°以下(一例として90°)であってもよい。第1パイル部51及び第2パイル部52は、共にストライプ状とされている。第1パイル部51の幅W5は第2パイル部52の幅W6よりも広い。
【0028】
複数の第1パイル部51及び複数の第2パイル部52は、例えば、基準線Aに対して互いに対称となるように配置されている。第1パイル部51及び第2パイル部52のそれぞれは、長手方向D1及び幅方向D2の双方に対して傾斜する方向に延びている。長手方向D1に対する第1パイル部51の角度は、例えば、30°以上且つ60°以下(一例として45°)であり、長手方向D1に対する第2パイル部52の角度も例えば同様である。
【0029】
各端部20の複数の第1パイル部51は、例えば、一対の長辺2のうち他方の辺2b、及び境界部Bのいずれかから各短辺3に延びている。辺2bは、長手方向D1の両端側に斜めに延び出す各第1パイル部51(第2パイル部52)の始点が位置する辺である。また、複数の第1パイル部51は、互いに平行に延びていてもよい。長手方向D1の一方側に位置する複数の第1パイル部51と、長手方向D1の他方側に位置する複数の第1パイル部51とは互いに対称とされている。また、各第1パイル部51が繋がる境界部Bの部分は、各第1パイル部51に連続するパイル部とされている。
【0030】
端部20の複数の第2パイル部52は、第1パイル部51と同様、他方の辺2b及び境界部Bのいずれかから各短辺3に延びており、複数の第2パイル部52が互いに平行に延びていてもよい。長手方向D1の一方側に位置する複数の第2パイル部52と、長手方向D1の他方側に位置する複数の第2パイル部52とは互いに対称とされている。そして、各第2パイル部52が繋がる境界部Bの部分は、パイル部が存在しない平坦部(凹部)とされている。
【0031】
図3(a)、
図3(b)、
図3(c)及び
図3(d)は、それぞれ、中央部10の第1面31の第1パイル部41、中央部10の第2面32の第2パイル部42、端部20の第1面31の第1パイル部51、及び端部20の第2面32の第2パイル部52を示す図である。
【0032】
図1、
図2及び
図3(a)~
図3(d)に示されるように、中央部10の第1パイル部41、中央部10の第2パイル部42、端部20の第1パイル部51、及び端部20の第2パイル部52を比較すると、幅に関しては、第1パイル部51の幅W5が最も広く、第1パイル部41の幅W3が次に広く、第2パイル部52の幅W6が3番目に広く、第2パイル部42の幅W4が最も狭い。
【0033】
中央部10の第1パイル部41を形成する複数の糸T1のそれぞれの突出長さは、中央部10の第2パイル部42を形成する複数の糸T2のそれぞれの突出長さよりも長い。端部20の第1パイル部51を形成する複数の糸T3のそれぞれの突出長さは、端部20の第2パイル部52を形成する複数の糸T4のそれぞれの突出長さよりも長い。糸T1及び糸T3のそれぞれは、中央部10及び端部20のそれぞれの第1面31から面外方向に突出する。糸T2及び糸T4のそれぞれは、中央部10及び端部20のそれぞれの第2面32から面外方向に突出している。
【0034】
また、各糸T1の長さと各糸T3の長さとは互いに同一であってもよいし互いに異なっていてもよい。各糸T2の長さと各糸T4の長さについても、互いに同一であってもよいし互いに異なっていてもよい。糸T1、糸T2、糸T3及び糸T4は、例えば、綿又はコットンによって構成されている。
【0035】
以上のように構成された髪拭きタオル1を用いて使用者Mの髪M1を拭く方法の例について
図1、
図2及び
図4を参照しながら説明する。なお、後述する髪M1を拭く方法は、一例であって、下記の方法に限られず適宜変更可能である。まず、
図1に示される髪拭きタオル1の面を下に向けて
