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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-22
(45)【発行日】2023-03-30
(54)【発明の名称】自転車の推進装置
(51)【国際特許分類】
   B62M 1/12 20060101AFI20230323BHJP
【FI】
B62M1/12
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020509492
(86)(22)【出願日】2018-10-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-24
(86)【国際出願番号】 KR2018011860
(87)【国際公開番号】W WO2019074261
(87)【国際公開日】2019-04-18
【審査請求日】2021-10-11
(31)【優先権主張番号】10-2017-0132599
(32)【優先日】2017-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520052857
【氏名又は名称】ナ,ピル ス
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ナ,ピル ス
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】実公昭07-016996(JP,Y1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0018220(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドル支持棒を含む自転車に取り付けられる自転車の推進装置であって、
レバー機構によって引っ張られるストリングと、
前記ストリングが引っ張られることにより、一回転方向にのみ車輪に動力を伝達するフリーホイールとを含み、
前記レバー機構は一対が支持棒の左右にそれぞれ取り付けられ、一対のレバー機構はそれぞれストリングと連結され、
前記レバー機構に力を加えない時、前記レバー機構と前記ストリングを元の状態に復帰させる弾性部材を一つ以上備えることにより、前記レバー機構に力を加えれば前記ストリングが引っ張られ、力を除去すると前記弾性部材によって元の位置に復帰することを繰り返し、
輪軸には、水平移動して前記フリーホイールに結合するか前記フリーホイールから離脱し、前記ストリングが連結された媒介部材が取り付けられることを特徴とする、自転車の推進装置。
【請求項2】
支持棒と、
レバー機構によって引っ張られるストリングと、
前記ストリングが引っ張られることにより、一回転方向にのみ車輪に動力を伝達するフリーホイールとを含み、
前記レバー機構は前記支持棒にヒンジ結合される推進操作レバーであり、前記推進操作レバーの一端部は手で握ることができるように前記支持棒と離隔して対向し、他端部はストリングと連結され、前記推進操作レバーの一端部が前記支持棒に近づくにつれてストリングを引っ張り、
前記レバー機構と一端が連結された前記ストリングの他端は、車輪の輪軸に取り付けられた前記フリーホイールに連結され、
自転車のクランク軸の回転による車輪への動力伝達なしに、独立して車輪を回転させることを特徴とする、自転車の推進装置。
【請求項3】
支持棒と、
レバー機構によって引っ張られるストリングと、
前記ストリングが引っ張られることにより、一回転方向にのみ車輪に動力を伝達するフリーホイールとを含み、
前記レバー機構は前記支持棒にヒンジ結合される推進操作レバーであり、前記推進操作レバーの一端部は手で握ることができるように前記支持棒と離隔して対向し、他端部はストリングと連結され、前記推進操作レバーの一端部が前記支持棒に近づくにつれてストリングを引っ張り、
前記レバー機構に力を加えない時、前記レバー機構及び前記ストリングを元の状態に復帰させる弾性部材を一つ以上備えることにより、前記レバー機構に力を加えれば前記ストリングが引っ張られ、力を除去すると前記弾性部材によって元の位置に復帰することを繰り返し、
前記レバー機構と一端が連結された前記ストリングの他端は、車輪の輪軸に取り付けられた前記フリーホイールに連結され、
自転車のクランク軸の回転による車輪への動力伝達なしに、独立して車輪を回転させることを特徴とする、自転車の推進装置。
【請求項4】
支持棒と、
