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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-22
(45)【発行日】2023-03-30
(54)【発明の名称】圧力検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01L 1/16 20060101AFI20230323BHJP
   A61B 5/00 20060101ALN20230323BHJP
【FI】
G01L1/16 C
A61B5/00 101N
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019110422
(22)【出願日】2019-06-13
(65)【公開番号】P2020201218
(43)【公開日】2020-12-17
【審査請求日】2022-05-30
(73)【特許権者】
【識別番号】304036754
【氏名又は名称】国立大学法人山形大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥山 義浩
(72)【発明者】
【氏名】芝 健夫
(72)【発明者】
【氏名】関根 智仁
(72)【発明者】
【氏名】時任 静士
【審査官】公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/064708(WO,A1)
【文献】特開2005-156531(JP,A)
【文献】特開2012-183177(JP,A)
【文献】特開2005-160621(JP,A)
【文献】米国特許第06491647(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 1/16
G01L 5/00-5/28
A61B 5/00
A61B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に対向して配置される対向板と、
前記対向板の上側に配置されると共に強誘電性を有する強誘電層を一対の電極で挟むように形成され、前記対向板を介して伝達される前記被検体からの圧力変化を検出する圧電素子と、
前記圧電素子の中央部周辺の少なくとも一部に対向する押圧面を有し、前記圧電素子の表面から突出する突出量が前記圧電素子から前記対向板にわたる厚みより大きくなるように形成された押圧部と、
前記押圧部を覆うように配置され、前記押圧部を押圧しつつ前記対向板、前記圧電素子および前記押圧部を前記被検体に対して固定する固定部と
を備え、
前記押圧部は、前記固定部の押圧に伴って前記圧電素子の中央部周辺の少なくとも一部を前記押圧面で押圧して、前記圧電素子の中央部に対して縁部の動きを抑制する圧力検出装置。
【請求項2】
前記押圧部は、前記圧電素子の上側において前記圧電素子の縁部近傍に前記押圧面が対向するように配置される請求項1に記載の圧力検出装置。
【請求項3】
前記押圧部は、前記対向板の上側において前記圧電素子の近傍に前記押圧面が対向するように配置される請求項1または2に記載の圧力検出装置。
【請求項4】
前記固定部は、前記押圧部から前記被検体に向かって前記押圧部から離れるように斜め方向に延びて前記押圧部の第1接触位置と前記被検体の第2接触位置との間を接続する接続部分を有し、前記接続部分に生じる張力により前記押圧部を押圧する請求項1~3のいずれか一項に記載の圧力検出装置。
【請求項5】
前記押圧部は、前記固定部の前記接続部分の長さに対して前記突出量が1/100以上となるような高さで形成される請求項4に記載の圧力検出装置。
【請求項6】
前記押圧面は、環状に形成され、前記圧電素子の中央部を囲むように配置される請求項1~5のいずれか一項に記載の圧力検出装置。
【請求項7】
前記被検体は、生体であり、
