(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-22
(45)【発行日】2023-03-30
(54)【発明の名称】補強された取り外し可能な断熱装置
(51)【国際特許分類】
F16L 59/14 20060101AFI20230323BHJP
【FI】
F16L59/14
(21)【出願番号】P 2019554990
(86)(22)【出願日】2018-04-06
(86)【国際出願番号】 RU2018000222
(87)【国際公開番号】W WO2018186773
(87)【国際公開日】2018-10-11
【審査請求日】2021-04-05
(32)【優先日】2017-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】RU
(73)【特許権者】
【識別番号】519001062
【氏名又は名称】パブリック ジョイント ストック カンパニー マシン-ビルディング プラント“ジオ ポドリスク”
(73)【特許権者】
【識別番号】517423567
【氏名又は名称】ジョイント ストック カンパニー“サイエンス アンド イノヴェーションズ”
(74)【代理人】
【識別番号】110001900
【氏名又は名称】弁理士法人 ナカジマ知的財産綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】クレイノフ ボリス ウラジミロヴィッチ
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104321579(CN,A)
【文献】中国実用新案第205560130(CN,U)
【文献】中国実用新案第201992273(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第101691901(CN,A)
【文献】特開2006-258301(JP,A)
【文献】特開2007-309360(JP,A)
【文献】米国特許第05960602(US,A)
【文献】特開2016-035271(JP,A)
【文献】実開平07-041192(JP,U)
【文献】米国特許第9958105(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 59/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステンレス鋼製のボックスに断熱材が充填されてなる断熱ブロックが、縦方向の側壁で重なって隣接し、パイプラインもしくは円筒容器の周囲を囲むように組み立てられてなる、取り外し可能な断熱装置であって、
前記ボックスは、補強フレーム格子(1)と薄肉ステンレス鋼製のライニングシート(5)とからなり、
前記補強フレーム格子(1)は、三角形、四角形、五角形、または六角形のセルが形成され、
前記断熱ブロックは、その外部および内部の面の角部交差部に配された、可動グリップとフック(12)とから構成されるロックラッチによって相互に連結されており、
前記可動グリップは、丸みを帯びた圧縮可能な弾性を有する花弁部(10)を有し、
前記フック(12)は、断熱ブロックに補強リブ(13)とステンレス板(14)を介して固定され、その内部に押型成型の内壁を有するフック室が形成され、
前記フック室の内壁には、可動グリップが挿入されたときに、前記花弁部(10)と嵌合するフック折り畳み部(19)が形成され、
各可動グリップは、その基部においてリングスプリング(9)に連結され、当該リングスプリング(9)によって相互に張力が付与される
ことを特徴とする取り外し可能な断熱装置。
【請求項2】
前記ステンレス鋼製のライニングシート(5)は、次の比率を満たす厚さS2で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の取り外し可能な断熱装置。
【数4】
ここで:
d:
補強フレーム格子のセルの
ピッチ
S1:
従来の断熱ブロックにおけるボックスのステンレス鋼製シートの厚さ
S2:
本願の断熱ブロックにおけるボックスのステンレス鋼ライニングシートの厚さ
K1:
従来の断熱ブロックの端部の固定方法を考慮した係数
K2:
本願の断熱ブロックの端部の固定方法を考慮した係数
D:
従来の断熱ブロックの最大サイズ。
