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特許7249061N^N^C^N型四座白金(II)錯体の製造及び使用
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  • 特許-N^N^C^N型四座白金(II)錯体の製造及び使用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-22
(45)【発行日】2023-03-30
(54)【発明の名称】N^N^C^N型四座白金(II)錯体の製造及び使用
(51)【国際特許分類】
   C07F 15/00 20060101AFI20230323BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20230323BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20230323BHJP
   H10K 50/00 20230101ALI20230323BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20230323BHJP
【FI】
C07F15/00 F CSP
C07D401/14
C09K11/06 660
H05B33/14 B
H05B33/10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021529021
(86)(22)【出願日】2019-11-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-31
(86)【国際出願番号】 CN2019115180
(87)【国際公開番号】W WO2020134568
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-05-21
(31)【優先権主張番号】201811626574.4
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515177907
【氏名又は名称】広東阿格蕾雅光電材料有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】康 健
(72)【発明者】
【氏名】戴 雷
(72)【発明者】
【氏名】蔡 麗菲
【審査官】早乙女 智美
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0248137(US,A1)
【文献】特開2012-017314(JP,A)
【文献】特表2012-502986(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03392257(EP,A1)
【文献】特開2018-184397(JP,A)
【文献】鈴木 章,芳香族ボロン酸誘導体を用いるビアリール化合物合成に関する最近の進歩,有機合成化学協会誌,2005年,63(4),pp. 312-324
【文献】ISHIYAMA, T. et al.,Palladium(0)-Catalyzed Cross-Coupling Reaction of Alkoxydiboron with Haloarenes: A Direct Procedure for Arylboronic Esters,Journal of Organic Chemistry,1995年,60,pp. 7508-7510
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F15/00
C07D401/14
C09K11/06
H01L51/50
H05B33/10-33/14
CAplus/REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
N^N^C^N四座白金(II)錯体であって
式(P)に示される構造を有し、
【化1】
式中、R’ 1 およびR’ 2 は、独立して1~10個のC原子を含む飽和アルキル基から選択され、R’ 3 とR’ 4 との組み合わせは、R’ 3 は水素であり、かつ、R’ 4 は、1~10個のC原子を含む飽和アルキル基、もしくは、1つ以上のC 1 ~C 4 アルキルで置換または置換されていない、5~20個のC原子を含むアリール基から選択されるか、または、R’ 3 は、1~10個のC原子を含む飽和アルキル基、もしくは、1つ以上のC 1 ~C 4 アルキルで置換または置換されていない、5~20個のC原子を含むアリール基から選択され、かつ、R’ 4 は水素であるか、のいずれかであり、R’ 5 は水素である
【請求項2】
以下の構造を有する請求項1に記載の錯体。
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

【化5】
【請求項3】
以下の構造を有する請求項に記載の錯体。
【化5】
【請求項4】
請求項1に記載の錯体の前駆体であって、配位子であり、その構造式は以下の式に示され、
【化6】
