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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-22
(45)【発行日】2023-03-30
(54)【発明の名称】ロックハンドル装置
(51)【国際特許分類】
   E05C 3/04 20060101AFI20230323BHJP
   E05B 1/00 20060101ALI20230323BHJP
   E05B 15/02 20060101ALI20230323BHJP
   E05B 65/06 20060101ALI20230323BHJP
   E05B 65/00 20060101ALN20230323BHJP
【FI】
E05C3/04 E
E05B1/00 311H
E05B15/02 D
E05B65/06 A
E05B65/00 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019153219
(22)【出願日】2019-08-23
(65)【公開番号】P2021031957
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】591011395
【氏名又は名称】堀ロック工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169111
【弁理士】
【氏名又は名称】神澤 淳子
(74)【代理人】
【識別番号】100098176
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 訓
(72)【発明者】
【氏名】功刀 亮
【審査官】素川 慎司
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-056602(JP,A)
【文献】特開2013-204238(JP,A)
【文献】特開2003-227285(JP,A)
【文献】実開昭62-023960(JP,U)
【文献】特開2017-066815(JP,A)
【文献】特開2001-279963(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05C 3/00 - 3/40
E05B 1/00 - 85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
戸口枠(5)の開口を開閉する揺動可能な扉(8)と、
前記扉(8)の内外側面にそれぞれ固着された内外一対の台座(11,51)と、
一対の前記台座(11,51)にそれぞれ回動中心軸(Lc)を同軸として回動自在に支持される一対の筒状部材(12,52)と、
一対の前記筒状部材(12,52)にそれぞれ両端を嵌着されて 前記回動中心軸(Lc)に沿って前記扉(8)を貫通するハンドル回動軸(31)と、
一対の前記筒状部材(12,52)にそれぞれ回動基部(16a,56a)が固定されて一対の前記台座(11,51)のそれぞれに沿って回動する内外一対の操作ハンドル(15,55)と、
少なくとも一方の前記操作ハンドル(15)の回動基部(16a)に突設されたロック係合部材(18)と、を備え、
閉扉時に、前記操作ハンドル(15,55)をロック位置(Pc)に回動することで、前記ロック係合部材(18)が前記戸口枠(5)に設けられたロック受部(19)に係合してロック状態とし、
前記操作ハンドル(15,55)をロック解除位置(Po)に回動することで、前記ロック係合部材(18)が前記ロック受部(19)から抜けてロック解除状態とするロックハンドル装置であって、
前記ハンドル回動軸(31)の軸中心を軸方向に摺動自在に貫通するスライドバー(33)と、
前記スライドバー(33)を軸方向の一方に付勢するスライドバー付勢手段(35)と、
前記スライドバー(33)とともに軸方向に移動し、かつ前記筒状部材(12)とともに回動する係止部材(28)と、
一対の前記操作ハンドル(15,55)にそれぞれ設けられるトリガー操作部材(21,61)と、
前記トリガー操作部材(21,61)の作動を前記スライドバー付勢手段(35)の付勢力に抗する前記スライドバー(33)の軸方向の移動に変換するトリガー変換機構(20,60)と、を備え、
前記台座(11)には、前記操作ハンドル(15,55)がロック位置(Pc)またはロック解除位置(Po)にあるときに、前記スライドバー付勢手段(35)により付勢されて軸方向に移動する前記係止部材(28)が係止して回動が規制される被係止部(11ac,11ao)が形成されることを特徴とするロックハンドル装置。
【請求項2】
前記操作ハンドル(15,55)をロック解除位置(Po)に向かう方向に回動付勢するハンドル付勢手段(36)を備えることを特徴とする請求項1に記載のロックハンドル装置。
【請求項3】
前記操作ハンドル(15,55)は、前記筒状部材(12,52)から前記回動中心軸(Lc)に直交して延びる棒状のハンドルであり、
前記操作ハンドル(15,55)には、前記トリガー操作部材(21,61)にリンク部材(22,62)を介して作動するトリガー作動部材(23,63)が回動中心軸(Lc)に直交する方向に摺動自在に支持され、
前記スライドバー(33)の両端にそれぞれ連結されて軸方向外側に延びる延長部材(25,65)に前記スライドバー付勢手段(35)の付勢方向に向いて円錐面(26t, 66t)が形成され、
前記トリガー変換機構(20,60)は、前記トリガー操作部材(21,61)の操作による作動が前記リンク部材(22,62)を介して前記トリガー作動部材(23,63)を摺動し、同トリガー作動部材(23,63)の先端部が前記延長部材(25,65)の円錐面を押圧することにより前記スライドバー(33)を前記スライドバー付勢手段(35)の付勢力に抗して他方向に移動することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のロックハンドル装置。
【請求項4】
前記延長部材(25,65)は、前記筒状部材(12,52)に摺動可能に嵌合する嵌合部(27,67)を有し、
前記係止部材(28)は、一方の前記嵌合部(27)を中心軸に直交して貫通するピン状の部材であり、
前記係止部材(28)は、前記嵌合部(27)を貫通して突出した端部(28e)が一方の前記筒状部材(12)の軸方向に長い長孔(12e)に軸方向に摺動可能に嵌合し貫通して同筒状部材(12)とともに回動し、
前記操作ハンドル(15,55)がロック位置(Pc)とロック解除位置(Po)の各位置にあるときの前記係止部材(28)の回動角度で、前記係止部材(28)の前記筒状部材(12)の長孔(12e)に嵌合し貫通した端部(28e)が、前記スライドバー付勢手段(35)の付勢力により前記被係止部(11ac,11ao)に係止可能であることを特徴とする請求項3に記載のロックハンドル装置。
【請求項5】
前記トリガー操作部材(21,61)は、前記操作ハンドル(15,55)に揺動可能に取り付けられ、
前記トリガー操作部材(21,61)の揺動先端部と前記トリガー作動部材(23,63)の基端部に、棒状の前記リンク部材(22,62)の両端部がそれぞれ軸支されて、前記トリガー操作部材(21,61)の揺動が前記リンク部材(22,62)を介して前記トリガー作動部材(23,63)を回動中心軸(Lc)に直交する方向に移動することを特徴とする請求項4に記載のロックハンドル装置。
【請求項6】