前記押圧面は、互いに間隔を空けて延びるように形成された一対の押圧面からなり、前記一対の押圧面が前記圧電素子の中央部を挟む両側に対向しつつ前記生体の血管に沿って延びるように配置される請求項1~5のいずれか一項に記載の圧力検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、圧力検出装置に係り、特に、被検体からの圧力変化を検出する圧力検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、生体の手首および頭などの被検体に取り付けられて、被検体からの圧力変化を検出する圧力検出装置が実用化されている。この圧力検出装置は、例えば、被検体に当接するように配置された基板上に圧電素子が設けられており、基板を介して伝達される被検体からの圧力変化を圧電素子で検出することができる。近年では、圧力検出装置において、被検体の圧力変化を的確に検出することが求められている。
【0003】
そこで、被検体の圧力変化を的確に検出する技術として、例えば、特許文献1には、位置ずれを抑制できると共に検出感度が比較的大きい生体振動センサーが提案されている。この生体振動センサーは、接触シートに配置された高剛性領域を介して生体の振動を効率よく振動検出素子に伝達するため、被検体の圧力変化を的確に検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-149094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の生体振動センサーは、被検体から圧電素子への振動の伝達を向上させるものであり、圧電素子自体の検出感度を向上させるものではなく、被検体の小さな圧力変化まで検出できないおそれがあった。
【0006】
この発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたもので、圧電素子の検出感度を向上させる圧力検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る圧力検出装置は、被検体に対向して配置される対向板と、対向板の上側に配置されると共に強誘電性を有する強誘電層を一対の電極で挟むように形成され、対向板を介して伝達される被検体からの圧力変化を検出する圧電素子と、圧電素子の中央部周辺の少なくとも一部に対向する押圧面を有し、圧電素子の表面から突出する突出量が圧電素子から対向板にわたる厚みより大きくなるように形成された押圧部と、押圧部を覆うように配置され、押圧部を押圧しつつ対向板、圧電素子および押圧部を被検体に対して固定する固定部とを備え、押圧部は、固定部の押圧に伴って圧電素子の中央部周辺の少なくとも一部を押圧面で押圧して、圧電素子の中央部に対して縁部の動きを抑制するものである。
【0008】
ここで、押圧部は、圧電素子の上側において圧電素子の縁部近傍に押圧面が対向するように配置することができる。
【0009】
また、押圧部は、対向板の上側において圧電素子の近傍に対向するように配置することもできる。
【0010】
また、固定部は、押圧部から被検体に向かって押圧部から離れるように斜め方向に延びて押圧部の第1接触位置と被検体の第2接触位置との間を接続する接続部分を有し、接続部分に生じる張力により押圧部を押圧することが好ましい。
【0011】
また、押圧部は、固定部の接続部分の長さに対して突出量が1/100以上となるような高さで形成することが好ましい。
【0012】
また、押圧面は、環状に形成され、圧電素子の中央部を囲むように配置することができる。
【0013】
また、被検体は、生体であり、押圧面は、互いに間隔を空けて延びるように形成された一対の押圧面からなり、一対の押圧面が圧電素子の中央部を挟む両側に対向しつつ生体の血管に沿って延びるように配置することもできる。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、押圧部は、圧電素子の表面から突出する突出量が圧電素子から対向板にわたる厚みより大きくなるように形成され、固定部の押圧に伴って圧電素子の中央部周辺の少なくとも一部を押圧面で押圧して、圧電素子の中央部に対して縁部の動きを抑制するので、圧電素子の検出感度を向上させる圧力検出装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この発明の実施の形態1に係る圧力検出装置の構成を示す図である。
図2】対向板、圧電素子および押圧部の構成を示す断面図である。
図3】実施の形態2の対向板、圧電素子および押圧部の構成を示す断面図である。