式中、R’ 1 およびR’ 2 は、独立して1~10個のC原子を含む飽和アルキル基から選択され、R’ 3 とR’ 4 との組み合わせは、R’ 3 は水素であり、かつ、R’ 4 は、1~10個のC原子を含む飽和アルキル基、もしくは、1つ以上のC 1 ~C 4 アルキルで置換または置換されていない、5~20個のC原子を含むアリール基から選択されるか、または、R’ 3 は、1~10個のC原子を含む飽和アルキル基、もしくは、1つ以上のC 1 ~C 4 アルキルで置換または置換されていない、5~20個のC原子を含むアリール基から選択され、かつ、R’ 4 は水素であるか、のいずれかであり、R’ 5 は水素である前駆体。
【請求項5】
請求項1~のいずれか一項に記載の錯体のOLED発光素子における使用。
【請求項6】
前記請求項1~のいずれか一項に記載の錯体が熱蒸着、スピンコーティング、インクジェット印刷によって層の形でOLED発光素子に印加される請求項に記載の使用。
【請求項7】
前記請求項1~のいずれか一項に記載の錯体が発光層において光子放出作用を有するリン光ドーパント材料である請求項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新型のN^N^C^N四座白金(II)錯体金属有機材料に関し、特にOLED発光素子の発光層中で光子発射作用を有するリン光ドーパント材料に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光ダイオード(Organic Light-Emitting Diode,OLED)は1979年にアメリカ国籍の華人教授であるChing W.Tangが実験室で発見したものであり、自己発光、広視野角、無限に高いコントラスト、低い消費電力、非常に高い反応速度及び潜在的な柔軟性および折りたたみ性能などの利点を有するため、ずっと広く関心を持たれて検討されている。
【0003】
OLED材料の分野において、リン光系OLED発光層のドーパント材料の発展は迅速で、成熟しており、それは主にイリジウム、白金、ユーロピウム、オスミウムなどの重金属有機錯体に基づくものである。リン光材料は発光過程において、一重項と三重項励起子のエネルギーを十分に利用できるため、理論上、その量子効率は100%に達することができ、現在、業界で広く使用されている発光材料である。
【0004】
近年、白金(II)によるリン光OLED材料が徐々に発展しており、良好な研究成果が得られている。よく見られるイリジウム(III)が八面体配位構造を形成するのに対し、白金(II)は四配位であるため、一般に平面構造の錯体が形成され、その配位子は主に二座、三座および四座配位子に分けられる。
【0005】
四座配位子は、二座又は三座配位子と比較して、以下の利点を有する。
1)配位子から一歩反応すれば白金(II)錯体を合成できるので、白金(II)錯体の製造と精製が容易である。
2)白金(II)錯体を合成する過程で異性体の生成がなく、構造が一意である。
3)キレート配位であり、構造が安定的である。
4)比較的良好なリン光放射効率を有する。
【化1】
【0006】
四座配位子系白金(II)錯体はその独特な性能により、多くの研究と注目を集め、特に支志明院士の課題グループはこのような錯体に対して深い研究を行い、優れた成果を得た。2003年に、支志明らはまずPt(O^N^N^O)系錯体を報告したが、式(1)に示すとおりである。2004年に、支志明らは一連のシッフ塩基系Pt(O^N^N^O)に基づく錯体を報告しており、式(2)に示すように、その合成が簡単で、安定性が高く、良好な赤光発射を示し、良好な産業化の将来性を有する。支志明らは継続してPt(O^N^N^O),Pt(N^N^N^N),Pt(C^N^N^C),Pt(N^C^C^N),Pt(C^C^N^N),Pt(O^C^C^O),Pt(O^N^C^N),Pt(N^C^C^C)系Pt(II)錯体を報告しており、よい効果が得られた。ちなみに、Liらは一連のピラゾール-カルバゾール系Pt(II)錯体を報告しており、それは性能が優れており、非常に高い効率と低いロールオフ効果を示し、式(4)~(10)に示すように、式(4)に基づく緑光OLED外量子効率は25.6%と高い。
【化2】
【0007】
四座配位子系白金(II)錯体は良好な性能を示すと同時に、白金(II)錯体の平面構造の特性により、その分子間は堆積しやすく、エキサイマーを形成しやすいなどで、OLED素子の性能に影響を与え、式(5)に示すように、一般的には、t-ブチル基などの嵩高い基を分子に加えることで、分子の立体構造を増強させ、分子間の相互作用を弱める。
【0008】
OLEDディスプレー技術の発展は困難で意義が大きい研究であり、良好な特性を有すると同時に使用年数が短く、色彩純度が悪く、老化しやすいなどの欠点があり、OLED技術の大規模な応用が制限されている。そのため、新型の性能が優れているOLED材料、特に発光層のドーパント材料を設計することは、OLED分野の研究の重点であり、難点である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明では、新型のカルバゾール骨格に基づくN^N^C^N配位構造を有するPt(II)錯体を設計し、有機発光ダイオードにおけるその応用を検討した。カルバゾールは電子リッチな窒素含有複素環化合物の一つであり、大きなπ-共役剛性平面構造を有し、この独特な構造によってその誘導体が多くの優れた光電性能を示す。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る新型のN^N^C^N四座白金(II)錯体金属有機材料は、下式に示す構造を有する。