前記トリガー作動部材(23,63)の先端部にはローラ(24,64)が取り付けられ、同ローラ(24,64)が前記延長部材(25,65)の円錐面(26t,66t)に接し押圧することを特徴とする請求項3ないし請求項5のいずれか1項に記載のロックハンドル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、倉庫などに使用される扉や建具の気密性や防音性を考慮した扉等に用いられるロックハンドル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロックハンドル装置は、扉の内外を貫通するハンドル回動軸の両端に内外の操作ハンドルが固定され、閉扉時に、一方の操作ハンドルの操作でロック係合部材が扉より突出して戸口枠に設けられたロック受部に係合してロック状態とする(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示されたロックハンドル装置は、施錠用ハンドル(操作ハンドル)が扉の内外にあり、それぞれハンドル支持ケースに支持されて扉に装備されている。
扉の内外を貫通するハンドル軸(ハンドル回動軸)が内外の施錠用ハンドルを連結して一体に支持しており、同ハンドル軸にロック棒(ロック係合部材)が一体に嵌合している。
【0004】
閉扉時に、一方の施錠用ハンドルをロック操作すると、ハンドル軸の回動でロック棒がハンドル支持ケースから出て戸先より外側に突出し、戸口枠に設けられた受け溝(ロック受部)に挿入されてロック状態となる。
【0005】
施錠用ハンドルがロック位置にあってロック状態にあるときは、ロック棒が受け溝に挿入して受け溝の奥の窪みに掛合することで、振動があっても外れることがないようにしている。
【0006】
しかし、特許文献1に開示されたロックハンドル装置は、施錠用ハンドルがロック解除されているときに、ロック棒がハンドル支持ケースに収納して戸口枠の受け溝に挿入できる位置に突出しないように規制する手段は開示されていないので、開扉時には施錠用ハンドルおよびロック棒は回動自由状態にある。
【0007】
したがって、開扉時には、ロック棒が受け溝に挿入できる位置に突出する可能性があり、ロック棒の突出に気付かずに扉を閉めようとすると、ロック棒が戸口枠に衝突してロック棒や戸口枠に損傷を与えてしまう惧れがある。
また、扉より突出したロック棒に衣服等を引っ掛けたりする不具合もある。
【0008】
そこで、操作ハンドルをロック解除位置で回動を規制して、開扉時にロック係合部材が突出して戸口枠に衝突することを回避した例がある(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2001-279963号公報
【文献】特開2017-066815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献2に開示された操作ハンドルは、扉に固定された軸部の外周に回動自在に嵌合され、操作ハンドルに設けられたハンドル部固定シャフトがロック位置とロック解除位置で軸部に形成された凹部に係合することで、操作ハンドルの回動を規制するものである。
【0011】
しかし、特許文献2に開示された操作ハンドルは、扉の内外側面の一側面にのみ取り付けられる構造のものであり、内外一対の操作ハンドルが共通の回動軸で連結されて、いずれの操作ハンドルを操作してもロックおよびロック解除ができる本発明の構造とは、基本的に構造が異なるので、特許文献2に開示された上記操作ハンドルの回動規制の構成は全く適用することができない。
【0012】
本発明は、かかる点に鑑みなされたもので、その目的とする処は、開扉時にロック係合部材がロック受部に係合できる位置に突出することを防止した内外一対の操作ハンドルを備えたロックハンドル装置を供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明は、
戸口枠の開口を開閉する揺動可能な扉と、
前記扉の内外側面にそれぞれ固着された内外一対の台座と、
一対の前記台座にそれぞれ回動中心軸を同軸として回動自在に支持される一対の筒状部材と、
一対の前記筒状部材にそれぞれ両端を嵌着されて 前記回動中心軸に沿って前記扉を貫通するハンドル回動軸と、
一対の前記筒状部材にそれぞれ回動基部が固定されて一対の前記台座のそれぞれに沿って回動する内外一対の操作ハンドルと、
少なくとも一方の前記操作ハンドルの回動基部に突設されたロック係合部材と、を備え、
閉扉時に、前記操作ハンドルをロック位置に回動することで、前記ロック係合部材が前記戸口枠に設けられたロック受部に係合してロック状態とし、
前記操作ハンドルをロック解除位置に回動することで、前記ロック係合部材が前記ロック受部から抜けてロック解除状態とするロックハンドル装置であって、
前記ハンドル回動軸の軸中心を軸方向に摺動自在に貫通するスライドバーと、
前記スライドバーを軸方向の一方に付勢するスライドバー付勢手段と、
前記スライドバーとともに軸方向に移動し、かつ前記筒状部材とともに回動する係止部材と、
一対の前記操作ハンドルにそれぞれ設けられるトリガー操作部材と、
前記トリガー操作部材の作動を前記スライドバー付勢手段の付勢力に抗する前記スライドバーの軸方向の移動に変換するトリガー変換機構と、を備え、
前記台座には、前記操作ハンドルがロック位置またはロック解除位置にあるときに、前記スライドバー付勢手段により付勢されて軸方向に移動する前記係止部材が係止して回動が規制される被係止部が形成されることを特徴とするロックハンドル装置を提供する。
【0014】
この構成によれば、操作ハンドルがロック位置またはロック解除位置にあるときに、スライドバー付勢手段により付勢されてスライドバーが一方向に移動し、ともに係止部材が移動して台座に形成された被係止部に係止して回動が規制されることで、係止部材とともに筒状部材を介して操作ハンドルの回動が規制される。
トリガー操作部材の操作で、トリガー変換機構を介してスライドバーがスライドバー付勢手段の付勢力に抗して他方向に移動し、ともに係止部材が移動して被係止部との係止が解除されることで、係止部材とともに筒状部材を介して操作ハンドルの回動規制が解除される。
【0015】
閉扉時に操作ハンドルがロック位置にあってロック状態にあるときに、トリガー操作部材を操作して係止部材の被係止部との係止を解除して、操作ハンドルをロック解除位置まで回動してロックを解除すると、スライドバー付勢手段により係止部材が移動して台座に形成された被係止部に係止して操作ハンドルの回動が規制されるので、扉を開いても操作ハンドルはロック解除位置に維持され、ロック係合部材は戸口枠のロック受部から抜けた状態に維持され、すなわちロック係合部材がロック受部に係合できる位置に突出することが防止され、ロック係合部材が戸口枠に衝突してロック係合部材や戸口枠に損傷を与えることはない。
【0016】
また、操作ハンドルがロック位置にあってロック係合部材がロック受部に係合してロック状態にあるときは、係止部材が被係止部に係止して、トリガー操作部材を操作しない限り操作ハンドルの回動が規制されるので、不用意に操作ハンドルを回動したり、衝撃や振動により操作ハンドルが回動してロックが解除されるようなことを防止することができる。
【0017】
筒状部材とともに回動し、かつ回動中心軸の軸方向に移動可能な係止部材が、操作ハンドルのロック位置とロック解除位置の各位置で、スライドバー付勢手段の付勢力により移動して被係止部に係止することができ、係止部材が被係止部に係止した状態で、トリガー操作部材を操作すると、トリガー変換機構を介してスライドバーが係止部材と一体にスライドバー付勢手段の付勢力に抗して移動して係止部材の被係止部との係止を解除して、操作ハンドルの回動を許可するので、スライドバー付勢手段をこのように使用することで、簡単な構造で、トリガー操作部材の操作性を向上させることができる。
【0018】
本発明の好適な実施形態では、
前記操作ハンドルをロック解除位置に向かう方向に回動付勢するハンドル付勢手段を備える。
【0019】
この構成によれば、操作ハンドルをロック解除位置に向かう方向に回動付勢するハンドル付勢手段を備えるので、操作ハンドルがロック位置とロック解除位置の間にあるときは、操作ハンドルは、ハンドル付勢手段の付勢力によりロック解除位置側に回動付勢されており、開扉時に、操作ハンドルが自然とロック位置に回動してロック係合部材がロック受部に係合できる位置に突出して戸口枠に衝突するよう事態は回避することができる。
【0020】
本発明の好適な実施形態では、