図4】実施の形態3の対向板、圧電素子および押圧部の構成を示す断面図である。
図5】実施の形態4の押圧部の構成を示す図である。
図6】実施の形態5の押圧部の構成を示す図である。
図7】実施の形態6の検出部の構成を示す図である。
図8】実施の形態1~6の変形例を示す断面図である。
図9】実施の形態1~6の他の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1
図1に、この発明の実施の形態1に係る圧力検出装置の構成を示す。この圧力検出装置は、生体の手首Wに取り付けられるもので、検出部1と、固定部2と、解析部3とを有する。
【0017】
検出部1は、基板4を有し、この基板4上に回路部5および電池6が配置されている。また、基板4に隣接して対向板7が配置され、この対向板7上に圧電素子8と押圧部9が順次重なるように配置されている。なお、基板4と対向板7は、連続的に接続されていてもよく、例えば1つの基板で一体に形成することもできる。
【0018】
基板4は、検出部1の各部を支持するもので、薄い板形状を有する。基板4は、例えば、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ウレタン、ポリカーボネート、ポリイミドなどの合成樹脂から構成することができる。
回路部5は、電池6および圧電素子8に接続され、圧電素子8から出力される電気信号を増幅する増幅部、および増幅された電気信号を解析部3に送信する無線通信部などを有する。無線通信部は、マイクロ波帯および極超短波(UHF)帯で通信するものが好ましく、例えばブルートゥース(登録商標)などの近距離で通信するものを用いることができる。
電池6は、回路部5に電力を供給して駆動させるもので、回路部5に隣接して配置されている。
【0019】
対向板7は、可撓性を有するフィルム状の材料から構成され、生体の手首Wに当接するように配置されている。対向板7は、手首Wからの圧力を伝達し易い材料から構成することが好ましく、例えばポリエチレンナフタレートおよびポリエチレンテレフタレートなどから構成することができる。また、対向板7は、圧力を伝達可能な範囲で薄く形成することが好ましく、例えば、10μm~500μmの厚みで形成することができ、10μm~200μmの厚みで形成することがより好ましい。
圧電素子8は、円板形状を有し、対向板7の上側に配置されている。圧電素子8は、手首Wを延びる血管Vに対応して配置され、拍動による血管Vの動きに起因して手首Wから対向板7を介して伝達される圧力変化を検出する。圧電素子8は、薄く形成することが好ましく、例えば、1μm~100μmの厚みで形成することができ、印刷により2μm~50μmの厚みで形成することがより好ましい。
【0020】
押圧部9は、円環形状を有し、圧電素子8の上側において圧電素子8の中央部C周辺に当接した状態で接着剤などにより固定されている。具体的には、押圧部9は、内側の中空部分が圧電素子8の中央部Cに対応するように配置されており、円環状の縁部を構成する押圧面9aが圧電素子8の中央部Cを囲んで圧電素子8の縁部近傍に当接されている。
【0021】
固定部2は、手首Wに巻き付けるようなバンド状に形成され、押圧部9と共に検出部1全体を覆うように配置されている。固定部2は、押圧部9と共に検出部1全体を手首Wに向かって押圧するように巻き付けられ、これにより検出部1を手首Wに対して固定する。
【0022】
解析部3は、回路部5の無線通信部に無線で接続され、無線通信部を介して圧電素子8から出力される電気信号を受信し、その電気信号に基づいて血管Vに起因する手首Wからの圧力変化を解析する。解析部3は、手首Wからの圧力変化に基づいて、例えば心拍数および血圧などを算出することができる。
【0023】
次に、対向板7、圧電素子8および押圧部9の構成について詳細に説明する。
図2に示すように、対向板7が、手首Wの表面にほぼ全面にわたって当接するように配置される。このとき、対向板7は、手首Wにおいて血管Vの上側に位置するように配置される。
【0024】
圧電素子8は、一対の電極10aおよび10bと、強誘電層11とを有する。