【請求項3】
前記補強フレーム格子(1)が円形断面を持つバー(20)又は、断面がコの字形あるいはT字形であるバー(21)で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の取り外し可能な断熱装置。
【請求項4】
ボックスの接続部に、格子の補強バーの交点とドッキングするため受け入れ部の幅が狭くなった溝部を備えた型押成型の波形ワッシャーがさらに設けられており、当該波形ワッシャーには
前記ライニングシートに接点溶接で接合される棚部があることを特徴とする請求項1に記載の取り外し可能な断熱装置。
【請求項5】
前記波形ワッシャーが、接点溶接により
前記ライニングシートに接合されていることを特徴とする、請求項
4に記載の取り外し可能な断熱装置。
【請求項6】
前記
補強フレーム格子が、溝付きワッシャーなしで抵抗溶接により前記ライニングシートに接合されることを特徴とする請求項1に記載の取り外し可能な断熱装置。
【請求項7】
前記
補強フレーム格子を構成する軸組内に、前記パイプラインまたは円筒容器の円筒面の軸に平行な直線上のバー(21)が配置され、ストリップ(22)が接触法により前記バーに固定的に接続されてなる
ことを特徴とする請求項1に記載の取り外し可能な断熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱技術に関し、より具体的には、パイプラインおよび円筒容器の断熱装置の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
到達した技術水準によれば、パイプラインを綿密に覆う、事前組み立ての断熱装置は公知であり、パイプラインの長手方向に沿って連続的に配された円筒状のシェル(shell)および相互連結部を備えている。
【0003】
円筒状のシェルは、それぞれドッキングおよび相互接続された、断面形状が環状の扇形のブロックである複数のΝ個の断熱要素で作られている(特許文献1参照)。
【0004】
「ギドロプレス」設計局(OKB "GIDROPRESS")、公共株式会社(PJSC)「ZiO-Podolsk」(g.Podolsk、モスクワ地方)は、ドイツの会社「KAEFER」と協働して、 田湾原子力発電所ユニット(中国)およびクダンクラム原子力発電所ユニット(インド)向けにモジュール式の取り外し可能な断熱器具(以下「BST」)を開発し実装した。
【0005】
設備とパイプラインへのBSTの取り付けは、扇形のブロックの周りに事前に取り付けられた特別なテンションロック(tension lock)によって、60%が実行され、その他の固定の40%は、BSTの設置時に溶接によって実行される。
【0006】
BSTは、オーステナイト鋼製の複数のボックスからなり、各ボックス内の空洞は断熱材で満たされている。ガラスまたは玄武岩のステープルファイバーからなる複数のマット(mat)が、断熱材として使用される。
【0007】
断熱材は、ボックス内で動かないように、特別なピンとクリップで固定されている。断熱材を敷いた後、ボックスは、ブロックの内側に溶接されているプリアナスステンレス(pulianas stainless)箔で塞がれる。
【0008】
ブロックのすべての要素の相互の固定は、接点溶接(contact welding)によって行われる。各発電所ユニットは、断熱装置を検証するためやり直すことができ、このプロジェクトはプロトタイプとして採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】ロシア連邦実用新案証明書第40433号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ただし、ブロックのサイズが大きく、多数のテンションロックを表面に取り付けることによる強度特性を得るために、鋼鉄製のボックス(以下「BSTI」)は比較的厚い壁(11.0mmおよび0.5mm)を要し、鋼鉄および断熱材を不合理に多く使用することになる。
【0011】
BSTのブロックの重量に対する断熱材の重量の比率は31.3パーセント(19トンの断熱材と41.7トンの鋼鉄)であり、ブロックの断熱設計において不合理な量の鋼(68.7パーセント)を要するという結論に至る。
【0012】