【化3】
【0011】
式中、R1~R16は独立して水素、重水素、硫黄、ハロゲン、水酸基、アシル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、ニトロ基、アシルアミノ基、シアノ基、カルボキシル基、スチレニル基、アミノカルボニル基、カルバモイル基、ベンジルカルボニル基、アリールオキシ基、ジアリールアミン基、1~30個のC原子を含む飽和アルキル基、1~20個のC原子を含む不飽和アルキル基、5~30個のC原子を含む置換または無置換のアリール基、5~30個のC原子を含む置換または無置換のヘテロアリール基から選ばれ、あるいは、隣接するR1~R16は相互に共有結合によって結合して環を形成する。
【0012】
好ましくは、R1~R16は独立して水素、ハロゲン、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、ジアリールアミン基、1~10個のC原子を含む飽和アルキル基、ハロゲンまたは1つ以上のC1~C4アルキル基で置換された、または置換されていない5~20個のC原子を含むアリール基、ハロゲンまたは1つ以上のC1~C4アルキル基で置換された、または置換されていない5~20個のC原子を含むヘテロアリール基から選ばれ、あるいは、隣接するR1~R16は相互に共有結合によって結合して環を形成し、前記ハロゲンはF、Cl、Brである。
【化4】
【0013】
式中、R1’~R5’は独立して水素、ハロゲン、ジアリールアミン基、1~10個のC原子を含む飽和アルキル基、ハロゲンまたは1つ以上のC1~C4アルキル基で置換された、または置換されていない5~20個のC原子を含むアリール基、ハロゲンまたは1つ以上のC1~C4アルキル基で置換された、または置換されていない5~20個のC原子を含むヘテロアリール基から選ばれ、あるいは、隣接するR1’~R5’は相互に共有結合によって結合して環を形成し、前記ハロゲンはF、Cl、Brである。
【0014】
好ましくは、R1’~R5’の5個の基において、0~3個の基は独立してジアリールアミン基、ハロゲンまたは1~3個のC1~C4アルキル基で置換されたまたは置換されていない5~10個のC原子を含むアリール基、ハロゲンまたは1~3個のC1~C4アルキル基で置換されたまたは置換されていない5~10個のC原子を含むヘテロアリール基を表し、他の基は独立して水素、ハロゲンまたは1~8個のC原子を含む飽和アルキル基を表し、前記ハロゲンはF、Clである。
【0015】
好ましくは、R1’~R5’の5個の基のうち、0~3個の基は独立してジフェニルアミノ基、C1~C4アルキル基で置換された、または置換されていないフェニル基、ピリジル基、カルバゾリル基を表し、他の基は独立して水素、フッ素、1~4個のC原子を含む飽和アルキル基を表す。
【0016】
前記化合物の前駆体であって、配位子であり、その構造式は以下の式(12)に示される。
【化5】
【0017】
式中、R1~R16は独立して水素、重水素、硫黄、ハロゲン、水酸基、アシル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、ニトロ基、アシルアミノ基、シアノ基、カルボキシル基、スチレニル基、アミノカルボニル基、カルバモイル基、ベンジルカルボニル基、アリールオキシ基、ジアリールアミン基、1~30個のC原子を含む飽和アルキル基、1~20個のC原子を含む不飽和アルキル基、5~30個のC原子を含む置換または無置換のアリール基、5~30個のC原子を含む置換または無置換のヘテロアリール基から選ばれ、あるいは、隣接するR1~R16は相互に共有結合によって結合して環を形成する。
【0018】
好ましくは、前駆体は、その構造式が以下の式に示される。
【化6】
【0019】
式中、R1’~R5’は独立して水素、ハロゲン、ジアリールアミン基、1~10個のC原子を含む飽和アルキル基、ハロゲンまたは1つ以上のC1~C4アルキル基で置換された、または置換されていない5~20個のC原子を含むアリール基、ハロゲンまたは1つ以上のC1~C4アルキル基で置換された、または置換されていない5~20個のC原子を含むヘテロアリール基から選ばれ、あるいは、隣接するR1’~R5’は相互に共有結合によって結合して環を形成し、前記ハロゲンはF、Cl、Brである。
【0020】
本出願の目的のために、特に明記されていない限り、用語ハロゲン、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アシル基、アルコキシ基、ヘテロ環芳香族系又はヘテロ環アリール基は以下のような意味を持つことができる。
【0021】
前記ハロゲンまたはハロは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を含み、F、Cl、Brが好ましく、F又はClが特に好ましく、Fが最も好ましい。
【0022】