前記操作ハンドルは、前記筒状部材から前記回動中心軸に直交して延びる棒状のハンドルであり、
前記操作ハンドルには、前記トリガー操作部材にリンク部材を介して作動するトリガー作動部材が回動中心軸に直交する方向に摺動自在に支持され、
前記スライドバーの両端にそれぞれ連結されて軸方向外側に延びる延長部材に前記スライドバー付勢手段の付勢方向に向いて円錐面が形成され、
前記トリガー変換機構は、前記トリガー操作部材の操作による作動が前記リンク部材を介して前記トリガー作動部材を摺動し、同トリガー作動部材の先端部が前記延長部材の円錐面を押圧することにより前記スライドバーを前記スライドバー付勢手段の付勢力に抗して他方向に移動する。
【0021】
この構成によれば、トリガー変換機構は、トリガー操作部材の操作による作動がリンク部材を介してトリガー作動部材を摺動し、同トリガー作動部材の先端部が延長部材の円錐面を押圧することによりスライドバーをスライドバー付勢手段の付勢力に抗して他方向に移動することで、簡単な構造でトリガー操作部材の作動をスライドバーの移動に変換して係止部材による係止を解除し、操作ハンドルの回動を許可することができる。
【0022】
本発明の好適な実施形態では、
前記延長部材は、前記筒状部材に摺動可能に嵌合する嵌合部を有し、
前記係止部材は、一方の前記嵌合部を中心軸に直交して貫通するピン状の部材であり、
前記係止部材は、前記嵌合部を貫通して突出した端部が一方の前記筒状部材の軸方向に長い長孔に軸方向に摺動可能に嵌合して一対の前記筒状部材とともに回動し、
前記操作ハンドルがロック位置とロック解除位置の各位置にあるときの前記係止部材の回動角度で、前記係止部材の前記筒状部材の長孔に嵌合し貫通した端部が、前記スライドバー付勢手段の付勢力により前記被係止部に係止可能である。
【0023】
この構成によれば、一方の延長部材が有する筒状部材に摺動可能に嵌合する嵌合部を中心軸に直交して貫通するピン状の係止部材は、嵌合部より突出した端部が一方の筒状部材の軸方向に長い長孔に軸方向に摺動可能に嵌合して貫通し同筒状部材とともに回動し、かつ係止部材の筒状部材の長孔に嵌合し貫通した端部は、操作ハンドルがロック位置とロック解除位置の各位置にあるときに、被係止部に係止可能であるので、筒状部材とともに回動し、かつ軸方向に相対移動可能な係止部材が、操作ハンドルのロック位置とロック解除位置の各位置で、スライドバー付勢手段の付勢力により移動して被係止部に係止することができる。
【0024】
そして、係止部材が被係止部に係止した状態で、トリガー操作部材を操作すると、トリガー変換機構を介してスライドバーが係止部材と一体にスライドバー付勢手段の付勢力に抗して移動して係止部材の被係止部との係止を解除して、操作ハンドルの回動を許可する。
【0025】
本発明の好適な実施形態では、
前記トリガー操作部材は、前記操作ハンドルに揺動可能に取り付けられ、
前記トリガー操作部材の揺動先端部と前記トリガー作動部材の基端部に、棒状の前記リンク部材の両端部がそれぞれ軸支されて、前記トリガー操作部材の揺動が前記リンク部材を介して前記トリガー作動部材を回動中心軸に直交する方向に移動する。
【0026】
この構成によれば、トリガー操作部材の揺動がリンク部材を介してトリガー作動部材を回動中心軸に直交する方向に移動するので、操作ハンドルを掴みながら、トリガー操作部材を握ることで、トリガー操作部材を揺動操作することができ、トリガー操作部材の操作がし易く、使い勝手が良い。
【0027】
本発明の好適な実施形態では、
前記トリガー作動部材の先端部にはローラが取り付けられ、同ローラが前記延長部材の円錐面に接し押圧する。
【0028】
この構成によれば、トリガー作動部材の先端部にはローラが取り付けられ、同ローラが延長部材の円錐面に接して転動しながら押圧するので、トリガー変換機構が円滑に作動し、トリガー操作部材の操作を容易にする。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、閉扉時に操作ハンドルがロック位置にあってロック状態にあるときに、トリガー操作部材を操作して係止部材の被係止部との係止を解除して、操作ハンドルをロック解除位置まで回動してロックを解除すると、スライドバー付勢手段により係止部材が移動して台座に形成された被係止部に係止して操作ハンドルの回動が規制されるので、扉を開いても操作ハンドルはロック解除位置に維持され、ロック係合部材は戸口枠のロック受部から抜けた状態にあって、すなわちロック係合部材がロック受部に係合できる位置に突出することが防止され、ロック係合部材が戸口枠に衝突してロック係合部材や戸口枠に損傷を与えることはない。
【0030】
また、操作ハンドルがロック位置にあってロック係合部材がロック受部に係合してロック状態にあるときは、係止部材が被係止部に係止して、トリガー操作部材を操作しない限り操作ハンドルの回動が規制されるので、不用意に操作ハンドルを回動したり、衝撃や振動により操作ハンドルが回動してロックが解除されるようなことを防止することができる。
【0031】
筒状部材とともに回動し、かつ回動中心軸の軸方向に移動可能な係止部材が、操作ハンドルのロック位置とロック解除位置の各位置で、スライドバー付勢手段の付勢力により移動して被係止部に係止することができ、係止部材が被係止部に係止した状態で、トリガー操作部材を操作すると、トリガー変換機構を介してスライドバーが係止部材と一体にスライドバー付勢手段の付勢力に抗して移動して係止部材の被係止部との係止を解除して、操作ハンドルの回動を許可するので、このようにスライドバー付勢手段を使用することで、トリガー操作部材の操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の一実施の形態に係るロックハンドル装置を備えた扉および戸口の閉扉時の室内側から視た内側正面図である。
図2】閉扉時の同ロックハンドル装置の内側正面図である。
図3図2のIII-III矢視の閉扉時の扉等を断面として示した同ロックハンドル装置の平面図である。
図4】戸口枠の鉛直枠部の部分側面図である。
図5】同ロックハンドル装置の分解斜視図である。
図6】内側台座の内側正面図である。
図7図2のVII-VII矢視の内側操作ハンドルの断面図である。
図8図2のVIII-VIII矢視の同ロックハンドル装置の断面図である。
図9図3のIX-IX矢視の同ロックハンドル装置の断面図である。
図10】トリガー操作部材の作動後の内側操作ハンドルの断面図である。
図11】内側操作ハンドルのトリガー操作部材の作動後の同ロックハンドル装置の断面図である。
図12】外側操作ハンドルのトリガー操作部材の作動後の同ロックハンドル装置の断面図である。
図13】トリガー操作部材の作動後の同ロックハンドル装置の別の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明に係る一実施の形態について図1ないし図12に基づいて説明する。
図1は、本発明を適用した一実施の形態に係るロックハンドル装置10を備えた扉8および戸口4の閉扉時の室内側から視た内側正面図である。
本実施の形態に係る扉8は、片扉である。
【0034】
本扉8は、倉庫等の大型の建物や防音室等に用いられる気密扉であり、建物の床2から立設された内壁3に戸口枠5で仕切られて矩形に開口した戸口4が形成され、戸口枠5に蝶番6を介して支持された扉8が揺動して同戸口4を開閉する。
扉8を室外側に揺動して同戸口4を開口する。
戸口枠5にはクッション部材7が張り巡らされており、閉扉時に扉8の周辺突条部8pがクッション部材7に押圧されて、戸口4を気密に閉塞する(図3参照)。
【0035】
ロックハンドル装置10は、扉8の内側面8iと外側面8oに、それぞれ所定高さで戸先8a寄りの所定位置に内側台座11と外側台座51が互いに対応して固着される。
内側台座11は、扁平円筒状をした円筒状支持部11aと同円筒状支持部11aの円筒端部がフランジ状に展開した取付け座部11bとからなり、取付け座部11bが扉8の内側面8iの所定位置に面付けされる。