電極10aおよび10bは、平板形状を有し、強誘電層11を挟むように配置されて強誘電層11と電気的に接続されている。電極10aおよび10bは、例えば金属材料および有機導電性材料などの導電性材料から構成されている。金属材料としては、例えば銀および銅などが挙げられる。有機導電性材料としては、例えばポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):ポリ(4-スチレンスルホン酸)(PEDOT:PSS)などが挙げられる。
強誘電層11は、平板形状を有し、電極10aおよび10bに全面にわたって当接されている。強誘電層11は、強誘電性を有する材料、例えばポリ(ビニリデンダイフルオライド-トリフルオロエチレン)共重合体(P(VDF-TrFE))などから構成されている。
【0025】
押圧部9は、圧電素子8の縁部近傍に円環状の押圧面9aが当接すると共に圧電素子8の中央部Cを開放する、すなわち接触しないように配置されている。また、押圧部9は、圧電素子8の表面から突出する突出量L1が圧電素子8から対向板7にわたる厚みL2、すなわち圧電素子8の厚みと対向板7の厚みを足し合わせた厚みL2より大きくなるように形成されている。これにより、押圧部9は、固定部2の押圧に伴って、圧電素子8の縁部近傍を大きな力で押圧して、手首Wからの圧力変化が圧電素子8に入力された場合に圧電素子8の中央部Cに対してその縁部の動きを抑制する。押圧部9は、例えば、1mm以上の突出量L1を有するように形成することができる。また、押圧部9は、手首Wに負担が生じない程度に硬い材料から構成することが好ましく、例えば熱可塑性ポリウレタン、天然ゴムおよびスチレン-ブタジエンゴム(SBR)などからなる硬質ゴムから構成することができる。
【0026】
次に、実施の形態1の動作について説明する。
まず、図1に示すように、手首Wを延びる血管V上に圧電素子8の中央部Cが位置するように検出部1を配置し、固定部2が手首Wに巻き付けられて検出部1を手首Wに固定する。これにより、対向板7が手首Wに押し付けられて、例えば拍動による血管Vの動きに応じた圧力が手首Wから対向板7に付加される。
【0027】
図2に示すように、対向板7の上側には圧電素子8が配置されており、手首Wから対向板7に付加された圧力が対向板7を伝達して圧電素子8に入力される。これにより、圧電素子8の強誘電層11が圧力に応じて振動するように変形して、電極10aおよび10b間に圧力に応じた電圧が生じることになる。
ここで、固定部2の押圧に伴って、押圧部9が圧電素子8の縁部近傍を押圧する。具体的には、固定部2は、押圧部9から手首Wに向かって押圧部9から徐々に離れるように斜め方向に延びて押圧部9の接触位置S1と手首Wの接触位置S2との間を接続する長さL3の接続部分2aを有し、この接続部分2aに生じる張力fにより押圧部9を手首Wに向かって押圧する。このため、固定部2が押圧部9を押圧する押圧力Pは、以下の式(1)で表される。
P=f×(L1+L2)/L3 ・・・(1)
【0028】
このとき、接続部分2aの長さL3が、例えば1cm以上と、圧電素子8から対向板7にわたる厚みL2と比較して1000倍以上に大きくなった場合に、押圧部9の突出量L1を厚みL2以下に小さくすると、押圧部9の押圧力Pが非常に小さくなる。そこで、押圧部9の突出量L1を厚みL2より大きくすることで、圧電素子8を押圧部9で確実に押圧することができる。
このように、押圧部9が、固定部2の押圧に伴って圧電素子8の縁部近傍を押圧することにより、圧電素子8の中央部Cに対して縁部の動きが抑制される。これにより、手首Wからの圧力に応じて圧電素子8の中央部Cを集中的に変形させることができ、圧電素子8が大きく変形して圧電素子8の検出感度を向上させることができる。
【0029】
ここで、押圧部9は、固定部2の接続部分2aの長さL3に対して突出量L1が1/100以上となるような高さで形成することが好ましい。これにより、押圧部9が、圧電素子8をより確実に押圧し、圧電素子8の検出感度を大きく向上させることができる。
実際に、押圧部9の突出量L1を約5mm、固定部2の接続部分2aの長さL3を約3cmとした場合に、圧電素子8を押圧部9で十分に大きな力で押圧することができ、圧電素子8の検出感度を大きく向上させることができた。
【0030】