前記共有結合により結合して環を形成し、アリール基、ヘテロアリール基は5~30個の炭素原子を有し、5~20個の炭素原子が好ましく、更に5~10個の炭素原子でかつ一つの芳香環又は複数の縮合している芳香環からなるアリール基が好ましい。好適なアリール基は、例えば、フェニル基、ナフチル基、アセナフテニル基(acenaphthenyl)、ジヒドロアセナフチル基(acenaphthenyl)、アントリル基、フルオレニル基、フェナントリル基(phenalenyl)である。このアリール基は、置換されていない(置換可能なすべての炭素原子が水素原子を持つ)か、1つ以上またはすべてのアリール基の置換可能な位置で置換される。好適な置換基は以下の通りである。例えばハロゲンであり、好ましくはF、Br又はClである;アルキル基であり、好ましくは1~20個、1~10個又は1~8個の炭素原子を有するアルキル基であり、メチル基、エチル基、カルボニル基が特に好ましい;アリール基であり、好ましくは、再置換されるか、無置換のC5、C6アリール基又はフルオレニル基である;ヘテロアリール基であり、好ましくは、少なくとも1個の窒素原子を含むヘテロアリール基であり、ピリジル基が特に好ましい;アリール基はF及びt-ブチル基から選ばれた置換基を有することが特に好ましく、与えられたアリール基または少なくとも一つの前記置換基によって置換されるC5、C6アリール基である任意のアリール基が好ましく、C5、C6アリール基は0、1又は2個の前記置換基を有することが特に好ましく、C5、C6アリール基は置換されていないフェニル基又は置換されたフェニル基を有することが特に好ましく、例えば、ビフェニル基、二つのt-ブチル基にメタ置換されるフェニル基である。
【0023】
1~20個のC原子を含む不飽和アルキル基は、アルケニル基が好ましく、一つの二重結合を有するアルケニル基が更に好ましく、二重結合と1~8個の炭素原子を有するアルケニル基が特に好ましい。
【0024】
前記アルキル基は1~30個の炭素原子、好ましくは1~10個の炭素原子、望ましくは1~4個の炭素原子を有するアルキル基を含む。このアルキル基は、分岐鎖または直鎖であってもよいし、環状であってもよいし、1つまたは複数のヘテロ原子、好ましくは、N、O、またはSで中断され得る。また、このアルキル基は、1つまたは複数のハロゲン又は前記のアリール基の置換基に置換され得る。同様に、アルキル基については、一つ又は複数のアリール基を有することが可能であり、前記のアリール基は全てこの目的に適用可能であり、アルキル基は特にメチル基、エチル基、イソプロピル基、n-プロピル、イソブチル基、n-ブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、イソペンチル基、シクロプロピル基、シクロヘキシル基から選ばれるものが好ましい。
【0025】
前記のアシル基は単結合でCO基に結合したものであり、例えば本明細書で用いたアルキル基である。
【0026】
前記のアシル基は単結合で酸素に直接結合したものであり、例えば本明細書で用いたアルキル基である。
【0027】
前記ヘテロアリール基は、芳香族、環基と相関し、1個の酸素または硫黄原子または1~4個の窒素原子、あるいは1個の酸素または硫黄原子と最大2個の窒素原子との組み合わせ、及び、それらの置換された、及びベンゾピリデインかつ縮合型誘導体をさらに含み、例えば、そのうちの一つの環形成炭素原子を介して接続され、前記ヘテロアリール基は、1つまたは複数の、アリール基について言及された置換基に置換され得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、ヘテロアリール基は上述の、0、1、または2つの置換基を含む独立した5、6員の芳香族ヘテロ環であり得る。ヘテロアリール基の典型的な例としては、置換されていないフラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピロール、ピリジン、インドール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、イソオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、ピラゾール、インダゾール、テトラゾール、キノリン、イソキノリン、ピリダジン、ピリミジン、プリンとピラジン、フラン、1,2,3-ジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、プテリジン、ベンゾオキサゾール、ジアゾール、ベンゾピラゾール、キノリジン、シンノリン、フタラジン、キナゾリンとキノキサリン及びそのモノ-またはジ-置換誘導体である。いくつかの実施形態では、置換基はハロ、水酸基、シアノ基、O-C1~6アルキル基、C1~6アルキル基、水酸基C1~6アルキル基とアミノ-C1~6アルキル基である。
【0029】
次に示す具体的な例には、次のような構造が含まれるが、これに限定されるものではない。
【化7】
【0030】
【化8】
【0031】
【化9】
【0032】
【化10】
【0033】
【化11】
【0034】
前記錯体のOLED発光素子における使用である。
【0035】
前記構造を有する白金(II)錯体を用いて、熱沈着と溶液処理でOLED素子を製造することができる。
【0036】