レバー機構によって引っ張られるストリングと、
前記レバー機構は一対が支持棒の左右にそれぞれ取り付けられ、一対のレバー機構はそれぞれストリングと連結され、
前記ストリングが引っ張られることにより、一回転方向にのみ車輪に動力を伝達するフリーホイールとを含み、
前記レバー機構は、前記支持棒に嵌合されて回動する円筒状部材である回動体と、前記回動体にヒンジ結合される推進操作レバーとを含んで形成され、前記推進操作レバーの一端部は手で握ることができるように前記支持棒と離隔して対向し、他端部はストリングと連結されることを特徴とする、自転車の推進装置。
【請求項5】
レバー機構と支持棒は自転車ハンドルの左右両側にそれぞれ備えられ、左右側のそれぞれのレバー機構にそれぞれのストリングの一端部が連結され、それぞれのストリングの他端部はフリーホイールに連結されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の自転車の推進装置。
【請求項6】
輪軸には、水平移動して前記フリーホイールに結合するか前記フリーホイールから離脱し、前記ストリングが連結された媒介部材が取り付けられることを特徴とする、請求項~3のいずれか一項に記載の自転車の推進装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自転車の推進装置に関するもので、より詳しくは両手の握力をペダルを踏む動作とともに用いて自転車を推進させることができる装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、自転車は足の力でペダルを踏んで推進動力を得るが、自転車に乗っていくにつれて足の力が尽きて力が足りない場合がたびたび発生する。よって、このような問題を改善するために、既に多くの人々が足の力とともに腕の力で動力を発生させることができる手足自転車を開発して来た。しかし、このような手足自転車は、特殊用途に使われる一部の場合を除けば、多くの人々に一般的に使われてはいない。
【0003】
従来の手足自転車が成功できなかった重要な理由は、方向調整が同時にできないからである。自転車に乗る時、腕の力はほとんど使われないが腕は非常に重要な役割を達成する。腕は毎瞬間に絶え間なく方向を調整するため、自転車が倒れずに均衡を維持することができる。従来の手足自転車では、腕で動力を発生させるため、同時に方向調整ができず自転車の均衡を保つことができない致命的な問題が発生する。腕で動力を発生させる動作とこれとは違う動作である方向調整を同時に自由に行うことは不可能であり、これは従来の腕の力を用いる全ての手足自転車が有する限界であると言える。
【0004】
従来の全ての手足自転車は方向調整が同時にできないため、均衡を失って倒れる問題が発生する。このような問題を克服するために車輪が三つである場合があるが、三輪自転車は二輪自転車のように走行が円滑ではない。また、両腕を回転させながら方向調整を行う製品があるものの、これは方向調整がとても難しいため、選手のように熟練した者のみ乗ることができ、方向が決まっているトラックでのみ乗ることができる。その他に、身の中心を用いて方向調整を行う場合もあるが、このような発明のいずれも方向調整の限界を完全に克服することはできず、従来の自転車より不便で危険である。
【0005】
手足の両方から動力を得る従来技術として、韓国公開特許第10-2005-0031092号公報のような技術と、韓国登録実用新案第20-0199382号公報のような技術、韓国特許登録第87-5183U号のような技術が提案されたことがある。
【0006】
ところが、従来の手足自転車は腕の力で動力を発生させるため、均衡を維持しにくく、形状及び構造の変化が発生して従来の自転車の特性を失う。
【0007】
以前の手足自転車が成功することができなかったさらに他の理由は、従来の自転車が簡潔でありながらも調和しているためである。自転車は足でペダルを踏んで動力を発生させ両腕でハンドルを調整することに腕と足の役割分担が調和を成し、最小化した構造によって重さを減らし、機械装置の効率を高める。仮に、このような構造に腕で動力を伝達する機能が付け加わればその構造は複雑になって重さも増加するしかない。そのような手足自転車が従来の自転車より比較優位にあるように開発することはとても難しいだろう。
【0008】