このようにして、圧電素子8において手首Wからの圧力に応じた電気信号が生じ、その電気信号が、図1に示すように、回路部5に出力される。回路部5は、電気信号を増幅処理などして無線通信部から解析部3に送信する。そして、解析部3が、回路部5から送信された電気信号に基づいて、例えば心拍数および血圧などの生体情報を算出する。
解析部3は、検出感度が向上した圧電素子8からの電気信号、すなわち手首Wからの圧力を的確に反映した電気信号が入力されるため、生体情報を高精度に算出することができる。
【0031】
本実施の形態によれば、押圧部9は、突出量L1が厚みL2より大きくなるように形成され、固定部2の押圧に伴って圧電素子8の縁部近傍を押圧面9aで押圧して、圧電素子8の中央部Cに対して縁部の動きを抑制するため、手首Wからの圧力を中央部Cに集中させることができ、圧電素子8の検出感度を向上させることができる。
【0032】
実施の形態2
上記の実施の形態1では、押圧部9は、圧電素子8の縁部近傍に押圧面9aが当接するように配置されたが、圧電素子8の中央部C周辺に押圧面9aが当接するように配置されていればよく、圧電素子8の縁部近傍に限られるものではない。
例えば、図3に示すように、実施の形態1の押圧部9に換えて押圧部21を配置することができる。
【0033】
押圧部21は、円環形状を有し、対向板7の上側において圧電素子8の近傍に当接するように配置されている。すなわち、押圧部21は、内側の中空部分に圧電素子8が入るように配置されており、円環状の縁部を構成する押圧面21aが圧電素子8を囲んで圧電素子8の近傍に当接されている。押圧部21は、例えば、圧電素子8に対して3mm程度の間隔を空けて対向板7に当接するように配置することができる。
【0034】
ここで、押圧部21は、実施の形態1と同様に、圧電素子8の表面から突出する突出量L1が圧電素子8から対向板7にわたる厚みL2より大きくなるように形成されている。これにより、押圧部21は、固定部2の押圧に伴って、圧電素子8の周囲を大きな力で押圧して、手首Wからの圧力変化が圧電素子8に入力された場合に圧電素子8の中央部Cに対して縁部の動きを抑制することができる。
また、押圧部21は、固定部2の接続部分2aの長さL3に対して突出量L1が1/100以上となるような高さで形成することが好ましい。
【0035】
本実施の形態によれば、押圧部21は、突出量L1が厚みL2より大きくなるように形成され、固定部2の押圧に伴って圧電素子8の近傍を押圧して、圧電素子8の中央部Cに対してその縁部の動きを抑制するため、圧電素子8の検出感度を向上させることができる。
【0036】
実施の形態3
上記の実施の形態2において、押圧部は、圧電素子8および対向板7に押圧面が当接するように配置することもできる。
例えば、図4に示すように、実施の形態1の押圧部9に換えて押圧部31を配置することができる。
【0037】
押圧部31は、円環形状を有し、圧電素子8と対向板7に当接するように配置されている。すなわち、押圧部31は、中空部分の下端の径が大きくなるように形成されて、その下端に圧電素子8が入るように配置されており、高さ位置の異なる押圧面31aおよび31bがそれぞれ圧電素子8と対向板7に当接されている。
【0038】
本実施の形態によれば、押圧部31は、突出量L1が厚みL2より大きくなるように形成され、固定部2の押圧に伴って圧電素子8の縁部近傍および対向板7の圧電素子8近傍を押圧して、圧電素子8の中央部Cに対してその縁部の動きを抑制するため、圧電素子8の検出感度を向上させることができる。
【0039】
実施の形態4
上記の実施の形態1~3では、押圧部は、円環形状に形成されたが、圧電素子8の中央部C周辺の少なくとも一部に押圧面が当接するように配置されていればよく、円環形状に限られるものではない。
例えば、図5に示すように、実施の形態1の押圧部9に換えて一対の押圧部41aおよび41bを配置することができる。
【0040】
押圧部41aおよび41bは、互いに対向しつつ直線状に延びるように形成され、圧電素子8の上側において中央部Cを挟む両側に当接した状態で固定されている。すなわち、押圧部41aおよび41bは、互いに間隔を空けて直線状に延びるように形成された一対の押圧面42aおよび42bを有し、その押圧面42aおよび42bが圧電素子8の中央部Cを挟む両側に当接しつつ手首Wの血管Vに沿って延びるように配置されている。