1つまたは複数の前記錯体を含む有機発光素子である。
【0037】
ここでは、熱蒸着によって、この素子において層の形でこの錯体を印加する。
【0038】
ここでは、スピンコーティングによって、この素子において層の形でこの錯体を印加する。
【0039】
ここでは、インクジェット印刷によって、この素子において層の形でこの錯体を印加する。
【0040】
前記有機発光素子は、電流を印加すると、その素子は赤橙色光を放射する。
【0041】
本発明における有機金属錯体は、高蛍光量子効率、良好な熱安定性及び低消光定数を有し、高発光効率、低ロールオフの赤橙色光OLED素子を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本発明の有機電界発光素子の構成の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、実施例に関連して本発明をさらに詳細に説明する。
【0044】
前記錯体の製造方法は、以下のステップを含む。
【0045】
以下に示すように、カルバゾール系誘導体S1から臭素化反応によって基質S2を得て、S2をビス(ピナコラト)ジボロンと反応させて対応するピナコールエステル誘導体S3を得て、S3からピリジン系誘導体S6とSuzuki反応によってS7を得て、S7からピリジン系誘導体S8とSuzuki反応によってS9を得て、S9をK2PtCl4と反応させて目的生成物Pを得る。ここではS6はS4とS5とからStille反応によって製造される。
【化12】
【0046】
以下、実施例に関連して本発明をさらに詳細に説明する。
本発明における化合物合成に係る初期基質及び溶媒は、いずれも安耐吉、百霊威、アラジン等の当業者に知られているメーカから購入される。
【0047】
実施例1:
【化13】
【0048】
合成ルート:
【化14】
【0049】
化合物2の合成:11.2g(40.0mmol)の化合物1を取って、600mL酢酸に溶解してから、液体臭素16.0gを滴下して、遮光反応を行う。室温で約4hr撹拌した後、ロタバップで溶媒を除去し、適量の水と亜硫酸水素ナトリウム溶液を加えて洗浄し、酢酸エチルで抽出し、有機相を収集し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後に適量のシリカゲルを加えて、ロタバップで溶媒を除去し、n-へキサン/酢酸エチル系カラムクロマトグラフィによって、白色固体15.7gが得らた。収率は90%であり、純度は99.9%である。
【0050】
化合物6の合成:14.7g(40.0mmol)の化合物5、34.0gの化合物4(3eq.,120.0mmol)と924mg(0.02eq.,0.8mmol)のPd(PPh34を取り、三ツ口フラスコに添加し、真空引きをして窒素を通して複数回置換を行った後、トルエン200mLを注入し、105℃まで加熱する。窒素保護下で12hr反応させた後、室温まで冷却し、KF溶液でクエンチし、適量の水と酢酸エチルを加えて再抽出し、有機相を収集し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後に、ロタバップで溶媒を除去し、n-へキサン/酢酸エチル系カラムクロマトグラフィによって、白色固体を7.5gが得らた。収率は80%であり、純度は99.5%である。
【0051】
化合物7の合成:10.3g(20.0mmol)の化合物3、4.7g(20.0mmol)の化合物6、3.4gの炭酸カリウム(1.25eq.,25mmol)と462mg(0.02eq.,0.4mmol)のPd(PPh34を取り、三ツ口フラスコに入れて、真空引きをして窒素を通して複数回置換を行った後、ジオキサンを60mL、水を20mL注入して、100℃まで加熱する。窒素保護下で12hr反応させた後、室温まで冷却してから、適量の水と酢酸エチルを加えて再抽出し、有機相を収集し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後に、ロタバップで溶媒を除去し、n-へキサン/酢酸エチル系カラムクロマトグラフィによって、白色固体7.8gが得られた。収率は70%であり、純度は99.5%である。
【0052】
化合物9の合成:5.6g(10.0mmol)の化合物7、1.9g(11.2eq.,12.0mmol)の化合物8、1.7gの炭酸カリウム(1.25eq.,12.5mmol)と230mg(0.02eq.,0.2mmol)のPd(PPh34を取り、三ツ口フラスコに入れて、真空引きをして窒素を通して複数回置換を行った後、ジオキサンを30mL、水を10mL注入して、100℃まで加熱する。窒素保護下で12hr反応させた後、室温まで冷却し、適量の水と酢酸エチルを加えて再抽出し、有機相を収集し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後に、ロタバップで溶媒を除去し、n-へキサン/酢酸エチル系カラムクロマトグラフィによって、白色固体4.6gが得られた。収率は90%であり、純度は99.9%である。マススペクトル(ESI-)([M-H]-)C36353理論値:508.28;実測値:508.25。
【0053】