本発明は、従来の手足自転車の試みにおいて走行中に均衡を保ちにくい問題を解決するために、腕の力ではない両手の握力を用いる。すなわち、従来の自転車のように足はペダルを踏み、両腕はハンドルを調整し、単に必要な場合に両手の握力を用いて追加の動力を発生させる構造である。手と腕は別に動ける身体部位であり、握力は腕の動きとは関係なく使用可能である。したがって、握力を用いて追加の動力を発生させると、従来の手足自転車で発生する均衡を失う問題を解決することができる。
【0009】
従来の自転車において両手の握力はブレーキをかける時に用いる。このために、握力を発生させる一対のレバー機構をブレーキレバーとともに取り付ける。ブレーキをかける時と追加の動力を発生させる時共に両手の握力を用いることになる。ブレーキレバーを握る時は速度を減速させる場合であり、レバー機構を握る時は動力を発生させて速度を増加させる場合である。すなわち、これらの場合には時間差があるため、ブレーキレバーを握りながら同時にレバー機構も握らなければならない問題は発生しない。これは、自動車においてアクセレレーターペダルとブレーキペダルが近接して位置し、片足で両ペダルを使えるものと同様な理知である。
【0010】
握力は自転車においてブレーキをかけるのに使われ、日常生活でも強く使わない。このために、握力を用いて自転車の推進動力を発生させることができると考えることは易しくないだろう。しかし、続けて乗ってみると、普通男性の場合は片手の握力が50kg以上に至る。本発明では、握力の効率を高めるために、片手ではなく両手の握力を一緒に使う。両手の握力が合わせられるので、100kg以上の動力が発生することができ、これは足でペダルを踏む力に劣らない大きな動力である。両手の握力を一緒に使用して合わせるために、本発明では、ハンドルの両側の一対のレバー機構に連結されたストリングが1本に合わせられるようにして推進動力の大きさを極大化することができる。
【0011】
本発明では、ワイヤのようなストリングを使い、レバー機構と車輪軸部分の媒介部材を連結して、単純に引っ張る力を伝達する。このストリングは従来の自転車の構造を変化させずに簡単に取り付けることができ、重さの増加を最小化することができるようにする。従来の手足自転車は、動力の伝達のために金属棒を使うが、これは単純に引っ張ることができず多くの節が必要であるため、自転車の構造を変化させて従来の自転車の特性を失うようにし、重さを増加させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】韓国公開特許第10-2005-0031092号公報
【文献】韓国登録実用新案第20-0199382号公報
【文献】韓国特許登録第87-5183U号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、前述したように、従来の自転車において足の力とともに追加の動力を用いて走行効率を高めながらも、中心を保ちにくい問題が発生しないようにすることである。また、自転車の構造を変化させずに簡単な装置のみ付着してこのような追加の動力を発生させることができるようにし、必要な場合にのみ選択的に使うことができるようにし、使わない時は、従来の自転車と完全に同様に乗ることができるようにすることである。すなわち、本発明は、従来の自転車に取り付けて必要な場合に使うことができる利点があるが、従来の自転車として乗る時にも相違点又は欠点がない自転車を実現することに目的がある。
【0014】
本発明は、従来の自転車に両手の握力でも推進することができる機能を付け加える装置である。この付加の装置により、従来の自転車の機能に差し支えを与えず、追加の動力が必要な場合に選択的に使えるようにすることに目的がある。従来の自転車は、後輪軸の一側面にはチェーンが巻かれ、フリーホイールが入っているギア体が位置し、その反対側面にはある程度の余裕空間がある。本発明は、その余裕空間に、後輪と結合され、フリーホイールを含む媒介部材を取り付ける。従来の場合のようにペダルのみ使えば、ギア体にあるフリーホイールは力を受けるが、媒介部材にあるフリーホイールが空回りして、本発明の推進装置がない時のように、作動に差し支えを与えない。反対の場合にはよく使わないが、ペダルは使わずに両手の握力のみ用いて自転車を推進することもできる。この場合、媒介部材にあるフリーホイールが力を受けて推進動力を発生させるが、ギア体にあるフリーホイールが空回りするので、作動に差し支えを与えない。そして、丘に上がるか加速するか足の力が尽きて力を分散しようとする時、足でペダルを踏みながら同時に両手でレバー機構を繰り返し握って推進動力を倍加することができる。この時、両側のフリーホイールが同時に力を受けることが繰り返されて足と両手の力を一緒に伝達する。