【0036】
外側台座51は、円筒状支持部51aと取付け座部51bとからなり、内側台座11と概ね面対称に形成されており、取付け座部51bが扉8の外側面8oの所定位置に面付けされる。
なお、内側台座11と外側台座51の各取付け座部11b,51bより突出する円筒状支持部11a,51aは、外周面が幾らかテーパしている。
【0037】
互いに概ね面対称な形状の内側台座11と外側台座51は、扉8の内外側面8i,8oに面対称に取り付けられ、内側台座11の円筒状支持部11aと外側台座51の円筒状支持部51aは、円筒中心軸である回動中心軸Lcを同軸とする(図5参照)。
【0038】
図3に示されるように、内側台座11の円筒状支持部11aの端面に添って内側操作ハンドル15が回動中心軸Lcを中心に回動可能に取り付けられ、外側台座51の円筒状支持部51aの端面に添って外側操作ハンドル55が回動中心軸Lcを中心に回動可能に取り付けられる。
内側操作ハンドル15と外側操作ハンドル55は、棒状のハンドルである。
【0039】
図8に示されるように、一対の内側操作ハンドル15と外側操作ハンドル55は、回動中心軸Lcに設けられた共通のハンドル回動軸31を介して一体に回動し、互いに常に同じ回動角度位置にある。
【0040】
内側操作ハンドル15の回動基部16aの外周には、ロック係合部材であるロックローラ18が突設されている。
ロックローラ18は、回動基部16aの外周から回動中心軸Lcに直交する方向に突出する支軸18aに回転自在に軸支されている(図2図4参照)。
【0041】
扉8の戸先8a寄りに設けられたロックハンドル装置10の棒状の内側操作ハンドル15と外側操作ハンドル55は上下に揺動可能であり、いずれか一方を下方に揺動することで、内側操作ハンドル15の回動基部16aの回動(図2の内側正面視で右回動)によりロックローラ18が旋回して戸口枠5の方に突出し(図2に実線で示す)、逆に内側操作ハンドル15と外側操作ハンドル55のいずれか一方を上方に揺動することで、回動基部16aの回動(図2の内側正面視で左回動)によりロックローラ18が旋回して戸先8aから離れる扉8の内側の方に没入する(図2に2点鎖線で示す)。
【0042】
戸口4を形成する戸口枠5における扉8の戸先8aに対向する鉛直枠部5aには、戸口枠5の方に突出するロックローラ18を挿入可能な縦長矩形のローラ受口19hを有するロック受部材19が取り付けられている。
【0043】
図4に示されるように、ロック受部材19の縦長矩形のローラ受口19hは、内外の垂直辺のうち外側垂直辺19vの下半部が外側に傾斜しており、旋回するロックローラ18がローラ受口19hに挿入されるときに、ロックローラ18は外側垂直辺19vに接して転動し、外側垂直辺19vの下半部の傾斜面から上半部の垂直面に移動するように係合することで、扉8を閉じ側に押え、扉8の周辺突条部8pがクッション部材7に強く押圧されて、戸口4を気密に閉塞するロック状態とすることができる。
【0044】
ロックハンドル装置10の分解斜視図を図5に示す。
図5および内側台座11の内側正面図である図6を参照して、内側台座11の円筒状支持部11aの内周面の開口端側には、回動中心軸Lcに関して対称に一対の円弧溝11aa,11aaが形成され、各円弧溝11aaの両端は軸方向により深く被係止穴(被係止部)11ac,11aoが形成されている。
内側台座11の円筒状支持部11aの開口端面には、回動中心軸Lcに関して対称位置に一対の小円穴11ah,11ahが形成されている。
【0045】
図5を参照して、他方の円筒状支持部51aと取付け座部51bからなる外側台座51は、取付け座部51bが円筒状支持部51aの円孔から径方向に展開する側壁51bwの外周部が回動中心軸Lcの軸方向に突出して外周枠51bfを形成して、外周枠51bfの端面が扉8の外側面8oに面付けされる座面をなす。
取付け座部51bの側壁51bwには外周枠51bfの所定の2か所から円筒状支持部51aの円孔に向かって延びるストッパリブ51bc,51boが2本形成されている。
【0046】
外側台座51の取付け座部51bに形成される円筒状支持部51aの円孔から径方向に延びる2本のストッパリブ51bc,51boの間の角度は、内側台座11の円筒状支持部11aに形成される円弧溝11aaの円弧の中心角と等しく、この角度は、後記するように、内側操作ハンドル15と外側操作ハンドル55の回動を許容する角度である。
【0047】
図5を参照して、内側操作ハンドル15と外側操作ハンドル55は、ロックローラ18が内側操作ハンドル15にのみ設けられていること以外は、互いに面対称な構造をしている。
以下、内側操作ハンドル15の構造について説明する。
内側操作ハンドル15は、回動基部16aと同回動基部16aから延出するハンドルグリップ部16bとからなるハンドル本体16を有する。
【0048】
回動基部16aは、回動中心軸Lcに沿って貫通する円孔16ahを有し、外周部にロックローラ18が突設されている。
なお、回動基部16aには、回動中心軸Lcに関して対称位置に固定用孔16h,16hが形成されている。
【0049】
ハンドルグリップ部16bは、長方形状平板が直角に屈曲されて側板16baと上板16bbを構成しており、側板16baの内面に、揺動支軸16bpとクロス支軸16bqが突設されている。
クロス支軸16bqは、両端にねじ穴が形成されており、揺動支軸16bpを挟んで両側にある。
ハンドルグリップ部16bは、両側からグリップカバー17,17が被せられ、止めねじ17sによりクロス支軸16bqに固着される。
【0050】
グリップカバー17,17内には、トリガー変換機構20の一部が設けられる。
図7および図9を参照して、揺動支軸16bpにトリガー操作部材21が揺動自在に軸支され、ハンドルグリップ部16bの回動基部16a側部分と回動基部16aには、回動基部16aの円孔16ahに向けて回動中心軸Lcに直交する方向に貫通してトリガー作動部材23が摺動自在に支持され、トリガー操作部材21の揺動先端部とトリガー作動部材23の基端部に、棒状のリンク部材22の両端部がそれぞれ軸支される。
【0051】
図9および図10に示されるように、 揺動支軸16bpに揺動基端部を軸支されたトリガー操作部材21は、下部がグリップカバー17,17の下部開口から下方に出没自在に突出している。
トリガー操作部材21を軸支する揺動支軸16bpには、ねじりコイルばね21sのコイル部が嵌合して、同ねじりコイルばね21sは、一端がクロス支軸16bqに係止し、他端がトリガー操作部材21の先端部分に係止して、トリガー操作部材21を下方に揺動付勢している。
【0052】
したがって、図9に示されるように、トリガー操作部材21は、外力が加わらない限り、ねじりコイルばね21sの付勢力により、下方に揺動付勢されて、グリップカバー17,17の下部開口から大きく下方に突出している。
リンク部材22を介してトリガー作動部材23は、回動中心軸Lcに直交する方向に摺動することができ、トリガー操作部材21が下方に揺動しているときは、回動中心軸Lcから離れる方向に移動している。
【0053】
図10に示されるように、トリガー操作部材21を、ねじりコイルばね21sの付勢力に抗して上方に揺動操作すると、リンク部材22を介してトリガー作動部材23は回動中心軸Lcに近づく方向に移動する。
トリガー作動部材23の先端部は、回動基部16aの円孔16ahに突出しており、同先端部にはローラ24が取り付けられている。
【0054】
他方の外側操作ハンドル55は、上記内側操作ハンドル15と面対称な構造をしており、回動基部56aとハンドルグリップ部56bからなるハンドル本体56およびトリガー変換機構60の一部であるトリガー操作部材61,リンク部材62,トリガー作動部材63,ローラ64およびねじりコイルばね(図示せず)を有する。
なお、外側操作ハンドル55の回動基部56aにはロックローラのごときロック係合部材は存在しない。
【0055】