化合物P1の合成:1.02g(2.0mmol)の化合物9、160mgのテトラブチルアンモニウムブロミド(0.25eq.,0.5mmol)と930mg(1.2eq.,2.4mmol)のテトラクロロ白金酸カリウムを酢酸25mLに溶解し、真空引きをして窒素を通して複数回置換を行った後、130℃まで撹拌加熱して12hr反応させる。反応終了後、冷却してロタバップで溶媒を除去してから、適量の水と酢酸エチルで抽出し、有機相を収集し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後に、ロタバップで溶媒を除去し、n-へキサン/酢酸エチル系カラムクロマトグラフィによって、得られた粗生成物を真空で昇華させて濃赤色の固体842mgを得た。収率は60%であり、純度は99.9%である。マススペクトル(ESI-)([M-H]-)C36323Pt理論値:508.28;実測値:508.25。
【0054】
実施例2:
【化15】
【0055】
P2の合成ルートはP1とほぼ同じであり、一部の化合物の合成は以下の通りである。
【化16】
【0056】
化合物11の合成:15.3g(40.0mmol)の化合物10、34.0gの化合物4(3eq.,120.0mmol)と924mg(0.02eq.,0.8mmol)のPd(PPh34を取り、三ツ口フラスコに添加し、真空引きをして窒素を通して複数回置換を行った後、トルエン200mLを注入し、105℃まで加熱する。窒素保護下で12hr反応させた後、室温まで冷却し、KF溶液でクエンチし、適量の水と酢酸エチルを加えて再抽出し、有機相を収集し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後に、ロタバップで溶媒を除去し、n-へキサン/酢酸エチル系カラムクロマトグラフィによって、白色固体8.4gが得られた。収率は85%であり、純度は99.0%である。
【0057】
化合物12の合成:10.3g(20.0mmol)の化合物3、5.0g(20.0mmol)の化合物11、3.4gの炭酸カリウム(1.25eq.,25mmol)と462mg(0.02eq.,0.4mmol)のPd(PPh34を取り、三ツ口フラスコに入れて、真空引きをして窒素を通して複数回置換を行った後、ジオキサンを60mL、水を20mL注入して、100℃まで加熱する。窒素保護下で12hr反応させた後、室温まで冷却してから、適量の水と酢酸エチルを加えて再抽出し、有機相を収集し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後に、ロタバップで溶媒を除去し、n-へキサン/酢酸エチル系カラムクロマトグラフィによって、白色固体7.8gが得られた。収率は68%であり、純度は99.5%である。
【0058】
化合物13の合成:5.7g(10.0mmol)の化合物12、1.9g(11.2eq.,12.0mmol)の化合物8、1.7gの炭酸カリウム(1.25eq.,12.5mmol)と230mg(0.02eq.,0.2mmol)のPd(PPh34を取り、三ツ口フラスコに入れて、真空引きをして窒素を通して複数回置換を行った後、ジオキサンを30mL、水を10mL注入して、100℃まで加熱する。窒素保護下で12hr反応させた後、室温まで冷却してから、適量の水と酢酸エチルを加えて再抽出し、有機相を収集し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後に、ロタバップで溶媒を除去し、n-へキサン/酢酸エチル系カラムクロマトグラフィによって、白色固体4.4gが得られた。収率は85%であり、純度は99.9%である。マススペクトル(ESI-)([M-H]-)C37363理論値:522.30;実測値:522.31。
【0059】
化合物P2の合成:1.04g(2.0mmol)の化合物13、160mgのテトラブチルアンモニウムブロミド(0.25eq.,0.5mmol)と930mg(1.2eq.,2.4mmol)のテトラクロロ白金酸カリウムを酢酸25mLに溶解し、真空引きをして窒素を通して複数回置換を行った後、130℃まで撹拌加熱して12hr反応させる。反応終了後、冷却してロタバップで溶媒を除去してから、適量の水と酢酸エチルで抽出し、有機相を収集し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後に、ロタバップで溶媒を除去し、n-へキサン/酢酸エチル系カラムクロマトグラフィによって、得られた粗生成物を真空で昇華させて濃赤色の固体716mgを得た。収率は50%であり、純度は99.9%である。マススペクトル(ESI-)([M-H]-)C37353Pt理論値:716.25;実測値:716.23。
【0060】
実施例3:
【化17】
【0061】
P3の合成ルートはP1とほぼ同じであり、一部の化合物の合成は以下の通りである。
【化18】
【0062】
化合物15の合成:18.9g(40.0mmol)の化合物14、34.0gの化合物4(3eq.,120.0mmol)と924mg(0.02eq.,0.8mmol)のPd(PPh34を取り、三ツ口フラスコに添加し、真空引きをして窒素を通して複数回置換を行った後、トルエン200mLを注入し、105℃まで加熱する。窒素保護下で12hr反応させた後、室温まで冷却し、KF溶液でクエンチし、適量の水と酢酸エチルを加えて再抽出し、有機相を収集し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後に、ロタバップで溶媒を除去し、n-へキサン/酢酸エチル系カラムクロマトグラフィによって、白色固体10.8gが得られた。収率は80%であり、純度は99.0%である。