ブロックの表面に緊密なテンションロックが存在すると、鋼鉄製のボックスの厚みが大きくなり、曲げモーメントによる力のモーメントが発生してブロックをずれさせ、断熱されたブロックの表面に隙間が生じる。その結果、余分な温度上昇し、BSTIの断熱特性の劣化をもたらす可能性がある。
【0013】
本発明は、ステンレス鋼製の断熱ブロックの重量を軽減すると共に、機器の熱放出を遮蔽する断熱ブロックの側面において、断熱特性が保証される最小ギャップしか形成されないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この問題は、ボックスが強力な補強フレームの格子と薄肉のステンレス鋼の対面シートで構成され、ASTIのブロックを形成する接続の形で作られ、補強格子が3、4、5およまたは6角形のセルブロックASTIは、外部および内部のコーナージャンクションに設置されたロックラッチによって相互に接続され、相互に嵌合し、ASTIのユニットで、移動可能および固定グリップカメラで構成されたグリッパーの湾曲した柔軟で弾性のあるプレートの形で作られたブロックASTIグリップの内側に配置されたフックは、変形可能であり、各フックは型押しされた壁の形で作られ、補強材とステンレス板でユニットのフレームに固定され、壁フック部分は平面を形成し、ブロックの側壁の角の接合線と同軸に配置された丸みを帯びたキャプチャの弾性プレートの表面とのドッキングで相互に接触する。
【0015】
キャプチャは、キャプチャの弾性プレートが固定されたリングスプリングによって相互に接続され、キャプチャの対称軸に関して対称に接続される。
【0016】
リングスプリングを備えたロックラッチのアセンブリの提案された設計により、ブロックの接触側面のアクセスできない内側部分の確実な密着性により、ASTIブロック相互の表面の信頼できる接触が可能になる。さらに明確にするために、断熱ブロックの内側のベースはユニットのベースでは利用できず、断熱面に面しており、ベースの断熱ブロックにより機能するクーラーを外部ベースとして定義する。
【発明の効果】
【0017】
本願の張力が保証されたロックラッチを含む断熱装置(ASTI)は、特許取得済みのプロトタイプの取り外し可能断熱装置と比べて次のような違いがある。
【0018】
1.断熱ブロックの耐腐食性金属の重量を節約し、断熱ブロックの耐久性を高め、断熱ブロックの側面間の隙間を排除できる。
【0019】
2.断熱ブロックのフックと締まりが保証されたロックラッチのグリップとの間の締まりにより断熱ブロック側面同士の信頼できる接触によって断熱信頼性が向上する。
【0020】
また、工場で、本願のASTIにおける断熱ブロック(以下、ASTIブロック)の側面の交差部の角にフックを配置することにより、多数の取り付け作業と溶接の工程が不要となる(従来のBSTIの断熱ブロック(BSTIブロック)の表面には、6400個ものテンションロックがあり、設備への設置中に個別に設置され、機器の組み立て作業が行われていた。)。
【0021】
ASTIブロック内にフックを配置すると、原子力発電所の金属製熱交換面の定期検査や制御の時だけでなく、一次設置、解体、および運転中に、拘束して取り外し可能な断熱ブロックを輸送する際にもフックが変形しない。設計の許容性があり、テンションロックの数を半分に減じることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】正方形のセル(cell)を備えたステンレス鋼の格子で作られたフレームの構成要素(component)を示す図である。
【
図2】格子(lattice)の十字線上に波形ワッシャーが取り付けられたフレームの構成要素を示す図である。
【
図3】周囲に結合用のあそび部(allowance)が設けられた薄いステンレス鋼板で裏打ちされ、波形ワッシャーの棚に接点溶接された断熱ブロックのフレーム部分を示す図である。
【
図4】断熱材なしの対面シートのあそび部に、ステンレス鋼シート製の内部ベースを接点溶接によって溶接して組み立てられた、断熱材なしの中空のASTIブロックを示す図である。
【
図5】内部ベースから見た中空ASTIブロックを示す図である。
【
図10】三角形のプレートに取り付けられたフックロックラッチの斜視図である。
【
図11】ASTIブロックに取り付けられたフックの上面図である。
【
図12】ASTIブロックのドッキングとロックラッチによる固定を示す図である。