図2に示される髪拭きタオル1の面を上に向けて、基準線Aの位置を使用者Mの頭頂部の中央に合わせつつ、使用者Mの頭の上に髪拭きタオル1を載せる。このとき、辺2aが使用者Mの前側、辺2bが使用者Mの後側に向くように髪拭きタオル1を載せる。
【0036】
上記のように使用者Mの頭に髪拭きタオル1を載せると、中央部10の第1パイル部41が使用者Mの頭部に載せられる。そして、中央部10の第2パイル部42を指M2で押さえて使用者Mの頭頂部の髪M1を第1パイル部41によって拭くことが可能となる。このとき、2本の第2パイル部42の間に形成されたパイル部が存在しない部分43に指M2を入れることによって、拭いているときに指M2をずれにくくすることが可能となる。
【0037】
また、辺2aを前に向けて髪拭きタオル1を使用者Mの頭部に載せることにより、各第2パイル部42(パイル部が存在しない部分43)が頭部の中央から離れる方向に延びるので、指M2をパイル部が存在しない部分43に入れて髪M1を拭きやすくすることが可能である。更に、使用者Mの側頭部では第2パイル部42(パイル部が存在しない部分43)が水平方向に近い方向に延びるので、使用者Mの側頭部の髪を拭きやすくすることも可能である。
【0038】
使用者Mの頭頂部及び側頭部の髪M1を拭いた後には、例えば、髪拭きタオル1を使用者Mの肩の辺りに下ろして、髪拭きタオル1の各端部20の第1パイル部51を髪M1の毛先に当てて毛先を端部20で包み、端部20を絞って毛先の水分を第1パイル部51で吸水する。このとき、中央部10の第2パイル部42の隣接位置に端部20の第1パイル部51が設けられるので、髪拭きタオル1を裏返す必要なくそのまま第1パイル部51を毛先に当てることが可能となる。
【0039】
第1パイル部51は、第2パイル部52と比較して、幅W5が広く且つ糸T3が長いので、第1パイル部51を毛先に当てることによって毛先の水分をより効果的に吸水することが可能である。以上のように、毛先の水分を吸水した後に、例えばドライヤーで髪M1を乾かして髪M1を拭く一連の工程を終了する。
【0040】
次に、本実施形態に係る髪拭きタオル1から得られる作用効果について説明する。髪拭きタオル1は、第1面31と、第1面31の反対側を向く第2面32とを有し、第1面31及び第2面32のそれぞれには線状とされた複数の第1パイル部41、及び複数の第2パイル部42のそれぞれが形成されている。第1パイル部41及び第2パイル部42のそれぞれは、第1面31及び第2面32のそれぞれにおいてストライプ状とされている。従って、2つの第1パイル部41の間にパイル部が存在しない部分が設けられ、2つの第2パイル部42の間にもパイル部が存在しない部分が設けられる。
【0041】
従って、第1面31及び第2面32のそれぞれにおいて、パイル部が存在しない凹状とされた部分もストライプ状に形成される。よって、2つのパイル部の間において凹状とされたパイル部が存在しない部分に指M2を入れて髪M1を拭くことにより、ストライプ状とされたパイル部の間に指M2が入り込んだ状態で髪M1を拭くことができるので、髪M1を拭いているときに指M2をずれにくくすることができる。従って、髪M1を吹きやすくすることができる。
【0042】
また、線状とされた第1パイル部41の幅W3は、線状とされた第2パイル部42の幅W4よりも広く、且つ第1パイル部41を構成する糸T1の突出長さは第2パイル部42を構成する糸T2の突出長さよりも長い。従って、第1パイル部41を髪M1に当てて第2パイル部42を指M2で押さえて髪M1を拭くことにより、第2パイル部42よりもボリュームが多い第1パイル部41で髪M1を拭くことができるので、吸水性を高めることができる。
【0043】
従って、2つの第2パイル部42の間のパイル部が存在しない部分43に指M2を入れて第1面31を髪M1に当て、第1面31の第1パイル部41で髪M1を拭くことにより、吸水性を高めつつ吹きやすい髪拭きタオル1とすることができる。なお、第1パイル部51及び第2パイル部52についても、第1パイル部41及び第2パイル部42と同様の作用効果が得られる。