【0063】
化合物16の合成:10.3g(20.0mmol)の化合物3、6.8g(20.0mmol)の化合物15、3.4gの炭酸カリウム(1.25eq.,25mmol)と462mg(0.02eq.,0.4mmol)のPd(PPh34を取り、三ツ口フラスコに入れて、真空引きをして窒素を通して複数回置換を行った後、ジオキサンを60mL、水を20mL注入して、100℃まで加熱する。窒素保護下で12hr反応させた後、室温まで冷却してから、適量の水と酢酸エチルを加えて再抽出し、有機相を収集し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後に、ロタバップで溶媒を除去し、n-へキサン/酢酸エチル系カラムクロマトグラフィによって、白色固体7.9gが得られた。収率は60%であり、純度は99.5%である。
【0064】
化合物17の合成:6.6g(10.0mmol)の化合物16、1.9g(11.2eq.,12.0mmol)の化合物8、1.7gの炭酸カリウム(1.25eq.,12.5mmol)と230mg(0.02eq.,0.2mmol)のPd(PPh34を取り、三ツ口フラスコに入れて、真空引きをして窒素を通して複数回置換を行った後、ジオキサンを30mL、水を10mL注入して、100℃まで加熱する。窒素保護下で12hr反応させた後、室温まで冷却し、適量の水と酢酸エチルを加えて再抽出し、有機相を収集し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後に、ロタバップで溶媒を除去し、n-へキサン/酢酸エチル系カラムクロマトグラフィによって、白色固体4.9gが得られた。収率は80%であり、純度は99.9%である。マススペクトル(ESI-)([M-H]-)C44423理論値:612.35;実測値:612.33。
【0065】
化合物P3の合成:1.23g(2.0mmol)の化合物17、160mgのテトラブチルアンモニウムブロミド(0.25eq.,0.5mmol)と930mg(1.2eq.,2.4mmol)のテトラクロロ白金酸カリウムを酢酸25mLに溶解し、真空引きをして窒素を通して複数回置換を行った後、130℃まで撹拌加熱して12hr反応させる。反応終了後、冷却してロタバップで溶媒を除去してから、適量の水と酢酸エチルで抽出し、有機相を収集し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後に、ロタバップで溶媒を除去し、n-へキサン/酢酸エチル系カラムクロマトグラフィによって、得られた粗生成物を真空で昇華させて濃赤色の固体887mgを得た。収率は55%であり、純度は99.9%である。マススペクトル(ESI-)([M-H]-)C44413Pt理論値:805.30;実測値:805.28。
【0066】
実施例4:
【化19】
【化20】
【0067】
化合物19の合成:14.7g(40.0mmol)の化合物5、53.2gの化合物18(3eq.,120.0mmol)と924mg(0.02eq.,0.8mmol)のPd(PPh34を取り、三ツ口フラスコに添加し、真空引きをして窒素を通して複数回置換を行った後、トルエン200mLを注入し、105℃まで加熱する。窒素保護下で12hr反応させた後、室温まで冷却し、KF溶液でクエンチし、適量の水と酢酸エチルを加えて再抽出し、有機相を収集し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後に、ロタバップで溶媒を除去し、n-へキサン/酢酸エチル系カラムクロマトグラフィによって、白色固体13.4gが得られた。収率は85%であり、純度は99.0%である。
【0068】
化合物20の合成:10.3g(20.0mmol)の化合物3、7.9g(20.0mmol)の化合物19、3.4gの炭酸カリウム(1.25eq.,25mmol)と462mg(0.02eq.,0.4mmol)のPd(PPh34を取り、三ツ口フラスコに入れて、真空引きをして窒素を通して複数回置換を行った後、ジオキサンを60mL、水を20mL注入して、100℃まで加熱する。窒素保護下で12hr反応させた後、室温まで冷却してから、適量の水と酢酸エチルを加えて再抽出し、有機相を収集し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後に、ロタバップで溶媒を除去し、n-へキサン/酢酸エチル系カラムクロマトグラフィによって、白色固体8.9gが得られた。収率は62%であり、純度は99.0%である。
【0069】