【
図13】ASTIブロックに取り付けられたフックを示す図である。
【
図14】接触法で接続された1つのバーと2つ目のバーストリップにより輪郭(profile)補強した格子で作られたブロックのフレームを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を特定の実施例によって説明する。なお、本願発明の技術的成果を達成する可能性の明確化のため、上記特許取得済み発明が参照される。
【0024】
上記特許取得済みの強化された取り外し可能な断熱装置は、BSTIのプロトタイプのブロックに幾何学的な形状とサイズが似た構造の形で作られている。
【0025】
本願発明に係る断熱装置のASTIブロックは、側壁2と前壁3を備えたフレーム格子1の円筒形部分(
図1)と、接点溶接用の棚部(shelf)7と溝8とを備えたステンレス打ち抜き溝付きワッシャー4(
図4)と、厚さ0.1 -0.4 mmのステンレス薄肉鋼シェル5(
図3)とで構成される。
【0026】
イメージの利便性と明瞭さのための、初期状態の補強格子は、
図1に示すように正方形のセルと、断面が円形であって、両側が完全に平坦なバーが選択される。ただし、3角形、5角形、6角形、あるいは長方形のセルと、異なる断面形状のロッドで形成されてもよいが、バーの断面が円形の格子を使用することが望ましい。
【0027】
ステンレス鋼の補強フレーム格子は、溝付きワッシャーを使用せずに電気溶接によりステンレス対面シートに事前に接続してもよい。
【0028】
図2の補強フレーム格子20のバーは、ステンレス鋼以外であってさまざまな形状の材料で形成することができるが、強度はステンレス鋼バーの強度に劣らないで、波形ワッシャーでステンレス製の対面シート(stainless facing sheet)に接続される。
【0029】
波形ワッシャー(corrugated washer)4は、型押成型(stamping)によって作成され、補強格子の交差ノードと組み立てられたときに、棚部7(
図7)に固定できるようにデザインされている。そのため、
図6における溝8の入り口部分はわずかに狭くなっている。
【0030】
図6の棚部7は、波形ワッシャーとブロックの薄肉鋼シェルとの接点溶接(contact welding)に使用される。
【0031】
大きな直径の機器の断熱に特徴的な小さな曲率の補強スケルトン格子では、波形ワッシャーは実質的に平らであり、波形ワッシャーの押型成型では、パイプラインの表面の曲率を考慮する必要がある。
【0032】
補強格子に波形ワッシャーを取り付けた後、格子とステンレス製の薄肉鋼シェルが、プロトタイプのBSTIブロックの幾何学的な形状とサイズが似たテンプレートに従って変形できる。
【0033】
この場合、
図3に示すように周辺に結合用のあそび部6を有するステンレス金属の薄肉鋼シェルが選択される。
【0034】
製造後、中空ASTIブロック16(
図11)に断熱材を充填し、あそび部の接点溶接によりステンレス製シートを固定する。
【0035】
図14に、フレーム格子の一部として、バーストリップ(bar strip)22に接続されたバーチャンネル(bar channel)21(
図14)の例が示されており、この構成では、グリッドを曲げてバーを接続するための労力を最小限に抑える。
【0036】
フレームグリッドの形状に対応する波間の窪み(trough)を有する波形ワッシャーを使用することにより、ASTIユニットのフレームを統一した方法で組み立てて、追加の装置を使用せずに機器表面を断熱できる。
【0037】
フレーム補強格子は、さまざまな変形例に係るバーの補強形状によって実行される。ロッドとロッドバンドの補強された形状に対応するステップと格子の線形寸法でそのような格子を生成する。ここでSはフレームユニットの前面の放射状ロッドの高さである。これは、ブロックの段熱層の厚さからの2つの鋼ライニング(lining:裏地)の厚みと、熱絶縁体またはパイプラインの軸に平行な、ASTIブロックのS直線長さ、を差し引いたものと一致する。
【0038】
補強するため、ストリップを90°の角度で曲げ、棚部を接続する。
【0039】