【0041】
このように、押圧部41aおよび41bは、手首Wの血管Vに重ならないように配置されているため、固定部2の押圧に伴って圧電素子8を押圧した際に、血管Vが圧迫されることを抑制することができ、血管Vからの圧力を圧電素子8に向かってスムーズに伝達させることができる。また、押圧部41aおよび41bは、圧電素子8の中央部C周辺において互いに対向する両側を押圧するため、その一方のみを押圧するものと比較して圧電素子8の中央部Cに対する縁部の動きを大きく抑制することができる。これにより、血管Vからの圧力の伝達を阻害することなく圧電素子8の検出感度を向上させることができる。
【0042】
本実施の形態によれば、押圧部41aおよび41bが、互いに間隔を空けて延びるように形成された押圧面42aおよび42bを有し、この押圧面42aおよび42bが圧電素子8の中央部Cを挟む両側に対向しつつ手首Wの血管Vに沿って延びるように配置されるため、血管Vからの圧力の伝達を阻害することなく圧電素子8の検出感度を向上させることができる。
【0043】
実施の形態5
上記の実施の形態4において、押圧部41aおよび41bは、圧電素子8の中央部Cを挟む両側を安定して押圧するように形成することが好ましい。
例えば、図6に示すように、実施の形態4において押圧部41aの端部と押圧部41bの端部を接続する押圧部51を新たに配置することができる。
【0044】
押圧部51は、押圧部41aの端部と押圧部41bの端部の間を延びるように形成され、その両端部が押圧部41aおよび41bに一体に接続されている。
このような構成により、押圧部41aおよび41bの姿勢が押圧部51で支持されるため、固定部2の押圧に伴って押圧部41aおよび41bの姿勢が変化するのを抑制し、圧電素子8を確実に押圧することができる。また、押圧部41aおよび41bに加えて押圧部51も圧電素子8を押圧するため、圧電素子8の中央部Cをほぼ囲むように押圧することができ、圧電素子8の中央部Cに対して縁部の動きを確実に抑制して検出感度を向上させることができる。
【0045】
本実施の形態によれば、押圧部51が、押圧部41aの端部と押圧部41bの端部を接続するように配置されるため、押圧部41aおよび41bの姿勢が安定し、圧電素子8を確実に押圧することができる。
【0046】
実施の形態6
上記の実施の形態1~5では、検出部1は、1個所に配置されたが、複数個所に配置することもできる。
例えば、図7に示すように、実施の形態1の検出部1に換えて4つの検出部61a,61b,61cおよび61dを配置すると共に、固定部2に換えて固定部62を配置することができる。
【0047】
検出部61a~61dは、生体の頭Hにおいて前部、後部および両側部にそれぞれ配置されている。検出部61a~61dは、それぞれ、実施の形態1と同様に、対向板7、圧電素子8および押圧部9が順次重なるように形成されている。
固定部62は、頭Hに巻き付けるようなバンド状に形成され、押圧部9と共に検出部61a~61d全体を覆うように配置されている。固定部62は、押圧部9と共に検出部61a~61dを頭Hに向かって押圧するように巻き付けられ、これにより検出部61a~61dを頭Hに対して固定する。
【0048】
ここで、固定部62は、検出部61a~61dのそれぞれに対して、押圧部9から頭Hに向かって押圧部9から徐々に離れるように斜め方向に延びて押圧部9の接触位置S1と頭Hの接触位置S2との間を接続する接続部分62aを有し、この接続部分62aに生じる張力fにより検出部61a~61dの押圧部9を頭Hに向かって押圧する。
【0049】
本実施の形態によれば、検出部61a~61dが、頭Hの4個所に配置されるため、その4個所で検出される頭Hからの圧力変化に基づいて心拍数および血圧などの生体情報を詳細に解析することができる。
【0050】
なお、上記の実施の形態1~6では、押圧部は、圧電素子8の中央部C周辺の少なくとも一部に押圧面が当接するように配置されたが、圧電素子8の中央部C周辺の少なくとも一部に対向するように押圧面が配置されていればよく、これに限られるものではない。例えば、図8に示すように、実施の形態1においてシールド層71を新たに配置することができる。