すなわち、本発明の推進装置を装着した自転車は、必要な場合に選択的に追加の動力を得ることができる大きな利点があるが、それによる欠点はほとんど発生しない。そのために、本発明の推進装置は、軽くて単純なストリングを使い、輪軸の一側空間に媒介部材を設け、またレバー機構は従来のブレーキレバーと一体型に製作することができるので、従来の自転車の外形及び機能をそのまま維持することができる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記目的を達成するための本発明による自転車の推進装置は、レバー機構と、レバー機構によって引っ張られるストリングと、ストリングが引っ張られることにより、一回転方向にのみ車輪に動力を伝達するフリーホイールとを含み、レバー機構は、支持棒にヒンジ結合されてストリングを引っ張って操作する推進操作レバー、又は支持棒に回動可能に取り付けられ、回動によってストリングを引っ張る回動体の中で少なくとも一つを備える。
【0016】
レバー機構又はストリング又はフリーホイール又は媒介部材の少なくとも1箇所には、レバー機構に力を加えない時、元の状態に復帰させる弾性部材が少なくとも一つ備えられる。
【0017】
輪軸には、水平移動してフリーホイールに結合するかフリーホイールから離脱し、ストリングが連結された媒介部材が取り付けられる。
【0018】
媒介部材は、普段に弾性部材によってフリーホイールに結合され、後進時に自転車の媒介部材に連結されたストリングを引っ張ることによってフリーホイールから離脱される。
【0019】
媒介部材は普段に弾性部材によってフリーホイールから離脱され、ストリングが引っ張られることにより、媒介部材が回転しながら水平移動してフリーホイールに結合し、ストリングが引っ張られなければ媒介部材が元の位置に復帰するように構成されることもできる。
【0020】
輪軸には、輪軸に回転可能に結合された連結部材が位置し、連結部材には、媒介部材に結合される螺旋突起又は螺旋溝が形成されることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明による自転車の推進装置によれば、足及び脚でペダルを踏んで後輪に動力を伝達する過程とは別に、簡単な装置を付け加えて両手の力で自転車の車輪を推進させる力を得ることができ、従来の一般自転車に乗る方式で同様に用いながらも必要な状況に追加の推力を提供する効果がある。また、両手の力を使うことにより、従来に宛の力で作動する自転車が均衡を失う問題点を克服した。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施例による推進装置が装着された自転車を示す概略図である。
図2】本発明の一実施例による自転車の推進装置のレバー機構を示す構成図である。
図3】本発明の他の一実施例による自転車の推進装置のレバー機構を示す構成図である。
図4】本発明の一実施例による自転車の推進装置の輪軸部分を示す構成図である。
図5】本発明の一実施例による自転車の推進装置のフリーホイールを示す構成図である。
図6】本発明のさらに他の実施例による自転車の推進装置の輪軸部分を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面に基づいて本発明の好適な実施例を詳細に説明する。ここで、添付図面で同じ構成要素はできるだけ同じ符号で示すことに留意する。また、本発明の要旨をあいまいにする可能性がある公知の機能及び構成についての詳細な説明は省略する。同様な理由で、添付図面において一部の構成要素は誇張するか省略するか概略的に示した。
【0024】
図1は本発明の実施例による推進装置が装着された自転車を示す概略図、図2及び図3は本発明の一実施例と他の一実施例による自転車の推進装置のレバー機構を示す構成図、図4は本発明の一実施例による自転車の推進装置の輪軸部分を示す構成図である。
【0025】
図2に示すように、推進装置100が装着された自転車10は、フレーム11と、フレーム11の両側に取り付けられた前輪12及び後輪13と、フレーム11の中間に取り付けられたペダル14と、ペダル14の踏力を後輪13に伝達する動力伝達手段として、後輪軸とペダル軸にそれぞれ取り付けられるスプロケット15a、15b及び両スプロケット15a、15bの間を連結するチェーン16と、フレーム11に取り付けられる鞍17及びハンドルとを含んで形成される。
【0026】