最終的な正面の表面を得るために、ブロックの前部側面のフレームのために予備のブランク(blank)を設ける。補強バーの放射状部分を接続する格子ストリップ22を切断し、ASTIブロックの必要な曲率に従って外面に沿って格子を曲げ、切断された格子ストリップを固定する必要がある。こうしてブロックフレームの前部側面を得る。
【0040】
同様に、ブロックの他の側から見たときの前部側面を形成する。必要な角度でフレーム格子のストリップを曲げて、2つの隣り合う側面が得られる。これらの側面は、接触によって相互に接続され、ブロックフレームの側面全体を固定する。
【0041】
さまざまな形状のバーを使用して格子のフレームを構築し、ASTIの任意の曲率の構造フレームユニットを形成することができる。各サイズや、マージン、フレームブロックのセル形状などを決定すれば、設計により、ほぼすべてのASTIユニットに適した支持フレームが事前に集められ統合される。
【0042】
ロックラッチは、固定部(
図10のフック12)と
図8における移動可能部(
図8のキャプチャ(capture:捕捉部)10、11、18)とからなる。
【0043】
ロックラッチは、ASTIのブロックの交差点に取り付けられる。つまり、1つの交差点に1つのロック、またはASTIの単一ブロックに1つのロックがなされる。
【0044】
図10のフック12は、押型成型の形状(stamped profile)で形作られ、補強材13を介してアルゴンアーク溶接により、垂直な三角形プレート14上の直角の二等分線15上に取り付けられている。
【0045】
次に、中空のASTIブロックに断熱材を充填する前に、アルゴンアーク溶接によりフックが、フレーム(と対面の許容ブロック)に取り付けられる。フックのサイズが小さい場合(高さ25mm、幅と長さ20×30 mm)、上から取り付けた後、追加の断熱材を取り付ける必要がある。
【0046】
サイズa(
図13)は、フックの折れ曲がり部の狭い部分19の近い側の壁間の距離の2等分の距離である。この部分は、キャプチャ18(
図8)の弾性壁の表面と相互に作用しあう。この距離は一定の長さである。
【0047】
サイズb(
図8、
図12)は、グリップ(捕捉部)18の対称軸17から、フックのチャンバの壁と相互作用するグリップ18の弾性壁の表面までの距離である。これは、リングスプリング9のねじれと弾性張力に影響される可変なサイズである。
【0048】
サイズcは、静力学におけるグリップとフックの相互作用(ドッキング)における結合強さを保証する距離である。すなわち、サイズcは、リングスプリング9の変形時にグリップとフックの相互作用(ドッキング)を保証する張力を確保するものであり、断熱部材の熱膨張または冷却中における寸法変化に対応した結合強さを得るように設定される。サイズcは、フックチャンバーの傾斜面e(
図12参照)に沿った丸みのある、キャプチャの花弁部10(
図8)のスリップの結果としてドッキングし、弾性グリップ壁18の表面とフックチャンバーの壁eの相互作用によって得られる。
【0049】
図8に示すリングスプリング9は、
図8のグリッパー(gripper:捕捉部)の基部(base)部を通過して、グリッパーに張力をかけ、スプリングでグリッパーアセンブリの安定した剛性を作り出すのに貢献し、これにより連結具(connector)があってもなくても、平坦、円筒状もしくは他の形状に従うようにすることができる。
【0050】
通常、グリップの張力は、発生する弾性変形による。弦は、当該弦が接続する円弧の長さより短いので、弾性変形は、プレートの曲げ、キャプチャの弾性ねじり、ASTIのブロックのキャプチャの基部間のスプリングなどにより生じる。
【0051】
3つのグリップで最適な張力を持つロックラッチの設計では、ワンピーススプリングは三角形の形をとり、4つのグリップ(正方形または長方形など)を備えている。
【0052】
保証された柔軟な密着性により、ASTI断熱ブロックの側面の緊密な接触と固定が提供され、機器の断熱表面の温度変動中でに対応できる。
【0053】
カメラフック(camera hook:フック格納室)の面e(
図13)の傾斜角は、ブロックASTIの断熱表面の被覆角(the angle of coverage)に依存する。
【0054】
ASTIブロックは、ブロックのコーナーの交差部に設置されたロック、ラッチの助けを借りて互いに接続され、ブロックの外部および内部で結合される。
【0055】