シールド層71は、圧電素子8を電気的にシールドするもので、圧電素子8と押圧部9の間に配置され、圧電素子8を覆うと共に接地されている。これにより、押圧部9は、圧電素子8の中央部C周辺に押圧面9aがシールド層71を挟んで対向し、固定部2の押圧に伴ってシールド層71を介して圧電素子8の中央部C周辺を押圧することになる。
【0051】
また、上記の実施の形態1~6では、対向板7は、手首Wまたは頭Hに当接して配置されたが、被検体に対向して配置されていればよく、これに限られるものではない。例えば、実施の形態1において、対向板7と手首Wの間に新たに接着層を配置することができる。これにより、対向板7は、手首Wに接着層を挟んで対向し、手首Wからの圧力が接着層を介して伝達されることになる。
【0052】
また、上記の実施の形態1~6では、押圧部は、圧電素子8に固定されたが、圧電素子8の中央部C周辺の少なくとも一部に対向して配置されていればよく、圧電素子8に対して離間可能に配置してもよい。これにより、押圧部の位置を使用者が容易に調節することができる。
【0053】
また、上記の実施の形態1~6では、押圧部は、圧電素子8の中央部Cを開放するように形成されたが、押圧面が圧電素子8の中央部C周辺に対向していればよく、これに限られるものではない。例えば、図9に示すように、実施の形態1の押圧部9に換えて押圧部72を配置することができる。この押圧部72は、円柱形状の下端部に凹部73が形成され、その凹部73が圧電素子8の中央部Cに対応するように配置される。これにより、押圧部72は、円環状に形成された押圧面72aが圧電素子8の中央部C周辺に対向すると共に凹部73は圧電素子8の中央部Cに当接しないため、押圧面72aで圧電素子8の中央部C周辺を押圧することができる。
【0054】
また、上記の実施の形態1~6では、圧電素子は、手首Wまたは頭Hの生体からの圧力変化を検出したが、被検体からの圧力変化を検出することができればよく、生体に限られるものではない。
【0055】
また、上記の実施の形態1~6では、圧電素子は、血管V上に中央部Cが位置するように配置されたが、被検体からの圧力変化を検出できればよく、血管Vからずれた位置に配置することもできる。
また、上記の実施の形態1~6では、対向板7は、血管V上に位置するように配置されたが、被検体からの圧力を圧電素子に伝達できればよく、血管Vからずれた位置に配置することもできる。
【0056】
また、上記の実施の形態1~6では、圧電素子は、円板形状に形成されたが、被検体からの圧力変化を検出できればよく、円板形状に限られるものではない。例えば、圧電素子は、矩形状に形成することもできる。
また、上記の実施の形態1~6では、固定部は、生体に巻き付けるようなバンド状に形成されたが、押圧部を押圧して対向板7、圧電素子8および押圧部を被検体に対して固定することができればよく、これに限られるものではない。例えば、固定部は、シールなどから形成することもできる。
また、上記の実施の形態1~6では、固定部は、張力により押圧部を押圧して対向板7、圧電素子8および押圧部を被検体に対して固定するように形成されたが、押圧部を押圧して固定することができればよく、張力で固定するものに限られるものではない。例えば、固定部は、対向板7、圧電素子8、押圧部および被検体を挟むように押圧して固定することもできる。
【0057】
また、上記の実施の形態1~6において、検出部は、スクリーン印刷、グラビア印刷、反転オフセット印刷、インクジェット印刷、フレキソ印刷などの印刷方法で薄く形成することが好ましい。
【符号の説明】
【0058】
1,61a,61b,61c,61d 検出部、2,62 固定部、2a,62a 接続部分、3 解析部、4 基板、5 回路部、6 電池、7 対向板、8 圧電素子、9,21,31,41a,41b,51 押圧部、9a,21a,31a,31b,42a,42b 押圧面、10a,10b 電極、11 強誘電層、71 シールド層、W 手首、V 血管、H 頭、C 圧電素子の中央部、L1 突出量、L2 厚み、L3 長さ、S1,S2 接触位置、f 張力、P 押圧力。
図1
図2
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図5
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図7
図8
図9