推進装置100はハンドルと輪軸Sとの間にわたって取り付けられ、支持棒18と、レバー機構110と、ストリング120と、ラチェット機構140が内蔵されたフリーホイール130とを含む。本発明は、基本的にレバー機構110と、ストリング120と、ラチェット機構140が内蔵されたフリーホイール130とを備えた構造に実施できるが、本発明の一実施例は、媒介部材150と、連結部材160と、スプリング170とをさらに含む構造を例として説明する。
【0027】
また、本発明のラチェット機構140が内蔵されたフリーホイール130は前輪12又は後輪13の輪軸Sに選択的に取り付けられるか、あるいは前輪12及び後輪13の両輪軸Sに取り付けられることができる。本発明の実施例では、ラチェット機構140が内蔵されたフリーホイール130と、媒介部材150と、ベアリングなどの連結部材160と、スプリングなどの弾性部材170とが後輪13の輪軸Sに取り付けられる構造を基準に説明する。
【0028】
支持棒18は棒状の構造物で、手が握力を発揮することができるように母指又は母指ではない残りの指で支持する部分であり、図2のように、本発明の好適な一実施例では自転車のハンドルが支持棒となるように構成したが、ハンドルとは別に構成してハンドルに隣接した自転車の構成要素に付着して使うこともできる。
【0029】
レバー機構110はストリングを引っ張ることができる装置である。本発明の好適な一実施例では、推進操作レバー112を備え、追加的に回動体111も備えることができる。前記回動体111は支持棒18に回動可能に取り付けられる。前記推進操作レバー112は支持棒18又は回動体111にヒンジ結合される。前記推進操作レバー112は手で握る力である握力で操作し、回動体111は手首をひねる力で操作する。支持棒に位置する前記操作レバーは両手の握力を用いるので左右に一対が取り付けられ、一対のレバー機構はそれぞれストリングと連結され、自転車の車輪が回転するように動力を伝達する。推進操作レバー112と回動体111が一緒に取り付けられた場合には、握力と手首をひねる力を一緒に使用して操作する。図2及び図3には従来の自転車で使用するブレーキを操作するブレーキ操作レバーは表示されていない。ブレーキ操作レバーは推進操作レバーとともに回動体に取り付けられるかハンドルの両側に取り付けられることができる。図2はハンドルの両側に推進操作レバー112が取り付けられた構造を、図3はハンドルの両側に推進操作レバー112と回動体111が一緒に取り付けられた構造を例示している。レバー機構110は回動体111及び推進操作レバー112のいずれか一つのみ備えるか、回動体111及び推進操作レバー112を同時に備えることもできる。また、前述した推進操作レバーや回動体の他にも、ストリングを引っ張ることができる多様な装置を備えてレバー機構を構成することができる。
【0030】
回動体111は支持棒に嵌合されて回動する円筒状部材であり、支持棒に回動可能に取り付けられ、手首をひねる力によってストリング120を引っ張る役割をする。回動体111の内部には、回動体111を操作しない時、回動体111を元の位置に復帰させるねじりスプリングなどの弾性部材が結合されることができる。回動体111の最大回動角度によってストリングが引っ張られる長さが決まる。
【0031】
推進操作レバー112は前記支持棒18にヒンジ結合されるテコ状のものであり、前記推進操作レバーの一端部は前記支持棒と離隔して対向し、他端部はストリングと連結される部分であり、前記推進操作レバーの一端部が前記支持棒に近づきながらストリングを引っ張る。本発明の一実施例は、使用者が人差し指、中指、薬指、小指などは支持棒18に載せて支持した状態で母指で推進操作レバー112を引っ張って手の握力を発揮することができるようにした。
【0032】
一方、他の実施例は、推進操作レバー112が回動体111にヒンジ結合されるようにしたが、同様に支持棒と離隔して対向するようにした。
【0033】
ここで、手の握力によってストリング120を引っ張る役割をする。推進操作レバー112は、手で握る把持部112aと、ストリング120が端部に連結されるストリング連結部112bとを含んで形成され、これらの長さ、比率、大きさ、形態などによって引っ張られるストリングの長さが変わる。
【0034】
把持部112aとストリング連結部112bが会う部位が回動体111にヒンジ結合されるヒンジ部を成している。ヒンジ部には、推進操作レバー112が操作されない時に元の位置に復帰させるねじりスプリングなどの弾性部材が結合されることができる。
【0035】