図5を参照して、内側操作ハンドル15の回動基部16aの円孔16ahを貫通し、さらに内側台座11の円筒状支持部11aを貫通して同円筒状支持部11aに回動自在に支持される円筒状部材(筒状部材)12が設けられる。
【0056】
円筒状部材12は、一端にフランジ部12fを有し、内周面には軸方向に指向した溝条12vが周方向に4か所等間隔に形成されている。
また、円筒状部材12の軸方向中央辺りに軸方向に長い一対の長孔12e,12eが、回動中心軸Lcに関して対称位置に形成されている。
さらに、円筒状部材12のフランジ部12f寄りに、回動中心軸Lcに関して対称位置に固定用孔12h,12hが形成されている。
【0057】
円筒状部材12を所定の相対角度で内側操作ハンドル15の回動基部16aの円孔16ahに貫通させて、フランジ部12fを回動基部16aの側面に当接すると、回動基部16aの固定用孔16hが円筒状部材12の固定用孔12hと一致し、固定用ピン16pを固定用孔16h,12hに双方に跨るように挿入することで、内側操作ハンドル15と円筒状部材12が一体に回動することができる。
【0058】
こうして回動基部16aの円孔16ahを貫通した円筒状部材12は、円孔16ahを貫通し突出した部分に一対の長孔12e,12eがあり、同部分を内側台座11の円筒状支持部11aに嵌合し、内側操作ハンドル15の回動基部16aを内側台座11の円筒状支持部11aの開口端面に添わせると、内側操作ハンドル15は、円筒状部材12を介して内側台座11に回動自在に支持される(図7図8参照)。
【0059】
円筒状部材12の内側台座11の円筒状支持部11aに嵌合した端部に、環状止め部材13を螺合すると、環状止め部材13のフランジ部13fが内側台座11の円筒状支持部11aの開口端面に対向して円筒状部材12が内側台座11の円筒状支持部11aから抜けるのを規制するとともに、環状止め部材13のフランジ部13fと円筒状部材12のフランジ部12fとで、内側台座11の円筒状支持部11aと内側操作ハンドル15の回動基部16aを挟み、内側操作ハンドル15の軸方向の位置決めをする。
【0060】
図5を参照して、回動中心軸Lc上にあって内側操作ハンドル15と外側操作ハンドル55を連結するハンドル回動軸31は、中心軸孔31cを有する角柱状をなす。
このハンドル回動軸31の一端が円筒状部材12の端部に嵌入される。
【0061】
円筒状部材12の内周面に形成される軸方向に指向した4本の溝条12vに、角柱状のハンドル回動軸31の4つの角部が嵌合して、ハンドル回動軸31と円筒状部材12は一体に回動する。
円筒状部材12と内側操作ハンドル15とは、固定用ピン16pを介して一体に回動するので、ハンドル回動軸31と円筒状部材12と内側操作ハンドル15は一体に回動する。
【0062】
なお、ハンドル回動軸31の他端には、対応する側面に形成される一対の固定用穴31g,31gが形成され、また別の対応する側面に形成される一対の固定用穴31h,31hが固定用穴31g,31gより軸方向に離れた位置に形成されている。
【0063】
ハンドル回動軸31の一対の固定用穴31h,31hの位置に、環状をした回動規制部材32が嵌着される。
回動規制部材32は、環状の外周面から突出した突起係止部32pを有し、突起係止部32pは先端がさらに軸方向に屈曲して係止部を有する。
【0064】
回動規制部材32の内周面には軸方向に指向した溝条32vが周方向に4か所等間隔に形成されており、この4本の溝条32vに角柱状のハンドル回動軸31の4つの角部が嵌合して、ハンドル回動軸31が所定位置まで挿入されると、回動規制部材32に形成された一対の固定用孔32h,32hがハンドル回動軸31の一対の固定用穴31h,31hと一致するので、固定用ねじ32sを固定用穴31h,31hに双方に跨るように螺入することで、回動規制部材32をハンドル回動軸31と一体に回動することができる(図8参照)。
【0065】
ハンドル回動軸31の中心軸孔31cには、棒状のスライドバー33が摺動自在に貫通される。
スライドバー33は回動中心軸Lc上にあり、スライドバー33の両端にそれぞれ連結されて軸方向外側に延長部材25,65が延設されている。
【0066】
内側操作ハンドル15側の延長部材25は、円錐体部26と円柱体部27を連結中心軸25aが連結し、円柱体部27から突出中心軸25bが突出して、一体に形成されており、円錐体部26と円柱体部27は、外径が円筒状部材12の内径にほぼ等しく、円筒状部材12内を摺動可能である(図7図11参照)。
円錐体部26は、円柱体部27に対向する面が円錐面26tをなしている。
円柱体部27には、直径方向に貫通する貫通孔27hが形成されている。
【0067】
ロックハンドル装置10の断面図である図7図8を参照して、円柱体部27から突出した突出中心軸25bの端部がスライドバー33の端部に連結される。
延長部材25は、連結中心軸25aと突出中心軸25bがスライドバー33の延長する回動中心軸Lc上にあって、円筒状部材12内に摺動可能に位置する(図8図12参照)。
なお、円筒状部材12のフランジ部12fには、蓋部材29が被せられて内周面内に蓋をする。
【0068】
延長部材25を組み付ける際に、円柱体部27の貫通孔27hに係止部材である係止ピン28を貫通させておく。
すなわち、内側操作ハンドル15の回動基部16aの円孔16ahに、円筒状部材12を貫通させたところで、円筒状部材12内に延長部材25を挿入し、円柱体部27の貫通孔27hを円筒状部材12の長孔12eと一致させて延長部材25を配設し、係止ピン28を円筒状部材12の長孔12eと円柱体部27の貫通孔27hの双方に貫通させた状態で、内側操作ハンドル15の回動基部16aを内側台座11の円筒状支持部11aに添わせる。
なお、係止ピン28は、抜止め部材28sにより円柱体部27に抜け止めされる(図8参照)。
【0069】
このとき、円筒状部材12の長孔12eを貫通して突出した係止ピン28の両端は、内側台座11の円筒状支持部11aの内周面に形成された一対の円弧溝11aa,11aaにそれぞれ係合させる。
したがって、係止ピン28は、円筒状部材12の長孔12eにより長孔12eの軸方向幅内において延長部材25とともに軸方向に移動可能であり、かつ円弧溝11aaの角度範囲内において円筒状部材12とともに回動可能である。
【0070】
内側台座11の円筒状支持部11aの円弧溝11aaは、両端に軸方向により深い被係止穴11ac,11aoが形成されているので、係止ピン28は、円弧溝11aaと同じ軸方向位置にあるときに円弧溝11aaの角度範囲内で回動でき、円弧溝11aaの両端の被係止穴11ac,11aoのいずれかに対応する回動位置にあるときに、長孔12eの軸方向幅内で延長部材25(およびスライドバー33)とともに軸方向に移動でき、係止ピン28が軸方向に移動して被係止穴11ac,11aoのいずれかに係止すると、円筒状部材12(および内側操作ハンドル15)とともに回動が規制される。
【0071】
なお、内側台座11の円筒状支持部11aに内側操作ハンドル15の回動基部16aを添わせるときに、円筒状支持部11aの開口端面に形成された小円穴11ah,11ahに、それぞれコイルばね14s,14sとともにディテントピン14,14を挿入しおく(図5参照)。
コイルばね14sに付勢されたディテントピン14の頭部は内側操作ハンドル15の回動基部16aの側面に押圧され、内側操作ハンドル15が回動が規制された回動位置(後記するロック位置Pc,ロック解除位置Po)でディテントピン14の頭部は回動基部16aの側面に形成された凹部16vに嵌り、内側操作ハンドル15の回動を一時的に位置決めする(図7参照)。
【0072】
こうして内側操作ハンドル15が円筒状部材12を介して内側台座11に回動自在に組付けられると、図7に示されるように、内側操作ハンドル15に設けられたトリガー変換機構20の回動中心軸Lcに直交する方向に摺動するトリガー作動部材23の先端部に取り付けられたローラ24が、円筒状部材12を貫通して延長部材25の円錐体部26の円錐面26tに接する。
【0073】
図5を参照して、他方の外側操作ハンドル55の回動基部56aには、回動中心軸Lcに関して対称位置に固定用孔56h,56hが形成されている。