【0044】
本実施形態に係る髪拭きタオル1は、髪拭きタオル1の中央Cを含む中央部10と、中央部10の両端のそれぞれに設けられる端部20と、を備え、中央部10及び端部20は、髪拭きタオル1の長手方向D1に沿って並んでおり、中央部10及び端部20のそれぞれは、第1面31及び第2面32を有し、各端部20の第1パイル部51の幅W5は、中央部10の第1パイル部41の幅W3よりも広い。すなわち、中央部10の第1パイル部41と比較して、端部20の第1パイル部51の幅W5の方が広い。
【0045】
また、髪拭きタオル1では、中央部10を頭頂部に載せて中央部10の第1パイル部41で頭頂部の髪M1を拭きつつ、端部20の第1パイル部51で毛先を拭くことができる。そして、毛先に位置する端部20の第1パイル部51が頭頂部に位置する中央部10の第1パイル部41よりも幅広であることにより、端部20の第1パイル部51の方が糸T3のボリュームが多いので、端部20の第1パイル部51で毛先を握ることによって毛先の水分をより確実に且つ効率よく吸水することができる。従って、水分が残りやすい毛先を端部20の第1パイル部51で確実且つ効率よく吸水できるので、より拭きやすく且つ吸水性が高い髪拭きタオル1とすることができる。
【0046】
髪拭きタオル1は、髪拭きタオル1の中央Cを含む中央部10と、中央部10の両端のそれぞれに設けられる端部20と、を備え、中央部10及び端部20は、髪拭きタオル1の長手方向D1に沿って並んでおり、中央部10及び端部20のそれぞれは、第1面31及び第2面32を有し、中央部10の複数の第1パイル部41は、中央Cを通ると共に髪拭きタオル1の幅方向D2に延びる基準線Aに対して対称となるように配置されており、中央部10の複数の第1パイル部41は、長手方向D1及び幅方向D2の双方に対して傾斜する方向に延在している。
【0047】
よって、中央部10を頭頂部に載せて中央部10の第1パイル部41で髪M1を拭くときに、ストライプ状とされた第1パイル部41、及び第1パイル部41の反対側に位置する第2パイル部42のそれぞれは、髪M1が延びる方向(例えば鉛直方向)に交差する方向(例えば水平方向)に延在する。従って、ストライプ状とされた第2パイル部42の間の部分43に指M2を入れて髪M1を拭くときに髪M1が延びる方向に髪拭きタオル1を移動させやすく且つ指M2をずれにくくすることができる。その結果、頭頂部から延びる髪M1を効率よく拭くことができるので、一層髪M1を拭きやすい髪拭きタオル1とすることができる。
【0048】
以上、本開示に係る髪拭きタオルの実施形態について説明した。しかしながら、本発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲において変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。すなわち、本開示に係る髪拭きタオルの各部の形状、大きさ、材料、数及び配置態様は前述の実施形態のものに限られず適宜変更可能である。
【0049】
例えば、前述の実施形態では、一方側の面(
図1に示される面)に、一方の端部20の第2面32、中央部10の第1面31、及び他方の端部20の第2面32がこの順で並び、他方側の面(
図2に示される面)に、一方の端部20の第1面31、中央部10の第2面32、及び他方の端部20の第1面31がこの順で並ぶ髪拭きタオル1について説明した。この場合、頭頂部を拭いた後に髪拭きタオル1を裏返す必要なくそのまま第1パイル部51を毛先に当てることができる。
【0050】