把持部112aの自由状態でハンドル18の相互間の比率、大きさ及び形態によってストリング120が引っ張られる長さが決まり、回動体120の回動とともに合わせられ全体的にストリング120が最大に引っ張られることができる長さが決定される。
【0036】
ストリング120は、ハンドルの両側のレバー機構110のストリング連結部112bに連結された2本のストリング120a、120bが単一ストリング120cに合わせられ、輪軸Sに取り付けられたフリーホイール130又は媒介部材150に連結される引張ワイヤである。よって、ハンドルの一側のレバー機構110のみ操作しても輪軸Sに操作力が伝達される。ハンドルの両側にそれぞれ位置する推進操作レバー112に連結された2本ストリングが1本に合わせられることは両手の力を同時に使用して推進動力を極大化するためのものであるので、2本のストリングが1本に合わせられる地点はストリング上の一部分でもあり得るが、媒介部材又はフリーホイールとなることもでき、2本のストリングが媒介部材又はフリーホイールに同時に連結されることもできる。
【0037】
ストリング120は金属材のワイヤを意味するが、纎維ケーブル、合成樹脂からなる紐及びその他の材料から長細くなって各個体を連結することができる紐まで広く含む。ストリング120はハンドル18及びフレーム11に取り付けられた複数の案内管121の内部を通して案内されてフリーホイール130又は媒介部材150に連結される。
【0038】
フリーホイール130はストリング120が引っ張られることにより、一回転方向にのみ車輪に動力を伝達する機構であり、車輪の側面に固定されて輪軸Sに回転可能に取り付けられる。フリーホイール130の外側面(車輪の反対側面)には媒介部材140がかかる噛合部131が形成される。噛合部131は、鋸歯、ギア、四角形凹凸、円弧形凹凸又はネジ部形態の歯部が円周方向に形成された構造である。フリーホイールの形態はこれに限定されず、一方向に回転する時にのみ動力を伝達し、反対方向に回転する時は動力を伝達しない多様な形態になることができる。すなわち、このような目的で他の機械装置で使用されるクラッチベアリング(Clutch bearing)又はラチェットを使う他の形態の機械装置とその他の多様な形態の装置とが含まれる。ここで、フリーホイールは、ペダルを踏むか坂道に沿って降りる時にストリングが引っ張られ自転車の走行を妨げることを防止するために必要である。
【0039】
ラチェット機構140は、図4に示すように、フリーホイール130の内部に位置し、輪軸Sに取り付けられ、フリーホイール130の回動によって輪軸Sを一方向にのみ回転させる機構である。ラチェット機構140は、フリーホイール130の内面に形成されたラチェット歯部141と、ラチェット歯部141の歯にかかって回転力を一方向にのみ伝達するポール142と、ポール142がヒンジ結合され、輪軸Sに固定されるラッチ板143と、ラッチ板143とポール142との間に挟まれてポール142に弾性力を加える板スプリング144とを含む。
【0040】
図4で、フリーホイール130が反時計方向に回転すると、この回転力がポール142とラッチ板143を介して輪軸Sに伝達されることにより、車輪が回転する。フリーホイール130が時計方向に回転すると、フリーホイール130の回転力は車輪に伝達されず、空回りする。
【0041】
輪軸Sにはフリーホイール130に結合される媒介部材150が取り付けられ、媒介部材150にはストリング120が連結され、ストリング120が引っ張られることにより、媒介部材150が回転しながら水平移動してフリーホイール130に結合し、ストリング120が引っ張られなければ、媒介部材150が元の位置に復帰する。媒介部材150の外側面(フリーホイール側の面)にはフリーホイール130の噛合部131と噛み合う対応噛合部151が形成される。対応噛合部151は、鋸歯、ギア、四角形凹凸、円弧形凹凸又は螺旋形態の歯が円周方向に形成された構造である。媒介部材150の外周面には、ストリング120が巻かれるか解かれる溝部152が形成される。
【0042】
また、輪軸Sには螺旋突起又は螺旋溝からなる螺旋部161が形成された連結部材160が輪軸に回転可能に固定され、媒介部材150の内面には、螺旋部161に結合される対応螺旋溝又は対応螺旋突起からなる対応螺旋部153が形成される。連結部材160は媒介部材150の内側に位置する。そして、フリーホイール130と媒介部材150との間には媒介部材150を復帰させるスプリング(弾性部材)170が輪軸Sに嵌合される。また、図面に示してはいないが、復帰を助けるために、連結部材にもスプリングのような弾性部材170がさらに取り付けられることができる。