この外側操作ハンドル55の回動基部56aの円孔56ahを貫通し、さらに外側台座51の円筒状支持部51aを貫通して同円筒状支持部51aに回動自在に支持される円筒状部材(筒状部材)52は、一端にフランジ部52fを有するとともに、内周面に4本の溝条52vが形成されている。
【0074】
また、円筒状部材52のフランジ部52fの近傍に、回動中心軸Lcに関して対称位置に固定用孔52h,52hが形成され、さらに、フランジ部52fと反対側の端部寄りに、回動中心軸Lcに関して対称位置に固定用孔52g,52gが形成されている。
【0075】
円筒状部材52を所定の相対角度で外側操作ハンドル55の回動基部56aの円孔56ahに貫通させて、フランジ部52fを回動基部56aの側面に当接すると、回動基部56aの固定用孔56hが円筒状部材52の固定用孔52hと一致し、固定用ピン56pを固定用孔56h,52hに双方に跨るように挿入することで、外側操作ハンドル55と円筒状部材52が一体に回動することができる。
【0076】
こうして外側操作ハンドル55の回動基部56aの円孔56ahを貫通した円筒状部材52は、円孔56ahを貫通し突出した部分に一対の固定用孔52gがあり、同部分を外側台座51の円筒状支持部51aに嵌合し、外側操作ハンドル55の回動基部56aを外側台座51の円筒状支持部51aの開口端面に添わせると、外側操作ハンドル55は、円筒状部材52を介して外側台座51に回動自在に支持される(図7図8参照)。
【0077】
円筒状部材52の外側台座51の円筒状支持部51aに嵌合した端部に、環状止め部材53を螺合すると、環状止め部材53のフランジ部53fが外側台座51の円筒状支持部51aの開口端面に対向して円筒状部材52が外側台座51の円筒状支持部51aから抜けるのを規制するとともに、環状止め部材53のフランジ部53fと円筒状部材52のフランジ部52fとで、外側台座51の円筒状支持部51aと外側操作ハンドル55の回動基部56aを挟み、外側操作ハンドル55の軸方向の位置決めをする。
【0078】
外側操作ハンドル55の回動基部56aの円孔56ahを貫通した円筒状部材52の円孔56ahより突出した部分には、固定用孔52gがある。
円筒状部材52の内周面に形成された4本の溝条52vに、角柱状のハンドル回動軸31の4つの角部が嵌合して、固定用孔52gが位置する部分にハンドル回動軸31の端部を所定位置まで嵌入すると、ハンドル回動軸31の一対の固定用穴31g,31gが円筒状部材52の固定用孔52g,52gと一致し、固定用ねじ52sを固定用孔52gと固定用穴31gに双方に跨るように螺入することで、円筒状部材52とハンドル回動軸31が一体に軸方向の移動し、ともに一体に回動する(図7参照)。
【0079】
ハンドル回動軸31に嵌着された回動規制部材32の突起係止部32pの軸方向に屈曲した係止部は、外側台座51の取付け座部51bに形成された2本のストッパリブ51bc,51boの間にあり、ハンドル回動軸31は、ともに回動する回動規制部材32の突起係止部32pがストッパリブ51bc,51boのいずれかに当接することで、回動が規制される。
【0080】
すなわち、回動規制部材32の突起係止部32pが外側台座51の取付け座部51bの2本のストッパリブ51bc,51boの一方から他方に当接するまでの揺動角度が、ハンドル回動軸31の回動許容角度である。
【0081】
ハンドル回動軸31は、一端が円筒状部材12に嵌合し、同円筒状部材12を介して内側操作ハンドル15と一体に回動し、他端が円筒状部材52に嵌合し、同円筒状部材52を介して外側操作ハンドル55と一体に回動する。
すなわち、内側操作ハンドル15と外側操作ハンドル55は、それぞれ円筒状部材12,52を介してハンドル回動軸31により連結されて、一体に回動する。
【0082】
したがって、内側操作ハンドル15と外側操作ハンドル55は、外側台座51の取付け座部51bに形成された2本のストッパリブ51bc,51boで回動が規制される回動規制部材32およびハンドル回動軸31の回動許容角度範囲で回動可能である。
なお、内側操作ハンドル15と外側操作ハンドル55は、回動中心軸Lcに直交する互いに同一方向にハンドルグリップ部16b,56bが延出している。
【0083】
図2に実線で示す内側操作ハンドル15の回動位置がロック位置Pcであり、内側操作ハンドル15の回動許容角度範囲でハンドルグリップ部16bが最も下側に回動した状態である。
このとき、ハンドル回動軸31に嵌着された回動規制部材32の突起係止部32pが外側台座51のストッパリブ51bcに当接して回動を規制している。
【0084】
図2に2点鎖線で示す内側操作ハンドル15の回動位置がロック解除位置Poであり、内側操作ハンドル15の回動許容角度範囲でハンドルグリップ部16bが最も上側に回動した状態である。
このとき、ハンドル回動軸31に嵌着された回動規制部材32の突起係止部32pが外側台座51のストッパリブ51boに当接して回動を規制している。
【0085】
なお、外側台座51の円筒状支持部51aの開口端部に形成された拡径部51aeにねじりコイルばね36が挿入され、ねじりコイルばね36の一端は外側台座51の円筒状支持部51aに係止され、他端は外側操作ハンドル55の回動基部56aに係止されることで、同ねじりコイルばね36により外側操作ハンドル55は、室内側から視て左回りに付勢される。
【0086】
外側操作ハンドル55は、ハンドル回動軸31により連結されて内側操作ハンドル15と一体に回動するので、外側操作ハンドル55と内側操作ハンドル15がともに室内側から視て左回りに付勢される。
すなわち、外側操作ハンドル55と内側操作ハンドル15は、ロック解除位置Poの方に回動付勢されている。
【0087】
ハンドル回動軸31の中心軸孔31cを貫通するスライドバー33には、内側操作ハンドル15側の一端に前記したような延長部材25が延設され、外側操作ハンドル55側の他端に延設される延長部材65は、図5を参照して、円錐体部66と円板部67を連結中心軸65aが連結し、円錐体部66から突出中心軸65bが突出して、一体に形成されており、円錐体部66と円板部67は、外径が円筒状部材52の内径にほぼ等しく、円筒状部材52内を摺動可能である(図7参照)。
円錐体部66は、円板部67に対向する面が円錐面66tをなしている。
円板部67には、軸中心に関して対称位置に小孔67h,67hが形成されている。
【0088】
円錐体部66から突出した突出中心軸65bの端部がスライドバー33の端部に連結される。
延長部材65は、連結中心軸65aと突出中心軸65bがスライドバー33の延長する回動中心軸Lc上にあって、円筒状部材52内に摺動可能に位置する(図8図12参照)。
【0089】
そして、円錐体部66の円錐面66tと反対の背面とハンドル回動軸31との端面との間に圧縮コイルばね35が介装され、円錐体部66すなわち延長部材65を軸方向外側(円錐体部66の円錐面66tが向いている側)に付勢する。
スライドバー33の両端に延長部材25,65が連結されるので、延長部材65とともにスライドバー33および延長部材25が圧縮コイルばね35により付勢される。
【0090】
円筒状部材52のフランジ部52fの開口端面には、円板部材68が添接して固着され、その上に蓋部材69が被せられる。
円板部材68は、延長部材65の円板部67に形成された小孔67h,67hに向けて突出した突起68p,68pを有し、突起68p,68pは小孔67h,67hを貫通している(図9参照)。
したがって、延長部材65は、円筒状部材52とともに回動する。
【0091】
外側操作ハンドル55は、前記したように、トリガー変換機構60の一部であるトリガー操作部材61,リンク部材62,トリガー作動部材63,ローラ64を有し、内側操作ハンドル15と面対称な構造をしている。
【0092】
図7に示されるように、外側操作ハンドル55に設けられたトリガー変換機構60の回動中心軸Lcに直交する方向に摺動するトリガー作動部材63の先端部に取り付けられたローラ64が、円筒状部材52を貫通して延長部材65の円錐体部66の円錐面26tに接する。