しかしながら、髪拭きタオル1の各面における第1面31及び第2面32の並び順は適宜変更可能である。例えば、一方側の面に、一方の端部20の第1面31、中央部10の第1面31、及び他方の端部20の第1面31がこの順で並び、他方側の面に、一方の端部20の第2面32、中央部10の第2面32、及び他方の端部20の第2面32がこの順で並ぶ髪拭きタオルであってもよい。
【0051】
また、前述の実施形態では、境界部Bは各第1パイル部51に連続するパイル部であって、且つ各第2パイル部52が繋がる境界部Bの部分はパイル部が存在しない平坦部(凹部)とされている例について説明した。しかしながら、中央部と端部との間の境界部の構成は上記の境界部Bに限られず適宜変更可能である。中央部の長手方向の中央に位置する基準線の構成についても基準線Aに限られず適宜変更可能である。
【0052】
また、前述の実施形態では、長手方向D1及び幅方向D2の双方に対して斜めに延びる第1パイル部41、第2パイル部42、第1パイル部51及び第2パイル部52について説明した。しかしながら、第1パイル部及び第2パイル部の延在方向は、前述の実施形態に限られず適宜変更可能である。例えば、第1パイル部及び第2パイル部42の少なくともいずれかが長手方向及び幅方向のいずれかに一致していてもよい。
【0053】
(実施例)
続いて、本開示の実施例について説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されない。この実施例の実験では、
図5に示される実験装置70を用いて髪拭きタオルの吸水性を測定する実験を行った。実験装置70は、髪拭きタオルを上から押圧する押圧部材71と、髪拭きタオルの下側に設けられる環状部材72と、環状部材72の下側に設けられるガラスろ過板73と、ガラスろ過板73の下側において収容される水Wとを有する。環状部材72には直径20mmの孔が形成されている。押圧部材71によって髪拭きタオルを環状部材72に押し付けると、ガラスろ過板73及び環状部材72の孔から水Wが髪拭きタオルに進入し、このときの髪拭きタオルの吸水性を測定した。
【0054】
髪拭きタオルとしては、実施例1に係る髪拭きタオル1、及び比較例1に係る髪拭きタオルのそれぞれを用いた。実施例1に係る髪拭きタオル1としては片面に長い第1パイル部41及び第2パイル部4を有する中央部10を用いた。なお、実施例1の髪拭きタオル1の糸としては、西川株式会社製のパフィールコットン(登録商標)を用いた。
【0055】
比較例1に係る髪拭きタオルは、表裏両面にパイル部が形成された髪拭きタオルであり、比較例1の髪拭きタオルの糸としてはパフィールコットンを用いた。なお、比較例1の髪拭きタオルのパイル部は、実施例1の髪拭きタオル1の第1パイル部41よりも短い。
【0056】
以上の実施例1及び比較例1の各髪拭きタオルを直径60mmの円形に切り取って環状部材72の上に載せ、押圧部材71で各髪拭きタオルを60秒間押し付けた状態として各髪拭きタオルへの水Wの吸水量を測定した。この測定の結果を以下の表1に示す。
【表1】
【0057】
表1に示されるように、長い第1パイル部41を有する実施例1では、長いパイル部を有しない比較例1と比較して、明らかに高い吸水性が得られることが分かった。具体的には、実施例1は比較例1の2.19倍の高い吸水性が得られ、片面に長いパイル部を有する実施例1では、両面に短いパイル部を有する比較例1よりも顕著に高い吸水性が得られることが分かった。
【符号の説明】
【0058】
1…髪拭きタオル、2…長辺、2a,2b…辺、3…短辺、10…中央部、20…端部、31…第1面、32…第2面、41…第1パイル部、42…第2パイル部、43…部分、51…第1パイル部、52…第2パイル部、70…実験装置、71…押圧部材、72…環状部材、73…ガラスろ過板、A…基準線、B…境界部、C…中央、D1…長手方向、D2…幅方向、M…使用者、M1…髪、M2…指、T1,T2,T3,T4…糸、W…水、W1,W3,W4,W5,W6…幅。