【0043】
一方、媒介部材150は普段に弾性部材によってフリーホイール130に結合され、後進時にレバー操作によって水平移動してフリーホイール130から離脱する構造に構成されることもできる。ここで、弾性部材(スプリング)170は媒介部材150に取り付けられ、媒介部材150が普段にフリーホイール130に結合するようにする結合力を付与する。
【0044】
輪軸Sの端部には媒介部材150が抜け出ないようにリング部材181を介してナット182が固定される。
【0045】
このように構成された本発明の一実施例による推進装置100が装着された自転車10において、坂道の上り坂走行又は加速走行の際、手でハンドル18及び推進操作レバー112を握るか、握りながら手首をひねて回動体111を回動させると、案内管121を通して媒介部材150に連結されたストリング120が引っ張られる。
【0046】
ストリング120が引っ張られると、媒介部材150が回転するにつれてその対応螺旋部153が連結部材160の螺旋部161と噛み合ってフリーホイール130側に輪軸Sに沿って水平移動することになる。水平移動した媒介部材150の対応噛合部151がフリーホイール130の噛合部131と噛み合い、ストリング120がさらに引っ張られると、図4に示すように、フリーホイール130が反時計方向に回転することにより、ポール142とラッチ板143を介して輪軸Sに回転力が伝達され、車輪に追加の推力を与えるようになる。
【0047】
推進操作レバー112及び回動体111に手で握る力又は手首をひねる力を加えなければ、弾性部材170の復元力によって媒介部材150がフリーホイール130から離れて元の位置に復帰するようになる。
【0048】
弾性部材の位置は複数箇所であることができる。
【0049】
前記スプリングのような弾性部材は、握力又は手首をひねる力によって引っ張られたストリングが元の位置に復帰して反復的な動力伝達を容易に行うために弾性力を加えるものである。前記弾性部材によってストリングが引っ張られると、ストリングが連結された推進操作レバー112又は回動体111、推進操作レバー112及び回動体111が一緒に取り付けられた場合には、推進操作レバー112及び回動体111が引っ張られ元の位置に復帰して、握力又は手首をひねる力を簡単に繰り返し使用することができるようにする。前記弾性部材は媒介部材150又はフリーホイール130又はストリング120又は推進操作レバー112又は回動体111などに結合して使用することができ、その他にも他の多様な構成部に結合して使うこともできる。
【0050】
手で握る力である握力又は手首をひねる力などの推力によって引っ張られたストリングは、推力を除去すると、弾性部材の弾性力によって自動で元の位置に復帰し、さらに推進操作レバー、回動及び媒介部材なども元の位置に復帰するようにして、便利に推力を繰り返し使用することができるようにする。
【0051】
このように、推進操作レバー112と回動体110に繰り返して力を加えることにより、前輪又は後輪に追加の推力を加えることができるようになる。
【0052】
図6は本発明のさらに他の実施例による自転車の推進装置の輪軸部分を示す構成図である。図6の実施例は、図4の媒介部材150及び連結部材160なしに、図5のフリーホイール330が輪軸Sに回転可能に取り付けられた構造である。図6の実施例は、媒介部材なしに車輪に固定されたフリーホイールにストリングが直接連結されるため、後進するのに制限が従う。しかし、自転車は後進の必要性が高くないので、製作が容易であるという利点がある。
【0053】
図6の実施例で、フリーホイール330の外周面には、ストリング120が巻かれるか解かれる溝部332が形成される。フリーホイール330又はストリング120には、ストリング120が引っ張られない時、フリーホイール330を元の位置に復帰させるスプリングのような弾性部材170が備えられることができる。
一方、本明細書及び図面に開示した本発明の実施例は、本発明の記述内容を簡単に説明し、本発明の理解を助けるために、特定の例を提示したものであるだけで、本発明の範囲を限定しようとするものではない。ここで開示した実施例の他にも本発明の技術的思想に基づく他の変形例を実施することができるというのは本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に明らかである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6