【0093】
延長部材65の円錐体部66の円錐面26tは、圧縮コイルばね35により付勢される方向に向いている。
なお、内側操作ハンドル15側の延長部材25の円錐体部26の円錐面26tも、同じく圧縮コイルばね35により付勢される方向に向いている。
【0094】
本ロックハンドル装置10は、以上のような構造をしている。
図7ないし図9は、内側操作ハンドル15と外側操作ハンドル55が、ロック解除位置Poにあって、トリガー操作部材21,61が操作されていない状態を示している。
図2においては、内側操作ハンドル15がロック解除位置Poにある2点鎖線で示す状態である。
【0095】
内側操作ハンドル15の回動基部16aから突設されたロックローラ18は、戸先8aから離れる扉8の内側の方に没入してロック解除状態にある。
内側操作ハンドル15と外側操作ハンドル55を連結するハンドル回動軸31の中心軸孔31cを貫通するスライドバー33は、両端に連結された延長部材25,65とともに、圧縮コイルばね35により付勢されて外側操作ハンドル55側に移動した位置にある。
【0096】
図9を参照して、トリガー操作部材21は操作されておらず、ねじりコイルばね21sにより下方に揺動付勢されてグリップカバー17,17の下部開口から下方に大きく突出されており、リンク部材22を介してトリガー作動部材23は回動中心軸Lcから離れる方向に移動して、図7に示されるように、トリガー作動部材23の先端部のローラ24は、外側操作ハンドル55側に移動した延長部材25の円錐体部26の円錐面26tの径の大きい外周縁近傍に接している。
【0097】
同様に、外側操作ハンドル55もロック解除位置Poにあり、トリガー操作部材61は操作されておらず、よってトリガー操作部材61は下方に揺動付勢されて、リンク部材62を介して回動中心軸Lcから離れる方向に移動したトリガー作動部材63の先端部のローラ64は、延長部材65の円錐体部66の円錐面66tの径の大きい外周縁近傍に接している(図7参照)。
【0098】
内側操作ハンドル15がロック解除位置Poにあって、延長部材25が圧縮コイルばね35により付勢されて外側操作ハンドル55側に移動した位置にあるので、延長部材25の円柱体部27を貫通し、かつ円筒状部材12の長孔12eを貫通した係止ピン28は、両端28e,28eが内側台座11の円筒状支持部11aの内周面の開口端側に形成された円弧溝11aa,11aaの一端の被係止穴11ao,11aoに嵌入して係止して(図8参照)、係止ピン28の回動が規制されている。
【0099】
そのため、係止ピン28が長孔12eを貫通する円筒状部材12も回動が規制され、円筒状部材12と一体の内側操作ハンドル15の回動も規制される。
さらには、ハンドル回動軸31および円筒状部材52を介して外側操作ハンドル55の回動も規制される。
【0100】
なお、ハンドル回動軸31に嵌着された回動規制部材32の突起係止部32pが、外側台座51の取付け座部51bに形成された2本のストッパリブ51bc,51boのうち一方のストッパリブ51boに当接して、ハンドル回動軸31の過度の回動は規制される。
【0101】
したがって、内側操作ハンドル15と外側操作ハンドル55は、ロック解除位置Poに維持されて回動を規制されるので、ロックローラ18がロック受部19に係合できる位置に突出することが防止され、閉扉したときにロックローラ18が戸口枠5に衝突してロックローラ18や戸口枠5に損傷を与えることはない。
【0102】
内側操作ハンドル15と外側操作ハンドル55が、ロック解除位置Poにあるときに、扉8を閉め、内側操作ハンドル15のハンドルグリップ部16bを掴み、指でトリガー操作部材21を握り、トリガー操作部材21を揺動操作すると、図10に示されるように、トリガー操作部材21が上方に揺動し、リンク部材22を介してトリガー作動部材23が押し出され、トリガー作動部材23の先端部のローラ24が延長部材25の円錐体部26の円錐面26tを転動しながら押圧し、円錐体部26を円柱体部27およびスライドバー33とともに、圧縮コイルばね35のばね力に抗して外側操作ハンドル55と反対側に移動する(図11参照)。
【0103】
また、外側操作ハンドル55側のトリガー操作部材61を揺動操作すると、リンク部材62を介してトリガー作動部材63が押し出されることで、トリガー作動部材63の先端部のローラ64が延長部材65の円錐体部66の円錐面66tを転動しながら押圧し、円錐体部66を円板部67およびスライドバー33とともに圧縮コイルばね35のばね力に抗して内側操作ハンドル15側に移動する(図12参照)。
【0104】
円柱体部27が圧縮コイルばね35のばね力に抗して移動すると、円柱体部27を貫通する係止ピン28は、その両端28e,28eが内側台座11の円筒状支持部11aに形成された円弧溝11aa,11aaの一端の被係止穴11ao,11aoから抜け(図13参照)、係止が解除されることで、内側操作ハンドル15の回動が自由となるので、図2に示す室内側から視て、内側操作ハンドル15をロック解除位置Poからロック位置Pcに回動することができる。
【0105】
なお、トリガー操作部材21を操作して、係止ピン28を被係止穴11ao,11aoから抜いて係止を解除し、内側操作ハンドル15を僅かでも回動すると、トリガー操作部材21の揺動操作を終えても、係止ピン28の両端28e,28eは被係止穴11ao,11acを除く円弧溝11aa,11aaにあって円弧溝11aa,11aaに沿って係止ピン28は回動可能であり(図13参照)、したがって、円筒状部材12を介して内側操作ハンドル15も回動することができる。
外側操作ハンドル55も同様に作動する。
【0106】
閉扉した状態で、内側操作ハンドル15をロック位置Pcに回動すると、回動基部16aから突設されるロックローラ18が、旋回して戸口枠5の方に突出し、戸口枠5の鉛直枠部5aのローラ受口19hに挿入し(図2に実線で示す)、扉8を閉じ側に押え、扉8の周辺突条部8pがクッション部材7に強く押圧されて、戸口4を気密に閉塞するロック状態とすることができる。
【0107】
内側操作ハンドル15をロック位置Pcに回動すると、係止ピン28の両端28e,28eが被係止穴11ac,11acと回動位置が一致し、それまでにトリガー操作部材21の操作を終えていても、圧縮コイルばね35のばね力により係止ピン28が円柱体部27とともに軸方向の外側操作ハンドル55側に移動して被係止穴11ac,11acに係止することで、係止ピン28の回動が規制され、円筒状部材12を介して内側操作ハンドル15の回動が規制され、さらにはハンドル回動軸31および円筒状部材52を介して外側操作ハンドル55の回動が規制される(図8参照)。
【0108】
したがって、内側操作ハンドル15と外側操作ハンドル55は、ロック位置Pcに維持されて回動を規制されるので、ねじりコイルばね36が外側操作ハンドル55をロック解除位置Poに付勢していてもロック状態が維持される。
【0109】
すなわち、衝撃や振動によりロックローラ18のローラ受口19hへの挿入によるロック状態が緩むことはなく、緩むことで、コイルばね36により内側操作ハンドル15および外側操作ハンドル55が回動してロックが解除されるようなことは防止される。
また、不用意に内側操作ハンドル15または外側操作ハンドル55を回動したりするのも防止することができる。
【0110】
閉扉時に、内側操作ハンドル15と外側操作ハンドル55がロック位置Pcにあって、ロックローラ18がローラ受口19hに挿入されてロック状態にあるときに、内側操作ハンドル15側のトリガー操作部材21または外側操作ハンドル55側のトリガー操作部材61が操作されると、スライドバー33が圧縮コイルばね35のばね力に抗して内側操作ハンドル15側に移動し、円柱体部27を貫通する係止ピン28が、内側台座11の円筒状支持部11aに形成された被係止穴11ac,11acから抜け(図13参照)、係止が解除されるので、内側操作ハンドル15と外側操作ハンドル55は回動が自由となり、図2に示す室内側から視て、ロック位置Pcからロック解除位置Poに回動することができ、ロック状態を解除して、扉8を開くことができる。