化合物21の合成:7.2g(10.0mmol)の化合物20、1.9g(11.2eq.,12.0mmol)の化合物8、1.7gの炭酸カリウム(1.25eq.,12.5mmol)と230mg(0.02eq.,0.2mmol)のPd(PPh34を取り、三ツ口フラスコに入れて、真空引きをして窒素を通して複数回置換を行った後、ジオキサンを30mL、水を10mL注入して、100℃まで加熱する。窒素保護下で12hr反応させた後、室温まで冷却し、適量の水と酢酸エチルを加えて再抽出し、有機相を収集し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後に、ロタバップで溶媒を除去し、n-へキサン/酢酸エチル系カラムクロマトグラフィによって、白色固体5.7gが得られた。収率は85%であり、純度は99.9%である。マススペクトル(ESI-)([M-H]-)C48503理論値:668.41;実測値:668.39。
【0070】
化合物P4の合成:1.34g(2.0mmol)の化合物21、160mgのテトラブチルアンモニウムブロミド(0.25eq.,0.5mmol)と930mg(1.2eq.,2.4mmol)のテトラクロロ白金酸カリウムを酢酸25mLに溶解し、真空引きをして窒素を通して複数回置換を行った後、130℃まで撹拌加熱して12hr反応させる。反応終了後、冷却してロタバップで溶媒を除去してから、適量の水と酢酸エチルで抽出し、有機相を収集し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後に、ロタバップで溶媒を除去し、n-へキサン/酢酸エチル系カラムクロマトグラフィによって、得られた粗生成物を真空で昇華させて濃赤色の固体776mgを得た。収率は45%であり、純度は99.9%である。マススペクトル(ESI-)([M-H]-)C48483Pt理論値:861.36;実測値:861.33。
【0071】
実施例のPt(II)錯体について、ジクロロメタン溶液では橙赤色発光が顕著に現れ、波長範囲は617~619nmである。以下の表に示すとおりである。
【化21】
【表1】
【0072】
本発明の化合物の応用例を以下に示す。
ITO/TAPC(60nm)/TCTA:Pt(II)(40nm)/TmPyPb(30nm)/LiF(1nm)/Al(80nm)
【0073】
素子の製造方法:
アセトン、エタノール、蒸留水を順に用いて透明の陽極酸化インジウム錫(ITO、20)(10Ω/sq)ガラス基板10を超音波洗浄し、酸素プラズマで5分間処理する。次にITO基板を真空気相蒸着装置の基板固定器に取り付ける。蒸着装置においては、システムの圧力を10-6torr.に制御する。続いて、ITO基板上に60nmの空孔伝送層(30)材料TAPCを蒸着させる。その後、厚さ40nmの発光層材料(40)TCTAを蒸着させ、そのうち、質量分率の異なる白金(II)錯体ドーパント剤をドーパントする。次いで厚さ30nmの電子伝送層(50)材料TmPyPbを蒸着させる。そのあと、厚さ1nmのLiFを蒸着させて電子注入層(60)とする。最後に厚さ20nmのAlを陰極(70)として蒸着させて素子のパッケージを完成する。図1に示す。
【化22】
【0074】
素子の構造と製造方法は全く同じで、違いは有機金属錯体P0、P1、P2、P3、P4を順次使用して発光層におけるドーパント剤とドーパント濃度とする。ここで、Pt0は、従来のO^N^N^O系赤色光材料である。
【化23】
【0075】
素子の比較結果は以下の表の通りである。
【表2】
【0076】
四座白金(II)錯体のドーパント濃度がそれぞれ4wt%、8wt%、12wt%の条件で、前記ITO/HTL-1(60nm)/EML-1:Pt(II)(40nm)/ETL-1(30nm)/LiF(1nm)/Al(80nm)素子の基本構造で素子を製造する。P0による素子の性能を参考にして、四座白金(II)錯体P1、P2、P3、P4の素子は起動電圧Vonで、P0の素子に比べて、いずれも異なる程度の低減がある。同時に、1000cd/A条件の下で、P1、P2、P3、P4に基づく素子は電流効率(CE)、電力効率(PE)と外量子効率(EQE)においては、P0に比べて、いずれも異なる程度の向上があり、特にP4は電流効率(CE)、電力効率(PE)と外量子効率(EQE)の面での向上が明らかである。四座白金(II)錯体のドーパント濃度が増加した場合、P0の効率向上は小さく、ひいては効率がある程度低下し、P0は平面構造が強いため、分子間の相互作用が増加し、発光効率が低下する。P1、P2、P3、P4はP0よりも大きな位置抵抗基があり、分子間の凝集作用が低下し、励起錯体の形成が避けられ、発光効率が高まる。
【0077】
本発明に係る四座白金(II)錯体は、その配位子骨格が類ポルフィリンの構造を有し、配位子の中心空洞は白金(II)と強いキレート配位を形成することができ、錯体の安定性の向上に有利であり、長寿命のOLED素子の構築に有利である。また、配位子骨格は非常に優れた剛性構造を有し、分子内の回転や振動などの非放射エネルギーの散逸を大きく減少させることができ、白金(II)錯体の発光効率と性能の向上に有利である。
【0078】
以上のように、本発明により製造される有機電界発光素子の性能は、基準素子と比較して良好な性能向上を示し、係る新型N^N^C^N四座白金(II)錯体の金属有機材料は、大きな応用価値を有する。本発明で製造したN^N^C^N四座白金(II)錯体の金属有機材料は、有機発光ダイオード上で大きな応用価値があり、リン光ドーパント材料として高発光効率の橙赤色光OLED素子を製造する。
図1