フックと呼ばれる固定部は、ユニットの内側で、リブ13とプレート14の直角三角形の二等分線15上に取り付けられ(
図11)、ASTIの中空ブロックを充填した後、TIG溶接で当該フックをフレームと対面ブロックのあそび部分(allowances )に取り付ける。
【0056】
格納室(camera)には、フック折り畳み部19が含まれ(
図10、
図13)、ドッキングされた花弁部10(
図18)および弾性壁18の表面と係合して、フックをブロックASTIに対して固定する。
【0057】
可動グリッパー(gripper)は、ベースと本体の断熱表面に接触する。フックとドッキングすると、断熱されたボディとASTIブロックの間に3~5mmのギャップが発生し、ボディの表面に局所的な温度ストレスが生じない。
【0058】
同じロックラッチのキャプチャと結合された2番目のブロックは、前の操作を繰り返して連結する。同様に、1つのロックラッチを備えた3番目と4番目のブロックが結合される。ASTIの5番目、6番目などのブロックも同じように結合される。
【0059】
パイプラインの円筒部分または円筒装置の周囲を閉じると、ASTIブロックはブロックの閉じたチェーンを形成し、断熱表面に自己保持される。
【0060】
ロックラッチがASTIブロックの外側ベースから取り付けられている場合、つまりロックラッチが取り外し可能な断熱ブロックに移動してそれらを固定する場合、カメラフックの傾斜面eは垂直になる。この場合、cのサイズはもちろんのこと、aとbのサイズに関するすべての議論は同じである。
【0061】
直径2mm(比較のために、ステンレス鋼ボックスの厚さは1mm)と60mmの正方形セルピッチ、0.2mmの鋼シェル厚さ、および0.5mmの波形ワッシャー厚さの強化スチール格子を使用する場合、直径15mmのブロックASTIについて次のデータが得られる。
【0062】
ステンレス薄肉鋼シェルの厚さは、次の値となる。
【0063】
【数1】
ASTIのステンレス薄肉鋼シェルの厚みは、次の式で定義される
【0064】
【数2】
そして、平方根を減じると、次式のようになる。
【0065】
【数3】
ここで、
d:フレーム補強格子のセルステップ
D:BSTUブロックの最大サイズ
S1とS2:それぞれ、BSTとASTIのステンレス薄肉鋼のシェルの厚さ
K1とK2:それぞれ被覆鋼シェルのエッジを固定する方法を考慮した係数(原子力発電所の機器およびパイプラインの強度の計算基準。PNAE G-7-002-86 HM、モスクワ、1989年)。シェルASTIおよびBTIの厚さを計算するための式は、小さな外圧で動作する平底の場合と同様に控えめに考慮される。これにより、ブロックのジオメトリと動作モードが最も現実的に表示される。
【0066】
外側のベースBSTIの厚さがS1=1.0 mm、K1=0.56、D=1000mm、K2=0.43、t=60mmの場合、薄肉ステンレス鋼の厚さに等しい事前強度が得られる。
【0067】
シェルS2=0.0078mm、薄肉のステンレス鋼シェルの厚さ0.2mmを考慮すると、結果として得られる安全マージンは2.56に等しくなる。つまり、ASTIのシェルブロックはシェルBSTIの2.56倍の強度となる。
【0068】
曲げモーメントの計算によれば、式の直線寸法は平方比に含まれているため、安全率はさらに高くなる。なお、S1は、数3の右辺よりも大きい方がより望ましい。
【0069】
ASTIブロックの重量を計算するとき、60mmのステップと2mmの格子バーの直径を持つ正方形のセルを備えた鉄筋格子が使用される。ステンレス鋼BSTUブロックの計算重量は41.7トンである。しかし、ステンレス鋼のASTIブロックの計算重量は15.0トンであり、ステンレス鋼が、26.7トンの節約となる。
【0070】
両方のバージョンの断熱材の重量は19.0トンである。
【0071】
BSTUブロックの断熱材の割合の相対的な割合は31.3%、ステンレス鋼の割合は68.7%である。ASTIブロックの断熱材の割合の相対割合は55.9%、ステンレス鋼の割合は44。1%である。ステンレス鋼の節約は64.0%となり、ASTIブロックの推定コストは、少なくとも2倍低くできる。
【0072】
抵抗溶接を使用して薄い鋼の表面に補強フレーム格子を固定するための波形ワッシャーの使用を考慮すると、ロッドのより大きな断面のスチール補強棒グリッドを交換すれば、さらに大きな節約につながる。