【0111】
図8および図11図12を参照して、円筒状部材12とともに回動し、かつ回動中心軸Lcの軸方向に移動可能な係止ピン28が、内側操作ハンドル15および外側操作ハンドル55のロック位置Pcとロック解除位置Poの各位置で、圧縮コイルばね35の付勢力により移動して被係止穴11acまたは被係止穴11aoに係止することができ(図8参照)、内側操作ハンドル15と外側操作ハンドル55は回動が規制される。
【0112】
そして、係止ピン28が被係止穴11acまたは被係止穴11aoに係止した状態で、トリガー操作部材21,61を操作すると、トリガー変換機構20,60を介してスライドバー33が係止ピン28と一体に圧縮コイルばね35の付勢力に抗して移動して係止ピン28の被係止穴11acまたは被係止穴11aoとの係止を解除して(図13参照)、内側操作ハンドル15および外側操作ハンドル55の回動を許可するので、圧縮コイルばね35をこのように利用することで、トリガー操作部材21,61は係止ピン28の被係止穴11acまたは被係止穴11aoとの係止を解除するときにのみ操作するので、簡単な構造で、トリガー操作部材21,61の操作性を向上させることができる。
【0113】
本ロックハンドル装置10は、図7および図8に示されるように、内側操作ハンドル15とハンドル回動軸31を介して一体に回動する外側操作ハンドル55をロック解除位置Poに向かう方向に回動付勢するねじりコイルばね36を備えるので、内側操作ハンドル15および外側操作ハンドル55がロック位置Pcとロック解除位置Poの間にあるときは、係止ピン28は両端28e,28eが内側台座11の円弧溝11aa,11aaにあって回動可能で、内側操作ハンドル15および外側操作ハンドル55は、ねじりコイルばね36の付勢力によりロック解除位置Po側に回動付勢されて、開扉時に、内側操作ハンドル15が自然とロック解除位置Poに回動して、ロック解除位置Poで係止ピン28が被係止穴11aoに係止して内側操作ハンドル15と外側操作ハンドル55は回動が規制されるので、ロックローラ18がロック受部19に係合できる位置に突出して戸口枠5に衝突するような事態は回避することができる。
【0114】
図11ないし図13に示されるように、トリガー変換機構20,60は、トリガー操作部材21,61の操作による作動がリンク部材22,62を介してトリガー作動部材23,63を摺動し、同トリガー作動部材23,63の先端部のローラ24,64が延長部材25,65の円錐体部26,66の円錐面27t,67tを押圧することによりスライドバー33を圧縮コイルばね35の付勢力に抗して他方向に移動することで、簡単な構造でトリガー操作部材21,61の作動をスライドバー33の移動に変換して係止ピン28による係止を解除し、内側操作ハンドル15および外側操作ハンドル55の回動を許可することができる。
【0115】
図8を参照して、一方の延長部材25が有する円筒状部材12に摺動可能に嵌合する円柱体部27を中心軸に直交して貫通するピン状の係止ピン28は、円柱体部27より突出した端部が円筒状部材12の軸方向に長い長孔12eに軸方向に摺動可能に嵌合して貫通し同円筒状部材12とともに回動し、かつ係止ピン28の円筒状部材12の長孔12eに嵌合し貫通した端部28e,28eは、内側操作ハンドル15および外側操作ハンドル55がロック位置Pcとロック解除位置Poの各位置にあるときに、被係止穴11ac,11aoに係止可能であるので、円筒状部材12とともに回動し、かつ軸方向に相対移動可能な係止ピン28は、内側操作ハンドル15および外側操作ハンドル55がロック位置Pcとロック解除位置Poの各位置で、圧縮コイルばね35の付勢力により移動して被係止穴11ac,11aoに係止することができる。
【0116】
そして、係止ピン28が被係止穴11ac,11aoに係止した状態で、トリガー操作部材21,61を操作すると、トリガー変換機構20,60を介してスライドバー33が係止ピン28と一体に圧縮コイルばね35の付勢力に抗して移動して係止ピン28の被係止穴11acまたは被係止穴11aoとの係止を解除して、内側操作ハンドル15および外側操作ハンドル55の回動を許可することができる。
【0117】
図9および図10を参照して、トリガー操作部材21,61の揺動がリンク部材22,62を介してトリガー作動部材23,63を回動中心軸Lcに直交する方向に移動するので、操作ハンドル15,55を掴みながら、トリガー操作部材21,61を握ることで、トリガー操作部材21,61を揺動操作することができ、トリガー操作部材21,61の操作がし易く、使い勝手が良い。
【0118】
図8および図11図12を参照して、トリガー作動部材23,63の先端部にはローラ24,64が取り付けられ、同ローラ24,64が延長部材25,65の円錐体部26,66の円錐面26t,66tに接して転動しながら押圧するので、トリガー変換機構20,60が円滑に作動し、トリガー操作部材21,61の操作を容易にする。
【0119】
以上、本発明に係る一実施の形態に係るロックハンドル装置について説明したが、本発明の態様は、上記実施の形態に限定されず、本発明の要旨の範囲で、多様な態様で実施されるものを含むものである。
【0120】
例えば、本実施の形態では、ロックローラ18は内側操作ハンドル15の回動基部16aに突設されていたが、外側操作ハンドル55の回動基部56aに突設されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0121】
2…床、3…内壁、4…戸口、5…戸口枠、6…蝶番、7…クッション部材、8…扉、8a…戸先、8i…内側面、8o…外側面、
10…ロックハンドル装置、
11…内側台座、11a…円筒状支持部、11aa…円弧溝、11ac,11ao…被係止穴(被係止部)、11b…取付け座部、12…円筒状部材(筒状部材)、12f…フランジ部、12v…溝条、12e…長孔、12h…固定用孔、13…環状止め部材、14…ディテントピン、
15…内側操作ハンドル、16…ハンドル本体、16a…回動基部、16ah…円孔、16h…固定用孔、16b…ハンドルグリップ部、16p…固定用ピン、17…グリップカバー、18…ロックローラ(ロック係合部材)、19…ロック受部材、
20…トリガー変換機構、21…トリガー操作部材、21s…ねじりコイルばね、22…リンク部材、23…トリガー作動部材、24…ローラ、25…延長部材、25a…連結中心軸、25b…突出中心軸、26…円錐体部、26t…円錐面、27…円柱体部(嵌合部)、28…係止ピン(係止部材)、28e…端部、29…蓋部材、
31…ハンドル回動軸、31c…中心軸孔、31g,31h…固定用穴、32…回動規制部材、32p…突起係止部、32s…固定用ねじ、
33…スライドバー、35…圧縮コイルばね(スライドバー付勢手段)、36…ねじりコイルばね(ハンドル付勢手段)、
51…外側台座、51a…円筒状支持部、51ae…拡径部、51b…取付け座部、51bw…側壁、51bf…外周枠、51bc,51bo…ストッパリブ、52…円筒状部材(筒状部材)、52f…フランジ部、52v…溝条、52s…固定用ねじ、53…環状止め部材、
55…外側操作ハンドル、56…ハンドル本体、56a…回動基部、56b…ハンドルグリップ部、56p…固定用ピン、57…グリップカバー、
60…トリガー変換機構、61…トリガー操作部材、62…リンク部材、63…トリガー作動部材、64…ローラ、65…延長部材、65a…連結中心軸、65b…突出中心軸、66…円錐体部、66t…円錐面、67…円板部、68…円板部材、69…蓋部材。
図1
図2
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図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図13